説明

スターリングエンジンごみ除去装置

【課題】 従来の、例えば浴室における浴槽内の湯温と室温および水道水の水温のように、温度差のある場所で水面に浮かべて水を浄化するごみ除去装置のうち電池を用いるものは、電池の消耗に応じて電池交換をしなければならず、外部から電力もしくは油圧を供給するものは、電線もしくは油圧ホースなどの取り扱いに不便があり、いずれもモーターが必要であった。また、ベルチェ素子を用いるものは、電池または外部からの動力源が不要であるが、他の方法と同様モーターが必要であった。本発明は上記の課題を解決するスターリングエンジンごみ除去装置を提供する。
【解決手段】 低温度差においても作動可能なスターリングエンジンでポンプを駆動して水を送り、モーターを無くして、装置の構成を簡単にする事で目的を達することを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室における浴槽内の湯温と室温および水道水の水温のように、温度差のある場所で水面に浮かべて水を浄化する、スターリングエンジン動力のスターリングエンジンごみ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、例えば浴室における浴槽内の湯温と室温および水道水の水温のように、温度差のある場所で水面に浮かべて水を浄化するごみ除去装置(以後、単に従来のごみ除去装置という)には、水を送る手段として水車、スクリューを含むポンプを用いるものがある。(例えば、実用新案文献1、2、3、4、5、特許文献1、2参照。)。また、フリーピストンスターリングエンジンとしては、コンセプトプラス株式会社よりお湯で動くフリーピストンスターリングエンジン模型キットが発売されている。(例えば、非特許文献1参照。)。
【実用新案文献1】
実開昭57−136420号公報
【実用新案文献2】
実開昭63−185414号公報
【実用新案文献3】
実開平01−032711号公報
【実用新案文献4】
実開平02−108709号公報
【実用新案文献5】
実開平03−079783号公報
【特許文献1】特開2002−102094号公報
【特許文献2】特開2007−037931号公報
【非特許文献1】お湯で動くフリーピストンスターリングエンジン、コンセプトプラス株式会社ホームページ、2005年5月発売
【0003】
以下、従来のごみ除去装置について説明する。従来、ごみを除去するための水を送る方法として、装置を電池、モーター、ポンプで構成したり、外部電源、モーター、ポンプで構成したり、外部からの油圧、油圧モーター、ポンプで構成したり、温度差を電力にエネルギー変換するベルチェ素子、モーター、ポンプで構成して目的を達していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のごみ除去装置のうち電池を用いるものは、電池の消耗に応じて電池交換をしなければならず、外部から電力もしくは油圧を供給するものは、電線もしくは油圧ホースなどの取り扱いに不便があり、いずれもモーターが必要であった。
【0005】
ベルチェ素子を用いるものは、電池または外部からの動力源が不要であるが、他の方法と同様モーターが必要であった。
【0006】
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、その目的は即ち、電池、電線、油圧ホース、モーターなどが不要で装置の構成が簡単なスターリングエンジンごみ除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るスターリングエンジンごみ除去装置(以後、単に該ごみ除去装置という)は、例えば浴室における浴槽内の湯温と室温および水道水の水温のように温度差のある場所で用い、低温度差においても作動可能なスターリングエンジンでポンプを駆動して水を送り、モーターを無くして装置の構成を簡単にする事で目的を達する。
【0008】
スターリングエンジンの内、クランク機構などのピストン駆動機構を持つキネマティックエンジンは、クランク軸から動力を取り出しポンプを駆動する。クランク機構などのピストン駆動機構を持たないフリーピストンスターリングエンジンでは、ピストンの往復運動から動力を取り出しポンプを駆動する。
【0009】
一実施例として、フリーピストンスターリングエンジンを使用したごみ除去装置を、浴槽で使用する例で説明すれば、空中側に圧縮空間(クーラー)を、浴槽側に膨張空間(ヒーター)を配置したフリーピストンスターリングエンジンの下部には往復動ポンプを接続し、周囲にはフロートを設ける。
【0010】
さらに水面に浮遊するごみを除去する手段としては、水面よりやや下がった位置に、着脱自在なフィルターを備えたポンプの吸込み口を設けてごみを吸引除去する。フロートにより外部水面に浮遊するごみの吸引が妨げられる場合は、フロート上またはフロート間に水路を設け良好なごみの吸引を図る。
【0011】
また水中に浮遊するごみを除去する手段としては、水中に、着脱自在なフィルターを備えたポンプの吸込み口を設けてごみを吸引除去する。水面に浮遊するごみ及び水中に浮遊するごみを同時に除去するには、該ごみ除去装置を複連として使用するか、ピストンポンプを使用する装置であれば、ピストンポンプを複動ポンプとして用いればよい。
【0012】
フロートは該ごみ除去装置を浴槽水面に浮遊するように浮力を持たせるが、該ごみ除去装置の膨張空間(ヒーター)が浴水で加熱できる位置に設置する。該ごみ除去装置の圧縮空間(クーラー)が温まってきたら冷水をかけて冷やすことも浴室であればたやすくできる。
【0013】
なお、室温より水温が低い場合は空中側に膨張空間(ヒーター)を、浴槽側に圧縮空間(クーラー)がくるように装置を設計する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係るスターリングエンジンごみ除去装置は、低温度差においても作動可能なスターリングエンジンでポンプを駆動して水を送り、電池、電線、油圧ホース、モーターなどを無くし、装置の構成を簡単にする事で目的を達する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明するがこの実施形態に限定されるものではない。図1は本発明に係るスターリングエンジンごみ除去装置で水面に浮遊するごみを除去する手段例の正面から見た断面図である。
【0016】
該ごみ除去装置のフリーピストンスターリングエンジン1の動作を要約すると、再生器を兼ねるディスプレーサピストン3が重力で下がると、膨張空間14の動作ガスは、保持する熱を再生器を兼ねるディスプレーサピストン3に預けながら圧縮空間13に通り抜ける。圧縮空間13の動作ガスが冷やされると圧力が低くなり、パワーピストン2が下降する。
【0017】
下降するパワーピストン2のピストンロッド21はディスプレーサスプリング31を押し再生器を兼ねるディスプレーサピストン3を跳ね上げ、動作ガスは再生器を兼ねるディスプレーサピストン3を通り上記で預けた熱で熱されて膨張空間14に通り抜ける。跳ね上げられた勢いの再生器を兼ねるディスプレーサピストン3はさらに上がり、動作ガスのほとんどが膨張空間14に来るため、加熱され圧力が高くなりパワーピストン2が上昇する。
【0018】
上記のごとく動作するパワーピストン2のピストンロッド21でダイヤフラムポンプ7のダイヤフラム71を往復させてポンプを駆動する。
【0019】
浴槽水面を浮遊する該ごみ除去装置には、水面9よりやや下がった位置に、着脱自在なフィルター72を備えたポンプの吸込み口73が設けてある。ポンプを駆動すれば水はフィルター72、吸込み口73、吸入弁74、吐出弁75、吐出し口76と流れてごみを吸引除去する。なお、フロート8の上にフロート凹部81を設けるかフロート8を分割して水路を設け良好なごみの吸引を図る。ただしポンプの吸込み口73をフロート8の外部に設けるときはこの限りではない。
【0020】
図3は水中に浮遊するごみを除去する手段例の正面から見た断面図であり、水中に着脱自在なフィルター72を備えたポンプの吸込み口73が設けてある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】水面に浮遊するごみを除去する手段例の正面から見た断面図
【図2】水中に浮遊するごみを除去する手段例の正面から見た断面図
【図3】フリーピストンスターリングエンジンの概念図
【図4】ピストンポンプを使用した例の概念図
【図5】プランジャーポンプを使用した例の概念図
【符号の説明】
【0022】
1 フリーピストンスターリングエンジン
11 シール
12 バウンス空間
13 圧縮空間
14 膨張空間
2 パワーピストン
21 ピストンロッド
22 パワースプリング
3 再生器を兼ねるディスプレーサピストン
31 ディスプレーサスプリング
4 クーラー
5 再生器
6 ヒーター
7 ダイヤフラムポンプ
71 ダイヤフラム
72 フィルター
73 吸込み口
74 吸入弁
75 吐出弁
76 吐出し口
77 ピストン
78 プランジャー
8 フロート
81 フロート凹部
9 水面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度差のある場所で水面に浮かべて、スターリングエンジンでポンプを駆動してごみを除去することを特徴とするスターリングエンジンごみ除去装置。
【請求項2】
スターリングエンジンがフリーピストンスターリングエンジンであることを特徴とする請求項1記載のスターリングエンジンごみ除去装置。
【請求項3】
ポンプがダイヤフラムポンプであることを特徴とする請求項1記載のスターリングエンジンごみ除去装置。
【請求項4】
ポンプがピストンポンプであることを特徴とする請求項1記載のスターリングエンジンごみ除去装置。
【請求項5】
ポンプがプランジャーポンプであることを特徴とする請求項1記載のスターリングエンジンごみ除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−119449(P2009−119449A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323994(P2007−323994)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(599157745)アオキ流通株式会社 (9)
【Fターム(参考)】