説明

スイッチ

【課題】部品点数,組立工数が少なく、接点の開閉を瞬時にできる小型のスイッチを提供することにある。
【解決手段】ベース10に組み付けた支持端子21と、断面略J字形状の帯状導電材で、一端部に可動接点31を有し、中間部を前記支持端子21の回動用受け部24に回動可能に支持した可動接触片30と、ベース10にハウジング60を嵌合して形成した内部空間内に上下動可能に収納されたプランジャ40と、一端部に強制乖離用屈曲部53を有し、プランジャ40に回動自在に支持されたコイルバネ50と、からなるスイッチである。特に、プランジャ40を上下動させて前記コイルバネ50の一端部を可動接触片30の他端縁部に圧接しつつ、スライド移動させ、可動接触片30を反転させて可動接点31を固定接点26に接離するとともに、強制乖離用屈曲部53の先端部を可動接触片30の他端縁部に係止し、可動接触片30の可動接点31に剪断力を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に、押圧操作で接点を開閉できるスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、押圧操作で接点を開閉できるスイッチとしては、例えば、下記のようなスイッチ構造がある(特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、ボタン14の操作によって可動端子37を上下方向に往復移動させ、前記可動端子37の両端部に配置した可動接点41,41を、これらに対向する固定接点45,45にそれぞれ接離させるスイッチ構造である。
【特許文献1】特開平10−208581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のスイッチ構造では、前記可動端子37を保持スプリング46および復帰スプリング47で支持する必要があるため、部品点数,組立工数が多く、コスト高になる。
また、前記可動端子37はボタン14の操作に追従するので、可動端子37の変位速度、すなわち、接点の開閉速度はボタン14の操作速度にほぼ等しく、接点の開閉を瞬時に行うことができない。この結果、大電流の接点を開閉する際の接点摩耗を防止するために接触面積の大きい接点が必要になり、スイッチを小型化できないという問題点がある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、部品点数,組立工数が少なく、接点の開閉を瞬時に行うことができる小型のスイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるスイッチは、前記課題を解決すべく、ベースに組み付けた支持端子と、断面略J字形状に屈曲した帯状導電材からなり、一端部に可動接点を有するとともに、中間部を前記支持端子の回動用受け部に回動可能に支持した可動接触片と、前記ベースにハウジングを嵌合して形成した内部空間内に上下動可能に収納されたプランジャと、一端部に強制乖離用屈曲部を有し、かつ、前記プランジャに回動自在に支持されたコイルバネと、からなり、前記プランジャを上下動させて前記コイルバネの一端部を前記可動接触片の他端縁部に圧接しつつ、スライド移動させることにより、前記可動接触片を反転させて前記可動接点を固定接点に接離するとともに、前記強制乖離用屈曲部の先端部を前記可動接触片の他端縁部に係止し、前記可動接触片の可動接点に剪断力を付与する構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1つのコイルバネでプランジャを往復移動させて接点を開閉できるので、部品点数,組立工数が少なくなり、コストを低減できる。
また、前記可動接触片はコイルバネのバネ力で瞬時に反転し、接点の開閉速度が著しく増大するので、接点摩耗を防止するために接触面積の大きい接点を使用する必要がなくなり、スイッチを小型化できる。
さらに、コイルバネの強制乖離用屈曲部が可動接触片の他端部に係止し、可動接点に剪断力を付与するため、接点溶着を解消できる。
【0008】
本発明に係る実施形態としては、可動接触片の他端縁部の中央を内側に切り曲げ、コイルバネの強制乖離用屈曲部に係止可能な強制乖離用舌片を形成してもよい。
本実施形態によれば、可動接触片に設けた強制乖離用舌片にコイルバネの強制乖離用屈曲部が確実に係止し、前記可動接触片に剪断力および曲げモーメントを付与し、接点溶着を効果的に解消できるという利点がある。
【0009】
本発明に係る実施形態としては、可動接触片の他端縁部に切り欠き部を形成する一方、コイルバネの一端部を略U字形状に屈曲し、かつ、先端部を前記切り欠き部の内側面縁部に係止する強制乖離用屈曲部を形成してもよい。
本実施形態によれば、前記屈曲部の先端部が可動接触片の内側面に係止することにより、前記可動接触片に大きな剪断力を早期に付与するとともに、前記可動接触片に曲げモーメントを付与するので、接点溶着を解消できる。
また、可動接触片の一端部に強制乖離用舌片を切り曲げる必要がなく、前記可動接触片の生産工数が少なくなり、生産性が向上するという利点がある。
【0010】
本発明に係る実施形態としては、可動接触片の他端縁部全体を内側面側に屈曲して形成した強制乖離用舌片に、コイルバネの強制乖離用屈曲部を、係止可能としてもよい。
本実施形態よれば、コイルバネの強制乖離用屈曲部を可動接触片の強制乖離用舌片の先端縁部に係止し、前記可動接触片に早期に大きな剪断力を付与するとともに、前記可動接触片に曲げモーメントが作用し、接点溶着を効果的に解消する。
また、可動接触片の巾広の強制乖離用舌片にコイルバネの強制乖離用屈曲部が係止するので、脱落しにくく、信頼性が高いという利点がある。
【0011】
本発明に係る実施形態としては、可動接触片の他端縁部全体を外側面側に屈曲して強制乖離用舌片を形成するとともに、その中央部に切り欠き部を形成する一方、コイルバネの一端部を前記切り欠き部に係合するとともに、前記強制乖離用舌片に強制乖離用屈曲部を係止可能としてもよい。
本実施形態によれば、コイルバネの一端部が可動接触片の切り欠き部に係合するとともに、前記強制乖離用屈曲部の先端部が強制乖離用舌片に係止する。このため、前記コイルバネが可動接触片から脱落しにくいだけでなく、前記可動接触片に大きな剪断力を早期に付与するとともに、前記可動接触片を引き起こす曲げモーメントが作用する。この結果、接点溶着を効果的に解消できるという利点がある
【0012】
本発明に係る実施形態としては、可動接触片の他端縁部の中央を内側に切り曲げ、強制乖離用舌片を形成する一方、コイルバネの一端部を略C字形状に屈曲して強制乖離用屈曲部を形成し、前記強制乖離用舌片に前記強制乖離用屈曲部を係止可能としてもよい。
本実施形態によれば、前記コイルバネの強制乖離用屈曲部を可動接触片の強制乖離用舌片の先端縁部に係止することにより、前記強制乖離用屈曲部は前記強制乖離用舌片から脱落しにくい。特に、前記コイルバネのバネ力が、前記屈曲部の先端縁部に大きな剪断力として早期に作用するとともに、前記可動接触片に曲げモーメントが作用し、接点溶着を確実に解消できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明にかかる実施形態を図1ないし図20の添付図面に従って説明する。
第1実施形態に係るスイッチは、図1ないし図11に示すように、ベース10と、前記ベース10に組み付けられる2組の接点機構20,20と、一対のコイルバネ50,50およびロックピン35を備え、前記接点機構20,20を操作するプランジャ40と、前記ベース10に嵌合して前記接点機構20,20を被覆するとともに、前記プランジャ40を上下動可能に支持するハウジング60と、で構成されている。
【0014】
前記ベース10は、図2に示すように、その上面中央に突設した隔壁11の一端部側から一対の絶縁壁12,12を同一直線上に突設してある一方、その他端部側の延長線上に係合溝13を配置し、さらに、前記係合溝13の他端部側から一対の絶縁壁14,14を同一直線上に突設してある。また、前記絶縁壁12,14の近傍に圧入用角孔15,16をそれぞれ配置してある。さらに、前記ベース10の対向する外側面に係合用突起17,17をそれぞれ設けてある。そして、図5に示すように、前記ベース10の底面には、後述するロックピン35を後付けするため、前記係合溝13に連通する挿入孔18を形成してある。前記挿入孔18の内側面には、前記ロックピン35に係合する係合突起18a、および、前記ロックピン35を抜け止めするための抜け止め用爪部18bを突設してある。
【0015】
接点機構20は、図2に示すように、支持端子21、固定接点端子25および可動接触片30からなるものである。前記支持端子21は、断面L字形状に屈曲した導電材からなり、その一端部のうち、隣り合う縁部から圧入用舌片22,22を延在してあるとともに、その一端部の残る縁部から起立片23を延在してある。そして、前記起立片23の先端縁部を切り欠いて回動用受け部24を形成してある。さらに、前記支持端子21は、その圧入用舌片22,22を前記ベース10の圧入用角孔15,15にそれぞれ圧入して組み付けられる。
【0016】
また、固定接点端子25は、断面略L字形状に屈曲した導電部からなり、その一端部に固定接点26を設けてあるとともに、その一端部の両側縁部から圧入用舌片27,27をそれぞれ延在してある。そして、前記固定接点端子25は、その圧入用舌片27,27を前記ベース10の圧入用角孔16,16に圧入して組み付けられる。
【0017】
さらに、可動接触片30は、断面略J字形状に屈曲した帯状導電材からなり、その一端部に可動接点31を設けてある一方、その他端部の先端面を内側に切り曲げて強制乖離用舌片32を形成してある。そして、前記可動接触片30は、その両側縁部を切り欠いて形成した巾狭部33を支持端子21の回動用受け部24に係合することにより、回動自在に支持される(図3B)。
【0018】
ロックピン35は、棒状金属材の両端部を反対方向にそれぞれ屈曲して上、下端部36,37をそれぞれ形成してある。
【0019】
プランジャ40は、図2に示すように、前記ベース10の対向する絶縁壁12,14間に収納可能な平面形状を有し、その上面中央部から操作部41を突設してある。さらに、前記プランジャ40は、その正面および背面に、コイルバネ50,50を側方から挿入して支持する軸部42が点対称となるように形成されている。また、前記プランジャ40は、その外側面にカム溝43を上下方向に形成してある。前記カム溝43は、前記ロックピン35を介して前記プランジャ40を所定の位置でロックするためのものである。さらに、前記プランジャ40は、図3Aに示すように、その下面に押圧用突部45を前記軸部42と平行に突設してある。そして、前記コイルバネ50の両端部51,52を内側に撓ませて前記プランジャ40の軸部42に挿入することにより、その一端部51が前記プランジャ40の縁部40aに圧接するとともに、その他端部52がプランジャ40の天井面に圧接する。なお、前記コイルバネ50の一端部51を略直角に屈曲して強制乖離用屈曲部53を形成してある。
【0020】
ハウジング60は、図2に示すように、前記接点機構20および前記プランジャ40を組み付けたベース10の外周部に嵌合可能な箱形状を有し、その上面中央に設けた操作孔61の開口縁部に平面方形の環状リブ62を設けてある。さらに、前記ハウジング60は、その下方開口縁部に一対の係合孔63を対向するように設けてある。そして、前記ハウジング60は、図1Bに示すように、その内側面に、下端部を可動接触片30に当接して位置規制する位置決め用突条64と、プランジャ40の軸部42に係合し、かつ、前記コイルバネ50に側方から圧接して位置決めする位置決め用突条65と、を突設してある。
【0021】
次に、第1実施形態に係るスイッチの組立方法について説明する。
まず、コイルバネ50を軸部42に装着したプランジャ40をハウジング60に組み付ける。これにより、前記ハウジング60の内側面に設けた位置決め用突条65がプランジャ40の嵌合溝46に嵌合するとともに、前記コイルバネ50を側方から押圧し、位置決めする。そして、接点機構20を組み付けたベース10に、前記ハウジング60を上方から組み付ける。これにより、コイルバネ50の一端部51に設けた強制乖離用屈曲部53が可動接触片30の強制乖離用舌片32上をスライド移動する。さらに、前記プランジャ40を押し下げることにより、コイルバネ50の強制乖離用屈曲部53が強制乖離用舌片32の先端縁部を乗り越えて係止し、可動接触片30を引き起こすように付勢し、可動接点31が固定接点26から開離する。そして、ベース10の係合用突起17にハウジング60の係合孔63が係合することにより、組立が完了する。
本実施形態によれば、コイルバネ50の強制乖離用屈曲部53が可動接触片30の強制乖離用舌片32上をスライド移動し、コイルバネ50と可動接触片30とが自動的に組み付けられるので、組立に熟練を必要とせず、生産性が高いという利点がある。
【0022】
次に、前記ロックピン35の組み付け方法について説明する。
図5に示すベース10の底面に設けた挿入孔18に、係合突起18aを避けるようにロックピン35を傾けて挿入した後、前記ロックピン35を垂直に引き起こし、係合溝13から突出させ、下端部37を弾性爪部18bに係合して抜け止めすることにより、上端部36をプランジャ40のカム溝43に係合する。
本実施形態によれば、ロックピン35を後付けできるので、組立が容易となり、生産性が向上する。
【0023】
次に、第1実施形態に係るスイッチの操作方法について説明する。
まず、図6Aに示すように、操作前においては、コイルバネ50のバネ力でプランジャ40が上方に付勢されている。一方、前記コイルバネ50の一端部51が可動接触片30の強制乖離用舌片32を押し下げている。しかし、前記可動接触片30の一端部がハウジング60の内側面に突設した位置規制用突条64(図1B)の下端部に当接して位置規制されるので、脱落することがない。このとき、図6Dに示すように、ロックピン35の上端部36はプランジャ40のカム溝43の初期領域44aに位置している。
【0024】
そして、前記プランジャ40の操作部41を押し下げると、コイルバネ50が撓むとともに、その一端部51が可動接触片30の強制乖離用舌片32上をスライドしつつ(図6C)、前記可動接触片30を引き起こす方向に付勢する一方、押圧用突部45が可動接触片30の一端部を押し下げる。このとき、ロックピン35の上端部36がカム溝43の初期領域44aから第1,第2傾斜溝44b,44cを移動する。さらに、プランジャ40の操作部41を押し込むことにより、コイルバネ50の一端部51が所定の位置を越えると、コイルバネ50の一端部51が強制乖離用舌片32を介して可動接触片30を押し倒す方向に付勢する。このため、可動接触片30が回動用受け部24を支点として瞬間的に回動し、可動接点31が固定接点26に接触する(図6C)。
【0025】
ついで、プランジャ40の操作部41を最下位まで押し込むことにより(図7A)、ロックピン35の上端部36が第3傾斜溝44dに達する(図7C)。そして、プランジャ40の押圧を解除すると、コイルバネ50のバネ力でプランジャ40が上方に押し上げられるが、ロックピン35の上端部36がロック位置44eで係止し(図7D)、プランジャ40の上方への復帰を規制し、ロック状態となる。このため、コイルバネ50の一端部51が可動接触片30を押し倒すように付勢し続け、可動接点31が固定接点26に接触し続ける(図7B)。
【0026】
次に、前述のロック状態(図8A,8C)を解除する場合には、プランジャ40の操作部41を一段深く押し下げることにより(図8B)、ロックピン35の上端部36がロック位置から第4傾斜溝44fに移動し、ロック状態が解除される(図8D)。ついで、前記操作部41への押圧を解除すると、コイルバネ50が可動接触片30を押し倒す方向に付勢しつつ、プランジャ40を上方に押し上げ(図9A)、ロックピン35の上端部36が第5傾斜溝44gを通過して第1傾斜溝44bに復帰する(図9D)。さらに、プランジャ40が元の位置に自動復帰すると、コイルバネ50の一端部51が所定の位置から可動接触片30を引き起こす方向に付勢し、可動接触片30が回動用受け部24を支点として瞬間的に回動し、可動接点31が固定接点26から開離する(図9B)。さらに、可動接触片30が回動し、その一端部がプランジャ40の押圧用突部45に当接した後、プランジャ40が上昇する。ついで、可動接触片30の一端部がハウジング60の内側面に設けた位置規制用突条64に当接して位置規制される。そして、ロックピン35の上端部36が初期領域44aに復帰する(図9E)。
【0027】
万一、可動接点31が固定接点26に溶着した場合には、図10および図11に示すように、プランジャ40の操作部41に対する押圧を解除すると、コイルバネ50の他端部52が前記操作部41を押し上げるとともに、その一端部51に設けた強制乖離用屈曲部53が可動接触片30の強制乖離用舌片32の縁部に係止し、引き起こすように付勢する(図10B)。このため、固定接点26と可動接点31とが溶着しても、コイルバネ50のバネ力に基づく水平分力が剪断力として作用し、接点溶着を破断する(図11A)。この結果、可動接点31が固定接点26から開離し、コイルバネ50の一端部51のバネ力で可動接触片30が引き起こされ、可動接点31が固定接点26から開離し(図11B)、誤動作を防止できる。
【0028】
なお、第1実施形態に係るスイッチは、ロックピン35を後付けせず、単なるプッシュスイッチとして使用してもよいことは勿論である。
【0029】
第2実施形態は、図12および図13に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は可動接触片30の他端部の先端面に切り欠き部34を形成する一方、コイルバネ50の一端部51を略U字形状に屈曲して強制乖離用屈曲部53を形成した点である。他は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分については同一番号を附し、説明は省略する。
本実施形態によれば、前記屈曲部53の先端部が可動接触片30の切り欠き部34の内側面縁部に係止することにより、前記可動接触片30に大きな剪断力を早期に付与するとともに、前記可動接触片30に曲げモーメントが作用するので、接点溶着を効果的に解消できる。
また、可動接触片30の一端部に強制乖離用舌片を切り曲げる必要がなく、前記可動接触片30の生産工数が少なくなり、生産性が向上するという利点がある。
【0030】
第3実施形態は、図14および図15に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は可動接触片30の他端縁部全体を内側に屈曲して強制乖離用舌片32を形成する一方、コイルバネ50の一端部51を略直角に屈曲して強制乖離用屈曲部53を形成した点である。
本実形態によれば、コイルバネ50の強制乖離用屈曲部53で可動接触片30の強制乖離用舌片32の先端縁部に係止し、前記可動接触片30に早期に大きな剪断力を付与するとともに、前記可動接触片30に曲げモーメントが作用し、接点溶着を効果的に解消する。
また、可動接触片30の巾広の強制乖離用舌片32にコイルバネ50の強制乖離用屈曲部53が係止するので、脱落しにくく、信頼性が高いという利点がある。
【0031】
第4実施形態は、図16および図17に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は可動接触片30の他端縁部を外側に屈曲して強制乖離用舌片32を形成するとともに、その先端面の中央部を切り欠いて切り欠き部34を形成した点である。さらに、別の異なる点は、コイルバネ50の一端部51を略直角に屈曲して強制乖離用屈曲部53を形成した点である。
本実形態によれば、コイルバネ50の一端部51が可動接触片30の切り欠き部34に係合するとともに、前記屈曲部53の先端部が強制乖離用舌片32に係止する。このため、前記コイルバネ50の一端部51が可動接触片30から脱落しにくいだけでなく、前記可動接触片30に大きな剪断力を早期に付与するとともに、引き起こすための曲げモーメントが作用する。この結果、接点溶着を効果的に解消できるという利点がある。
【0032】
第5実施形態は、図18および図19に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は可動接触片30の他端部における先端面中央部を切り曲げて強制乖離用舌片32を形成する一方、コイルバネ50の一端部51を略C字形状に屈曲して強制乖離用屈曲部53を形成した点である
本実形態によれば、前記コイルバネ50の屈曲部53を可動接触片30の強制乖離用舌片32の先端縁部に係止することにより、前記屈曲部53が脱落しにくい。特に、前記コイルバネ50のバネ力が、前記屈曲部53の先端縁部に大きな剪断力として早期に作用するとともに、前記可動接触片30を引き起こす曲げモーメントとして作用し、接点溶着を効果的に解消できるという利点がある。
【実施例】
【0033】
本発明の第1実施形態にかかるスイッチについて、コイルバネ50のバネ力が作用する動作位置および剪断力を測定した。測定結果を図20に示す。
【0034】
図20から明らかなように、正常に動作したときに接点の導通状態が無くなる位置であるリリースポジション(RP)から可動接点に剪断力が作用し始め、プランジャ40が完全に復帰した位置であるフリーポジション(FP)まで可動接点に剪断力が作用することが判った。特に、前記剪断力は前記リリースポジションから前記フリーポジションまで大きな剪断力が作用するので、効果的に接点溶着を解消できることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るスイッチは、前述のスイッチのようにベースに2組の接点機構を配置したものに限らず、1組の接点機構を配置したものであってもよい。
また、プランジャ40の押圧用突部45は、必要に応じて前述の実施形態のいずれかに設けてもよく、もしも不要であれば、設けなくともよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1Aおよび図1Bは本発明に係るスイッチの第1実施形態を示す斜視図および部分断面斜視図である。
【図2】図1で示したスイッチの分解斜視図である。
【図3】図3A,3Bは図2で示したプラジャーおよびベースの斜視図である。
【図4】図1で示したスイッチのハウジングを外した斜視図である。
【図5】図1で示したスイッチの部分破断斜視図である。
【図6】図6A,6B,6Cは操作過程を示す断面図、図6D,6Eはカム機構の動作を示す部分拡大図である。
【図7】図7A,7Bは図6に続く操作過程を示す断面図、図7C,7Dは図6に続くカム機構の動作を示す部分拡大図である。
【図8】図8A,8Bは図7に続く操作過程を示す断面図、図8C,8Dは図7に続くカム機構の動作を示す部分拡大図である。
【図9】図9A,9B,9Cは図8に続く操作過程を示す断面図、図9D,9Eは図8に続くカム機構の動作を示す部分拡大図である。
【図10】図10A,10Bは操作過程を示す断面図である。
【図11】図10に続く操作過程を示す断面図である。
【図12】図12A,12Bは本発明に係るスイッチの第2実施形態を示す平面図,断面図である。
【図13】図13A,13Bは第2実施形態にかかるコイルバネ,可動接触片を示す斜視図である。
【図14】図14A,14Bは本発明に係るスイッチの第3実施形態を示す平面図,断面図である。
【図15】図15A,15Bは第3施形態にかかるコイルバネ,可動接触片を示す斜視図である。
【図16】図16A,16Bは本発明に係るスイッチの第4施形態を示す平面図,断面図である。
【図17】図17A,17Bは第5実施形態にかかるコイルバネ,可動接触片を示す斜視図である。
【図18】図18A,18Bは本発明に係るスイッチの第6実施形態を示す平面図,断面図である。
【図19】図19A,19Bは第6実施形態にかかるコイルバネ,可動接触片を示す斜視図である。
【図20】本発明に係るスイッチの実施例および従来例に係るスイッチの動作特性を示すグラフ図である。
【符号の説明】
【0037】
10:ベース
11:隔壁
12,14:絶縁壁
13:係合溝
15,16:圧入用角孔
18:挿入孔
18a:係合突起
18b:抜け止め用爪部
20:接点機構
21:支持端子
24:回動用受け部
25:固定接点端子
26:固定接点
30:可動接触片
31:可動接点
32:強制乖離用舌片
33:巾狭部
34:切り欠き部
35:ロックピン
36:上端部
37:下端部
40:プランジャ
41:操作部
42:軸部
43:カム溝
50:コイルバネ
51:一端部
52:他端部
53:強制乖離用屈曲部
60:ハウジング
61:操作孔
64:位置規制用突条
65:位置決め用突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに組み付けた支持端子と、
断面略J字形状に屈曲した帯状導電材からなり、一端部に可動接点を有するとともに、中間部を前記支持端子の回動用受け部に回動可能に支持した可動接触片と、
前記ベースにハウジングを嵌合して形成した内部空間内に上下動可能に収納されたプランジャと、
一端部に強制乖離用屈曲部を有し、かつ、前記プランジャに回動自在に支持されたコイルバネと、からなり、
前記プランジャを上下動させて前記コイルバネの一端部を前記可動接触片の他端縁部に圧接しつつ、スライド移動させることにより、前記可動接触片を反転させて前記可動接点を固定接点に接離するとともに、前記強制乖離用屈曲部の先端部を前記可動接触片の他端縁部に係止し、前記可動接触片の可動接点に剪断力を付与することを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
可動接触片の他端縁部の中央を内側に切り曲げ、コイルバネの強制乖離用屈曲部に係止可能な強制乖離用舌片を形成したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
可動接触片の他端縁部に切り欠き部を形成する一方、コイルバネの一端部を略U字形状に屈曲し、かつ、先端部を前記切り欠き部の内側面縁部に係止する強制乖離用屈曲部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項4】
可動接触片の他端縁部全体を内側面側に屈曲して形成した強制乖離用舌片に、コイルバネの強制乖離用屈曲部を、係止可能としたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項5】
可動接触片の他端縁部全体を外側面側に屈曲して強制乖離用舌片を形成するとともに、その中央部に切り欠き部を形成する一方、コイルバネの一端部を前記切り欠き部に係合するとともに、前記強制乖離用舌片に強制乖離用屈曲部を係止可能としたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項6】
可動接触片の他端縁部の中央を内側に切り曲げ、強制乖離用舌片を形成する一方、コイルバネの一端部を略C字形状に屈曲して強制乖離用屈曲部を形成し、前記強制乖離用舌片に前記強制乖離用屈曲部を係止可能としたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−40310(P2010−40310A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201626(P2008−201626)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】