説明

スキャナ装置

【課題】スキャナ装置において、通常の原稿スキャンと、ビデオ信号のスキャン画像取り込みを可能とし、さらには、液晶パネルを起立させた状態でビデオモニタとして使用可能とする。
【解決手段】スキャナ装置は、液晶パネル5と原稿押えリッド4とを開いて起立状態として、液晶パネル5にビデオ信号画像を表示させ、ビデオモニタとして動作させることができる構成とされている。また、液晶パネル5と原稿押えリッド4とを閉じた状態で、液晶パネル5の上面側に載置した原稿を原稿押えリッド4により押え、スキャナ部により液晶パネル5を透過した原稿の反射光を受光して画像読取りを行うことができるようにしている。同じく液晶パネル5と原稿押えリッド4とを閉じた状態で、液晶パネル5に表示させたビデオ信号画像をスキャナ部により読取りキャプチャすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿載置面上に載置された原稿の反射光を受光して原稿画像を読取るスキャナ部を有したスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナ装置において、原稿が載置されるコンタクトガラスを液晶パネルで構成し、液晶パネルを透明状態とすることにより、液晶パネル上に載置された原稿を通常通り読取り可能とすると共に、液晶パネルを作動させて表示させた画像の読取りも可能とした画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、上記と同様の画像読取装置において、液晶パネルに各種情報を表示させ、原稿と液晶パネルの表示画像との合成画像を読取りできるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
また、コンタクトガラスの下側に液晶パネルを配置し、画像読取りされる情報を表示すると共に、原稿領域外を不透明化することができる画像読取装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
また、原稿押え板に液晶パネルを設け、この液晶表示画像又はコンタクトガラス上に載置した原稿の画像の読取りを可能とする画像読取装置(第1の形態)、及び、コンタクトガラスに代えて液晶パネルを設け、この液晶表示画像又は、該液晶パネルの透明状態で液晶パネル上に載置した原稿の画像を読取る画像読取装置(第2の形態)が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特開昭61−130944号公報
【特許文献2】特開平7−84233号公報
【特許文献3】特開平7−184005号公報
【特許文献4】特開平11−215312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1乃至3及び特許文献4の第2の形態に記載の画像読取装置は、液晶パネルがコンタクトガラスに固定され、又はコンタクトガラスに代えて設けられた構造であるため、液晶パネルに画像を表示させ、ユーザがその画像を見ようとしたとき、本体上方から覗き込むことになり、見ずらいばかりか、表示画像は半透明な状態となっているため、見難いものとなる。
【0007】
また、上記特許文献4の第1の形態に記載の画像読取装置は、原稿押え板に液晶パネルを設けているが、原稿押え板と液晶パネルとが互いに個別に移動できるものではないので、コンタクトガラス上に載置した原稿を、原稿押え板でなく液晶パネルで押えることになり、的確に押えることが難しい。さらには、液晶パネルを起立させた状態でビデオモニタとして使用できるようにはなっていない。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、通常の原稿スキャンと、ビデオ信号のスキャン画像取り込みを可能とし、さらには、液晶パネルを起立させた状態でビデオモニタとして使用できるようにしたスキャナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、原稿載置面に載置された原稿の反射光を受光して原稿画像を読取るスキャナ部を有したスキャナ装置において、原稿載置面として機能するコンタクトガラス上にあって、一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた光透過型の液晶パネルと、上記液晶パネルの上面側で一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた、バックライトユニット付きで、かつ、コンタクトガラス対向面が白色の原稿押えリッドと、外部から入力されたビデオ信号により上記液晶パネルを駆動する液晶ドライバと、上記バックライトユニットを駆動するバックライトユニットドライバと、外部から入力されるビデオ信号の少なくとも1フレーム分を一時的に保存するビデオバッファと、を備え、上記液晶パネルと原稿押えリッドとを開いて起立状態として、該液晶ドライバとバックライトユニットを駆動して該液晶パネルをビデオモニタとして動作させることができる構成とされ、上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバとバックライトユニットを非駆動とし、該液晶パネルの上面側に載置した原稿を上記原稿押えリッドにより押え、上記スキャナ部により該液晶パネルを透過した原稿の反射光を受光して画像読取りを行い、同じく上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバとバックライトユニットを駆動して、上記スキャナ部によりビデオ信号画像を読取りキャプチャするものである。
【0010】
請求項2の発明は、原稿載置面に載置された原稿の反射光を受光して原稿画像を読取るスキャナ部を有したスキャナ装置において、原稿載置面として機能する、一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた光透過型の液晶パネルと、上記液晶パネルの上面側で一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた原稿押えリッドと、外部から入力されたビデオ信号により上記液晶パネルを駆動する液晶ドライバと、を備え、上記液晶パネルと原稿押えリッドとを開いて起立状態として、該液晶ドライバを駆動して該液晶パネルをビデオモニタとして動作させることができる構成とされ、上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバを非駆動とし、該液晶パネルの上面側に載置した原稿を上記原稿押えリッドにより押え、上記スキャナ部により該液晶パネルを透過した原稿の反射光を受光して画像読取りを行い、同じく上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバを駆動して、上記スキャナ部によりビデオ信号画像を読取りキャプチャするものである。
【0011】
請求項3の発明は、上記において、装置本体に固定のコンタクトガラスを備え、上記液晶パネルは、そのコンタクトガラス上に開閉自在に設けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿を原稿押えリッドにより押えた状態で、液晶パネルを透過した原稿の反射光を受光して通常の原稿スキャンを行うことができると共に、液晶パネルにビデオ信号画像を表示させ、これをスキャンして画像キャプチャすることができる。さらに、液晶パネルを起立させた状態でビデオモニタとして好適に使用することができる。また、1フレーム分のビデオバッファを備えていれば、容易に画像キャプチャすることが可能となる。また、液晶パネルをコンタクトガラスとして機能させることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るスキャナ装置について図面を参照して説明する。図1及び図2は、本実施形態に係るスキャナ装置の原稿押えリッド等を開いた状態と、原稿押えリッド等を閉じ方向に回動させている状態の外観を示し、図3は同装置の側断面を示す。このスキャナ装置は、コンタクトガラス1上にある原稿の反射光を受光して原稿画像を読取るスキャナ部2(図3、図4参照)を内装した本体ケース3と、この本体ケース3上に開閉自在に設けられた原稿押えリッド4と、同じく開閉自在に設けられた光透過型LCDから成る液晶パネル5と、を備える。
【0014】
コンタクトガラス1は、本体ケース3の上面開口に固定されている。原稿押えリッド4は、その後端(一端)部にあるヒンジ部4aを回動軸として液晶パネル5の上面側に配置されている。液晶パネル5は、その後端(一端)部にあるヒンジ部5aを回動軸としてコンタクトガラス1上に配置されている。これらヒンジ部4a,5aを保持する相手方は、本体ケース3に設けられている。また、原稿押えリッド4は、液晶パネル5との対向面に液晶パネル5用のバックライトユニット6を備えている。本体ケース3には、ユーザにより操作される操作パネル7及び操作キー8が設けられている。
【0015】
本装置の液晶パネル5は、外部から入力されたビデオ信号画像を表示できるものとされ、バックライトユニット6付きの原稿押えリッド4及び液晶パネル5を図1に示したように起立させた状態とし、液晶パネル5にビデオ信号を入力すると共に、バックライトユニット6を点灯動作させることで、液晶パネル5をビデオモニタとして使用可能となる。
【0016】
また、通常の原稿スキャン時には、図2に矢印で示すように、液晶パネル5を回動させてコンタクトガラス1上に位置させ、液晶パネル5の上に任意の原稿を載置し、原稿押えリッド4を回動して閉じることにより、バックライトユニット6を介して原稿を液晶パネル5に押し付ける。この状態で、スキャナ部2を動作させて原稿をスキャンする。この時には、当然ながら、液晶パネル5とバックライトユニット6は動作させない。原稿押えリッド4のバックライトユニット6が設けられている面には、白色でクッション性のある材質のフィルム等が貼り付けられている。また、ビデオ信号画像を読取りキャプチャする時は、液晶パネル5と原稿押えリッド4を閉じた状態で、液晶ドライバ5とバックライトユニット6を駆動して、スキャナ部2を動作させる。
【0017】
図4は同装置のスキャナ部2の光学系と液晶パネル等のビデオ駆動回路を示す。スキャナ部2の光学系は、スキャン移動される第1走査ユニット21、第2走査ユニット22、結像用のレンズ23、及びCCD24aを持つ読取りセンサ部24を備える。第1走査ユニット21は、原稿を照射するための光源21aと、原稿からの反射光を所定の光路に反射するための第1ミラー21bとを有する。第2走査ユニット22は、第1ミラー21bからの反射光を反射させる第2及び第3のミラー22a,22bを有する。また、ビデオ駆動回路は、外部からビデオ信号が入力され、その少なくとも1フレーム分を一時的に保存するビデオバッファ51と、当該ビデオ信号に基づいて液晶パネル5を駆動する液晶ドライバ52と、バックライトユニット6を駆動するバックライトユニットドライバ53と、を備えている。液晶パネル5及びバックライトユニット6への電線は、ヒンジ部4a,5aを通して配線している。
【0018】
上記のように構成された本実施形態のスキャン装置においては、通常の原稿スキャン時には、液晶パネル5を回動させてコンタクトガラス1上に閉じた状態とし、液晶パネル5上に原稿D(図4参照)を載置してから、原稿押えリッド4を閉じる。この状態にて、液晶パネル5とバックライトユニット6は非駆動とし、スキャナ部2の光源21aを点灯させ、その液晶パネル5を透過した原稿Dの反射光が、スキャナ部2の周知の光学スキャン動作によりCCD24aに結像される。このとき、液晶パネル5は原稿Dの原稿載置面として機能し、原稿Dは、白色のクッション性材質部材を持つ原稿押えリッド4により液晶パネル5上に押し付けられるので、原稿Dを的確にスキャンすることができる。なお、原稿は、コンタクトガラス1上に載置してスキャンすることも可能である。
【0019】
また、液晶パネル5によるビデオ信号の表示画像をスキャン画像として読取る時は、上記と同様に液晶パネル5及び原稿押えリッド4を回動させて閉じた状態とし、光源21aは点灯させることなく、バックライトユニットドライバ53を駆動してバックライトユニット6を点灯させると共に、ビデオバッファ51による1フレーム分のビデオ信号により液晶ドライバ52を駆動し、液晶パネル5にビデオ信号画像を表示させる。このビデオ信号画像の透過光がCCD24aに結像される。これにより、本装置は、液晶パネル5によるビデオ信号の画像キャプチャとして使用することができる。なお、原稿のスキャン領域を指定することができるようにしておくことで、任意の領域を画像ファイルとして取り込むことが可能となる。
【0020】
また、液晶パネル5によるビデオ信号の表示画像をビデオモニタとして使用する時は、図1に示すように、原稿押えリッド4及び液晶パネル5を回動させて起立状態として、液晶パネル5に上記と同様、ビデオ信号画像を表示させる。このとき、原稿押えリッド4は、遮光機能を持つ。図1には、液晶パネル5にビデオ信号画像が表示されている様子を示している。ビデオモニタとしての使用時は、液晶パネル5のビデオ信号画像の上下が正常になるように、画像を反転表示させるものとする。
【0021】
本発明は、上記実施形態の構成に限られることなく、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、コンタクトガラス1上に液晶パネル5が開閉自在に配置されたものを示したが、コンタクトガラス1に代えて、液晶パネル5自身がコンタクトガラス1として機能する構成とすることもできる。この構成では、コンタクトガラス1を省くことができる反面、液晶パネル5を開いてビデオモニタとして使用する時は、本体ケース3上面に開口ができることになる。また、上記では、ビデオ信号入力端を設けた例を示したが、テレビの受信回路を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るスキャナ装置の原稿押えリッド等を開いた状態を示す斜視図。
【図2】同スキャナ装置の原稿押えリッド等を閉じ方向に回動させている状態を示す斜視図。
【図3】同装置の概略側断面図。
【図4】同装置のスキャナ部の光学系と液晶パネル等のビデオ駆動回路を示す図。
【符号の説明】
【0023】
1 コンタクトガラス
2 スキャナ部
4 原稿押えリッド
4a ヒンジ部
5 液晶パネル
5a ヒンジ部
6 バックライトユニット
51 ビデオバッファ
52 液晶ドライバ
53 バックライトユニットドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置面に載置された原稿の反射光を受光して原稿画像を読取るスキャナ部を有したスキャナ装置において、
原稿載置面として機能するコンタクトガラス上にあって、一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた光透過型の液晶パネルと、
上記液晶パネルの上面側で一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた、バックライトユニット付きで、かつ、コンタクトガラス対向面が白色の原稿押えリッドと、
外部から入力されたビデオ信号により上記液晶パネルを駆動する液晶ドライバと、
上記バックライトユニットを駆動するバックライトユニットドライバと、
外部から入力されるビデオ信号の少なくとも1フレーム分を一時的に保存するビデオバッファと、を備え、
上記液晶パネルと原稿押えリッドとを開いて起立状態として、該液晶ドライバとバックライトユニットを駆動して該液晶パネルをビデオモニタとして動作させることができる構成とされ、
上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバとバックライトユニットを非駆動とし、該液晶パネルの上面側に載置した原稿を上記原稿押えリッドにより押え、上記スキャナ部により該液晶パネルを透過した原稿の反射光を受光して画像読取りを行い、
同じく上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバとバックライトユニットを駆動して、上記スキャナ部によりビデオ信号画像を読取りキャプチャすることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
原稿載置面に載置された原稿の反射光を受光して原稿画像を読取るスキャナ部を有したスキャナ装置において、
原稿載置面として機能する、一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた光透過型の液晶パネルと、
上記液晶パネルの上面側で一端ヒンジ部を回動軸として開閉自在に設けられた原稿押えリッドと、
外部から入力されたビデオ信号により上記液晶パネルを駆動する液晶ドライバと、を備え、
上記液晶パネルと原稿押えリッドとを開いて起立状態として、該液晶ドライバを駆動して該液晶パネルをビデオモニタとして動作させることができる構成とされ、
上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバを非駆動とし、該液晶パネルの上面側に載置した原稿を上記原稿押えリッドにより押え、上記スキャナ部により該液晶パネルを透過した原稿の反射光を受光して画像読取りを行い、
同じく上記液晶パネルと原稿押えリッドとを閉じた状態で、該液晶ドライバを駆動して、上記スキャナ部によりビデオ信号画像を読取りキャプチャすることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項3】
装置本体に固定のコンタクトガラスを備え、上記液晶パネルは、そのコンタクトガラス上に開閉自在に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−215139(P2007−215139A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35668(P2006−35668)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(591194034)レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド (142)
【氏名又は名称原語表記】LEXMARK INTERNATIONAL,INC
【Fターム(参考)】