説明

スピロボレートエステルを使用するオキシムエーテルのボラン還元を介する第一級アミンの触媒的不斉合成

非ラセミ体1,2−アミノアルコールから誘導された複数のキラルスピロボレートによって触媒されたボランによるアリールアルキル及びピリジルアルキルケトキシムエーテルの不斉還元を与える。オキシムの第一級アミンへの完全な転換は、触媒、ボランの源と量及び温度に大きく依存する。転換とエナンチオ選択性はオキシムのベンジル置換によって決まる。最適化後、ジフェニルバリノールから誘導された触媒によって、良好な収率と最大99% eeのエナンチオ選択性を有する第一級アミンを首尾良く得ることができる。開発された方法論を使用すると、他の関連する非ラセミ体の第一級ピリジルアルキルメタンアミンもまた高い化学収率と優れたエナンチオ選択性で製造された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
特許請求された本発明は、国立保健研究所(NIH)から授与された登録番号MBRS GM 08216及びNIH-IMBRE NC P20 RR-016470の下で米国政府の支援を受けて成された。政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
技術分野
本発明は、優れたエナンチオ選択性による完全な触媒プロセスにおいて鏡像異性的に純粋な第一級アミンを製造するために安定したスピロボレートエステルを用いるオキシムエーテルの還元方法に関する。
【0003】
背景技術:
キラル触媒、即ち、1,3,2−オキサザボロリジンの存在下でのボランによるオキシムエーテルの不斉還元は、鏡像異性的に純粋なアミン類の存在下での重要な合成経路であり且つ学術的な研究と産業上の研究の両方において、過去20年間にわたり多くの注目を集めてきた。高いエナンチオ選択性を伴う効率の良い反応は、通常は、その場でキラル還元剤、1,3,2−オキサザボロリジン−ボラン複合体を製造するために、化学量論量よりも多くのキラル1,2−アミノアルコールの適用を必要とする。先行技術の一方法では、高い選択性を達成し且つα−メチルベンジルアミンへの転換を完了するためには2.5当量の(S)−ジフェニルバリノールが必要であると考えられている。触媒量の触媒が使用された例が幾つかある。先行技術の別の方法は、例えば、還元は触媒方式において達成できたが;エナンチオ選択性が低めであったことが報告されている(図1を参照のこと)。触媒としての10%の(S)−ジフェニルバリノールの存在下で、O−ベンジルアセトフェノンオキシム(1a)をボランで還元した場合、α−メチルベンジルアミンがわずか52%eeで得られる。一般的に、O−ベンジルオキシアミン2aもまた、不完全な還元によって得られる。 近年、O−メチルアリールアルキルオキシムエーテルは、(S)プロリン及び(R)−又は(S)−1,1’−ビ−2−ナフトールから誘導されたスピロボレートエステルで還元されてきた。2当量のボランと10%の触媒を用いて、モデル化合物として、アセトフェノンO−メチルオキシムを還元すると、わずか58%の収率と42%eeが得られた。従って、この反応の収率とエナンチオ選択性を向上させるためには1当量の触媒が必要であった。
【0004】
キラルアミン類を製造するためのオキシムエーテルのエナンチオ選択的還元は、従来は、オキサザボロリジンの様な、少なくとも1当量の高価なキラルボラン触媒を使用して中程度〜高程度の鏡像体過剰(ee)で達成されてきた。従来は、本発明者らはプロキラルケトン類を還元するための新たな種類の実用的な触媒システムを開発してきた。これは2006年8月30日に出願されたM. Ortiz-Marcialesらによる「キラル1,2−アミノアルコール由来のキラルスピロボレートエステルによって触媒されたボランによる高度なエナンチオ選択的カルボニル還元」という表題の米国特許出願第11/512,599号に記載されており、それらの開示は全てそのまま本明細書中に援用されている。本発明は、優れたエナンチオ選択性による完全な触媒プロセスにおいて鏡像異性的に純粋な第一級アリールアルキルアミンを製造するためにこれらの安定したスピロボレートエステルを用いるオキシムエーテルの還元方法に関する。更に詳細には、本発明者らは、ケトン類を不斉還元するための新たな種類の触媒として、図2に示された、鏡像異性的に純粋な1,2−アミノアルコール、5−10から誘導される安定なキラルスピロボレートエステルを開発して合成した。これらの試薬の高反応性及び顕著なエナンチオ選択性に基づいて、本発明者らはこれらの触媒を適用してオキシムエーテルを還元している。本明細書中では、本発明者らはまず、オキシムエーテルを還元するための成果を上げた触媒的な高度のエナンチオ選択プロセスを報告する。
【0005】
追加の背景は、次の文献によって与えられており、これらの各文献は全てそのまま援用されている:

【0006】
発明の要約
本発明に関する詳細はStepanenko, V.; Ortiz-Marciales, M.; Correa, W.; De-Jesus, M.; Espinosa, S; Ortiz, L. Tetrahedron Asymmetry, 2006, 17, 112-115;及びXiaogen Huang, Kun Huang, Margarita Ortiz-Marciales,* Viatcheslav Stepanenko, Francisco G. Merced, Angel M. Ayala Wildeliz Correa and Melvin De Jesus, Organic Letters 2007, 9, 1793-1795中に公開されており、これらの各文献は全てそのまま援用されている。
【0007】
鏡像異性的に純粋なスピロボレートエステル(5−10)は、異なる反応条件下でアセトフェノンオキシムエーテル(R=Me、4−MeOBn、4−CFBn;2−NOBn)をボラン還元するためのキラリティー移動触媒として示されており、対応する第一級アミンを合成するために転換及びエナンチオ選択性を最適化し、これらは他のプロキラルオキシムに適用された。最初に、触媒5((S)−ジフェニルバリノールから誘導された)は、モデル化合物、アセトフェノンベンジルオキシムエーテルの還元に最適な試薬であると分かった。この還元では50℃のトルエン中で12時間にわたり50%の触媒及び2当量のボラン−DMSを使用する。メチルベンジルアミンへの完全転換を達成するために、次に反応混合物を110℃で3時間加熱した。より低い触媒添加量、様々なボラン源又は試薬、並びにより高い数値のボラン当量を用いてアセトフェノンベンジルオキシムエーテルの還元方法を改変すると、オキシムエーテルは、わずか10%の触媒5を使用して、良好なエナンチオ選択性(87%ee)で、室温において(S)−α−メチルベンジルアミンへ完全転換する。更なる最適化は、温度、溶媒及びベンジル基の様々な電気的陰性効果を有するオキシムエーテル並びに触媒のフェニル基との可能なπスタッキング相互作用を変えることによって達成された。従って、4−MeOBn、4−CFBn;2−NOBnの置換基が研究されており、4−CFBnの場合0℃のジオキサン中でボラン−THFで置換されたオキシムが99%ee得られる。
【0008】
それというのは、類似の高いエナンチオ選択性が全てのO−ベンジル化アセトフェノンオキシムで観察されており、典型的な(E)−ベンジルオキシムのアリールアルキルケトン及びピリジルアルキルケトンは、標準的な方法によって製造され且つ最適な還元条件(0.1〜0.3当量の5、ジオキサン、25℃〜0℃)下におかれたからである。生成物のアミンはN−アセチル誘導体として単離された。一般的に、本方法は0℃において優れたエナンチオ選択性(83〜99%)をもたらす。
【0009】
要約すれば、図3に示される通り、最初にオキシムエーテルからアミンを完全に触媒不斉合成するための効率の良い新規なボランベースの方法が開示されている。新規な方法は、(S)−ジフェニルバリノールから誘導された、容易に製造され且つ安定なスピロボレートエステル(5)を、わずか10%の触媒でキラル移動剤として利用する。スピロボレートエステルは、後の反応のためにその場で製造される必要がなく、不活性雰囲気条件下で最大1年間保存されるほど十分に安定である。単純な手順を利用すると、この方法論は、医薬化合物の製造における中間体と触媒の合成のために、汎用性が高く且つ重要な非ラセミ体アミンに都合の良いエントリを提供する。重要なことは、医薬品産業で通例製造及び/又は使用される多くの化合物の製造及び合成において本発明を実施できることを示すことである。
【0010】
発明の開示
医薬品中間体の製造においてケトン、オキシム及びイミノ誘導体をエナンチオ選択的還元するためのオキサザボロリジンの合成及び使用は広く知られている。本発明は、最近開発されたスピロボレートエステルの存在下でボランを用いて還元することによって、鏡像異性的に純粋なアミン類の更に効率の良く且つ容易な新規な製造方法が得られるため、工業的に有利である。スピロボレートエステルは周知のオキサザボロリジン触媒に類似した、高効率のキラル移動触媒である。この方法を用いて等しいか又はより良い立体選択性を有する鏡像異性的に純粋な薬剤の製造を実用的な触媒方法で実施することができる。開示された発明は(S)−ドラフェニン(米国特許第6,020,495号に開示されている)、即ち、抗腫瘍性ペプチド鎖ドラスタチン10を製造するための前駆体の合成に適用することができる。これは4−CFBnオキシムエーテルのボラン還元によって合成され、バリノール及びエチレングリコールから誘導されたスピロボレートエステルを試薬として使用する。上述の特許は、薬剤学的特性を有する重要なキラルアミンの他の例を記載しており、このアミンは発見された触媒、例えば、抗うつ作用を有する3−フェニル−1−インダンアミン(Bogeso, K. P.ら、"Potential Antidepressant Activity and Potent Inhibition of Dopamine, Norepinephrine, and Serotonin Uptake, " J. Med. Chem., 1985, 28, 1817-1828に開示される)並びに抗うつ剤、1−アミノ−4−アリールテトラリン(Welch, W. M.ら、" Nontricyclic Antidepressant Agents Derived from cis and trans 1-amino-4-aryltetralins," J. Med. Chem., 1984, 1984, 27, 1508-1515に開示される)を用いる提案された方法によって製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は先行技術による触媒の還元を示す概略図である。
【図2】図2は本発明の実施態様によるキラルアミノアルコールから誘導されたスピロボレートエステルを示す概略図である。
【図3】図3は本発明の実施態様によるオキシムエーテルのエナンチオ選択的還元を示す概略図である。
【図4】図4は本発明の一実施態様による触媒を用いたO−ベンジルアセトフェノンオキシムのエナンチオ選択的還元を示す概略図である。
【図5】図5は本発明の実施態様によるオキシムと対応するO−ベンジル化アリールケトキシムの合成を示す概略図である。
【図6】図6は本発明の有利な実施態様による触媒を用いたO−ベンジルピリジルケトキシム13の合成とエナンチオ選択的還元を示す概略図である。
【0012】
A)アセトフェノンO−ベンジルオキシム類の還元によるアルファ−メチルベンジルアミンの不斉合成
本発明者らは、ケトン類を不斉還元するための新たな種類の触媒として、鏡像異性的に純粋な1,2−アミノアルコール、5−10、(図2)から誘導される純粋で且つ比較的安定なキラルスピロボレートエステルを開発して合成した。これらの試薬は高い反応性と顕著なエナンチオ選択性を示す。従って、これらはオキシムエーテルを還元するための触媒として適用された。最初に、本発明者らは、図4に示されるように、トルエン中で、0.5当量の触媒5−10と2当量のBH・DMSを用いて50℃で12時間、次いで110℃で3時間にわたり、モデル反応として、純粋な(E)−ベンジルオキシムエーテル1aの還元を研究した。これらの条件下で、触媒5−10は定量的に第一級アミン3を与え、これはキラルカラム上のエトキシカルボニル誘導体4のGC分析によって中程度〜高度のエナンチオ選択性を示した。触媒5は、表1に示されるように、これはα−メチルベンジルアミン3の93%eeを与えるため、最も効率がよい。
【表1】

【0013】
表1で特記しない限り、全ての反応はGC分析によると100%転換であった。eeはベンジルアミンエトキシカルボニル誘導体4のキラルGC分析によって決定された。エントリ7の場合、触媒システムは50℃に予熱され、トルエン中のオキシムエーテルは5時間の間に添加され、次いで110℃に加熱された。エントリ5の場合、反応は観察されなかった。エントリ9及び10の場合、3の(R)エナンチオマーが得られた。
【0014】
本発明の別の態様によれば、この反応は、室温においてTHF中で異なる当量の触媒5及びボランを使用して、並びにボラン−DMSやボラン−THFのような種々のボラン源を使用して、添加剤としてNaBH又はN−イソプロピルN−メチルtert−ブチルアミンを用いて実施された。結果を表2に列記する。
【表2】

【0015】
表2に列記された反応の場合、生成物の比率はGC分析によって決定された。化合物3のeeはエトキシカルバミド誘導体のキラルGC分析によって決定された。エントリ2の場合、THF中のオキシムを10時間以内に添加し、次いで24時間室温で撹拌した。エントリ6、7及び8の場合、ボラン試薬は0.005M未満のN−イソプロピルN−メチルtert−ブチルアミンで安定化された。エントリ8の場合、括弧中の収率はエトキシカルバミドの精製後に得られた。
【0016】
表2に示されたように、BH・DMSの量は1当量から4当量まで増加した場合、50モル%の5による還元は、第一級アミン3への完全な転換でより速く起こった(エントリ3)。しかしながら、エナンチオ選択性の低下はほんのわずかであった。25モル%の触媒で、6当量のBH・DMSを使用すると、転換は部分的であった(85%、エントリ5)。より反応性の高いBH・THF試薬の場合、20%の触媒で2.4当量のBH・THFを使用すると、3へのほぼ完全な転換がもたらされた(91%、エントリ6)。その反対に、BH・DIEAは効果がなかった。興味深いことに、オキシムエーテル1の完全な還元は、10%の触媒と4当量のBH・THFで達成され、eeの低下はわずかで75%の収率の第一級アミン3が得られた(87%、エントリ10)。
【0017】
本発明の更なる態様によると、種々の溶媒を評価した場合、表3に示したように、一般的に、エーテル性の溶媒はより高いeeを与える。その一方で、トルエン中での転換は優れていたがeeは低下した。そしてこの反応はCHCl中では促進されなかった。室温(rt)での還元に最適な溶媒はジオキサンであり、90%のeeが得られた(エントリ4)。更に、選択性は選ばれた溶媒中へのオキシムエーテルの添加時間によって変化しない(エントリ4対エントリ5)。
【表3】

【0018】
表3のエントリの場合、BH・THF試薬は0.005MのN−イソプロピルN−メチルtert−ブチルアミンで安定化される。ボランの量は4当量〜1当量のオキシムエーテルであり、この反応は室温で36時間にわたって行われた。エントリ1−4の場合、選ばれた溶媒中のオキシムは11時間の間に添加された。エントリ5−8の場合、選ばれた溶媒中のオキシムは1時間の間に添加された。
【0019】
本発明の更なる態様によると、ジオキサンの還元効率と選択性は、異なる温度と試薬を用いて最適化された。結果を以下の表4に示す。
【表4】

【0020】
エントリ1−2の場合、BH・THF試薬は0.005MのN−イソプロピルN−メチルtert−ブチルアミンで安定化される。エントリ3−5の場合、BH・THF試薬は0.005MのNaBHで安定化される。
【0021】
また表4に示されたように、0℃における反応はより長い還元時間を必要とするが(エントリ1)、転換は完全であり(100%)そしてエナンチオ選択性はさらに高く、97%であった。しかしながら、−20℃において、第一級アミン3は60時間後のGC分析によって検出されなかった。NaBHで安定化されたBH・THFは、ジオキサン中において室温では95%eeをもたらし(エントリ3)、0℃ではアミン3のeeは97%にわずかに増加した。0℃のTHFにおいて、eeは94%であり(エントリ5)、これはジオキサン中でのeeよりも低かった。BH・DMSの場合、eeはジオキサン中において37%まで劇的に低下した(エントリ6)。溶媒をTHFに変えた場合、生成物のeeは82%であった。表4に示された高度なエナンチオ選択的触媒プロセス、エントリ1は、表5に示されるように、図2の他のスピロボレートに拡大された。
【表5】

【0022】
表5の還元の場合、触媒6−10の反応性は0℃においてやや低かった。従って、触媒10(エントリ5)を除いて反応温度を室温に変えた。第一級アミンの立体化学の結果が触媒中のアミノ基のキラリティーに依存することは明らかである。全ての触媒は触媒5と比較してより低い選択性を示した。しかしながら、アミノインダノールから誘導された触媒9(エントリ4)によって室温で88%eeの(R)−エナンチオマーが得られた。
【0023】
本発明の更なる態様は図5に示された還元のエナンチオ選択性におけるアセトフェノンオキシム1b−eの芳香族置換の効果を含む。表6に示されたように、容易に99%eeが得られた4−CFベンジルオキシムを除いて、立体化学的因子と電子的因子によってeeは有意に変わらない。
【表6】

【0024】
これらの研究は、慎重な変更によって、本発明者らが顕著なエナンチオ選択性と共に良好〜優れた収率のオキシムエーテルの不斉還元を発見することができることを例証する。
【0025】
B)代表的な芳香族ケトンO−ベンジルオキシムのエナンチオ選択的還元
本発明の更なる態様によると、ベンジルブロミドは安価なだけでなく、純粋な(E)−ベンジル化生成物まで得られるため、最適化された合成方法は非置換のO−ベンジルオキシムエーテルを使用する他の基質にまで拡大された。代表的な芳香族ベンジルオキシム11は、図5に示された、一般的な方法によって製造され、そして室温及び0℃においてジオキサン中で0.1当量の触媒5を使用して還元された。結果を表7に示す。酸による仕上げ後、ジクロロメタン中でトリエチルアミンとDMAPの存在下で無水酢酸により対応する粗(S)第一級アミンをアセチル化した。
【0026】
表7の反応は、1当量のオキシムエーテル11a−11l、0.1当量の触媒5及び4当量のNaBHで安定化されたボランを使用してジオキサン中で36時間又は転換が100%になるまで実施された。全ての生成物12はカラムクロマトグラフィによって精製され、eeの値はCrompack社製のChirasil-Dex-CB GCカラムを使用して決定された。
【0027】
表7に示されたように、カラムクロマトグラフィによって精製された、純粋なアセトアミド12a−12iの収率は良好〜高く、一般的に、反応のエナンチオ選択性は0℃において更に高く、最大99%eeであった。
【表7】

【0028】
C)キラルスピロボレート5を用いたO−ベンジルピリジルアルキルケトキシム13の不斉還元
本発明の更なる態様によると、2−、3−又は4−ピリジルアルキルオキシムエーテルは、図6及び表8に示されたように、異なる反応条件において触媒5の存在下で製造且つ還元された。4−アセチルピリジンO−ベンジルオキシム、13aは、エントリ4に示されたように、0℃のジオキサン中で5当量のBH−THFを用いて99%eeのN−(1−ピリジル−4イル−エチル)−アセトアミド、14aをもたらしたが、化学的収率は低かった。混合物は氷浴で4日間撹拌されたが、TLCは出発材料が残っていることを示した。THF及びtert−ブチルメチルエーテルは、4−ピリジルオキシムエーテルの還元のためにふるい分けられた(エントリ1−3)。しかしながら、ジオキサンは最適な溶媒であった。転換率を向上させるために、還元をTHF中で室温において実施した。2日後に反応を完了させたが、ee値は低下した(エントリ2)。3−ピリジル−オキシムエーテルの還元はまた、異なる温度と異なる触媒量でも調べられた。本発明者らは、反応物が48時間にわたって撹拌された後に、この反応がジオキサン中で30%の触媒により10℃で完了したことを発見した。単離された生成物は、エントリ8に示されたように、84%であり、ee値は98%より高かった。
【0029】
同様に最適化の研究が13cの還元について実施された。1.0当量の触媒の存在下で、2.0当量のボラン、60%のeeが低めの収率で得られた(エントリ10)。ジオキサン中で10℃の0.3当量の触媒5を用いて且つピリジン窒素をBEtで保護すると(エントリ11)反応は不十分になった。BFの添加によって高収率が得られたがエナンチオ選択性は低くなった(エントリ12)。化学量論的量の触媒5が2−ピリジルオキシムベンジルエーテルの還元を達成するために必要であったが、ee値は低めであった(エントリ10)。
【表8】

【0030】
表8に列記された反応の場合、生成物はカラムクロマトグラフィによって単離された。eeはキラルカラム(CP-Chirasil-DexCB)を使用してアセチル誘導体のGC分析によって決定された。
【0031】
本発明の更なる態様によると、本発明者らは表8の最適化された条件(0.3当量の5、5当量のBH−THF、ジオキサン、10℃)を、図6のピリジルアルキルケトンの代表的なO−ベンジルオキシム誘導体13の還元に適用した。表9に示されたように、優れたエナンチオ選択性は、3−及び4−ピリジル誘導体に対して30%の5のスピロボレートエステルを用いると高い化学的収率で得られた。
【表9】

【0032】
表9の反応は1当量のオキシムエーテル13、0.3当量の触媒5及び5当量のNaBHで安定化されたボランを使用してジオキサン中で実施された。全ての生成物15はカラムクロマトグラフィによって精製され、eeの値はCrompack社製のChirasil-Dex-CB GCカラムを使用して決定された。
【0033】
本発明による還元の一般的な手順を説明する。
【0034】
手順
(R)−2−アミノ−1,1,2−トリフェニルエタノール、(S)−2−アミノ−1,1,2−トリフェニルエタノール、(S)−2−アミノ−3−メチル−1,1−ジフェニルブタン−1−オールは文献の手順に従って合成された。これらは以下を含む:(1)Bach, J.; Berenger, R.; Garcia, J.; Loscertales, T.; Vilarrasa, J. J. Org. Chem. 1996, 61, 9021 -9025;及び(2) Itsuno, S.; Ito, K. J. Org. Chem. 1984, 49, 555-557。アセトフェノンオキシム、(S)−メチル2−アミノ−3−メチルブタノエート、(S)−メチル2−アミノ−2−フェニルアセテート、(R)−メチル2−アミノ−2−フェニルアセテート、(1R,2S)−2−アミノ−1−フェニルプロパン−1−オール、(1R,2S)−1−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−オール、(S)−ジフェニル(ピロリジン−2−イル)メタノール、4−トリフルオロメチルベンジルブロミド、2−ニトロベンジルブロミド、4−メトキシベンジルクロリド、トリイソプロピルボレート、BH・DMS(2MのTHF溶液)、BH・THF(1MのTHF溶液、<0.005MのNaBHで安定化されている)、BH・THF(1MのTHF溶液、<0.005MのN−イソプロピルN−メチルtert−ブチルアミンで安定化されている)、4−ジメチルアミノピリジン、エチルクロロホルメートが購入されて精製せずに直接使用された。
【0035】
全ての反応はN雰囲気下で乾燥したガラス器中で実施された。空気並びに湿度感受性液体及び溶液をシリンジによって移した。全ての試薬は特に注記しない限り商業的に入手された。共通の溶媒は標準的な手順によって乾燥且つ蒸留された。無水グリム及びジグリムはAldrich社より購入され、密閉された瓶から直接使用された。生成物のクロマトグラフィによる精製は、メルク社製シリカゲルSi60(登録商標)(200−400メッシュ)上でフラッシュクロマトグラフィを使用して達成された。
【0036】
H、13C及び11Bスペクトルは、H、13C及び11Bのそれぞれについて400.152MHz、100.627MHz、及び128.384MHzで作動する標準的なパルスシーケンスを備えたBruker Avance 400 MHzスペクトロメータで記録された。キラルガスクロマトグラフィ分析は、Chrompack Chiralsil-Dex-CBカラム(30m×0.25mm×0.25μm)を備えたHewlett Packard GC 5890で処理された。GC−MS分析は、Restek RTX-5MSカラムを使用してFinnigan社製Trace GC/Polaris Q質量検出器で処理された。
【0037】
キラルスピロボレート5−10の一般的な製造の手順
隔壁とN流れを備えた50mlの丸底フラスコに、乾燥エチレングリコール(0.31g、5.0ミリモル、1当量)を添加した。次に、乾燥トルエン(10ml)を添加した後トリイソプロピルボレート(1.17ml、5.1ミリモル、1.02当量)を添加した。この反応混合物を均一な無色の溶液が形成されるまで還流で加熱した。乾燥トルエン(10ml)中の非ラセミ体アミノアルコール(5ミリモル、1当量)の溶液を、白色沈殿物が処理中に観察される限りは反応混合物に添加した。この混合物をロータ−エバポレータ中で濃縮させ、次いで高真空下で一晩乾燥させた。得られた白色固形物は、更に精製されずに発明者らの反応に直接使用された。
【0038】
O−メチル及びO−ベンジルオキシムエーテル1a−e、11及び13の一般的な製造の手順
DMF中のNaH(1.1当量)の懸濁液に、オキシム(1当量)の溶液を0℃で滴加した。添加後に、反応混合物を1時間撹拌した。次に、DMF中のRBr(Cl)又はMeI(1.05当量)を0℃で滴加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次にこれをNHClの飽和水溶液で反応停止させ、エーテルで抽出した。有機相を組み合わせ、無水NaSOで乾燥させた。溶媒を真空下で蒸発させ、残留物をシリコンゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。(E)−オキシムが純粋でなかった場合、これはPE/CHClから再結晶化された。
【0039】
化合物1cのデータは次の通りである:H NMR(400MHz)δ(ppm)7.77(d,J=8.0Hz,2H),7.44(m,2H),7.23(m,3H),6.90(d,J=8.0Hz,2H),5.36(s,2H),3.39(s,3H),2.16(s,3H).
【0040】
化合物1dのデータは次の通りである:H NMR(400MHz)δ(ppm)7.66(m,2H),7.55(m,1H),7.39(m,2H),5.32(s,2H),2.32(s,3H).
【0041】
化合物1eのデータは次の通りである:H NMR(400MHz)δ(ppm)8.11(m,1H),7.66(m,2H),7.42(m,2H),5.68(s,2H),2.37(s,3H).
【0042】
(E)−1−フェニル−プロパン−1−オン O−ベンジルオキシム(11a)のデータは次の通りである:H−NMR(C)δ(ppm)1.14(t,3H,CH),2.76(q,2H,CH)5.33(s,2H,CH),7.2(m,6H,Ar),7.45(d,2H,Ar),7.75(dd,2H,Ar);13C−NMR(C)δ11.0,19.9,76.3,126.4,127.5,127.8,127.9,128.0,128.3,128.6,135.8,138.6,159.3;GC/MS RT(min)14.8,m/z 239.2(M),132.1(M−OBn),222.3,91.1.
【0043】
(E)−1−フェニル−ブタン−1−オン O−ベンジルオキシム(11b)のデータは次の通りである:H−NMR(C)δ(ppm)0.90(t,3H,CH),1.57(m,2H,CH),2.78(t,2H,CH),5.27(s,2H,CH),7.19(dd,2H,Ar),7.25(d−d,3H,Ar),7.42(dd,3H,Ar),7.70(d−d,2H,Ar);13C−NMR(C)δ14.0,20.0,28.1,76.1,127.8,127.9,128.1,128.6,129.0,135.9,138.6,158.2;MS m/z:253.1(M),146.1(M−OBn),91.1,77.1.
【0044】
化合物(E)−1−(4−メトキシ−フェニル)エタノン O−ベンジルオキシム(11c)のデータは次の通りである:H−NMR(C)δ(ppm)2.18(s,3H,CH),3.37(s,3H,CHO),5.34(q,2H,CH),6.8(dd,J=6.8Hz),2H,Ar),7.29(dd J=8.2Hz,2H,Ar),7.27(m,3H,Ar),7.70(dd,J=6.8Hz,2H,Ar);13C−NMR(C)δ12.4,21.3,30.2,76.4,113.9,127.74,127.79,127.9,128.0,128.3,128.5,128.6,138.9,154.1,160,8;MS m/z:255.3(M);HRMS calcd.for C1618NO[M+H]256.13375,found256.13279.
【0045】
化合物(E)−1−(4−メトキシフェニル)エタノン O−ベンジルオキシム(11d)のデータは次の通りである:H−NMR(C)δ(ppm)2.17(s,3H,CH),2.51(s,3H,CH),5.32(s,2H,CH),7.05(dd,2H,Ar),7.19(m,1H,Ar),7.26(m,2H,Ar),7.44(dd,2H,Ar),7.65(dd,2H,Ar);13C−NMR(C)δ12.2,20.9,76.2,126.1,127.4,128.1,128.0,129.0,134.0,138.6,138.7 154.2,161.6;MS m/z:239.31(M);HRMS calcd.for C1618NO[M+H]240.13884,found 240.13782.
【0046】
化合物(E)−1−(4−メトキシフェニル)プロパノン O−ベンジルオキシム(11e)のデータは次の通りである:H−NMR(C)δ(ppm)1.16(t,J=7.6Hz,3H,CH),2.17(s,3H,CH),2.74(q,J=7.6Hz,2H,CH),5.26(s,2H,CH),7.06(dd,J=8.4Hz,2H,Ar),7.18(m,1H,Ar),7.27(m,3H,Ar),7.46(d,J=7.6Hz,2H,Ar),7.72(d,J=8.0Hz,2H,Ar);13C−NMR(C)δ11.1,19.9,20.9,76.2,126.3,127.6,127.8,128.0,128.2,129.1,133.0,138.6,159.2;MS m/z:253.2(M),146.1(M−OBn),91.1;HRMS calcd.for C1720NO[M+H]254.15449,found 254.15348.
【0047】
化合物(E)−1−(4−クロロ−フェニル)エタノン O−ベンジルオキシム(11f)のデータは次の通りである:H−NMR(400MHz,C)δ1.99(s,3H,CH),5.31(s,2H,CH),7.14(m,2H,Ar),7.19(m,3H,Ar),7.29(m,2H,Ar),7.45(m,2H,Ar);13C−NMR(100MHz,C):δ12.2,76.6,127.6,127.9,128.2,128.6,135.1,135.3,138.5,153.4;IR(KBr,cm−1):v3039,2868,1610,1455,1397,1308,1093,1039,693.MS m/z 258.9(M),168.1(M−OBn),91.1.Anal.Calcd.for C1514ClNO;C,69.36;H,5.43;N,5.39.Found:C,69.90;H,5.83;N,5.44.
【0048】
化合物(E)−インダノン O−4−トリフルオロメチルベンジルオキシム(11g)のデータは次の通りである:H−NMR(C):δ(ppm)2.90(t,2H,CH),3.0(t,2H,CH),5.29(s,2H,CH),7.2−7.0(m,8H,Ar);13C−NMR(C)δ22.7,26.6,28.6,75.2,121.7,125.9,125.6,127.6,129.6,130.4,135.9,142.5,148.3,163.6.
【0049】
化合物(E)−テトラロン−O−ベンジルオキシム(11h)のデータは次の通りである:H−NMR(C)δ(ppm)0.90(t,3H,CH),1.5(m,2H,CH),2.42(t,2H,CH),2.75(t,2H,CH),5.27(s,2H, CHO),7.1(m,5H,Ar),7.48(d,2H,Ar),8.3(dd,1H,Ar);13C−NMR(C)δ21.6,24.8,29.9,76.6,124.8,126.6,127.8,128.5,128.6,128.8,129.1,131.2,138.9,139.6,154.1;HRMS calcd.for C1718NO[M+H]252.13884,found 254.13794.
【0050】
化合物(E)−6−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ナフタレン−1−オン O−ベンジル−オキシム(11i)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(95:5V/V)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率84%(1.8g);融点:64−65℃;HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.89(m,2H,CH),2.75(m,2H,CH),2.85(m,2H,CH),3.85(s,3H,OCH),5.26(s,2H,OCH),6.69(m,1H,Ar),6.81(m,1H,Ar),7.31−7.49(m,5H,Ph),7.99(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl)δ(ppm)21.6,24.5,30.1,55.3,76.1,112.8,112.9,123.6,126.0,127.7,128.1,128.3,138.4,141.3,154.2,160.2;MS m/z 281.2(M).
【0051】
化合物(E)−クロマン−4−オン O−ベンジル−オキシム(11j)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル勾配上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された、2.10g、収率(88%);H−NMR(CDCl)δ(ppm)3.03(t,2H),4.27(t,2H),5.31(s,2H),7.03(dd,2H),7.31(d,1H),7.37(d,1H),7.41(d,2H),7.46(d,1H),7.51(d,1H),8.01(d,1H);13C−NMR(CDCl)δ(ppm)24.3,65.0,76.5,117.7,118.6,121.4,124.4,127.9,128.3,128.4,130.9,137.9,148.8,156.6;GC/MS RT(min):18.17min,m/z 253.1(M),91.1(PhCH).
【0052】
(E)−6−クロロクロマン−4−オン O−ベンジル−オキシム(11k)のデータは次の通りである:ヘキサン:酢酸エチル勾配によるシリコンゲル上でのカラムクロマトグラフィによって、わずかに黄色の油状物として精製された、1.62g、収率(84%);H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.99(t,2H),4.24(t,2H),5.31(s,2H),7.23(dd,2H),7.25(dd,2H),7.41(s,1H),7.44(d,1H),7.50(d,1H),7.97(s,1H);13C−NMR(CDCl)δ(ppm)24.0,65.1,76.7,118.8,119.8,123.8,126.6,128.0,128.3,128.5,130.7,137.7,147.7,155.1 GC/MS RT(min):20.64min,m/z 287.0(M),91.1(PhCH).
【0053】
(E)−チオクロマン−4−オン O−ベンジルオキシム(11l)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル勾配上でのカラムクロマトグラフィによってわずかに黄色の油状物として精製された;1.89g、収率:84%;H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.99(t,2H),3.21(t,2H),5.32(s,2H),7.17(dd,1H),7.26(dd,2H),7.31(dd,2H),7.39(dd,1H),7.49(dd,2H),8.06(d,1H);13C−NMR(CDCl)δ(ppm)26.0,26.9,76.6,125.4,126.2,127.1,127.8,127.9,128.1,130.7,131.0,136.0,137.9,152.3;GC/MS RT(min):20.95min,m/z 269.0(M),91.1(PhCH).
【0054】
ピリジルアルキル O−ベンジルオキシムエーテル:
化合物(E)−1−ピリジン−4−イル−エタノン O−ベンジルオキシム(13a)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(5:1)で上のカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率89%(5.75g);融点:41−42℃.HNMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)2.30(s,3H,CH),5.32(s,2H,OCH),7.37−7.47(m,5H,Ph),7.58(m,2H,Ar),8.66(m,2H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl)δ(ppm)12.1,76.7,120.2,128.0,128.3,128.5,137.6,143.8,150.1,152.7;MS m/z 226.2(M).
【0055】
化合物(E)−1−ピリジン−3−イル−エタノン O−ベンジルオキシム(13b)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(5:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率92%(6.21g);HNMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)2.37(s,3H,CH),5.31(s,2H,OCH),7.30−7.49(m,6H,Ar),7.99(m,1H,Ar),8.63(m,1H,Ar),8.92(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl):δ12.5,76.5,123.2,127.9,128.3,128.4,132.3,133.3,137.8,147.5,150.0,152.5;MS m/z 226.2(M).
【0056】
化合物(E)−1−ピリジン−2−イル−エタノン O−ベンジルオキシム(13c)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(5:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率88%(6.21g);HNMR(400MHz,CDCl)δ(ppm)2.43(s,3H,CH),5.33(s,2H,OCH),7.28−7.49(m,6H,Ar),7.69(m,1H,Ar),7.96(m,1H,Ar),8.64(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl)δ(ppm)11.4,76.5,120.7,123.5,127.8,128.1,128.4,136.1,138.0,148.8,154.4,156.2;MS m/z 226.2(M).
【0057】
化合物(E)−1−(6−メトキシピリジン−3−イル)エタノン O−ベンジルオキシム(13d)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(5:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率90%(1.41g);HNMR(400MHz,CDCl):δ2.29(s,3H,CH),4.00(s,3H,OCH),5.27(s,2H,OCH),6.76(m,1H,Ar),7.36−7.48(m,5H,Ph),7.98(m,1H,Ar),8.42(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl):δ12.4,53.6,76.3,110.7,125.9,127.8,128.2,1284,136.2,138.0,144.8,152.4,164.6;MS m/z 256.1(M).
【0058】
(E)−ピリジン−3−イル−プロパン−1−オン O−ベンジルオキシム(13e)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(5:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率80%(0.96g);HNMR(400MHz,CDCl):δ1.19(t,3H,J=7.6Hz,CH),2.86(q,2H,J=7.6,CH2),5.29(s,2H,OCH),7.31−7.48(m,6H,Ar),7.98(m,1H,Ar),8.64(m,1H,Ar),8.89(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl):δ10.9,19.9,76.5,123.3,127.9,128.2,128.4,131.3,133.5,137.9,147.7,150.0,157.6;MS m/z 240.2(M).
【0059】
化合物(E)−1−ピリジン−4−イル−プロパン−1−オン O−ベンジルオキシム(13f)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(5:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率89%(5.75g);HNMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)1.19(t,3H,J=CH),2.82(q,2H,J=,CH),5.31(s,2H,OCH),7.37−7.47(m,5H,Ph),7.58(m,2H,Ar),8.66(m,2H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl):δ10.9,19.5,76.7,120.4,128.0,128.2,128.4,137.7,142.9,150.2,157.7;MS m/z 240.2(M).
【0060】
芳香族O−ベンジルオキシムエーテルの不斉還元の一般的な手順
触媒5−10(0.1ミリモル、0.1当量)を、25mlの二つ口フラスコにN下で添加した。約4mlから約10mlまでの無水ジオキサンを導入した後、4mlのBH・THF(THF中1M)を一回で添加した。得られた混合物を、透明溶液が形成されるまで室温で約30分から約1時間撹拌した。次に5mlのTHF又はジオキサン中のオキシムエーテル(1ミリモル、1当量)をシリンジポンプで滴加した。得られた混合物をアミンへの転換が完全になるまで撹拌した。反応を6NのHClで、次いで溶液が強塩基になるまで6NのNaOHで停止させた。第一級アミンを得るために水溶液をジエチルエーテルで抽出し、組み合わされた有機相を飽和NaCl溶液で洗って無水NaSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残留物をアセチル化してアミド誘導体を製造した。ピリジル化合物の場合、反応混合物をメタノール(5ml)で反応停止させ、次いで6時間還流させた。溶媒を真空下で蒸発させて、残留物を直接アセチル化した。
【0061】
転換率はGC分析(Hewlett Packard社製GC 5890)によって決定された;化合物1aの場合:13.3min、化合物2aの場合:12.6min、そして化合物3の場合:3.9min。転換率は面積累算から計算された。
【0062】
化合物2aのデータは次の通りである:H NMR(400MHz)δ(ppm)7.2−7.6(m,10H),5.64(s,1H),4.65(dd,J=11.48Hz,2H),4.20(q,J=6.64Hz,1H),1.40(d,J=6.64Hz,3H).
【0063】
第一級アミンのエナンチオ選択性の一般的な決定の手順
粗アミン3の無水CHCl溶液にDMAP(25mg、10%)、EtN(0.30ml、1.1ミリモル、1.1当量)及びエチルクロロホルメート(0.2ml、1.1ミリモル、1.1当量)を添加した。得られた混合物を3時間撹拌した。次にこれを水で反応停止させてCHCl(3×30mL)で抽出した。有機相を回収し、無水NaSOで乾燥させた。 溶媒を真空下で蒸発させ、その残留物をPE/EA(6/1)を有するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、キラルGCで分析されるべき対応する生成物が得られた。
【0064】
Aldrich社から購入された(±)−α−メチルベンジルアミンのエトキシカルボニル誘導体と鏡像異性的に純粋な(S)−α−メチルベンジルアミンがキラルGC分析用の標準的な試料として製造された:(S)−エナンチオマー:24.6min、(R)−エナンチオマー:25.5min。
【0065】
化合物3のエトキシカルボニル誘導体のデータは次の通りである:H NMR(400MHz)δ(ppm)7.2−7.5(m,5H),4.85(m,1H),4.1(m,2H),1.5(d,3H),1.2(m,3H).
【0066】
アセトアミド誘導体を合成するために、無水酢酸(0.11mL、1.0ミリモル、2.0当量)を、DMAP(13mg、10%)、EtN(0.2mL、1ミリモル、2.0当量)と共に粗アミンの無水CHCl(10mL)溶液に添加した。得られた混合物を3時間撹拌した。溶媒を真空下で除去した。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィによって直接精製し、PE/EA(1v/1v)で溶出させると対応するアミドが得られた。ピリジル化合物(15a−15h)を、最初にエーテルで溶出させ、次いでCHCl/CHOH(10v/1v)で溶出させることによってカラムクロマトグラフィにより精製した。純粋なアミドを、キラルカラムを使用してGCによって分析した。
【0067】
アセトアミドキャラクタリゼーションの例
アリールアルキルアセトアミド:
(S)−N−(1−フェニル−プロピル)アセトアミド(12a)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率89%(0.16g);H−NMR(400MHz,C)δ(pm)0.96(t,3H,CH),1.55(m,2H,CH),1.89(s,3H,CH),5.12(dd,1H,CH),8.27(s,1H,NH),7.26(dd,3H,Ar),7.32(dd,2H,Ar);13C−NMR(C)δ(ppm):8.6,23.6,27.6,55.4,126.1,128.1,128.9,139.9,170.7;MS m/z:177.2(M),148.0(M−Ac),91.1(M−C12NO);キラルGC:RT.10.05min(83% ee).
【0068】
(S)−N−(1−フェニルブチル)アセトアミド(12b)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率71%(0.07g);融点80−82℃.H−NMR(400MHz,CDCl)δ(pm):0.93(t,J=7.6Hz,3H,CH),1.36(m,2H,CH),1.7(m,2H,CH),1.99(s,3H,CH),4.98(dd,1H,CH),5.77(s,1H,NH),7.2(dd,3H,Ar),7.30(dd,2H,Ar);13C−NMR(C)δ(ppm):13.8,19.5,23.5,38.3,53.3,126.6,127.3,128.6,142.5,169.1;MS m/z:191.1(M),148.0(M−Ac),91.1(M−C12NO);キラルGC:RT.35.26min(99% ee).
【0069】
(S)−N−[1−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(12c)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率90%(0.174g);H−NMR(C)δ(ppm)1.44(t,3H,CH),2.02(s,3H,CH),3.72(s,3H,CH),4.94(q,1H,CH),8.27(s,1H,NH),6.88(dd,2H,Ar),7.22(dd,2H,Ar);MS m/z 150.2(M),136.1(M−NH),107.2(M−CO);キラルGC:RT.27.49min(85% ee).
【0070】
(S)−N−[1−(4−メトキシ−フェニル)−エチル]−アセトアミド(12d)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率92%(0.103g);H−NMR(CDCl)δ(ppm)1.49(d,J=7.2Hz,3H,CH),1.99(s,3H,CH),2.35(s,3H,CH),5.12(m,1H,CH),5.64(s,1H,NH),7.17(d,J=7.9Hz,2H,Ar),7.28(d,J=8.0Hz,2H,Ar);キラルGC:RT.11.99min(98% ee).
【0071】
(S)−N−[1−(4−メチルフェニル)−プロピル]−アセトアミド(12e)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率91%(0.098g);H−NMR(CDCl)δ(ppm)0.92(t,J=7.6Hz,3H,CH),1.83(m,2H, CH),1.91(s,3H,CH),2.35(s,3H,CH),4.86(q,J=7.6Hz,1H,CH),5.68(s,1H,NH),7.15(dd,2H,Ar),7.28(dd,2H,Ar);MS m/z 149.2(M),148.1(M−H),132.1(M−NH),91.1(M−CHCHCHNH);キラルGC:RT.15.47min(93% ee).
【0072】
(S)−N−[1−(4−クロロ−フェニル−エチル]−アセトアミド(12f)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率77%(0.153g);H NMR(400MHz)δ1.2(J=6.8Hz,d,3H),2.05(s,3H),5.1(m,1H),5.7(s,1H,NH),7.2−7.5(m,4H).キラルGC:RT.23.6min(94% ee).
【0073】
(S)−N−インダン−1−イル−アセトアミド(12g)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率77%(66mg).HNMR(CDCl):δ(ppm)1.75(□□m,1H,CH),1.96(s,3H,CH),2.54(m,1H,CH),2.81(m,1H,CH),1.91(m,1H,CH),5.40(m,1H,CH),5.58(s,1H,NH),7.19(m,4H,Ph).13CNMR(100MHz,CDCl):δ168.7,142.5,142.1,127.0,125.8,123.0,53.8,33.1,29.2,28.7,22.5.キラルGC:(97% ee).
【0074】
(S)−N−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド(12h)のデータは次の通りである:シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率85%(0.160g).H−NMR(CDCl)δ(ppm)1.6(m,2H,CH),1.86(m,2H,CH),2.1(m,3H,CH),2.8(s,2H,CH),5.2(m,1H,CH),5.7(s,1H,NH),7.1(m,1H,Ar),7.2(m,1H,Ar),7.28(m,2H,Ar).キラルGC:(84% ee).
【0075】
(S)−N−(6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド(12i)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル(1:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;融点:133−135℃;収率24%(26mg);HNMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)1.84−1.89(m,3H,CH2),2.05(m,2H,CH2),3.83(s,3H,CH),5.12(m,1H,CH),5.67(s,1H,NH),6.66(m,1H,Ar),6.79(m,1H,Ar),7.24(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl3):δ19.8,23.6,29.6,30.2,47.0,55.3,112.7,1135,128.9,130.1,139.0,158.7,169.;MS m/z 219.1(M).150℃(5min)で、次いで5℃/minで上昇させて195℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー、31.249min;(R)−エナンチオマー,32.540min(96% ee).
【0076】
(S)−N−クロマン−4−イル−アセトアミド(12j)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル勾配上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された、0.145g、収率:76%;融点186−187℃;H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.08(s,3H),2.26(m,2H),4.21(t,2H),5.18(q,1H),5.60(s,1H),6.87(dd,1H),6.96(dd,1H),7.23(dd,1H),7.25(dd,1H);13C−NMR(CDCl)δ(ppm)23.5,29.0,43.7,63.2,117.2,120.8,121.9,129.3,129.4 155.2,169.4;GC/MS RT(min):14.35min,m/z 191.1(M),132.0(M−NHAc).キラルGC:94% ee.
【0077】
(S)−N−6−クロロクロマン−4−イル−アセトアミド(12k)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル勾配上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された、融点188−190℃;0.16g、収率73%;GC/MS RT(min):12.67min,m/z 183.1(M),167.1(M−NHAc).キラルGC:76% ee.
【0078】
(S)−N−チオクロマン−4−イル−アセトアミド(12l)のデータは次の通りである:シリコンゲル/ヘキサン:酢酸エチル上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された、融点186−188℃、0.150g、収率:71%;H−NMR(CDCl)δ(ppm)2.04(s,3H),2.44(q,2H),2.98(t,2H),5.22(t,1H),5.91,(s,1H),7.08(dd,1H),7.10(dd,1H),7.25(dd,1H),7.13(dd,1H);13C−NMR(CDCl)δ(ppm)22.7,23.4,28.1,46.8,124.5,125.5,126.8,130.5,132.6,133.5,169.1;GC/MS RT(min):16.28min,m/z 207.0(M),149.0(M−NHAc).キラルGC:99% ee.
【0079】
ピリジルアルキルアセトアミド:
(S)−N−(1−ピリジン−4−イル−エチル)−アセトアミド(15a)のデータは次の通りである:シリコンゲル/CHCl:CHOH(10:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率75%(61mg);[α]20=−74.0(c1.40,CHCl);HNMR(400MHz,CDCl)δ1.35(d,3H,J=7.2Hz,CH3),1.92(s,3H,CH3),4.98(m,1H,J=7.2Hz,CH),6.7(s,1H,NH),7.15(d,2H,J=6.0Hz,Ar),8.43(d,2H,J=4.4Hz,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl3):δ21.4,23.1,47.9,121.3,149.8,152.7,169.7;MS m/z 164.2(M).キラルGC分析:98% ee 150℃(5分維持)で,次いで5°C/minで上昇させて170℃で:(S)−エナンチオマー,17.514min;(R)−エナンチオマー,18.208min;170℃で:(S)−エナンチオマー,14.033min;(R)−エナンチオマー,14.649min;140℃で:(S)−エナンチオマー,63.084min;(R)−エナンチオマー,69.534min.
【0080】
(S)−N−(1−ピリジン−3−イル−エチル)−アセトアミド(15b)のデータは次の通りである:シリコンゲル/CHCl:CHOH(10:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率84%(69mg);[α]20=−28.3(c1.30,CHCl);HNMR(400MHz,CDCl3)δ(ppm)1.35(d,3H,J=7.2Hz,CH3),1.88(s,3H,CH3),5.00(m,1H,J=7.2Hz,CH),7.16(m,1H,Ar),7.58(m,1H,Ar),7.87(m,1H,Ar),8.36(m,1H,Ar),8.48(s,1H,NH);13CNMR(100MHz,CDCl3):δ21.6,22.8,46.5,123.3,133.9,139.5,147.8,147.9,169.7;MS m/z 164.1(M).170℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,13.628min;(R)−エナンチオマー,14.073min;150℃(15min維持)で、次いで2℃/minで上昇させて160℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,27.035min;(R)−エナンチオマー,28.076min.(99% ee).
【0081】
(S)−N−(1−ピリジン−2−イル−エチル)−アセトアミド(15c)のデータは次の通りである:シリコンゲル/CHCl:CHOH(10:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率72%(60mg);融点:100−101℃.HNMR(400MHz,CDCl):δ1.40(d,3H,J=6.8Hz,CH),1.96(s,3H,CH),5.07(m,1H,J=6.8Hz,CH),6.89(s,1H,NH),7.14−7.20(m,2H,Ar),7.62(m,1H,Ar),8.47(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl3):δ22.7,23.5,49.7,121.8,122.5,137.2,148.8,161.0,169.4;MS m/z 164.2(M).170℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,7.634min;(R)−エナンチオマー,7.860min;160℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,10.067min;(R)−エナンチオマー,10.502min;150℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,14.864min;(R)−エナンチオマー,15.458min(60% ee).
【0082】
(S)−N−[1−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−エチル]−アセトアミド(15d)のデータは次の通りである:シリコンゲル/CHCl:CHOH(10:1)上でのカラムクロマトグラフィによって白色固体として精製された;収率88%(85mg);融点:47−48℃;HNMR(400MHz,CDCl):δ13CNMR(100MHz,CDCl):δ21.3,23.4,46.3,53.5,110.9,131.4,137.2,144.6,163.6,169.2;MS m/z 194.1(M).100℃で10分間、次いで5℃/minで上昇させて170℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,39.331min;(R)−エナンチオマー,39.827min(98% ee).[α]20=−63.5(c1.85,CHCl).
【0083】
(S)−N−(1−ピリジン−3−イル−プロピル)−アセトアミド(15e)のデータは次の通りである:シリコンゲル/CHCl:CHOH(10:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率89%(80mg);[α]20=−109.7(c1.30,CHCl);HNMR(400MHz,CDCl):δ0.96(t,3H,J=7.6Hz,CH),1.88(m,2H,J=7.6Hz,CH2),4.95(m,1H,J=7.6Hz,CH),6.10(s,1H,NH),7.29(m,1H,Ar),7.64(m,1H,Ar),8.54(m,1H,Ar),8.60(m,1H,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl):δ10.7,23.3,28.8,53.0,123.5,134.5,137.8,148.4,148.7,169.5;MS m/z 178.1(M).120℃で15分間、次いで2℃/minで上昇させて150℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,61.44min;(R)−エナンチオマー,62.77min(99% ee).
【0084】
(S)−N−(1−ピリジン−4−イル−プロピル)−アセトアミド(15e)のデータは次の通りである:シリコンゲル/CHCl:CHOH(10:1)上でのカラムクロマトグラフィによって無色透明の油状物として精製された;収率85%(76mg);[α]20=−114(c1.15,CHCl);HNMR(400MHz,CDCl3):δ0.97(t,3H,J=7.6Hz,CH),1.84(m,2H,J=7.6 Hz CH2),4.93(m,1H,J=7.6Hz,CH),5.87(s,1H,NH),7.23(dd,2H,J=1.6,6.0Hz,Ar),8.60(dd,2H,J=1.6,6.0Hz,Ar);13CNMR(100MHz,CDCl):δ10.5,23.3,28.6,54.0,121.7,150.1,169.8;MS m/z 178.1(M).120℃で15分間、次いで2℃/minで上昇させて150℃でのキラルGC分析:(S)−エナンチオマー,62.43min;(R)−エナンチオマー,65.87min(96% ee).
【0085】
本発明は特定の実施態様に関連して記載されたが、当業者には、上記の説明に鑑みて、多くの変形及びバリエーションが理解できようことは明らかである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に入る全ての変形及びバリエーションを包含することを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IV:
【化1】

(式中、R、R及びRは異なり、それぞれ非置換もしくは置換の、アリール、アルキル、アラルキル又はヘテロアリール基である)を有するプロキラルケトキシムエーテルの不斉還元方法であって、
式IVを有するプロキラルケトキシムエーテルとボラン試薬から誘導されたボランとを、式II:
【化2】

(式中、R及びR基は同じか又は異なり;水素原子又は置換もしくは非置換の、アリール、アルキル、シクロアルキル又はアラルキルであり;
及びR基は異なり;水素原子又は置換もしくは非置換の、アルキル、アリール、アラルキル基であり;そしてR基はH又はシクロアルキルもしくはアラルキル基であり;
その際、置換基R、R、R、R及びR基は実質的に非反応性である)を有するキラル助剤の存在下で反応させて、式I:
【化3】

(式中、R及びRは式IVを有するプロキラルケトキシムエーテルについて上で定義されたものと同じである)を有するキラル第一級アミンを形成することを含む、プロキラルケトキシムエーテルの不斉還元方法。
【請求項2】
R及びR基がそれぞれH、フェニル又はアラルキル基である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
及びRが異なり;H、メチル、置換されたアルキル、フェニル又はアラルキル基であり、そしてR基がH又はシクロペンチル基である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
が非置換もしくは置換の、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、非置換もしくは置換のピリジル基であり、Rが非置換もしくは置換のアルキル、シクロアルキル、ピリジル又はヘテロアリール基であり、そしてRがメチル、非置換のベンジル又はニトロ、トリフルオロメチル、メトキシ基で置換されたベンジル基である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
還元が約0.1から約0.3当量の間の前記キラル助剤を必要とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記キラル助剤が:
【化4】

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記キラル助剤が:
【化5】

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記キラル助剤が:
【化6】

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記キラル助剤が:
【化7】

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記キラル助剤が:
【化8】

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記キラル助剤が:
【化9】

を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記キラル助剤を前記プロキラルケトキシムエーテルの還元の少なくとも一ヶ月前に製造する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記キラル助剤を実質的に湿気のない環境下で添加する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
溶媒及び前記ボラン試薬を前記混合成分に添加して混合物を作製する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
得られた溶液が、前記混合物を室温で所定の時間にわたり撹拌することによって形成される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記プロキラルケトキシムエーテルを有効量の溶媒の存在下で前記得られた溶液に選択的に添加する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記得られた溶液及び前記プロキラルケトキシムエーテルをアミンが形成されるまで撹拌する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
反応を有効量の少なくとも1種の酸性化合物と少なくとも1種の塩基性化合物で停止させて塩基性溶液を生成させる、請求項17記載の方法。
【請求項19】
水溶液を溶媒で抽出して第一級アミンを生成させる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
組み合わされた有機相を飽和された化合物の溶液で洗い、更に乾燥剤で乾燥させる、請求項19記載の方法。
【請求項21】
残存する溶媒を真空条件下で除去する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
得られた残留物をアセチル化してアミン誘導体を生成させる、請求項21記載の方法。
【請求項23】
反応を有効量のメタノールで停止させ、次いで所定の時間にわたり還流する、請求項17記載の方法。
【請求項24】
溶媒が約4mlから約10mlまでのジオキサンを含む、請求項14記載の方法。
【請求項25】
ボラン試薬が約4当量から約5当量までのBH・THFを含む、請求項14記載の方法。
【請求項26】
前記所定の時間が約30分から約60分までの間を含む、請求項15記載の方法。
【請求項27】
前記選択的添加が一滴ずつを基本として実施される、請求項16記載の方法。
【請求項28】
反応を約5mlのメタノールで停止させ、次いで約6時間にわたり還流する、請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記キラル助剤が、最大99%の鏡像異性体過剰率を得るために前記プロキラルケトキシムエーテルを還元することが可能である、請求項1記載の方法。
【請求項30】
請求項1記載の方法によって合成されたアミンを含む医薬品化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−502632(P2010−502632A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526807(P2009−526807)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/076195
【国際公開番号】WO2008/027740
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(509059859)オフィス オブ インテレクチュアル プロパティ アンド テクノロジー (1)
【氏名又は名称原語表記】Office Of Intellectual Property And Technology
【住所又は居所原語表記】Vicepresidency For Research And Technology, University Of Puerto Rico, Botanical Garden South, 1187 Flamboyan Street, San Juan PR 00926−1117, United States of America
【Fターム(参考)】