説明

ストッパー

【課題】本発明は、搬送物を止める際の操作が容易で、清掃も容易なストッパー、更には、単純な構成として、故障しずらくメンテナンスの必要がなく、ランニングコストが不要なストッパーを提供することを目的とする。
【解決手段】回動軸39と回動軸39に固定された停止部材30を備えた回動部材3と、回動部材3を回動自在に支持し、ストッパー1を固定する基台300に固定される軸受部材2を備えて構成され、停止部材30の一端には、搬送物と当接する当接部37が設けられ、他端には回動部材3の回動を止める支持部33が設けられ、停止部材30の回動軸39から支持部33側の部分の重さが、回動軸39から当接部37側の部分の重さより重く形成されたストッパー1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアにおいて搬送物の位置決めを行なう、動力を用いないストッパーに関し、特に炊飯システムに好適に用いられるコンベア用ストッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な搬送物の搬送にコンベアが用いられている。例えば、炊飯システムにおいては、搬送物である炊飯釜がコンベア上を移動し、その間に炊飯釜に米及び水が投入され、炊かれ、蒸らされ、ほぐされる等の一連の炊飯作業が行なわれている。このコンベアは、動力を用いて動かす駆動コンベアと、動力を用いずに、人力或いは搬送物の自重を用いて搬送物を移動させるコンベアに大別される。
【0003】
駆動コンベア上の搬送物を停止させる場合には、コンベア自体を停止させる必要があるが、動力を用いないコンベアでは搬送物自体を停めればよい。
【0004】
このようなコンベア上での搬送物の搬送において、搬送物を停止させ、搬送物或いは搬送物に収納された物に何等かの処理を施すことがある。例えば、炊飯システムにおいては、炊き込みご飯を作るために、炊飯前の米及び水が投入された炊飯釜に調味料や具材を投入する際や、酢飯を作るために炊飯後の炊き上がったお米に酢等の調味料を投入する際に、コンベア上で炊飯釜を停止させる必要がある。そして、この停止は、調味料や具材の確実且つ万遍ない投入のため、投入装置、投入口、噴霧口の真下で行なわれる必要がある。
【0005】
そこで、コンベアの途中に搬送物を停止させ、位置決め出来る搬送物の停止機構が設けられているものもある。具体的には、センサーとストッパーで構成され、コンベア上の搬送物の有無をセンサーで検知し、センサーの検知によりスイッチの開閉を行なって、動力源を用いて棒状のストッパーをコンベア上に突出させて搬送物を停止させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
又、特に炊飯システムのコンベアの途中で炊飯釜を停止させるものとして、コンベア上に設けた停止杆に、コンベア上を移送されてきた炊飯釜が接触すると、停止杆が作動し、リミットスイッチにより制御装置が作動して、コンベアが停止すると共に、炊飯釜の両側に一対のエアーシリンダーが伸長して炊飯釜を挟持して炊飯釜の位置決めをする機構が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
その他、動力を使用しない停止機構として、コンベアの基台に固定され、複数の軸支されたブラケットとバネで構成されるアームの先端に設けた棒状体をアームの下端に設けたペダルを足で操作して、棒状体をコンベア上に突出させて搬送物を停止させる機構が採用されている。
【0008】
【特許文献1】特許第2879036号公報
【特許文献2】特開2003−47558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1又は2に開示されている従来の停止機構は、何れも電気等の動力を使用し、搬送物を停止させるストッパー以外にもセンサー等の電子部品その他の部材及び電源等の駆動源を必要とするので、装置が複雑となるという問題点、コストが嵩むとという問題点、故障し易くメンテナンスを頻繁に行なう必要があるいといった問題点、清掃作業が煩雑となるといった問題点があった。
【0010】
又、上記動力を使用せず、アームを足で操作する従来技術においては、操作者が意識的に操作する必要があり、作業が煩雑になるという問題点や、ストッパー以外にも部材を必要とするので、装置が複雑となるという問題点、清掃作業が煩雑となるといった問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、動力を使用することなく、ストッパー以外の他の部材を必要とせず、単純な構成として、故障しずらくメンテナンスの必要がなく、ランニングコストが不要なストッパーを提供することを目的とし、更に、搬送物を止める際の操作も容易で、清掃も容易なストッパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段としての本発明は、動力を使用しないストッパーであって、回動軸と該回動軸に固定された停止部材を備えた回動部材と、前記回動部材を回動自在に支持し、ストッパーを固定する基台に固定される軸受部材を備えて構成され、前記停止部材の一端には、搬送物と当接する当接部が設けられ、他端には前記回動部材の回動を止める支持部が設けられ、前記停止部材の前記回動軸から前記支持部側の部分の重さが、前記回動軸から前記当接部側の部分の重さより重く形成されていることを特徴とするストッパーである。
【0013】
又、上記ストッパーにおいて、前記軸受部材は、底片の両端から側片が立設され、該側片の上端部には、前記回動軸が設置される軸受凹部が設けられ、前記回動部材は、横片の両端から、先端部が前記当接部を構成する縦片が立設されると共に、前記横片には、前記縦片の立設方向と反対方向に前記支持部を構成する支持片が立設され、前記縦片間に、前記回動軸が固定され、前記軸受部材の軸受凹部に前記回動軸を設置して、前記回動部材を前記軸受部材に回動自在に設置したことを特徴とするストッパーである。
【0014】
又、上記ストッパーにおいて、前記軸受部材の底片には、長孔を設けたことを特徴とするストッパーである。
【0015】
又、コンベア上を移送される搬送物の停止、位置決めに用いられるストッパー機構であって、上記いずれかのストッパーを基台に設けて構成したことを特徴とするストッパー機構である。
【0016】
又、上記ストッパー機構において、前記ストッパーを所定の間隔を持って2個設けて構成したことを特徴とするストッパー機構である。
【0017】
又、前記搬送物としての炊飯釜内の炊き上がった米に酢を散布するための食酢散布装置であって、前記基台たる筐体に上記ストッパー機構を設けたことを特徴とする食酢散布装置である。
【0018】
又、炊飯を行なう炊飯システムであって、上記ストッパー機構を設けたことを特徴とする炊飯システムである。
【0019】
上記炊飯システムにおいて、上記食酢散布装置を備えたことを特徴とする炊飯システムである。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明によれば、動力を使用することなく、ストッパー以外の他の部材を必要とせず、単純な構成として、故障しずらくメンテナンスの必要がなく、ランニングコストを不要とすることが出来た。又、搬送物を止める際の操作も容易で、清掃も容易とすることが出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明の実施の形態を図に従って説明する。本発明のストッパー1は、コンベアにおいて移送される搬送物の停止及び位置決めを行なう、動力を用いないストッパーであり、図1〜図3によく示すように、軸受部材2と、回動軸39と回動軸39に固定された停止部材30を備えて構成される回動部材3を備えて構成されている。軸受部材2、回動軸39、停止部材30の材質は特に限定されないが、ステンレスを用いることが好ましい。
【0022】
尚、本発明のストッパー1が使用されるコンベアは、駆動コンベアでも、動力を用いないコンベアでもよいが、動力を用いないコンベアに用いることで、後述する炊飯システムや食酢散布装置を単純な構成として、搬送物を止める際の操作も容易で、清掃も容易、更には故障しずらくメンテナンスの必要がなく、ランニングコストを低廉化させることが出来る。動力を用いないコンベアとしては、特に限定されないが、グラビティコンベアであるホイルコンベア、ローラコンベア、ケースラックコンベア、フレームコンベア、ボールコンベア等を用いることが出来る。
【0023】
軸受部材2は、回動部材3を回動自在に支持する部材であり、ストッパー1を固定する基台300に固定される。軸受部材2は、長尺状の四角形平板の両端部を同方向に略直角に曲折し、略コの字型に形成し、長方形状の底片21の両端から底片21と略垂直に側片22,22が上方に立設されている。底片21には、底片21の短手方向に長い長孔210が所定の間隔をもって互いに平行に2個設けられている。側片22の上端部には、側片22の上端から底片21方向に凹む、停止部材30の回動軸39が上方から挿入して設置される軸受凹部220が設けられている。長孔210は、後述するように、軸受部材2の固定に用いるものであり、1個のみ設けてもよいが、軸受部材2の安定的な固定のため、2個以上設けることが好ましい。
【0024】
回動部材3は、回動軸39と回動軸39に固定された停止部材30を備えて構成されている。回動軸39は、軸受部材2の側片22,22間より若干長い断面円形の棒状の軸である。停止部材30は、長尺状の四角形平板の両端部を同方向に略直角に曲折し、略コの字型に形成し、長方形状の横片31の両端から、横片31と略垂直に縦片32,32が立設され、横片31には、縦片32の立設方向と反対方向に2個の支持片33,33が所定の間隔をもって立設されている。即ち、横片31の一面から縦片32が立設され、反対面から支持片33が立設され、縦片32と支持片33は、側面視一直線状に位置している。支持片33は、台形状に形成され、支持片33の底辺が後述する基台300と当接するが、台形以外の形状としてもよい。縦片32の先端部は搬送物の側底部と当接して搬送物を停止させる当接部37を構成する。
【0025】
横片31の縦片32,32間の長さは、軸受部材2の側片22,22間の距離より大きく形成し、回動軸39は、縦片32,32間に、回動軸39の両端を縦片32,32の対向する内側面に溶接等により固定して設けている。更に、回動軸39は、回動軸39を回動自在に支持した場合に、停止部材30が回動軸39を中心として支持片33側に傾く位置に固定している。言い換えれば、停止部材30は、回動軸39から支持片33側の構成部分の重さが、回動軸39から当接部37側の構成部分の重さより重く形成されている。
【0026】
このようにして、停止部材30の一端には、搬送物と当接する当接部37が設けられ、他端には回動部材3の回動を止める支持部としての支持片33が設けられ、停止部材30の回動軸39から支持部側の部分の重さが、回動軸39から当接部37側の部分の重さより重く形成されている。
【0027】
当接部37と支持片33には、搬送物、基台300、及び停止部材30の破損を防止すると共に、当接部37や支持片33が搬送物、基台300、及び停止部材30と接触した際の騒音を抑制するため、合成樹脂等で形成された保護部材43,44を設けることが好ましい。保護部材43,44は、保護部材43,44及び当接部37と支持片33に設けた図示しないネジ孔にネジ46を螺入して固定すればよい。
【0028】
ストッパー1の設置は、図6によく示すように、搬送物を載置し移動させるコンベア80により形成される搬送路方向、即ち搬送物が移動する方向と軸受部材2の底片21を直交させて、ストッパー1を設置する基台300に、軸受部材2の底片21を固定して行なう。従って、搬送物が移動する方向と回動軸39は直交することとなる。その固定方法は溶接を用いる等特に限定されないが、基台300上にスタットボルト41を設置し、長孔210にスタットボルト41を挿入し、ナット42で締結して固定することが好ましい。このような固定により、軸受部材2の固定位置を長孔210の長手方向、言い換えれば搬送路方向の前後に調節可能となり、搬送物の大きさに容易に適合させることが出来るからである。
【0029】
そして、ストッパー1は、回動部材3の縦片32を軸受部材2の側片22の外側に位置させると共に、回動軸39を軸受部材2の軸受凹部220に設置して、回動部材3を軸受部材2に回動自在に設置している。
【0030】
このように設置されたストッパー1は、停止部材30は、回動軸39から支持片33側の構成部分の重さが、回動軸39から当接部37側の構成部分の重さより重く形成されているので、回動部材3に応力が加わらない平時には、図1に示すように、支持片33が回動軸39より下方に位置すると共に、当接部37が回動軸39より上方に位置する。即ち、回動部材3は支持片33側が下方に傾き、支持片33が基台300に当接して、回動部材3の回動が止められていると共に、支持片33が回動軸39と共に回動部材3を支持している。
【0031】
軸受部材2の高さ、軸受凹部220の深さ、停止部材30への回動軸39の固定位置は、回動部材3に応力が加わらない平時に、停止部材30先端の当接部37がコンベア80の上方に突出し、コンベア80上の搬送物の側底部又は側部と当接できるように形成する。
【0032】
本発明のストッパー機構10は、ストッパー1を基台300に1個のみ設けて構成してもよいが、図4に示すように、所定の間隔を持って2個設けて構成することが好ましい。ストッパー1を1個のみ設けて構成した場合には、搬送物の進行方向前側又は後側の内一方の側底部とのみ当接部37が当接し、搬送物の進行方向の後方又は前方の内、一方の方向の移動のみを規制することが可能である。搬送路が進行方向に僅かに傾き、搬送物が外部からの応力を受けなければ進行方向後方には進まず、且つ搬送物を一端停止させた場合には自重により搬送物が進行方向前方に移動することがない場合には、搬送物の進行方向前側の側底部に当接部37が当接するようにストッパー1を設置することで、搬送物を停止、位置決めさせることが出来る。
【0033】
しかし、搬送路が水平である等、設置具合によっては、1個のストッパー1で構成したストッパー機構では、搬送物を完全に停止させることが出来ない場合がある。一方、2個のストッパー1,1で構成したストッパー機構10では、搬送物の進行方向前側及び後側の両側底部と当接部37,37が夫々当接し、搬送物の進行方向後方及び前方方向の移動を規制することが可能であり、搬送物の確実な位置決めが可能となる。
【0034】
ストッパー1を設置する基台300は、図6に示すように、ホイルコンベアが設置される炊飯システムの筐体8や、図14に示すように、ローラコンベアのローラー下方に設けられた支持枠等で構成することが出来る。
【0035】
基台300たる筐体8の上面が平面状であれば、図1に示すように、筐体8上面にスタットボルト41を設置し、軸受部材2の底片21の長孔210にスタットボルト41を挿入し、ナット42で締結して基台300に軸受部材2を直接固定し、図11に示すように、筐体8上面にシンク60が形成されている場合には、シンク60上に2本の支持梁91を架設し、具体的には支持梁91の両端をシンク60の前後にビス92等で固定して設置し、支持梁91に設けたスタットボルトを、長孔210に挿入して、シンク60上に設置することも出来る。尚、支持梁91の形状は特に限定されないが、平板状の長板を使用する場合、支持梁91のシンク60に対応する部分の側部を曲折して、縦断面をコの字型形状として強度を増すことが好ましい。
【0036】
又、ストッパー1は上述のような形状に限定されることなく、例えば、停止部材を、図7に示すように、1個の平板状に形成し、回動部材5を、両端に板状等の係止体391を設けた回動軸39の略中央に、1個の平板状の停止部材50を固定して構成してもよい。停止部材50は上述の停止部材3の縦片32と支持片33を接続した形状であり、停止部材50の一方の先端部は搬送物の側底部と当接して搬送物を停止させる当接部57を構成し、他方の先端部は、回動軸39と共に回動部材5を支持する支持部53を構成している。停止部材50は、回動軸39から支持部53側の構成部分の重さが、回動軸39から当接部57側の構成部分の重さより重く形成されている。回動軸39は停止部材50を貫通させてもよく、停止部材3の側端部に溶接等で固定してもよい。回動軸39を、係止体391を軸受部材2の側片22の外側に位置させ、係止体391を側片22に係止させて軸受凹部220に設置して、回動部材3を軸受部材2に回動自在に設置している。
【0037】
又、回動軸39を挟んで、支持部側の構成部分の重さを当接部37側の構成部分の重さより重く形成するために、停止部材30に横片31を設けるのではなく、支持部側の部材を延長させたり、当接部37側の構成部分に比べて太く或いは厚く形成したり、錘を固定したりする等の構成でも達成することが出来る。
【0038】
又、回動部材3を、図8に示すように、横片31の縦片32,32間の長さを、軸受部材2の側片22,22間の距離より小さく形成し、回動軸39は、縦片32,32を貫通させて溶接等により固定して設けてもよい。尚、回動軸39の両端に、板状等の係止体391を設けてもよい。
【0039】
又、図2或いは図8に示すような停止部材30と図7に示す停止部材を組み合わせ、1本の回動軸39に3個以上の支持部(支持片)、3個以上の当接部を設けることとしてもよい。
【0040】
又、図9に示すように、回動部材3に、支持片33を設けないこととしてもよい。この場合、回動部材3の横片31が軸受部材2の側片22に当接して、回動部材3の回動が止められる。
【0041】
又、図10に示すように、停止部材50は、長尺状の平板の両端部を同方向に略直角に曲折し、側面視及び平面視略コの字型に形成し、長方形状の横片51の両端から、横片51と略垂直に、且つ斜め上方に向かって側縦片55,55が立設され、回動軸39の両端が側縦片55,55の対向する内側面に溶接等により固定して設けられている。側縦片55は上述の停止部材3の縦片32と支持片33を接続した形状であり、停止部材50の一方の先端部は搬送物の側底部と当接して搬送物を停止させる当接部57を構成し、他方の先端部は、回動軸39と共に回動部材55を支持する支持部53を構成している。停止部材50は、回動軸39から支持部53側の構成部分の重さが、回動軸39から当接部57側の構成部分の重さより重く形成されている。
【0042】
又、図示はしないが、図10に示す構成のうち、停止部材50の横板51を除いて構成し、具体的には、停止部材を2個の平板体を用いて構成し、回動部材を、回動軸の両端に、夫々平板状の停止部材を溶接等により固定して構成してもよい。勿論、停止部材は回動軸から支持部側の構成部分の重さが、回動軸から当接部側の構成部分の重さより重く形成されている。
【0043】
又、図示はしないが、軸受部材を一体形成するのではなく分割し、1対のL字型のブラケットで構成してもよく、軸受凹部の形状も、回動軸39を回動自在に支持出来れば特に限定されず、例えば側片22の側辺から水平方向にむけて凹部を設けると共に、その先端から下方に向けてL字状に延設する形状としてもよく、回動軸を挿入可能な孔の形状としてもよい。
【0044】
尚、ストッパー1は上記の回動部材3,55、停止部材30,50、軸受部材2の形状を適宜組合わせて形成することが出来る。
【0045】
このようなストッパー1は、コンベア80上を移送される搬送物の停止、位置決めに用いられるが、具体例としては、図14に示すような炊飯システム900、図13に示すような炊飯システムに組み込まれ、当該システムの一部を構成する食酢散布装置800等において、搬送物である炊飯釜7のコンベア80上での停止及び位置決めに用いることが出来る。
【0046】
図4〜6は、食酢散布装置800の一部構成図である。図4〜6等に示すように、2個のストッパー1,1は、炊飯釜7が移動する方向、図4では左から右方向、図5では奥から手前方向に炊飯釜7の長さと同じ間隔をもって設置され、1対のストッパー1,1でストッパー機構10を構成している。
【0047】
基台たる筐体8の上面に動力を用いないコンベア80である双列型のホイルコンベアが設置され、2本のホイル間にストッパー1が設置されている。ストッパー1は、回動部材3の当接部37が進行方向前方側、支持片33が進行方向後方側に位置するように設置されている。このように設置されたストッパー1は、回動部材3に応力が加わらない平時には、回動部材3の縦片32は、進行方向に向かって斜め上方に向いて停止している。
【0048】
図12に示すように、作業者が押す等して、炊飯釜7がコンベア80上を移動してきて、進行方向手前側に設置されたストッパー1の当接部37に接触しても押し続けると、回動部材3が回動軸39を中心に回動し、進行方向に向かって斜め上方に向いていた停止部材30の縦片32が水平になり、その上を炊飯釜7が通過する(図12(a))。
【0049】
更に炊飯釜7を押し続けて、炊飯釜7の進行方向前側の側底部が進行方向前方側に設置されたストッパー1の当接部37に接触する位置で炊飯釜7を停止させる。このとき、1対のストッパー1,1は、炊飯釜7の前後方向の長さと同じ間隔で設置されているので、炊飯釜7の進行方向前側の側底部が進行方向前方側に設置されたストッパー1の当接部37に当接すると共に、進行方向手前側に設置されたストッパー1の停止部材30の縦片32が、水平から進行方向に向かって斜め上方に向いているもとの状態に戻り、炊飯釜7の進行方向後側の側底部が進行方向後方側に設置されたストッパー1の当接部37に当接する(図12(b))。
【0050】
回動部材3は、回動軸39から当接部37側より、回動軸39から支持片33側が重く構成されているので、一旦停止した炊飯釜7が揺れようとする力では、進行方向前方側に設置されたストッパー1の回動部材3が回動することなく、炊飯釜7が進行方向前方に移動してしまうことがなく、又、進行方向手前側に設置されたストッパー1も、支持片33が基台たる筐体8の上面に当接し、それ以上支持片33が下方に向かう回動は出来ないので、炊飯釜7が進行方向後方に移動してしまうことがない。このようにして、炊飯釜7は、1対のストッパー1,1で前後を挟まれ、1対のストッパー1,1で構成されるストッパー機構10により停止が維持され、位置決めされる。図4及び5は炊飯釜7がストッパー機構10により停止が維持され、位置決めされた状態の図である。
【0051】
ストッパー機構10により停止が維持され、位置決めされている炊飯釜7を、進行方向に押すことにより、進行方向前方側に設置されたストッパー1回動部材3が回動軸39を中心に回動し、進行方向に向かって斜め上方に向いていた停止部材30の縦片32が水平になり、炊飯釜7の停止状態が解除され、その上を炊飯釜7が通過する(図12(c))。
【0052】
食酢散布装置800は、図13に示すように、筐体8内に設置された、図示しないポンプ、循環タンク81、筐体8の上面に設置されたコンベア80及び1対のストッパー1,1で構成されるストッパー機構10が設置され、筐体8の背面には支持壁82が立設され、支持壁82の上端から前面方向に屋根部83が延設されている。支持壁82及び屋根部83には制御盤を内蔵した操作パネル84が固定され、ストッパー1,1で位置決めされる炊飯釜7の真上に酢を散布する散布ノズル85が、下面が開口するノズルカバー86に固定されている。ノズルカバー86は、支持壁82に回動自在に支持されていると共に、屋根部83から伸びるワイヤ87によって吊るされている。ノズルカバー86の開口の周縁から下方には、合成樹脂のシート等で構成された可撓性を有し、酢の飛散を防止する散布カバー860が設けられている。ノズルカバー86は、ノズルカバー86の上面に設けられたハンドル851を上下させて回動させて上方に移動させることが出来る。又、タンク88がホース881により循環タンク81と接続され、タンク88内の酢は循環タンクに送られ、更に、循環タンクは図示しない送酢管により散布ノズル85に接続され、操作パネル84の操作により、前記ポンプを作動させて、循環タンク81内の酢を散布ノズル85に送り、散布ノズル85から炊飯釜7内の炊き上がった米に散布する。支持壁82には、炊飯釜7をガイドするホイルコンベア、ローラコンベア、ケースラックコンベア、フレームコンベア、ボールコンベア等で構成されるガイドコンベア801を設置することが好ましい。
【0053】
炊飯システム900は、図14に示すように、洗米及び送米をする洗米送米機901、洗米送米機901から送られた洗米工程を終えた米を浸漬し、炊飯釜7内に供給する浸漬充填装置902、炊飯釜7連続的に炊飯する連続炊飯機903、蒸らし工程を終えた炊飯釜7を反転し、炊飯釜7内部の炊き上がった米をほぐし機907のホッパー906に投入し、炊き上がった米をほぐす反転ほぐし機905、ほぐし終えた米を軽量する米飯計量器908、これらを接続するコンベア909,910等を備えて構成されている。コンベア909,910として、ローラコンベアが使用されている。勿論、炊飯システム900は、必要に応じてその他公知の機器を加えたり、上記の機器の内の一部を設けない構成とすることも出来る。
【0054】
連続炊飯機903から反転ほぐし機905の間のコンベア910は、蒸らし工程を行う為のいわゆるむらしコンベアであり、ローラコンベアであるコンベア910の下部に基台300となる平板がコンベア901の側枠に固定されて設置され、基台300上に1対のストッパー1,1が設置されて、ストッパー機構10を構成している。
【0055】
尚、このような炊飯システム900の、連続炊飯機903と反転ほぐし機905の間の蒸らし工程を行う部分に上記のような、1対のストッパー1,1が設置されて、ストッパー機構10を有する食酢散布装置800を設置することも出来る。又、むらしコンベアであるコンベア910のみを動力を用いないコンベアとし、他のコンベア部分は駆動コンベアを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明ストッパー一実施例側面図
【図2】本発明ストッパー一実施例正面図
【図3】本発明ストッパー一実施例上面図
【図4】本発明食酢散布装置一実施例部分正面図
【図5】本発明食酢散布装置一実施例部分側面図
【図6】本発明食酢散布装置一実施例部分斜視図
【図7】本発明ストッパー他実施例上面図
【図8】本発明ストッパー他実施例正面図
【図9】本発明ストッパー他実施例側面図
【図10】本発明ストッパー他実施例側面図
【図11】本発明食酢散布装置他実施例部分斜視図
【図12】本発明ストッパー機構の作動工程図
【図13】本発明食酢散布装置他実施例斜視図
【図14】本発明炊飯システム一実施例斜視図
【符号の説明】
【0057】
1 ストッパー
10 ストッパー機構
2 軸受部材
21 底片
210 長孔
22 側片
220 軸受凹部
3 回動部材
30 停止部材
300 基台
31 横片
32 縦片
33 支持片
37 当接部
39 回動軸
5 回動部材
50 停止部材
60 シンク
7 炊飯釜
8 筐体
80 コンベア
800 食酢散布装置
900 炊飯システム
91 支持梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸と該回動軸に固定された停止部材を備えた回動部材と、前記回動部材を回動自在に支持し、ストッパーを固定する基台に固定される軸受部材を備えて構成され、前記停止部材の一端には、搬送物と当接する当接部が設けられ、他端には前記回動部材の回動を止める支持部が設けられ、前記停止部材の前記回動軸から前記支持部側の部分の重さが、前記回動軸から前記当接部側の部分の重さより重く形成されていることを特徴とするストッパー。
【請求項2】
前記軸受部材は、底片の両端から側片が立設され、該側片の上端部には、前記回動軸が設置される軸受凹部が設けられ、前記回動部材は、横片の両端から、先端部が前記当接部を構成する縦片が立設されると共に、前記横片には、前記縦片の立設方向と反対方向に前記支持部を構成する支持片が立設され、前記縦片間に、前記回動軸が固定され、前記軸受部材の軸受凹部に前記回動軸を設置して、前記回動部材を前記軸受部材に回動自在に設置したことを特徴とする請求項1に記載のストッパー。
【請求項3】
前記軸受部材の底片には、長孔を設けたことを特徴とする請求項2に記載のストッパー。
【請求項4】
コンベア上を移送される搬送物の停止、位置決めに用いられるストッパー機構であって、請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の前記ストッパーを基台に設けて構成したことを特徴とするストッパー機構。
【請求項5】
前記ストッパーを所定の間隔を持って2個設けて構成したことを特徴とする請求項4に記載のストッパー機構。
【請求項6】
前記搬送物としての炊飯釜内の炊き上がった米に酢を散布するための食酢散布装置であって、前記基台たる筐体に請求項4又は5に記載のストッパー機構を設けたことを特徴とする食酢散布装置。
【請求項7】
炊飯を行なう炊飯システムであって、請求項4又は5に記載のストッパー機構を設けたことを特徴とする炊飯システム。
【請求項8】
請求項6に記載の食酢散布装置を備えたことを特徴とする請求項7に記載の炊飯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−159136(P2010−159136A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2877(P2009−2877)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(592193535)タニコー株式会社 (46)
【Fターム(参考)】