説明

ストレージメディアのエラー訂正のための方法およびシステム

読取不能データを識別するために、ストレージメディア(28)上のデータファイルが、再生または実行中に処理される。読取不能データに対応する置換データが通信ネットワーク(54)を介して取得され、データファイルに読取不能データが含まれていないかのようにデータファイルを再生または実行するために、置換データが使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2008年3月25日出願の米国特許出願第12/079,186号「ストレージメディアのエラー訂正のための方法およびシステム」の利益を要求し、同開示を参照によりここに援用する。
【背景技術】
【0002】
DVDプレーヤ、CDプレーヤ、DVR、ゲームコンソールなどの電子エンタテインメントデバイスは、ストレージメディアに記憶されたデータファイル(通常はマルチメディアデータファイル)のデータを読み出して処理することにより、映画、音楽、ゲームなどのマルチメディアコンテンツを再生するようになっている。このストレージメディアは、例えばハードディスクの形でエンタテインメントデバイス内に固定的に格納されていることもある。あるいは、ストレージメディアが、エンタテインメントデバイスの外部ドライブに挿入されるDVD、CD、メモリカード、フラッシュデバイス、USBメモリデバイス等の形態のように携帯式でもよい。
【0003】
一部の電子エンタテインメントデバイスは、マルチメディアデータファイルをダウンロードして、内部ストレージメディアまたは携帯式ストレージメディアに記憶して後から再生するか、直接再生するためにストリーミングできるように、通信機能を備えている。また、ホームシアターエンタテインメントシステムで一般にみられるような一部の高度な電子エンタテインメントデバイスは、ビデオiPod等の別のエンタテインメントデバイスに結合され、ホームシアターシステムの一部であるテレビなど、結合されているエンタテインメントデバイス内のストレージメディアに記憶されたマルチメディアデータファイルを再生するようになっている。
【0004】
時に、ストレージメディアに記憶されているか、ストレージメディアに記憶されているはずのマルチメディアデータファイルの一部分以上が、エンタテインメントデバイスによってエラーなしで読み出すことができなかったり、全く読み出すことができなかったり、あるいは実際にはストレージメディアから欠落していることがある。明確を期するために、本願で使用される「読取不能データ」との用語は、例えば、ストレージメディアの破損により、ストレージメディアから読み出すことができないストレージメディアに記憶されたデータファイルの任意の部分;ストレージメディアの製造欠陥、書き込み用のデータのダウンロードまたはストレージメディアへのデータ書き込み中に発生したエラーのため、ストレージメディアに記憶されているはずであるが、実際にはストレージメディアに記憶されていないデータファイルの任意の部分;あるいは、ストレージメディアに記憶されているはずであるが、破損しているか不完全な形でメディアに記憶されており、読むことができるが、エンタテインメントデバイスで利用可能なエラー訂正技術によって訂正できないデータファイルの任意の部分を指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストレージメディア上のマルチメディアデータファイルが読取不能データを含む場合、エンタテインメントデバイスは、マルチメディアデータファイルのコンテンツを全く再生することができないか、ストレージメディアから読み出されたデータの処理中に、ファイルの読取不能データに対応するストレージメディア部分が出現したときに、ファイルの再生が中止または中断される。例えば、CD、DVDまたはゲームディスクなどの携帯式ストレージメディアが、キズを受けたり、別の形で損傷を受けたり、あるいは製造欠陥を含む結果、CDプレーヤ、DVDプレーヤまたはゲームコンソールなどのエンタテインメントデバイスの光学式ドライブが、キズまたは欠陥を含むディスク上の位置に対応するデータファイルのデータを一切読み出すことができないか、あるいはデータの一部しか読み出すことができない。エンタテインメントデバイスとそのエラー訂正機能、更に、マルチメディアファイルに含まれるコンテンツによっては、キズまたは欠陥を含むCD上の音声データファイル(例えば歌)またはDVD上の音声およびビデオデータファイル(例えば映画)が全く再生できないか、あるいは、歌または映画の再生が読取不能データに対応するデータファイルの部分を飛ばして、読取不能データファイルの後の部分から再生が行われることになる。ストレージメディアからのマルチメディアデータファイルの再生は、どんな形であれエラーが発生していて、原因がストレージメディアでありエンタテインメントデバイスではないとユーザが判断した場合、そのユーザは、CD、DVDまたはゲームディスクなどのストレージメディアが、快適な再生にはもはや使用できないと判断することがある。
【0006】
ストレージメディア上のデータファイルに読取不能データが含まれることがわかった場合、ユーザは、データファイルに含まれる全コンテンツの再生を、エラーまたは中断なく楽しむには、新しい携帯式ストレージメディア(CD、DVDなど)を購入するか、代わりのものを取得するなどにより、データファイル全体の新しいコピーを取得するか、通信ネットワーク(例えばインターネット)を介してiTune等のマルチメディアサーバからデータファイル全体をダウンロードしなければならない。このため、ストレージメディア上の読取不能データが、実際にはマルチメディアデータファイルのごく一部に過ぎない場合であっても、所期の方法でコンテンツを再生できるように、データファイルの全体を置換しなければならない。
【0007】
このため、ストレージメディア上のデータファイルの読取不能データに対応する置換データを容易に取得し、データファイルの再生または実行中に置換データを使用するための方法およびシステムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、ストレージメディアに記憶されたデータファイルからデータを読み出して、このデータファイルに含まれるコンテンツを再生するためのマルチメディアプレーヤなど、ネットワーク通信機能を備えるデータファイルの実行または再生用のデバイス(「再生デバイス」)は、ストレージメディア上のデータファイルが読取不能データを含むかどうかを判定し、読取不能データに対応するファイル内のメモリ位置を識別し、通信ネットワークを介して、メディアプレーヤサーバ等のデータファイルサーバに、データファイルの識別されたメモリ位置に対応する置換データの要求を送信する。サーバは、アーカイバルデータベースから要求された置換データを取得して、置換データを再生デバイスに送信する。再生デバイスは、ストレージメディアに記憶されたデータファイルに読取不能データが含まれていないかのように、データファイルの再生または実行が行われるように、データファイルの再生または実行中に置換データを使用する。
【0009】
一実施形態では、再生デバイスは、ストレージメディアを識別する情報と置換データの要求を発生させたデータファイルと共に、データファイルの置換データを、再生デバイスのメモリに記憶し、その後ストレージメディアのデータファイルが再生デバイスで再生される際に、記憶した置換データを使用する。
【0010】
別の実施形態では、サーバは、ストレージメディアからのデータファイルの再生中に、再生デバイスによって使用可能となるように、再生デバイスに置換データをストリーミングする。
【0011】
別の実施形態では、ストレージメディアの製造、ストレージメディアへのデータファイルの書き込み、およびストレージメディアへのデータファイルの書き込みに用いられるマスタデータファイルのそれぞれに関する潜在的な問題を識別するために、訂正データが使用されうるように、サーバは、データファイルのために要求される置換データに対応するメモリ位置を表わす訂正データ、データファイルの識別子、およびデータファイルを格納しているストレージメディアの識別子を記憶する。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、以下に記載する現在の好ましい実施形態の詳細な説明から明らかとなろう。これら実施形態の説明は、添付の図面と併せて考察されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の態様に係る例示的なシステムのブロック図である。
【図2】本発明の態様に係るフローチャートである。
【図3】本発明の態様に係るフローチャートである。
【図4】本発明の態様に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
光学式ストレージメディアに記憶された光学的読取可能マルチメディアデータファイルを読み出すための光学式リーダを含み、データファイルの読取不能データに対応する置換データをサーバから取得するために通信ネットワークを介してマルチメディアプレーヤサーバと通信する機能を備え、ストレージメディアに読取不能データが含まれていないかのように再生するために、データファイルのマルチメディアコンテンツの再生中に置換データを使用するマルチメディアプレーヤに関連して、本発明を以下に記載する。しかし、本発明は、ストレージメディアから読み出された個々のデータファイルを実行または再生し、通信ネットワークを介して、データファイルの読取不能データに対応する置換データを取得し、データファイルの実行または再生中に、置換データを使用することが可能な任意のデバイスに関連して実装することができる点を理解すべきである。
【0015】
図1は、本発明に係る、通信ネットワークを使用して、ストレージメディアに記憶されたデータファイルの読取不能データに対応する置換データを取得して、この置換データを使用してデータファイルに含まれるコンテンツを再生するためのシステム10の例示的な実施形態をブロック図形式で示す。図1を参照すると、システム10は、ストレージメディアに記憶されたマルチメディアデータファイルのコンテンツを再生するためのメディアプレーヤ12と、ストレージメディア上のデータファイルの読取不能データに対応する置換データを、通信ネットワークを介してメディアプレーヤ12に送信するためのメディアプレーヤサーバ14とを有する。
【0016】
プレーヤ12は、メモリ18を備えるコントローラ16を有し、コントローラ16は、通信モジュール20、ストレージメディアリーダ22、および任意選択の置換データログモジュール24に結合されている。リーダ22は、ログモジュール24に結合されており、リムーバブルストレージメディアポート26と、任意選択の固定ストレージメディア26とを有する。メディアプレーヤサーバ14は、メモリ42を備えるコントローラ40を有し、コントローラ40は、通信モジュール44、置換データ要求ログモジュール46、およびアーカイバルデータファイルモジュール48に結合されている。
【0017】
下に、データ処理操作の実行について説明するメディアプレーヤ12およびメディアプレーヤサーバ14のモジュールはそれぞれ、ソフトウェアモジュールでも、ハードウェアモジュールでも、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたモジュールでもよい。また、プレーヤ12およびサーバ14のモジュールはそれぞれ、本発明に従って処理操作を実行するためのデータおよび命令を記憶するためのRAM等のメモリストレージ領域と、データ処理命令を実行しかつデータを処理するためのプロセッサとを最適に備える。あるいは、処理操作を実行するための命令が、プレーヤ12およびサーバ14のモジュールの1つ以上のハードウェア内に記憶されてもよい。
【0018】
メディアプレーヤ12は、例えば、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、ゲームコンソール、パーソナルコンピュータ、DVR、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、携帯電話、PDAなどである。
【0019】
コントローラ16は、メモリ18に命令として記憶されている処理のステップを実行するための従来のマイクロプロセッサである。この処理は、本発明の特徴を実装するために、コントローラ16内部のデータ処理を制御するほか、コントローラ16と、リーダ22、ログモジュール24および通信モジュール20のそれぞれとの間のデータ交換も制御する。データ処理操作には、当業界で従来行われているように、例えば、ホームシアターシステムに出力するための音声およびビデオデータを生成するためのマルチメディアデータファイルの処理が含まれる。
【0020】
通信モジュール20,44はそれぞれ、有線および無線の通信機能の少なくとも一方を備える従来のトランシーバである。モジュール20,44は、プレーヤ12およびサーバ14を、それぞれ、通信ネットワーク54(例えばインターネット)に結合している有線または無線通信リンク50,52を介したデータ信号の送信とデータ信号の受信を適切に行うようになっている。モジュール20,44は、インターネット54を介してプレーヤ12とサーバ14との間のデータ交換を実現するために、プレーヤ12とサーバ14のそれぞれのIPアドレスを確立する。
【0021】
ストレージメディアリーダ22は、例えば、光学的、ホログラフィ的、磁気的などに記憶データを格納しているストレージメディアなどからデータを読み出すための従来のデバイスである。リーダ22は、例えば、当業界において公知のDVD、CD、磁気記憶装置カード、フラッシュメモリや、当業界において公知の同様のメモリデバイスの読み出しが可能な、例えば、光学式ドライブおよび光学式データリーダシステム、磁気カードリーダ、フラッシュメディアリーダ、または当業界で公知の同様のリーダなどである。
【0022】
リムーバブルストレージメディアポート26は、従来技術において公知の光学的読取可能データを格納しているディスク、磁気的に符号化されたデータを格納しているメモリカード、フラッシュメモリデバイスや、当業界において公知の同様のデバイスなど、携帯式ストレージメディアを受け容れるための従来のデバイスである。
【0023】
固定ストレージメディア28は、光学式ハードディスク、チップメモリなど、従来技術において公知の同様のデバイスなどの従来の記憶デバイスである。
【0024】
ログモジュール24は、置換データが要求されたデータファイル、置換データに対応するデータファイル内のメモリ位置、およびデータファイルを格納しているストレージメディアの識別子によって識別される置換データを記憶している。
【0025】
また、リーダモジュール22は、後述するように、データファイルの再生中に必要に応じて、ログモジュール24からリーダモジュール22への置換データの転送を補助にするための従来の手段を備える。
【0026】
コントローラ40は、メモリ42に命令として記憶されている処理のステップを実行するための従来のマイクロプロセッサである。この処理は、本発明の特徴を実装するために、コントローラ40内部のデータ処理を制御するほか、コントローラ40、アーカイバルモジュール48、要求ログモジュール46および通信モジュール44の間のデータの交換も制御する。
【0027】
アーカイバルデータファイルモジュール48は、映画、音楽、ゲーム、音楽などのコンテンツを含むマルチメディアデータファイル等のデータファイルを格納しているデータベースを有し、これらのデータファイルは問題のないことが確認されており、このため、プレーヤ12で再生中のストレージメディア上のデータファイルの読取不能データに対応する置換データの取得に使用できる。当業界において従来行われているように、モジュール48内のデータファイルのそれぞれのコンテンツ情報はデータパケットに記憶され、データパケットはそれぞれ、データファイル内のメモリ位置に対応するヘッダを有する。
【0028】
置換ログモジュール48は、サーバ14においてその置換データの要求を受信したデータファイルを格納しているストレージメディアの識別子、要求に対するデータファイルの識別子、および要求された置換データに対応するデータファイル内のメモリ位置を格納しているデータベースを有する。
【0029】
本発明の一態様によれば、メディアプレーヤ12は、リーダ22が読み出し中のストレージメディアに記憶されたデータファイルが、読取不能データを含んでいると判定した場合、メディアプレーヤ12は、読取不能データに対応する置換データをサーバ14から要求して、データファイルに読取不能データが含まれていないかのように、データファイルに対応するコンテンツの再生が行われるように、サーバ14から送られた置換データを使用してデータファイルを再生する。
【0030】
図2は、ストレージメディア上のデータファイルが読取不能データを含むかどうかを判定し、読取不能データに対応するメモリ位置を識別し、通信ネットワークを介して、データファイルの識別されたメモリ位置に対する置換データを要求し、データファイルのコンテンツを再生する際にこの置換データを使用する例示的な処理100を示す。本発明を説明する目的で、図1に示すように、システム10のメディアプレーヤ12およびサーバ14の構成要素によって実行される操作に関連して処理100を説明する。この例では、プレーヤ12が従来の光学的読取可能DVDを再生するための従来のDVDプレーヤの機能を備え、このDVDは映画を格納しており、そのコンテンツがマルチメディアデータファイルとしてDVDに記憶されている。また、後述するように、メディアプレーヤ12が特定のストレージメディア上の特定のデータファイルを最初に読み出したときに、メディアプレーヤ12が処理100を実行し、その後、メディアプレーヤ12が、この特定のストレージメディアから前に再生した同じデータファイルを再生する度に、メディアプレーヤ12は、図3に関する説明で後述する処理200を実行する。
【0031】
図2を参照すると、DVDストレージメディアがポート26に挿入されたのちに、ステップ102において、プレーヤ12のストレージリーダ22が、DVDに記憶されたマルチメディアデータファイル(例えば映画)からデータの光学的読取を開始する。当業界で従来行われているように、映画のコンテンツは、DVD上に、音声およびビデオ情報を含むデータパケットで記憶されており、データファイルのデータパケットは、データファイル内のデータパケットのそれぞれのメモリ位置を識別する、連番を付されたヘッダを有する。更にステップ102において、リーダ22は、データファイルから読み出したデータを、DVDからデータパケットを読み出した順に処理し、データファイルに読取不能データが含まれているかどうかを判定する。読取不能データとは、例えば、マルチメディアコンテンツデータを含まないデータパケットや、例えば、コントローラ16のメモリ18に格納されているエラー訂正処理によって訂正不能なエラーを含むマルチメディアコンテンツデータのデータパケット、あるいは、読み出したデータから完全に欠落しているデータファイルのデータパケットのことである。リーダ22は、読取不能データが最初に検出されるまで、読み出したデータの処理を、DVDからデータを読み出した順に続ける。読取不能データが最初に検出されると、リーダ22は、データファイルが読取不能データを含むかどうかを判定する処理を中止して、読取不能データに対応するデータパケットのメモリ位置を識別する。また、ステップ102において、リーダ22は、可能な限りDVDのディスク識別子情報とデータファイルの識別子とを決定する。換言すれば、このような情報が格納されており、DVDから読み出すことができる場合には、DVDのディスク識別子情報とデータファイルの識別子とを決定する。このディスクおよびデータファイルの識別情報は、通常、DVD上で、データファイルと共にあるいはデータファイル内に含まれており、DVDの真贋性の確認を可能にする。リーダ22が、読み出したデータの処理を中止すると、処理100はステップ104に進む。
【0032】
ステップ102の後に、ステップ104において、リーダ22は、ステップ102で読取不能データが検出されたかどうかを判定する。検出されなかった場合、リーダ22は、読取不能データを検出することなくデータファイル全体を読み出して処理し、DVDプレーヤで従来技術において行われているように、プレーヤ12が映画の再生を続ける。読取不能データが検出された場合、データファイルは読取不能データを含むため、処理100はステップ106に進む。
【0033】
ステップ106において、リーダ22は可能な限り、DVDのデータファイルから読み出したデータの処理を続け、読取不能データを構成すると判定された各データパケットのメモリ位置を、リーダ22のメモリに記憶する。例えば、データファイルから一連のデータパケットが欠落しているリーダ22が判定した場合、リーダ22は、読取不能データを、読取不能データを構成しない最後のデータパケットの後のメモリ位置から、読取不能データを構成しない次のデータパケットの位置の前のメモリ位置にわたるデータパケットとして識別する。
【0034】
更にステップ106において、リーダ22が、データファイルから読み出したデータ全体の処理を完了すると、リーダ22はコントローラ16に、データ処理完了信号を送信する。この完了信号は、読取不能データを識別するための処理の完了を示しており、DVD識別情報、DVDから読み出したデータファイル(映画)を識別する情報、およびデータファイルの読取不能データに対応するデータパケットのメモリ位置も含む。
【0035】
次に、ステップ108において、コントローラ16は、置換データ要求制御信号を生成して、通信モジュール20に送信する。要求制御信号は、読取不能データに対応するデータファイルの個々のデータパケットのメモリ位置を表わすデータ、データファイルの識別子、およびDVD識別情報(「要求データ」)を含む。モジュール20は、要求制御信号を受け取ると、サーバ14のIPアドレス宛の、要求データを含む置換データ信号に対する要求を生成し、リンク50を介してこれを送信する。
【0036】
ステップ110において、通信モジュール44は、通信リンク52から、モジュール20が送信した要求信号を受け取り、この信号が、そのIPアドレスに基づいて、リンク50からネットワーク54に、リンク52に、そして最終的にサーバ14に転送される。モジュール44は、要求信号から要求データを抽出して、要求データをコントローラ40に送信する。コントローラ40は、この要求データを処理して、プレーヤ12で再生中のDVDを認証する、すなわち、DVDが正規のコピーであることを保証する。DVDが認証されると、コントローラ40は、要求データに含まれるデータファイル(映画)の識別子とメモリ位置情報とをアーカイバルモジュール48に送信するほか、全要求データを置換ログモジュール46に送信する。
【0037】
更に、ステップ110において、ログモジュール46は、コントローラ40から送信されたデータに基づいて、DVDの識別子、置換データが要求されたDVD上のデータファイル、およびデータファイルの読取不能データのメモリ位置情報の訂正レコードを生成する。モジュール46内のレコードは、例えば、特定のタイプのメディア(例えばDVD)の製造の潜在的な問題、特定のタイプのメディアへの特定のデータファイルの転送に関連する問題、およびストレージメディア上にデータファイルの正規のコピーを作成するために使用されるマスタデータファイルに関連する問題を識別するために使用されうる。
【0038】
図2を再び参照すると、ステップ112において、アーカイバルモジュール48は、識別されたデータファイルをそのデータベースから検索し、続いて置換データを生成する。置換データは、データファイルのデータパケットのそれぞれのコピーを含み、要求データに含まれるメモリ位置を有する。続いて、アーカイバルモジュール48は、置換データをコントローラ40に転送し、コントローラ40は、置換データを含む制御信号をモジュール44に送信する。モジュール44は、このような制御信号を受信すると、置換データを含みプレーヤ12のIPアドレス宛の置換データ信号を生成して、リンク52を介してこれを送信する。
【0039】
ステップ114において、モジュール20は、モジュール44が送信した置換データ信号を受信すると、置換データ信号から置換データを抽出し、置換データをコントローラ16に転送する。これに対して、コントローラ16は、関連するストレージメディア(DVD)を有する置換データと、データファイル識別子情報とをログモジュール24に転送する。ログモジュール24は、個々のメモリ位置によって識別され、置換データが要求されたストレージメディアおよびデータファイルによって識別される置換データを、自身のメモリに記憶する。ログモジュール24は、ステップ114で置換データが、識別子情報と共に自身のメモリに最適に記憶されると、ログ完了信号をコントローラ16に送信する。
【0040】
ステップ116において、コントローラ16は、ログ完了信号を受け取ると、データファイルの再生を開始する。コントローラ16は、ファイルの先頭(つまり第1メモリ位置)からデータファイルの読み出しを開始するようにリーダ22に指示する制御信号を、リーダ22に送信し、コントローラ16に読み出されているデータを送信する。また、コントローラ16は、再生すべきデータファイルの置換データのメモリ位置を、データファイルがコントローラ16によって再生されているときに、そのデータファイルのデータパケットのメモリ位置を識別する情報と共に、ログモジュール24に送信する。ログモジュール24は、自身のメモリから置換データを取得して、データファイルに読取不能データが含まれていないかのように、データファイルのコンテンツの再生が行われるように、データファイルの再生時に、コントローラ16が置換データを使用できるのに十分な時間で、コントローラ16に置換データを転送する。ログモジュール24は、置換データのメモリ位置に基づいて、DVD上のデータファイルに読取不能データが含まれていないかのように、DVD上のデータファイルの再生が行われるように、コントローラ16によるデータファイルの再生中のどの時点で、置換データを、ログモジュール24のメモリから取得して、コントローラ16に送信すべきかを特定するための処理を実行する。モジュール24は、データファイルの再生に関して置換データを取得するためのリードタイムを決定し、このリードタイムは、取得するデータの量と種類との関数となる。例えば、高精細度のビデオデータを含むデータパケットでは、音声データのみを含むデータパケットに必要なリードタイムよりも長いリードタイムが必要となる。
【0041】
一実施形態では、ログモジュール24は、コントローラ16によるデータファイルの再生を監視して、再生中に、対応する読取不能データを含むデータファイル部分が出現したときに、データの再生中に適切な置換データのデータパケットを利用できるように、コントローラ16に置換データを最適にストリーミングする。
【0042】
別の実施形態では、コントローラ16は、データファイル(例えば歌または映画)が連続的に再生されるように、必要に応じてログモジュール24から置換データを直接取得する。
【0043】
処理100の更に別の実施形態では、ストレージメディア28は、コントローラ16が再生するためのデータファイルを格納している。
【0044】
更に別の実施形態では、ストレージリーダ22は、データ書き込み機能を有し、データファイルに読取不能データが含まれていないように、好ましくは、データファイルが、当初の意図どおりにメディア28に記憶されるように、固定ストレージメディア28に置換データを書き込む。更に、このような実施形態では、ログモジュール24が、対応する置換データを有するストレージメディア28のデータファイルを識別しているデータを、自身のメモリに記憶しない。
【0045】
図3は、例えば、上で記述した例示的な処理100のステップにより、プレーヤ12が、データファイルを少なくとも一度再生した後に、データファイルの読取不能データに対応する置換データを使用して、ストレージメディアのデータファイルを再生するための例示的な処理130を示す。説明を目的として、処理130は、図1に示すように、システム10のメディアプレーヤ12およびサーバ14の構成要素によって実行される操作に関連して説明し、この例では、プレーヤ12が、上記の処理100により、既に置換データを使用してDVDを再生しており、ポート26から取り出した後に、DVDが記憶済みのデータファイルを再生するためにメディアポート26に再び挿入されている。
【0046】
図3を参照すると、ステップ132において、処理100のステップ102について上で説明したのと同じ操作が実行される。また、リーダ22は、DVDのディスク識別子情報と、DVD上のデータファイルの識別子とを、コントローラ16に送信する。これに対し、コントローラ16は、ログモジュール24に取得要求を送信する。ログモジュール24は、取得要求に応えて、ポート26に入っているDVD上のデータファイルの置換データに対応するメモリ位置を自身のメモリから取得し、この情報をコントローラ16に提供する。
【0047】
ステップ134において、リーダ22は、上の処理100のステップ106に関して説明したのと同様の操作を実行して、データファイルの読取不能データに対応するメモリ位置を識別する。プレーヤ12がデータファイルを再生するまでの処理時間を短縮するために、ステップ132とステップ134とは好ましくは同時に実行される。ステップ134が完了すると、リーダ22は、データファイル上の読取不能データに対応する全てのメモリ位置をコントローラ16に送信する。
【0048】
ステップ134の後に、ステップ136において、コントローラ16は、データファイルの読取不能データのメモリ位置のうち、ステップ132でログモジュール24から取得したデータファイルの置換データのメモリ位置と一致しないものが存在するかを判定する。存在しない場合、ステップ137において、プレーヤ12は、処理100のステップ116について上記したようにデータファイルの再生を続ける。存在する場合、ステップ108とステップ110が、以下のように変更される点を除き、上記した処理100のステップ108,110,112,114,116が、処理130のステップ138で順に実行される。ステップ108では、置換データの要求には、ログモジュール24に、対応する置換データがまだ記憶されていないデータパケットのメモリ位置のみが含まれる。また、ステップ110では、サーバ14のログモジュール46は、特定のストレージメディアのデータファイルに対して、およびこの特定のストレージメディア自体に対して、追加の置換データが要求された回数を示す訂正レコードを作成する。
【0049】
本発明の更に別の態様では、メディアプレーヤ12はログモジュール24を有さず、サーバ14が、置換データをストリーミングデータとして送信する。図4は、データファイル内の読取不能データに対応する置換データを使用して、ストレージメディアのデータファイルを再生するための例示的な処理150を示し、この処理では、サーバ14が、プレーヤ12に置換データをストリーミングし、データファイルに読取不能データが含まれていないかのように、データファイルの再生が行われるように、データファイルの再生中に、プレーヤ12のコントローラ16が置換データを利用することができる。図4を参照すると、最初に、処理150のステップ152において、処理100のステップ102,104,106について上で説明した操作が実行される。次に、プレーヤ12にストリーミングすべき置換データを指示する命令が要求に含まれる点を除いて、処理100のステップ108と同様に、コントローラ16は置換データの要求をサーバ14に送信するようになっている。
【0050】
次に、ステップ154において、サーバ14は、ストレージメディアの真贋性を確認し、ログモジュール46が、処理100のステップ110と同様に、要求に関連する情報の訂正レコードを記憶する。ステップ154の後に、ステップ156において、コントローラ40は、アーカイバルモジュール48にキュー制御信号を送信する。モジュール48は、キュー信号を受信すると、置換データとして送信すべきデータパケットのメモリ位置を識別し、順に並んだ対応する置換データのメモリ位置のキューを作成する。キューが作成されると、コントローラ40は、モジュール44により、通信ネットワーク54を介してプレーヤ12にキューレディ信号を送信する。続いて、コントローラ40は、プレーヤ12からストリーミング置換データの要求の受信を待機する。
【0051】
ステップ158において、プレーヤ12のコントローラ16は、サーバ14からキューレディ信号を受信すると、データファイルに読取不能データが含まれていないかのように、プレーヤ12がデータファイルを再生できるように、データファイルから読み出したデータを処理して、データファイル内の読取不能データの記憶場所に対応する置換データのストリーミングを開始すべき時点を決定する。一実施形態では、コントローラ16は、データファイル全体の再生時に、ストリーミング置換データに対する個々の要求をサーバ14に送信するためのリードタイムを計算する。置換データのためのリードタイムは、プレーヤ12が、データファイルの再生中に、要求している置換データに対応するデータファイルの部分を再生するまでにかかる予測時間である。一実施形態では、リードタイムは、ネットワーク54の帯域幅の予測可用性、プレーヤ12,14の予想処理時間、ならびに送信すべき置換データの予想帯域幅の関数として計算される。コントローラ16は、要求する個々のストリーミング置換データのリードタイムの計算が終了すると、ストレージメディアおよびプレーヤ22からデータファイルの再生を開始し、必要に応じて、データファイル内の次の読取不能データ部分のメモリ位置に対応するストリーミング置換データの要求をサーバ14に送信する。
【0052】
ストリーミング置換データの要求を受け取ると、ステップ160において、サーバ14のコントローラ40は、ストリーミング置換データの要求に対応する置換データを、通信ネットワーク54を介してストリーミングする。この要求は、例えば、データファイルの多数の連続データパケットにまたがる10MBのコンテンツを含む置換データのストリーミングを必要とすることがある。
【0053】
次に、ステップ162において、データファイルを連続的に再生中のコントローラ16は、データファイルに読取不能データが含まれていないかのようにデータファイルを再生するために、ストリーミング置換データを適切に使用し、必要に応じて自身のメモリに一時的に記憶する。ステップ162と同時に実行されるステップ164において、コントローラ16が、再生が続いている間に、追加の置換データのストリーミングが必要であると判定すると、処理150はステップ158に進み、データファイル内の次の読取不能データ部分に対応する置換データのストリーミングの要求が送信される。追加の置換データのストリーミングが必要でない場合、プレーヤ12は、当業界で従来行われているように、データファイルの再生を続ける。
【0054】
本明細書において、具体的な実施形態を用いて本発明を記載したが、これらの実施形態は、本発明の原理および利用の例を示すものに過ぎないことを理解されたい。このため、添付の請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら例示的な実施形態を種々に変更したり、上記以外の構成を考案し得ることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレージメディア上のデータファイルのエラー訂正方法であって、
ストレージメディアに記憶されているデータファイルの再生および実行の少なくとも一方の間に、前記データファイルの読取不能データを識別するステップと、
通信ネットワークを介して前記読取不能データに対応する置換データを取得するステップと、
前記置換データにより前記データファイルの再生および実行の少なくとも一方を行うステップと、を有する方法。
【請求項2】
前記識別するステップは、前記読取不能データに対応する前記データファイルの少なくとも1つのメモリ位置を識別するステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記置換データを取得するステップは、前記置換データのダウンロードおよびストリーミングの少なくとも一方を更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データファイルの識別子と前記データファイルを格納している前記ストレージメディアの識別子とによって識別される前記置換データをメモリに記憶するステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ストレージメディアに前記置換データを書き込むステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データファイルの前記読取不能データに対応するメモリ位置を表わす訂正データ、前記データファイルの識別子、および前記データファイルを格納している前記ストレージメディアの識別子を記憶するステップを更に有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記データファイルはコンテンツおよび実行可能ソフトウェアアプリケーションの少なくとも一方を含み、前記ストレージメディアは、携帯式ストレージメディアまたは固定ストレージメディアである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ストレージメディアに記憶されているデータファイルの再生および実行の少なくとも一方のための装置であって、
ストレージメディアに記憶されているデータファイルのデータを読み出すためのリーダと、
前記リーダに結合されたコントローラと、を有し、前記コントローラは、
(i)前記データファイルの再生および実行の少なくとも一方の間に前記ストレージメディアから読み出された前記データに基づいて、前記データファイルの読取不能データを識別し、
(ii)前記読取不能データに対応する置換データの要求を、通信ネットワークを介して送信し、
(iii)前記置換データを受信し、
前記コントローラは、前記置換データにより前記データファイルの再生および実行の少なくとも一方を行う装置。
【請求項9】
前記コントローラは前記読取不能データに対応する前記データファイルの少なくとも1つのメモリ位置を識別し、置換データの前記要求は前記メモリ位置を含む請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記データファイルの識別子と前記データファイルを格納している前記ストレージメディアの識別子とによって識別される前記置換データをメモリに記憶する請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラは、前記データファイルの再生および実行の前記少なくとも一方の間に、前記メモリから前記置換データを取得する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、置換データの要求を送信する前に、前記メモリが前記ストレージメディア上の前記データファイルの置換データを格納しているかどうかを判定し、格納している場合、前記データファイルの前記読取不能データが、前記メモリに記憶されている前記データファイルの前記置換データの前記少なくとも1つのメモリ位置に対応していない前記データファイルのメモリ位置に対応している場合にのみ、前記コントローラは置換データの要求を送信する請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記リーダは、ストレージメディアデータライタを有し、前記データライタは前記ストレージメディアに前記置換データを書き込む請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記置換データはストリーミングデータであり、前記コントローラは、前記データファイルの再生および実行の前記少なくとも一方の間に前記置換データの前記要求を送信する請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記リーダはリムーバブルストレージメディアポートを有し、前記ストレージメディアは携帯式である請求項8に記載の装置。
【請求項16】
前記ストレージメディアは固定ストレージメディアである請求項8に記載の装置。
【請求項17】
データファイルの置換データを提供するためのサーバであって、
少なくとも1つのデータファイルを格納しているアーカイバルメモリと、
前記アーカイバルメモリに結合され、前記アーカイバルメモリに格納されている前記データファイルのデータパケットに対応する置換データの要求を受け取るためのコントローラと、を有し、前記要求は、前記データファイルの再生および実行の少なくとも一方に基づき、前記データパケットに対応するメモリ位置を含み、前記コントローラは、前記要求に応えて、前記データファイル内の前記メモリ位置に対応する置換データを通信ネットワーク介して送信するサーバ。
【請求項18】
前記コントローラは、ダウンロードのために前記置換データを送信する請求項17に記載のサーバ。
【請求項19】
前記コントローラは、前記置換データをストリーミング形式で送信する請求項17に記載のサーバ。
【請求項20】
前記コントローラは、前記データファイル内の前記置換データの前記メモリ位置を表わす訂正データ、前記データファイルの識別子、および前記データファイルを格納している前記ストレージメディアの識別子をメモリに記憶する請求項17に記載のサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−520316(P2011−520316A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501800(P2011−501800)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/001834
【国際公開番号】WO2009/120316
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(510257341)ソニー・コンピュータ・エンタテインメント・アメリカ・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】