説明

ステアリングロック装置

【課題】外観が損なわれることを防止し、構成に要する費用が嵩むことを抑制し、操作に煩雑な手間を要することを防止する。
【解決手段】ステアリングロック装置10のノブ基部15は、操作ノブ16が回動軸Rに直交する着脱方向Pに着脱可能に装着される凹溝と、該凹溝において操作ノブ16が係止される係止溝とを備え、操作ノブ16は、操作者により把持される把持部21と、該把持部21に連設されてノブ基部15の凹溝に装着されると共に係止溝に係合する係合爪と、該係合爪に一体的に設けられて着脱方向Pに交差する方向に押圧されることによって係合爪の係止溝に対する係合を解除可能な押圧延出部45とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばキーシリンダに固定され、キーシリンダのキー孔に臨んで開口する開口部を有する基部と、この基部に着脱可能に装着される操作ノブとを備え、この操作ノブに、基部に対する操作ノブの装着状態をメカニカルキーにより解除する際にメカニカルキーが挿入される操作孔を備えるステアリングロック装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、例えばキーシリンダに固定され、キーシリンダのキー孔に臨んで開口する開口部を有する基部と、この基部に着脱可能な連結部材と、この連結部材が着脱可能とされ、連結部材を介して基部に装着可能な操作ノブとを備えるステアリングロック装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−324204号公報
【特許文献2】特開2005−68957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るメカニカルキーにより装着解除可能な操作ノブを備えるステアリングロック装置においては、メカニカルキーが挿入可能な操作孔が操作ノブに設けられている。この操作孔は、メカニカルキーが挿入されていないときには開口しており、操作ノブの外観が損なわれてしまうという問題が生じる。しかも、操作孔にメカニカルキーを挿入して、基部に装着されている操作ノブを取り外す作業は、煩雑であって、手間がかかるという問題が生じる。
また、上記従来技術に係る連結部材を介して基部に装着可能な操作ノブを備えるステアリングロック装置においては、操作ノブに設けられた操作孔に装着される連結部材の凸状ボタン部が押圧されることで連結部材と基部との連結が解除されるように構成されている。この連結部材には、凸状ボタン部に加えて、基部に係合する係合部が設けられると共に、連結部材に弾性力を付与する板ばねが装着されることにより、連結部材の構成および形状が複雑化してしまうという問題が生じる。しかも、操作ノブと基部との着脱に連結部材および板ばねを必要とすることで、部品点数が増大し、構成に要する費用が嵩むという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、外観が損なわれることを防止し、構成に要する費用が嵩むことを抑制し、操作に煩雑な手間を要することを防止することが可能なステアリングロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係るステアリングロック装置は、携帯機(例えば、実施の形態での携帯型電子キー12)との所定通信あるいはメカニカルキー(例えば、実施の形態でのメカニカルキー13)の装着によって回動可能なキーシリンダ(例えば、実施の形態でのキーシリンダ14)と、前記キーシリンダに固定され、前記メカニカルキーの挿脱方向(回動軸Rの軸方向)において前記キーシリンダのキー孔(例えば、実施の形態でのキー孔14a)に臨んで開口する開口部(例えば、実施の形態での開口部51)を有するノブ基部(例えば、実施の形態でのノブ基部15)と、前記開口部を覆うようにして前記ノブ基部に着脱可能に装着される操作ノブ(例えば、実施の形態での操作ノブ16)とを備えるステアリングロック装置であって、前記ノブ基部は、前記操作ノブが該操作ノブの回動軸に交差する着脱方向に着脱可能に装着される装着部(例えば、実施の形態での凹溝55)と、該装着部において前記操作ノブが係止される係止部(例えば、実施の形態での係止溝56)とを備え、前記操作ノブは、該操作ノブの操作のための把持部(例えば、実施の形態での把持部21)と、該把持部に連設されて前記ノブ基部の前記装着部に装着される係合部(例えば、実施の形態での係合部22)と、該係合部に一体的に設けられて前記着脱方向に交差する方向に押圧可能な押圧部(例えば、実施の形態での押圧部23)と、前記押圧部に一体的に設けられて前記係止部に係合する係合部材(例えば、実施の形態での係合爪46)とを備え、前記押圧部は前記係合部材の前記係止部に対する係合を解除可能である。
【0006】
さらに、本発明の第2態様に係るステアリングロック装置では、前記携帯機は、分離可能に筐体(例えば、実施の形態での筐体12b)内部に格納されると共に、前記ノブ基部から前記操作ノブが取り外された状態で前記キー孔に挿入可能な内蔵メカニカルキー(例えば、実施の形態での内蔵メカニカルキー12a)を備え、前記内蔵メカニカルキーは、前記操作ノブを前記ノブ基部から取り外すために要する所定操作を表示する表示部(例えば、実施の形態での表示部63)を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の第1態様に係るステアリングロック装置によれば、操作ノブの係合部に一体的に設けられた押圧部によってノブ基部に対する操作ノブの係止を解除することができ、解除操作に煩雑な手間を要することを防止し、操作ノブとノブ基部との着脱に要する部品点数および構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。しかも、操作ノブは回動軸に直交する方向に着脱可能とされることにより、操作者による着脱操作を容易化することができる。さらに、押圧部が押圧される方向が着脱方向に交差することで、ノブ基部に対する操作ノブの係止解除とノブ基部からの操作ノブの取り外しとが、操作者の意図に反して誤操作されてしまうことを防止することができる。
【0008】
本発明の第2態様に係るステアリングロック装置によれば、ノブ基部から操作ノブが取り外された状態で用いられる内蔵メカニカルキーに、操作ノブをノブ基部から取り外すために要する所定操作を表示することにより、操作者による操作ノブの取り外し操作を適切に支援することができる。しかも、例えば操作ノブあるいはノブ基部などの他の箇所に表示部を備える場合に比べて、より一層、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るステアリングロック装置の一部を分解して示す斜視図である。
【図2】図2(A)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を操作ノブの長手方向から見た側面図であり、図2(B)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を操作ノブの短手方向から見た側面図である。
【図3】図3(A)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブを回動軸の軸方向の上方側から見た図であり、図2(B)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブを回動軸の軸方向の下方側から見た図である。
【図4】図4(A)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部の操作ノブの短手方向に対する断面図であり、図4(B)は図1に示すステアリングロック装置の操作ノブの内部の構成図である。
【図5】図5(A)は図1に示すステアリングロック装置においてメカニカルキーが装着された操作ノブおよびノブ基部の操作ノブの長手方向に対する断面図であり、図5(B)は図1に示すステアリングロック装置においてメカニカルキーが装着された操作ノブおよびノブ基部の操作ノブの短手方向に対する断面図である。
【図6】図1に示すステアリングロック装置において操作ノブにメカニカルキーが挿入される状態を示す図である。
【図7】図7(A)は図1に示すステアリングロック装置のノブ基部を回動軸の軸方向の上方側から見た図であり、図7(B),(C)は図1に示すステアリングロック装置のノブ基部を回動軸の軸方向の上方側から見た斜視図である。
【図8】図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を回動軸の軸方向の下方側から見た斜視図である。
【図9】図1に示すステアリングロック装置の操作ノブおよびノブ基部を回動軸の軸方向の上方側から見た斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る携帯型電子キーを示す図である。
【図11】図11(A)は本発明の実施形態に係る内蔵メカニカルキーを示す図であり、図11(B)は本発明の実施形態に係る内蔵メカニカルキーのキープレートの表面上に設けられた表示部の一例を示す図である。
【図12】図1に示すステアリングロック装置においてノブ基部に内蔵メカニカルキーが挿入される状態を示す図である。
【図13】図1に示すステアリングロック装置において、操作ノブがノブ基部から取り外され、ノブ基部に内蔵メカニカルキーが挿入される状態を示す図である。
【図14】本発明の実施形態の変形例に係る内蔵メカニカルキーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のステアリングロック装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態によるステアリングロック装置10は、ステアリングコラム(図示略)に設けられたシリンダ錠11を備え、ステアリング軸(図示略)の回動と固定(ロック)とを切り換え可能である。
このシリンダ錠11は、例えば図1,図2(A),(B)に示すように、後述する携帯型電子キー12との所定通信、あるいは携帯型電子キー12に内蔵された内蔵メカニカルキー12aまたは後述するメカニカルキー13の装着によって回動可能なキーシリンダ14と、キーシリンダ14に固定されたノブ基部15と、ノブ基部15に着脱可能な操作ノブ16とを備えて構成されている。
【0011】
このシリンダ錠11は、携帯型電子キー12と車載制御回路(図示略)との間の所定の信号の送受信が行われた場合、あるいはメカニカルキー13または携帯型電子キー12に内蔵された内蔵メカニカルキー12aが装着された場合に、回動軸R周りに回動可能となり、これらの状態以外では、所定の固定機構(図示略)によって回動軸R周りの回動が規制されるようにして固定される。
【0012】
後述するノブ基部15はキーシリンダ14のキー孔14aに臨んで開口する開口部51(例えば、後述する図5(A),(B)での開口部51)を備え、操作ノブ16はノブ基部15の開口部51を覆うようにしてノブ基部15に装着される。そして、操作ノブ16はノブ基部15に装着された際にステアリングコラム(図示略)から突出して回動軸R周りに回動可能とされている。
【0013】
操作ノブ16は、例えば図3(A),(B),図4(A),(B)に示すように、に示すように、操作者により把持される把持部21と、この把持部21に連設された係合部22と、この係合部22に一体的に設けられた押圧部23とを備えて構成されている。
回動軸Rの軸方向を上下方向とする把持部21の上面21A上には、操作ノブ16がノブ基部15に装着された際に回動軸Rの軸方向でノブ基部15の開口部51に臨んで開口するノブ側開口部31が形成されている。そして、把持部21は、ノブ側開口部31を把持部21の内部から閉塞可能なシャッタ部材32と、シャッタ部材32を付勢する付勢部材33とを備えている。
【0014】
シャッタ部材32は、例えばノブ側開口部31よりも大きな単一の開閉蓋32aとヒンジ機構32bとを備え、開閉蓋32aは、把持部21の内部においてノブ側開口部31の周縁部でヒンジ機構32bによって回動可能に結合され、ノブ側開口部31を操作ノブ16の内部から閉塞可能である。
また、付勢部材33は、例えばヒンジ機構32bに備えられたばね部材であって、ノブ側開口部31を閉塞する回動方向に開閉蓋32aを付勢し、この付勢部材33の付勢力によってノブ側開口部31が開閉蓋32aにより閉塞される状態が保持されるようになっている。
【0015】
また、例えば図5(A),(B)に示すように、メカニカルキー13は、キーシリンダ14のキー孔14aに挿脱可能なキープレート13aと、このキープレート13aの一端に設けられたキーヘッド13bとを備え、このキーヘッド13bは厚さ方向に貫通する貫通孔13cを備えている。
そして、ノブ側開口部31は、操作ノブ16の把持部21の内部に挿入されるメカニカルキー13を案内するようにしてキーヘッド13bの外周形状に対応する形状を有し、メカニカルキー13以外の他のキー、例えば携帯型電子キー12に内蔵された内蔵メカニカルキー12aなどの挿入は困難あるいは違和感が生じるように形成されている。
そして、操作ノブ16は、操作ノブ16がノブ基部15に装着された状態で、ノブ側開口部31から挿入されたメカニカルキー13のキープレート13aがキーシリンダ14のキー孔14aに装着されたときに、キーヘッド13bの貫通孔13cが操作ノブ16の外部に露出するように形成されている。
【0016】
これにより、操作ノブ16の外部から回動軸Rの軸方向(つまり、挿脱方向)にメカニカルキー13がノブ側開口部31に挿入される場合には、例えば図6(A)に示すように、ノブ側開口部31を閉塞する開閉蓋32aにメカニカルキー13のキープレート13aの先端部が押し当てられ、付勢部材33の付勢力に抗って挿脱方向にメカニカルキー13が押し込まれることによって、開閉蓋32aは操作ノブ16の把持部21の内部に向って回動し、ノブ側開口部31が開状態となる。このとき、例えば図6(B)に示すように、ノブ側開口部31は、メカニカルキー13のキーヘッド13bの外周形状に対応する形状を有することでメカニカルキー13の挿入を案内する。
一方、ノブ側開口部31から操作ノブ16の把持部21の内部に挿入されたメカニカルキー13が引き抜かれると、付勢部材33の付勢力によって開閉蓋32aが回動し、ノブ側開口部31が開閉蓋32aによって閉塞される。
【0017】
また、ノブ基部15は、回動軸Rに直交する所定方向に平行な着脱方向Pに操作ノブ16が着脱可能とされている。
ノブ基部15は、例えば図7(A)〜(C)に示すように、回動軸Rの軸方向を上下方向とする上面15A上に設けられた凹部52を備え、この凹部52の底面52Aの中央部に開口部51が設けられている。そして、凹部52は、回動軸Rの軸心からずれた位置で軸心を両側から挟み込むようにして対向し、かつ着脱方向Pに平行な2つの内壁面52Bを有し、各内壁面52Bの着脱方向Pの一端において凹部52の壁部53が切り欠けられた切り欠き部54が形成されている。
さらに、各内壁面52B上には着脱方向Pに伸びる凹溝55が形成されている。そして、2つの凹溝55のうち一方の凹溝55の底面55A上には、係止溝56が形成されている。
【0018】
操作ノブ16の係合部22は、例えば図3(B),図5(A)に示すように、回動軸Rの軸方向を上下方向とする把持部21の下面21B上において回動軸Rの軸心からずれた位置で突出して軸心を両側から挟み込むようにして対向し、かつ着脱方向Pに伸びる2つの凸条部41を備えている。そして、各凸条部41には、回動軸Rの軸心側の反対側の側面41A(つまり、回動軸Rの軸方向から見て略長方形状の把持部21の短手方向において外部に向かう側の側面)上から突出して着脱方向Pに伸びる凸部42が形成されている。そして、各2つの凸条部41および凸部42のうち一方の凸条部41および凸部42の着脱方向Pの一端41a,42aには、着脱方向Pに伸びる押圧部23が一体的に接続されている。
【0019】
押圧部23は、例えば図3(B)に示すように、一方の凸条部41および凸部42の一端41a,42aから凸条部41および凸部42に連設されて着脱方向Pに伸びる押圧延出部45を備えている。この押圧延出部45は回動軸Rに直交する平面内で着脱方向Pに交差する押圧方向Q(例えば、回動軸Rの軸方向から見て略長方形状の把持部21の短手方向など)に復元可能に弾性変形可能とされ、例えば図3(A)に示すように、押圧延出部45の先端部45aは回動軸Rの軸方向から見て把持部21の外部に突出している。そして、押圧延出部45の基端側には、回動軸Rの軸心側の反対側の側面45A(つまり、回動軸Rの軸方向から見て略長方形状の把持部21の短手方向において外部に向かう側の側面)上から突出する係合爪46が形成されている。
【0020】
例えば図5(A)に示すように、把持部21の下面21Bがノブ基部15の上面15Aに接触した状態で、操作ノブ16の係合部22の2つの凸部42はノブ基部15の2つの凹溝55に着脱方向Pでスライド可能に装着される。そして、凸部42が凹溝55に装着された状態で、ノブ基部15の凹部52の内部において凹部52の内壁面52Bと操作ノブ16の係合部22の凸条部41の側面41Aとが接触している。
さらに、操作ノブ16の押圧部23の係合爪46は、凹溝55内をスライド可能であり、操作ノブ16の係合部22の2つの凸部42がノブ基部15の2つの凹溝55に装着されると共に操作ノブ16の中心軸とノブ基部15の中心軸とが回動軸Rに同軸となった状態で、例えば図8(A),(B)に示すように、ノブ基部15の係止溝56に解除可能に係合する。これにより、操作ノブ16がノブ基部15に固定される。
押圧延出部45は、係合爪46と係止溝56とが係合した状態において自然状態となるように形成され、この押圧延出部45の弾性変形によって係合爪46と係止溝56との係合状態が解除可能である。例えば回動軸Rの軸方向から見て把持部21の外部に突出している押圧延出部45が押圧方向Qで把持部21の内部に向かい操作者により押圧されることで、係合爪46と係止溝56との係合は解除される。
【0021】
以下に、操作ノブ16がノブ基部15に着脱される際の動作について説明する。
操作ノブ16がノブ基部15に取り付けられる場合には、先ず、操作ノブ16の把持部21の下面21Bがノブ基部15の上面15Aに接触した状態で、操作ノブ16の凸条部41および凸部42がノブ基部15の切り欠き部54から着脱方向Pに凹部52の内部へと挿入される。
そして、凹部52の内部において凹部52の内壁面52Bと凸条部41の側面41Aとが接触し、かつ凹溝55に凸部42が装着されることによって、操作ノブ16が回動軸Rの軸方向にノブ基部15から離間することが規制される。そして、凸部42が凹溝55内をスライド移動することで、操作ノブ16がノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動する。
そして、係合部22の凸部42に続いて押圧部23の係合爪46が凹溝55内をスライド移動する状態で、操作ノブ16の中心軸とノブ基部15の中心軸とが回動軸Rに同軸になると、係合爪46は係止溝56に係合し、凹溝55内での凸部42および係合爪46の着脱方向Pでのスライド移動は停止され、例えば図8(A),図9(A)に示すように、操作ノブ16はノブ基部15に固定される。
【0022】
一方、操作ノブ16がノブ基部15から取り外される場合には、先ず、押圧部23の押圧延出部45が押圧方向Qで把持部21の内部に向かい操作者により押圧され、係合爪46と係止溝56との係合が解除される。
そして、係合爪46と係止溝56との係合解除が維持された状態で、例えば図8(B),図9(B)に示すように、着脱方向Pにおいて凹溝55の内部から係合爪46および凸部42が引き出されるようにして、操作ノブ16がノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動させられる。
そして、凹溝55の内部から係合爪46および凸部42が離脱したときに、操作ノブ16はノブ基部15から取り外される。
【0023】
携帯型電子キー12は、キーシリンダ14の回動可否を制御可能な車載制御回路(図示略)と無線通信可能であって、車載制御回路から出力される要求信号を受信して所定の応答信号を発信する。この応答信号を受信した車載制御回路は、例えばキーシリンダ14の回動を許可する。
また、携帯型電子キー12は内蔵メカニカルキー12aを内蔵可能であって、内蔵メカニカルキー12aは、例えば図10,図11(A)に示すように、携帯型電子キー12の筐体12bの内部にキープレート61が内蔵された際にキーヘッド62を筐体12bの外部に露出させた状態でロック機構(図示略)によって解除可能に保持される。
【0024】
内蔵メカニカルキー12aは、ノブ基部15から操作ノブ16が取り外された状態で、回動軸Rの軸方向にノブ基部15の開口部51からキーシリンダ14のキー孔14aにキープレート61を挿脱可能とされている。
そして、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61の表面上には、例えば図11(A),(B)に示すように、ノブ基部15に装着された操作ノブ16を取り外す手順を視覚的に示す刻印などからなる表示部63が設けられている。
この表示部63は、例えば、第1の手順として、操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45を押圧方向Qで把持部21の内部に向かい押圧することを指示する刻印63aと、第2の手順として、操作ノブ16をノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動させることを指示する刻印63bとによって構成されている。
【0025】
また、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61は表裏同形状に形成されている。
このため、内蔵メカニカルキー12aは、例えば図12(A),(B)に示すように、ノブ基部15から操作ノブ16が取り外された状態で、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61の表裏に関わらずに回動軸Rの軸方向にノブ基部15の開口部51からキーシリンダ14のキー孔14aにキープレート61が挿脱可能とされている。
【0026】
これにより、内蔵メカニカルキー12aによってキーシリンダ14の回動操作が実行される場合には、先ず、例えば図13(A)に示すように、操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45が押圧方向Qで把持部21の内部に向かい操作者により押圧され、操作ノブ16の係合爪46とノブ基部15の係止溝56との係合が解除される。
次に、例えば図13(B)に示すように、係合爪46と係止溝56との係合解除が維持された状態で、操作ノブ16はノブ基部15に対して着脱方向Pにスライド移動させられ、ノブ基部15から取り外される。
次に、例えば図13(C),(D)に示すように、ノブ基部15の開口部51からキーシリンダ14のキー孔14aにキープレート61が挿入される。
【0027】
上述したように、本発明の実施形態によるステアリングロック装置10によれば、操作ノブ16の係合爪46に一体的に設けられた押圧延出部45によってノブ基部15に対する操作ノブ16の係止を解除することができ、解除操作に煩雑な手間を要することを防止し、操作ノブ16とノブ基部15との着脱に要する部品点数および構成に要する費用が嵩むことを防止することができる。しかも、操作ノブ16は回動軸Rに直交する方向に着脱可能とされることにより、操作者による着脱操作を容易化することができる。さらに、押圧延出部45が押圧される方向が着脱方向Pに交差することで、ノブ基部15に対する操作ノブ16の係止解除とノブ基部15からの操作ノブ16の取り外しとが、操作者の意図に反して誤操作されてしまうことを防止することができる。
【0028】
しかも、ノブ基部15から操作ノブ16が取り外された状態で用いられる内蔵メカニカルキー12aに、操作ノブ16をノブ基部15から取り外すために要する所定操作を表示することにより、操作者による操作ノブ16の取り外し操作を適切に支援することができる。しかも、例えば操作ノブ16あるいはノブ基部15などの他の箇所に表示部63を備える場合に比べて、より一層、利便性を向上させることができる。
【0029】
なお、上述した実施の形態において、操作ノブ16のノブ側開口部31を閉塞可能なシャッタ部材32は、単一の開閉蓋32aとヒンジ機構32bとを備えるとしたが、これに限定されず、例えば開閉蓋32aを複数の開閉蓋片により構成し、各開閉蓋片にヒンジ機構を設け、複数の開閉蓋片によってノブ側開口部31を閉塞可能としてもよい。
例えば、開閉蓋32aを左右の2つの開閉蓋片により構成し、左右の開閉蓋片が中央から両側へ回動するようにして各開閉蓋片にヒンジ機構を設けてもよい。
【0030】
なお、上述した実施の形態において、操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45に設けられた係合爪46が、ノブ基部15の凹溝55に設けられた係止溝56に係合するとしたが、これに限定されず、例えば操作ノブ16の係合爪46が、ノブ基部15の凹溝55の底面55A上から突出する係止爪に係合してもよいし、例えば操作ノブ16の押圧部23の押圧延出部45に設けられた係合溝が、ノブ基部15の凹溝55の底面55A上から突出する係止爪に係合してもよい。これらの各変形例において、ノブ基部15に対する操作ノブ16の係合状態が、操作ノブ16の押圧延出部45の弾性変形によって解除可能であればよい。
【0031】
なお、上述した実施の形態において、内蔵メカニカルキー12aのキープレート61の表面上には、ノブ基部15に装着された操作ノブ16を取り外す手順を視覚的に示す刻印などからなる表示部63が設けられるとしたが、これに限定されず、例えば図14に示すように、さらに、取扱説明書を参照することを視覚的に示す刻印などからなる第2表示部64が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 ステアリングロック装置
12 携帯型電子キー(携帯機)
12b 筐体
12a 内蔵メカニカルキー
13 メカニカルキー
13a キープレート
13b キーヘッド
13c 貫通孔
14 キーシリンダ
14a キー孔
15 ノブ基部
16 操作ノブ
21 把持部
22 係合部
23 押圧部
31 ノブ側開口部
32 シャッタ部材
33 付勢部材
46 係合爪(係合部材)
51 開口部
55 凹溝(装着部)
56 係止溝(係止部)
63 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機との所定通信あるいはメカニカルキーの装着によって回動可能なキーシリンダと、
前記キーシリンダに固定され、前記メカニカルキーの挿脱方向において前記キーシリンダのキー孔に臨んで開口する開口部を有するノブ基部と、
前記開口部を覆うようにして前記ノブ基部に着脱可能に装着される操作ノブとを備えるステアリングロック装置であって、
前記ノブ基部は、前記操作ノブが該操作ノブの回動軸に交差する着脱方向に着脱可能に装着される装着部と、該装着部において前記操作ノブが係止される係止部とを備え、
前記操作ノブは、該操作ノブの操作のための把持部と、該把持部に連設されて前記ノブ基部の前記装着部に装着される係合部と、該係合部に一体的に設けられて前記着脱方向に交差する方向に押圧可能な押圧部と、前記押圧部に一体的に設けられて前記係止部に係合する係合部材とを備え、
前記押圧部は前記係合部材の前記係止部に対する係合を解除可能であることを特徴とするステアリングロック装置。
【請求項2】
前記携帯機は、分離可能に筐体内部に格納されると共に、前記ノブ基部から前記操作ノブが取り外された状態で前記キー孔に挿入可能な内蔵メカニカルキーを備え、
前記内蔵メカニカルキーは、前記操作ノブを前記ノブ基部から取り外すために要する所定操作を表示する表示部を備えることを特徴とする請求項1に記載のステアリングロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−255198(P2010−255198A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103073(P2009−103073)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】