スイッチ
【課題】小さな操作力で操作でき、寿命の長いスイッチを提供することにある。
【解決手段】上面に固定接点部21,25,28を同心円状に露出させたベース10と、レバー部32の軸心上に回動軸心30cを配置し、かつ、前記ベース10の上面に沿って回動可能に支持された操作レバー30と、両端に配置した可動接点部41,42を前記固定接点部21,25,28に対してそれぞれ摺動可能に配置した可動接触片40と、コイル部51の軸心50cを前記操作レバー30の回動軸心30cから偏心させた位置に配置し、前記コイル部51の一端側から延在したアーム部53をベース10の上面に係止し、前記コイル部51を揺動可能に支持する一方、前記コイル部51の他端側から延在したアーム部52を前記操作レバー10に係止するコイルバネ50と、からなるスイッチである。
【解決手段】上面に固定接点部21,25,28を同心円状に露出させたベース10と、レバー部32の軸心上に回動軸心30cを配置し、かつ、前記ベース10の上面に沿って回動可能に支持された操作レバー30と、両端に配置した可動接点部41,42を前記固定接点部21,25,28に対してそれぞれ摺動可能に配置した可動接触片40と、コイル部51の軸心50cを前記操作レバー30の回動軸心30cから偏心させた位置に配置し、前記コイル部51の一端側から延在したアーム部53をベース10の上面に係止し、前記コイル部51を揺動可能に支持する一方、前記コイル部51の他端側から延在したアーム部52を前記操作レバー10に係止するコイルバネ50と、からなるスイッチである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に、プリント基板等に表面実装するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等に表面実装するスイッチとしては、例えば、回転ハンドル体2を回転させ、復帰用ばね体3を捩って前記回転ハンドル体2に復帰力を付与するとともに、弾性金属薄板をプレス成形した異形の可動接触ばね4を回転させ、接点を開閉するスイッチがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−362979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば、特許文献1の図2および図6から明らかなように、前記スイッチでは回転ハンドル体2と復帰用ばね体3との回動軸心が同一である。このため、回転ハンドル体2の回転角度と復帰用ばね体3の端部3a,3bの開き角度とが常に同一である。この結果、操作しやすくために前記回転ハンドル体2の操作角度を大きくしようとすると、復帰用ばね体3の端部3a,3bの開き角度が大きくなり、大きな操作力が必要となる。さらに、前記復帰用ばね体3に対する負荷が大きくなり、疲労しやすくなるので、寿命が短いという問題点がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、小さな操作力で操作できるとともに、寿命の長いスイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかるスイッチは、前記課題を解決すべく、複数の固定接点端子をインサート成形し、かつ、上面に前記固定接点端子の固定接点部を同心円状に露出させたベースと、レバー部の軸心上に回動軸心を配置し、かつ、前記ベースの上面に沿って回動可能に支持された操作レバーと、両端に配置した可動接点部を前記固定接点部に対してそれぞれ摺動可能に配置した可動接触片と、コイル部の軸心を前記操作レバーの回動軸心から偏心させた位置に配置し、前記コイル部の一端側から延在したアーム部をベースの上面に係止し、前記コイル部を揺動可能に支持する一方、前記コイル部の他端側から延在したアーム部を前記操作レバーに係止し、前記可動接触片を前記ベースの上面に押圧して接点圧を付与するとともに、前記操作レバーに復帰力を付与するコイルバネと、からなり、前記操作レバーを前記コイルバネのバネ力に抗して回動することにより、一体に回動する前記可動接触片の可動接点部を前記固定接点部に接離し、電気回路を切り換える構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、揺動可能に支持されたコイルバネの回動軸心が操作レバーから偏心している。このため、操作レバーを回動させてコイルバネのアーム部を回動させると、コイルバネのコイル部が揺動し、操作レバーの回動角度よりもコイルバネのアーム部の開き角度が小さい。このため、コイルバネのバネ力が操作レバーの回動角度に正比例せず、小さな操作力で操作レバーを操作できる。
また、コイルバネのアーム部の開き角度が小さいので、コイルバネに対する負荷が小さく、疲労しにくいので、寿命の長いスイッチが得られるという効果がある。
【0007】
本発明にかかる実施形態としては、コイルバネの両端側から延在した一対のアーム部が、操作レバーの操作用リブを挟持可能に延在していてもよい。
本実施形態によれば、コイルバネと操作レバーとの間にガタツキが生じないので、応答速度にタイムラグがなく、応答性に優れたスイッチが得られる。
【0008】
本発明にかかる他の実施形態としては、ベースに係止したアーム部の係止位置が、操作レバーの操作用リブに係止したアーム部の係止位置よりも、操作レバーの回動軸心に近い位置に配置してもよい。
【0009】
本実施形態によれば、操作レバーに突設した操作用リブに基づくアーム部に対する曲げモーメントが、ベースに係止したアーム部に対する曲げモーメントよりも大きくなる。このため、コイルバネが揺動しやすくなり、円滑な操作感触が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかる実施形態を図1ないし図11の添付図面に従って説明する。
第1実施形態は、図1ないし図8に示すように、プリント基板に表面実装する小型のスイッチに適用した場合である。
すなわち、前記スイッチは、図2に示すように、共通固定接点端子20および一対の切換用固定接点端子24,27を底面にインサート成形した平面略方形のベース10と、前記ベース10の上面に沿って回動可能に支持される操作レバー30と、屈曲した棒状導電性バネ材からなり、かつ、前記操作レバー30の嵌合溝34に落とし込んで組み込まれる可動接触片40と、前記可動接触片40を押圧して接点圧を付与するコイルバネ50と、前記ベース10を被覆し、前記コイルバネ50を圧縮するカバー60と、で構成されている。
【0011】
なお、実際に組み立てた製品の一例では、全体高さ0.9mm、ベース幅4.0mm、ベース長さ3.9mmの外形寸法を有している。
【0012】
前記ベース10は、図3に示すように、その上面中央部に浅い円形の凹所11を形成するとともに、その開口縁部に沿って略C字形状の側壁12を突設してある。前記凹所11の底面の中央部には、後述するカバー60の変形を防止するための補強用突部13、および、後述するコイルバネ50のアーム部51,52を回り止めするための支持用突部14を突設してある。また、前記凹所11の底面の周辺隅部に沿って、インサート成形された共通固定接点端子20および切換用固定接点端子24,27の固定接点部21,25,28が、不連続かつ同心円状にそれぞれ露出している。さらに、前記側壁12の内周面には、後述する操作レバー30の回動を支持するための位置決め用リブ15a,15b,15cが所定のピッチで突設されている。そして、前記側壁12の対向する外側面にはガイド用段部16がそれぞれ形成されているとともに、その上端面角部に抜け止め用突部17,17が形成されている。なお、前記前記ベース10の下面縁部には、後述するカバー60の係止用爪部を係止するための切り欠き部18a,18bが形成されている。
【0013】
共通固定接点端子20は、図3Bに示すように、ベース10の凹所11の底面から露出する共通固定接点部21の両側縁部を曲げ起こして端子部22,22を形成してある。また、切換用固定接点端子24,27は、ベース10の凹部11の底面から露出する切換用固定接点部25,28の片側縁部を曲げ起こして端子部26,29を形成してある。さらに、切換用固定接点部25,28の角部25a,28aは、インサート成形後の浮き上がりを防止するために下方に折り曲げられている。
【0014】
操作レバー30は、図2および図5Aに示すように、前記ベース10の凹所11に回動可能に嵌合できるリング状レバー本体31と、前記レバー本体31の外周面に突設したレバー部32とで構成されている。前記レバー本体31の内側面には、レバー部32の軸心上に位置するように操作用リブ33が突設しているとともに、後述するコイルバネ50のアーム部53を支持する受け部31aが前記操作用リブ33から延在している。さらに、前記レバー本体31の内側縁部には、後述する可動接触片40を落とし込んで組み付けるための嵌合溝34が形成されている。前記嵌合溝34の内側面には可動接触片40のガタツキを防止するための位置決め用リブ35を突設してある。
【0015】
可動接触片40は、図2および図5Bに示すように、棒状導電性バネ材の中央部を曲げ起こすとともに、その両端部を曲げ起こして形成した角部を可動接点部41,42としてある。そして、前記可動接触片40は、前記操作レバー30の嵌合溝34に落とし込んで組み付けられる。なお、可動接触片40は断面円形の棒材に限らず、例えば、断面方形、断面6角形の棒材であってもよい。
【0016】
コイルバネ50は、図2に示すように、可動接触片40に接触圧を付与するとともに、操作レバー30に復帰力を付与するためのものである。そして、円筒状のコイル部51の両端から一対のアーム部52,53を、略直角方向に相互に平行となるようにそれぞれ延在してある。特に、前記アーム部52の先端は下方側に折り曲げられている。
【0017】
カバー60は、図2に示すように、外周縁部の隣り合う3辺を折り曲げて側壁61,62,63を形成することにより、前記ベース10を被覆可能な略方形の平面形状を有する。そして、側壁61,62,63の下辺縁部には係合用爪部61a,62a,63aをそれぞれ突設してある。また、側壁61,62の間に位置する角部、および、側壁61,63の間に位置する角部には、係合用切り欠き部64a,64bがそれぞれ形成されている。
【0018】
本実施形態にかかるスイッチを組み立てるには、図2および図4に示すように、固定端子20,24,27をインサート成形したベース10の凹所11に、操作レバー30の操作レバー本体31を嵌合する。そして、前記操作レバー本体31に設けた嵌合溝34に可動接触片40を落とし込み、可動接触片40の可動接点部41,42を固定接点部21,25,28に接離可能に組み込む。ついで、前記操作レバー本体31内にコイルバネ50のコイル部51を嵌合することにより、アーム部53が操作レバー30の支持部31aに載置されるとともに、アーム部52,53が支持用突部14および操作用リブ33の一方側に位置する。そして、前記ベース10にカバー60を上方から被せ、前記コイルバネ50のコイル部51の下半分を押し下げて圧縮する。このとき、アーム部52は操作用リブ33に係止している(図4A)。そして、前記アーム部52を弾性変形させて操作用リブ33を乗り越えさせた後(図4B)、カバー60をガイド用段部16に沿ってスライド移動させることにより、コイル部51全体を押し下げる。そして、前記カバー60の係止用爪部61a,62a,63aを折り曲げ、切り欠き部18a,18b,18aにそれぞれ係止することにより、組立が完了する(図4C)。本実施形態では、カバー60の係合用切り欠き部64a,64bがベース10の抜け止め用突部17,17にそれぞれ係合するので、カバー60はベース10から抜け落ちにくい。
【0019】
本実施形態によれば、カバー60でコイルバネ50を押圧,圧縮することにより、可動接触片40が付勢され、可動接点部41,42が固定接点部21,25,28に所定の接点圧で接触可能となり、所望の接触信頼性を確保できる。
また、本実施形態では、ベース10に操作レバー30、可動接触片40、コイルバネ50等の部品を上方から組み付けることができるので、製造が容易になるという利点がある。
【0020】
次に、前述のスイッチの操作方法について図6および図7に基づいて説明する。
まず、図6Aに示すように、操作レバー30のレバー部32に負荷が付与されていない場合、可動接触片40の可動接点部41,42がいずれも固定接点部21に接触している。そして、左方向からレバー部32に外力が負荷されると、側壁12のリブ15a,15b,15cに支持された操作レバー30が時計回り方向に回動し、側壁12の一端部に当接して停止する。このとき、アーム部53が支持用突部14に係止しているので、コイルバネ50のバネ力に抗し、操作レバー30の操作用リブ33がアーム部52を押圧し、コイル部51を捩る。このため、操作レバー30に反時計回り方向の付勢力が発生するとともに、可動接点部42が固定接点部21から固定接点部28に切り換わり、共通固定接点端子20と切換用固定接点端子27とが導通する。そして、操作レバー30に対する負荷を解除すると、コイルバネ50のバネ力で操作レバー30が元の状態に復帰するとともに、可動接点部42が固定接点部28から固定接点部21に切り換わり、元の状態に復帰する。
【0021】
一方、図7Aに示すように、右方向からレバー部32に外力が負荷されると、側壁12のリブ15a,15b,15cに支持された操作レバー30が反時計回り方向に回動し、側壁12の一端部に当接して停止する。このとき、アーム部52が支持用突部14に係止しているので、コイルバネ50のバネ力に抗し、操作レバー30の操作用リブ33がアーム部53を押圧し、コイル部51を捩る。このため、操作レバー30に時計回り方向の付勢力が発生するとともに、可動接点部41が固定接点部21から固定接点部25に切り換わり、共通固定接点端子20と切換用固定接点端子24とが導通する。そして、操作レバー30に対する負荷を解除すると、コイルバネ50のバネ力で操作レバー30が元の状態に復帰するとともに、可動接点部41が固定接点部25から固定接点部21に切り換わり、元の状態に復帰する。
【0022】
本実施形態では、図8Aに示すように、操作レバー30の回動中心30cからコイルバネ50の回動中心50cが偏心しているとともに、前記コイルバネ50が揺動可能に支持されている。このため、図8Bに示すように、操作レバー30を回動中心30cを支点として回動し、操作用リブ33でアーム部52を押圧すると、コイルバネ50のコイル部51が突部14を支点として揺動する。この結果、図8Bに示すように、操作レバー30の回動角度Xよりもアーム部52,53の開き角度Yは小さい。これに対し、図8C,8Dに示す比較例から明らかなように、操作レバー30の回動中心とコイルバネ50の回動中心とが同一である場合には、操作レバー30の回動角度Zとアーム部52,53の開き角度Zとが等しい。このため、本実施形態によれば、操作レバー30の回動角度を同一とした場合に、比較例よりも小さな操作力で操作できるとともに、コイルバネ50の応力が小さくなり、疲労しにくくなるので、寿命が伸びるという利点がある。
【0023】
本発明にかかる第2実施形態は、図9ないし図11に示すように、第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、共通固定接点端子20、切換用固定接点端子24,27、および、可動接触片40の形状である。
【0024】
すなわち、図10に示すように、ベース10の底面にインサート成形されている共通固定接点端子20、切換用固定接点端子24,27の固定接点部21,25,28は、不連続な環状の突状を形成するように突き出し加工で形成されている。
【0025】
また、可動接触片40は、図11に示すように、棒状導電性バネ材から単に切り出したものであり、両端部を可動接点部41,42としてある。
【0026】
本実施形態によれば、可動接触片40を高い寸法精度で複雑な形状に折り曲げる必要がなくなり、製造がより一層容易になり、生産性が向上するという利点がある。なお、基本的構造は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、前述のスイッチに限らず、他の形態のスイッチにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかるスイッチの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1で示したスイッチの分解斜視図である。
【図3】図3Aは図2で示したベースの斜視図、図3Bは図3Aで示した固定接点端子だけの斜視図である。
【図4】図4Aないし図4Cは本発明にかかるスイッチの組立方法説明するための斜視図である。
【図5】図5Aはカバーを外したスイッチの平面図、および、図5Bは図5Aのベースにカバーを取り付けた状態のA−A線断面図である。
【0029】
【図6】図6Aないし図6Cは本発明にかかるスイッチの操作方法を説明するための平面図である。
【図7】図7Aないし図7Cは本発明にかかるスイッチの他の操作方法を説明するための平面図である。
【図8】図8Aおよび図8Bは本発明にかかるスイッチの動作を説明するための概略図であり、図8Cおよび図8Dは比較例にかかるスイッチの動作を説明するための概略図である。
【図9】本発明にかかるスイッチの第2実施形態を示す斜視図である。
【図10】図10Aは図9で示したベースの斜視図、図10Bは図10Aで示した固定接点端子の斜視図である。
【図11】図11Aはカバーを外したスイッチの平面図、および、図11Bは図11Aのベースにカバーを取り付けた状態のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10:ベース
11:凹所
12:側壁
13:補強用突部
14:支持用突部
20:共通固定接点端子
21:共通固定接点部
22:端子部
24,27:切換用固定接点端子
25,28:切換用固定接点部
26,29:端子部
30:操作レバー
30c:回動中心
31:レバー本体
32:レバー部
33:操作用リブ
34:嵌合溝
35:位置決め用リブ
40:可動接触片
41,42:可動接点部
50:コイルバネ
50c:回動中心
51:コイル部
52,53:アーム部
60:カバー
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に、プリント基板等に表面実装するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等に表面実装するスイッチとしては、例えば、回転ハンドル体2を回転させ、復帰用ばね体3を捩って前記回転ハンドル体2に復帰力を付与するとともに、弾性金属薄板をプレス成形した異形の可動接触ばね4を回転させ、接点を開閉するスイッチがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−362979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えば、特許文献1の図2および図6から明らかなように、前記スイッチでは回転ハンドル体2と復帰用ばね体3との回動軸心が同一である。このため、回転ハンドル体2の回転角度と復帰用ばね体3の端部3a,3bの開き角度とが常に同一である。この結果、操作しやすくために前記回転ハンドル体2の操作角度を大きくしようとすると、復帰用ばね体3の端部3a,3bの開き角度が大きくなり、大きな操作力が必要となる。さらに、前記復帰用ばね体3に対する負荷が大きくなり、疲労しやすくなるので、寿命が短いという問題点がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑み、小さな操作力で操作できるとともに、寿命の長いスイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかるスイッチは、前記課題を解決すべく、複数の固定接点端子をインサート成形し、かつ、上面に前記固定接点端子の固定接点部を同心円状に露出させたベースと、レバー部の軸心上に回動軸心を配置し、かつ、前記ベースの上面に沿って回動可能に支持された操作レバーと、両端に配置した可動接点部を前記固定接点部に対してそれぞれ摺動可能に配置した可動接触片と、コイル部の軸心を前記操作レバーの回動軸心から偏心させた位置に配置し、前記コイル部の一端側から延在したアーム部をベースの上面に係止し、前記コイル部を揺動可能に支持する一方、前記コイル部の他端側から延在したアーム部を前記操作レバーに係止し、前記可動接触片を前記ベースの上面に押圧して接点圧を付与するとともに、前記操作レバーに復帰力を付与するコイルバネと、からなり、前記操作レバーを前記コイルバネのバネ力に抗して回動することにより、一体に回動する前記可動接触片の可動接点部を前記固定接点部に接離し、電気回路を切り換える構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、揺動可能に支持されたコイルバネの回動軸心が操作レバーから偏心している。このため、操作レバーを回動させてコイルバネのアーム部を回動させると、コイルバネのコイル部が揺動し、操作レバーの回動角度よりもコイルバネのアーム部の開き角度が小さい。このため、コイルバネのバネ力が操作レバーの回動角度に正比例せず、小さな操作力で操作レバーを操作できる。
また、コイルバネのアーム部の開き角度が小さいので、コイルバネに対する負荷が小さく、疲労しにくいので、寿命の長いスイッチが得られるという効果がある。
【0007】
本発明にかかる実施形態としては、コイルバネの両端側から延在した一対のアーム部が、操作レバーの操作用リブを挟持可能に延在していてもよい。
本実施形態によれば、コイルバネと操作レバーとの間にガタツキが生じないので、応答速度にタイムラグがなく、応答性に優れたスイッチが得られる。
【0008】
本発明にかかる他の実施形態としては、ベースに係止したアーム部の係止位置が、操作レバーの操作用リブに係止したアーム部の係止位置よりも、操作レバーの回動軸心に近い位置に配置してもよい。
【0009】
本実施形態によれば、操作レバーに突設した操作用リブに基づくアーム部に対する曲げモーメントが、ベースに係止したアーム部に対する曲げモーメントよりも大きくなる。このため、コイルバネが揺動しやすくなり、円滑な操作感触が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明にかかる実施形態を図1ないし図11の添付図面に従って説明する。
第1実施形態は、図1ないし図8に示すように、プリント基板に表面実装する小型のスイッチに適用した場合である。
すなわち、前記スイッチは、図2に示すように、共通固定接点端子20および一対の切換用固定接点端子24,27を底面にインサート成形した平面略方形のベース10と、前記ベース10の上面に沿って回動可能に支持される操作レバー30と、屈曲した棒状導電性バネ材からなり、かつ、前記操作レバー30の嵌合溝34に落とし込んで組み込まれる可動接触片40と、前記可動接触片40を押圧して接点圧を付与するコイルバネ50と、前記ベース10を被覆し、前記コイルバネ50を圧縮するカバー60と、で構成されている。
【0011】
なお、実際に組み立てた製品の一例では、全体高さ0.9mm、ベース幅4.0mm、ベース長さ3.9mmの外形寸法を有している。
【0012】
前記ベース10は、図3に示すように、その上面中央部に浅い円形の凹所11を形成するとともに、その開口縁部に沿って略C字形状の側壁12を突設してある。前記凹所11の底面の中央部には、後述するカバー60の変形を防止するための補強用突部13、および、後述するコイルバネ50のアーム部51,52を回り止めするための支持用突部14を突設してある。また、前記凹所11の底面の周辺隅部に沿って、インサート成形された共通固定接点端子20および切換用固定接点端子24,27の固定接点部21,25,28が、不連続かつ同心円状にそれぞれ露出している。さらに、前記側壁12の内周面には、後述する操作レバー30の回動を支持するための位置決め用リブ15a,15b,15cが所定のピッチで突設されている。そして、前記側壁12の対向する外側面にはガイド用段部16がそれぞれ形成されているとともに、その上端面角部に抜け止め用突部17,17が形成されている。なお、前記前記ベース10の下面縁部には、後述するカバー60の係止用爪部を係止するための切り欠き部18a,18bが形成されている。
【0013】
共通固定接点端子20は、図3Bに示すように、ベース10の凹所11の底面から露出する共通固定接点部21の両側縁部を曲げ起こして端子部22,22を形成してある。また、切換用固定接点端子24,27は、ベース10の凹部11の底面から露出する切換用固定接点部25,28の片側縁部を曲げ起こして端子部26,29を形成してある。さらに、切換用固定接点部25,28の角部25a,28aは、インサート成形後の浮き上がりを防止するために下方に折り曲げられている。
【0014】
操作レバー30は、図2および図5Aに示すように、前記ベース10の凹所11に回動可能に嵌合できるリング状レバー本体31と、前記レバー本体31の外周面に突設したレバー部32とで構成されている。前記レバー本体31の内側面には、レバー部32の軸心上に位置するように操作用リブ33が突設しているとともに、後述するコイルバネ50のアーム部53を支持する受け部31aが前記操作用リブ33から延在している。さらに、前記レバー本体31の内側縁部には、後述する可動接触片40を落とし込んで組み付けるための嵌合溝34が形成されている。前記嵌合溝34の内側面には可動接触片40のガタツキを防止するための位置決め用リブ35を突設してある。
【0015】
可動接触片40は、図2および図5Bに示すように、棒状導電性バネ材の中央部を曲げ起こすとともに、その両端部を曲げ起こして形成した角部を可動接点部41,42としてある。そして、前記可動接触片40は、前記操作レバー30の嵌合溝34に落とし込んで組み付けられる。なお、可動接触片40は断面円形の棒材に限らず、例えば、断面方形、断面6角形の棒材であってもよい。
【0016】
コイルバネ50は、図2に示すように、可動接触片40に接触圧を付与するとともに、操作レバー30に復帰力を付与するためのものである。そして、円筒状のコイル部51の両端から一対のアーム部52,53を、略直角方向に相互に平行となるようにそれぞれ延在してある。特に、前記アーム部52の先端は下方側に折り曲げられている。
【0017】
カバー60は、図2に示すように、外周縁部の隣り合う3辺を折り曲げて側壁61,62,63を形成することにより、前記ベース10を被覆可能な略方形の平面形状を有する。そして、側壁61,62,63の下辺縁部には係合用爪部61a,62a,63aをそれぞれ突設してある。また、側壁61,62の間に位置する角部、および、側壁61,63の間に位置する角部には、係合用切り欠き部64a,64bがそれぞれ形成されている。
【0018】
本実施形態にかかるスイッチを組み立てるには、図2および図4に示すように、固定端子20,24,27をインサート成形したベース10の凹所11に、操作レバー30の操作レバー本体31を嵌合する。そして、前記操作レバー本体31に設けた嵌合溝34に可動接触片40を落とし込み、可動接触片40の可動接点部41,42を固定接点部21,25,28に接離可能に組み込む。ついで、前記操作レバー本体31内にコイルバネ50のコイル部51を嵌合することにより、アーム部53が操作レバー30の支持部31aに載置されるとともに、アーム部52,53が支持用突部14および操作用リブ33の一方側に位置する。そして、前記ベース10にカバー60を上方から被せ、前記コイルバネ50のコイル部51の下半分を押し下げて圧縮する。このとき、アーム部52は操作用リブ33に係止している(図4A)。そして、前記アーム部52を弾性変形させて操作用リブ33を乗り越えさせた後(図4B)、カバー60をガイド用段部16に沿ってスライド移動させることにより、コイル部51全体を押し下げる。そして、前記カバー60の係止用爪部61a,62a,63aを折り曲げ、切り欠き部18a,18b,18aにそれぞれ係止することにより、組立が完了する(図4C)。本実施形態では、カバー60の係合用切り欠き部64a,64bがベース10の抜け止め用突部17,17にそれぞれ係合するので、カバー60はベース10から抜け落ちにくい。
【0019】
本実施形態によれば、カバー60でコイルバネ50を押圧,圧縮することにより、可動接触片40が付勢され、可動接点部41,42が固定接点部21,25,28に所定の接点圧で接触可能となり、所望の接触信頼性を確保できる。
また、本実施形態では、ベース10に操作レバー30、可動接触片40、コイルバネ50等の部品を上方から組み付けることができるので、製造が容易になるという利点がある。
【0020】
次に、前述のスイッチの操作方法について図6および図7に基づいて説明する。
まず、図6Aに示すように、操作レバー30のレバー部32に負荷が付与されていない場合、可動接触片40の可動接点部41,42がいずれも固定接点部21に接触している。そして、左方向からレバー部32に外力が負荷されると、側壁12のリブ15a,15b,15cに支持された操作レバー30が時計回り方向に回動し、側壁12の一端部に当接して停止する。このとき、アーム部53が支持用突部14に係止しているので、コイルバネ50のバネ力に抗し、操作レバー30の操作用リブ33がアーム部52を押圧し、コイル部51を捩る。このため、操作レバー30に反時計回り方向の付勢力が発生するとともに、可動接点部42が固定接点部21から固定接点部28に切り換わり、共通固定接点端子20と切換用固定接点端子27とが導通する。そして、操作レバー30に対する負荷を解除すると、コイルバネ50のバネ力で操作レバー30が元の状態に復帰するとともに、可動接点部42が固定接点部28から固定接点部21に切り換わり、元の状態に復帰する。
【0021】
一方、図7Aに示すように、右方向からレバー部32に外力が負荷されると、側壁12のリブ15a,15b,15cに支持された操作レバー30が反時計回り方向に回動し、側壁12の一端部に当接して停止する。このとき、アーム部52が支持用突部14に係止しているので、コイルバネ50のバネ力に抗し、操作レバー30の操作用リブ33がアーム部53を押圧し、コイル部51を捩る。このため、操作レバー30に時計回り方向の付勢力が発生するとともに、可動接点部41が固定接点部21から固定接点部25に切り換わり、共通固定接点端子20と切換用固定接点端子24とが導通する。そして、操作レバー30に対する負荷を解除すると、コイルバネ50のバネ力で操作レバー30が元の状態に復帰するとともに、可動接点部41が固定接点部25から固定接点部21に切り換わり、元の状態に復帰する。
【0022】
本実施形態では、図8Aに示すように、操作レバー30の回動中心30cからコイルバネ50の回動中心50cが偏心しているとともに、前記コイルバネ50が揺動可能に支持されている。このため、図8Bに示すように、操作レバー30を回動中心30cを支点として回動し、操作用リブ33でアーム部52を押圧すると、コイルバネ50のコイル部51が突部14を支点として揺動する。この結果、図8Bに示すように、操作レバー30の回動角度Xよりもアーム部52,53の開き角度Yは小さい。これに対し、図8C,8Dに示す比較例から明らかなように、操作レバー30の回動中心とコイルバネ50の回動中心とが同一である場合には、操作レバー30の回動角度Zとアーム部52,53の開き角度Zとが等しい。このため、本実施形態によれば、操作レバー30の回動角度を同一とした場合に、比較例よりも小さな操作力で操作できるとともに、コイルバネ50の応力が小さくなり、疲労しにくくなるので、寿命が伸びるという利点がある。
【0023】
本発明にかかる第2実施形態は、図9ないし図11に示すように、第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は、共通固定接点端子20、切換用固定接点端子24,27、および、可動接触片40の形状である。
【0024】
すなわち、図10に示すように、ベース10の底面にインサート成形されている共通固定接点端子20、切換用固定接点端子24,27の固定接点部21,25,28は、不連続な環状の突状を形成するように突き出し加工で形成されている。
【0025】
また、可動接触片40は、図11に示すように、棒状導電性バネ材から単に切り出したものであり、両端部を可動接点部41,42としてある。
【0026】
本実施形態によれば、可動接触片40を高い寸法精度で複雑な形状に折り曲げる必要がなくなり、製造がより一層容易になり、生産性が向上するという利点がある。なお、基本的構造は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、前述のスイッチに限らず、他の形態のスイッチにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかるスイッチの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1で示したスイッチの分解斜視図である。
【図3】図3Aは図2で示したベースの斜視図、図3Bは図3Aで示した固定接点端子だけの斜視図である。
【図4】図4Aないし図4Cは本発明にかかるスイッチの組立方法説明するための斜視図である。
【図5】図5Aはカバーを外したスイッチの平面図、および、図5Bは図5Aのベースにカバーを取り付けた状態のA−A線断面図である。
【0029】
【図6】図6Aないし図6Cは本発明にかかるスイッチの操作方法を説明するための平面図である。
【図7】図7Aないし図7Cは本発明にかかるスイッチの他の操作方法を説明するための平面図である。
【図8】図8Aおよび図8Bは本発明にかかるスイッチの動作を説明するための概略図であり、図8Cおよび図8Dは比較例にかかるスイッチの動作を説明するための概略図である。
【図9】本発明にかかるスイッチの第2実施形態を示す斜視図である。
【図10】図10Aは図9で示したベースの斜視図、図10Bは図10Aで示した固定接点端子の斜視図である。
【図11】図11Aはカバーを外したスイッチの平面図、および、図11Bは図11Aのベースにカバーを取り付けた状態のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10:ベース
11:凹所
12:側壁
13:補強用突部
14:支持用突部
20:共通固定接点端子
21:共通固定接点部
22:端子部
24,27:切換用固定接点端子
25,28:切換用固定接点部
26,29:端子部
30:操作レバー
30c:回動中心
31:レバー本体
32:レバー部
33:操作用リブ
34:嵌合溝
35:位置決め用リブ
40:可動接触片
41,42:可動接点部
50:コイルバネ
50c:回動中心
51:コイル部
52,53:アーム部
60:カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に固定接点端子の固定接点部を同心円状に露出させたベースと、
レバー部の軸心上に回動軸心を配置し、かつ、前記ベースの上面に沿って回動可能に支持された操作レバーと、
両端に配置した可動接点部を前記固定接点部に対してそれぞれ摺動可能に配置した可動接触片と、
コイル部の軸心を前記操作レバーの回動軸心から偏心させた位置に配置し、前記コイル部の一端側から延在したアーム部をベースの上面に係止し、前記コイル部を揺動可能に支持する一方、前記コイル部の他端側から延在したアーム部を前記操作レバーに係止し、前記可動接触片を前記ベースの上面に押圧して接点圧を付与するとともに、前記操作レバーに復帰力を付与するコイルバネと、からなり、
前記操作レバーを前記コイルバネのバネ力に抗して回動することにより、一体に回動する前記可動接触片の可動接点部を前記固定接点部に接離し、電気回路を切り換えることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
コイルバネの両端側から延在した一対のアーム部が、操作レバーの操作用リブを挟持可能に延在していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
ベースに係止したアーム部の係止位置が、操作レバーの操作用リブに係止したアーム部の係止位置よりも、操作レバーの回動軸心に近いことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ。
【請求項1】
上面に固定接点端子の固定接点部を同心円状に露出させたベースと、
レバー部の軸心上に回動軸心を配置し、かつ、前記ベースの上面に沿って回動可能に支持された操作レバーと、
両端に配置した可動接点部を前記固定接点部に対してそれぞれ摺動可能に配置した可動接触片と、
コイル部の軸心を前記操作レバーの回動軸心から偏心させた位置に配置し、前記コイル部の一端側から延在したアーム部をベースの上面に係止し、前記コイル部を揺動可能に支持する一方、前記コイル部の他端側から延在したアーム部を前記操作レバーに係止し、前記可動接触片を前記ベースの上面に押圧して接点圧を付与するとともに、前記操作レバーに復帰力を付与するコイルバネと、からなり、
前記操作レバーを前記コイルバネのバネ力に抗して回動することにより、一体に回動する前記可動接触片の可動接点部を前記固定接点部に接離し、電気回路を切り換えることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
コイルバネの両端側から延在した一対のアーム部が、操作レバーの操作用リブを挟持可能に延在していることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
ベースに係止したアーム部の係止位置が、操作レバーの操作用リブに係止したアーム部の係止位置よりも、操作レバーの回動軸心に近いことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−112671(P2008−112671A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295826(P2006−295826)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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