説明

ステレオグラフ画像取得方法およびその装置

【課題】 複数の単純2次元画像から奥行きに関する情報を取り出し、解像度の高いX線画像を抽出すことにより、診断における被爆を軽減し、立体画像を得る方法と手段を与えることを目的とする。
【解決手段】 所定間隔を隔てた複数の放射線発生点1、2を有する放射線発生装置からの放射線により、1台の固定した画像撮像装置4を用いて、放射線発生点1、2の異なる複数の単純2次元画像A1、B1およびA2、B2を撮像し、その内の1枚の画像(例えばA1、B1)を順次平行移動して、他の1枚(A2、B2)と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するステレオグラフ画像取得方法を構成要件としたので、最低2枚の2次元X線画像から立体像を構成できるため撮像時間を短縮でき、かつ被検体3に対する放射線被曝を減少させて安全性が向上し、画像のコントラストを上げる効果も生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放射イメージングあるいは非破壊検査に関わる産業分野において有用な特にX線イメージングにおけるステレオグラフ画像取得方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
X線を用いるレントゲン写真は、医療や動物実験や非破壊検査になくてはならないものである。高輝度X線発生装置は、物質科学、材料科学、生物化学といった最先端科学に必要である。従来、単純X線写真にはレントゲン写真を用い、断層写真にはCTが用いられている。CTは優れた解像度を有するが、近年、診断における放射線被爆が問題とされている。撮像に時間が掛かることも問題とされる。単純X線写真における被爆は問題とされないが、奥行きの情報を持たないために、CTが併用されている。このようなX線を用いたCT装置として下記特許文献1に開示されたものが提案された。
【特許文献1】特開平8−80294号公報(請求項1および請求項2参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に開示されたCT装置およびその撮影方法は以下のような構成である。CT装置を構成して被検体を収容するガントリ120の方向に移動可能なクレードル116が上部構造体115に設置され、該ガントリ120の方向に近づきながらフロアに対して平行に上昇するテーブル(アッパアーム114)が前記上部構造体115の下部に設置されている。アッパアーム114は、下端部がロアアーム111に軸支された第1および第2アーム112、113の揺動により平行移動するように構成される。そして、前記テーブルとガントリ120との間にはX線透視像生成装置121を設置し、上部構造体115のガントリ120側の端部側にX線透過部を形成したものである。
【0004】
このように構成したので、前記テーブルとガントリ120との間にX線透視像生成装置121を設置して設置スペースを少なくでき、上部構造体115のガントリ120側の端部側にX線透過部を形成したことにより、上部構造体115のガントリ120間の間隔をさらに狭くすることが可能となり、しかも、撮影場所への迅速な移動が可能となった。しかしながら、このような従来のX線を用いたCT装置では、撮影場所への迅速な移動が可能となったものの、依然として診断における放射線被爆が問題とされ、撮像に時間が掛かることも問題とされる。
【0005】
そこで、本発明では、前記従来の放射線撮影装置等における課題を解決して、複数の単純2次元画像から奥行きに関する情報を取り出し、解像度の高いX線画像を抽出すことにより、診断における被爆を軽減し、立体画像を得る方法と手段を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置からの放射線により、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するステレオグラフ画像取得方法を構成要件とする。また本発明は、所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置と、1台の固定した画像撮像装置と、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するように構成したことを特徴とするステレオグラフ画像取得装置を構成要件とする。また本発明は、前記放射線発生装置が電子蓄積リングまたはシンクロトロンあるいはベータトロンであり、その軌道中に複数のターゲットを交互にセットするかまたは異なる位置にターゲットを移動して、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする。また本発明は、前記放射線発生装置がX線管であり、前記X線管中に複数のターゲットをセットして、交互に高電圧をかけることにより、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする。また本発明は、前記放射線発生装置がマイクロフォーカス電子線発生装置またはライナックあるいはマイクロトロンもしくはベータトロンであり、発生した電子ビームを、ステアラー磁石あるいは電場を用いて方向を変えて複数のターゲットに衝突させ、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする。また本発明は、前記放射線発生装置が放射性同位元素であり、放射性同位元素の位置を駆動機構を用いて移動するか、複数の放射性同位元素をセットして、交互に遮蔽することにより、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とするもので、これらを課題解決のための手段とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置からの放射線により、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するステレオグラフ画像取得方法を構成要件としたので、最低2枚の2次元X線画像から立体像を構成できるため撮像時間を短縮でき、かつ被検体に対する放射線被曝を減少させて安全性が向上し、画像のコントラストを上げる効果も生じる。
【0008】
また、所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置と、1台の固定した画像撮像装置と、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するように構成したことを特徴とするステレオグラフ画像取得装置を構成要件としたので、最低2枚の2次元X線画像を得るだけの放射線発生装置と1台の固定した画像撮像装置とを準備して、撮像された画像の平行移動手段を組み合わせるだけでよく、被検体の患部等の立体的な画像が簡素な構造の画像取得装置により得られる。
【0009】
さらに、前記放射線発生装置が電子蓄積リングまたはシンクロトロンあるいはベータトロンであり、その軌道中に複数のターゲットを交互にセットするかまたは異なる位置にターゲットを移動して、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像した場合は、放射線を発生させるための電子が、電子蓄積リング等内を高速で繰り返し周回するために、X線の強度が低下することはない。また、放射線を発生させるための複数のターゲットを得るための方式を2つの方式から適宜選定できる。さらにまた、前記放射線発生装置がX線管であり、前記X線管中に複数のターゲットをセットして、交互に高電圧をかけることにより、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像した場合は、放射線として比較的簡便に得られるX線を用いて、X線管中に配設した複数のターゲットに選択的に通電するだけで、立体画像の取得のための複数のターゲットが容易に得られる。
【0010】
また、前記放射線発生装置がマイクロフォーカス電子線発生装置またはライナックあるいはマイクロトロンもしくはベータトロンであり、発生した電子ビームを、ステアラー磁石あるいは電場を用いて方向を変えて複数のターゲットに衝突させ、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像した場合は、マイクロフォーカス電子線発生装置等により発生した電子ビームを、磁石あるいは電場を用いて自在に方向制御を行って、複数のターゲットにて放射線を発生させることができる。さらに、前記放射線発生装置が放射性同位元素であり、放射性同位元素の位置を駆動機構を用いて移動するか、複数の放射性同位元素をセットして、交互に遮蔽することにより、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像した場合は、加速器等やX線管を用いることなく、放射線同位元素を駆動機構を用いて移動したり、複数の同位元素をセットして、交互に遮蔽することで、容易に複数の放射線発生点が得られる。
【0011】
このように、本発明のステレオグラフ画像取得方法およびその装置では、複数のX線等発生点を有するX線発生装置等を構成し、1台の固定した画像撮像装置を用いて、X線等発生点の異なる複数の単純2次元X線像等を撮像し、複数の画像を順次ずらせて重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択して、立体像を抽出する方法であり手段である。即ち、最低2枚の2次元X線等画像から立体像を構成できるために、撮像時間を短縮でき、かつ放射線被爆を減少させ、画像のコントラストを上げる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のステレオグラフ画像取得方法およびその装置の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の原理を示す概念図、図2は本発明のデジタル画像処理方法及びプロセス図、図3は山田廣成の発明による電子蓄積型X線発生装置をベースとした完全円形電子蓄積リングの内部にX線発生ターゲットを設置したX線発生装置図、図4はX線管を用いた2つのターゲットからX線を発生した場合の実施例図である。本発明の基本的な構成は、所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置からの放射線により、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するステレオグラフ画像取得方法を構成要件とした。
【0013】
本実施例のX線ステレオグラフは、複数のX線発生点を有するX線発生装置を構成し、1台の固定した画像撮像装置を用い、X線発生点の異なる複数の単純2次元X線像を撮像し、その内の1枚の画像を順次ずらせて他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択して、立体像を抽出する方法でありそのようなX線像を撮像・抽出する手段である。最良の効果をもたらす構成は、X線発生点を極力小さくすることにより得られる。推奨するX線発生点の大きさは、10ミクロン以下である。X線撮像装置の空間分解能も極力小さな物が良く、その点ではX線フィルムが良いが、画像処理の必要性から、イメージングプレートあるいはIIカメラあるいは高解像固体撮像素子が推奨される。使用する放射線としてはX線が最も簡便であるが、透過像を得るのが良く、従って、100keV以上のX線が推奨される。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例を、図1、2、3、4を用いて詳細に説明する。図1は本発明の原理を示す概念図である。本装置は、2つのX線発生ターゲット1、2を有し、被写体3の後ろに固定した撮像装置4とにより構成される。X線発生ターゲットの数は2つとは限らず、多数有っても良いが、最低2つ必要である。ここでターゲットの断面は、0.1mmφ以下を想定している。このターゲットに電子線を衝突させてX線を発生する。図1はさらに被写体3の代表点AとBが撮像装置4に投影された結果を示している。X線発生ターゲット1から出たX線は、A点のイメージを撮像装置のA1に作り、B点のイメージをB1につくる。X線発生ターゲット2から出たX線は、A点のイメージを撮像装置のA2に作り、B点のイメージをB2につくったことを示している。X線発生ターゲット1を用いた撮像と、X線発生ターゲット2を用いた撮像はそれぞれ別のフレームに格納している。
【0015】
図2は、本発明のデジタル画像処理方法及びプロセスを示している。5はX線ターゲット1で撮像した2次元画像であり、6はX線ターゲット2で撮像した画像である。但し、1次元断面のみを表示している。2つの画像をそれそれデジタル化して、その階調を示したのが、11と12である。12は、画像の中心を所定の方向に所定の距離だけ移動したことを示している。次いで11と12の画像を重ねて、対応するビットを加算したのが、13である。移動距離が適切な値であるとき、A1とA2が一致するが、B1とB2が一致することはない。逆に、B1とB2が一致するとき、A1とA2が一致することはない。従って、A1とA2が一致したとき、その強度は、2倍となるが、B1あるいはB2の強度が2倍になることはない。画像処理でレベル補正を行ったのが14である。結果として、Bのイメージが消失している。即ち、或る深さの画像が抽出されたことになる。即ち、14は断層写真になっている。移動距離をかえることにより、断層の深さを変えることができる。画像のノイズが減少し、画像が鮮明になるという効果も有る。なお加算作業やレベル調整は、既存の画像ソフトを用いて行うことが出来るので、ここでは詳述しない。
【0016】
上記の説明における移動距離は、被写体と撮像装置の距離に依存するので、被写体の奥行きの情報を含む。移動距離が大きいほど、被写体と撮像装置が離れていることを示し、移動距離が小さいほど、被写体と想像装置が近いことを示している。被写体が、撮像装置に密着して置かれているならば、密着した点では、移動距離はゼロである。2つのX線発生点の距離をd、X線発生点から被写体表面までの距離をL、被写体表面からAまでの距離をδA、被写体表面からBまでの距離をδB、被写体表面から撮像装置までの距離をLSとする。A1−A2の移動距離DAは、DA=d*(LS−δA)/(L+δA)、B1−B2の移動距離DBは、DB=d*(LS−δB)/(L+δB)となる。即ち、深さδ(δA又はδB)が大きくなれば、移動距離D(DA又はDB)が小さくなる。今、撮像装置を被写体に密着して置くならば、L>>LSであるから、D〜d*(LS−δ)/Lとなる。LSは被写体の厚さとなる。具体的に示すならば、dとして10mm、LSとして300mm、Lとして3000mmを想定すると、D〜1−δ/300となるから、δ=3mmの深さを識別するのに、移動を10ミクロンステップで行うのが良い。従って画像の分解能は10ミクロンが必要とされる。このことはとりも直さず、X線発生点の大きさとして10ミクロン以下を、撮像装置の解像度も10ミクロン以下が望ましいことを意味している。このようにして移動距離を10ミクロンステップで変えるならば、3mmステップで深さを変えた断層画像が抽出される。これらの断層画像から立体像を得ることは既存のソフトを用いて行うことができる。以上に述べたのは、一つの実施例であり、2つのX線発生点の距離、X線発生点の大きさ、被写体までの距離、被写体と撮像装置の距離等は様々に変えることができる。なかでも、2つのX線発生点の距離を広げれば、より高い解像度が得られることが理解されよう。
【0017】
前項で述べたように、本発明のX線ステレオグラフ装置では、所定距離を隔てた最低2つのX線発生点があることと、X線発生点自体の大きさすなわちターゲットの直径が10ミクロン以下であることを要求している。このような目的に使用する電子加速装置として、X線管、マイクロフォーカス電子線発生装置(電子顕微鏡のように静電圧で発生した電子を、静電場や製磁場で収束した装置)、ライナック、ベータトロン、マイクロトロンを用いることができるし、電子を周回する装置として、ベータトロン、電子シンクロトロン、電子蓄積リングを用いることができる。図3は山田廣成の発明による電子蓄積型X線発生装置をベースとしている。完全円形電子蓄積リング20の内部にX線発生ターゲット26を設置した実施例である。完全円形電子蓄積リングの外径は60cmである。ターゲット26は、断面が1から10ミクロンφの白金である。もちろん白金以外にも全ての固体をターゲットとして使用することができる。ターゲット26をターゲット駆動装置を構成する直線導入器25の先端に取り付けて、駆動して、2つの異なる位置に置いてX線を発生する。ターゲット駆動の間隔は10から50mmである。電子蓄積リング20の中を、電子は80mmほどの幅のある軌道28を周回しているために、X線発生ターゲット26の位置を中心からずらしてもX線を発生することができる。また、ターゲットの断面積を10ミクロン以下にしても、電子は電子蓄積リング20内を高速で繰り返し周回するために、X線の強度が下がることはない。同様な意味で、ベータトロンやシンクロトロンを用いることができる。電子蓄積リング20の基本構成要素は、真空槽24、パータベータ22、加速空洞23、X線ポート27であり、良く知られたものである。
【0018】
図4はX線管を用いて、2つのターゲットからX線を発生した場合の実施例である。電子の蓄積を行わない場合の実施例であり、ライナック、ベータトロン、マイクロトロンを用いた場合も類似している。X線管では、ターゲット33、34と電子銃あるいはフィラメント32の間に高電圧をかけて電子を加速してターゲット33、34に衝突させてX線を発生している。X線管31の中には、フィラメント32が封入され、電源36で加熱して電子を放出する。X線ターゲット33及び34はスイッチ35を介して高圧電源37に接続されている。フィラメント32から放出された電子は、加速されてターゲット33に到達してX線を発生する。スイッチが切り替えられてターゲット34に繋がれば、電子は34に向かって加速され、34に衝突してX線を発生する。加速電圧は30kVから200kV程度である。2つのターゲット33、34の間隔は5〜10cmである。ターゲット33、34は通常冷却されているが、図示はしていない。スイッチには、高圧用半導体素子を使うのが良いが、リレー式でもかまわない。
【0019】
マイクロフォーカス電子線発生装置、ライナック、ベータトロン、マイクロトロン等の加速器を用いるときには、図示はしないが、電子線の出口にステアラー磁石を置き、電子の進行方向を切り替えて用いる。
【0020】
本発明は、X線発生装置を例として上げたが、その他の素粒子例えばベーター線、(線、γ線、中性子等も用いることができる。X線発生ターゲットの替わりに中性子を発生しやすい鉛、ビスマス、ウラン等を用い高エネルギー電子線や粒子線を用いて、2次元中性子撮像装置を用いることが出来る。加速器ではなく放射性同位元素を用い、2つのターゲットの位置に置くのが良い。使用するX線エネルギーについて述べるならば、透過性の高い、100keV以上のX線を使用するのが良い。
【0021】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明に趣旨の範囲内で、複数の放射線発生点間の間隔、放射線発生装置の形状、形式、画像撮像装置の形状、形式、単純2次元画像の撮像形態、画像の平行移動形態、画像の重合形態、画像の強調部分の選択形態、立体画像の抽出形態、放射線発生装置としての電子蓄積リングまたはシンクロトロンあるいはベータトロンの形状、形式、その軌道中における複数のターゲットのセット形態、または異なる位置への移動形態、放射線発生装置としてX線管の形状、形式、X線管中の複数のターゲットへの交互の高電圧負荷形態、放射線発生装置としてのマイクロフォーカス電子線発生装置またはライナックあるいはマイクロトロンもしくはベータトロンの形状、形式、発生した電子ビームのステアラー磁石あるいは電場を用いた方向変換形態、放射線発生装置としての放射性同位元素の種類、放射性同位元素の位置の駆動機構による移動形態、放射性同位元素の交互の遮蔽形態等については適宜選定できる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
X線を用いるレントゲン写真は、医療や動物実験や非破壊検査になくてはならないものである。高輝度X線発生装置は、物質科学、材料科学、生物化学といった最先端科学に必要である。これらのX線利用に於いて、2つのX線発生点を導入するという簡単な改造と、画像を重ね合わせるという簡単な処理により極めて鮮明な立体画像を提供できることから、今後、全てのX線画像技術に導入されるものである。2枚の単純X線画像を撮るという操作であるから、コストもかからず、被爆も軽減できるので、被爆が問題となっているCTに置き換わるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のステレオグラフ画像取得方法およびその装置の原理を示す概念図である。
【図2】同、本発明のデジタル画像処理方法及びプロセス図である。
【図3】電子蓄積型X線発生装置を用いてX線ステレオグラフを実施した図である。
【図4】X線管に2つのターゲットを封入したX線ステレオグラフの実施例図である。
【図5】従来のCT装置およびその撮影方法の説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 第1ターゲット
2 第2ターゲット
3 被写体
4 撮像装置
5 第1ターゲットで撮像した画像
6 第2ターゲットで撮像した画像
11 画像5をデジタルした階調図である。
12 画像6デジタル化した階調図(画像を平行移動してA1とA2が重なるように表示したもの)である。
13 デジタル像5と6を加算した図である。
14 レベルの補正処理画像
15 13のレベル処理をした際のスレショルドを示した図
20 電子蓄積リング
22 パータベータ
23 加速空洞
24 真空槽
25 ターゲット駆動装置
26 ターゲット
27 X線取り出しポート
31 X線管
32 電子放出のためのフィラメント
33 第1ターゲット
34 第2ターゲット
35 スイッチング素子
36 フィラメント加熱用電源
37 電子加速用高圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置からの放射線により、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するステレオグラフ画像取得方法。
【請求項2】
所定間隔を隔てた複数の放射線発生点を有する放射線発生装置と、1台の固定した画像撮像装置と、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像し、その内の1枚の画像を順次平行移動して、他の1枚と重ね合わせることにより、画像の強調が発生した部分を選択することにより、立体画像を抽出するように構成したことを特徴とするステレオグラフ画像取得装置。
【請求項3】
前記放射線発生装置が電子蓄積リングまたはシンクロトロンあるいはベータトロンであり、その軌道中に複数のターゲットを交互にセットするかまたは異なる位置にターゲットを移動して、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする請求項2に記載のステレオグラフ画像取得装置。
【請求項4】
前記放射線発生装置がX線管であり、前記X線管中に複数のターゲットをセットして、交互に高電圧をかけることにより、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする請求項2に記載のステレオグラフ画像取得装置。
【請求項5】
前記放射線発生装置がマイクロフォーカス電子線発生装置またはライナックあるいはマイクロトロンもしくはベータトロンであり、発生した電子ビームを、ステアラー磁石あるいは電場を用いて方向を変えて複数のターゲットに衝突させ、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする請求項2に記載のステレオグラフ画像取得装置。
【請求項6】
前記放射線発生装置が放射性同位元素であり、放射性同位元素の位置を駆動機構を用いて移動するか、複数の放射性同位元素をセットして、交互に遮蔽することにより、1台の固定した画像撮像装置を用いて、放射線発生点の異なる複数の単純2次元画像を撮像したことを特徴とする請求項2に記載のステレオグラフ画像取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−29886(P2006−29886A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206731(P2004−206731)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(502235669)
【出願人】(501038001)株式会社光子発生技術研究所 (13)
【Fターム(参考)】