説明

ステアリングロック装置

【課題】メカニカルキーを用いる際に煩雑な手間を要することを防止する。
【解決手段】ステアリングロック装置10の操作ノブ16は、ノブ基部15に装着された状態で挿脱方向において開口するノブ側開口部31と、該ノブ側開口部31を操作ノブ16の内部から閉塞可能なシャッタ部材32と、ノブ側開口部31を操作ノブ16の内部から閉塞する方向にシャッタ部材32を付勢する付勢部材とを備え、シャッタ部材32は、メカニカルキーが操作ノブ16の外部からノブ側開口部31に挿入される際に、付勢部材による付勢に抗うようにしてメカニカルキーにより押圧されると、ノブ側開口部31の閉塞を解除する方向に変位して、メカニカルキーを操作ノブ16の内部へ挿入可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばメカニカルキーを挿入可能なキー孔を有するキーシリンダを手動で回動操作するためにキーシリンダに固定される操作ノブに、キー孔に連通してメカニカルキーを挿入可能な開口部が設けられ、この開口部に嵌合してキー孔を閉じるノブキャップが着脱可能に装着された車両用ステアリングロック装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−60316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る車両用ステアリングロック装置において、操作ノブはねじ部材によりキーシリンダに固定されており、メカニカルキーをキー孔に挿入してキーシリンダを回動させる際には、操作ノブの外部から操作ノブの開口部およびキー孔にメカニカルキーが挿入される。このとき、操作者は予め操作ノブの開口部に嵌合してキー孔を閉じるノブキャップを開口部から取り外す必要があり、さらに、再度、キー孔を閉じるときに備えて、開口部から取り外したノブキャップを保持しておく必要があり、メカニカルキーを用いる際に煩雑な手間がかかるという問題が生じる。しかも、開口部から取り外したノブキャップが散逸する虞があり、この場合には、常にキー孔が露出されることになり、外観が損なわれるという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、メカニカルキーを用いる際に煩雑な手間を要することを防止することが可能なステアリングロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係るステアリングロック装置は、携帯機(例えば、実施の形態での携帯型電子キー12)との所定通信あるいはメカニカルキー(例えば、実施の形態でのメカニカルキー13)の装着によって回動可能なキーシリンダ(例えば、実施の形態でのキーシリンダ14)と、前記キーシリンダに固定され、前記メカニカルキーの挿脱方向(回動軸Rの軸方向)において前記キーシリンダのキー孔(例えば、実施の形態でのキー孔14a)に臨んで開口する開口部(例えば、実施の形態での開口部51)を有するノブ基部(例えば、実施の形態でのノブ基部15)と、前記開口部を覆うようにして前記ノブ基部に着脱可能に装着される操作ノブ(例えば、実施の形態での操作ノブ16)とを備えるステアリングロック装置であって、前記操作ノブは、前記ノブ基部に装着された状態で前記開口部に対向して開口するノブ側開口部(例えば、実施の形態でのノブ側開口部31)と、該ノブ側開口部を前記操作ノブの内部から閉塞可能なシャッタ部材(例えば、実施の形態でのシャッタ部材32)と、前記ノブ側開口部を前記操作ノブの内部から閉塞する方向に前記シャッタ部材を付勢する付勢部材(例えば、実施の形態での付勢部材33)とを備え、前記シャッタ部材は、前記メカニカルキーが前記操作ノブの外部から前記ノブ側開口部に挿入される際に、前記付勢部材による付勢に抗うようにして前記メカニカルキーにより押圧されると、前記ノブ側開口部の閉塞を解除する方向に変位して、前記メカニカルキーを前記操作ノブの内部および前記キー孔へ挿入可能とする。
【0006】
さらに、本発明の第2態様に係るステアリングロック装置では、前記メカニカルキーは、前記キー孔に挿入可能なキープレート(例えば、実施の形態でのキープレート13a)と、該キープレートの一端に設けられたキーヘッド(例えば、実施の形態でのキーヘッド13b)とを備え、前記キーヘッドは厚さ方向に貫通する貫通孔(例えば、実施の形態での貫通孔13c)を備え、前記操作ノブは、前記操作ノブが前記ノブ基部に装着された状態で、前記ノブ側開口部から挿入された前記メカニカルキーの前記キープレートが前記キー孔に装着されたときに、前記貫通孔が前記操作ノブの外部に露出するように形成されている
【0007】
さらに、本発明の第3態様に係るステアリングロック装置では、前記ノブ側開口部は、前記操作ノブの内部へ挿入される前記メカニカルキーを案内するようにして前記キーヘッドの外周形状に対応する形状を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1態様に係るステアリングロック装置によれば、操作者がメカニカルキーの装着によってキーシリンダを回動させる際には、ノブ側開口部を閉塞するシャッタ部材を操作ノブの内部に押し込むようにしてノブ側開口部にメカニカルキーを挿入するだけで済む。これにより、煩雑な手間を必要とせずにキーシリンダのキー孔にメカニカルキーを挿入することができる。しかも、メカニカルキーがノブ側開口部に挿入されていないときには、ノブ側開口部がシャッタ部材によって自動的に閉塞されることから、外観が損なわれてしまうことを容易に防止することができる。
【0009】
本発明の第2態様に係るステアリングロック装置によれば、例えばメカニカルキーの貫通孔がキーホルダーなどに装着されている状態であっても、メカニカルキーをキーホルダーなどから取り外す必要無しに、ノブ側開口部からキー孔に挿入することができ、煩雑な手間を必要とせずにメカニカルキーによってキーシリンダを回動させることができる。
【0010】
本発明の第3態様に係るステアリングロック装置によれば、ノブ側開口部にメカニカルキー以外の他のキーなどが誤って挿入されてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るステアリングロック装置の一部を分解して示す斜視図である。
【図2】図2(A)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を操作ノブの長手方向から見た側面図であり、図2(B)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を操作ノブの短手方向から見た側面図である。
【図3】図3(A)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブを回動軸の軸方向の上方側から見た図であり、図2(B)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブを回動軸の軸方向の下方側から見た図である。
【図4】図4(A)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部の操作ノブの短手方向に対する断面図であり、図4(B)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブの内部の構成図である。
【図5】図5(A)は図1に示すステアリングロック装置においてメカニカルキーが装着された操作ノブおよびノブ基部の操作ノブの長手方向に対する断面図であり、図5(B)は図1に示すステアリングロック装置においてメカニカルキーが装着された操作ノブおよびノブ基部の操作ノブの短手方向に対する断面図である。
【図6】図1に示すステアリングロック装置において操作ノブにメカニカルキーが挿入される状態を示す図である。
【図7】図7(A)は図1に示すステアリングロック装置のノブ基部を回動軸の軸方向の上方側から見た図であり、図7(B),(C)は図1に示すステアリングロック装置のノブ基部を回動軸の軸方向の上方側から見た斜視図である。
【図8】図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を回動軸の軸方向の下方側から見た斜視図である。
【図9】図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を回動軸の軸方向の上方側から見た斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る携帯型電子キーを示す図である。
【図11】図11(A)は本発明の実施形態に係る内蔵メカニカルキーを示す図であり、図11(B)は本発明の実施形態に係る内蔵メカニカルキーのキープレートの表面上に設けられた表示部の一例を示す図である。
【図12】図1に示すステアリングロック装置においてノブ基部に内蔵メカニカルキーが挿入される状態を示す図である。
【図13】図1に示すステアリングロック装置において、操作ノブがノブ基部から取り外され、ノブ基部に内蔵メカニカルキーが挿入される状態を示す図である。
【図14】本発明の実施形態の変形例に係る内蔵メカニカルキーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のステアリングロック装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態によるステアリングロック装置10は、ステアリングコラム(図示略)に設けられたシリンダ錠11を備え、ステアリング軸(図示略)の回動と固定(ロック)とを切り換え可能である。
このシリンダ錠11は、例えば図1,図2(A),(B)に示すように、後述する携帯型電子キー12との所定通信、あるいは携帯型電子キー12に内蔵された内蔵メカニカルキー12aまたは後述するメカニカルキー13の装着によって回動可能なキーシリンダ14と、キーシリンダ14に固定されたノブ基部15と、ノブ基部15に着脱可能な操作ノブ16とを備えて構成されている。
【0013】
このシリンダ錠11は、携帯型電子キー12と車載制御回路(図示略)との間の所定の信号の送受信が行われた場合、あるいはメカニカルキー13または携帯型電子キー12に内蔵された内蔵メカニカルキー12aが装着された場合に、回動軸R周りに回動可能となり、これらの状態以外では、所定の固定機構(図示略)によって回動軸R周りの回動が規制されるようにして固定される。
【0014】
後述するノブ基部15はキーシリンダ14のキー孔14aに臨んで開口する開口部51(例えば、後述する図5(A),(B)での開口部51)を備え、操作ノブ16はノブ基部15の開口部51を覆うようにしてノブ基部15に装着される。そして、操作ノブ16はノブ基部15に装着された際にステアリングコラム(図示略)から突出して回動軸R周りに回動可能とされている。
【0015】
操作ノブ16は、例えば図3(A),(B),図4(A),(B)に示すように、に示すように、操作者により把持される把持部21と、この把持部21に連設された係合部22と、この係合部22に一体的に設けられた押圧部23とを備えて構成されている。
回動軸Rの軸方向を上下方向とする把持部21の上面21A上には、操作ノブ16がノブ基部15に装着された際に回動軸Rの軸方向でノブ基部15の開口部51に臨んで開口するノブ側開口部31が形成されている。そして、把持部21は、ノブ側開口部31を把持部21の内部から閉塞可能なシャッタ部材32と、シャッタ部材32を付勢する付勢部材33とを備えている。
【0016】
シャッタ部材32は、例えばノブ側開口部31よりも大きな単一の開閉蓋32aとヒンジ機構32bとを備え、開閉蓋32aは、把持部21の内部においてノブ側開口部31の周縁部でヒンジ機構32bによって回動可能に結合され、ノブ側開口部31を操作ノブ16の内部から閉塞可能である。
また、付勢部材33は、例えばヒンジ機構32bに備えられたばね部材であって、ノブ側開口部31を閉塞する回動方向に開閉蓋32aを付勢し、この付勢部材33の付勢力によってノブ側開口部31が開閉蓋32aにより閉塞される状態が保持されるようになっている。
【0017】
また、例えば図5(A),(B)に示すように、メカニカルキー13は、キーシリンダ14のキー孔14aに挿脱可能なキープレート13aと、このキープレート13aの一端に設けられたキーヘッド13bとを備え、このキーヘッド13bは厚さ方向に貫通する貫通孔13cを備えている。
そして、ノブ側開口部31は、操作ノブ16の把持部21の内部に挿入されるメカニカルキー13を案内するようにしてキーヘッド13bの外周形状に対応する形状を有し、メカニカルキー13以外の他のキー、例えば携帯型電子キー12に内蔵された内蔵メカニカルキー12aなどの挿入は困難あるいは違和感が生じるように形成されている。
そして、操作ノブ16は、操作ノブ16がノブ基部15に装着された状態で、ノブ側開口部31から挿入されたメカニカルキー13のキープレート13aがキーシリンダ14のキー孔14aに装着されたときに、キーヘッド13bの貫通孔13cが操作ノブ16の外部に露出するように形成されている。
【0018】
これにより、操作ノブ16の外部から回動軸Rの軸方向(つまり、挿脱方向)にメカニカルキー13がノブ側開口部31に挿入される場合には、例えば図6(A)に示すように、ノブ側開口部31を閉塞する開閉蓋32aにメカニカルキー13のキープレート13aの先端部が押し当てられ、付勢部材33の付勢力に抗って挿脱方向にメカニカルキー13が押し込まれることによって、開閉蓋32aは操作ノブ16の把持部21の内部に向って回動し、ノブ側開口部31が開状態となる。このとき、例えば図6(B)に示すように、ノブ側開口部31は、メカニカルキー13のキーヘッド13bの外周形状に対応する形状を有することでメカニカルキー13の挿入を案内する。
一方、ノブ側開口部31から操作ノブ16の把持部21の内部に挿入されたメカニカルキー13が引き抜かれると、付勢部材33の付勢力によって開閉蓋32aが回動し、ノブ側開口部31が開閉蓋32aによって閉塞される。
【0019】
また、ノブ基部15は、回動軸Rに直交する所定方向に平行な着脱方向Pに操作ノブ16が着脱可能とされている。
ノブ基部15は、例えば図7(A)〜(C)に示すように、回動軸Rの軸方向を上下方向とする上面15A上に設けられた凹部52を備え、この凹部52の底面52Aの中央部に開口部51が設けられている。そして、凹部52は、回動軸Rの軸心からずれた位置で軸心を両側から挟み込むようにして対向し、かつ着脱方向Pに平行な2つの内壁面52Bを有し、各内壁面52Bの着脱方向Pの一端において凹部52の壁部53が切り欠けられた切り欠き部54が形成されている。
さらに、各内壁面52B上には着脱方向Pに伸びる凹溝55が形成されている。そして、2つの凹溝55のうち一方の凹溝55の底面55A上には、係止溝56が形成されている。
【0020】
操作ノブ16の係合部22は、例えば図3(B),図5(A)に示すように、回動軸Rの軸方向を上下方向とする把持部21の下面21B上において回動軸Rの軸心からずれた位置で突出して軸心を両側から挟み込むようにして対向し、かつ着脱方向Pに伸びる2つの凸条部41を備えている。そして、各凸条部41には、回動軸Rの軸心側の反対側の側面41A(つまり、回動軸Rの軸方向から見て略長方形状の把持部21の短手方向において外部に向かう側の側面)上から突出して着脱方向Pに伸びる凸部42が形成されている。そして、各2つの凸条部41および凸部42のうち一方の凸条部41および凸部42の着脱方向Pの一端41a,42aには、着脱方向Pに伸びる押圧部23が一体的に接続されている。
【0021】
押圧部23は、例えば図3(B)に示すように、一方の凸条部41および凸部42の一端41a,42aから凸条部41および凸部42に連設されて着脱方向Pに伸びる押圧延出部45を備えている。この押圧延出部45は回動軸Rに直交する平面内で着脱方向Pに交差する押圧方向Q(例えば、回動軸Rの軸方向から見て略長方形状の把持部21の短手方向など)に復元可能に弾性変形可能とされ、例えば図3(A)に示すように、押圧延出部45の先端部45aは回動軸Rの軸方向から見て把持部21の外部に突出している。そして、押圧延出部45の基端側には、回動軸Rの軸心側の反対側の側面45A(つまり、回動軸Rの軸方向から見て略長方形状の把持部21の短手方向において外部に向かう側の側面)上から突出する係合爪46が形成されている。
【0022】
例えば図5(A)に示すように、把持部21の下面21Bがノブ基部15の上面15Aに接触した状態で、操作ノブ16の係合部22の2つの凸部42はノブ基部15の2つの凹溝55に着脱方向Pでスライド可能に装着される。そして、凸部42が凹溝55に装着された状態で、ノブ基部15の凹部52の内部において凹部52の内壁面52Bと操作ノブ16の係合部22の凸条部41の側面41Aとが接触している。
さらに、操作ノブ16の押圧部23の係合爪46は、凹溝55内をスライド可能であり、操作ノブ16の係合部22の2つの凸部42がノブ基部15の2つの凹溝55に装着されると共に操作ノブ16の中心軸とノブ基部15の中心軸とが回動軸Rに同軸となった状態で、例えば図8(A),(B)に示すように、ノブ基部15の係止溝56に解除可能に係合する。これにより、操作ノブ16がノブ基部15に固定される。
押圧延出部45は、係合爪46と係止溝56とが係合した状態において自然状態となるように形成され、この押圧延出部45の弾性変形によって係合爪46と係止溝56との係合状態が解除可能である。例えば回動軸Rの軸方向から見て把持部21の外部に突出している押圧延出部45が押圧方向Qで把持部21の内部に向かい操作者により押圧されることで、係合爪46と係止溝56との係合は解除される。
【0023】
以下に、操作ノブ16がノブ基部15に着脱される際の動作について説明する。
操作ノブ16がノブ基部15に取り付けられる場合には、先ず、操作ノブ16の把持部21の下面21Bがノブ基部15の上面15Aに接触した状態で、操作ノブ16の凸条部41および凸部42がノブ基部15の切り欠き部54から着脱方向Pに凹部52の内部へと挿入される。
そして、凹部52の内部において凹部52の内壁面52Bと凸条部41の側面41Aとが接触し、かつ凹溝55に凸部42が装着されることによって、操作ノブ16が回動軸Rの軸方向にノブ基部15から離間することが規制される。そして、凸部42が凹溝55内をスライド移動することで、操作ノブ16がノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動する。
そして、係合部22の凸部42に続いて押圧部23の係合爪46が凹溝55内をスライド移動する状態で、操作ノブ16の中心軸とノブ基部15の中心軸とが回動軸Rに同軸になると、係合爪46は係止溝56に係合し、凹溝55内での凸部42および係合爪46の着脱方向Pでのスライド移動は停止され、例えば図8(A),図9(A)に示すように、操作ノブ16はノブ基部15に固定される。
【0024】
一方、操作ノブ16がノブ基部15から取り外される場合には、先ず、押圧部23の押圧延出部45が押圧方向Qで把持部21の内部に向かい操作者により押圧され、係合爪46と係止溝56との係合が解除される。
そして、係合爪46と係止溝56との係合解除が維持された状態で、例えば図8(B),図9(B)に示すように、着脱方向Pにおいて凹溝55の内部から係合爪46および凸部42が引き出されるようにして、操作ノブ16がノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動させられる。
そして、凹溝55の内部から係合爪46および凸部42が離脱したときに、操作ノブ16はノブ基部15から取り外される。
【0025】
携帯型電子キー12は、キーシリンダ14の回動可否を制御可能な車載制御回路(図示略)と無線通信可能であって、車載制御回路から出力される要求信号を受信して所定の応答信号を発信する。この応答信号を受信した車載制御回路は、例えばキーシリンダ14の回動を許可する。
また、携帯型電子キー12は内蔵メカニカルキー12aを内蔵可能であって、内蔵メカニカルキー12aは、例えば図10,図11(A)に示すように、携帯型電子キー12の筐体12bの内部にキープレート61が内蔵された際にキーヘッド62を筐体12bの外部に露出させた状態でロック機構(図示略)によって解除可能に保持される。
【0026】
内蔵メカニカルキー12aは、ノブ基部15から操作ノブ16が取り外された状態で、回動軸Rの軸方向にノブ基部15の開口部51からキーシリンダ14のキー孔14aにキープレート61を挿脱可能とされている。
そして、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61の表面上には、例えば図11(A),(B)に示すように、ノブ基部15に装着された操作ノブ16を取り外す手順を視覚的に示す刻印などからなる表示部63が設けられている。
この表示部63は、例えば、第1の手順として、操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45を押圧方向Qで把持部21の内部に向かい押圧することを指示する刻印63aと、第2の手順として、操作ノブ16をノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動させることを指示する刻印63bとによって構成されている。
【0027】
また、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61は表裏同形状に形成されている。
このため、内蔵メカニカルキー12aは、例えば図12(A),(B)に示すように、ノブ基部15から操作ノブ16が取り外された状態で、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61の表裏に関わらずに回動軸Rの軸方向にノブ基部15の開口部51からキーシリンダ14のキー孔14aにキープレート61が挿脱可能とされている。
【0028】
これにより、内蔵メカニカルキー12aによってキーシリンダ14の回動操作が実行される場合には、先ず、例えば図13(A)に示すように、操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45が押圧方向Qで把持部21の内部に向かい操作者により押圧され、操作ノブ16の係合爪46とノブ基部15の係止溝56との係合が解除される。
次に、例えば図13(B)に示すように、係合爪46と係止溝56との係合解除が維持された状態で、操作ノブ16はノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動させられ、ノブ基部15から取り外される。
次に、例えば図13(C),(D)に示すように、ノブ基部15の開口部51からキーシリンダ14のキー孔14aにキープレート61が挿入される。
【0029】
上述したように、本発明の実施形態によるステアリングロック装置10によれば、操作者がメカニカルキー13の装着によってキーシリンダ14を回動させる際には、ノブ側開口部31を閉塞するシャッタ部材32を操作ノブ16の内部に押し込むようにしてノブ側開口部31にメカニカルキー13を挿入するだけで済む。これにより、煩雑な手間を必要とせずにキーシリンダ14のキー孔14aにメカニカルキー13を挿入することができる。しかも、メカニカルキー13がノブ側開口部31に挿入されていないときには、ノブ側開口部31がシャッタ部材32によって自動的に閉塞されることから、外観が損なわれてしまうことを容易に防止することができる。
【0030】
しかも、例えばメカニカルキー13の貫通孔13cがキーホルダーなどに装着されている状態であっても、メカニカルキー13をキーホルダーなどから取り外す必要無しに、ノブ側開口部31からキー孔14aに挿入することができ、煩雑な手間を必要とせずにメカニカルキー13によってキーシリンダ14を回動させることができる。
さらに、ノブ側開口部31にメカニカルキー13以外の他のキーなどが誤って挿入されてしまうことを防止することができる。
【0031】
なお、上述した実施の形態において、操作ノブ16のノブ側開口部31を閉塞可能なシャッタ部材32は、単一の開閉蓋32aとヒンジ機構32bとを備えるとしたが、これに限定されず、例えば開閉蓋32aを複数の開閉蓋片により構成し、各開閉蓋片にヒンジ機構を設け、複数の開閉蓋片によってノブ側開口部31を閉塞可能としてもよい。
例えば、開閉蓋32aを左右の2つの開閉蓋片により構成し、左右の開閉蓋片が中央から両側へ回動するようにして各開閉蓋片にヒンジ機構を設けてもよい。
【0032】
なお、上述した実施の形態において、操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45に設けられた係合爪46が、ノブ基部15の凹溝55に設けられた係止溝56に係合するとしたが、これに限定されず、例えば操作ノブ16の係合爪46が、ノブ基部15の凹溝55の底面55A上から突出する係止爪に係合してもよいし、例えば操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45に設けられた係合溝が、ノブ基部15の凹溝55の底面55A上から突出する係止爪に係合してもよい。これらの各変形例において、ノブ基部15に対する操作ノブ16の係合状態が、操作ノブ16の押圧延出部45の弾性変形によって解除可能であればよい。
【0033】
なお、上述した実施の形態において、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61の表面上には、ノブ基部15に装着された操作ノブ16を取り外す手順を視覚的に示す刻印などからなる表示部63が設けられるとしたが、これに限定されず、例えば図14に示すように、さらに、取扱説明書を参照することを視覚的に示す刻印などからなる第2表示部64が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 ステアリングロック装置
12 携帯型電子キー(携帯機)
12b 筐体
12a 内蔵メカニカルキー
13 メカニカルキー
13a キープレート
13b キーヘッド
13c 貫通孔
14 キーシリンダ
14a キー孔
15 ノブ基部
16 操作ノブ
21 把持部
31 ノブ側開口部
32 シャッタ部材
33 付勢部材
45 押圧延出部
46 係合爪
51 開口部
55 凹溝
56 係止溝
63 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機との所定通信あるいはメカニカルキーの装着によって回動可能なキーシリンダと、
前記キーシリンダに固定され、前記メカニカルキーの挿脱方向において前記キーシリンダのキー孔に臨んで開口する開口部を有するノブ基部と、
前記開口部を覆うようにして前記ノブ基部に着脱可能に装着される操作ノブとを備えるステアリングロック装置であって、
前記操作ノブは、前記ノブ基部に装着された状態で前記開口部に対向して開口するノブ側開口部と、該ノブ側開口部を前記操作ノブの内部から閉塞可能なシャッタ部材と、前記ノブ側開口部を前記操作ノブの内部から閉塞する方向に前記シャッタ部材を付勢する付勢部材とを備え、
前記シャッタ部材は、前記メカニカルキーが前記操作ノブの外部から前記ノブ側開口部に挿入される際に、前記付勢部材による付勢に抗うようにして前記メカニカルキーにより押圧されると、前記ノブ側開口部の閉塞を解除する方向に変位して、前記メカニカルキーを前記操作ノブの内部および前記キー孔へ挿入可能とすることを特徴とするステアリングロック装置。
【請求項2】
前記メカニカルキーは、前記キー孔に挿入可能なキープレートと、該キープレートの一端に設けられたキーヘッドとを備え、
前記キーヘッドは厚さ方向に貫通する貫通孔を備え、
前記操作ノブは、前記操作ノブが前記ノブ基部に装着された状態で、前記ノブ側開口部から挿入された前記メカニカルキーの前記キープレートが前記キー孔に装着されたときに、前記貫通孔が前記操作ノブの外部に露出するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
前記ノブ側開口部は、前記操作ノブの内部へ挿入される前記メカニカルキーを案内するようにして前記キーヘッドの外周形状に対応する形状を有することを特徴とする請求項2に記載のステアリングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−253983(P2010−253983A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103072(P2009−103072)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】