説明

スクリプト言語ベースのドキュメント処理システムおよび方法

【課題】所望の電子ドキュメントの取得処理を含むドキュメント処理システムおよび方法を提供する。
【解決手段】先ず、スクリプトで記述されたコマンドを含む電子ドキュメントが受信される。次に、受信された電子ドキュメントからスクリプト記述コマンドが解析される。次に、受信された電子ドキュメントに含まれるスクリプト記述コマンドの解析にしたがって、少なくとも1つの電子ドキュメントが関連するデータ記憶装置から取得される。その後、受信された電子ドキュメントから解析されたスクリプト記述コマンドにしたがって、取得されたそれぞれの電子ドキュメントについて、少なくとも1つのドキュメント処理動作が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドキュメント処理システムおよび方法に関し、特に、スクリプト言語ベースのドキュメント処理システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドキュメント処理装置は、印刷、画像走査、電子メール送信、またはコピー等の機能を含む。最近では、これらの装置が備える機能の複数を含み、多機能周辺またはMFPと呼ばれる装置がある。多くのドキュメント処理装置は複数のユーザの間で共用され、比較的複雑な装置に関連する装置コストおよびメンテナンス・コストにおける節約を可能にしている。
【0003】
ドキュメント処理装置は、通常、Ethernet(登録商標)またはトークン・リング等の有線接続を介するか、またはワイファイ(WiFi)またはワイマックス(WiMax)接続等の無線接続を介するかのいずれかのネットワークを介して共用される。典型的なネットワーク・ドキュメント処理システムは、電子ドキュメントの作成または取得、および印刷またはファクシミリ伝送等の処理のために、作成または取得された電子ドキュメントをドキュメント処理装置にルーティングするために使用されるネットワークに接続されたワークステーションを備える。
【0004】
複数のドキュメントに対する処理動作が所望されるときは、ユーザは、ローカルに、またはネットワーク・サーバ等のドキュメント・リポジトリを介して、それぞれのドキュメントを取得し、次にそれぞれのドキュメントを、実行を所望する動作のためのインストラクションとともに、処理装置に伝達する操作を行う必要がある。このような操作は習熟を要し、かつ煩雑である問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の従来の問題点に鑑みてなされたもので、所望の電子ドキュメントの取得処理を含むドキュメント処理システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるスクリプト言語ベースのドキュメント処理システムは、スクリプトで記述されたコマンドを受信する手段と、受信されたスクリプトで記述されたコマンドを解析する解析手段とを備える。システムは、また、解析手段によるスクリプトで記述されたコマンドの解析結果にしたがって、関連するストレージから少なくとも1つの電子ドキュメントを取得する取得手段と、解析されたコマンドにしたがって取得された電子ドキュメントに対して少なくとも1つのドキュメント処理動作を実行する手段とを備える。
【0007】
本発明の一実施形態においては、スクリプトで記述されたコマンドは検索基準を含み、取得手段は検索基準との比較にしたがって少なくとも1つの電子ドキュメントを取得する。
【0008】
本発明の別の実施形態においては、スクリプトで記述されたコマンドは、関連するドキュメント処理装置を設定するための設定データを含む。
【0009】
本発明の追加の実施形態においては、システムは、受信されたスクリプトで記述されたコマンドに含まれるエラーについてテストするテスト手段と、取得手段をテスト手段の出力にしたがって選択的に動作させる手段とを、さらに、備える。
【0010】
さらに別の実施形態においては、解析されたコマンドが、印刷、またはコピー、または光学文字認識、またはファクシミリ送信、または電子メール送信のドキュメント処理動作を実行するためのインストラクションを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、スクリプトで記述されたコマンドが、ドキュメント画像走査動作に関連付けされる画像走査テンプレートを作成するためのコマンドを含む。
【0012】
また、本発明によるスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法は、スクリプトで記述されたコマンドを受信するステップと、受信されたスクリプトで記述されたコマンドを解析するステップと、スクリプトで記述されたコマンドの解析結果にしたがって関連するストレージから少なくとも1つの電子ドキュメントを取得するステップと、解析されたコマンドにしたがって、取得された電子ドキュメントに対して少なくとも1つのドキュメント処理動作を実行するステップとを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スクリプトで記述されたコマンドを用いた、所望の電子ドキュメントの取得処理を含むドキュメント処理システムおよび方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、適宜、図面を参照しながら本発明による実施形態の説明を行う。図1は本発明による実施形態が適用されるスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム全体の構成例である。図に示したシステム100は、コンピュータ・ネットワーク102として表されている分散コンピューティング環境を利用している。コンピュータ・ネットワーク102は、複数の電子装置間におけるデータの交換を可能とする本技術分野で知られている任意の分散通信システムである。コンピュータ・ネットワーク102は、例えば、仮想ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、パーソナル・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット、またはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている任意のコンピュータ・ネットワークである。本発明による一実施形態において、コンピュータ・ネットワーク102は、例えば、トークン・リング、IEEE802.11(x)、Ethernet(登録商標)またはその他の無線ベースまたは有線ベースのデータ通信メカニズム等の既存の多数のデータ転送メカニズムによって例示されるような物理レイヤおよびトランスポート・レイヤから構成される。尚、図にコンピュータ・ネットワーク102を示したが、本発明は、本技術分野で知られているようなスタンドアローンの形態でも同様に実施可能である。
【0015】
システム100は、さらに、様々なドキュメント処理を実行するために適切な多機能周辺装置(Multi-Function Peripheral;以下、MFPということがある。)として図に表されている、少なくとも1つのドキュメント処理装置104を含む。しかし、MFPはドキュメント処理装置の一形態であって、本発明におけるドキュメント処理装置がMFPに限定されるものではない。ドキュメント処理装置における処理動作には、例えば、ファクシミリ通信、画像走査、コピー、印刷、電子メール、ドキュメント管理またはドキュメント保存等がある。本発明による一形態においては、ドキュメント処理装置104は、リモート・ドキュメント処理サービスを外部装置あるいはネットワークに接続された装置に対して提供する。ドキュメント処理装置104は、ユーザあるいはネットワークに接続された装置等とやり取りするように構成された、ハードウェア、ソフトウェアおよびこれらの任意の適切な組み合わせを含む。
【0016】
また、本発明による一実施形態において、ドキュメント処理装置104は、例えば、IEEE 1394あるいはUSBインターフェイスを有する各種ドライブ、多様なICメモリカード等の、複数のポータブル記憶媒体を受け入れるためのインターフェイスを備える。本発明の実施形態においては、ドキュメント処理装置104は、さらに、タッチスクリーン、LCD、タッチパネルまたは英数字キーパッド等のユーザ・インターフェイス106を備え、ユーザは、このようなユーザ・インターフェイスを介してドキュメント処理装置104と直接やり取りすることができる。本発明による実施形態において、ユーザ・インターフェイス106は、ユーザに対して情報を伝達するとともに、ユーザから選択内容を受け取るために有効に用いられる。ユーザ・インターフェイス106は、本技術分野で知られているように、ユーザにデータを提供するために適切な種々のコンポーネントからなる。本発明における一実施形態においては、ユーザ・インターフェイス106は、1つまたは複数のグラフィック要素、テキスト・データまたは画像等をユーザに表示し、ユーザから入力を受け取り、その入力を、さらに後で詳しく説明するコントローラ108等のバックエンド・コンポーネントに伝達するディスプレイ装置を有する。ドキュメント処理装置104は、適切な通信リンク112を介して、コンピュータ・ネットワーク102に通信可能に接続されている。適切な通信リンク112としては、例えば、WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、Bluetooth(登録商標)、公衆交換電話網、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、または本技術分野において知られている他の適切な有線または無線のデータ通信チャネルがある。
【0017】
本発明による実施形態において、ドキュメント処理装置104は、さらに、ドキュメント処理装置104による処理動作を容易にする、コントローラ108として示した、適切なバックエンド・コンポーネントを内蔵する。コントローラ108は、ドキュメント処理装置104の動作を制御し、あるいはユーザ・インターフェイス106を介した画像の表示を制御し、電子画像データの操作を指示する等のために構成された、ハードウェア、ソフトウェアあるいはこれらの適切な組み合わせによって実装される。以下の説明においては、コントローラ108という用語は、後に述べる動作を実行し、もしくは実行させ、もしくは制御し、またはその他の指示を行うように機能するハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含むドキュメント処理装置104と関連する任意の多数のコンポーネントの意味で、使用する。なお、図および上記の説明において、コントローラ108をドキュメント処理装置104に内蔵された形態としたが、コントローラ108は、ドキュメント処理装置104に通信可能に接続された外部装置の形態であってもよい。コントローラ108との関連において説明を行う処理動作は、本技術分野において知られている任意の汎用的なコンピューティング・システムによって実行可能である。したがって、コントローラ108は、このような汎用的なコンピューティング装置を表しており、以下の説明において使用する際にも、そのように意図されている。さらに、以下におけるコントローラ108の使用は、例としての実施形態にすぎず、当業者には明らかな他の実施形態も、本発明の一実施形態によるスクリプト言語ベースのドキュメント処理システムおよび方法を用いることができる。コントローラ108の構成等については、後ほど図2および図3を参照しながら説明を行う。
【0018】
また、ドキュメント処理装置104にはデータ記憶装置110が通信可能に接続されている。データ記憶装置110は、例えば、ハードディスク・ドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリまたはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている大容量記憶装置である。一実施形態において、データ記憶装置110は、ドキュメント・データ、テンプレート・データ、画像データまたは電子データベースのデータ等を保存するように適切に適合されている。データ記憶装置110は、図においてはシステム100の独立したコンポーネントとして例示されているが、例えば、内蔵ハードディスク・ドライブ等のような、ドキュメント処理装置104の内部記憶装置、あるいはコントローラ108のコンポーネント等として実装することができる。
【0019】
システム100は、さらに、通信リンク116を介してコンピュータ・ネットワーク102とデータ通信可能な、ユーザ装置114を含む。図においてはユーザ装置114をコンピュータ・ワークステーションとして示しているが、これは例示にすぎない。ユーザ装置114は、例えば、ノート形パーソナル・コンピュータ、デスクトップ形パーソナル・コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant、携帯情報端末)、ウェブ適合携帯電話、スマート・フォン、専用通信ネットワーク用の電子装置、またはその他のウェブ適合電子装置を含む、本技術分野において知られている任意のパーソナル・コンピューティング装置を表す。通信リンク116としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、公衆交換電話網、または、本技術分野において知られている他の適切な有線または無線のデータ通信チャネルを用いることができる。ユーザ装置114は、電子ドキュメント、ドキュメント処理インストラクション、高級言語スクリプト・コマンド、ユーザ・インターフェイスの修正、アップグレード、更新、またはパーソナル化データ等を生成し、生成したデータ等を、ドキュメント処理装置104あるいはコンピュータ・ネットワーク102に接続された他の類似装置に送る。ユーザ装置114の構成については、後ほど図4を参照しながら説明を行う。
【0020】
システム100は、通信リンク122を介してコンピュータ・ネットワーク102と通信可能なドキュメント管理サーバ118および関連するデータ記憶装置120によって示したドキュメント管理システムをも含む。ドキュメント管理サーバ118は、1つまたは複数のサービス、ウェブ・ベースのアプリケーションおよびストレージ・オプション等をネットワークに接続された装置に提供するために適切なハードウェア、ソフトウェア、およびこれらの組み合わせを含む。本発明の一実施形態によれば、ドキュメント管理サーバ118は、コンピュータ・ネットワーク102を介してアクセスされる、電子ドキュメントの保存、ドキュメントの検索およびドキュメントの取得等を管理するための、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせとして実装される種々のコンポーネントを含む。通信リンク122は、無線通信に限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、WiMax、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11(x)、専用通信ネットワーク、赤外線接続、光接続、公衆交換電話網、または本技術分野において知られている他の適切な無線または有線のデータ通信チャネルである。以下でドキュメント管理サーバ118に関連して述べる、電子ドキュメントを管理するコンポーネントは、コンピュータ・ネットワーク102に接続され、かつドキュメント管理システムとして機能する任意のコンピューティング装置に実装することができる。
【0021】
ドキュメント管理サーバ118にはデータ記憶装置120が通信可能に接続されている。データ記憶装置120は、例えば、ハードディスク・ドライブ、その他の磁気記憶装置、光学式記憶装置、フラッシュ・メモリまたはそれらの任意の組み合わせを含む本技術分野で知られている大容量記憶装置である。一実施形態において、データ記憶装置120は、ソフトウェアの更新、更新リスト、電子データベースのデータ、ドキュメント・データ、または画像データ等を保存するように適切に適合されている。データ記憶装置120は、図においてはシステム100の独立したコンポーネントとして例示されているが、例えば、内蔵ハードディスク・ドライブ等のような、ドキュメント管理サーバ118の内部記憶装置等として実装することができる。
【0022】
次に、図2および図3を参照しながら、本発明による実施形態におけるシステムの動作が実行されるコントローラのハードウェアおよび機能構成等を説明する。図2に本発明による実施形態においてシステム100の動作が実行されるバックエンド・コンポーネント、すなわち、図1においてはコントローラ108として示したコントローラ200のハードウェア・アーキテクチャの構成例を説明するための図を示す。尚、図においては、コントローラの構成要素の意義をより明確にするため、参照符号232で示した、コントローラ以外のドキュメント処理装置の構成要素の一部を併せて示している。コントローラ108は、本明細書に記載する動作を円滑に実行する能力を有する、本技術分野において知られている任意の汎用的なコンピューティング装置を表す。コントローラ200には、少なくとも1つのCPUを含むプロセッサ202が含まれる。プロセッサ202は、互いに協調して動作する複数のCPUから構成されることもある。また、コントローラ200には、BIOS機能、システム機能、システム構成データおよびコントローラ200の動作に使用する他のルーチンもしくはデータ等の静的または固定的なデータ、あるいはインストラクションのために有効に使用される、不揮発性または読出し専用メモリ(ROM)204が含まれる。
【0023】
また、コントローラ200には、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ、または他の任意の適切なアドレス指定可能かつ書込み可能なメモリ・システムから構成されるRAM206が含まれる。RAM206は、プロセッサ202により処理されるアプリケーションおよびデータ処理に関係するデータ・インストラクションのための記憶領域を提供する。
【0024】
ストレージ・インターフェイス208は、コントローラ200に関連するデータの不揮発性保存、大容量保存または長期的な保存のためのメカニズムを提供する。ストレージ・インターフェイス208は、参照符号216で示したディスク・ドライブ、あるいは光学式ドライブ、テープ・ドライブ等の適切な任意のアドレス指定可能、またはシリアル記憶装置等の大容量記憶装置の他、当業者に知られている適切な任意の記憶媒体を使用する。
【0025】
ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、ネットワークとの間の入出力を適切にルーティングすることによって、コントローラ200が他の装置と通信することを可能にする。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、コントローラ200に対する外部装置との1つまたは複数のコネクションのインターフェイスを適切にとる。図においては、例えば、Ethernet(登録商標)およびトークン・リング等の固定または有線ネットワークとのデータ通信のための少なくとも1つのネットワーク・インターフェイス・カード214、およびWiFi(Wireless Fidelity)、WiMax、無線モデム、セルラ・ネットワークまたは適切な任意の無線通信システム等の手段を介した無線通信のために適切な無線インターフェイス218を示している。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム210は、任意の物理的データ転送レイヤあるいは物理的データ転送レイヤではないデータ転送レイヤまたはプロトコル・レイヤを適切に利用する。図においては、ネットワーク・インターフェイス・カード214は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはそれらの組合せから適切に構成される物理的ネットワーク220を介したデータ交換を行うために、相互接続されている。
【0026】
プロセッサ202、読出し専用メモリ(ROM)204、RAM206、ストレージ・インターフェイス208およびネットワーク・インターフェイス・サブシステム210の間のデータ通信は、バス212によって例示したバス・データ転送メカニズムを介して行われる。
【0027】
また、ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス222もバス212を介してデータ通信を行う。ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス222は、様々なドキュメント処理動作を実行するために、ドキュメント処理ハードウェア232との接続を提供する。そのようなドキュメント処理動作には、コピー・ハードウェア224によって実行されるコピー、画像走査ハードウェア226によって実行される画像走査、印刷ハードウェア228によって実行される印刷、およびファクシミリ・ハードウェア230によって実行されるファクシミリ通信がある。コントローラ200は、これらのドキュメント処理動作のいずれかまたは全部を適切に動作させる。複数のドキュメント処理動作を実行可能なシステムは、前述したように、MFP(多機能周辺装置)または多機能装置と呼ばれる。システム100の機能は、ドキュメント処理装置と関連するインテリジェント・サブシステムとして図2に示したコントローラ200(図1におけるコントローラ108に対応)を含む、ドキュメント処理装置104等の適切なドキュメント処理装置において実行される。
【0028】
次に図3を参照しながらシステムの動作が実行されるコントローラの機能ブロックと動作の概要を説明する。図3に、本発明による実施形態のシステム100の動作が実行されるコントローラの機能ブロックの構成例を説明するための図を示す。尚、図3においても、コントローラの機能要素の意義をより明確にするため、コントローラ以外のドキュメント処理装置の機能要素の一部を併せて示している。図3は、ソフトウェアおよびオペレーティング・システム機能と関連して、図2に示したハードウェアの機能性を例示している。
【0029】
コントローラ機能はドキュメント処理エンジン302を含む。一実施形態において、ドキュメント処理エンジン302は、印刷動作、コピー動作、ファクシミリ通信動作および画像走査動作を可能にする。これらの機能は、産業界において一般に好まれるドキュメント処理周辺装置であるMFPと関連付けられることが多い。しかし、コントローラが上記のドキュメント処理動作のすべてを可能にする必要は必ずしもない。コントローラは、上記のドキュメント処理動作のサブセットである、専用のドキュメント処理装置、あるいはより限定した目的のドキュメント処理装置においても有効に用いられる。
【0030】
ドキュメント処理エンジン302はユーザ・インターフェイス・パネル310と適切にインターフェイスされており、ユーザまたは管理者は、このユーザ・インターフェイス・パネル310を介して、ドキュメント処理エンジン302によって制御される機能にアクセスすることができる。アクセスは、コントローラにローカル接続されたインターフェイスを介して行われるか、遠隔のシン・クライアント(thin client)またはシック・クライアント(thick client)によって遠隔から行われる。
【0031】
ドキュメント処理エンジン302は、印刷機能部304、ファクシミリ通信機能部306および画像走査機能部308とデータ通信を行う。これらの機能部は、印刷、ファクシミリの送受信、およびドキュメント画像をコピーのために取得するか、またはドキュメント画像の電子バージョンを生成するための、ドキュメント画像走査の実際の処理動作を容易にする。
【0032】
ジョブ・キュー(job queue)312は、印刷機能部304、ファクシミリ通信機能部306および画像走査機能部308とデータ通信を行う。ビットマップ・フォーマット、ページ記述言語(PDL)フォーマットまたはベクター・フォーマット等の種々の画像形式は、画像走査機能部308からジョブ・キュー312を介して以降の処理のために中継される。
【0033】
ジョブ・キュー312は、また、ネットワーク・サービス機能部314ともデータ通信を行う。一実施形態において、ジョブ制御信号、状態データまたは電子ドキュメント・データが、ジョブ・キュー312とネットワーク・サービス機能部314との間で交換される。このように、クライアント側ネットワーク・サービス機能320を介したコントローラ機能へのネットワーク・ベースのアクセスに適切なインターフェイスが提供され、このインターフェイスは任意の適切なシン・クライアントまたはシック・クライアントである。一実施形態において、ウェブ・サービス・アクセスは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、ファイル転送プロトコル(FTP)、ユニフォーム・データ・ダイアグラム・プロトコルまたは他の任意の適切な交換メカニズムによって実行される。ネットワーク・サービス機能部314は、また、FTP、電子メールまたはテルネット(TELNET)等による通信のために、クライアント側ネットワーク・サービス機能320とのデータ交換も有効に提供する。このように、コントローラ機能は、種々のネットワーク・アクセス・メカニズムによって、電子ドキュメントおよびユーザ情報のやり取りを容易にする。
【0034】
ジョブ・キュー312は、また、画像プロセッサ316ともデータ通信を行う。画像プロセッサ316は、印刷機能部304、ファクシミリ通信機能部306または画像走査機能部308等の装置機能部と、電子ドキュメントを交換するために適したフォーマットに変換するラスタ画像処理(RIP)、ページ記述言語インタープリタまたは任意の適切な画像処理を行うメカニズムである。
【0035】
さらに、ジョブ・キュー312はジョブ解析部(job parser)318とデータ通信を行い、このジョブ解析部318はクライアント装置サービス部322等の外部装置からの印刷ジョブ言語ファイルを受け取る働きをする。クライアント装置サービス部322は、電子ドキュメントの印刷、ファクシミリ通信、またはコントローラ機能による処理が有効である他の適切な電子ドキュメントの入力を含む。ジョブ解析部318は、受け取った電子ドキュメント・ファイルを解析し、前述した機能およびコンポーネントに関連する処理のために、解析した電子ドキュメント・ファイル情報をジョブ・キュー312に中継する働きをする。
【0036】
次に、図4を参照しながら、本発明による実施形態におけるシステムの動作が実行される、図1においてはユーザ装置114として示した、ワークステーション400のハードウェア構成を説明する。図4に本発明による実施形態におけるワークステーション400のハードウェア・アーキテクチャの構成例を示す。ワークステーション400は、不揮発性または読出し専用メモリ(ROM)404、RAM406、表示インターフェイス408、ストレージ・インターフェイス410、およびネットワーク・インターフェイス・サブシステム412とデータ通信可能に配置された少なくとも1つのCPUから構成されるプロセッサ402を含む。プロセッサ402は、互いに協調して動作する複数のCPUから構成されることもある。一実施形態においては、読出し専用メモリ(ROM)404等の上記のモジュールへのインターフェイスは、バス414を介して、実行される。
【0037】
読み出し専用メモリ(ROM)404は、BIOS、システム機能、システム構成データおよびプロセッサ402によってワークステーション400の動作に使用される他のルーチン等の、静的なデータまたは固定的なデータのようなファームウェアを保存する。
【0038】
RAM406は、プロセッサ402によって処理されるアプリケーションおよびデータ処理に関係するデータとインストラクションのための記憶領域を提供する。
【0039】
表示インターフェイス408は、バス414に接続された他のコンポーネントからデータまたはインストラクションを受け取る。表示インターフェイス408が受け取るデータは、ユーザ・インターフェイスに有用な表示に関するデータである。表示インターフェイス408は、例えば、モニタ、LCD、プラズマ・ディスプレイまたは他の適切な視覚出力装置等のビデオ表示装置である表示モニタ428に出力を供給する。
【0040】
ストレージ・インターフェイス410は、ワークステーション400に関連するデータまたはインストラクションの不揮発性保存、大容量保存または長期的な保存のためのメカニズムを提供する。ストレージ・インターフェイス410は、参照符号418で示したディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、あるいは光学式ドライブ等の適切な任意のアドレス指定可能、またはシリアル記憶装置等の大容量記憶装置等の記憶メカニズムを使用する。
【0041】
ネットワーク・インターフェイス・サブシステム412は、例えば、ネットワーク・インターフェイス・カード420として図示した少なくとも1つのネットワーク・インターフェイス、およびWiFi無線ネットワーク・カード等の無線インターフェイス430と通信を行う。ネットワーク・インターフェイス・サブシステム412は、物理レイヤとプロトコル・レイヤの両方から構成され、また、Ethernet(登録商標)、トークン・リング、他のワイド・エリア・ネットワークまたはローカル・エリア・ネットワーク通信システム等の任意の有線システム、あるいはWiFi、WiMax、または他の適切な無線ネットワーク通信システム等の無線システムを介して、ワークステーション400が他の装置と通信することを可能にする。図においては、ネットワーク・インターフェイス・カード420は、例えば、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークまたはそれらの組合せから適切に構成される物理的ネットワーク432を介したデータ交換を行うために、相互接続されている。
【0042】
バス414とデータ通信を行う入出力インターフェイス416は、キーボード等の入力装置422と接続されている。また、入出力インターフェイス416は、USBインターフェイス、SCSIインターフェイス、IEEE1394インターフェイス、あるいは特定の用途に適した任意の他のインターフェイス等の周辺装置インターフェイス424に、データ出力を供給する。さらに、入出力インターフェイス416は、マウス、ライト・ペン、タッチスクリーン等の装置と接続するためのポインティング・デバイス・インターフェイス426とデータ通信を行う。
【0043】
次に、本発明における動作の概要を説明する。先ず、スクリプトで記述されたコマンド(以下、本明細書および図6において「スクリプト記述コマンド」ということがある。)を含む電子ドキュメントが受信される。次に、受信された電子ドキュメントからスクリプト記述コマンドが解析される。次に、受信された電子ドキュメントに含まれるスクリプト記述コマンドの解析にしたがって、少なくとも1つの電子ドキュメントが関連するデータ記憶装置から取得される。その後、受信された電子ドキュメントから解析されたスクリプト記述コマンドにしたがって、取得されたそれぞれの電子ドキュメントについて、少なくとも1つのドキュメント処理動作が実行される。
【0044】
本発明の例示的な一実施形態においては、先ず、スクリプトで記述されたコマンドを含む電子ドキュメントがユーザ装置114によって生成される。例えば、ユーザ装置114のユーザが、ドキュメント処理装置104によって実行される所望の作用、検索、またはその他の動作に対応する高級スクリプティング言語ベースのドキュメントを含めて記述する。例えば、ユーザは、ドキュメント管理サーバ118からの複数の電子ドキュメントの検索および取得、例えば無線もしくはネットワークの設定または印刷オプション等のドキュメント処理装置104の設定、例えば画像走査テンプレートのようなテンプレートの作成、選択された電子ドキュメントに対する、例えば印刷、コピー、光学文字認識、ファクシミリ送信、電子メール送信、またはドキュメント処理装置104に実行させる他のタスク等の所望のドキュメント処理動作に対応するスクリプト記述コマンドを、電子ドキュメントに含ませることができる。
【0045】
例えば、第4世代の言語のような高級スクリプト言語は、ドキュメント処理装置104等の複数の装置によって理解される。ユーザ装置114のユーザは、そのようなスクリプト言語を使用して、スクリプト記述コマンドを含む電子ドキュメントを作成する。例えば、ユーザが、ドキュメント管理サーバ118からドキュメントを取得し、取得したドキュメントをドキュメント処理装置104によって印刷することを所望する場合、次に示すスクリプト記述されたコマンドを電子ドキュメント内に生成することができる。
【0046】
PRINT print_list
[FROM from_list]
[WHERE conditions]
[GROUP BY group_list]
[ORDER BY order_list [ASC | DESC]]
[CONFIG config_list]
”print_list”は、印刷されるすべてのドキュメントのリストを記述する。本発明の一実施形態によれば、複数のドキュメントの取得は、カンマまたはセミコロン等によって、所望のそれぞれのドキュメントを分離することによって行うことができる。このような実施形態においては、アスタリスク等の記号を、カンマまたはセミコロン等を用いて分離された複数のフォルダを伴う、クエリに関係するフォルダのリストを示す”from_list”成分とともに、所定のフォルダ内のすべてのドキュメントを指定するために使用することができる。”conditions”は、例示的なドキュメント内において、1つまたは複数のフォルダから印刷されるドキュメントの数を制限するように働く表現に対応する。例えば、”WHERE author=“William Shakespeare”は、「ウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)」によって著作されたドキュメントのみに印刷を制限する条件であり、”WHERE date modified>=5/1/06 AND data modified<7/1/06”は、2006年5月1日から2006年7月1日の前日までに修正されたドキュメントのみに印刷を制限する条件であり、”WHERE “Company” は、データ記憶装置120にある”カンパニー(Company)”を含むドキュメントのみに印刷を制限する条件である。上記の条件を、例えば『OR』、『AND』および『NOT』を用いて、例えば、”WHERE “Company” AND date modified>=5/1/06 AND data modified<7/1/06”というように結合することもできる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、使用されるスクリプトのさらなる例は、ユーザによって規定されると、ドキュメント処理装置104が印刷に先行してドキュメントをグループ化する必要があることを指示する”group_list”である。例えば”WHERE author=“William Shakespeare” AND author=“T.S. Elliot”, GROUP BY author”は、ドキュメント処理装置104に、すべてのウィリアム・シェークスピア(William Shakespeare)のドキュメントを1つの出力として、すべてのT.S.エリオット(T. S. Elliot)のドキュメントを別な1つの出力として印刷する指示を表す。本発明の別の実施形態によれば、”config_list”スクリプトが規定された場合、このスクリプトは、ドキュメント処理装置104に対する、例えばコピーの数、ステープルまたは孔開け等のデフォルトの設定を、印刷、例えば”CONFIG staple=TRUE”に先行して上書きする指示を表す。以下に示す表1に、本発明の一実施形態にしたがって頻繁に使用されるスクリプトのいくつかの例をリストする。
【表1】

【0048】
以上、説明を行ったスクリプト記述コマンドを含む電子ドキュメントの生成に続いて、ユーザ装置114は、コンピュータ・ネットワーク102を介して、生成した電子ドキュメントをドキュメント処理装置104に伝達する。ユーザ装置114とドキュメント処理装置104との間の通信を、これら2つの装置間における無線接続または有線接続を介して、すなわちコンピュータ・ネットワーク102をバイパスして、行うことができる。次に、ドキュメント処理装置104はユーザ装置114から電子ドキュメントを受信し、受信した電子ドキュメントに含まれる任意のスクリプト記述されたコマンドを解析する。本発明の一実施形態によれば、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、受信された電子ドキュメントを解析してスクリプト記述されたコマンドが含まれることを判断し、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントが、ドキュメントからそれらのスクリプトの解析を行う。
【0049】
次に、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、解析されたスクリプト記述コマンドをテストし、そのコマンド内にエラーが有るか否かを判断する。コントローラ108またはその他のその種のドキュメント処理装置104のコンポーネントが、1つまたは複数のエラーを検出した場合には、ユーザにエラーを知らせる通知がユーザ装置114に返される。
【0050】
解析されたスクリプト記述コマンド内にエラーが検出されない場合には、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、スクリプト記述されたコマンドが、ドキュメント処理装置104の設定(configuration)に対する変更、更新または修正等を表す設定データを含むか否かを判断する。その種の設定データには、例えば、ネットワーク設定、無線設定およびドキュメント処理動作の設定等に関するスクリプト記述コマンドがある。スクリプト記述コマンドが設定データを含む場合は、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントが、その設定データをドキュメント処理装置104に実装する。
【0051】
設定データの実装を完了するか、または電子ドキュメントから設定データを含むスクリプト記述コマンドが解析されなかった場合、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、次に、テンプレート作成に対応するスクリプト記述コマンドが、受信された電子ドキュメント内に含まれるか否かを判断する。例えば、ユーザは、ドキュメント処理装置104によって実行される画像走査動作に対応する画像走査テンプレートの作成を指示することができる。スクリプト記述されたコマンドの実行に続いて、コントローラ108またはその他のドキュメント処理装置104の適切なコンポーネントは、テンプレートを作成し、作成したテンプレートをデータ記憶装置110に保存する。
【0052】
次に、コントローラ108またはその他のドキュメント処理装置104の適切なコンポーネントは、受信された電子ドキュメントから解析されたスクリプト記述コマンドの処理を続ける。したがって、さらなるスクリプト記述コマンドが残っていない場合には、処理が終了し、ドキュメント処理装置104は、ユーザから次に要求されるドキュメント処理動作の待機状態に戻る。コントローラ108またはその他のドキュメント処理装置104のコンポーネントが、解析したスクリプト記述コマンドの中にドキュメント処理に対応する1つまたは複数のスクリプト・コマンドが含まれると判断すると、前述した「条件」等の検索基準が受信し電子ドキュメントから解明される。次に、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、特定された検索基準をドキュメント管理サーバ118に、コンピュータ・ネットワーク102を介して、伝達する。
【0053】
次に、ドキュメント管理サーバ118は、伝達された検索基準と、データ記憶装置120に保存されている電子ドキュメントとを比較し、検索基準に基づいた比較結果にしたがって、データ記憶装置120から1つまたは複数の電子ドキュメントを取得する。次に、取得された電子ドキュメントが、コンピュータ・ネットワーク102を介して、ドキュメント処理装置104に返される。次いで、伝達された電子ドキュメントがドキュメント処理装置104によって受信され、受信されたそれぞれの電子ドキュメントに関連付けられたドキュメント処理動作が、解析されたスクリプト記述コマンドにしたがって特定される。その後、ドキュメント処理装置104は、特定されたドキュメント処理動作をそれぞれの取得された電子ドキュメントに対して実行する。
【0054】
以上、図1ないし図4を参照しながらシステム100とその構成コンポーネントについて説明を行ったが、図5と図6を参照しながら行う以降の説明によって、理解がより深まるであろう。図5に、本発明による実施形態におけるスクリプト言語ベースのドキュメント処理の基本的な動作例を表すフローチャートを示す。先ず、S502で、ドキュメント処理装置104が、ユーザ装置114のユーザから、スクリプト記述されたコマンドを含む電子ドキュメントを受信する。次にS504で、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントが、受信された電子ドキュメントを解析し、電子ドキュメントの中に含まれるスクリプト記述されたコマンドを解明する。
【0055】
次にS506において、受信された電子ドキュメントからのスクリプト記述されたコマンドの解析にしたがって、少なくとも1つの電子ドキュメントが関連するデータ記憶装置から取得される。本発明の一実施形態によれば、解析されたスクリプト記述コマンドに対応する電子ドキュメントが、コンピュータ・ネットワーク102を介して、ドキュメント管理サーバ118から取得される。次にS508において、ドキュメント処理装置104は、取得されたそれぞれの電子ドキュメントについて、解析されたスクリプト記述コマンドにしたがって少なくとも1つのドキュメント処理動作を実行する。
【0056】
次に図6を参照しながら、本発明による実施形態におけるスクリプト言語ベースのドキュメント処理動作を詳細に説明する。図6に、本発明による実施形態におけるスクリプト言語ベースのドキュメント処理動作例を詳細に表したフローチャートを示す。先ず、S602で、ユーザ装置114が、ユーザとのやり取りを介して、スクリプトで記述されたコマンドを含む電子ドキュメントを生成する。電子ドキュメントの取得、ドキュメント処理動作、ドキュメント処理装置の設定、およびドキュメント処理動作のテンプレート等に対応する高級スクリプト言語ベースのコマンドは、ユーザによって入力される。S604においては、生成された電子ドキュメントが、コンピュータ・ネットワーク102を介して、ユーザ装置114からドキュメント処理装置104に伝達される。
【0057】
次にS606で、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントが、伝達された電子ドキュメントを受信する。S608においては、受信された電子ドキュメントが、このドキュメントからスクリプト記述されたコマンドを解明するために、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントによって解析される。S610においては、受信された電子ドキュメントが、スクリプト記述コマンド内のエラーについてテストされる。すなわち、コントローラ108は、解析されたスクリプト記述コマンドをテストし、例えば、構文、コマンド、または非適合性等のエラーが存在するか否かを判定する。次にS612で、解析されたスクリプト記述コマンド内にエラーが存在するか否かの判断が行われる。1つまたは複数のエラーがコントローラ108によって検出された場合には、処理はS614に進み、ユーザ装置114のユーザに、本技術分野において知られている任意の適切な手段を介して、エラーが通知される。例えば、エラー・メッセージは、ドキュメント処理装置104によって生成され、コンピュータ・ネットワーク102を介して、ユーザ装置114に返され、検出されたエラーの性質を示すことができる。S614における処理が完了すると、本実施形態における処理は終了する。
【0058】
S612において、解析されたスクリプト記述コマンド内にエラーが存在しないと判断されると、処理はS616に進む。S616においては、解析されたスクリプト記述コマンドのうちのいずれかが設定コマンドに対応するか否かの判断が行われる。すなわち、スクリプト記述されたコマンドが、ドキュメント処理装置104の設定に対する変更、更新または修正等に対応する設定データを含むか否かの判断が行われる。その種の設定データには、例えば、ネットワーク設定、無線設定およびドキュメント処理動作の設定等に関するスクリプト記述コマンドがある。S616において肯定的な判断がなされた場合、すなわち、スクリプト記述コマンドが設定データを含むという判断が行われた場合、処理はS618に進み、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、設定データをドキュメント処理装置104に実装する。
【0059】
S618において設定データの実装が完了した後、またはS616において設定データを含むスクリプト記述コマンドが受信された電子ドキュメント内には存在しないと判断されると、処理はS620に進む。S620においては、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントによって、受信された電子ドキュメントがテンプレート作成に対応するスクリプト記述されたコマンドを含むか否かの判断が行われる。その種のテンプレート作成コマンドは、例えば、ドキュメント処理装置104によって実行される画像走査動作に対応する画像走査テンプレート作成コマンドを含む。S620における肯定的な判断、すなわち、受信された電子ドキュメントがテンプレート作成に対応するスクリプト記述されたコマンドを含む旨の判断は、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントが、S622において、受信された電子ドキュメントから解析された対応するスクリプト記述コマンドにしたがってテンプレートを作成することを促す。次にS624において、S622で作成されたテンプレートは、以降のドキュメント処理装置104による使用のために、ドキュメント処理装置104に関連するデータ記憶装置110に保存される。
【0060】
新たに作成されたテンプレートのS624における保存の後、またはS620においてテンプレート作成コマンドが受信された電子ドキュメント内に存在しない旨の判断があると、処理はS626に進む。S626においては、解析されたスクリプト記述コマンドがドキュメント処理要求に対応するか否かの判断が行われる。すなわち、スクリプト記述コマンドが、ドキュメント管理サーバ118からの1つまたは複数の電子ドキュメントの検索および取得、およびその後に続く対応する、例えば印刷、コピー、光学文字認識、ファクシミリ送信および電子メール送信等のドキュメント処理動作の実行に対応するか否かの判断が行われる。S626において否定的な判断、すなわち解析されたスクリプト記述コマンドがドキュメント処理要求に対応しない旨の判断が行われると、処理は終了する。
【0061】
S626において肯定的な判断、すなわち解析されたスクリプト記述コマンドがドキュメント処理要求に対応する旨の判断が行われると、処理はS628に進み、電子ドキュメントから解析されたスクリプト記述コマンドにしたがって検索基準が特定される。検索基準には、例えば、著者、キーワード、修正日およびグループ等が含まれる。解析されたスクリプト記述コマンドから特定された検索基準は、次にS630において、コンピュータ・ネットワーク102を介して、ドキュメント管理サーバ118に伝達される。次にS632で、ドキュメント管理サーバ118は、受信した検索基準と、データ記憶装置120に保存されている電子ドキュメントとを比較する。
【0062】
次にS634において、検索基準に基づいた比較結果にしたがって、1つまたは複数の電子ドキュメントが、ドキュメント管理サーバ118によってデータ記憶装置120から取得される。次いでS636において、ドキュメント管理サーバ118は、取得した電子ドキュメントを、コンピュータ・ネットワーク102を介して、ドキュメント処理装置104に伝達する。S638において、ドキュメント処理装置104は、取得された電子ドキュメントをドキュメント管理サーバ118から受信する。次にS640において、コントローラ108またはドキュメント処理装置104に関連するその他の適切なコンポーネントは、受信されたそれぞれの電子ドキュメントのための少なくとも1つのドキュメント処理動作を、解析されたスクリプト記述コマンドにしたがって特定する。次いでS642において、ドキュメント処理装置104は、取得されたそれぞれの電子ドキュメントに対して、特定されたドキュメント処理動作を実行する。
【0063】
本発明は、ソース・コード、オブジェクト・コード、部分的にコンパイルされた形のようなコード中間ソースおよびオブジェクト・コードの形、あるいは本発明の実施形態で使用するために適した任意の他の形のコンピュータ・プログラムをも含む。コンピュータ・プログラムは、スタンドアローンのアプリケーション、ソフトウェア・コンポーネント、スクリプトまたは他のアプリケーションへのプラグ・インとすることができる。本発明を実施するコンピュータ・プログラムは、例えば、ROMやRAM等の記憶媒体、CD−ROM等の光記録媒体、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気記録媒体等の、コンピュータ・プログラムを伝達することができる任意の実体または装置である担体上で具体化することができ、あるいは電気ケーブルまたは光ケーブルによって、または無線や他の手段によって伝えられる電気信号や光信号等の任意の担体によって伝達することができる。コンピュータ・プログラムは、サーバからインターネットを介してダウンロードすることもできる。また、コンピュータ・プログラムの機能は集積回路に組み込むこともできる。説明を行った本発明の原理を実質的にコンピュータまたはプロセッサに実行させるコードを含む任意およびすべての実施形態は、本発明の範囲内にある。
【0064】
本発明の好ましい実施形態の以上の説明は、例示と説明のために行った。説明は網羅的ではなく、本発明を開示した形態に限定しようとするものでもない。以上の開示を鑑みて明らかな修正または変形が可能である。例えば、本発明による実施形態の説明に記したシステムおよび方法は、通信、一般コンピューティング、データ処理等を含む、スクリプト言語で記述されるコマンドを用いる複数の様々な電子工学分野に対しても適用可能であり、本発明がドキュメント処理分野への適用に限定されるものではない。実施形態は、本発明の原理とその実際的な応用例を最もよく示し、それにより当業者が、本発明を、意図された特定の使用に適した様々な実施形態において様々な修正で使用できるように選択され説明された。そのようなすべての修正と変形は、特許請求の範囲の記載に明示されるとおりの本発明の原理および範囲内において、当業者によって行われ得ることは明らかであり、特許請求の範囲の記載によって定められる本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明による実施形態が適用されるスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム全体の構成例である。
【図2】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるコントローラのハードウェアの構成例を説明するための図である。
【図3】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるコントローラの機能ブロックの構成例を説明するための図である。
【図4】本発明による実施形態のシステムの動作が実行されるワークステーションのハードウェアの構成例である。
【図5】本発明による実施形態におけるスクリプト言語ベースのドキュメント処理の基本的な動作例を表すフローチャートである。
【図6】本発明による実施形態における、スクリプト言語ベースのドキュメント処理の動作例を詳細に表したフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
100 システム
102 コンピュータ・ネットワーク、分散通信システム
104 ドキュメント処理装置、MFP
106 ユーザ・インターフェイス
108 コントローラ
110、120 データ記憶装置
112、116、122 通信リンク
114 ユーザ装置
118 ドキュメント管理サーバ
200 コントローラ
202、402 プロセッサ
204、404 読み出し専用メモリ、ROM
206、406 RAM
208、410 ストレージ・インターフェイス
210、412 ネットワーク・インターフェイス・サブシステム
212、414 バス
214、420 ネットワーク・インターフェイス・カード
216、418 ディスク・ドライブ
218、430 無線インターフェイス
220、432 物理的ネットワーク
222 ドキュメント・プロセッサ・インターフェイス
224 コピー・ハードウェア
226 画像走査ハードウェア
228 印刷ハードウェア
230 ファクシミリ・ハードウェア
232 ドキュメント処理ハードウェア
302 ドキュメント処理エンジン
304 印刷機能部
306 ファクシミリ通信機能部
308 画像走査機能部
310 ユーザ・インターフェイス・パネル
312 ジョブ・キュー
314 ネットワーク・サービス機能部
316 画像プロセッサ
318 ジョブ解析部
320 クライアント側ネットワーク・サービス機能
400 ワークステーション
408 表示インターフェイス
416 入出力インターフェイス
422 入力装置、キーボード
424 周辺装置インターフェイス
426 ポインティング・デバイス・インターフェイス
428 表示モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリプトで記述されたコマンドを受信する手段と、
受信されたスクリプトで記述されたコマンドを解析する解析手段と、
この解析手段によるスクリプトで記述されたコマンドの解析結果にしたがって、関連するストレージから少なくとも1つの電子ドキュメントを取得する取得手段と、
解析されたコマンドにしたがって、前記取得された電子ドキュメントに対して少なくとも1つのドキュメント処理動作を実行する手段と
を備えることを特徴とするスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム。
【請求項2】
前記スクリプトで記述されたコマンドは検索基準を含み、
前記取得手段は、前記検索基準との比較にしたがって前記少なくとも1つの電子ドキュメントを取得することを特徴とする請求項1に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム。
【請求項3】
前記スクリプトで記述されたコマンドは、関連するドキュメント処理装置を設定するための設定データを含むことを特徴とする請求項1に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム。
【請求項4】
前記システムは、
前記受信されたスクリプトで記述されたコマンドに含まれるエラーについてテストするテスト手段と、
前記取得手段を、前記テスト手段の出力にしたがって選択的に動作させる手段と
を、さらに、備えることを特徴とする請求項1に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム。
【請求項5】
前記解析手段によって解析された前記コマンドは、印刷、またはコピー、または光学文字認識、またはファクシミリ送信、または電子メール送信のドキュメント処理動作を実行するためのインストラクションを含むことを特徴とする請求項1に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム。
【請求項6】
前記スクリプトで記述されたコマンドは、ドキュメント画像走査動作に関連付けされる画像走査テンプレートを作成するためのコマンドを含むことを特徴とする請求項1に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理システム。
【請求項7】
スクリプトで記述されたコマンドを受信するステップと、
受信されたスクリプトで記述されたコマンドを解析するステップと、
スクリプトで記述されたコマンドの解析結果にしたがって、関連するストレージから少なくとも1つの電子ドキュメントを取得するステップと、
解析されたコマンドにしたがって、前記取得された電子ドキュメントに対して少なくとも1つのドキュメント処理動作を実行するステップと
を含むことを特徴とするスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法。
【請求項8】
前記スクリプトで記述されたコマンドは検索基準を含み、
前記少なくとも1つの電子ドキュメントを取得するステップは、前記検索基準との比較にしたがって実行されることを特徴とする請求項7に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法。
【請求項9】
前記スクリプトで記述されたコマンドは、関連するドキュメント処理装置を設定するための設定データを含むことを特徴とする請求項7に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法。
【請求項10】
前記方法は、
前記受信されたスクリプトで記述されたコマンドに含まれるエラーについてテストするテスト・ステップと、
このテスト・ステップにおけるテストの出力にしたがって選択的に少なくとも1つの電子ドキュメントを前記関連するストレージから取得するステップと、
を、さらに、含むことを特徴とする請求項7に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法。
【請求項11】
前記解析されたコマンドは、印刷、またはコピー、または光学文字認識、またはファクシミリ送信、または電子メール送信のドキュメント処理動作を実行するためのインストラクションを含むことを特徴とする請求項7に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法。
【請求項12】
前記スクリプトで記述されたコマンドは、ドキュメント画像走査動作に関連付けされる画像走査テンプレートを作成するためのコマンドを含むことを特徴とする請求項7に記載のスクリプト言語ベースのドキュメント処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−184349(P2009−184349A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325987(P2008−325987)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】