説明

スパッタリング用チタンターゲット

【課題】パーティクルや異常放電現象の原因となる不純物を低減させると同時に、ハイパワースパッタリング(高速スパッタリング)時においても亀裂や割れの発生がなく、スパッタリング特性を安定させ、成膜時のパーティクルの発生を効果的に抑えることのできる高品質のスパッタリング用チタンターゲットを提供する。
【解決手段】高純度チタンターゲットであって、添加成分として、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有し、添加成分とガス成分を除き、ターゲットの純度が99.995質量%以上であることを特徴とするスパッタリング用チタンターゲット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング用チタンターゲットに含有する不純物を低減させると同時に、ハイパワースパッタリング(高速スパッタリング)時においても亀裂や割れの発生がなく、スパッタリング特性を安定させ、成膜時のパーティクルの発生を効果的に抑えることのできる高品質のスパッタリング用チタンターゲットに関する。
なお、本明細書中に記載する不純物濃度については、全て質量%(mass%)で表示する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の飛躍的な進歩に端を発して様々な電子機器が生まれ、さらにその性能の向上と新しい機器の開発が日々刻々なされている。
このような中で、電子、デバイス機器がより微小化し、かつ集積度が高まる方向にある。これら多くの製造工程の中で多数の薄膜が形成されるが、チタンもその特異な金属的性質からチタン及びその合金膜、チタンシリサイド膜、あるいは窒化チタン膜などとして、多くの電子機器薄膜の形成に利用されている。
このようなチタン(合金、化合物を含む)の薄膜を形成する場合に、注意を要することは、それ自体が極めて高い純度を必要とすることである。
【0003】
半導体装置等に使用される薄膜派は一層薄くかつ短小化される方向にあり、相互間の距離が極めて小さく集積密度が向上しているために、薄膜を構成する物質あるいはその薄膜に含まれる不純物が隣接する薄膜に拡散するという問題が発生する。これにより、自膜及び隣接膜の構成物質のバランスが崩れ、本来所有していなければならない膜の機能が低下するという大きな問題が起こる。
【0004】
このような薄膜の製造工程において、数百度に加熱される場合があり、また半導体装置を組み込んだ電子機器の使用中にも温度が上昇する。このような温度上昇は前記物質の拡散速度をさらに上げ、拡散による電子機器の機能低下に大きな問題を生ずることとなる。また、一般に上記のチタン及びその合金膜、チタンシリサイド膜、あるいは窒化チタン膜等はスパッタリングや真空蒸着などの物理的蒸着法により形成することができる。この中で最も広範囲に使用されているスパッタリング法について説明する。
【0005】
このスパッタリング法は陰極に設置したターゲットに、Ar+などの正イオンを物理的に衝突させてターゲットを構成する金属原子をその衝突エネルギーで放出させる手法である。窒化物を形成するにはターゲットとしてチタンまたはその合金(TiAl合金など)を使用し、アルゴンガスと窒素の混合ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成することができる。
このスパッタリング膜の形成に際して、チタン(合金・化合物を含む)ターゲットに不純物が存在すると、スパッタチャンバ内に浮遊する粗大化した粒子が基板上に付着して薄膜回路を断線または短絡させ、薄膜の突起物の原因となるパーティクルの発生量が増し、均一な膜が形成されないという問題が発生する。
【0006】
このようなことから、従来不純物となる遷移金属、高融点金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはその他の金属を低減させる必要があることはいうまでもないが、これらの元素を可能な限り低減させても上記のようなパーティクルの発生があり、根本的な解決策を見出していないのが現状である。
また、チタン薄膜は窒化チタンTi−N膜を形成する場合のパーティクル発生防止用ペースティング層として使用することがあるが、膜が硬くて十分な接着強度が得られず、成膜装置内壁または部品から剥がれてしまいペースティング層としての役割をせず、パーティクル発生原因となるという問題があった。
【0007】
さらに、最近では、生産効率を上げるために、高速スパッタリング(ハイパワースパッタリング)の要請があり、この場合、ターゲットに亀裂が入ったり、割れたりすることがあり、これが安定したスパッタリングを妨げる要因となる問題があった。先行技術文献としては、次の特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開WO01/038598号公報
【特許文献2】特表2001−509548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の諸問題点の解決、特にパーティクルや異常放電現象の原因となる不純物を低減させると同時に、ハイパワースパッタリング(高速スパッタリング)時においても亀裂や割れの発生がなく、スパッタリング特性を安定させ、成膜時のパーティクルの発生を効果的に抑えることのできる高品質のスパッタリング用チタンターゲットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、1)高純度チタンターゲットであって、添加成分として、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有し、前記添加成分とガス成分を除き、ターゲットの純度が99.995質量%以上であることを特徴とするスパッタリング用チタンターゲットを提供する。
【0011】
本発明は、さらに2)添加成分とガス成分を除く純度が99.999質量%以上であることを特徴とする前記1)記載のスパッタリング用チタンターゲット、3)ターゲットの平均結晶粒径が20μm以下であることを特徴とする前記1)又は2)記載のスパッタリング用チタンターゲット、4)スパッタリングを行う前のターゲットの平均結晶粒径が20μm以下であり、スパッタリングを開始した後の平均結晶粒径が70μm以下であることを特徴とする前記1)〜3)のいずれか一項に記載のスパッタリング用チタンターゲット、を提供する。
【発明の効果】
【0012】
スパッタリング用チタンターゲットは、ターゲット内の不純物を低減させることによりパーティクルや異常放電現象を抑制し、またハイパワースパッタリング(高速スパッタリング)時においても亀裂や割れの発生がなく、スパッタリング特性を安定させ、高品質の成膜ができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の、スパッタリング用チタンターゲットは、純度が99.995質量%以上の高純度チタンターゲットである。さらに、好ましくは99.999質量%以上である。上記チタンターゲットの純度は、添加成分とガス成分を除くことは言うまでもない。
一般に、ある程度の酸素、窒素、水素等のガス成分は他の不純物元素に比べて多く混入する。これらのガス成分の混入量は少ない方が望ましいが、通常混入する程度の量は、本願発明の目的を達成するためには、特に有害とならない。
【0014】
本願発明において、添加成分として、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有するのが大きな特徴の一つである。上記S及びSiの添加により、ターゲットの製造の段階で、ターゲットの平均結晶粒径を20μm以下とすることができる。
【0015】
また、スパッタリング時にターゲットが700°C程度に加熱されるが、S及びSiの添加は、加熱による結晶粒径の粗大化も抑制できる。すなわち、このような高温の熱を受けても、平均結晶粒径が70μm以下を維持すること、すなわちターゲットのスパッタリングを開始した後に、このような加熱を受けても、ターゲットの平均結晶粒径を70μm以下に維持することが可能である。
【0016】
スパッタリング時の熱は、結晶面配向にも影響を与える。しかし、上記のS及びSiの添加は、この結晶面配向の変化を効果的に抑制できる効果を有する。結晶面配向の変化は、成膜の速度及び膜の品質に影響を与えるので好ましくないので、結晶面配向の変化を抑制できることは、成膜の品質を一定に維持できる効果を有する。
【0017】
また、後述する実施例に示すように、強度は大きく変化しないが、伸びの増加が認められる。これは、ターゲットの亀裂や割れの発生を抑制できる大きな効果を得ることができる。
【0018】
この場合、上記のようにスパッタリング開始前のターゲットの結晶粒径及びスパッタリング開示後に熱影響を受け、やや粗大化した結晶粒径にも影響を受けるが、いずれの場合にも、強度は大きく、また大きく変化することがない。一方、伸びの増加が認められるという、大きな特徴を有している。
ターゲットの強度が高く、かつ伸びが大きいということは、ターゲットの亀裂や割れの発生を抑制できる効果を有する。しかも、この現象は、スパッタリング開始前のターゲットだけでなく、スパッタリング時に700°Cという高温の熱影響を受けても、ターゲットの亀裂や割れの発生を抑制できる効果を有する。
【0019】
スパッタリングの進行と共に、次第に パーティクルの発生が増大してくる。従来は、結晶粒径が粗大化する傾向があったが、本発明においては、上記の通り粗大化しても70μm以下に制限することが可能であり、結晶粒径の粗大化防止が、パーティクル発生防止に有効である。
また、結晶配向が安定であるため、安定したスパッタリング特性を得ることができ、成膜の均一性に効果がある。
【0020】
さらに、ターゲットの強度が高く、かつ熱影響を受けても高い伸びを示すため、スパッタリング時の反り又はスパッタリングパワーのON/OFFによる熱応力、熱疲労に対して、ターゲット表面にかかる応力を小さくすることができ、ターゲットの割れを効果的に防止できる効果を有する。
【0021】
以上の効果は、チタンターゲット自体が高純度であり、かついずれも添加成分として、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有することにより、達成できるものであり、これらの数値範囲は、本願発明の有効性を実現できる範囲を示すものである。
下限値未満では本願発明の目的を達成できず、また上限値を超えるものは高純度ターゲットとしての特性を損ない不純物と化すので、上記の範囲とする。
【0022】
高純度チタンを製造するには、既に知られた溶融塩電解法を使用できる。雰囲気は不活性雰囲気とするのが望ましい。電解時には、初期カソード電流密度を低電流密度である0.6A/cm以下にして行うのが望ましい。さらに、電解温度を600〜800°Cとするのが良い。
このようにして得た電析Tiと上記添加元素S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを混合してEB(電子ビーム)溶解し、これを冷却凝固させてインゴットを作製し、800〜950°Cで熱間鍛造又は熱間押出し等の熱間塑性加工を施してビレットを作製する。これらの加工により、インゴットの不均一かつ粗大化した鋳造組織を破壊し均一微細化することができる。
【0023】
このようにして得たビレットに対して、冷間鍛造又は冷間押出し等の冷間塑性変形を繰返し実行し、高歪をビレットに付与することにより、最終的にターゲットの結晶組織を20μm以下の均一微細組織にする。
次に、このビレットを切断し、ターゲット体積に相当するプリフォームを作製する。このプリフォームにさらに冷間鍛造又は冷間押出し等の冷間塑性加工を行って高歪を付与しかつ円板形状等のターゲットに加工する。
さらに、このように高い歪を蓄えた加工組織をもつターゲットを、流動床炉等を用いて急速昇温し、400〜500°Cで短時間の熱処理を行う。これによって、20μm以下の微細な再結晶組織をもつターゲットを得ることができる。
【0024】
これらの製造工程は、本願発明の高純度チタンターゲットを得るための方法の一例を示すものであって、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有し、残部がチタン及び不可避的不純物であり、添加成分とガス成分を除き、ターゲットの純度が99.995質量%以上であるスパッタリング用チタンターゲットを得ることができるものであれば、上記製造工程に特に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本実施例はあくまで1例であり、この例に制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想の範囲に含まれる実施例以外の態様あるいは変形を全て包含するものである。
【0026】
(実施例1−5)
純度99.995質量%のTiに、S+Siを下記に示すように添加した。
(実施例1)S:3massppm、Si:3massppm、
(実施例2)S:5massppm、Si:2massppm
(実施例3)S:7massppmm、Si:1massppm
(実施例4)S:10massppm、Si:0.5massppm
【0027】
(比較例1−2)
純度99.995質量%のTiに、S+Siを下記に示すように添加した。
(比較例1)Sを0.5massppm(これは本発明の条件に満たない)、Siを2massppm
(比較例2)S:5massppm、Si:0.3massppm(これは本発明の条件に満たない)。
【0028】
上記実施例1−5及び比較例1−2に示す元素を添加したTiを、電子ビーム溶解し、上記段落[0021]〜[0022]の製造条件を適宜使用して、Tiインゴットを作成し、これをターゲット形状に加工した。これを550°Cと700°Cに加熱して、結晶粒の成長を見た。ターゲット作製時の結晶粒径及び加熱後の結晶粒径の結果を表1に示す。実施例1−5及び比較例1−2については、ターゲットに作製した段階では、いずれも20μm以下の微細結晶を有していた。
【0029】
なお、本発明のTiインゴットを製造する段階で、トップとボトム部で、成分の偏析があるので、実施例5について、その成分分析を実施した。その結果を表2及び表3に示す。表2はトップ部、表3はボトム部である。
この場合、いずれも添加成分との相違があるが、トップ部及びボトム部は、いずれも本願発明の添加成分の範囲にあった。トップ部及びボトム部に大きな隔たりが生じた場合には、インゴットから取得する箇所を適宜選択して(不適合な範囲を除去して)使用できることは言うまでもない。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
(実施例1−5及び比較例1−2の平均結晶粒径の推移)
表1に示すように、実施例1−5については、550°Cに加熱した段階で、若干粗大化したが殆ど変化がなかった。700°Cに加熱した場合でも、最大50μmに粗大化はしたが、70μmを超えるような粗大化は見られなかった。
これに対して、比較例1については、ターゲット作製時には、20μm以下の微細結晶を有していたが、550°Cに加熱した段階で、30μmに粗大化した。さらに700°Cに加熱した場合には、180μmに粗大化した。
また、比較例2については、ターゲット作製時には、20μm以下の微細結晶を有していたが、550°Cに加熱した段階で、23μmに粗大化した。さらに700°Cに加熱した場合には、110μmに粗大化した。
【0034】
これらのターゲットについて、実生産機を用いてスパッタリングし、パーティクルの発生状況を観察した。実施例1−5については、スパッタリング初期の段階から積算電力量400kWhに至るまで、パーティクルの発生がやや増えるものの、パーティクルの発生が低く抑えられ殆ど変わらない状態で推移していた。すなわち、実施例1−5についてはパーティクルの発生を効果的に抑制できた。
【0035】
一方、比較例1−2について、同様のパーティクルの発生状況を観察したところ、スパッタリング初期の段階から積算電力量150kWhに至るまでは比較的パーティクルは低く抑えられているが、数箇所突発的なパーティクル発生が観察された。その後250kWhに至るまでにパーティクルの発生が急速に増大し、またスパッタリングが不安定になった。
【0036】
次に、各実施例1−5及び比較例1−2について、ターゲットに現れる結晶の配向について調べた。その結果を、表4及び表5に示す。表4はBasalの面配向率であり、表5は(002)面の配向率を示す。
なお、Basalの面配向率については、表6に示す式により計算したものであり、(002)配向率については、表7に示す式により計算したものである。
【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】
表4に示すように、Basalの面配向率については、本願実施例1−5については、550°C加熱において70−76%の範囲にあり、700°C加熱において69−79%の範囲にあり、大きく変動することはない。
これに対して、比較例1については、ターゲット作製時に61%の範囲にあるにもかかわらず、550°C加熱において71%となり、700°C加熱において76%と大きく増加し、Basalの面配向率が増加した。
また、比較例2については、ターゲット作製時に62%の範囲にあるにもかかわらず、550°C加熱において72%となり、700°C加熱において75%と大きく増加し、Basalの面配向率が増加した。
以上から明らかなように、比較例に比べ、実施例についてはBasalの面配向率の変化が少ないことが確認できる。
【0042】
表5に示すように、(002)の面配向率については、本願実施例1−5については、550°C加熱において1−5%の範囲にあり、700°C加熱において1−6%の範囲にあり、大きく変動することはなかった。
これに対して、比較例1については、ターゲット作製時に9%の範囲にあるにもかかわらず、550°C加熱において29%となり、700°C加熱において65%と(002)の面配向率が大きく増加した。
また、比較例2についても、ターゲット作製時に5%の範囲にあるにもかかわらず、550°C加熱において18%となり、700°C加熱において45%と(002)の面配向率が大きく増加した。
以上から明らかなように、比較例に比べ、実施例については(002)面配向率の変化が少ないことが確認できた。
【0043】
次に、上記実施例1−5及び比較例1−2の各種Tiターゲットについて、本願発明の平均結晶粒径を7〜10μmのある場合の、最大降伏応力と伸び、並びに本願発明の熱影響を受けた場合の、最大降伏応力と伸びを表8に示す。
また、上記実施例1−5及び比較例1−2の各種Tiターゲットについて、本願発明の平均結晶粒径を50〜60μmのある場合の、最大降伏応力と伸び、並びに本願発明の熱影響を受けた場合の、最大降伏応力と伸びを表9に示す。
【0044】
【表8】

【0045】
【表9】

【0046】
上記表8及び表9に示すように、本願発明は、最大降伏応力は高いが、添加元素で大きく変動することはない。また、比較例1−2においても同様である。
しかし、表8及び表9から分かるように、伸びは比較例1−2では伸びが少ないのに対して、実施例1−4では大きな伸びの改善が認められた。
特に、700°C近傍に加熱を受けた粒径が50〜60μmの範囲では、最大降伏応力についての変化は実施例と比較例では大きな差異がないが、伸びについては、比較例1で10%、比較例2では12%であるのに対して、実施例1−4では、16〜18%となり、大きな向上が見られた。これは、ターゲットの割れ防止に大きな効果を有するものである。
【0047】
以上から、本願発明のように、添加成分として、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有し、添加成分とガス成分を除き、ターゲットの純度が99.995質量%以上であるスパッタリング用チタンターゲットは、亀裂や割れの発生がなく、しかも成膜時のパーティクルの発生を効果的に抑えることのできるという大きな効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
パーティクルや異常放電現象の原因となる不純物を低減させると同時に、ハイパワースパッタリング(高速スパッタリング)時においても亀裂や割れの発生がなく、スパッタリング特性を安定させ、成膜時のパーティクルの発生を効果的に抑えることのできる高品質のスパッタリング用チタンターゲットを提供することができるので、電子機器等の薄膜の形成に有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度チタンターゲットであって、添加成分として、S:3〜10質量ppm及びSi:0.5〜3質量ppmを含有し、添加成分とガス成分を除き、ターゲットの純度が99.995質量%以上であることを特徴とするスパッタリング用チタンターゲット。
【請求項2】
添加成分とガス成分を除く純度が99.999質量%以上であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング用チタンターゲット。
【請求項3】
ターゲットの平均結晶粒径が20μm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタリング用チタンターゲット。
【請求項4】
スパッタリングを行う前のターゲットの平均結晶粒径が20μm以下であり、スパッタリングを開始した後の平均結晶粒径が70μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリング用チタンターゲット。


【公開番号】特開2010−235998(P2010−235998A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84100(P2009−84100)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(591007860)日鉱金属株式会社 (545)
【Fターム(参考)】