説明

スイッチ

【課題】プッシュノブを照明する光源からの光がプッシュノブとケースとの隙間から漏れないようにする。
【解決手段】プッシュノブ10、20と、光源73からの光をプッシュノブ10、20に導いて、プッシュノブ10、20を裏側から照明するレンズ90とを備えるスイッチ1において、レンズ90を、上面に光の出射面が設けられた本体部91と、本体部91から離間した位置に前記光の入射面92cを配置し、入射面92cから入射した光を本体部91に導く延出部92とから構成し、光源73から発光される光の光路に沿って、光源73からレンズ90の入射面92cまでの範囲に、光路を囲う筒状壁67を設けた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュノブが照明されるようにしたスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
プッシュノブが照明されるようにしたスイッチとして、例えば特許文献1に開示されたものがある。
この特許文献1には、プッシュノブを照明する複数の光源からの光が、プッシュノブとライトガイドとの隙間から漏れないようにするために、遮光弾性発泡体を設けて隙間を塞ぐようにしたものが開示されている。
【特許文献1】特開2000−113760号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1のスイッチでは、遮光弾性発泡体は、プッシュノブとライトガイドとの隙間に挿入されており、プッシュノブが操作されるたびにライトガイドとの接触面を摺動する。そのため、遮光弾性発泡体の摺動部分が経時的に劣化し、遮光性が損なわれるおそれがあった。
【0004】
本発明は、プッシュノブが照明されるようにしたスイッチにおいて、光漏れを好適に防止できようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ノブと、光源からの光をノブの裏面に導いて、ノブを裏面側から照明するレンズと、を備えるスイッチにおいて、レンズは、ノブ側に光の出射面を有し、光源から発光される光の光路に沿って、光源からレンズの入射面までの範囲に、光路を囲う筒状壁を設けたことを特徴とするスイッチとした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光路を囲う筒状壁により、光源から発光された光は、拡散することなく、レンズの入射面まで確実に導かれてレンズに入射するので、光源からの光が、レンズの入射面以外の部分に照射されて、光漏れが起こることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施例を説明する。
図1は、実施形態にかかるスイッチの平面図であり、図2は、図1に示すスイッチの分解斜視図であり、図3は、図1におけるA−A線断面図であり、図4は、レンズの平面図であり、図5は、図1におけるB−B線断面図である。
【0008】
図1に示すように、実施形態にかかるスイッチ1は、リング形状のプッシュノブ10および円形のプッシュノブ20が上面に露出させて設けられたスイッチであり、例えば車両用ハンドルに埋め込まれて、車載機器の操作などに用いられる。
プッシュノブ10は、周方向に沿って90度間隔で被操作位置が設けられた4方向スイッチであり、例えば本実施形態では、図中「□」で示す領域a〜dに、ユーザが機器を操作するために押圧する被操作位置が設定されている。
プッシュノブ10は、図中点線で囲むリング状の領域α内が、スイッチ1内部に設けた光源からの光が照射されて照明される面とされている。
プッシュノブ20は、上面全体が被操作部とされており、中央の点線で囲む円形領域β内が照明される面とされている。なお、プッシュノブ10およびプッシュノブ20はともに、光透過性のある樹脂材料から形成されている。
【0009】
図2に示すように、スイッチ1は、アッパケース30とロアケース40とからなる本体ケース内に、ベース50、ラバコンシート60、そしてプリント基板70などが設けられて構成される。
プッシュノブ10は、ジョイント80を介してベース50に取り付けられ、レンズ90は、ジョイント80の内側で、プッシュノブ20とラバコンシート60との間で挟み込まれた状態で配置される。
【0010】
アッパケース30は、上面視において矩形形状を有しており、中央部にプッシュノブ10およびプッシュノブ20の上面を露出させる開口31が設けられている。
【0011】
図3に示すように、プッシュノブ10では、中央部に形成された開口11を全周に亘って囲む内壁12が、発光面10aとは反対側の面から下方向(レンズ90の方向)に延出して設けられており、プッシュノブ10の外周縁にも、内壁12と同方向に伸びる外壁13が、内壁12を所定間隔で囲むように設けられている。
外壁13の延出長さh1は、内壁12の延出長さh2よりも短く設定されており、外壁13の下端には、径方向外側に延出するフランジ部14が形成されている。フランジ部14は、上面視においてプッシュノブ10の外壁13の全周に亘って形成されており、フランジ部14の下面14aは、後記するプッシュロッド100をプリント基板70側に押圧する押圧面となる。
【0012】
図2に示すように、プッシュノブ10では、外壁13の下端から下方向に突出させて取付部15が設けられている。
取付部15は、上面視において、開口11を挟んで対向する位置(周方向180度位置)、具体的には図1におけるY−Y線と外壁13とが交差する位置に設けられており、取付部15の孔15aに、後記するジョイント80の外側突起82を径方向の内側から外側に挿通させることで、ジョイント80に支持される。
これにより、プッシュノブ10は、ジョイント80において一軸周りに揺動可能に支持される。
【0013】
図3に示すように、プッシュノブ20は、有底の円筒形状を有しており、上壁部24の周縁から下方向に伸びる周壁部21の下端には、径方向外側に延びるフランジ部22が全周に亘って形成されている。
周壁部21の長さh3は、プッシュノブ10の内壁12の長さh2よりも長く形成されており、スイッチ1において、プッシュノブ10の内壁12の下端が、プッシュノブ20のフランジ部22の上面に載置された状態で、プッシュノブ10と、プッシュノブ20とが組み付けられるようになっている。
【0014】
また、周壁部21の外周面には、軸方向(図3において上下方向)に延びる突起23が、計三カ所、周方向に沿って90度間隔で設けられている(図2参照)。突起23は、プッシュノブ20の上壁部24の発光面20aとは反対側の面からフランジ部22までの範囲に形成されている。
この突起23は、プッシュノブ10の内壁12に形成されたガイド溝16(図2参照)と整合する幅で形成されており、突起23は、プッシュノブ10の開口11内に配置されたプッシュノブ20が、上下移動するときのガイドとして機能する。
【0015】
ジョイント80は、上面視においてリング形状を有しており、中央の開口81を挟んで対向する位置、具体的には図1におけるY−Y線とジョイント80とが交差する位置の下端には、径方向外側に突出する円柱形状の外側突起82が設けられている。
図3に示すように、ジョイント80の外径は、プッシュノブ10の外壁13の内径よりも小さく設定されており、ジョイント80とプッシュノブ10とを組み付けた際に、断面視において、ジョイント80の少なくとも上側半分が、プッシュノブ10の外壁13に囲まれた空間内に配置されるようになっている。
【0016】
さらに、ジョイント80の内周面では、開口81を挟んで対向する位置、具体的には図1におけるX−X線とジョイント80とが交差する位置の下端に、径方向内側に突出する円柱形状の内側突起83が設けられている。
ここで、内側突起83は、外側突起82から、ジョイント80の周方向に90度オフセットした位置に設けられており、内側突起83を、後記するベース50に設けられたジョイント取付部54の孔54aに、径方向外側から内側に挿通させることで、ジョイント80が、ベース50において一軸周りに揺動可能に支持されるようになっている。
【0017】
ここで、ジョイント80の揺動軸(図1においてX−X線で示す軸)と、プッシュノブ10の揺動軸(図2においてY−Y線で示す軸)とは、互いに直交しているので、プッシュノブ10が組み付けられたジョイント80をベース50に取り付けると、プッシュノブ10は、図1においてX−X線で示す軸と、Y−Y線で示す軸の2軸周りに揺動可能となる。
よって、プッシュノブ10は、周方向において90度おきに被操作位置(図中「□」示す)が設定された4方向スイッチとして機能することになる。
【0018】
図4は、レンズ90をロアケース40側から見た平面図である。
レンズ90は、平面視において略円形形状の本体部91と、本体部91の端部から接線方向に延出する延出部92とを備えている。
【0019】
図3に示すように、レンズ90では、本体部91の上側の面が、後記する光源73から入射した光を、プッシュノブ10およびプッシュノブ20に向けて出射する出射面とされている。
本体部91の中央部には、プッシュノブ20の周壁部21の内径と整合する外径の円柱部93が、上方に延出して形成されており、円柱部93の上端面93aが、上方に位置するプッシュノブ20に向けて光を出射する出射面となっている。
さらに、円柱部93を囲むようにリング形状の凹溝94が形成されており、凹溝94は、プッシュノブ20の下端に形成されたフランジ部22を支持する支持部となっている。
また、リング状の凹溝94を囲む周壁部95は、下端から所定距離離間した位置から上方に進むに従って縮径すると共に、円柱部93の上端面93aを超えた位置からさらに大きく縮径しており、プッシュノブ10に向けて光を出射する出射面95a、95bを成している。
【0020】
本体部91の下面91aには、円柱形状の開口96と、開口96を囲むように設けられた円筒形状の被支持部97が設けられている。
被支持部97の下端97aは、本体部91の下面91aよりも下方に突出しており、後記するスイッチ65の被押圧部65bで支持されている。
【0021】
図4および図5に示すように、レンズ90の延出部92では、先端部に、プリント基板70側に突出する突出部92aが設けられており、突出部92aの下端面が、光源73から照射された光が入射する入射面92cとされている。突出部92aの上面は、テーパ面92dとされており、入射面92cから入射した光が、テーパ面92dで反射されて、進行方向を延出部92の本体部91側に変えられたのちに、延出部92内で反射を繰り返しながら本体部91側に向けて導かれるようになっている。
なお、本体部91内に導かれた光は、本体部91内を反射しながら本体部91の全体に行き渡ったのち、上方に設けた出射面93a、95a、95b(図3参照)から、それぞれ対応するプッシュノブ20、プッシュノブ10に向けて出射されるようになっている。
ここで、突出部92aのプリント基板70側への突出高さは、プッシュノブ20が操作されてレンズ90がプリント基板70側に移動しても、延出部92の下面が筒状壁67と干渉しない高さに設定されていることが好ましい。筒状壁67の劣化を防止するためである。
【0022】
図2および図3に示すように、ベース50の上壁部51の中央部には、レンズ90を内側に収容する開口52が設けられており、この開口52の周縁には、上方に延出する周壁部53が、全周に亘って設けられている。
図2に示すように、周壁部53の開口52を挟んで対向する位置(周方向180度位置)、具体的には図1におけるX−X線と周壁部53とが交差する位置に、ジョイント取付部54が設けられており、ジョイント取付部54は、側面視において曲面形状を成す上端部を周壁部53の上端よりも上方に突出させて設けられている。
ジョイント取付部54には、ジョイント80の内側突起83を挿通させる孔54aが形成されており、ジョイント80は、ベース50において1軸周りに揺動可能に支持される。
【0023】
ベース50の周壁部53の外周面には、周方向に沿って90度間隔で、プッシュロッド取付部55が、径方向外側に延出して設けられている。
図6に示すように、プッシュロッド取付部55は、ベース50の上壁部51から上方に突出して形成されており、後記するプッシュロッド100の押圧部100aを収容する収容部56を内側に形成すると共に、プッシュロッド100の軸100bを挿通する挿通孔57が、上下方向に貫通して設けられている。
【0024】
プッシュロッド100は、押圧部100aを、後記するスイッチ64の上に載置させ、軸100bの上端をプッシュノブ10のフランジ部14の下面14aに当接させて設けられており、図中上下方向に移動可能に設けられている。
本実施形態では、プッシュロッド取付部55は、プッシュノブ10に設定された被操作位置a〜dに対応させて設けられている。
【0025】
さらに、図2および図5に示すように、上壁部51において、レンズ90の延出部92の直上に位置する範囲には、プッシュノブ10側に突出する遮光壁部58が形成されている。
遮光壁部58は、延出部92の入射面92cの直上の位置から、延出部92の上方の全域に亘って、延出部92との接触を避けつつ延出部92を覆うように設けられており、入射面92cから入射した光が、延出部92の上部から漏出しても、漏出した光が、遮光壁部58で遮られて、プッシュノブ10に直接照射されないようにするために設けられている。
漏出した光がプッシュノブ10に直接照射されると、照射された部分の明るさが他の部分の明るさと異なり、プッシュノブ10の明るさにバラツキが生じてしまうからである。
【0026】
ベース50は、上壁部51の周縁からロアケース40側に延出した周壁部51aを、ロアケース40の周壁部41にインロー嵌合させて、ロアケース40に取り付けられる。そして、その状態で、アッパケース30の周壁部32を、ベース50の周壁部51aにインロー嵌合させることで、アッパケース30とロアケース40とからなるスイッチ1の本体ケースが形成される。
【0027】
図3に示すように、ラバコンシート60は、ロアケース40内に配置されたプリント基板70の周縁に、周壁部61を外嵌させて、プリント基板70に載置されている。
ラバコンシート60は、プリント基板70に載置される載置部62と、載置部62同士を繋ぐ上壁部63と、スイッチ64、65と、プリント基板70上に設けられた光源73を保護するための筒状壁67(図5参照)とを備えており、これらは可撓性と弾性に優れたゴム系の材料から一体に形成されている。
【0028】
図6に示すように、載置部62は、プリント基板70上に露出する固定接点71、72、および光源73(図5参照)を囲むように設けられている。
【0029】
スイッチ64は、プリント基板70の表面に露出する固定接点71と、下面に固定接点71と対になる可動接点66が設けられた円筒部64aと、円筒部64aの上に設けられて、円筒部64aよりも一回り大きい直径を有する略円筒形状の被押圧部64bと、被押圧部64bの下端側の周縁から載置部62側に延出する周壁部64cとから構成される。
【0030】
周壁部64cは、被押圧部64bから離れるにつれて内径が広くなるように形成されており、その先端は載置部62に接続している。周壁部64cは、プリント基板70から上方に所定距離離間した位置に被押圧部64bを位置させて、その下端に接続する円筒部64aの可動接点66と、プリント基板70の固定接点71とを離間させる。
【0031】
スイッチ64は、被押圧部64bでプッシュロッド100をプッシュノブ10側に付勢した状態で配置される。
ユーザによるプッシュノブ10の操作により、プッシュノブ10が押し下げられてプッシュロッド100がプリント基板70側に押し込まれると、プッシュロッド100は、スイッチ64をプリント基板70側に付勢する。
この際、周壁部64cが撓んで変形し、円筒部64aと被押圧部64bをプリント基板70側へ移動させるので、スイッチ64は、円筒部64aの可動接点66がプリント基板70の固定接点71と接触するまで、プリント基板70側に移動する。
また、プッシュノブ10の押し下げが終了すると、ラバコンシート60は弾性に富む材料から構成されているので、周壁部64cの復元力により、被押圧部64bがプッシュロッド100を持ち上げながら上方に移動して、円筒部64aの下端に設けられた可動接点66を、プリント基板70の固定接点71から離間させる。
【0032】
図7の(a)は、ラバコンシート60のスイッチ65を説明する拡大断面図であり、(b)は、スイッチ65の被押圧部65bの上面に形成された突起65eの配置を説明する図であって、図1に示したスイッチ1において、プッシュノブ20とレンズ90とを外して、プッシュノブ10の開口11内にスイッチ65を露出させた状態を示した図である。
【0033】
図7に示すように、スイッチ65は、被押圧部65bの形状のみが、前記したスイッチ64と大きく異なる。スイッチ65の被押圧部65bの上端部には、上面視において、中心から周縁部に掛けて傾斜する傾斜面65dが設けられており、スイッチ65の上端部が、円錐形状を成している。
傾斜面65dには、周縁から所定距離離れた位置に、上方に延びる可撓性の突起65eが形成されている。
【0034】
図7の(b)に示すように、突起65eは、上面視において、被押圧部65bの周方向に沿って所定間隔で合計4つ設けられており、これら突起65eは、プッシュノブ10の4つの被操作位置a〜dのうち、開口11を挟んで対向している二つの被操作位置同士を結ぶ線分(図7の(b)の場合は、線分I、II)を横切るように設けられている。
【0035】
スイッチ65は、突起65eを、レンズ90の被支持部97の下端97aに当接させて、レンズ90をプッシュノブ20側に付勢した状態で配置されている。
そのため、スイッチ65の突起65eは、設置状態において若干撓んでいる(図7の(a)参照)。
これにより、レンズ90は、スイッチ65とプッシュノブ20との間で挟み込まれた状態で配置されて、レンズ90のガタツキが生じないようにされている。
【0036】
ここで、レンズ90の下側は、被支持部97と当接するスイッチ65のみで支持されており、被支持部97は上面視においてレンズ90の本体部91の中心を支持している。よって、レンズ90は、被支持部97を中心として、360度方向の何れにも、傾くことができるようになっている。
ここで、図3に示すように、プッシュノブ20は、レンズ90の本体部91における中央に載置されているので、プッシュノブ20が操作された際には、レンズ90は、真下に位置するスイッチ65のみをプリント基板70側に移動させる。
【0037】
一方、プッシュノブ10は、その内壁12を、レンズ90の周縁側の凹溝94に係止させた状態で設けられているので、プッシュノブ10の被操作位置a〜dの何れかが押されると、その際にプッシュノブ10に作用した押圧力は、内壁12からレンズ90に伝わって、レンズ90を、押し込まれた被操作位置a〜dの方向に傾ける力として作用する。
【0038】
例えば、図3において、図中左側に示したプッシュノブ10の部分がプリント基板70側に押されると、プッシュノブ10の内壁12が、レンズ90の左側をプリント基板70側に押し下げて、レンズ90が左側に傾けられる。
【0039】
ここで、スイッチ65の被押圧部65bに可撓性の突起65e(図7参照)が設けられているので、レンズ90の傾きを突起65eがより撓むことで吸収し、レンズ90を傾ける力が、スイッチ65をプリント基板70側に移動させる力として、スイッチ65に作用しないようにして、スイッチ65の誤作動を防止している。
【0040】
ここで、本実施形態では、スイッチ65の被押圧部65bは、上端部が円錐形状とされており、中心から周縁に向かう傾斜が設けられている。そのため、この傾斜の分だけ、突起65e撓み代が確保されるので、突起65eを上方に大きく突出させなくても、レンズ90の傾きを十分に吸収できるようになっている。
また、図7の(b)に示すように、突起65eは、被押圧部65bの上端面の中心Oとプッシュノブ10に設定された被操作位置a〜dとを結ぶ線分I、IIを横切るように設けられており、中心Oから見て、プッシュノブ10に設定された被操作位置a〜dにより決まるレンズ90の傾倒方向に位置している。
【0041】
本実施形態では、プッシュノブ10は4方向スイッチであるので、図8に示すように、ラバコンシート60の中央のスイッチ65を中心として90度間隔でスイッチ64が設けられている。
ラバコンシート60において、スイッチ64およびスイッチ65は、それぞれプリント基板の固定接点71、72と整合する位置に設けられている。
【0042】
また、ラバコンシート60では、プリント基板70の光源73に対応する位置に筒状壁67が設けられている。
図5に示すように、筒状壁67は、光源73から発光される光の光路に沿って、光源73からレンズ90の入射面92cまでの範囲に、光路の周りを所定間隔で囲むように設けられている。光源73から照射された光を、拡散させずに入射面92cに入射させるためである。
筒状壁67の、レンズ90側の端部は、光源73の出射面73aの形状、またはレンズ90の入射面92cの形状と略整合する形状の開口を残すように縮径されている。
また、筒状壁67は、ラバコンシート60と一体に形成されており、筒状壁67のプリント基板70からの高さh4は、プッシュノブ20の操作によりレンズ90がプリント基板70側に押し込まれていない状態の時に、レンズ90の入射面92cのプリント基板70からの高さと略同じ高さとなるように設定されている。
【0043】
プリント基板70の上方の筒状壁67で囲まれた空間68内では、保護壁69が、光源73から発光される光の光路を横切るように設けられて、空間68内を、光源73側の空間68aと、入射面92c側の空間68bとに区画している。
保護壁69は、ラバコンシート60の他の部分よりも非常に薄く形成されており、光源73から発光された光を透過可能な厚みで、ラバコンシート60と一体に形成されている。
筒状壁67と保護壁69とプリント基板70とにより囲まれて、隔離された空間68a内に光源73を収容配置することで、光源73にゴミや汚れが付着しないようにしている。
【0044】
図2に示すように、プリント基板70には、図示しない配線が設けられており、上面70aに、ラバコンシート60の可動接点66と対になる固定接点71、72と、LEDからなる光源73とが設けられている。
プリント基板70において固定接点71は、プッシュノブ10の4つの被操作位置a〜dの真下であってスイッチ64の可動接点66に対向する位置で、表面に露出しており、固定接点72は、プッシュノブ20の真下であって、スイッチ65の可動接点66に対向する位置で、表面に露出している。
プリント基板70には、図示しないコネクタ端子が接続されており、コネクタ端子の出力に基づいて、プッシュノブ20と、プッシュノブ10の4つの被操作位置a〜dのうちの何れの被操作位置が操作されたのか、そしてその操作時間などが検出できるようになっている。
【0045】
光源73は、プリント基板70上に一つのみ設けられており、光源73の直上に位置するレンズ90の受光面に向けて光を照射する。
【0046】
以上の通り、本実施例では、プッシュノブ10、20と、光源73からの光をプッシュノブ10、20に導いて、プッシュノブ10、20を裏側から照明するレンズ90と、を備えるスイッチ1において、レンズ90は、プッシュノブ10、20側に、プッシュノブ20に向けて光を出射する出射面93aと、プッシュノブ10に向けて光を出射する出射面95a、95bとを有し、光源73から発光される光の光路に沿って、光源73からレンズ90の入射面92cまでの範囲に、光路を囲う筒状壁67を設けた構成とした。
これにより、光路を囲う筒状壁67により、光源73から発光された光は、拡散することなく、レンズ90の入射面92cまで確実に導かれてレンズ90に入射するので、光源73からの光が、レンズ90以外の部分に照射されて、光漏れが起こることがない。
さらに、照明するプッシュノブの真下に光源を設ける必要がないので、光源の代わりにプッシュノブの操作を検知するスイッチを、プッシュノブの真下に配置できるので、プッシュノブが操作されたことを精度良く検知できるようになる。
また、光漏れを防止する筒状壁67は、スイッチ1内に設けられた可動部材と直接接していないので、筒状壁67が経時的に劣化して、光漏れを起こすことがない。よって、従来例に係るスイッチのように、遮光性が経時的に損なわれることがない。
【0047】
筒状壁67で囲まれた空間68内では、光透過性の保護壁69が、光源73からレンズ90の入射面92cに向かう光路を横切って設けられており、光源73が、光源73が載置されたプリント基板70と筒状壁67と保護壁69とから形成される空間68a内に収容されている構成とした。
これにより、光源73は、筒状壁67と保護壁69とプリント基板70とにより囲まれて隔離された空間68a内に収容配置されるので、光源73にゴミや汚れが付着することがない。
【0048】
レンズ90は、出射面93a、95a、95bがプッシュノブ10、20側の面に設けられた本体部91と、本体部91から離間した位置に光の入射面92cを配置すると共に入射面92cから入射した光を本体部91に導く延出部92とからなり、スイッチ1のアッパケース30とロアケース40とからなる本体ケース内には、レンズ90の延出部92のプッシュノブ10、20側の面を覆う位置に遮光壁部58が設けられている構成とした。
これにより、レンズ90の延出部92の入射面92cから入射した光が、延出部92の上部から漏出しても、漏出した光が、遮光壁部58で遮られて、上方に位置するプッシュノブ10、20に直接照射されないので、照明されたプッシュノブ10の明るさにバラツキが生じることがない。
また、遮光壁部58を設けることで、光源をプッシュノブ10、20の下方の空いたスペースに配置できる。よって、スイッチの設計の自由度が向上する。また、プッシュノブ10、20の下方を避けて光源を設ける必要もないので、スイッチの小型化が可能になる。
また、レンズ90が、入射面92cから入射した光を本体部91に導く延出部92を備えているのでプッシュノブ10、20の照明のために複数の光源を設ける必要がない。よって、スイッチ1の製造コストを低減させることができる。
【0049】
筒状壁67は、プッシュノブ10、20の操作を検知するスイッチ64、65が形成されたラバコンシート60と一体に形成されている構成とした。
筒状壁67をラバコンシート60と一体に形成したので、筒状壁67を別体に設ける場合に比べて、筒状壁67を位置精度良く配置することができる。また、一度に筒状壁67とスイッチ64、65が形成されたラバコンシート60が得られるので、製造の手間が省けて、スイッチの製造コストの低減に寄与できる。
【0050】
また、筒状壁67は、可撓性と弾性に優れたゴム系の材料から形成されているので、プッシュノブ10の操作によりレンズ90が押し下げられた際に、筒状壁67がレンズ90の延出部92によりプリント基板70側に押されても、筒状壁67が容易に撓むので、レンズ90の移動が阻害されることがない。
また、筒状壁67が可撓性と弾性に優れた材料から形成されているので、レンズ90の移動により筒状壁67の伸縮が繰り返されても、伸縮による疲労で筒状壁67が簡単に壊れることがない。
【0051】
前記実施形態では、筒状壁67が円筒形状を有する場合を例に挙げて説明をしたが、光源73からの光を、確実にレンズ90の入射面92cまで導くことができれば、例えば図9の(a)に示すように、断面視において蛇腹形状の筒状壁を採用しても良い。
この場合も、前記実施形態の場合と同様の作用・効果が奏されることになる。
【0052】
さらに、前記実施形態では、筒状壁67のレンズ90側の端部が、レンズ90の入射面92cの形状と略整合する形状の開口を残すように縮径されている場合を例示したが、光源73からの光を確実に入射面92cに入射できる限り、例えば図9の(b)に示すように、入射面92cよりも上側に、入射面92cよりも直径の大きい段差部92eを形成し、筒状壁67のレンズ90側の端部を、この段差部92eに外嵌させて設けるようにしても良い。
このようにすることによっても、光源73からの光を確実に入射面92cに導くことができるので、光漏れを防止することができる。
【0053】
また、光源73は、プリント基板70上にひとつのみ設けられている構成とした。
これにより、本体部91と延出部92とを備えるレンズ90と組み合わせることで、ひとつの光源からの光で総てのプッシュノブが照明できる。
よって、スイッチ1が備えるべき光源の数はひとつのみで済むので、複数の光源を備えるスイッチに比べて、製造コストが低減される。
【0054】
特に、スイッチ1では、プッシュノブが少なくとも二つ設けられており、レンズ90の本体部91のプッシュノブ側の面には、それぞれ対応するプッシュノブ10、20に光を出射する出射面95a、95b、93aが設けられている構成とした。
これにより、照明するプッシュノブが複数設けられている場合であっても、スイッチ1が、ひとつの光源とひとつのレンズを備えるだけで、総てのプッシュノブを照明することができる。よって、プッシュノブ毎に、光源とレンズを用意する必要がないので、スイッチの製造コストの低減や、スイッチの小型化が可能になる。
【0055】
前記実施形態では、筒状壁67、スイッチ64、65などが形成されたラバコンシートは、ゴム系の材料から構成される場合を例示したが、可撓性と弾性に優れた材料であれば、例えば樹脂系の材料から構成するようにしても良い。
【0056】
さらに、前記実施形態では、円形のプッシュノブ20を囲むプッシュノブ10が、リング形状の場合を例示したが、例えば図1においてリング形状のプッシュノブ10を線分X−X、Y−Yに沿って4分割し、4分割したプッシュノブが、プッシュノブ20を囲むように設けられたスイッチとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係るスイッチの平面図である。
【図2】実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】実施形態に係るスイッチのレンズを説明する図である。
【図5】図1におけるB−B線断面図である。
【図6】図3の部分拡大図である。
【図7】スイッチを説明する図である。
【図8】ラバコンシートを説明する図である。
【図9】筒状壁の変形例を説明する図である。
【符号の説明】
【0058】
1 スイッチ
10 プッシュノブ
20 プッシュノブ
30 アッパケース
40 ロアケース
50 ベース
60 ラバコンシート
64 スイッチ
65 スイッチ(第1のスイッチ)
65d 傾斜面
65e 突起(可撓性の突起)
67 筒状壁
69 保護壁
70 プリント基板(基板)
73 光源
80 ジョイント
90 レンズ
91 本体部
92 延出部
93 円柱部
94 凹溝
95 周壁部
96 開口
97 被支持部
100 プッシュロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノブと、
光源からの光を前記ノブの裏面に導いて、前記ノブを裏面側から照明するレンズと、を備えるスイッチにおいて、
前記レンズは、前記ノブ側に光の出射面を有し、
前記光源から発光される光の光路に沿って、前記光源から前記レンズの入射面までの範囲に、前記光路を囲う筒状壁を設けたことを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記筒状壁で囲まれた空間内では、光透過性の保護壁が、前記光路を横切って設けられており、前記光源が、前記光源が載置された基板と前記筒状壁と前記保護壁とから形成される空間内に収容されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記レンズは、前記出射面を有する本体部と、前記本体部から離間させた位置に前記入射面を配置すると共に、前記入射面から入射した光を前記本体部に導く延出部とから成り、前記スイッチのケース内には、前記延出部の前記ノブ側を覆う遮光壁が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記筒状壁は、前記ノブの操作を検知するスイッチを構成する部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記筒状壁は、断面視において蛇腹形状を有していることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記筒状壁は、可撓性の材料から形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスイッチ。
【請求項7】
前記光源は、ひとつのみ設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか一項に記載のスイッチ。
【請求項8】
前記ノブは、少なくとも二つ設けられており、
前記レンズの前記ノブ側には、それぞれ対応するノブに光を出射する出射面が設けられていることを特徴とする請求項7に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−3592(P2010−3592A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162601(P2008−162601)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】