説明

スティック供給装置

【課題】 収容部等に収納された多数のスティックから、割れ、欠けのない良品スティックだけを所定の姿勢で1本ずつ供給し、ハンドラの歩留まり、稼動率の低下を防止可能なスティック供給装置を提供する。
【解決手段】 スティック2を1本ずつ切り出す分離手段12と、切り出されたスティック2を転動させて、所定の姿勢に修正する姿勢修正手段14と、姿勢修正手段14によって転動するスティック2の外観を検査する画像処理手段52、53とを備えるスティック供給装置。分離手段12は、傾斜ベルトコンベアに、スティック1本分の間隔で突出部22を立設し、スティック2を1本ずつ突出部22に引っ掛けて搬送する。姿勢修正手段14は、互いにV字を形成する方向に配置された2組のベルトコンベア31a、31bで構成され、両ベルトコンベア31が動作し、両者間に位置するスティック2が転動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スティック供給装置に関し、特に、半導体装置等の電子部品の検査装置であるハンドラに、電子部品を充満したスティック、又は電子部品を収納する前の空スティックを自動的に供給するスティック供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図5に示すような電子部品1を充満したスティック2などを取り扱う装置の一例として、特許文献1に記載の姿勢修正装置は、図6に示すように、ベルトコンベア61で搬送されたスティック2の長手方向の一側に押込み機構62が、他側に回転機構63が配設されている。この押込み機構62は、往復動するエアーシリンダー等の駆動機構によってガイド棒66に沿って前後に移動し、押込み機構62が前進することにより、押込みブロック67を介してスティック2を回転機構63に押し付ける。押込みブロック67のスティック押し付け面は、半球状の窪んだ面となっている。
【0003】
一方、他側の回転機構63は、支持ブロックにベアリングを介して回転可能に取り付けられた回転体65を有する。この回転体65は、モータ64により回転し、端面にはスティック2を受け入れるためのテーパ状の窪みからなるガイド孔68と、ガイド孔68に続く細長の受け孔69とを備える。
【0004】
上記構成により、押込みブロック67によって押されて移動してきたスティック2の前進端がガイド孔68のテーパ面を徐々に登り、最終的に受け孔69内に入る。次に、スティック2の姿勢検出機構から検出される検出情報に基づいてモータ64を回動し、回転体65を回転させてスティック2を所定の姿勢に修正する。
【0005】
また、特許文献2に記載のIC試験装置は、電子部品が収納されたスティックから電子部品を取り出して測定部に供給し、この電子部品の供給によって空になったスティックを投下し、再度、測定を完了した電子部品をスティックに収納する装置である。この装置では、電子部品の収納時に投下されたスティックの姿勢を所定の姿勢に修正する必要があり、そのため、スティックの姿勢を検出する手段と、検出結果によりスティックの姿勢を修正する機構を設けている。
【0006】
この姿勢修正機構は、特許文献1に記載の姿勢修正装置と同様、スティックの開口方向の一側に押込み機構が、他側に回転機構が配設されている。回転機構には、スティックの端部をフィンガーで挟み込んで回転させる機構が採用されている。
【0007】
さらに、特許文献3に記載のICスティック供給装置は、スティックの姿勢を判定する手段と、スティックを所定の姿勢に修正する手段とを有し、姿勢を修正する手段として、スティックを板状のチャックで挟み込んで回転させる機構が採用されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−242119号公報
【特許文献2】実開昭60−068645号公報
【特許文献3】特開昭60−218220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、図6に示した上記特許文献1に記載の姿勢修正装置は、スティック2の両端を半球状の窪み及びテーパ状の孔の開いた部品に挿入してスティック2を保持し、回転させてスティック2の姿勢を修正するため、スティック2を把持する動作が必要であり、電子部品の挿入口である先端部の割れ、欠けなどをカメラで観察することができないという問題があった。
【0010】
また、特許文献2に記載のIC試験装置の姿勢修正機構も、スティックを把持する動作が必要であり、回動を利用してスティックの全周外観検査機能を追加する場合には、フィンガーがスティック先端部の視野を妨げるため、電子部品の挿入口であるスティック先端部の割れ、欠けなどのスティックの外観不良を検出することができないという問題があった。
【0011】
さらに、特許文献3に記載のICスティック供給装置の姿勢修正機構も、スティックを把持する動作が必要であり、同文献には、スティックの長手方向のチャック位置について明確な記載はないが、チャック部分については、スティックの割れ、欠けなどの外観不良をカメラで観察することができないという問題があった。
【0012】
以上のように、従来の技術では、スティックを直接把持しているチャック部分は、カメラ視野を妨げ、その部分の外観検査ができないため、電子部品を収納するスティックに割れ、欠けなどが存在する不良品がそのまま使用され、電子部品の収納ミスが発生し、ハンドラの歩留まり、稼動率を低下させるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、収容部等に無造作に収納された多数のスティックから、割れ、欠けのない良品スティックだけを所定の姿勢で1本ずつ供給することができ、ハンドラの歩留まり、稼動率の低下を防止することのできるスティック供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は、スティック供給装置であって、スティックを1本ずつ切り出す分離手段と、該分離手段によって切り出されたスティックを転動させて、所定の姿勢に修正する姿勢修正手段と、該姿勢修正手段によって転動するスティックの外観検査を行う画像処理手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明によれば、スティックを直接把持して回転させるのではなく、姿勢修正手段によってスティックを転動させて所定の姿勢に修正し、転動している間に姿勢の修正と、該姿勢修正手段によって転動するスティックの外観検査を画像処理手段によって行うため、従来のように、外観検査時に把持部品によって視野が妨げられることがなく、多数のスティックから、割れ、欠けのない良品スティックだけを所定の姿勢で1本ずつ供給することが可能となる。これにより、スティックの電子部品導入開口部の割れ、欠けに起因する電子部品の収納ミスがなくなり、ハンドラの歩留まり、稼動率を向上させることができる。また、このスティック供給装置は、装置全体を開放的に構成することができるため、スティックの流れ状態を常時観察することができ、作業性が向上する。
【0016】
前記スティック供給装置において、前記分離手段によって切り出されるスティックを、種々の姿勢を有する複数のスティックが収容された収容部から切り出すようにすることができる。
【0017】
また、前記スティック供給装置において、前記分離手段を、傾斜して配置されたベルトコンベアに、前記スティック1本分の間隔で突出部を立設し、前記スティックを1本ずつ該突出部に引っ掛けることにより前記スティックを搬送するように構成することができる。
【0018】
また、前記姿勢修正手段を、互いにV字を形成する方向に配置された2組のベルトコンベアで構成し、該2組のベルトコンベアが動作することで、該2組のベルトコンベアの間に位置する前記スティックが転動するように構成することができる。
【0019】
さらに、前記スティック供給装置において、前記画像処理手段によって良品であるか不良品であるかを判定されたスティックを、次の工程への供給位置又は不良品排出位置に搬送する搬送手段を備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、収容部等に無造作に収納された多数のスティックから、割れ、欠けのない良品スティックだけを所定の姿勢で1本ずつ供給し、ハンドラの歩留まり、稼動率の低下を防止可能なスティック供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明にかかるスティック供給装置の一実施の形態を示し、このスティック供給装置は、大別して、収容部11に無造作に収納されたスティック2を1本ずつ切り出す分離機構12と、切り出されたスティック2の姿勢を判定して修正する姿勢修正機構14と、姿勢修正機構14のスティック転動機能を利用してスティック2の外観検査を行う画像処理装置53と、所定の姿勢に調整されたスティック2を、次工程への供給位置17又は不良品排出位置18に搬送する搬送機構13等とで構成される。以下、各機構について詳しく説明する。
【0022】
分離機構12は、図1に示すように、下端部が収容部11に設けられ、上端部が搬送機構13に位置付けられ、斜めに配置されたベルトコンベアである。ベルト21上には、スティック1本分幅の間隔で突出部22が立設され、スティック2を1本ずつ突出部22に引っ掛けることで、無造作に収納されたスティック2から1つのスティック2が分離して上部の搬送機構13に受け渡される。
【0023】
搬送機構13は、図1及び図2に示すように、2本のタイミングベルト41を使用したベルトコンベアであり、水平に配置されている。タイミングベルト41上には、スティック2を1本ずつ仕切るための突出部42が等間隔で取り付けられている。搬送機構13には、分離機構12からスティック2を受け取る受取位置15と、スティック2の外観検査等を行うため、スティック2を所定の姿勢に修正する姿勢修正位置16と、外観検査で良品と判定され、所定の姿勢になったスティック2をハンドラに供給する供給位置17と、外観検査で不良と判定されたスティック2を排出する不良品排出位置18の4つの位置がある。姿勢修正機構14は、姿勢修正位置16の下方で、2本のタイミングベルト41の間に設置されている。
【0024】
姿勢修正機構14は、図2及び図3に示すように、水平方向に配置されたコンベア31aと、垂直よりやや傾斜した方向に配置されたコンベア31bからなるV字型ベルトコンベア31を備え、コンベア31bは、コンベア31aとの角度34が直角より広がる方向に傾いている。このようにV字型に配置された2つのコンベア31a、31bを2組使用し、所定の間隔でスティック2が確実にコンベア31aに上に載置されるように構成される。各々のコンベア31a、31bは同一の駆動軸35に固定され、かつ、両コンベア31a、31bのプーリ径は同一である。
【0025】
この駆動軸35をモータ32により回転させると、コンベア31aとコンベア31bは同速で動き出す。図3では、モータ32と駆動軸35は、ベルト36にて伝動する方式を記載している。モータ32の回転方向は、コンベア31a上のスティック2がコンベア31b側に寄るように回転させる。搬送機構13のタイミングベルト41上に位置するスティック2を持ち上げ、スティック2がスムーズに回転できるように2組のV字型コンベア機構を上下に動作させる上下機構33が設けられる。
【0026】
また、持ち上げられたスティック2の開口部を撮像するスティック姿勢検出カメラ51が設置され、スティック2の寸法、形状に基づきスティック2の倒れ、裏返しの姿勢状態を画像処理装置53にて判定する。姿勢修正機構14の上方には、スティック欠陥検出用カメラ52が設置され、姿勢修正機構14によるスティック2の転動動作を利用してスティック2の全周を撮像し、画像処理装置53にてスティック2の外観不良を検査する。
【0027】
次に、上記構成を有するスティック供給装置の全体の動作について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0028】
分離機構12は、収容部11に無造作に収納されたスティック2を1本ずつ突出部22に引っ掛けて、上方に位置する搬送機構13に送る。
【0029】
搬送機構13は、分離機構12から受け渡されたスティック2を、受取位置15から姿勢修正位置16に搬送する。スティック2が姿勢修正位置16に送られると、V字型ベルトコンベア31が上昇し、持ち上げられたスティック2の開口部をスティック姿勢検出カメラ51で撮像する。スティック2の寸法、形状に基づき、スティック2の倒れ、裏返しの姿勢状態を画像処理装置53にて判定し、所定の姿勢になるまでV字型のコンベア31をモータ32で駆動し、スティック2を転動させる。
【0030】
次に、スティック2を一回転させ、スティック2の全周を外観検査する。外観検査終了後、V字型ベルトコンベア31が下降し、搬送機構13のベルトコンベア上にスティック2を戻す。次に、外観検査の結果に基づき、良品スティックは供給位置17に送り、不良品は不良品排出位置18に送る。
【0031】
次に、スティック2の姿勢修正動作について、図4を参照しながら説明する。搬送機構13から持ち上げられたスティック2は、V字型コンベア31の水平に配置されたコンベア31aの任意の位置にある(図4(a))。V字型コンベア31を駆動させると、スティック2は、垂直よりやや傾いたコンベア31bに寄り接触する(図4(b))。コンベア31bに接触したスティック2は、コンベア31bにより上方に持ち上げられ、かつコンベア31aによりコンベア31bに寄せられる(図4(c)〜(h))。これの動作によりスティック2がV字型コンベア31上を転動する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかるスティック供給装置の一実施の形態を示す概略図である。
【図2】図1のスティック供給装置のA−A線矢視図である。
【図3】本発明にかかる姿勢修正機構を示す模式図である。
【図4】本発明にかかる姿勢修正機構によるスティックの姿勢修正動作の説明図である。
【図5】電子部品を収納したスティックを示す斜視図である。
【図6】従来のスティック供給装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0033】
1 電子部品(半導体装置)
2 スティック
11 収容部
12 分離機構
13 搬送機構
14 姿勢修正機構
15 受取位置
16 姿勢修正位置
17 供給位置
18 不良品排出位置
21 ベルト
22 突出部
31(31a、31b) V字型ベルトコンベア
32 モータ
33 上下機構
34 角度
35 駆動軸
36 ベルト
41 タイミングベルト
42 突出部
51 スティック姿勢検出用カメラ
52 スティック欠陥検出用カメラ
53 画像処理装置
54 モニター
55 操作スイッチ
61 ベルトコンベア
62 押し込み機構
63 回転機構
64 モータ
65 回転体
66 ガイド棒
67 押込みブロック
68 ガイド孔
69 受け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スティックを1本ずつ切り出す分離手段と、
該分離手段によって切り出されたスティックを転動させて、所定の姿勢に修正する姿勢修正手段と、
該姿勢修正手段によって転動するスティックの外観検査を行う画像処理手段とを備えることを特徴とするスティック供給装置。
【請求項2】
前記分離手段によって切り出されるスティックは、種々の姿勢を有する複数のスティックが収容された収容部から切り出されることを特徴とする請求項1に記載のスティック供給装置。
【請求項3】
前記分離手段は、傾斜して配置されたベルトコンベアに、前記スティック1本分の間隔で突出部が立設され、前記スティックを1本ずつ該突出部に引っ掛けることにより前記スティックを搬送することを特徴とする請求項1又は2に記載のスティック供給装置。
【請求項4】
前記姿勢修正手段は、互いにV字を形成する方向に配置された2組のベルトコンベアで構成され、該2組のベルトコンベアが動作することで、該2組のベルトコンベアの間に位置する前記スティックが転動することを特徴とする請求項1、2又は3に記載のスティック供給装置。
【請求項5】
前記画像処理手段によって良品であるか不良品であるかを判定されたスティックを、次の工程への供給位置又は不良品排出位置に搬送する搬送手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4に記載のスティック供給装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−62916(P2007−62916A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250438(P2005−250438)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】