説明

スピン波素子

【課題】 本発明の実施形態によれば、スピン波素子のスピン波の集積化が行えて、スピン波素子が発生するスピン波の相互干渉を抑制することができるスピン波素子を提供することができる。
【解決手段】 基板と、前記基板上に設けられた電極層と、前記電極層上に設けられ、磁化が積層方向又は積層方向に対して垂直方向に向いている第1の強磁性層を含む多層膜と、前記多層膜上の第1の領域に設けられた第2の強磁性層と、前記第2の強磁性層上に設けられた中間層と、前記中間層上に設けられた第3の強磁性層と、前記多層膜上の前記第1の領域と離間して設けられた前記多層膜上の第2の領域に設けられた検出部と、前記第3の強磁性層上に設けられた第1の電極と、前記検出部上に設けられた第2の電極と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スピン波素子に関する。
【背景技術】
【0002】
高度情報化の流れを支えてきたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)は、加工サイズの物理限界に係る問題、又は消費電力の問題等がある。
【0003】
CMOSに代わるデバイスとして、磁性体を用いたスピン波素子が検討されている。スピン波素子ではCMOS回路とは異なり、磁性体中に誘起させた磁化のゆらぎが伝わる現象(スピン波)を信号の伝達に利用する。スピン波素子は、スピン波を伝搬させる磁性膜を含むスピン波媒体と、スピン波媒体にスピン波を励起するスピン波発生部と、スピン波を検出する検出部で構成される.
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Phys. Rev. Lett., 89 (2002) 2370202-1.
【非特許文献2】ACM Journal on Emerging Technologies in Computing Systems, Vol. 3, No. 2 (2007).
【非特許文献3】J. Slonczewski : J.Magn. Magn. Mater., 159 (1996) L1.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スピン波を励起する構造として、スピン波媒体の上部にライン状の伝送線路を設け、これに電流を流すことにより発生する磁界でスピン波を励起させる手段がある。しかしこの構造によれば、伝送線路に面積を取られるため多入力の電極として使用するに適した構造ではなく、また、励起に要する消費電力を抑えるのが難しい。また、伝送線路間の干渉も大きな課題となる.
【0006】
そこで本発明の実施形態によれば、励起に要する電力が小さく、短波長のスピン波を励起して演算の種類を増やすことができるスピン波素子を提供することを目的とする。また、集積化に適したスピン波素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るスピン波素子は、基板と、前記基板上に設けられた電極層と、前記電極層上に設けられ、磁化が積層方向又は積層方向に対して垂直方向に向いている第1の強磁性層を含む多層膜と、前記多層膜上の第1の領域に設けられた第2の強磁性層と、前記第2の強磁性層上に設けられた中間層と、前記中間層上に設けられた第3の強磁性層と、前記多層膜上の前記第1の領域と離間して設けられた前記多層膜上の第2の領域に設けられた検出部と、前記第3の強磁性層上に設けられた第1の電極と、前記検出部上に設けられた第2の電極と、を備え、前記第2の強磁性層又は前記第3の強磁性層の何れか一方の磁化は可変であり、他方の磁化は一方向に固着されており、前記磁化自由層の膜厚をtとし、前記磁化自由層の重心から外縁までの距離をrとするとき、r>0.27t−1.9t+13である関係を満たすことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係るスピン波素子を示す図。
【図2】第1の実施形態に係るスピン波素子を示す図。
【図3】第1の実施形態に係るスピン波素子を示す図。
【図4】入力部を示す図。
【図5】入力部を示す図。
【図6】入力部を示す図。
【図7】還流磁区を示す図。
【図7A】磁化自由層を示す図。
【図8】第2の実施形態に係るスピン波素子を示す図。
【図9】第2の実施形態に係るスピン波素子を示す図。
【図10】スピン波素子の変形例を示す図。
【図11】スピン波素子の変形例を示す図。
【図12】スピン波素子の変形例を示す図。
【図13】スピン波素子の変形例を示す図。
【図14】第3の実施形態に係るスピン波素子を示す図。
【図15】スピン波素子の実施例を示す図。
【図16】スピン波素子の実施例を示す図。
【図17】スピン波素子の実施例を示す図。
【図18】スピン波素子の実施例を示す図。
【図19】スピン波素子の実施例を示す図。
【図20】スピン波素子の実施例を示す図。
【図21】スピン波素子の実施例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本発明の各実施形態を説明する。同じ符号が付されているものは同様のものを示す。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
(第1の実施形態)
【0010】
図1は、スピン波素子10を示す図である。
【0011】
図1の上図は、スピン波素子10を構成する多層膜30をスピン波素子10の面内に対して垂直方向(多層膜30の積層方向)から眺めた図を示す。また、図1の下図は、スピン波素子10の断面図を示す。
【0012】
図1の下図に示すように、スピン波素子10は、基板20上に電極層25が設けられている。そして電極層25上に多層膜30が設けられている。多層膜30の上には検出部50と複数の入力部40が設けられ、入力部40及び検出部50は非磁性層70を介して分離されている。また、入力部40及び検出部50上には電極80、90が設けられている。また、多層膜30を囲うように非磁性絶縁層60が電極層25上に形成されている。すなわち、非磁性絶縁層60が、多層膜30の積層方向に対して垂直な方向において多層膜30を覆っている。また、多層膜30は多層膜30の積層方向に対して平行な方向に磁化が向いた(磁化が積層方向を向いた)層を含んでいる。多層膜30上の入力部40が設けられている領域を第1の領域とする。多層膜30上の検出部50が設けられている領域を第2の領域とする。
【0013】
図1の上図に示すようにスピン波素子10は、1つの検出部50に対して複数の入力部40が設けられている。
【0014】
図1の上図では、多層膜30の外縁が楕円形状を有している。しかしながら、多層膜30の形状は、楕円形状に限らず、円形、又は矩形状等でもよい。
【0015】
また、入力部40と検出部50との間に入力部40が設けられていてもよい。
【0016】
図2は、スピン波素子10の多層膜30の構造を示す図である。多層膜30は、非磁性層31、強磁性層32、非磁性層33が順に設けられた構造を有する。非磁性層33上の入力部40が設けられる領域を第1の領域とする。非磁性層33上の検出部50が設けられる領域を第2の領域とする。
【0017】
基板20には、例えばSiを用いることができる。また、基板20をCMOSとしても良い。この場合、電極層25は省略できる。
【0018】
電極層25には、例えば銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)を用いることができる。これらの元素から少なくとも2種類含む合金として用いてもよい。また、これらの元素から少なくとも1つを選択して、他の元素と組み合わせて合金としても良い。
【0019】
非磁性層31、33には、例えばTa、Ru、Pt、Pd、Ir、Cu、Au、Ag、Cr、又はAlを用いることができる。これらの元素を少なくとも2種類含む合金として用いてもよい。また、これらの元素から少なくとも1つを選択して、他の元素と組み合わせて合金としても良い。これらの元素を積層構造として用いてもよい。また、MgO、アルミナ(Al)、又はSiOなどの非磁性絶縁体を用いることもできる。
【0020】
強磁性層32は、面内方向に対して垂直方向(積層方向)に磁化が向いた層である。強磁性層32には、例えばFeVPd、FeCrPd、CoFePt等を用いることができる。すなわち、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)から選択される少なくとも一つの元素を含む磁性金属により構成する。また、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)から選択される少なくとも一つの元素と、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)から選択される少なくとも一つの元素との組み合わせによる合金を用いることができる。これらは、構成する磁性材料の組成や熱処理により特性を調整することができる。また、TbFeCo、GdFeCoなどの希土類−遷移金属のアモルファス合金、またはCo/Pt、Co/Pd、Co/Niの積層構造なども望ましい。さらに、非磁性層31、33との組み合わせで垂直磁化となるCo/Ru、Fe/Au、Ni/Cu等は、膜の結晶配向方位を制御することで用いることができる。強磁性層32には、他にもイットリウム鉄ガーネットや、マンガンフェライト、又はγ―酸化鉄のようなフェライト系酸化物を用いるとスピン波の損失を少なくすることができる。さらに、磁性半導体を用いることで機能性を向上させることもできる。
【0021】
検出部50には、例えば銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、又はタングステン(W)を用いることができる。また、これらの元素を組み合わせてもよい。これらの元素を少なくとも2種類含む合金としてもよい。また、これらの元素から少なくとも1つを選択して、他の元素と組み合わせて合金としても良い。また、カーボンナノチューブやカーボンナノワイヤーも用いることができる。
【0022】
入力部40の形状は、円形、楕円形、もしくは多角形等のドット形状である。ドット形状とすることで球面波状のスピン波を入力部40にて生成する。入力部40の大きさは、入力部40と多層膜30との接触面の最大直径が500nm以下であることが磁区制御上で望ましく、さらに100nm以下であることが励起効率および集積化する上で望ましい。なお、接触面の最小直径は1nmであることが好ましい。1nmより小さいと、スピン波を励起するためのエネルギーが大きくなるため好ましくない。ここで「直径」とは、ドット形状が楕円形の場合には長軸の長さを意味し、四角形または多角形の場合は対角線の長さを意味する。
【0023】
検出部50の形状は、例えば円形、楕円形、四角形、多角形などのドット形状とすることができる。検出部50の大きさ(平均直径)は強磁性層32内を伝わるスピン波の波長とは異なる大きさであることが好ましい。これは、スピン波の波長と検出部50の大きさが同じ大きさであると検出部50側でスピン波が打ち消される恐れがあるからである。
【0024】
非磁性絶縁層60には、例えばSiO、Al、MgO、AlN、SiNO等を用いることができる。
【0025】
非磁性層70には、非磁性絶縁層60と同じ材料を用いることができる。非磁性絶縁層60と同一の材料を用いると製造が容易となり好ましい。また、後述するように出力に近接場光を利用する場合には、例えばAu(金)、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Cu(銅)、又はこれらの元素を少なくとも2種類含む合金などの非磁性金属を用いることができる。また、これらの元素から少なくとも1つを選択して、他の元素と組み合わせて合金として非磁性金属として用いても良い。
【0026】
電極80、90には、導電性の磁性材料又は非磁性材料を用いる。
【0027】
磁性材料としては、磁化容易軸が膜面に対して略平行となる面内磁化膜又は垂直となる垂直磁化膜を用いることができる。面内磁化膜としては、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)から選択される少なくとも一つの元素を含む磁性金属を用いることができる。垂直磁化膜としては、強磁性層32と同様の材料を用いることができる。
【0028】
非磁性材料としては、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、又はアルミニウム(Al)を用いることができる。また、これらの元素を組み合わせて合金としてもよい。さらに、非磁性材料としてはカーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、又はグラフェン等の材料を用いることができる。
【0029】
図3は、入力部40を示す図である。
【0030】
入力部40は、中間層38を磁化固着層37と磁化自由層39で挟んだ構造である。
【0031】
磁化固着層37、磁化自由層39は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、及びクロム(Cr)から選択される少なくとも一つの元素を含む磁性金属からなる。また、磁化固着層37及び磁化自由層39は強磁性である。
【0032】
中間層38には、例えばスピン拡散長の長いCuを用いることができる。
【0033】
図3では、磁化自由層39が非磁性層33上に設けられているが、図4に示すように、上下が逆であってもよい。
【0034】
図4に示すように、磁化固着層37又は磁化自由層39の何れか一方の層は、磁化の向きが積層方向に対して平行であり、他方の層は磁化の向きが積層方向に対して垂直である。磁化固着層37は磁化の向きが一方向に固着されている。磁化自由層39は磁化の向きが可変である。磁化の向きが積層方向に対して平行である場合には、紙面上向きと紙面下向きの2つの場合がある。
【0035】
図5に示すように、入力部40の形状は積層方向に対してテーパー形状又は逆テーパー形状であってもよい。
【0036】
図6は、入力部40の鳥瞰図である。磁化自由層39の膜厚t(nm)と、磁化自由層39の膜面の重心から磁化自由層39の外縁までの距離r(nm)は、次の式1を満たしている。距離rは、半径であることが好ましい。なお、図6では、入力部40は円柱形状としている。しかし、形状はこれに限られず、楕円形状、矩形状等でもよい。
【0037】
r>0.27t−1.9t+13 … (式1)
【0038】
図7は、還流磁区(ボルテックスともいう)の概念図を説明する図である。
【0039】
式1の条件で、入力部40に電流を積層方向に流すと磁化自由層39内で還流磁区を作り、還流磁区の中心にコアが形成される。コアとは磁化が還流磁区の中心で立っている様子をいう。還流磁区には、コアが磁化自由層39の面内の中心に固着されるモード(図7の下図)と、磁化自由層39の外周を回転するモード(図7の上図)が存在する。前者を還流磁区固着と呼び、後者を還流磁区発振と呼ぶ。還流磁区発振と還流磁区固着は、入力部40に流す電流値の大小によって決まる。
【0040】
図7からわかるように、還流磁区発振及び還流磁区固着の何れでも磁化自由層39の膜面の重心から外周までの距離よりも小さな大きさのコアが形成されることがわかる。
【0041】
通常、磁化自由層39の磁化は図7Aに示すように任意の方向に磁化が向いている。磁化自由層39に対して積層方向に電流を流すと、磁化は還流磁区を作ることなく一様な歳差運動をするため、強磁性層32へは磁化自由層39の長軸程度の波長のスピン波が励起されることとなる。一方でスピン波素子10によれば、還流磁区が作られることにより、それによって磁界励起、あるいはスピントルク励起されるスピン波の波長は還流磁区のコア径程度となる。スピン波素子10を用いることで短波長のスピン波を重ね合わせることができるため、演算の種類を増やすことができる。
【0042】
ある電流値に到達すると、初めは還流磁区発振が発生する。さらに、大きな電流値に到達すると、還流磁区固着が発生する。
【0043】
還流磁区が発生する条件については、LLG(Landau−Liftshitz−Gilbert)方程式を用いることで下記の式2として導出できる(例えば、非特許文献3を参照)。
【数1】

【0044】
は電流密度、Mは磁化、tは膜厚、Hpinは磁化固着層37からの漏れ磁界、g(θ)はSlonczewskiのモデルにおけるスピントルク効率を示す。式2に示す電流密度Jよりも大きな電流を流せば、還流磁区が発生する。
【0045】
非磁性層33にRuを用いた場合には、還流磁区発振や還流磁区固着に寄与するスピントルクは磁化固着層37で偏極した電子のみとなるため、強磁性層32にスピン波を磁界励起する効率を上げることができる。これは、Ruがスピン偏極していた電子の向きを不揃いにするため、多層膜30に由来するスピントルクの寄与を小さくすることができるからである。
【0046】
次に、本実施形態に係るスピン波素子10の動作原理について説明する。
【0047】
電極80から入力部40を介して電流を電極層25に向けて流す。このとき、磁化自由層39が還流磁区を形成する。還流磁区発振する場合、磁界励起によって強磁性層32内の磁化が歳差運動を始める。この磁化の歳差運動が強磁性層32内で次々と伝わることでスピン波が生じる。このスピン波は入力部40がドット形状であることから球面波として強磁性層32の面内を広がる。一方、還流磁区固着の場合は磁化自由層39に形成されたコアによって電子がスピン偏極し、スピントルクによって強磁性層32内の磁化が歳差運動を始める。この磁化の歳差運動が強磁性層32内で次々と伝わることでスピン波が生じる。また、非磁性層33にRuを用いた場合は、磁化自由層39に形成されたコアによって、強磁性層32内の磁化が磁界励起されて歳差運動を始める。
【0048】
そして、入力部40側の強磁性層32内で発生したスピン波が検出部50側に伝わる。このとき、誘導起電力あるいは、スピンポンピング効果とインバーススピンホール効果の組み合わせにより、検出部50で電位が生じる。これを検出することでスピン波の検出を行う。なお、スピンポンピング効果とインバーススピンホール効果とは、スピン波が非磁性金属にスピン偏極電子として吸い上げられ、そのスピン偏極電子が散乱することで電位が変化する現象をいう。
【0049】
次に、スピン波素子10の製造方法の一例について説明する。
【0050】
まず、基板20上に電極層25を形成した後に、これらを超高真空スパッタ装置内に配置する。
【0051】
次に、基板20上に形成された電極層25上に、非磁性層31、強磁性層32、非磁性層33の順に形成する。ここまでで多層膜30が形成されることになる。この上に磁化自由層39、中間層38、磁化固着層37を形成する.酸化を防止するため、磁化固着層37の上にキャップ層を設ける。磁場中でのアニールにより、強磁性層32と磁化固着層37の磁化を積層方向に平行な方向へ向かせる。
【0052】
キャップ層上にレジストを塗布し、ステッパ露光装置を用いてレジストを露光して現像する。このとき、レジストを所望の形状にパターンニングする。さらに、イオンミリングによって、入力部40、出力部50、非磁性層31、強磁性層32、及び非磁性層33の周囲を削り多層膜30を形成する。
【0053】
次に、基板20上、及びマスク上に非磁性絶縁層60を形成する。その後、キャップ層上に形成されたマスクを除去して非磁性絶縁層60及び多層膜30上に非磁性層70を形成する。
【0054】
次に、非磁性層70及びキャップ層上に電子線レジストを塗布して電子線露光を行うことで、入力部40、及び検出部50に対応したマスク形成する。そして、形成されたマスクを用いて非磁性層33が露出するまでイオンミリングして入力部40及び検出部50を形成する。続いて、入力部40及び検出部50を絶縁埋め込みすべく絶縁膜を成膜し、レジストマスクをリフトオフする。
【0055】
次に、非磁性層70上、入力部40上、及び検出部50上にレジストを塗布する。このレジストをKrFステッパ露光装置を用いてパターンニングして、レジスト中に入力部40及び検出部50に電極80、90を接続するための開口部を形成する。そして、金属を成膜してこの開口部に金属を埋め込んだ後にレジストを除去して電極80、90を形成し、スピン波素子10が製造される。
【0056】
なお、電極80、90にはこの後に配線を設けて電気的入出力を行う。
【0057】
スピン波素子10によれば、入力部40よりも小さな大きさでスピン波を生成することができる。
【0058】
スピン波素子は、加算器、情報処理デバイス、又は信号処理デバイス等を構成することができる。加算器にスピン波素子を用いる場合には、入力部を複数設けて、複数の入力部から発生するスピン波の重ね合わせを検出部で検出する。また、信号処理デバイスにスピン波素子を用いる場合には、例えば、値が「1」の入力に対しては正の電流をスピン波素子に流し、値が「0」の入力に対しては電流は流さないとすることで信号処理を行う。
(第2の実施形態)
【0059】
図8は、スピン波素子100を示す図である。
【0060】
スピン波素子100は、強磁性層110が積層方向に対して垂直な方向(面内に対して平行な方向)に磁化が向いている点がスピン波素子10と異なる。強磁性層110を長手方向を有する形状とすることで、強磁性層110の磁化を長手方向に固着させることができる。
【0061】
強磁性層110には、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、及びクロム(Cr)から選択される少なくとも一つの元素を含む磁性金属からなる。
【0062】
また、図9に示すように電極層25と非磁性層31との間に反強磁性層120を設けてもよい。反強磁性層120を設けることで、強磁性層110の磁化の向きが面内方向へ安定する。
【0063】
反強磁性層120の材料としては、Fe−Mn、Pt−Mn、Pt−Cr−Mn、Ni−Mn、Pd−Mn、Pd−Pt−Mn、Ir−Mn、Pt−Ir−Mn、NiO、Fe、又は磁性半導体等を用いることができる。
【0064】
かかる場合には非磁性層31には、トンネル絶縁膜材料又は非磁性金属材料を用いることができる。
【0065】
トンネル絶縁膜材料としては、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)から選択される少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物、フッ化物、又は酸窒化物などを用いることができる。また、他にもAlAs、GaN、AlN、ZnSe、ZnO、MgOなどの大きなエネルギーギャップを有する半導体材料を用いることもできる。トンネル絶縁膜材料が用いられた場合、抵抗を下げるために約0.2nmから2.0nm程度とすることが望ましい。
【0066】
非磁性金属材料としては、例えば銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、又はアルミニウム(Al)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、白金(Pt)を用いることができる。また、これらの元素を組み合わせて合金としてもよい。この場合の非磁性層31の膜厚は1.5nm以上20nm以下であることが好ましい。
(変形例1)
【0067】
図10は、スピン波素子10の入力部40の変形例である入力部41を示す図である。
【0068】
非磁性層33上において、入力部41の側面を挟むようにして保護層71が設けられている。そして保護層71をさらに挟むようにしてシールド72が設けられている。すなわち、入力部41の側面を保護層71が覆い、さらに保護層71をシールド72が覆っている。
【0069】
保護層71には、例えばAl(アルミニウム)、Ti(チタン)、Zn(亜鉛)、Zr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Si(シリコン)、Mg(マグネシウム)、及びFe(鉄)から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物又は弗化物を用いることができる。具体的には、Al、SiO、MgO、AlN、Ta−0、Al−Zr−O、Bi、MgF、CaF、SrTiO、AlLaO、Al−N−O、Si−N−Oを用いることができる。
【0070】
また、保護層71には、非磁性半導体を用いることができる。非磁性半導体は、ZnOx、InMn、GaN、GaAs、TiOx、Zn、又はTe等である。また、非磁性半導体に遷移金属をドープしてもよい。
【0071】
シールド72には、例えばFe、Co、Ni、Mn、及びCrから選択される少なくとも1つの元素と、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ir(イリジウム)、Ru(ルテニウム)、及びRh(ロジウム)から選択される少なくとも1つ以上の元素との組み合わせによる合金を用いることができる。シールド72には、TbFeCo、GdFeCo等の希土類−遷移金属のアモルファス合金、又はCo/Pt、Co/Pd、Co/Niの積層構造等を用いてもよい。
【0072】
本変形例によれば、入力部41からの漏洩磁界を防ぐことができるので、入力部41を隣接して複数設けることができる。その結果、複数の入力部による多入力演算ができるようになる。
(変形例2)
【0073】
図11は、スピン波素子10の検出部50の変形例である検出部51を示す図である。
【0074】
検出部51は、検出部51内に強磁性層35と反強磁性層34とが設けられている点が、スピン波素子10の検出部50と異なる。
【0075】
強磁性層35は、多層膜30の積層方向に対して平行又は垂直な方向(面内方向)に磁化が向いている。強磁性層35は、強磁性層32と同じ材料を用いることができる。
【0076】
反強磁性層34は、反強磁性層120と同じ材料を用いることができる。
(変形例3)
【0077】
図12は、スピン波素子10の検出部50の変形例である検出部52を示す図である。
【0078】
検出部52は、検出部52内に磁化固着層37と磁化自由層39とが中間層38を挟んで設けられている点が、スピン波素子10の検出部50と異なる。
(変形例4)
【0079】
図13は、スピン波素子10の変形例を示す図である。図13はスピン波素子10を上面から眺めた図である。
【0080】
図13に示すように、入力部40と検出部50とを結ぶ経路が一方向に延在する細線になっていても良い。
(第3の実施形態)
【0081】
図14は、スピン波素子200を示す図である。
【0082】
スピン波素子10とは、1本の信号線を2本のグランド線で挟んだ検出部になっている点が異なる。なお、図14では、スピン波素子200を上から眺めた図を示す。なお、グランド線は片側に一本だけ配置してもよい.
【0083】
スピン波素子200は、誘導起電力によってスピン波を検出することができる。
【0084】
グランド線及び信号線には、導電性の磁性材料又は非磁性材料を用いることができる。
【0085】
非磁性材料としては、Au、Cu、Cr、Zn、Ga、Nb、Mo、Ru、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Pt、Bi、及びAlから選択される少なくとも1つの元素又はこれらの合金を用いることができる。また、非磁性材料には、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、又はグラフェン等を用いることもできる。
(実施例1)
【0086】
入力部40を設計し、マイクロマグネティクスを用いたシミュレーションを行った。磁化固着層37の膜厚を8nm、磁化Msを1000emu/cc、一軸磁気異方性Kuを8Merg/cmとした。中間層38の膜厚を8nmとして材料はCuとした。磁化自由層39の膜厚を3nm、磁化Msを800emu/cc、一軸磁気異方性Kuを5000erg/cmとした。磁化固着層37の磁化の向きは面内に対して垂直方向を向いているものとした。磁化自由層39の磁化の向きは面内に対して平行方向に向いているものとした。
【0087】
入力部40の直径を50nmとした。
【0088】
図15は、入力部40に50μAの電流を流したときの磁化自由層39の磁化が歳差運動をしている様子を示す図である。縦軸が磁化自由層39の磁化の歳差運動の振幅を示す。横軸が時間(ns)を示す。電流は磁化自由層39の膜面に対して垂直方向に流している。
【0089】
図15から、磁化自由層39の磁化が歳差運動していることがわかる。ここで磁化自由層39は還流磁区発振している。なお、かかる歳差運動は100ns以上継続していた。
【0090】
図16は、磁化自由層39で発生した磁界の周波数と電流の関係を示す図である。縦軸が磁化自由層39で発生した磁界の周波数(GHz)を示す。横軸が入力部40に流した電流(μA)を示す。
【0091】
図16から、入力部40に流す電流値によって磁化自由層39で発生する磁界が変化していることがわかる。
(実施例2)
【0092】
多層膜30上に入力部40を設けた構成を設計し、マイクロマグネティクスを用いたシミュレーションを行った。多層膜30上に、磁化自由層39、中間層38、磁化固着層37の順に形成した。強磁性層32の膜厚を10nm、磁化Msを600emu/cc又は800emu/ccとした。磁化固着層37の膜厚を8nm、磁化Msを1000emu/cc、一軸磁気異方性Kuを8Merg/cmとした。中間層38の膜厚を8nmとして材料はCuとした。磁化自由層39の膜厚を3nm、磁化Msを800emu/cc、一軸磁気異方性Kuを5000erg/cmとした。磁化固着層37の磁化の向きは面内に対して垂直方向を向いているものとした。磁化自由層39の磁化の向きは面内に対して平行方向に向いているものとした。
【0093】
入力部40の直径を50nmとした。
【0094】
図17は、強磁性層32の共鳴周波数と一軸磁気異方性Kuとの関係を示す図である。縦軸が強磁性層32の共鳴周波数(GHz)を示す。横軸が強磁性層32の一軸異方性Ku(Merg/cc)を示す。
【0095】
図16を用いて説明したように、所定の電流を流すとそれに応じた周波数の磁界が磁化自由層39から発生する。図17は、この周波数の磁界で効率よくスピン波を励起するために強磁性層32は図17に示す一軸磁気異方性Kuをもつことが好ましいことを示している。これによって、還流磁区発振で強磁性層32にスピン波を磁界励起することができる。
(実施例3)
【0096】
非磁性層33上に入力部40を4つ設けた構成を設計し、マイクロマグネティクスを用いたシミュレーションを行った。多層膜30上に、磁化自由層39、中間層38、磁化固着層37の順に形成した。非磁性層33の膜厚を2nm、3nm、5nm、又は10nmとした。非磁性層33にはRuを用いた。磁化固着層37の膜厚を8nm、磁化Msを1000emu/cc、一軸磁気異方性Kuを8Merg/cmとした。中間層38の膜厚を8nmとして材料はCuとした。磁化自由層39の膜厚を3nm、磁化Msを800emu/cc、一軸磁気異方性Kuを5000erg/cmとした。磁化固着層37の磁化の向きは面内に対して垂直方向を向いているものとした。磁化自由層39の磁化の向きは面内に対して平行方向に向いているものとした。
【0097】
入力部40の直径を50nmとした。電流を入力部40の積層方向に対して流した。
【0098】
図18は、磁界励起により4つの入力部40で発生したスピン波の磁化の様子を示す図である。図18の上図は、0psでの様子を示している。図18の下図は、200ps後の様子を示している。入力部40からスピン波が発生していることがわかる。
【0099】
なお、非磁性層33の膜厚が2nm、3nm、5nm、10nmのとき、強磁性層32の上端位置での磁界強度はそれぞれ350Oe、260Oe、150Oe、50Oeであった。
(実施例4)
【0100】
入力部40を設計し、マイクロマグネティクスを用いたシミュレーションを行った。磁化固着層37の膜厚を8nm、磁化Msを1000emu/cc、一軸磁気異方性Kuを8Merg/cmとした。中間層38の膜厚を8nmとして材料はCuとした。磁化自由層39の膜厚を3nm、磁化Msを800emu/cc、一軸磁気異方性Kuを5000erg/cmとした。磁化固着層37の磁化の向きは面内に対して垂直方向を向いているものとした。磁化自由層39の磁化の向きは面内に対して平行方向に向いているものとした。
【0101】
入力部40の直径を50nmとした。
【0102】
図19は、入力部40に50μAの電流を流し、かつ磁化自由層39の膜面に垂直な方向から磁界を印加したときに、磁化自由層39が発生する磁界の周波数を示す図である。縦軸が磁化自由層39が発生した磁界の周波数(GHz)を示す。横軸が磁界強度(Oe)を示す。電流は磁化自由層39の膜面に対して垂直方向に流している。
【0103】
図19から、磁界強度に応じて磁化自由層39が発生した磁界の周波数が変化していることがわかる。特に、磁界強度が−300Oe以上−200Oe未満では、磁化自由層39が発生した磁界の周波数は6.1GHzで一定である。しかしながら、磁界の位相は変化している。すなわち、印加する磁界強度を適切な値にすることで、磁化自由層39が発生する磁界の周波数は変えずに磁界の位相を変化させることができる。これにより、スピン波が重ねあった時の演算結果を変えることができるため、演算の種類を増やすことができる。なお、磁界はコイル等を用いて印加することができる。コイルに電流を流しても良い。コイルの一部を電極として用いても良い。
(実施例5)
【0104】
非磁性層33上に入力部40を設けた構成を設計し、マイクロマグネティクスを用いたシミュレーションを行った。非磁性層33上に、磁化自由層39、中間層38、磁化固着層37の順に形成した。非磁性層33の膜厚を3nmとした。非磁性層33にはCuを用いた。磁化固着層37の膜厚を8nm、磁化Msを1000emu/cc、一軸磁気異方性Kuを8Merg/cmとした。中間層38の膜厚を8nmとして材料はCuとした。磁化自由層39の膜厚を1n、3nm、又は5.8nm、磁化Msを800emu/cc、一軸磁気異方性Kuを5000erg/cmとした。磁化固着層37の磁化の向きは面内に対して垂直方向を向いているものとした。磁化自由層39の磁化の向きは面内に対して平行方向に向いているものとした。
【0105】
図20は、入力部40に電流を流したときの磁化自由層39の膜厚と磁化自由層39の膜面の重心からの外周までの距離に対して還流磁区が作られる関係を示す図である。磁化自由層39の膜面の重心からの外周までの距離は磁化自由層39の形状を円形とし、磁化自由層39の膜面の中心から定義している。縦軸が磁化自由層39の膜面の重心からの外周までの距離(nm)を示す。横軸が磁化自由層39の膜厚(nm)を示す。電流は磁化自由層39の膜面に対して垂直方向に流している。
【0106】
図20の点線より上の領域は磁化自由層39が還流磁界(ボルテックス)を形成する範囲を示している。この点線をもとに2次関数でフィッティングした。かかるフィッティングにより、磁化自由層39の膜面の重心からの外周までの距離r(nm)と膜厚t(nm)には、r>0.27t−1.9t+13の関係を満たす場合に、磁化自由層39で還流磁界が形成されることがわかった。
【0107】
図21は、入力部40に90μAの電流を流したときの磁化自由層39の磁化が立つ様子を示す図である。磁化自由層39の大きさによらず、還流磁界のコアの大きさが一定(10nm程度)であることがわかる。電流は磁化自由層39の膜面に対して垂直方向に流している。この時、強磁性層32には、コアの大きさ程度の波長のスピン波がスピントルクで励起された。なお、非磁性層33にRuを用いる場合、入力部40に90μAの電流を流すと、強磁性層32にはコアの大きさ程度の波長のスピン波が磁界励起される。
【0108】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0109】
10 … スピン波素子、20 … 基板、25 … 電極層、30 … 多層膜、40 … 入力部、50 … 検出部、60 … 非磁性絶縁層、70 … 非磁性層、80、90 … 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた電極層と、
前記電極層上に設けられ、磁化が積層方向又は積層方向に対して垂直方向に向いている第1の強磁性層を含む多層膜と、
前記多層膜上の第1の領域に設けられた第2の強磁性層と、
前記第2の強磁性層上に設けられた中間層と、
前記中間層上に設けられた第3の強磁性層と、
前記多層膜上の前記第1の領域と離間して設けられた前記多層膜上の第2の領域に設けられた検出部と、
前記第3の強磁性層上に設けられた第1の電極と、
前記検出部上に設けられた第2の電極と、
を備え、
前記第2の強磁性層又は前記第3の強磁性層の何れか一方の磁化は可変であり、他方の磁化は一方向に固着されており、前記磁化自由層の膜厚をtとし、前記磁化自由層の重心から外縁までの距離をrとするとき、
r>0.27t−1.9t+13
である関係を満たすことを特徴とするスピン波素子。
【請求項2】
積層方向に垂直な方向において前記入力部を挟んでいる保護層と、
前記保護層を挟んでいるシールドと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のスピン波素子。
【請求項3】
前記第2の強磁性層、前記中間層、及び前記第3の強磁性層は入力部であり、前記入力部は、円柱形状、楕円柱形状、又は多角柱形状であることを特徴とする請求項1に記載のスピン波素子。
【請求項4】
基板と、
前記基板上に設けられた電極層と、
前記電極層上に設けられた第1の非磁性層と、
前記第1の非磁性層上に設けられ、磁化が積層方向又は積層方向に対して垂直方向に向いている第1の強磁性層と、
前記第1の強磁性層上に設けられた第2の非磁性層と、
前記第2の非磁性層上の第1の領域に設けられた第2の強磁性層と、
前記第2の強磁性層上に設けられた中間層と、
前記中間層上に設けられた第3の強磁性層と、
前記第2の非磁性層上の前記第1の領域と離間して設けられた前記第2の非磁性層上の第2の領域に設けられた検出部と、
前記第3の強磁性層上に設けられた第1の電極と、
前記検出部上に設けられた第2の電極と、
を備え、
前記第2の強磁性層又は前記第3の強磁性層の何れか一方の磁化は可変であり、他方の磁化は一方向に固着されており、前記磁化自由層の膜厚をtとし、前記磁化自由層の重心から外縁までの距離をrとするとき、
r>0.27t−1.9t+13
である関係を満たすことを特徴とするスピン波素子。
【請求項5】
前記第2の非磁性層はRuを含むことを特徴とする請求項4に記載のスピン波素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図15】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−60033(P2012−60033A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203610(P2010−203610)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】