説明

スイッチ装置

【課題】 スイッチ装置を押下した時の操作ボタン押下時の指へのフィードバックが少ない為、ボタンを押下し、スイッチ装置が確実にオン動作されているかどうかを判断する事は難しい。
【解決手段】 本発明に係るスイッチ装置は、電子機器を操作するスイッチ装置と前記スイッチの操作時に操作者に与える振動を発生させる振動発生手段を備えたものである。
かかる構成により、操作者がスイッチ手段を操作した際に、スイッチ手段がオン動作した時には、振動発生手段により振動を与えて操作者に伝え、また、スイッチ手段を操作し、スイッチ手段がオン動作しなかった時には、操作者には振動を与えない。(又は、その逆で、オン動作しなかった時に振動を与える。)電子機器のスイッチ装置を操作実行した時に、スイッチ装置のオン動作が行われた事を操作者に伝え、感覚的にスイッチのオン動作が判断できようになり、操作性の向上につながるスイッチ装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を操作するスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器を操作するスイッチ装置として、押しボタン式のスイッチ装置がある。この押しボタンスイッチの場合、操作者は、実行したいコマンドが表示されたボタンを押下する事で実行できる。また、押しボタンの裏側にバネ部材を付け、押しボタンに押下力、ストロークを持たせていた。
【0003】
また、上記のスイッチ装置にあっては、押しボタンを押すだけなので、操作者の指へのフィードバックの情報が少ない。ボタン押下時に操作者の指へのフィードバックの情報を与える技術として、例えば、特開2003-272463号公報に記載されたスイッチ装置では、車載機器を操作するスイッチ手段と、スイッチ装置に設けられ、且つ操作者がスイッチ手段を操作する圧力を検出する圧力検出手段と、スイッチ手段の操作時に操作者に与える振動を発生させる振動発生手段と、圧力検出手段で検出された検出圧力信号により振動発生手段が発生した振動の振動量を制御して、スイッチ手段を弱く押した時は操作者に与える振動を強くし、スイッチ手段を強く押した時は、操作者に与える振動を弱くするように制御する振動制御手段を備えたものとなっている。
【特許文献1】特開2003-272463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スイッチ装置を押下した時の操作ボタン押下時の指へのフィードバックはあるものの、そのフィードバック情報では、ボタンを押下し、スイッチ装置が確実にオン動作されているかどうかを判断する事は難しい。そこで、ボタン操作後にスイッチ装置が確実にオン動作した事が操作者へフィードバックされる事が操作性の向上につながる。
【0005】
本発明では、上記の問題点に着目して成されたものであって、その目的とするところは、電子機器のスイッチ装置を操作実行した時に、スイッチ装置のオン動作が行われた事を操作者に伝え、感覚的にスイッチのオン動作が判断できるようになり、操作性の向上につながるスイッチ装置を提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する為に、本発明に係るスイッチ装置は、電子機器を操作するスイッチ装置と前記スイッチの操作時に操作者に与える振動を発生させる振動発生手段を備えたものである。
【0007】
かかる構成により、操作者がスイッチ手段を操作した際に、スイッチ手段がオン動作した時には、振動発生手段により振動を与えて操作者に伝え、また、スイッチ手段を操作したが、スイッチ手段がオン動作しなかった時には、操作者には振動を与えない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スイッチ装置の押下時に振動を操作者に与えるのでなく、スイッチ装置のオン動作の有無で操作者に振動を与える事により、操作者はスイッチの実行が体感する事ができ、操作性の向上につながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の実施例を示すデジタルカメラの斜視図である。図2は本発明に係るスイッチ装置のレリーズボタンの構成説明図、図3は図2のレリーズボタンを押下した際の構成説明図、図4はレリーズボタンが振動子により振動している構成図、図5は図2のレリーズボタンを除いた上面図である。図6は、本発明に係る部分の機能ブロック図、図7は、本実施例の動作をフローチャートにしたものである。
【0011】
まず図1に於いて、1は電子機器装置(本発明ではデジタルカメラを示す)の外装であるカメラ筐体、2は撮影光学系を構成している鏡筒、3は鏡筒2のズーム動作に連動して所定のズーム倍率が得られる様に位置が変動し被写体像を観察する為のファインダ、4は不図示のファインダブロックに一体に形成され配設された撮影時の赤目を緩和させる為の補助光、5はストロボ、6は動画撮影時に周りの音声を記録する為マイク等の音響素子が配設され設けられたマイク穴、7は電源ボタン、8はレリーズボタンである。
【0012】
本発明に係るスイッチ装置は、図2により、1は前記カメラ筐体、8は前記レリーズボタン、9は前記レリーズボタンに振動を与える振動子、10はスイッチ装置を実装している基板である。前記基板10上には、図5の11で示すように導電パターンがあり、レリーズボタン8を押下した際にボタン下面の導電パターン13と接触し導通する事でオン動作し、この押圧を解除する事で、オフ動作をする、構成となっている。
【0013】
図5の11の導電パターンは、基板10上のレリーズボタン8の略同心円状に配置してあり、レリーズボタン8下面の導電パターン13もレリーズボタンの同心円状に配置してある。そのため、例えレリーズボタン8が傾いたまま操作者に押されても、基板10上の導電パターン11の円周上の一部にレリーズボタン8下面の導電パターン13の一部が触れれば導通となる為、確実にスイッチ動作を行う事ができる。
【0014】
また、レリーズボタン8は、バネ部材12によって、常に図2の上方向に8aが1aに当接するまで押し戻すようになっている。
【0015】
図6において、24は、レリーズボタン8が操作者に押され、オン動作(ボタン下面の導電パターン13が基板10上の導電パターン11に接触、導通し、スイッチ動作が行われた時。本実施例では、レリーズボタンが本発明のスイッチ装置である為、オン動作は、写真が撮影された時である。)を感知するスイッチ制御部であり、22は、24のスイッチ制御部がオン動作した際に振動子9に対して、振動するよう命令する振動制御部である。23は、振動子9が振動制御部22の命令により発生した振動をレリーズボタン8に伝える振動機構(図2,3,4)である。また、21は、上記制御部、駆動機構を含めて、本実施形態に係るデジタルカメラ全体の制御を司る全体制御部であり、図示を省略した、液晶表示装置等も、この制御部からの指示により動作する。
【0016】
そして、図2、図5に示すように、振動子9は、レリーズボタン8の略中央になるように基板10上に配置されており、レリーズボタン8が完全に押下された際に当接する。(図3)また、図2で示すように、レリーズボタン8の下面の略中央に凹形状がある。この凹形状に振動子9が収まるような構成となっており、凹形状に振動子8が収まることで、レリーズボタン8の厚み方向のスペース効率を上げる事が可能である。また、凹形状にしてある為、レリーズボタン8をモールド部品とした時には、ヒケ対策にもなる。この振動子9として、電荷を与える事で伸縮する圧電素子を使用する。
【0017】
また、前述したように、スイッチ動作を行う導電パターン13は、レリーズボタン8の外周に配置してあり、振動を与える振動子9は、レリーズボタン8の略中央に配置してある構成である為、スイッチ動作、振動動作をレリーズボタン8の投影面積だけで行う事が可能となり、スペース効率を上げる事が可能となる。
【0018】
次に、上記のように構成されたスイッチ装置(レリーズボタン)の動作を詳しく説明する。
【0019】
操作者がレリーズボタンの押しボタン8を押下し(図7、STEP 1)、ボタン下面の導電パターン13が基板10上の導電パターン11に接触、導通し(図7、STEP 2)、オン動作した場合(前記スイッチボタンはレリーズボタンである為、スイッチボタンがオン動作した事とは、写真撮影ができたことと同様である。図7、STEP3のY方向。)に図6の振動制御部22から圧電素子9に電荷を与えるように命令し(図7、STEP 4)、圧電素子9は電荷を与えられて伸縮をする。(図4)圧電素子9に電荷の付加を繰り返し行うことにより、圧電素子9は伸縮を繰り返して振動し(図7、STEP 5)、その振動がレリーズボタン8を伝って、レリーズボタン8を押している操作者にスイッチ装置がオン動作した事を伝える。(図7、STEP 6)圧電素子9が、レリーズボタン8の略中央に配置してある事で、レリーズボタン8に振動を与える時、振動子9が均等にレリーズボタン8に接触し、レリーズボタン8の中央に振動与える事から振動を確実にレリーズボタン8に伝える事ができる。また、操作者がスイッチ装置の押しボタン8を押下したが、オン動作しない場合(ボタン下面の導電パターン13が基板10上の導電パターン11に接触していない、もしくは、ボタン下面の導電パターン13が基板10上の導電パターン11に接触、導通したが、オン動作しない。前記スイッチボタンはレリーズボタンである為、スイッチ装置がオン動作していないという事は写真撮影ができていない状態と同様である。)には、圧電素子9には電荷を与えずに、振動をさせない。振動をさせない事で、オン動作した時とは異なる挙動をする事で、レリーズボタン8を押している操作者にオン動作していない事を伝える。
【0020】
以上、説明したように、本実施の形態1によれば、電子機器のスイッチ装置として、スイッチ装置の押しボタン8を押下し、スイッチがオン動作した時に、操作者に振動を与え、スイッチがオン動作しなかった時に、操作者に振動を与えなければ、操作者がボタンを押している指だけの感覚で確実にスイッチ動作が実行されているか判断できる為、操作性の向上につながる。
【実施例2】
【0021】
第2の実施形態に係る基本構成は、第1実施例と同様であるので、その説明は、省略する。また、第2の実施形態の動作も第1実施例と同様である為、その説明は、省略する。本実施例では、第1実施例との差異を説明する。
【0022】
本実施例と第1の実施例での差異は、レリーズボタン8の振動するタイミングが異なっている。
【0023】
第1実施例では、レリーズボタン8の振動するタイミングが、レリーズボタン8を押下し、オン動作した際となっていた。よって、オン動作したという事は、写真が撮れた事と同じであるため、外部記憶装置(メモリーカード)に、所望の写真が収めれている。
【0024】
本実施例での、レリーズボタン8の振動するタイミングは、レリーズボタン8を押下し、レリーズボタン下面13の導電パターンが基板10上の導電パターン11に接触し、導通はしたが、オン動作しなかった際(写真撮影ができなかった場合)に、振動する構成となっている。つまり、レリーズボタン8を押下したが、写真を撮る事ができなかった際に振動をする。図7、STEP3のY,Nの方向が第1の実施例とは逆方向となる。
【0025】
全体制御部21が、レリーズボタン8を押下された後に、不図示の外部記憶装置(メモリーカード)を読み込み、レリーズボタン8を押下する前後で、写真の枚数が増加しているかどうかを判断し、枚数が増加していれば、正常に写真撮影が行われたと判断して、振動制御部22は、振動子9に対して、何もしない。逆に、レリーズボタン8を押下する前後で、写真の枚数が増加していなければ、写真撮影が正常に行われていないと判断をし、振動制御部22は、振動子9に対して、振動するように命令を出し、レリーズボタン8は、振動する構成となっている。
【0026】
以上、説明したように、本実施の形態では、電子機器のスイッチ装置として、スイッチ装置の押しボタン8を押下し、スイッチがオン動作しなかった際に、操作者に振動を与える事で、操作者にオン動作しなかった事を警告し、操作性の向上につながる。
【0027】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、レリーズボタンを本発明のスイッチ装置としたが、これに限らずどのボタンでも使用可能であり、また、スイッチ装置がオン動作した際にスイッチ装置が振動し、操作者に伝える構成となっていたが、実施例2で説明した、スイッチ装置を押下し、オン動作しなかった際にスイッチ装置が振動し、操作者にオン動作しなかった事を警告する構成であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例を示すデジタルカメラの斜視図。
【図2】本発明の実施例を示すスイッチ装置の断面構成図。
【図3】図2のボタン押下時の断面構成図。
【図4】図2の振動子に電荷を与えた時の断面構成図。
【図5】図2のレリーズボタンを除いた上面図。
【図6】本発明の実施例に係るカメラの機能のブロック図。
【図7】本発明の実施例に係る押しボタンの動作のフローチャート。
【符号の説明】
【0029】
1 カメラ筐体
2 鏡筒
3 ファインダ
4 補助光
5 ストロボ
6 マイク穴
7 電源ボタン
8 レリーズボタン
9 振動子
10 基板
11 基板上の導電パターン
12 ボタンを押し上げるバネ
13 ボタン下面の導電パターン
21 全体制御部
22 振動制御部
23 振動機構
24 スイッチ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を操作するスイッチ手段と、前記スイッチの操作時に操作者に与える振動を発生させる振動発生手段を具備し、前記操作者が前記スイッチ手段を操作した際に、前記スイッチ手段がオン動作または非オン動作したことを、前記振動発生手段により振動を与えて、前記操作者に伝える事を特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチ手段が、押しボタンを押すことでオン、オフ動作をする押しボタン式のスイッチである事を特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記押しボタン下面に導電パターンがあり、前記押しボタンを受ける基板上にも導電パターンが形成されており、前記押しボタンの導電パターンと前記基板上の導電パターンが導通する事でスイッチ動作をする事を特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置
【請求項4】
前記振動子が、前記押しボタンの略中央の前記基板上に配置してある事を特徴する請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記押しボタンの下面に凹形状が形成されており、前記凹形状に収まるように前記振動子が配置されている事を特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記押しボタンを押下した後、撮影枚数の増加を判断し、増加の際には、振動を発生させる請求項1に記載のスイッチ装置
【請求項7】
前記押しボタンを押下した後、撮影枚数の増加を判断し、枚数の増加が無い際には、振動を発生させる請求項1に記載のスイッチ装置
【請求項8】
前記振動発生手段が圧電素子構成の振動子である事を特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−42504(P2007−42504A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226811(P2005−226811)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】