説明

ステント・ストラットの側部表面から治療薬を送達するためのステント

本明細書には、治療薬を送達するための移植式ステントまたは血管内ステントのような移植式医療用デバイス、およびそのような医療用デバイスを作製する方法について記載されている。1つの実施形態では、医療用デバイスは、複数のストラットを有し、少なくとも1つのストラットの中にキャビティが配置されているステントを含んでなる。治療薬はキャビティからストラット表面の開口部を介して送達される。別の実施形態では、医療用デバイスは、少なくとも1つのストラットの側部表面にコーティングが配置され、該コーティングから治療薬を送達するステントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、治療薬を送達するための移植式医療用デバイス、例えば移植式ステントまたは血管内ステント、およびそのような医療用デバイスを作製する方法について記載される。1つの実施形態では、医療用デバイスは複数のストラットを有するステントを含んでなり、該ストラットのうち少なくとも1つはその中にキャビティが配置されている。治療薬はキャビティからストラット表面の開口部を介して送達される。別の実施形態では、医療用デバイスは、少なくとも1つのストラットの側部表面にコーティングが配置されており該コーティングから治療薬が送達されるステントである。
【背景技術】
【0002】
医療用デバイスは、患者の体組織に治療薬を局所的に送達するために使用されてきた。例えば、再狭窄抑制剤のような治療薬を含有するコーティングを有するステントが、再狭窄を治療または予防するために使用されてきた。一般に、そのような医療用デバイスコーティングは、治療薬とポリマーとの組み合わせの治療薬単独を含んでいる。しかしながら、ポリマーコーティング組成物には、医療用デバイスの表面に実際には付着しないものがある。このコーティング組成物が表面上に確実にとどまるようにするためには、ステント・ストラットのような医療用デバイスの被コーティング領域は、該コーティング組成物でカプセル式に封入される。しかしながら、このポリマーは医療用デバイスに付着しないので、医療用デバイスの装荷、展開および移植の際にコーティング組成物が変形および損傷しやすい。ポリマーコーティングに何らかの損傷があれば治療薬の放出プロファイルが変化する可能性があり、治療薬放出速度の不適当な増減をもたらす可能性がある。
【0003】
さらに、治療薬を含んでなるコーティングでステント・ストラットをカプセル式に封入することによって、所望量よりも大量の治療薬が送達される可能性がある。例えば、治療薬が再狭窄抑制剤である場合、そのような作用薬を含有するコーティングを、管腔側表面を含むストラットのすべての表面に施すことにより、血流に再狭窄抑制剤が不必要に送達される可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、治療薬を送達するための現在の医療用デバイスの欠点を回避すると同時に所望の方式で有効量の治療薬を放出することができる医療用デバイスが必要とされている。さらに、そのような医療用デバイスを作製する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記およびその他の目的は本明細書に記載された医療用デバイスにより対処される。1つの実施形態では、医療用デバイスは移植式ステントを含んでなり、該ステントはステント側壁構造を備え該側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなる。少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなる。該ストラットは第1の材料を含んでなる。さらに、少なくとも1つのストラットの中には少なくとも1つのキャビティが配置されている。キャビティは、管腔外側表面と流体連通している第1の開口部と、第1の側部表面と流体連通している第2の開口部とを有する。キャビティ内に治療薬を配置することができる。さらに、管腔外側表面と流体連通しているキャビティの第1の開口部の少なくとも一部分を覆ってコーティングが配置される。側部表面と流体連通しているキャビティの第2の開口部は少なくとも部分的に露出される。
【0006】
別の実施形態では、医療用デバイスは、ステント側壁構造を備え該側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなる、移植式ステントを含んでなる。少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなる。また、少なくとも1つのストラットの中には少なくとも1つのキャビティが配置されており、該キャビティは第1の側部表面と流体連通している第1の開口部を有し、キャビティの第1の開口部は少なくとも部分的に露出される。キャビティは、管腔外側表面または管腔側表面と流体連通している開口部を持たない。また、キャビティ内に治療薬が配置される。
【0007】
さらに、1つの実施形態では、医療用デバイスは、ステント側壁構造を備え該側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなる、移植式ステントを含んでなる。ストラットのうち少なくとも1つは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなる。第1の側部表面の少なくとも一部分に第1のコーティングが配置され、管腔外側表面および管腔側表面はコーティングをほとんど有していない。
【0008】
本明細書には医療用デバイスを作製する方法も記載される。1つの実施形態では、該方法は移植式ステントを作製するための方法である。該方法は、長手方向軸を有する管状壁を有する管を提供するステップを含んでなり、該ステップにおいて管状壁は管腔外側表面および管腔側表面を含んでなる。管状壁の管腔外側表面には少なくとも1つの溝が配置され、この溝は管状壁を貫通して管腔側表面に達してはいない。治療薬は溝の少なくとも一部の中に配置される。管腔外側表面の少なくとも一部分を覆ってコーティングが配置されて、溝の中に配置された治療薬の少なくとも一部がコーティングによって覆われるようになっている。ステントは、管腔外側表面にコーティングが配置されている管から形成される。該ステントは、複数のストラットおよびギャップを含んでなるステント側壁構造を備え、ストラットのうち少なくとも1つは管腔外側表面、管腔表面および第1の側部表面を含んでなる。また、該ストラットは治療薬を包含している溝の一部分を含んでなるキャビティ、および治療薬を包含している溝の一部分を含んでなるキャビティを有し、キャビティは、少なくとも部分的に露出されており、かつ第1の側部表面と流体連通している開口部を有する。別例として、溝の中に治療薬を配置する代わりに、充填材が溝の中に配置される。ステントが形成された後、充填材はキャビティから取り除かれ、該キャビティ内に治療薬が配置される。
【0009】
別の実施形態では、移植式ステントを作製する方法は、シート状壁を有する平面シート状の材料を提供することを含んでなる。シート状壁は第1面と第2面とを含んでなる。該方法は、シート状壁の第1面に少なくとも1つの溝を配置することを含んでなり、該溝はシート状壁を貫通して第2面に及ぶことはない。その後、溝の少なくとも一部に治療薬が配置される。溝に配置された治療薬の少なくとも一部がコーティングによって覆われるように、第1面の少なくとも一部分を覆ってコーティングが配置される。側壁構造は、第1面にコーティングが配置されているシートから、該コーティングシートの一部を除去することにより形成される。側壁構造は複数のストラットおよびギャップを含んでなり、ストラットのうち少なくとも1つは、天面、底面、第1の側部表面およびキャビティを含んでなる。キャビティは、治療薬を包含している溝の一部分、および第1の側部表面と流体連通している開口部を含んでなる。開口部は少なくとも部分的に露出される。溝の中に治療薬を配置する代わりに、充填材が溝の中に配置されてもよい。側壁構造が形成された後、充填材がキャビティから取り除かれて治療薬がキャビティ内に配置される。
【0010】
移植式ステントを作製する別の方法では、該方法は、ステント側壁構造を備え該ステント側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントを提供することを含む。少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなる。また、少なくとも1つのヴァシティ(vacity)がストラット内に配置され、該キャビティは、第1の側部表面と流体連通している第1の開口部、および管腔外側表面または管腔側表面と流体連通している第2の開口部を有している。該方法はさらに、キャビティ内に治療薬を配置すること、ならびに、キャビティが管腔外側表面または管腔側表面と流体連通しないように第2の開口部および他の開口部を覆って材料を付与することを含んでなる。一方、第1の開口部は少なくとも部分的に露出される。
【0011】
さらなる実施形態では、移植式ステントを作製する方法は、ステント側壁構造を備え該ステント側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントを、提供することからなる。少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなる。該ストラットには、第1の側部表面と流体連通している第1の開口部を有する少なくとも1つのキャビティが配置されている。キャビティは、管腔外側表面または管腔側表面とは流体連通していない。該方法はさらに、キャビティ内に治療薬を配置すること、および第1の開口部を少なくとも部分的に露出させることを含んでなる。
【0012】
さらに、別の実施形態では、移植式ステントを作製する方法は、ステント側壁構造を備え該ステント側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントであって、少なくとも1つのストラットは管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなることを特徴とするステントを提供することを含む。該ステントはマンドレル上に配置される。治療薬を含んでなるコーティング組成物が、平面上に付与される。マンドレル上に配置されたステントは、ストラットの第1の側部表面にコーティング組成物を付与するために、平面上に付与されたコーティング組成物中で転がされる。手順は、管腔外側表面および管腔側表面にはコーティング組成物がほとんど無いことが確実となるように行われる。
【0013】
本明細書中に記載された実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】複数のストラットおよびギャップもしくは開口部、ならびに少なくとも1つのストラット内に配置された少なくとも1つのキャビティを含んでなる側壁構造を有する医療用デバイスの一例を示す斜視図。
【図2A】ステントのような医療用デバイスの一実施形態のストラットを示す斜視図。
【図2B】線A−Aおよび線B−Bの間に位置する図2Aのストラットの一部分が脈管内に置かれた場合の、該部分を示す図。
【図2C】図2Bのストラット一部分の線D−Dにおける断面図。
【図3A】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図3B】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図3C】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図3D】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図3E】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図3F】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図3G】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4A】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4B】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4C】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4D】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4E】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4F】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4G】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4H】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4I】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4J】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4K】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4L】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図4M】ストラットがキャビティを含んでなる別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図5A】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図5B】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図5C】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図5D】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図5E】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図5F】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図5G】ストラットがキャビティを含んでなる特定の実施形態のストラットを示す断面図。
【図6】別の実施形態のストラットを示す斜視図。
【図7】ステントのストラットの側部表面にコーティング組成物が配置されるステントの実施形態を示す斜視図。
【図8A】ステントを作製する方法の一実施形態を示す図。
【図8B】ステントを作製する方法の一実施形態を示す図。
【図8C】ステントを作製する方法の一実施形態を示す図。
【図8D】ステントを作製する方法の一実施形態を示す図。
【図8E】ステントを作製する方法の一実施形態を示す図。
【図8F】ステントを作製する方法の一実施形態を示す図。
【図9】ステントを作製する方法の実施形態の1ステップを示す図。
【図10A】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図10B】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図10C】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図10D】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図10E】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図10F】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図11】ステントを作製する方法の実施形態の1ステップを示す図。
【図12A】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図12B】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図12C】ステントを作製する方法の別の実施形態を示す図。
【図13A】ステントを作製する方法のさらに別の実施形態を示す図。
【図13B】ステントを作製する方法のさらに別の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
医療用デバイス
1つの実施形態では、医療用デバイスは、ステント側壁構造を備えたステントであって、該ステント側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなる、ステントである。少なくとも1つのストラットは第1の材料を含んでなる。また、少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなる。ストラットの管腔外側表面とは、ステントが内腔内に移植されたときに内腔から離れた側を向いているか、または内腔壁(例えばウェッセル(wessel)壁)の側を向いている表面である。ストラットの管腔側表面は、ステントが内腔内に移植されたときに内腔側を向いている、または内腔壁から離れた側を向いている表面である。ストラットの側部表面は、ストラットの管腔外側表面と管腔側表面との間に配置される表面である。いくつかの実例では、ストラットが金属管のような材料から切り出されることにより形成される場合、側部表面は、切断面すなわちストラットが材料から切り出される時に形成される表面となりうる。さらに、少なくとも1つのストラット内に配置された少なくとも1つのキャビティがあり、該キャビティはストラットの側部表面と流体連通している開口部を含んでなる。キャビティ内に治療薬が配置されてもよい。この治療薬はキャビティから開口部を通して放出可能である。
【0016】
図1は、ステントの側壁構造100の一部分の実施形態を示す。側壁構造100はストラット110およびギャップ120を含んでなる。少なくとも1つのストラット110aは、管腔外側表面112ならびに第1の側部表面114および第2の側部表面116を有している。また、少なくとも1つのストラット110aの中にはキャビティ130が配置されている。該キャビティ内に治療薬が配置されてもよい。キャビティ130は第1の側部表面114と流体連通している開口部132を有する。またキャビティ130は、ストラット110aの第2の側部表面116、管腔外側表面112または管腔側表面(図示せず)と流体連通している別の開口部(図示せず)を有することもできる。この実施形態では、開口部132は少なくとも部分的に露出されている、すなわち材料によって覆われていない。いくつかの実施形態では、開口部全体が露出されるか、または開口部の一部が露出される。
【0017】
図2Aに示されているのはストラットの一実施形態である。この実施形態では、ストラット内に配置されたキャビティの開口部を覆ってコーティングが配置されている。より具体的には、この実施形態では、ストラット110は該ストラット内にいくつかのキャビティ130が配置されている。少なくとも1つのキャビティ130aは、ストラット110の側部表面114と流体連通している第1の開口部132を有する。キャビティ130aはさらに、ストラット110の管腔外側表面112と流体連通している第2の開口部(図示せず)を有している。また、キャビティ130aは、キャビティ130bの開口部134のような、ストラット110の第2の側部表面116と流体連通している第3の開口部(図示せず)を有することができる。下記に記載されるように、キャビティは様々な構成を有することができる。さらに、異なる構成を有するキャビティは同じストラット内に配置されてもよいし、異なるストラット内に配置されてもよい。さらに、下記に記載されるように、開口部は様々な形状または構成を有することが可能であり、異なる形状または構成の開口部は同じストラット内に配置されてもよいし、異なるストラット内に配置されてもよい。
【0018】
この実施形態では、コーティング140は、管腔外側表面112と流体連通しているキャビティ130aの開口部の少なくとも一部分を覆って配置される。いくつかの実施形態では、コーティングは、管腔外側表面と流体連通しているキャビティの開口部全体を覆って配置される。他の実施形態では、コーティングは開口部全体よりも少ない部分を覆って配置される。さらに、この実施形態では、コーティング140は、ストラット110の管腔外側表面112の一部分を覆って、例えば位置Xに配置される。
【0019】
コーティングはストラットと同じ材料を含んでなることができる。あるいは、コーティングはストラットの材料とは異なる材料を含んでなることもできる。ある実施形態では、コーティングは、ポリマー、金属、酸化物、セラミック、またはそのような材料の異なる組み合わせもしくは複合材(例えばセラミックとポリマーとの複合材)を含んでなる。ある実施形態では、コーティングは放射線不透性物質を含んでなることもできる。
【0020】
いくつかの実例では、コーティングにはいかなるポリマーもほとんど含まれない、すなわちコーティング材には意図的にポリマーは添加されない。他の実施形態では、コーティングは、キャビティからのコーティングを介した治療薬の放出を調整するポリマーを含んでなることができる。また、いくつかの実施形態では、コーティングは、キャビティからのコーティングを介した治療薬の放出を防止する材料を含んでなる。別例では、コーティングは、キャビティからのコーティングを介した治療薬の放出を可能にする複数の細孔を内部に有している材料を含んでなる。別例では、コーティングは、キャビティからのコーティングを介した治療薬の放出を可能にする複数の細孔を内部に有している材料を含んでなる。さらに、ある実施形態において、コーティングは、1または複数のキャビティ内に配置された治療薬と同じ治療薬を含んでもよいし、異なる治療薬を含んでもよい。例えば、コーティングはポリマーと第1の治療薬とを含んでなることができる。そのような実施形態では、第1の治療薬がストラットの管腔外側表面から放出される一方で、キャビティ内の第2の治療薬は切断面から放出される。
【0021】
図2Bは、図2Aの線A−AおよびB−Bの間に位置する、ストラット110の一部分を示す。ステントのこの部分は、血管152のような体腔に挿入または移植されているものとして示されている。図2Bに示されるように、コーティング140は血管壁150に接して配置されている。キャビティ130aの開口部132は少なくとも部分的に露出されるので、キャビティ130aの中に配置された治療薬は、キャビティ130aから血管152または血管壁150の中へ放出されることができる。図2Cは、図2Bに示されるストラットの線D−Dにおける断面図を示す。この図に示されるように、コーティング140は、ストラット110の管腔外側表面と流体連通しているキャビティ130aの開口部を覆って配置されている。また、この図に示されるように、それぞれ側部表面と流体連通している第1および第3の開口部は、管腔外側表面と流体連通している第2の開口部の少なくとも一部分と接している、すなわち、開口部の少なくとも一部分については仕切りとなる材料が存在しない。
【0022】
図3A−3Gは、ストラット内に配置することができるキャビティ305の開口部の様々な構成を示している。これらの図はキャビティの開口部を覆って配置されたコーティングを示していないが、1つ以上の開口部の少なくとも一部分を覆ってコーティングが配置されてもよい。図3Aは、キャビティ305が内部に配置されたストラット300の例を示す。キャビティ305は側部表面320だけに開口部350を有している。この実施形態では、キャビティ305はストラット300の表面に広がる他の開口部を持たない。他の実施形態では、キャビティの単一の開口部はストラットの異なる表面に、例えば管腔外側表面310に存在してもよい。
【0023】
図3B、3Cおよび3Dは、キャビティ305が、ストラット300の管腔外側表面310と流体連通している第1の開口部340、およびストラット300の側部表面320と流体連通している第2の開口部350を有している実施形態を示す。図3Bおよび3Dでは、開口部340の少なくとも一部分は開口部350の一部分に接している、すなわち、開口部の一部については仕切りとなる材料が存在しない。図3Cでは、開口部340および350は互いに接していない。さらに、図3Bでは、開口部340は管腔外側表面310の幅全体にわたって伸びる。図3Dでは、開口部340は管腔外側表面310の幅全体にわたってはいない。また、図3B、3Cおよび3Dでは、キャビティは、例えば管腔側表面または他の側部表面(図示せず)に、さらなる開口部を有してもよいし、有していなくてもよい。
【0024】
キャビティ305はまた、図3E、3Fおよび3Gに示されるようなストラット300の管腔側表面330と流体連通している開口部360を有することもできる。図3Eおよび3Gでは、開口部360の少なくとも一部分は開口部350の一部分に接している。図3Fでは、開口部350、360は互いに接していない。さらに、図3Eでは、開口部360は管腔側表面330の幅全体にわたって伸びる。図3Gでは、開口部360は管腔側表面330の幅全体に及んではいない。また、図3E、3Fおよび3Gでは、キャビティは、例えば管腔側表面または他の側部表面(図示せず)に、さらなる開口部を有してもよいし、有していなくてもよい。
【0025】
キャビティの開口部は様々な形状および大きさを有することができる。図4A−4Mは、開口部の形状の例を示している。図4Aは楕円形状の開口部を示し、図4Bは円形状の開口部を示している。図4Cおよび4Dは、三角形状の開口部を示している。図4Eおよび4Fは半楕円形状の開口部を示し、図4Gおよび4Hは半円形状の開口部を示している。図4I−4Mは、1つの開口部の少なくとも一部分が別の開口部の一部分に接している、様々な形状の開口部の例を示している。本明細書中に図示および記載されたもの以外の、形状の様々な改変形態は、当業者には明白であろう。
【0026】
キャビティは様々な形状および大きさを有することができる。図5A−5Gは、いくつかのキャビティ形状の断面図を示している。本明細書中に図示および記載されたもの以外の、形状の様々な改変形態は、当業者には明白であろう。
【0027】
図2A−2Cに示された実施形態は、キャビティの開口部の少なくとも一部分を覆って配置されたコーティングを備えている。上述の実施形態のうちいずれかのような、ストラットの他の実施形態は、そのようなコーティングを備えていない場合もある。図6は、そのようなコーティングを備えていない実施形態を示す。この実施形態では、ストラット610は該ストラット内にいくつかのキャビティ630が配置されている。少なくとも1つのキャビティ630aは、ストラット610の側部表面614と流体連通している開口部632を有する。キャビティ630aはさらに、キャビティ630bの開口部634のような、ストラット610のもう一方の側部表面616と流体連通している開口部(図示せず)を有している。この実施形態では、キャビティの開口部は少なくとも部分的に露出されている。さらに、この実施形態では、キャビティ630aはストラット610の管腔外側表面612または管腔側表面と流体連通している開口部を有していない。したがって、キャビティ内に配置される治療薬は、ストラットの管腔外側表面または管腔側表面を介して放出されることはない。治療薬は、ストラットの側部表面の開口部を介して放出されうる。いくつかの実施形態では、ストラットの1または複数の表面にコーティングが配置されてもよい。コーティングは、本明細書中で議論された材料を含んでなることができる。
【0028】
さらに別の実施形態では、医療用デバイスは、側壁構造700を有し該側壁構造700は該構造内に複数のストラット710およびギャップ720を含んでなる、ステントを含んでなる。ある実施形態では、ステントは自己拡張型ステントである。少なくとも1つのストラット710、例えばストラット710aは、管腔外側表面712、管腔側表面(図示せず)ならびに第1の側部表面714および第2の側部表面716を有する。ポリマーまたは治療薬のうち少なくともいずれか一方を含んでなるコーティング730は、ストラット710の側部表面714、716のうち1つ以上の少なくとも一部分に配置される。ストラットの管腔外側表面712および管腔側表面にはコーティングはほとんど存在しない、すなわちこれらの表面にはコーティングは意図的には配置されない。いくつかの実施形態では、管腔外側表面および管腔側表面にはいかなるコーティングもほとんど存在しない。
【0029】
医療用デバイスの種類
本発明の実施形態に適した医療用デバイスは、限定するものではないが、管状部分または円筒様部分を有するデバイスである。例えば、医療用デバイスの管状部分は完全な円筒状である必要はない。管状部分の断面は、円形だけでなく、長方形、三角形などのような任意の形状であってよい。そのようなデバイスには、限定するものではないが、ステント、バルーンカテーテルおよびグラフトが挙げられる。分岐型ステントも、本明細書中に記載された方法で製作可能な医療用デバイスに含まれる。
【0030】
さらに、医療用デバイスの管状部分は、複数の開口部を画成する複数のストラットを含んでなる側壁であってよい。側壁はルーメンを画成する。ストラットは任意の適切な構成をなして配列可能である。また、ストラットは必ずしも全てが同じ形状または幾何学的構成を有する必要はない。医療用デバイスが複数のストラットを含んでなるステントである場合、表面はストラット上に位置する。個々のストラットはそれぞれ、患者の体組織と接触するようになされた外側表面、内側表面、および外側表面と内側表面との間の少なくとも1つの側部表面を有する。
【0031】
本明細書中に記載された実施形態に特に適した医療用デバイスには、当業者に周知の、医療用の任意の種類のステントが含まれる。ステントは、患者の血管内に永久移植するために設計された血管内ステントであってもよい。ある実施形態では、ステントは開放格子状側壁ステント構造を含んでなる。典型的な実施形態では、適切なステントは冠状動脈ステントである。他の適切なステントには、例えば、自己拡張型ステントおよびバルーン拡張型ステントのような血管内ステントが挙げられる。使用可能な自己拡張型ステントの例は、ウォルステン(Wallsten)の米国特許第4,655,771号および同第4,954,126号、ならびにウォルステン(Wallsten)らの米国特許第5,061,275号明細書に例証されている。適切なバルーン拡張型ステントの例は、ピンチャスキ(Pinchaski)らの米国特許第5,449,373号明細書に示されている。
【0032】
1つの実施形態では、血管内ステントの形状は略円筒形である。該ステントは側壁構造を備え、該側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよび少なくとも1つのギャップを含んでなる。一般に、ギャップは隣接したストラットどうしの間に配置される。また、側壁構造は第1の側壁表面および反対側の第2の側壁表面を有することができる。第1の側壁表面は、ステントが移植されたときに体腔壁に面する外側または管腔外側の側壁表面であってもよいし、体腔表面から離れた側に面する内側または管腔側の側壁表面であってもよい。同様に、第2の側壁表面は管腔外側の側壁表面であっても管腔側の側壁表面であってもよい。少なくとも1つのストラットは、ステントの管腔外側表面の一部を形成する管腔外側表面を含んでなり、かつ少なくとも1つのストラットは、ステントの管腔側表面の一部を形成する、ストラットの管腔外側表面の反対側の管腔側表面を含んでなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、ステント側壁構造の管腔外側表面は少なくとも1つのキャビティを含んでなり、管腔側表面にはキャビティがない。他の実施形態では、1または複数のキャビティが、ステント側壁構造中の支える応力が低い部分に設けられてもよい。
【0034】
本明細書中に記載されたコーティングがステント側壁構造内に開口部を有するステントに付与される場合、ある種の実施形態では、ある実施形態では、コーティングは側壁ステント構造の開口部が保存されるように、例えば、開口部がコーティング材で完全または部分的に塞がれることのないように、ステント表面に合致する。
【0035】
適切なステントのフレーム構造は当分野で知られているような様々な方法によって形成可能である。フレーム構造は、溶接、モールド成形、レーザー切断、電気的形成により形成されてもよいし、連続構造体を形成するために相互に織り込みまたは編み込みがなされたフィラメントまたはファイバーで構成されてもよい。
【0036】
医療用デバイスは、金属材料、セラミック材料、ポリマー材料もしくは非ポリマー材料、またはこれらの組み合わせから製作可能である(以下の第5.1.1.1節〜第5.1.1.3節を参照)。好ましくは、材料は生体適合性を有する。材料は多孔性でも非多孔性でもよく、多孔性の構造要素はマイクロ多孔性であってもナノ多孔性であってもよい。さらに、コーティングは、基材とは異なる材料であっても基材と同じ材料であってもよい。
【0037】
医療用デバイスのための金属材料
ある実施形態では、医療用デバイスは、金属性の基材またはコーティングを含んでなる。基材またはコーティングを作製するのに有用な適切な金属材料には、限定するものではないが、チタン系の金属および合金(ニチノール、ニッケル−チタン合金、熱記憶合金材料など)、ステンレス鋼、金、白金、イリジウム、モリブデン、ニオブ、パラジウム、クロム、タンタル、ニッケル、ニッケルクロム、コバルト、タングステン、またはこれらの合金もしくはこれらの組み合わせのうち少なくともいずれかが挙げられる。合金の例には、白金イリジウム合金、コバルトクロム合金、例えばElgiloy(R)およびPhynox(R)のようなコバルト−クロム−ニッケル合金、MP35N合金、ならびにニッケル−チタン合金(例えばニチノール)が挙げられる。医療用デバイスの作製に使用することができる他の金属材料には、国際公開公報第94/16646号パンフレットに開示されたもののようなクラッド複合材フィラメントが挙げられる。
【0038】
いくつかの実施形態では、金属は、医療用デバイスをX線検査または蛍光透視検査で視認可能とする放射線不透性物質である。放射線不透過性の適切な材料には、限定するものではないが、金、タンタル、白金、ビスマス、イリジウム、ジルコニウム、ヨウ素、チタン、バリウム、銀、スズ、これらの金属の合金、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
さらに、基材を形成するために単一種類の金属が使用されてもよいが、金属の様々な組み合わせが用いられてもよい。基材に組み込まれた時に所望の結果を生じるように、適切な金属混合物を調整することができる。
【0040】
医療用デバイスのためのセラミック材料
ある実施形態では、医療用デバイスは、セラミックの基材またはコーティングを含んでなる。基材またはコーティングを作製するのに使用される適切なセラミック材料には、限定するものではないが、遷移元素の酸化物、炭化物または窒化物、例えばチタン、ハフニウム、イリジウム、クロム、アルミニウム、ジルコニウム、遷移金属、白金、タンタル、ニオブ、タングステン、ロジウム、鉄、バナジウム、ニッケル、またはこれらの組み合わせを含有するものが挙げられる。シリカのようなシリコン系材料が使用されてもよい。さらに、基材を形成するために単一種類のセラミックが使用されてもよいが、セラミックの様々な組み合わせが用いられてもよい。基材に組み込まれた時に所望の結果を生じるように、適切なセラミック混合物を調整することができる。
【0041】
医療用デバイスのためのポリマー材料
ある実施形態では、医療用デバイスは、ポリマー性の基材またはコーティングを含んでなる。他の実施形態では、材料は非ポリマー材料であってもよい。医療用デバイスの構成要素を形成するのに有用なポリマーは、生体適合性を有し、かつ体組織への刺激を回避するポリマーであるべきである。ポリマーは生物学的に安定であってもよいし、生体吸収性であってもよい。基材を作製するのに有用な適切なポリマー材料には、限定するものではないが、イソブチレン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリアクリレートおよびポリアクリレート誘導体、酢酸ビニル系ポリマーおよびそのコポリマー、ポリウレタンおよびそのコポリマー、シリコーンおよびそのコポリマー、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンテレフタラート、熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー、アクリル樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸−ポリエチレン酸化物コポリマー、セルロース、コラーゲン、キチン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
基材を作製するための材料として有用な他のポリマーには、限定するものではないが、Dacron(R)ポリエステル、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリラート、ポリプロピレン、ポリシュウ酸アルキレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ナイロン、ポリジメチルシロキサン、ポリシアノアクリラート、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、エチレングリコールI ジメタクリラート、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリラート)、ポリテトラフルオロエチレン ポリ(HEMA)、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)、ポリカーボネート、ポリ(グリコリド−ラクチド)コポリマー、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−ヒドロキシブチラート)、ポリジオキサノン、ポリ(γ−エチルグルタメート)、ポリイミノカーボネート、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、スチレン・イソブチレン・スチレン、ポリエーテルオキシド、ポリビニルアルコール、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリ2−ヒドロキシブチラート、ポリカプロラクトン、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマー(poly(lactic−co−clycolic)acid)、Teflon(R)、アルギナート、デキストラン、キチン、綿、ポリグリコール酸、ポリウレタン、これらの誘導体(すなわち、例えば結合部位または架橋基(例えばアルギニン−グリシン−アスパラギン酸であるRGD)を含むように修飾が施されたポリマーであって、該ポリマーはその構造上の完全性を保持すると同時に、細胞および分子、例えばタンパク質または核酸のうち少なくともいずれかの結合が可能であるもの)、またはこれらの組み合わせ、が挙げられる。
【0043】
ポリマーはその機械的強度を高めるために脱水されてもよい。その後、該ポリマーは基材全体または基材の一部を形成するために基礎材料として使用されうる。
さらに、基材を形成するために単一種類のポリマーが使用されてもよいが、ポリマーの様々な組み合わせが用いられてもよい。基材に組み込まれた時に所望の結果を生じるように、適切なポリマー混合物を調整することができる。
【0044】
治療薬
本明細書中で使用される用語「治療薬」は、薬物、遺伝物質および生体物質を包含し、「生物学的活性物質」と互換的に使用することができる。用語「遺伝物質」は、DNAまたはRNA、例えば、限定するものではないが、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターを含めて人体へ導入するための、以下に述べる有用タンパク質をコードするDNA/RNAを意味する。
【0045】
用語「生体物質」には、細胞、酵母、細菌、タンパク質、ペプチド、サイトカインおよびホルモンが含まれる。ペプチドおよびタンパク質の例には、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、形質転換増殖因子(TGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、軟骨成長因子(CGF)、神経成長因子(NGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、骨格成長因子(SGF)、骨芽細胞由来成長因子(BDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、サイトカイン増殖因子(CGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、低酸素誘導因子−1(HIF−1)、幹細胞由来因子(stem cell derived factor)(SDF)、幹細胞刺激因子(SCF)、内皮細胞増殖サプリメント(ECGS)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、増殖分化因子(GDF)、インテグリン修飾因子(IMF)、カルモジュリン(CaM)、チミジンキナーゼ(TK)、腫瘍壊死因子(TNF)、成長ホルモン(GH)、骨形態形成タンパク質(BMP)(例えばBMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6(Vgr−1)、BMP−7(PO−1)、BMP−8、BMP−9、BMP−10、BMP−11、BMP−12、BMP−14、BMP−15、BMP−16など)、マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)、組織性マトリクスメタロプロテイナーゼ阻害因子(TIMP)、サイトカイン、インターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−15など)、リンホカイン、インターフェロン、インテグリン、コラーゲン(全種類)、エラスチン、フィブリリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、トランスフェリン(transferring)、サイトタクチン(cytotactin)、細胞結合ドメイン(例えばRGD)、およびテネイシンが挙げられる。典型的なBMPは、BMP−2、BMP−3、BMP−4、BMP−5、BMP−6、BMP−7である。これらの二量体タンパク質は、ホモ二量体、ヘテロ二量体またはこれらの組み合わせとして、単独で、または他の分子と一緒に提供可能である。細胞は、ヒトを起源とするもの(自己由来または同種異系)であっても動物を供給源とするもの(異種由来)であってもよく、望ましい場合には、対象とするタンパク質を移植部位に送達するために遺伝子操作されてもよい。送達媒体は、細胞の機能および生存率を維持するための必要に応じて調製可能である。細胞には、前駆細胞(例えば内皮前駆細胞)、幹細胞(例えば、間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞)、間質細胞、実質細胞、未分化細胞、繊維芽細胞、マクロファージおよび衛星細胞が含まれる。
【0046】
他の適切な治療薬には:
・ 抗血栓薬、例えばヘパリン、ヘパリン誘導体、ウロキナーゼ、およびPPack(デキストロフェニルアラニン プラリネ(praline) アルギニン クロロメチルケトン);
・ 抗増殖薬、例えばエノキサプリン(enoxaprin)、アンギオペプチン、または平滑筋細胞の増殖を阻止することができるモノクローナル抗体、ヒルジン、アセチルサリチル酸、タクロリムス、エベロリムス、ピメクロリムス、シロリムス、ゾタロリムス、アムロジピンおよびドキサゾシン;
・ 抗炎症薬、例えばグルコルチコイド(glucorticoid)、ベタメタゾン(betemethasone)、デキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、ロシグリタゾン、ミコフェノール酸およびメサラミン;
・ 抗新生物薬/抗増殖薬/抗縮瞳薬(anti−miotic agent)、例えばパクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、エポチロン、メトトレキセート、アザチオプリン、アドリアマイシンおよびmutamycin(R);エンドスタチン、アンギオスタチンおよびチミジンキナーゼ阻害剤、クラドリビン、タキソールおよびタキソール類似体またはタキソール誘導体、パクリタキセルおよびパクリタキセルの誘導体、類似体またはタンパク質結合型パクリタキセル(例えばAbraxaneTM);
・ 麻酔薬、例えばリドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン;
・ 抗凝血剤、例えばD−Phe−Pro−Argクロロメチルケトン、RGDペプチド含有化合物、ヘパリン、抗トロンビン化合物、血小板受容体アンタゴニスト、抗トロンビン抗体、抗血小板受容体抗体、アスピリン(アスピリンは、鎮痛薬、解熱薬、および抗炎症薬としても分類される)、ジピリダモール、プロタミン、ヒルジン、プロスタグランジン阻害剤、血小板阻害剤、トラピジルもしくはliprostin(TM)のような抗血小板剤ならびにダニ抗血小板ペプチド;
・ DNA脱メチル化剤、例えば5−アザシチジン(細胞増殖を阻害し、ある種のがん細胞のアポトーシスを引き起こすRNAまたはDNA代謝産物としても分類される);
・ 血管細胞成長促進物質、例えば成長因子、血管内皮細胞増殖因子(VEGF、VEGF−2を含む全種類)、成長因子受容体、転写活性化因子、および翻訳プロモータ;
・ 血管成長阻害剤、例えば抗増殖薬、成長因子阻害剤、成長因子受容体アンタゴニスト、転写抑制因子、翻訳抑制因子、複製阻害剤、遮断抗体、成長因子に対する抗体、成長因子と細胞毒素とで構成される二機能分子、抗体と細胞毒素とで構成される二機能分子;
・ コレステロール低下剤、血管拡張剤、および内因性の血管作動性メカニズムを妨げる作用薬;
・ プロブコールのような抗酸化剤;
・ 抗生物質、例えばペニシリン、セフォキシチン、オキサシリン、トブラナイシン(tobranycin)、ラパマイシン(シロリムス);
・ 血管新生物質、例えば酸性および塩基性線維芽細胞増殖因子、エストロゲン、例えばエストラジオール(E2)、エストリオール(E3)および17−βエストラジオール;
・ 心不全のための医薬品、例えばジゴキシン、β−遮断薬、カプトロプリル(captropril)およびエナロプリル(enalopril)を含むアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、スタチン類および関連化合物;ならびに
・ シロリムスまたはエベロリムスのようなマクロライド;
が挙げられる。
【0047】
他の治療薬には、ニトログリセリン、亜酸化窒素、酸化窒素、抗生物質、アスピリン、ジギタリス、エストロゲン、エストラジオールおよびグリコシドが挙げられる。典型的な治療薬には、ステロイドのような抗増殖性の薬物、ビタミン類、および再狭窄抑制剤が含まれる。典型的な再狭窄抑制剤には、微小管安定化剤、例えばTaxol(R)、パクリタキセル(すなわちパクリタキセル、パクシリタキセル(paxlitaxel)類似物、またはパクリタキセル誘導体、およびこれらの混合物)が挙げられる。例えば、医療用デバイスにおいて使用するのに適した誘導体には、2’−スクシニル−タキソール、2’−スクシニル−タキソール・トリエタノールアミン、2’−グルタリルタキソール、2’−グルタリルタキソール・トリエタノールアミン塩、N−(ジメチルアミノエチル)グルタミンとの2’−O−エステル、およびN−(ジメチルアミノエチル)グルタミド塩酸塩との2’−O−エステルが挙げられる。
【0048】
他の典型的な治療薬には、タクロリムス;ハラフジノン(halafuginone);HSP90ハートショックタンパク質(HSP90 heart shock protein)の阻害剤、例えばゲルダナマイシン(geldanamysin);微小管安定化剤、例えばエポチロンD;ホスホジエステラーゼ阻害薬、例えばクリオスタゾール(cliostazole);Barkct阻害剤;ホスホランバン阻害剤;およびSerca2遺伝子/タンパク質、が挙げられる。さらに別の実施形態では、治療薬は、エリスロマイシン、アンフォテリシン、ラパマイシン、アドリアマイシンなどのような抗生物質である。
【0049】
1つの実施形態では、治療薬は、細胞の代謝を変化させることができるか、または細胞の活動、例えばタンパク質合成、DNA合成、紡錘糸形成、細胞増殖、細胞移動、微小管形成、微小繊維形成、細胞外マトリクス合成、細胞外マトリクス分泌、もしくは細胞体積の増大を抑制することができる。別の実施形態では、治療薬は細胞の増殖または移動のうち少なくともいずれか一方を抑制することができる。
【0050】
ある実施形態では、医療用デバイスにおいて使用される治療薬は当業者によく知られた方法によって合成可能である。別例として、治療薬は化学会社および製薬会社から購入されてもよい。
【0051】
医療用デバイスを作製する方法
ここでは本明細書中に記載の医療用デバイスを作製する方法が提供される。図8A−8Fは、移植式ステントを作製する方法の一実施形態を示している。この方法は、図8Aに示されるような、管状壁810および長手方向軸Lを有する管800を提供することを含んでなる。管状壁810は管腔外側表面820および管腔側表面830を含んでなる。図8Bに示されるように、少なくとも1つの溝840が管状壁810の管腔外側表面820に配置される。溝840は管状壁810を貫通して管腔側表面830に達することはない。ある実施形態では、該方法は、管腔外側表面に溝を形成するステップを含むことができる。
【0052】
溝は様々な方法によって形成可能であり、該方法には、限定するものではないが、研削加工、切込み加工、または管材料を除去するためのレーザーの使用が挙げられる。また、溝は、当業者に既知の任意の他の方法によって、例えば、限定するものではないが、焼結、共堆積、マイクロ荒加工、掘削、化学エッチングまたはこれらの組み合わせによって形成されてもよい。例えば、溝は、堆積条件に調節されたスパッタリングのような堆積工程によって、反応性プラズマを用いたマイクロ荒加工によって、イオン衝撃電解質エッチングによって、またはこれらの組み合わせによって形成されてもよい。他の方法には、限定するものではないが、合金めっき、物理蒸着法、化学蒸着法、焼結、またはこれらの組み合わせが挙げられる。材料の除去技術に加えて、他の方法としては、管またはステントの鍛造のために当業者が使用するモールドに突部を組み込むことが挙げられる。この突部が鍛造される管またはステントに溝またはキャビティを作成する。他の方法には、既に溝が組み込まれている管を押出成形することが挙げられる。
【0053】
図8Bに示された実施形態では、溝は管800の長手方向軸Lと平行になるように形成される。他の実施形態では、溝は、他の構成、例えば周方向または管の周囲に対して平行、すなわち長手方向軸に対して垂直であるか、ヘリックスの形状をなしているか、または何らかの他の所望の形状もしくはパターンをなしている構成を有することができる。溝はさらに、断続的であってもよい、すなわち規則的なパターンでなくても管全体にわたって連続していなくてもよい。溝は、断続的な長手方向の構成または断続的な周方向の構成のうち少なくともいずれか一方であってよい。溝は、管からステントパターンを切り取ると溝がステント・ストラットと交差するように、構成が断続的であってもよい。この交差は、ステント・ストラットに対して垂直であってよい。
【0054】
図8Cに示されるように、治療薬850が溝840の少なくとも一部分に配置される。図8Cに示されるもののようないくつかの実施形態では、治療薬は溝全体に配置される。他の実施形態では、治療薬は溝全体よりも小さい部分に配置される。そのような治療薬は、限定するものではないが、本明細書中に記載の治療薬のうちいずれかを含むことができる。治療薬は、マイクロペン(micropen)法、またはマスキングおよび吹付け、浸漬、ロール切削、もしくは蒸気蒸着を要する処理法によって溝の中に配置することができる。治療薬はまた、該治療薬を用いた吹付コーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、もしくは蒸気蒸着のようなバルク処理によって堆積されて、次いで溝が彫られていない表面から取り除かれてもよい。
【0055】
図8Dに示されるように、治療薬850が溝840の中に配置された後でコーティング860が管状壁810の管腔外側表面820の少なくとも一部を覆って配置されて、溝840に配置された治療薬850の少なくとも一部がコーティング860によって覆われるようになる。いくつかの実施形態では、治療薬はすべてコーティングによって覆われてもよいし、他の実施形態では全体には満たない治療薬が覆われる。図8Dに示される実施形態では、コーティング860は、管状壁810の管腔外側表面820全体を覆って配置されている。他の実施形態では、コーティングは管状壁の管腔外側表面の全体には満たない部分を覆って配置される。
【0056】
コーティングは、本明細書中に列挙された材料のうちのいずれかを含んでなることができる。ある実施形態では、コーティングは、コーティングを介した治療薬の放出を防止する材料を含んでなる。他の実施形態では、コーティングは、コーティングを介した治療薬の放出を可能にする複数の細孔を内部に有する材料を含んでなる。
【0057】
また、コーティングは、吹付けコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、または蒸気蒸着のような方法によって管腔外側表面に配置されうる。
図8Eに示されるように、ステント870は、管腔外側表面820の上に配置されたコーティング860を有する管800から形成される。ステント870は、複数のストラット880およびギャップ890を含んでなるステント側壁構造875を有する。図8Fに示されるように、少なくとも1つのストラット880は、管腔外側表面896、管腔側表面898、第1の側部表面892、第2の側部表面894およびキャビティ885を含んでなる。キャビティ885は、治療薬850を包含している溝840の一部分、および第1の側部表面892または第2の側部表面894のうち少なくともいずれか一方と流体連通している開口部887を含んでなる。開口部887は少なくとも部分的に露出される。ステントは管からステント側壁構造を切削することにより形成可能である。ある実施形態では、切削は、レーザーの使用、またはマスクキングおよび化学エッチングの使用のうち少なくともいずれか一方によって行なうことができる。
【0058】
移植式ステントを作製する方法の別の実施形態は上述の方法に類似している。しかしながら、溝の中に治療薬を配置する代わりに、溝の少なくとも一部分に充填材が配置される。管からステントを形成した後、または形成中に、充填材の少なくとも一部がストラットのキャビティから取り除かれる。充填材は、溶媒中に充填材を溶解させることにより取り除くことができる。例えば、1つの実施形態では、充填材は溶媒中にステントを沈めることにより溶解させることができる。充填材の少なくともポート(port)が取り除かれた後、次いで治療薬がキャビティ内に配置される。
【0059】
治療薬は、マンドレルと内壁を有するチューブとの使用により、一実施形態のキャビティ内に配置される。具体的には、管から形成されたステントは、拡張可能なマンドレル上に配置される。マンドレル上に配置されたステントは、内壁を有するチューブの中に置かれる。マンドレルは、ステントの少なくとも一部がチューブの内壁と接触するように拡張される。その後、ステントは治療薬に曝露され、治療薬がキャビティ内に入ることができるようになる。図9は、マンドレル940と内側表面960を有するチューブ950との間に配置された、ストラット910およびギャップ920を有するステント900の断面図を示す。ストラット910の中にはキャビティ930がある。この図では、ステント900は治療薬970に曝露されており、治療薬はキャビティ930およびギャップ920の中に入っている。
【0060】
別例の実施形態では、ステントは剛体のマンドレル上に配置される。マンドレル上に配置されたステントは、内壁を有するチューブの中に置かれる。マンドレルが拡張される代わりに、チューブがステントに向かって移動されるかまたはステントを取り囲むように近づけられて、ステントの少なくとも一部がチューブの内壁と接触するようになされる。その後、ステントは治療薬に曝露され、治療薬がキャビティ内に入ることができるようになる。
【0061】
いくつかの実例では、治療薬は固化することができる組成物中に含められ、ステントはそのような組成物に曝露され、該組成物がキャビティ内に入ることができるようになる。組成物は強制的な圧力を受けることによりキャビティ内に入ることができるようになる。また、ある実施形態では、該方法は、組成物が固化または硬化することを可能にするステップを含んでなる。
【0062】
さらに、いくつかの実施形態では、該方法はステントからあらゆる過剰な治療薬を取り除くことをさらに含んでなる。そのような過剰な治療薬は、レーザー切削、機械的切削または水流切削によって除去可能である。
【0063】
別の実施形態の方法は図10A−10Fに示されている。この方法は、図10Aに示されるようなシート状壁1010および長手方向軸Lを有する材料の平面シート1000を提供することを含んでなる。シート状壁1010は、天面または第1面1020と底面または第2面1030とを含んでなる。図10Bに示されるように、少なくとも1つの溝1040が管状壁1010の第1面1020に配置される。溝1040はシート状壁1010を貫通して第2面1030に達することはない。いくつかの実施形態では、該方法は、第1面に溝を形成するステップを含むことができる。溝は、本明細書中で述べた方法を含む様々な方法によって形成することができる。
【0064】
図10Bに示される実施形態では、溝1040はシート1000の長手方向軸Lと平行になるように形成される。他の実施形態では、溝は、例えば長手方向軸に対して垂直であるか、第1面1020において市松模様を形成するか、または本明細書中に述べたような何らかの他の所望の形状、パターン、もしくは構成をなしているような、他の構成を有することができる。
【0065】
図10Cに示されるように、治療薬1050は溝1040の少なくとも一部分に配置される。図10Cに示されるようないくつかの実施形態では、治療薬は溝全体に配置される。他の実施形態では、治療薬は溝全体には満たない部分に配置される。そのような治療薬には、限定するものではないが、本明細書中に記載の治療薬のうちいずれかが挙げられる。治療薬は、本明細書中に記載されているような処理工程によって溝の中に配置することができる。
【0066】
図10Dに示されるように、治療薬1050が溝1040に配置された後にシート状壁1010の第1面1020の少なくとも一部分を覆ってコーティング1060が配置され、溝1040に配置された治療薬1050の少なくとも一部がコーティング1060によって覆われるようになる。ある実施形態ではすべての治療薬がコーティングによって覆われてもよいが、他の実施形態では全体には満たない治療薬が覆われる。図10Dに示されるように、コーティング1060はシート状壁1010の第1面1020の全体を覆って配置される。他の実施形態では、コーティングは、シート状壁の第1面全体に満たない部分を覆って配置される。コーティングは、本明細書中に列挙された任意の他の材料を含んでなる場合もある。同様に、コーティングは本明細書中に記載された方法によって第1面に配置することができる。
【0067】
図10Eに示されるように、第1面1020にコーティング1060が配置されているシート1000から側壁構造1075が形成される。コーティング済シートの特定の部分が取り除かれた後に、複数のストラット1080およびギャップ1090を含んでなる側壁構造1075が形成される。側壁構造は、コーティング済シートから側壁構造を切削することにより形成されてもよい。ある実施形態では、切削は、レーザーの使用またはマスキングおよび化学エッチングの使用のうち少なくともいずれか一方によって行なうことができる。
【0068】
図10Fに示されるように、側壁構造の少なくとも1つのストラット1080は、管腔外側表面または管腔側表面である天面1096、底面1098、第1の側部表面1092、第2の側部表面1094およびキャビティ1085を含んでなる。キャビティ1085は、治療薬1050を包含している溝1040の一部分、および第1の側部表面1092または第2の側部表面1094のうち少なくともいずれか一方と流体連通している開口部1087を含んでなる。開口部1087は少なくとも部分的に露出される。ステントについて管状の形状を得るために、シートまたは側壁構造は処理工程の間の任意の時点で管状の形状に形成可能である。いくつかの実施形態では、側壁構造は、シートから側壁構造が形成される前または後で管状の形状に形成可能である。
【0069】
移植式ステントを作製する方法の別の実施形態は、図10A−10Fに関して上述されたものに類似している。しかしながら、溝の中に治療薬を配置する代わりに、充填材が溝の少なくとも一部に配置される。シートから側壁構造が形成された後、または形成中に、充填材の少なくとも一部がストラットのキャビティから取り除かれる。充填材は、図9に関して上述されたような方法によって取り除くことができる。充填材の少なくとも一部が取り除かれた後、次いで治療薬がキャビティ内に配置される。
【0070】
さらに、治療薬は、2つの平面の使用により一実施形態のキャビティ内に配置することができる。具体的には、シートから形成された側壁構造が、2つの平面の間に配置される。その後側壁構造は治療薬に曝露されて、治療薬がキャビティ内に入ることが可能となる。図11は、第1のプレート1140と第2のプレート1160との間に配置された、ストラット1110およびギャップ1120を有する側壁構造の断面図を示す。ストラット1110は内部にキャビティ1130を有している。この図では、側壁構造は治療薬1170に曝露され、該治療薬はキャビティ1130およびギャップ1120に入っている。第1のプレート1140および第2のプレート1160は、2つの平面の間に側壁構造をはさむことができる品目の例として示されている。本明細書中に図示かつ記載されたプレート以外に、当業者には様々な他の品目が明白となるであろう。同様に、シートまたは側壁構造は、処理工程の間のどの時点で管状の形状に形成されてもよい。
【0071】
移植式ステントを作製する方法の別の実施形態では、治療薬はストラットが形成された後でステントのストラットのキャビティ内に配置される。該方法は、ステント側壁構造を備え該側壁構造が該構造中に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントを提供することを含んでなる。少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面、第1の側部表面、およびストラット内に配置された少なくとも1つのキャビティを含んでなる。キャビティは、第1の側部表面と流体連通している第1の開口部、および管腔外側表面または管腔側表面と流体連通している第2の開口部を有する。治療薬はキャビティ内に配置される。その後、キャビティが管腔外側表面または管腔側表面と流体連通しないように、第2の開口部および任意の他の開口部を覆って材料が付与される。側部表面と流体連通している第1の開口部は、少なくとも部分的に露出されたままである。
【0072】
図12A−12Cはそのような実施形態の例を示している。図12Aは、管腔外側表面1210、管腔側表面1220および第1の側部表面1230を有するステントのストラット1200を示す。このストラットは、第1の側部表面1230と流体連通している第1の開口部1250、および管腔外側表面1210と流体連通している第2の開口部1260を有する少なくとも1つのキャビティ1240を含んでなる。第1の開口部の少なくとも一部は、第2の開口部の少なくとも一部に接している。
【0073】
図12Bでは、治療薬1270がキャビティ1240に配置されている。図12Cに示されるように、材料1280(ストラットが作製された材料と同じであっても異なっていてもよい)がキャビティ1240の第2の開口部1260を覆って付与される。この材料1280または別の材料は、キャビティ1240が管腔外側表面または管腔側表面とは流体連通しないように、キャビティの他の開口部を覆って付与される。該材料は、図8Dに記載のコーティングに関して上述された材料を含んでなることができる。図12Cに示されるように、第1の開口部1250は少なくとも部分的に露出される。
【0074】
さらに、該方法は、図8Aに示されるような、管状壁および長手方向軸を有する管であって管状壁が管腔外側表面および管腔側表面を備えている管を提供することにより、ステント側壁構造を形成することをさらに含んでなる。管状壁の管腔外側表面には少なくとも1つの溝が配置される。溝は管状壁を貫通して管腔側表面に達してはいない。図8Bは、少なくとも1つの溝を有するそのような管の例を示す。ステント側壁構造は、管からステント側壁構造を切削することなどによって、管から形成される。ステント側壁構造のストラットは、溝の一部であるキャビティを含んでなることになる。
【0075】
該方法は、図10Aに示されるような、シート状壁および長手方向軸を有する平面シートであってシート状壁が第1面および第2面を備えている平面シートを提供することにより、ステント側壁構造を形成することをさらに含んでなる。シート状壁の第1面には少なくとも1つの溝が配置される。溝はシート状壁を貫通して第2面に達してはいない。図10Bは、少なくとも1つの溝を有するそのようなシート状壁の例を示す。側壁構造は、平面シートから側壁構造を切削することなどによって平面シートから形成される。側壁構造のストラットは、溝の一部であるキャビティを含んでなることになる。その後、平面シートは管状の形状に形成可能である。
【0076】
さらに、移植式ステントを作製する別の方法であって、ストラットが形成された後で治療薬がストラットのキャビティ内に配置される方法は、ステント側壁構造を備え該側壁構造が該構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントを提供することを含んでなる。図13Aは、そのようなステント由来のストラット1300の例を示す。ストラット1300は、管腔外側表面1310、管腔側表面1320、第1の側部表面1330、およびストラット1300の中に配置された少なくとも1つのキャビティ1340を含んでなる。キャビティ1340はそれぞれ、第1の側部表面1330と流体連通している第1の開口部1350を有し、少なくとも1つのキャビティ1340は、管腔外側表面1310または管腔側表面1320とは流体連通していない。図13Bでは、キャビティ1340に治療薬1360が配置されており;第1の開口部1350は、露出させることが可能となっている。ある実施形態では、キャビティの形成はレーザー切断またはレーザーアブレーションの使用により行うことができる。ある実施形態では、治療薬はマンドレル上にステントを配置することによりキャビティに配置される。マンドレルに配置されたステントは、内壁を有するチューブの中に置かれる。ステントの少なくとも一部分がチューブの内壁と接触するように、チューブがステントに向かって移動されるか、またはステントを取り囲むように近づけられる。次いでステントは治療薬に曝露され、治療薬はキャビティ内に入ることができる。
【0077】
移植式ステントを作製する方法の別の実施形態は、ステント・ストラットの少なくとも一方の側部表面にコーティングを配置するとともに、ストラットの管腔外側表面および管腔側表面にはコーティング組成物がほとんどないように維持することを含んでなる。この方法は、ステント側壁構造を備え該側壁構造が該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントであって、少なくとも1つのストラットは管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなるステントを提供することを含んでなる。該ステントはマンドレル上に配置される。治療薬を含んでなるコーティング組成物が、平面上に付与される。マンドレル上に配置されたステントは、ストラットの第1の側部表面にコーティング組成物を付与するために、平面上に付与されたコーティング組成物中で転がされる。
【0078】
ステップは、管腔外側表面および管腔側表面にはコーティング組成がほとんどないことを確実にするように行われる。いくつかの実施形態では、ステントは十分な圧力で転がされて、コーティング組成物が第1の側部表面に付与される一方で管腔外側表面にはコーティング組成物がほとんどないようになされる。他の実施形態では、コーティング組成物が第1の側部表面に付与された後で管腔外側表面または管腔側表面に配置されたコーティング組成物を除去することにより、管腔外側表面および管腔側表面にはコーティング組成物がほとんどないようになされる。コーティング組成物は、機械的な研削加工、レーザーアブレーション、マスキングおよびエッチング、またはコーティングの化学溶解によって除去可能である。
【0079】
コーティング組成物の治療薬は、限定するものではないが、本明細書に記載されたものであってよい。また、コーティング組成物は、限定するものではないが医療用デバイスの形成について上述されたポリマーなどのポリマーを含んでなることができる。さらに、コーティング組成物は、治療薬またはポリマーのうち少なくともいずれか一方を懸濁または溶解するための溶媒を含むことができる。
【0080】
本発明による医療用デバイスおよび該医療用デバイスを作製する方法のいくつかの典型的な実施形態は、以下の番号を付した項目に記載されている:
第1項.移植式ステントを作製する方法であって:
a.ステント側壁構造を有し該側壁構造が該側壁構造中に複数のストラットおよびギャップを含んでなるステントであって、少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面、第1の側部表面、およびストラット内に配置された少なくとも1つのキャビティを含んでなることと、キャビティは第1の側部表面と流体連通している第1の開口部を有することと、キャビティは管腔外側表面または管腔側表面とは流体連通していないこととを特徴とするステントを提供するステップ;
b.キャビティ内に治療薬を配置するステップ;および
c.第1の開口部が少なくとも部分的に露出されることを可能にするステップ
を含んでなる方法。
【0081】
第2項.移植式ステントを作製する方法であって:
a.シート状壁を有する平面シート状の材料であって、該シート状壁は第1面および第2面ならびにシート状壁の第1面に配置された少なくとも1つの溝を含んでなり、溝はシート状壁を貫通して第2面に達してはいないことを特徴とする材料を提供するステップ;
b.溝の少なくとも一部分に治療薬を配置するステップ;
c.溝に配置された治療薬の少なくとも一部がコーティングによって覆われるように、第1面の少なくとも一部を覆ってコーティングを配置するステップ;
d.第1面にコーティングが配置されたシートから、複数のストラットおよびギャップを含んでなる側壁構造であって、少なくとも1つのストラットは天面、底面、第1の側部表面、およびキャビティを含んでなることと、キャビティは治療薬を包含している溝の一部、および第1の側部表面と流体連通している開口部を含んでなることと、開口部は少なくとも部分的に露出されることとを特徴とする側壁構造を形成するステップ
を含んでなる方法。
【0082】
第3項.側壁構造が形成される前または後で側壁構造を管状の形状に形造るステップをさらに含んでなる第2項の方法。
第4項.側壁構造が形成される前または後で側壁構造を管状の形状に形造るステップをさらに含んでなる第2項の方法。
【0083】
第5項.移植式ステントを作製する方法であって:
a.シート状壁を有する平面シート状の材料であって、シート状壁は第1面および第2面ならびにシート状壁の第1面に配置された少なくとも1つの溝を含んでなり、溝はシート状壁を貫通して第2面に達してはいないことを特徴とする材料を提供するステップ;
b.溝の少なくとも一部分に充填材を配置するステップ;
c.溝に配置された充填材の少なくとも一部がコーティングによって覆われるように、第1面の少なくとも一部を覆ってコーティングを配置するステップ;
d.第1面にコーティングが配置されたシートから、複数のストラットおよびギャップを含んでなる側壁構造であって、少なくとも1つのストラットは天面、底面、第1の側部表面、およびキャビティを含んでなることと、キャビティは充填材を包含している溝の一部、および第1の側部表面と流体連通している開口部を含んでなることと、開口部は少なくとも部分的に露出されることとを特徴とする側壁構造を形成するステップ
e.キャビティから少なくとも一部の充填材を取り除くステップ;ならびに
f.キャビティ内に治療薬を配置するステップ
を含んでなる方法。
【0084】
第6項.キャビティ内に治療薬を配置するステップは:
(1)第1の平面と第2の平面との間に側壁構造を配置すること;
(2)側壁構造を治療薬に曝露すること;および
(3)治療薬がキャビティに入ることができるようにすること
を含んでなる、第5項の方法。
【0085】
第7項.治療薬は固化することができる組成物中に含められ、側壁構造は該組成物に曝露され、該組成物がキャビティに入ることが可能となる、第6項の方法。
第8項.治療薬は、キャビティ内への強制的な圧力がかかることによりキャビティに入ることが可能となる、第6項の方法。
【0086】
第9項.移植式自己拡張型ステントであって:
a.自己拡張型ステント側壁構造であって、該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなり、少なくとも1つのストラットは管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなることを特徴とする側壁構造;ならびに
b.第1の側部表面の少なくとも一部分に配置された、ポリマーまたは治療薬を含んでなる第1のコーティングと、管腔外側表面および管腔側表面にはコーティングがほとんどないことと
を含んでなるステント。
【0087】
第10項.ストラットは、第1の側部表面の反対側の第2の側部表面と、第2の側部表面の少なくとも一部分に配置された第2のコーティングとをさらに含んでなる、第9項のステント。
【0088】
第11項.移植式自己拡張型ステントを作製する方法であって:
a.ステント側壁構造を有し該側壁構造は該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなる移植式自己拡張型ステントであって、少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面、および第1の側部表面を含んでなることを特徴とするステントを提供するステップ;
b.ステントをマンドレル上に配置するステップ;
c.治療薬またはポリマーを含んでなるコーティング組成物を平面上に付与するステップ;
d.第1の側部表面にコーティング組成物を付与するために、平面上に付与されたコーティング組成物の中で、マンドレルに配置されたステントを転がすステップ;ならびに
e.管腔外側表面および管腔側表面にはコーティング組成物がほとんどないことを確実にするステップ
を含んでなる方法。
【0089】
第12項.ステントが十分な圧力で転がされて、コーティング組成物が第1の側部表面に付与される一方で管腔外側表面にはコーティング組成物がほとんどないようになされる、第11項の方法。
【0090】
第13項.移植式ステントを作製する方法であって:
a.長手方向軸を有する管状壁を備えた管であって、該管状壁は管腔外側表面および管腔側表面と、管状壁の管腔外側表面に配置された少なくとも1つの溝とを含んでなり、溝は管状壁を貫通して管腔側表面に達してはいないことを特徴とする管を、提供するステップ;
b.溝の少なくとも一部の中に治療薬を配置するステップ;
c.溝に配置された治療薬の少なくとも一部がコーティングによって覆われるように、管腔外側表面の少なくとも一部を覆ってコーティングを配置するステップ;
d.管腔外側表面にコーティングが配置された管から、複数のストラットおよびギャップを含んでなるステント側壁構造を有するステントであって、少なくとも1つのストラットは管腔外側表面、管腔側表面、第1の側部表面、およびキャビティを含んでなることと、キャビティは治療薬を包含している溝の一部、および第1の側部表面と流体連通している開口部を含んでなることと、開口部は少なくとも部分的に露出されることとを特徴とするステントを形成するステップ
を含んでなる方法。
【0091】
本明細書中の記載は例示を目的とするものであり、限定を目的とするものではない。本明細書中に記載された方法およびデバイスは、本明細書中に記載された任意の特徴を単独で含むことも、本明細書中に記載された他の特徴と併せて含むこともできる。記載された実施形態に変更および改変が行なわれてもよい。実際に、当業者には、本明細書中で図示および記載されたもの以外に、単なる型通りの実験作業を用いて先述の説明および添付の図面から様々な改変形態が明白となろう。そのような改変形態および等価物は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあると意図されている。
【0092】
本明細書中で言及された出版物、特許および特許出願はすべて、個々の出版物、特許または特許出願がそれぞれ本願に援用されることを具体的かつ個別に示される場合と同様に、参照により本願に組み込まれる。本明細書における参照文献の引用または議論は、そのような参照文献が先行技術であることを承認するものとは解釈されないものとする。
【0093】
関連出願の相互参照
本願は、2008年1月24日に出願された米国仮出願番号第61/023,142号の優先権を主張するものであり、前記出願の内容は参照により本願に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移植式ステントであって、
a.ステント側壁構造であって該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなり、少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面および第1の側部表面を含んでなることと、該ストラットは第1の材料を含んでなることとを特徴とするステント側壁構造、
b.少なくとも1つのストラット内に配置された少なくとも1つのキャビティであって、該キャビティは管腔外側表面と流体連通している第1の開口部、および第1の側部表面と流体連通している第2の開口部を有することと、キャビティはストラットを貫通して管腔側表面には達していないこととを特徴とするキャビティ、
c.キャビティ内に配置された治療薬、ならびに
d.キャビティの第1の開口部の少なくとも一部分を覆って配置されたコーティングであって、キャビティの第2の開口部は少なくとも部分的に露出されることを特徴とするコーティング
を含んでなるステント。
【請求項2】
第1の開口部の少なくとも一部は第2の開口部の少なくとも一部と接している、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
ストラットは第1の側部表面の反対側の第2の側部表面をさらに含んでなり、キャビティは第2の側部表面と流体連通している第3の開口部を有することと、キャビティの第3の開口部は少なくとも部分的に露出されることとを特徴とする、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
第1または第2の側部表面は切断面である、請求項3に記載のステント。
【請求項5】
コーティングはキャビティの第1の開口部全体を覆って配置される、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
コーティングは、キャビティからのコーティングを介した治療薬の放出を防止する材料を含んでなる、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
コーティングは、キャビティからのコーティングを介した治療薬の放出を可能にする複数の細孔を内部に有している材料を含んでなる、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
第1の開口部の少なくとも一部は第2の開口部の少なくとも一部および第3の開口部の少なくとも一部と接していることと、治療薬は再狭窄抑制剤を含んでなることと、コーティングはキャビティからのコーティングを介した再狭窄抑制剤の放出を防止することとを特徴とする、請求項3に記載のステント。
【請求項9】
移植式ステントであって、
a.ステント側壁構造であって該側壁構造内に複数のストラットおよびギャップを含んでなり、少なくとも1つのストラットは、管腔外側表面、管腔側表面、切断面である第1の側部表面、および第1の側部表面の反対側の、切断面である第2の側部表面を含んでなることを特徴とするステント側壁構造、
b.少なくとも1つのストラット内に配置された少なくとも1つのキャビティであって、該キャビティは第1の側部表面と流体連通している第1の開口部、および第2の側部表面と流体連通している第2の開口部を有することと、キャビティの第1および第2の開口部は少なくとも部分的に露出されることと、キャビティは管腔外側表面または管腔側表面と流体連通している開口部を有していないこととを特徴とするキャビティ、ならびに
c.キャビティ内に配置された治療薬
を含んでなるステント。
【請求項10】
管腔外側表面、管腔側表面、第1の側部表面または第2の側部表面のうち1つ以上の一部分に配置された、ポリマーまたは治療薬を含んでなるコーティングをさらに含んでなる、請求項9に記載のステント。
【請求項11】
移植式ステントを作製する方法であって、
a.長手方向軸を有する管状壁を有する管を提供するステップであって、管状壁は、管腔外側表面および管腔側表面、ならびに管状壁の管腔外側表面に配置された少なくとも1つの溝を含んでなり、溝は管状壁を貫通して管腔側表面に達してはいないことを特徴とするステップ、
b.溝の少なくとも一部分の中に充填材を配置するステップ、
c.管腔外側表面の少なくとも一部を覆ってコーティングを配置し、溝の中に配置された充填材の少なくとも一部がコーティングによって覆われるようにするステップ、
d.管腔外側表面にコーティングが配置された管から、複数のストラットおよびギャップを含んでなるステント側壁構造を有するステントを形成するステップであって、少なくとも1つのストラットは管腔外側表面、管腔側表面、第1の側部表面、およびキャビティを含んでなることと、キャビティは充填材を包含している溝の一部分、および第1の側部表面と流体連通している開口部を含んでなることと、開口部は少なくとも部分的に露出されることとを特徴とするステップ、
e.キャビティから充填材の少なくとも一部を除去するステップ、ならびに
f.キャビティ内に治療薬を配置するステップ
を含んでなる方法。
【請求項12】
キャビティ内に治療薬を配置するステップは、
(1)ステントを拡張可能なマンドレル上に配置すること、
(2)マンドレル上に配置されたステントを、内壁を有するチューブの中に置くこと、
(3)マンドレルを、ステントの少なくとも一部分がチューブの内壁と接触するように拡張させること、
(4)ステントを治療薬に曝露すること、および
(5)治療薬がキャビティ内に入るのを可能にすること
を含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療薬は固化することができる組成物中に含められ、ステントは該組成物に曝露され、該組成物はキャビティ内に入ることができるようになる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
組成物はキャビティ内への強制的な圧力を受けることによりキャビティに入ることが可能となる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
キャビティ内に治療薬を配置するステップは、
(1)ステントを剛体のマンドレル上に配置すること、
(2)マンドレル上に配置されたステントを、内壁を有するチューブの中に置くこと、
(3)ステントの少なくとも一部分がチューブの内壁と接触するように、チューブをステントに近づけること、
(4)ステントを治療薬に曝露すること、および
(5)治療薬がキャビティ内に入るのを可能にすること
を含んでなる、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2011−509809(P2011−509809A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544369(P2010−544369)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/030936
【国際公開番号】WO2009/094270
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(506192652)ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド (172)
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
【Fターム(参考)】