説明

スパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケット

本発明は、同軸に配設される内筒と外筒との間に長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラルが配設されるリアクタのスパイラルシーリングメカニズムを改善してスパイラルと外筒との間の密閉を効率よく維持し、リアクタの製造が容易に行える新規なタイプのスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを提供する。本発明に係るガスケットはスパイラル3に嵌着される構造を有することから、ガスケット10を取り付けるための別途の2次加工を必要としない。このため、ガスケット10のチャンネル21にスパイラル3が嵌入するように押し込む作業を通じてガスケット10をスパイラル3に嵌着することができるので、組み立て作業が簡単に行える。また、ガスケット10がスパイラル3の外周に満遍なく嵌着される構造であり、内側に圧縮可能な弾性体としてクッションプレート40が配設されるので、外筒2の覆設時におけるガスケット10の破損を効果的に防止し、外筒2の覆設後にスパイラル3と外筒2との間の密閉を安定的に維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットに係り、さらに詳しくは、同軸に配設される内筒と外筒との間に長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラルが配設されるリアクタのスパイラルシーリングメカニズムを改善してスパイラルと外筒との間の密閉を効率よく維持し、リアクタの製造が容易に行える新規なタイプのスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクタ(高圧反応器)は工程設備であり、ガス、精油、代替エネルギー、石油化学及び発電プラントに種々のタイプに製作されて汎用されている。かようなリアクタは、生産工程において化学反応が起こる装置であるため、反応させる物質に対する耐化学性と所要強度を考慮して設計する必要がある。
【0003】
一方、この種のリアクタにおいて最も一般的なものは、図1及び図2に示すように、同軸に配設された2本の管{内筒1と外筒2}を適用して構成される。
【0004】
より具体的に、図1に示すように、通常、リアクタ100は、セル部120とジャケット150が結合されて化工流体などの溶液の熱を交換することになる。そして、リアクタ100のセル部120は、図2に示すように、同軸に配設される内筒1と外筒2との間にスパイラル3が長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成する。この種のリアクタ100は、通常、セル部120とジャケット150とが互いに着脱自在に結合される。さらに、セル部120とジャケット150には各流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160が配設される。
【0005】
このような構成を有するリアクタ100は、ジャケット150を介して流入及び排出される流体がセル部120の内筒1を通って流れるようにし、かつ、熱媒体は内筒1と外筒2との間に介装されているスパイラル3により環状の空間に形成される流路を介して流れるようにすることにより、その内部において内筒1の壁(加熱表面)を介して熱交換を行うものである。
【0006】
このとき、かかるリアクタ100には、スパイラル3と外筒2との間を封止するためのシーリングメカニズムが構成される。かかるシーリングメカニズムのための従来の方法は、スパイラル3と外筒2を溶接することにより行われる。このシーリングメカニズムは、スパイラル3と外筒2の溶接を通じて外筒2とスパイラル3との間の密閉機能を維持するとともに、スパイラル3の固定力を確保している。
【0007】
このため、従来の技術によるリアクタ100の製造方法は、内筒1の周りにスパイラル3を溶接して周設し、これらの間に外筒2を形成するための板材を突き合わせて溶接することにより行われる。
【0008】
しかしながら、このような従来のリアクタ100は、外筒2へのスパイラル3の組み付けのための2次加工作業量が多くて生産効率が低下し、組み立て作業が困難である他、組み立てに際してのスパイラル3と外筒2の破損率が高く、組み立ての完了後に2次不良が発生するといった問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、このような従来の技術の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、同軸に配設される内筒と外筒との間に長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラルが配設されるリアクタのスパイラルシーリングメカニズムを改善してスパイラルと外筒との間の密閉を効率よく維持し、リアクタの製造が容易に行える新規なタイプのスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを提供するところにある。
【0010】
特に、本発明は、内筒の外周面周りにスパイラルを周設し、このスパイラルの外周に外筒を覆設してスパイラルにより熱媒体の流路を形成するリアクタを構成するに当たって、スパイラルに別途の2次加工を行う必要がなく、組み付け作業が簡単に行える他、外筒の組み付け後にスパイラルと外筒との間の密閉を安定的に維持可能な新規なタイプのスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するための本発明の特徴によれば、本発明は、流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタにおいて、前記セル部120は、同軸に配設される内筒1と外筒2との間に位置するように前記内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラル3と、前記スパイラル3の外周面周りに嵌着されることにより前記スパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10と、を備える。
【0012】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタにおいて、前記ガスケット10は、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製造されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されていてもよい。
【0013】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、前記両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28をさらに備えていてもよい。
【0014】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成され、前記クッションプレート40はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されていてもよい。
【0015】
上述した目的を達成するための本発明の他の特徴によれば、本発明は、流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタの製造方法において、前記セル部120の内筒1と外筒2が同軸に配設されたときに前記内筒1と外筒2との間に流路4が形成されるサイズを有するように内筒1と外筒2を用意するステップと、前記内筒1の外周面周りに前記流路4内に位置して前記内筒1と外筒2の長手方向に連続した熱媒体の流路を形成するようにスパイラル3を周設するステップと、前記スパイラル3の外周面周りに前記スパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10を嵌着するステップと、前記スパイラル3及びガスケット10が結合されてなる内筒1の上に前記外筒2を覆設するステップと、を含む。
【0016】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法において、前記ガスケット10は、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製造されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、前記ガスケット10を嵌着するステップは、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されていてもよい。
【0017】
上述した目的を達成するための本発明のさらに他の特徴によれば、本発明は、同軸に配設される内筒1と外筒2を有するリアクタ100において、前記内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラル3と前記外筒2との間の気密を維持するスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製作されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌する。
【0018】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、前記両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28をさらに備えていてもよい。
【0019】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成され、前記クッションプレート40はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットによれば、内筒1と外筒2との間において流体の流路4を形成するスパイラル3の外周面周りにガスケット10を嵌着しているので、内筒1と外筒2が同軸に配設されるように組み立てる作業が簡単になる。すなわち、内筒1にスパイラル3を周設し、ガスケット10を嵌着した後、外筒2を内筒1に覆設する作業が順次に行われるので、内筒1と外筒2が同軸に配設されるように組み立ててなるセル部120付きリアクタ100の製造が容易になる。特に、ガスケット10がフレーム20とクッションプレート40を有してスパイラル3がチャンネル21に嵌入してクッションプレート40がスパイラル3の周りに当接するようにフレーム20の両側面24がスパイラル3に外嵌するので、スパイラル3に別途の2次加工を行う必要がなく、組み立て作業が簡単に行える他、組み立て時におけるガスケットの破損を効果的に防止し、外筒の覆設後にスパイラルと外筒との間の密閉を安定的に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】同軸に配設された2本の管を適用して構成される通常のリアクタを説明するための図であり、
【図2】図1に示すリアクタに使用される従来の技術によるシーリングメカニズムを説明するための図であり、
【図3】本発明の技術的思想によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの主な構成を説明するための図であり、
【図4】本発明の技術的思想によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法を説明するための図であり、
【図5】本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットの斜視図であり、
【図6】図5に示す本発明の好適な実施形態によるガスケットの接続構造を説明するための図であり、
【図7】スパイラルに本発明の好適な実施形態によるガスケットを組み付ける状態を説明するための図であり、
【図8】スパイラルに本発明の好適な実施形態によるガスケットを組み付ける状態を説明するための図であり、
【図9】図5に示すガスケットを用いて構成されるリアクタを説明するための図であり、
【図10】本発明の好適な他の実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを説明するための図である。
【0022】
【図11】本発明の好適な他の実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図3は、本発明の技術的思想によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの主な構成を説明するための図であり、図4は、本発明の技術的思想によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法を説明するための図である。
【0024】
図3及び図4を参照すると、本発明に係るリアクタ100は、内筒1と外筒2との間において流体の流路4を形成するスパイラル3の外周面周りにガスケット10を嵌着してなるので、内筒1と外筒2を同軸に配設されるように組み立てる作業が簡単になることを特徴とする。すなわち、本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ100は、流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタにおいて、スパイラル3とガスケット10を備える。ここで、スパイラル3は、セル部120は同軸に配設される内筒1と外筒2との間に位置するように内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成する。そして、ガスケット10は、スパイラル3の外周面周りに嵌着されることによりスパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行う。
【0025】
このとき、本発明に適用されるスパイラル3は本発明の好適な実施形態に示すように様々な形状に形成可能である。例えば、図7に示す本発明の好適な実施形態によるリアクタ100に適用されるスパイラル3は、横断面{内筒1と外筒2の同軸による長手方向に対して垂直となる断面}が一字状に形成されるものであり、このようなスパイラル3は板体を内筒1の外周面周りに沿って螺旋状に取り付け(通常、溶接)て形成される。そして、図11に示す本発明の好適な実施形態によるリアクタ100に適用されるスパイラル3としては、横断面が「T」字状に形成されるものを例示している。
【0026】
また、本発明に適用されるガスケット10としては、隙間の密閉のための様々な形状のガスケットが挙げられる。例えば、本発明に適用可能なガスケット10としては、図10及び図11に示す好適な実施形態のように、一般的に様々な規格で提供されているOリングが挙げられるが、図5から図9に示す専用ガスケット10を採用して組み立てを容易化させ、かつ、安定したシーリング効果を得てもよい。
【0027】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法は、その製造の便宜性を高めることができる。すなわち、本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法は、内筒1と外筒2が同軸に配設されたときに内筒1と外筒2との間に流路4が形成されるサイズを有するように内筒1と外筒2を用意する。そして、内筒1の外周面周りに流路4内に位置して内筒1と外筒2の長手方向に連続した熱媒体の流路を形成するようにスパイラル3を周設する。さらに、スパイラル3の外周面周りにスパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10を嵌着する。次いで、スパイラル3及びガスケット10が結合されてなる内筒1の上に外筒2を覆設する。
【0028】
このように、本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法は、従来の技術に比べてその製造方法が容易になるとともに、外筒2の耐久性を高めることができるというメリットがある。すなわち、従来のスパイラル3を採用するリアクタは、スパイラル3を内筒1に配設しつつ外筒2を部分的に配設していく方法を採用していたが、この場合、外筒2を配設する作業に溶接方法が採用されるため製作作業が極めて困難であり、しかも、作業時間が延びるという不都合があった。しかしながら、本発明の場合、内筒1と外筒2をまるごと形成して同軸に配設されるように組み立て可能であるので、リアクタ100の組み立て作業が極めて容易であるだけではなく、外筒2の耐久性を安定的に確保することができるというメリットがある。
【0029】
一方、このように内筒1と外筒2を同軸に配設して組み立ててセル部120を構成し、リアクタ100をなすセル部120とジャケット150及び他の構成要素を組み立てる作業はこの分野において一般的に行われているリアクタの製造方法と同様であるため、その詳細な説明は省く。
【0030】
以下、図5から図11に基づき、本発明の好適な実施形態を詳述するが、図1から図11において同じ機能を行う構成要素に対しては同じ参照符号を付する。一方、図中、主な要素の結合?固定のための補強リブ(板)、ボルト及びねじ、孔、ワッシャ、ナットなどの図示は簡略化または省略しており、通常、リアクタに対する構成及び作用などこの分野における当業者が通常的に理解可能な部分の図示は省略し、本発明と関連する部分を中心に図示している。特に、要素間のサイズ比がやや異なるように表現されたり互いに結合される部品間のサイズが異なるように表現された部分もあるが、このような図面の表現上の相違点はこの分野における当業者が容易に理解可能な部分であるため、別途の説明を省略する。
【0031】
図5は、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットの斜視図であり、図6は、図5に示す本発明の好適な実施形態によるガスケットの接続構造を説明するための図であり、図7及び図8は、スパイラルに本発明の好適な実施形態によるガスケットを組み付ける状態を説明するための図であり、図9は、図5に示すガスケットを用いて構成されるリアクタを説明するための図である。
【0032】
図5及び図9を参照すると、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケット10は、フレーム20とクッションプレート40を有してスパイラル3がチャンネル21に嵌入してクッションプレート40がスパイラル3の周りに当接するようにフレーム20の両側面24がスパイラル3に外嵌する。
【0033】
このようなガスケット10はスパイラル3に嵌着される構造を有するので、ガスケット10を取り付けるための別途の2次加工を必要としない。このため、図7及び図8に示すように、リアクタ100(図1及び図9参照)の製造に当たってガスケット10のチャンネル21にスパイラル3が嵌入するように押し込む作業を通じてガスケット10をスパイラル3に嵌着することができるので、組み立て作業が簡単になる。また、ガスケット10がスパイラル3の外周に満遍なく嵌着される構造であり、内側に圧縮可能な弾性体としてクッションプレート40が配設されるので、外筒2の覆設時におけるガスケット10の破損を効果的に防止し、外筒2の覆設後にスパイラル3と外筒2との間の密閉を効果的に維持することができる。
【0034】
より具体的に、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ10は、内筒1の外周面周りにスパイラル3を周設し、図5に示すように、ガスケット10をスパイラル3の外周面周りに嵌着し、このスパイラル3の外周に外筒2を覆設してスパイラル3により熱媒体の流路4を形成するように構成される。
【0035】
このようにスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ100に採用されるガスケット10は、特別に設計されたフレーム20とクッションプレート40を備えてなる。ここで、ガスケット10のフレーム20は底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製作されて横断面が「U」字状に形成される。そして、クッションプレート40はフレーム20のチャンネル21内に位置するように底面22の上においてフレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成される。
【0036】
このとき、この実施形態において、フレーム20は、両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28を有するようにして、ガスケット10及びスパイラル3の加工誤差による組み立て誤差が吸収されるようにする。すなわち、ガスケット10は、通常、スパイラル状に結合されるスパイラル3に沿って連設されるが、この過程においてスパイラル3の組み立て誤差または加工誤差に影響されるため、この実施形態によるフレーム20は、両側面24にそれぞれ切欠溝28が所定の間隔をあけて凹設されるようにして、加工及び組み立て誤差を吸収しつつ組み立てられるものである。このとき、切欠溝28は、好ましくは、クッションプレート40が嵌入する高さまで切り欠いていてフレーム20によりクッションプレート40が安定的に支持されるようにし、その離間距離は、必要に応じて設定可能である。このようなフレーム20は高熱及び高圧に耐えられると共に、耐化学性を有する金属材から製作するが、この実施形態においては、好ましくは、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成することにより製作の便宜性を提供している。
【0037】
さらに、ガスケット10のクッションプレート40は圧縮可能な素材を用いて外筒2の覆設時に圧着されながらスパイラル3への密着度を高め、外筒2が覆設された後、復元力により外筒2とスパイラル3との間の密閉力を高める機能をする。このようなクッションプレート40は、高圧及び高熱に耐えられ、圧着可能であり、且つ、弾性力に優れた合成樹脂の素材から製作することが好ましいが、この実施形態においては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成している。
【0038】
一方、本発明の好適な実施形態によるガスケット10は、スパイラル3の上に連設される点を考慮して形成される。例えば、このような構成はガスケット10の製造に際して切断を行う部分に相当する。すなわち、図6に示すように、先に結合される前側のガスケット10は連結部10aの両側面24に切欠溝28が凹設されないように切断されて形成され、この連結部10aのクッションプレート40が除去されるようにする。そして、この前側のガスケット10に連設される後側のガスケット10’は連結部10’aの両側面24に切欠溝28が凹設されるようにすることにより、前側のガスケット10の連結部10aに後側のガスケット10’の連結部10’aが嵌入するので、別途の連結構成を使用することなく安定的に連設可能になる。
【0039】
図7から図9に戻ると、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ100は、上述したように、優れたシーリングメカニズムを実現するように提案されたガスケット10を適用してスパイラル3と外筒2との間の密閉機能を確保しつつ順次的な組み立て過程を提供して製造の便宜性を図っている。すなわち、図7及び図8に示すように、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造は下記のようにして行われる。まず、内筒1と外筒2が同軸に配設されたときに内筒1と外筒2との間に流路4が形成されるサイズを有するように内筒1と外筒2を用意した後、内筒1の外周面周りに流路4内に位置して内筒1と外筒2の長手方向に連続した熱媒体の流路を形成するように平板を内筒1の外周面周りに螺旋状に取り付けてスパイラル3を周設する。そして、上述した構造を有するように形成されたガスケット10をスパイラル3の外周面周りにスパイラル3と外筒2との間に位置するように嵌着する。さらに、スパイラル3及びガスケット10が結合されてなる内筒1の上に外筒2を覆設する。
【0040】
図10及び図11は、本発明の好適な他の実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを説明するための図である。
【0041】
図10及び図11を参照すると、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ10は、通常のOリングをガスケット10として採用し、スパイラル3としては横断面が「T」字状に形成される板材を採用する。このようなリアクタ10は製造の便宜性を提供する。
【0042】
以上述べたように、本発明の好適な実施形態によるスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットを上述した説明及び図面により開示したが、これは単なる例示的な説明に過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の変形及び変更が可能であるということはこの分野における通常の当業者にとって容易に理解できるであろう。
【0043】
上述した目的を達成するための本発明の特徴によれば、本発明は、流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタにおいて、前記セル部120は、同軸に配設される内筒1と外筒2との間に位置するように前記内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラル3と、前記スパイラル3の外周面周りに嵌着されることにより前記スパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10と、を備える。
【0044】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタにおいて、前記ガスケット10は、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製造されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されていてもよい。
【0045】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、前記両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28をさらに備えていてもよい。
【0046】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成され、前記クッションプレート40はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されていてもよい。
【0047】
上述した目的を達成するための本発明の他の特徴によれば、本発明は、流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタの製造方法において、前記セル部120の内筒1と外筒2が同軸に配設されたときに前記内筒1と外筒2との間に流路4が形成されるサイズを有するように内筒1と外筒2を用意するステップと、前記内筒1の外周面周りに前記流路4内に位置して前記内筒1と外筒2の長手方向に連続した熱媒体の流路を形成するようにスパイラル3を周設するステップと、前記スパイラル3の外周面周りに前記スパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10を嵌着するステップと、前記スパイラル3及びガスケット10が結合されてなる内筒1の上に前記外筒2を覆設するステップと、を含む。
【0048】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法において、前記ガスケット10は、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製造されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、前記ガスケット10を嵌着するステップは、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されていてもよい。
【0049】
上述した目的を達成するための本発明のさらに他の特徴によれば、本発明は、同軸に配設される内筒1と外筒2を有するリアクタ100において、前記内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラル3と前記外筒2との間の気密を維持するスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製作されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌する。
【0050】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、前記両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28をさらに備えていてもよい。
【0051】
このような本発明に係るスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、前記ガスケット10のフレーム20は、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成され、前記クッションプレート40はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明はスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットに係り、さらに詳しくは、同軸に配設される内筒と外筒との間に長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラルが配設されるリアクタのスパイラルシーリングメカニズムを改善してスパイラルと外筒との間の密閉を効率よく維持し、リアクタの製造が容易に行える新規なタイプのスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタとその製造方法及びそのためのガスケットに関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタにおいて、
前記セル部120は、同軸に配設される内筒1と外筒2との間に位置するように前記内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラル3と、
前記スパイラル3の外周面周りに嵌着されることにより前記スパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10と、を備えることを特徴とするスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ。
【請求項2】
前記ガスケット10は、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製造されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、
前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、
前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されることを特徴とする請求項1に記載のスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ。
【請求項3】
前記ガスケット10のフレーム20は、前記両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ。
【請求項4】
前記ガスケット10のフレーム20は、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成され、前記クッションプレート40はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタ。
【請求項5】
流体をリアクタ100内に/から流入/排出するためのノズル160がそれぞれ配設されるセル部120とジャケット150が結合されてなるリアクタの製造方法において、
前記セル部120の内筒1と外筒2が同軸に配設されたときに前記内筒1と外筒2との間に流路4が形成されるサイズを有するように内筒1と外筒2を用意するステップと、
前記内筒1の外周面周りに前記流路4内に位置して前記内筒1と外筒2の長手方向に連続した熱媒体の流路を形成するようにスパイラル3を周設するステップと、
前記スパイラル3の外周面周りに前記スパイラル3と外筒2との間に位置してシーリングを行うガスケット10を嵌着するステップと、
前記スパイラル3及びガスケット10が結合されてなる内筒1の上に前記外筒2を覆設するステップと、を含むことを特徴とするスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法。
【請求項6】
前記ガスケット10は、底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製造されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、
前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、
前記ガスケット10を嵌着するステップは、前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されることを特徴とする請求項5に記載のスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタの製造方法。
【請求項7】
同軸に配設される内筒1と外筒2を有するリアクタ100において、前記内筒1の外周面周りに長手方向に連設されて熱媒体の流路を形成するスパイラル3と前記外筒2との間の気密を維持するスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケットにおいて、
底面22と両側面24を有して上側方向に開口することにより長手方向にチャンネル21を形成し、金属板材から製作されて横断面が「U」字状に形成されるフレーム20と、
前記チャンネル21内に位置するように前記底面22の上において前記フレーム20の長手方向に結合され、合成樹脂の素材から形成されるクッションプレート40と、を備えて、
前記スパイラル3が前記チャンネル21に嵌入して前記クッションプレート40が前記スパイラル3の周りに当接するように前記フレーム20の両側面24が前記スパイラル3に外嵌されることを特徴とするスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケット。
【請求項8】
前記ガスケット10のフレーム20は、前記両側面24にそれぞれ長手方向に離間して凹設される切欠溝28をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケット。
【請求項9】
前記ガスケット10のフレーム20は、ステンレス材質の金属板材をプレス加工して形成され、前記クッションプレート40はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のスパイラルシーリング用ガスケットを用いたリアクタのためのガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−516814(P2011−516814A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502871(P2011−502871)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/KR2009/001795
【国際公開番号】WO2009/128620
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(506204243)セウォン セロンテック カンパニー リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】SEWON CELLONTECH CO.,LTD.
【出願人】(510261599)
【Fターム(参考)】