説明

ステアリングホイール用パドルスイッチ

【目的】パドルスイッチを視認しやすくして操作性を良好にする。
【構成】ホイール部2に囲まれ、横スポーク4aと縦スポーク4bにより2区画された下部空間6b内へセンターパッド5の下辺5aからパドルレバー10を突出させる。パドルレバー10は透明な導光体からなり、周囲を縁取り状に光らせることにより、パドルレバー10を視認しやすくし、かつパドルレバー10に掛けられた指の確認を瞬時にできる。したがって、ほぼブラインドタッチに近い操作を実現でき、操作性が良好になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステアリングホイールのセンターパッドに、指先でノブを引き上げてオン・オフ操作する形式のパドルスイッチを設けたものに関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールの中央に横長のセンターパッドを設け、その左右にパドルスイッチを設け、パドルスイッチのノブをセンターパッドとホイール部の左右のグリップ部分との間に設け、ホイール部を握ったまま指先で引き上げ操作するようにしたものが公知である(特許文献1参照)。
また、操作レバーに導光体を設けたものもある(特許文献2参照)。

【特許文献1】特開2005−8125号公報
【特許文献2】特開2004−349209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1は、操作ノブを透明にすることにより、指先が見えるようになっている。しかし、一つの操作ノブに多数の操作部を設けているため、操作の都度、操作ノブへ視線を移す必要があるので、運転操作上、このような視線の移動を抑制してできるだけブラインドタッチで操作できるようにすることが望まれる。また、操作ノブは一部に透明部を設けるものであるから、構造が複雑になる。
【0004】
特許文献2は、導光体を用いるが、その先端を小さく光らせて特定のマーク等を表示するものであり、やはり視線移動を必要とし、かつ視認までに時間を要することになる。したがって、導光体の光を、マーク等の表示ではなく、操作において瞬時に視認できる用途に用いることが望ましい。
本願はこのような課題の解決を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、ステアリングホイール用パドルスイッチに係る請求項1の発明は、ステアリングホイールのセンターパッド周囲から突出し、指先で操作ノブを手前へ引き上げることにより、オン・オフ操作するステアリングホイール用パドルスイッチにおいて、
前記操作ノブは、センターパッドのステアリングホイール中央より下方側部分から突出するとともに、この操作ノブは透明導光体自体からなり、かつ周囲が光る縁取り部をなすことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は上記請求項1において、前記操作ノブは、周囲が面取りされた反射面をなすことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は上記請求項1において、前記操作ノブの反射面は、ステアリングホイール正面から見て背面側へ傾斜する斜面をなすことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は上記請求項1において、前記光る縁取り部の色が、前記操作ノブのオン・オフ操作に応じて変化することを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は上記請求項1において、前記ステアリングホイールは、ホイール部とこのホイール部間を略左右方向へ連結する横スポークを備え、
前記操作ノブは前記横スポークとその下方側ホイール部との間に形成された下部空間内へ配置され、かつ前記ホイール部の下半部側を握ったままで指の届く範囲に位置していることを特徴とする。

【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、操作ノブ自体を透明な導光体としたので、操作ノブを導光体と他の樹脂部材等との複合構造とすることなく構造が簡単になる。
また、導光体の周囲が縁取り状に光る、光る縁取り部をなすので、操作目的とする操作ノブを瞬時に認識でき、この光る縁取り部分の内側に指先が在ることを瞬時・的確に視認できるため、視線移動が少なくなり、完全なブラインドタッチに近い操作を実現できる。なお、本願においてはこのような瞬間的な視線移動を伴うが、完全なブラインドタッチにほぼ近い操作を含めてブラインドタッチということにする。
【0011】
請求項2の発明によれば、操作ノブの周囲が面取りされているので、この面取りされた面が反射面となり、この面で光ることができる。また、操作ノブとしてエッジがなくなるので、指先に引っかかりがなく、操作が快適になる。
【0012】
請求項3の発明によれば、反射面が背面側へ向かって斜面状をなすので、光る面積が増大し、光る縁取り部の幅が広がり、発光面積も増大するので、より視認し易くなる。
【0013】
請求項4の発明によれば、操作ノブのオン・オフに伴い色が変化するので、パドルスイッチのオン・オフ状態を瞬時に把握できる。
【0014】
請求項5の発明によれば、ステアリングホイールの下半部側となる下部空間内に操作ノブを配置したので、運転の邪魔にならない位置に配置でき、かつホイール部を握ったままで、握り直すことなく操作ノブをブラインドタッチで操作できる。しかもホイール部と横スポークとの付け根に接して握ることにより手を位置決めできる。このため操作ノブに対するブラインドタッチがより正確かつ容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1は自動車用のステアリングホイール1の表側を示す正面図、図2はパドルスイッチ部分の拡大図である。ステアリングホイール1はリング状のホイール部2と、図示省略のステアリングシャフトの上端部へ結合される中央のセンターボス3とを結ぶスポーク部4を備える。スポーク部4は略左右方向へ延びる横スポーク4aと、中央下半側を上下に延びる縦スポーク4bとを備え、各中央部側はセンターパッド5で覆われている。
【0016】
センターパッド5はスポーク部4の中央側を覆う樹脂製の装飾部材であり、本実施例では略5角形状をなす。ホイール部2とセンターパッド5の間における空間はスポーク部4により区画され、横スポーク4aより上方側にホイール部2で囲まれた半円状の上部空間6a、横スポーク4aより下方に中央を縦スポーク4bで左右に区画された下部空間6bを備える。
【0017】
ホイール部2と、スポーク部4のうちセンターパッド5の外部へ出ている部分は軟質発泡樹脂等の外皮7で一体に覆われる。ホイール部2の外皮7は鋼製リング等からなる芯金8の周囲に形成され、スポーク部4の外皮7は鋼製板状のスポーク芯金9上に一体化されている。スポーク部4の中央側は、外皮7で覆われないスポーク芯金9の露出部をなす。
【0018】
センターパッド5の左右に対をなす下辺5aからは複数のパドルレバー10が左右の下部空間6b間へ複数突出している。各パドルレバー10の位置は、ステアリングホイール1の下半部側に設けられ、車両の走行時における運転者から見てインパネ(図示省略)を背景にする位置にある。また、手でホイール部2の下半部側を握ったままの状態で指が届く範囲に位置する。
【0019】
各パドルレバー10は、後述する複数のパドルスイッチにおけるそれぞれの操作ノブであり、隣り合うパドルレバー10の間には間隙が設けられて独立して操作できるようになっており、それぞれはホイール部2を握った手11の人差し指13等で手前側へ引き上げることによりパドルスイッチ(後述)の接点をオン・オフ切り換える。符号12は親指、14は中指、15は薬指、16は小指である。手11は、ホイール部2の下半部側で横スポーク4aと縦スポーク4bとをつなぐ略1/4周部分を握ることでパドルレバー10を操作でき、このとき手11は、横スポーク4a及び縦スポーク4bとホイール部2との付け根部分の双方もしくはいずれか一方と接することができ、これにより手11のパドルレバー10に対する位置決めができる。
【0020】
ホイール部2のうち空間6bに臨む部分を手11で握った場合、親指12は上からホイール部2の上を押さえ、横スポーク4aの付け根付近に位置する。人差し指13はホイール部2の下を通ってパドルレバー10の裏面を押す。但し、人差し指13〜小指16は、横スポーク4aと縦スポーク4b間のホイール部2を下側から先端が上へ出るように握り、操作ノブを操作するときは直近の指を伸ばして操作する(本実施例では人差し指13がパドルレバー10を操作するものとする)。
【0021】
図3はステアリングホイール1の裏面を示す。裏面も横スポーク4a及び縦スポーク4bの径方向中間部まで中央側を裏カバー20で覆われる。裏カバー20は適宜合成樹脂を射出成形等で略容器状をなす。
【0022】
裏カバー20もセンターパッド5と同様に略5角形状をなし、左右の下壁20aからパドルレバー10が突出している。左右の下壁20aを接続する部分からは縦スポーク4bの径方向外方側部分が突出し、左右の側壁20bからは横スポーク4aの径方向外方側部分が突出する。20cは上辺である。
【0023】
裏カバー20の底面21における下部側には貫通穴22が形成され、ここにコード48と接続されるハーネス23が裏カバー20の内外へ通されている。底面21の中央には大径の穴24が設けられ、ここにセンターボス3の取付軸25が背面側へ突出し、図示しないステアリングシャフトへ連結されるようになっている。
【0024】
図4はセンターパッド5を取り去った状態におけるステアリングホイール1の正面図である。センターパッド5で覆われる部分であるスポーク部4の中央側は、外皮7から連続する部分で覆われないスポーク芯金9の露出部をなす。この部分の下部には、左右の下部空間6b内へ突出する張り出し部35が設けられ、ここにパドルスイッチ40のスイッチケース41がネジ36及びナット37で取付けられている。
【0025】
張り出し部35のスイッチケース41よりも中心寄り位置でかつ一対のネジ36及びナット37の間に角形の貫通穴38が形成され、ここにセンターパッド5に設けられた後述する角柱状のボスが貫通して位置決めされる。
【0026】
図5は裏カバー20を取り去った状態におけるステアリングホイール1の背面図である。スポーク部の中央側は、外皮7から連続する部分で覆われないスポーク芯金9の露出部をなし、この部分を裏カバー20で覆っている。裏カバー20はセンターパッド5と共に、スポーク部4の中央部表裏を覆っている。
【0027】
センターボス3を構成し取付軸25が取付けられたフランジ26が連結金具を介してスポーク部の中央部裏面より背面側へ離れて位置している。このフランジ26が切り欠き円状をなし、この切り欠き部27からハーネス23が延出する。
【0028】
パドルスイッチ40のスイッチケース41はネジ36で背面側から張り出し部35へ取付けられる。パドルスイッチ40は横スポーク4aと縦スポーク4bをつなぐ斜辺部4cより下部空間6b内へ突出した位置に取付けられ、下部空間6bを有効に利用している。
スイッチケース41からはコード48(図6参照)が延出し、センターボス3の内側にてハーネス23と連続する。
【0029】
図6は図5の6−6線断面図である。スイッチケース41は一体に形成されたボス43を張り出し部35の上に置き、ネジ36をボス43の通し穴44及び張り出し部35に設けられた通し穴39へ通し、表側でナット37にて固定される。
【0030】
スイッチケース41内には回路基板45が設けられ、その上に素スイッチ46が取付けられている。素スイッチ46は本パドルスイッチ40における接点構造部を小組化して単体の小スイッチとして構成された部品であり、素スイッチ46からは伸縮ロッド47が突出方向へバネ付勢され、パドルレバー10を押し下げている。パドルレバー10はホイール部2側が高くなるように傾斜配置された回路基板45にはコード48が接続されている。
【0031】
パドルレバー10を引き上げると、伸縮ロッド47を押して素スイッチ46の接点を切り換え、例えばオンにする。これにより、回路基板45,コード48を介して信号が対応する機器を制御するための制御装置(図示省略)へ送られ、これらをオン等にして制御する。また後述するLED57の点灯制御も行うようになっている。
【0032】
スイッチケース41の上部には、軸50でパドルレバー10と一体化している揺動プレート51の一端側が揺動自在に取付けられ、他端側を伸縮ロッド47に当接させ、通常時には、伸縮ロッド47にて押し上げられている。
スイッチケース41の側壁でボス43寄り部分には、軸50により揺動プレート51が揺動自在に支持されている。軸50はスイッチケース41又は揺動プレート51のいずれか側もしくは両部材を貫通して設けられる。
【0033】
揺動プレート51の軸50近傍部には斜めに突出するストッパ突起52が設けられ、これに対応してスイッチケース41側にストッパ53が設けられ、揺動プレート51が図の反時計回り方向へ戻り回動するとき、ストッパ突起52がストッパ53へ当接することにより戻りを所定量に規制する。
【0034】
揺動プレート51の側面には弧状の段部54が形成され、揺動プレート51を時計回り方向へ所定量押し込んだとき、揺動プレート51の段部54が、スイッチケース41の開口縁部55に当接して所定の回動量で回動を停止するようになっている。開口縁部55は段部54に対応して予め弧状に形成されている。
【0035】
パドルレバー10は全体を公知の樹脂製透明導光素材自体で構成され、揺動プレート51と一体化されている。パドルレバー10には、切り欠き溝56が形成され、ここにLED57が嵌合され、その周囲を遮光部材58で光が周囲に洩れないように密に覆ってある。
LED57は回路基板45に取り付けられており、コード48が導出し、ハーネス23へ接続している。
【0036】
パドルレバー10の先端側はスイッチケース41よりも、下部空間6b内へ長く張り出し、人差し指13で押すことができる操作部になっている。
図中の拡大部に示すように、パドルレバー10の先端には面取り部60が設けられた縁部端面61をなし、この縁部端面61が反射面となっている。
したがって、LED57から出た光はパドルレバー10内を通って、先端の縁部端面61まで導かれ、この縁部端面61に反射されるため、縁部端面61を光らせることができる。
【0037】
縁部端面61は、ステアリングホイール1の正面から見て、背面側へ向かってステアリングホイール1の中央側へ向かうように傾斜する斜面、すなわち背面側へ傾斜する斜面をなす。換言すれば、パドルレバー10の表面を直交する線Aに対してθなる傾斜面をなしている。また、この斜面は正面から見たとき、背面側へ向かうにしたがってホイール部2の中央側へ向かうように傾斜している。
【0038】
したがって、図7に示すように、パドルレバー10を正面から見たとき、パドルレバー10の周囲に縁部端面61による幅広の帯状に光る縁取り部62となる。なお、縁部端面61はパドルレバー10の周囲のうち、揺動プレート51へ取付けられている部分を除く3方に連続して形成され、光る縁取り部62も3方に連続して形成されている。
この光る縁取り部62の幅は、縁部端面61の傾斜角θを調節することにより広狭任意に調整できる。
【0039】
また、図7に示すように、面取り部60はコーナー部に対しても形成され、縁部端面61は反射面を形成するのみならず、パドルレバー10の周囲部分におけるエッジ部を滑らかな曲面状にするので、パドルレバー10の周囲が指先に対してエッジ状に引っかからないようにして操作を快適にする。
【0040】
LED57は、多色LEDで電圧の印加方向制御により色を変化する形式のものであり、パドルスイッチ40のオン・オフで電圧の印加方向を変化させて発光色を変化させる。図7のAはパドルスイッチ40をオンにしたときであり、例えばLED57を赤色発光させ、光る縁取り部62を赤色にする。
【0041】
図7のBはパドルスイッチ40をオフにしたときであり、例えば青色発光させ、光る縁取り部62を青色にする。但し、オン・オフに対して何色にするかは任意である。また、オフ時におけるLED57の発光を車両の夜間等における灯火器の点灯に連動させ、灯火器が点灯しないときは発光せず、灯火器が点灯したときはオフ時の色で発光するようにしてもよい。
【0042】
図8はセンターパッド5及び裏カバー20の概略斜視図である。センターパッド5の頂面5cの裏面側には円柱状のボス70と角柱状のボス71が下方へ突出している。円形のボス70は中央のセンターボス3に相当する部分を囲んで3個設けられ、それぞれの下面はセンターパッド5を取付けたとき、スポーク芯金9の中央部表面へ当接する(図4参照)。
【0043】
ボス71は逆ハの字状に一対で設けられ、センターパッド5よりも長く下方へ突出し、スポーク芯金9へセンターパッド5を取付けるとき、貫通穴38(図4参照)を貫通してスポーク芯金9の下方へ突出することにより、センターパッド5とスポーク芯金9を位置決めするとともに、下端部に設けられた横方向の通し穴72に後述するように裏カバー20が結合される。
【0044】
裏カバー20は上方へ拡開して開放され、左右の側壁20b,20bの内側には円柱状のボス73が一対立設されている。また、左右の下壁20aには横方向の円柱状ボス74が内方へ向かって突出している。各円柱状のボス73、74は軸心部にネジの通し穴が設けられ、先端部にはより小径の通し穴75が設けられている。横向きのボス74は下壁20aに穴76が開口している。ボス73は下面に開口している(図3の符号77参照)。
【0045】
裏カバー20をスポーク芯金9の裏面へ被せたとき、ボス73の先端がスポーク芯金9の裏面へ当接して通し穴75と33が一致するので、裏カバー20の下面に開口している穴77(図3)からボス73の軸部にネジを入れ、通し穴75と33を通してナット34に締結することにより、裏カバー20をスポーク芯金9へ取付ける。
【0046】
また、横向きのボス74の先端近傍に角柱状のボス71の下端部が位置するので、その側面にボス74の先端を当接し、ボス74の先端に形成された通し穴とボス71の通し穴72が一致するので、穴76からタッピングスクリュー(図示省略)を入れて通し穴72へ差し込むことにより、裏カバー20にてセンターパッド5を固定する。これにより、ステアリングホイール1の背面側、すなわち裏カバー20側のみの締結作業で、裏カバー20とセンターパッド5をスポーク芯金9へ取付けることができる。
【0047】
次に、本実施例の作用を説明する。図1、図6及び図7に示すように、人差し指13の指先にパドルレバー10を引っかけて引き上げるとき、人差し指13の指先をパドルレバー10の裏面に掛けると、透明のため、複数のパドルレバー10のうち目的とするものに人差し指13を掛けているか否かを瞬時に確認でき、このときの視線移動も瞬間的である。
【0048】
このとき、ホイール部2の下半部側における横スポーク4aと縦スポーク4bとをつなぐ部分を握るとともに、パドルレバー10がホイール部2を握ったままの状態で指が届く範囲に位置するので、手を握り直すことなくパドルレバー10をブラインドタッチで操作できる。
しかも、ホイール部2と横スポーク4a又は縦スポーク4bとの付け根部分で横スポーク4a又は縦スポーク4bと接するように握ることで手を位置決めでき、パドルレバー10に対するブラインドタッチがより正確かつ容易になる。
【0049】
しかも、パドルレバー10は、透明な導光体自体で構成されるので、パドルレバー10を従来のように導光体と他の樹脂部材等との複合構造とすることなく構造が簡単になる。そのうえ、導光体の周囲が縁取り状に光る、光る縁取り部62で縁取られ、かつそれぞれが間隔を持って独立しているため、操作目的とするパドルレバー10であるか否かを瞬時に認識でき、指を掛ける際の確認を瞬間的にすることができる。また指をパドルレバー10に掛けた後の操作時においても、光る縁取り部62の内側に人差し指13の指先が在ることを瞬時・的確に視認できる。このためパドルレバー10に対する操作において、視線移動が少なくなり、かつその視線移動も極短時間で済むことになるから、ほぼ完全なブラインドタッチに近い操作を実現できる。
【0050】
したがって、各パドルレバー10を比較的大型にして指先に掛ける面積を大きくしたこと、光る縁取り部62の周長を十分に長くして周囲3方を縁取らせたことにより、目的とするパドルレバー10の識別並びにブラインドタッチ操作が容易になる。また、縁部端面61を背面側へ傾斜する斜面状にしたので、光る縁取り部の幅が広がり、発光面積を増大させることができる。
【0051】
しかも、パドルスイッチ40のオン・オフに応じて光る縁取り部62の色を変化させることにより、パドルスイッチ40のオン・オフ状態を的確に判断でき、操作の都度、操作対象機器側におけるオン・オフ確認する等の手間を要する必要がなく、操作を迅速にできる。
また、パドルスイッチ40はステアリングホイール1の下半部側に設けられているから、通常の車両ではインパネを背景にする位置にあり、パドルレバー10の光る縁取り部62はインパネを背景にするため、運転の邪魔にならず、かつ昼夜を問わず被視認性が良好になる。
【0052】
なお、本願発明は上記の各実施例に限定されるものではなく、発明の原理内において種々に変形や応用が可能である。例えば、パドルスイッチ40によりオン・オフ等を操作する対象機器は任意であり、例えば、縦スポーク4bの左右に設けられるもののうち、左側のものをハンズフリー通信器用とし、パドルレバー10を通信器のオン・オフ、操作ノブ11を発話切り換え用とすることができる。
また、右側のものを走行支援系とし、例えばオートクルーズ,シフトアップ,シフトダウン用としてもよい。
【0053】
これらの操作ノブの数は任意であり、できる限り大型化してブラインドタッチを容易にすることが好ましい。また隣り合うパドルレバー10の相互間に十分な間隙を設けて、各パドルレバー10を独立させて操作性を向上させることが好ましい。
さらに、対象とするステアリングホイール1におけるスポーク部4の本数や形状等は任意であり、横スポーク4aのみで縦スポーク4bのないものや、1本スポーク形式のものでもよい。要はパドルスイッチ40をステアリングホイール1の下半部側に配置できれば足りる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】自動車用のステアリングホイールの正面図
【図2】図1におけるパドルスイッチ部分の一部を拡大した図
【図3】ステアリングホイールの背面図
【図4】センターパッドを取り去ったステアリングホイールの正面図
【図5】裏カバーを取り去ったステアリングホイールの背面図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】パドルレバーの光る縁取り部部分を示す図
【図8】センターパッドと裏カバーの概略斜視図
【符号の説明】
【0055】
1:ステアリングホイール、2:ホイール部、4a:横スポーク、4b:縦スポーク、5:センターパッド、7:外皮、8:芯金、9:スポーク芯金、10:パドルレバー(操作ノブ)、11:手、12:親指、13:人差し指、14:中指、15:薬指、16:小指、20:裏カバー、30:金属製取付用付加プレート、40:パドルスイッチ、41:スイッチケース、62:光る縁取り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールのセンターパッド周囲から突出し、指先で操作ノブを手前へ引き上げることにより、オン・オフ操作するステアリングホイール用パドルスイッチにおいて、
前記操作ノブは、センターパッドのステアリングホイール中央より下方側部分から突出するとともに、この操作ノブは透明導光体自体からなり、かつ周囲が光る縁取り部をなすことを特徴とするステアリングホイール用パドルスイッチ。
【請求項2】
前記操作ノブは、周囲が面取りされた反射面をなすことを特徴とする請求項1のステアリングホイール用パドルスイッチ。
【請求項3】
前記操作ノブの反射面は、ステアリングホイール正面から見て背面側へ傾斜する斜面をなすことを特徴とする請求項1のステアリングホイール用パドルスイッチ。
【請求項4】
前記光る縁取り部の色が、前記操作ノブのオン・オフ操作に応じて変化することを特徴とする請求項1のステアリングホイール用パドルスイッチ。
【請求項5】
前記ステアリングホイールは、ホイール部とこのホイール部間を略左右方向へ連結する横スポークを備え、
前記操作ノブは前記横スポークとその下方側ホイール部との間に形成された下部空間内へ配置され、かつ前記ホイール部の下半部側を握ったままで指の届く範囲に位置していることを特徴とする請求項1のステアリングホイール用パドルスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−163966(P2009−163966A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341575(P2007−341575)
【出願日】平成19年12月30日(2007.12.30)
【出願人】(000222934)東洋電装株式会社 (69)
【Fターム(参考)】