説明

スピロ−ヒダントイン化合物の結晶形および製造方法

式(II):


[式中、
ZはNまたはCR4bであり;
KおよびLは独立して、OまたはSであり;
Arは適宜置換されたアリールまたはヘテロアリールであり;
はリンカーであり、G’はリンカーであり;
Qはリンカーであり;並びに
、R4a、R4c、およびRは本明細書中で定義される]
のスピロ−ヒダントイン化合物を製造するための方法が提供される。本方法には中間体のエナンチオマー分割が適宜含まれ、式IIのスピロ−ヒダントイン化合物のエナンチオマーを製造する。置換スピロ−ヒダントイン化合物は、式(II)のスピロ−ヒダントイン化合物から製造されうる。式(II)のスピロ−ヒダントイン化合物およびその置換スピロ−ヒダントイン化合物は、免疫疾患または炎症性疾患の治療に有益である。本発明の方法によって製造される生成物および置換スピロ−ヒダントイン化合物、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸、並びにその溶媒和化合物および塩の結晶形(いずれの方法によっても製造される)もまた提供され、並びにその使用方法も提供される。特定の中間体の結晶形も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピロ−ヒダントイン化合物および置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造方法に関する。置換スピロ−ヒダントイン化合物、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸、並びにその溶媒和化合物および塩の結晶形もまた提供され、並びにその使用方法も提供される。特定の中間体の結晶形もまた提供される。
【背景技術】
【0002】
免疫応答における重要なイベントには、白血球の疾患部位への移動が含まれる。炎症反応の間、白血球は損傷部位に集められ、細胞間および細胞−基質間接着を含む一連の細胞間相互作用によって溢出される。白血球のこれらの細胞間相互作用を阻害する化合物の投与によって、炎症性疾患または免疫疾患の治療への道が提供される。
【0003】
重要な接着機能を果たす分子の特定のファミリーは、インテグリンである。インテグリンは細胞表面に発現され、細胞間および細胞−基質間接着において機能する。インテグリンはアルファ−ベータのヘテロダイマーであり、各インテグリンはベータ(β)サブユニットに非共有結合されたアルファ(α)サブユニットを有する。βまたはCD18サブユニットを有する4つの公知のインテグリンが存在し、CD11/CD18インテグリンサブファミリー、すなわちリンパ球機能関連抗原1(LFA−1)(CDlla/CD18またはαβ);マクロファージ抗原1(Mac−1)(CDllb/CD18またはαβ);p150,95(CDllc/CD18またはαβ);およびαβを含む。インテグリンのCDll/CD18ファミリーはまた、様々な白血球細胞の表面に発現されるのでロイコインテグリンと呼ばれ、多数の炎症関連細胞間相互作用を媒介する。Diamond et al., 「The Dynamic Regulation of Integrin Adhesiveness」 Current Biology, Vol. 4 (1994) at pp. 506-532を参照。
【0004】
活性化されると、インテグリンは細胞外のリガンドに結合し、接着を誘導する。LFA−1およびMac−1のリガンドには、細胞間接着分子(ICAM)ICAM−1が含まれる。主要なCDll/CD18インテグリンはLFA−1であり、それはまたICAM−2およびICAM−3に結合する。CD18インテグリン、特にLFA−1と、ICAMの相互作用は、抗原掲示、T細胞増殖、および内皮と活性化された白血球の間の接着を媒介し、これは白血球が循環器系から組織の中へ移動するのに必要である。CD18インテグリン、ICAM、および/またはLFA−1:ICAM相互作用を阻害する化合物によって、炎症性疾患または免疫疾患の治療における広範囲の有用性が示されている。報告によれば、抗炎症剤として使用するためのLFA−1/ICAMを阻害する化合物には、チアジアゾールを基本骨格とする化合物(Pharmacia & Upjohn Co.によって出願された国際公開番号WO 99/20,618, 「Thiadiazole Amides Useful as 抗炎症剤s」;および、Pharmacia and UpjohnによるWO 99/20,617も参照);並びにフェニル環およびピラゾール環に結合したチアゾール化合物(Sanfilippo et al., 「Novel Thiazole Based Heterocycles as Inhibitors of LFA-1/ICAM-1 Mediated Cell Adhesion」 J. Med. Chem., Vol. 38 (1995) at pp.1057-1059)が含まれる。報告によれば、ICAMのCD18インテグリンとの結合に対するアンタゴニストである小さな分子には、様々なベンジルアミンおよび2−ブロモベンゾイルトリプトファン化合物(Genentech, Inc.によって出願された、国際公開番号WO99/49,856, 「Antagonists for Treatment of CDll/CD18 Adhesion Receptor Mediated Disorders」を参照)、およびl−(3,5ジクロロフェニル)イミダゾリジン(Boehringer Inゲルheim Pharmaceuticals, Inc.によって出願された、国際公開番号WO98/39303, 「Small Molecules Useful in the Treatment of Inflammatory Disease」を参照、Boehringerの特許出願WO 01/07052、WO 01/07048、WO 01/07044、WO 01/06984、およびWO 01/07440もまた参照)が含まれる。ヒダントイン化合物は、国際公開番号WO 00/59880、WO 00/39081、WO 02/02522、WO 02/02539(すべてAbbott Laboratoriesによる)において開示される。LFA−1アンタゴニスト化合物もまた、WO 02/059114(Genentechによる)、WO 02/42294(Celltechによる)、WO 01/51508(Science and Technology corporationによる)、WO 00/21920およびWO 01/58853(両方ともHoffmann-LaRocheによる)、WO 99/11258, WO 00/48989、およびWO 02/28832(すべてNovartisによる)において特許請求されている。ヒダントイン化合物は、国際公開番号WO 01/30781 A2(2001年5月3日に公開)「Inhibitors of αLβ2 Mediated Cell Adhesion」において田辺製薬株式会社によって開示され、また本発明の共通発明者を有する国際公開番号WO 02/44181(2002年6月6日に公開)「Hydantoin Compounds Useful as 抗炎症剤s」において本出願の譲受人によって開示される。
【0005】
米国特許出願公開2004/0009998 A1(本出願の譲受人による)は、本明細書中に引用され、ロイコインテグリンおよび/またはICAMのアンタゴニストとして有効なアリールまたはヘテロアリール置換スピロ−ヒダントイン化合物を開示する。本引用はまた、保護基の導入およびその後の除去を含む多段階合成のような、これらのスピロ−ヒダントインの製造のための様々な方法を開示する。
【0006】
しかしながら、このようなスピロ−ヒダントイン化合物を製造するための開示された多段階合成を、パイロットプラントまたは製造スケールにおける生産のような、より大きなスケールに適応させることに関連した困難さは認識されている。当該技術分野で目的としているのは、実験室スケールの方法によって一般的に製造されるよりも大量に、これらのアリールまたはヘテロアリール置換スピロ−ヒダントイン化合物を生産するのに適した方法である。さらに目的としているのは、エナンチオマー混合物の容易な分割を適宜提供し、これらの置換スピロ−ヒダントイン化合物の特定のエナンチオマーを製造する方法である。加えて、アリールまたはヘテロアリール置換スピロ−ヒダントインの結晶形、並びに望ましく、かつ有益な物理化学的特性を示しうる特定の中間体が必要である。
【0007】
本発明にはこれらが示され、並びに他の重要な態様が示される。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、式(II):
【化1】

[式中、Ar、G、K、L、R、R4a、R4c、およびZは、本明細書中以下に定義される]
によって表されるスピロ−ヒダントイン化合物の製造方法であって、極性溶媒の存在下、式(I):
【化2】

[式中、記号は上記と同義]
のアルケン化合物を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)グリシンまたはグリシンエステル
に接触させて、該スピロ−ヒダントイン化合物(II)、またはその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグを得ることを特徴とする方法を提供する。
【0009】
本発明の一つの態様によって、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を反応させて、式III:
【化3】

[式中、A、A、Q、およびR16は、本明細書中以下に定義される。]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物を得る段階を含む方法が提供される。
【0010】
本発明はまた、式IIIn:
【化4】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物の結晶形も提供する。また該置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)の溶媒和化合物および塩の結晶形も提供される。
【0011】
式IIによって表されるスピロ−ヒダントイン化合物、および式IIIによって表される置換スピロ−ヒダントイン化合物は、免疫疾患または炎症性疾患の治療に有益である。
【0012】
(発明の詳細な説明)
以下は、本明細書および添付の特許請求の範囲における用語の定義である。本明細書中で化学基または用語に与えられる最初の定義は、特に断りがなければ、個別にまたは他の化学基の一部として、本明細書および特許請求の範囲を通して化学基または用語に適用する。
【0013】
用語「アルキル」とは、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。低級アルキル基、すなわち1から4個の炭素原子のアルキル基が最も好ましい。記号「C」の後の下付き文字に数字が現れた場合は、その下付き文字は、特定の化学基が含みうる炭素原子の数をより特異的に定義する。例えば、「C1−6アルキル」は、1から6個の炭素原子をもつ直鎖および分枝鎖のアルキル基を示し、それは例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルなどである。下付き文字「0」とは結合をいう。したがって、用語ヒドロキシ(C0−2)アルキルまたは(C0−2)ヒドロキシアルキルには、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、およびヒドロキシエチルが含まれる。
【0014】
用語「置換アルキル」は、ハロ(例えば、トリフルオロメチル)、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、−OR、−SR、(=S)、−NR、−N(アルキル)、−NRSO、−NRSO、−SO、−SONR、−SONRC(=O)R、−SOH、−PO(OH)、−C(=O)R、−CO、−C(=O)NR、−C(=O)(C1−4アルキレン)NR、−C(=O)NR(SO)R、−CO(C1−4アルキレン)NR、−NRC(=O)R、−NRCO、−NR(C1−4アルキレン)CO、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択された1つ、2つ、または3つの置換基を有する上記で定義されたアルキル基を示し、その中でRおよびRは、水素、アルキル、アルケニル、−COH、−CO(アルキル)、C3−7シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、ナフチル、4から7員環ヘテロシクロ、および5から6員環ヘテロアリールから選択され、あるいは同一の窒素原子に結合する場合は結合してヘテロシクロまたはヘテロアリールを形成してもよく、並びにRはRおよびRと同じ化学基から選択されるが、水素ではない。水素以外である各RおよびR基、並びに各R基は、R、R、および/またはRの、いずれの利用できる炭素原子または窒素原子に結合する最大3つまでの置換基をさらに適宜有し、前記置換基は(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニル、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、CF、−O(C1−6アルキル)、−OCF、−C(=O)H、−C(=O)(C1−6アルキル)、−COH、−CO(C1−6アルキル)、−NHCO(C1−6アルキル)、−S(C1−6アルキル)、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)、−N(CH、−SO(C1−6アルキル)、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH(アルキル)、−C(=O)(C1−4アルキレン)N(C1−4アルキル)、C3−7シクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ナフチル、4から7員環ヘテロシクロ、または5から6員環ヘテロアリールから選択される。置換アルキルがアリール、ヘテロシクロ、シクロアルキル、またはヘテロアリール基で置換される場合は、前記環系は以下に定義され、したがって置換基を持たないか、1つ、2つ、または3つの置換基を有しうるが、これもまた以下に定義される。
【0015】
記号「CO」が本明細書中で用いられる場合は、これは−C(=O)−O−基をいうことを意味すると当業者に理解されている。
【0016】
用語「アルキル」が、「アリールアルキル」のような他の化学基とともに用いられる場合は、この結合によって、置換アルキルが含む少なくとも一つの置換基がより特異的に定義される。例えば、「アリールアルキル」とは、少なくとも一つの置換基がアリールである上記で定義される置換アルキル基、例えばベンジルをいう。したがって、用語アリール(C0−4)アルキルには、少なくとも一つのアリール置換基を有する置換低級アルキルが含まれ、他の化学基に直接結合したアリール、すなわちアリール(C)アルキルもまた含まれる。
【0017】
用語「アルケニル」とは、2から12個の炭素原子および少なくとも一つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。2から6個の炭素原子のアルケニル基で一つの二重結合を有するものが最も好まれる。
【0018】
用語「アルキニル」とは、2から12個の炭素原子および少なくとも一つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいう。2から6個の炭素原子のアルキニル基で一つの三重結合を有するものが最も好まれる。
【0019】
用語「アルキレン」は、1から12個の炭素原子、好ましくは1から8個の炭素原子を有する二価の直鎖または分枝鎖の炭化水素基を示し、例えば、{−CH−}であり、その中でnは1から12であり、好ましくは1−8である。低級アルキレン基、すなわち1から4個の炭素原子のアルキレン基が最も好まれる。用語「アルケニレン」および「アルキニレン」とは、それぞれ上記で定義されるアルケニル基およびアルキニル基の二価の基をいう。
【0020】
置換アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基が引用される場合は、これらの化学基は置換アルキル基において上記で定義される1から3個の置換基で置換される。
【0021】
用語「ヘテロアルキレン」とは、2から12個の炭素原子、好ましくは2から8個の炭素原子を有する飽和および不飽和の二価の直鎖または分枝鎖の炭化水素基をいうために本明細書中で用いられ、その中で直鎖の1または2個の炭素原子は、−O−、−S−、−S(=O)−、−SO−、−NH−、および−NHSO−から選択されるヘテロ原子によって置換される。したがって、用語「ヘテロアルキレン」には、以下に定義される二価のアルコキシ、チオアルキル、およびアミノアルキル基、並びにアルキル鎖においてヘテロ原子の組み合わせを有するアルキレン基およびアルケニレン基が含まれる。例として、本明細書中で「ヘテロアルキレン」は、−CH−NH−、−S−(CH1−5NH−CH−、−O−(CH1−5S(=O)−CH−などの化学基を含みうる。好ましくは、ヘテロアルキレンは−O−および−S−から同時に選択される二つの隣接原子を有さない。下付き文字が用語ヘテロアルキレンとともに用いられる場合は、例えば、C2−3ヘテロアルキレンのように、下付き文字はヘテロ原子に加えて化学基における炭素原子の数を示す。したがって、例えば、C1−2ヘテロアルキレンには、−NH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−、−S−CH−、−CH−S−CH−、−0−CH−NH−CH−、−CH−O−CH−などの化学基が含まれうる。
【0022】
用語「置換ヘテロアルキレン」は、上記で定義されるヘテロアルキレン基を示し、その中でヘテロアルキレン鎖において少なくとも一つの窒素または炭素原子は水素以外の化学基に結合する(または置換される)。ヘテロアルキレン鎖における炭素原子は、置換アルキル基において上記で列挙されたものから選択される化学基で置換され、またはアルキルもしくは置換アルキル基でさらに置換されうる。ヘテロアルキレン鎖の窒素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シアノ、および−A−Q−A−R16から選択される化学基で置換され、その中でAは結合、C1−2アルキレン、またはC2−3アルケニレンであり;Qは結合、−C(=O)−、−C(=O)NR−、−C(=S)NR−、−SO−、−SONR−、−CO−、または−NRCO−であり;Aは結合、C1−3アルキレン、C2−3アルケニレン、−C1−4アルキレン−NR−、−C1−4アルキレン−NRC(=O)−、−C1−4アルキレン−S−、−C1−4アルキレン−SO−、または−C1−4アルキレン−O−であり、その中で前記Aアルキレン基は、分枝鎖または直鎖であり、置換アルキレンにおいて本明細書中で定義されるように適宜置換され;各R16は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、またはシクロアルキルであり;並びにRは、本明細書中で定義されるように、水素、アルキル、および置換アルキルから選択されるが、但し、A、Q、およびAがそれぞれ結合である場合は、R16は水素ではない。R16がアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、またはヘテロシクロの場合は、これらの環も同様に、これらの用語の定義において以下で定義されるような、化学基の1から3個で適宜置換される。
【0023】
用語「アルコキシ」とは、アルキル鎖中に一つまたは二つの酸素原子(−O−)を有する上記で定義されるアルキルまたは置換アルキル基をいう。例えば、用語「アルコキシ」には、化学基−O−C1−12アルキル、−(C1−6アルキレン)−O−C1−6アルキル、−(C1−4アルキレン−O−C1−4アルキレン)−O−C1−4アルキルなどが含まれる。
【0024】
用語「チオアルキル」または「アルキルチオ」とは、アルキル鎖中に一つまたは二つの硫黄原子を有する上記で定義されるアルキルまたは置換アルキル基をいう。例えば、用語「チオアルキル」または「アルキルチオ」には、化学基−S−C1−12アルキル、−(S−C1−6アルキレン)−S−C1−6アルキルなどが含まれる。
【0025】
用語「アミノアルキル」または「アルキルアミノ」とは、アルキル鎖中に一つまたは二つの窒素(−NR−)原子を有する上記で定義されるアルキルまたは置換アルキル基をいう。例えば、用語「アミノアルキル」には、化学基−NR−C1−12アルキル、−NR−C1−6アルキレン−NR−C1−6アルキルなどが含まれる(ここで、Rは好ましくは水素であるが、上記で定義されるアルキルまたは置換アルキルを含みうる)。下付き文字がアルコキシ、チオアルキルまたはアミノアルキルに関して用いられる場合は、その下付き文字は、ヘテロ原子に加えてその化学基が含みうる炭素原子の数を示す。したがって、例えば、一価のC1−2アミノアルキルには、化学基−CH−NH、−NH−CH、−(CH−NH、−NH−CH−CH、−CH−NH−CH、および−N−(CHが含まれる。低級アミノアルキルには、1から4個の炭素原子を有するアミノアルキルが含まれる。「アミノ」とはNH基をいう。
【0026】
アルコキシ、チオアルキル、またはアミノアルキル基は一価または二価でありうる。「一価」によって、その化学基が一つの原子価(すなわち、他の化学基と結合することができる能力)を有することが意味され、「二価」によって、その化学基が二つの原子価を有することが意味される。したがって、例えば、一価のアルコキシには、−O−C1−12アルキル、−C1−6アルキレン−0−C1−6アルキル、−C1−4アルキレン−O−C1−4アルキレン−O−C1−4アルキルのような化学基が含まれるのに対し、二価のアルコキシには、−O−C1−12アルキレン−、−C1−6アルキレン−O−C1−6アルキレン−、−C1−4アルキレン−O−C1−4アルキレン−O−C1−4アルキレン−などのような化学基が含まれる。
【0027】
アルコキシ、チオアルキル、およびアミノアルキルの選択は当業者によってなされ、安定な化合物を提供することが理解されるべきである。
【0028】
用語「アシル」は、有機基に結合したカルボニル基、特に、−C(=O)R基、並びに二価の化学基−C(=O)−または−C(=O)R−を示し、これらは有機基に結合する。R基は、本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アミノアルキル、置換アルキル、置換アルケニル、または置換アルキニル、あるいは必要に応じて、対応する二価の化学基、例えば、アルキレン、アルケニレンなどから選択されうる。したがって、アルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)において、Gが「アシル」でありうることが列挙される場合は、Gとして−C(=O)−並びに化学基−C(=O)R−または−RC(=O)−の選択が含まれることが意図され、その中で、この例においては、R基は二価の化学基、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、二価のアミノアルキル、置換アルキレン、置換アルケニレン、または置換アルキニレンから選択される。
【0029】
用語「アルコキシカルボニル」は、カルボキシ基(−C(=O)−O−または−O−C(=O)−)が有機基に結合したもの(CO)、並びにアルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)において有機基と結合する二価の化学基−CO−、−CO−を示し、その中でRはアシルとして上記で定義される。カルボキシ基が結合する有機基は、一価(例えば、−CO−アルキルまたは−OC(=O)アルキル)、あるいは二価(例えば、−CO−アルキレン、−OC(=O)アルキレンなど)でありうる。したがって、アルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)において、Gが「アルコキシカルボニル」でありうることが列挙される場合は、Gとして−CO−並びに化学基−CO−または−RCO−の選択が含まれることが意図され、その中で、この例においては、R基は二価の化学基、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、二価のアミノアルキル、置換アルキレン、置換アルケニレン、または置換アルキニレンから選択される。
【0030】
用語「アミド」または「アミジル」は、−C(=O)NR基を示し、その中で化学基RおよびRは、置換アルキル基の定義において上記で列挙されるように定義される。
【0031】
用語「スルホニル」とは、有機基に結合したスルホキシド基、特に、一価の−S(O)1−2−R基、または有機基に結合した二価の−S(O)1−2−基をいう。したがって、アルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)において、Gが「スルホニル」でありうることが列挙される場合は、Gとして−S(=O)−または−SO−、並びに化学基−S(=O)R−、−RS(=O)−、−SO−、または−RSO−の選択が含まれることが意図され、その中で、この例においては、R基はアシル基およびアルコキシカルボニル基として上記で列挙されるものから選択される。
【0032】
用語「スルホンアミジル(sulfonamidyl)」は、−S(O)NR基を示し、その中で化学基RおよびRは、置換アルキル基として上記で定義される。また、スルホンアミジル(sulfonamidyl)基は二価であり、その場合にR基およびR基の一つは結合である。したがって、アルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)において、Gがスルホンアミジル(sulfonamidyl)でありうることが述べられる場合は、Gは−S(O)NR−基であることが意図される。
【0033】
用語「シクロアルキル」とは、1から4個の環、および一つの環に3から8個の炭素を含む完全に飽和または一部飽和した環状炭化水素基をいう。完全に飽和したシクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。一部飽和したシクロアルキル基の例には、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが含まれる。「置換シクロアルキル」は、一つまたはそれ以上の置換基、好ましくは1から4個の置換基で置換されたシクロアルキル基を示し、置換はいずれの結合可能な部位でもよい。置換の例には、これらに限らないが、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、−OR、−SR、(=S)、−NR、−N(アルキル)、−NRSO、−NRSO、−SO、−SONR、−SONRC(=O)R、−SOH、−PO(OH)、−C(=O)R、−CO、−C(=O)NR、−C(=O)(C1−4アルキレン)NR、−C(=O)NR(SO)R、−CO(C1−4アルキレン)NR、−NRC(=O)R、−NRCO、−NR(C1−4アルキレン)CO、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールが含まれ、その中でR、RおよびRは置換アルキル基として上記で定義されるものであり、これらはまた同様に置換アルキル基の定義において上記で列挙されるように適宜置換される。用語「シクロアルキル」にもまた、それに縮合した第二の環(例えば、ベンゾ、ヘテロシクロ、またはヘテロアリール環を含む)を有し、あるいは3から4個の炭素原子の炭素−炭素架橋を有するような環が含まれる。シクロアルキルがさらなる環で置換される場合(またはそれに縮合する第二の環を有する場合)、前記環は同様に、(C1−4)アルキル、(C2−4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、−O(C1−4アルキル)、−OCF、−C(=O)H、−C(=O)(C1−4アルキル)、−COH、−CO(C1−4アルキル)、−NHCO(C1−4アルキル)、−S(C1−4アルキル)、−NH、−NH(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−SO(C1−4アルキル)、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1−4アルキレン)N(C1−4アルキル)の一つから二つで適宜置換される。
【0034】
用語「シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなど、並びに以下の環系:
【化5】

【化6】

などが含まれ、これらは環のいずれの可能な原子で適宜置換されうる。好ましいシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
【化7】

が含まれる。
【0035】
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードをいう。
【0036】
用語「ハロアルキル」は一つまたはそれ以上のハロ置換基を有する置換アルキルを意味する。例えば、「ハロアルキル」には、モノ、ビ、およびトリフルオロメチルが含まれる。
【0037】
用語「ハロアルコキシ」は、一つまたはそれ以上のハロ置換基を有するアルコキシ基を意味する。例えば、「ハロアルコキシ」には、OCFが含まれる。
【0038】
用語「アリール」とは、フェニル、ビフェニル、1−ナフチル、および2-ナフチルをいう。用語「アリール」には、置換基を有さない環、またはハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、−OR、−SR、(=S)、−NR、−N(アルキル)、−NRSO、−NRSO、−SO、−SONR、−SONRC(=O)R、−SOH、−PO(OH)、−C(=O)R、−CO、−C(=O)NR、−C(=O)(C1−4アルキレン)NR、−C(=O)NR(SO)R、−CO(C1−4アルキレン)NR、−NRC(=O)R、−NRCO、−NR(C1−4アルキレン)CO、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される1つ、2つ、または3つの置換基を有する環が含まれ、その中でR、R、およびRは上記の置換アルキル基で定義されるものであり、これらはまた同様に、上記で列挙されるように適宜置換される。また、アリール、特にフェニル基に結合した二つの置換基は、結合して、縮合またはスピロ環、例えばシクロペンチルまたはシクロヘキシル、あるいは縮合ヘテロシクロまたはヘテロアリールのようなさらなる環を形成しうる。アリールがさらなる環で置換される場合(またはそれに縮合した第二の環を有する場合)、前記環は同様に、(C1−4)アルキル、(C2−4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、O(C1−4アルキル)、OCF、C(=O)H、C(=O)(C1−4アルキル)、COH、CO(C1−4アルキル)、−NHCO(C1−4アルキル)、−S(C1−4アルキル)、−NH、−NH(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−SO(C1−4アルキル)、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1−4アルキレン)N(C1−4アルキル)の一つから二つで適宜置換される。
【0039】
したがって、アリール基の例には:
【化8】

などが含まれ、それは適宜、いずれの可能な炭素原子または窒素原子で置換されうる。好ましいアリール基は適宜置換されたフェニルである。
【0040】
用語「ヘテロシクロ」または「ヘテロ環状」は、置換および無置換の、非芳香族性の3から7員単環式基、7から11員二環式基、並びに10から15員三環式基を示し、その中で少なくとも一つの環は少なくとも一つのヘテロ原子(O、SまたはN)を有する。ヘテロ原子を含むヘテロシクロ基の各環には、一つまたは二つの酸素原子または硫黄原子、および/または、1から4個の窒素原子が含まれうるが、但し各環におけるヘテロ原子の総数は4またはそれ以下であり、また、但し環が少なくとも一つの炭素原子を含む。二環式基および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含みうるが、飽和、一部飽和、または不飽和であってもよい。窒素原子および硫黄原子は適宜酸化され、窒素原子は適宜四級化されうる。ヘテロシクロ基は、いずれの可能な窒素原子または炭素原子に結合しうる。ヘテロシクロ環には、置換基が含まれないか、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、オキソ(=O)、−OR、−SR、(=S)、−NR、−N(アルキル)、−NRSO、−NRSO、−SO、−SONR、−SONRC(=O)R、−SOH、−PO(OH)、−C(=O)R、−CO、−C(=O)NR、−NRC(=O)R、−C(=O)(C1−4アルキレン)NR、−C(=O)NR(SO)R、−CO(C1−4アルキレン)NR、−NRCO、−NR(C1−4アルキレン)CO、=N−OH、=N−O−アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される一つ、二つまたは三つの置換基が含まれうるが、その中でR、RおよびRは、置換アルキル基について上記で定義されるものであり、これらはまた同様に、上記で列挙されるように適宜置換される。ヘテロシクロがさらなる環で置換される場合、前記環は同様に、(C1−4)アルキル、(C2−4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、O(C1−4アルキル)、OCF、C(=O)H、C(=O)(C1−4アルキル)、COH、CO(C1−4アルキル)、−NHCO(C1−4アルキル)、−S(C1−4アルキル)、−NH、−NH(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−SO(C1−4アルキル)、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1−4アルキレン)N(C1−4アルキル)の1から2つで適宜置換される。
【0041】
単環式基の例には、アゼチジニル、ピロリジニル、オキセタニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル(isoxazolinyl)、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジル、2−オキソピロリジニル(2-oxopyrrolodinyl)、2−オキソアゼピニル(2-oxoazepinyl)、アゼピニル(azepinyl)、4−ピペリドニル(4-piperidonyl)、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラン、およびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニルなどが含まれる。二環式ヘテロシクロ基の例には、キヌクリジニルが含まれる。
【0042】
アルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)における好ましいヘテロシクロ基には、
【化9】

が含まれ、それは適宜置換されうる。
【0043】
用語「ヘテロアリール」は、置換および無置換芳香族5または6員単環式基、9または10員二環式基、並びに11から14員三環式基を示し、それは少なくとも一つの環において少なくとも一つのヘテロ原子(O、S、またはN)を有する。ヘテロ原子を含むヘテロアリール基の各環には、一つまたは二つの酸素原子または硫黄原子および/または1から4個の窒素原子が含まれうるが、但し各環におけるヘテロ原子の総数は4つまたはそれ以下であり、各環は少なくとも一つの炭素原子を有する。二環式基および三環式基を完成させる縮合環は、炭素原子のみを含みうるが、飽和、一部飽和、または不飽和であってもよい。窒素原子および硫黄原子は適宜酸化され、窒素原子は適宜四級化されうる。二環式または三環式ヘテロアリール基には、少なくとも一つの完全な芳香環が含まれていなければならないが、他の縮合環は芳香族または非芳香族でありうる。ヘテロアリール基は、いずれの環のいずれの可能な窒素原子または炭素原子に結合しうる。ヘテロアリール環系には、置換基が含まれないか、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、−OR、−SR、(=S)、−NR、−N(アルキル)、−NRSO、−NRSO、−SO、−SONR、−SONRC(=O)R、−SOH、−PO(OH)、−C(=O)R、−CO、−C(=O)(C1−4アルキレン)NR、−C(=O)NR、−C(=O)NR(SO)R、−CO(C1−4アルキレン)NR、−NRC(=O)R、−NRCO、−NR(C1−4アルキレン)CO、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリールから選択される一つ、二つまたは三つの置換基が含まれうるが、その中でR、RおよびRは、置換アルキル基について上記で定義されるものであり、これらはまた同様に、上記で列挙されるように適宜置換される。ヘテロアリールがさらなる環で置換される場合、前記環は同様に、(C1−4)アルキル、(C2−4)アルケニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、CF、−O(C1−4アルキル)、−OCF、−C(=O)H、−C(=O)(C1−4アルキル)、−COH、−CO(C1−4アルキル)、−NHCO(C1−4アルキル)、−S(C1−4アルキル)、−NH、−NH(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−N(C1−4アルキル)、−SO(C1−4アルキル)、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH、−C(=O)(C1−4アルキレン)NH(アルキル)、および/または−C(=O)(C1−4アルキレン)N(C1−4アルキル)の1から2つで適宜置換される。
【0044】
単環式ヘテロアリール基の例には、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル(pyrazolinyl)、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、チエニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニルなどが含まれる。
【0045】
二環式ヘテロアリール基の例には、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾキサゾリル(benzoxazolyl)、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル(benzimidazolyl)、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフラニル、クロモニル(chromonyl)、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジル、ジヒドロイソインドリル、テトラヒドロキノリニルなどが含まれる。
【0046】
三環式ヘテロアリール基の例には、カルバゾリル、ベンゾイドリル(benzidolyl)、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが含まれる。
【0047】
アルケン化合物(I)、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)において、好ましいヘテロシクロ基には、
【化10】

【化11】

などが含まれ、それはいずれの可能な炭素原子または窒素原子で適宜置換されうる。
【0048】
断りがなければ、特定の名前が付けられたアリール(例えば、フェニル)、シクロアルキル(例えば、シクロヘキシル)、ヘテロシクロ(例えば、ピロリジニル)またはヘテロアリール(例えば、イミダゾリル)について引用される場合、特に断りがなければ、必要に応じて、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロ、および/またはヘテロアリール基について上記で列挙されたものから選択される0から3個、好ましくは0−2個の置換基を有する環がその引用に含まれることを意図している。
【0049】
用語「ヘテロ原子」には、酸素、硫黄、および窒素が含まれる。
【0050】
用語「炭素環」は、全環の全原子が炭素である飽和または不飽和単環または二環を意味する。したがって、その用語には、シクロアルキルおよびアリール環が含まれる。炭素環は置換されうるが、その場合、その置換基はシクロアルキル基およびアリール基について上記で列挙されるものから選択される。
【0051】
用語「不飽和」が本明細書中で環または化学基を示すのに用いられる場合、その環または化学基は完全に不飽和または一部不飽和でありうる。
【0052】
本明細書中で用いられるように、スピロ−ヒダントイン化合物(II)の構造は、エナンチオマー、スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIb)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0053】
本明細書中で用いられるように、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)の構造は、エナンチオマー、スピロ−ヒダントイン化合物(IId)またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIe)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0054】
本明細書中で用いられるように、スピロ−ヒダントイン化合物(IIf)の構造は、エナンチオマー、スピロ−ヒダントイン化合物(IIg)またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIh)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0055】
本明細書中で用いられるように、置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)の構造は、エナンチオマー、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIa)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIb)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0056】
本明細書中で用いられるように、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIc)の構造は、エナンチオマー、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIId)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIe)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0057】
本明細書中で用いられるように、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIf)の構造は、エナンチオマー、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIg)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIh)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0058】
本明細書中で用いられるように、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIm)の構造は、エナンチオマー、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIp)、あるいはその混合物、並びにラセミ体混合物を表す。
【0059】
本明細書を通して、その化学基および置換基は、当業者によって選択され、医薬的に許容される化合物として有益な化合物およびその安定な部分を提供し、および/または医薬的に許容される化合物の製造に有益な中間体化合物を提供しうる。
【0060】
式IからIIIの化合物は、これもまた本発明の範囲内である塩を形成しうる。特に断りがなければ、式IからIIIの一つの化合物の引用には、その塩の引用が含まれるものと理解される。用語「塩」とは、無機および/または有機酸および塩基で形成される酸性塩および/または塩基性塩をいう。また、用語「塩」には双性イオン分子(内塩)が含まれうるが、それは例えば、式IからIIIの化合物がアミンまたはピリジンまたはイミダゾール環のような塩基性部分と、カルボン酸のような酸性部分の両方を含む場合である。医薬的に許容される(すなわち、無毒性、生理的に許容される)塩が好まれ、それは例えば、そのカチオンが塩の毒性または生物活性に対して有意に寄与しないような、許容される金属およびアミン塩である。しかしながら、他の塩も、例えば単離段階または精製段階において有用でありうるし、製造の間用いられてもよく、したがって本発明の範囲内であると意図される。式IからIIIの化合物の塩は、例えば、塩が沈殿するような溶媒中、または後に凍結乾燥する水性溶媒中で、式IからIIIの化合物にある量の酸または塩基、例えば当量を反応させることによって形成されうる。
【0061】
酸付加塩の例には、酢酸塩(酢酸またはトリハロ酢酸、例えばトリフルオロ酢酸で形成されるもの)、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩(camphorsulfonates)、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコへプタン酸塩(glucoheptanoates)、グリセロリン酸塩、ヘミスルファート(hemisulfates)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩(塩酸で形成)、臭化水素酸塩(臭化水素で形成)、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩(マレイン酸で形成)、メタンスルホン酸塩(メタンスルホン酸で形成)、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ペクチン酸塩(pectinates)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩(例えば硫酸で形成されるもの)、スルホン酸塩(例えば本明細書中で言及されるもの)、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩のようなトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩などが含まれる。
【0062】
塩基性塩の例には、アンモニウム塩;ナトリウム、リチウム、およびカリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;バリウム、亜鉛、およびアルミニウム塩;トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェンアミン(1-ephenamine)、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、デヒドロアビエチルアミン(dehydroabietylamine)、N−エチルピペリジン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、または類似する医薬的に許容されるアミンのような有機塩基(例えば、有機アミン)との塩;並びにアルギニン、リシンのようなアミノ酸の塩などが含まれる。塩基性窒素含有基は、低級アルキルハライド(例えば、塩化、臭化、およびヨウ化物のメチル、エチル、プロピル、およびブチル)、硫酸ジアルキル(例えば、硫酸化物のジメチル、ジエチル、ジブチル、およびアミル)、長鎖ハライド(例えば、塩化、臭化、およびヨウ化物のデシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリル)、アラルキルハライド(例えば、臭化物のベンジルおよびフェネチル)などのような試薬で四級化されうる。好ましい塩には、一塩酸、硫酸水素、メタンスルホン酸、リン酸、または硝酸の塩が含まれる。
【0063】
式IIおよびIIIの化合物のプロドラッグおよび溶媒和化合物もまた意図される。用語「プロドラッグ」とは、患者への投与において、代謝過程または化学過程によって化学的変換を受けて式IIまたはIIIの化合物、並びに/あるいはその塩および/または溶媒和化合物を生ずる化合物をいう。例えば、カルボキシ基を含む化合物は、プロドラッグとして役立つ生理的に加水分解可能なエステルを形成し、体内で加水分解されることによって、自ら式IIまたはIIIの化合物を生じうる。このようなプロドラッグは、好ましくは経口的に投与されるが、それは多くの場合、加水分解は消化酵素の影響の下で主に起こるからである。非経口投与は、エステル自身が活性である場合、または血液中で加水分解が起こるような場合に用いられうる。式IIおよびIIIの化合物の、生理的に加水分解可能なエステルの例には、C1−6アルキルベンジル、4−メトキシベンジル、インダニル、フタリル、メトキシメチル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル(例えばアセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、またはプロピオニルオキシメチル)、C1−6アルコキシカルボニルオキシ−C1−6アルキル、(例えばメトキシカルボニル−オキシメチルまたはエトキシカルボニルオキシメチル)、グルシルオキシメチル、フェニルグルシルオキシメチル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル、並びに、例えばペニシリンおよびセファロスポリンの技術分野において用いられる他の周知な生理的に加水分解可能なエステルが含まれる。このようなエステルは、当該技術分野で公知の通常の技術によって製造されうる。
【0064】
式IからIIIの化合物およびその塩は互変異性型で存在しうるが、その中で水素原子はその分子の他の部分へと転位され、その結果としてその分子の原子間の化学結合が再配置される。存在しうる限りにおいて、すべての互変異性型が本発明の中に含まれると理解されるべきである。ジアステレオマーの生成物が製造される場合、通常の方法、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶によって分割されうる。式IからIIIの化合物は、遊離型または水和型でありうる。
【0065】
式IIおよびIIIの化合物もまたプロドラッグ型を有しうる。インビボで変換されて生物活性薬剤(すなわち、式IIの化合物)を与えるいずれの化合物も、本発明の範囲内および精神であるプロドラッグである。
【0066】
プロドラッグの様々な型は、当該技術分野で周知である。このようなプロドラッグ誘導体の例として、以下を参照せよ(それらのそれぞれは本明細書中に引用される):
a)H. Bundgaardによって出版されたDesign of Prodrugs, (Elsevier, 1985)、および、K. Widder, et al.によって出版されたMethods in Enzymology, Vol. 112, pp. 309-396, (Academic Press, 1985);
b)Krosgaard-LarsenおよびH. Bundgaardによって出版されたA Textbook of Drug Design and Development, Chapter 5, 「Design and Application of Prodrugs」, by H. Bundgaard, pp. 113-191 (1991);並びに
c)H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, Vol. 8, pp. 1-38 (1992)。
【0067】
式IIおよびIIIの化合物の溶媒和化合物(例えば、水和物)もまた、本発明の範囲内であることがさらに理解されるべきである。溶媒和の方法は、当該技術分野で一般に公知である。
【0068】
本発明は、式II:
【化12】

によって表されるスピロ−ヒダントイン化合物、またはその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグの製造方法を提供する。本方法は、極性溶媒の存在下、式(I):
【化13】

[式中、
LおよびKは独立して、OまたはSであり;
Zは、NまたはCR4bであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
Gは、結合、−O−、−S−、−NR、C1−3アルキレン、C1−3の置換アルキレン、二価のアルコキシ、チオアルキル、アミノアルキル、スルホニル、スルホンアミジル、アシル、またはアルコキシカルボニルであり;
は、水素、アルキル、または置換アルキルであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、OR12、NR1213、C(=O)R12、−CO12、−C(=O)NR1213、−NR12C(=O)R13、−NR12C(=O)OR13、−S(O)13a、−NR12SO13a、−SONR1213、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
4a、R4b、およびR4cは独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ニトロ、シアノ、−SR14、−OR14、−NR1415、−NR14C(=O)R15、−CO14、−C(=O)R14、−C(=O)NR1415、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、および/または置換ヘテロアリールであり;
12、R13、R14、およびR15は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、および/または置換ヘテロシクロであり;あるいは(ii)R12はR13とともに、またはR14はR15とともにヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、または置換ヘテロシクロ環を形成し;
13aは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、または置換ヘテロシクロであり;並びに
pは1または2である]
のアルケン化合物を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)グリシンまたはグリシンエステル
に接触させて、前記置換スピロ−ヒダントイン化合物(II)、またはその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグを得ることを特徴とする。
【0069】
アルケン出発物質のシスおよびトランス異性体間の変換を最小化するための非極性溶媒中、アルケン異性体への環付加が通常行われ、特定の立体化学の生成物が高収率で得られる。シスおよびトランス異性体間の変換は、ジアステレオマー混合物の形成をもたらす極性溶媒の存在下で起こりうる。スピロ−ヒダントイン化合物(II)を得るための環付加において、本発明者らは、非極性溶媒のみにおいてアルケン化合物(I)およびグリシンもしくはグリシンエステルの反応は、本反応が大量生産するようにスケールを調整されるので、スピロ−ヒダントインIIの収率を減少させることを発見していた。さらに、非極性溶媒のみにおける反応収率は、所定の反応の規模ではたいてい再現できなかった。しかしながら、極性溶媒の存在下において、本発明者らはアルケン化合物(I)およびグリシンの反応のスケールを調整して工業的に実行可能な方法を得ることができることを発見した。さらに本発明者らは、本環付加における極性溶媒の使用で、アルケン化合物(I)のトランス異性体からシス異性体への有意な異性化が起こらないことを意外にも発見していた。驚くべきことに、本環付加によって、トランス異性体のシス異性体への有意な異性化を起こさず、また目的のジアステレオマー生成物が付随して喪失せずに、パイロットプラントスケールにスケールアップしうる反応が提供されることが分かった。
【0070】
本発明の方法において、アルケン化合物(I)は少なくとも一つのメチレン前駆体化合物、およびグリシンもしくはグリシンエステルと接触される。メチレン前駆体化合物はメチレン基の原料として供給される。メチレン前駆体化合物は、例えばメチレン前駆体化合物の分解を通して直接的に、または後にメチレン基を形成する中間体化合物の形成を通して間接的にメチレン基を提供しうる。メチレン前駆体化合物の例には、例えば、ホルムアルデヒド、ジメトキシメタン、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、およびヘキサメチレンテトラミンが含まれる。ホルムアルデヒドは、例えば反応混合物中で泡立てられうる気体として、または水性のホルムアルデヒド溶液として提供されうる。好ましいメチレン前駆体化合物はヘキサメチレンテトラミンである。適当なグリシンエステルには、グリシンメチルエステルおよびグリシンエチルエステルのようなグリシンアルキルエステルが含まれる。グリシンは好ましい。
【0071】
もう一つの方法として、メチレン前駆体化合物およびグリシンもしくはグリシンエステル化合物は、メチレン前駆体化合物およびグリシンもしくはグリシンエステルの縮合物として提供されうる。メチレン前駆体化合物の適当な縮合物の例には:
【化14】

が含まれる。
【0072】
アルケン化合物(I)は、メチレン前駆体化合物、およびグリシンもしくはグリシンエステルをいずれの順で混合して接触させてもよく、例えば、アルケン化合物(I)をグリシンと混合して混合物を形成し、次いでメチレン前駆体化合物をその混合物に加えてもよい。アルケン化合物(I)、メチレン前駆体化合物、およびグリシンもしくはグリシンエステルは、反応の前に混合してもよく、あるいはもう一つの方法は、一つまたはそれ以上のこれらの成分を、反応の経過中に反応混合物に徐々に加えてもよい。
【0073】
反応は極性溶媒の存在下で行われる。本明細書中で用いられるように、「極性溶媒」とは少なくとも15の誘電率を有する溶媒をいう。好ましくは、極性溶媒は少なくとも30の誘電率を有する。適当な極性溶媒には、例えば、アセトン、アセトニトリル、1−ブタノール、2−ブタノール、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、イソブチルアルコール、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルエチルケトン、l−メチル−2−ピロリジノン、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラメチル尿素、またはその混合物が含まれる。好ましい極性溶媒には、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、l−メチル−2−ピロリジノン、またはその混合物が含まれる。より好ましい極性溶媒は、l−メチル−2−ピロリジノンである。一般に、反応は極性溶媒および非極性溶媒を含む溶媒混合物中で行われうる。本明細書中で用いられるように、「非極性溶媒」とは、15より小さい誘電率を有する溶媒をいう。好ましくは、非極性溶媒は10より小さな誘電率を有し、より好ましくは5より小さい。適当な非極性溶媒には、例えば、ベンゼン;トルエン;またはキシレン(オルト、メタ、パラ、またはその混合物);ヘキサン、へプタン、およびシクロヘキサンのようなアルカン類;並びに四塩化炭素およびクロロホルムのような塩素系溶媒が含まれる。非極性溶媒の混合物が用いられてもよい。適当な極性/非極性溶媒混合物の例には、重量に基づいて、非極性溶媒に対する極性溶媒の比率が約95:5から約5:95の範囲内、好ましくは約85:15から約45:55の範囲内、より好ましくは約75:25から約55:45の範囲内にあるものが含まれる。好ましい極性/非極性溶媒混合物は、重量に基づいて、約67:33の比率の1−メチル−2−ピロリジノンおよびトルエンである。
【0074】
本反応に適した反応温度には、約100℃から約160℃の範囲内にある温度が含まれる。本反応は、リガンドの有無を問わず水または金属塩のような合成添加剤の存在下で行われうる。好ましくは、本反応混合物中の水の量は最小化される。例えば、本反応は、反応混合物の重量に基づいて、3重量パーセントより小さく、好ましくは2重量パーセントより小さく、より好ましくは1重量パーセントより小さい量で含まれる反応混合物と共に行われうる。反応混合物における水の量を最小化する技術は当該技術分野で公知であり、反応を行う前に試薬および溶媒から水を除去することが含まれる。反応混合物中の水の量はカール・フィッシャー滴定によって決定されうる。反応の程度は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)または核磁気共鳴検出のような適当な技術によってモニターされうる。スピロ−ヒダントイン化合物(II)の適した収率の例には、約50重量パーセントより大きく、好ましくは約70重量パーセントより大きく、より好ましくは約85重量パーセントより大きいものが含まれる。
【0075】
本発明の方法は、式IIのスピロ−ヒダントイン化合物および、適宜、式IIのスピロ−ヒダントイン化合物のアミナールを提供する。アミナールは構造:
【化15】

を有し、その中でR’およびR”は置換基を表す。適宜R’およびR”は結合して環形成しうる。ある態様において、アミナールは式IIのスピロ−ヒダントイン化合物のアミナール二量体であり、それは二つの環状アミン間のメチレン架橋によって結合される2分子の式IIのスピロ−ヒダントイン化合物の間で形成される。式IIのスピロ−ヒダントイン化合物のアミナール二量体の例には、式IVa:
【化16】

のラセミ体のアミナール二量体、および式IVb:
【化17】

のメソ体のアミナール二量体が含まれる。反応の終了後、反応混合物はスピロ−ヒダントイン化合物(II)およびスピロ−ヒダントイン化合物(II)の一つもしくはそれ以上のアミナールの混合物を含みうる。アミナールは、塩酸、臭化水素酸、硫酸、またはメタンスルホン酸のような酸の添加で反応混合物を酸性化することによって開裂され、より大きい収率でスピロ−ヒダントイン化合物(II)を与えうる。アミナール二量体を開裂させるもう一つの方法は、亜硫酸水素塩の添加である。もう一つの方法は、アミナールは、アミンまたはジアミン類、例えば、エチレンジアミン、N−メチルジアミン、またはプロピレンジアミンで処理することによって開裂しうる。前述の方法の組み合わせがアミナールを開裂するために用いられてもよい。スピロ−ヒダントイン化合物(II)は、反応混合物を約30℃より小さい温度に冷却し、反応混合物からスピロ−ヒダントイン化合物(II)をろ過することによって得られうる。結果として生じるスピロ−ヒダントイン化合物(II)は、塩として、例えば塩酸塩として得られ;あるいは有機溶媒および水でワークアップして、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を与えうる。
【0076】
本発明の方法は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、あるいはスピロ−ヒダントイン化合物(IIa):
【化18】

およびスピロ−ヒダントイン化合物(IIb):
【化19】

によって表されるスピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーを製造するために有用である。
【0077】
本発明の方法には、スピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーを分割して、式IIaおよびIIbによって表される個々のエナンチオマーを得る段階が適宜含まれうる。スピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーは、当該技術分野で公知の様々な方法、例えば、古典的な分割、擬似移動床(simulating moving bed)またはHPLCのようなキラルクロマトグラフィーによる分割、あるいは酵素分割によってラセミ体混合物から分割されうる。これらに限らないが、ある態様において、スピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーは、スピロ−ヒダントイン化合物(II)のラセミ体混合物をエナンチオマーの酸に接触させることによって分割される。エナンチオマーの酸の例には、酒石酸;(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸、(+)−ジ−p−ベンゾイル−D−酒石酸、(+)−ジ−p−o−トルオイル−D−酒石酸、これらの酸のエナンチオマー、またはその混合物のようなO置換酒石酸が含まれる。好ましいのは(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸である。本態様において、スピロ−ヒダントイン化合物(II)のラセミ体混合物は、メチル第三ブチルエーテル、塩化メチレン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、またはその混合物のような適当な溶媒中の混合物として与えられ、エナンチオマーの酸に接触される。結果として生じる混合物には種晶が入れられ、冷却されてスピロ−ヒダントイン化合物(II)のエナンチオマーおよびその対応するエナンチオマーの酸によって形成される塩の結晶を析出させる。好ましくは、そのエナンチオマーは、メタノールのようなアルコール、水、またはその組み合わせの存在下で結晶化させることによって分割される。エナンチオマーIIaまたはエナンチオマーIIbは、後の反応において試薬として用いられてもよく、その反応は例えば、式IIIの置換スピロ−ヒダントイン化合物の特定のエナンチオマーの製造である。
【0078】
ある態様において、本発明の方法には、式IIのスピロ−ヒダントイン化合物を反応させて式III:
【化20】

[式中、
Ar、G、K、L、Z、R、R4a、およびR4cは本明細書中上記で定義されたものであり;
は、結合、C1−2アルキレン、またはC2−3アルケニレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO−、−SONR16−、−CO−、または−NR16CO−であり;
は、結合、C1−3アルキレン、C2−3アルケニレン、−C1−4アルキレン−NR16−、−C1−4アルキレン−NRC(=O)−、−C1−4アルキレン−S−、−C1−4アルキレン−SO−、または−C1−4アルキレン−O−であり、その中でAアルキレン基は分枝鎖または直鎖の、適宜置換されたアルキレンであり;並びに
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロ、またはシクロアルキルであるが、但しA、Q、およびAがそれぞれ結合であるときにはR16は水素でない]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物を得る段階が含まれる。本態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、ハロゲンを含む化合物X−A−Q−A−R16
[式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素のようなハロゲンである]
に接触させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)を得ることによって製造されうる。好ましくは、Xは臭素である。本反応は、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、またはジメチルスルホキシドのような適当な溶媒中で行われる。本反応の典型的な反応温度は、約0℃から約30℃の範囲にある。本反応は、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはピリジンのような有機塩基の合成添加剤の存在下で行われうる。反応の程度は、高圧液体クロマトグラフィーのような適当な技術によってモニターされうる。反応の終了後、反応混合物は30℃以下まで冷却され、ろ過されて置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)が得られうる。
【0079】
任意の段階において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)は式IIIaおよびIIIb:
【化21】

で表される分割エナンチオマーへと分割されうる。
【0080】
さらなる態様において、本発明の方法は、以下の方法によって式IIIaまたはIIIbによって表されるエナンチオマーの一つを製造するために用いられうる:
a)極性溶媒の存在下、アルケン化合物(I)を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)グリシンまたはグリシンエステル
に接触させて、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および適宜、スピロ−ヒダントイン化合物(II)のアミナール二量体を得;
b)適宜、存在するならスピロ−ヒダントイン化合物(II)のアミナール二量体を開裂させて、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を得;
c)スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)およびスピロ−ヒダントイン化合物(IIb)へと分割させ;並びに
d)スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIb)を、ハロゲンを含む化合物、X−A−Q−A−R16に接触させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIa)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIb)をそれぞれ得る。
【0081】
別の態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、還元剤の存在下でアルデヒドを含む化合物、HC(O)−Q−A−R16に接触させて、Aがメチレン基である置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)を得ることによって製造されうるが、それは式(IIIc):
【化22】

[式中、A、Ar、G、K、L、Q、R、R4a、R4c、R16、およびZは、本明細書中、上記で定義される]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物によって表される。適当な還元剤の例には、これらに限らないが、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、およびボラン−ピリジン複合体が含まれる。還元剤は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、アルデヒドを含む化合物に接触させる前、その間、またはその後に、反応混合物に加えられうる。その反応は、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸イソプロピル、イソプロパノール、またはジメチルスルホキシドのような適当な溶媒中で行われる。本反応の典型的な反応温度は、約0℃から約30℃の範囲にある。本反応は、例えば、酢酸、安息香酸、またはプロピオン酸のような有機酸の合成添加剤の存在下で行われうる。反応の程度は、高圧液体クロマトグラフィーのような適当な技術によってモニターされうる。反応の終了および適当なワークアップ後、反応混合物は30℃以下まで冷却され、ろ過されて置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIc)が得られうる。
【0082】
任意の段階において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIc)は式IIIdおよびIIIe:
【化23】

で表される分割エナンチオマーへと分割されうる。
【0083】
さらに別の態様において、本発明の方法は、以下の方法によって式IIIdまたはIIIeによって表されるエナンチオマーの一つを製造するために用いられうる:
a)極性溶媒の存在下、アルケン化合物(I)を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)グリシンまたはグリシンエステル
に接触させて、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および適宜、スピロ−ヒダントイン化合物(II)のアミナール二量体を得;
b)適宜、存在するならスピロ−ヒダントイン化合物(II)のアミナール二量体を開裂させて、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を得;
c)スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)およびスピロ−ヒダントイン化合物(IIb)へと分割させ;並びに
d)スピロ−ヒダントイン化合物(IIa)またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIb)を、アルデヒドを含む化合物、HC(O)−Q−A−R16に接触させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIId)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIe)をそれぞれ得る。
【0084】
別の態様において、本発明の方法は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および適宜、式(III):
[式中、
ZはCR4bであり;
KはOであり;
LはOであり;および
Ar、G、R、R4a、R4c、A、A、Q、およびR16は、本明細書中、上記で定義される]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造に対して行われる。本態様のスピロ−ヒダントイン化合物(II)は、式IIf:
【化24】

を有し;
本態様の置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)は、式IIIf:
【化25】

を有する。スピロ−ヒダントイン化合物(IIf)は、適宜分割されてスピロ−ヒダントイン化合物(IIg):
【化26】

またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIh):
【化27】

を与えうる。
【0085】
スピロ−ヒダントイン化合物(IIg)または(IIh)は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIg):
【化28】

または置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIh):
【化29】

をそれぞれ製造するために用いられうる。
【0086】
もう一つの別の態様において、本発明の方法は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および適宜、式(III):
[式中、
ZはCR4bであり;
KはOであり;
LはOであり;
Arはアリールまたは置換アリールであり;
Gは結合、C1−3アルキレン、またはC1−3置換アルキレンであり;
はアルキルまたは置換アルキルであり;並びに
4a、R4c、A、A、Q、およびR16は、本明細書中、上記で定義される]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造に対して行われる。
【0087】
さらに異なる態様において、本発明の方法は、スピロ−ヒダントイン化合物(II)、および適宜、式(III):
[式中、
ZはCR4bであり;
4bはHまたは低級アルキルであり;
KはOであり;
LはOであり;
Arは置換アリールであり;
Gは結合、メチレンであり;
はアルキルまたは置換アルキルであり;
4aはF、Cl、またはBrであり;
4cはF、Cl、またはBrであり;
はアルキレンであり;
は結合であり;
Qは結合であり;並びに
16はヘテロシクロまたは置換ヘテロシクロである]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造に対して行われる。
【0088】
好ましい態様において、本発明の方法は式IIIm:
【化30】

を有する置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造に対して行われる。
【0089】
本態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIm)は以下の方法によって製造される:
a)メチレン前駆体化合物およびグリシンもしくはグリシンエステルを式(Ia):
【化31】

のアルケン化合物と反応させて、式(IIc):
【化32】

のスピロ−ヒダントイン化合物、並びに適宜、式(IVa):
【化33】

および/または、式(IVb):
【化34】

のスピロ−ヒダントイン化合物(IIc)の一つまたはそれ以上のアミナール二量体を得、
b)適宜、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)の一つまたはそれ以上のアミナール二量体を開裂させて、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)を得、
c)還元剤の存在下、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)を5−ホルミルチオフェン−3−カルボン酸メチルと反応させて、式(IIIi):
【化35】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物を得、並びに
d)置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIi)のメチルエステルを加水分解して、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIm)を得る。さらに、本態様の方法には、段階cの前に、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)のエナンチオマーを分割して、スピロ−ヒダントイン化合物(IId)および(IIe):
【化36】

を得る段階が含まれ、次いで段階cにおいて、スピロ−ヒダントイン化合物(IId)またはスピロ−ヒダントイン化合物(IIe)を5−ホルミルチオフェン−3−カルボン酸メチルと反応させて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIi)の各エナンチオマーが得られうる。段階dにおいて、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIi)のエナンチオマーのメチルエステルは加水分解に付され、IIInまたはIIIp:
【化37】

のエナンチオマーによって表される、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIm)の各エナンチオマーを得る。
【0090】
もう一つの方法は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIi)は、メチルエステルの加水分解前に、分割して置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIi)の目的のエナンチオマーを得て、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)または(IIIp)が得られうる。本態様の方法は、化合物(IIc)の(5S,9R)エナンチオマーから、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸を製造するために適している。
【0091】
化合物(Ia)は、4−シアノベンズアルデヒドを式IV:
【化38】

の化合物に接触させることによって製造しうる。
【0092】
本発明の方法のために、出発物質は市販品として入手可能であり、または当業者によって容易に製造されうる。溶媒、温度、圧力、目的の化学基を有する出発物質、および他の反応条件は、当業者によって必要に応じて容易に選択されうる。本方法はスケールアップされ、例えば量産設備において、スピロ−ヒダントイン化合物(II)または置換スピロ−ヒダントイン化合物(III)もしくはIIIaを大量に製造しうる。
【0093】
5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸、並びにその溶媒和化合物および塩
本発明は、少なくとも一部において、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn))、その塩および溶媒和化合物の結晶形を提供する。
【0094】
本明細書中で用いられるように、「多形」とは、同一の化学組成を有するが、結晶を形成する分子、原子、および/またはイオンの異なった空間配置を有する結晶形をいう。
【0095】
本明細書中で用いられるように、「溶媒和化合物」とは、結晶格子構造の中に組み込まれる溶媒分子をさらに含む分子および/またはイオンの結晶形をいう。溶媒和化合物中の溶媒分子は、規則的配置および/または非規則的配置で存在しうる。溶媒和化合物は、量論溶媒分子量または非量論溶媒分子量を含みうる。例えば、非量論溶媒分子量の溶媒和化合物は、溶媒和化合物から溶媒が一部喪失した結果生じうる。溶媒分子は、結晶格子構造の中で一分子より多くの溶媒を含む二量体またはオリゴマーとして生じうる。
【0096】
本明細書中で用いられるように、「実質的に純粋」は、結晶形に関連して用いられる場合に、化合物の重量に基づいて、90重量パーセント以上の純度を有する化合物を意味し、90、91、92、93、94、95、96、97、98、および99重量パーセント以上が含まれ、化合物の約100重量パーセントに等しいものもまた含まれる。残りの物質には、化合物の他の形態、並びに/あるいは反応不純物および/またはその製造で生じる製造不純物が含まれる。例えば、化合物の結晶形は、化合物の結晶形の90重量パーセント以上の純度を有する場合に実質的に純粋であると見なされうるが、それは残りの10重量パーセントより少ない物質には、化合物の他の形態、並びに/あるいは反応不純物および/または製造不純物が含まれるという、当該技術分野において現時点で公知であり一般に受け入れられている方法によって測定されるからである。反応不純物および/または製造不純物の存在は、当該技術分野で公知の分析技術によって決定され、それは例えば、クロマトグラフィー、核磁気共鳴法、質量分析、または赤外分光法でありうる。
【0097】
本明細書中で用いられるように、単位格子パラメータ「分子/単位格子」とは、単位格子中の化合物の分子数をいう。
【0098】
結晶形のサンプルは、実質的に純粋な均一相で与えられうるが、それは一つの多形が優勢な量存在し、適宜、一つまたはそれ以上の他の多形が少量存在することを示す。サンプル中の一つより多い多形の存在は、粉末X線回折(XRPD)または固体核磁気共鳴法のような技術によって決定されうる。例えば、実験で測定されたXRPDパターンとシミューレーションされたXRPDパターンの比較において、余分なピークの存在によって、サンプル中の一つより多くの多形の存在が示唆されうる。シミューレーションされたXRPDは、単一の結晶X線データから計算されうる。Smith, D.K., "A FORTRAN Program for Calculating X-Ray Powder Diffraction Patterns," Lawrence Radiation Laboratory, Livermore, California, UCRL-7196 (April 1963)を参照。好ましくは、結晶形は、シミューレーションされたXRPDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定されたXRPDパターンが、全ピーク面積の10%より小さく、好ましくは5%より小さく、より好ましくは2%より小さく示される実質的に純粋な均一相を有する。最も好ましいのは、シミューレーションされたXRPDパターンにはない余分なピークから生じる実験で測定されたXRPDパターンが、全ピーク面積の1%より小さい実質的に純粋な均一相を有する結晶形である。
【0099】
結晶形の製造の手順は、当該技術分野で公知である。結晶形は様々な方法によって製造されうるが、それには、例えば、適当な溶媒からの結晶化または再結晶化、昇華、融解からの成長、固体以外から固体への状態変換、超臨界流体からの結晶化、および噴射スプレーが含まれる。溶媒混合物からの結晶形の結晶化または再結晶化のための技術には、例えば、溶媒の蒸発、溶媒混合物の温度の低下、分子および/または塩の過飽和溶媒混合物への種晶の付加、溶媒混合物の凍結乾燥、および溶媒混合物への貧溶媒(countersolvents)の付加が含まれる。ハイスループット結晶化技術は、多形を含む結晶形の製造に用いられうる。
【0100】
多形を含む薬物の結晶、製造方法、および薬物の結晶のキャラクタリゼーションは、Solid-State Chemistry of Drugs, S. R. Byrn, R.R. Pfeiffer, and J.G. Stowell, 2nd Edition, SSCI, West Lafayette, Indiana (1999)において議論される。
【0101】
溶媒を用いる結晶化技術のために、溶媒の選択は一般に一つまたはそれ以上の因子に依存し、その因子は例えば、化合物の溶解度、結晶化技術、および溶媒の蒸気圧である。溶媒は組み合わせて用いてもよく、例えば、化合物は第一の溶媒の中に可溶化されて溶液を得、続いて貧溶媒の付加によって溶液中の化合物の溶解度を減少させ、結晶の形成が得られうる。貧溶媒は、化合物が低溶解度を有する溶媒である。結晶を製造するための適当な溶媒には、極性および非極性溶媒が含まれる。結晶化のための溶媒の例には、例えば、メシチレン、シス−デカリン、p−キシレン、m−キシレン、トルエン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、テトラクロロエテン、ベンゼン、n−デカン、n−ドデカン、二硫化炭素、ブチルアミン、ジエチルエーテル、メチル第三ブチルエーテル、トリエチルアミン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、アニソール、o−ジクロロベンゼン、ギ酸エチル、トリクロロエテン、安息香酸メチル、ヨードベンゼン、クロロベンゼン、エタン酸メチル、ジメチルジスルフィド、1,1−ジクロロエタン、フルオロベンゼン、エチルフェニルエーテル、酢酸エチル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1−ヨードブタン、1,1,1−トリクロロエタン、エタン酸プロピル、ジエチルスルフィド、ジクロロメタン、エタン酸ブチル、メタン酸メチル、ブロモホルム、ジブロモメタン、m−クレゾール、2−メトキシエタノール、1−ブタノール、プロパン酸、モルフォリン、2−メチル−2−プロパノール、ペンタン酸、酢酸、2-プロパノール、1−プロパノール、1−オクタノール、エタノール、メチルエチルケトン、2,4−ジメチルピリジン、アセトフェノン、2,6−ジメチルピリジン、3−ペンタノン、2−ペンタノン、4−メチルピリジン、アセトン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピロリジノン、ピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゾニトリル、プロパンニトリル、アセトニトリル、ブタンニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、アニリン、ベンジルアルコール、ギ酸、エチレングリコール、メタノール、ジエチルアミン、ジヨードメタン、グリセロール、水、ホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、t−酢酸ブチル、ヘキサクロロアセトン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、およびヘキサメチルホスホラミド、2−ブタノール、t−ブチルアルコール、2−ニトロエタノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2−エトキシエタノール、ネオペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、シクロヘキサノール、およびフェノール、ジエチレングリコール、1−、2−、または3−ペンタノール、2−メチル−l−プロパノール、2−ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、およびメチルt−ブチルエーテルが含まれる。
【0102】
結晶を製造するための一つの方法において、化合物は適当な溶媒の中で懸濁および/または撹拌されてスラリーを得るが、それは加熱されて溶解を促進しうる。用語「スラリー」は、本明細書中で用いられるように、化合物の飽和溶液を意味し、それはまた化合物の付加的な量を含み、所定の温度で化合物および溶媒の不均一な混合物が得られうる。
【0103】
種晶はいずれの結晶化混合物にも加えられ、結晶化を促進しうる。種晶の添加は、特定の多形の成長を調節し、または結晶性生成物の粒子サイズ分布を調節するのに用いてもよい。したがって、必要な種晶の量の計算は、利用できる種晶のサイズおよび平均的な生成物粒子の目的のサイズに依存し、これは例えば、「Programmed Cooling of Batch Crystallizers」, J. W. Mullin and J. Nyvlt, Chemical Engineering Science, 1971,26,369-377に記載されている。一般に、小さなサイズの種晶は、バッチにおける結晶の成長を効果的に調節するのに必要である。小さなサイズの種晶は、大きな結晶のふるい分け、粉砕、または微粉化、あるいは溶液の微結晶化によって生成しうる。結晶の粉砕または微粉化は、目的の結晶形を形成する結晶化度においていずれの変化(すなわち、アモルファスまたは別の多形への変化)ももたらさないことに注意を払うべきである。
【0104】
冷却された結晶化混合物は真空下でろ過されてもよく、単離された固体は適当な溶媒、例えば冷却した再結晶溶媒で洗浄してもよく、窒素でパージしながら乾燥して目的の結晶形を得てもよい。単離された固体は、適当な分光学的技術または分析技術、例えば、固体核磁気共鳴法、示差走査熱量測定、X線粉末回折などによって分析し、生成物の好ましい結晶形の形成を確かめてもよい。結果として生じる結晶形は、本来結晶化の手順において用いられる化合物の重量に基づいて、単離収率約70重量パーセント、好ましくは単離収率90重量パーセント以上の量で、典型的には製造される。生成物は、必要であればともに粉砕され、または網目スクリーンを通過して生成物を粉々にしてもよい。
【0105】
結晶形は、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)を製造するための最終段階の反応系から直接製造されうる。これは、例えば置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)が結晶化されうる溶媒または溶媒混合物を、本方法の最終段階で用いることによって達成されうる。もう一つの方法として、結晶形は蒸留または溶媒付加技術によって得られうる。この目的のための適当な溶媒には、例えば前述の非極性溶媒および極性溶媒、並びにアルコールのようなプロトン性極性溶媒、およびケトンのような非プロトン性極性溶媒が含まれる。
【0106】
本発明の一つの態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)の結晶形が与えられる。本結晶形は優先的に無溶媒の結晶であり、本明細書中「N−1」型として示され、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)および/またはその双性イオンが含まれる。
【0107】
ある態様において、N−1結晶形は、その結晶形が約+22℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0108】
異なる態様において、N−1結晶形は、約22℃の温度において、7.3、8.5、8.8、13.1、13.7、15.4、および17.0から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。好ましくは、N−1結晶形は、約22℃の温度において、7.3、8.5、8.8、13.1、13.7、15.4、および17.0から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。
【0109】
さらに異なる態様において、N−1結晶形は、実質的に表3に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0110】
さらなる態様において、N−1結晶形は、その結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0111】
またさらなる態様において、N−1結晶形は、約−50℃の温度において、7.9、8.5、8.8、13.1、15.4、17.0、および17.1から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。好ましくは、N−1結晶形は、約−50℃の温度において、7.9、8.5、8.8、13.1、15.4、17.0、および17.1から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。
【0112】
別の態様において、N−1結晶形は、実質的に表4に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0113】
本発明の異なる態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)の結晶形が与えられる。本結晶形は無溶媒の結晶であり、本明細書中「T1E.5−2」型として示され、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)および/またはその双性イオンが含まれる。
【0114】
ある態様において、T1E.5−2結晶形は、その結晶形が約90℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0115】
本発明のさらに異なる態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)のメタンスルホン酸塩の結晶形が与えられる。本結晶形は、メタンスルホン酸および置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)間で形成される塩であり、それは本明細書中「MSA」型として示される。
【0116】
ある態様において、MSA型は、その結晶形が約+22℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0117】
異なる態様において、MSA型は、約22℃の温度において、7.1、9.3、10.6、14.1、17.0、21.1、24.8、および28.6から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。好ましくは、MSA型は、約22℃の温度において、7.1、9.3、10.6、14.1、17.0、21.1、24.8、および28.6から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。
【0118】
さらに異なる態様において、MSA型は、実質的に表6に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0119】
本発明の別の態様において、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)の塩酸塩の結晶形が与えられる。本結晶形は、塩酸塩および置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)間で形成される塩であり、それは本明細書中「HCl」型として示される。
【0120】
ある態様において、HCl結晶形は、前記結晶形が約+22℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0121】
異なる態様において、HCl結晶形は、約22℃の温度において、9.7、12.8、14.1、14.5、18.6、19.0、21.4、23.8、および26.7から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。好ましくは、HCl結晶形は、約22℃の温度において、9.7、12.8、14.1、14.5、18.6、19.0、21.4、23.8、および26.7から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。
【0122】
さらに異なる態様において、HCl結晶形は、実質的に表5に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0123】
本発明のさらなる態様において、適宜溶媒を含む結晶形が与えられる。これらの型には、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)またはその双性イオンの溶媒和化合物が含まれる。ある態様において、これらの型は、下表

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられ、適宜、溶媒を含む。さらなる態様において、本結晶形にはさらに溶媒が含まれ、その中で溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、またはテトラヒドロフランである。またさらなる態様において、本結晶形には、2分子の非対称ユニットの置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)またはその双性イオン、および一分子の前記溶媒が含まれる。これらの結晶形は、前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0124】
本発明の異なる態様において、4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルが与えられる。本結晶形は、本明細書中「IPA−1」として示され、それはスピロ−ヒダントイン化合物(IIc)およびイソプロパノールを含む。
【0125】
ある態様において、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)のIPA−1結晶形は、前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0126】
異なる態様において、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)のIPA−1結晶形は、実質的に表19に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0127】
本発明のさらに異なる態様において、4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチル−2,4−ジオキソ−l,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルが与えられる。
【0128】
ある態様において、メソ体のアミナール二量体の化合物(IVb)、およびメチル第三ブチルエーテルを含む結晶形が与えられ、それは本明細書中「MTBE2−1」型として示される。本結晶形には、1分子の非対称ユニットの化合物(IVb)および2分子のメチル第三ブチルエーテル溶媒が含まれる。
【0129】
異なる態様において、MTBE2−1結晶形は、前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0130】
さらに異なる態様において、メソ体のアミナール二量体のMTBE2−1結晶形は、約−50℃の温度において、8.0、9.8、11.4、16.3、17.3、20.0、および23.5から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。好ましくは、MTBE2−1結晶形は、約−50℃の温度において、8.0、9.8、11.4、16.3、17.3、20.0、および23.5から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。
【0131】
さらに異なる態様において、メソ体のアミナール二量体のMTBE2−1結晶形は、実質的に表21に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0132】
さらなる態様において、ラセミ体のアミナール二量体の化合物(IVa)、およびアセトニトリルを含む結晶形が与えられ、それは本明細書中「AN1.5−1」型として示される。本結晶形には、1分子の非対称ユニットの化合物(IVa)および2分子のメチル第三ブチルエーテル溶媒が含まれる。
【0133】
またさらなる態様において、AN1.5−1結晶形は、前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられうる。
【0134】
別のさらなる態様において、ラセミ体のアミナール二量体のAN1.5−1結晶形は、約−50℃の温度において、5.0、9.4、11.4、12.1、18.8、21.2、22.3、および26.8から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。好ましくは、AN1.5−1結晶形は、約−50℃の温度において、5.0、9.4、11.4、12.1、18.8、21.2、22.3、および26.8から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられうる。
【0135】
異なる態様において、アミナール二量体のAN1.5−1結晶形は、実質的に表22に記載される原子座標の分画によって特徴づけられうる。
【0136】
有用性
本発明の方法を含めて、いずれの方法によっても製造される式IIInの結晶形、並びにその塩および溶媒和化合物は、LFA−1、Mac−1および/またはICAMの、アンタゴニストおよび/またはインヒビターである。また、式IIIによって一般に記載される本発明の方法を通して製造される置換スピロ−ヒダントイン、並びにその塩および溶媒和化合物は、LFA−1、Mac−1および/またはICAMの、アンタゴニストおよび/またはインヒビターである。いずれの方法によっても製造される式IIInの結晶形(並びにその塩および溶媒和化合物)と、本発明の方法によって製造される置換スピロ−ヒダントイン化合物(並びにその塩および溶媒和化合物)の両方の前記化合物は、「化合物」またはその「発明の化合物」として以下に示される。
【0137】
本発明の化合物は、LFA−1、Mac−1、および/またはICAM、特にLFA−1:ICAM−1の作用に関連する様々な炎症性疾患および炎症性障害の治療において有用性を有する。用語「ロイコインテグリン/ICAM関連症状」は、LFA−1、Mac−1、および/またはICAM−1、ICAM−2、もしくはICAM−3の作用または量に関連するこれらの疾患または障害を示しやすくするために本明細書中で用いられる。本明細書中で用いられるように、用語「治療(処置)」には、予防および治療上の使用が含まれ、従って患者におけるロイコインテグリン/ICAM関連症状の病状の軽減、このような症状に関連する確認可能な測定の改善、あるいはこのような症状またはその徴候の予防が含まれる。用語「患者」とは哺乳類、好ましくはヒトをいう。
【0138】
これらの阻害活性を考慮して、本発明の化合物は、T細胞および/または白血球の活性化、相互刺激、または浸潤を含む症状を治療するために用いられ得、これらに限定されないが、皮膚、腹膜、滑膜、肺、腎臓、および心臓における白血球の流入を含む症状が含まれる。これらの化合物は、患者における特異的または非特異的免疫系の応答の結果として生じる症状を治療するために用いられうる。
【0139】
本発明の化合物で治療されうるロイコインテグリン/ICAM関連症状には、急性または慢性移植片対宿主反応(例えば、同種膵島移植(pancreatic islet allograft));並びに急性または慢性移植片拒絶反応(例えば、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓、骨髄、角膜、小腸閉塞、皮膚同種移植、皮膚同種移植片、異種移植片、および/またはそのような器官に由来する細胞)が含まれる。また、これらの化合物は、これらに限らないが、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病(例えば、インスリン依存糖尿病または若年発症型糖尿病)、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎(pancreatis)(急性または慢性)、多臓器症候群(multiple organ injury syndrome)(例えば、敗血症または外傷の二次症状)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害(例えば、心肺バイパスまたは腎臓透析のため)、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷(すなわち日焼け)、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群(granulocyte transfusion associated syndrome)、および/またはシェーグレン症候群を含む炎症症状の治療に有効でありうる。
【0140】
本発明の化合物は、皮膚の炎症症状の治療に用いられうる。このような症状には、これらに限らないが、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんま疹、強皮症(schleroderma)、乾癬、および急性炎症成分を伴う皮膚病が含まれる。
【0141】
本発明の化合物はまた、アレルギーおよび呼吸器の症状の治療にも用いられうる。このような症状には、これらに限らないが、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸促迫症候群、およびいずれの慢性閉塞性肺疾患(COPD)も含まれる。
【0142】
本発明の化合物は、B型肝炎およびC型肝炎を含む肝炎感染の治療に有効でありうる。
【0143】
さらに、本発明の化合物は、自己免疫疾患および/または自己免疫疾患に関連する炎症の治療に有効でありうる。このような疾患には、これらに限らないが、器官組織自己免疫疾患(organ-tissue autoimmune disease)(例えば、レイノー症候群)、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(autoimmune polyglandular disease)(多腺性自己免疫症候群としても知られる)、およびグラーベ病(Grave's disease)が含まれる。
【0144】
本発明の化合物は、癌の治療において、転移の治療またはサイトカイン療法とともに毒性を最小化するための補助として有効でありうる。
【0145】
本発明の化合物は、多数の症状の治療に有効でありうる。これらの症状には、これらに限らないが、性腺機能低下症、虚弱、性機能不全、癌およびAIDSに関連する消耗症候群のような消耗、並びに貧血が含まれる。これらの化合物はさらに、これらに限らないが、乳房、脳、皮膚、卵巣、子宮内膜、膀胱、前立腺、肺、結腸、リンパ系、肝臓および腎臓の癌を含む癌の治療にも有用性を有する。他の症状には、これらに限らないが、多毛症、アクネ、脂漏症、脱毛症、子宮筋腫、過剰有毛(hyperpilosity)、カヘキシー、多嚢胞性卵巣症候群、食欲不振、避妊、退薬症候群、妊娠中絶、および良性前立腺肥大が含まれる。前記化合物はまた抗血管新生薬としても有効であり、並びにタンパク質プレニルトランスフェラーゼ、特にファルネシルトランスフェラーゼのインヒビター、および癌遺伝子タンパク質Rasのプレニル化のインヒビターとしても有効である。したがって、これらの化合物は、本明細書中に引用されるWO 01/45704において示される疾患および障害の治療および/または予防に有効でありうる。
【0146】
要約すれば、本発明の化合物は、急性または慢性移植片対宿主反応、急性または慢性移植片拒絶反応、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎(pancreatis)、多臓器症候群(multiple organ injury syndrome)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群(granulocyte transfusion associated syndrome)、シェーグレン症候群、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんま疹、強皮症(schleroderma)、乾癬、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸促迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、B型肝炎、C型肝炎、器官組織自己免疫疾患(organ-tissue autoimmune disease)、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患(autoimmune polyglandular disease)、およびグラーベ病(Grave's disease)の治療に特に有効でありうる。本発明の化合物は、急性または慢性移植片拒絶反応、リウマチ性関節炎、変形性関節症、糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患の治療にはより一層有効でありうる。
【0147】
抗炎症剤として用いられる場合は、本発明の化合物は炎症の発症前、炎症の開始時、炎症の開始後に投与されうる。予防的に用いられる場合は、これらの化合物はいずれの炎症反応または症状の前に(例えば、器官または組織移植よりも前、その時、またはその直後であるが器官の拒絶のいずれの症状の前に)与えられるのが望ましい。本化合物の投与は、炎症反応または炎症症状を予防または減弱しうる。
【0148】
本発明はまた、上記の疾患および障害を治療できる医薬組成物も提供する。本発明の化合物は他の治療剤を適宜含み、少なくとも一つの医薬的に許容される担体または希釈剤とともに製剤化されうる。このような製剤には、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って、例えば、通常の固体のベヒクルまたは液体のベヒクルあるいは希釈剤、並びに目的の投与の方法に適したタイプの医薬添加剤(例えば、賦形剤、結合剤、防腐剤、安定剤、香料など)が用いられうる。
【0149】
本発明の化合物は、治療されるべき症状に適したいずれの方法によっても投与され、それは部位特異的治療の必要性または運搬されるべき薬物の量に依存しうる。局所投与は一般に皮膚関連疾患に好まれ、他の薬物運搬方法も意図されるが、癌性症状または前癌性症状には全身性治療が好まれる。例えば、本化合物は、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、またはシロップを含む液体製剤の剤形のように経口的に運搬され;溶液、懸濁液、ゲル、または軟膏の剤形のように局所的に運搬され;舌下に運搬され;バッカルに運搬され;皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内の注入、あるいは点滴技術(例えば、無菌注射水または無菌注射非水溶液または無菌注射懸濁液)のような非経口的に運搬され;吸入スプレーのように経鼻に運搬され;クリームまたは軟膏の剤形のように局所的に運搬され;坐薬の剤形のように直腸に運搬され;あるいはリポソームで運搬されうる。無毒性の医薬的に許容されるベヒクルまたは希釈剤を含む製剤が投与されうる。本化合物は、即時放出または持続放出に適した剤形で投与されうる。即時放出または持続放出は適当な医薬組成物とともに成し遂げられ、あるいは特に持続放出の場合には、皮下移植片または浸透圧ポンプのようなデバイスで成し遂げられる。
【0150】
局所投与のための例示的な組成物には、プラスチベース(登録商標)(ポリエチレンとともにゲル化される鉱油)のような局所担体が含まれる。
【0151】
経口投与のための例示的な組成物には、例えば、容積を分け与えるための微結晶性セルロース、懸濁剤としてのアルギン酸またはアルギン酸ナトリウム、増粘剤としてのメチルセルロース、および当該技術分野で公知の甘味料または香料を含みうる懸濁剤が含まれ;例えば、微結晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、および/または乳糖、並びに/あるいは当該技術分野で公知の他の賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、希釈剤、および滑沢剤を含みうる即時放出錠剤が含まれる。本発明の化合物はまた、例えば、成形され、圧縮され、または凍結乾燥された錠剤で、舌下および/またはバッカルの投与によって経口的にも運搬されうる。例示的な組成物には、マンニトール、乳糖、ショ糖、および/またはシクロデキストリンのような速溶性の希釈剤が含まれうる。このような製剤には、セルロース(アビセル(登録商標))またはポリエチレングリコール(PEG)のような高分子量の賦形剤;ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(SCMC)、および/または無水マレイン酸共重合体(例えば、ガントレッツ(登録商標))のような粘膜付着を促進する賦形剤;並びにポリアクリル酸共重合体(例えば、カルボポール934(登録商標))のような放出を調節する薬剤もまた含まれうる。滑沢剤、流動促進剤、香料、着色料、および安定剤もまた、製造および使用を容易にするために加えられうる。
【0152】
エアゾールまたは吸入を経た経鼻投与のための例示的な組成物には、例えば、ベンジルアルコールまたは他の適当な防腐剤を含みうる溶液、吸収および/またはバイオアベイラビリティを増強する吸収促進剤、並びに/あるいは当該技術分野で公知の他の可溶剤または分散剤が含まれる。
【0153】
非経口投与のための例示的な組成物には、例えば、マンニトール、1,3−ブタンジオール、水、リンガー溶液、生理食塩液、あるいは他の適当な分散剤または湿潤剤および懸濁剤、並びに合成モノまたはジグリセリド、およびオレイン酸を含む脂肪酸のような、適当な無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒を含みうる注射液または懸濁剤が含まれる。
【0154】
直腸投与のための例示的な組成物には、例えば、カカオバター、合成グリセリドエステル、またはポリエチレングリコールのような適当な非刺激性賦形剤を含みうる坐薬が含まれ、それは常温では固体だが、直腸腔内では液化および/または溶解して薬剤を放出する。
【0155】
本発明の化合物の有効量は当業者によって決定され得、患者に対し1日あたり約0.05から100mg/キログラム(活性化合物/体重)の例示的な服用量が含まれ、それは単一用量、または1日あたり1回から4回のように個々の分割用量の形で投与されうる。いずれの特定の患者に対しても、特定の服用量および服用の頻度は変化しうるし、それは様々な要因に依存することが理解され、その要因には、用いられる特定の化合物の活性、その化合物の代謝的安定性および作用時間、生物種、年齢、体重、全般の健康状態、患者の性および食事、投与の方法および時間、排泄速度、混合薬、並びに治療しようとする特定の症状およびその重症度が含まれる。治療のために好ましい対象には、動物で、最も好ましいのはヒトのような哺乳類種、および犬、猫、馬などの家畜、ロイコインテグリン/ICAM関連症状の患者、並びに/または上記のいずれの疾患または障害の患者も含まれる。
【0156】
本発明の化合物および組成物は、単独あるいは、互いに組み合わせて、および/または上記の疾患および障害の治療に有効な他の適当な治療剤、例えば、本発明の化合物と同一または異なる作用機序を有する第二の薬剤と組み合わせて用いられうる。このような他の治療剤の例には、抗炎症剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗酸化剤、並びにCOPDおよび喘息のような呼吸器の症状の治療に用いられる薬剤が含まれる。
【0157】
本発明の化合物と共に用いられうる適当な他の抗炎症剤の例には、アスピリン、クロモリン、ネドクロミル、テオフィリン、ジロートン、ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、インドメタシン、およびリポキシゲナーゼインヒビター;非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)(例えばイブプロフェンおよびナプロキシン(naproxin));TNF−αインヒビター(例えばテニダップおよびラパマイシンあるいはその誘導体)、またはTNF−αアンタゴニスト(例えば、インフリキシマブ、エンブレル(登録商標)、D2E7、ORl384)、サイトカインの修飾因子(例えばTNF−アルファ変換酵素[TACE]インヒビター、インターロイキン−1変換酵素(ICE)インヒビター、インターロイキン−1受容体アンタゴニスト)、プレドニゾン、デキサメサゾン、シクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、ナプロキセン(登録商標)、セレブレックス(登録商標)、またはバイオックス(登録商標)のようなCOX−1および/またはCOX−2インヒビター)、CTLA4−Igアゴニスト/アンタゴニスト(LEA29Y)、CD40リガンドアンタゴニスト、IMPDHインヒビター(例えばミコフェノール酸[セルセプト(登録商標)]およびVX−497)、メトトレキサート(FK506)、インテグリンアンタゴニスト(例えば、アルファ−4ベータ−1、アルファ−V−ベータ−3)、細胞接着インヒビター、インターフェロンガンマアンタゴニスト、プロスタグランジン合成インヒビター、ブデソニド、クロファジミン、CNI−1493、CD4アンタゴニスト(例えば、プリリキシマブ)、p38マイトジェン活性化タンパク質キナーゼインヒビター、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)インヒビター、IKKインヒビター、過敏性腸症候群の治療法(例えば、米国特許番号6,184,231 B1において開示されるようなゼルマック(登録商標)、ゼルノーン(Zelnorn)(登録商標)、およびマキシK(登録商標)開口薬)、あるいはNF−κBインヒビター(米国特許番号4,200,750において開示されるようなカルフォスチン、CSAID、およびキノキサリン);解離ステロイド(disassociated steroids);ケモカイン受容体の修飾因子(CCRl、CCR2、CCR3、CCR4、およびCXCR2受容体アンタゴニストを含む);分泌性細胞質ホスホリパーゼA2インヒビター、グルココルチコイド、サリチル酸塩、一酸化窒素、および他の免疫抑制剤;並びにデオキシスーパーガリン(DSG)のような核移行インヒビターが含まれる。
【0158】
本発明の化合物は、喘息、COPD、およびアレルギー性鼻炎のような呼吸器の症状を治療するために用いられる他の薬剤と組み合わせて用いられ、そのような薬剤は、βアドレナリン作動薬(例えばアルブテロール、テルブタリン、ホルモテロール、サルブタモール、サルメテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、およびフェノテロール);副腎皮質ステロイド(例えばベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、フルニソリド、デキサメサゾン、プレドニゾン、およびデキサメサゾン);ロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、アコレート[ザフィルルカスト(登録商標)]、およびシングレア[モンテルカスト(登録商標)]);ムスカリン性M3コリン作動性アンタゴニスト(例えば、スピリーバ(登録商標))、PDE4インヒビター(例えばロリプラム、シロミラスト[アリフロ(Ariflo)(登録商標)]、ピクラミラスト、またはロフルミラスト)、ヒスタミンHアンタゴニスト、アレグラ(登録商標)(フェキソフェナジン)、クラリチン(登録商標)(ロラタジン(loratidine))、および/またはクラリネックス(登録商標)(デスロラタジン(desloratidine))でありうる。
【0159】
本発明の化合物とともに使用するための適当な抗ウイルス剤の例には、ヌクレオシドを基本成分とするインヒビター、プロテアーゼを基本成分とするインヒビター、およびウイルス集合インヒビターが含まれる。
【0160】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための適当な抗骨粗鬆症剤の例には、アレンドロネート、リセドロン酸、PTH、PTHフラグメント、ラロキシフェン、カルシトニン、RANKリガンドアンタゴニスト、カルシウム感知受容体アンタゴニスト、TRAPインヒビター、選択的エストロゲン受容体調節物質(SERM)およびAP−1インヒビターが含まれる。
【0161】
本発明の化合物と組み合わせて使用するための適当な抗酸化剤の例には、プロブコール、BO−653、ビタミンA、ビタミンE、AGI−1067、およびα−リポ酸のような脂質過酸化インヒビターが含まれる。
【0162】
本発明の化合物はまた、ビグアナイド(例えばメトホルミン)、グルコシダーゼインヒビター(例えばアカルボース)、インスリン(インスリン分泌促進物質またはインスリン増感剤を含む)、メグリチナイド(例えばレパグリニド)、スルホニル尿素(例えば、グリメピリド、グリブリドおよびグリピジド)、ビグアナイド/グリブリド併用(例えば、グルコバンス)、チアゾリジンジオン(thiozolidinediones)(例えばトログリタゾン、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、PPAR−アルファアゴニスト、PPAR−ガンマアゴニスト、PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト、SGLT2インヒビター、2000年3月6日に出願された米国出願番号09/519,079において開示され、本譲受人に譲渡された脂肪酸結合タンパク質(aP2)のインヒビター、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)、グルカゴンホスホリラーゼ、およびジペプチジルペプチダーゼTV(DP4)インヒビターのような抗糖尿病剤とも組み合わせて用いられうる。
【0163】
また、本発明の化合物は、治療的有用性のために細胞内でcAMPまたはcGMPの量を増加させる薬剤とともに用いられうる。例えば、本発明の化合物は、PDElインヒビター(例えば、Journal of Medicinal Chemistry, Vol. 40, pp. 2196-2210 [1997]に記載されているインヒビター)、PDE2インヒビター、PDE3インヒビター(例えばレビジノン、ピモベンダン、またはオルプリノン)、PDE4インヒビター(上記で引用)、PDE7インヒビター、あるいは他のPDEインヒビター、例えばジピリダモール、シロスタゾール、シルデナフィル、デンブフィリン(denbutyline)、テオフィリン(1,2−ジメチルキサンチン)、アリフロ(ARIFLO)(登録商標)(すなわち、シス−4−シアノ−4−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]シクロヘキサン−1−カルボン酸)、アロフィリン(arofyline)、C−11294A、CDC−801、BAY−19−8004、シパムフィリン(cipamfylline)、SCH351591、YM−976、PD−189659、メシオプラム(mesiopram)、プマフェントリン(pumafentrine)、CDC−998、IC−485、およびKW−4490を含む、ホスホジエステラーゼインヒビターと組み合わせて用いられる場合に有利な効果を有しうる。
【0164】
虚血の治療における有用性を考慮して、本発明の化合物は、エフラペプチン(efrapeptin)、オリゴマイシン、オートバーチンB(autovertin B)、アジド、および米国特許出願番号60/339,108に記載された化合物(2001年12月10日に出願され、本譲受人に譲渡された);−アルファ−またはベータ−アドレナリン遮断剤(例えばプロプラノロール、ナドロール、カルベジロール、およびプラゾシン)、硝酸塩(例えば、硝酸ナトリウム)、ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、およびニトロ血管拡張剤のような抗狭心症薬;クラスI薬剤(例えばプロパフェノン)を含む抗不整脈剤;クラスII薬剤(プロプラノロール);クラスIII薬剤(例えばソタロール、ドフェチリド、アミオダロン、アジミリドおよびイブチリド);クラスIV薬剤(例えばジルチアゼム(ditiazem)およびベラパミル);IAchインヒビターおよびKチャネル開口薬のKν1サブファミリーのインヒビター(例えばIKurインヒビター)のようなKチャネルの修飾因子(例えば、2000年12月5日に出願された米国出願番号09/729,731に開示された化合物);並びにコネキシン(connexions)のようなギャップ結合の修飾因子;アスピリン、ワルファリン、キシメラグトラン(ximelagtran)、低分子量ヘパリン(例えばロベノックス、エノキサパライン(enoxaparain)、およびダルテパリン)を含む抗凝固剤または抗血栓剤;GPIIb/GPIIIa遮断剤(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、およびチロフィバン)、トロンボキサン受容体アンタゴニスト(例えば、イフェトロバン)、P2YおよびP2Y12アンタゴニスト(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、CS−747、およびアスピリン/クロピドグレル併用)、並びに因子Xaインヒビター(例えば、フォンダプリヌクス(fondaprinux))のような抗血小板剤を含む抗凝固剤または抗血栓剤;並びにNa/H交換インヒビター、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸トリクリナフェン(ethacrynic acid tricrynafen)、クロルタリドン、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムトレネネ(triamtrenene)、並びにアミロライドのような利尿剤を含むF−ATPアーゼを阻害するための薬剤と組み合わせて用いられうる。
【0165】
本発明の化合物はまた、VEGF受容体のインヒビターの化合物のような抗血管新生薬と組み合わせても有効であり、並びにパクリタキセル、アドリアマイシン、エポシロン、シスプラチン、およびカルボプラチンのような抗腫瘍剤と併用しても有効でありうる。本発明の化合物と組み合わせて用いられうる抗癌剤および他の細胞毒の例には以下のものが含まれる:ドイツ特許番号4138042.8;WO 97/19086、WO 98/22461、WO 98/25929、WO 98/38192、WO 99/01124、WO 99/02224、WO 99/02514、WO 99/03848、WO 99/07692、WO 99/27890、WO 99/28324、WO 99/43653、WO 99/54330、WO 99/54318、WO 99/54319、WO 99/65913、WO 99/67252、WO 99/67253、およびWO 00/00485において見られるエポシロン誘導体;WO 99/24416において見られるサイクリン依存性キナーゼインヒビター;並びにWO 97/30992およびWO 98/54966において見られるプレニル−タンパク質トランスフェラーゼインヒビター。
【0166】
本発明の化合物を他の治療剤と組み合わせると、相加相乗効果を有することが立証されうる。その組み合わせは投与の効き目を増加し、または起こりうる副作用を軽減するための用量を減少させるのに有利でありうる。
【0167】
本発明の化合物と組み合わせて用いられる場合に、上記の他の治療剤は、例えば、米医薬品便覧(PDR)に示される量で、または当業者によって決定された量で用いられうる。本発明の方法において、このような他の治療剤は、本発明の化合物の投与より前、同時に、またはその後に投与されうる。
【0168】
本発明の化合物は、本明細書の実施例に記載される置換スピロ−ヒダントイン化合物を含めて、以下に記載されるアッセイで試験されており、LFA−1および/またはICAM−1のインヒビターとして活性の測定可能な量が示されている。
【0169】
(アッセイ)
H1−ヒーラ細胞接着アッセイ
H1ヒーラ細胞を、ヴェルセン(Gibco, Grand Island, NY)を用いてその成長フラスコから遊離した。遠心分離の後に、DMEM(Gibco)、10%ウシ胎仔血清(Hyclone, Logan, UT)、1%Pen−Strep(Gibco)、および1%L−グルタミン(Gibco)からなる成長培地に細胞を再懸濁し、96穴プレートに5,000細胞/ウェルに成長させるために蒔いた(プレートした)。
【0170】
その翌日、HSB−2細胞は、RPMI1640(Gibco)、10%FCS、1%Pen−Strep、および1%L−グルタミンからなる成長培地中で、2xl0/mlに分裂した。その翌日(3日目)、細胞を8分間534xGで遠心分離し、洗浄し、5xl0/mlでHBSS中再懸濁した。カルセイン−AM、10μM(Molecular Probes, Eugene, OR)、および100nMホルボールミリスチン酸アセテート(SIGMA, St. Louis, MO)を標識活性化混合物に添加した。30分間37℃でインキュベートした後に、10mlのHBSSを添加し、細胞を上記のように遠心分離した。細胞ペレットを次いで再懸濁し、カウントした。
【0171】
HSB−2細胞が標識される間、培地をH1ヒーラ細胞から吸引し、プレートをHBSSで一度洗浄し、その後50μlのHBSSを添加した。化合物溶液、DMSO、または抗CD18抗体を含む追加の50μlのHBSSを、次いで各ウェルに添加した。H1ヒーラ細胞へ、100μl中200,000個のHSB−2細胞/ウェルを添加し、その後暗室で30分間インキュベートした。そのウェルを次いで三回洗浄し、付着していない細胞を除去した。蛍光プレートリーダーを次いで用いて、付着したHSB−2細胞の数を決定した。化合物に起因するパーセント阻害は、0%阻害としての対照培地および100%阻害としての抗体遮断接着(antibody blocked adhesion)を用いて計算した。
【0172】
HUVEC接着アッセイ
1日目に、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(passage 3, Clonetics, San Diego, CA)を、成長させるためにEGM培地キット(bulletkit)(Clonetics)を含むT−75フラスコの中へ入れた。
【0173】
HUVECが90%集密である場合(典型的には4日目)、96穴組織培養プレートは、0.1M酢酸中に希釈した2.5μg/mlマウスIV型コラーゲン(Trevigen)を100μl/ウェルで被覆した。少なくとも3時間インキュベートした後、コラーゲンを除去し、プレートをHBSS(Gibco)で三回洗浄した。HUVECフラスコをトリプシン処理し、HUVECを、4日後に用いるために1250細胞/200μl/ウェルでコラーゲン被覆ウェルに蒔いた(プレートした)。使用の20時間前に、培地を除去し、細胞を200μlの10nMホルボールミリスチン酸アセテート/EGM(PMA, Sigma, St. Louis, MO)で刺激した。細胞が90%集密である場合(典型的には8日目)、PMA含有培地を除去し、ウェルをHBSSで洗浄し、50μlHBSSをウェルに添加した。化合物溶液、DMSO、またはブロッキング抗CD18(blocking anti-CD18)を含む追加の50μlを、次いで各ウェルに添加した。
【0174】
7日目に、HSB−2細胞は次いで10%FCS(Hyclone, Logan, UT)、1%Pen−Strep(Gibco)、および1%L−グルタミン(Gibco)を含むRPMI1640(Gibco)中で、2xl0/mlに分けた。その翌日、細胞を8分間534xGで遠心分離し、洗浄し、5xl0/mlでHBSS中再懸濁した。活性化および標識のため、カルセイン−AM、10μM(Molecular Probes, Eugene, OR)、および100nMホルボールミリスチン酸アセテート(SIGMA, St. Louis, MO)を添加し、細胞を30分間37℃でインキュベートした。10mlのHBSSを添加した後、細胞を遠心分離し、再懸濁し、カウントした。
【0175】
HUVEC細胞へ、100μl中200,000個の標識した活性化HSB−2細胞/ウェルを添加し、その後暗室で30分間インキュベートした。付着していない細胞を除去するため、ウェルをHBSSで三回洗浄した。蛍光プレートリーダーを用いて、付着したHSB−2細胞の数を決定した。化合物に起因するパーセント阻害は、0%阻害とした対照培地および100%阻害とした抗体遮断接着(antibody blocked adhesion)で計算した。
【0176】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の態様を説明するものであるが、特許請求の範囲を制限する意図はない。引用を容易にするため、以下の略語が本明細書中用いられる:
略語
DMSO=ジメチルスルホキシド
DTTA=(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸
EtOH=エタノール
HCl=塩酸
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
kg=キログラム
L=リットル
M=モル濃度
MTBE=メチル第三ブチルエーテル
MeOH=メタノール
mol=モル
mp=融点
NMR=核磁気共鳴
TBME=t−ブチルメチルエーテル
THF=テトラヒドロフラン
【0177】
製造1
3−(3,5−ジクロロフェニル)−l−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン
【化39】

トリエチルアミン(0.78kg、7.75mol)を、15−30分間攪拌しながら、サルコシンエチル塩酸塩(sarcosine ethylene hydrochloride)(1.00kg、6.51mol)の塩化メチレン(6.00L)希懸濁液に加えた。室温で1.5−2.0時間攪拌後、該混合物をろ過して、生じたトリエチルアミン塩酸塩を除いた。塩のケーキを塩化メチレン(2.00L)で洗浄した。濾液を0−5℃に冷却した。
【0178】
3,5−ジクロロフェニルイソシアネート(1.47kg、7.81mol)の塩化メチレン溶液を20−25℃で調製した。該溶液を上記冷却した濾液にゆっくり30−60分間で加えた。温度を添加中10℃以下に保った。添加後、該混合物を20−25℃で12−14時間攪拌した。反応の完了はHPLCで行った。反応完了したとき、TBME(16.00L)を1回で加えた。生じた懸濁液を20−25℃で2−3時間攪拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキをTBME(4.50L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。上記ろ過ケーキの水懸濁液(17.0L,10L/kg投入量)を調製し、20−25℃で少なくとも16時間攪拌した。該懸濁液をろ過し、ろ過ケーキを水(3×1.36L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。白色結晶性固形物として3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを得た(1.52kg、90%)。
mp=202-204℃.
1H NMR (DMSO-d6): 7.66 (IH, m), 7.51 (2H, m), 4.10 (2H, s), 3.35 (3H, s).
13C NMR (DMSO-d6): 8炭素(169.30, 155.00, 134.98, 134.15, 127.59, 125.30, 51.75, 29.79).
元素分析 C10H8Cl2N2O2 : 計算値: C, 46.35; H, 3.11; N, 10.81; Cl, 27.36. 実測値: C, 46.43; H, 2.92; N, 10.73; Cl, 27.33.
【0179】
製造2
(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2, 5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル
【化40】

3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチルイミダゾリジン−2,4−ジオン(1.00kg、3.86mol)、4−シアノベンズアルデヒド(0.70kg、5.79mol)およびピロリドン(0.27kg、3.86mmol)の混合物を、20−24時間78℃の温度でEtOH(13.00L)中還流した。反応の完了はHPLCで行った。反応完了したとき、該懸濁液を65℃に冷却し、THF(4.33L)を5−10分間で加えた。該懸濁液を3−4時間20−25℃に冷却し、次いでろ過した。ろ過ケーキをEtOH(4×2.00L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。綿状の黄色結晶性固形物として(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2, 5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリルを得た(1.24kg、86%)。
mp=239-241℃.
1H NMR (DMSO-d6): 8.07 (2H, d, J=8.3Hz), 7.86 (2H, d, J=8.4Hz), 7.72 (IH, m), 7.59 (2H, m), 6.72 (1H, s), 3.35 (3H, s).
13C NMR (DMSO-d6): 14炭素(159.80, 151.48, 137.64, 133.83, 133.70, 131.80, 130.80, 130.68, 127.71, 125.51, 118.83, 114.48, 110.32, 26.72).
元素分析 C18H11Cl2N3O2 : 計算値: C, 58.08; H, 2.97; N, 11.29; Cl, 19.05. 実測値: C, 58.14; H, 2.72; N, 11.14; Cl, 19.15.
【0180】
実施例1
4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル塩酸塩
【化41】

(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル(1.00kg、2.69mol)、グリシン(0.50kg、6.72mol)およびヘキサメチレンテトラミン(0.28kg、2.02mol)の1−メチル−2−ピロリジノン(5.00L)およびトルエン(2.50L)の混合溶液を、7−8時間140℃に加熱した。反応の完了はHPLCで行った。反応完了したとき、該混合物を40−50℃に冷却し、ろ過した。ろ過した固形物をトルエン(0.67L)で洗浄した。濾液にHCl(1M,13.33L,13.33mol)を加えた。生じた2相の混合物を50−60℃に加熱し、10−15分間攪拌した。水層を分液し、有機層を60−80℃にてHCl(1M,1.67L,1.67mol)で洗浄した。水層を合わせて80℃で2時間攪拌した。該溶液を、攪拌しながら種晶を加えながら、3−4時間20−25℃にゆっくり冷却した。結晶化が起こり、生じた懸濁液を時々攪拌しながら20−25℃で少なくとも16時間置き、2時間0−5℃に冷却し、0−5℃で2時間ゆっくり攪拌し、次いでろ過した。ろ過ケーキを氷水(2×2.50L)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。ベージュ色の結晶性固形物として、4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル塩酸塩を得た(1.09kg、90%)。
mp=183-185℃.
1H NMR (DMSO-d6): 7.87(2H, d, J=8.1Hz), 7.61 (IH, m), 7.40 (2H, d, J=8.1Hz), 6.68 (2H, m), 4.17 (IH, m), 3.85 (2H, m), 3.76 (2H, m), 3.43 (3H, s), 3.24(2H, s).
13C NMR (DMSO-d6): 14炭素(170.84, 152.92, 137.35, 133.94, 132.87, 132.35, 128.01, 124.50, 118.12, 111.30, 71.42, 46.57, 45.11, 25.51).
元素分析 C20H17Cl3N4O2 + 1.3 H2O: 計算値: C, 50.51; H, 3.91; N, 11.79; Cl, 22.39. 実測値: C, 50.56; H, 3.86; N, 11.58; Cl, 21.98; KF, 5.12.
【0181】
実施例2a
4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩
【化42】

4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル塩酸塩(1.00kg、2.21mol)の塩化メチレン(10.67L)懸濁液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.29kg、2.21mol)を加えた。該混合物を澄明な溶液になるまで攪拌し、そこへ(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(0.21kg、0.55mol)を加えた。生じた溶液を34−36℃に加温し、すぐに種晶を加えた。それを1.5−2.0時間で20−25℃に冷却した。冷却して結晶が析出した。TBME(2.75L)を0.5時間で加えた。該懸濁液を20−25℃で16時間攪拌し、次いでろ過した。該ろ過ケーキをジクロロメタン/TBME(2/1,1.00L)、TBME(1L)で洗浄し、最大35℃で恒量になるまで乾燥した。白色結晶性固形物として、4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩(0.47kg、35%)を得た。
mp=175-177℃.
1H NMR (DMSO-d6): 7.86 (2H, d, J=8.1Hz), 7.81 (2H, d, J=8.3Hz), 7.61 (1H, m), 7.28 (2H, d, J=8.1Hz), 7.22 (2H, 8.5Hz), 6.68 (2H5 m), 5.71 (1H, s), 3.81(1H, m), 3.50 (4H, m), 3.06 (3H, s), 2.34 (3H, s).
13C NMR (DMSO-d6): 24炭素(171.45, 169.4O, 165.04, 152.88, 143.61, 138.99, 133.88, 133.08, 132.16, 129.26, 129.20, 128.76, 127.84, 126.99, 124.51, 118.25, 110.78, 72.81, 73.38, 48.15, 47.51, 46.30, 24.90, 21.14).
元素分析 C30H25Cl2N4O6 + 0.5 H2O: 計算値: C, 58.40; H, 4.17; N, 9.08; Cl, 11.49. 実測値: C, 58.58; H, 4.06; N, 8.94; Cl, 11.38; KF, 1.59.
【0182】
実施例2b
4−[(5S,9R)0−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩
【化43】

(E)−4−((1−(3,5−ジクロロフェニル)−3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル(10.0g,26.9mmol)、グリシン(5.06g,67.4mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(2.82g,20.1mmol)の、50mLのN−メチルピロリジノンおよび25mLのトルエン混合液を、窒素下約12時間138℃に加熱した。次に、25mLのトルエンおよび25mLのHOを加えた。水層および非水層を分液し、水層を25mLのトルエンで洗浄し、非水層を合わせて、非水混合物を形成した。該非水混合物を45−50℃に加熱し、エチレンジアミン(7.0mL)を加えた。非水混合物を3時間攪拌し、次いで室温に冷却した。次に、50mLのHOを加え、続いて10mLの食塩水を加えた。次に25mLのトルエンを加え、続いて125mLのCHClを加えた。該混合物の下層をフィルターで除いた。次に、(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(2.59g, 6.7mmol)を加え、該混合物を18時間攪拌し、スラリーを形成させた。ゆっくり40mLのMTBEを該スラリーに加えた。7mLのMTBEおよび11mLのCHClを含んだ洗浄液を調製した。濾紙を1mLのその洗浄液で濡らした。該スラリーをろ過し、次いでろ過してケーキを形成させた。フィルター、洗浄反応フラスコ、およびケーキを、残った16mLの洗浄溶液で洗浄した。次に、該ケーキを10mLのMTBEで洗浄した。白色固体として4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩(4.0g, 20% 収率)を得た(98.7% HPLC APおよび98.3%ee)。
【0183】
実施例2c
4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4,4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩
(E)−4−((1−(3,5)−ジクロロフェニル)−3−メチル−2,5−ジオキソイミダゾリジン−4−イリデン)メチル)ベンゾニトリル(40.0g, 107.5mmol)、グリシン(19.76g, 263.2mmol)、ヘキサメチレンテトラミン(9.07g, 64.7mmol)の、200mLのN−メチル−2−ピロリジノンおよび100mLのトルエン混合液を、約5.5時間窒素下143℃に加熱した。次に、該混合物を50℃に冷却し、25mLのエチレンジアミンの200mLのテトラヒドロフラン溶液を加えた。該混合物を30分間50℃の温度に維持し、次いで室温に冷却した。次に、520mLの20重量%NaCl水溶液を加えた。水層および非水槽を分液した。非水層を減圧蒸留装置に移して、フラスコ内の残渣の温度が60torrの圧力で58℃になるまで、溶媒を蒸留した。次に、360mLの塩化メチレンを加え、続いて20mLのメタノールおよび2mLの水を加えた。次に、(+)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸(10.38g, 26.9mmol)を加え、続いて120mLの塩化メチレンおよび0.200gの4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4,4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩の種晶を加えた。スラリーが形成し、室温で24時間攪拌した。該スラリーをろ過し、結晶のケーキを200mLの塩化メチレンで2回洗浄した。洗浄したケーキを次いで50℃で減圧下24時間乾燥した。総量20.11g(収率31%)の4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4,4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩を得た。乾燥後、面百値で99.5%以上の純度で、98.4%有効量で99.2%eeで得られた。
【0184】
実施例3
5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩
【化44】

4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル 1/2(+)−DTTA塩(7.50kg、12.30mmol)および5−ホルミルチオフェン−3−カルボン酸メチル(2.2kg、13.10mol)の懸濁液に、20−25℃でトリエチルアミン(2.08kg、20.60mol)を加えた。該混合物を澄明な溶液になるまで攪拌し、そこに酢酸(1.24kg、20.60mol)を加えた。生じた混合物を20−25℃で1時間攪拌し、次いで15℃に冷却した。固形のトリアセトキシホウ化水素ナトリウム(1.31kg、6.17mol)を加え、反応混合物を0.5時間攪拌した。トリアセトキシホウ化水素ナトリウムの添加を3回以上繰り返した。結局、全部で5.22kg(24.7mol)のトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを2時間で加えた。反応混合物を20−25℃で16時間攪拌した。反応の完了はHPLCで行った。反応完了したとき、TBME(48.1L)を生じたゼリー状の反応混合物に加えた。該混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(60.0L×3)で洗浄した。水層を合わせて、TBME(48.1L)で抽出した。全有機層を合わせて、食塩水(48.1L)で洗浄し、10.6Lの容量まで減圧濃縮した。イソプロパノール(192.3L)を残渣に加え、生じた油状の沈殿物を70−75℃まで加温しながら溶かした。溶媒の容量を、70−75℃で蒸留して160.0Lまで減らした。濃HCl(1.5L)を75℃にて10分間で加え、続いて種晶を加えた。16時間20−25℃に冷却することで結晶が析出した。該混合物をろ過した。ケーキをイソプロパノール(9.6L×2)で洗浄し、最大40℃で恒量になるまで乾燥した。白色結晶性固形物として、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(6.57kg、88.0%)を得た。
mp=204- 207℃.
1H NMR (CDCl3): 14.22 (1H, b), 8.18 (1H, d, J=0.9Hz), 7.86 (1H, m), 7.67 (2H, d, J=8.1Hz), 7.24 (1H, m), 7.23 (2H, d, J=8.1Hz), 6.67 (2H, m), 4.76 (2H, m), 4.46 (1H, m), 4.16 (1H, m), 4.02 (2H, m), 3.86 (3H, s), 3.75 (1H, m), 3.38 (3H, s).
13C NMR (CDCl3): 18炭素(171.24, 162.32, 152.98, 136.05, 135.27, 134.03, 132.83, 131.94, 130.46, 128.85, 128.56, 123.92, 117.52, 113.43, 71.13, 52.43, 52.22, 46.73).
元素分析 C27H23Cl3N4O4S: 計算値: C, 53.52; H, 3.83; N, 9.25; S, 5.29; Cl, 17.55. 実測値: C, 53.07; H, 3.69; N, 9.08; S, 5.23; Cl, 17.20.
【0185】
実施例4
5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸
【化45】

5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(20.00g, 33.00mmol)および1,2−プロパンジオール(5.0g)の、テトラヒドロフラン(200mL)および水(100mL)溶液に、8−12℃にて0.5時間でゆっくり水酸化カリウム水溶液(0.85M, 116mL)を加えた。反応が完結するまで、生じた2相の混合物を8−12℃にて20−27時間攪拌した。反応混合物をN−ヘプタン(200mL)で洗浄した。pHを水(100mL)および酢酸(2.5mL)を加えて、6.5に調整した。テトラヒドロフランを減圧下内温度<40℃で除去した。pHを酢酸イソプロピル(400mL)および酢酸(11mL)を加えて、4.5に調整した。10分間攪拌後、水層を分液し、酢酸イソプロピル(200mL)で抽出した。有機層を合わせて、水(100mL)で洗浄し、水浴の温度を<40℃にして190mLの容量まで減圧濃縮した。濃縮中結晶が析出した。該結晶スラリーを20−25℃で16時間攪拌し、次いでろ過した。該ケーキを冷酢酸イソプロピル(15mL×3)で洗浄し、35−40℃で恒量になるまで真空中乾燥した。白色および砂状の結晶性固体物として、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(14.35g, 78.3%)を得た。
mp=209-230℃.
1H NMR (アセトン-d6): 8.19 (1H, d, J=I.3Hz), 7.76 (2H, d, J=8.4Hz), 7.49 (2H, d, J=8.2Hz), 7.43 (1H, d, J=1.OHz), 7.41 (1H, t, J=1.9 Hz), 6.87 (2H, d, J=1.9Hz), 4.16 (1H, dd, Jl=13.9Hz J2=0.8Hz), 4.10 (1H, dd, Jl=11.7Hz, J2=6.2Hz), 3.99 (1H, d, J=14.0Hz), 3.48(1H, d, J=10.6Hz), 3.47 (1H, dd, Jl=9.6Hz, J2=6.2 Hz), 3.25 (3H, s), 3.24 (1H, dd, Jl=9.6Hz5 J2=11.7Hz), 3.01 (1H, d, J=11.3Hz).
13C NMR (アセトン-d6): 22炭素(172.69, 163.7, 153.98, 144.55, 142.23, 135.26, 135.09, 134.41, 133.89,132.96, 130.33,128.27, 126.98, 125.18, 119.07, 112.44, 74.28, 59.09,56.45, 54.33, 50.73, 25.75).
元素分析 C26H20Cl2N4O4S: 計算値: C, 56.22; H, 3.62; N, 10.08; S, 5.77; Cl, 12.76. 実測値: C, 56.27; H, 3.20; N, 9.97; S, 5.65; Cl, 12.68.
【0186】
5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸、並びに溶媒和化合物および塩の結晶形
置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)、その溶媒和化合物および塩の様々な結晶形が製造され、それを表1にしている。これらの実施例の単位格子データおよび他の特性を、表2aおよび表2bにしている。単位格子パラメータは単結晶のX線結晶解析から得られた。単位格子の詳細な説明は、Stout & Jensen,「X-ray Structure Determination: A Practical Guide」,(MacMillian, 1968)の3章において見られうる。様々な結晶形の原子座標の画分を、表3から表16にしている。
【0187】
X線粉末回折(PXRD)データは、ブルッカーGADDS(General Area Detector Diffraction System)マニュアルカイプラットフォームゴニオメーター(manual chi platform goniometer)を用いて得られた。粉末サンプルは、直径1mmまたはそれ以下の薄肉ガラスキャピラリーの中に置かれ;キャピラリーはデータ収集の間回転された。サンプル−検出器間距離は17cmであった。放射線はCuKα(λ=1.5418Å)であった。データは、少なくとも300秒のサンプル照射時間で3<2θ<35°について収集された。
【0188】
単結晶のX線データは、ブルッカー−ノニウスCAD4連続回折計(Bruker-Nonius CAD4 serial diffractometer)(Bruker Axs, Inc., Madison WI)で収集された。単位格子パラメータは、25高角反射の実験用回折計の調節の最小二乗解析を通して得られた。強度は恒温でθ−2θ可変走査法によるCuKα照射(λ=1.5418Å)を用いて測定され、ローレンツ偏光因子についてのみ収集された。バックグラウンド計数は、走査時間の半分について走査の先端で収集された。交互に、単結晶データはブルッカー−ノニウスカッパCCD2000システム(Bruker-Nonius Kappa CCD 2000 system)においてCuKα照射(λ=1.5418Å)を用いて収集された。測定された強度データの索引付けおよび加工は、集積プログラムスイート(Collect program suite)(R. Hooft, Nonius B.V. (1998))においてHKL2000ソフトウェアパッケージで実行された。指示がある場合には、結晶は、データ収集の間オックスフォード極低温システムの冷却流の中で冷却された。
【0189】
構造は、直接的な方法によって解析され、マイナー部分の改良を施したSDPソフトウェアパッケージ(SDP, Strucuture Determination Package, Enraf-Nonius, Bohemia, N. Y.)または結晶学パッケージ、MAXUS(maXus solution and refinement software suit: S. Mackay, CJ. Gilmore, C. Edwards, M. Tremayne, N. Stewart, and K. Shankland.)を用いて、観測された反射に基づいて精密化された。maXusは、回折データから結晶構造を解析し、精密化するためのコンピュータプログラムである。
【0190】
導かれた原子パラメータ(座標および温度因子)は、完全行列最小二乗法を通して精密化された。精密化において最小化された関数は、Σ(|F|−|F|)であった。RはΣ||F|−|F||/Σ|F|として定義され、一方R=[Σ(|F|−|F|)/Σ|F1/2であり、ここでwは観測強度における誤差に基づく適当な重み関数である。距離マップは、精密化の全段階で調査された。水素原子は等方性温度因子で理想的な位置に導入されたが、水素パラメータは変えられなかった。
【0191】
結晶の融点は高温顕微鏡によって決定された。結晶はスライドガラスの上に置かれ、カバーガラスで覆われ、顕微鏡に取り付けられたリンカムLTS350高温ステージの上で加熱された(Linkham Scientific Instruments Ltd, Tadworth, U.K.)。加熱速度は、周囲が300℃となる温度領域について10℃/分で調節された。結晶は、相変態の徴候、複屈折、乳白度、融解、および/または分解における変化の徴候が視覚的に観測された。
【0192】
結晶形を試験するために示差走査熱量測定が用いられ、それはティー・エイ・インスツルメント(登録商標)Ql000モデルである。DSCセル/サンプル室は、100mL/分の超高純度窒素ガスでパージされた。その装置は高純度インジウムでキャリブレートされた。加熱速度は、25℃から300℃の間の温度範囲で10℃/分であった。熱流量はサンプル重量によって標準化され、測定されたサンプル温度に対してプロットされた。データはワット/グラム(「W/g」)の単位で報告された。プロットは下方を向いている吸熱ピークでなされた。吸熱融解ピーク(endothermic melt peak)(融点)は、外挿された開始温度のために評価された。
【0193】
N−1型の結晶は、貧溶媒としての酢酸エチルとともにエチレングリコール混合物から成長され(−50℃で決定)、または(S)−2メチル−1−ブタノールの溶液をゆっくり蒸発することによって成長された(22℃で決定)。
【0194】
メタンスルホン酸塩型の結晶は、加温した(〜50℃)アセトニトリルの最小体積中に、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)のメタンスルホン酸塩を溶解し、混合物をゆっくりと周囲温度まで冷却させることによって製造された。結晶は溶液が蒸発するにつれ現れた。
【0195】
塩酸塩型の結晶は、加温した(〜50℃)エタノール/アセトニトリル混合物の最小体積中に、置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)の塩酸塩を溶解し、結果として生じる混合物をゆっくりと周囲温度まで冷却させることによって製造された。結晶は溶液が蒸発するにつれ現れた。
【0196】
溶媒和型の結晶は、目的の溶媒中、実施例4の濃縮溶液を加熱し、その後周囲温度まで冷却させてゆっくり蒸発させることによって製造された。アセトニトリルおよびn−メチルピロリドン型の場合、水が貧溶媒として加温された溶液へ加えられた。
【0197】
脱溶媒和型の結晶は、真空下(〜30mm)90℃で90分間、溶媒和型(E.5−2)を含むエタノールの結晶を加熱して、脱溶媒和型、T1E.5−2の単結晶を生ずることによって製造された。
【0198】
表1
【表1】

表1における脚注:
Tは結晶の温度
Zは各単位セル中の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIq)の分子数
【0199】
表2a−単位格子パラメータ
【表2】

【表3】

【0200】
表2b−単位格子パラメータ(続き)
【表4】

Vmはモル体積。
SGは結晶学的空間群。
calcは計算密度。
MPは融点または分解温度(d)。
【0201】
表3
+22℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のN−1型での位置パラメータ
【表5】

【表6】

【0202】
表4
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)− 1 −メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル] −チオフェン−3−カルボン酸のN−1型での位置パラメータ
【表7】

【表8】

【0203】
表5
+22℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−1xiazaspko[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸塩酸塩のN−1型での位置パラメータ
【表9】

【0204】
表6
+22℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸メタンスルホン酸塩のN−1型での位置パラメータ
【表10】

【表11】

【表12】

【0205】
表7
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のAN.5−2型の位置パラメータ
【表13】

【表14】

【表15】

【0206】
表8
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のM.5−2型の位置パラメータ
【表16】

【表17】

【0207】
表9
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ「4.4]ノン−7−イルメチル−チオフェン−S−カルボン酸のE.5−2型の位置パラメータ
【表18】

【表19】

【0208】
表10
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のIPA.5−2型の位置パラメータ
【表20】

【表21】

【0209】
表11
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のPR.5−2型の位置パラメータ
【表22】

【表23】

【0210】
表12
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のNMP.5−2型の位置パラメータ
【表24】

【表25】

【表26】

【0211】
表13
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のTHF.5−2型の位置パラメータ
【表27】

【表28】

【0212】
表14
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸の(S)−2Bu.5−2型の位置パラメータ
【表29】

【表30】

【表31】

【0213】
表15
−50℃における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸の(R)−2BU.5−2型の位置パラメータ
【表32】

【表33】

【0214】
表16
+90°における5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のTlE.5−2型の位置パラメータ
【表34】

【表35】

【表36】

【0215】
表17
粉末X線回析パターンからのいくつかのピーク(2θ値)
(CuKαλ=1.5418Å)
【表37】

【0216】
実施例5
4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのモノイソプロパノール溶媒和物の結晶形
【0217】
攪拌棒、コンデンサーおよび窒素吹き出し口を備えた500mLの二頚フラスコに、20.0gの製造物2、7.68gのグリシン、および2.48gのヘキサメチレンテトラミンを加えた。次に、100mLのN−メチルピロリドンおよび50mLのトルエンを加えた。フラスコの内容物を145℃に加熱し、約6時間この温度を維持した。反応混合物を室温に冷却し、21時間そのまま置いた。次に、フラスコの内容物を50℃に加熱し、続いて6mLのエチレンジアミンを加えた。次に、100mLのテトラヒドロフランを加え、反応混合物を50℃で1時間置いた。反応混合物を室温に冷却し、16−24時間そのまま置いた。次に、260mLの食塩水(20重量%)をフラスコに加えた。水層を有機層から分けて370mLの水層を単離した。有機層の半分(67mL)を除去し、100mLのMeOHを投入した。固形物をろ過し、12.5mLのMeOHで2回洗浄した。終夜減圧下60℃で乾燥後、7.2423gの4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル(遊離塩基水和物)を白色固体として収集した(収率65%)。
【0218】
約10−15mLのイソプロピルアルコールをバイアルに加えた。4−[5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル(遊離塩基水和物)を、飽和溶液が得られるまで加えた。飽和の上清を第2のバイアルにろ過し、4日間放置した。形成した結晶をピンセットで除いた。結晶は、実施例4に記載されている方法に従って、X線結晶回析で分析した。生じた結晶の単位格子パラメータ、4−[5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのモノイソプロパノール溶媒和物の結晶形(IPA−I型)は表18aおよび18bに挙げている。
【0219】
表18a−単位格子パラメータ
【表38】

【0220】
表18b
【表39】

【0221】
表19
−50℃における4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのIPA−I型の位置パラメータ
【表40】

【表41】

【0222】
実施例6
4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4− ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのアミナール二量体の結晶形
実施例6a:メソ体の4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル− 2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル(化合物IVb)のアミナール二量体の単離
【化46】

【0223】
攪拌棒、コンデンサーおよび窒素吹き出し口を備えた500mLの二頚フラスコに、19.99gの製造物2、7.68gのグリシン、および2.48gのヘキサメチレンテトラミンを加えた。次に、100mLのN−メチルピロリドンおよび50mLのトルエンを加えた。フラスコの内容物を145℃に加熱し、約6時間この温度を維持した。反応混合物を室温に冷却し、3日間室温で置いた。反応混合物の蒸留を50torrの圧力で開始し、蒸留物が除去されるまで加熱した(容器温度は約100℃であった)。サンプルを試験して、反応が約70%完了していたことがわかった。次に、35mLの蒸留物をフラスコの再投入し、2時間145℃に加熱した。容器の温度が109℃に達するまでフラスコの内容物を50torrで蒸留した。約25mLの蒸留物を集めて、フラスコの内容物を50℃まで冷却し、続いて5mLのエチレンジアミンを加えた。フラスコの内容物を145分間50℃の温度に維持した。次に、260mLの食塩水(14重量%)、100mLのテトラヒドロフラン、および100mLのMTBEをフラスコに加えた。水層を有機層から分けて、373mLの水層を単離した。有機層から物質が沈澱した。有機層を45℃に加熱し、100mLのテトラヒドロフランを加えた。フラスコの内容物を蒸留し、230mLの蒸留物を集めた。残ったフラスコの内容物を室温に冷却し、200mLのメタノールを加え、次いで再蒸留した。120mLの塩化メチレンを添加後、フラスコの内容物を20℃に加熱した。次に、150mLの塩化メチレンを加えた。生じた溶液はろ過され、10mLの塩化メチレンで洗浄した。濾液に3.5339gの(+)−DTTAを加え、次いで10分間攪拌し、247.2mgの実施例2aの種晶を加えた。濾液をろ過し、CHC1:MTBEの混合液(1:3)で2回洗浄した。最小の結晶が閉じた容器の中で2〜3週後洗浄液から沈澱するのが観察された。結晶はピンセットで単離した。
実施例6b
ラセミ体の4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのアミナール二量体(化合物IVb)の単離
【化47】

【0224】
攪拌棒を備えた250mLの三頚フラスコに、10.0gの4−[(5S,9R)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル(遊離塩基)および2.65gのヘキサメチレンテトラミンを加えた。次に、20mLのN−メチルピロリドンおよび25mLのトルエンを加えた。フラスコの内容物を蒸留し、次いで25mLのトルエンをフラスコに加えた。フラスコの内容物を145℃の温度で4時間維持した。該フラスコに、260mLの20重量%の食塩水および100mLのテトラヒドロフランを加えた。分液処理し、有機層をMgSOで乾燥した。有機層を次いでろ過し、ロットバップ(rotovap)で濃縮した。次に、50mLの塩化メチレンを有機層に加え、続いて溶液が濁るまで75mLのMTBEをゆっくり加えた。生じた沈殿物を溶液からろ過した。沈殿物を少量の温MeCN/MeOHに溶かし、ゆっくりと周囲温度まで冷却した。溶媒をサンプル溶液から蒸発させて、結晶が現れた。
【0225】
表20a−単位格子パラメータ
【表42】

【0226】
表20b
【表43】

【0227】
表21
−50℃における4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのアミナール二量体のMTBE2−1型の位置パラメータ
【表44】

【表45】

【表46】

表21における原子O89、C85、C86、C87、およびC88は0.6の占有率(occupancy)を有する。この表の他の原子は1の占有率を有する。
【0228】
表22
−50℃における4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2, 4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリルのアミナール二量体のANl.5−1型の位置パラメータ
【表47】

【表48】

【表49】

表22における原子N17、C83、C84、N18、C85、C86、N19、C87、およびC88は0.7の占有率(occupancy)を有する。この表の他の原子は1の占有を有する。
【0229】
表23
T=−50℃における粉末X線回析パターンからのいくつかのピーク(2θ値)
(CuKαλ=1.5418Å)
【表50】

【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】図1は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のN−1結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=22℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図2】図2は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のN−1結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図3】図3は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸の塩酸塩のN−1結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=22℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図4】図4は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸のメタンスルホン酸塩のN−1結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=22℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図5】図5は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(M.5−2)のメタノール溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図6】図6は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(E.5−2)のエタノール溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図7】図7は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(T1E.5−2)の脱溶媒和結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図8】図8は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(IPA.5−2)のイソプロパノール溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図9】図9は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(AN.5−2)のアクリロニトリル溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図10】図10は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(NMP.5−2)のn−メチルピロリドン溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図11】図11は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸(THF.5−2)のテトラヒドロフラン溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図12】図12は、5−[(5S,9R)−9−(4−シアノフェニル)−3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−7−イルメチル]−チオフェン−3−カルボン酸((R)−2BU.5−2)の1−R−(−)−2−ブタノール溶媒和化合物の結晶形の観測およびシミュレーションされた粉末X線回折パターン(T=−50℃で、CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図13】図13は、4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル(MTBE2−1)のメソ体アミナール二量体のための観測(室温)およびシミュレーションされた(T=−50℃)粉末X線回折パターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。
【図14】図14は、4−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−1−メチル−2,4−ジオキソ−1,3,7−トリアザスピロ[4.4]ノン−9−イル]−ベンゾニトリル(AN1.5−1)のラセミ体アミナール二量体のための観測(室温)およびシミュレーションされた(T=−50℃)粉末X線回折パターン(CuKα λ=1.5418Å)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II):
【化1】

[式中、
LおよびKは独立して、OまたはSであり;
Zは、NまたはCR4bであり;
Arは、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
Gは、結合、−O−、−S−、−NR、C1−3アルキレン、C1−3の置換アルキレン、二価のアルコキシ、チオアルキル、アミノアルキル、スルホニル、スルホンアミジル、アシル、またはアルコキシカルボニルであり;
は、水素、アルキル、または置換アルキルであり;
は、水素、アルキル、置換アルキル、OR12、NR1213、C(=O)R12、−CO12、−C(=O)NR1213、−NR12C(=O)R13、−NR12C(=O)OR13、−S(O)13a、−NR12SO13a、−SONR1213、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
4a、R4b、およびR4cは独立して、水素、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ニトロ、シアノ、−SR14、−OR14、−NR1415、−NR14C(=O)R15、−CO14、−C(=O)R14、−C(=O)NR1415、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、および/または置換ヘテロアリールであり;
12、R13、R14、およびR15は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、および/または置換ヘテロシクロであり;あるいは(ii)R12はR13とともに、および/または、R14はR15とともにヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、または置換ヘテロシクロ環を形成し;
13aは、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、または置換ヘテロシクロであり;並びに
pは1または2である]
のスピロ−ヒダントイン化合物、またはその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグを得るために、極性溶媒の存在下、式(I):
【化2】

[式中、記号は上記と同義]
のアルケン化合物を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)グリシンまたはグリシンエステル
に接触させることを特徴とする、前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)の製造方法。
【請求項2】
前記メチレン前駆体化合物が、ホルムアルデヒド、ヘキサメチレントリアミン、ジメトキシメタン、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、またはその混合物である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記メチレン前駆体化合物および前記グリシンもしくはグリシンエステルが、前記メチレン前駆体および前記グリシンもしくはグリシンエステルの縮合物として与えられる、請求項1の方法。
【請求項4】
前記極性溶媒が、l−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、またはその混合物である、請求項1から3のいずれか一つの方法。
【請求項5】
前記極性溶媒および非極性溶媒を含む反応混合物において行われる、請求項1から4のいずれか一つの方法。
【請求項6】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)のアミナールをさらに与える、請求項1から5のいずれか一つの方法。
【請求項7】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)の前記アミナールを開裂させて、スピロ−ヒダントイン化合物(II)を得る段階をさらに含む、請求項6の方法。
【請求項8】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)の前記アミナールが、水性酸、亜硫酸水素塩、エチレンジアミン、またはプロピレンジアミンに接触させることによって開裂される、請求項7の方法。
【請求項9】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)を分割して、少なくとも一つの分割されたエナンチオマーを得る段階をさらに含む、請求項1から8のいずれか一つの方法。
【請求項10】
前記の少なくとも一つの分割されたエナンチオマーが、エナンチオマーの酸とともに結晶化することによって分割される、請求項9の方法。
【請求項11】
前記エナンチオマーの酸がジトルオイル酒石酸である、請求項10の方法。
【請求項12】
前記の少なくとも一つの分割されたエナンチオマーが、アルコール、水、またはその混合物の存在下で分割される、請求項10の方法。
【請求項13】
式(IIIc):
【化3】

[式中、
は、結合、C1−3アルキレン、C2−3アルケニレン、−C1−4アルキレン−NR16−、−C1−4アルキレン−NR16C(=O)−、−C1−4アルキレン−S−、−C1−4アルキレン−SO−、または−C1−4アルキレン−O−であり、その中でAアルキレン基は分枝鎖または直鎖の、適宜置換されたアルキレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO−、−SONR16−、−CO−、または−NR16CO−であり;
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるが、但しAおよびQがそれぞれ結合であるときにはR16は水素でなく;および
はアルキルまたは置換アルキルである]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物を得るために、前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、還元剤の存在下でアルデヒドを含む化合物、HC(O)−Q−A−R16に接触させる段階をさらに含む、請求項1から12のいずれか一つの方法。
【請求項14】
式(III):
【化4】

[式中、
は、結合、C1−2アルキレン、またはC2−3アルケニレンであり;
は、結合、C1−3アルキレン、C2−3アルケニレン、−C1−4アルキレン−NR16−、−C1−4アルキレン−NR16C(=O)−、−C1−4アルキレン−S−、−C1−4アルキレン−SO−、または−C1−4アルキレン−O−であり、その中でAアルキレン基は分枝鎖または直鎖の、適宜置換されたアルキレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO−、−SONR16−、−CO−、または−NR16CO−であり;
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるが、但しA、AおよびQがそれぞれ結合であるときにはR16は水素でなく;
はアルキルまたは置換アルキルであり;および
Xはハロゲンである]
の置換スピロ−ヒダントイン化合物を得るために、前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)を、ハロゲンを含む化合物、X−A−Q−A−R16に接触させる段階をさらに含む、請求項1から12のいずれか一つの方法。
【請求項15】
ZがCR4bであり;
KがOであり;および
LがOである、請求項1から14のいずれか一つの方法。
【請求項16】
Gが結合、C1−3アルキレン、またはC1−3の置換アルキレンであり;
Arがアリールまたは置換アリールであり;および
がアルキルまたは置換アルキルである、請求項1から15のいずれか一つの方法。
【請求項17】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)が式:
【化5】

を有する、請求項16の方法。
【請求項18】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(II)が式IId:
【化6】

のスピロ−ヒダントイン化合物である、請求項17の方法。
【請求項19】
前記の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIc)が:
【化7】

である、請求項13、請求項14、または請求項18の方法。
【請求項20】
前記の置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIc)が:
【化8】

である、請求項13、請求項14、または請求項18の方法。
【請求項21】
式(IIIn):
【化9】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物の製造方法であって、
a)極性溶媒の存在下、式(Ia):
【化10】

のアルケン化合物を
i)メチレン前駆体化合物および
ii)グリシンまたはグリシンエステル
に接触させて、式(IIc):
【化11】

のスピロ−ヒダントイン化合物を得、
b)前記スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)のエナンチオマーを分割して、式(IId):
【化12】

のスピロ−ヒダントイン化合物を得、
c)還元剤の存在下、前記スピロ−ヒダントイン化合物(IId)を5−ホルミルチオフェン−3−カルボン酸メチルに接触させて、式(IIIj):
【化13】

の置換スピロ−ヒダントイン化合物を得、および
d)前記置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIj)のメチルエステル基を加水分解して、前記置換スピロ−ヒダントイン化合物(IIIn)、またはその医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和化合物、もしくはプロドラッグを得ることを特徴とする方法。
【請求項22】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)のアミナール二量体をさらに与える、請求項21の方法。
【請求項23】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)の前記アミナール二量体を開裂させて、スピロ−ヒダントイン化合物(IIc)を得る段階をさらに含む、請求項22の方法。
【請求項24】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(IId)が、ジトルオイル酒石酸とともに結晶化することによって分割される、請求項21から23のいずれか一つの方法。
【請求項25】
前記スピロ−ヒダントイン化合物(IId)が、アルコール、水、またはその混合物の存在下で分割される、請求項24の方法。
【請求項26】
請求項1の方法によって製造された、式III:
【化14】

[式中、
は、結合、C1−2アルキレン、またはC2−3アルケニレンであり;
は、結合、C1−3アルキレン、C2−3アルケニレン、−C1−4アルキレン−NR16−、−C1−4アルキレン−NR16C(=O)−、−C1−4アルキレン−S−、−C1−4アルキレン−SO−、または−C1−4アルキレン−O−であり、その中でAアルキレン基は分枝鎖または直鎖の、適宜置換されたアルキレンであり;
Qは、結合、−C(=O)−、−C(=O)NR16−、−C(=S)NR16−、−SO−、−SONR16−、−CO−、または−NR16CO−であり;
16は、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであるが、但しA、AおよびQがそれぞれ結合であるときにはR16は水素でなく;
はアルキルまたは置換アルキルであり;並びに
Xはハロゲンである]
を有する化合物。
【請求項27】
前記の置換スピロ−ヒダントイン化合物が式(IIIn):
【化15】

を有する、請求項26の化合物。
【請求項28】
N−1型を含む、化合物(IIIn):
【化16】

の結晶形。
【請求項29】
本質的に前記N−1型からなる、請求項28の結晶形。
【請求項30】
前記N−1型が実質的に純粋な形状である、請求項28の結晶形。
【請求項31】
前記結晶形が約+22℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項28の結晶形。
【請求項32】
約22℃の温度において、7.3、8.5、8.8、13.1、13.7、15.4、および17.0から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項28の結晶形。
【請求項33】
約22℃の温度において、7.3、8.5、8.8、13.1、13.7、15.4、および17.0から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによってさらに特徴づけられる、請求項32の結晶形。
【請求項34】
実質的に表3に記載される原子座標の分画によって特徴づけられる、請求項28の結晶形。
【請求項35】
前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項28の結晶形。
【請求項36】
約−50℃の温度において、7.9、8.5、8.8、13.1、15.4、17.0、および17.1から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項28の結晶形。
【請求項37】
約−50℃の温度において、7.9、8.5、8.8、13.1、15.4、17.0、および17.1から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによってさらに特徴づけられる、請求項36の結晶形。
【請求項38】
実質的に表4に記載される原子座標の分画によって特徴づけられる、請求項28の結晶形。
【請求項39】
式:
【化17】

のメタンスルホン酸塩の結晶形。
【請求項40】
前記結晶形が約+22℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項39の結晶形。
【請求項41】
約22℃の温度において、7.1、9.3、10.6、14.1、17.0、21.1、24.8、および28.6から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項39の結晶形。
【請求項42】
約22℃の温度において、7.1、9.3、10.6、14.1、17.0、21.1、24.8、および28.6から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによってさらに特徴づけられる、請求項41の結晶形。
【請求項43】
実質的に表6に記載される原子座標の分画によって特徴づけられる、請求項39の結晶形。
【請求項44】
式:
【化18】

の塩酸塩の結晶形。
【請求項45】
前記結晶形が約+22℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項44の結晶形。
【請求項46】
約22℃の温度において、9.7、12.8、14.1、14.5、18.6、19.0、21.4、23.8、および26.7から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項44の結晶形。
【請求項47】
約22℃の温度において、9.7、12.8、14.1、14.5、18.6、19.0、21.4、23.8、および26.7から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の5つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによってさらに特徴づけられる、請求項46の結晶形。
【請求項48】
実質的に表5に記載される原子座標の分画によって特徴づけられる、請求項44の結晶形。
【請求項49】
下表

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられ、適宜、溶媒を含む、式:
【化19】

の結晶形またはその双性イオン。
【請求項50】
溶媒をさらに含む、請求項49の結晶形。
【請求項51】
前記溶媒が極性溶媒である、請求項50の結晶形。
【請求項52】
前記溶媒が非極性溶媒である、請求項50の結晶形。
【請求項53】
前記溶媒が、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、S−(+)−2−ブタノール、R−(−)−2−ブタノール、またはテトラヒドロフランである、請求項50の結晶形。
【請求項54】
2分子の非対称ユニットの前記化合物またはその双性イオン、および一分子の前記溶媒を含む、請求項50の結晶形。
【請求項55】
前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項50の結晶形。
【請求項56】
請求項28、39、44、または49の少なくとも一つの化合物、および医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項57】
請求項28、39、44、または49の化合物の治療上の有効量を哺乳類に投与することを含む、哺乳類における炎症性疾患または免疫疾患の治療方法。
【請求項58】
炎症性疾患または免疫疾患が、急性または慢性移植片対宿主反応、急性または慢性移植片拒絶反応、多発性硬化症、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎、多臓器症候群、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷、壊死性腸炎、顆粒球輸血関連症候群、シェーグレン症候群、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんま疹、強皮症、乾癬、喘息、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸促迫症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、B型肝炎、C型肝炎、器官組織自己免疫疾患、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、多腺性自己免疫疾患、およびグラーベ病から選択される、請求項57の方法。
【請求項59】
炎症性疾患または免疫疾患が、急性または慢性移植片拒絶反応、リウマチ性関節炎、変形性関節症、糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、乾癬、および慢性閉塞性肺疾患から選択される、請求項57の方法。
【請求項60】
IPA−1型を含む、化合物(IIc):
【化20】

の結晶形。
【請求項61】
前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項60の結晶形。
【請求項62】
ANl.5−1型を含む、化合物(IVa):
【化21】

の結晶形。
【請求項63】
前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項62の結晶形。
【請求項64】
約−50℃の温度において、5.0、9.4、11.4、12.1、18.8、21.2、22.3、および26.8から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項62の結晶形。
【請求項65】
MTBE2−1型を含む、化合物(IVb):
【化22】

の結晶形。
【請求項66】
前記結晶形が約−50℃の温度での、下表:

に実質的に等しい単位格子パラメータによって特徴づけられる、請求項65の結晶形。
【請求項67】
約−50℃の温度において、8.0、9.8、11.4、16.3、17.3、20.0、および23.5から選択される2θ値(CuKα λ=1.5418Å)の4つまたはそれ以上を含む粉末X線回折パターンによって特徴づけられる、請求項65の結晶形。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−514729(P2008−514729A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534856(P2007−534856)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/035467
【国際公開番号】WO2006/039639
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】