説明

スイング式油圧ショベルの旋回制御装置

【課題】側溝掘り作業を行う際に、掘削反力によって上部旋回体が回されるのを防ぐことが出来るスイング式油圧ショベルの旋回制御装置を提供する。
【解決手段】
方向切換弁7と旋回モータ2を接続するアクチュエータ回路30に設けられた1対のオーバーロードリリーフ弁3,4のうちの少なくとも右旋回時に旋回保持圧を発生する側に設けられたオーバーロードリリーフ弁3を可変リリーフ弁として構成するとともに、作業フロント104のスイング角度θSWを検出する角度センサ11と、作業フロント104のスイング角度θSWに応じてオーバーロードリリーフ弁3のリリーフ設定圧Pを制御する比例電磁減圧弁5及びコントローラ12を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の旋回制御装置に係わり、特に上記旋回体の前部に左右方向にスイング可能に設けられたスイング式の作業機を備えたスイング式油圧ショベルの旋回制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイング式油圧ショベルは、下部走行体と上部旋回体を備え、上記旋回体の前部にスイングポストを介して作業機が取り付けられ、旋回体とスイングポストの間に配設されたスイングシリンダを伸縮させることで作業機を左右方向にスイング可能としている(特許文献1)。
【0003】
また、非スイング式の油圧ショベルも含め、油圧ショベルの油圧駆動回路の旋回セクションには回路保護等の目的のためオーバーロードリリーフ弁が設けられている。このオーバーロードリリーフ弁の設定圧は一般には固定である。このような油圧ショベルの旋回セクションに対し、特許文献2には、旋回セクションのオーバーロードリリーフ弁として可変リリーフ弁を用いた技術が記載されている。この技術は、旋回操作から停止操作に切替えられたことを検出した場合にリリーフ圧を増大させて、旋回ブレーキ力を増加することにより、旋回力を増加させることなく、旋回停止時の上部旋回体の旋回流れ量を小さくするものである。
【0004】
【特許文献1】特開平11−107323号公報
【特許文献2】特開2004−44309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題がある。
【0006】
特許文献1に記載のようにスイング式油圧ショベルでは、上部旋回体を右方向へ所定の角度だけ回転させた状態で、作業機をそれと逆方向にスイングさせることによって、作業機を上部旋回体の旋回中心に対してオフセットさせた状態で位置決めし、この状態で掘削作業を行うことにより、いわゆる側溝掘り作業を行うことができる。
【0007】
このようにスイング式油圧ショベルで側溝掘り作業を行うとき、作業機が旋回中心に対してオフセットした位置にあるため、作業機に働く掘削反力によって上部旋回体に旋回モーメントが働く。通常、この旋回モーメントは、旋回セクションに設けられた前述のオーバーロードリリーフ弁の保持圧によって支えられている。しかし、この旋回モーメントが大きくなり、オーバーロードリリーフ弁の設定圧に達すると、下部走行体に対して上部旋回体が回されてしまい、意図した方向に真っ直ぐ側溝を掘ることが出来なくなる。
【0008】
また、上記特許文献1に記載のスイング式油圧ショベルに特許文献2記載の旋回制御装置を用いたとしても、特許文献2記載の旋回制御装置は旋回停止時に旋回ブレーキ力を増大させ、上部旋回体の旋回流れ量を小さくするものであり、上記のような側溝掘り作業での問題を解決することは出来ない。
【0009】
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、側溝掘り作業を行う際に、掘削反力によって上部旋回体が回されるのを防ぐことが出来るスイング式油圧ショベルの旋回制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、下部走行体と、この下部走行体に対して旋回可能に設けられた上部旋回体と、この上部旋回体の前部にスイングポストを介して左右方向にスイング可能に連結された作業フロントと、油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、前記上部旋回体を旋回させる旋回モータと、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される圧油の流れを制御する方向切換弁と、前記方向切換弁と前記旋回モータを接続するアクチュエータ回路に設けられた1対のオーバーロードリリーフ弁と、前記方向切換弁を切換え操作し、前記上部旋回体を操作する操作手段とを備えたスイング式油圧ショベルの旋回制御装置において、前記1対のオーバーロードリリーフ弁のうちの少なくとも右旋回時に旋回保持圧を発生する側に設けられたオーバーロードリリーフ弁を可変リリーフ弁として構成するとともに、前記作業フロントのスイング角度を検出する第1角度検出手段と、前記第1角度検出手段により検出された前記作業フロントのスイング角度に応じて、可変リリーフ弁として構成された前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を制御する旋回リリーフ圧制御手段とを備えるものとする。
【0011】
本発明は、以上のように構成することにより、作業フロントのスイング角度に応じて1対のオーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を制御することができるので、側溝掘り作業を行う際に、掘削反力によって上部旋回体が回されることを防止することができ、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。
【0012】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記上部旋回体の旋回角度を検出する第2角度検出手段を更に備え、前記旋回リリーフ圧制御手段は、前記第1角度検出手段により検出された前記作業フロントのスイング角度と、前記第2角度検出手段により検出された前記上部旋回体の旋回角度との角度差が設定値以上になると、前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を可変とする制御を解除するものとする。
【0013】
これにより、側溝掘りを行うときは、掘削反力によって上部旋回体が回されることを防止することができるとともに、作業フロントがスイングした状態であっても、側溝掘り作業以外の作業では、オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧が高くなることはないので、オーバーロードリリーフ弁の本来の機能を果たすことができ、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0014】
(3)また、上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記上部旋回体の旋回操作を検出する操作検出手段を更に備え、前記旋回リリーフ圧制御手段は、前記操作検出手段が前記旋回操作を検出しているときは、前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を可変とする制御を解除するものとする。
【0015】
これにより、側溝掘りを行うときは、掘削反力によって上部旋回体が回されることを防止することができるとともに、作業フロントが側溝掘りを行う姿勢にあるときであっても上部旋回体が旋回を行うときはオーバーロードリリーフ弁は本来の機能を果たすことができ、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0016】
(4)また、上記(1)において、好ましくは、前記オーバーロードリリーフ弁は、リリーフ設定圧の初期値を設定するバネとリリーフ設定圧を可変とする受圧室を有し、前記旋回リリーフ圧制御手段は、前記第1角度検出手段により検出された前記作業フロントのスイング角度に応じた制御電流を出力するコントローラと、前記制御電流に応じて作動し、前記オーバーロードリリーフ弁の受圧室に制御圧力を出力する比例電磁減圧弁とを有するものとする。
【0017】
(5)更に、上記(1)において、好ましくは、前記旋回リリーフ制御手段は、側溝掘り作業における所望の最大掘削反力に対応した旋回保持圧が前記リリーフ設定圧の初期値よりも低いスイング角度範囲では前記リリーフ設定圧がその初期値に一致し、前記旋回保持圧が前記リリーフ設定圧の初期値よりも高いスイング角度範囲になると、前記リリーフ設定圧が前記旋回保持圧に一致するようオーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を制御するものとする。
【0018】
これにより、側溝掘りを行うときは、掘削反力によって上部旋回体が回されることを防止することができるとともに、オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧が必要以上に高くならないので、オーバーロードリリーフ弁の安全手段としての機能を損なうことなく、そのような効果を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、側溝掘り作業を行う際に、掘削反力によって上部旋回体が回されることを防止することができ、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。また、オーバーロードリリーフ弁の本来の機能を損なわずに、そのような効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明によれば、第1角度検出手段に加え第2角度検出手段を備え、作業フロントのスイング角度と、上部旋回体の旋回角度との角度差が設定値以上になると、オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を可変とする制御を解除するので、側溝掘りを行わないときには、オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧が高くなることはなく、高圧に対する旋回アクチュエータ回路の保護という本来の機能を果たし、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0021】
更に、本発明によれば、操作検出手段が旋回操作を検出しているときは、オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を可変とする制御を解除するので、上部旋回体が旋回しているときには、オーバーロードリリーフ弁の本来の機能を果たすことができ、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図10を参照しつつ以下に説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。
【0024】
図1において、スイング式油圧ショベルは、下部走行体101と、この下部走行体101上に旋回可能に設けられた上部旋回体102と、この上部旋回体102の前部にスイングポスト103を介して上下及び左右方向に回動可能に連結された作業フロント104とを備えている。
【0025】
下部走行体101にはブレード106が備えられており、このブレード106は図示しないブレードシリンダにより昇降される。
【0026】
上部旋回体102は、旋回台107と、この旋回台107上に設けられた運転室部分108とを備えており、運転室部分108には、運転席108aと、運転席108aの左右コンソールの前部に設けられた操作レバー装置6,26(一方のみ図示)と、運転席108aの前方の床部に設けられたスイングペダル108bとが備えられている。上部旋回体102は、旋回モータ2により下部走行体101に対して、左右方向に旋回駆動される。
【0027】
スイングポスト103は、上部旋回体102の前部に左右方向に回動可能に連結されており、このスイングポスト103をスイングシリンダ119によって左右方向に回動駆動することで作業フロント104が左右方向にスイングされる。
【0028】
作業フロント104は、基端をスイングポスト103に上下方向に回動可能に連結したブーム118と、基端をブーム118の先端に上下方向に回動可能に連結したアーム112と、アーム112の先端に上下及び前後方向に回動可能に連結されたバケット113とを備えており、これらは、ブームシリンダ115、アームシリンダ116及びバケットシリンダ117により回動駆動される。
【0029】
図2は、上記油圧ショベルの油圧駆動システムのうち、旋回モータ2に係わる部分のみを抽出して示すシステム構成図である。
【0030】
図2において、この油圧駆動システムは、図示しない原動機によって駆動される可変容量型の油圧ポンプ1と、油圧ポンプ1から旋回モータ2に供給される圧油の流れを制御する方向切換弁7とを備え、旋回モータ2は、油圧ポンプ1から吐出される圧油により駆動され、上部旋回体102を旋回させる。方向切換弁7は油圧パイロット切換え方式であり、操作レバー装置6により生成されたパイロット圧により切換え操作される。方向切換弁7と旋回モータ2との間には旋回アクチュエータ回路30があり、旋回アクチュエータ回路30には、方向切換弁7と旋回モータ2を接続する1対のアクチュエータライン30a,30bと、アクチュエータライン30a,30b間に設けられ、旋回モータ2の駆動圧及び背圧の上限を規制する1対のオーバーロードリリーフ弁3,4及び旋回アクチュエータ回路30に圧油を補給してキャビテーションを防止する1対のチェックバルブ8,9とが備えられている。油圧ポンプ1の出油ラインには、油圧回路の元圧を規定するメインリリーフ弁10が設けられている。
【0031】
本実施の形態に係わる旋回制御装置は、上記のようなスイング式油圧ショベルにおける側溝掘り作業時の旋回保持圧を制御するものであり、オーバーロードリリーフ弁3,4は可変リリーフ弁として構成され、そのリリーフ圧設定手段として、バネ3a,4aに加え受圧室3b,4bを有している。また、旋回制御装置は、作業フロント104のスイング角度を検出する角度センサ11(第1角度検出手段)と、角度センサ11からの検出信号を入力し、作業フロント104のスイング角度に応じた制御電流Iを出力するコントローラ12と、制御電流Iに応じて作動し、オーバーロードリリーフ弁3,4の受圧室3b,4bに制御圧Pを出力する比例電磁減圧弁5とを備えている。
【0032】
図3は、コントローラ12の処理内容を示すフローチャートである。
【0033】
コントローラ12は、まず、角度センサ11(第1角度検出手段)により検出した作業フロント104のスイング角度θSWを読み込む(ステップ100)。
【0034】
次いで、そのスイング角度θSWを予め設定したリリーフ設定圧補正値マップ(図4)に参照して、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧補正値Pを計算する(ステップ200)。
【0035】
次に、そのリリーフ設定圧補正値Pと予め設定したリリーフ弁制御圧マップ(図9)及び制御電流マップ(図10)とに基づいて、リリーフ設定圧補正値Pに対応する制御電流Iを計算し、この制御電流Iを比例電磁減圧弁5に出力する(ステップ300)。
【0036】
図4は、ステップ200の処理で用いるリリーフ設定圧補正値マップにおけるスイング角度θSWとリリーフ設定圧補正値Pとの関係を示す図である。リリーフ設定圧補正値マップにおけるスイング角度θSWとリリーフ設定圧補正値Pとの関係は、図4に実線Wで示すように、スイング角度θSWが0°〜θaの範囲にあるときは、リリーフ設定圧補正値Pは0であり、スイング角度θSWが所定値θaを越えると、スイング角度θSWが大きくなるに従ってリリーフ設定圧補正値Pは増加し、スイング角度θSWがθmaxに達すると、リリーフ設定圧補正値Pは最大の値θmaxとなるように設定されている。θaは例えば40°である。
【0037】
図4に示したリリーフ設定圧補正値マップの詳細を図5〜図7を用いて説明する。
【0038】
図5は、スイング式油圧ショベルにより側溝掘りを行なうときのスイング角度θSWと旋回角度θSEとの関係を示す図である。この図において、スイング式油圧ショベルは上方から見ており、図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付している。
【0039】
図5において、Aは、スイングポスト103の回転中心Oを通り上部旋回体102の前後方向に伸びる直線であり、Bは、作業フロント104の長手方向の中心線であり、Cは、上部旋回体102の回転中心Oを通り下部走行体101の前後方向に伸びる直線(下部走行体101の前後方向の中心線)であり、Dは、上部旋回体102の回転中心Oを通り上部旋回体102の前後方向に伸びる直線である。
【0040】
スイング角度θSWは直線Aと直線Bのなす角度として表される。θSEは旋回角であり、直線Cと直線Dのなす角度で表される。
【0041】
側溝掘りを行うときは、図5に示すように上部旋回体102を右方向(又は左方向)へθSEだけ回転させ、作業フロント104をそれと逆方向にθSWだけスイングさせ、作業フロント104を下部走行体101の前後方向の中心線Cに対して平行を保ったまま距離Lだけオフセットさせた状態にする(θSW=θSE)。
【0042】
このような状態で側溝掘りを行うとき、作業フロント104の長手方向が上部旋回体102の回転中心Oに対してずれた位置にあるため、作業フロント104の掘削反力Fによって上部旋回体102に左回りの旋回モーメントMが働く。この旋回モーメントMは、
M=F×L・・・(1)
で表される。Lは上記のオフセット距離であり、このオフセット距離Lは上部旋回体102の回転中心Oとスイングポスト103の中心Oとの間の距離をrとし、初期オフセット角度(直線Aの延長線と中心O,Oを結ぶ直線とのなす角度)をθすると、
L=r×sin(θSE+θ)=r×sin(θSW+θ)・・・(2)
で表される。従って、旋回モーメントMは以下の式で表される。
M=F×r×sin(θSW+θ)・・・(3)
図6は、上記(3)式による旋回モーメントMとスイング角度θSWの関係を示す図である。側溝掘りを行うときの掘削反力Fが一定であると仮定すると、この図に示すように、スイング角度θSWが0°のときは、旋回モーメントMは初期オフセット角度θに対応した最小の値Mmin(=F×r×sinθ)であり、スイング角度θSWが大きくなるに従って旋回モーメントMは上記(3)式で示されるサインカーブに沿って増加し、スイング角度θSWがθmaxに達すると、旋回モーメントMは最大の値Mmax(=F×r×sinθmax)となる。
【0043】
図7は、上部旋回体102を右方向に旋回させて側溝掘りを行うときのスイング角度θSWとオーバーロードリリーフ弁3によって発生する旋回アクチュエータ回路30の保持圧(旋回保持圧)Pとの関係を示す図であって、一定の掘削反力Fを所望の最大掘削力(設計値)に設定した場合のものである。図中、Pset0はオーバーロードリリーフ弁3,4のバネ3a,4aによるリリーフ設定圧(リリーフ設定圧の初期値)である。
【0044】
側溝掘りにより上部旋回体102に左回りの旋回モーメントMが作用すると旋回アクチュエータ回路30には、オーバーロードリリーフ弁3によってその旋回モーメントMに対応した保持圧(旋回保持圧)Pが発生する。この旋回保持圧Pは旋回モーメントMと1次比例の関係にあり、スイング角度θSWの変化に対して旋回モーメントMと同様に変化する。すなわち、スイング角度θSWが増加すると、旋回保持圧Pは旋回モーメントM(=F×r×sin(θSW+θ))に対応したサインカーブに従って増加する。PSminはMminに対応する旋回保持圧の最小値であり、PSmaxはMmaxに対応する旋回保持圧Pの最大値である。図4に示したリリーフ設定圧補正値マップは、旋回保持圧がオーバーロードリリーフ弁3の初期値Pset0を越えた範囲(P≧Pset0)における旋回保持圧の変化に対応するものである。
【0045】
図8は、スイング角度θSWとオーバーロードリリーフ弁3のリリーフ設定圧Pの関係を示す図である。この図は、図4に示したリリーフ設定圧補正値Pとスイング角度θSWとの関係に従ってオーバーロードリリーフ弁3の設定圧の初期値Pset0に補正を加えた結果である。この図に示すように、スイング角度θSWが0°〜θの範囲にあるときは、リリーフ設定圧PはPset0であり、スイング角度θSWがθを超えると、スイング角度θSWが大きくなるに従ってリリーフ設定圧Pは図4の関係に対応したサインカーブに従って増加し、スイング角度θSWがθmaxに達すると、リリーフ設定圧PはPmaxとなる。
【0046】
ステップ300の処理に用いるリリーフ弁制御圧マップ及び制御電流マップの設定内容について図9及び図10を用いて説明する。
【0047】
図9は、オーバーロードリリーフ弁3の受圧部3aに作用するリリーフ弁制御圧Pとリリーフ設定圧補正値Pとの関係を示す図である。リリーフ弁制御圧Pが0のときは、リリーフ設定圧補正値Pは最小の値0であり、リリーフ弁制御圧Pの増加に比例してリリーフ設定圧補正値Pも増加し、リリーフ弁制御圧Pが最大値のPCmaxに達するとリリーフ設定圧補正値PはPmmaxとなる。ステップ300の処理に用いるリリーフ弁制御圧マップは、この図9に示した関数の逆関数である。
【0048】
図10は、比例電磁減圧弁5に作用する制御電流Iと比例電磁減圧弁5の出力圧であるリリーフ弁制御圧Pとの関係を示す図である。制御電流Iが0〜IC0の範囲にあるときは、リリーフ弁制御圧Pは0であり、制御電流IがIC1を超えると、制御電流Iの増加に比例してリリーフ弁制御圧Pも増加し、制御電流IがICmaxに達すると、リリーフ弁制御圧PはPCmaxとなる。ステップ300の処理に用いる制御電流マップは、この図10に示した関数の逆関数である。
【0049】
以上のように構成した本実施の形態の動作を説明する。
【0050】
通常、側溝掘り作業は、図5に示したように上部旋回体102を右方向へθSEだけ回転させ、作業フロント104をそれと逆方向(左方向)に同じ角度だけスイングさせ、作業フロント104を下部走行体101の前後方向の中心線Cに対して平行を保ったまま距離Lだけオフセットさせた状態で行う。
【0051】
このような側溝掘り作業で作業フロント104を左方向にスイングさせたとき、もしそのスイング角度θSWが40°以上であるとすると、コントローラ12においては、図3に示したステップ200において、図4に示したリリーフ設定圧補正値マップからそのときのスイング角度θSWに応じたリリーフ設定圧補正値Pが計算され、同ステップ300においてそのリリーフ設定圧補正値Pに対応する制御電流Iが計算され、その制御電流Iが比例電磁減圧弁5に出力される。これにより比例電磁減圧弁5からはその制御電流Iに応じた制御圧(リリーフ弁制御圧)Pが出力され、オーバーロードリリーフ弁3,4にはその制御圧Pに応じたリリーフ圧(リリーフ設定圧)Pが設定される。このリリーフ設定圧Pは、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧の初期値Pset0よりもステップ200で計算されたリリーフ設定圧値補正値P分だけ高い圧力である。
【0052】
このような状態で作業フロント104を操作して側溝掘りを行うとき、掘削力は地盤の固さに応じて変化し、それに応じて掘削反力Fにより生じる先回モーメントMも変化するため、オーバーロードリリーフ弁3によって発生する旋回保持圧Pもその旋回モーメントMに応じて変化する。
【0053】
ここで、前述したように、旋回角度が40°以上となる側溝掘りでは、旋回保持圧Pがリリーフ設定圧の初期値Pset0よりも大きくなる場合がある。このような場合、従来の旋回油圧回路ではオーバーロードリリーフ弁の設定が固定であるため、そのリリーフ弁の設定圧(オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧の初期値Pset0に相当)よりも高い保持圧を発生することはできず、掘削反力Fにより生じる先回モーメントMにより旋回モータ2が回され、上部旋回体102が回転してしまう結果、側溝を真っ直ぐに掘ることができなくなる。これに対し、本実施の形態では、上記のようにオーバーロードリリーフ弁3のリリーフ設定圧Pはリリーフ設定圧の初期値Pset0よりもリリーフ設定圧補正値P分だけ高い圧力となるので、掘削力が所望の最大掘削力(設計値)以下である限り、旋回保持圧Pがオーバーロードリリーフ弁3のリリーフ設定圧Pより高くなることはなく、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることはなく、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。
【0054】
また、頻度は少ないが、上部旋回体102を左方向に旋回させ、作業フロント104を右方向にスイングさせて側溝掘りを行う場合もある。この場合においても、上記の場合と同様に、オーバーロードリリーフ弁4のリリーフ設定圧Pはリリーフ設定圧の初期値Pset0よりもリリーフ設定圧補正値P分だけ高い圧力となり、掘削力が所望の最大掘削力(設計値)以下である限り、旋回保持圧Pがオーバーロードリリーフ弁4のリリーフ設定圧Pより高くなることはなく、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることはなく、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。
【0055】
一方、オーバーロードリリーフ弁3,4は、本来、高圧に対する旋回アクチュエータ回路30の保護のために設けられるものであり、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧Pをむやみに高くすることはできない。本実施の形態では、リリーフ設定圧補正値マップに図4に示したような所望の最大掘削力に対応する特性を設定し、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧Pは必要以上に高くならないようにしているので、オーバーロードリリーフ弁3,4の安全手段としての機能を損なうことが無く、高圧による機器の損傷も防止することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、右旋回時(左スイング時)と左旋回時(右スイング時)で図4に実線Wで示す同じ特性のリリーフ設定圧補正値マップを用いたが、スイングポスト103に初期オフセット角度θがあることを考慮し、左旋回時のリリーフ設定圧補正値マップの特性を図4に一点鎖線Yで示すように、右旋回時の特性と異なるものとしてもよい。これにより、左旋回時の側溝掘りに対して、オーバーロードリリーフ弁3,4の安全手段としての機能をより確実に発揮しつつ本発明の制御を行うことができる。
【0057】
以上のように本実施の形態によれば、側溝掘り作業を行う際に、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることを防止することができ、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。また、オーバーロードリリーフ弁3,4の安全手段としての機能を損なうことなく、そのような効果を得ることができる。
【0058】
本発明の第2の実施の形態を図11及び図12を参照しつつ以下に説明する。
【0059】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの油圧駆動システムのうち、旋回モータ2に係わる部分のみを抽出して示すシステム構成図であり、上記第1の実施の形態における図2に相当する図である。この図11において、上記図2と同様の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、作業フロント104がスイングした状態であっても、側溝掘り作業以外の作業ではリリーフ設定圧Pの制御を解除するようにしたものである。
【0060】
図11において、本実施の形態に係わる旋回制御装置は、上記第1の実施の形態で示した構成に加えて、上部旋回体102の旋回角度θSEを検出する角度センサ13(第2角度検出手段)を備え、コントローラ12Aは、角度センサ13からの検出信号と角度センサ11からの検出信号を入力し、作業フロント104のスイング角度θSWと上部旋回体102の旋回角度θSEに応じた制御電流Iを出力する。
【0061】
図12は、本実施の形態におけるコントローラ12Aの処理内容を示すフローチャートであり、上記第1の実施の形態における図3に相当する図である。この図12において、上記図3と同様の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0062】
コントローラ12Aは、まず、角度センサ11(第1角度検出手段)により検出した作業フロント104のスイング角度θSWと、角度センサ13(第2角度検出手段)により検出した上部旋回体102の旋回角度θSEを読み込む(ステップ100A)。
【0063】
次いで、スイング角度θSWと旋回角度θSEから偏差θSW−θSEの絶対値(以下、|θSW−θSE|とする)を計算し、この計算結果を設定値αと比較して大小関係を判定する(ステップ150A)。|θSW−θSE|≦αのときは、第1の実施の形態におけるステップ200及びステップ300と同様に、スイング角度θSWを予め設定したリリーフ設定圧補正値マップ(図4)に参照して、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧補正値Pを計算し、そのリリーフ設定圧補正値Pと予め設定したリリーフ弁制御圧マップ(図9)及び制御電流マップ(図10)とに基づいて、リリーフ設定圧補正値Pに対応する制御電流Iを計算し、この制御電流Iを比例電磁減圧弁5に出力する。|θSW−θSE|>αのときは、制御電流Iの出力をOFFにする(ステップ400)。
【0064】
ここで、設定値αとは、作業フロント104が側溝掘り作業を行う姿勢にあるかどうかを判定する判定値であり、作業フロント104を下部走行体101の前後方向の中心線Cに対して平行を保ったままオフセットさせた状態、つまり、側溝掘り作業を行う状態であるとみなせる角度範囲のことである。設定値αは例えば5°である。
【0065】
以上のように構成した本実施の形態においては、側溝掘り作業を行うときは、|θSW−θSE|≦αとなるので、本実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様の機能を果たす。つまり、旋回保持圧Pがリリーフ設定圧の初期値Pset0よりも大きくなる場合であっても、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧Pはリリーフ設定圧の初期値Pset0よりもリリーフ設定圧補正値P分だけ高い圧力となるので、掘削力が所望の最大掘削力(設計値)以下である限り、旋回保持圧Pがオーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧Pより高くなることはなく、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることはなく、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。
【0066】
側溝掘り作業を行わないときは、|θSW−θSE|>αとなるので、コントローラ12Aから出力される制御信号IはOFFとなる。したがって、比例電磁減圧弁5から出力される制御圧(リリーフ弁制御圧)Pは0となり、オーバーロードリリーフ弁3,4に設定されるリリーフ圧(リリーフ設定圧)Pはリリーフ設定圧の初期値Pset0となる。つまり、側溝掘りを行わないときには、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧PがPset0より高くなることはないので、高圧に対する旋回アクチュエータ回路30の保護という本来の機能を果たし、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0067】
以上のように本実施の形態においても、側溝掘り作業を行う際に、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることを防止することができ、側溝を真っ直ぐ掘ることができるとともに、オーバーロードリリーフ弁3,4の安全手段としての機能を損なうことなく、そのような効果を得ることができる。
【0068】
また、側溝掘り作業を行わないときは、オーバーロードリリーフ弁3,4の本来の機能を果たすことができるので、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0069】
本発明の第3の実施の形態を図13及び図14を参照しつつ以下に説明する。
【0070】
図13は、本発明の第3の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの油圧駆動システムのうち、旋回モータ2に係わる部分のみを抽出して示すシステム構成図であり、上記第1の実施の形態における図2に相当する図である。この図11において、上記図2と同様の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は、作業フロント104が側溝掘りを行う姿勢にあるときであっても、上部旋回体102の旋回操作を行うときはただちにリリーフ設定圧Pの制御を解除するようにしたものである。
【0071】
図13において、本実施の形態に係わる旋回制御装置は、上記第1の実施の形態で示した構成に加えて、操作レバー装置6により生成されたパイロット圧Pを取り出すシャトル弁14と、シャトル弁14により取り出されたパイロット圧を検出する圧力センサ15とを備え、コントローラ12Bは、圧力センサ15からの検出信号と角度センサ11からの検出信号を入力し、操作レバー装置6により生成されたパイロット圧Pと作業フロント104のスイング角度θSWに応じた制御電流Iを出力する。
【0072】
図14は、本実施の形態におけるコントローラ12Bの処理内容を示すフローチャートであり、上記第1の実施の形態における図3に相当する図である。この図14において、上記図3と同様の部分には同じ符号を付し、説明を省略する。
【0073】
コントローラ12Bは、まず、角度センサ11(第1角度検出手段)により検出した作業フロント104のスイング角度θSWと、圧力センサ15により検出したパイロット圧Pを読み込む(ステップ100B)。
【0074】
次いで、パイロット圧Pと閾値Pを比較し(ステップ150B)、P<Pであれば、第1の実施の形態におけるステップ200及びステップ300と同様の処理により制御電流Iを計算し、この制御電流Iを比例電磁減圧弁5に出力する。また、P>Pであれば、制御電流Iの出力をOFFにする(ステップ400)。
【0075】
ここで、閾値Pとは、操作レバー装置6が操作されているかどうかを判定する判定値である。
【0076】
以上のように構成した本実施の形態においては、作業フロント104が側溝掘り作業を行う姿勢にあり、かつ旋回操作を行っていないときは、P<Pとなるので、本実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様の機能を果たし、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることはなく、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。
【0077】
作業フロント104が側溝掘り作業を行う姿勢にあるときであっても、旋回操作を行うと、P>Pとなるのでコントローラ12Bから出力される制御信号IはOFFとなる。したがって、上記第2の実施の形態と同様にオーバーロードリリーフ弁3,4に設定されるリリーフ圧(リリーフ設定圧)Pはリリーフ設定圧の初期値Pset0となる。その結果、オーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧PがPset0より高くなることはないので、オーバーロードリリーフ弁3,4は本来の機能を果たし、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0078】
以上のように本実施の形態においても、側溝掘り作業を行う際に、掘削反力Fによって上部旋回体102が回されることを防止することができ、側溝を真っ直ぐ掘ることができる。また、オーバーロードリリーフ弁3,4の安全手段としての機能を損なうことなく、そのような効果を得ることができる。
【0079】
また、作業フロント104が側溝掘りを行う姿勢にあっても上部旋回体102が旋回しているときには、オーバーロードリリーフ弁3,4は本来の機能を果たすことができ、高圧による機器の損傷を防止することができる。
【0080】
なお、以上の実施の形態においては、1対のオーバーロードリリーフ弁3,4の両方を可変リリーフ弁としたが、上部旋回体102を左側に大きく旋回して側溝掘り作業を行う頻度は少ないので、その場合は旋回保持圧を発生するオーバーロードリリーフ弁4を通常のリリーフ弁とし、右旋回(左スイング)したときに旋回保持圧を発生する側のオーバーロードリリーフ弁3のみを可変リリーフ弁としても良い。この場合においても本願発明の所期の目的を実質的に達成することができる。
【0081】
また、右旋回時(左スイング時)と左旋回時(右スイング時)で図4に実線Wで示す同じ特性のリリーフ設定圧補正値マップを用いたが、スイングポスト103に初期オフセット角度θがあることを考慮し、左旋回時のリリーフ設定圧補正値マップの特性を図4に一点鎖線Yで示すように、右旋回時の特性と異なるものとしても良い。
【0082】
また、本発明の実施の形態としては、上記代2の実施の形態と第3の実施の形態を組み合わせ、作業フロント104がスイングした状態であっても、側溝掘り作業以外の作業ではリリーフ設定圧Pの制御を解除するようにするとともに、作業フロント104が側溝掘りを行う姿勢にあるときであっても、上部旋回体102の旋回操作を行うときはただちにリリーフ設定圧Pの制御を解除するようにしても良い。
【0083】
また、本発明の実施の形態においては、1対のオーバーロードリリーフ弁3,4のリリーフ設定圧Pの初期値Pset0をバネ3a,4aで設定し、リリーフ設定圧Pの補正値(リリーフ設定圧補正値)Pをコントローラ12,12A,12Bで与えたが、初期値Pset0を含むリリーフ設定圧Pの全てをコントローラ12,12A,12Bで与えても良い。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの油圧駆動システムのうち、旋回モータに係わる部分のみを抽出して示すシステム構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図4】リリーフ設定圧補正値マップにおけるスイング角度とリリーフ設定圧補正値との関係を示す図である。
【図5】スイング式油圧ショベルにより側溝掘りを行なうときのスイング角度と旋回角度との関係を示す図である。
【図6】(3)式による旋回モーメントとスイング角度の関係を示す図である。
【図7】上部旋回体を右方向に旋回させて側溝掘りを行うときのスイング角度とリリーフ弁によって発生する旋回アクチュエータ回路の保持圧(旋回保持圧)との関係を示す図である。
【図8】スイング角度とオーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧の関係を示す図である。
【図9】オーバーロードリリーフ弁の受圧部に作用するリリーフ弁制御圧とリリーフ設定圧補正値との関係を示す図である。
【図10】比例電磁減圧弁に作用する制御電流と比例電磁減圧弁の出力圧であるリリーフ弁制御圧との関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの油圧駆動システムのうち、旋回モータに係わる部分のみを抽出して示すシステム構成図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係わる旋回制御装置を備えたスイング式油圧ショベルの油圧駆動システムのうち、旋回モータに係わる部分のみを抽出して示すシステム構成図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるコントローラの処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
1 油圧ポンプ
2 旋回モータ
3,4 オーバーロードリリーフ弁
3a,4a バネ
3b,4b 受圧室
5 比例電磁減圧弁(旋回リリーフ圧制御手段)
6 操作レバー装置
7 方向切換弁
8,9 チェック弁
10 メインリリーフ弁
11 角度センサ(第1角度検出手段)
12,12A,12B コントローラ(旋回リリーフ圧制御手段)
13 角度センサ(第2角度検出手段)
14 シャトル弁
15 圧力センサ
20 パイロットポンプ
22 タンク
101 下部走行体
102 上部走行体
103 スイングポスト
104 作業フロント
105 トラックフレーム
106 ブレード
107 旋回台
108 キャノピタイプ運転台
112 アーム
113 バケット
115 ブームシリンダ
116 アームシリンダ
117 バケットシリンダ
118 ブーム
119 スイングシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、この下部走行体に対して旋回可能に設けられた上部旋回体と、この上部旋回体の前部にスイングポストを介して左右方向にスイング可能に連結された作業フロントと、油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される圧油により駆動され、前記上部旋回体を旋回させる旋回モータと、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される圧油の流れを制御する方向切換弁と、前記方向切換弁と前記旋回モータを接続するアクチュエータ回路に設けられた1対のオーバーロードリリーフ弁と、前記方向切換弁を切換え操作し、前記上部旋回体を操作する操作手段とを備えたスイング式油圧ショベルの旋回制御装置において、
前記1対のオーバーロードリリーフ弁のうちの少なくとも右旋回時に旋回保持圧を発生する側に設けられたオーバーロードリリーフ弁を可変リリーフ弁として構成するとともに、
前記作業フロントのスイング角度を検出する第1角度検出手段と、
前記第1角度検出手段により検出された前記作業フロントのスイング角度に応じて、可変リリーフ弁として構成された前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を制御する旋回リリーフ圧制御手段とを備えることを特徴とするスイング式油圧ショベルの旋回制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のスイング式油圧ショベルの旋回制御装置において、
前記上部旋回体の旋回角度を検出する第2角度検出手段を更に備え、
前記旋回リリーフ圧制御手段は、前記第1角度検出手段により検出された前記作業フロントのスイング角度と、前記第2角度検出手段により検出された前記上部旋回体の旋回角度との角度差が設定値以上になると、前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を可変とする制御を解除することを特徴とするスイング式油圧ショベルの旋回制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスイング式油圧ショベルの旋回制御装置において、
前記上部旋回体の旋回操作を検出する操作検出手段を更に備え、
前記旋回リリーフ圧制御手段は、前記操作検出手段が前記旋回操作を検出したときは、前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を可変とする制御を解除することを特徴とするスイング式油圧ショベルの旋回制御装置。
【請求項4】
請求項1記載のスイング式油圧ショベルの旋回制御装置において、
前記オーバーロードリリーフ弁は、リリーフ設定圧の初期値を設定するバネとリリーフ設定圧を可変とする受圧室を有し、
前記旋回リリーフ圧制御手段は、前記第1角度検出手段により検出された前記作業フロントのスイング角度に応じた制御電流を出力するコントローラと、
前記制御電流に応じて作動し、前記オーバーロードリリーフ弁の受圧室に制御圧力を出力する比例電磁減圧弁とを有することを特徴とするスイング式油圧ショベルの旋回制御装置。
【請求項5】
請求項1記載のスイング式油圧ショベルの旋回制御装置において、
前記旋回リリーフ制御手段は、側溝掘り作業における所望の最大掘削反力に対応した旋回保持圧が前記リリーフ設定圧の初期値よりも低いスイング角度範囲では前記リリーフ設定圧がその初期値に一致し、前記旋回保持圧が前記リリーフ設定圧の初期値よりも高いスイング角度範囲になると、前記リリーフ設定圧が前記旋回保持圧に一致するように前記オーバーロードリリーフ弁のリリーフ設定圧を制御することを特徴とするスイング式油圧ショベルの旋回制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−14375(P2008−14375A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184834(P2006−184834)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】