説明

スイッチマルチプレクサを用いて複数の広帯域RF源を組み合わせる方法

各信号経路が約2〜約18GHzの周波数範囲内のサブオクターブ周波数を対象とする第1、第2、第3、及び第4信号経路を組み合わせ、かつ送信機からの入力信号の高調波成分を除去して安定した出力インピーダンスを周波数範囲に渡って生成するように構成されるスイッチマルチプレクサを提供する。スイッチマルチプレクサは、送信スイッチ、第1ダイプレクサ、及びパワーコンバイナを備える。第1ダイプレクサは第2ダイプレクサに並列に接続される。第1ダイプレクサは第1及び第2信号経路を含む。第2ダイプレクサは第3及び第4信号経路を含む。第1、第2、及び第3信号経路の個々の信号経路は、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチの個々のスイッチを含み、個々のスイッチは、第1信号経路高域通過フィルタ、第2信号経路低域通過フィルタ、及び第3信号経路低域通過フィルタの個々の通過フィルタに、第1、第2、及び第3フィルタの個々のフィルタによって相互接続される。第1、第2、及び第3フィルタの各フィルタは、約6〜10.4GHz、約2〜3.5GHz、及び約3.5〜6GHzの範囲の個々の範囲をフィルタリングする機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、無線周波数(RF)信号処理に関する。特に、本発明は、固有に構成されるスイッチマルチプレクサに関し、このスイッチマルチプレクサはフィルタバンクを使用して、マルチオクターブ帯域幅を有し、かつ経時的に変化し得る周波数を有する送信機により生成される信号をフィルタリングする。スイッチマルチプレクサは、バンクの中のフィルタ群のうちのいずれのフィルタが選択されるかに関係なく、安定した出力インピーダンスを周波数範囲(例えば、2〜18GHz)全体に渡って生成して、信号の位相及び振幅エラーを小さくするようにも構成される。
【背景技術】
【0002】
RF信号処理の分野では、マルチオクターブ帯域幅を有する送信機が使用され、この送信機では、RF信号に関連し、かつ送信機から出る高調波成分をフィルタリング除去する必要がある。更に詳細には、通常、2次及び3次高調波成分をフィルタリング除去するか、または抑圧して他の無線システムとの信号の干渉を防止する必要がある。マルチオクターブ帯域幅を有するシステムでは、2次及び3次高調波成分に対するこのようなフィルタリングは、固定フィルタによって行なうことができない。例えば、サブオクターブ式の送信機は、約2〜3GHzの範囲で動作し、かつ約4〜6GHzの範囲の2次高調波成分を有するように構成することができる。3GHz低域通過フィルタ(LPF)を設けることにより、3GHz超の信号を阻止しながら3GHz未満の周波数を通過させることができる。しかしながら、周波数固定LPFを、マルチオクターブ帯域幅を有し、かつ約2〜18GHzの範囲で動作する送信機に使用するためには、約18GHzの定格を設定して所望信号に対する妨害を防止する必要がある。残念なことに、18GHzフィルタを使用することによって、約2〜9GHzの範囲で動作するときに送信機が出す2次高調波成分も通過させてしまう。
【0003】
上述の問題を解決する試みでは、選択可能なフィルタ群から成るバンクを設けて2次及び3次高調波成分を小さくする。例えば、図1に示す先行技術による一つのシステムは、高域(High Band:HB)方向探知(Direction Finding:DF)を行なうように構成され、この高域方向探知では、スイッチ−フィルタースイッチ(SFS)を設けて所望フィルタのみをシステムにおいて選択し、基本周波数の2倍及び3倍の高調波成分が許容電力レベルにまで下がるようにする。図1に示す構成は、DF脚(DF legs)が通常使用され、振幅のみに適用される場合に満足の行く形で動作する。
【0004】
残念なことに、図1に使用されるようなスイッチ(すなわち、単極4投[1P4T]スイッチ、及び単極5投[1P5T]スイッチ)は通常、反射スイッチである。このようなスイッチは信号を反射する性質を持つので、反射が生じない出力インピーダンス整合は、選択されるフィルタの周波数範囲に渡ってしか得ることができない。例えば、約2.0〜3.5GHzの信号を通過させるフィルタがスイッチ群のうちの一つのスイッチによって選択される場合、出力インピーダンス整合が残りの3つのフィルタに関する周波数範囲で悪化する。更に、図1に示す6.0〜10.4GHzフィルタのような異なるフィルタ帯域が選択される場合、2〜18GHzシステムの出力インピーダンスは変化することになる。マルチチャネル合成回路では、出力インピーダンスが変化することによって、スイッチ(例えば、図1の1P5Tスイッチ)が切り替わるたびに信号に位相及び振幅エラーが生じ、これによって不都合なことにエラーがシステムのDF機能に生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから分かるように、先行技術においては、安定した出力インピーダンスを実現して、異なる帯域通過フィルタがフィルタバンクから選択されるときの位相シフトを最小にするように構成されるスイッチマルチプレクサが必要になる。更に、先行技術においては、HB DF脚の高調波性能を向上させる機能を有するスイッチマルチプレクサが必要になる。更に詳細には、先行技術においては、システムに組み込まれるスイッチ群が、フィルタリングされない不所望の高調波成分を付加するように動作することがないスイッチマルチプレクサが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が提供するのは、或る周波数範囲で動作するように構成され、かつ送信機からの入力信号の高調波成分を除去して安定した出力インピーダンスを周波数範囲に渡って生成するように特に適合させたスイッチマルチプレクサである。
【0007】
最も広い構成として、スイッチマルチプレクサは送信スイッチと、互いに並列に接続されるバンク型ダイプレクサと、バンク型ダイプレクサに接続されるパワーコンバイナと、を備える。スイッチマルチプレクサは特に、各信号経路がfmin〜fmaxの周波数範囲内のサブオクターブ周波数を対象とする多数の信号経路を組み合わせるように構成される。周波数範囲の下限周波数はfminで表わされる。周波数範囲の上限周波数はfmaxで表わされる。スイッチマルチプレクサは、送信機からの既知の入力信号の高調波成分を除去して、安定した出力インピーダンスを周波数範囲全体に渡って生成するように構成される。
【0008】
送信スイッチは入力信号を受信し、送信信号を入力信号に応答して経路を決めて送信する。バンク型ダイプレクサは互いに並列に接続され、これらのダイプレクサの各ダイプレクサは、これもまた互いに並列に接続される信号経路ペアにより構成される。バンク型ダイプレクサに形成される信号経路の数は式n=[log(fmax/fmin)]/[log2]によって近似される。nの解を求めた後、信号経路の数は最終的に、個数nの端数を切り上げてnを直近の偶数にすることにより求めることができる。
【0009】
周波数範囲が2〜18GHzである例示としての実施形態では、上記公式によって決定され、かつ値の端数を切り上げて値を直近の偶数にして求めた信号経路の必要数は4個の信号経路である。この構成では、スイッチマルチプレクサは送信スイッチと、第2ダイプレクサに並列に接続される第1ダイプレクサと、第1及び第2ダイプレクサに接続されるパワーコンバイナと、を備える。第1ダイプレクサは、第2信号経路に並列に接続され、第1ダイプレクサ抵抗減衰器で終端する第1信号経路を含む。第2ダイプレクサは、互いに並列に接続される第3及び第4信号経路により構成される。第1、第2、第3、及び第4信号経路は、第1、第2、第3、及び第4スイッチの個々のスイッチを含む。
【0010】
送信機をスイッチマルチプレクサに組み込むことができ、かつ送信機は入力信号を生成して送信スイッチに送信して、送信スイッチの共通ポートで受信されるように構成することができる。送信スイッチは入力信号を送信機から受信し、送信信号を入力信号に応答して生成するように構成される。送信スイッチは送信信号を、4つの利用可能な出力のうちの一つの出力に振り向け、かつ送信スイッチは共通ポートを送信スイッチの4つの出力のうちの一つの出力に接続するように構成される。
【0011】
第1ダイプレクサの第1信号経路は第1スイッチを含み、第1スイッチは第1フィルタに第1信号経路高域通過フィルタ(HPF)によって相互接続される。第1フィルタは約6〜10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。同様に、第2信号経路は第2スイッチを含み、第2スイッチは第2フィルタに第2信号経路低域通過フィルタ(LPF)によって相互接続される。第2フィルタは約2〜3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第3信号経路は第3スイッチを含み、第3スイッチは第3フィルタ、第3信号経路抵抗減衰器、及び第3信号経路LPFに連続して接続される。第3フィルタは約3.5〜6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第4信号経路は第4信号経路HPFに相互接続される第4スイッチを含む。
【0012】
第1、第2、第3、及び第4スイッチの各スイッチは送信信号を送信スイッチから入力端子で受信し、送信信号を第1信号経路HPF、第2信号経路LPF、第3信号経路抵抗減衰器、及び第4信号経路HPFの個々に渡す。送信信号は第1、第2、第3、及び第4スイッチの各スイッチの出力端子から供給される。
【0013】
送信機及び/又は送信スイッチは送信信号を制御するか、または送信信号を第1、第2、第3、及び第4スイッチのうちの適切な一つのスイッチに振り向けることができる。送信スイッチによって選択されない第1、第2、第3、及び第4スイッチのうちの残りのスイッチ群は、これらのスイッチの入力信号を抵抗性負荷で終端させる。抵抗終端を第1、第2、第3、及び第4スイッチのうちの少なくとも3つのスイッチに取り付けることにより、出力ピンから眺めたときに分かるように、安定した出力インピーダンスが、信号経路フィルタ群のうちの特定の一つのフィルタが受け持つ周波数帯域(例えば、2.0〜3.5GHz)に渡って得られる。更に詳細には、第1、第2、第3、及び第4フィルタの各フィルタに良好な50オーム終端を形成するか、または実際に50Ω終端抵抗を送信機自体に取り付ける。このような抵抗終端を行なうことにより、第1、第2、第3、及び第4フィルタの出力インピーダンスの各出力インピーダンスを安定させ、従ってスイッチマルチプレクサの出力インピーダンスを安定させることができる。
【0014】
第1、第2、及び第3フィルタの各フィルタは、対応する特定のフィルタの通過帯域(例えば、2.0〜3.5GHz)内の送信信号の所望部分を通過させるか、または伝達する。更に、第1、第2、及び第3フィルタの各フィルタは、特定の通過帯域に含まれない信号成分(例えば、<2.0GHz、>3.5GHz)の通過も阻止するので、第1、第2、及び第3フィルタの各フィルタは通過帯域内における通過素子として、かつ反射素子としても見なすことができる。第1、第2、及び第3フィルタの各フィルタはいずれも、抵抗体(または送信機の出力インピーダンス)で終端するので、非反射成分がマルチオクターブ周波数帯域の全ての部分に含まれ、従ってこれらの非反射成分はパワーコンバイナの出力ピンに供給される。
【0015】
第1ダイプレクサ及び第2ダイプレクサは、標準の周波数帯域を第1、第2、第3、及び第4フィルタの通過帯域の個々の通過帯域に対して最小損失(例えば、<1dB)で合成する。このように構成することによって、広帯域コンバイナに関連する3dB以上の損失を回避する。更に、第1及び第2ダイプレクサを配置することによって、通過阻止帯域(すなわち、通過帯域外)におけるフィルタインピーダンスの乱れを防止することができる。組み合わされることにより第1及び第2ダイプレクサの各々を構成する信号経路群の両方に非隣接周波数範囲(例えば、2〜3.5GHz及び6〜10.4GHz)を割り当て、「ギャップ」(例えば、3.5〜6GHz)を形成して、実現可能なダイプレクサを、クロスオーバーポイント(例えば、4GHz)が「ギャップ」内に設定されるように設計できるようにする。
【0016】
第1信号経路HPF及び第2信号経路LPFの各々は、約4GHzで動作する。同様に、第3信号経路LPF及び第4信号経路HPFの各々は、約8GHzで動作する。第1ダイプレクサは、約2.0〜約3.5GHzの周波数範囲、及び約6.0〜約10.4GHzの周波数範囲を通過させる通過経路をそれぞれ形成する。これにより、第1ダイプレクサでは、第1及び第2信号経路の周波数帯域内の損失がほぼゼロとなり、かつ反射インピーダンスが第1及び第2信号経路の帯域外に設定される。同様に、第2ダイプレクサは、約3.5〜約6.0GHzの周波数範囲、及び約10.4〜約18.0GHzの周波数範囲を通過させる通過経路をそれぞれ形成する。第2ダイプレクサにおいても、第3及び第4信号経路の周波数帯域内の損失がほぼゼロとなり、かつ反射インピーダンスが第3及び第4信号経路の帯域外に設定される。
【0017】
第1ダイプレクサは第1ダイプレクサ抵抗減衰器を含み、この減衰器は第1及び第2信号経路を互いに接続し、かつ第1ダイプレクサによって生成されるダイプレックスさせた信号を3dBだけ減衰させて、通過帯域の外の周波数(例えば、3.5〜6.0GHz及び>10.4GHz)における第1及び第2信号経路フィルタペアによる反射を小さくする。同様に、第3信号経路の抵抗減衰器は、フィルタリング済み信号を3dBだけ減衰させて、第3信号経路の通過帯域外の周波数(例えば、<3.5GHz,>6GHz)における第3フィルタによる反射を小さくする。
【0018】
パワーコンバイナは第1及び第2ダイプレクサの各々から受信する入力を合計し、マルチオクターブ出力(例えば、2.0〜18GHz)をパワーコンバイナの出力ピンで生成して、パワーコンバイナを通過する際の公称電力損失が約3dBになるようにする。このようにして、出力インピーダンスの測定値は、第1、第2、第3、または第4信号経路のうちのどの信号経路が送信スイッチによって選択されるかに関係なく、約2.0〜約18GHzの範囲でほぼ一定になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明を例示するために、かつ本発明を制限しないように提示される図を参照すると、固有に構成されるスイッチマルチプレクサ10が設けられ、スイッチマルチプレクサ10は、fmin〜fmaxの周波数範囲で動作し、かつ送信機12が出す入力信号14の高調波成分を除去して、安定した出力インピーダンスを周波数範囲に渡って生成するように構成される。
【0020】
最も広い思想として、スイッチマルチプレクサ10は送信スイッチ16と、互いに並列に接続されるバンク型ダイプレクサ(bank of diplexers)と、バンク型ダイプレクサに接続されるパワーコンバイナ62と、を備える。スイッチマルチプレクサ10は特に、多数の信号経路76を組み合わせるように構成され、各経路はfmin〜fmaxの周波数範囲内の一つのサブオクターブ周波数を通過させる役割を担う。周波数範囲の下限はfminにより表わされる。周波数範囲の上限はfmaxにより表わされる。スイッチマルチプレクサ10は、送信機12が出す既知の入力信号14の高調波成分を除去して、安定した出力インピーダンスを周波数範囲全体に渡って生成するように構成される。送信スイッチ16は入力信号14を受信し、送信信号18を入力信号14に従って生成する。バンク型ダイプレクサは互いに並列に接続され、これらのダイプレクサの各ダイプレクサもまた、互いに並列に接続される信号経路76ペアにより構成される。
【0021】
バンク型ダイプレクサに設けられる信号経路76の数は、式:n=[log(fmax/fmin)]/[log2]によってほぼ決定される。nの解を求めた後、信号経路76の数は、最終的に、個数nの端数を切り上げてnを直近の偶数にすることにより決定される。例えば、周波数範囲が2〜50GHzである場合、fminは2GHzに等しく、fmaxは50GHzに等しい。上に挙げた公式を適用すると、文字“n”で表わされる信号経路76の数は[log(50/2)]/[log2]に等しく、この値は4.64に等しい。値nの端数を切り上げて、そのまま直近の偶数にすると、6個の信号経路76が2〜50GHzの周波数範囲に関して必要になる。
【0022】
これらの信号経路76の各信号経路は、スイッチ80と、低域通過フィルタ82及び高域通過フィルタ84のうちの一方によって相互接続される信号経路フィルタ78と、を含む。スイッチマルチプレクサ10では、最高の通過帯域の信号を対象とする信号経路76から信号経路フィルタ78を無くすか、または省略することができる。しかしながら、このような信号経路フィルタ78は任意に信号経路76に必要に応じて設けることができる。ダイプレクサ群の各ダイプレクサにおける信号経路群76の各信号経路は、スイッチ80と、低域通過フィルタ82によって相互接続される信号経路フィルタ78と、を含み、ダイプレクサ群の信号経路群76の他方の信号経路は、スイッチ80と、高域通過フィルタ84によって相互接続される信号経路フィルタ78と、を含む。
【0023】
信号経路フィルタ群78の通過帯域は、等比数列に従って構成されて、これらの通過帯域がfmin〜fmaxの周波数範囲全体を含むようにする。更に詳細には、信号経路フィルタ群78の通過帯域は、最低通過帯域を第1信号経路34に割り当て、次に高い通過帯域を次の信号経路76に割り当て、同様の割り当てを信号経路群76の最後のn番目の信号経路に対して行なうことにより構成されて、これらの通過帯域が周波数範囲全体を含むようにする。各通過帯域は、当該通過帯域の次に低い通過帯域の帯域幅の約2倍に等しい帯域幅を有することが好ましい。周波数範囲が2〜50GHzである場合、6個の個別の信号経路76をスイッチマルチプレクサ10に設ける必要がある。各ダイプレクサは信号経路ペア76を含むので、2〜50GHzの周波数範囲のスイッチマルチプレクサ10は3個のダイプレクサを含むことになる。
【0024】
周波数範囲が2〜50GHzである場合における信号経路群76の通過帯域の等比数列に従った例示としての構成では、最低通過帯域は約2〜3.5GHzの範囲とし、第2通過帯域は約3.5〜6.0GHzの範囲とし、第3信号経路38は約6.0〜10.4GHzの範囲とし、第4信号経路40は約10.4〜18.0GHzの範囲とし、第5通過帯域は約18.0〜30.0GHzの範囲とし、第6及び最終通過帯域信号経路は約30.0〜約50.0GHzの範囲の通過帯域を持つことができる。
【0025】
更に、直前に記載した実施例におけるように、信号経路群76の通過帯域を互いに隣接させることができる。別の構成として、これらの通過帯域の周波数を重ならせることができる。通過帯域を2〜50GHzの周波数範囲において重ならせる実施例では、最低通過帯域を2〜4.7GHzとすることができ、第2通過帯域に4.3〜9.5GHzの範囲の周波数を割り当てて4.3GHz〜4.7GHzがこれらの通過帯域の間で重なるようにすることができる。更に、ダイプレクサ群の各ダイプレクサに割り当てられる信号経路ペア76は、周波数ギャップがペアの信号経路フィルタ78のそれぞれの信号経路フィルタの通過帯域の間に形成されるように選択されることが好ましい。
【0026】
例えば、第1ダイプレクサ20は、最低通過帯域を持つ信号経路76と、第4通過帯域を持つ信号経路76と、を含むことができる。周波数範囲が2〜50GHzである場合、第1ダイプレクサ20では、第1信号経路76(2〜3.5GHzの範囲で動作する)を第4信号経路40(10.4〜18.0GHzの範囲で動作する)と組み合わせることができる。同様に、3.5〜6.0GHzの範囲で動作する第2信号経路36は18.0〜30.0GHzの範囲で動作する第5信号経路と組み合わせることができる。最後に、6.0〜10.4GHzの範囲で動作する第3信号経路38は30.0〜50.0GHzの範囲で動作する第6信号経路と組み合わせることができる。しかしながら、ダイプレクサ群の各ダイプレクサの信号経路群76は、ギャップが信号経路ペア76の通過帯域の周波数範囲の間に形成される場合には、どのような方法でも組み合わせることができると考えられる。
【0027】
低域通過フィルタ82及び高域通過フィルタ84の各々では、コーナー周波数が複数のペアの各ペアの信号経路群76の通過帯域の間の周波数ギャップに位置するように設定されることが好ましい。例えば、周波数範囲が2〜50GHzであり、第1信号経路34(すなわち、2〜3.5GHzの範囲を持つ)を第4信号経路40(すなわち、10.4〜18GHzの範囲で動作する)と組み合わせる場合、3.5〜10.4GHzのギャップが第1通過帯域と第4通過帯域との間に形成される。従って、第1信号経路34及び第4信号経路40のそれぞれの信号経路に設けられる低域通過フィルタ及び高域通過フィルタ84の各々のコーナー周波数は約3.5〜10.4GHzの範囲内に設定されることが好ましい。更に詳細には、第1ダイプレクサにおける低域通過フィルタ82及び高域通過フィルタ84の周波数は約7GHzであることが好ましい。
【0028】
ダイプレクサ群の各ダイプレクサ(最高通過帯域を持つ信号経路76を含むダイプレクサを除く)は抵抗減衰器86で終端することが好ましい。周波数範囲が2〜50GHzである場合、6個の信号経路76及び3個のダイプレクサが必要になる。好適には、相対的に低い通過帯域で動作する第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22は、抵抗減衰器86によって終端される。最高帯域動作信号経路を含むダイプレクサでは、抵抗減衰器86を省略し、その代わり、抵抗減衰器86を最高通過帯域で動作する信号経路76の信号経路フィルタ78と低域通過フィルタ82との間に挿入する。好適には、抵抗減衰器86の公称減衰量は3dBであるが、抵抗減衰器はいずれの値で動作するようにも構成することができる。
【0029】
上述したように、スイッチマルチプレクサ10はパワーコンバイナ62を含み、パワーコンバイナはダイプレクサ群の各々に接続され、かつダイプレクサ群から受信する入力を合計し、合計した入力に従って、十分に安定したマルチオクターブ出力インピーダンス信号を生成するように構成される。送信機12をスイッチマルチプレクサ10に組み込むことができ、送信機12は入力信号14を生成して送信スイッチ16に送信するように構成することができる。送信スイッチ16は、送信信号18を、上に挙げた公式に従う必要のある信号経路76の数に等しい数の複数の出力のうちの一つの出力に振り向けるように構成することが好ましい。周波数範囲が2〜50GHzである場合、送信スイッチ16は単極6投スイッチとして構成することができる。
【0030】
信号経路群76のそれぞれの信号経路のスイッチ群の各スイッチは、送信信号18を当該スイッチの入力端子で、送信スイッチ16から受信する。これらのスイッチは送信信号18を、信号経路76の高域通過フィルタ84、信号経路76の低域通過フィルタ82、または抵抗減衰器86の個々に渡すように構成される。送信機12及び/又は送信スイッチ16は、送信信号18を制御するか、または送信信号18をスイッチ群80のうちの適切な一つのスイッチに振り向ける。次に、送信スイッチ16によって選択されないスイッチ群80のうちの残りのスイッチ群は、これらのスイッチの入力信号14を抵抗性負荷で終端させる。これにより、パワーコンバイナ62から見たときに分かるように、安定した出力インピーダンスが、信号経路のフィルタ群78のうちの特定の一つのフィルタが受け持つ周波数帯域に渡って得られる。例えば、信号経路フィルタ群78の各信号経路フィルタを50オームで終端させる形で設けるか、または実際に50オームの抵抗を送信機12自体に組み込む。このように抵抗で終端させることにより、信号経路フィルタ群の出力インピーダンスの各出力インピーダンスを安定させることができるので、スイッチマルチプレクサ10の出力インピーダンスが安定する。
【0031】
信号経路フィルタ群78の各信号経路フィルタは、送信信号18の内、当該特定の信号経路フィルタ78の通過帯域内の所望部分を通過させるか、または伝達する。また、信号経路フィルタ群78の各信号経路フィルタは、更に、特定通過帯域外の信号成分の通過を阻止するので、信号経路フィルタ群78の各信号経路フィルタを通過帯域内での通過素子として、更に反射素子として見なすことができる。抵抗終端を用いるので、非反射成分がマルチオクターブ周波数帯域の全ての部分に含まれることになり、これらの非反射成分が次にパワーコンバイナ62に供給される。ダイプレクサ群の各ダイプレクサが標準の周波数帯域群を、信号経路フィルタ群の通過帯域のそれぞれの通過帯域の損失が最小になるように合成することにより、通常、広帯域コンバイナに関連する3dB以上の損失を回避する。この構成によって更に、通過阻止帯域におけるフィルタインピーダンスの乱れを防止する。既に述べたように、スイッチマルチプレクサ10の信号経路群76を組み合わせて、各ダイプレクサに非隣接周波数範囲が割り当てられるようにダイプレクサ群の各々を構成し、周波数ギャップによって、クロスオーバーポイントが周波数ギャップ内に設定されるように実現可能なダイプレクサを設計できるようにする。
【0032】
ダイプレクサ群の個々のダイプレクサの低域通過フィルタ82及び高域通過フィルタ84の各々は、周波数ギャップ内の或る周波数で動作する。例えば、スイッチマルチプレクサ10が2〜50GHzの周波数範囲内で動作し、かつ第1ダイプレクサ20が信号経路76(2〜3.5GHzで動作する)及び第4信号経路36(10.4〜18GHzで動作する)により構成される場合においては、高域通過フィルタ84及び低域通過フィルタ82は約7GHzに設定されることが好ましい。同様に、第2ダイプレクサ22が上述の構成を有する場合、第2信号経路36(3.5〜6.0GHzで動作する)を第5信号経路36(18.0〜30.0GHzで動作する)と対で設けるか、または第5信号経路36と組み合わせることができ、この場合、所望の周波数ギャップは6.0〜18.0GHzであるので、このようなダイプレクサの高域通過フィルタ84及び低域通過フィルタ82は約12GHzで動作することが好ましい。
【0033】
最後に、上述のスイッチマルチプレクサ10が2〜50GHzの周波数範囲で動作し、かつ第3ダイプレクサが第3信号経路38(6.0〜10.4GHzで動作する)及び第6信号経路(30.0〜50.0GHzで動作する)を含む場合、低域通過フィルタ82及び高域通過フィルタ84の好適な動作周波数は約20GHzである。このようにして、第1ダイプレクサ20は約2〜3.5GHz及び約10.4〜18.0GHzそれぞれの周波数範囲を通過させる通過経路を形成する。これにより、第1ダイプレクサ20では、損失が第1信号経路34及び第4信号経路40の周波数帯域内でほぼゼロになり、かつ反射インピーダンスが第1信号経路34及び第4信号経路40の帯域外に設定される。
【0034】
同様に、第2ダイプレクサ22は約3.5〜6.0GHz及び約18.0〜30.0GHzそれぞれの周波数範囲を通過させる通過経路を形成する。第2ダイプレクサ22ではまた、損失が第2信号経路及び第5信号経路の周波数帯域内でほぼゼロになり、かつ反射インピーダンスが第2信号経路及び第5信号経路の帯域外に設定される。同様に、第3ダイプレクサでは、損失が第3信号経路及び第6信号経路の周波数帯域内でほぼゼロになり、かつ反射インピーダンスが第3信号経路及び第6信号経路の帯域外に設定される。第3ダイプレクサは約6.0〜10.4GHz及び約30.0〜50.0GHzそれぞれの周波数範囲を通過させる通過経路を形成する。前述したように、最高通過帯域に対応する信号経路76を含むダイプレクサを除くダイプレクサ群の各々は、抵抗性コンバイナ86で終端する。
【0035】
周波数範囲が2〜50GHzである場合、第1ダイプレクサ20は抵抗減衰器86を含み、この抵抗減衰器は、第1信号経路34及び第4信号経路40を互いに接続し、かつ第1ダイプレクサ20によって生成されるダイプレックス信号(diplexed signal)を約3dBだけ減衰させて、第1及び第4信号経路フィルタペアによる通過帯域外の周波数(例えば、2〜3.5GHz、>10.4〜18.0GHz)での反射を小さくする。同様に、第2ダイプレクサ22は抵抗減衰器86を含み、この抵抗減衰器は、第2及び第5信号経路を互いに接続し、かつ第2ダイプレクサ22によって生成されるダイプレックス信号を約3dBだけ減衰させて、この場合もまた、第2及び第5信号経路フィルタペアによる通過帯域外の周波数(例えば、3.5〜6.0GHz、>18.0〜30.0GHz)での反射を小さくする。第5信号経路の抵抗減衰器86は、フィルタ処理済み信号を約3dBだけ減衰させて、信号経路フィルタ78による当該フィルタの通過帯域外の周波数(例えば、6.0〜10.4GHz)での反射を小さくする。第6信号経路には必ず信号経路フィルタ78が必要であるという訳ではないので、第5信号経路が抵抗減衰器86を含むことができ、この抵抗減衰器を、低域通過フィルタ82及び高域通過フィルタ84により構成される第3ダイプレクサの手前に挿入して、第6信号経路に供給される電力の不要な損失を防止するようにしてもよい。
【0036】
上述の実施形態では、スイッチマルチプレクサ10が6個の信号経路を含み、かつ2〜50GHzの範囲で動作する場合について説明したが、スイッチマルチプレクサ10に、入力信号14を任意の周波数範囲でフィルタリングするように構成される、任意の偶数の個数の信号経路を設けることが考えられる。この構成を実現するために、送信スイッチ16は入力信号14を適切に受信し、送信信号を当該入力信号に従って生成してこれらの信号経路のうちの適切な一つの信号経路に送出することができる。同様に、パワーコンバイナ62は、効率的に入力信号14をフィルタリングし、かつ十分安定したマルチオクターブ入力インピーダンス信号を入力信号14に従って生成するために必要な数の信号経路を補償するように構成することが好ましい。この点に関して、パワーコンバイナ62は、スイッチマルチプレクサ10に設ける多数のダイプレクサを補償する3ウェイパワーコンバイナ(three−way power combiner)として構成することができる。この点に関して、パワーコンバイナ62は、4個のダイプレクサを設ける場合の4ウェイパワーコンバイナとして構成することができ、これらの個数以外の個数のダイプレクサを設ける場合も同様に構成することができる。
【0037】
図2を参照すると、本発明のスイッチマルチプレクサ10が例示としての実施形態として示され、この実施形態のスイッチマルチプレクサは送信スイッチ16と、第2ダイプレクサに並列に接続される第1ダイプレクサ20と、第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22に接続されるパワーコンバイナ62と、を備える。第1ダイプレクサ20は第2信号経路36に並列に接続される第1信号経路34を含む。第1ダイプレクサ20の第1信号経路34及び第2信号経路36は、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50によって終端される。同様に、第2ダイプレクサ22は、互いに並列に接続される第3信号経路38及び第4信号経路40により構成される。第1信号経路34は第1スイッチ24を含む。同様に、第2信号経路36は第2スイッチ26を含む。同じようにして、第3信号経路38及び第4信号経路40は、第3スイッチ28及び第4スイッチ30の個々のスイッチを含む。
【0038】
以下の説明から明らかになることであるが、スイッチマルチプレクサ10は幾つかの技術及び構成要素を固有の手段で組み合わせ、この手段では、第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22を使用し、50Ω終端付きスイッチを組み込み、抵抗減衰器86を組み込み、更に広帯域コンバイナまたはパワーコンバイナ62を使用して、第1信号経路34、第2信号経路36、第3信号経路38、及び第4信号経路40のうちの異なる信号経路が選択されると、安定した出力インピーダンスを周波数範囲(例えば、2〜18GHz)全体に渡って生成する。有利なことに、このような構成によって、スイッチマルチプレクサ回路10に続く段に対して、スイッチ−フィルタースイッチ(SFS)回路を使用して得られる出力インピーダンスよりも、マルチオクターブ周波数帯域に渡ってずっと安定した出力インピーダンスを設定することができる。前述したように、出力インピーダンスが安定する利点は、位相エラー及び振幅エラーが小さくなることであり、出力インピーダンスが安定しない場合には、これらのエラーはスイッチマルチプレクサ10の動作中に異なるフィルタを選択している間に生じる恐れがある。
【0039】
図2から分かるように、マルチオクターブ動作範囲(例えば、2〜18GHz)内の或る周波数で動作することができる送信機12をスイッチマルチプレクサ10に組み込むことができる。送信機12は入力信号14を生成して送信スイッチ16に送出するように構成される。送信機12は入力信号14を送信スイッチ16の共通ポートに送出し、この場合、入力信号14はサブオクターブである帯域幅を有する。図2では、送信スイッチ16の共通ポートは参照記号“C”で示される。
【0040】
送信スイッチ16は入力信号14を送信機12から受信し、送信信号18を入力信号14に従って生成するように構成される。図示の実施形態では、送信スイッチ16は送信信号18を、図2に参照番号1〜4で示す4つの使用可能な出力のうちの一つの出力に振り向ける。送信スイッチ16は種々の別の構造に構成することができ、これらの構造では、送信スイッチ16は単極4投(1P4T)スイッチ58として構成される。この点に関して、送信スイッチ16は機械式リレーとして、ダイオードとして、または他の任意の種々のスイッチング機構として構成することができる。送信スイッチ16は当該スイッチの特定の構成に関係なく、共通ポート“C”を、図2に送信スイッチ16の参照番号1〜4として示す4つの出力のうちの一つの出力に接続するように構成される。
【0041】
前述したように、スイッチマルチプレクサ10は第1ダイプレクサ20を含み、第1ダイプレクサ20は第2ダイプレクサ22に並列に接続される。第1ダイプレクサ20の第1信号経路34は第1スイッチ24を含み、第1スイッチは第1フィルタ66に第1信号経路高域通過フィルタ(HPF)42によって相互接続される。図2から分かるように、第1フィルタ66は、約6〜10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。同様に、第2信号経路36は第2スイッチ26を含み、第2スイッチは第2フィルタ68に第2信号経路低域通過フィルタ(LPF)44によって相互接続される。第2フィルタ68は、約2〜3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。
【0042】
第2ダイプレクサ22の構造では、第3信号経路38は第3スイッチ28を含み、第3スイッチは第3フィルタ70、第3信号経路抵抗減衰器52、及び第3信号経路LPF46に連続的に接続される。第3フィルタ70は、約3.5〜6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第4信号経路40は第4スイッチ30を含み、第4スイッチは第4信号経路HPF48に相互接続される。
【0043】
第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチは、図2に参照記号“1”で示すこれらのスイッチの個々の入力端子で送信信号18を送信スイッチ16から受信するように好ましくは構成される。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチは更に、送信信号18を、第1信号経路HPF42、第2信号経路LPF44、第3信号経路抵抗減衰器52、及び第4信号経路HPF48の個々に渡すように構成される。送信信号18は、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチの出力端子から供給され、これらのスイッチは単極2投(1P2T)スイッチ58として構成することができる。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチの出力端子は参照記号“C”で示される。
【0044】
第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30のうちの適切な一つのスイッチを選択する動作は、送信機12及び/又は送信スイッチ16に組み込まれる或る形態の高性能手段によって制御することができる。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30の内、送信スイッチ16または送信機12によって選択されない残りのスイッチ群は、これらのスイッチへの入力信号14を、これらのスイッチの各スイッチに示す端子“2”の抵抗性負荷または抵抗体32で終端させる。このような抵抗体は、送信機12が送信スイッチ16によって選択されるときに対応する同じスイッチのピン“1”で検出される終端をエミュレートする終端抵抗となる。第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30の各スイッチは単極2投(1P2T)スイッチ58として構成することが好ましい。
【0045】
終端抵抗または抵抗体32を、第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、第4スイッチ30のうちの少なくとも3つのスイッチに取り付けることにより、安定した出力インピーダンスが、模式図に示す出力ピン64から見たときに分かるように、信号経路フィルタのうちの特定の一つのフィルタが受け持つ周波数帯域(例えば、2.0〜3.5GHz)に渡って得られる。更に詳細には、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、及び第4フィルタ72の各フィルタに良好な50オーム終端を形成するか、または実際に50Ω終端抵抗を送信機12自体に取り付ける。このような抵抗終端を行なうことにより、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、及び第4フィルタ72の各フィルタの出力インピーダンスを安定させ、従ってスイッチマルチプレクサ10の出力インピーダンスを安定させることができる。
【0046】
第1フィルタ66、第2フィルタ68、及び第3フィルタ70の各フィルタは、送信信号18の内、対応する特定フィルタの通過帯域(例えば、2.0〜3.5GHz)に含まれる所望部分を通過させるか、または伝達する。また、第1フィルタ66、第2フィルタ68、及び第3フィルタ70の各フィルタは更に、特定通過帯域外(例えば、<2.0GHz、>3.5GHz)の信号成分(当該信号の高調波成分)の通過を阻止する。この点に関して、第1フィルタ66、第2フィルタ68、及び第3フィルタ70の各フィルタは、通過帯域内における通過素子(すなわち、非反射素子)として、かつ反射素子(すなわち、通過帯域外の)としても見なすことができる。第1フィルタ66、第2フィルタ68、及び第3フィルタ70の各フィルタは抵抗体によってそれぞれ終端されるか、または送信機12自体で終端されるので、非反射成分がマルチオクターブ周波数帯域の全ての部分に含まれ、従ってこれらの非反射成分が出力ピン64に供給される。
【0047】
ここで、第4信号経路40はフィルタを含む必要はないことに注目されたい。第4信号経路40は最高周波数帯域(例えば、10.4〜18.0GHz)で動作するので、当該経路における最低周波数の2倍高調波成分(例えば、10.4GHz×2=20.8GHz)は、パワーコンバイナ62によって減衰させることができるか、または送信機12の出力で減衰させることができる。しかしながら、第4フィルタ72を第4信号経路40の途中に配置して、第4フィルタ72が第4スイッチ30を第4信号経路HPF48に相互接続するようにしてもよい。第4フィルタ72を配置する場合、第4フィルタ72は約10.4〜約18.0GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。前述したように、第1フィルタ66は約6〜約10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第2フィルタ68は約2〜約3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。第3フィルタ70は約3.5〜約6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有することが好ましい。
【0048】
第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22は、標準の周波数帯域群を、第1フィルタ66、第2フィルタ68、第3フィルタ70、及び第4フィルタ72のそれぞれのフィルタに発生する損失が最小になる(例えば、<1dB)ように合成する回路を含む。このように構成することによって、広帯域コンバイナに関連する3dB以上の損失を回避する。更に、第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22を配置することによって、通過阻止帯域(すなわち、通過帯域外の)におけるフィルタインピーダンスの乱れを防止することができる。組み合わされることにより第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22の各々を構成する信号経路群76の両方に非隣接周波数範囲(例えば、2〜3.5GHz及び6〜10.4GHz)を割り当て、「ギャップ」(例えば、3.5〜6GHz)を形成して、クロスオーバーポイント(例えば、4GHz)が「ギャップ」内に設定されるように実現可能なダイプレクサを設計できるようにする。
【0049】
第1信号経路HPF42及び第2信号経路LPF44の各々は、約4GHzで動作するように構成される。同様に、第3信号経路LPF46及び第4信号経路HPF48の各々は、約8GHzで動作するように構成される。このようにして、第1信号経路HPF42及び第2信号経路LPF44によって構成される第1ダイプレクサ回路20では、第1信号経路34及び第2信号経路36を組み合わせて、約2.0〜約3.5GHz、及び約6.0〜約10.4GHzそれぞれの範囲を通過させる通過経路を形成する。これにより、第1ダイプレクサ20の第1信号経路34及び第2信号経路36では、第1信号経路34及び第2信号経路36の周波数帯域内の損失がほぼゼロとなり、かつ反射インピーダンスが第1信号経路34及び第2信号経路36の帯域外に設定される。
【0050】
同様に、第3信号経路LPF46及び第4信号経路HPF48によって構成される第2ダイプレクサ回路22では、第3信号経路38及び第4信号経路40を組み合わせて、約3.5〜約6.0GHz、及び約10.4〜約18.0GHzそれぞれの範囲を通過させる通過経路を形成する。第2ダイプレクサ22を構成する第3信号経路38及び第4信号経路40においても、第1信号経路34及び第2信号経路36の周波数帯域内の損失がほぼゼロとなり、かつ反射インピーダンスが第1信号経路34及び第2信号経路36の帯域外に設定される。
【0051】
図2から分かるように、第1ダイプレクサ20は第1ダイプレクサ抵抗減衰器50を含み、この減衰器は第1信号経路34及び第2信号経路36を互いに接続する。第1ダイプレクサ20によって生成されるダイプレックス信号を、第1ダイプレクサ抵抗減衰器50によって3dBだけ減衰させて、通過帯域外の周波数(例えば、3.5〜6.0GHz、及び>10.4GHz)における第1及び第2信号経路フィルタペアによる反射を小さくする。このように構成することにより、帯域内(例えば、2.0〜3.5GHz及び6.0〜10.4GHz)だけでなく、帯域外(例えば、3.5〜6.0GHz、及び>10.4GHz)の両方における十分に良好なインピーダンスがパワーコンバイナ62に接続されるので、パワーコンバイナ62は正しく、かつほんの一部の電力で動作する。十分に良好なインピーダンスをパワーコンバイナ62の入力端子に供給することにより、十分に良好な出力インピーダンスをパワーコンバイナ62の出力ピン64にも供給するように作用する。
【0052】
同様に、第3信号経路38では、第3信号経路抵抗減衰器52を第3信号経路に組み込むことができ、かつ抵抗減衰器52は、フィルタリング済み信号を3dBだけ減衰させて、第3信号経路における通過帯域外(例えば、<3.5GHz,>6GHz)での第3フィルタ70による反射を小さくする。第4信号経路40には第4フィルタ72が必要ではないので、第3信号経路抵抗減衰器52は、第3信号経路LPF46及び第4信号経路HPF48によって構成される第2ダイプレクサの手前に挿入することができ、これによって第4信号経路40に供給される電力の不要な損失を防止する。このような構成は、電力が一般的に高く付き、かつ約2GHzのような低周波数よりも相対的に高い周波数(例えば、18GHz)の電力を生成するのが難しいので特に有用である。
【0053】
図2に示すパワーコンバイナ62は2ウェイパワーコンバイナ62として構成することができ、2ウェイパワーコンバイナは約2GHz〜約18GHzの範囲で動作するように構成され、かつ第1ダイプレクサ20及び第2ダイプレクサ22の各々から、参照番号“1”及び“2”で示すパワーコンバイナ62の端子群のそれぞれの端子で受信する入力を合計するように構成される。このような構成により、マルチオクターブ出力(例えば、2.0〜18GHz)が出力ピン64で生成される。パワーコンバイナ62を通過するときの公称電力損失は約3dBである。スイッチマルチプレクサ回路10を出力ピン64から当該回路の方向に眺めると、第1信号経路34、第2信号経路36、第3信号経路38、または第4信号経路40のうちのいずれが送信スイッチ16によって選択されるかどうかに関係なく、出力インピーダンスの測定値は約2GHz〜約18GHzの範囲でほぼ一定である。
【0054】
第1スイッチ24、第2スイッチ26、第3スイッチ28、及び第4スイッチ30の各々の抵抗体によって供給される負荷インピーダンスだけでなく、送信機12によって供給される負荷インピーダンスも安定するので、第1ダイプレクサ20では、第1信号経路34及び第2信号経路36を、通過帯域内でほとんど反射を生じることなく組み合わせることができる。第1ダイプレクサ抵抗減衰器50は2ウェイパワーコンバイナ62の電力平衡を実現する。また、第2ダイプレクサ22及び第3信号経路抵抗減衰器52によって、パワーコンバイナ62の出力ピン64での電力合成損失を均一化し、かつ出力インピーダンスを十分良好に保ち易くなる。
【0055】
更に別の変更及び改善も加え得ることはこの技術分野の当業者であれば明らかであろう。従って、本明細書に記載し、例示した構成要素群の特定の組み合わせは、本発明の所定の実施形態を表わすに過ぎず、かつ本発明の技術思想及び技術範囲に包含される別の装置に対する制約とはならない。より多くの隣接するサブオクターブ周波数経路を組み合わせて、4つの信号経路を参照しながらここに例示した同じ技術をそのまま適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】スイッチ−フィルタ−スイッチシステムとして構成される先行技術によるスイッチフィルタまたはスイッチマルチプレクサを模式的に示すブロック図である。
【図2】送信スイッチ、第2ダイプレクサと並列に接続される第1ダイプレクサ、およびパワーコンバイナを備える本発明のスイッチマルチプレクサの例示としての実施形態の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各信号経路が或る周波数範囲内のサブオクターブ周波数を対象とする或る数の信号経路を組み合わせるように構成されるスイッチマルチプレクサであって、スイッチマルチプレクサは送信機からの入力信号の高調波成分を除去して安定した出力インピーダンスをfmin〜fmaxの周波数範囲に渡って生成するように構成され、スイッチマルチプレクサは、
入力信号を受信し、送信信号を入力信号に応答して生成するように構成される送信スイッチと、
互いに並列に接続される複数のダイプレクサとを備え、該複数のダイプレクサの各一つのダイプレクサは、互いに並列に接続される非隣接信号経路ペアにより構成され、各一つのダイプレクサは、最高通過帯域を対象とする信号経路を含むダイプレクサを除いて、抵抗減衰器で終端し、
信号経路の数は式n=[log(fmax/fmin)]/[log2]によって決定され、ここで、nは、切り上げられて直近の偶数となっており、
各一つの信号経路はスイッチと、低域通過フィルタ及び高域通過フィルタのうちの一方によって相互接続される信号経路フィルタとを含み、最高通過帯域を対象とする信号経路には信号経路フィルタを設けず、
前記信号経路フィルタの通過帯域は、最低通過帯域を第1信号経路に割り当て、その次に高い通過帯域を次の信号経路に割り当て、この割り当てが第n信号経路までなされ、各通過帯域は、当該通過帯域よりも次に低い通過帯域の帯域幅の約2倍に等しい帯域幅を有し、
前記複数のダイプレクサの各一つのダイプレクサに割り当てられる非隣接信号経路ペアは、周波数ギャップが前記ペアの信号経路フィルタの通過帯域の間に形成されるように選択され、
前記低域通過フィルタ及び前記高域通過フィルタの各一つの通過フィルタは、前記ペアの信号経路フィルタの通過帯域の周波数ギャップに配置されたコーナー周波数を有し、
パワーコンバイナが前記複数のダイプレクサに接続され、該パワーコンバイナは前記複数のダイプレクサから受信する入力を合計し、該合計した入力に応答して実質的に安定したマルチオクターブ出力インピーダンス信号を生成するように構成される、スイッチマルチプレクサ。
【請求項2】
前記複数の信号経路フィルタの通過帯域は互いに隣接する、請求項1記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項3】
前記複数の信号経路フィルタの通過帯域は互いに重なり合う、請求項1記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項4】
各信号経路が約2〜約18GHzの周波数範囲内のサブオクターブ周波数を対象とする第1、第2、第3、及び第4信号経路を組み合わせ、かつ送信機からの入力信号の高調波成分を除去して安定した出力インピーダンスを前記周波数範囲に渡って生成するように構成されるスイッチマルチプレクサであって、スイッチマルチプレクサは、
入力信号を受信し、送信信号を入力信号に応答して生成するように構成される送信スイッチと、
第2ダイプレクサに並列に接続される第1ダイプレクサと、を備え、前記第1ダイプレクサは、互いに並列に接続される第1及び第2信号経路により構成され、かつ第1ダイプレクサ抵抗減衰器で終端し、前記第2ダイプレクサは、並列に接続される第3及び第4信号経路により構成され、
前記第1信号経路は、第1信号経路高域通過フィルタに第1フィルタによって相互接続される第1スイッチを含み、前記第1フィルタは約6〜約10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、
前記第2信号経路は、第2信号経路低域通過フィルタに第2フィルタによって相互接続される第2スイッチを含み、前記第2フィルタは約2〜約3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、
前記第3信号経路は、第3フィルタ、第3信号経路抵抗減衰器、及び第3信号経路高域通過フィルタに連続して接続される第3スイッチを含み、前記第3フィルタは約3.5〜約6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、
前記第4信号経路は、第4信号経路高域通過フィルタに相互接続される第4スイッチを含み、
パワーコンバイナが前記第1及び第2ダイプレクサに接続され、該パワーコンバイナは、前記第1及び第2ダイプレクサから受信する入力を合計し、該合計した入力に応答して実質的に安定したマルチオクターブ出力インピーダンス信号を生成するように構成される、スイッチマルチプレクサ。
【請求項5】
前記第1、第2、第3、及び第4スイッチのうちの少なくとも一つのスイッチは、約50オームで終端する少なくとも一つのポートを有する単極2投スイッチとして構成される、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項6】
前記第1ダイプレクサ抵抗減衰器及び前記第3信号経路抵抗減衰器の各々は、約3dBの抵抗値を有する、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項7】
前記第1信号経路高域通過フィルタ及び前記第2信号経路低域通過フィルタの各通過帯域フィルタは、約4GHzで動作するように構成される、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項8】
前記第3信号経路低域通過フィルタ及び前記第4信号経路高域通過フィルタの各通過帯域フィルタは、約8GHzで動作するように構成される、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項9】
前記第4信号経路は、前記第4スイッチを前記第4信号経路高域通過フィルタに相互接続する第4フィルタを含み、該第4フィルタは約10.4〜約18GHzの範囲をフィルタリングする機能を有する、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項10】
前記送信スイッチは単極4投スイッチとして構成される、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項11】
前記送信スイッチは、機械式リレーとして構成されるスイッチング機構を含む、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項12】
前記スイッチング機構はダイオードとして構成される、請求項11記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項13】
2ウェイパワーコンバイナは約2〜約18GHzの範囲で動作するように構成される、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項14】
入力信号を生成して送信スイッチに送出するように構成される送信機を備える、請求項4記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項15】
請求項1記載のスイッチマルチプレクサを使用して、送信機からの高調波成分をfmin〜fmaxの周波数範囲を有する入力信号から除去し、安定した出力インピーダンスを前記周波数範囲に渡って生成する方法であって、前記方法は、
(a)入力信号を送信スイッチで受信し、送信信号を入力信号に応答して生成するステップと、
(b)送信信号を送信するために前記複数の信号経路のうちの一つの信号経路を選択するステップと、
(c)前記複数の信号経路のうちの非選択信号経路群の信号経路スイッチ群の各一つの信号経路スイッチの抵抗性負荷で送信信号を終端させるステップと、
(d)前記スイッチ群から選択される一つのスイッチから前記高域通過フィルタ群の個々の一つの高域通過フィルタに送信信号を渡すステップと、
(e)送信信号の内、高域通過フィルタ群の通過帯域外の部分をフィルタリング除去するステップと、
(f)前記複数のダイプレクサから受信する入力をパワーコンバイナで合計するステップと、
(g)前記パワーコンバイナで合計した入力に応答してインピーダンス信号を生成するステップと、を備える、方法。
【請求項16】
ステップ(b)において、信号経路フィルタ群の通過帯域は互いに隣接する、請求項15記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項17】
ステップ(b)において、信号経路フィルタ群の通過帯域は互いに重なり合う、請求項15記載のスイッチマルチプレクサ。
【請求項18】
送信機からの高調波成分を約2〜約18GHzの周波数範囲を有する入力信号から除去し、安定した出力インピーダンスを前記周波数範囲に渡ってスイッチマルチプレクサを使用して生成する方法であって、前記スイッチマルチプレクサは、第2ダイプレクサに並列に接続され、かつパワーコンバイナで終端する第1ダイプレクサを備え、該第1ダイプレクサは、互いに並列に接続される第1及び第2信号経路により構成され、かつ第1ダイプレクサ抵抗減衰器で終端し、前記第2ダイプレクサは、並列に接続される第3及び第4信号経路により構成され、前記第1、第2、第3、及び第4信号経路の各々は、スイッチマルチプレクサが動作する周波数範囲のサブオクターブ周波数を対象とするように構成され、前記方法は、
(a)入力信号を送信スイッチで受信し、送信信号を入力信号に応答して生成するステップと、
(b)送信信号を送信するために前記第1、第2、第3、及び第4信号経路のうちの一つの信号経路を選択するステップであって、前記第1信号経路は第1信号経路高域通過フィルタに第1フィルタによって相互接続される第1スイッチを含み、前記第1フィルタは約6〜約10.4GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、前記第2信号経路は第2信号経路低域通過フィルタに第2フィルタによって相互接続される第2スイッチを含み、前記第2フィルタは約2〜約3.5GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、前記第3信号経路は第3フィルタ、第3信号経路抵抗減衰器、及び第3信号経路高域通過フィルタに連続して接続される第3スイッチを含み、前記第3フィルタは約3.5〜約6GHzの範囲をフィルタリングする機能を有し、前記第4信号経路は第4信号経路高域通過フィルタに相互接続される第4スイッチを含む、前記一つの信号経路を選択するステップと、
(c)送信信号を前記第1、第2、第3、及び第4信号経路のうちの非選択信号経路群の第1、第2、第3、及び第4スイッチの各一つのスイッチの抵抗性負荷で終端させるステップと、
(d)送信信号を、前記第1、第2、第3、及び第4スイッチから選択される一つのスイッチから、前記第1、第2、第3、及び第4信号経路高域通過フィルタの個々の通過フィルタに渡すステップと、
(e)送信信号の内、前記第1、第2、第3、及び第4信号経路高域通過フィルタの通過帯域外の部分をフィルタリング除去するステップと、
(f)前記第1及び第2ダイプレクサから受信する入力をパワーコンバイナで合計するステップと、
(g)出力信号をパワーコンバイナで合計した入力に応答して生成するステップと、を備える、方法。
【請求項19】
ステップ(b)において、前記第1、第2、第3、及び第4スイッチのうちの少なくとも一つのスイッチは、抵抗性負荷で終端する少なくとも一つのポートを有する単極2投スイッチとして構成される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ステップ(c)において、前記抵抗性負荷は約50オームである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
ステップ(b)において、前記第1ダイプレクサ抵抗減衰器及び前記第3信号経路抵抗減衰器の各々は、約3dBの抵抗値を有する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
ステップ(b)において、前記第1信号経路高域通過フィルタ及び前記第2信号経路低域通過フィルタの各一つの通過帯域フィルタは、約4GHzで動作するように構成される、請求項18記載の方法。
【請求項23】
ステップ(b)において、前記第3信号経路低域通過フィルタ及び前記第4信号経路高域通過フィルタの各一つの通過帯域フィルタは、約8GHzで動作するように構成される、請求項18記載の方法。
【請求項24】
ステップ(b)において、前記第4信号経路は、第4スイッチを第4信号経路高域通過フィルタに相互接続する第4フィルタを含み、該第4フィルタは約10.4〜約18GHzの範囲をフィルタリングする機能を有する、請求項18記載の方法。
【請求項25】
ステップ(a)において、前記送信スイッチは単極4投スイッチとして構成される、請求項18記載の方法。
【請求項26】
ステップ(a)において、前記送信スイッチは、機械式リレーとして構成されるスイッチング機構を含む、請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−533914(P2008−533914A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501941(P2008−501941)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/008886
【国際公開番号】WO2006/099283
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(397017191)ノースロップ グラマン コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】