説明

スキャン条件決定装置、医療システム、およびスキャン条件決定方法。

【課題】新たなスキャン条件を容易に決定することができるスキャン条件決定装置を提供する。
【解決手段】モニタ31に複数の項目「撮影時間を短くしたい」、「SNRを上げたい」、および「空間分解能を上げたい」を表示し、操作者に、これらの項目の中からいずれかの項目を選択させる。項目選択手段44は、操作者の操作に応じて、選択された項目をスキャン条件決定手段45に送る。スキャン条件決定手段45は、選択された項目に対応したスキャンパラメータのパラメータ値を変更し、新たなスキャン条件を決定する。決定したスキャン条件はモニタ31に表示され、操作者は好みのスキャン条件を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャン条件を決定するスキャン条件決定装置、そのスキャン条件決定装置を有する医療システム、およびスキャン条件を決定するスキャン条件決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MRIシステムで撮影された画像の品質があまりよくない場合、オペレータはスキャンパラメータのパラメータ値を変更して新たなスキャン条件で再撮影したいと考えることがある。しかし、パラメータ値をむやみに変更すると、かえって画質が悪くなることがある。そこで、どのスキャンパラメータが画質にどのような影響を与えるのかをオペレータに提示できるMRI装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8-336504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特開平8-336504号公報の方法では、オペレータ自身がスキャンパラメータのパラメータ値を変更する作業を行う必要があり、オペレータに負担がかかるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑み、新たなスキャン条件を容易に決定することができるスキャン条件決定装置、そのスキャン条件決定装置を適用した医療システム、およびスキャン条件を決定するスキャン条件決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスキャン条件決定装置は、被検体をスキャンするときのスキャン条件を決定するスキャン条件決定装置であって、
表示手段と、
上記被検体をスキャンすることにより得られた画像に関連する複数の項目が上記表示手段に表示されるように、上記表示手段を制御する表示制御手段と、
操作者の操作に応じて、上記複数の項目のうちの一つ以上の項目を選択する項目選択手段と、
上記項目選択手段が選択した項目に従って、スキャン条件が有する複数のスキャンパラメータのうちのいずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更することにより、新たなスキャン条件を決定するスキャン条件決定手段と、
を有している。
【0006】
本発明の医療システムは、本発明のスキャン条件決定装置を有している。
【0007】
本発明のスキャン条件決定方法は、被検体をスキャンするときのスキャン条件を決定するスキャン条件決定方法であって、
上記被検体をスキャンすることにより得られた画像に関連する複数の項目を表示手段に表示する表示ステップと、
操作者の操作に応じて、上記複数の項目のうちの一つ以上の項目を選択する項目選択ステップと、
上記項目選択ステップにおいて選択された項目に従って、スキャン条件が有する複数のスキャンパラメータのうちのいずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更することにより、新たなスキャン条件を決定するスキャン条件決定ステップと、
を有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明のスキャン条件決定装置は、画像に関連する複数の項目を表示手段に表示し、表示された複数の項目のうち、操作者の操作に応じて選択された項目に基づいて、新たなスキャン条件を決定している。したがって、新たなスキャン条件を容易に提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。尚、本発明は、発明を実施するための最良の形態に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態のMRI(Magnetic Resonance Imaging)システム1のブロック図である。
【0011】
MRIシステム1は、MR装置10と、制御装置20と、操作装置30とを有している。
【0012】
MR装置10は、被検体11からデータを収集し、収集したデータを制御装置20に送る。
【0013】
制御装置20は、MR装置10の動作を制御するMR装置制御手段21と、MR装置10からのデータを処理し、画像を再構成する画像再構成手段22とを有している。再構成された画像は、操作装置30に送られる。
【0014】
操作装置30は、制御装置20に命令を送ったり、後述するように新たなスキャン条件を決定する。操作装置30は、モニタ31と、キーボード32と、マウス33と、操作装置本体34とを有している。
【0015】
図2は、操作装置本体34の機能ブロックを示す図である。
【0016】
操作装置本体34は、スキャン条件設定手段41〜スキャン条件選択手段48を有している。以下に、各ブロックについて説明する。
【0017】
スキャン条件設定手段41は、操作者29(図1参照)の操作に応じて、被検体11のスキャン条件を設定する。
【0018】
表示制御手段42は、項目表示制御部421、画像表示制御部422、およびスキャン条件表示制御部423を有している。
【0019】
項目表示制御部421は、モニタ(表示手段)31に後述する複数の項目(図6参照)が表示されるように、モニタ31を制御する。
【0020】
画像表示制御部422は、モニタ31に再構成された画像が表示されるように、モニタ31を制御する。
【0021】
スキャン条件表示制御部423は、モニタ31に被検体11のスキャン条件が表示されるように、モニタ31を制御する。また、スキャン条件表示制御部423は、モニタ31に、後述するSNR(Signal to Noise Ratio)比や撮影時間も表示されるように、モニタ31を制御する。
【0022】
記憶手段43は、変更スキャンパラメータ記憶部431およびスキャン条件記憶部432を有している。変更スキャンパラメータ記憶部431は、どのスキャンパラメータのパラメータ値が変更されるかを規定するテーブル(図8参照)が記憶されている。スキャン条件記憶部43は、スキャン条件を記憶する。
【0023】
項目選択手段44は、操作者29の操作に応じて、複数の項目(後述する図6参照)の中から、一つの項目を選択する。
【0024】
スキャン条件決定手段45は、新たなスキャン条件を決定する。スキャン条件決定手段45は、変更スキャンパラメータ決定部451と、パラメータ値変更部452とを有している。変更スキャンパラメータ決定部451は、変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブル(図8参照)を参照し、項目選択手段44が選択した項目に従って、パラメータ値が変更されるスキャンパラメータを決定する。パラメータ値変更部452は、変更スキャンパラメータ決定部451が決定したスキャンパラメータのパラメータ値を変更する。
【0025】
SNR比算出手段46は、後述するスキャン条件C0(図4参照)を用いて得られる画像のSNRと、新たなスキャン条件を用いて得られる画像のSNRとの比を算出する。
【0026】
撮影時間算出手段47は、撮影時間を算出する。
【0027】
スキャン条件選択手段48は、操作者29の操作に応じて、複数のスキャン条件の中からいずれかのスキャン条件を選択する。
【0028】
次に、図1に示すMRIシステム1の処理フローについて説明する。
【0029】
図3は、第1の実施形態におけるMRIシステム1のフローチャートの一例である。
【0030】
ステップS11では、操作者29(図1参照)が、キーボード32および/又はマウス33(図1参照)を操作し、被検体11をスキャンするときのスキャン条件を入力する。
【0031】
図4は、被検体11のスキャン条件の一例である。
【0032】
スキャン条件は、複数のスキャンパラメータを有している。各スキャンパラメータの記号の意味は、以下の通りである。
TE:エコー時間
TR:繰返し時間
BW:バンド幅
Freq:周波数エンコード方向の画素数
Phase:位相エンコード方向の画素数
NEX:加算回数(繰返し回数)
FOV:撮影領域
ST:スライス厚
SP:隣接するスライスの間隔
【0033】
上記のスキャンパラメータは、操作者29が直接設定するパラメータである。操作者29が、キーボード32および/又はマウス33を用いて各スキャンパラメータのパラメータ値を入力すると、スキャン条件決定手段41(図2参照)は、操作者29が入力したパラメータ値を、各スキャンパラメータのパラメータ値と決定する。このようにして、被検体11のスキャン条件C0が設定される。
【0034】
尚、スキャン条件C0が設定されると、撮影時間Timeも計算される。撮影時間Timeは、スキャンパラメータNEXのパラメータ値などから計算される。図4では、撮影時間Time=4分21秒である。
【0035】
図4に示すスキャン条件C0は、スキャン条件記憶部432(図2参照)に保存される。その後、ステップS12に進む。
【0036】
ステップS12では、操作者29がキーボード32および/又はマウス33を操作し、被検体11の頭部11aをスキャンするためのスキャン実行命令を入力する。操作者29がスキャン実行命令を入力すると、制御装置20は、スキャン実行命令を受けて、図4に示すスキャン条件C0に従って、被検体11の頭部11aがスキャンされるように、MR装置10を制御する。被検体11の頭部11aがスキャンされることにより、受信コイル12は被検体11の頭部11aのデータを収集する。収集されたデータは制御装置20に伝送される。制御装置20は、収集したデータから画像を再構成する。再構成された画像は、操作装置本体34に送られる。その後、ステップS13に進む。
【0037】
ステップS13では、画像表示制御部422(図2参照)が、モニタ31に、操作装置本体34に送られた再構成画像が表示されるように、モニタ31を制御する。
【0038】
図5は、再構成画像を表示するモニタ31の表示画面310の一例である。
【0039】
表示画面310には、再構成された画像311が表示される。画像311が表示された後、ステップS14に進む。
【0040】
操作者29は、表示画面310に表示された画像311を参照し、この画像311の画質(例えば、SNR、空間分解能)が良好かどうか、画像311を撮影するのにかかった撮影時間よりも短い撮影時間で被検体11を再度撮影してみるかどうか等を検討する。
【0041】
操作者29は、画像311の画質(例えば、SNR、空間分解能)が思っていたほどよくないと感じたり、撮影時間が長いと感じた場合、図4のスキャン条件C0とは別の新たなスキャン条件で撮影を行いたいと考えることがある。しかし、操作者29自身は、スキャン条件のどのパラメータが画質(例えば、SNR、空間分解能)に関係し、どのパラメータが撮影時間に関係しているのかについて、十分に知らないことが多い。したがって、操作者29自身のみの知識で、図4のスキャン条件C0よりも画質(例えば、SNR、空間分解能)を向上させることが可能な新たなスキャン条件や、撮影時間を短縮することが可能な新たなスキャン条件を求めることは困難である。そこで、第1の実施形態では、操作者29自身に十分な知識が無くても、画質(例えば、SNR、空間分解能)を向上させることが可能な新たなスキャン条件や、撮影時間を短縮することが可能な新たなスキャン条件を容易に求めることができる。以下に、新たなスキャン条件をどのようにして求めているかについて説明する。
【0042】
図5に示すように、画像311の左側には、プログラムを終了するキャンセルボタン312の他に、新スキャン条件ボタン313が表示されている。新スキャン条件ボタン313は、新たなスキャン条件を求めるソフトウェアを実行するためのボタンである。操作者29は、画像311の画質(例えば、SNR、空間分解能)が思っていたほどよくないので、高品質の画像を得るための新たなスキャン条件で撮影を行いたいと考えた場合や、もう少し短い撮影時間で撮影が行える新たなスキャン条件で撮影を行いたいと考えた場合、新スキャン条件ボタン313をクリックする。新スキャン条件ボタン313がクリックされた場合、ステップS14からステップS16に進む。
【0043】
尚、新スキャン条件ボタン313がクリックされない場合は、ステップS14からステップS15に進み、キャンセルボタン312がクリックされたか否かが判断される。キャンセルボタン312がクリックされた場合、プログラムは終了する。一方、キャンセルボタン312がクリックされない場合は、ステップS15からステップS14に戻る。したがって、キャンセルボタン312および新スキャン条件ボタン313のいずれか一方のボタンがクリックされるまで、ステップS14およびS15のループが繰返し実行される。ステップS14において新スキャン条件ボタン313がクリックされると、ステップS16に進む。
【0044】
ステップS16では、新スキャン条件ボタン313がクリックされたことを受けて、項目表示制御部421(図2参照)が、モニタ31に複数の項目が表示されるように、モニタ31を制御する(図6参照)。
【0045】
図6は、複数の項目を表示するモニタ31の表示画面の一例を示す図である。
【0046】
表示画面310の左下の領域314には、画像311に関連する複数の項目が表示される。第1の実施形態では、以下の3つの項目(1)〜(3)が表示されている。
(1)撮影時間を短くしたい。
(2)SNRを上げたい。
(3)空間分解能を上げたい。
【0047】
(1)は、撮影時間の項目である。(2)および(3)は、画質に関する項目である。各項目の左側には、チェックボックスCB1、CB2、CB3が表示されている。また、表示画面310の右下には、アクセプトボタン315とキャンセルボタン316とが表示されている。図6に示す画面310が表示された後、ステップS17に進む。
【0048】
操作者29は、撮影時間を短くしたいと考えた場合、撮影時間のチェックボックスCB1にチェックを入力する。また、操作者29は、画像311に対して、SNRを向上させたいと考えた場合、SNRのチェックボックスCB2にチェックを入力し、空間分解能を向上させたいと考えた場合、空間分解能のチェックボックスCB3にチェックを入力する。図6には、撮影時間のチェックボックスCB1にチェックが入力されている様子が示されている。チェックボックスCB1〜CB3のいずれかにチェックが入力されている状態で、操作者29がアクセプトボタン315をクリックすると、項目選択手段44(図2参照)は、チェックボックスにチェックが入力されている項目を選択する。例えば、図6には、撮影時間のチェックボックスCB1がチェックされているので、アクセプトボタン315がクリックされると、項目選択手段44は、項目「撮影時間を短くしたい」を選択する。
【0049】
尚、どの項目も選択されていない場合は、ステップS18に進み、キャンセルボタン316がクリックされたか否かが判断される。キャンセルボタン316がクリックされると、プログラムは終了する。一方、キャンセルボタン316がクリックされない場合、ステップS17に戻り、ステップS17とS18のループが繰返し実行される。ステップS17において、3つの項目のいずれかが選択されると、ステップS19に進む。
【0050】
ステップS19では、項目選択手段44が選択した項目に従って、スキャン条件決定手段45(図2参照)が、図4のスキャン条件C0とは別の新たなスキャン条件を決定する。具体的には、項目選択手段44が項目「撮影時間を短縮したい」を選択した場合、スキャン条件決定手段45は、撮影時間が短縮可能な新たなスキャン条件を決定する。また、項目選択手段44が項目「SNRを上げたい」を選択した場合、スキャン条件決定手段45は、SNRを大きくすることが可能な新たなスキャン条件を決定する。更に、項目選択手段44が項目「空間分解能を上げたい」を選択した場合、スキャン条件決定手段45は、空間分解能を大きくすることが可能な新たなスキャン条件を決定する。
【0051】
図7は、ステップS19で実行されるスキャン条件決定のフローの一例を示す図である。
【0052】
スキャン条件決定手段45は、図4のスキャン条件の複数のスキャンパラメータのうちの一つ以上のスキャンパラメータのパラメータ値を変更することによって、新たなスキャン条件を決定している。以下に、項目「撮影時間を短縮したい」、項目「SNRを上げたい」、および項目「空間分解能を上げたい」が選択された場合について、どのようにして新たなスキャン条件が決定されるかについて順に説明する。
【0053】
(A)「撮影時間を短縮したい」が選択された場合
ステップS191では、変更スキャンパラメータ決定部451が(図2参照)、変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブルを参照し、図4のスキャン条件C0が有する複数のスキャンパラメータの中から、パラメータ値が変更されるスキャンパラメータを決定する。
【0054】
図8は、変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブルの一例を示す図である。
【0055】
テーブルには、項目の欄と、パラメータ値が変更される変更スキャンパラメータの欄が設けられている。
【0056】
項目「撮影時間を短縮したい」に対して、変更スキャンパラメータの欄に2つのカラムA1およびA2が設けられている。カラムA1には、「NEX」と記載されており、カラムA2には、「NEX+Phase」が記載されている。「NEX」は、変更されるパラメータがNEXのみであることを意味する。「NEX+Phase」は、変更されるパラメータにPhaseを追加し、変更されるパラメータをNEXとPhaseにすることを意味する。変更スキャンパラメータ決定部451は、カラムA1およびA2のうち、先ず、カラムA1に記載されている内容に従い、「NEX」のみを、変更されるスキャンパラメータと決定する。その後、ステップS192に進む。
【0057】
ステップS192では、パラメータ値変更部452(図2参照)が、ステップS191で決定されたスキャンパラメータのパラメータ値を変更する。ステップS191では、「NEX」のみが変更されるパラメータと決定されているので、NEXのパラメータ値のみが変更される。パラメータ値変更部452は、図4のスキャン条件C0よりも撮影時間が短くなるように、NEXのパラメータ値を変更する。図4のスキャン条件C0では、NEX=3であるので、NEXを3よりも小さい値に変更することによって、撮影時間を短くすることができる。ただし、第1の実施形態では、NEXは、整数値しか取ることができない。したがって、図4のスキャン条件よりも撮影時間を短くすることができるNEXのパラメータ値は、3よりも小さい整数値、即ち、NEX=2、又はNEX=1である。したがって、パラメータ値変更部452が、NEX=2、又はNEX=1を選択することによって、図4のスキャン条件C0よりも撮影時間を短くするスキャン条件を得ることができる。第1の実施形態では、パラメータ値変更部452は、NEX=2、又はNEX=1のうち、図4のスキャン条件C0で規定されているNEXの値(NEX=3)に一番近い値を、パラメータ値として決定する。NEX=3に一番近い値は、NEX=2である。したがって、パラメータ値変更部452は、図4のスキャン条件C0で規定されているNEXの値(NEX=3)を、NEX=2に変更する。これにより、スキャン条件決定手段45は、図4のスキャン条件C0のうち、NEXの値(NEX=3)がNEX=2に置き換えられたスキャン条件を、新たなスキャン条件と決定する。このようにして、新たなスキャン条件が決定される。
【0058】
図9は、図4のスキャン条件C0と、NEX=2に置き換えられた新たなスキャン条件Ct1とを並べて示した図である。
【0059】
新たなスキャン条件Ct1は、NEXの値以外は、スキャン条件C0と同じである。このようにパラメータ値を変更した後、ステップS193に進む。
【0060】
ステップS193では、SNR比算出手段46(図2参照)が、スキャン条件C0を用いて得られる画像のSNR(=SNR0)と、新たなスキャン条件Ct1を用いて得られる画像のSNR(=SNR1)との比R01を算出する。R01は、以下の式(1)から計算される。
R01=(SNR1/SNR0)×100・・・(1)
【0061】
式(1)の中の項(SNR1/SNR0)の値は、スキャン条件C0およびCt1のBWやNEXの値が分かれば算出することができる。したがって、式(1)を用いることによって、比R01を算出することができる。ここでは、比R01=82%である(図9参照)。したがって、新たなスキャン条件Ct1で被検体11をスキャンした場合、スキャン条件C0でスキャンした場合よりも、SNRが18%低下することが分かる。SNRの比R01を算出した後、ステップS194に進む。
【0062】
ステップS194では、撮影時間算出手段47(図2参照)が、新たなスキャン条件Ct1を用いて撮影するときに要する撮影時間Timeを算出する。新たなスキャン条件Ct1の撮影時間Timeは、2分53秒である(図9参照)。したがって、NEX=3からNEX=2に変更することによって、撮影時間Timeが短縮できることが分かる。撮影時間Timeを決定した後、ステップS195に進む。
【0063】
ステップS195では、変更スキャンパラメータ決定部451が、新たなスキャン条件Ct1のスキャンパラメータに対して、いずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更するか否かを決定する。図8を参照すると、項目「撮影時間を短縮したい」を選択した場合、カラムA2(図8参照)には、変更されるパラメータに「Phase」を追加することが規定されている。しかし、新たなスキャン条件Ct1は、「NEX」のパラメータ値しか変更されていない。したがって、変更スキャンパラメータ決定部451は、Phaseのパラメータ値を変更すると判断し、ステップS192に戻る。
【0064】
ステップS192では、パラメータ値変更部452(図2参照)が、新たなスキャン条件Ct1に対して、「Phase」のパラメータ値を変更する。この場合、パラメータ値変更部452は、新たなスキャン条件Ct1よりも撮影時間が短くなるように、「Phase」のパラメータ値を変更する。新たなスキャン条件Ct1では、Phase=192であるので、Phaseを192よりも小さい値に変更することによって、撮影時間を新たなスキャン条件Ct1よりも更に短くすることができる。第1の実施形態では、パラメータ値変更部452は、スキャン条件Ct1で規定されているPhaseの値(Phase=192)を、Phase=160に変更する。スキャン条件決定手段45は、新たなスキャン条件Ct1のうち、Phaseの値(Phase=192)がPhase=160に置き換えられたスキャン条件を、別の新たなスキャン条件Ct2と決定する。このようにして、別の新たなスキャン条件Ct2が決定される。
【0065】
図10は、スキャン条件C0および新たなスキャン条件Ct1と、Phase=160に置き換えられた別の新たなスキャン条件Ct2とを並べて示した図である。
【0066】
スキャン条件Ct2は、Phaseの値以外は、スキャン条件Ct1と同じである。このようにパラメータ値を変更した後、ステップS193に進む。
【0067】
ステップS193では、SNR比算出手段46(図2参照)が、スキャン条件C0を用いて得られる画像のSNR(=SNR0)と、新たなスキャン条件Ct2を用いて得られる画像のSNR(=SNR2)との比R02を算出する。R02は、以下の式(2)から計算される。
R02=(SNR2/SNR0)×100・・・(2)
【0068】
式(2)の中の項(SNR2/SNR0)の値は、スキャン条件C0およびCt2のBWやNEXの値が分かれば算出することができる。したがって、式(2)を用いることによって、比R02を決定することができる。ここでは、比R02=89%である(図9参照)。したがって、別の新たなスキャン条件Ct2で被検体11をスキャンした場合、新たなスキャン条件Ct1でスキャンした場合よりも、SNRが7%向上することが分かる。SNRの比R02を算出した後、ステップS194に進む。
【0069】
ステップS194では、撮影時間算出手段47(図2参照)が、新たなスキャン条件Ct2を用いて撮影するときに要する撮影時間Timeを算出する。新たなスキャン条件Ct2の撮影時間Timeは、2分24秒である(図9参照)。したがって、Phase=192からPhase=160に変更することによって、スキャン条件Ct1よりも更に撮影時間が短縮できることが分かる。撮影時間Timeを決定した後、ステップS195に進む。
【0070】
ステップS195では、変更スキャンパラメータ決定部451が、新たなスキャン条件Ct2のスキャンパラメータに対して、いずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更するか否かを決定する。図10に示すように、スキャン条件Ct2では、スキャン条件Ct1に対してPhaseのパラメータ値が変更されている。したがって、カラムA2に規定されている「NEX」と「Phase」とのパラメータ値の変更が実行されている。したがって、変更スキャンパラメータ決定部451は、更にパラメータ値を変更することはしないと判断し、プログラムを終了する。
【0071】
したがって、項目「撮影時間を短縮したい」を選択した場合、撮影時間を短縮することが可能なスキャン条件として、図10に示す2つのスキャン条件Ct1およびCt2が決定される。2つのスキャン条件Ct1およびCt2は、スキャン条件C0よりもSNRは低下するものの、撮影時間は十分に短縮できることが分かる。
【0072】
次に、ステップS17(図3参照)において、項目「SNRを上げたい」が選択された場合について説明する。
【0073】
(B)「SNRを上げたい」が選択された場合
「SNRを上げたい」が選択された場合の説明にあたっては、「撮影時間を短縮したい」が選択された場合との相違点を主に説明する。
【0074】
ステップS17において、項目「SNRを上げたい」が選択された場合、ステップS191(図7参照)に進む。
【0075】
ステップS191では、変更スキャンパラメータ決定部451(図2参照)が、変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブル(図8参照)を参照し、図4のスキャン条件C0が有する複数のスキャンパラメータの中から、パラメータ値が変更されるスキャンパラメータを決定する。
【0076】
図8に示すように、項目「SNRを上げたい」に対して、変更スキャンパラメータの欄に2つのカラムB1およびB2が設けられている。カラムB1およびB2には、カラムA1およびA2と同様に、それぞれ「NEX」と「NEX+Phase」が記載されている。したがって、項目「SNRを上げたい」を選択した場合、図7のフローが実行されることにより、「NEX」のパラメータ値のみが変更された新たなスキャン条件Cs1と、「NEX」と「Phase」のパラメータ値が変更された別の新たなスキャン条件Cs2が決定される(図11参照)。
【0077】
図11は、「SNRを上げたい」が選択された場合に決定される新たなスキャン条件Cs1およびCs2を示す図である。
【0078】
スキャン条件Cs1およびCs2は、いずれも、スキャン条件C0よりもSNRが大きくなるように、NEXの値およびPhaseの値が設定されている。スキャン条件Cs1は、スキャン条件C0に対して、NEXが4に変更されている。一方、スキャン条件Cs2は、スキャン条件Cs1に対して、Phaseが160に変更されている。スキャン条件Cs1およびCs2のSNR比は、それぞれ115%および126%であり、スキャン条件C0よりもSNRが向上していることが分かる。
【0079】
次に、ステップS17(図3参照)において、項目「空間分解能を上げたい」が選択された場合について説明する。
【0080】
(C)「空間分解能を上げたい」が選択された場合
「空間分解能を上げたい」が選択された場合の説明にあたっては、「撮影時間を短縮したい」が選択された場合との相違点を主に説明する。
【0081】
ステップS17において、項目「空間分解能を上げたい」が選択された場合、ステップS191(図7参照)に進む。
【0082】
ステップS191では、変更スキャンパラメータ決定部451(図2参照)が、変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブル(図8参照)を参照し、図4のスキャン条件C0が有する複数のスキャンパラメータの中から、パラメータ値が変更されるスキャンパラメータを決定する。
【0083】
図8に示すように、項目「空間分解能を上げたい」に対して、変更スキャンパラメータの欄に2つのカラムC1およびC2が設けられている。カラムC1には、「FOV」と記載されている。「FOV」は、変更されるパラメータがFOVのみであることを意味する。また、カラムC2には、「FOV+Phase」と記載されている。「FOV+Phase」は、変更されるパラメータにPhaseを追加し、変更されるパラメータをFOVとPhaseにすることを意味する。変更スキャンパラメータ決定部451は、カラムC1およびC2のうち、先ず、カラムC1に記載されている内容に従い、「FOV」を、変更されるスキャンパラメータと決定する。その後、ステップS192に進む。
【0084】
ステップS192では、パラメータ値変更部452(図2参照)が、図4のスキャン条件C0よりも空間分解能が向上するように、FOVのパラメータ値を変更する。図4のスキャン条件C0では、FOV=24であるので、FOVを24よりも小さい値に変更することによって、空間分解能を向上させることができる。ただし、第1の実施形態では、FOVは、整数値しか取ることができない。したがって、図4のスキャン条件C0よりも空間分解能を向上させることができるFOVのパラメータ値は、24よりも小さい整数値である。したがって、パラメータ値変更部452が、24よりも小さい整数値を選択することによって、図4のスキャン条件C0よりも空間分解能が向上するスキャン条件を得ることができる。第1の実施形態では、パラメータ値変更部452は、FOVを23に変更する。これにより、スキャン条件決定手段45は、図4のスキャン条件C0のうち、FOVの値(FOV=24)がFOV=23に置き換えられたスキャン条件を、新たなスキャン条件と決定する。このようにして、新たなスキャン条件が決定される。
【0085】
図12は、図4のスキャン条件C0と、FOV=23に置き換えられた新たなスキャン条件Cr1とを並べて示した図である。
【0086】
新たなスキャン条件Cr1は、FOVの値以外は、スキャン条件C0と同じである。このようにパラメータ値を変更した後、ステップS193に進む。
【0087】
ステップS193では、SNR比算出手段46(図2参照)が、スキャン条件C0を用いて得られる画像のSNR(=SNR0)と、新たなスキャン条件Cr1を用いて得られる画像のSNR(=SNR3)との比R03を算出する。R03は、以下の式(3)から計算される。
R03=(SNR3/SNR0)×100・・・(3)
【0088】
式(3)の中の項(SNR3/SNR0)の値は、スキャン条件C0およびCr1のBWやNEXの値が分かれば算出することができる。したがって、式(3)を用いることによって、比R03を算出することができる。ここでは、比R03=92%である(図12参照)。したがって、新たなスキャン条件Cr1で被検体11をスキャンした場合、スキャン条件C0でスキャンした場合よりも、SNRが8%低下することが分かる。SNRの比R03を算出した後、ステップS194に進む。
【0089】
ステップS194では、撮影時間算出手段47(図2参照)が、新たなスキャン条件Cr1を用いて撮影するときに要する撮影時間Timeを算出する。新たなスキャン条件Cr1の撮影時間Timeは、4分21秒である(図12参照)。撮影時間Timeを算出した後、ステップS195に進む。
【0090】
ステップS195では、変更スキャンパラメータ決定部451が、新たなスキャン条件Cr1のスキャンパラメータに対して、いずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更するか否かを決定する。図8を参照すると、項目「空間分解能を上げたい」を選択した場合、カラムC2(図8参照)には、変更されるパラメータに「Phase」を追加することが規定されている。しかし、新たなスキャン条件Cr1は、「FOV」のパラメータ値しか変更されていない。したがって、変更スキャンパラメータ決定部451は、Phaseのパラメータ値を変更すると判断し、ステップS192に戻る。
【0091】
ステップS192では、パラメータ値変更部452(図2参照)が、新たなスキャン条件Cr1に対して、「Phase」のパラメータ値を変更する。この場合、パラメータ値変更部452は、新たなスキャン条件Cr1よりも空間分解能が向上するように、「Phase」のパラメータ値を変更する。新たなスキャン条件Cr1では、Phase=192であるので、Phaseを192よりも大きい値に変更することによって、空間分解能を新たなスキャン条件Cr1よりも更に向上させることができる。第1の実施形態では、パラメータ値変更部452は、新たなスキャン条件Cr1で規定されているPhaseの値(Phase=192)を、Phase=224に変更する。スキャン条件決定手段45は、新たなスキャン条件Cr1のうち、Phaseの値(Phase=192)がPhase=224に置き換えられたスキャン条件を、別の新たなスキャン条件Cr2と決定する。このようにして、別の新たなスキャン条件Cr2が決定される。
【0092】
図13は、スキャン条件C0および新たなスキャン条件Cr1と、Phase=224に置き換えられた別の新たなスキャン条件Cr2とを並べて示した図である。
【0093】
スキャン条件Cr2は、Phaseの値以外は、スキャン条件Cr1と同じである。このようにパラメータ値を変更した後、ステップS193に進む。
【0094】
ステップS193では、SNR比算出手段46(図2参照)が、スキャン条件C0を用いて得られる画像のSNR(=SNR0)と、スキャン条件Cr2を用いて得られる画像のSNR(=SNR4)との比R04を算出する。R04は、以下の式(4)から計算される。
R04=(SNR4/SNR0)×100・・・(4)
【0095】
式(4)の中の項(SNR4/SNR0)の値は、スキャン条件C0およびCr2のBWやNEXの値が分かれば算出することができる。したがって、式(4)を用いることによって、比R04を算出することができる。ここでは、比R04=98%である(図13参照)。SNRの比R04を算出した後、ステップS194に進む。
【0096】
ステップS194では、撮影時間算出手段47(図2参照)が、スキャン条件Cr2を用いて撮影するときに要する撮影時間Timeを算出する。スキャン条件Cr2の撮影時間Timeは、4分21秒である(図13参照)。撮影時間Timeを算出した後、ステップS195に進む。
【0097】
ステップS195では、変更スキャンパラメータ決定部451が、スキャン条件Cr2のスキャンパラメータに対して、いずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更するか否かを決定する。図13に示すように、スキャン条件Cr2では、スキャン条件Cr1に対してPhaseのパラメータ値が変更されている。したがって、カラムC2に規定されている「FOV」と「Phase」とのパラメータ値の変更が実行されている。したがって、変更スキャンパラメータ決定部451は、更にパラメータ値を変更することはしないと判断し、プログラムを終了する。
【0098】
図13に示すように、スキャン条件Cr1は、スキャン条件C0に対して、FOVが小さくなっているので、空間分解能を向上させることができる。また、スキャン条件Cr2は、スキャン条件Cr1に対して、Phaseを大きくしているので、更に空間分解能を向上させることができる。
【0099】
上記のように、スキャン条件決定手段45(図2参照)は、ステップS19において、図7に示すフローに従って新たなスキャン条件を決定する。ステップS19において、新たなスキャン条件を決定した後、ステップS20(図3参照)に進む。
【0100】
ステップS20では、スキャン条件表示制御部423(図2参照)が、ステップS17で選択された項目に応じて、図10、図11、又は図13に示すスキャン条件が表示されるように、モニタ31を制御する。ステップS17において、項目「撮影時間を短縮したい」が選択された場合、図10のスキャン条件C0、Ct1、およびCt2が表示される。項目「SNRを上げたい」が選択された場合、図11のスキャン条件C0、Cs1、およびCs2が表示される。また、項目「空間分解能を上げたい」が選択された場合、図13のスキャン条件C0、Cr1、およびCr2が表示される。以下では、ステップS17において、「撮影時間を短縮したい」が選択された場合に、モニタ31に、図10のスキャン条件C0、Ct1、およびCt2がどのように表示されるかについて説明する。
【0101】
図14は、図10のスキャン条件C0、Ct1、およびCt2を表示するモニタ31の表示画面310の一例を示す図である。
【0102】
表示画面310には、図10に示すスキャン条件C0、Ct1、およびCt2が表示されており、スキャン条件C0、Ct1、およびCt2の下には、SNR比と撮影時間Timeも表示されている。また、スキャン条件C0、Ct1、およびCt2の左側には、選択ボタン317および318と、キャンセルボタン319が表示されている。
【0103】
図14に示すような表示画面310が表示された後、ステップS21に進む。
【0104】
操作者29は、表示画面310を見ながら、新たなスキャン条件Ct1およびCt2を検討し、試してみたいスキャン条件があれば、表示画面310の選択ボタン317又は318をクリックする。選択ボタン317がクリックされると、スキャン条件Ct1に従って撮影が行われ、選択ボタン318がクリックされると、スキャン条件Ct2に従って撮影が行われる。選択ボタン317又は318がクリックされない場合は、ステップS22に進む。操作者29は、スキャン条件Ct1およびCt2の両方とも試してみたいと感じなければ、キャンセルボタン319をクリックする。キャンセルボタン319がクリックされると、プログラムが終了する。キャンセルボタン319がクリックされない場合、ステップS22からステップS21に戻る。したがって、選択ボタン317、318、又はキャンセルボタン319がクリックされるまで、ステップS21およびS22のループが繰り返し実行される。ステップS21において、操作者29が、例えば、選択ボタン317をクリックすると、スキャン条件選択手段48(図2参照)は、スキャン条件Ct1が選択されたと判断し、制御装置20のMR装置制御手段21に、スキャン条件Ct1に従ってスキャンを実行すべき旨の命令を送り、ステップS23に進む。
【0105】
ステップS23では、新たなスキャン条件Ct1に従ってスキャンが実行される。スキャンが実行されると、被検体11から頭部11aのデータが収集され、画像再構成手段22で再構成される。再構成された画像は、モニタ31に表示され、フローが終了する。
【0106】
尚、ステップS20〜ステップS23では、「撮影時間を短縮したい」が選択された場合について説明されているが、「SNRを上げたい」や「空間分解能を上げたい」が選択された場合でも、同様に説明できる。
【0107】
第1の実施形態では、操作者29は、図6の画面310の領域314内に表示されている複数の項目のいずれかを選択するだけで、操作者29が選択した項目の内容を実現する新たなスキャン条件が決定される。したがって、スキャン条件を容易に決定することができる。
【0108】
(2)第2の実施形態
第2の実施形態の説明に当たっては、第1の実施形態との相違点のみについて説明する。
【0109】
図15は、第2の実施形態における操作装置本体34の機能ブロックを示す図である。
【0110】
第2の実施形態では、第1の実施形態で備えられているスキャン条件設定手段41〜スキャン条件選択手段48に加えて、表示判断手段49が設けられている。表示判断手段49は、新たなスキャン条件をモニタ31に表示させるか否かを判断する。
【0111】
図16は、ステップS17において、「撮影時間を短縮したい」が選択された場合に、モニタ31に、図10のスキャン条件C0、Ct1、およびCt2がどのように表示されるかを示す図である。
【0112】
第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、表示画面310には、新たなスキャン条件Ct2は表示されているが、新たなスキャン条件Cr1は表示されていない。第2の実施形態では、表示判断手段49が、SNR比が85%以下になるスキャン条件は表示せずと判断する。したがって、表示画面310には、SNRが低すぎるスキャン条件は表示されないようにすることができ、ある程度の画質の画像を得ることが可能なスキャン条件のみを表示することができる。第2の実施形態では、スキャン条件が表示される基準をSNR比85%にしているが、SNR比の基準値は、他の値にすることもできる。また、第2の実施形態では、スキャン条件が表示される基準として、SNR比を採用しているが、SNR比の代わりに、撮影時間を採用することもできる。
【0113】
尚、第1および第2の実施形態では、画面に表示される項目(図6参照)は、「(1)撮影時間を短くしたい」、「(2)SNRを上げたい」、および「(3)空間分解能を上げたい」の3つであるが、この他の項目(例えば、コントラストに関する項目)を設けてもよい。
【0114】
第1および第2の実施形態では、変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブルの一例が図8に示されているが、変更スキャンパラメータは、必ずしも図8に示されているパラメータである必要はなく、必要に応じて、図8に示されているパラメータとは別のパラメータを、変更スキャンパラメータとしてもよい。例えば、項目「SNRを上げたい」が選択された場合、上記の実施形態では、「Phase」が変更されるスキャンパラメータに設定されているが、「Phase」に代えて(又は「Phase」に加えて)、「Freq」を変更されるスキャンパラメータに設定してもよい。
【0115】
また、第1および第2の実施形態では、操作者29が上記の3つの項目の中から一つの項目を選択し、選択された一つの項目を満足するスキャン条件が決定されている。しかし、操作者29が2つ以上の項目を選択し、選択された2つ以上の項目を満足する新たなスキャン条件が決定されるようにすることも可能である。
【0116】
更に、第1および第2の実施形態では、MRIシステムについて説明しているが、CT(Computed Tomography)システムについても、操作者29が任意の項目を選択することによって新たなスキャン条件が決定されるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明の一実施形態のMRIシステム1のブロック図である。
【図2】操作装置本体34の機能ブロックを示す図である。
【図3】第1の実施形態におけるMRIシステム1のフローチャートの一例である。
【図4】被検体11のスキャン条件の一例である。
【図5】再構成画像を表示するモニタ31の表示画面310の一例である。
【図6】複数の項目を表示するモニタ31の表示画面の一例を示す図である。
【図7】ステップS19で実行されるスキャン条件決定のフローの一例を示す図である。
【図8】変更スキャンパラメータ記憶部431に記憶されたテーブルの一例を示す図である。
【図9】図4のスキャン条件C0と、NEX=2に置き換えられた新たなスキャン条件Ct1とを並べて示した図である。
【図10】スキャン条件C0および新たなスキャン条件Ct1と、Phase=160に置き換えられた別の新たなスキャン条件Ct2とを並べて示した図である。
【図11】「SNRを上げたい」が選択された場合に決定される新たなスキャン条件Cs1およびCs2を示す図である。
【図12】図4のスキャン条件C0と、FOV=23に置き換えられた新たなスキャン条件Cr1とを並べて示した図である。
【図13】スキャン条件C0および新たなスキャン条件Cr1と、Phase=224に置き換えられた新たなスキャン条件Cr2とを並べて示した図である。
【図14】図13のスキャン条件C0、Cr1、およびCr2を表示するモニタ31の表示画面310の一例を示す図である。
【図15】第2の実施形態における操作装置本体34の機能ブロックを示す図である。
【図16】ステップS17において、「空間分解能を上げたい」が選択された場合に、モニタ31に、図11のスキャン条件C0、Cr1、およびCr2がどのように表示されるかを示す図である。
【符号の説明】
【0118】
1 MRIシステム
10 MRI装置
11 被検体
11a 頭部
12 受信コイル
20 制御装置
21 MR装置制御手段
22 画像再構成手段
29 操作者
30 操作装置
31 モニタ
32 キーボード
33 マウス
34 操作装置本体
41 スキャン条件設定手段
42 表示制御手段
43 記憶手段
44 項目選択手段
45 スキャン条件決定手段
46 SNR比算出手段
47 撮影時間算出手段
48 スキャン条件選択手段
49 表示判断手段
421 項目表示制御部
422 画像表示制御部
423 スキャン条件表示制御部
431 変更スキャンパラメータ記憶部
432 スキャン条件記憶部
451 変更スキャンパラメータ決定部
452 パラメータ値変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体をスキャンするときのスキャン条件を決定するスキャン条件決定装置であって、
表示手段と、
前記被検体をスキャンすることにより得られた画像に関連する複数の項目が前記表示手段に表示されるように、前記表示手段を制御する表示制御手段と、
操作者の操作に応じて、前記複数の項目のうちの一つ以上の項目を選択する項目選択手段と、
前記項目選択手段が選択した項目に従って、スキャン条件が有する複数のスキャンパラメータのうちのいずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更することにより、新たなスキャン条件を決定するスキャン条件決定手段と、
を有する、スキャン条件決定装置。
【請求項2】
前記複数の項目には、画質の項目が含まれている、請求項1に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項3】
前記画質の項目は、SNRの項目又は空間分解能の項目である、請求項2に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項4】
前記複数の項目には、撮影時間の項目が含まれている、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項5】
前記スキャン条件決定手段は、
前記項目選択手段が選択した項目に従って、前記複数のスキャンパラメータの中から、パラメータ値が変更されるスキャンパラメータを決定し、決定された前記スキャンパラメータのパラメータ値を変更する、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示手段に前記新たなスキャン条件が表示されるように前記表示手段を制御する、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項7】
前記スキャン条件を用いて得られる画像のSNRと、前記新たなスキャン条件を用いて得られる画像のSNRとの比を算出するSNR比算出手段、
を有する請求項6に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項8】
前記SNR比算出手段が算出した比の値に応じて、前記新たなスキャン条件を前記表示手段に表示させるか否かを判断する表示判断手段を有する、請求項7に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記表示手段に前記被検体の画像が表示されるように前記表示手段を制御する、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件決定装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載のスキャン条件決定装置を有する医療システム。
【請求項11】
前記医療システムはMRIシステム又はCTシステムである、請求項10に記載の医療システム。
【請求項12】
被検体をスキャンするときのスキャン条件を決定するスキャン条件決定方法であって、
前記被検体をスキャンすることにより得られた画像に関連する複数の項目を表示手段に表示する表示ステップと、
操作者の操作に応じて、前記複数の項目のうちの一つ以上の項目を選択する項目選択ステップと、
前記項目選択ステップにおいて選択された項目に従って、スキャン条件が有する複数のスキャンパラメータのうちのいずれかのスキャンパラメータのパラメータ値を変更することにより、新たなスキャン条件を決定するスキャン条件決定ステップと、
を有する、スキャン条件決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−5064(P2010−5064A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166766(P2008−166766)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】