スクラッチシート及びスクラッチ転写箔
【課題】余剰の層を必要とせず、したがって低コストで製造が容易でありながら、機密情報の不正読み取りを防止し、しかも、削りカスの少ないスクラッチシートを提供すること。
【解決手段】基材シート上に機密データ層と隠蔽層とを順次設けて構成され、前記隠蔽層をスクラッチして除去することにより機密情報を可視化するスクラッチシートであって、前記機密データ層を機密情報を表現する形状に構成し、スクラッチした際にこの機密データ層に重畳された部位の隠蔽層を選択的に除去する。スクラッチすると、隠蔽層が除去された部位の形状によって機密情報が表現されるから、機密情報を確実に認知することができる。また、本来必要な層に別の層を付け加えるわけではないから低コストでしかも製造が容易であり、しかも、隠蔽層が選択的にスクラッチされるからその削りカスも最小限で済む。
【解決手段】基材シート上に機密データ層と隠蔽層とを順次設けて構成され、前記隠蔽層をスクラッチして除去することにより機密情報を可視化するスクラッチシートであって、前記機密データ層を機密情報を表現する形状に構成し、スクラッチした際にこの機密データ層に重畳された部位の隠蔽層を選択的に除去する。スクラッチすると、隠蔽層が除去された部位の形状によって機密情報が表現されるから、機密情報を確実に認知することができる。また、本来必要な層に別の層を付け加えるわけではないから低コストでしかも製造が容易であり、しかも、隠蔽層が選択的にスクラッチされるからその削りカスも最小限で済む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密情報の上に隠蔽層を積層してこの機密情報を隠蔽すると共に、スクラッチによって前記隠蔽層を除去して前記機密情報を可視化するスクラッチシートに関し、特に機密情報の不正な読取りを防止できるスクラッチシートに関するものである。また、本発明は、このようなスクラッチシートの製造に利用する転写箔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなスクラッチシートはくじや抽選券、あるいはプリペイドカードとして利用されている。例えば、スクラッチ宝くじ、電話料金のプリペイドカード、販促キャンペーン用のスクラッチカード等である。このようなスクラッチシートは、一般に、紙などの基材シート上に機密情報を印刷し、この機密情報上に隠蔽層を設けて構成され、隠蔽部分全体を爪やコインなどで擦り取ることにより、隠蔽層の下に隠蔽されていた機密情報を認識することができる。
【0003】
機密情報は、例えば、くじや抽選券の当選・落選を示す情報であったり、あるいは電話の利用権限の正当性を示す情報であったりするから、これら機密情報の不正取得を防止する必要がある。
【0004】
この不正取得の方法としては、例えば、ハロゲンランプや水銀ランプ等の強光源に透かして、前記機密情報を読み取る手口が知られている。また、一度隠蔽層を削り取って機密情報を読み取り、その後隠蔽層を復元するという手口も知られている。
【0005】
強光源に透かして、前記機密情報を読み取る手口に対する対策としては、前記基材シートに金属蒸着膜等の光遮断層を設ける方法がある。
【0006】
また、隠蔽層を削り取って復元するという手口に対しては、削り取られるスクラッチ層に特殊な材料を使用して、その復元を妨げる方法が知られている。特殊な材料としては、例えば、金属蒸着層が知られており、この金属蒸着層を削り取ってしまうと、その金属光沢を復元することは極めて困難である。また、特殊な材料として、OVD層を利用する方法もある(特許文献1、2)。OVD層は、反射光を波長分散させて、見る角度によってその色彩を変化させるもので、このため、肉眼では虹模様に見える。このようなOVD層も、削り取った後復元することは極めて困難であった。また、隠蔽層の上に、削り取られる部位と残存する部位とに連続して微細パターンを印刷して、その復元を防止したスクラッチカードも知られている(特許文献3)。
【0007】
しかしながら、基材シートに光遮断層を設ける場合には、基材が複数層構造となって製造工程が複雑となり、コストが高くなってしまうという問題があった。また、金属蒸着層やOVD層を設ける方法も、その層構成が複雑となり、また材料費が高くなり、このため製造コストが高くなるという問題があった。このように、いずれの方法においても、スクラッチシートとして本来必要な層の他に不正防止のための層を必要とし、このため、製造工程が増え、製造コストも高くなるという問題があった。
【0008】
また、いずれの方法においても、機密情報を読み取るためには隠蔽層の全体を削り取る必要があり、削りカスが多量に発生してしまうという問題もあった。
【特許文献1】特開2001−39068号公報
【特許文献2】特開2001−121852号公報
【特許文献3】特開2000−108564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、余剰の層を必要とせず、したがって低コストで製造が容易でありながら、機密情報の不正読み取りを防止し、しかも、削りカスの少ないスクラッチシートを提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の課題は、このようなスクラッチシートの製造に適する転写箔を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、請求項1記載の発明は、基材シート上に機密データ層と隠蔽層とを順次設けて構成され、前記隠蔽層をスクラッチして除去することにより機密情報を可視化するスクラッチシートにおいて、
前記機密データ層が機密情報を表現する形状に構成されていると共に、隠蔽層をスクラッチした際に、この機密データ層に重畳された部位の隠蔽層が選択的に除去されることを特徴とするスクラッチシートである。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、機密データ層が機密情報を表現する形状に構成されており、しかも、スクラッチによって除去されるのはこの形状の隠蔽層である。すなわち、機密情報は隠蔽層が除去された部位の形状によって表現されるから、この機密情報を確実に認知することが可能である。
【0013】
そして、このスクラッチシートは、スクラッチシート本来必要な層にさらに別の層を付け加えるわけではないから、低コストでしかも製造が容易であり、しかも、前記形状の隠蔽層が選択的にスクラッチされるから、その削りカスも最小限で済む。
【0014】
次に、請求項2及び3に記載の発明は、隠蔽層を削り取って復元するという手口を防止するものである。
【0015】
すなわち、請求項2に記載の発明は、請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層の上に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチシートであり、
他方、請求項3に記載の発明は、請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチシートである。
【0016】
なお、本発明に係るスクラッチシートは、基材シート上に、順次、機密データ層、隠蔽層、あるいは、これに加えてOVD層や金属蒸着層を積層することによって製造することもできるが、これら各層の全部または一部を転写支持体上に積層して転写箔とし、この転写箔から基材シート上に転写して製造することもできる。
【0017】
例えば、基材シート上に機密データ層を積層し、他方、転写支持体上に隠蔽層を積層し、この両者を重ねて接着し、転写支持体を剥離除去することによって、本発明に係るスクラッチシートを製造することが可能である。
【0018】
また、転写支持体上に、順次、隠蔽層と機密データ層とを積層して転写箔とし、これを基材シートに重ねて接着し、転写支持体を剥離除去することによって、本発明に係るスクラッチシートを製造することも可能である。
【0019】
請求項4〜6に記載の発明は、このような転写箔に関するものである。
【0020】
すなわち、請求項4に記載の発明は、請求項1記載のスクラッチシートの製造に適用される転写箔であって、
転写支持体と、この転写支持体上に剥離容易に設けられ、スクラッチによって除去可能な保護層と、この保護層上に設けられた前記隠蔽層と、この隠蔽層上に設けられ、前記基材シートに接着可能な接着層と、前記隠蔽層と接着層との間又は接着層の上に設けられた前記機密データ層とを備えることを特徴とするスクラッチ転写箔である。
【0021】
また、請求項5〜6に記載の発明は、それぞれ、請求項2〜3に記載のスクラッチシートの製造に適する転写箔に関するものである。
【0022】
すなわち、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の転写箔において、
前記剥離保護層と隠蔽層との間に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチ転写箔であり、
請求項6に記載の発明は、請求項4記載の転写箔において、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチ転写箔である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、機密情報を確実に隠蔽し、かつ、スクラッチしてこれを読み取ることができる。そして、低コストでしかも製造が容易であり、しかも、その削りカスも最小限で済むという効果を奏する。
【0024】
また、請求項2〜3に記載の発明によれば、これに加えて、隠蔽層を削り取って復元するという不正手段を防止することができる。このため、機密情報の不正取得は不可能となる。
【0025】
また、請求項4〜6に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載のスクラッチシートを容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(スクラッチシート)
本発明に係るスクラッチシートは、基材シートと、機密データ層と、隠蔽層とを必須の構成要素とする。この外、OVD層、金属蒸着層、接着層、保護層などを備えるものであっても良い。
【0028】
いずれの場合においても、機密データ層は機密情報を表現する形状に構成されている必要がある。また、スクラッチした際には、この機密データ層に重畳された部位の各層が除去されることが必要である。すなわち、機密データ層に重畳された層が隠蔽層であれば、この隠蔽層が除去される。また、機密データ層に、接着層、隠蔽層、OVD層、保護層の4層が重畳されているのであれば、これら4層のすべてが、スクラッチによって除去される。
【0029】
なお、スクラッチによって除去される部位は、機密データ層に重畳された部位であり、機密データ層に重畳されていない部位の前記各層は基材シート上に残存する必要がある。すなわち、スクラッチによって、機密情報を表現する形状に前記各層が除去され、その他の部位に前記各層が残存する。
【0030】
図面を参照して、本発明に係るスクラッチシートの例を説明すると、例えば、図1〜図2に示すスクラッチカードが例示できる。図1Aはスクラッチシートの第1の形態の平面図であり、この一部にスクラッチ領域aが設けられている。図1AのX−X断面説明図が図1Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、保護層5を順次積層して構成されている。なお、このスクラッチシートは、後述する転写箔を利用して製造することができる。
【0031】
そして、このスクラッチシートの表面を爪やコインなどでスクラッチすることにより、機密データ層3に重畳された部位の各層、すなわち、接着層3、隠蔽層4及び保護層5の3層が削り取られる。図2Aは削り取った状態の平面図、図2Bは図2AのX−X断面説明図であり、図中、bは削り取られた部位を示し、機密データ層3と同じ形状である。
【0032】
また、図3Aはスクラッチシートの第2の形態の平面図であり、図3AのX−X断面説明図が図3Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、接着層3、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、隠蔽層4、保護層5を順次積層して構成されたもので、接着層3と機密データ層4との積層の順序を除き、第1の形態と同様である。
【0033】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、隠蔽層4及び保護層5の2層が削り取られる。図4Aは削り取った状態の平面図、図4Bは図4AのX−X断面説明図である。
【0034】
次に、図5Aはスクラッチシートの第3の形態の平面図であり、図5AのX−X断面説明図が図5Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、OVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。
【0035】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、接着層3、隠蔽層4、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図6Aは削り取った状態の平面図、図6Bは図6AのX−X断面説明図である。
【0036】
次に、図7Aはスクラッチシートの第4の形態の平面図であり、図7AのX−X断面構成図が図7Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、接着層3、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、隠蔽層4、OVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。すなわち、接着層3と機密データ層2との積層の順序を除き、第3の形態と同様である。
【0037】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、隠蔽層4、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図8Aは削り取った状態の平面図、図8Bは図8AのX−X断面説明図である。
【0038】
次に、図9Aはスクラッチシートの第5の形態の平面図であり、図9AのX−X断面説明図が図9Bである。このスクラッチシートは、隠蔽層としてOVD層6を利用したものである。すなわち、このスクラッチシートは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層2、隠蔽層としてのOVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。
【0039】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、接着層3、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図10Aは削り取った状態の平面図、図10Bは図10AのX−X断面説明図である。
【0040】
次に、図11Aはスクラッチシートの第6の形態の平面図であり、図11AのX−X断面説明図が図11Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、接着層3、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、隠蔽層としてのOVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。すなわち、接着層3と機密データ層2との積層の順序を除き、第5の形態と同様である。
【0041】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図12Aは削り取った状態の平面図、図12Bは図12AのX−X断面説明図である。
【0042】
(基材シート)
本発明に係る基材シート1は、この基材シート1を透かして機密情報を読み取ることができない程度に不透明なものであることが望ましい。このような基材シート1としては、例えば、厚手の紙が例示できる。例えば、カード用紙である。
【0043】
また、不透明顔料を混合したプラスティックシートを利用することもできる。例えば、白色顔料を練りこんで製膜されたポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0044】
あるいは、不透明な印刷インキ層を形成した紙、プラスティックフィルム又はシートなどを利用することもできる。また、金属蒸着層を設けたり、金属箔を貼り合わせて不透明とした紙やプラスティックフィルムであってもよい。
【0045】
また、機密データ層2が十分な透明性を有する場合には、基材シート1として透明なものを使用することができる。この基材シート1を透かしても、機密データ層2の形状を認知することができず、機密情報の不正読み取りのおそれがないからである。また、OVD層6が十分な光反射能力を有し、この反射光にまぎれて機密データ層2の読み取りが不可能な場合にも、基材シート1として透明なものを使用することができる。透明な基材シート1としては、例えば、プラスティックフィルム又はシートが例示できる。
【0046】
(機密データ層)
機密データ層2は、機密情報を表現すると共に、この機密データ層2に重畳された各層と基材シート1との接着強度を弱めて、スクラッチにより機密データ層1に重畳された部位の各層を選択的に除去可能とする役割を有する。
【0047】
このため、機密データ層2は、機密情報を表現する形状に構成されている必要がある。
例えば、文字、記号あるいは絵柄の形状である。機密データ層2が文字の形状に構成されている場合には、スクラッチにより、この機密データ層2に重畳された部位の各層が選択的に除去されて、文字形状の機密データ層2が露出し、その周囲の各層が残存する。
【0048】
また、機密データ層2は、抜き文字の形状に構成されていても良い。この場合には、スクラッチにより、この機密データ層2に重畳された部位の各層が選択的に除去されて、文字形状の各層が残存する。
【0049】
この機密情報層2は、この機密データ層2に重畳された各層と基材シート1との接着強度を弱めるため、接着性樹脂に接着阻害剤を混合した塗料から構成されていることが望ましい。
【0050】
接着性樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等が使用できる。
【0051】
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が例示できる。
【0052】
アクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−2−メトキシエチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸−2−ナフチル、ポリアクリル酸イソボルニル、ポリメタクリロメチル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルクロロアクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸−tert−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸フェニル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸アルキル(但しアルキル基の炭素数は2〜6)の共重合樹脂が例示できる。
【0053】
また、ビニル系樹脂としては、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、ポリビニルベンゼン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル(但しアルキル基の炭素数は2〜6)の共重合樹脂が例示できる。
【0054】
また、接着阻害剤としては、ワックス類、高級脂肪酸の金属塩、テフロン(登録商標)パウダー、シリコンオイル、シリコン樹脂又は変性されたシリコン樹脂等が使用できる。ワックス類としては、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪族エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系、ワックス、α−オレイン系ワックスが例示できる。また、高級脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0055】
そして、これら樹脂と接着阻害剤とを溶剤に混合して塗料とし、この塗料を印刷することによって機密データ層2を形成することをできる。この塗料を、基材シート1上に直接印刷して機密データ層2を形成することをできるが、後述するように、一旦転写支持体上に塗布又は印刷して転写箔を製造し、この転写箔から基材シート1に転写することによって形成することも可能である。印刷方法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが利用できる。
【0056】
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体等、またはこれらの混合溶剤が使用できる。
【0057】
なお、この機密データ層2は、基材シート1を透かして機密情報を不正に読み取ること
を防ぐため、無色透明なものが好ましい。また、機密データ層2のある部位とない部位とで段差が生じることを防ぐため、5.0μm以下の厚みを有することが望ましい。段差が生じると、この段差から機密情報を不正に読み取ることが可能となるからである。好ましくは1.0μm以下である。なお、厚みの下限は考慮する必要がないが、一般に0.01μmがその限界である。
【0058】
(隠蔽層)
隠蔽層4は、機密データ層2を覆って機密情報の不正読み取りを防止する役割を有すると共に、コインや爪によるスクラッチによって機密データ層2に重畳された部位のみが選択的に破壊、剥離する特性を具備している必要がある。
【0059】
この隠蔽層4は、機密情報の不正読み取りを防止するため、不透明である必要がある。このような不透明な隠蔽層4は、樹脂中に不透明な粒子を混合分散して構成することができる。また、後述するように、OVD層を隠蔽層4として利用する場合には、このOVD層に含まれる金属蒸着膜を利用して隠蔽性能を確保することができる。
【0060】
この隠蔽層4に利用できる前記不透明粒子としては、金属粉末、不透明顔料が例示できる。金属粉末としては、アルミニウム粉末、真鍮粉末、銅粉末などが例示できる。また、不透明顔料としては、タルク、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等の体質顔料が使用できる。また、不透明顔料として着色顔料を使用することも可能である。
【0061】
また、前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体が例示できる。
【0062】
そして、これら熱可塑性樹脂、不透明粒子を溶剤に混合して塗料とし、この塗料を塗布又は印刷することにより、隠蔽層を形成することができる。この塗料を、基材シート1上に直接塗布又は印刷して隠蔽層4を形成することをできるが、一旦転写支持体上に塗布又は印刷して転写箔を製造し、この転写箔から基材シート1に転写することによって形成することも可能である。塗布方法や印刷方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等が利用できる。なお、前記不透明粒子は、塗料中10〜30重量%となるように混合すればよい。
【0063】
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体、またはこれらの混合溶剤が使用できる。
【0064】
(接着層)
接着層3は、基材シート1と隠蔽層4との接着強度を向上させるものである。この接着層3は、基材シート1と機密データ層2との間に設けられる場合と、機密データ層2と隠蔽層4との間に設けられる場合がある。
【0065】
例えば、前述の第2の形態(図3〜図4)、第4の形態(図7〜図8)、第6の形態(図11〜図12)は、基材シート1と機密データ層2との間に接着層3を設けた場合である。この場合には、スクラッチの後にも、接着層3は基材シート上に残存する。このため、接着層3として、前述の接着性樹脂を用いることができる。例えば、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等である。
【0066】
他方、前述の第1の形態(図1〜図2)、第3の形態(図5〜図6)、第5の形態(図9〜図10)は、機密データ層2と隠蔽層4との間に接着層3を設けた場合である。この場合には、スクラッチによって、接着層3は、機密データ層2に重畳した部位が選択的に除去される。
【0067】
いずれの場合においても、これら樹脂を塗布又は印刷することで接着層3を形成することが可能である。基材シート1に直接塗布・印刷しても良いし、転写箔を利用して形成しても良い。塗布方法又は印刷方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等が利用できる。また、溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体、またはこれらの混合溶剤が使用できる。
【0068】
(保護層)
保護層5は、隠蔽層4、接着層3、機密データ層2等の各層を薬品や溶剤の浸透による損傷や機械的な摩擦などの損傷から保護する役割を有する。また、転写箔を利用してスクラッチシートを製造する場合には、この保護層5が転写支持体と接触し、この転写支持体から剥離する。
【0069】
保護層5は、前記役割を果たすため、熱可塑性樹脂に耐摩擦材を混合したものを好適に用いることができる。また、添加物として、転写支持体から転写する際の膜切れ性を改善する剥離改善剤を配合することもできる。この外、例えば紫外線吸収剤等の添加物は添加しないことが望ましい。これらの添加により、耐薬品性の低下や可塑剤などの薬品・溶剤の浸透が生じ、また機械的強度の劣化を生じる原因ともなる。
【0070】
前記熱可塑性樹脂としては、酸、アルカリ、アルコール、灯油などの薬品類の浸透を防止するとともに、引っ掻き傷や機械的摩擦による損傷を抑えるものが好ましい。例えば、ポリメチルメタアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂等である。中でも、ポリメチルメタアクリレート又はエポキシ樹脂が好ましく使用にできる。これらの樹脂を使用した保護層は耐可塑剤性が優れていて薬品類の浸透を防止でき、また、転写支持体から容易に剥離できるからである。
【0071】
また、耐摩擦材としては、例えば、テフロン(登録商標)パウダー、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪族エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系ワックス、α−オレイン系ワックス、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪族の金属塩などが挙げられる。
【0072】
また、剥離改善剤としては、線状飽和ポリエステル樹脂が例示できる。
【0073】
これら各材料の配合割合としては、全体量を100重量部としたとき、熱可塑性樹脂85〜99重量部、耐摩擦剤を1〜15重量部である。剥離改善剤は、必要な場合に限って添加するものとし、その配合割合は、全体量100重量部に対して5重量部以下である。
【0074】
保護層21は、前記熱可塑性樹脂、耐摩擦材及び必要な添加剤を適当な溶剤により塗料化し、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法などの公知の塗布手段を用いて塗布して形成することができる。なお、保護層21の膜厚は0.3μm〜5μmである。好ましくは1〜3μmである。
【0075】
(OVD層)
OVD層6は角度によって異なる色彩に見える層であって、その優れた意匠性によって装飾効果を発揮すると共に、このような特殊な性質を利用することで、隠蔽層を削り取って復元するという手口を防止することが可能になる。
【0076】
このような性質を有するOVD層6としては、2種類のものが知られている。そのうち1種類は、回折格子の光分散機能を利用するものである。また、他の1種類は、多層の光学薄膜の多重反射と光干渉機能を利用するものである。
【0077】
回折格子としては、レリーフ型の回折格子、体積型の回折格子等、さまざまなものがあり、いずれの回折格子もOVD層として利用することができる。中でも、レリーフ型回折格子が簡便であり、また、光分散機能が高い点から好ましく利用できる。
【0078】
このようなレリーフ型回折格子を利用したOVD層6は、回折格子形成層62と光反射層61の2層から構成することができる。
【0079】
回折格子形成層62は、その表面に微細な凹凸パターンを有し、この凹凸パターンで反射型回折格子を構成しているものである。また、光反射層61は、この凹凸パターンに沿って設けれた薄膜で、光反射性を増大させるものである。
【0080】
回折格子形成層62を構成する材料としては、熱圧によるエンボス成形加工性が良好で加工ムラが生じ難い樹脂が好ましく使用できる。また、この樹脂は、スクラッチによって除去できるものである必要がある。
【0081】
このような樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂等が利用できる。
【0082】
熱可塑性樹脂は熱圧によるエンボス成形を可能とするもので、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルが例示できる。また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0083】
また、これら樹脂に塗工適性を向上させる添加剤や、転写性を調整する添加剤を添加することもできる。このような添加剤としては、例えば、セルロース系樹脂が挙げられる。例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース等である。
【0084】
そして、これら樹脂又は添加剤を添加した樹脂を塗布して回折格子形成層62を設けることができる。塗布方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法、スクリーン印刷法等が利用できる。
【0085】
また、この回折格子形成層62の表面に微細な回折格子パターンの凹凸を設けるためには、この凹凸を反転した形状のスタンパを押圧して、スタンパ表面の凹凸を写し取ればよい。このスタンパの製造方法は公知である。すなわち、二光束干渉法を利用して感光性樹脂に凹凸を設け、この凹凸の反転を繰り返して前記スタンパを製造することができる。なお、二光束干渉法を利用して形成した回折格子はホログラム画像を有することができる。また、二光束干渉法を利用する代わりに、電子線感受性の樹脂に電子線を照射して前記凹凸を設ける方法も知られている。
【0086】
次に、光反射層61を構成する材料としては、金属材料が例示できる。例えば、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、銅、金等である。
【0087】
また、前記回折格子形成層62の屈折率と異なる屈折率を有する透明材料を使用して、前記光反射層61を構成することも可能である。例えば、TiO2、SiO2、SiO、Fe2O3、ZnSなどの高屈折率無機材料である。
【0088】
これら金属材料や高屈折率無機材料を使用して前記光反射層61を構成する場合には、真空成膜法を利用してこの層を形成することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法である。厚みは50〜10000Åで良い。
【0089】
また、前記回折格子形成層62の屈折率と異なる屈折率を有する有機材料を使用して、前記光反射層61を構成することも可能である。例えば、屈折率n=1.3〜1.5のアクリル系樹脂である。あるいは、有機材料中に無機材料を分散させたものを使用することも可能である。有機材料や有機材料中に無機材料を分散させたものを使用して光反射層61を構成する場合には、塗布又は印刷によってこの層を形成することができる。例えば、グラビアコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法等である。厚みは0.1μm〜10μmでよい。
【0090】
なお、この回折格子をOVD層として利用する場合には、一旦転写支持体上に基材シート上に回折格子形成層62と光反射層61とを形成し、これを基材シートに転写することによって、基材シートに形成することが望ましい。
【0091】
次に、OVD層6として多層の光学薄膜を使用する場合には、互いに屈折率の異なる透明薄膜を、2層以上の多層に積層したものが使用できる。これら多層薄膜の薄膜境界から発生した反射光同士が干渉して、特定波長の光強度が低下し、別の波長の光強度が増大する。そして、入射角度又は反射角度に応じて、光強度の低下・増大する波長が異なるから、見る角度によって異なる色彩が観察される結果となる。透明薄膜としては、波長以下の厚みを有する金属薄膜や無機薄膜が利用できる。これら薄膜は真空蒸着法やスパッタリング法で形成することができる。
【0092】
(金属蒸着層)
OVD層6に代えて、金属蒸着層を利用することも可能である。この場合には、光分散機能がないから、意匠性や装飾性の点でOVD層に及ばないものの、隠蔽層を削り取って復元するという手口を防止することが可能になる。均一な金属光沢を復元することは不可能だからである。
【0093】
金属蒸着層としては、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、銅、金等の蒸着層が利用できる。厚みは50〜10000Åで良い。
【0094】
(スクラッチシートの製造方法及び転写箔)
前述のように、本発明に係るスクラッチシートは、基材シート1上に各層を順次積層することによって製造することができる。
【0095】
また、一旦転写支持体に各層を積層し、これを基材シート1に転写することによって製造することも可能である。例えば、機密データ層2を基材シート1に形成し、他方、転写支持体に保護層5、隠蔽層4、接着層3を順次積層して転写箔を製造し、この転写箔を基材シート4の機密データ層3上に重ね、保護層5、隠蔽層4、接着層3を転写して転写支持体を剥離除去すれば、第1の形態(図1〜図2)に示すスクラッチシートを製造するこ
とが可能となる。
【0096】
また、転写支持体上に、保護層5、隠蔽層4、接着層3及び機密データ層2を順次積層して転写箔を製造し、この転写箔から基材シートに転写しても、第1の形態(図1〜図2)に示すスクラッチシートを製造することが可能となる。
【0097】
このような転写箔を、図面を参照して説明する。
【0098】
図13は、第1の形態(図1〜図2)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層4、接着層3及び機密データ層2を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0099】
また、図14は第2の形態(図3〜図4)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層4、機密データ層2及び接着層3を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0100】
次に、図15は第3の形態(図5〜図6)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、回折格子形成層62、光反射層61、隠蔽層4、接着層3及び機密データ層2を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体1を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0101】
次に、図16は第4の形態(図7〜図8)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、回折格子形成層62、光反射層61、隠蔽層4、機密データ層2及び接着層3を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0102】
次に、図17は第5の形態(図9〜図10)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層としてのOVD層6、接着層3及び機密データ層2を順次積層したもので、OVD層6は、回折格子形成層62、光反射層61の2層から構成されている。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0103】
次に、図18は第6の形態(図11〜図12)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層としてのOVD層6、機密データ層2及び接着層3を順次積層したもので、OVD層6は、回折格子形成層62、光反射層61の2層から構成されている。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0104】
転写支持体7は、熱転写時の加熱加圧により軟化変形のない耐熱性を有するシート状のものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどの合成樹脂や天然樹脂、紙、合成紙等が使用できる。厚みは2μm〜50μmでよい。
【実施例1】
【0105】
まず前述の第1の形態に利用する転写箔を製造した。転写支持体7としては、厚さ19μmのPETフィルムを使用した。
【0106】
この転写支持体上に、まず、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により厚さ2μmに塗布し、110℃で乾燥させて、保護層5を形成した。
【0107】
[保護層5用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
次に、この保護層7上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、5μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、隠蔽層4を積層形成した。
【0108】
[隠蔽層4用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
アルミニウム粉末 40部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、この隠蔽層4上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、3μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、接着層3を積層形成した。
【0109】
[接着層3用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
ポリエステル樹脂 40部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
最後に、この接着層3上に、下記組成からなる無色透明な塗料を、文字の形状に、グラビアコート法により、0.4μmの厚さに塗布して110℃で乾燥させ、機密データ層2を積層形成して、転写箔を製造した。
【0110】
[機密データ層2用塗料の組成]
アクリル変性シリコン樹脂 30部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、得られた転写箔を使用して、スクラッチカードを製造した。基材シート1としては、カード形状の厚さ0.25mmの白色ポリエチレンテレフタレートシートを使用した。
【0111】
すなわち、前記転写箔を基材シート1に重ね、ホットスタンピングマシンを使用して、版面温度130℃で転写し、スクラッチカードカードを製造した。
【0112】
得られたスクラッチカードは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、保護層5を順次積層して構成されたものである(図1参照)。
【0113】
このスクラッチカードを肉眼で観察すると、機密データ層2の凹凸は表面からは一切認
識できず、また、ハロゲンライトや水銀ランプなどの強光源を用いた透過光による読み取りも不可能であった。
【0114】
また、このスクラッチカードをコインにて削ると、機密データ層2が形成された部位の接着層3、隠蔽層4及び保護層5が選択的に剥離し、その結果、削取部が文字として認識でき、機密データを読み取ることができた(図2参照)。
【実施例2】
【0115】
まず前述の第3の形態に利用する転写箔を製造した。転写支持体7としては、厚さ19μmのPETフィルムを使用した。
【0116】
この転写支持体7上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.5μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、保護層5を形成した。
【0117】
[保護層5用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
この保護層5上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.0μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、回折格子形成層62を形成した。
【0118】
[回折格子形成層62用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 25部
ウレタン樹脂 10部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 70部
この回折格子形成層62に、凹凸表面を有するエンボス版を重ね、180℃に熱した熱圧ロールにて加熱加圧し前記凹凸を回折格子形成層62表面にエンボス転写して、微細な凹凸パターンから構成されたホログラム画像を形成した。
【0119】
次に、この凹凸表面に、アルミニウム金属を、真空蒸着法により、100nmの厚さに形成し、光反射層61を設けた。
【0120】
次に、光反射層61上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、5μmの厚さにて塗布し、120℃で乾燥させ、隠蔽層4を積層形成した。
【0121】
[隠蔽層4用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
アルミニウム粉末 40部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、この隠蔽層4上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、3μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、接着層3を積層形成した。
【0122】
[接着層3用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
ポリエステル樹脂 40部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
最後に、この接着層3の上に、下記組成からなる塗料を、文字の形状に、グラビアコート法により、0.4μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、機密データ層2を積層形成して、転写箔を製造した。
【0123】
[機密データ層2用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
シリコンオイル 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、得られた転写箔を使用して、スクラッチカードを製造した。基材シート1としては、カード形状の厚さ0.25mmの白色ポリエチレンテレフタレートシートを使用した。
【0124】
すなわち、前記転写箔を基材シート1に重ね、ホットスタンピングマシンを使用して、版面温度130℃で転写し、スクラッチカードカードを製造した。
【0125】
得られたスクラッチカードは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、OVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている(図5参照)。
【0126】
このスクラッチカードを肉眼で観察すると、美麗で明るいホログラム画像が観察できたが、機密データ層2の凹凸は表面からは一切認識できず、また、ハロゲンライトや水銀ランプなどの強光源を用いた透過光による読み取りも不可能であった。
【0127】
また、このスクラッチカードをコインにて削ると、機密データ層2が形成された部位の接着層3、隠蔽層4、OVD層6及び保護層5が選択的に剥離し、その結果、削取部が文字として認識でき、機密データを読み取ることができた(図6参照)。
【実施例3】
【0128】
まず前述の第5の形態に利用する転写箔を製造した。転写支持体7としては、厚さ19μmのPETフィルムを使用した。
【0129】
この転写支持体7上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.5μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、保護層5を形成した。
【0130】
[保護層5用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
この保護層5上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.0μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、回折格子形成層62を形成した。
【0131】
[回折格子形成層62用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部
ウレタン樹脂 15部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 70部
次に、この回折格子形成層62に、凹凸表面を有するエンボス版を重ね、170℃に熱した熱圧ロールにて加熱加圧し前記凹凸を回折格子形成層62表面にエンボス転写して、微細な凹凸パターンから構成されたホログラム画像を形成した。
【0132】
次に、この凹凸表面に、アルミニウム金属を、真空蒸着法により、100nmの厚さに形成し、光反射層61を設けた。
【0133】
次に、この光反射層61上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、2.5μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、接着層3を積層形成した。
【0134】
[接着層3用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部
ポリエステル樹脂 40部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
最後に、この接着層3上に、下記組成からなる塗料を、文字の形状に、グラビアコート法により、0.4μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、機密データ層2を積層形成して、転写箔を製造した。
【0135】
[機密データ層2用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
シリコンオイル 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、得られた転写箔を使用して、スクラッチカードを製造した。基材シート1としては、カード形状の厚さ0.25mmの白色ポリエチレンテレフタレートシートを使用した。
【0136】
すなわち、前記転写箔を基材シート1に重ね、ホットスタンピングマシンを使用して、版面温度120℃で転写し、スクラッチカードカードを製造した。
【0137】
得られたスクラッチカードは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層、接着層3、隠蔽層としてのOVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されたものである(図9参照)。
【0138】
このスクラッチカードを肉眼で観察すると、美麗で明るいホログラム画像が観察できたが、機密データ層2の凹凸は表面からは一切認識できず、また、ハロゲンライトや水銀ランプなどの強光源を用いた透過光による読み取りも不可能であった。
【0139】
また、このスクラッチカードをコインにて削ると、機密データ層2が形成された部位の接着層、隠蔽層及び保護層が選択的に剥離し、その結果、削取部が文字として認識でき、機密データを読み取ることができた(図10参照)。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1Aは第1の形態のスクラッチシートの平面図、図1Bは図1AのX−X断面説明図。
【図2】図2Aは第1の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図2Bは図2AのX−X断面説明図。
【図3】図3Aは第2の形態のスクラッチシートの平面図、図3Bは図3AのX−X断面説明図。
【図4】図4Aは第2の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図4Bは図4AのX−X断面説明図。
【図5】図5Aは第3の形態のスクラッチシートの平面図、図5Bは図5AのX−X断面説明図。
【図6】図6Aは第3の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図6Bは図6AのX−X断面説明図。
【図7】図7Aは第4の形態のスクラッチシートの平面図、図7Bは図7AのX−X断面説明図。
【図8】図8Aは第4の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図8Bは図8AのX−X断面説明図。
【図9】図9Aは第5の形態のスクラッチシートの平面図、図9Bは図9AのX−X断面説明図。
【図10】図10Aは第5の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図10Bは図10AのX−X断面説明図。
【図11】図11Aは第6の形態のスクラッチシートの平面図、図11Bは図11AのX−X断面説明図。
【図12】図12Aは第6の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図12Bは図12AのX−X断面説明図。
【図13】図13は第1の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図14】図14は第2の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図15】図15は第3の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図16】図16は第4の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図17】図17は第5の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図18】図18は第6の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【符号の説明】
【0141】
1 ・・・・基材シート
2 ・・・・機密データ層
3 ・・・・接着層
4 ・・・・隠蔽層
5 ・・・・保護層
6 ・・・・OVD層
61・・・・光反射層
62・・・・回折格子形成層
7 ・・・・転写支持体
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密情報の上に隠蔽層を積層してこの機密情報を隠蔽すると共に、スクラッチによって前記隠蔽層を除去して前記機密情報を可視化するスクラッチシートに関し、特に機密情報の不正な読取りを防止できるスクラッチシートに関するものである。また、本発明は、このようなスクラッチシートの製造に利用する転写箔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなスクラッチシートはくじや抽選券、あるいはプリペイドカードとして利用されている。例えば、スクラッチ宝くじ、電話料金のプリペイドカード、販促キャンペーン用のスクラッチカード等である。このようなスクラッチシートは、一般に、紙などの基材シート上に機密情報を印刷し、この機密情報上に隠蔽層を設けて構成され、隠蔽部分全体を爪やコインなどで擦り取ることにより、隠蔽層の下に隠蔽されていた機密情報を認識することができる。
【0003】
機密情報は、例えば、くじや抽選券の当選・落選を示す情報であったり、あるいは電話の利用権限の正当性を示す情報であったりするから、これら機密情報の不正取得を防止する必要がある。
【0004】
この不正取得の方法としては、例えば、ハロゲンランプや水銀ランプ等の強光源に透かして、前記機密情報を読み取る手口が知られている。また、一度隠蔽層を削り取って機密情報を読み取り、その後隠蔽層を復元するという手口も知られている。
【0005】
強光源に透かして、前記機密情報を読み取る手口に対する対策としては、前記基材シートに金属蒸着膜等の光遮断層を設ける方法がある。
【0006】
また、隠蔽層を削り取って復元するという手口に対しては、削り取られるスクラッチ層に特殊な材料を使用して、その復元を妨げる方法が知られている。特殊な材料としては、例えば、金属蒸着層が知られており、この金属蒸着層を削り取ってしまうと、その金属光沢を復元することは極めて困難である。また、特殊な材料として、OVD層を利用する方法もある(特許文献1、2)。OVD層は、反射光を波長分散させて、見る角度によってその色彩を変化させるもので、このため、肉眼では虹模様に見える。このようなOVD層も、削り取った後復元することは極めて困難であった。また、隠蔽層の上に、削り取られる部位と残存する部位とに連続して微細パターンを印刷して、その復元を防止したスクラッチカードも知られている(特許文献3)。
【0007】
しかしながら、基材シートに光遮断層を設ける場合には、基材が複数層構造となって製造工程が複雑となり、コストが高くなってしまうという問題があった。また、金属蒸着層やOVD層を設ける方法も、その層構成が複雑となり、また材料費が高くなり、このため製造コストが高くなるという問題があった。このように、いずれの方法においても、スクラッチシートとして本来必要な層の他に不正防止のための層を必要とし、このため、製造工程が増え、製造コストも高くなるという問題があった。
【0008】
また、いずれの方法においても、機密情報を読み取るためには隠蔽層の全体を削り取る必要があり、削りカスが多量に発生してしまうという問題もあった。
【特許文献1】特開2001−39068号公報
【特許文献2】特開2001−121852号公報
【特許文献3】特開2000−108564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、余剰の層を必要とせず、したがって低コストで製造が容易でありながら、機密情報の不正読み取りを防止し、しかも、削りカスの少ないスクラッチシートを提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の課題は、このようなスクラッチシートの製造に適する転写箔を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、請求項1記載の発明は、基材シート上に機密データ層と隠蔽層とを順次設けて構成され、前記隠蔽層をスクラッチして除去することにより機密情報を可視化するスクラッチシートにおいて、
前記機密データ層が機密情報を表現する形状に構成されていると共に、隠蔽層をスクラッチした際に、この機密データ層に重畳された部位の隠蔽層が選択的に除去されることを特徴とするスクラッチシートである。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、機密データ層が機密情報を表現する形状に構成されており、しかも、スクラッチによって除去されるのはこの形状の隠蔽層である。すなわち、機密情報は隠蔽層が除去された部位の形状によって表現されるから、この機密情報を確実に認知することが可能である。
【0013】
そして、このスクラッチシートは、スクラッチシート本来必要な層にさらに別の層を付け加えるわけではないから、低コストでしかも製造が容易であり、しかも、前記形状の隠蔽層が選択的にスクラッチされるから、その削りカスも最小限で済む。
【0014】
次に、請求項2及び3に記載の発明は、隠蔽層を削り取って復元するという手口を防止するものである。
【0015】
すなわち、請求項2に記載の発明は、請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層の上に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチシートであり、
他方、請求項3に記載の発明は、請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチシートである。
【0016】
なお、本発明に係るスクラッチシートは、基材シート上に、順次、機密データ層、隠蔽層、あるいは、これに加えてOVD層や金属蒸着層を積層することによって製造することもできるが、これら各層の全部または一部を転写支持体上に積層して転写箔とし、この転写箔から基材シート上に転写して製造することもできる。
【0017】
例えば、基材シート上に機密データ層を積層し、他方、転写支持体上に隠蔽層を積層し、この両者を重ねて接着し、転写支持体を剥離除去することによって、本発明に係るスクラッチシートを製造することが可能である。
【0018】
また、転写支持体上に、順次、隠蔽層と機密データ層とを積層して転写箔とし、これを基材シートに重ねて接着し、転写支持体を剥離除去することによって、本発明に係るスクラッチシートを製造することも可能である。
【0019】
請求項4〜6に記載の発明は、このような転写箔に関するものである。
【0020】
すなわち、請求項4に記載の発明は、請求項1記載のスクラッチシートの製造に適用される転写箔であって、
転写支持体と、この転写支持体上に剥離容易に設けられ、スクラッチによって除去可能な保護層と、この保護層上に設けられた前記隠蔽層と、この隠蔽層上に設けられ、前記基材シートに接着可能な接着層と、前記隠蔽層と接着層との間又は接着層の上に設けられた前記機密データ層とを備えることを特徴とするスクラッチ転写箔である。
【0021】
また、請求項5〜6に記載の発明は、それぞれ、請求項2〜3に記載のスクラッチシートの製造に適する転写箔に関するものである。
【0022】
すなわち、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の転写箔において、
前記剥離保護層と隠蔽層との間に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチ転写箔であり、
請求項6に記載の発明は、請求項4記載の転写箔において、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチ転写箔である。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、機密情報を確実に隠蔽し、かつ、スクラッチしてこれを読み取ることができる。そして、低コストでしかも製造が容易であり、しかも、その削りカスも最小限で済むという効果を奏する。
【0024】
また、請求項2〜3に記載の発明によれば、これに加えて、隠蔽層を削り取って復元するという不正手段を防止することができる。このため、機密情報の不正取得は不可能となる。
【0025】
また、請求項4〜6に記載の発明によれば、請求項1〜3に記載のスクラッチシートを容易に製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
(スクラッチシート)
本発明に係るスクラッチシートは、基材シートと、機密データ層と、隠蔽層とを必須の構成要素とする。この外、OVD層、金属蒸着層、接着層、保護層などを備えるものであっても良い。
【0028】
いずれの場合においても、機密データ層は機密情報を表現する形状に構成されている必要がある。また、スクラッチした際には、この機密データ層に重畳された部位の各層が除去されることが必要である。すなわち、機密データ層に重畳された層が隠蔽層であれば、この隠蔽層が除去される。また、機密データ層に、接着層、隠蔽層、OVD層、保護層の4層が重畳されているのであれば、これら4層のすべてが、スクラッチによって除去される。
【0029】
なお、スクラッチによって除去される部位は、機密データ層に重畳された部位であり、機密データ層に重畳されていない部位の前記各層は基材シート上に残存する必要がある。すなわち、スクラッチによって、機密情報を表現する形状に前記各層が除去され、その他の部位に前記各層が残存する。
【0030】
図面を参照して、本発明に係るスクラッチシートの例を説明すると、例えば、図1〜図2に示すスクラッチカードが例示できる。図1Aはスクラッチシートの第1の形態の平面図であり、この一部にスクラッチ領域aが設けられている。図1AのX−X断面説明図が図1Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、保護層5を順次積層して構成されている。なお、このスクラッチシートは、後述する転写箔を利用して製造することができる。
【0031】
そして、このスクラッチシートの表面を爪やコインなどでスクラッチすることにより、機密データ層3に重畳された部位の各層、すなわち、接着層3、隠蔽層4及び保護層5の3層が削り取られる。図2Aは削り取った状態の平面図、図2Bは図2AのX−X断面説明図であり、図中、bは削り取られた部位を示し、機密データ層3と同じ形状である。
【0032】
また、図3Aはスクラッチシートの第2の形態の平面図であり、図3AのX−X断面説明図が図3Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、接着層3、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、隠蔽層4、保護層5を順次積層して構成されたもので、接着層3と機密データ層4との積層の順序を除き、第1の形態と同様である。
【0033】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、隠蔽層4及び保護層5の2層が削り取られる。図4Aは削り取った状態の平面図、図4Bは図4AのX−X断面説明図である。
【0034】
次に、図5Aはスクラッチシートの第3の形態の平面図であり、図5AのX−X断面説明図が図5Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、OVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。
【0035】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、接着層3、隠蔽層4、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図6Aは削り取った状態の平面図、図6Bは図6AのX−X断面説明図である。
【0036】
次に、図7Aはスクラッチシートの第4の形態の平面図であり、図7AのX−X断面構成図が図7Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、接着層3、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、隠蔽層4、OVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。すなわち、接着層3と機密データ層2との積層の順序を除き、第3の形態と同様である。
【0037】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、隠蔽層4、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図8Aは削り取った状態の平面図、図8Bは図8AのX−X断面説明図である。
【0038】
次に、図9Aはスクラッチシートの第5の形態の平面図であり、図9AのX−X断面説明図が図9Bである。このスクラッチシートは、隠蔽層としてOVD層6を利用したものである。すなわち、このスクラッチシートは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層2、隠蔽層としてのOVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。
【0039】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、接着層3、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図10Aは削り取った状態の平面図、図10Bは図10AのX−X断面説明図である。
【0040】
次に、図11Aはスクラッチシートの第6の形態の平面図であり、図11AのX−X断面説明図が図11Bである。このスクラッチシートは、基材シート1上に、接着層3、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、隠蔽層としてのOVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている。すなわち、接着層3と機密データ層2との積層の順序を除き、第5の形態と同様である。
【0041】
そして、このスクラッチシートの表面をスクラッチすると、機密データ層2に重畳された部位の各層、すなわち、光反射層61、回折格子形成層62、保護層5の各層が削り取られる。図12Aは削り取った状態の平面図、図12Bは図12AのX−X断面説明図である。
【0042】
(基材シート)
本発明に係る基材シート1は、この基材シート1を透かして機密情報を読み取ることができない程度に不透明なものであることが望ましい。このような基材シート1としては、例えば、厚手の紙が例示できる。例えば、カード用紙である。
【0043】
また、不透明顔料を混合したプラスティックシートを利用することもできる。例えば、白色顔料を練りこんで製膜されたポリエチレンテレフタレートフィルムである。
【0044】
あるいは、不透明な印刷インキ層を形成した紙、プラスティックフィルム又はシートなどを利用することもできる。また、金属蒸着層を設けたり、金属箔を貼り合わせて不透明とした紙やプラスティックフィルムであってもよい。
【0045】
また、機密データ層2が十分な透明性を有する場合には、基材シート1として透明なものを使用することができる。この基材シート1を透かしても、機密データ層2の形状を認知することができず、機密情報の不正読み取りのおそれがないからである。また、OVD層6が十分な光反射能力を有し、この反射光にまぎれて機密データ層2の読み取りが不可能な場合にも、基材シート1として透明なものを使用することができる。透明な基材シート1としては、例えば、プラスティックフィルム又はシートが例示できる。
【0046】
(機密データ層)
機密データ層2は、機密情報を表現すると共に、この機密データ層2に重畳された各層と基材シート1との接着強度を弱めて、スクラッチにより機密データ層1に重畳された部位の各層を選択的に除去可能とする役割を有する。
【0047】
このため、機密データ層2は、機密情報を表現する形状に構成されている必要がある。
例えば、文字、記号あるいは絵柄の形状である。機密データ層2が文字の形状に構成されている場合には、スクラッチにより、この機密データ層2に重畳された部位の各層が選択的に除去されて、文字形状の機密データ層2が露出し、その周囲の各層が残存する。
【0048】
また、機密データ層2は、抜き文字の形状に構成されていても良い。この場合には、スクラッチにより、この機密データ層2に重畳された部位の各層が選択的に除去されて、文字形状の各層が残存する。
【0049】
この機密情報層2は、この機密データ層2に重畳された各層と基材シート1との接着強度を弱めるため、接着性樹脂に接着阻害剤を混合した塗料から構成されていることが望ましい。
【0050】
接着性樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等が使用できる。
【0051】
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が例示できる。
【0052】
アクリル系樹脂としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸−2−メトキシエチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸−2−ナフチル、ポリアクリル酸イソボルニル、ポリメタクリロメチル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルクロロアクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸−tert−ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸フェニル、メタクリル酸メチルとメタクリル酸アルキル(但しアルキル基の炭素数は2〜6)の共重合樹脂が例示できる。
【0053】
また、ビニル系樹脂としては、ポリスチレン、ポリジビニルベンゼン、ポリビニルベンゼン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル(但しアルキル基の炭素数は2〜6)の共重合樹脂が例示できる。
【0054】
また、接着阻害剤としては、ワックス類、高級脂肪酸の金属塩、テフロン(登録商標)パウダー、シリコンオイル、シリコン樹脂又は変性されたシリコン樹脂等が使用できる。ワックス類としては、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪族エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系、ワックス、α−オレイン系ワックスが例示できる。また、高級脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0055】
そして、これら樹脂と接着阻害剤とを溶剤に混合して塗料とし、この塗料を印刷することによって機密データ層2を形成することをできる。この塗料を、基材シート1上に直接印刷して機密データ層2を形成することをできるが、後述するように、一旦転写支持体上に塗布又は印刷して転写箔を製造し、この転写箔から基材シート1に転写することによって形成することも可能である。印刷方法としては、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法などが利用できる。
【0056】
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体等、またはこれらの混合溶剤が使用できる。
【0057】
なお、この機密データ層2は、基材シート1を透かして機密情報を不正に読み取ること
を防ぐため、無色透明なものが好ましい。また、機密データ層2のある部位とない部位とで段差が生じることを防ぐため、5.0μm以下の厚みを有することが望ましい。段差が生じると、この段差から機密情報を不正に読み取ることが可能となるからである。好ましくは1.0μm以下である。なお、厚みの下限は考慮する必要がないが、一般に0.01μmがその限界である。
【0058】
(隠蔽層)
隠蔽層4は、機密データ層2を覆って機密情報の不正読み取りを防止する役割を有すると共に、コインや爪によるスクラッチによって機密データ層2に重畳された部位のみが選択的に破壊、剥離する特性を具備している必要がある。
【0059】
この隠蔽層4は、機密情報の不正読み取りを防止するため、不透明である必要がある。このような不透明な隠蔽層4は、樹脂中に不透明な粒子を混合分散して構成することができる。また、後述するように、OVD層を隠蔽層4として利用する場合には、このOVD層に含まれる金属蒸着膜を利用して隠蔽性能を確保することができる。
【0060】
この隠蔽層4に利用できる前記不透明粒子としては、金属粉末、不透明顔料が例示できる。金属粉末としては、アルミニウム粉末、真鍮粉末、銅粉末などが例示できる。また、不透明顔料としては、タルク、カオリン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等の体質顔料が使用できる。また、不透明顔料として着色顔料を使用することも可能である。
【0061】
また、前記熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン系重合体、各種ワックス、ロジン、テルペン系樹脂、テルペン系重合体が例示できる。
【0062】
そして、これら熱可塑性樹脂、不透明粒子を溶剤に混合して塗料とし、この塗料を塗布又は印刷することにより、隠蔽層を形成することができる。この塗料を、基材シート1上に直接塗布又は印刷して隠蔽層4を形成することをできるが、一旦転写支持体上に塗布又は印刷して転写箔を製造し、この転写箔から基材シート1に転写することによって形成することも可能である。塗布方法や印刷方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等が利用できる。なお、前記不透明粒子は、塗料中10〜30重量%となるように混合すればよい。
【0063】
溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体、またはこれらの混合溶剤が使用できる。
【0064】
(接着層)
接着層3は、基材シート1と隠蔽層4との接着強度を向上させるものである。この接着層3は、基材シート1と機密データ層2との間に設けられる場合と、機密データ層2と隠蔽層4との間に設けられる場合がある。
【0065】
例えば、前述の第2の形態(図3〜図4)、第4の形態(図7〜図8)、第6の形態(図11〜図12)は、基材シート1と機密データ層2との間に接着層3を設けた場合である。この場合には、スクラッチの後にも、接着層3は基材シート上に残存する。このため、接着層3として、前述の接着性樹脂を用いることができる。例えば、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等である。
【0066】
他方、前述の第1の形態(図1〜図2)、第3の形態(図5〜図6)、第5の形態(図9〜図10)は、機密データ層2と隠蔽層4との間に接着層3を設けた場合である。この場合には、スクラッチによって、接着層3は、機密データ層2に重畳した部位が選択的に除去される。
【0067】
いずれの場合においても、これら樹脂を塗布又は印刷することで接着層3を形成することが可能である。基材シート1に直接塗布・印刷しても良いし、転写箔を利用して形成しても良い。塗布方法又は印刷方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法等が利用できる。また、溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコール誘導体、またはこれらの混合溶剤が使用できる。
【0068】
(保護層)
保護層5は、隠蔽層4、接着層3、機密データ層2等の各層を薬品や溶剤の浸透による損傷や機械的な摩擦などの損傷から保護する役割を有する。また、転写箔を利用してスクラッチシートを製造する場合には、この保護層5が転写支持体と接触し、この転写支持体から剥離する。
【0069】
保護層5は、前記役割を果たすため、熱可塑性樹脂に耐摩擦材を混合したものを好適に用いることができる。また、添加物として、転写支持体から転写する際の膜切れ性を改善する剥離改善剤を配合することもできる。この外、例えば紫外線吸収剤等の添加物は添加しないことが望ましい。これらの添加により、耐薬品性の低下や可塑剤などの薬品・溶剤の浸透が生じ、また機械的強度の劣化を生じる原因ともなる。
【0070】
前記熱可塑性樹脂としては、酸、アルカリ、アルコール、灯油などの薬品類の浸透を防止するとともに、引っ掻き傷や機械的摩擦による損傷を抑えるものが好ましい。例えば、ポリメチルメタアクリレート、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂等である。中でも、ポリメチルメタアクリレート又はエポキシ樹脂が好ましく使用にできる。これらの樹脂を使用した保護層は耐可塑剤性が優れていて薬品類の浸透を防止でき、また、転写支持体から容易に剥離できるからである。
【0071】
また、耐摩擦材としては、例えば、テフロン(登録商標)パウダー、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪族エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系ワックス、α−オレイン系ワックス、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪族の金属塩などが挙げられる。
【0072】
また、剥離改善剤としては、線状飽和ポリエステル樹脂が例示できる。
【0073】
これら各材料の配合割合としては、全体量を100重量部としたとき、熱可塑性樹脂85〜99重量部、耐摩擦剤を1〜15重量部である。剥離改善剤は、必要な場合に限って添加するものとし、その配合割合は、全体量100重量部に対して5重量部以下である。
【0074】
保護層21は、前記熱可塑性樹脂、耐摩擦材及び必要な添加剤を適当な溶剤により塗料化し、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法などの公知の塗布手段を用いて塗布して形成することができる。なお、保護層21の膜厚は0.3μm〜5μmである。好ましくは1〜3μmである。
【0075】
(OVD層)
OVD層6は角度によって異なる色彩に見える層であって、その優れた意匠性によって装飾効果を発揮すると共に、このような特殊な性質を利用することで、隠蔽層を削り取って復元するという手口を防止することが可能になる。
【0076】
このような性質を有するOVD層6としては、2種類のものが知られている。そのうち1種類は、回折格子の光分散機能を利用するものである。また、他の1種類は、多層の光学薄膜の多重反射と光干渉機能を利用するものである。
【0077】
回折格子としては、レリーフ型の回折格子、体積型の回折格子等、さまざまなものがあり、いずれの回折格子もOVD層として利用することができる。中でも、レリーフ型回折格子が簡便であり、また、光分散機能が高い点から好ましく利用できる。
【0078】
このようなレリーフ型回折格子を利用したOVD層6は、回折格子形成層62と光反射層61の2層から構成することができる。
【0079】
回折格子形成層62は、その表面に微細な凹凸パターンを有し、この凹凸パターンで反射型回折格子を構成しているものである。また、光反射層61は、この凹凸パターンに沿って設けれた薄膜で、光反射性を増大させるものである。
【0080】
回折格子形成層62を構成する材料としては、熱圧によるエンボス成形加工性が良好で加工ムラが生じ難い樹脂が好ましく使用できる。また、この樹脂は、スクラッチによって除去できるものである必要がある。
【0081】
このような樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂等が利用できる。
【0082】
熱可塑性樹脂は熱圧によるエンボス成形を可能とするもので、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルが例示できる。また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0083】
また、これら樹脂に塗工適性を向上させる添加剤や、転写性を調整する添加剤を添加することもできる。このような添加剤としては、例えば、セルロース系樹脂が挙げられる。例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロース等である。
【0084】
そして、これら樹脂又は添加剤を添加した樹脂を塗布して回折格子形成層62を設けることができる。塗布方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、バーコート法、スクリーン印刷法等が利用できる。
【0085】
また、この回折格子形成層62の表面に微細な回折格子パターンの凹凸を設けるためには、この凹凸を反転した形状のスタンパを押圧して、スタンパ表面の凹凸を写し取ればよい。このスタンパの製造方法は公知である。すなわち、二光束干渉法を利用して感光性樹脂に凹凸を設け、この凹凸の反転を繰り返して前記スタンパを製造することができる。なお、二光束干渉法を利用して形成した回折格子はホログラム画像を有することができる。また、二光束干渉法を利用する代わりに、電子線感受性の樹脂に電子線を照射して前記凹凸を設ける方法も知られている。
【0086】
次に、光反射層61を構成する材料としては、金属材料が例示できる。例えば、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、銅、金等である。
【0087】
また、前記回折格子形成層62の屈折率と異なる屈折率を有する透明材料を使用して、前記光反射層61を構成することも可能である。例えば、TiO2、SiO2、SiO、Fe2O3、ZnSなどの高屈折率無機材料である。
【0088】
これら金属材料や高屈折率無機材料を使用して前記光反射層61を構成する場合には、真空成膜法を利用してこの層を形成することができる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法である。厚みは50〜10000Åで良い。
【0089】
また、前記回折格子形成層62の屈折率と異なる屈折率を有する有機材料を使用して、前記光反射層61を構成することも可能である。例えば、屈折率n=1.3〜1.5のアクリル系樹脂である。あるいは、有機材料中に無機材料を分散させたものを使用することも可能である。有機材料や有機材料中に無機材料を分散させたものを使用して光反射層61を構成する場合には、塗布又は印刷によってこの層を形成することができる。例えば、グラビアコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法等である。厚みは0.1μm〜10μmでよい。
【0090】
なお、この回折格子をOVD層として利用する場合には、一旦転写支持体上に基材シート上に回折格子形成層62と光反射層61とを形成し、これを基材シートに転写することによって、基材シートに形成することが望ましい。
【0091】
次に、OVD層6として多層の光学薄膜を使用する場合には、互いに屈折率の異なる透明薄膜を、2層以上の多層に積層したものが使用できる。これら多層薄膜の薄膜境界から発生した反射光同士が干渉して、特定波長の光強度が低下し、別の波長の光強度が増大する。そして、入射角度又は反射角度に応じて、光強度の低下・増大する波長が異なるから、見る角度によって異なる色彩が観察される結果となる。透明薄膜としては、波長以下の厚みを有する金属薄膜や無機薄膜が利用できる。これら薄膜は真空蒸着法やスパッタリング法で形成することができる。
【0092】
(金属蒸着層)
OVD層6に代えて、金属蒸着層を利用することも可能である。この場合には、光分散機能がないから、意匠性や装飾性の点でOVD層に及ばないものの、隠蔽層を削り取って復元するという手口を防止することが可能になる。均一な金属光沢を復元することは不可能だからである。
【0093】
金属蒸着層としては、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、銅、金等の蒸着層が利用できる。厚みは50〜10000Åで良い。
【0094】
(スクラッチシートの製造方法及び転写箔)
前述のように、本発明に係るスクラッチシートは、基材シート1上に各層を順次積層することによって製造することができる。
【0095】
また、一旦転写支持体に各層を積層し、これを基材シート1に転写することによって製造することも可能である。例えば、機密データ層2を基材シート1に形成し、他方、転写支持体に保護層5、隠蔽層4、接着層3を順次積層して転写箔を製造し、この転写箔を基材シート4の機密データ層3上に重ね、保護層5、隠蔽層4、接着層3を転写して転写支持体を剥離除去すれば、第1の形態(図1〜図2)に示すスクラッチシートを製造するこ
とが可能となる。
【0096】
また、転写支持体上に、保護層5、隠蔽層4、接着層3及び機密データ層2を順次積層して転写箔を製造し、この転写箔から基材シートに転写しても、第1の形態(図1〜図2)に示すスクラッチシートを製造することが可能となる。
【0097】
このような転写箔を、図面を参照して説明する。
【0098】
図13は、第1の形態(図1〜図2)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層4、接着層3及び機密データ層2を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0099】
また、図14は第2の形態(図3〜図4)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層4、機密データ層2及び接着層3を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0100】
次に、図15は第3の形態(図5〜図6)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、回折格子形成層62、光反射層61、隠蔽層4、接着層3及び機密データ層2を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体1を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0101】
次に、図16は第4の形態(図7〜図8)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、回折格子形成層62、光反射層61、隠蔽層4、機密データ層2及び接着層3を順次積層したものである。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0102】
次に、図17は第5の形態(図9〜図10)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層としてのOVD層6、接着層3及び機密データ層2を順次積層したもので、OVD層6は、回折格子形成層62、光反射層61の2層から構成されている。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0103】
次に、図18は第6の形態(図11〜図12)に示すスクラッチシートの製造に用いられる転写箔の断面図で、転写支持体7上に、保護層5、隠蔽層としてのOVD層6、機密データ層2及び接着層3を順次積層したもので、OVD層6は、回折格子形成層62、光反射層61の2層から構成されている。そして、この転写箔を基材シート1に重ね、加熱加圧して接着した後、転写支持体7を剥離することによって、スクラッチシートを製造することができる。
【0104】
転写支持体7は、熱転写時の加熱加圧により軟化変形のない耐熱性を有するシート状のものであり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどの合成樹脂や天然樹脂、紙、合成紙等が使用できる。厚みは2μm〜50μmでよい。
【実施例1】
【0105】
まず前述の第1の形態に利用する転写箔を製造した。転写支持体7としては、厚さ19μmのPETフィルムを使用した。
【0106】
この転写支持体上に、まず、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により厚さ2μmに塗布し、110℃で乾燥させて、保護層5を形成した。
【0107】
[保護層5用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
次に、この保護層7上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、5μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、隠蔽層4を積層形成した。
【0108】
[隠蔽層4用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
アルミニウム粉末 40部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、この隠蔽層4上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、3μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、接着層3を積層形成した。
【0109】
[接着層3用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
ポリエステル樹脂 40部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
最後に、この接着層3上に、下記組成からなる無色透明な塗料を、文字の形状に、グラビアコート法により、0.4μmの厚さに塗布して110℃で乾燥させ、機密データ層2を積層形成して、転写箔を製造した。
【0110】
[機密データ層2用塗料の組成]
アクリル変性シリコン樹脂 30部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、得られた転写箔を使用して、スクラッチカードを製造した。基材シート1としては、カード形状の厚さ0.25mmの白色ポリエチレンテレフタレートシートを使用した。
【0111】
すなわち、前記転写箔を基材シート1に重ね、ホットスタンピングマシンを使用して、版面温度130℃で転写し、スクラッチカードカードを製造した。
【0112】
得られたスクラッチカードは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、保護層5を順次積層して構成されたものである(図1参照)。
【0113】
このスクラッチカードを肉眼で観察すると、機密データ層2の凹凸は表面からは一切認
識できず、また、ハロゲンライトや水銀ランプなどの強光源を用いた透過光による読み取りも不可能であった。
【0114】
また、このスクラッチカードをコインにて削ると、機密データ層2が形成された部位の接着層3、隠蔽層4及び保護層5が選択的に剥離し、その結果、削取部が文字として認識でき、機密データを読み取ることができた(図2参照)。
【実施例2】
【0115】
まず前述の第3の形態に利用する転写箔を製造した。転写支持体7としては、厚さ19μmのPETフィルムを使用した。
【0116】
この転写支持体7上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.5μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、保護層5を形成した。
【0117】
[保護層5用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
この保護層5上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.0μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、回折格子形成層62を形成した。
【0118】
[回折格子形成層62用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 25部
ウレタン樹脂 10部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 70部
この回折格子形成層62に、凹凸表面を有するエンボス版を重ね、180℃に熱した熱圧ロールにて加熱加圧し前記凹凸を回折格子形成層62表面にエンボス転写して、微細な凹凸パターンから構成されたホログラム画像を形成した。
【0119】
次に、この凹凸表面に、アルミニウム金属を、真空蒸着法により、100nmの厚さに形成し、光反射層61を設けた。
【0120】
次に、光反射層61上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、5μmの厚さにて塗布し、120℃で乾燥させ、隠蔽層4を積層形成した。
【0121】
[隠蔽層4用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
アルミニウム粉末 40部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、この隠蔽層4上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、3μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、接着層3を積層形成した。
【0122】
[接着層3用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 10部
ポリエステル樹脂 40部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
最後に、この接着層3の上に、下記組成からなる塗料を、文字の形状に、グラビアコート法により、0.4μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、機密データ層2を積層形成して、転写箔を製造した。
【0123】
[機密データ層2用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
シリコンオイル 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、得られた転写箔を使用して、スクラッチカードを製造した。基材シート1としては、カード形状の厚さ0.25mmの白色ポリエチレンテレフタレートシートを使用した。
【0124】
すなわち、前記転写箔を基材シート1に重ね、ホットスタンピングマシンを使用して、版面温度130℃で転写し、スクラッチカードカードを製造した。
【0125】
得られたスクラッチカードは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層2、接着層3、隠蔽層4、OVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されている(図5参照)。
【0126】
このスクラッチカードを肉眼で観察すると、美麗で明るいホログラム画像が観察できたが、機密データ層2の凹凸は表面からは一切認識できず、また、ハロゲンライトや水銀ランプなどの強光源を用いた透過光による読み取りも不可能であった。
【0127】
また、このスクラッチカードをコインにて削ると、機密データ層2が形成された部位の接着層3、隠蔽層4、OVD層6及び保護層5が選択的に剥離し、その結果、削取部が文字として認識でき、機密データを読み取ることができた(図6参照)。
【実施例3】
【0128】
まず前述の第5の形態に利用する転写箔を製造した。転写支持体7としては、厚さ19μmのPETフィルムを使用した。
【0129】
この転写支持体7上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.5μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、保護層5を形成した。
【0130】
[保護層5用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
メチルイソブチルケトン 20部
この保護層5上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、1.0μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、回折格子形成層62を形成した。
【0131】
[回折格子形成層62用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部
ウレタン樹脂 15部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 70部
次に、この回折格子形成層62に、凹凸表面を有するエンボス版を重ね、170℃に熱した熱圧ロールにて加熱加圧し前記凹凸を回折格子形成層62表面にエンボス転写して、微細な凹凸パターンから構成されたホログラム画像を形成した。
【0132】
次に、この凹凸表面に、アルミニウム金属を、真空蒸着法により、100nmの厚さに形成し、光反射層61を設けた。
【0133】
次に、この光反射層61上に、下記組成からなる塗料を、グラビアコート法により、2.5μmの厚さに塗布し、120℃で乾燥させて、接着層3を積層形成した。
【0134】
[接着層3用塗料の組成]
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20部
ポリエステル樹脂 40部
トルエン 50部
メチルエチルケトン 50部
最後に、この接着層3上に、下記組成からなる塗料を、文字の形状に、グラビアコート法により、0.4μmの厚さに塗布し、110℃で乾燥させて、機密データ層2を積層形成して、転写箔を製造した。
【0135】
[機密データ層2用塗料の組成]
アクリル樹脂 30部
シリコンオイル 10部
トルエン 40部
メチルエチルケトン 40部
次に、得られた転写箔を使用して、スクラッチカードを製造した。基材シート1としては、カード形状の厚さ0.25mmの白色ポリエチレンテレフタレートシートを使用した。
【0136】
すなわち、前記転写箔を基材シート1に重ね、ホットスタンピングマシンを使用して、版面温度120℃で転写し、スクラッチカードカードを製造した。
【0137】
得られたスクラッチカードは、基材シート1上に、機密情報を表現する形状に構成された機密データ層、接着層3、隠蔽層としてのOVD層6、保護層5を順次積層して構成されたもので、OVD層6は、光反射層61、回折格子形成層62の2層から構成されたものである(図9参照)。
【0138】
このスクラッチカードを肉眼で観察すると、美麗で明るいホログラム画像が観察できたが、機密データ層2の凹凸は表面からは一切認識できず、また、ハロゲンライトや水銀ランプなどの強光源を用いた透過光による読み取りも不可能であった。
【0139】
また、このスクラッチカードをコインにて削ると、機密データ層2が形成された部位の接着層、隠蔽層及び保護層が選択的に剥離し、その結果、削取部が文字として認識でき、機密データを読み取ることができた(図10参照)。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】図1Aは第1の形態のスクラッチシートの平面図、図1Bは図1AのX−X断面説明図。
【図2】図2Aは第1の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図2Bは図2AのX−X断面説明図。
【図3】図3Aは第2の形態のスクラッチシートの平面図、図3Bは図3AのX−X断面説明図。
【図4】図4Aは第2の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図4Bは図4AのX−X断面説明図。
【図5】図5Aは第3の形態のスクラッチシートの平面図、図5Bは図5AのX−X断面説明図。
【図6】図6Aは第3の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図6Bは図6AのX−X断面説明図。
【図7】図7Aは第4の形態のスクラッチシートの平面図、図7Bは図7AのX−X断面説明図。
【図8】図8Aは第4の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図8Bは図8AのX−X断面説明図。
【図9】図9Aは第5の形態のスクラッチシートの平面図、図9Bは図9AのX−X断面説明図。
【図10】図10Aは第5の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図10Bは図10AのX−X断面説明図。
【図11】図11Aは第6の形態のスクラッチシートの平面図、図11Bは図11AのX−X断面説明図。
【図12】図12Aは第6の形態のスクラッチシートを削り取った状態の平面図、図12Bは図12AのX−X断面説明図。
【図13】図13は第1の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図14】図14は第2の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図15】図15は第3の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図16】図16は第4の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図17】図17は第5の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【図18】図18は第6の形態のスクラッチシートの製造に使用する転写箔の断面説明図。
【符号の説明】
【0141】
1 ・・・・基材シート
2 ・・・・機密データ層
3 ・・・・接着層
4 ・・・・隠蔽層
5 ・・・・保護層
6 ・・・・OVD層
61・・・・光反射層
62・・・・回折格子形成層
7 ・・・・転写支持体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シート上に機密データ層と隠蔽層とを順次設けて構成され、前記隠蔽層をスクラッチして除去することにより機密情報を可視化するスクラッチシートにおいて、
前記機密データ層が機密情報を表現する形状に構成されていると共に、隠蔽層をスクラッチした際に、この機密データ層に重畳された部位の隠蔽層が選択的に除去されることを特徴とするスクラッチシート。
【請求項2】
請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層の上に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチシート。
【請求項3】
請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチシート。
【請求項4】
請求項1記載のスクラッチシートの製造に適用される転写箔であって、
転写支持体と、この転写支持体上に剥離容易に設けられ、スクラッチによって除去可能な保護層と、この保護層上に設けられた前記隠蔽層と、この隠蔽層上に設けられ、前記基材シートに接着可能な接着層と、前記隠蔽層と接着層との間又は接着層の上に設けられた前記機密データ層とを備えることを特徴とするスクラッチ転写箔。
【請求項5】
請求項4記載の転写箔において、
前記保護層と隠蔽層との間に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチ転写箔。
【請求項6】
請求項4記載の転写箔において、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチ転写箔。
【請求項1】
基材シート上に機密データ層と隠蔽層とを順次設けて構成され、前記隠蔽層をスクラッチして除去することにより機密情報を可視化するスクラッチシートにおいて、
前記機密データ層が機密情報を表現する形状に構成されていると共に、隠蔽層をスクラッチした際に、この機密データ層に重畳された部位の隠蔽層が選択的に除去されることを特徴とするスクラッチシート。
【請求項2】
請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層の上に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチシート。
【請求項3】
請求項1記載のスクラッチシートにおいて、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチシート。
【請求項4】
請求項1記載のスクラッチシートの製造に適用される転写箔であって、
転写支持体と、この転写支持体上に剥離容易に設けられ、スクラッチによって除去可能な保護層と、この保護層上に設けられた前記隠蔽層と、この隠蔽層上に設けられ、前記基材シートに接着可能な接着層と、前記隠蔽層と接着層との間又は接着層の上に設けられた前記機密データ層とを備えることを特徴とするスクラッチ転写箔。
【請求項5】
請求項4記載の転写箔において、
前記保護層と隠蔽層との間に、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層であって、スクラッチによって除去可能なOVD層又は金属蒸着層を備えることを特徴とするスクラッチ転写箔。
【請求項6】
請求項4記載の転写箔において、
前記隠蔽層が、角度によって異なる色彩に見えるOVD層又は金属蒸着層から構成されていることを特徴とするスクラッチ転写箔。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−15204(P2007−15204A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198537(P2005−198537)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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