説明

スクライブ装置

【課題】ダイヤモンドポイントの長寿命化が実現されたスクライブ装置を提供する。
【解決手段】脆性材料基板4にスクライブラインを形成するスクライブ装置が、先端にダイヤモンド含有物からなる刃部61を有するダイヤモンドポイント60と、ダイヤモンドポイント60を保持しつつ移動させる保持手段31と、脆性材料基板4を保持する保持ユニットと、を備え、保持ユニットに保持された脆性材料基板4の表面に刃部61を接触させつつ保持手段31によってダイヤモンドポイント60を移動させることにより表面にスクライブラインを形成可能とされてなり、少なくともスクライブラインの形成の間、刃部61が存在する被供給空間110に不活性ガスを供給することにより、被供給空間110を低酸素状態とする雰囲気調整機構100、をさらに備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドポイントを脆性材料基板に対して相対的に移動させることによって脆性材料基板上にスクライブラインを形成する、スクライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
刃部がダイヤモンド等で形成されたダイヤモンドポイントまたはダイヤモンドホイールによってガラス基板上にスクライブラインを形成する技術が、従来より知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−085791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイヤモンドポイントをガラス基板に対して所定の圧力で押し当てることによって、ガラス基板にスクライブラインを形成する場合、ガラス基板とこれに実際に押し当てられる部位であるダイヤモンドポイントの刃部との間には、摩擦熱が生じる。係る摩擦熱は、刃部の酸化を引き起こし、ひいては、刃部を劣化させ、スクライブ性能を低下させるなど、ダイヤモンドポイントの寿命を短くする要因となっている。
【0005】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、従来よりもダイヤモンドポイントの長寿命化が実現されたスクライブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、脆性材料基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、先端にダイヤモンド含有物からなる刃部を有するダイヤモンドポイントと、前記ダイヤモンドポイントを保持しつつ移動させる保持手段と、前記脆性材料基板を保持する保持ユニットと、を備え、前記保持ユニットに保持された前記脆性材料基板の表面に前記刃部を接触させつつ前記保持手段によって前記ダイヤモンドポイントを移動させることにより前記表面にスクライブラインを形成可能とされてなり、少なくとも前記スクライブラインの形成の間、前記刃部が存在する被供給空間に不活性ガスを供給することにより、前記被供給空間を低酸素状態とする雰囲気調整機構、をさらに備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のスクライブ装置であって、前記雰囲気調整機構が、供給管によって不活性ガス供給源と接続されたノズルから前記被供給空間に前記不活性ガスを供給するように構成されてなるとともに、前記供給管の途中に、前記不活性ガスを冷却するガス冷却手段、を備えており、少なくとも前記スクライブラインの形成の間、前記刃部が存在する被供給空間に前記ガス冷却手段によって冷却された不活性ガスを供給することにより、前記被供給空間を低温かつ低酸素状態とする、ことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のスクライブ装置であって、前記雰囲気調整機構が、前記ダイヤモンドポイントによりスクライブラインが形成される際に前記ダイヤモンドポイントを内部に収容するカバー、をさらに備え、前記カバーの内部に前記ノズルが設けられてなり、前記カバーと前記脆性材料基板の間の空間を前記被供給空間として前記ノズルから前記不活性ガスが供給される、ことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスクライブ装置であって、前記不活性ガスが窒素ガスである、ことを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、脆性材料基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、先端にダイヤモンド含有物からなる刃部を有するダイヤモンドポイントと、前記ダイヤモンドポイントを保持しつつ移動させる保持手段と、前記脆性材料基板を保持する保持ユニットと、を備え、前記保持ユニットに保持された前記脆性材料基板の表面に前記刃部を接触させつつ前記保持手段によって前記ダイヤモンドポイントを移動させることにより、前記表面にスクライブラインを形成可能とされてなり、少なくとも前記スクライブラインの形成の間、前記刃部が存在する空間に冷却ガスを供給することにより前記空間を低温状態とする雰囲気調整機構、をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5に記載のスクライブ装置であって、前記雰囲気調整機構が、前記ダイヤモンドポイントによりスクライブラインが形成される際に前記ダイヤモンドポイントを内部に収容するカバー、をさらに備え、前記カバーの内部に前記ノズルが付けられてなり、前記カバーと前記脆性材料基板の間の空間を前記被供給空間として前記ノズルから前記冷却ガスが供給される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1ないし請求項6の発明によれば、刃部と脆性材料基板との間で発生する摩擦熱に起因した刃部の酸化が、好適に抑制される。これにより、ダイヤモンドポイントの長寿命化が実現される。
【0013】
特に、請求項1ないし請求項4の発明によれば、ダイヤモンドポイントの刃部が存在する被供給空間に対し不活性ガスが供給されることで、刃部の周囲が低酸素雰囲気となる。これにより、刃部と脆性材料基板との間で発生する摩擦熱に起因した刃部の酸化が、好適に抑制される。これにより、ダイヤモンドポイントの長寿命化が実現される。
【0014】
特に、請求項2の発明によれば、ダイヤモンドポイントの刃部が存在する被供給空間に対し低温の不活性ガスが供給されることで、刃部の周囲が低温かつ低酸素雰囲気となる。これにより、刃部と脆性材料基板との間で発生する摩擦熱に起因した刃部の酸化が、さらに好適に抑制される。
【0015】
特に、請求項3の発明によれば、雰囲気調整機構がカバーを備えることで、不活性ガスもしくは冷却ガスが供給される被供給空間が他の空間と仕切られる。これにより、ダイヤモンドポイントの近傍の雰囲気を、効率的に低酸素状態あるいは低温状態とすることができる。
【0016】
特に、請求項5および請求項6の発明によれば、ダイヤモンドポイントの刃部が存在する被供給空間に対し冷却ガスが供給されることで、刃部の周囲が低温雰囲気となる。これにより、刃部と脆性材料基板との間で発生する摩擦熱に起因した刃部の酸化が、好適に抑制される。これにより、ダイヤモンドポイントの長寿命化が実現される。
【0017】
特に、請求項6の発明によれば、雰囲気調整機構がカバーを備えることで、不活性ガスもしくは冷却ガスが供給される被供給空間が他の空間と仕切られる。これにより、ダイヤモンドポイントの近傍の雰囲気を、効率的に低温状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係るスクライブ装置1の全体構成を示す正面図である。
【図2】本実施の形態に係るスクライブ装置1の全体構成を示す側面図である。
【図3】ヘッド部30付近の構成を示す正面図である。
【図4】ホルダ揺動部34付近の構成の一例を示す側面図である。
【図5】ホルダ揺動部34付近の構成の一例を示す側面図である。
【図6】ダイヤモンドポイント60の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<スクライブ装置の構成>
図1および図2は、それぞれ、本実施の形態に係るスクライブ装置1の全体構成を示す正面図および側面図である。スクライブ装置1は、例えばガラス基板またはセラミックス基板等のように、脆性材料で形成された基板(以下、単に、「脆性材料基板」とも呼ぶ)4の表面に、スクライブライン(切りすじ:縦割れ)を入れる装置である。
【0020】
図1および図2に示すように、スクライブ装置1は、主として、保持ユニット10と、スクライブユニット20と、撮像部ユニット80と、制御ユニット90とを有している。なお、図1および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく、必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が付されている。また、図1および図2においては図示を省略するが、スクライブ装置1はさらに、雰囲気調整機構100(図4参照)を備えている。
【0021】
ここで、本実施の形態において、
(1)スクライブ装置1により脆性材料基板4の表面にスクライブラインSL(図6参照)を形成することで垂直クラックを発生させ(スクライブ工程)、
(2)次に、応力付与により垂直クラックをさらに伸展させて、脆性材料基板4を切断する(ブレーク工程)、
手法を、「割断」と呼ぶ。
【0022】
一方、スクライブ工程のみによって(すなわち、ブレーク工程を実行することなく)、垂直クラックを脆性材料基板4のスクライブラインSLが形成された側の主面から逆側の主面まで伸展させ、脆性材料基板4を切断する手法を、「分断」と呼ぶ。
【0023】
また、本実施の形態のスクライブ方法により割断または分断可能な脆性材料基板4の材質の例としては、ガラス、セラミック、シリコン、またはサファイア等が挙げられる。特に近年、通信機器関連の高周波モジュールに用いる基板として、HTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)から、比較的加工のしやすいLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)への移行が加速している。そのため、本実施の形態のスクライブ方法は、益々有効に用いられることになる。
【0024】
保持ユニット10は、脆性材料基板4を保持しつつ移動させることによって、脆性材料基板4をスクライブユニット20に対して移動させる。図1に示すように、保持ユニット10は、基部10a上に設けられており、主として、テーブル11と、ボールねじ機構12と、モータ13とを有している。
【0025】
ここで、基部10aは、例えば略直方体状の石定盤により形成されており、その上面(保持ユニット10と対向する面)は、平坦加工されている。
【0026】
テーブル11は、載置された脆性材料基板4を吸着保持する。また、テーブル11は、保持された脆性材料基板4を、矢印AR1方向(X軸プラスまたはマイナス方向:以下、単に、「進退方向」とも呼ぶ)に進退させるとともに、矢印R1方向に回転させる。図1および図2に示すように、テーブル11は、主として、吸着部11aと、回転台11bと、移動台11cとを有している。
【0027】
吸着部11aは、回転台11bの上側に設けられている。図1および図2に示すように、吸着部11aの上面には、脆性材料基板4が載置可能とされている。また、吸着部11aの上面には、複数の吸着溝(図示省略)が格子状に配置されている。したがって、脆性材料基板4が載置された状態で、各吸着溝内の雰囲気が排気(吸引)されることによって、脆性材料基板4は、吸着部11aに対して吸着される。
【0028】
回転台11bは、吸着部11aの下側に設けられており、Z軸と略平行な回転軸11dを中心に吸着部11aを回転させる。また、移動台11cは、回転台11bの下側に設けられており、進退方向に沿って、吸着部11aおよび回転台11bを移動させる。
【0029】
したがって、テーブル11に吸着保持された脆性材料基板4は、矢印AR1方向に進退させられるとともに、吸着部11aの進退動作にともなって移動する回転軸11dを中心に回転させられる。
【0030】
ボールねじ機構12は、テーブル11の下側に配置されており、テーブル11を矢印AR1方向に進退させる。図1および図2に示すように、ボールねじ機構12は、主として、送りネジ12aと、ナット12bとを有している。
【0031】
送りネジ12aは、テーブル11の進退方向に沿って延びる棒体である。送りネジ12aの外周面には、螺旋状の溝(図示省略)が設けられている。また、送りネジ12aの一端は支持部14aにより、送りネジ12aの他端は支持部14bにより、それぞれ回転可能に支持されている。さらに、送りネジ12aは、モータ13と連動連結されており、モータ13が回転すると、その回転方向に送りネジ12aが回転する。
【0032】
ナット12bは、送りネジ12aの回転にしたがい、不図示のボールの転がり運動によって、矢印AR1方向に進退する。図1および図2に示すように、ナット12bは、移動台11cの下部に固定されている。
【0033】
したがって、モータ13が駆動させられ、モータ13の回転力が送りネジ12aに伝達されると、ナット12bは、矢印AR1方向に進退する。その結果、ナット12bが固定されているテーブル11は、ナット12bと同様に矢印AR1方向に進退する。
【0034】
一対のガイドレール15、16は、進行方向におけるテーブル11の移動を規制する。図2に示すように、一対のガイドレール15、16は、基部10a上において、矢印AR2方向に所定距離だけ隔てて固定されている。
【0035】
複数(本実施の形態では2つ)の摺動部17(17a、17b)は、ガイドレール15に沿って矢印AR1方向に摺動自在とされている。図1および図2に示すように、各摺動部17(17a、17b)は、移動台11cの下部において、矢印AR1方向に所定距離だけ隔てて固定されている。
【0036】
複数(本実施の形態では2つ:ただし、図示の都合上、摺動部18aのみ記載)の摺動部18は、ガイドレール16に沿って矢印AR1方向に摺動自在とされている。図1および図2に示すように、各摺動部18は、摺動部17(17a、17b)と同様に、移動台11cの下部において、矢印AR1方向に所定距離だけ隔てて固定されている。
【0037】
このように、モータ13の回転力がボールねじ機構12に付与されると、テーブル11は、一対のガイドレール15、16に沿って移動する。そのため、進退方向におけるテーブル11の直進性を確保することができる。なお、ボールねじ機構12に代えてリニアガイド(リニアモーター)を設けてもよい。
【0038】
スクライブユニット20は、脆性材料基板4の表面へのスクライブラインSLの形成を担う。図1および図2に示すように、スクライブユニット20は、主として、ヘッド部30と、駆動部70とを有している。
【0039】
ヘッド部30は、脆性材料基板4にスクライブラインSLを形成するためのツール(工具)であるダイヤモンドポイント60(図3参照)を備える。本実施の形態においては、ダイヤモンドポイント60の刃部61(図3参照)を保持ユニット10に保持された脆性材料基板4の表面に接触させ、当該表面に押圧力(以下、単に、「スクライブ荷重」とも呼ぶ)を付与した状態で、ダイヤモンドポイント60を脆性材料基板4に対して移動させることで、脆性材料基板4上にスクライブラインSLが形成される。ヘッド部30の具体的構成については後述する。
【0040】
駆動部70は、係るスクライブラインSLの形成に際して、ダイヤモンドポイント60を保持するホルダ31を含むヘッド部30を、矢印AR2方向(Y軸プラスまたはマイナス方向)に沿って往復移動させる。図2に示すように、駆動部70は、主として、複数(本実施の形態では2本)の支柱71と、複数(本実施の形態では2本)のガイドレール72と、モータ73とを有している。
【0041】
支柱71(71a、71b)は、基部10aから上下方向(Z軸方向)に延びる。図2に示すように、ガイドレール72は、支柱71a、71bの間に挟まれた状態で、これら支柱71a、71bに対して固定される。
【0042】
ガイドレール72は、スクライブラインSLを形成する際のヘッド部30の移動を規制する。図2に示すように、ガイドレール72は、上下方向に所定距離だけ隔てて固定されている。
【0043】
モータ73は、不図示の送り機構(例えば、ボールねじ機構)と連動連結されている。これにより、モータ73が回転すると、ヘッド部30は、ガイドレール72に沿って矢印AR2方向に往復する。
【0044】
撮像部ユニット80は、保持ユニット10に保持された脆性材料基板4を撮像する。図2に示すように、撮像部ユニット80は、複数(本実施の形態では2台)のカメラ85(85a、85b)を有している。
【0045】
カメラ85(85a、85b)は、図1および図2に示すように、保持ユニット10の上方に配置されている。カメラ85(85a、85b)は、脆性材料基板4上に形成された特徴的な部分(例えば、アライメントマーク(図示省略))の画像を撮像する。そして、カメラ85(85a、85b)により撮像された画像に基づいて、脆性材料基板4の位置および姿勢が求められる。
【0046】
制御ユニット90は、スクライブ装置1の各要素の動作制御、およびデータ演算を実現する。図1および図2に示すように、制御ユニット90は、主として、ROM91と、RAM92と、CPU93とを有している。
【0047】
ROM(Read Only Memory)91は、いわゆる不揮発性の記憶部であり、例えば、プログラム91aが格納されている。なお、ROM91としては、読み書き自在の不揮発性メモリであるフラッシュメモリが使用されてもよい。
【0048】
RAM(Random Access Memory)92は、揮発性の記憶部であり、例えば、CPU93の演算で使用されるデータが格納される。CPU(Central Processing Unit)93は、ROM91のプログラム91aに従った制御(例えば、保持ユニット10の進退・回転動作、ヘッド部30における往復・昇降動作、後述する雰囲気調整機構100による窒素ガス供給動作等の制御)、および種々のデータ演算処理等を実行する。
【0049】
<ヘッド部の構成とダイヤモンドポイント>
図3は、ヘッド部30付近の構成を示す正面図である。図3に示すように、ヘッド部30は、主として、ダイヤモンドポイント60と、ダイヤモンドポイント60を保持固定するホルダ31と、ダイヤモンドポイント60が固定されたホルダ31を揺動可能とするホルダ揺動部34と、ダイヤモンドポイント60の高さ位置を調整するための昇降部50とを有している。
【0050】
また、図4および図5は、ホルダ揺動部34付近の構成の一例を示す側面図である。なお、図4および図5においては、後述する雰囲気調整機構100も図示している。また、図4は、スクライブラインSLの形成を行っていないときのヘッド部30の様子を示す図でもある。図5は、スクライブラインSLの形成を行っているときのヘッド部30の様子を示す図でもある。さらに、図6は、ダイヤモンドポイント60の構成を示す側面図である。なお、以降において、スクライブ装置1がスクライブラインSLの形成を行っていないときを「静止時」とも称する。
【0051】
ダイヤモンドポイント60は、図6に示すように、概略、刃部61を円柱状または角柱状の棒体である保持部62の先端部62aに設けた構成を有する。刃部61が脆性材料基板4に突き当てられることによって、脆性材料基板4にスクライブラインSLが形成される。
【0052】
刃部61は、天然のもしくは合成された、単結晶体ダイヤモンドまたは多結晶体ダイヤモンドや、ダイヤモンド粒子を鉄族元素などの結合材によって結合させた焼結ダイヤモンドなどの構成素材を、四角錐台形形状その他、スクライブラインSLの形成に適した形状にて成形してなる。なお、刃部61の構成素材をダイヤモンド含有物と総称する。
【0053】
保持部62の断面直径は、2mm〜6mmであるのが好ましく、保持部62の長さは、10mm〜70mmであるのが好ましい。一方、刃部61のサイズについては、四角錐台形形状をなしている場合であれば、保持部62の先端部62aとの接合部近傍における断面が0.5mm角〜3.0mm角であるのが好ましく、当該断面が0.8mm角〜2.0mm角であるのがより好ましい。
【0054】
以上の構成を有するダイヤモンドポイント60は、スクライブラインSLの形成に際して、ヘッド部30に備わるホルダ31に固定される。ホルダ31は、ヘッド部30においてダイヤモンドポイント60を直接に保持する要素である。具体的には、図3ないし図5に示すように、ホルダ31は、刃部61が脆性材料基板4の側を向くように、ダイヤモンドポイント60の保持部62を保持固定する。
【0055】
<ホルダ揺動部および昇降部>
ダイヤモンドポイント60が保持固定されたホルダ31は、ホルダ揺動部34に保持される。そして、ホルダ揺動部34は、昇降部50に保持される。
【0056】
具体的には、図3ないし図5に示すように、ホルダ揺動部34は、ホルダ31が取り付けられるホルダジョイント35と、ホルダジョイント35を昇降部50に取り付けるためのホルダ取付ブロック40とを主に備える。ホルダジョイント35は、取付片36と、旋回部38とを有する。ホルダ取付ブロック40は、ベアリング46、47と、固定部49とを有する。
【0057】
取付片36は、ホルダジョイント35におけるホルダ31の直接の取付要素である。図3ないし図5に示すように、取付片36は、ホルダジョイント35の下端部分に設けられる。取付片36の形状は、側面視略L字状とされている。
【0058】
取付片36には、固定軸36aが設けられており、ホルダ31は、係る固定軸36aに取り付けられる。固定軸36aは、ホルダ31が取り付けられた状態においてダイヤモンドポイント60の延伸方向(矢印AR3方向)と略垂直である。以下、固定軸36aの延在方向(矢印AR4方向)を単に「軸心方向」とも称する。この軸心方向は、静止時にはY軸方向と一致する。
【0059】
旋回部38は、ホルダジョイント35をホルダ取付ブロック40に接続するための部位である。旋回部38は、ホルダ取付ブロック40に備わるベアリング46、47によって軸支される。すなわち、旋回部38は、ベアリング46、47の内径面と対向するように、ホルダ取付ブロック40の本体部40aに挿入されている。これにより、ホルダジョイント35は、ダイヤモンドポイント60の長さ方向と略平行な回転軸38aを中心に、矢印R2方向に回転可能とされてなる。なお、ベアリング46、47は、ホルダ取付ブロック40の本体部40a内に、静止時において上からこの順番に位置するように配置されている。従って、静止時においては、旋回部38の回転軸38aの延在方向はZ軸方向と一致する。
【0060】
係る旋回部38を備えることで、ホルダジョイント35は、旋回部38の回転軸38aを中心に、矢印R2方向に回転可能とされてなる。ただし、旋回部38の先端部には旋回部38の回転動作を規制する固定部49が設けられる。これにより、ホルダジョイント35については、実際には、回転軸38a周りにおける所定の角度範囲内での揺動のみが許容されてなる。
【0061】
なお、本実施の形態では、2つのベアリング46、47を用いるものとして説明したが、ベアリングの個数はこれに限定されず、例えば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、固定部49としては、例えば、ネジ等の締結部材が用いられる。
【0062】
昇降部50は、ホルダ揺動部34のホルダ取付ブロック40と接続され、ホルダ31を保持するホルダ揺動部34を全体としてZ軸方向に昇降させる部位である。図3に示すように、昇降部50は、主として、シリンダ51と、伝達部52とを有している。
【0063】
シリンダ51は、ホルダ揺動部34を上下方向(Z軸プラスまたはマイナス方向)に沿って昇降させるための駆動力を付与する駆動力供給源である。図3に示すように、シリンダ51は、ホルダ取付ブロック40の上方に配置されており、主として、本体部51aと、ロッド51bとを有している。
【0064】
ロッド51bは、本体部51aに対して進退可能とされている。図3に示すように、ロッド51bの下端は、伝達部52に連結されている。したがって、シリンダ51が駆動し、ロッド51bが本体部51aから進出することによって、伝達部52は、ロッド51bの下端により下方向に押し下げられる。
【0065】
伝達部52は、シリンダ51およびホルダ取付ブロック40の間に設けられており、シリンダ51からの駆動力をホルダ取付ブロック40に伝達する。
【0066】
ガイド機構53は、図3に示すように、主として、ガイドレール53aと、ガイドレール53aに沿って上下方向に摺動自在とされたガイドブロック53bとを有している。ガイドブロック53bには、ホルダ取付ブロック40の直接の取付要素である取付プレート54が付設されてなる。取付プレート54には、ホルダ取付ブロック40の回動軸40bが挿入される挿入口56が設けられている。
【0067】
挿入口56は、水平面内においてスクライブラインSLの形成方向に垂直な方向に延在する。係る挿入口56に回動軸40bが挿入されることで、ホルダ揺動部34は、回動軸40b周りに回動可能となっている。なお、図4に示すように、あるいは図5において一点鎖線にて示すように、静止時において、ホルダ揺動部34は、ダイヤモンドポイント60の延在方向が鉛直方向に一致するように位置する。また、ホルダ揺動部34の回動軸40b周りの回動は、図示しない角度規制手段により、所定の角度範囲内に規制されてなる。例えば、図5においては矢印R3にて示す範囲でのみ回動可能とされてなる。
【0068】
また、回動軸40bが挿入口56に挿入されてなることにより、ホルダ揺動部34は、取付プレート54を介しガイドブロック53bによって保持されていることにもなる。シリンダ51によって付与された駆動力によって、ガイド機構53においてガイドブロック53bがガイドレール53aに沿ってガイドされることで、ホルダ揺動部34のZ軸方向における昇降動作が実現される。
【0069】
<スクライブラインの形成>
次に、以上のような構成を有するスクライブ装置1によるスクライブラインSLの形成について説明する。
【0070】
本実施の形態に係るスクライブ装置1においては、上述のように、ホルダ揺動部34が水平面内においてスクライブラインSLの形成方向に垂直である回動軸40b周りに回動可能であり、かつ、ホルダジョイント35がスクライブラインSLの形成方向と鉛直方向とを含む平面内にある回転軸38a周りに回転可能とされてなる。これにより、ダイヤモンドポイント60を固定したホルダ31が、互いに直交する2軸の周りにおいて揺動可能な状態で、スクライブラインSLを形成できるようになっている。なお、回動軸40bと回転軸38aとは、前者の垂直な面内に、後者が存在する関係にある。
【0071】
具体的には、まず、脆性材料基板4がテーブル11に吸引固定された状態で、スクライブラインSLの形成開始位置に対し、ダイヤモンドポイント60の刃部61が突き当てられる。その際には、シリンダ51を所定の推力で駆動することにより、ホルダ31に固定されたダイヤモンドポイント60から脆性材料基板4に対し、所定のスクライブ荷重が加えられる。そして、係るスクライブ荷重を作用させた状態で、駆動部70によってダイヤモンドポイント60を含むヘッド部30を脆性材料基板4に対して移動させるようにする。
【0072】
いま、スクライブラインSLを形成する際のダイヤモンドポイント60の進行方向がY軸正方向であるとすると、静止時においては図4に示すように、あるいは図5において一点鎖線にて示すように、ダイヤモンドポイント60の長さ方向が鉛直方向に一致する姿勢を有していたホルダ揺動部34が、刃部61において脆性材料基板4からの抵抗力を進行方向と逆向き(Y軸負方向)に受ける。これにより、係る抵抗力がトルクとなって、ホルダ揺動部34全体が回動軸40b周りに回動し、図5において実線にて示すように、鉛直方向からある角度だけ傾斜した姿勢を取るようになる。ヘッド部30の移動は、ホルダ揺動部34がこの傾斜姿勢を保ったままで進行する。
【0073】
このとき、当然ながらダイヤモンドポイント60も静止時の姿勢から当該角度だけ傾斜することとなるが、係る傾斜姿勢の状態においてもダイヤモンドポイント60から脆性材料基板4に対しスクライブ荷重が作用するように、上述したZ軸方向におけるホルダ揺動部34の位置調整を行っておくことで、ヘッド部30が移動している間、ダイヤモンドポイント60の刃部61によって、図6に示すようなスクライブラインSLの形成が実現される。
【0074】
具体的には、スクライブ荷重は、0.3N〜3.0Nの範囲で設定されるのが好ましい。さらに好ましくは、0.5N〜2.5Nの範囲に設定される。また、脆性材料基板4に対するダイヤモンドポイント60の移動速度は、通常、50mm/sec〜1200mm/secの範囲に設定される。100mm/sec〜800mm/secの範囲に設定されるのが好ましい。なお、スクライブ荷重および移動速度の具体的な値は、脆性材料基板4の材質や厚さ等から適宜設定される。
【0075】
以上により、脆性材料基板4の表面には、ダイヤモンドポイント60の刃部61の軌跡に応じたスクライブラインSLが形成される。そして、脆性材料基板4には、スクライブラインSLから垂直方向(Z軸方向)に延びる垂直クラックが形成される。
【0076】
なお、ここまではスクライブラインSLの形成方向であるダイヤモンドポイント60の進行方向がY軸正方向の場合について説明を行っているが、スクライブラインSLの形成方向がこれと反転するY軸負方向の場合には、ホルダ揺動部34が図6において二点鎖線にて示す傾斜姿勢を取ることで、同様の態様での加工が行える。従って、例えば互いに平行な複数のスクライブラインSLを形成するような場合であれば、進行方向をY軸正負方向で順次に反転させる往復加工が可能となる。この場合、ダイヤモンドポイント60の進行方向が反転する度に、ホルダ揺動部34の傾斜姿勢が、図5の実線の場合と二点鎖線の場合とで交互に入れ替わることとなる。なお、往復加工する必要が無い場合には、回動軸40bを省略して、ホルダ揺動部34を所定の角度θで固定することとしてもよい。
【0077】
また、上述のように、ホルダ31は、回転軸38a周りにおいて所定角度範囲内で揺動するホルダジョイント35に取り付けられてなることから、スクライブラインSLの形成の間も、係る回転軸38a周りに揺動可能な状態を保っている。それゆえ、脆性材料基板4の表面がスクライブラインSLの形成進行方向を軸に傾斜しているような場合であっても、ホルダ31が回転軸38a周りに適宜回転することで、ダイヤモンドポイント60は係る傾斜に倣った姿勢を保つことができる。
【0078】
<雰囲気調整機構>
次に、スクライブ装置1に備わる雰囲気調整機構100の構成を説明する。図4および図5に示すように、雰囲気調整機構100は、主として、カバー101と、複数(本実施の形態では2本)のノズル102(102a、102b)と、窒素ガス供給源103と、ガス冷却部106とを有している。
【0079】
カバー101は、ダイヤモンドポイント60の周囲を覆う、上下が開口した筒状体である。カバー101は、図3に示すように取付プレート54に取り付けられており、また、図4に示すように、スクライブラインSLの形成時に脆性材料基板4と近接するように配置される。換言すれば、少なくともスクライブラインSLの形成時には、ダイヤモンドポイント60はカバー101の内部に収容された状態となっている。なお、ホルダ揺動部34の回動軸40b周りの回動と、ホルダジョイント35の回転軸38a周りの回転は、カバー101と緩衝することなく行えるようになっている。
【0080】
ノズル102はカバー101の内部において、取付プレート54に取り付けられてなり、例えば窒素ガスボンベなどである窒素ガス供給源103から供給される窒素ガスを、脆性材料基板4とカバー101との間の空間、つまりは、スクライブラインSLの形成時にダイヤモンドポイント60の存在する空間である被供給空間110に向けて供給する。より詳細には、それぞれのノズル102は、窒素ガス供給源103に接続された主供給管104から分岐する複数(本実施の形態では2本)の供給管105(105a、105b)がそれぞれのノズル102(102a、102b)へと接続されてなることで、窒素ガス供給源103と連通接続されてなる。
【0081】
ノズル102の配置位置および姿勢は、ダイヤモンドポイント6を含むホルダ揺動部34の姿勢に応じて適宜に調整されてよい。例えば、図5に示すようにホルダ揺動部34がスクライブラインSLの形成に際して傾斜姿勢を取る際に、少なくとも1つのノズル102がダイヤモンドポイント60の刃部61に近接するように、ダイヤモンドポイント冷却機構100が構成されるのが好適である。さらには、ホルダ揺動部34が姿勢を違えることによってダイヤモンドポイント60の刃部61の位置が変化する度に、刃部61の位置に応じてノズル102からの供給方向が変化するようになっていてもよい。あるいは、ホルダ揺動部34が実線にて示した位置にあるときにノズル102bが刃部61に近接し、ホルダ揺動部34が二点鎖線にて示した位置にあるときにノズル102aが刃部61に近接するようになっていてもよい。
【0082】
なお、図4および図5においては、2つのノズル102a、102bがカバー101の内部において、取付プレート54のY軸方向における両端部、つまりはスクライブラインSLの形成方向の前後に取り付けられているが、ノズル102の配置位置はこれに限られるものではない。例えば、取付プレート54のX軸方向における両端部に2つのノズル102が設けられる態様であってもよいし、さらに多くのノズル102が設けられる態様であってもよい。
【0083】
ガス冷却部106は、主供給管104の一部を覆うように設けられた、ノズル102に供給される窒素ガスを冷却する冷却要素である。ガス冷却部106は、公知の技術を用いて構成可能である。好ましくは、ガス冷却部106は、その冷却動作の駆動および停止が制御可能とされてなる。ガス冷却部106が冷却動作を行っている状態で、ガス冷却部106と供給管105との間に設けられたバルブ107が開放されると、被供給空間110には、冷却された窒素ガスが供給される。
【0084】
以上のような構成の雰囲気調整機構100を備える、本実施の形態に係るスクライブ装置1においては、少なくとも、上述した態様にて脆性材料基板4の表面にスクライブラインSLを形成する間、ダイヤモンドポイント60が(より厳密にはその刃部61が)存在する被供給空間110に対しノズル102から窒素ガスが供給される。その結果、ダイヤモンドポイント60の刃部61の周囲が低酸素雰囲気となるので、刃部61と脆性材料基板4との間で発生する摩擦熱に起因した刃部61の酸化が、好適に抑制される。これにより、ダイヤモンドポイント60の長寿命化が実現される。
【0085】
また、窒素ガスの供給に際してガス冷却部106が駆動された場合には、被供給空間110にはガス冷却部106によって冷却された窒素ガスが供給される。係る場合、ダイヤモンドポイント60の刃部61の周囲が低温の窒素ガス雰囲気となるので、刃部61と脆性材料基板4との間で発生する摩擦熱に起因した刃部61の酸化が、より効果的に抑制される。これにより、ダイヤモンドポイント60の短寿命化がさらに好適に抑制される。
【0086】
なお、以上の場合において、カバー101は、窒素ガスが供給される被供給空間110を他の空間と仕切る役割を有する。すなわち、カバー101が設けられてなることで、ダイヤモンドポイント60の近傍の雰囲気が、効率的に低酸素状態さらには低温状態とされる。さらに、カバー101を設けることで、スクライブラインSLの形成に際して発生するカレットが、ノズル102より供給されるガスにより飛散することを防ぐこともできる。ただし、カバー101の設置は必須ではなく、適宜の位置に配置したノズル102からの窒素ガスの供給のみによってダイヤモンドポイント60近傍が好適に低酸素状態さらには低温状態とされる態様であってもよい。また、取付プレート54ではなく、カバー101の内面にノズル102を取り付ける態様であってもよいし、カバー101の内部に独立してノズル102を設ける態様であってもよい。さらには、窒素ガスが供給される被供給空間110を他の空間と仕切ることができれば、筒状体であるカバー101に代えて矩形状(正方形または長方形状)の板体を用いてもよい。あるいはまた、カバー101を取付プレート54とは別個に設け、取付プレート54を含む昇降部50がカバー101の内側で昇降自在とされてなる態様であってもよい。
【0087】
<変形例>
スクライブラインSLの形成に際して、被供給空間110に十分な量の窒素ガスが供給できる場合には、あるいは、ダイヤモンドポイント60の刃部61を十分に冷却できる場合には、ノズル102の本数は1本であってもよい。
【0088】
ノズル102から供給するガスの種類は、上述の実施の形態において用いられている窒素ガスには限定されず、窒素ガスと同様の不活性ガスを供給させる態様であってもよい。例えば、窒素ガス供給源103に代えて、窒素ガスと同様に反応性の低い希ガス(例えば、ヘリウムおよびアルゴン等)の供給源を設け、ノズル102から供給させる態様であってもよい。
【0089】
ただし、窒素ガスは、安価であるという点で、他の不活性ガスよりも有利である。すなわち、窒素ガスを用いる場合、加工コストを増加させることなく、ダイヤモンドポイント60の長寿命化を実現することができる。
【0090】
また、スクライブラインSLの形成時にダイヤモンドポイント60の刃部61を十分に冷却し、刃部61の酸化を防止することができる場合には、窒素ガスなどの不活性ガス以外のガス(例えば、空気)をガス冷却部106によって冷却し、ノズル102から供給する態様であってもよい。冷却ガスとしてはこのほかに、液体ガスまたは固体ガスを気化させた低温ガスを用いることもできるし、圧縮ガスを大気開放することによって断熱膨張冷却されたガスを用いることもできる。
【符号の説明】
【0091】
1 スクライブ装置
4 脆性材料基板
10 保持ユニット
20 スクライブユニット
30 ヘッド部
31 ホルダ
34 ホルダ揺動部
35 ホルダジョイント
36 取付片
38 旋回部
40 ホルダ取付ブロック
50 昇降部
60 ダイヤモンドポイント
61 刃部
62 保持部
70 駆動部
80 撮像部ユニット
90 制御ユニット
100 雰囲気調整機構
101 近接板
102(102a、102b) ノズル
103 窒素ガス供給源
104 主供給管
105(105a、105b) 供給管
106 ガス冷却部
107 バルブ
110 被供給空間
SL スクライブライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脆性材料基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、
先端にダイヤモンド含有物からなる刃部を有するダイヤモンドポイントと、
前記ダイヤモンドポイントを保持しつつ移動させる保持手段と、
前記脆性材料基板を保持する保持ユニットと、
を備え、
前記保持ユニットに保持された前記脆性材料基板の表面に前記刃部を接触させつつ前記保持手段によって前記ダイヤモンドポイントを移動させることにより前記表面にスクライブラインを形成可能とされてなり、
少なくとも前記スクライブラインの形成の間、前記刃部が存在する被供給空間に不活性ガスを供給することにより、前記被供給空間を低酸素状態とする雰囲気調整機構、
をさらに備えることを特徴とするスクライブ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスクライブ装置であって、
前記雰囲気調整機構が、
供給管によって不活性ガス供給源と接続されたノズルから前記被供給空間に前記不活性ガスを供給するように構成されてなるとともに、
前記供給管の途中に、前記不活性ガスを冷却するガス冷却手段、
を備えており、
少なくとも前記スクライブラインの形成の間、前記刃部が存在する被供給空間に前記ガス冷却手段によって冷却された不活性ガスを供給することにより、前記被供給空間を低温かつ低酸素状態とする、
ことを特徴とするスクライブ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスクライブ装置であって、
前記雰囲気調整機構が、
前記ダイヤモンドポイントによりスクライブラインが形成される際に前記ダイヤモンドポイントを内部に収容するカバー、
をさらに備え、
前記カバーの内部に前記ノズルが設けられてなり、
前記カバーと前記脆性材料基板の間の空間を前記被供給空間として前記ノズルから前記不活性ガスが供給される、
ことを特徴とするスクライブ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスクライブ装置であって、
前記不活性ガスが窒素ガスである、
ことを特徴とするスクライブ装置。
【請求項5】
脆性材料基板にスクライブラインを形成するスクライブ装置であって、
先端にダイヤモンド含有物からなる刃部を有するダイヤモンドポイントと、
前記ダイヤモンドポイントを保持しつつ移動させる保持手段と、
前記脆性材料基板を保持する保持ユニットと、を備え、
前記保持ユニットに保持された前記脆性材料基板の表面に前記刃部を接触させつつ前記保持手段によって前記ダイヤモンドポイントを移動させることにより、前記表面にスクライブラインを形成可能とされてなり、
少なくとも前記スクライブラインの形成の間、前記刃部が存在する空間に冷却ガスを供給することにより前記空間を低温状態とする雰囲気調整機構、
をさらに備えることを特徴とするスクライブ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のスクライブ装置であって、
前記雰囲気調整機構が、
前記ダイヤモンドポイントによりスクライブラインが形成される際に前記ダイヤモンドポイントを内部に収容するカバー、
をさらに備え、
前記カバーの内部に前記ノズルが付けられてなり、
前記カバーと前記脆性材料基板の間の空間を前記被供給空間として前記ノズルから前記冷却ガスが供給される、
ことを特徴とするスクライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−71349(P2013−71349A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212760(P2011−212760)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(390000608)三星ダイヤモンド工業株式会社 (383)
【Fターム(参考)】