説明

スパイラル塗布装置及びスパイラル塗布方法

【課題】高精度でギャップ制御が可能なスパイラル塗布装置及びスパイラル塗布方法の提供。
【解決手段】実施形態にかかるスパイラル塗布装置は、塗布対象物が載置される載置面を有するステージと、前記ステージを前記載置面に沿う回転方向に回転させる回転機構と、前記ステージ上の前記塗布対象物に材料を吐出して塗布する塗布ノズルと、前記ステージと前記塗布ノズルとを、前記回転方向に交わる交差方向に前記載置面に沿って相対移動させるとともに前記回転の軸方向に相対移動可能とする移動機構部と、前記回転の軸方向における前記塗布ノズルの底面の位置情報を検出するノズル位置検出部と、前記塗布ノズルの位置情報に基づいて前記塗布ノズルと前記載置面との前記軸方向の位置調整を行う位置調整部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパイラル塗布装置及びスパイラル塗布方法に関し、例えば、塗布対象物上に材料を塗布して塗布膜を形成するスパイラル塗布装置及びスパイラル塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体などの分野において基板に円形状の膜を形成する方法としてスパイラル塗布方法がある。このスパイラル塗布方法は、円形状の回転ステージ上に円盤状の基板を固定し、塗布ノズルの吐出面と基板表面の距離(ギャップ)を所定の値に保ち、その回転ステージを回転させ、流量を制御可能な定量ポンプで塗布ノズルから材料を吐出させながら、その塗布ノズルを基板中央から基板外周に向かって直線状に移動させ、らせん状(渦巻き状)の塗布軌跡を描くことで基板全面に膜形成を行う方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
スパイラル塗布による塗布装置及び塗布方法では、例えばノズルと一体に設けた変位計で基板表面までの距離を測定し、測定した距離が予め設定した値となるようにノズルの高さ方向の位置を調整することでノズル先端と基板表面の距離を一定に保つように制御している(ギャップ制御)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−279932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばノズルの移動の再現性、寸法ばらつき、ノズルの熱伸びなどの影響により、ノズルの吐出面の位置が変化することがあるが、このような場合には上述した技術ではギャップを高精度に制御することが困難となる。
【0006】
発明の実施形態は、ノズルの吐出面と基板表面の距離(ギャップ)を高精度に制御することを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のスパイラル塗布装置は、塗布対象物が載置される載置面を有するステージと、前記ステージを前記載置面に沿う回転方向に回転させる回転機構と、前記ステージ上の前記塗布対象物に材料を吐出して塗布する塗布ノズルと、前記ステージと前記塗布ノズルとを、前記回転方向に交わる交差方向に前記載置面に沿って相対移動させるとともに前記回転の軸方向に相対移動可能とする移動機構部と、前記回転の軸方向における前記塗布ノズルの底面の位置情報を検出するノズル位置検出部と、前記塗布ノズルの位置情報に基づいて前記塗布ノズルと前記載置面との前記軸方向の位置調整を行う位置調整部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態にかかるスパイラル塗布装置の構成を示す概略説明図。
【図2】同実施形態にかかるスパイラル塗布方法の制御手順を示すフローチャート。
【図3】同スパイラル塗布方法のステージ位置検出工程を示す説明図。
【図4】同スパイラル塗布方法ステージ位置検出工程を示す説明図。
【図5】同スパイラル塗布方法ノズル位置検出工程を示す説明図。
【図6】同スパイラル塗布方法ノズル位置検出工程を示す説明図。
【図7】第2実施形態にかかる塗布装置の構成を示す概略説明図。
【図8】同塗布装置の制御手順を示すフローチャート。
【図9】第3実施形態にかかる塗布装置の構成を示す概略説明図。
【図10】同塗布装置の制御手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態かかるスパイラル塗布装置及びスパイラル塗布方法について、図1乃至図6を参照して説明する。各図中矢印X,Y,Zはそれぞれ互いに直交する3方向を示す。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0010】
図1に示すスパイラル塗布装置1は、塗布対象物としての基板Wが載置されるステージ2と、そのステージ2を水平面内で回転させる回転機構3と、ステージ2上の基板Wに先端から材料を吐出して塗布する塗布ノズル4と、その塗布ノズル4とステージ2とを水平面方向(X軸)及び高さ方向(Z軸)に相対移動可能とする移動機構5(移動機構部)と、塗布ノズル4へ塗布材料を供給する供給部7と、ラインセンサ11(位置検出部)と、変位センサ12(位置検出部)と、温度検出部13と、各部を制御する制御部10(位置調整部)とを備えている。
【0011】
ステージ2は、例えば円形状に形成されており、回転機構3により水平面内で回転可能に構成されている。このステージ2は、載置された基板Wを吸着する吸着機構を備えており、その吸着機構によりステージ2の載置面2a上に塗布対象物としての基板Wを固定して保持する。この吸着機構としては、例えばエアー吸着機構などが用いられる。
【0012】
回転機構3は、ステージ2を水平面内で回転可能に支持しており、ステージ中心を回転中心としてステージ2をモータなどの駆動源により水平面内で回転させる機構である。これにより、ステージ2上に載置された基板Wは水平面内で回転することになる。
【0013】
塗布ノズル4は、塗布膜Mとなる材料を吐出するノズルであり先端(底面)にノズル面4aを有している。この塗布ノズル4は、圧力によりその先端4aから材料を連続的に吐出し、その材料をステージ2上の基板Wに塗布する。
【0014】
この塗布ノズル4には、材料を供給する供給部7が連通管8の流路を介して接続されている。供給部7は、材料を貯留する供給タンクや供給用ポンプ、流量調整弁などを有している。この供給部7が制御部10により制御され、塗布ノズル4からの材料吐出量が調整される。塗布処理の際には材料が供給用ポンプの作動により供給タンクから塗布ノズル4に供給される。連通管8はたとえばチューブやパイプから構成され、塗布ノズル4と、供給部7の供給タンク内とを連通している。
【0015】
ノズル4には、温度検出部13が設けられている。温度検出部13は、例えばノズル4の側壁に設置されている。温度検出部13は熱電対などの温度センサであり、ノズル4の側壁の温度を検出してノズル4の温度を測定し、温度情報を制御部10に送る。
【0016】
移動機構5は、塗布ノズル4を支持してZ軸方向に移動させるZ軸移動機構5aと、そのZ軸移動機構5aを介して塗布ノズル4を支持しX軸方向に移動させるX軸移動機構5bとを備えている。この移動機構5は塗布ノズル4をステージ2の上方に位置付け、その塗布ノズル4をステージ2に対して相対移動させる。Z軸移動機構5a及びX軸移動機構5bとしては、例えば、リニアモータを駆動源とするリニアモータ移動機構やモータを駆動源とする送りネジ移動機構などが用いられる。
【0017】
ステージ2の側方には位置検出部としてのラインセンサ11が設けられている。ラインセンサ11は、例えば投光部11aと受光部11bと、ステージ2に向って水平に延び上下移動可能に設けられた位置検出用プレート11c、を備えている。
【0018】
ラインセンサ11は、位置検出用プレート11cを上下動させてステージ2上面に当接させた状態で、投光部11aから光を照射し、位置検出用プレート11cを介在して受光部11bで受ける光の情報に基づいて位置検出用プレート11cの位置情報を取得し、この位置情報に基づいてステージ2の載置面2aを基準とするZ方向における位置情報(高さ情報)を検出し、制御部10に送る。
【0019】
また、ラインセンサ11は、所定の測定対象範囲内にノズル4を設置した状態で、投光部11aから光を照射しノズル4を介在して受光部11bで受光した光の情報に基づいて、ノズル面4aのZ方向における位置情報を取得し、制御部10に送る。
【0020】
移動機構5には、塗布ノズル4とともにステージ用変位センサ12が設けられている。移動機構5の動作により塗布ノズル4及びステージ用変位センサ12が共にX方向及びZ方向に移動可能になっている。
【0021】
変位センサ12は、反射型レーザセンサなどであり、Z軸移動機構5aと共にX軸移動機構5bによりX軸方向に移動し、対向配置されたステージ2の載置面2aまたは調整用基板W2に光を当ててその反射光を検出することでステージ2の載置面2aまたは調整用基板W2との離間距離を測定する。これにより、ステージ2の載置面2aまたは調整用基板W2のZ方向における位置情報を取得し、制御部10に送る。
【0022】
制御部10は、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、各種プログラムや各種情報などを記憶する記憶部とを備えている。記憶部としては、メモリやハードディスクドライブ(HDD)などが用いられる。
【0023】
制御部10は、例えば、各種プログラムや各種情報(位置情報・温度情報など)に基づいて、演算処理を行いギャップ値や補正値を決定する。また制御部10は、例えば、各種プログラムや各種情報(塗布条件情報など)に基づいて、回転機構3や移動機構5を制御し、ステージ2上に所定のギャップを維持して塗布ノズル4を位置決めする位置調整部として機能する。また制御部10は基板Wが載置されたステージ2を回転させ、塗布ノズル4の先端4aから材料を吐出させながら、その塗布ノズル4を基板中央(あるいは基板外周)から基板外周(あるいは基板中央)に向かって直線状に移動させ、渦巻き状の塗布軌跡を描くことで基板全面に膜形成を行う(スパイラル塗布)。
【0024】
以下、塗布装置1の動作について図2を参照して説明する。制御部10は、まずラインセンサ11を用いて、ステージ2の上面の高さ情報を検出する(ST1)。例えば図2,3に示すように検出用プレート11cを上下方向に移動させてステージ2の上面に当接させた状態で、投光部11Aから光を照射し、受光部11Bにて検出した光の情報に基づいてステージ2の載置面2aの位置を検出し、載置面の高さ基準を設定する。
【0025】
次に、ラインセンサ11を用いて、ノズル面4aの高さ情報を検出し(ST2)、載置面2aの高さ情報、ノズル面4aの高さ情報、設定ギャップ値G1、基板Wの厚みt1などの情報に基づいてノズルを移動させる(ST3)。
【0026】
ここでは、まず、例えば図5,6に示すように、移動機構5を動作させてノズル4の先端のノズル面4aがステージ2の載置面2aと同じ高さとなるように移動させる。このとき、ノズル4を投光部11Aと受光部Bとの間の測定範囲内に配置した状態で投光部11Aから光を照射し、受光部11Bにて検出した光の情報に基づいてノズル面4aの位置を検出しながら位置を揃える。そして、制御部10により移動機構5の移動情報を記録する。
【0027】
さらに、基板W1と同厚さを有する調整用の基板W2をステージ2上に設置し、基板Wの厚みt1、設定ギャップ値G1などに基づいて、目標とするノズル面4aのZ方向の目標位置を算出し、この算出結果に基づいて移動機構5を作動させてノズル4をZ方向に移動する。例えば、ノズル面4aがステージ面2aと同じ高さにある状態から、基板Wの厚みt1、センサ基準値設定高さG2の合計値だけ、ノズル4を上方に移動させ、基板W上の任意の点でノズル面4aをZ方向における目標位置(目標高さ)に設置する。このとき移動機構5による移動距離情報を制御部10に記憶させる。
【0028】
次に、移動機構5に設置されたノズル4と共に変位センサ12をXY平面上で移動させ、変位センサ12によって載置面2aの変位を測定する測定位置まで移動させる。ギャップ設定範囲がセンサの測定範囲内になるようにノズルに対する相対移動手段でZ方向に移動させて調整する。このとき移動機構5による移動距離情報を制御部10に記憶させる。
【0029】
この状態で、変位センサ12により、センサ12から調整用基板W2aまでの変位G2を測定し(ST4)、このG2をセンサ基準値として設定する(ST5)。以上により、塗布装置1における変位センサ12とノズル面4aとの高さ方向の位置関係を考慮したセンサ基準値が決定される。センサ基準値を決定したら調整用の基板W2を取り除く。
【0030】
さらに、温度センサ13でノズル4の温度を測定し、基準温度Tbとして制御部10に記憶させる(ST6)。
【0031】
次に、塗布対象物としての基板Wがロボットハンドリングなどの搬送機構によりステージ2上に搬入される(ST7)。基板Wはステージ2上に吸着機構により固定される。そして、ST7で求められたセンサ基準値に基づいてセンサ12及びノズル4を一体に備えた移動機構5によりセンサ12及びノズル4の高さ位置を調整する(ST8)。このとき、センサ12から基板Wの上面Waの距離がG2となるように移動機構5を用いてセットする。
【0032】
ついで、補正処理を行う。補正処理としてはまず、温度検出手段によりノズル4の温度Tmを取得する(ST9)。そして、ST6で設定された基準温度Tiに基づいて、熱伸びを考慮した高さ方向の補正量ΔZを算出し(ST10)、塗布ノズル4がZ軸移動機構5aによりZ軸方向にΔZの距離だけ移動する(ST11)。ここでは、例えば事前に測定した基準温度Tiとノズルの伸びのデータテーブルを制御部10に記憶しておき、このデータテーブルからノズルの伸びを算出したデータを用いて補正量を算出する。例えば補正量ΔZは、式1で求められる。
【0033】
補正量ΔZ=線膨張係数α(計測温度Tm−基準温度Ti)・ノズル首下長L…(式1)
例えば線膨張係数αはノズル4の材質により決定される。なお、本実施形態ではノズル4は例えばPEEKで構成され、その線膨張係数α=50×10-6/℃である。
【0034】
そして、変位センサ12から基板Wの塗布面Waまでの距離G3はG2+ΔZとなる。
【0035】
すなわち、補正前の距離G2よりも温度変化でノズル4が下方に熱伸びした長さΔZの寸法の分、センサ12からの距離を大きくとることになる。以上により、塗布ノズル4と基板Wの塗布面Waとの距離がノズル4の熱伸びの分も考慮した所望の値に調整される。
【0036】
ついで、塗布処理が行われる(ST12)。塗布処理においてはステージ2が回転機構3により回転し、そのステージ2上の基板Wが回転している状態で、塗布ノズル4が基板Wの中央である原点位置からZ軸移動機構5aと共にX軸移動機構5bによりX軸方向に、すなわち基板Wの中心から外周に向かって等速で移動する。
【0037】
このとき、供給用ポンプを作動させて塗布材料を供給することにより塗布ノズル4は移動しながら先端4aから材料を連続して基板Wの塗布面に吐出し、その塗布面上に渦巻状に材料を塗布する(スパイラル塗布)。これにより、基板Wの塗布面Wa上に塗布膜Mが形成される。
【0038】
基板W上の所定の領域に塗布膜Mが形成されたら、塗布終了し、基板を取り出す(ST13)。その後、Z軸移動機構5aにより塗布ノズル4を上昇させ、塗布処理が終了する。そして、ST7〜ST13までの処理を繰り返し行ない、一定数量の基板に塗布処理を行い(ST14)処理が終了する。
【0039】
本実施形態にかかるスパイラル塗布装置及びスパイラル塗布方法によれば、ノズル面4aの高さ情報を取得し、これを考慮してギャップ調整を行うことで、高精度のギャップ調整が可能となる。また、上記実施形態では、共通するラインセンサ11を用いることで、ステージ2の載置面2aとノズル面4aの高さ位置を高精度に揃えることができる。
【0040】
また、上記実施形態では、温度変化によるノズル4の熱伸びを考慮して補正を行うこととしたので、より高精度での位置決めが可能となる。
【0041】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態にかかるスパイラル塗布装置100及びスパイラル塗布方法について、図7及び図8を参照して説明する。本実施形態においては、ノズル位置を検出する位置検出部として、ステージ2に埋め込まれた変位センサを用いた点以外は上記第1実施形態と同様であるため、共通する説明は省略する。
【0042】
本実施形態にかかるスパイラル塗布装置100では、図7に示すように、ステージ2の載置面2aの所定位置に、変位センサ14が埋め込まれている。変位センサ14は反射型レーザセンサなどであり、ステージ2の載置面2aから、塗布ノズル4のノズル面4aとの離間距離G5を測定する。これにより、ノズル面4aの高さ情報を取得することが可能である。
【0043】
この実施形態にかかる塗布方法では、図8に示すように、まず変位センサ14で上方に対向するノズル面4aまでの離間距離G4を測定しながら(ST21)、ノズル4を移動させ、離間距離G4と、基板Wの厚みt1と、に基づいて、ノズル面4aと基板Wの塗布面Waとの間のギャップが予め設定されたギャップ値G1となるように、ノズル4の位置調整を行う(ST22)。その後、上記第1実施形態のST4以降と同様に、ノズル4と一体に動作する変位センサ12によって対向配置されるステージ2の載置面2aまでの距離G5を測定し、センサ基準値を設定する。ST4以降の動作は上記第1実施形態と同様とする。
【0044】
本実施形態にかかる塗布装置100及び塗布方法によれば、Z方向に移動しないステージ2側に設置されたセンサ14によりステージ2の載置面2aからノズル面4aまでの離間距離を求め、この測定値に基づいてセンサ基準を設定することにより、Z方向に移動可能なノズル4の再現性に影響されにくいので、高精度でのギャップ制御が可能となる。
【0045】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態にかかるスパイラル塗布装置110及びスパイラル塗布方法について、図9及び図10を参照して説明する。
【0046】
本実施形態にかかるスパイラル塗布装置110は、図9に示すように、ノズル4の周辺温度を一定に保つ送風機構15を備えている。送風機構15は、例えば温度調整された空気を送風するダクト機構で構成され、ノズル4の側方に設けられている。送風部は御部10の制御に応じてノズル4に向かって送風を行なうことで、塗布装置110の外郭を構成するチャンバ16内部の温度を調整する。
【0047】
送風の温度や風量等の条件は、例えば温度センサ13により測定したノズル4の温度に応じて決定される。例えばノズル4の温度を基準温度Tiに維持するような条件で送風がなされる。
【0048】
本実施形態にかかるスパイラル塗布方法では、図10に示すように、上記第1実施形態と同様にST9までの処理を行った後、ST10、ST11のノズルの位置補正処理に代えて、送風機構15によりノズル4に向って所定温度の空気を供給し(ST23)、塗布装置110内の温度を予め設定された基準温度に保つことで、ノズル4の寸法を基準値に戻し、ノズル4の熱伸びによる影響を防止する。
【0049】
本実施形態にかかる塗布装置110及び塗布方法によれば、所定温度の送風によりノズル4の寸法を維持し、ノズル4の熱延びによる寸法への影響を低減することができ、高精度でギャップを調整することが出来る。
【0050】
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0051】
例えば上記第1乃至第3実施形態では、温度センサ13をノズル4の側部に設けてノズル4の壁の温度を検出することとしたが、温度センサ13の個数や温度測定対象は上記実施形態に限られるものではない。例えば温度センサ13を複数箇所に設置してもよいし、温度を測定する対象もノズル4の側壁ではなく、ノズル4を支持する移動機構5や、吐出材料が貯留される供給部7などであってもよい。複数の温度センサを設置する場合は、ノズル、移動機構5、回転機構3を支持しているベースプレートの温度を計測する。計測データから、熱伸びを算出し(ノズル熱伸びΔZ1、移動機構熱伸びΔZ2、ベースプレート熱伸びΔZ3)、Z方向でノズルと基板Wの相対伸びを算出する。(ΔZ=ΔZ1+ΔZ2+ΔZ3)。
【符号の説明】
【0052】
W…基板(塗布対象物)、W2…調整用基板、M…塗布膜、Wa…塗布面、1、100、110…塗布装置、2…ステージ、2a…載置面、3…回転機構、4…塗布ノズル、4a…ノズル面(先端)、5…移動機構、5a…Z軸移動機構、5b…X軸移動機構、7…供給部、8…連通管、10…制御部(位置調整部)、11…ラインセンサ(位置検出部)、11c…位置検出用プレート、12…変位センサ(位置検出部)、13…温度測定部、14…ノズル用変位センサ、15…送風機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布対象物が載置される載置面を有するステージと、
前記ステージを前記載置面に沿う回転方向に回転させる回転機構と、
前記ステージ上の前記塗布対象物に材料を吐出して塗布する塗布ノズルと、
前記ステージと前記塗布ノズルとを、前記回転方向に交わる交差方向に前記載置面に沿って相対移動させるとともに前記回転の軸方向に相対移動可能とする移動機構部と、
前記回転の軸方向における前記塗布ノズルの底面の位置情報を検出するノズル位置検出部と、
前記塗布ノズルの位置情報に基づいて前記塗布ノズルと前記載置面との前記軸方向の位置調整を行う位置調整部と、
を備えることを特徴とするスパイラル塗布装置。
【請求項2】
ノズル位置検出部は、前記ステージに設置され、前記塗布ノズルの先端までの変位を測定する変位センサを備えることを特徴とする請求項1記載のスパイラル塗布装置。
【請求項3】
前記ノズル位置検出部は、前記ステージの側方に設置され、前記塗布ノズルの先端の前記軸方向の位置を検出するラインセンサを備えることを特徴とする請求項1記載のスパイラル塗布装置。
【請求項4】
前記移動機構部に前記塗布ノズルと一体に設けられ、前記塗布ノズルと共に移動し、前記ステージに対向した状態で前記載置面までの距離を測定するステージ変位センサを備え、
前記位置調整部は、前記ノズルの位置情報と、前記移動機構部による前記ノズルの移動の情報と、前記ステージ変位センサで測定した前記載置面までの距離と、に基づいて、前記位置調整を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のスパイラル塗布装置。
【請求項5】
前記ノズルの温度を検出する温度検出部をさらに備え、
前記位置調整部は、前記ノズルの温度に基づき、前記ノズルの熱伸び量を算出し、前記ノズルと前記載置面の高さ方向の位置関係を補正する補正処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかスパイラル塗布装置。
【請求項6】
塗布対象物が載置される載置面を有するステージと、
前記ステージを前記載置面に沿う回転方向に回転させる回転機構と、
前記ステージ上の前記塗布対象物に材料を吐出して塗布する塗布ノズルと、
前記ステージと前記塗布ノズルとを前記回転方向に交わる交差方向に前記載置面に沿って相対移動させる移動機構と、
前記塗布ノズルの温度を検出する温度検出部と、
前記塗布ノズルの温度に基づき、前記ノズルの熱伸び量を算出し、前記塗布ノズル及び前記載置面の前記軸方向の位置関係を補正する位置調整部と、を備えたことを特徴とするスパイラル塗布装置。
【請求項7】
塗布対象物が載置される載置面を有するステージと、
前記ステージを前記載置面に沿う回転方向に回転させる回転機構と、
前記ステージ上の前記塗布対象物に材料を吐出して塗布する塗布ノズルと、
前記ステージと前記塗布ノズルとを前記回転方向に交わる交差方向に前記載置面に沿って相対移動させる第1移動機構と、
前記ノズルの温度を検出する温度検出部と、
前記塗布ノズルの設置雰囲気に所定温度の気体を供給し、前記ノズルの温度を調整する温度調節部と、を備えたことを特徴とするスパイラル塗布装置。
【請求項8】
前記温度検出部は、複数箇所に設けられ、前記塗布ノズル、前記塗布ノズルを支持する支持機構、及び前記塗布ノズルに供給される材料のいずれか1つ以上の温度を測定することを特徴とする請求項6または7記載のスパイラル塗布装置。
【請求項9】
塗布対象物を載置する載置面上に対向配置される塗布ノズルの高さ方向における位置情報を検出し、
前記塗布ノズルの位置情報に基づいて前記ステージと前記塗布ノズルの相対位置を調整して位置決めすることを特徴とするスパイラル塗布方法。
【請求項10】
塗布対象物を載置する載置面に設置された変位センサで、前記載置面に対向配置される塗布ノズルの先端までの距離を検出し、
前記塗布ノズルまでの距離に基づいて前記ステージと前記塗布ノズルの相対位置を調整して位置決めすることを特徴とするスパイラル塗布方法。
【請求項11】
塗布対象物を載置する載置面を有するステージの側方に設けられたラインセンサによって前記載置面の上下方向の位置情報を検出し、
前記ラインセンサで前記ノズルの先端の上下方向の位置情報を検出し、ノズルを移動させて前記ノズルの先端を前記載置面と同じ高さに揃え、
調整用基板を前記載置面上に設置し、
予め設定されたギャップ値を含むギャップ情報に基づいて前記ノズルを所定距離移動させて目標高さに位置決めし、
前記ノズルを前記載置面に対向配置させ、
前記ノズルと一体に設けられ前記ノズルとともに移動する変位センサによって前記載置面に設置された調整用基板までの距離を測定し、
測定された前記調整用基板までの距離に基づいて、前記ノズルの先端と前記載置面の位置決めを行うことを特徴とするスパイラル塗布方法。
【請求項12】
前記位置決めの後に前記載置面上に前記塗布対象物を設置し、
前記塗布対象物が載置された前記ステージを回転機構により回転させながら、移動機構により前記ステージと前記塗布ノズルとを前記交差方向に前記載置面に沿って相対移動させ、前記塗布ノズルにより前記ステージ上の塗布対象物に前記材料を塗布することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか記載のスパイラル塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−697(P2013−697A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136354(P2011−136354)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】