説明

スイッチ装置

【課題】切断操作が容易で、小型化を図ることができ、かつ、切断時の火花の発生を防ぐことが可能なスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】電源回路を切断する機械的な主スイッチ9、該主スイッチが切断する前に外部に切断信号を出力するインターロックスイッチ11、表面に環状溝19が形成された基材3、該基材の環状溝に挿入された壁部23を有するハウジング5、基材とハウジングの一方の部材に回動可能に支持されるとともに他方の部材に形成された係合部43に係合され、回動操作によってハウジングの壁部を環状溝の深さ方向に摺動させるレバー7を備え、主スイッチとインターロックスイッチは、それぞれ基材3に固定された固定端子33,27、それぞれハウジングに固定された可動端子31,25を有し、レバーを回動させてハウジングを基材から離れる方向に摺動させたとき、主スイッチよりも前にインターロックスイッチが切断されるように形成されること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置に関し、特に、電源回路を切断する機械的な主スイッチと、この主スイッチが切断する前に外部に切断信号を出力するインターロックスイッチとを備えたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等には、モータ等の負荷を駆動させるための電源としてバッテリや燃料電池等の直流電源等が搭載されており、この直流電源と負荷との間は電源回路で接続されている。このため、電気自動車等には、負荷の保守作業等の際に感電を防ぐため、電源回路との接続を手動で切断するスイッチ装置が設けられている。
【0003】
この種のスイッチ装置としては、例えば、基材と、この基材の表面の環状溝に挿入される壁部を有するハウジングと、基材に固定された固定端子と、ハウジングに固定された可動端子とを備え、レバーの回動操作によって、ハウジングを基材の環状溝に沿って基材から離れる方向に摺動させることで、固定端子と可動端子を離間させて、電源回路を切断するようにしたスイッチ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ところで、電流が流れている電源回路がスイッチ装置により切断された場合、端子間には火花が発生する。このように火花が発生すると、信号系にノイズとして影響を与える他、端子等を劣化させるおそれがある。そこで、従来、作業者の操作によって切断される機械的な主スイッチと、主スイッチが切断される前に、外部の切断手段に電源回路の切断信号を出力するインターロックスイッチ(リミットスイッチ)とを備えたスイッチ装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
特許文献2のスイッチ装置によれば、主スイッチが切断される前にインターロックスイッチが切断されることにより、外部のリレー等に切断信号が出力され、電源回路が切断された状態となることから、主スイッチが切断されるときの火花の発生を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−181895号公報
【特許文献2】特開2008−198358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2では、作業者が主スイッチを開放する際に、まず、回転ロック板を指で回転させてロックを解除した後、ケース内からサービスプラグを引き抜くことになる。ここで、インターロックスイッチは、回転ロック板のロックが解除されることによって切断される。つまり、特許文献2の構成によれば、電源回路を遮断する際に、回転ロック板のロック解除と、サービスプラグの引き抜きの二つの操作が必要となるため、操作が煩雑になるだけでなく、装置構成が複雑になるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2では、インターロックスイッチがケースの外側に設けられているため、防水仕様のスイッチ装置を設計する際には、インターロックスイッチを防水カバー等で覆わなければならず、スイッチ装置の設置スペースが大きくなり、かつ、装置の費用が高くなるという問題がある。
【0009】
本発明は、切断操作が容易で、しかも小型化を図ることができ、なおかつ、切断時及び接続時の火花の発生を防ぐことが可能なスイッチ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明のスイッチ装置は、電源回路を切断する機械的な主スイッチと、この主スイッチが切断する前に外部に切断信号を出力するインターロックスイッチとを備えたスイッチ装置において、表面に環状溝が形成された基材と、この基材の環状溝に挿入された壁部を有するハウジングと、基材とハウジングの一方の部材に回動可能に支持されるとともに他方の部材に形成された係合部に係合され、回動操作によってハウジングの壁部を環状溝の深さ方向に摺動させるレバーとを備え、主スイッチとインターロックスイッチは、それぞれ基材に固定された固定端子と、それぞれハウジングに固定された可動端子とを有し、レバーを回動させてハウジングを基材から離れる方向に摺動させたとき、主スイッチよりも前に、インターロックスイッチが切断されるように形成されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、主スイッチとインターロックスイッチの可動端子はハウジングと一体となって動くため、基材から離れる方向にハウジングを動かすことにより、可動端子がそれぞれ固定端子から引き離される。ここで、ハウジングは、レバーの操作によって動かすことができるため、レバーを用いるだけの簡単な操作で、電源回路を切断することができる。また、インターロックスイッチは、主スイッチとともにハウジングの中に配置され、通常はハウジングが基材に嵌合された状態となっているため、簡単かつコンパクトな構成で、防水性及び防塵性を高めることができる。また、主スイッチが切断されるときには、すでにインターロックスイッチが切断されており、これに応答して例えば直流電源側に設けられた電磁開閉器等が開放されて電源回路が切断されるので、主スイッチが切断されたときの火花の発生を防ぐことができる。反対に、主スイッチが接続されるときには、未だインターロックスイッチが接続されていないため、主スイッチが接続されたときの火花の発生を防ぐことができる。
【0012】
この場合において、主スイッチとインターロックスイッチは、それぞれ固定端子が雌端子、可動端子が雄端子として構成され、レバーを回動させてハウジングを基材から離れる方向に摺動させたとき、レバーが最大回動角度に達した時点で、主スイッチの雄端子の一部が対向する雌端子に挿入されているものとする。
【0013】
これによれば、レバーを回動操作する際に、主スイッチの切断まで考慮する必要がなく、インターロックスイッチが切断される位置までハウジングを移動させるだけでよいため、スイッチ装置の高さ方向、つまりハウジングが移動する方向の寸法を小さく設定することができる。このように構成しても、レバーが最大回動角度に達した時点で、インターロックスイッチが切断され、電源回路が切断されているため、その後、ハウジングが基材から取り外されて主スイッチが切断されたとしても、火花が発生することがない。また、反対に、レバーが最大回動角度にある状態(初期状態)でハウジングを基材に取り付けて主スイッチが接続された状態となってもインターロックスイッチが接続されておらず、その後レバーを回動させてハウジングがさらに基材に向かって移動することでインターロックスイッチが接続される。つまり、主スイッチの接続後にインターロックスイッチが接続して電源回路が閉状態となることで主スイッチが導通するため、主スイッチにおける火花の発生を防ぐことができる。また、これにより主スイッチがインターロックスイッチの案内としての役割をなすため、インターロックスイッチの雄端子と雌端子の位置決め精度が高められ、雄端子が雌端子に挿入される際の端子の破損等を防ぐことができる。
【0014】
具体的に、主スイッチの可動端子と固定端子は、それぞれ平板状に形成される2つの雄端子と、この雄端子がそれぞれ挿入される2つの雌端子とで構成され、2つの前記雄端子は、ハウジングの摺動方向でT字状に配置されてなるものとする。これによれば、主スイッチにおける雄端子と雌端子の位置合わせが容易になるとともに、インターロックスイッチの案内としての役割をなすため、両スイッチの雄端子と雌端子の位置決め精度が高められ、端子の破損等を防ぐことができる。
【0015】
また、基材には、レバーに形成される係止穴と係合し、レバーの回動を規制する突起部が設けられ、レバーを回動させてハウジングを基材に近づけ、突起部が係止穴と係合されたときに、インターロックスイッチが接続されるように形成されてなるものとする。
【0016】
これによれば、レバーの係止穴に突起部が係合される前にインターロックスイッチが接続されるという中途半端な接続状態を防ぐことができる。つまり、インターロックスイッチが接続されているときは、常にレバーがロックされた状態となるため、電源回路の安定な接続状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスイッチ装置によれば、電源回路の切断操作が容易になる。また、スイッチ装置を小型化することができ、しかも、切断時及び接続時の火花の発生を防ぐことができる。さらに、スイッチ装置の構成が簡単になるため、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用してなるスイッチ装置の側断面図であり、レバーがロックされて電源回路が接続されている状態を示す図である。
【図2】本発明を適用してなるスイッチ装置の側断面図であり、レバーが最大回動角度まで回動されて電源回路が切断されている状態を示す図である。
【図3】図1に対応する斜視図である。
【図4】図2に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を適用してなるスイッチ装置の一実施形態について、図1乃至図4を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施形態のスイッチ装置1は、図示しない車両等(例えば、電気自動車やハイブリッド車)に搭載され、車両を駆動させるモータ等の負荷と、この負荷に電力を供給するバッテリや燃料電池等の直流電源との間を接続する電源回路を切断するためのものであり、具体的にはバッテリケースに取り付けられるものとして説明するが、電源回路を流れる電流を遮断するものであれば、車両に搭載される場合に限られず、また、取り付け位置もバッテリケースに限られるものではない。
【0021】
図1は、電源回路が接続されている状態のスイッチ装置の側断面図を示し、図2は、電源回路が切断されている状態のスイッチ装置の側断面図を示す。図に示すように、スイッチ装置1は、バッテリケース等に取り付けられる基材3と、この基材3に嵌合されるハウジング5と、基材3に対してハウジング5を摺動させるレバー7と、ハウジング5の内側に配置される主スイッチ9a,9b及びインターロックスイッチ11とで構成される。
【0022】
主スイッチ9a,9b及びインターロックスイッチ11は、いずれも固定端子と可動端子とで構成される。固定端子には雌端子が用いられ、可動端子には雄端子が用いられる。主スイッチ9a,9bは、電源回路を開閉する機械的なスイッチであり、インターロックスイッチ11は、例えば、電源回路を開閉する外部の切断手段(図示せず)に、信号出力手段(図示せず)を介して電源回路の切断信号を出力する機能を有している。切断手段は、電源回路に接続されており、信号出力手段から出力された電気信号を入力し、この電気信号に応じて電源回路を開閉する機能を有しており、電磁開閉器、例えば周知のリレー等が用いられる。これにより、直流電源からの電力は、電源回路に接続された主スイッチ9a,9bと切断手段をそれぞれ経由して、負荷に供給されるようになっている。
【0023】
基材3は、バッテリケース等に取り付けられ、2つの開口穴13a,13bを有して形成されている。この開口穴13a,13bは、基材3の基準面Xから上方(ハウジング側)に突出する筒状の突起の内側に形成されている。また、基材3には、2つの開口穴13a,13bに挟まれた位置に基準面Xよりも低い底面を有する円形溝15が形成され、この円形溝15の底面には貫通穴が形成されている。また、基材3には、基準面Xから環状の周壁17が立設し、その周壁17の内側には環状溝19が形成されている。
【0024】
ハウジング5は、端面21と、その周縁から環状に立設する壁部23を有し、壁部23の先端側が開口する筒状の容器となっている。ハウジング5の端面21は、平行な一対の直線の一端を直線で連結し、他端を円弧で連結させた形状をなしており、円弧と対向する側の辺が面取りされた傾斜面となっている。このハウジング5は、基材3の環状溝19に壁部23が挿入された状態で、環状溝19の深さ方向で摺動するようになっている。
【0025】
インターロックスイッチ11は、2つの短絡された雄端子25と、これらの雄端子25が挿入される2つの雌端子27とで構成される。雄端子25は、ハウジング5の端面21から開口側へ突出する筒状の突起部29の内側に固定され、雌端子27は、基材3の円形溝15の内側に固定されている。雌端子27は、信号出力手段と接続されており、2つの雄端子25がそれぞれ雌端子27に挿入された状態から解放、つまりインターロックスイッチ11が切断された場合、これを検知した信号出力手段が切断手段に電源回路を切断する信号を出力し、これを受けた切断手段が電源回路を開くようになっている。反対に、雄端子25と雌端子27が開放されている状態から雄端子25が雌端子27に挿入されて接続、つまりインターロックスイッチ11が接続された場合、これを検知した信号出力手段が切断手段に電源回路を閉じる信号を出力することにより、切断手段が電源回路を閉じるようになっている。
【0026】
主スイッチ9a,9bは、2つの短絡された板状の雄端子31a,31bと、これらの雄端子31a,31bが挿入される2つの雌端子33a,33bとで構成され、雄端子31a,31bは、ハウジング5の突起部29の両側の位置に固定され、雌端子33a,33bは、それぞれ基材3の開口穴13a,13bの内側に固定されている。雄端子31a,31bは、それぞれ平板状に形成され、ハウジング5の開口側から見て互いにT字状となるように配置されている。雌端子33a,33bは、一方が電源回路のバッテリ側に接続され、他方が電源回路の負荷側に接続されており、短絡された雄端子31a,31bがそれぞれ雌端子33a,33bに挿入されることにより、主スイッチ9a,9bは接続された状態となり、電源回路が閉じた状態となる。なお、雄端子31a,31bは、それぞれ雌端子33a,33bに向かって同じ長さで延在し、同じタイミングでそれぞれ雌端子33a,33bに挿入されるようになっている。
【0027】
ここで、主スイッチ9a,9b及びインターロックスイッチ11について、ハウジング5にそれぞれ固定された雄端子を比較すると、主スイッチ9a,9bの雄端子31a,31bは、インターロックスイッチ11の雄端子25よりも、基材3側に向かってより長く延在している。一方、両スイッチの基材3にそれぞれ固定された雌端子を比較すると、主スイッチ9a,9bの雌端子33a,33bは、インターロックスイッチ11の雌端子27よりも、ハウジング5により近い位置に配置されている。すなわち、主スイッチ9a,9b及びインターロックスイッチ11は、それぞれ雄端子が雌端子に挿入された状態で、ハウジング5が基材3から離れる方向に移動した場合、インターロックスイッチ11の雄端子25が雌端子27から離れるタイミングは、主スイッチ9a,9bの雄端子31a,31bが雌端子33a,33bから離れるタイミングよりも早くなる。
【0028】
一方、図3に示すように、ハウジング5の壁部23の側面には、支持ピン35が形成され、この支持ピン35がレバー7に形成される係止穴37に嵌合されることで、レバー7がハウジング5に回動可能に支持されるようになっている。レバー7は、係止穴37がそれぞれ形成される2枚の支持板39と、この2枚の支持板39を連結する連結部41とで構成され、ハウジング5は2枚の支持板39の内側に挟まれた状態で配置されるようになっている。
【0029】
レバー7には、カム機構としての円弧状のカム穴43が形成され、基材3の周壁17の側面には、このカム穴43に嵌合するカムピン45が突出して形成されている。したがって、図3に示すように、カムピン45をカム穴43に嵌合させた状態で、レバー7を起立させる方向(矢印方向)に回動させることにより、カムピン45がカム穴43に沿って相対的に移動し、ハウジング5を基材3の環状溝19に沿って基材3から遠ざけることができる。図4は、レバー7を完全に起立させた状態を示す。
【0030】
また、基材3にはハウジング5の摺動方向と略平行に延在する2本の支持部材47が設けられ、この支持部材47の先端側には、レバー7の回動方向と略直交する方向に突出する係止突起49が形成されている。この係止突起49は、図3に示すように、レバー7を回動させて押し倒したときにレバー7の支持板39にそれぞれ形成されるロック穴51と係合されるようになっている。ロック穴51に係止突起49が係合されると、レバー7がロックされて回動が規制される。この状態で、例えば、支持部材47を係止突起49がロック穴51から外れる方向に指で変形させることにより、レバー7はロック状態から解放される。
【0031】
次に、このようにして構成されるスイッチ装置の作用について説明する。通常の使用状態では、図3に示すように、基材3の環状溝19にハウジング5の壁部23が挿入された状態で嵌合され、レバー7は係止突起49を含むロック機構によってロックされた状態となっている。本実施形態では、このロック機構によってレバー7がロックされた状態のレバーの回動角度を0度とする。この状態では、ハウジング5が基材3に対して最も接近しているため、図1に示すように、主スイッチ9a,9b及びインターロックスイッチ11はいずれも雄端子が雌端子に挿入され、接続された状態、つまり、電源回路が閉じた状態となっている。
【0032】
この状態で、保守作業等を行う場合、電源回路を切断するため、レバー7のロックが解除され、レバー7が起立する方向に回動される。これにより、ハウジング5は基材3から離れる方向に持ち上げられる。図2に示すように、レバー7がカム機構によって定まる最大回動角度θ(例えば55度)まで回動された時点で、インターロックスイッチ11は、雄端子25が雌端子27から抜け、切断された状態となるが、主スイッチ9a,9bは、雄端子31a,31bが雌端子33a,33bに挿入されたまま、接続状態が維持されている。すなわち、レバー7を0度から最大回動角度θまで回動させる間、主スイッチ9a,9bは、接続状態が維持されるが、インターロックスイッチ11は切断されるため、電源回路が開いた状態となる。
【0033】
このように、レバー7が最大回動角度θまで回動されて起立した状態になると、続いて連結部41を掴んでレバー7が引き上げられる。このレバー7の引き上げにより、レバー7のカム穴43からカムピン45が外され、レバー7ごとハウジング5が基材3から取り外される。これにより、主スイッチ9a,9bは切断されるが、すでにインターロックスイッチ11が切断されて電源回路は開いた状態となっているため、主スイッチ9a,9bが切断された時点で、主スイッチ9a,9bの端子間に火花が生じることはない。また、電源回路は、両スイッチが切断されて開き状態となっており、ハウジング5が基材3から完全に取り外されていることから、誤操作等で再び両スイッチが閉じられ、電源回路が閉じることがなく、保守作業等における感電等が確実に防止される。
【0034】
次に、保守作業等が終了して電源回路を閉じる場合、レバー7が取り付けられたハウジング5を基材3の近づけ、ハウジング5の壁部23を基材3の環状溝19に挿入するとともに、ハウジング5側から延在する主スイッチ9a,9bの雄端子31a,31bを、それぞれ基材3側の雌端子33a,33bに挿入する。そして、レバー7の2箇所のカム穴43にそれぞれカムピン45を嵌合させた状態で、レバー7を倒す方向に回動させる。これにより、カムピン45がカム穴43に沿って相対的に移動し、ハウジング5が基材3と近づく方向に移動する。さらに、レバー7を回動させていくと、レバー7の支持板39に係止突起49が当たるため、この状態で、レバー7を強く回動方向に押し付けることにより、ロック穴51に係止突起49が係合されて、レバー7がロックされた状態となる。
【0035】
ここで、レバー7がロックされる前、つまり、レバー7のロック穴51に係止突起49が係合される前の時点では、主スイッチ9a,9bが接続され、インターロックスイッチ11が切断された状態となっているが、ロック穴51に係止突起49が係合された時点では、主スイッチ9a,9bとインターロックスイッチ11が共に接続された状態となる。このように、両スイッチの接続のタイミングを設定することにより、レバー7がロックされる前の不安定な接続状態で、主スイッチ9a,9bとインターロックスイッチ11が共に接続されてしまい、電源回路が閉じ状態となることを防ぐことができるため、安全性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態のスイッチ装置1では、基材3から取り外されたハウジング5を基材3に再び取り付ける際に、主スイッチ9a,9bの雄端子31a,31bがそれぞれ雌端子33a,33bに挿入された状態で、インターロックスイッチ11の雄端子25が雌端子27に挿入されるため、主スイッチ9a,9bによってインターロックスイッチ11の雄端子25が、雌端子27に対して位置合わせされた状態で、雌端子27に挿入される。すなわち、主スイッチ9a,9bがインターロックスイッチ11の案内としての役割を果たし、インターロックスイッチ11の雄端子25と雌端子27との間の位置精度が向上するため、例えば、雄端子25が雌端子27に斜めに挿入されることを防ぎ、端子間のスムーズな嵌合を実現できるとともに、雄端子25と雌端子27の破損を防ぐことができる。
【0037】
本実施形態においては、主スイッチ9a,9bは、2対の雄端子31a,31bと雌端子33a,33bを設ける例を説明したが、これに限られるものではなく、さらに多くの主スイッチ(雄端子同士は短絡されているものとする)を設けるようにしてもよい。その際、主スイッチは、インターロックスイッチ11を中心としてそれぞれ異なる方向に配置することが好ましい。これによれば、インターロックスイッチ11の位置決め精度を一層向上させることができる。
【0038】
本実施形態のスイッチ装置1では、主スイッチ9a,9bとインターロックスイッチ11の雄端子が、いずれもハウジング5と一体的に移動するものとして構成されるため、ハウジング5を基材3から離れる方向に移動させることで、主スイッチ9a,9bとインターロックスイッチ11を順次切断することができる。すなわち、電源回路を切断する操作は、レバー7を最大回動角度まで回動させてインターロックスイッチ11を切断する第1の操作と、レバー7を引き上げてハウジング5を基材3から取り外すことで主スイッチ9a,9bを切断する第2の操作とから構成されるが、これらの操作は、いずれもハウジング5を基材3から引き離す操作であり、連続的に行うことができるため、レバー7を回動させた後、引き上げるだけの簡単な操作で、電源回路を切断することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、レバー7を回動角度0度から最大回動角度θまで回動させたときのハウジング5が移動するストローク量をL1とし、インターロックスイッチ11と主スイッチ9a,9bにおいて、雄端子がそれぞれ雌端子に挿入された接続状態(レバー7の回動角度0度の状態)から両端子が離れてスイッチが開放された状態となるまでに雄端子が移動するストローク量をそれぞれL2、L3とした場合、L3>L1>L2となるように、インターロックスイッチ11と主スイッチ9a,9bの雄端子と雌端子が、それぞれ適正な位置に配置されている。このため、電源回路を切断する操作時においては、常に、インターロックスイッチ11が主スイッチ9a,9bよりも先に切断されるため、主スイッチ9a,9bが切断された時点で、端子間に火花が発生することがない。このため、例えば信号系に悪影響を与えることがなく、また、端子の劣化等を抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、ハウジング5内にインターロックスイッチ11と主スイッチ9a,9bが配置されているため、防水性及び防塵性の効果が得られるとともに、装置全体をコンパクトに構成することができる。そのため、スイッチ装置1は、より小さなスペースに配置することができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、レバー7を最大回動角度θまで回動させた時点で、主スイッチ9a,9bが接続されたままの状態となっているが、インターロックスイッチ11はすでに切断されているため、その後、ハウジング5が基材3から引き離されたとしても、インターロックスイッチ11及び主スイッチ9a,9bが切断される順番は確保される。したがって、レバー7を最大回動角度θまで回動させた時点で、インターロックスイッチ11だけが切断されるように形成すれば、レバー7の回動操作によるハウジング5の移動量(ストローク量)を最小限に設定することができ、結果として、スイッチ装置1全体の高さ方向(ハウジング5の移動方向)の寸法を小さくすることができる。なお、レバー7を最大回動角度θまで回動させた時点で、インターロックスイッチ11に続いて主スイッチ9a,9bが切断されるように構成することもできるが、その場合は、スイッチ装置1の高さ方向の寸法が大きくなるため、収容スペースとの関係を考慮する必要がある。
【0042】
また、本実施形態では、レバー7がハウジング5に回動可能に支持され、基材3に形成されるカムピン45とカム穴43との係合によりカム機構を構成する例を説明したが、レバー7の回動によってハウジング5を基材3の環状溝19に沿って摺動させることが可能な構成であれば、レバー7が基材3に回動可能に支持され、ハウジング5との間でカム機構を構成するように形成しても構わない。
【符号の説明】
【0043】
1 スイッチ装置
3 基材
5 ハウジング
7 レバー
9a,9b 主スイッチ
11 インターロックスイッチ
19 環状溝
23 壁部
25,31a,31b 雄端子
27,33a,33b 雌端子
43 カム穴
45 カムピン
49 係止突起
51 ロック穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源回路を切断する機械的な主スイッチと、該主スイッチが切断する前に外部に切断信号を出力するインターロックスイッチとを備えたスイッチ装置において、
表面に環状溝が形成された基材と、該基材の前記環状溝に挿入された壁部を有するハウジングと、前記基材と前記ハウジングの一方の部材に回動可能に支持されるとともに他方の部材に形成された係合部に係合され、回動操作によって前記ハウジングの壁部を前記環状溝の深さ方向に摺動させるレバーとを備え、
前記主スイッチと前記インターロックスイッチは、それぞれ前記基材に固定された固定端子と、それぞれ前記ハウジングに固定された可動端子とを有し、前記レバーを回動させて前記ハウジングを前記基材から離れる方向に摺動させたとき、前記主スイッチよりも前に、前記インターロックスイッチが切断されるように形成されてなることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記主スイッチと前記インターロックスイッチは、それぞれ前記固定端子が雌端子、前記可動端子が雄端子として構成され、前記レバーを回動させて前記ハウジングを前記基材から離れる方向に摺動させたとき、該レバーが最大回動角度に達した時点で、前記主スイッチの前記雄端子の一部が対向する前記雌端子に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記主スイッチの可動端子と固定端子は、それぞれ平板状に形成される2つの雄端子と、該雄端子がそれぞれ挿入される2つの雌端子とで構成され、2つの前記雄端子は、前記ハウジングの摺動方向でT字状に配置されてなることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記基材には、前記レバーに形成される係止穴と係合し、該レバーの回動を規制する突起部が設けられ、
前記レバーを回動させて前記ハウジングを前記基材に近づけ、前記突起部が前記係止穴と係合されたときに、前記インターロックスイッチが接続されるように形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−79430(P2012−79430A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220851(P2010−220851)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【Fターム(参考)】