説明

ストレス軽減機能付き携帯電話機

【課題】ストレス状態の計測からその軽減に至る一連の機能を持たせた携帯電話機を提供する。
【解決手段】皮膚表面の電気抵抗を測定する電極を備えた皮膚電気抵抗計測部と、
表示部に表示される問診によって、ストレス受容傾向特性及び該ストレス受容傾向特性由来のストレスレベルを判定するストレス診断手段と、
前記皮膚電気抵抗計測部及び前記ストレス診断手段から出力される信号に基づいて、ストレスレベルを判定する合算ストレスレベル判定手段と、
前記合算ストレスレベル判定手段により判定されたストレスレベル及び前記ストレス診断手段により判定されたストレス受容傾向特性に基づいて、ストレス状態を改善するための指示を表示する指示表示手段と、
前記指示表示手段が表示した指示に基づいて、前記ストレス状態を軽減するストレス状態軽減手段とを備えることを特徴とするストレス軽減機能付き携帯電話機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚表面の電気抵抗を測定する電極及び問診形式によるストレス診断を利用することにより、ユーザーのストレスレベルを測定する機能を備えるとともに、測定したストレスレベルに応じてストレスを軽減させる機能をも備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、近年急速な普及を遂げており、それとともに多機能化が著しい。以前は、携帯電話機間や他の電話機との通話を行う通話手段として用いられていたが、現在では、カメラ機能を搭載したり、ソフトウェアプログラムを用いてゲーム機能を付加させているものが主流となっている。さらには、携帯電話機に加速度センサを搭載して、検知された加速度の変化に基づいてユーザーが歩行した歩数を計測する機能の付いたものもある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−120688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年仕事の忙しさや人間関係からくる精神的ストレスをかかえたユーザーも多く、ストレスが原因で胃潰瘍、肩こり、めまい等の症状が表れたり、免疫力の低下により風邪をひきやすくなったりすることがある。ストレスの程度や心身の健康への関心から書面を用いた問診方式のストレス診断が広く利用されている。またストレスを軽減・解消するための対策として、十分な睡眠と休養、食生活の改善、有酸素運動などが効果あることが知られている。そして、ストレス診断により得られた結果から、自己の判断にてまたはカウンセラーなどの専門家のアドバイスにて上記ストレス軽減・解消対策を採ることとなる。
【0004】
簡易なストレス解消法として、例えばリラクゼーションを用いた休息が一般に利用されており、このリラクゼーションには、例えば音楽鑑賞やアロマセラピーなどがある。しかし、ストレス診断の結果から、ストレス解消の要否及びその手段等を適切に判断するには、専門家の所に赴いて各個人の性格に適合したストレス解消法のアドバイスを受ける必要があり、また、例えば、アロマセラピーによるストレス解消手段を受けるには、相応の設備を有する施設に行く必要がある。
【0005】
一方で、従来の携帯電話機は、通信機能以外に多種多様な機能を搭載することが試みられている。例えば、特許文献1では、ユーザーが歩行した歩数を計測する機能を有する携帯電話機が開示されている。しかし、ユーザーが常時携行しているわりには使用されていない時間が多く、十分に有効な利用法がなされているとはいいがたい。また、従来の携帯電話機は、通信手段として各個人間の意思の疎通に利用されているが、各個人の健康状態を相互に管理しあうといった利用法はなされていない。
【0006】
さらには、上記特許文献1では、歩数を計測するのみであり、前記計測結果から、例えば、運動の必要性の有無やどの程度の運動が必要かといった対処すべき指示等が表示されることはない。
【0007】
そこで本発明は、上記従来技術の実情から、携帯電話機の機能をさらに広げたものであり、その目的は、ストレス状態の計測からその軽減に至る一連の機能を持たせた携帯電話機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第1の態様は、皮膚表面の電気抵抗を測定する電極を備えた皮膚電気抵抗計測部と、表示部に表示される問診によって、ストレス受容傾向特性及び該ストレス受容傾向特性由来のストレスレベルを判定するストレス診断手段と、前記皮膚電気抵抗計測部及び前記ストレス診断手段から出力される信号に基づいて、ストレスレベルを判定する合算ストレスレベル判定手段と、前記合算ストレスレベル判定手段により判定されたストレスレベル及び前記ストレス診断手段により判定されたストレス受容傾向特性に基づいて、ストレス状態を改善するための指示を表示する指示表示手段と、前記指示表示手段が表示した指示に基づいて、前記ストレス状態を軽減するストレス状態軽減手段とを備えることを特徴とする。ここで「ストレス受容傾向特性」とは、各人がストレスに向かい合う時、主観的にはどのように受け止めるかという、ストレスの認知の仕方の特性をいう。つまり、ストレスが降りかかってきた時の受け止め方における各人の性格傾向のことである。
【0009】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第2の態様は、請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、視覚が刺激を受けてから身体が動作を起こすまでの反応時間を計測して、ストレスの蓄積状態を判定するストレス蓄積状態判定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第3の態様は、請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、前記合算ストレスレベル判定手段は、前記皮膚表面の電気抵抗の最大値及び前記ストレス診断手段における前記ストレス受容傾向特性由来のストレスレベルの最大値を合算してストレスレベルを判定することを特徴とする。
【0011】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第4の態様は、請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、前記指示表示手段は、前記合算ストレスレベル判定手段により判定されたストレスレベルの結果からストレス状態にあると判定した場合に、文字、画像及び音声からなる群から選択された少なくとも一つの伝達手段にて表示することを特徴とする。
【0012】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第5の態様は、請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、前記ストレス受容傾向特性は、精神健康度及び外部環境適応度から判定することを特徴とする。
【0013】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第6の態様は、請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、前記ストレス状態軽減手段は、楽音及び/若しくは香りを発するリラクゼーション手段、並びに/または表示部に表示されるエクササイズ手段からなることを特徴とする。ここで「リラクゼーション手段」とは、気分転換することで精神面をリフレッシュする手段のことであり、「エクササイズ手段」とは、身体の全体や一部を動かすことで健康を保持増進し、肉体面及び/または精神面をリフレッシュする手段のことである。
【0014】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第7の態様は、請求項2に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、前記ストレス蓄積状態判定手段における前記刺激が、前記表示部に表示された物体の、静止状態から運動状態への状態変化であり、前記動作が、該変化を視覚にて認識したユーザーの、前記表示部近傍に設けられたキーにおける手指を用いたキー入力であることを特徴とする。
【0015】
本発明のストレス軽減機能付き携帯電話機の第8の態様は、請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機において、前記皮膚電気抵抗計測部に偶然接触することで出力される信号に基づいてストレスレベルが判定され、ストレス状態であるとき警告を発する手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の実施態様によれば、普段、携行している携帯電話機を用いて、ストレスレベルを測定できるだけではなく、簡易にストレス状態を改善するための指示を得、さらに、その指示に基づいて前記ストレス状態を軽減することもできるので、専門家の所に赴いてストレス解消の要否等のアドバイスを受ける必要がなく、ストレス解消のために相応の設備を有する施設に行く必要もない。また、ストレスの診断からストレス状態の軽減までの一連の流れを一台の携帯電話機で即座にできるので、任意の時間に任意の場所にてストレス状態の判定、解消が可能となり、ストレス状態軽減手段を用いた後に、再度ストレス状態を判定させることでストレスの軽減具合を確認することもできる。
【0017】
さらに、上記の通りストレス診断等が簡易にできることから、ストレス状態を放置することはなくなり、ストレスが原因の胃潰瘍、肩こり、めまい等の疾病を回避できる。また、携帯電話機でストレスレベルの判定及び解消を行うので、該判定結果及び解消結果をインターネット通信等にて第三者に送信することにより、受信した第三者は、送信者のストレス状態を管理することができる。さらには、組織に所属する人間に本発明に係る携帯電話機を携行させることで、組織全体としてのストレス状態の把握が容易となるので、健康面における組織管理を充実させることができる。加えて、ユーザーが常時携行しているわりには不使用の時間が長い携帯電話機の利用価値をさらに高めることができる。
【0018】
本発明の第2の実施態様によれば、常時携行している携帯電話機を用いてストレスの蓄積状態を判定することができるので、即時かつ簡易にストレスの蓄積による肉体的精神的疾患を予防することができる。
【0019】
本発明の第3の実施態様によれば、生理現象と性向の両面からストレスレベルを診断するので、的確なストレスレベルを即座に判定することができる。
【0020】
本発明の第4の実施態様によれば、ストレス状態にある場合にのみ、携帯電話機の表示部にて、文字、画像または音声からなる伝達手段を用いて指示が表示されるので、表示内容を容易に理解でき、また別途表示手段を備えた装置を必要としないので、コンパクトに構成できる。
【0021】
本発明の第5の実施態様によれば、精神健康度及び外部環境適応度の両面からストレス受容傾向特性を判定するので、個人差の大きいストレス感受性について的確に把握することができる。
【0022】
本発明の第6の実施態様によれば、ストレス状態軽減手段が携帯電話機に内臓されているので、即時にストレス軽減処置を受けることができ、また、別途ストレス軽減手段を備えた装置を必要としないので、コンパクトに構成できる。
【0023】
本発明の第7の実施態様によれば、携帯電話機の表示部に表示された物体の、静止状態から運動状態への状態変化へのユーザーの反応性を測定すればよいので、ストレスの蓄積状態を容易に判定できる。また、ユーザーの反応は手指を用いたキー入力なので、操作が容易である。
【0024】
本発明の第8の実施態様によれば、ストレスレベルを測定する意思がユーザーに無くても、偶然皮膚電気抵抗計測部にある電極に触れればストレスレベルを判定し、ストレス状態にあるときには音声や振動等にてユーザーに警告を発するので、ユーザーはストレス管理を意識することなく随時ストレス状態を把握することができ、ストレス状態の放置を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施形態に係るストレス軽減機能付き携帯電話機を、一実施形態例を記載した図面を用いながら説明する。図1(a)図は、本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機の正面図、同(b)図は、香りを用いたストレス軽減手段の部分を示す概略拡大断面図、図2は、同携帯電話機が備える回路構成の概略を示すブロック図、図3は本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレスレベル判定手段及び指示表示手段のフロー図、図4は本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機の表示部に表示される問診表、図5、図6は本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレス状態軽減手段のフロー図、図7は本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレス蓄積状態判定手段のフロー図、図8は本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機における自動警告手段のフロー図である。
【0026】
本発明の一実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機Aは、図1(a)に示すように各種の情報を表示する表示部1とキー操作をすることによって各種指示が入力される操作部10から構成されており、ヒンジ部100を介して表示部1と操作部10が連設されている。
【0027】
携帯電話機Aの内部には、図2に示すように、携帯電話機A全体の動作を制御するCPU11と、CPU11によって実行されるソフトウェアプログラムや各種のデータを記憶するメモリ12と、皮膚表面の電気抵抗を測定する電極13とが搭載されている。
【0028】
前記構成を有する携帯電話機Aでは、CPU11により、メモリ12に記憶されたストレス軽減用ソフトウェアプログラムが実行されるとともに、各部の動作が制御されて、携帯電話機A全体の動作が制御される。
【0029】
前記携帯電話機Aは、上記の通り、皮膚表面の電気抵抗を測定する電極13を搭載しており、この電極で測定した皮膚表面の電気抵抗に基づいて生理現象として表れるストレスレベルを判定する。これは、ヒトが緊張感からくるストレス状態にあるとき交感神経の作用で手のひらに発汗が見られることを利用したものである。つまり、ユーザーが携帯電話機Aを握り、例えば携帯電話機Aの操作部10側面に配置された前記電極13に触れることで、手のひら表面の電気抵抗を測定し、電気抵抗が所定値以上の場合には手のひら表面の発汗量が多いことからストレスがかかっていると判定される。つまり、発汗作用という生理現象面から、緊張感が原因のストレスレベルを判定するものである。
【0030】
上記したストレスレベル判定処理、ストレス改善の指示処理は、CPU11が、メモリ12に記憶されたストレス軽減用ソフトウェアプログラムを実行することにより実現される。以下、プログラムによって実行される処理例を、図3に記載のフローチャートを用いながら、説明する。
【0031】
本発明の実施形態例に係る携帯電話機Aでは、まず、表示部1に表示されたメニュー画面の表示に従って、操作部10におけるキー入力等を行うことによりストレス軽減用ソフトウェアプログラムの動作が開始される。プログラム動作の開始が指示されると、図3のステップS10において、CPU11がメモリ12に記憶されているストレス軽減用ソフトウェアプログラムを読み出して、プログラムが開始される。次に、ステップS11において、CPU11が、ユーザーに「ストレスレベル判定及び指示モード」、「ストレス状態軽減モード」、「その他モード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「ストレスレベル判定及び指示モード」を選択すると、処理がステップS12に進められ、「ストレスレベル判定及び指示モード」が開始される。
【0032】
次に、ステップS13において、CPU11は、操作部10側面に配置された皮膚電気抵抗計測部の電極13に手のひら部を接触させて皮膚電気抵抗を測定するよう、表示部1の表示画面上にて促す。次に、ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、CPU11が皮膚電気抵抗の測定準備が完了した信号を取得すると、ステップS14においてCPU11は、ユーザーが前記電極13に手のひら部を接触させることにより得られる前記電極13から出力される電気抵抗信号を取得する。そして、この測定値のうちの最大値を算出する。次に、ステップS15において、CPU11は、前記最大値が、予め設定された所定の基準値未満であればストレスレベル0、前記基準値以上所定値未満の範囲であればストレスレベル1、前記所定値以上であればストレスレベル2と三区分に分類し、その結果をメモリ12に記憶させる。これにより、生理現象として表れるストレスレベルを判定する。
【0033】
次に、ステップS16において、CPU11は、表示部1の表示画面上にて、ユーザーがストレス診断用の問診に回答するよう促す。次に、CPU11は、ステップS17において、問診内容を表示部1に表示する。問診内容については、例えば図4に記載の問診表が挙げられる。この問診表は、ストレス受容傾向特性及びストレス受容傾向特性由来のストレスレベルを判定するものである。次に、ユーザーによって、前記問診表に表示された各項目毎に当てはまる番号がキー操作にて選択されると、ステップS18において、CPU11は、予め設定された所定の基準値未満(例えば各問診項目の平均が3点未満)であればストレスレベル0、前記基準値以上所定値未満(例えば各問診項目の平均が4点未満)の範囲であればストレスレベル1、前記所定値以上であればストレスレベル2と三区分に分類してストレス受容傾向特性由来のストレスレベルを判定し、メモリ12にこの結果を記憶させる。そして、ステップS19において、CPU11は、ステップS15で判定した生理現象として表れるストレスレベル及びステップS18で判定したストレス受容傾向特性由来のストレスレベルを合算処理し、CPU11は、ステップS20において、例えば合算したストレスレベルの値が0であればストレスなし、1または2であれば軽度のストレス状態、3以上であれば重度のストレス状態であることを表示部1に表示する。このとき、前記ストレスレベルの数値を文字表示してもよいし、「ストレスなし」、「注意。軽度のストレス状態」、「要対処。重度のストレス状態」などのような語句を文字表示してもよい。また、表示部1の表示方法は、前記文字表示の他、例えばストレス状態に応じて元気の程度を表した人物の画像や、警笛のような音であってもよい。
【0034】
さらにステップS21においてCPU11は、前記基準値以上の値を示す前記問診表の項目からストレス受容傾向特性を判定する。本実施形態例の場合、問診項目例1〜15の結果から精神健康の面でストレスを受けやすい性格か否か(精神健康度)を判定し、問診項目例16〜30の結果からは外部環境適応面でストレスを受けやすい性格か否か(外部環境適応度)を判定することで、ストレス受容傾向特性を判定する。例えば、精神健康度及び外部環境適応度とも、3点以上の問診項目が過半数を超える場合に、CPU11は、それぞれ精神健康の面でストレスを受けやすい(精神健康度が低い)、外部環境適応面でストレスを受けやすい(外部環境適応度が低い)、と判定する。
【0035】
次に、例えば、前記合算したストレスレベルの値が1以上と表示された場合、ユーザーが操作部10をキー入力することで、CPU11はステップS22において、合算したストレスレベル及び判定したストレス受容傾向特性に応じて、ストレス状態を改善するための指示を表示部1に表示する。このとき、CPU11が重度のストレス状態と判定した場合には、その改善には各種の対処法が必要ともなりうるため、2以上の指示を表示部1に表示してもよい。
【0036】
本実施形態例において、表示部1に表示される指示内容としては、例えば、アロマセラフィーや音楽鑑賞などのリラクゼーションの必要性、運動などのエクササイズの必要性、コミュニケーションの奨励、医療機関でのカウンセリングの勧め、などが挙げられる。
【0037】
本実施形態例において、生理現象面でストレス状態にあると判定された場合には、緊張をほぐすのが有効な対処法であることから、表示部1に表示される指示内容としては、例えばリラクゼーションやエクササイズが挙げられる。また、ストレス受容傾向特性でストレス状態にあると判定された場合であって、精神健康度が低い時には、例えば医療機関でのカウンセリングの勧めが表示部1に表示され、外部環境適応度が低い時には、人間関係の改善が有効であることから、例えばコミュニケーションの奨励が表示部1に表示される。
【0038】
もちろん、上記したユーザーのストレス状態が複数の原因による場合には、該当する複数の原因に対応した指示が全て表示されてもよいし、最もストレスレベルの高い原因に対応した指示内容が表示されてもよい。
【0039】
前記表示部1に表示されるストレス状態を改善するための指示のうち、本実施形態例に係る携帯電話機Aには、指示に応じたストレス状態軽減手段として、リラクゼーション手段及びエクササイズ手段が搭載されている。前記リラクゼーション手段には、楽音、香りなどがある。楽音には、例えば音楽による癒しがあり、ユーザーが好む音楽を携帯電話機Aに予めダウンロード等しておけばよい。
【0040】
香りを用いたストレス状態軽減手段の動作原理の一例については、以下、図1(b)の拡大断面図及び図5に記載のフローチャートも用いながら、説明する。本実施形態例に係る携帯電話機Aの操作部10のうちキー部が配置されていない、例えば操作部10表面の周縁部に、穴状の空間14が穿設されている。この空間に香りの精油をしみ込ませた吸収材15が挿入されており、表面部に孔を設けた蓋16にて前記空間の開口部が閉じられている。さらに、前記吸収材15が挿入された空間14の底部には、ヒーター17が埋設されている。
【0041】
表示部1に表示されたメニュー画面の表示に従って、操作部10におけるキー入力等を行うことによりストレス軽減用ソフトウェアプログラムの動作が開始される。プログラム動作の開始が指示されると、図5のステップS30において、CPU11がメモリ12に記憶されているストレス軽減用ソフトウェアプログラムを読み出して、プログラムが開始される。ステップS31において、CPU11が、ユーザーに「ストレスレベル判定及び指示モード」、「ストレス状態軽減モード」、「その他モード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「ストレス状態軽減モード」を選択すると、処理がステップS32に進められ、「ストレス状態軽減モード」が開始される。次に、CPU11は、ステップS33において表示部1に「アロマセラフィーモード」と「エクササイズモード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「アロマセラフィーモード」を選択すると、処理がステップS34に進められ、「アロマセラフィーモード」が開始される。
【0042】
次に、ステップS35においてヒーター駆動信号がヒーター17に送られ、ヒーター17に電流が流されてヒーター17が発熱し、吸収材15にしみ込ませた香りの精油を気化させる。気化された香りの精油は、蓋16に設けられた孔を通じて、ユーザーの鼻腔に到達することでストレス状態が軽減される。ヒーター17には、例えばタングステンコイルを用いた電気コイルなどを用いることができる。吸収材15は、精油を吸着できるものであればよく、例えば有機系高分子の繊維による不織布やプラスチックを発泡形成したスポンジなどを用いることができる。また、精油の香りには、例えばジャスミン、ローズ、ラベンダー、レモンなどの香りがある。
【0043】
次に、エクササイズ手段を用いたストレス状態軽減手段の一例を、以下、図6に記載のフローチャートを用いて説明する。表示部1に表示されたメニュー画面の表示に従って、操作部10におけるキー入力等を行うことによりストレス軽減用ソフトウェアプログラムの動作が開始される。プログラム動作の開始が指示されると、図6のステップS40において、CPU11がメモリ12に記憶されているストレス軽減用ソフトウェアプログラムを読み出して、プログラムが開始される。ステップS41において、CPU11が、ユーザーに「ストレスレベル判定及び指示モード」、「ストレス状態軽減モード」、「その他モード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「ストレス状態軽減モード」を選択すると、処理がステップS42に進められ、「ストレス状態軽減モード」が開始される。次に、CPU11は、ステップS43において表示部1に「アロマセラフィーモード」と「エクササイズモード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「エクササイズモード」を選択すると、処理がステップS44に進められ、「エクササイズモード」が開始される。
【0044】
「エクササイズモード」が開始されると、CPU11はステップS45において、ユーザーにエクササイズを促す画像を、表示部1に表示する。本実施形態例においては、前記エクササイズを促す画像には、例えば、人物の顔を表示部1に表示し、この人物がその口角部を上下に動かしてユーザーに同じ動作を促す画像や、人物の全身を表示部1に表示し、この人物が左右の脚や腕を交互に上げてユーザーに同じ動作を促す画像等があげられる。これは、口角部、脚部、腕部等の上下等の運動により、緊張感からくるストレス状態が軽減されて気分転換が図れ、さらに身体の全体や一部を動かすことで肉体面及び/または精神面をリフレッシュできることによる。もちろん、上記動作に限定はされず、ユーザーに運動を促す任意の画像であってもよい。
【0045】
さらに、本発明の実施形態例に係る携帯電話機Aは、視覚が刺激を受けてから身体が動作を起こすまでの反応時間を計測することで、ストレスの蓄積状態を判定する機能を搭載することもできる。これは、発明者が、ストレスが蓄積されると視覚系からの刺激に対して、身体の動作反応が遅くなるという知見を見出したことによる。以下、図7に記載のフローチャートを用いながら、一連のストレス蓄積状態判定手段を説明する。
【0046】
図7のステップS50において、プログラムが開始され、ステップS51において、ユーザーに「ストレスレベル判定及び指示モード」、「ストレス状態軽減モード」、「その他モード」のいずれかの選択を促すことは、前記図3、5、6を用いた説明と同様である。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「その他モード」を選択すると、処理がステップS52に進められ、「その他モード」が開始される。
【0047】
次に、CPU11は、ステップS53において表示部1に「ストレス蓄積状態判定モード」と「自動警告モード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部におけるキー入力を行うことによって、「ストレス蓄積状態判定モード」を選択すると、処理がステップS54に進められ、「ストレス蓄積状態判定モード」が開始される。
【0048】
「ストレス蓄積状態判定モード」が開始されると、CPU11はステップS55において、表示画面の周縁部に配置された物体の静止状態の画像を表示する。次に、CPU11は、ステップS56において、この物体の画像を静止状態から運動状態へと変化させ、その時刻をメモリ12に記憶させる。ステップS57においてCPU11は、ユーザーのキー操作時刻を測定し、その時刻をメモリに記憶させる。このとき、ユーザーは物体が静止状態から運動状態へと変化したのを視認すると同時に、携帯電話機Aを持っている指にて操作部10のキーを押している。ステップS58において、CPU11は、物体が運動状態に変化してからユーザーがキーを押すまでに要した時間を判定し、CPU11は、ステップS59において、この時間が基準値未満であれば「ストレス蓄積なし」、基準値以上であれば「ストレス蓄積有り」を表示部1に表示する。上記物体には、例えばボール、車などがあげられるが、もちろん動物や人物など物体以外の画像であってもよい。
【0049】
さらに、本発明の実施形態例に係る携帯電話機Aは、ユーザーが偶然皮膚電気抵抗計測部に接触したときであっても、該計測部から出力される信号に基づいてストレスレベルが判定され、ストレス状態であるときには、自動的に警告を発する機能を搭載することもできる。以下、図8に記載のフローチャートを用いながら、一連の自動警告手段を説明する。
【0050】
図8のステップS60において、プログラムが開始され、ステップS61において、ユーザーに「ストレスレベル判定及び指示モード」、「ストレス状態軽減モード」、「その他モード」のいずれかの選択を促すことは、前記図3、5、6を用いた説明と同様である。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「その他モード」を選択すると、処理がステップS62に進められ、「その他モード」が開始される。
【0051】
次に、CPU11は、ステップS63において表示部1に「ストレス蓄積状態判定モード」と「自動警告モード」のいずれかの選択を促す。ユーザーが操作部10におけるキー入力を行うことによって、「自動警告モード」を選択すると、処理がステップS64に進められ、「自動警告モード」が開始される。
【0052】
次に、CPU11が皮膚電気抵抗の測定準備が完了した信号を取得すると、ステップS65においてCPU11は、ユーザーが通話時等の際に携帯電話機Aに搭載された電極13に手のひら部が偶然接触したとき、前記電極13から出力される電気抵抗信号を取得し、測定値のうちの最大値を算出することで、生理現象として表れるストレスレベルを判定する。そして、ステップS66において、CPU11は、前記最大値が、予め設定された所定の基準値未満であればストレスレベル0、前記基準値以上所定値未満の範囲であればストレスレベル1、前記所定値以上であればストレスレベル2と三区分に分類し、その結果をメモリ12に記憶させ、ストレスレベル1以上であれば、音声や振動等にてユーザーに警告を発する。また、表示部1にストレスレベルを表示して注意を喚起する態様であってもよい。もちろん、上記警告がなされた場合には、「ストレス状態軽減モード」を用いて、アロマセラフィー手段やエクササイズ手段により緊張状態からくるストレスを軽減することもできる。
【0053】
次に、他の実施形態例を説明する。上記した実施態様例では、ストレスレベルを三区分に分類しているが、必要に応じて二区分であっても四区分以上であってもよい。また、図4の問診表の項目はストレス受容傾向特性を判断できる範囲において、精神健康度、外部環境適応度の代わりに適宜内容の変更をすることができる。また、上記実施形態例では、皮膚表面の電気抵抗を測定する電極13を操作部10の側面に配置したが、操作部10表面の周縁部など、ユーザーが携帯電話機Aを手にした時に接触しやすい部位であればどこに配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】(a)図は、本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機の正面図、同(b)図は、香りを用いたストレス軽減手段の部分を示す概略拡大断面図である。
【図2】同携帯電話機が備える回路構成の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレスレベル判定手段及び指示表示手段のフロー図である。
【図4】本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機の表示部に表示される問診表の例である。
【図5】本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレス状態軽減手段の一例を示すフロー図である。
【図6】本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレス状態軽減手段の一例を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機におけるストレス蓄積状態判定手段のフロー図である。
【図8】本発明の実施形態例に係るストレス軽減機能付き携帯電話機における自動警告手段のフロー図である。
【符号の説明】
【0055】
A 携帯電話機
1 表示部
10 操作部
11 CPU
12 メモリ
13 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面の電気抵抗を測定する電極を備えた皮膚電気抵抗計測部と、
表示部に表示される問診によって、ストレス受容傾向特性及び該ストレス受容傾向特性由来のストレスレベルを判定するストレス診断手段と、
前記皮膚電気抵抗計測部及び前記ストレス診断手段から出力される信号に基づいて、ストレスレベルを判定する合算ストレスレベル判定手段と、
前記合算ストレスレベル判定手段により判定されたストレスレベル及び前記ストレス診断手段により判定されたストレス受容傾向特性に基づいて、ストレス状態を改善するための指示を表示する指示表示手段と、
前記指示表示手段が表示した指示に基づいて、前記ストレス状態を軽減するストレス状態軽減手段とを備えることを特徴とするストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項2】
視覚が刺激を受けてから身体が動作を起こすまでの反応時間を計測して、ストレスの蓄積状態を判定するストレス蓄積状態判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項3】
前記合算ストレスレベル判定手段は、前記皮膚表面の電気抵抗の最大値及び前記ストレス診断手段における前記ストレス受容傾向特性由来のストレスレベルの最大値を合算してストレスレベルを判定することを特徴とする請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項4】
前記指示表示手段は、前記合算ストレスレベル判定手段により判定されたストレスレベルの結果からストレス状態にあると判定した場合に、文字、画像及び音声からなる群から選択された少なくとも一つの伝達手段にて表示することを特徴とする請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項5】
前記ストレス受容傾向特性は、精神健康度及び外部環境適応度から判定することを特徴とする請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項6】
前記ストレス状態軽減手段は、楽音及び/若しくは香りを発するリラクゼーション手段、並びに/または前記表示部に表示されるエクササイズ手段からなることを特徴とする請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項7】
前記ストレス蓄積状態判定手段における前記刺激が、前記表示部に表示された物体の、静止状態から運動状態への状態変化であり、前記動作が、該変化を視覚にて認識したユーザーの、前記表示部近傍に設けられたキーにおける手指を用いたキー入力であることを特徴とする請求項2に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。
【請求項8】
前記皮膚電気抵抗計測部に偶然接触することで出力される信号に基づいてストレスレベルが判定され、ストレス状態であるとき警告を発する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のストレス軽減機能付き携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−100088(P2009−100088A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267803(P2007−267803)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(594128740)
【出願人】(591150144)
【Fターム(参考)】