説明

スピードスプレーヤ

【課題】脇見運転をすることないとともに、閉閉すべき開閉コック等の開閉操作手段をその都度確認することなく、開閉操作手段の操作を行うことができて、安全に散布作業を行うことができるスピードスプレーヤを提供する。
【解決手段】自走可能な自走台車に運転席部、薬液タンクおよび噴頭部が設けられ、噴頭部に複数個のノズルが複数個のノズル群に分けられて自走台車の前後方向に直交する方向に沿って設けられ、各ノズル群にそれぞれ薬液タンクの薬液を送る送液路が設けられ、各送液路にそれぞれ各送液路を開閉する散布コック31、32、33、34が設けられ、散布コックは運転席部に設けられているスピードスプレーヤにおいて、複数個のノズル群は、偶数個が設けられて、左右対称に配置され、各ノズル群に対応する散布コックは、運転席部の運転席の前側に、ステアリング52のステアリングポスト54を中心にして左右対称に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピードスプレーヤに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、スピードスプレーヤには、噴頭部に複数のノズルが複数個のノズル群に分けられて設けられ、各ノズル群にそれぞれ薬液タンクの薬液を送る送液路が設けられ、各送液路にそれぞれ各送液路を開閉する散布コック(開閉コック)が設けられている。
従来、前記各散布コックは、運転席部の運転席の側面側のパネルか(例えば、特許文献1参照)、あるいは前記各散布コックは、運転席に対向して設けられた前側のパネルに設置されている。そして、各散布コック、あるいは各散布コックを開閉するアクチュエータを操作するトグルスイッチ(操作スイッチ)が前側のパネルに設けられている場合には、ステアリングポストを中心にして左右方向のどちらかに偏って設置されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平4−44211号公報
【特許文献2】特開平10−156243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、散布コック、あるいは散布コックを開閉するアクチュエータを操作するトグルスイッチが運転席部の運転席の側面側に設けられている場合には、コックあるいはスイッチの操作時に、視線を正面から側方にずらす必要があるため、脇見運転になると問題がある。樹木の生い茂った果樹園内では、一瞬の脇見運転が木の枝で首つり状態になるなどの虞があり、非常に危険である。
また、噴頭部の各ノズル群との位置関係におけるずれがあるため、誤操作しやすいという問題がある。
【0005】
一方、散布コック、あるいは散布コックを開閉するアクチュエータを操作するトグルスイッチが運転席部の運転席の前側のパネルに設けられている場合には、噴頭部の各ノズル群との位置関係におけるずれが、側面側のパネルに設けられている場合よりも少し分かり易くなる以外は、側面側のパネルに設けられている場合と同様の問題がある。
【0006】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、脇見運転をすることないとともに、閉閉すべき開閉コック等の開閉操作手段をその都度確認することなく、開閉操作手段の操作を行うことができて、安全に散布作業を行うことができるスピードスプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のスピードスプレーヤは、
自走可能な自走台車(4)に運転席部(5)、薬液タンク(6)および噴頭部(8)が設けられ、前記噴頭部(8)に複数個のノズル(10)が複数個のノズル群(11、12、13、14)に分けられて前記自走台車(4)の前後方向に直交する方向に沿って設けられ、前記各ノズル群(11、12、13、14)にそれぞれ前記薬液タンクの薬液を送る送液路(21、22、23、24)が設けられ、前記各送液路(21、22、23、24)にそれぞれ前記各送液路(21、22、23、24)を開閉する開閉操作手段(31、32、33、34)が設けられ、前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は前記運転席部(5)に設けられているスピードスプレーヤにおいて、
複数個の前記ノズル群(11、12、13、14)は、偶数個が設けられて、左右対称に配置され、
前記各ノズル群(11、12、13、14)に対応する前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、ステアリング(52)のステアリングポスト(54)を挟んで左右対称に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明においては、複数個のノズル群が偶数個設けられて、左右対称に配置されているとともに、各ノズル群に対応する各開閉操作手段が、運転席部の運転席の前側にステアリングポストを中心にして左右対称に配置されているので、視線を正面から側方にずらす必要がないため、脇見運転をすることなく、開閉操作手段の操作を行うことができるうえに、各ノズル群に対応する各開閉操作手段の位置関係が明確になっているため、閉閉すべき開閉操作手段をその都度確認することなく開閉操作手段の操作を行うことができ、そのため運転操作に集中することができる。
【0009】
また、請求項2に記載のスピードスプレーヤは、請求項1に記載の発明において、前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、前記ステアリングポスト(54)に設置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明においては、各開閉操作手段がステアリングポストに設置されているので、ステアリングがチルトハンドル式においてチルト操作しても、各開閉操作手段とステアリングポストとの位置関係が変わらないため、ステアリングポスト54がどの位置にあっても、各開閉操作手段を同じように操作性することができる。
【0011】
また、請求項3に記載のスピードスプレーヤは、請求項1に記載の発明において、前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、ステアリングホイール(53)近傍に設置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明においては、各開閉操作手段がステアリングホイール近傍に設置されているので、ステアリングホイールから手を離さずにハンドル操作を行いながら、各開閉操作手段の操作を行うことができるため、地面が不安定な果樹園等において散布作業をする際に、安全に作業を行うことができる。
【0013】
また、請求項4に記載のスピードスプレーヤは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、開閉コック(31、32、33、34)、または、開閉コックを開閉するアクチュエータを操作する操作スイッチであり、
前記開閉コック(31、32、33、34)または前記操作スイッチのレバー(71、72、73、74)の操作方向は、ステアリングホイール(53)の回動方向とほぼ一致していることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明においては、開閉コックまたは開閉コックを開閉するアクチュエータを操作する操作スイッチのレバーの操作方向が、ステアリングホイールの回動方向とほぼ一致しているので、ステアリングホイールの回動操作をしながら、前記レバーの操作を行い易い。
【0015】
また、請求項5に記載のスピードスプレーヤは、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、開閉コック(31、32、33、34)、または、開閉コックを開閉するアクチュエータを操作する操作スイッチであり、
前記ステアリングポスト(54)を中心にして前記自走台車(4)の前側に向かって左側に配置されている前記開閉コック(31、32、33、34)または前記操作スイッチは、前記自走台車(4)の前側に向かって時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が閉となるとともに、前記自走台車(4)の前側に向かって反時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が開となり、
前記ステアリングポスト(54)を中心にして前記自走台車(4)の前側に向かって右側に配置されている前記開閉コック(31、32、33、34)または前記操作スイッチは、前記自走台車の前側に向かって反時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が閉となるとともに、前記自走台車の前側に向かって時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が開となることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明においては、散布作業の旋回時等において、開閉コックまたは開閉コックを開閉するアクチュエータを操作する操作スイッチの操作性を高めることができる。すなわち、通常、スピードスプレーヤの散布作業においては、旋回時に外側のノズル群の噴霧を停止させることが多い。この場合に、本発明では、ステアリングホイールの回動操作と同調して開閉コックまたは前記操作スイッチのレバーの操作を行うことができる。例えば、スピードスプレーヤの散布作業において、右側に旋回する時に、ステアリングホイールを時計回りに回動させながら、ステアリングポストを中心にして自走台車の前側に向かって左側に配置されている開閉コックまたは前記操作スイッチのレバーを時計回りに回動させると、外側に位置する左側のノズル群からの噴霧が停止される。また、この右旋回が終わって直進に戻すために、ステアリングホイールを反時計回りに回動させながら、左側に配置されている開閉コックまたは前記操作スイッチのレバーを反時計回りに回動させると、噴霧が停止していた左側のノズル群から噴霧が開始される。このように、ステアリングホイールの操作に同調して、開閉コックまたは前記操作スイッチのレバーの操作を行うことができる。
【0017】
なお、上記における括弧内の符号は、図面において対応する要素を便宜的に表記したものであり、したがって本発明は図面上の記載に限定されるものではない。これは、「特許請求の範囲」の記載についても同様である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のスピードスプレーヤによれば、脇見運転をすることなく、開閉操作手段の操作を行うことができるとともに、各ノズル群に対応する各開閉操作手段の位置関係が明確になっているため、閉閉すべき開閉操作手段をその都度確認することなく開閉操作手段の操作を行うことができて、運転操作に集中することができ、したがって安全に散布作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るスピードスプレーヤを示す図であって、左前側から見た斜視図である。
【図2】同、正面図である。
【図3】同、平面図である。
【図4】同、右側面図である。
【図5】同、背面図である。
【図6】同、左後側から見た斜視図である。
【図7】同、配管図である。
【図8】同、フロントカバーとステアリングの部分をフロントカバー側から見た図である。
【図9】同、ステアリングとフロントパネルの部分をステアリングホイール側から見た図である。
【図10】同、分水管部の斜視図である。
【図11】同、分水管部カバーを取り除いた状態で、ステアリングとフロントパネルの部分を下側から見た図である。
【図12】同、分水管部カバーを取り除いた状態で、フロントカバーとステアリングの部分をフロントカバー側から見た図である。
【図13】同、分水管部カバーを取り除いた状態で、フロントカバーとステアリングの部分をフロントカバーの斜め前側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1から図7に示すように、本発明の実施の形態に係るスピードスプレーヤは、四輪駆動および四輪操舵方式であり、前輪2と後輪3とにより支持されて自走可能な自走台車4を備えている。自走台車4には、スピードスプレーヤの前方から順に、運転席部5、薬液を貯蔵する薬液タンク6、エンジン等の原動機を収容する原動機部7、薬液を噴霧する噴頭部8、および後方から吸い込んだ空気を噴頭部8へ吐出する送風機部9が設けられている。
【0021】
噴頭部8には、複数個のノズル10が偶数の複数個(この例では4つ)のノズル群11、12、13、14に分けられて設けられている。4つのノズル群11、12、13、14は、噴頭部8に、自走台車4の前後方向(進行方向)に直交する方向に沿って全体としては扁平なほぼ半円状に配置されているとともに、各ノズル群11、12、13、14は、自走台車4の前後方向の中心線を挟んで2つずつに分けられて左右対称に配置されている。すなわち、4つのノズル群11、12、13、14は、噴頭部8を自走台車4の後側から見たときに、噴頭部8の出口付近に、全体として上方に突出する扁平な半円状に配置されている。また、ノズル群11、12、13、14はそれぞれ、噴頭部8を自走台車4の後側から見たときに、左下側、左上側、右上側、右下側に円弧状に配置されており、そして左下側のノズル群11および左上側のノズル群12と、右上側のノズル群13および右下側のノズル群14とは左右対称に配置されている。
【0022】
図7に示すように、各ノズル群11、12、13、14にはそれぞれ、薬液タンク6の薬液を送る送液路21、22、23、24が接続され、各送液路21、22、23、24にはそれぞれ、各送液路21、22、23、24を開閉する散布コック(開閉コック;開閉操作手段)31、32、33、34が設けられている。散布コック31、32、33、34は、分岐管35に接続されており、この分水管(分水部材)35には、三方コック36が接続されている。この三方コック36は、薬液タンク6および調圧弁37の吐出口に接続されている。調圧弁37の余水口は、薬液タンク6に接続され、調圧弁37の吸水口は、噴霧ポンプ(ポンプ)38の吐出口に接続されている。噴霧ポンプ38の吸水口は、ストレーナ39および送液バルブ(三方コック)40を介して薬液タンク6に接続されている。送液バルブ40はドレンバルブとしても機能する。
【0023】
薬液タンク6内の薬液は、噴霧ポンプ38によって吸水されて、調圧弁37、三方コック36、分水管35、各散布コック31、32、33、34および各送液路21、22、23、24を通して各ノズル群11、12、13、14に圧送され、各ノズル10から噴出される。各ノズル10から噴出された薬液は、送風機部9の送風機からの風により微細化されるとともに噴頭部8から放射状に飛ばされる。
【0024】
図1および図8に示すように、運転席部5には、自走台車4の左右方向中央部から進行方向右側に少し偏った位置に、運転席51が設けられている。運転席51の前側には、ステアリング(操舵装置)52が設置されており、このステアリング52は、丸ハンドル式のステアリングホイール(ハンドル)53とステアリングポスト(ステアリングコラム)54とを備えている。ステアリングホイール53は、前側が高くなるように、水平面からおよそ30度から45度程度傾斜している。このステアリング52は、チルトハンドル式であって、ステアリングポスト54の傾きを調節できて、運転者の体格や姿勢に合わせることができるようになっている。
【0025】
ステアリング52のステアリング52の前側には、自走台車4の前側を覆うフロントカバー55が設けられている。図6および図9に示すように、このフロントカバー55の運転席51と対向する部分には、フロントパネル56が設けられており、このフロントパネル56には、エンジンのキースイッチ57、速度メータ58等が設置されている。
【0026】
図10から図13に示すように、ステアリング52のステアリングポスト54には、ステアリングホイール53の近傍に、前記散布コック31、32、33、34が次のように設けられている。
【0027】
すなわち、ステアリング52のステアリングポスト54には、ステアリングホイール53の近傍に、分水管35が取付具を用いて取り付けられ、この分水管35に散布コック31、32、33、34が取り付けられている。分水管35は、分水管本体61と、この分水管本体61から突出する2つの短管部62、63、64および2つの長管部65、66を備えている。
【0028】
2つの短管部62、63は間隔をあけて平行に同じ長さで短く延びており、各短管部62、63の先端部にはそれぞれエルボ67を介して散布コック31、32が取り付けられている。3つ目の短管部64は、2つの短管部62、63と直交する方向に短くかつ短管部62、63より太く延び、その先端部にはエルボ68を介して三方コック36に接続される送液路69が接続されている。2つの長管部65、66は、間隔をあけて平行に同じ長さで長く延びており、各長管部65、66の先端部にはそれぞれエルボ67を介して散布コック33、34が取り付けられている。これらの2つの長管部65、66はそれぞれ、2つの短管部63、62と一直線状に位置するように設けられている。
【0029】
長管部65の中央部には、圧力計70が3つ目の短管部64の突出方向と反対の方向に向かって取り付けられている。圧力計70は、長管部65の先端と短管部63の先端部のほぼ中央に取り付けられており、この圧力計70が延びる方向を含みかつ長管部65の軸線に直交する面を中心にして、散布コック32と散布コック33とは線対象の位置に配置され、また散布コック31と散布コック34とは線対象の位置に配置されている。
【0030】
散布コック31、32、33、34はそれぞれ、左下側のノズル群11、左上側のノズル群12、右上側のノズル群13、右下側のノズル群14に接続される送液路21、22、23、24が接続されている。ステアリング52のステアリングポスト54には、ステアリングホイール53の直ぐ下側に、分水管35の長管部65を上側に位置させるとともに、圧力計70を自走台車4の前方向に向けてかつ圧力計70をステアリングポスト54の自走台車4の左右方向中央部に位置させて、分水管35が取付具を用いて取り付けられている。
【0031】
これにより、左下側のノズル群11、左上側のノズル群12、右上側のノズル群13、右下側のノズル群14にそれぞれ接続される散布コック31、32、33、34がそれぞれ、自走台車4の後側から見て、ステアリングポスト54を中心にして、左下側、左上側、右上側、右下側に位置している。また、ステアリングポスト54を中心にして、左下側の散布コック31と右下側の散布コック34とは左右対称に位置しているとともに、左上側の散布コック32と右上側の散布コック33とは左右対称に位置している。
【0032】
また、各散布コック31、32、33、34の各レバー71、72、73、74の開閉操作の回動方向(操作方向)はそれぞれ、ステアリングホイール53の回動方向とほぼ一致している。また、左下側の散布コック31と左上側の散布コック32とは、自走台車4の前側に向かってレバー71、72を右側(時計回り)に回動すると、閉となり、送液路21、22が閉となり、逆に自走台車4の前側に向かってレバー71、72を左側(反時計回り)に回動すると、開となり、送液路21、22が開となるようになっている。また、右上側の散布コック33と右下側の散布コック34とは、自走台車4の前側に向かってレバー73、74を左側に回動すると、閉となり、送液路23、24が閉となり、逆に自走台車4の前側に向かってレバー73、74を右側に回動すると、開となり、送液路23、24が開となるようになっている。
【0033】
図1、図8および図9に示すように、分水管35、散布コック31、32、33、34は、分水管部カバー77により覆われている。散布コック31、32、33、34のレバー71、72、73、74および圧力計70はカバー77より外側に露出している。
【0034】
このように構成されたスピードスプレーヤにあっては、複数個のノズル群11、12、13、14が、偶数個が設けられて、左右対称に配置されているとともに、各ノズル群11、12、13、14に対応する各散布コック31、32、33、34が、運転席部5の運転席51の前側に、ステアリング52のステアリングポスト54を中心にして左右対称に配置されているので、視線を正面から側方にずらす必要がないため、脇見運転をすることなく、開閉操作手段の操作を行うことができる。さらに、各ノズル群11、12、13、14に対応する各散布コック31、32、33、34の位置関係が左下側、左上側、右上側、右下側と明確になっているので、閉閉すべき散布コック31、32、33、34をその都度確認することなく散布コック31、32、33、34の操作を行うことができるため、運転操作に集中することができる。
【0035】
また、各散布コック31、32、33、34がステアリングポスト54に設置されているので、チルトハンドル式のステアリング52においてチルト操作しても、各散布コック31、32、33、34とステアリングポスト54との位置関係が変わらないため、ステアリングポスト54がどの位置にあっても、各散布コック31、32、33、34を同じように操作することができる。
【0036】
さらに、分水管35に各散布コック31、32、33、34が取り付けられて一体化され、この一体化されたユニットとして、ステアリングポスト54に取り付けられているので、各散布コック31、32、33、34の位置決めが容易であるとともに、組立作業が容易である。
【0037】
また、各散布コック31、32、33、34がステアリングホイール53近傍に設置されているので、ステアリングホイール53から手を離さずにハンドル操作を行いながら、各散布コック31、32、33、34の操作を行うことができるため、地面が不安定な果樹園等において散布作業をする際に、安全に作業を行うことができる。
【0038】
また、各散布コック31、32、33、34のレバーの操作方向が、ステアリングホイール53の回動方向とほぼ一致しているので、ステアリングホイール53の回動操作をしながら、前記レバーの操作を行い易い。
【0039】
さらに、通常、スピードスプレーヤの散布作業においては、旋回時に外側のノズル群の噴霧を停止させることが多い。このような場合に、本実施の形態では、ステアリングホイール53の回動操作に同調して、散布コック31、32、33、34のレバーの操作を行うことができる。
【0040】
すなわち、例えば、スピードスプレーヤの散布作業において、右側(時計回り)に旋回する時に、ステアリングホイール53を時計回りに回動させながら、ステアリングポスト54を中心にして自走台車4の前側に向かって左側に配置されている左下側の散布コック31と左上側の散布コック32のレバー71、72を時計回りに回動させると、外側に位置する左側のノズル群11、12からの噴霧が停止される。また、この右旋回が終わって直進に戻すために、ステアリングホイール53を反時計回りに回動させながら、左側に配置されている散布コック31、32のレバー71、72を反時計回りに回動させると、噴霧が停止していた左側のノズル群11、12から噴霧が開始される。
【0041】
一方、左側(反時計回り)に旋回する時に、ステアリングホイール53を反時計回りに回動させながら、ステアリングポスト54を中心にして自走台車4の前側に向かって右側に配置されている右上側の散布コック33と右下側の散布コック34のレバー73、74を反時計回りに回動させると、外側に位置する右側のノズル群13、14からの噴霧が停止される。また、この左旋回が終わって直進に戻すために、ステアリングホイール53を時計回りに回動させながら、右側に配置されている散布コック33、34のレバー73、74を時計回りに回動させると、噴霧が停止していた右側のノズル群13、14から噴霧が開始される。
【0042】
なお、上述の実施の形態では、ステアリング52のステアリングポスト54に、ステアリングホイール53の近傍に位置するように、散布コック31、32、33、34を設けたが、ステアリング52のステアリングポスト54に、ステアリングホイール53から離れて設けるようにしてもよく、さらにステアリング52のステアリングポスト54にではなく、ステアリングポスト54近傍にステアリングポスト54を挟んで設けるようにしてもよいし、さらにはフロントパネル56等に設けるようにしてもよく、要は、運転席部5の運転席51の前側に、ステアリングポスト54を中心にして、左下側の散布コック31と右下側の散布コック34とは左右対称に位置しているとともに、左上側の散布コック32と右上側の散布コック33とは左右対称に位置するように設ければ良い。
【0043】
また、上述の実施の形態では、ノズル群11、12、13、14に薬液タンク6の薬液を送る送液路21、22、23、24を開閉するために、散布コック(開閉コック;開閉操作手段)31、32、33、34を、運転席部5に上述のように配置するようにしたが、この開閉コックを開閉するアクチュエータを設け、このアクチュエータを操作する操作スイッチを、散布コック31、32、33、34と同様にして、運転席部5に配置するようにしてもよい。アクチュエータとしては、電動式、電磁式、油圧式、空圧式等の種々のものを用いることができる。
【0044】
また、上述の実施の形態では、送液路21、22、23、24を開閉するための開閉操作手段としてレバー式の開閉コック31、32、33、34を用いたが、ハンドル式等の開閉バルブ等の他の開閉操作手段を用いるようにしても良い。
【符号の説明】
【0045】
4 自走台車
5 運転席部
6 薬液タンク
8 噴頭部
10 ノズル
11、12、13、14 ノズル群
21、22、23、24 送液路
31、32、33、34 散布コック(開閉コック;開閉操作手段)
51 運転席
52 ステアリング
53 ステアリングホイール
54 ステアリングポスト
71、72、73、74 散布コックのレバー(開閉コックのレバー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な自走台車(4)に運転席部(5)、薬液タンク(6)および噴頭部(8)が設けられ、前記噴頭部(8)に複数個のノズル(10)が複数個のノズル群(11、12、13、14)に分けられて前記自走台車(4)の前後方向に直交する方向に沿って設けられ、前記各ノズル群(11、12、13、14)にそれぞれ前記薬液タンクの薬液を送る送液路(21、22、23、24)が設けられ、前記各送液路(21、22、23、24)にそれぞれ前記各送液路(21、22、23、24)を開閉する開閉操作手段(31、32、33、34)が設けられ、前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は前記運転席部(5)に設けられているスピードスプレーヤにおいて、
複数個の前記ノズル群(11、12、13、14)は、偶数個が設けられて、左右対称に配置され、
前記各ノズル群(11、12、13、14)に対応する前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、前記運転席部(5)の運転席(51)の前側に、ステアリング(52)のステアリングポスト(54)を中心にして左右対称に配置されていることを特徴とするスピードスプレーヤ。
【請求項2】
前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、前記ステアリングポスト(54)に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のスピードスプレーヤ。
【請求項3】
前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、ステアリングホイール(53)近傍に設置されていることを特徴とする請求項1に記載のスピードスプレーヤ。
【請求項4】
前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、開閉コック(31、32、33、34)、または、開閉コックを開閉するアクチュエータを操作する操作スイッチであり、
前記開閉コック(31、32、33、34)または前記操作スイッチのレバー(71、72、73、74)の操作方向は、ステアリングホイール(53)の回動方向とほぼ一致していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスピードスプレーヤ。
【請求項5】
前記各開閉操作手段(31、32、33、34)は、開閉コック(31、32、33、34)、または、開閉コックを開閉するアクチュエータを操作する操作スイッチであり、
前記ステアリングポスト(54)を中心にして前記自走台車(4)の前側に向かって左側に配置されている前記開閉コック(31、32、33、34)または前記操作スイッチは、前記自走台車(4)の前側に向かって時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が閉となるとともに、前記自走台車(4)の前側に向かって反時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が開となり、
前記ステアリングポスト(54)を中心にして前記自走台車(4)の前側に向かって右側に配置されている前記開閉コック(31、32、33、34)または前記操作スイッチは、前記自走台車の前側に向かって反時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が閉となるとともに、前記自走台車の前側に向かって時計回りにレバー(71、72、73、74)を操作すると前記送液路(21、22、23、24)が開となることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のスピードスプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−55864(P2012−55864A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203973(P2010−203973)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(510246024)株式会社M&Sテクノロジー (2)
【Fターム(参考)】