説明

スフィンゴシン−1−リン酸受容体アゴニストまたはアンタゴニスト生物学的活性を有するピロール化合物

下記の式で示される化合物を開示する:


また、該化合物に関連する処置方法、組成物および医薬も開示する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
スフィンゴシンは、下記一般式で示され、式中、Yが水素である化学構造を有する化合物である。スフィンゴシンを構成成分とする様々なスフィンゴ脂質が生体(神経系の細胞の細胞膜表面上を包含する)に広く分布することが知られている。
【化1】

【0002】
スフィンゴ脂質は、生体内で重要な役割を果たす脂質の一つである。リピドーシスと称される疾患は、特定のスフィンゴ脂質が体内に蓄積することによって起こる。細胞膜上に存在するスフィンゴ脂質は、細胞増殖を調節し、細胞の成長および分化に関与し、神経に作用し、細胞の感染および悪性に関与する、等の作用を示す。スフィンゴ脂質の生理学的機能の多くは今後の解明が待たれる。最近、スフィンゴシンの誘導体であるセラミドが細胞シグナル伝達メカニズムにおいて重要な役割を果たす可能性が示され、アポトーシスおよび細胞周期に対するその作用に関する研究報告がなされている。
【0003】
スフィンゴシン−1−リン酸は、(動物細胞中で)デノボ合成またはスフィンゴミエリンサイクルの一部として合成されるセラミドから誘導される、重要な細胞代謝産物である。これは、昆虫、酵母および植物においても見出されている。
【0004】
酵素セラミダーゼはセラミドに作用してスフィンゴシンを分離させ、スフィンゴシンはサイトゾルおよび小胞体内のユビキタス酵素スフィンゴシンキナーゼによってリン酸化されてスフィンゴシン−1−リン酸となる。逆の反応もスフィンゴシンホスファターゼの作用によって起こり得、これら酵素が共同で該代謝産物の細胞内濃度(この濃度は常に低い)をコントロールするよう作用する。血漿中ではその濃度は0.2〜0.9μMに達し得、該代謝産物はリポタンパク質、特にHDLと関連して見出される。また、スフィンゴシン−1−リン酸生成はスフィンゴイド塩基の異化における必須段階であることに注意すべきである。
【0005】
スフィンゴシン−1−リン酸はその前駆体と同様、おそらく独特に細胞内および細胞間の両方で作用する強力なメッセンジャー分子であるが、セラミドおよびスフィンゴシンとは機能が非常に異なる。これらの様々なスフィンゴ脂質代謝産物間のバランスが、健康にとって重要でありうる。例えば、細胞内でスフィンゴシン−1−リン酸は細胞分裂(有糸分裂)を促進する一方で、細胞死(アポトーシス)を抑制する。細胞内で、スフィンゴシン−1−リン酸はまた、様々な細胞外刺激に応答してカルシウム代謝および細胞増殖を調節するよう機能する。現在の見解では、細胞内でのスフィンゴシン−1−リン酸およびセラミドおよび/またはスフィンゴシンのレベルのバランスが、細胞の生存能力にとって重要であることが示唆されているようである。構造的に幾分類似するリゾリン脂質、特にリゾホスファチジン酸と同様に、スフィンゴシン−1−リン酸はその細胞外作用の多くを、細胞表面上の5つの特異的Gタンパク質結合型受容体との相互作用を介してなす。これらは、新しい血管の成長、血管成熟、心臓発育および免疫、並びに方向付けられた細胞運動にとって重要である。
【0006】
スフィンゴシン−1−リン酸は、その異化に与る酵素を持たないヒト血小板中に比較的高濃度で蓄積し、生理学的刺激、例えば成長因子、サイトカイン並びに受容体アゴニストおよび抗原による活性化により血流中に放出される。スフィンゴシン−1−リン酸は血小板凝集および血栓症においても重要な役割を担い得、心血管障害を悪化させうる。一方、高密度リポタンパク質(HDL)中の比較的高濃度の該代謝産物は、アテローム発生にとって有益な関連性を示しうる。例えば、最近示唆されているところでは、スフィンゴシン−1−リン酸は他のリゾ脂質、例えばスフィンゴシルホスホリルコリンおよびリゾスルファチドと共に、血管内皮による強力な抗アテローム発生シグナリング分子一酸化窒素の生成を刺激することによって、HDLの有益な臨床効果に関与する。さらに、スフィンゴシン−1−リン酸はリゾホスファチジン酸と同様、ある種の癌のマーカーであり、細胞分化または増殖におけるその役割が癌の発生に影響を及ぼしうるという証拠が挙げられている。このようなことは医学研究者が非常に興味を持っているところの現在のトピックスであり、スフィンゴシン−1−リン酸代謝への治療的介入の可能性が活発に探究されているところである。
【0007】
真菌および植物はスフィンゴ脂質を持ち、それら生体に含まれる主要なスフィンゴシンは下記式で示される。これら脂質が真菌および植物の細胞増殖に重要な役割を果たすことが知られているが、その詳細は今後の解明が待たれる。
【化2】

【0008】
スフィンゴ脂質の誘導体およびそれらの関連化合物が、代謝経路の阻害または刺激によって様々な生物学的活性を示すことが最近わかった。そのような化合物は、タンパク質キナーゼC阻害剤、アポトーシス誘導剤、免疫抑制化合物、抗真菌化合物などを包含する。そのような生物学的活性を有する物質は、種々の疾患に有用な化合物であることが期待される。
【発明の概要】
【0009】
下記の式で示される化合物を開示する:
【化3】

[式中、
破線は、結合の存在または不存在を表わし;
AおよびBは、独立に、安定な置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、ここで、AおよびBは、独立に、式C1-12H0-29N0-4O0-4S0-4F0-6Cl0-2Br0-2I0-2を有し;
m、n、oおよびpは、独立に、0、1、2または3であり;
Rは、H;C1-8非直鎖アルキル;C1-8アシル;C1-8アルコキシカルボニル;または、式C1-12H0-29N0-4O0-3S0-3F0-6Cl0-2Br0-2I0-2を有する安定な置換もしくは非置換複素環もしくはフェニルであり;
Zは、CH2、O、NまたはSであり;
Tは、CHもしくはN、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり;
Gは、Hであるか、または下記から選択される1〜6個の炭素原子を有する基であり:アルキル(1個の炭素原子がSで置き替えられてもよい)、フルオロアルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、または置換もしくは非置換ヘテロアリール;
X1およびX2は、独立に、結合、1〜4個の炭素原子を有する
【化4】

【化5】

【化6】

C=O、−CH=、=CH−、NH、=N−、−N=、S、またはOであり;
但し、X1およびX2は両方が同時には結合でないものとする]。
【0010】
これらの化合物は、緑内障、ドライアイ、血管新生、心臓血管系の症状および疾患、創傷および痛みのような疾患または症状の処置に有用である。化合物は、投与形態または薬剤に組み込まれ、それを必要とする哺乳動物、例えばヒトに投与される。種々のタイプの好適な投与形態および薬剤が、当分野において周知であり、本明細書に開示されている化合物の送達のために容易に適合させることができる。
【0011】
本開示において、「処置する」、「処置すること」または「処置」は、疾患または他の望ましくない症状の、診断、治癒、緩和、治療または予防における、化合物、組成物、処置活性剤または薬物の使用を意味する。
【0012】
他に指定しない限り、化合物という用語は、記載されている構造または化学名の化学種の、医薬的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、異なる固体形態、非共有結合複合体、およびそれらの組合せを包含するものと広く解釈すべきである。
【0013】
医薬的に許容される塩は、動物またはヒトへの投与に好適な、親化合物の任意の塩である。医薬的に許容される塩は、酸、別の塩、または酸もしくは塩に変換されるプロドラッグの投与の結果として、生体内で形成され得る任意の塩も意味する。塩は、1つ以上の対応する対イオンを伴う、当該化合物の1つ以上のイオン型、例えば、共役酸または塩基を含む。塩は、1つ以上の脱プロトン化酸性基(例えば、カルボン酸)、1つ以上のプロトン化塩基性基(例えば、アミン)、またはそれらの両方(例えば、両性イオン)から生成し得るかまたはそれを組み込み得る。
【0014】
プロドラッグは、投与後に処置活性化合物に変換される化合物である。例えば、変換は、エステル基または他の何らかの生物学的不安定基の加水分解によって起こり得る。プロドラッグの調製は、当分野において周知である。例えば、「Prodrugs and Drug Delivery Systems」(Richard B. Silverman, Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action、第2版、Elsevier Academic Press:Amsterdam, 2004の p.496−557の章)は、これについてさらに詳しく記載している。
【0015】
互変異性体は、相互に急速平衡で存在する異性体である。例えば、互変異性体には、プロトン、水素原子または水素化物イオンの移動が関係し得る。
【0016】
立体化学が明確に示されない限り、構造は、純粋な、または任意の可能な混合物における、あらゆる可能な立体異性体を包含するものとする。
【0017】
異なる固体形態は、本明細書に記載されている手順を実施して得られるであろうものと異なる固体形態である。例えば、異なる固体形態は、多形、種々の非晶質固体形態、ガラス等であってよい。
【0018】
非共有結合複合体は、化合物と1つ以上のさらなる化学種とで形成され得る複合体であって、その化合物とさらなる化学種との共有結合相互作用を伴わない複合体である。それらは、化合物とさらなる化学種との間に特定比率を有してもよく有さなくてもよい。その例は、溶媒和物、水和物、電荷移動錯体等を包含し得る。
【0019】
アリールは、芳香環または環系、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル等である。
ヘテロアリールは、1個以上のN、OもしくはS原子を環に有するアリールであり、即ち、1個以上の環炭素原子がN、Oおよび/またはSで置き替えられている。
【0020】
置換アリールまたはヘテロアリールは、水素に代わって環に結合した1個以上の置換基を有するアリールまたはヘテロアリールである。
【0021】
置換基の例は、置換基を有する特定部分に関して本明細書に規定する制限を受ける下記の置換基である:
A. ヒドロカルビル:これは、炭素および水素だけから成る部分を意味し、下記を包含するがそれらに限定されない:
1. アルキル:例えば
・ 直鎖アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等;
・ 分岐鎖アルキル、例えば、イソプロピル、t−ブチルおよび他の分岐鎖ブチル異性体、分岐鎖ペンチル異性体等;
・ シクロアルキル、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等;
・ 直鎖、分岐鎖および/またはシクロアルキルの組合せ;
2. アルケニル:例えば、1個以上の2重結合を有するヒドロカルビルであって、直鎖、分岐鎖およびシクロアルケニルを包含する;
3. アルキニル:例えば、1個以上の3重結合を有するヒドロカルビルであって、直鎖、分岐鎖およびシクロアルキニルを包含する;
4. アルキル、アルケニルおよび/またはアルキニルの組合せ;
【0022】
B. アルキル−CN:例えば、−CH2−CN、−(CH2)2−CN、−(CH2)3−CN等;
C. ヒドロキシ、−OH;
D. ヒドロキシアルキル、即ちアルキル−OH:例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル等;
E. エーテル置換基:−O−アルキル、アルキル−O−アルキル等を包含する;
F. チオエーテル置換基:−S−アルキル、アルキル−S−アルキル等を包含する;
G. アミン置換基:−NH2、−NH−アルキル、−N−アルキル1アルキル2(即ち、アルキル1およびアルキル2は同じかまたは異なり、両方ともNに結合している)、アルキル−NH2、アルキル−NH−アルキル、アルキル−N−アルキル1アルキル2等を包含する;
H. アミノアルキル:これは、アルキル−アミンを意味し、例えば、アミノメチル(−CH2−アミン)、アミノエチル等である;
【0023】
I. エステル置換基:−CO2−アルキル、−CO2−フェニル等を包含する;
J. 他のカルボニル置換基:カルボン酸、アルデヒド、ケトン、例えば、アセチル、プロピオニルおよびベンゾイル置換基を包含するアシルが考えられる;
K. フルオロカーボンまたはヒドロフルオロカーボン:例えば、−CF3、−CH2CF3等;
L. 他の窒素含有置換基:例えば、−CNおよび−NO2
M. 他の硫黄含有置換基:例えば、チオール、スルフィド、スルホニルまたはスルホキシド;
N. 規定される制限を受ける前記置換基の組合せも可能である;
O. あるいは、置換基は−F、−Cl、−Brまたは−Iであってもよい。
【0024】
安定とは、当該置換基が、室温で常圧下に少なくとも12時間ボトル中に保存されるように充分に安定であるか、または本明細書に記載する任意の目的に有用であるのに充分に安定であることを意味する。
【0025】
置換基が塩、例えばカルボン酸またはアミンの塩である場合、塩の対イオン、即ち、分子の残りの部分に共有結合していないイオンは、置換基における重原子の数にカウントされない。従って、例えば、塩−CO2Na+は、1個の炭素原子および2個の酸素原子から成る安定置換基であり、即ち、ナトリウムはカウントされない。別の例において、塩−NH(Me)3+Cl-は、1個の窒素原子、3個の炭素原子および10個の水素原子から成る安定置換基であり、即ち、塩素はカウントされない。
【0026】
アルキルは、炭素および水素から成り、二重結合を有さない部分、例えば、直鎖アルキル、分岐鎖アルキルまたは環式アルキルである。
【0027】
非直鎖アルキルは、直鎖でないアルキルである。直鎖アルキルは、全ての炭素原子が−CH2−または−CH3として存在するアルキルであり、炭素原子によって環が形成されない。非直鎖アルキルは、3個または4個の他の炭素原子に結合している少なくとも1個の炭素原子を有するか、または炭素原子によって形成された環を含有する。非直鎖アルキルの例は、イソプロピル、t−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等である。C1-8非直鎖アルキルは、1〜8個の炭素原子を有する非直鎖アルキルである。
【0028】
アシルは、
【化7】

である。C1-8アシルは、1〜8個の炭素原子を有するアシルである。
【0029】
アルコキシカルボニルは、
【化8】

である。C1−8アルコキシカルボニルは、1〜8個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルである。
【0030】
アミノカルボニル(即ちアミド)は、
【化9】

である。C1-8アミノカルボニルは、1〜8個の炭素原子を有するアミノカルボニルである。
【0031】
アミノは、−NH2、−NH(ヒドロカルビル)、または−N(ヒドロカルビル)2であり、ここで、2個のヒドロカルビル部分は同じでも異なってもよく、または環を形成してもよい。
【0032】
フルオロアルキルは、アルキル上に通常存在する水素の1個ないし全てが、フッ素で置き替えられているアルキルである。
【0033】
AおよびBは独立しており、これは、それらが互いに同じかまたは異なってもよいことを意味する。
【0034】
式C1-12H0-29N0-4O0-4S0-4F0-6Cl0-2Br0-2I0-2は、該式で示される部分は、下記の原子から成ることを意味する:
・ 1〜12個の炭素原子;
・ 0〜29個の水素原子;
・ 0〜4個の窒素原子;
・ 0〜4個の酸素原子;
・ 0〜4個の硫黄原子;
・ 0〜6個のフッ素原子;
・ 0〜2個の塩素原子;
・ 0〜2個の臭素原子;および
・ 0〜2個のヨウ素原子。
【0035】
同様に、式C1-12H0-21N0-4O0-3S0-3F0-6Cl0-2Br0-2I0-2は、該式で示される成分が、下記の原子から成ることを意味する:
・ 1〜12個の炭素原子;
・ 0〜21個の水素原子;
・ 0〜4個の窒素原子;
・ 0〜3個の酸素原子;
・ 0〜3個の硫黄原子;
・ 0〜6個のフッ素原子;
・ 0〜2個の塩素原子;
・ 0〜2個の臭素原子;および
・ 0〜2個のヨウ素原子。
【0036】
例えば、Aは、下記の構造の1つにおけるような、フェニルまたは置換フェニルであってよい:
【化10】

【0037】
Aは、下記の構造の1つにおけるような、非置換または置換ピリジニルであってもよい:
【化11】

【0038】
ピリジニルは、他の位置、例えば、窒素原子に対してオルト位またはパラ位で結合してもよく、ピリジニルは置換されてもよい。
【0039】
Aの他の例は、置換および非置換チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール等である。
【0040】
Bは、下記の構造におけるような、フェニルであってよい:
【化12】

フェニルは置換されてもよい。
【0041】
Bは、下記の構造におけるような、ピリジニルであってもよい:
【化13】

【0042】
ピリジニルは、他の位置、例えば、窒素原子に対してメタ位またはパラ位で結合してもよく、ピリジニルは置換されてもよい。
【0043】
Bの他の例は、置換および非置換チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール等である。
【0044】
別の実施形態において、Bはフェニルまたはピリジニルである。
【0045】
これらの化合物において、m、n、oおよびpは、独立に、0、1、2または3である。言い換えれば、m、n、oおよびpは、互いに同じかまたは異なる数値を有し得る。
【0046】
m、n、oおよびpの可能な数値から生じる構造の例を以下に示す:
【化14】

【0047】
【化15】

【0048】
1つの実施形態において、Rは下記の基である:
・ メチル、エチル、イソ−プロピル、プロピル、イソ−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはフェニル;

【化16】

もしくは
【化17】

[式中、R3は、メチル、エチル、イソ−プロピル、プロピル、イソ−ブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはフェニルである];または下記を包含する複素環:
【化18】

[式中、任意の水素原子は置換基で置き換えられてもよい]。
【0049】
別の実施形態において、Rは置換フェニルである。
【0050】
本発明によって考え得るいくつかの化合物は、下記の化合物である:
【化19】

【0051】
【化20】

【0052】
Gは、Hであるか、または1〜6個の炭素原子を有する下記から選択される基である:アルキル、フルオロアルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、またはアミノ。−Nは、Gがアミンである場合、それが窒素において結合していることを示す。従って、本発明によって考えられる化合物は、下記の化合物を包含する:
【0053】
【化21】

【0054】
Gの他の例は、メチル、エチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、環状−NC4H8、および環状−NC5H10である。
【0055】
X1は、結合、1〜4個の炭素原子を有する
【化22】

【化23】

【化24】

C=O、NH、=N−、−N=、SまたはOである。従って、下記の構造を有する化合物も考えられる:
【0056】
【化25】

【0057】
【化26】

【0058】
X2は、結合、1〜4個の炭素原子を有する
【化27】

【化28】

【化29】

C=O、−CH=、=CH−、NH、=N−、−N=、SまたはOである。従って、下記の構造を有する化合物も考えられる:
【0059】
【化30】

【0060】
別の実施形態は、下記の式で示される化合物である:
【化31】

[式中、
R1およびR2は、独立に、H、F、Cl、NO2、メチル、エチル、n−プロピル、またはイソプロピルであり;
Bは、フェニルまたはピリジニルであり、それは非置換であるか、またはF、Cl、NO2、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルから独立に選択される1個または2個の置換基を有し;
X1およびX2は、独立に、結合、=N、O、または=CH−であり;
Rは、C1-5アルキルまたはフェニルであり、フェニルは非置換であるか、またはF、Cl、NO2、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルから独立に選択される1個または2個の置換基を有する]。
【0061】
C1-5アルキルは、1、2、3、4または5個の炭素原子を有するアルキルである。
【0062】
別の実施形態において、X1−X2は、=C−、=N−O−、およびOから選択される。
【0063】
別の実施形態において、Bは非置換フェニルである。
別の実施形態において、Bは非置換ピリジニルである。
【0064】
別の実施形態において、Rはイソプロピルである。
別の実施形態において、Rはメチルフェニルである。メチルフェニルは
【化32】

である。
【0065】
別の実施形態において、Rはチアゾリルである。
別の実施形態において、Rはオキサゾリルである。
別の実施形態において、Rはオキサゾリニルである。
別の実施形態において、Rはn−ブチルである。
【0066】
別の実施形態において、R1およびR2は、独立に、H、メチル、F、またはNO2である。
別の実施形態において、ZはNまたはCH2である。
別の実施形態において、TはCHである。
【0067】
別の実施形態において、mは0である。
別の実施形態において、nは1である。
【0068】
本発明の開示による化合物は、下記の化合物を包含する:
【化33】

【0069】
【化34】

【0070】
【化35】

【0071】
【化36】

【0072】
合成方法
【化37】

【0073】
反応式1は、TがCHである本明細書に開示されている化合物を調製する1つの可能な方法を示している。この方法において、Gは出発化合物Aにおいて与えられる。多くのこれらの化合物が商業的に入手可能である。そうでない場合、これらの化合物は商業的に入手可能な化合物から容易に調製できる。例えば、常套の手順を使用して、エチルマロニルクロリドをジアルキル銅試薬に添加して、所望の化合物Aが得られる。化合物Aをグルコサミンと反応させて、化合物Bの核ピロールを得る。グルコサミン由来の残留ポリオールフラグメントを、硝酸第二セリウム(IV)アンモニウム(CAN)のような試薬で酸化的に開裂して、化合物Cのアルデヒド官能基を得る。対応するハロゲン化アルキル、例えば臭化ベンジル、および塩基を使用して、直鎖アルキル−Bフラグメントを付加して、化合物Dを生成し得る。Br−Bと化合物Cの窒素とのカップリングを、ウルマンN−アリール化反応によって行なう(Journal of Organic Chemistry, 72(8), 2737−2743, 2007参照)。Br−(CH2)m−Bのような化合物は商業的に入手可能であるか、または従来法によって生成できる。例えば、アリールアルデヒドをアルコールに還元し、次に、対応するハロゲン化アルキルに変換できる。より長いアルキルフラグメントを、例えば下記によって、与え得る:ウィッティヒもしくはホーナー−エモンズまたは類似の反応を使用するか、またはEP637580;Journal of the American Chemical Society 107(24) 7164−7, 1985;およびJournal of the Americal Chemical Society 106(25) 7887−90, 1984に記載の方法を適用する。Z−(CH2)n−Aを、カルボン酸誘導体に使用できる従来置換法によって付加して、化合物Fが得られる。Z−(CH2)n−Aは、多くの方法によって生成し得る。例えば、前記の方法を使用してBr−(CH2)n−Aを生成し、次に、置換のような標準的方法を使用して改変して、Zにおいて所望の官能基を与えることができる。次に、標準的方法を使用して、
【化38】

フラグメントを、化合物Fのアルデヒドに付加して、化合物Gを得ることができる。
【0074】
【化39】

【0075】
反応式2は、TがNである本発明化合物を調製する別の可能な方法を示す。この反応式の生成物は、反応式1における化合物Eと置き換えることができる。
【0076】
本発明化合物を調製する他の2つの理論的例を、反応式3および反応式4に示す。
【化40】

【0077】
【化41】

【0078】
ヒトS1P受容体を安定に発現するT24細胞において、ヒトS1P受容体を活性化または遮断活性化する化合物の能力を、次の方法で評価しうる。384ウェルのポリ−D−リジンコーティングしたプレートに、1ウェル当たり1万個の細胞を、使用の1日前にプレーティングする。S1P受容体発現セルラインの増殖培地は、10%活性炭処理ウシ胎仔血清(FBS)、1%抗生物質−抗真菌剤、および400μg/mlのgeneticinを補充したMcCoyの5A培地である。実験当日に、20mM HEPESを補充したハンクス液(HBSS/Hepes緩衝液)で細胞を2回洗う。次いで、1.25mMプロベネシドを含有するHBSS/Hepes緩衝液で希釈した2μM Fluo−4で、細胞に色素導入し、37℃で40分間インキュベートする。細胞プレートを4回洗うことによって細胞外の色素を除去した後、プレートをFLIPR(蛍光イメージングプレートリーダー、Molecular Devices)に配置する。384ウェルマイクロプレート内で、リガンドをHBSS/Hepes緩衝液で希釈し調製する。正の対照であるスフィンゴシン−1−リン酸(S1P)は、脂肪酸不含有ウシ血清アルブミン4mg/mlを含むHBSS/Hepes緩衝液で希釈する。FLIPRは、12.5μlをリガンドのマイクロプレートから細胞のプレートに移し、蛍光測定を75秒間にわたり毎秒、次いで2.5分間にわたり10秒毎に行う。薬物を0.61〜10000nMの濃度範囲で試験する。Ca+2応答のデータを任意蛍光単位で得、Ca+2濃度に変換はしない。Levenberg Marquardtアルゴリズムを用いる線形回帰分析によってIC50値を求める。
【0079】
他の合成方法
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、実施例は、本発明の特定の実施方法を例示するものであって、請求の範囲を限定するものではない。他に指示しない限り、下記の化学略語を実施例に使用する:
【0080】
Ac2O: 無水酢酸
n−Bu: n−ブチル
Bz: ベンジル
CH3CN: アセトニトリル
DCM: ジクロロメタン
DMAP: 4−ジメチルアミノピリジン
DMF: N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO: ジメチルスルホキシド
EDCI: N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N'−エチルカルボジイミド
Et: エチル
Et2O: ジエチルエーテル
EtOAc: 酢酸エチル
EtOH: エタノール
【0081】
H2: 水素
H2O: 水
H2SO4: 硫酸
HBr: 臭化水素
HCl: 塩酸
HOAc: 酢酸
i-Pr: イソプロピル
i-PrCOCl: イソブチリルクロリド
K2CO3: 炭酸カリウム
Me: メチル
MgSO4: 硫酸マグネシウム
【0082】
N2: 窒素
Na2CO3: 炭酸ナトリウム
Na2SO4: 硫酸ナトリウム
NaHCO3: 炭酸水素ナトリウム
NaOH: 水酸化ナトリウム
NH4Cl: 塩化アンモニウム
i-PrCOCl: イソブチリルクロリド
Pd-C: 活性炭上パラジウム
PTLC: 分取薄層クロマトグラフィー
t-BuOH: t−ブタノール
TEA: トリエチルアミン
THF: テトラヒドロフラン
PTLC: 分取薄層クロマトグラフィー
【0083】
他に記載しない限り、全ての試薬はAldrich Chemical Companyから購入し、さらに精製せずに購入した状態のまま使用した。
【0084】
【化42】

【0085】
(ベンジル−イソブチリル−アミノ)−酢酸(化合物7)
一般手順1
化合物7を下記の手順によって製造した: TEA(5.4mL、38.8mmol)を加えたDCM 70mL中のN−ベンジル−グリシンエチルエステル(化合物1、5.0g、25.87mmol)に、0℃で、塩化イソブチリル(3.0g、28.46mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、H2Oで鎮めた。2つの層を分離し、水性相をDCMで抽出した。合わした有機相をH2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、真空濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中15%酢酸エチル)によって精製して、(ベンジル−イソブチリル−アミノ)−酢酸エチルエステル2.52gを油状物として得た。エステルを、EtOH(10mL)中において、2N NaOH水溶液(10mL)で、室温で24時間処理した。反応を6N HClで鎮め、DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮して、標記化合物を無色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3): 1.18 (d, J=6.74Hz, 1.2H), 1.19 (d, J=6.74Hz, 4.8H), 2.68 (hept, J=6.74Hz, 0.2H), 2.90 (hept, J=6.74Hz, 0.8H), 4.00 (s, 0.4H), 4.06 (s, 1.6H), 4.67 (s, 2H), 7.18-7.20 (m, 2H), 7.31-7.38 (m, 3H)。
【0086】
化合物8〜12も一般手順1によって製造した:
2−(ベンジル−イソブチリル−アミノ)−プロピオン酸(化合物8)を、N−ベンジル−アラニンエチルエステル(化合物2、3.48g、16.80mmol)、TEA(3.5mL、25.0mmol)および塩化イソブチリル(1.97g、18.5mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.14 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.16 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.40 (d, J=7.33Hz, 3H), 2.73 (hept, J=6.74Hz, 1H), 4.50-4.60 (m, 2H), 4.60 (d, J=16.50Hz 1H), 7.20-7.38 (m, 5H)。
【0087】
2−(ベンジル−イソブチリル−アミノ)−3−メチル−1−酪酸(化合物9)を、N−ベンジル−バリンメチルエステル(化合物3、2.44g、11mmol)、TEA(2.3mL、16.5mmol)および塩化イソブチリル(1.18g、11.15mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.08 (d, J=6.74Hz, 3H), 0.98 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.13 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.22 (d, J=7.33Hz, 3H), 2.51 (m, 1H), 2.88 (hept, J=6.74Hz, 1H), 3.54 (d, J=10.84Hz, 1H), 4.41 (d, J=16.41Hz, 1H), 4.83 (d, J=16.41Hz, 1H), 7.19 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.26-7.38 (m, 3H)。
【0088】
2−(ベンジル−イソブチリル−アミノ)−ヘキサン酸(化合物10)を、N−ベンジル−L−ノルロイシンメチルエステルHCl塩(化合物4、3.0g、11.0mmol)、TEA(4mL、28.5mmol)および塩化イソブチリル(1.5g、15.0mmol)から、油状物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.81 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.14 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.17 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.17-1.25 (m, 4H), 1.67-1.77 (m, 1H), 2.01-2.11 (m, 1H), 2.70 (hept, J=6.74Hz, 1H), 4.25-4.30 (m, 1H), 4.51 (d, J=17.00Hz, 1H), 4.70 (d, J=17.00Hz, 1H), 7.18-7.38 (m, 5H)。
【0089】
2−(ベンジル−イソブチリル−アミノ)−3−フェニル−1−プロピオン酸(化合物11)を、N−ベンジル−フェニルアラニンメチルエステルHCl塩(化合物5、3.05g、10.0mmol)、TEA(3.5mL、25.0mmol)および塩化イソブチリル(1.17g、11.0mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.10 (d, J=6.74Hz, 3H), 1.16 (d, J=6.74Hz, 3H), 2.70 (hept, J=6.74Hz, 1H), 3.34-3.38 (m, 2H), 3.73 (d, J=16.70Hz, 1H), 4.10-4.15 (m, H), 4.46 (d, J=16.70Hz, 1H), 7.06-7.15 (m, 4H), 7.20-7.32 (m, 6H)。
【0090】
2−ベンジルアミノ−4−メチルスルファニル−酪酸(化合物12)を、N−ベンジル−メチオニンメチルエステルHCl塩(5.0g、17.25mmol)、TEA(7.26mL、51.75mmol)および塩化イソブチリル(化合物6、2.39g、22.4mmol)から、固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.17-1.25 (m, 6H), 1.98 (m, 3H), 2.00-2.10 (m, 1H), 2.38-2.50 (m, 3H), 2.85 (hept, J=6.74Hz, 1H), 4.11-4.15 (m, 1H), 4.56 (d, J=16.87Hz, 1H), 4.72 (d, J=16.87Hz, 1H), 7.24-7.41 (m, 5H)。
【0091】
1−ベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物13)
一般手順2
化合物13を下記の手順に従って製造した: (ベンジル−イソブチリル−アミノ)−酢酸(化合物7、2.18g、9.27mmol)、無水酢酸(10mL)およびプロピオール酸メチル(3.5g、41.6mmol)の混合物を、100℃で3時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、過剰の無水酢酸を真空除去した。生成物をエーテルで抽出し、H2O、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。標記化合物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中5%酢酸エチル)によって主要生成物として分離した。
1H-NMR (CDCl3): 1.25 (d, J=7.00Hz, 6H), 3.48 (hept, J=7.00Hz, 1H), 3.79 (s, 3H), 5.14 (s, 2H), 6.47 (d, J=2.93Hz, 1H), 6.60 (d, J=2.93Hz, 1H), 6.97-7.00 (m, 2H), 727-7.35 (m, 3H)。
【0092】
化合物14〜22も一般手順2によって製造した:
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物14)および1−ベンジル−5−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物15)を、(2−ベンジル−イソブチリル−アミノ)−プロピオン酸(化合物8、1.27g、5.74mmol)、無水酢酸(8mL)およびプロピオール酸メチル(2.17g、25.83mmol)から製造した。2つの化合物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって分離した。
【0093】
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物14):
1H-NMR (CDCl3): 1.25 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.07 (s, 3H), 3.48 (m, 1H), 3.78 (s, 3H), 5.13 (s, 2H), 6.36 (s, 1H), 6.87 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.27-7.38 (m, 3H)。
【0094】
1−ベンジル−5−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物15):
1H-NMR (CDCl3): 1.17 (d, J=6.74Hz, 6H), 2.42 (s, 3H), 2.73 (hept, J=6.74Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 5.09 (s, 2H), 6.38 (s, 1H), 6.85 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.22-7.35 (m, 3H)。
【0095】
1-ベンジル-2,5-ジイソプロピル-1H-ピロール-3-カルボン酸メチルエステル(化合物16)を、(2−ベンジル−イソブチリル−アミノ)−3−メチル−1−酪酸(化合物9、1.51g、5.45mmol)、無水酢酸(8mL)およびプロピオール酸メチル(2.06g、24.5mmol)から、油状物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.17 (d, J=6.74Hz, 6H), 1.24 (d, J=7.33Hz, 6H), 2.68 (hept, J=6.73Hz, 1H), 3.35 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 5.16 (s, 2H), 6.42 (s, 1H), 6.86 (d, J=6.84Hz, 2H), 7.20-7.32 (m, 3H)。
【0096】
1−ベンジル−5−ブチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物17)および1−ベンジル−2−ブチル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物18)を、(2−ベンジル−イソブチリル−アミノ)−ヘキサン酸(化合物10、1.02g、3.50mmol)、無水酢酸(8mL)およびプロピオール酸メチル(1.26g、15.0mmol)から、分離できない混合物として製造し、該混合物をシリカゲルクロマトグラフィーによる精製後に、次の反応に使用した。
【0097】
1,5−ジベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物19)および1,2−ジベンジル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物20)を、(2−ベンジル−イソブチリル−アミノ)−3−フェニル−1−プロピオン酸(化合物11、1.07g、3.31mmol)、無水酢酸(8mL)およびプロピオール酸メチル(1.26g、15.0mmol)から、分離できない混合物として製造し、該混合物をシリカゲルクロマトグラフィーによる精製後に、次の反応に使用した。
【0098】
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物21)および1−ベンジル−5−イソプロピル−2−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物22)を、2−ベンジルアミノ−4−メチルスルファニル−酪酸(化合物12、2.2g、7.12mmol)、無水酢酸(8mL)およびプロピオール酸メチル(2.39g、28.48mmol)から、分離できない混合物として製造し、該混合物をシリカゲルクロマトグラフィーによる精製後に、次の反応に使用した。
【0099】
1−ベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物23)
一般手順3
化合物23を下記の手順によって製造した: 1−ベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物13、550mg、2.14mmol)を、MeOH(10mL)中において5N NaOH水溶液(1mL)で、80℃で24時間処理した。反応溶液を室温に冷却し、10%HCl水溶液で中和して、標記化合物を白色固形物として沈殿させた。
1H-NMR (CDCl3): 1.27 (d, J=7.33Hz, 6H), 3.53 (hept, J=7.33Hz, 1H), 5.16 (s, 2H), 6.48 (d, J=2.93Hz, 1H), 6.69 (d, J=2.93Hz, 1H), 6.99-7.02 (m, 2H), 7.25-7.36 (m, 3H)。
【0100】
化合物24〜32も一般手順3によって製造した:
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物24)を、1−ベンジル−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物14、175mg、0.65mmol)および5N NaOHから、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.26 (d, J=7.33Hz, 6H), 2.08 (s, 3H), 3.55 (m, 1H), 5.13 (s, 2H), 6.44 (s, 1H), 6.89 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.24-7.34 (m, 3H)。
【0101】
1−ベンジル−5−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物25)を、1−ベンジル−5−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物8、475mg、1.75mmol)および5N NaOHから、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.18 (d, J=6.74Hz, 6H), 2.43 (s, 3H), 2.73 (hept, J=6.74Hz, 1H), 5.10 (s, 2H), 6.45 (s, 1H), 6.87 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.22-7.35 (m, 3H)。
【0102】
1−ベンジル−2,5−ジイソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物26)を、1−ベンジル−2,5−ジイソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物16、1000mg、3.34mmol)および5N NaOHから、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.17 (d, J=6.74Hz, 6H), 1.25 (d, J= 7.03Hz, 6H), 2.69 (hept, J=7.03Hz, 1H), 3.38 (m, 1H), 5.18 (s, 2H), 6.50 (s, 1H), 6.87 (d, J=6.84Hz, 2H), 7.22-7.33 (m, 3H)。
【0103】
1−ベンジル−5−ブチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物27)および1−ベンジル−2−ブチル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物28)を、1−ベンジル−5−ブチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステルおよび1−ベンジル−2−ブチル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物17および18、それぞれ、900mg、2.87mmol)の混合物および5N NaOHから、油状物として製造し、該混合物をさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0104】
1,5−ジベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物29)および1,2−ジベンジル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物30)を、1,5−ジベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステルおよび1,2−ジベンジル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物19および20、それぞれ、1.1g、3.17mmol)の混合物および5N NaOHから、白色固形物として製造し、該混合物をさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0105】
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物31)および1−ベンジル−5−イソプロピル−2−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物32)を、1−ベンジル−2−イソプロピル−5−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステルおよび1−ベンジル−5−イソプロピル−2−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物21および22、それぞれ、450mg、1.36mmol)の混合物および5N NaOHから、油状物として製造し、該混合物をさらに精製せずに次の反応に使用した。
【0106】
1−ベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物33)
一般手順4
化合物33を下記の手順によって製造した: CH2Cl2(20mL)およびDMF(4mL)中の1−ベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物23、310mg、1.27mmol)の溶液に、EDCI(315mg、1.65mmol)、DMAP(232mg、1.90mmol)および3,4−ジフルオロ−ベンジルアミン(182mg、1.27mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、DCMで希釈し、NaHCO3水溶液およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%〜15%酢酸エチル)によって精製して、標記化合物をベージュ色固形物として得た。
1H-NMR (CDCl3): 1.29 (d, J=7.33Hz, 6H), 3.55 (hept, J=7.33Hz, 1H), 4.52 (d, J=5.28Hz, 2H), 5.14 (s, 2H), 6.15 (bs, 1H), 6.26 (d, J=2.93Hz, 1H), 6.47 (d, J= 2.93Hz, 1H), 6.99-7.36 (m, 8H)。
【0107】
化合物34〜42も一般手順4によって製造した:
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物34)を、1−ベンジル−2−イソプロピル−5−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(150mg、0.58mmol)、EDCI(144mg、0.75mmol)、DMAP(106mg、0.87mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(100mg、0.70mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.28 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.06 (s, 3H), 3.59 (hept, J=7.03Hz, 1H), 4.52 (d, J=5.57Hz, 2H), 5.13 (s, 2H), 6.03 (s, 1H), 6.05 (bs, 1H), 6.80 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.04-7.36 (m, 6H)。
【0108】
1−ベンジル−5−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物35)を、1−ベンジル−5−イソプロピル−2−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物25、310mg、1.21mmol)、EDCI(300mg、1.57mmol)、DMAP(222mg、1.82mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(108mg、1.45mmol)から、ベージュ色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.15 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.06 (s, 3H), 2.75 (hept, J=7.03Hz, 1H), 4.54 (d, J=5.57Hz, 2H), 5.09 (s, 2H), 6.05 (s, 1H), 6.07 (bs, 1H), 6.85 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.08-7.32 (m, 6H)。
【0109】
1−ベンジル−2,5−ジイソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルロベンジルアミン(化合物36)を、1−ベンジル−2,5−ジイソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物26、368mg、1.29mmol)、EDCI(320mg、1.68mmol)、DMAP(237mg、1.94mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(221mg、1.55mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.17 (d, J=6.74Hz, 6H), 1.27 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.68 (hept, J=6.74Hz, 1H), 3.41 (hept, J=7.03Hz, 1H), 4.54 (d, J=5.57Hz, 2H), 5.16 (s, 2H), 6.04 (s, 1H), 6.06 (bs, 1H), 6.86 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.07-7.36 (m, 6H)。
【0110】
1−ベンジル−5−ブチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物37)および1−ベンジル−2−ブチル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物38)を、1−ベンジル−5−ブチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸および1−ベンジル−2−ブチル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物27および28、それぞれ、850mg、2.83mmol)の混合物、EDCI(760mg、4.0mmol)、DMAP(614mg、5.0mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(487mg、3.4mmol)から製造し、次に、カラムクロマトグラフィー、次いで結晶化によって、分離した。
【0111】
1−ベンジル−5−ブチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物37):
1H-NMR (CDCl3): 0.85 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.27 (d, J=7.33Hz, 6H), 1.33 (m, 2H), 1.51 (m, 2H), 2.35 (t, J=7.62Hz, 2H), 3.50 (m, 1H), 4.54 (bs, 2H), 5.13 (s, 2H), 6.02 (s, 1H), 6.03 (bs, 1H), 6.86 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.05-7.35 (m, 6H)。
【0112】
1−ベンジル−2−ブチル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物38):
1H-NMR (CDCl3): 0.83 (t, J-7.33Hz, 3H), 1.14 (d, J=6.74Hz, 6H), 1.22-1.45 (m, 4H), 2.70 (hept, J=6.74Hz, 1H), 2.89 (t, J=7.33Hz, 2H), 4.56 (d, J=5.30Hz, 2H), 5.10 (s, 2H), 6.05 (s, 1H), 6.07 (bs, 1H), 6.86 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.05-7.35 (m, 6H)。
【0113】
1,5−ジベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物39)および1,2−ジベンジル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物40)を、1,5−ジベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸および1,2−ジベンジル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物29および30、それぞれ、684mg、2.05mmol)の混合物、EDCI(572mg、3.0mmol)、DMAP(427mg、3.5mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(353mg、2.46mmol)から製造し、次に、HPLCによって分離した。
【0114】
1,5−ジベンジル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物39)
1H-NMR (CDCl3): 1.28 (d, J=7.33Hz, 6H), 3.56 (m, 1H), 3.69 (s, 2H), 4.51 (bs, 2H), 5.06 (s, 2H), 5.92 (s, 1H), 6.05 (bs, 1H), 6.85 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.05-7.35 (m, 11H)。
【0115】
1,2−ジベンジル−5−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物40)
1H-NMR (CDCl3): 1.14 (d, J=6.74Hz, 6H), 2.70 (m, 1H), 4.33 (s, 2H), 4.54 (bs, 2H), 4.94 (s, 2H), 6.10 (bs, 1H), 6.14 (s, 1H), 6.79 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.06-7.32 (m, 11H)。
【0116】
2−ベンジルアミノ−4−メチルスルファニル−酪酸を、N−ベンジル−メチオニンメチルエステルHCl塩(5.0g、17.25mmol)、TEA(7.26mL、51.75mmol)および塩化イソブチリル(2.39g、22.4mmol)から、一般手順1に従って固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 1.17-1.25 (m, 6H), 1.98 (m, 3H), 2.00-2.10 (m, 1H), 2.38-2.50 (m, 3H), 2.85 (hept, J=6.74Hz, 1H), 4.11-4.15 (m, 1H), 4.56 (d, J=16.87Hz, 1H), 4.72 (d, J=16.87Hz, 1H), 7.24-7.41 (m, 5H)。
【0117】
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物41)および1−ベンジル−5−イソプロピル−2−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物42)を、1−ベンジル−2−イソプロピル−5−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸および1−ベンジル−5−イソプロピル−2−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物31および32、それぞれ、400mg、1.26mmol)の混合物、EDCI(312mg、1.64mmol)、DMAP(230mg、1.89mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(216mg、1.51mmol)から製造し、次に、カラムクロマトグラフィー、次いで結晶化によって、分離した。
【0118】
1−ベンジル−2−イソプロピル−5−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物41)
1H-NMR (CDCl3): 1.28 (d, J=7.33Hz, 6H), 2.00 (s, 3H), 2.60-2.70 (m, 4H), 3.51 (m, 1H), 4.54 (b, J=5.67Hz, 2H), 5.16 (s, 2H), 6.09 (s, 1H), 6.10 (bs, 1H), 6.87 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.05-7.35 (m, 6H)。
【0119】
1−ベンジル−5−イソプロピル−2−(2−メチルスルファニル−エチル)−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物42)
1H-NMR (CDCl3): 1.16 (d, J=6.74Hz, 6H), 2.00 (s, 3H), 2.61 (t, J=7.33Hz, 2H), 2.74 (m, 1H), 3.16 (t, J=7.33Hz, 2H), 4.52 (b, J=5.67Hz, 2H), 5.18 (s, 2H), 6.08 (s, 1H), 6.18 (bs, 1H), 6.85 (d, J=6.87Hz, 2H), 7.05-7.35 (m, 6H)。
【0120】
【化43】

【0121】
2−イソブチリル−4−オキソ−ヘキサン酸メチルエステル(化合物43): NaOMe(1.3g、24.1mmol)および無水MeOH 20mLの溶液に、4−メチル−3−オキソ−ペンタン酸メチルエステル(2.88g、20mmol)を添加した。反応溶液を室温で40分間撹拌した。1−ブロモ−2−ブタノンを滴下した。得られた溶液を室温で18時間撹拌し、H2Oで鎮め、エーテルで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(5% EtOAc/Hex)によって精製して、標記化合物を油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3): 1.04 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.11 (d, J=7.03Hz, 3H), 1.17 (d, J= 7.03Hz, 3H), 2.47 (q, J=7.33Hz, 2H), 2.87-2.97 (m, 2H), 3.08 (dd, J=7.91および8.21Hz, 1H), 3.32 (s, 3H), 4.22 (dd, J=6.87および5.86Hz, 2H)。
【0122】
1−ベンジル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物44): HOAc 2mL中の2−イソブチリル−4−オキソ−ヘキサン酸メチルエステル(化合物43、389mg、1.82mmol)の溶液に、ベンジルアミン(645mg、6.03mmol)を添加した。100℃で2時間撹拌し、室温に冷却した。反応をH2Oで鎮め、DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(2〜4% EtOAc/Hex)によって精製して、標記化合物を油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3): 1.20 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.25 (d, J=7.33Hz, 6H), 2.37 (q, J=7.33Hz, 2H), 3.45 (m, 1H), 3.79 (s, 3H), 5.13 (s, 2H), 6.40 (s, 1H), 6.86 (d, J=7.13Hz, 2H), 7.21-7.35 (m, 3H)。
【0123】
1−ベンジル−5−エチル−4−ホルミル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物45): DMF 5mL中の1−ベンジル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物44、1.4g、5.6mmol)を、DMF 5mL中のPOCl3(1.72g、11.2mmol)の溶液に0℃で添加した。反応溶液を90℃で18時間撹拌し、室温に冷却した。反応をH2Oで鎮め、酢酸エチルで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(10% EtOAc/Hex)によって精製して、標記化合物を固形物として得た。
1H-NMR (CDCl3): 1.07 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.22 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.87 (q, J=7.33Hz, 2H), 3.45 (hept, J=7.03Hz, 1H), 3.86 (s, 3H), 5.17 (s, 2H), 6.88 (d, J=7.13Hz, 2H), 7.21-7.35 (m, 3H), 10.24 (s, 1H)。
【0124】
1−ベンジル−5−エチル−2−イソプロピル−4−ビニル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物46)
一般手順5
n−BuLi(ヘキサン中2.5M、0.88mL、2.2mmol)を、THF 10mL中のメチルトリフェニルホスホニウムブロミド(734mg、2.06mmol)の懸濁液に、0℃で滴下し、0℃で20分間撹拌した。THF 10mL中の1−ベンジル−5−エチル−4−ホルミル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物45、450mg、1.37mmol)の溶液を、前記の反応に添加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、H2Oで鎮め、DCMで抽出し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮した。シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(4〜10% EtOAc/Hex)によって精製して、標記化合物を固形物として得た。
1H-NMR (CDCl3): 1.06 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.22 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.59 (q, J=7.33Hz, 2H), 3.26 (hept, J=7.03Hz, 1H), 3.82 (s, 3H), 5.15 (s, 2H), 5.18-5.22 (m, 2H), 6.82-6.95 (m, 3H), 7.21-7.35 (m, 3H)。
【0125】
化合物47を一般手順5によって製造した。
1−ベンジル−4−(ブタ−1−エニル)−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物47)は、n−BuLi(ヘキサン中2.5M、1.25mL、3.12mmol)、プロピルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.10g、2.86mmol)および1−ベンジル−5−エチル−4−ホルミル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物45、520mg、1.56mmol)を使用し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、EおよびZ異性体の混合物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.9-1.0 (m, 6H), 1.15-1.27 (m, 6H), 1.99 (m, 1.5H), 2.20 (m, 0.5H), 2.39 (q, J=7.62Hz, 1.5H), 2.56 (q, J=7.62Hz, 0.5H), 3.12-3.20 (m, 1H), 3.76 (s, 2.25H), 3.81 (s, 0.75H), 5.15 (s, 2H), 5.10-5.22 (m, 0.75H), 5.24-5.35 (m, 0.25H), 6.25-6.34 (m, 0.75H), 6.48-6.58 (m, 0.25H), 6.87 (d, J=6.74Hz, 2H), 7.21-7.35 (m, 3H)。
【0126】
1−ベンジル−4,5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物48)
一般手順6
1−ベンジル−5−エチル−2−イソプロピル−4−ビニル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物46、240mg、0.74mmol)を、TEA 0.1mLを加えたTHF 20mLに溶解し、10%Pd/C 35mgを添加した。反応混合物をH2バルーン下に1時間撹拌した。固形物をセライトのパッドで濾過し、濾液を濃縮して、標記化合物を得た。
1H-NMR (CDCl3): 0.92 (t, J=7.62Hz, 3H), 1.06 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.22 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.35 (q, J=7.62Hz, 2H), 2.59 (q, J=7.33Hz, 2H), 3.31 (hept, J=7.03Hz, 1H), 3.73 (s, 3H), 5.04 (s, 2H), 6.78 (d, J=6.74Hz, 2H), 7.10-7.25 (m, 3H)。
【0127】
化合物48も一般手順6によって製造した。
1−ベンジル−4−ブチル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物48)は、H2バルーン下に、THF(20mL)およびTEA(0.1mL)中の、(E)−および(Z)−1−ベンジル−4−(ブタ−1−エニル)−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物47、210mg、mmol)および10%Pd/C(55mg)の混合物を使用して製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.93 (t, J=7.33Hz, 3H), 0.99 (t, J=7.62Hz, 3H), 1.22 (d, J=7.03Hz, 6H), 1.25-1.45 (m, 4H), 2.63 (q, J=7.62Hz, 2H), 2.55-2.63 (m, 2H), 3.41 (hept, J=7.03Hz, 1H), 3.80 (s, 3H), 5.12 (s, 2H), 6.84 (d, J=6.74Hz, 2H), 7.20-7.35 (m, 3H)。
【0128】
1−ベンジル−4,5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物50)
一般手順7
1−ベンジル−4,5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物48、210mg、0.7mmol)を、MeOH(10mL)中において、5N NaOH水溶液(4mL)で、90℃で7日間処理した。反応溶液を室温に冷却し、10%HCl水溶液で中和し、エーテルで抽出し、Na2SO4で乾燥し、減圧濃縮して、標記化合物を未反応出発物質と共に得た。
1H-NMR (CDCl3): 0.92 (t, J=7.62Hz, 3H), 1.07 (t, J=7.33Hz, 3H), 1.23 (d, J=7.03Hz, 6H), 2.36 (q, J=7.62Hz, 2H), 2.59 (q, J=7.33Hz, 2H), 3.33 (hept, J=7.03Hz, 1H), 5.06 (s, 2H), 6.78 (d, J=6.74Hz, 2H), 7.12-7.25 (m, 3H)。
【0129】
1−ベンジル−4−ブチル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物51)は、一般手順7に従って、1−ベンジル−4−ブチル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸メチルエステル(化合物49、200mg、0.58mmol)および5N NaOH(4mL)を用いて、MeOH(10mL)中、90℃において7日間で、未反応出発物質との混合物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.95-0.99 (m, 6H), 1.22 (d, J=7.03Hz, 6H), 1.25-1.45 (m, 4H), 2.35 (q, J=7.62Hz, 2H), 2.50-2.62 (m, 2H), 3.30 (m, 1H), 5.05 (s, 2H), 6.87 (d, J=6.74Hz, 2H), 7.20-7.35 (m, 3H)。
【0130】
化合物52および53を、一般手順4によって製造した。
1−ベンジル−4,5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物52)を、1−ベンジル−4,5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(179mg、0.6mmol)、EDCI(170mg、0.89mmol)、DMAP(122mg、1mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(103mg、0.70mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.97 (t, J=7.62Hz, 3H), 1.09 (t, J=7.62Hz, 3H), 1.21 (d, J=7.33Hz, 6H), 2.41 (q, J=7.62Hz, 2H), 2.49 (q, J=7.62Hz, 2H), 3.03 (hept, J=7.33Hz, 1H), 4.56 (d, J=6.15Hz, 2H), 5.06 (s, 2H), 5.95 (bs, 1H), 6.85 (d, J=6.84Hz, 2H), 7.07-7.36 (m, 6H)。
【0131】
1−ベンジル−4−ブチル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸3,4−ジフルオロ−ベンジルアミド(化合物53)を、1−ベンジル−4−ブチル−5−エチル−2−イソプロピル−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物51、164mg、0.5mmol)、EDCI(170mg、0.89mmol)、DMAP(122mg、1mmol)および3,4−ジフルオロベンジルアミン(103mg、0.70mmol)から、白色固形物として製造した。
1H-NMR (CDCl3): 0.87 (t, J=7.32Hz, 3H), 0.96 (t, J=7.32Hz, 3H), 1.21 (d, J=7.03Hz, 6H), 1.22-1.44 (m, 4H), 2.35-2.45 (m, 4H), 3.03 (hept, J=7.03Hz, 1H), 4.56 (d, J=5.86Hz, 2H), 5.06 (s, 2H), 5.95 (bs, 1H), 6.83 (d, J=6.84Hz, 2H), 7.05-7.36 (m, 6H)。
【0132】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式で示される化合物:
【化1】

[式中、
破線は、結合の存在または不存在を表わし;
AおよびBは、独立に、安定な置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、ここで、AおよびBは、独立に、式C1-12H0-29N0-4O0-4S0-4F0-6Cl0-2Br0-2I0-2を有し;
m、n、oおよびpは、独立に、0、1、2または3であり;
Rは、H;C1-8非直鎖アルキル;C1-8アシル;C1-8アルコキシカルボニル;または、式C1-12H0-29N0-4O0-3S0-3F0-6Cl0-2Br0-2I0-2を有する安定な置換もしくは非置換複素環もしくはフェニルであり;
Zは、CH2、O、NまたはSであり;
Tは、CHまたはN、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルであり;
Gは、Hまたはフェニルであるか、または下記から選択される1〜6個の炭素原子を有する基であり:アルキル(1個の炭素原子がSで置き替えられてもよい)、フルオロアルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、アミノ、または置換もしくは非置換ヘテロアリール;
X1およびX2は、独立に、結合、1〜4個の炭素原子を有する
【化2】

【化3】

【化4】

C=O、−CH=、=CH−、NH、=N−、−N=、S、またはOであり;
但し、X1およびX2は両方が同時には結合でないものとする]。
【請求項2】
下記の式で示される請求項1に記載の化合物:
【化5】

[式中、
R1およびR2は、独立に、H、F、Cl、NO2、メチル、エチル、n−プロピル、またはイソプロピルであり;
Bは、フェニルまたはピリジニルであり、それは非置換であるか、またはF、Cl、NO2、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルから独立に選択される1個または2個の置換基を有し;
X1およびX2は、独立に、結合、=N、O、または=CH−であり;
Rは、C1-5アルキルであるか;またはRは、フェニルまたは複素環基であり、それは非置換であるか、またはF、Cl、NO2、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルから独立に選択される1個または2個の置換基を有する]。
【請求項3】
X1−X2が、=C−、=N−O−、およびOから選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Bが非置換フェニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Bが非置換ピリジニルである請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
Rがイソプロピルである請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Rがメチルフェニルである請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
Rがn−ブチルである請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
R1およびR2が、独立に、H、メチル、F、またはNO2である請求項3に記載の化合物。
【請求項10】
Bがフェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Bがピリジニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Aが置換フェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
ZがNまたはCH2である請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
TがCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
mが0である請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
nが1である請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
哺乳動物の疾患または症状を処置するための医薬の製造における、請求項1〜16のいずれかに記載の化合物の使用であって、該疾患または症状が、緑内障、ドライアイ、血管新生、心臓血管系の症状および疾患、創傷および痛みから選択される使用。
【請求項18】
哺乳動物がヒトである請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれかに記載の化合物を、必要とする哺乳動物に投与することを含んで成る、疾患または症状の処置方法であって、該疾患または症状が、緑内障、ドライアイ、血管新生、心臓血管系の症状および疾患、創傷および痛みから選択される方法。
【請求項20】
哺乳動物がヒトである請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−536871(P2010−536871A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522009(P2010−522009)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/073795
【国際公開番号】WO2009/026407
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】