説明

ステアリング装置及びそのバックラッシュ調整方法

【課題】ラックとピニオンギヤ間のバックラッシュを精度よく調整することが容易に行われるステアリング装置及びそのバックラッシュ調整方法を提供する。
【解決手段】アジャストカバー50の螺合位置を変えてスプリング45のバネ力が設定値になるように調整するバックラッシュ調整工程が行われるステアリング装置であって、ラックシャフト20は、作動時にピニオンギヤ31と噛み合うラック21とプレッシャパッド40に摺接する作動摺接面22iとが形成される作動ストローク範囲Siと、作動時にピニオンギヤ31と噛み合わないラック21とバックラッシュ調整工程においてプレッシャパッド40に当接する基準当接面22oとが形成される非作動ストローク範囲Soとを有し、ラック21がピニオンギヤ31に噛み合う部位に対する基準当接面22oの距離が作動摺接面22iの距離より大きく形成される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラックとピニオンギヤ間のバックラッシュが調整されるステアリング装置及びそのバックラッシュ調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ラックシャフトに摺接するプレッシャパッドと、このプレッシャパッドをラックがピニオンギヤに押し付けられる方向に付勢するスプリングと、このスプリングのバネ力を調整するアジャストカバーとを備えるものがある(特許文献1参照)。
【0003】
この種のステアリング装置は、ステアリング装置が組み立てられた後に、アジャストカバーの螺合位置を変えて、スプリングのバネ力が設定値になるように調整するバックラッシュ調整工程が行われる。
【0004】
このバックラッシュ調整工程は、例えば、以下の手順で行われる。
【0005】
・ピニオンギヤとラックが噛み合う状態にて、アジャストカバーが所定のトルクで締め付けられる。このとき、スプリングのバネ力が設定値に対して所定の過剰分だけ大きい値に調整される。
【0006】
・アジャストカバーが所定の角度だけ緩み方向に回転される。これにより、バネ力の過剰分が取り除かれ、スプリングのバネ力が設定値になるように調整される。
【0007】
・アジャストカバーがロックナットを介して締め付け固定され、アジャストカバーの緩み止めが行われる。
【0008】
こうしてバックラッシュ調整工程が行われて、スプリングのバネ力が設定値に調整されることにより、ラックとピニオンギヤ間のバックラッシュが適正値に収められる。これにより、ピニオンギヤとラックの噛み合い部は、ガタが生じることなく、摩擦抵抗を小さく抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−30545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来のステアリング装置にあっては、バックラッシュ調整工程において、アジャストカバーを所定の角度だけ緩み方向に回転させた後にロックナットを介して締め付け固定されるため、アジャストカバーの螺合位置にズレが生じやすく、スプリングのバネ力を精度よく調整することが難しいという問題点があった。
【0011】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ラックとピニオンギヤ間のバックラッシュを精度よく調整することが容易に行われるステアリング装置及びそのバックラッシュ調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、回転駆動されるピニオンギヤと、このピニオンギヤに噛み合うラックを介して移動するラックシャフトと、このラックシャフトに摺接するプレッシャパッドと、このプレッシャパッドをラックがピニオンギヤに押し付けられる方向に付勢するスプリングと、螺合位置を変えることによってスプリングのバネ力を調整するアジャストカバーと、を備えるステアリング装置であって、ラックシャフトは、作動時にピニオンギヤに噛み合う作動ラックとプレッシャパッドに摺接する作動摺接面とが形成される作動ストローク範囲と、この作動ストローク範囲の外側に位置する非作動ストローク範囲とを有し、非作動ストローク範囲にピニオンギヤと噛み合う非作動ラックとプレッシャパッドに当接する基準当接面とが形成され、作動ラックから作動摺接面までの距離は、非作動ラックから基準当接面までの距離よりも大きく形成されることを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ピニオンギヤとラックとの間のバックラッシュを調整するバックラッシュ調整工程においてプレッシャパッドに基準当接面が当接した状態でアジャストカバーの螺合位置が決められた後に、プレッシャパッドに作動摺接面が当接する位置にラックシャフトが戻されることにより、プレッシャパッドがアジャストカバーから離れる方向に所定距離だけ移動し、スプリングのバネ力が精度よく調整される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態を示すステアリング装置の正面図。
【図2】同じく図1のA−A線に沿うステアリング装置の断面図。
【図3】同じく図2のB−B線に沿うステアリング装置の断面図。
【図4】他の実施形態を示すステアリング装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1に示すように、ステアリング装置1は、車体に固定されるギヤケース10を備え、このギヤケース10にラックシャフト20と出力シャフト30が収容される。出力シャフト30には、図示しないステアリングシャフトを介してハンドルから操舵力が入力される。ラックシャフト20は、左右のジョイント5、タイロッド6を介して図示しない左右車輪のナックルアームに連携される。運転者のハンドル操作によって出力シャフト30が回転すると、これに連動してラックシャフト20がその軸方向(車両の左右方向)に移動し、左右車輪が転舵されるようになっている。
【0017】
図2に示すように、出力シャフト30は、上下のベアリング8、9を介してギヤケース10に回転可能に支持される。出力シャフト30の外周にはピニオンギヤ31が形成される。ピニオンギヤ31は運転者のハンドル操作によって回転駆動される。
【0018】
図1に示すように、ラックシャフト20は左右のブッシュ18、19を介してギヤケース10に摺動可能に支持される。
【0019】
図3に示すように、円柱状のラックシャフト20の片面にはラック21が形成される。ピニオンギヤ31とラック21は、互いに噛み合い、出力シャフト30の回転をラックシャフト20がその軸方向に移動する動きに変換するラック&ピニオン機構2を構成する。
【0020】
図2に示すように、ピニオンギヤ31とラック21の噛み合い部の背後には、ピニオンギヤ31をラック21に押し付けるラック支持機構3が設けられる。
【0021】
ラック支持機構3は、ラックシャフト20の外周面22に摺接するプレッシャパッド40と、このプレッシャパッド40を付勢するスプリング45とを備え、スプリング45のバネ力によってプレッシャパッド40がラックシャフト20の外周面22に押し付けられる。
【0022】
ギヤケース10には、プレッシャパッド40を収容するガイドシリンダ部11が形成される。このガイドシリンダ部11は、ピニオンギヤ31とラック21の噛み合い部の背後に位置して、円筒状に突出するように形成される。
【0023】
円柱状のプレッシャパッド40は、ガイドシリンダ部11の内周面に摺動可能に嵌合する外周面41と、ラックシャフト20の外周面22に摺接する摺接面42と、コイル状のスプリング45の先端を着座させる凹部43とを有する。
【0024】
ラック支持機構3では、プレッシャパッド40は、スプリング45のバネ力によってラックシャフト20に押し付けられる。これにより、ラック21がピニオンギヤ31に押し付けられ、ピニオンギヤ31に対するラック21のバックラッシュが零に保たれる。
【0025】
ラック支持機構3には、製造時等にスプリング45のバネ力を調整するバックラッシュ調整機構7が設けられる。
【0026】
このバックラッシュ調整機構7は、ガイドシリンダ部11の内周に形成される雌ネジ部12と、この雌ネジ部12に螺合するアジャストカバー50とを備え、アジャストカバー50とプレッシャパッド40の間にスプリング45が圧縮して介装される。アジャストカバー50の螺合位置(取付位置)を変えることによってスプリング45のバネ力が調整されるようになっている。
【0027】
円柱状のアジャストカバー50は、雌ネジ部12に螺合する雄ネジ部52と、スプリング45の基端を着座させる凹部53と、図示しない工具に係合する工具係合部54を有する。
【0028】
図3の(a)は、ラックシャフト20が車両が直進するステアリングセンター位置にある状態を示す断面図である。ラックシャフト20は、実際の作動時にピニオンギヤ31の中心Gから左右にストロークL1(例えば50mm程度)の範囲内において移動する。
【0029】
ラックシャフト20には、実際の作動時にピニオンギヤ31に噛み合う作動ラック21iが形成される作動ストローク範囲Siと、この作動ストローク範囲Siの外側に位置して実際の作動時にピニオンギヤ31に噛み合わない非作動ラック21oが形成される非作動ストローク範囲Soとが設けられる。作動ストローク範囲Siは、ピニオンギヤ31の中心Gから左右にストロークL1の範囲に設けられる。非作動ストローク範囲Soは、作動ストローク範囲Siから左にストロークL2(例えば20mm程度)の範囲に設けられる。
【0030】
ラックシャフト20の外周面22には、作動ストローク範囲Siにプレッシャパッド40に摺接する作動摺接面22iが形成され、非作動ストローク範囲Soにバックラッシュ調整工程においてプレッシャパッド40に当接する基準当接面22oが形成され、ラック21がピニオンギヤ31に噛み合う部位に対する基準当接面22oの距離が作動摺接面22iの距離より大きく形成される。
【0031】
本実施形態では、非作動ストローク範囲Soにラックシャフト20の外径を大きく形成した大径シャフト部25が形成され、この大径シャフト部25の外周面22が基準当接面22oを構成する。
【0032】
図3に示すように、大径シャフト部25の外周半径R2は、作動ストローク範囲Siにおけるラックシャフト20の外周半径R1より所定値Cだけ大きく形成される。図3において、便宜上、各部の寸法差を誇張して大きく示しているが、所定値Cは、例えば50μ程度に設定される。
【0033】
非作動ストローク範囲Soに形成される作動ラック21iは、作動ストローク範囲Siに形成される非作動ラック21oと、同一寸法、同一形状にて形成される。
【0034】
ステアリング装置1が組み立てられた後に、アジャストカバー50の螺合位置を変えて、スプリング45のバネ力が設定値になるように調整するバックラッシュ調整工程が行われる。このバックラッシュ調整工程は、以下の手順で行われる。
【0035】
・ラックシャフト20をその基準当接面22oがプレッシャパッド40に当接する位置に移動する。図3の(b)は、ラックシャフト20がこのバックラッシュ調整工程が行われる位置にある状態を示す断面図であり、プレッシャパッド40の摺接面42がラックシャフト20の基準当接面22oに当接している。
【0036】
・続いて、アジャストカバー50を所定のトルクで締め付ける。これにより、スプリング45のバネ力が設定値に対して所定の過剰分だけ大きい値に調整される。このアジャストカバー50の締め付けが行われる際に、アジャストカバー50の先端面56がプレッシャパッド40の基端面44に押し付けられるとともに、プレッシャパッド40の摺接面42がラックシャフト20の基準当接面22oに押し付けられる。
【0037】
・続いてアジャストカバー50のカシメ部55をガイドシリンダ部11の開口端13側に折り曲げて、アジャストカバー50をガイドシリンダ部11の開口端13にカシメ固定し、アジャストカバー50の緩み止め(回転止め)を行う。このカシメ固定が行われる際に、アジャストカバー50は、その先端面56がプレッシャパッド40の基端面44から受ける反力によってギヤケース10に対して保持されているため、その回転位置にズレが生じることを抑えられる。
【0038】
・ラックシャフト20をアジャストカバー50にラックシャフト20の作動ストローク範囲Siに対峙する位置に戻す。このとき、アジャストカバー50の摺接面42がラックシャフト20の外周面22に当接する部位が基準当接面22oから作動摺接面22iに移行するのに伴って、プレッシャパッド40がアジャストカバー50から離れる方向(前方)に距離Cだけ移動する。これにより、スプリング45のバネ力は、過剰分が取り除かれ、設定値になるように調整される。
【0039】
こうしてバックラッシュ調整工程が行われて、スプリング45のバネ力が設定値に調整されることにより、ラック21(作動ラック21i)のバックラッシュが適正値に収められる。これにより、ステアリング装置1は、ピニオンギヤ31とラック21の噛み合い部にガタが生じることなく、この噛み合い部に生じる摩擦抵抗を小さく抑えられる。
【0040】
以下、本実施形態の要旨と作用、効果を説明する。
【0041】
本実施形態では、運転者のハンドル操作によって回転駆動されるピニオンギヤ31と、このピニオンギヤ31に噛み合うラック21を介して移動するラックシャフト20と、このラックシャフト20に摺接するプレッシャパッド40と、このプレッシャパッド40をラック21がピニオンギヤ31に押し付けられる方向に付勢するスプリング45と、螺合位置を変えることによってスプリング45のバネ力を調整するアジャストカバー50と、を備えるステアリング装置1であって、ラックシャフト20は、作動時にピニオンギヤ31に噛み合う作動ラック21iとプレッシャパッド40に摺接する作動摺接面22iとが形成される作動ストローク範囲Siと、この作動ストローク範囲Siの外側に位置する非作動ストローク範囲Soとを有し、非作動ストローク範囲Soにピニオンギヤ31と噛み合う非作動ラック21oとプレッシャパッド40に当接する基準当接面22oとが形成され、作動ラック21i(作動ラック21iがピニオンギヤ31に噛み合う部位)から作動摺接面22iまでの距離は、非作動ラック21o(非作動ラック21oがピニオンギヤ31に噛み合う部位)から基準当接面22oまでの距離よりも大きく形成される構成とした。
【0042】
ピニオンギヤ31とラック21との間のバックラッシュを調整するバックラッシュ調整工程において、プレッシャパッド40に基準当接面22oが当接した状態でアジャストカバー50の螺合位置が決められた後、プレッシャパッド40に作動摺接面22iが当接する位置にラックシャフト20を戻すことにより、プレッシャパッド40がアジャストカバー50から離れる方向に所定距離Cだけ移動し、スプリング45のバネ力が調整される。
【0043】
上記のバックラッシュ調整工程では、アジャストカバー50を所定のトルクで締め付けて螺合位置を決めることにより、従来のようにアジャストカバー50を所定の角度だけ緩み方向に回転させることが必要なく、スプリング45のバネ力を精度よく調整することが容易に行える。これにより、バックラッシュ調整工程に大がかりな設備が不要となるととともに、バックラッシュ調整工程に要する作業時間が短縮され、製品のコストダウンがはかれる。
【0044】
本実施形態では、非作動ストローク範囲Soにラックシャフト20の外径を大きく形成した大径シャフト部25が形成され、この大径シャフト部25の外周面22が基準当接面22oを構成するものした。
【0045】
上記構成に基づき、大径シャフト部25の外周半径R2と作動ストローク範囲Siにおけるラックシャフト20の外周半径R1との差Cを、バックラッシュ調整工程におけるバネ力の過剰分に対応して設定することにより、ラック21がピニオンギヤ31に噛み合う部位に対する基準当接面22oの距離が作動摺接面22iの距離より距離Cだけ大きく形成される。
【0046】
本実施形態では、アジャストカバー50とアジャストカバー50が螺合する部材(ギヤケース10)の相対回転を係止するカシメ部55が設けられる構成とした。
【0047】
上記構成に基づき、バックラッシュ調整工程では、アジャストカバー50を締め付けて螺合位置を決めた状態で、アジャストカバー50がカシメ固定されることにより、アジャストカバー50の回転位置にズレが生じることを抑えられ、スプリング45のバネ力を精度よく調整することが容易に行える。
【0048】
なお、これに限らず、アジャストカバー50の雌ネジ部12に図示しないロックナットを締め付け固定し、アジャストカバー50の緩み止めを行う構成としてもよい。
【0049】
(第2実施形態)
次に図4に示す他の実施形態を説明する。図4の(a)は、ラックシャフト20が車両が直進するステアリングセンター位置にある状態を示す断面図、(b)はラックシャフト20がこのバックラッシュ調整工程が行われる位置にある状態を示す断面図である。これは図1〜3の実施形態と基本的に同じ構成を有し、相違する部分のみを説明する。なお、前記実施形態と同一構成部には同一符号を付す。
【0050】
ラック21は、非作動ストローク範囲Soにおける非作動ラック21o上(歯山間に設けられる谷部)に置かれたピンP2の位置と、作動ストローク範囲Siにおける作動ラック21i上(歯山間に設けられる谷部)に置かれたピンP1の位置とが距離Cだけ相違するように形成される構成とする。
【0051】
ラック21は、ラックシャフト20の中心線Oに対する非作動ストローク範囲Soにおける作動ラック21iの歯先までの距離L2が、作動ストローク範囲Siにおける非作動ラック21oの歯先までの距離L1より距離Cだけ大きく形成される構成とする。
【0052】
非作動ストローク範囲Soにおけるラックシャフト20の外径は、作動ストローク範囲Siにおけるラックシャフト20の外径と等しく形成される。
【0053】
非作動ストローク範囲Soにおけるラックシャフト20の外周面22が基準当接面22oを構成し、作動ストローク範囲Siにおけるラックシャフト20の外周面22が作動摺接面22iを構成する。
【0054】
距離L2と距離L1とが差Cを持つことにより、非作動ラック21oがピニオンギヤ31に噛み合う部位から基準当接面22oまでの距離は、作動ラック21iがピニオンギヤ31に噛み合う部位から作動摺接面22iの距離より距離Cだけ大きく形成される。
【0055】
図4の(b)に示すように、バックラッシュ調整工程においてプレッシャパッド40に基準当接面22oが当接した状態でアジャストカバー50の螺合位置が決められる。図4の(a)に示すように、バックラッシュ調整工程においてプレッシャパッド40に基準当接面22oが当接した状態でアジャストカバー50の螺合位置が決められた後に、プレッシャパッド40に作動摺接面22iが当接する位置にラックシャフト20を戻すことにより、プレッシャパッド40がアジャストカバー50から離れる方向に所定距離Cだけ移動し、スプリング45のバネ力が調整される。
【0056】
この場合にも、上記のバックラッシュ調整工程において、アジャストカバー50を所定のトルクで締め付けて螺合位置を決めることにより、従来のようにアジャストカバー50を所定の角度だけ緩み方向に回転させることが必要なく、スプリング45のバネ力を精度よく調整することが容易に行える。
【0057】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0058】
1 ステアリング装置
3 ラック支持機構
7 バックラッシュ調整機構
10 ギヤケース
11 ガイドシリンダ部
20 ラックシャフト
21 ラック
21i 作動ラック
21o 非作動ラック
22i 作動摺接面
22o 基準当接面
25 大径シャフト部
31 ピニオンギヤ
40 プレッシャパッド
45 スプリング
50 アジャストカバー
55 カシメ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されるピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤに噛み合うラックを介して移動するラックシャフトと、
前記ラックシャフトに摺接するプレッシャパッドと、
前記プレッシャパッドを前記ラックが前記ピニオンギヤに押し付けられる方向に付勢するスプリングと、
螺合位置を変えることによって前記スプリングのバネ力を調整するアジャストカバーと、を備えるステアリング装置であって、
前記ラックシャフトは、
作動時に前記ピニオンギヤに噛み合う作動ラックと前記プレッシャパッドに摺接する作動摺接面とが形成される作動ストローク範囲と、
前記作動ストローク範囲の外側に位置する非作動ストローク範囲と、を有し、
前記非作動ストローク範囲に前記ピニオンギヤと噛み合う非作動ラックと前記プレッシャパッドに当接する基準当接面とが形成され、
前記作動ラックから前記作動摺接面までの距離は、前記非作動ラックから前記基準当接面までの距離よりも大きく形成される構成としたことを特徴とするステアリング装置。
【請求項2】
前記非作動ストローク範囲に前記ラックシャフトの外径を大きく形成した大径シャフト部が形成され、
前記大径シャフト部の外周面が前記基準当接面を構成することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記ラックシャフトの中心線に対する非作動ストローク範囲における前記ラックの歯先までの距離が、作動ストローク範囲における前記ラックの歯先までの距離より大きく形成されることを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記アジャストカバーと前記アジャストカバーが螺合する部材の相対回転を係止するカシメ部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載のステアリング装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のステアリング装置を構成する前記ピニオンギヤと前記ラックとの間のバックラッシュを調整するバックラッシュ調整方法であって、
前記プレッシャパッドに前記基準当接面が当接した状態で前記アジャストカバーの螺合位置を決定した後に、前記プレッシャパッドに前記作動摺接面が当接する位置に戻すバックラッシュ調整工程を行うことを特徴とするバックラッシュ調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−210827(P2012−210827A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76207(P2011−76207)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】