スプリングおよびスプリングアセンブリ
複数の個々の弾性の接続アームから形成されるスプリングに基づき、様々な構成が開示されており、その中には、搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングであって、内部ハブが外部ハブの半径方向の内側に存在する内部ハブおよび外部ハブと、それぞれの内端部が内部平面接続領域を介して前記内部ハブに接続され、外端部が外部平面接続領域を介して外部ハブに接続された複数の弾性の接続アームとを備え、内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、対称軸に垂直であり、複数の弾性の接続アームは、内部ハブと外部ハブとが対称軸に対して相対的に変位した場合には、対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されており、内部ハブ、外部ハブ、および、複数の弾性の接続アームそれぞれは、物理的に別個の部材として形成されており、スプリングを形成するための組み立て中に互いに接続されるスプリングが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現在、殆どの熱力学機械の効率および寿命は、潤滑剤の利用により達成されている。より摩擦、損耗が少ない形で、運動部材間に大きな力を伝達することのできる材料が既に存在する。
【0002】
しかし、油等の従来の潤滑剤では問題が発生する用途が幾つかある。例えば、スターリングサイクルの冷凍庫(Stirling cycle cryo-cooler)には、ピストン/シリンダーアセンブリがある。これらが従来のクランク機構で駆動される場合には、寿命を長くして、且つ効率性を上げる、という観点から潤滑剤を利用することが望ましい。しかし、冷却システムは、例えば100K以下という低温で動作する熱交換器も備えている。ピストン/シリンダー領域から、この低温の熱交換器へと油を流すと、油は往々にして固化して、熱交換器の経路を遮り、性能が下がる。
【0003】
この問題を克服するために開発された技術に、クランク機構を完全になくして、その代わりに、完全な線形構成を採用する、というものがある。こうすることで、クランク機構に伴う大きなサイドロードがなくなり、油を利用しない動作が可能となる。このシステムでは通常、正確な線形運動をサポートする湾曲部を利用するリニアサスペンションシステム、ピストンをサスペンションで導いてシリンダー内に一定のすきまを維持するピストン/シリンダーアセンブリ、および、運動部材に取着されて、運動アセンブリから力を出し入れするリニアトランスデューサといった部材が利用されている。
【0004】
この技術は、宇宙における冷却システムに利用され功を奏しており、油を利用しない動作の望ましい他の用途でも関心が高まっている。
【0005】
典型的なリニアサスペンションシステムは、2セットの湾曲部からなる。これらは、撓むことにより(つまり弾性変形により)相対運動を行う機能を有する部材である。撓みによって、収縮面の間の運動が不要となり、摩擦、損耗が生じる可能性がなくなる。通常、撓みは、ステンレス鋼等の金属薄膜により形成される。
【0006】
公知の撓みの設計は、スパイラルスプリングと通常称されている。その2つの例100および300を図1から図4に示す。
【0007】
スパイラルスプリングは、材料の薄い平坦なディスクから形成される。ディスクは、マシニングされて2以上の回転対称の湾曲した撓みアーム101/103を生成し、この撓みアーム101/301では、内部接続領域102/302が外部接続領域104/304に、周囲部分で接続されている。
【0008】
図1および図2では、外部接続領域および内部接続領域(固定領域)102および104がそれぞれ環形である。図1は、スプリング100のプロフィールを示す。図2は、固定された領域102/104をハッチングして示している。図3および図4は、別の構成300を示しており、この例では、内部接続領域および外部接続領域302および304がそれぞれ、より複雑な形状をしている。この例では、外部固定領域304が複数の個々のパッドから構成されている。図3は、スプリング300のプロフィールを示し、図4は、固定領域302/304をハッチングにより示している。これら設計においては、100/300は、一体化構成である。
【0009】
内部102/302および外部104/304接続領域が軸運動することにより、弾性の接続アーム101/301が撓むことでこの運動が可逆的に繰り返されても耐えられる材料をもたらす。
【0010】
単一のスプリングでは、スプリング面内の軸周りのねじり剛性は弱い。しかし2以上のスプリングを位置合わせして接続して2つの軸方向に分離されたセットを形成することで、ねじり剛性は大幅に上がる。このように完成したアセンブリは、運動が完全に、弾性の接続アームの撓みにより行われ、損耗/摩擦がないタイプのリニアベアリングとして動作することができる。弾性の接続アームは、任意の撓みの最大応力を最小限に抑えることのできる形状に形成されている。加えられる応力は、材料を疲労させるほど大きくなく、スプリングが超長寿命となり、原則としては、フレッチング、腐食が生じず、無限の寿命が得られる。
【0011】
このようなアセンブリ500の一例を図5に示す。この例では、2つのスプリング508A/508B/510A/510Bの2つのセットが、内部ハブおよび外部ハブにより接続されている。各スプリング508/510のセット内では、個々のスプリング508A/508Bおよび510A/510Bが、シム512により分離されている。これらシムは、フレッチングおよび早期の失敗を生じかねない、隣接するスプリング間の接触を妨げる。完成したアセンブリ500の軸方向剛性は、スプリング数を増やすと増強されるが、一般的には、個々のスプリングの剛性を高めることにより、スプリング数は抑えるのが望ましい。
【0012】
スパイラルスプリングサスペンションシステムが定義する線形運動は、スプリングの配置の回転対称性により可能となっている。従って、線形運動の精度は、実際に可能な配置の精度による制約を受ける。これはさらに、スプリングの製造およびスプリングが固定される精度によっても決定される。固定力の位置によって、弾性の接続アームの撓みの境界条件が設定され、これには、正確な回転対称性も必要となる。
【0013】
既存のスプリング設計では、スプリング配置の精度は、スプリングを単一の部材とすることで達成されている。そして、弾性の接続アームのプロフィールは全て同時にマシニングされるので、精度は主にマシニング加工により制限される。広く利用されているマシニング加工は、フォトエッチングと称される化学プロセスである。
【0014】
固定力の位置の精度は、一般的に、固定具による標準的な工学的公差により設定されている。例えばスプリングがM3ねじにより固定される場合には、クリアランス穴の直径は通常3.2mmであり、位置誤りは+/−0.1mmである。このレベルの精度はあまり高くなく、実験により、多くの用途に十分な程度であることがわかっている。
【0015】
コンプレッサの用途における撓みベアリング(flexure bearing)においては、特定のエンベロープおよび動作周波数におけるストローク、半径方向剛性、および軸方向剛性の最小値を達成する(あるいは超える)、という要件が課される。
【0016】
通常、半径方向剛性が軸方向剛性よりも実質的に高いことが必要となり、これは、弾性の接続アームの最小幅を、スプリングの厚みより数倍大きくすることにより達成されている。例えば、2mmの幅および0.25mmのスプリングの厚みにおいて、アスペクト比は8である。剛性比は、アスペクト比の3乗に大まかに比例するので、これにより剛性比は〜500ということになる。
【0017】
コンプレッサの寿命における撓みサイクルの総数は、非常に高く(通常>109)、撓みは、明らかに疲労の影響を受けるので、設計においてはこのことを考慮する必要がある。
【0018】
ストローク要件および剛性要件は、一般的には互いに相容れない。例えば、スプリングの厚みを薄くしようとすると、任意の撓みで弾性の接続アームの応力も低減して、任意の最大応力レベルにおいてストロークが大きくなる。しかし、厚みを薄くすることは、同時に、軸方向および半径方向の剛性値も低下させる。スパイラルスプリング設計における主要な課題の1つに、任意のエンベロープに対して、剛性およびストロークの両面で高い値を達成する、というものがある(つまり、変位軸(axis of displacement)に垂直な方向の、スプリング断面のサイズ/形状)。一般的には、これは、設計段階で、応力分布が等しく、高い疲労強度を有する材料を利用する、ということで達成され、特に、応力の局所的集中を避けることが重要となる。
【0019】
有限要素応力分析ソフトウェアは、スパイラルスプリング設計を向上させる効果があることが分かっている。いつも完全に均一な応力分布を達成することはできないが、局所的なピーク値が低減されて、性能が顕著に良くなった。
【0020】
部材が故障することが予想される応力は単一の値ではなく、それまでにかかった応力の積み重ねにより決定される。多くの故障は、損傷の積み重ねのせいで起こる。工業的に特に重要なのは、部材の応力が、多くのサイクルのなかで変化する、ということである。この種類の応力群は、疲労と称されており、一般的には、故障の起こる応力は、サイクル数が増えると低下する、という認識がある。異なる材料であれば、何サイクルもの応力を受けた場合の振る舞いが異なる。材料の中には、サイクル数が増加すると応力が低下しつづけるものもある一方で、応力が一定の値まで低減すると、そこからは一定にとどまるものもある。後者の振る舞いを呈する材料は、疲労の限界を有する、と称され、この種類における最小応力のことを、疲労強度と称する。疲労が顕著な用途においては、疲労の限界を有する材料の利用が好適である。鉄合金は一般的に疲労の限界が高く、最も広範に利用されている。一部の材料では、疲労強度と材料の硬度(および降伏強度)との間に関連性があるものがあり、往々にして、高い疲労強度を有する材料が非常に硬い。
【0021】
特殊なグレードのステンレス鋼が、疲労に対する耐性が主要な要件となるコンプレッサ弁の用途について開発された。これらの合金は、非常に高い疲労強度、良好な腐食耐性を有し、平らなシート形状で入手可能である。高価でもなく、スパイラルスプリングの用途に最適であり、既に幅広く利用されている。このような合金の一例が、Sandvik社のHiflexである。
【0022】
完成品において高い疲労強度を達成するのは難しい。材料の選択は、これにより達成可能な最大疲労強度が定まることから、難しいことは明らかである。しかし同様に難しいのが、これも多大な影響力を及ぼす、製造プロセスの決定である。
【0023】
ある材料の公称疲労強度は、疲労に晒される部材のどこでも生じうる最大ピーク応力値を設定する値のことである。部材の配置または表面仕上げといった特徴も、計算されうる平均応力よりもかなり大きい局所的なピーク値を生じる一因になりうる。これら特徴は、応力を高める要因(stress raiser)と称され、非常に有害であり、低い平均応力値で故障を引き起こす可能性を有する。例えば、引っ張り応力に繰り返し晒される表面の割れ目によって、平均応力値に基づく疲労値を大きく下回る値であっても、早期の故障を引き起こすことがある。
【0024】
通常、マシニング加工によって、表面の割れ目が残り、あるいは、合金が局所的に加熱されてその性質が変化することにより、材料の疲労特性が劣化する。マシニングの後で表面の損傷を取り除くことのできる「スーパー仕上げ(super-finishing)」といった加工が開発され、これを利用すると、疲労性能は格段に向上する。
【0025】
スパイラルスプリングの製造において、材料の全疲労強度が活用されるようなマシニングと仕上げ処理とを組み合わせを見つけることが望ましいと思われる。既存の設計では、スパイラルアームは、通常、材料の幅の狭いスロットにより定義され、通常は、ピーク応力が生じる領域が、これらスロットの側面および端部沿いに存在する。一体型の設計では、多大な圧力を受けるスパイラルアームの端部が、仕上げ工程で利用される媒体に届かないために、仕上げ工程の有効利用ができない。これにより、これらの仕上げ工程を行わずとも有用な表面仕上げを残すようなものに、マシニング加工の利用は限られたものとなる。
【0026】
これまで広く利用されてきたマシニング加工は、スプリングプロフィールのフォトエッチングである。これによってもかなり良好な疲労耐性を持つ、高品質のマシニングされた部材が生産されてきたが、非常に顕著な欠点として、品質制御が容易ではなく、歩留まりが低く、利用される化学プロセスによって、微細な割れ目がエッチングされた表面上に形成される、という問題があった。
【0027】
既存のスプリング設計の製造コストは、フォトエッチングが低コストの製造プロセスではないことから比較的高く、この基本コストは、品質制御面および歩留まりの低さを考慮するとさらに上がる。
【発明の概要】
【0028】
まとめると、上述した先行技術では、正確なスプリング配置は、スプリングを単一の部材にマシニング加工することで達成されてきた。この方法は、要求されている精度を考慮に入れると、好適であると認識されてきたが、利用されうるマシニングおよび仕上げ加工を顕著に制約する。究極的には、これが、比較的高価で、材料特性を最大利用できないスプリングが生成されていることに繋がっている。本発明は、先行技術のこれらの欠点の少なくとも幾つかを解決することを目的とする。
【0029】
本発明の一側面においては、搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングであって、内部ハブが外部ハブの半径方向の内側に存在する内部ハブおよび外部ハブと、それぞれの内端部が内部平面接続領域を介して内部ハブに接続され、外端部が外部平面接続領域を介して外部ハブに接続された複数の弾性の接続アームとを備え、内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、対称軸に垂直であり、複数の弾性の接続アームは、内部ハブと外部ハブとが対称軸に対して相対的に変位した場合には、対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されており、内部ハブ、外部ハブ、および、複数の弾性の接続アームそれぞれは、物理的に別個の部材として形成されており、スプリングを形成するための組み立て中に互いに接続されるスプリングが提供される。
【0030】
従って、内部ハブと外部ハブとが一体化されている一体型のスパイラルスプリングと比較して、本開示の内部ハブおよび外部ハブは、別個の弾性の接続アームにより互いに対して接続されている。スプリングは、内部ハブおよび外部ハブ、並びに弾性の接続アームを位置合わせして、これらを内部および外部の平面接続領域を介して互いに固定することにより組み立てられる。このプロセスは、ハブおよび接続アームに設けられる位置あわせフィーチャが手助けを行う。
【0031】
ハブおよび接続アームは、個々の部材として製造され、それぞれが、自身の範囲を規定する識別可能な外面を有する、という点で物理的に別個の部材である。これらは、互いに接触させられると、一般的には、これら部材間に識別可能な界面が生じる(例えば組成、構造、および/または、格子配向間の不連続性となる)。接続されるときの2つの部材の材料間には、一定の混合度が存在する。例えば、スポット溶接、はんだ付け、および/または、接着剤を利用してこのような混合を達成することができるが、それでも、ある部材が終端して次の部材が始まる点では界面が存在する。スポット溶接の場合には、両方の界面の溶解および混合が生じうるが、これは局所的であり、部材間の界面を破壊はせず、こうしなければある部材を他の部材から識別することは難しい(つまり、2つの部材が接続されたものであり、一体化されたコンポーネントとして形成されたものではないと判断することが難しい)。はんだ付けおよび接着剤の場合には、これら異なる材料が利用されると、それ自身が、部材間を分離する界面を定義する。ハブおよび接続アームが単一材料からなるような先行技術の構成では、対照的に、界面が存在せず、ハブと接続アームとが、別個の部材ではなくて、互いに一体化している。
【0032】
スプリングに必要な精度のある構成は、ハブおよび接続アームに存在する配置フィーチャを利用して達成することができる。これらの配置フィーチャは、ハブおよび接続アームのスプリングアーム機能に固有のものであってよい(つまり、スプリングが提供する復元力に寄与するものであってよい)。または、あるいはこれに加えて、これらが、純粋に位置合わせの目的から追加されるものであってもよい。
【0033】
一部の例では、固定手段は容易に取り外すことはできない(例えば、手段が、はんだ付け、溶接、または接着剤によるプロセスを利用して得られた場合)。これらの場合には、組み立ては、一度だけ行われ、各コンポーネントを再利用するために分解することができない。
【0034】
固定手段が容易に取り外すことができる場合には(ボルトまたはリベットが利用される場合)、各コンポーネントは互いから自動的に、または最小限の応力で、コンポーネントを傷つけないように分解することができる。コンポーネントをこのようにして分解したあとで、再度組み立てることもできる。 この場合組み立てプロセスは可逆的なものとなる。
【0035】
通常は、固定手段は、内部接続領域および外部接続領域を、内部ハブおよび外部ハブに、スプリングの対称軸に平行な方向に押し付ける働きをする。
【0036】
先行技術の単一の一体型スパイラルスプリングの製造にまつわる困難は上述した通りである。これら困難には、一体型設計では、高い圧力が加わる、スパイラルアーム沿いのエッジ部分が、数多くの仕上げ加工(例えば「スーパー仕上げ」)で利用される媒体に届かないので、これらの加工を有効利用することができない。これにより、マシニング加工の選択肢がこれら仕上げ加工を利用しないで、利用可能な表面仕上げを残すものに限定される。これらマシニング加工の一例がフォトエッチングであるが、この技術は、品質制御が難しかったり、歩留まりが低かったり、利用される化学プロセスによりエッチングされた表面に微細なひび割れが残ったり、という幾つかの不利な点を有する。
【0037】
本発明では、弾性の接続アームが内部ハブおよび外部ハブと一体形成されず、別個の部材として取り扱い、完成されるために(スプリングの組み立て前に)、これらの問題を回避することができる。仕上げ加工で問題となるような細い間隙またはスロットが存在しない。実際のところ、本発明は、スタンピング(またはファイン・ブランキング)を、スーパー仕上げ加工と組み合わせて有効に利用して製造することができ、これによって、フォトエッチングを利用する製造に比して、格段にコストを低減させることができる。このプロセスは、冷蔵庫のコンプレッサ用のフラッパーバルブ(リードバルブ)を低コストで製造するために広く利用されており、このプロセスでも、疲労強度は重要な要件である。スタンピングは、細いスロットを(通常硬い)材料内に製造するために必要となる金型が非常に費用が嵩む上に耐久性も低いので、現行の一体型のスプリング設計を加工するための実行可能な製造方法とはいえない。
【0038】
配置フィーチャは、内部ハブおよび外部ハブを有する、弾性の接続アームの位置合わせを助けることができる。これらは、例えば、複数の弾性の接続アームおよび内部ハブおよび外部ハブにシリンダー状の穴を含み、シリンダー状の穴の中に挿入可能なシリンダー状の位置合わせ部材と協働させてよい。この配置は、組み立てが簡単であり、現行の一体型のスパイラルスプリングで達成されているものよりも優れたレベルの位置合わせを用意に提供することができる製造方法を示している。シリンダー状の位置合わせ部材は、位置合わせ後にも穴内にとどまり、位置合わせを維持してもよいし、取り除いてもよい。
【0039】
複数の弾性の接続アームは、複数のスタック内に配置され、あるスタック内の各弾性の接続アームは、同じスタック内の他の弾性の接続アームの全てと、対称軸に平行な方向に位置合わせされてよい。この配置によって、スプリングの剛性を、基本的な弾性の接続アームの修正なしに、特定の用途の要請に容易に適合させる(増強する)ことができる。従って、幅広いスプリングを、同一の弾性の接続アームを利用して製造(組み立て)することができるようになり、これによって、顕著な規模の経済を製造方法内に実現することができる。
【0040】
配置フィーチャは、弾性のアーム同士を(あるスタック内で)位置合わせして、且つ、内部ハブおよび外部ハブに対して位置合わせすることもできる。例えば、配置フィーチャは、シリンダー状の穴および/またはスロット、且つ、対応するシリンダー状の位置合わせ部材を含んでよい。同じ配置フィーチャを2つの機能に併用することの利点は、これにより、配置フィーチャに必要となる空間を最小限に抑えることができる点であり、これは、エンベロープ全体(スプリングの平面の断面積)を最小限に抑えることが必要な場合には重要なことであると思われる。
【0041】
配置フィーチャは、完全な負荷をかける配置フィーチャおよび部分的に負荷をかける配置フィーチャを有してよい。配置フィーチャは、配置フィーチャと接触する複数の弾性の接続アームの一部のスプリングの平面内の動きを防止して、部分的に負荷をかける配置フィーチャは、配置フィーチャとある一定の方向のみにおける複数の弾性の接続アームの一部のスプリングの平面内の動きを防止する。例えば、部分的に負荷をかける配置フィーチャは、所定の線上のみの線形運動を許可するスロットからなっていてよい。この、完全な負荷をかける配置フィーチャと、部分的に負荷をかける配置フィーチャとの組み合わせは、多数の弾性の接続アームが存在する場合に、スプリングに過度な負荷を与えないようにするように配置される。例えば、この目的は、完全な負荷をかける配置フィーチャの数、部分的に負荷をかける配置フィーチャの数、および、部分的に負荷をかける配置フィーチャの性質(方向)を適切に選択することにより達成することができる。過度の負荷は、スプリングに対して不当に、予測不可能な応力を与える可能性があり、これによって性能が低減したり、および/または、早期の失敗が生じたりする可能性がある。
【0042】
弾性の接続アームは、様々な技術を利用して外部ハブおよび内部ハブに固定することができる。一例としては、内部ハブおよび外部ハブに設けられたねじ穴と協働するねじを利用して接続することができる。ねじ頭と弾性の接続アームとの間の接触は、固定部材またはワッシャを利用して行われてよい。
【0043】
固定手段は、さらに、弾性の接続部材を(あるスタック内で)互いに対して、および/または、内部ハブおよび外部ハブとの間で、位置合わせすることができる。例えば、固定手段は、弾性の接続アーム内の穴のシリンダー状の内表面と、および/または、内部ハブまたは外部ハブに形成されたシリンダー状の穴のねじを切られていない部分と、協働する長尺状の肩部を有してよい。
【0044】
固定手段を、ハブおよび/またはスタックの配置フィーチャとともに組み合わせることで、これらフィーチャに必要な空間が減り、これは、例えばスプリングを小型にする必要がある際に有用であろう。別個の配置フィーチャを設けないということは、さらに、固定手段に利用可能な空間が増えることを意味する。さもなくば可能とならないような、より厚いねじも利用可能となり、これは例えば、信頼性および/または性能を高める一因となる。
【0045】
または、あるいはこれに加えて、標準的なねじのねじを切られた部分の周りに挿入するための、シリンダー状のチューブをさらに備えてもよい。シリンダー状のチューブは、弾性の接続アームに形成されたシリンダー状の穴の内表面と、および/または、内部ハブまたは外部ハブに形成されたシリンダー状の穴のねじを切られていない部分と係合して、位置合わせ機能を達成して、一方で、シリンダー状のチューブの端部から突出するねじ山の一部が、内部ハブおよび外部ハブ内の対応するねじを切られた部分と係合して、固定機能を実行する。この方法の利点は、標準的なねじを利用することができる点であり、これは非常に安価で、シリンダー状のチューブを、長尺上の肩部を有するねじ(肩部のプロフィールおよび軸方向は、十分な精度で形成されねばならない)よりも安く製造することができるようになる。
【0046】
固定手段は、弾性の接続アームの各端部を、内部ハブおよび外部ハブに対して、少なくとも2つの固定点を介して固定するよう構成されていてよい。この構成は、スプリングの軸方向変位量(axial displacement)(ロード)に生じる回転力をサポートするのに大変効率がよいことが分かっている。
【0047】
複数の弾性の接続アームのそれぞれは、アームの内端部および外端部付近の領域と比べて、アームの中間部に近い部分が薄くなるようなテーパ形状である。例えば、弾性の接続アームは、接続アームの2つの端部で略同じ幅を有し、接続アームの中間にかけて連続して細くなるような形状であってよい。この構成は、スプリングの軸方向の撓み(axial deflection)(ロード)に呼応して、外部ハブに対して内部ハブの回転量が少なく、弾性の接続アームに加わる応力を最小限にする助けとなる。この構成は、さらに、アームのピーク応力も低減することができ、アームを効率的に入れ子状にすることができる。
【0048】
弾性の接続アームのスタック数は、あるいはスタックがない場合には弾性の接続アームの数は、回転対象度より大きく設定されてよい。つまり、弾性の接続アームは、提供される弾性の接続アームの数について可能な最大数より低い回転対象度を有するパターンに配置することができる。こうすることで、スプリングエンベロープの形状の制御においてより大きな柔軟性が提供される(つまり、対称軸沿いに見たプリフィール)。例えば、プロフィールは、平面内の第1の方向において比較的コンパクトとなり、第1の方向に垂直な、平面の第2の方向において比較的細長くなるように設定されてよい。これにより、同様の空間制約を有するデバイスまたは場所でスプリングを利用することが可能となる。
【0049】
さらに、外部ハブは、複数の接続された、または分離されたセグメントからなるように構成されてもよい。セグメントが分離している場合には、各セグメントは、互いに一番近い弾性の接続アームの外端部のみに接続されてよい。例えば、弾性の接続アームを、スプリングプロフィールが第1の方向にはコンパクトであり、第2の方向には細長いなり、セグメント同士が、第1の方向に実質的に平行に並ぶように配置することができる。ここでも、外部ハブをこのように配置することで、スプリングエンベロープの形状を制御する際の柔軟性が高くなる。
【0050】
セグメントが分離している場合には、さらに、スプリングの構成を定義するために、さらなる配置フィーチャが必要となる。これは、より完全に、既に弾性の接続アームに存在している位置合わせフィーチャを利用することで達成される。または、組み立てプロセス中にセグメントを接続する固定具を利用することもできる。
【0051】
本発明の別の態様においては、スプリングアセンブリは、本発明における複数のスプリングが直列に接続された構成を利用して構成することもできる。このようなアセンブリは、単一のスプリングよりも撓みのある軸のない部材に対してより高い剛性を有するように容易に構成することができる。
【0052】
本発明のさらに別の態様においては、互いに物理的に分離された内部ハブおよび外部ハブと、互いに、および、内部ハブおよび外部ハブから物理的に分離されており、内端部が内部ハブに接続可能であり、外端部が外部ハブに接続可能である複数の弾性の接続アームとを備え、複数の弾性の接続アームは、内部ハブと外部ハブとが対称軸に沿って相対的に変位されると、接続されたときに対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されている本発明の実施形態におけるスプリングを構成するためのキットが提供される。
【0053】
本発明のまた別の態様においては、本発明の実施形態におけるスプリングと、スプリングの内部ハブおよび外部ハブの一方に接続されるシリンダーと、スプリングの内部ハブおよび外部ハブの他方に接続され、シリンダー内で縦方向に移動するピストンとを備え、スプリングは、ピストンとシリンダーとの間に一定のすきまが維持されるよう、シリンダー内のピストンの相対運動を誘導するピストン/シリンダーアセンブリが提供される。
【0054】
本発明のまた別の態様においては、搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングを製造する方法であって、物理的に別個の部材として、内部ハブ、外部ハブ、および複数の弾性の接続アームを提供する工程と、内部ハブを、外部ハブの半径方向の内側に配置する工程と、複数の弾性の接続アームのそれぞれの内端部を、内部平面接続領域を介して内部ハブに接続し、外端部を、外部平面接続領域を介して外部ハブに接続し、内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、対称軸に垂直であり、内部ハブと外部ハブとが対称軸に対して相対的に変位した場合には、対称軸に平行な復元力を与える方法が提供される。
【0055】
本発明の実施形態を、以下に例示により添付図面を参照して記載するが、図面においては対応する参照符号は互いに対応する部材を示している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】先行技術における一体型のスパイラルスプリングを示す。
【図2】図1のスパイラルスプリングの内部領域および外部領域における固定領域の位置を示す。
【図3】一体型のスパイラルスプリングの別の例を示す。
【図4】図3のスパイラルスプリングの内部領域および外部領域における固定領域の位置を示す。
【図5】軸方向に分離されたセットのスパイラルスプリングを利用する線形ベアリングアセンブリを示す。
【図6】本発明の一実施形態におけるスプリングを示す。
【図7】取り付けられた弾性の接続アームを有さない、図6のスプリングの内部ハブおよび外部ハブを示す。
【図8】弾性の接続アームと、対応するシムおよび固定板のプロフィールとを示す例である。
【図9】2つの弾性の接続アームを含む弾性の接続アームスタックを示す。
【図10】弾性の接続アームスタックを、内部ハブおよび外部ハブと接続、位置合わせする方法を示す。
【図11】これより少ない数の位置合わせ穴を含む、別の実施形態のスプリングを示す。
【図12】弾性の接続アームが取り外された上体の図11の内部ハブおよび外部ハブを示す。
【図13】弾性の接続アームを、自身に対して、および/または、内部ハブおよび外部ハブに対して固定、および位置合わせするために肩付きねじを利用する例を示す。
【図14】弾性の接続アームを、自身に対して、および/または、内部ハブおよび外部ハブに対して固定、および位置合わせするために、ねじ部品を組み合わせてシリンダーチューブを利用する例を示す。
【図15】スロット形状の、完全に拘束された位置にあるフィーチャと、部分的に拘束された位置にあるフィーチャとの組み合わせを利用する、一実施形態の内部ハブおよび外部ハブを示す。
【図16】回転対称度が、弾性の位置合わせスタックの数より少なく、スプリングエンベロープが長いスプリングを示す。
【図17】本発明の実施形態のスプリングを利用したピストン/シリンダーアセンブリの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図6は、本発明の一実施形態におけるスプリング600の平面図であり、このスプリング600は、それぞれ内部ハブ616および外部ハブ618に、内部平面接続領域および外部平面接続領域が、シムおよびクランプによって(クロスハッチングされた「固定領域」621内に位置するように)取り付けられた、複数の別個の弾性の接続アーム614からなっている。内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、通常は、スプリングの長手方向の、ロードベアリング、対称軸に垂直である。図7は、内部ハブおよび外部ハブ616/618の、弾性の接続アーム614、シムおよびクランプが取り外された上体のプロフィールを示す。
【0058】
図8は、個々の弾性の接続アーム614を示しており、それぞれ内部平面接続領域および外部平面接続領域825/827、シムおよび固定板のプロフィール620が示されている。
【0059】
概して、弾性の接続アーム614は、特定のプロフィールに限定はされないが、示されている実施形態では、弾性の接続アーム614が、湾曲しており、中間部にかけて細くなる形状を有している(つまり、「腰が細く」なっている)。この曲率により、撓ませられる際に内部ハブおよび外部ハブ616/618の間に回転度が生じ、弾性の接続アーム614に対する応力の低減に寄与する。腰が細くなっているプロフィールはまた、ピーク応力の低減にも寄与する。この例では、腰が細くなっているプロフィールによって、6つの弾性の接続アーム614を入れ子状(nest)として、一体型のスパイラルスプリング(例えば図1から図4にあるようなもの)が提供するものに匹敵する撓み接続を可能とする。
【0060】
同様に、シムおよび固定板の形状620、および、内部ハブおよび外部ハブ616/618上の固定領域621の形状にオプションとして整合してもよい外部平面接続領域825/827(これは、シムおよび固定板の形状620と整合するものであってもよい)は、一般的には、特定のプロフィールに限定はされない。しかし、固定領域621、内部および外部接続領域825/827、および、シムおよび固定板は、通常、所望の適切な固定、位置合わせフィーチャを含むことができるよう十分な大きさを有するべきである。形状は通常、弾性の接続アームのプロフィールに合わせて設計されるが、必ずしもそうではなくてもよい。
【0061】
図7および図8に示す例では、2つの大きいほうの穴623Aを、各弾性の接続アーム614の両端に設け、さらに、内部ハブおよび外部ハブ616/618上の対応する固定領域621のそれぞれに対応する穴623Bを設けて、固定手段を通す。固定手段は、例えば、接続アーム614の穴623Aを通り、内部ハブおよび外部ハブ616/618内の対応する穴623Bのねじ山と係合するねじを含んでよい。ねじを締めると、弾性の接続アーム614の内部接続領域および外部接続領域825/827は、長手方向に(つまり、スプリングの対称軸に平行、且つ、内部接続領域および外部接続領域825/827に垂直な方向に)応力を受けて、内部ハブおよび外部ハブ616/618に対して押し付けられる。
【0062】
2つの小さいほうの穴622Aが、弾性の接続アーム614の両端に設けられて、位置合わせ機構の一部として機能する。対応する穴622Bが、内部ハブおよび外部ハブ616/618の固定領域621それぞれに設けられる。オプションとして、大きいほうの穴を位置合わせ機構として利用して、小さいほうの穴を、固定手段を通すために利用することもでき、あるいは、固定および位置合わせ用の穴を同じサイズとしてもよく、同じ穴を共有してもよい(以下参照)。
【0063】
概して、位置合わせ機構は、「ハブ配置フィーチャ」と称される場合もある、内部ハブおよび外部ハブ616/618に対して弾性の接続アーム614を位置合わせするフィーチャ、および、「スタック配置フィーチャ」と称される場合のある、弾性の接続アーム614同士を位置合わせして、スプリング600の対称軸に平行なアーム614の「スタック」を形成するフィーチャ、という、2つの部材を含む必要がある。ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャは、位置合わせおよび角度合わせの両方の機能を果たすことができる。スタック配置フィーチャは、さらに、任意のスタックの弾性の接続アーム614の間、および、スタックの軸の先端に位置する固定板の間に挿入されるシムの位置合わせも行う。
【0064】
好適な実施形態では、ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャは、いずれかまたは両方が、シリンダー状の穴623を含んで、シリンダー状の穴623にぴったり収まるシリンダー配置部(だぼ)と協働するようにしてもよい。
【0065】
図6および図7に示す例では、小さいほうの穴622Aが両方とも、弾性の接続アーム614(および任意のシムおよび固定板)同士を、スタック内で位置合わせするのに有効であり、2つの小さいほうの穴622Aのいずれか1つのみが、弾性の接続アーム614を、内部ハブおよび外部ハブ616/618と位置合わせする際に必要となる。これは、固定領域621が、ハブ位置合わせに利用される2つの小さいほうの穴622Aの1つと協働するために、小さいほうの穴622Bを1つしか含まないからである。シリンダー状の位置合わせ部は、接続アーム614の各端部の小さいほうの穴622A両方に挿入して、2つのシリンダー状の配置部の1つだけを、内部ハブまたは外部ハブ616/618の穴622Bに挿入する。
【0066】
この構成は図9および図10に詳しく示されている。
【0067】
図9は、弾性の接続アーム614、固定板924、およびシム926を積み重ねて、弾性の接続アームスタックまたはサブアセンブリ928を形成する様子を示す側面図である。この例では、スタック928が2つの弾性の接続アーム614を含んでいるが、必要であればこれより多くを含んでもよい。の弾性の接続アーム614の各端部の2つのシリンダー状の位置合わせ部930A/Bを利用して、スタックを位置合わせすることができる。
【0068】
長手方向の対称軸に垂直な(図9の紙面の右側に向いている)内部平面接続領域および外部平面接続領域825/827が明示されている。
【0069】
図10は、各弾性の接続アームスタック928の端部を、内部平面接続領域および外部平面接続領域825/827を介して、内部ハブおよび外部ハブ616/618に接続する様子の一例を示す。この例では、ハブ616/618の位置が、ハブ616/618の対応する穴622Bに貫入するシリンダー状の位置合わせ部930Aのいずれかにより定められている。シリンダー状の位置合わせ部930A、および、弾性の接続アーム614、シム926、および固定板924内の対応する穴622Aが、両方とも、ハブの位置合わせよびスタックの位置合わせに寄与する。
【0070】
弾性の接続アーム614が、適切な固定具によりハブ616/618に固定されると、ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャのいずれかまたは両方を解放することができるようになる。例えば、シリンダー状の位置合わせ部930が利用されている場所では、これらを省くことができる。または、ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャの配置を部分的または完全に維持して(例えば、シリンダー状の位置合わせ部930A/Bのサブセットまたは全てを挿入されたままにすることができる)、これにより、利用中の位置合わせが失われないようにすることもできる。シリンダー状の位置合わせ部930A/B等の部材は、接着剤等によってある位置に固定することができる。
【0071】
弾性の接続アーム614の各端部を固定/接続するために、単一の固定具を利用することもできるが、2つの固定具を利用すると、より良好な接続が行われることが分かった。これは、2つの穴623A/Bが図6の例に示すような接続アーム614の各端部および各固定領域621に設けられるからである。スプリング600の動作においては(つまり、外部ハブ618に対する内部ハブ616の軸方向の変位において)、弾性の接続アーム614の撓みに関連して、外部ハブ618に対して内部ハブ616が少し回転する。この回転により、各弾性の接続アーム614を、その固定領域に対して捻らせる傾向のある、スプリングの軸に平行な曲げモーメントが生じる。一体型のスパイラルスプリングでは、曲げモーメントは、内部固定領域の間の固定接続により適切な抵抗を受ける。ここで記載する別個の弾性の接続アーム設計では、この強固な接続は存在しないので、モーメントに対して固定機構で対抗する必要がある。このトルクに対して、単一の固定具のみを利用して十分な抵抗を与えることは難しい。2つ(またはこれ以上の数)の固定具は、適切な抵抗を与える機能に優れ、接続が解ける危険性を容易に低減させることができる。
【0072】
さらなる変形例としては、同じ穴を位置あわせ用(例えばだぼの挿入用)と、固定用(例えばねじのクリアランス穴用)に利用することもできる。図11は、このようなスプリング1100の平面図である。図12は、位置合わせおよび固定具の穴1132が組み合わせられた内部ハブおよび外部ハブ1116および1118をそれぞれ示している。ハブ1116/1118内の可能性のある位置が全て示されているが、実際には、配置および固定具の穴1132が組み合わせられた各対のうち1つのみを利用して、弾性の接続アームアセンブリをハブ1116/1118に配置する。限られた広さの固定領域において必要とされる穴の数を減らすことの利点は、これにより、利用される固定具を大きくすることができることである。これは、非常に小さい固定具(例えばM1.6)を利用しないほうが好ましい小さなマシンにおいて特に有用である。
【0073】
位置合わせおよび固定穴を組み合わせるための2つの可能性のある方法を図13および図14に示す。図13は、肩付きねじ1334/1336を利用する例を示す。これらは、ねじヘッド1334B/1336Bの下、且つ、ねじ頭1334C/1336Cが始まる前に、正確なサイズに作られた平面シリンダー状表面1334Aおよび1336Aを有するねじである。プレーンなシリンダー状のセクション1334A/1336Aは、組み合わせられた配置および固定具の穴1132に係合されるサイズに形成され、必要な位置合わせを行うためのだぼとして機能する。組み合わせられた位置合わせおよび固定具の穴1132は、固定するためのねじ山部と、肩付きねじ1334A/1336Aのプレーンなシリンダー状のセクション1334A/1336Aと係合して位置合わせを行うための、ねじを切られていない部分とを有する。この方法では、肩付きねじ1334/1336を十分な精度を持って構築することであることが難しい。プレーンなシリンダー状の表面1334A/1336Aの外径が正確に画定される必要があるのみならず、その、ねじ山1334C/1336Cの軸に対する関係も正確に画定される必要がある(正確な同軸性が維持される必要がある)。しかしこれは、プレーンなシリンダー状の表面1334A/1336Aの材料の選択が、材料がねじ山の形成にも適したものではなくてはならないという要件による制約も受けることから、より難しくなることが想定される。加えて、締め付ける間のねじの変形によって、位置合わせが狂わないように注意をする必要もある。全体としては、これらの難しさは、必要な精度の肩付きねじが、標準的な固定具よりもかなり高価なものになることを意味する。
【0074】
標準的な固定具を利用することができる別の実施形態を図14に示す。位置合わせは、組み合わせられた位置合わせおよび固定具の穴1132の穴に正確に係合するようなサイズに形成されるシリンダー状のチューブ1438の短いほうの長さを利用して行われる。固定具1440は、位置合わせチューブ1438内にすきま嵌めされ、位置合わせに影響しないように構成されている。
【0075】
別の実施形態では、スプリングは、穴およびだぼ、またはシリンダー状のチューブ以外のフィーチャにより位置合わせされる。これらフィーチャの例は、弾性の接続アーム614の端部に形成されるストレートエッジ(straight edge)またはノッチであり、内部ハブおよび外部ハブ616/618の固定領域621に形成される対応するフィーチャと協働するように配置される。
【0076】
上述したように、弾性の接続アームスタック928のハブ616/618に対する位置合わせは、弾性の接続アーム614の互いに対する、および、シム926および固定板924に対する位置合わせにも利用される配置フィーチャを利用して行うことができる。このような構成では、スプリングの内部ハブおよび外部ハブ616/618が、3つの弾性の接続アームスタック(またはスタックにはない3つの弾性の接続アーム)によって、各端部に1つの位置がくるように接続されると、スプリングの配置も完全に画定される。これにより、2つの弾性の接続アームスタックしかない場合には、スプリングの配置を画定するために、追加の位置合わせフィーチャが必要となる。1を超える数の位置合わせ穴が、弾性の接続アームスタックの各端部で利用可能な場合には、未使用の穴のいずれか1つを利用して追加の配置を実装することができる。
【0077】
さらには、スプリングが3つを超える数の弾性の接続アームスタックを有する場合には(または、スタック内に接続アームがない場合もある)、全ての位置合わせ穴がシステムに与える負荷が高すぎる場合もあり(各位置合わせ穴が、スプリングの平面内の全方向の動きを妨げるように構成されている場合)、これにより、スプリングには望ましくない応力がかかり、その性能および/または寿命に悪影響が出る。スプリングの平面の全方向の動きを妨げる位置合わせフィーチャ(例えば対応するだぼ用の位置合わせ穴)のことを、「完全な負荷をかける配置フィーチャ」と称することもある。
【0078】
図15は、それぞれ6つの弾性の接続アームスタック1528を有するスプリング1500用の内部ハブおよび外部ハブ1516および1518を示す。弾性の接続アームは示されていないが、図11に示すものと似た構成で接続されてよい。構成に対する過度の負荷は、位置合わせスロット1540を有する固定領域1542/1544に位置合わせ穴の3つを配置することで回避することができる。スロット1540も、位置合わせだぼ/チューブと係合する際、さらなる自由度を提供する。位置の自由度(degree of location)を許容するが、スプリングの平面内の少なくとも1つの方向の相対運動しか許容しないような位置合わせフィーチャ(例えば、対応するだぼとともに利用される位置合わせスロット)のことは、「部分的な負荷をかける配置フィーチャ」と称される場合もある。好適な実施形態では、スロット1540は、弾性の接続アームの内部接続点および外部接続点を繋ぐ方向沿いに(例えば、固定具のクリアランス穴1548Aおよび1548Bを繋ぐ破線1546沿いに)、位置合わせされる。こうすることで、角度位置合わせが正確なものとなり、弾性の接続アームそれぞれの間に不均一な間隙ができないようになるとともに、システムに過度な負荷もかからない。
【0079】
スロット1540は、そこに弾性の接続アーム1つについて1つのスロットのみがあるという前提で、内部ハブおよび外部ハブの固定領域1542の上に設けることができる。図15に示す例では、3つの位置合わせスロット1540が、外部ハブの周りに均等に配置されている。この方法は、異なるアーム数の他の設計にも利用可能である。位置決めスロットは均等に配置することができない場合もあるだろうが、それはそれで構わない。例えば、8つの弾性の接続アームを有するスプリングが5つの配置スロットを必要とする場合もある。
【0080】
一般的には、線形運動に必要な、均衡の取れた軸方向の撓みを可能とするには、最小で2つの接続アームが必要である。好適な実施形態では、弾性の接続アームが等置されるアセンブリを有する場合が多い(つまり、6つのアームがある場合には、6対称度が存在する)。しかし、少なくとも2度の回転対称度が存在する場合には、等置されない弾性の接続アームアセンブリがあってもよい。
【0081】
図16は、6つのアームの構成のうち、4つの弾性の接続アーム614のみを有するスプリング1600の一例を示す(例えば図6に示すようなもの)。この構成は、全ての6つの弾性の接続アームが利用される場合である6度ではなくて2度の回転対称度を有する。内部ハブ616は、6つのアームの構成の内部ハブに類似した構成を有してよい。他方で、外部ハブ1618A/1618Bは、完全な環形ではなくて、分割されており、弾性の接続アームが存在しない方向において不要となる。より具体的には、外部ハブ1618A/1618Bは、互いに直近である外部固定領域の間(例えば外部ハブセグメント1618Aの固定領域1644Aと1644Bとの間、および、外部ハブセグメント1618Bの固定領域1644Cと1644Dとの間)にのみ延びる(つまり、直接接続される)、という制約を有してよい。この結果生じる構成は、2度の回転対称度を有し、正確な線形運動を定義することができる。この構成の1つの利点は、線寸法が低減されるので、よりコンパクトなエンベロープが可能となる点である。
【0082】
他の実施形態では、アセンブリを固定するために、ねじを切られた固定具以外の手段を利用することもできる。例えば、弾性の接続アームスタック(例えば図9に示すようなもの)では、弾性の接続アーム、シム、および/または、固定板は、互いに接着剤で、今まで言及したもの以外の機械的な手段で(例えば、リベット留め、および/または、はんだ、ろう接、または溶接等の冶金術による接着手段により)固定されてよい。同様に、弾性の接続アームスタックも、接着剤で、今まで言及したもの以外の機械的な手段で(例えば、リベット留め、および/または、はんだ、ろう接、または溶接等の冶金術による接着手段により)、外部および/または内部ハブに、固定されてよい。
【0083】
本発明の実施形態は、多数の個々の部材の組み立てを利用することを理解されたい。例えば3つのスプリング程度のものになると、およそ138個の部材が存在する場合がある。この多数の部材は、一見不利な点に見えるかもしれない。しかし、6つの種類の部材しか製造しないので、本発明は自動化された組み立てに好適である。例えば図9のサブアセンブリ928は、主要な組み立てとは別のプロセスとしてロボットにより簡単に組み立てることができる。サブアセンブリ928の組み立てを容易に行うために、様々な手段を利用することができる。例えば、位置合わせチューブは、上面および下面に接着することができる。または、スタックを組み立てるに足る摩擦を位置合わせチューブに起こさせることができるような部材を利用することもできる。例えば、チューブおよびプレートまたはシムの間に設けられた、サークリップとして機能するポリマー「オリーブ」であってよい。
【0084】
さらには、内部ハブおよび外部ハブが、自立したスプリングを組み立てることができる個々の部材であってもよい点に留意されたい。または、ハブのいずれかまたは両方が、他の部材に統合されてもよい。後者の場合には、スプリングアセンブリは、完全なマシンのアセンブリから分離することはできず、自立したスプリングは別個の実体としては存在できない。
【0085】
図17は、本発明の実施形態における、スプリングを利用するピストン/シリンダーアセンブリの断面図である。2以上のセットのスプリングが軸方向に位置合わせされており、互いに離れつつ接続されており、軸から離れた歪みに対して必要な剛性をもって、正確な線形運動を保証している。スプリング同士は一般的には接続されて、応力が平行に働くようにされる。内部ハブ616A/Bは、内部コネクタ1760を介して互いに接続されており、外部ハブ618A/Bは、外部コネクタ1762を介して互いに接続されている。内部コネクタ1760および内部ハブ616A/Bは、ピストン1750に固定接続されており、外部コネクタ1762および外部ハブ618A/Bは、シリンダー1752に固定接続されている。手段1754は、内部コネクタよび外部コネクタ1760/1762間に軸方向の応力を与えるために設けられ(例えば、電磁リニアトランスデューサを用いて)、シリンダー1752内のピストン1750に、対応する軸方向の運動を行わせるが、これがスプリングにより導かれて、一定の隙間がシリンダー1752とピストン1750との間に維持される。この配置は、潤滑剤が不要な長寿命のポンプ、コンプレッサ、スターリングサイクルの冷凍庫(Stirling cycle cryo-cooler)、スターリングエンジン等の様々なマシンの基礎として利用することができる。
【0086】
内部ハブおよび外部ハブ616/618の間の正確な線形軸方向の運動を助けるために、弾性の接続アーム614は、上述したハブの位置合わせおよびスタックの位置合わせに加えて、線形運動の軸に垂直な方向の平面に対して位置合わせされる必要がある。この位置合わせの一例によって、1)内部ハブ616の表面が平坦であること(別個のエレメントから形成されている場合、これらエレメントの表面が平坦であり、互いにコプレーナである必要がある)、2)外部ハブ618の表面も平坦であること(別個のエレメントから形成されている場合、これらのエレメントの表面が平坦であり、互いにコプレーナである必要がある)、および、3)内部ハブ616が外部ハブ618とコプレーナである(または、内部ハブおよび外部ハブ616/618の各部材の表面間がコプレーナである必要がある)、という制約が生じることが考えられる。
【0087】
この性質の位置合わせは、例えば、一面を平坦にマシニングされたプレートからなる位置合わせ固定具によって達成することができる。この固定具の平坦な面を、内部ハブおよび外部ハブ616/618両方の面に固定することで、全ての表面をコプレーナとすることができる。固定具がこのように取り付けられる場合、弾性の接続アーム614を、内部ハブおよび外部ハブ616/618に搭載して、一定の位置に固定することができる。固定具はその後取り除かれてよい。
【背景技術】
【0001】
現在、殆どの熱力学機械の効率および寿命は、潤滑剤の利用により達成されている。より摩擦、損耗が少ない形で、運動部材間に大きな力を伝達することのできる材料が既に存在する。
【0002】
しかし、油等の従来の潤滑剤では問題が発生する用途が幾つかある。例えば、スターリングサイクルの冷凍庫(Stirling cycle cryo-cooler)には、ピストン/シリンダーアセンブリがある。これらが従来のクランク機構で駆動される場合には、寿命を長くして、且つ効率性を上げる、という観点から潤滑剤を利用することが望ましい。しかし、冷却システムは、例えば100K以下という低温で動作する熱交換器も備えている。ピストン/シリンダー領域から、この低温の熱交換器へと油を流すと、油は往々にして固化して、熱交換器の経路を遮り、性能が下がる。
【0003】
この問題を克服するために開発された技術に、クランク機構を完全になくして、その代わりに、完全な線形構成を採用する、というものがある。こうすることで、クランク機構に伴う大きなサイドロードがなくなり、油を利用しない動作が可能となる。このシステムでは通常、正確な線形運動をサポートする湾曲部を利用するリニアサスペンションシステム、ピストンをサスペンションで導いてシリンダー内に一定のすきまを維持するピストン/シリンダーアセンブリ、および、運動部材に取着されて、運動アセンブリから力を出し入れするリニアトランスデューサといった部材が利用されている。
【0004】
この技術は、宇宙における冷却システムに利用され功を奏しており、油を利用しない動作の望ましい他の用途でも関心が高まっている。
【0005】
典型的なリニアサスペンションシステムは、2セットの湾曲部からなる。これらは、撓むことにより(つまり弾性変形により)相対運動を行う機能を有する部材である。撓みによって、収縮面の間の運動が不要となり、摩擦、損耗が生じる可能性がなくなる。通常、撓みは、ステンレス鋼等の金属薄膜により形成される。
【0006】
公知の撓みの設計は、スパイラルスプリングと通常称されている。その2つの例100および300を図1から図4に示す。
【0007】
スパイラルスプリングは、材料の薄い平坦なディスクから形成される。ディスクは、マシニングされて2以上の回転対称の湾曲した撓みアーム101/103を生成し、この撓みアーム101/301では、内部接続領域102/302が外部接続領域104/304に、周囲部分で接続されている。
【0008】
図1および図2では、外部接続領域および内部接続領域(固定領域)102および104がそれぞれ環形である。図1は、スプリング100のプロフィールを示す。図2は、固定された領域102/104をハッチングして示している。図3および図4は、別の構成300を示しており、この例では、内部接続領域および外部接続領域302および304がそれぞれ、より複雑な形状をしている。この例では、外部固定領域304が複数の個々のパッドから構成されている。図3は、スプリング300のプロフィールを示し、図4は、固定領域302/304をハッチングにより示している。これら設計においては、100/300は、一体化構成である。
【0009】
内部102/302および外部104/304接続領域が軸運動することにより、弾性の接続アーム101/301が撓むことでこの運動が可逆的に繰り返されても耐えられる材料をもたらす。
【0010】
単一のスプリングでは、スプリング面内の軸周りのねじり剛性は弱い。しかし2以上のスプリングを位置合わせして接続して2つの軸方向に分離されたセットを形成することで、ねじり剛性は大幅に上がる。このように完成したアセンブリは、運動が完全に、弾性の接続アームの撓みにより行われ、損耗/摩擦がないタイプのリニアベアリングとして動作することができる。弾性の接続アームは、任意の撓みの最大応力を最小限に抑えることのできる形状に形成されている。加えられる応力は、材料を疲労させるほど大きくなく、スプリングが超長寿命となり、原則としては、フレッチング、腐食が生じず、無限の寿命が得られる。
【0011】
このようなアセンブリ500の一例を図5に示す。この例では、2つのスプリング508A/508B/510A/510Bの2つのセットが、内部ハブおよび外部ハブにより接続されている。各スプリング508/510のセット内では、個々のスプリング508A/508Bおよび510A/510Bが、シム512により分離されている。これらシムは、フレッチングおよび早期の失敗を生じかねない、隣接するスプリング間の接触を妨げる。完成したアセンブリ500の軸方向剛性は、スプリング数を増やすと増強されるが、一般的には、個々のスプリングの剛性を高めることにより、スプリング数は抑えるのが望ましい。
【0012】
スパイラルスプリングサスペンションシステムが定義する線形運動は、スプリングの配置の回転対称性により可能となっている。従って、線形運動の精度は、実際に可能な配置の精度による制約を受ける。これはさらに、スプリングの製造およびスプリングが固定される精度によっても決定される。固定力の位置によって、弾性の接続アームの撓みの境界条件が設定され、これには、正確な回転対称性も必要となる。
【0013】
既存のスプリング設計では、スプリング配置の精度は、スプリングを単一の部材とすることで達成されている。そして、弾性の接続アームのプロフィールは全て同時にマシニングされるので、精度は主にマシニング加工により制限される。広く利用されているマシニング加工は、フォトエッチングと称される化学プロセスである。
【0014】
固定力の位置の精度は、一般的に、固定具による標準的な工学的公差により設定されている。例えばスプリングがM3ねじにより固定される場合には、クリアランス穴の直径は通常3.2mmであり、位置誤りは+/−0.1mmである。このレベルの精度はあまり高くなく、実験により、多くの用途に十分な程度であることがわかっている。
【0015】
コンプレッサの用途における撓みベアリング(flexure bearing)においては、特定のエンベロープおよび動作周波数におけるストローク、半径方向剛性、および軸方向剛性の最小値を達成する(あるいは超える)、という要件が課される。
【0016】
通常、半径方向剛性が軸方向剛性よりも実質的に高いことが必要となり、これは、弾性の接続アームの最小幅を、スプリングの厚みより数倍大きくすることにより達成されている。例えば、2mmの幅および0.25mmのスプリングの厚みにおいて、アスペクト比は8である。剛性比は、アスペクト比の3乗に大まかに比例するので、これにより剛性比は〜500ということになる。
【0017】
コンプレッサの寿命における撓みサイクルの総数は、非常に高く(通常>109)、撓みは、明らかに疲労の影響を受けるので、設計においてはこのことを考慮する必要がある。
【0018】
ストローク要件および剛性要件は、一般的には互いに相容れない。例えば、スプリングの厚みを薄くしようとすると、任意の撓みで弾性の接続アームの応力も低減して、任意の最大応力レベルにおいてストロークが大きくなる。しかし、厚みを薄くすることは、同時に、軸方向および半径方向の剛性値も低下させる。スパイラルスプリング設計における主要な課題の1つに、任意のエンベロープに対して、剛性およびストロークの両面で高い値を達成する、というものがある(つまり、変位軸(axis of displacement)に垂直な方向の、スプリング断面のサイズ/形状)。一般的には、これは、設計段階で、応力分布が等しく、高い疲労強度を有する材料を利用する、ということで達成され、特に、応力の局所的集中を避けることが重要となる。
【0019】
有限要素応力分析ソフトウェアは、スパイラルスプリング設計を向上させる効果があることが分かっている。いつも完全に均一な応力分布を達成することはできないが、局所的なピーク値が低減されて、性能が顕著に良くなった。
【0020】
部材が故障することが予想される応力は単一の値ではなく、それまでにかかった応力の積み重ねにより決定される。多くの故障は、損傷の積み重ねのせいで起こる。工業的に特に重要なのは、部材の応力が、多くのサイクルのなかで変化する、ということである。この種類の応力群は、疲労と称されており、一般的には、故障の起こる応力は、サイクル数が増えると低下する、という認識がある。異なる材料であれば、何サイクルもの応力を受けた場合の振る舞いが異なる。材料の中には、サイクル数が増加すると応力が低下しつづけるものもある一方で、応力が一定の値まで低減すると、そこからは一定にとどまるものもある。後者の振る舞いを呈する材料は、疲労の限界を有する、と称され、この種類における最小応力のことを、疲労強度と称する。疲労が顕著な用途においては、疲労の限界を有する材料の利用が好適である。鉄合金は一般的に疲労の限界が高く、最も広範に利用されている。一部の材料では、疲労強度と材料の硬度(および降伏強度)との間に関連性があるものがあり、往々にして、高い疲労強度を有する材料が非常に硬い。
【0021】
特殊なグレードのステンレス鋼が、疲労に対する耐性が主要な要件となるコンプレッサ弁の用途について開発された。これらの合金は、非常に高い疲労強度、良好な腐食耐性を有し、平らなシート形状で入手可能である。高価でもなく、スパイラルスプリングの用途に最適であり、既に幅広く利用されている。このような合金の一例が、Sandvik社のHiflexである。
【0022】
完成品において高い疲労強度を達成するのは難しい。材料の選択は、これにより達成可能な最大疲労強度が定まることから、難しいことは明らかである。しかし同様に難しいのが、これも多大な影響力を及ぼす、製造プロセスの決定である。
【0023】
ある材料の公称疲労強度は、疲労に晒される部材のどこでも生じうる最大ピーク応力値を設定する値のことである。部材の配置または表面仕上げといった特徴も、計算されうる平均応力よりもかなり大きい局所的なピーク値を生じる一因になりうる。これら特徴は、応力を高める要因(stress raiser)と称され、非常に有害であり、低い平均応力値で故障を引き起こす可能性を有する。例えば、引っ張り応力に繰り返し晒される表面の割れ目によって、平均応力値に基づく疲労値を大きく下回る値であっても、早期の故障を引き起こすことがある。
【0024】
通常、マシニング加工によって、表面の割れ目が残り、あるいは、合金が局所的に加熱されてその性質が変化することにより、材料の疲労特性が劣化する。マシニングの後で表面の損傷を取り除くことのできる「スーパー仕上げ(super-finishing)」といった加工が開発され、これを利用すると、疲労性能は格段に向上する。
【0025】
スパイラルスプリングの製造において、材料の全疲労強度が活用されるようなマシニングと仕上げ処理とを組み合わせを見つけることが望ましいと思われる。既存の設計では、スパイラルアームは、通常、材料の幅の狭いスロットにより定義され、通常は、ピーク応力が生じる領域が、これらスロットの側面および端部沿いに存在する。一体型の設計では、多大な圧力を受けるスパイラルアームの端部が、仕上げ工程で利用される媒体に届かないために、仕上げ工程の有効利用ができない。これにより、これらの仕上げ工程を行わずとも有用な表面仕上げを残すようなものに、マシニング加工の利用は限られたものとなる。
【0026】
これまで広く利用されてきたマシニング加工は、スプリングプロフィールのフォトエッチングである。これによってもかなり良好な疲労耐性を持つ、高品質のマシニングされた部材が生産されてきたが、非常に顕著な欠点として、品質制御が容易ではなく、歩留まりが低く、利用される化学プロセスによって、微細な割れ目がエッチングされた表面上に形成される、という問題があった。
【0027】
既存のスプリング設計の製造コストは、フォトエッチングが低コストの製造プロセスではないことから比較的高く、この基本コストは、品質制御面および歩留まりの低さを考慮するとさらに上がる。
【発明の概要】
【0028】
まとめると、上述した先行技術では、正確なスプリング配置は、スプリングを単一の部材にマシニング加工することで達成されてきた。この方法は、要求されている精度を考慮に入れると、好適であると認識されてきたが、利用されうるマシニングおよび仕上げ加工を顕著に制約する。究極的には、これが、比較的高価で、材料特性を最大利用できないスプリングが生成されていることに繋がっている。本発明は、先行技術のこれらの欠点の少なくとも幾つかを解決することを目的とする。
【0029】
本発明の一側面においては、搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングであって、内部ハブが外部ハブの半径方向の内側に存在する内部ハブおよび外部ハブと、それぞれの内端部が内部平面接続領域を介して内部ハブに接続され、外端部が外部平面接続領域を介して外部ハブに接続された複数の弾性の接続アームとを備え、内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、対称軸に垂直であり、複数の弾性の接続アームは、内部ハブと外部ハブとが対称軸に対して相対的に変位した場合には、対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されており、内部ハブ、外部ハブ、および、複数の弾性の接続アームそれぞれは、物理的に別個の部材として形成されており、スプリングを形成するための組み立て中に互いに接続されるスプリングが提供される。
【0030】
従って、内部ハブと外部ハブとが一体化されている一体型のスパイラルスプリングと比較して、本開示の内部ハブおよび外部ハブは、別個の弾性の接続アームにより互いに対して接続されている。スプリングは、内部ハブおよび外部ハブ、並びに弾性の接続アームを位置合わせして、これらを内部および外部の平面接続領域を介して互いに固定することにより組み立てられる。このプロセスは、ハブおよび接続アームに設けられる位置あわせフィーチャが手助けを行う。
【0031】
ハブおよび接続アームは、個々の部材として製造され、それぞれが、自身の範囲を規定する識別可能な外面を有する、という点で物理的に別個の部材である。これらは、互いに接触させられると、一般的には、これら部材間に識別可能な界面が生じる(例えば組成、構造、および/または、格子配向間の不連続性となる)。接続されるときの2つの部材の材料間には、一定の混合度が存在する。例えば、スポット溶接、はんだ付け、および/または、接着剤を利用してこのような混合を達成することができるが、それでも、ある部材が終端して次の部材が始まる点では界面が存在する。スポット溶接の場合には、両方の界面の溶解および混合が生じうるが、これは局所的であり、部材間の界面を破壊はせず、こうしなければある部材を他の部材から識別することは難しい(つまり、2つの部材が接続されたものであり、一体化されたコンポーネントとして形成されたものではないと判断することが難しい)。はんだ付けおよび接着剤の場合には、これら異なる材料が利用されると、それ自身が、部材間を分離する界面を定義する。ハブおよび接続アームが単一材料からなるような先行技術の構成では、対照的に、界面が存在せず、ハブと接続アームとが、別個の部材ではなくて、互いに一体化している。
【0032】
スプリングに必要な精度のある構成は、ハブおよび接続アームに存在する配置フィーチャを利用して達成することができる。これらの配置フィーチャは、ハブおよび接続アームのスプリングアーム機能に固有のものであってよい(つまり、スプリングが提供する復元力に寄与するものであってよい)。または、あるいはこれに加えて、これらが、純粋に位置合わせの目的から追加されるものであってもよい。
【0033】
一部の例では、固定手段は容易に取り外すことはできない(例えば、手段が、はんだ付け、溶接、または接着剤によるプロセスを利用して得られた場合)。これらの場合には、組み立ては、一度だけ行われ、各コンポーネントを再利用するために分解することができない。
【0034】
固定手段が容易に取り外すことができる場合には(ボルトまたはリベットが利用される場合)、各コンポーネントは互いから自動的に、または最小限の応力で、コンポーネントを傷つけないように分解することができる。コンポーネントをこのようにして分解したあとで、再度組み立てることもできる。 この場合組み立てプロセスは可逆的なものとなる。
【0035】
通常は、固定手段は、内部接続領域および外部接続領域を、内部ハブおよび外部ハブに、スプリングの対称軸に平行な方向に押し付ける働きをする。
【0036】
先行技術の単一の一体型スパイラルスプリングの製造にまつわる困難は上述した通りである。これら困難には、一体型設計では、高い圧力が加わる、スパイラルアーム沿いのエッジ部分が、数多くの仕上げ加工(例えば「スーパー仕上げ」)で利用される媒体に届かないので、これらの加工を有効利用することができない。これにより、マシニング加工の選択肢がこれら仕上げ加工を利用しないで、利用可能な表面仕上げを残すものに限定される。これらマシニング加工の一例がフォトエッチングであるが、この技術は、品質制御が難しかったり、歩留まりが低かったり、利用される化学プロセスによりエッチングされた表面に微細なひび割れが残ったり、という幾つかの不利な点を有する。
【0037】
本発明では、弾性の接続アームが内部ハブおよび外部ハブと一体形成されず、別個の部材として取り扱い、完成されるために(スプリングの組み立て前に)、これらの問題を回避することができる。仕上げ加工で問題となるような細い間隙またはスロットが存在しない。実際のところ、本発明は、スタンピング(またはファイン・ブランキング)を、スーパー仕上げ加工と組み合わせて有効に利用して製造することができ、これによって、フォトエッチングを利用する製造に比して、格段にコストを低減させることができる。このプロセスは、冷蔵庫のコンプレッサ用のフラッパーバルブ(リードバルブ)を低コストで製造するために広く利用されており、このプロセスでも、疲労強度は重要な要件である。スタンピングは、細いスロットを(通常硬い)材料内に製造するために必要となる金型が非常に費用が嵩む上に耐久性も低いので、現行の一体型のスプリング設計を加工するための実行可能な製造方法とはいえない。
【0038】
配置フィーチャは、内部ハブおよび外部ハブを有する、弾性の接続アームの位置合わせを助けることができる。これらは、例えば、複数の弾性の接続アームおよび内部ハブおよび外部ハブにシリンダー状の穴を含み、シリンダー状の穴の中に挿入可能なシリンダー状の位置合わせ部材と協働させてよい。この配置は、組み立てが簡単であり、現行の一体型のスパイラルスプリングで達成されているものよりも優れたレベルの位置合わせを用意に提供することができる製造方法を示している。シリンダー状の位置合わせ部材は、位置合わせ後にも穴内にとどまり、位置合わせを維持してもよいし、取り除いてもよい。
【0039】
複数の弾性の接続アームは、複数のスタック内に配置され、あるスタック内の各弾性の接続アームは、同じスタック内の他の弾性の接続アームの全てと、対称軸に平行な方向に位置合わせされてよい。この配置によって、スプリングの剛性を、基本的な弾性の接続アームの修正なしに、特定の用途の要請に容易に適合させる(増強する)ことができる。従って、幅広いスプリングを、同一の弾性の接続アームを利用して製造(組み立て)することができるようになり、これによって、顕著な規模の経済を製造方法内に実現することができる。
【0040】
配置フィーチャは、弾性のアーム同士を(あるスタック内で)位置合わせして、且つ、内部ハブおよび外部ハブに対して位置合わせすることもできる。例えば、配置フィーチャは、シリンダー状の穴および/またはスロット、且つ、対応するシリンダー状の位置合わせ部材を含んでよい。同じ配置フィーチャを2つの機能に併用することの利点は、これにより、配置フィーチャに必要となる空間を最小限に抑えることができる点であり、これは、エンベロープ全体(スプリングの平面の断面積)を最小限に抑えることが必要な場合には重要なことであると思われる。
【0041】
配置フィーチャは、完全な負荷をかける配置フィーチャおよび部分的に負荷をかける配置フィーチャを有してよい。配置フィーチャは、配置フィーチャと接触する複数の弾性の接続アームの一部のスプリングの平面内の動きを防止して、部分的に負荷をかける配置フィーチャは、配置フィーチャとある一定の方向のみにおける複数の弾性の接続アームの一部のスプリングの平面内の動きを防止する。例えば、部分的に負荷をかける配置フィーチャは、所定の線上のみの線形運動を許可するスロットからなっていてよい。この、完全な負荷をかける配置フィーチャと、部分的に負荷をかける配置フィーチャとの組み合わせは、多数の弾性の接続アームが存在する場合に、スプリングに過度な負荷を与えないようにするように配置される。例えば、この目的は、完全な負荷をかける配置フィーチャの数、部分的に負荷をかける配置フィーチャの数、および、部分的に負荷をかける配置フィーチャの性質(方向)を適切に選択することにより達成することができる。過度の負荷は、スプリングに対して不当に、予測不可能な応力を与える可能性があり、これによって性能が低減したり、および/または、早期の失敗が生じたりする可能性がある。
【0042】
弾性の接続アームは、様々な技術を利用して外部ハブおよび内部ハブに固定することができる。一例としては、内部ハブおよび外部ハブに設けられたねじ穴と協働するねじを利用して接続することができる。ねじ頭と弾性の接続アームとの間の接触は、固定部材またはワッシャを利用して行われてよい。
【0043】
固定手段は、さらに、弾性の接続部材を(あるスタック内で)互いに対して、および/または、内部ハブおよび外部ハブとの間で、位置合わせすることができる。例えば、固定手段は、弾性の接続アーム内の穴のシリンダー状の内表面と、および/または、内部ハブまたは外部ハブに形成されたシリンダー状の穴のねじを切られていない部分と、協働する長尺状の肩部を有してよい。
【0044】
固定手段を、ハブおよび/またはスタックの配置フィーチャとともに組み合わせることで、これらフィーチャに必要な空間が減り、これは、例えばスプリングを小型にする必要がある際に有用であろう。別個の配置フィーチャを設けないということは、さらに、固定手段に利用可能な空間が増えることを意味する。さもなくば可能とならないような、より厚いねじも利用可能となり、これは例えば、信頼性および/または性能を高める一因となる。
【0045】
または、あるいはこれに加えて、標準的なねじのねじを切られた部分の周りに挿入するための、シリンダー状のチューブをさらに備えてもよい。シリンダー状のチューブは、弾性の接続アームに形成されたシリンダー状の穴の内表面と、および/または、内部ハブまたは外部ハブに形成されたシリンダー状の穴のねじを切られていない部分と係合して、位置合わせ機能を達成して、一方で、シリンダー状のチューブの端部から突出するねじ山の一部が、内部ハブおよび外部ハブ内の対応するねじを切られた部分と係合して、固定機能を実行する。この方法の利点は、標準的なねじを利用することができる点であり、これは非常に安価で、シリンダー状のチューブを、長尺上の肩部を有するねじ(肩部のプロフィールおよび軸方向は、十分な精度で形成されねばならない)よりも安く製造することができるようになる。
【0046】
固定手段は、弾性の接続アームの各端部を、内部ハブおよび外部ハブに対して、少なくとも2つの固定点を介して固定するよう構成されていてよい。この構成は、スプリングの軸方向変位量(axial displacement)(ロード)に生じる回転力をサポートするのに大変効率がよいことが分かっている。
【0047】
複数の弾性の接続アームのそれぞれは、アームの内端部および外端部付近の領域と比べて、アームの中間部に近い部分が薄くなるようなテーパ形状である。例えば、弾性の接続アームは、接続アームの2つの端部で略同じ幅を有し、接続アームの中間にかけて連続して細くなるような形状であってよい。この構成は、スプリングの軸方向の撓み(axial deflection)(ロード)に呼応して、外部ハブに対して内部ハブの回転量が少なく、弾性の接続アームに加わる応力を最小限にする助けとなる。この構成は、さらに、アームのピーク応力も低減することができ、アームを効率的に入れ子状にすることができる。
【0048】
弾性の接続アームのスタック数は、あるいはスタックがない場合には弾性の接続アームの数は、回転対象度より大きく設定されてよい。つまり、弾性の接続アームは、提供される弾性の接続アームの数について可能な最大数より低い回転対象度を有するパターンに配置することができる。こうすることで、スプリングエンベロープの形状の制御においてより大きな柔軟性が提供される(つまり、対称軸沿いに見たプリフィール)。例えば、プロフィールは、平面内の第1の方向において比較的コンパクトとなり、第1の方向に垂直な、平面の第2の方向において比較的細長くなるように設定されてよい。これにより、同様の空間制約を有するデバイスまたは場所でスプリングを利用することが可能となる。
【0049】
さらに、外部ハブは、複数の接続された、または分離されたセグメントからなるように構成されてもよい。セグメントが分離している場合には、各セグメントは、互いに一番近い弾性の接続アームの外端部のみに接続されてよい。例えば、弾性の接続アームを、スプリングプロフィールが第1の方向にはコンパクトであり、第2の方向には細長いなり、セグメント同士が、第1の方向に実質的に平行に並ぶように配置することができる。ここでも、外部ハブをこのように配置することで、スプリングエンベロープの形状を制御する際の柔軟性が高くなる。
【0050】
セグメントが分離している場合には、さらに、スプリングの構成を定義するために、さらなる配置フィーチャが必要となる。これは、より完全に、既に弾性の接続アームに存在している位置合わせフィーチャを利用することで達成される。または、組み立てプロセス中にセグメントを接続する固定具を利用することもできる。
【0051】
本発明の別の態様においては、スプリングアセンブリは、本発明における複数のスプリングが直列に接続された構成を利用して構成することもできる。このようなアセンブリは、単一のスプリングよりも撓みのある軸のない部材に対してより高い剛性を有するように容易に構成することができる。
【0052】
本発明のさらに別の態様においては、互いに物理的に分離された内部ハブおよび外部ハブと、互いに、および、内部ハブおよび外部ハブから物理的に分離されており、内端部が内部ハブに接続可能であり、外端部が外部ハブに接続可能である複数の弾性の接続アームとを備え、複数の弾性の接続アームは、内部ハブと外部ハブとが対称軸に沿って相対的に変位されると、接続されたときに対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されている本発明の実施形態におけるスプリングを構成するためのキットが提供される。
【0053】
本発明のまた別の態様においては、本発明の実施形態におけるスプリングと、スプリングの内部ハブおよび外部ハブの一方に接続されるシリンダーと、スプリングの内部ハブおよび外部ハブの他方に接続され、シリンダー内で縦方向に移動するピストンとを備え、スプリングは、ピストンとシリンダーとの間に一定のすきまが維持されるよう、シリンダー内のピストンの相対運動を誘導するピストン/シリンダーアセンブリが提供される。
【0054】
本発明のまた別の態様においては、搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングを製造する方法であって、物理的に別個の部材として、内部ハブ、外部ハブ、および複数の弾性の接続アームを提供する工程と、内部ハブを、外部ハブの半径方向の内側に配置する工程と、複数の弾性の接続アームのそれぞれの内端部を、内部平面接続領域を介して内部ハブに接続し、外端部を、外部平面接続領域を介して外部ハブに接続し、内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、対称軸に垂直であり、内部ハブと外部ハブとが対称軸に対して相対的に変位した場合には、対称軸に平行な復元力を与える方法が提供される。
【0055】
本発明の実施形態を、以下に例示により添付図面を参照して記載するが、図面においては対応する参照符号は互いに対応する部材を示している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】先行技術における一体型のスパイラルスプリングを示す。
【図2】図1のスパイラルスプリングの内部領域および外部領域における固定領域の位置を示す。
【図3】一体型のスパイラルスプリングの別の例を示す。
【図4】図3のスパイラルスプリングの内部領域および外部領域における固定領域の位置を示す。
【図5】軸方向に分離されたセットのスパイラルスプリングを利用する線形ベアリングアセンブリを示す。
【図6】本発明の一実施形態におけるスプリングを示す。
【図7】取り付けられた弾性の接続アームを有さない、図6のスプリングの内部ハブおよび外部ハブを示す。
【図8】弾性の接続アームと、対応するシムおよび固定板のプロフィールとを示す例である。
【図9】2つの弾性の接続アームを含む弾性の接続アームスタックを示す。
【図10】弾性の接続アームスタックを、内部ハブおよび外部ハブと接続、位置合わせする方法を示す。
【図11】これより少ない数の位置合わせ穴を含む、別の実施形態のスプリングを示す。
【図12】弾性の接続アームが取り外された上体の図11の内部ハブおよび外部ハブを示す。
【図13】弾性の接続アームを、自身に対して、および/または、内部ハブおよび外部ハブに対して固定、および位置合わせするために肩付きねじを利用する例を示す。
【図14】弾性の接続アームを、自身に対して、および/または、内部ハブおよび外部ハブに対して固定、および位置合わせするために、ねじ部品を組み合わせてシリンダーチューブを利用する例を示す。
【図15】スロット形状の、完全に拘束された位置にあるフィーチャと、部分的に拘束された位置にあるフィーチャとの組み合わせを利用する、一実施形態の内部ハブおよび外部ハブを示す。
【図16】回転対称度が、弾性の位置合わせスタックの数より少なく、スプリングエンベロープが長いスプリングを示す。
【図17】本発明の実施形態のスプリングを利用したピストン/シリンダーアセンブリの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図6は、本発明の一実施形態におけるスプリング600の平面図であり、このスプリング600は、それぞれ内部ハブ616および外部ハブ618に、内部平面接続領域および外部平面接続領域が、シムおよびクランプによって(クロスハッチングされた「固定領域」621内に位置するように)取り付けられた、複数の別個の弾性の接続アーム614からなっている。内部平面接続領域および外部平面接続領域の平面は、通常は、スプリングの長手方向の、ロードベアリング、対称軸に垂直である。図7は、内部ハブおよび外部ハブ616/618の、弾性の接続アーム614、シムおよびクランプが取り外された上体のプロフィールを示す。
【0058】
図8は、個々の弾性の接続アーム614を示しており、それぞれ内部平面接続領域および外部平面接続領域825/827、シムおよび固定板のプロフィール620が示されている。
【0059】
概して、弾性の接続アーム614は、特定のプロフィールに限定はされないが、示されている実施形態では、弾性の接続アーム614が、湾曲しており、中間部にかけて細くなる形状を有している(つまり、「腰が細く」なっている)。この曲率により、撓ませられる際に内部ハブおよび外部ハブ616/618の間に回転度が生じ、弾性の接続アーム614に対する応力の低減に寄与する。腰が細くなっているプロフィールはまた、ピーク応力の低減にも寄与する。この例では、腰が細くなっているプロフィールによって、6つの弾性の接続アーム614を入れ子状(nest)として、一体型のスパイラルスプリング(例えば図1から図4にあるようなもの)が提供するものに匹敵する撓み接続を可能とする。
【0060】
同様に、シムおよび固定板の形状620、および、内部ハブおよび外部ハブ616/618上の固定領域621の形状にオプションとして整合してもよい外部平面接続領域825/827(これは、シムおよび固定板の形状620と整合するものであってもよい)は、一般的には、特定のプロフィールに限定はされない。しかし、固定領域621、内部および外部接続領域825/827、および、シムおよび固定板は、通常、所望の適切な固定、位置合わせフィーチャを含むことができるよう十分な大きさを有するべきである。形状は通常、弾性の接続アームのプロフィールに合わせて設計されるが、必ずしもそうではなくてもよい。
【0061】
図7および図8に示す例では、2つの大きいほうの穴623Aを、各弾性の接続アーム614の両端に設け、さらに、内部ハブおよび外部ハブ616/618上の対応する固定領域621のそれぞれに対応する穴623Bを設けて、固定手段を通す。固定手段は、例えば、接続アーム614の穴623Aを通り、内部ハブおよび外部ハブ616/618内の対応する穴623Bのねじ山と係合するねじを含んでよい。ねじを締めると、弾性の接続アーム614の内部接続領域および外部接続領域825/827は、長手方向に(つまり、スプリングの対称軸に平行、且つ、内部接続領域および外部接続領域825/827に垂直な方向に)応力を受けて、内部ハブおよび外部ハブ616/618に対して押し付けられる。
【0062】
2つの小さいほうの穴622Aが、弾性の接続アーム614の両端に設けられて、位置合わせ機構の一部として機能する。対応する穴622Bが、内部ハブおよび外部ハブ616/618の固定領域621それぞれに設けられる。オプションとして、大きいほうの穴を位置合わせ機構として利用して、小さいほうの穴を、固定手段を通すために利用することもでき、あるいは、固定および位置合わせ用の穴を同じサイズとしてもよく、同じ穴を共有してもよい(以下参照)。
【0063】
概して、位置合わせ機構は、「ハブ配置フィーチャ」と称される場合もある、内部ハブおよび外部ハブ616/618に対して弾性の接続アーム614を位置合わせするフィーチャ、および、「スタック配置フィーチャ」と称される場合のある、弾性の接続アーム614同士を位置合わせして、スプリング600の対称軸に平行なアーム614の「スタック」を形成するフィーチャ、という、2つの部材を含む必要がある。ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャは、位置合わせおよび角度合わせの両方の機能を果たすことができる。スタック配置フィーチャは、さらに、任意のスタックの弾性の接続アーム614の間、および、スタックの軸の先端に位置する固定板の間に挿入されるシムの位置合わせも行う。
【0064】
好適な実施形態では、ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャは、いずれかまたは両方が、シリンダー状の穴623を含んで、シリンダー状の穴623にぴったり収まるシリンダー配置部(だぼ)と協働するようにしてもよい。
【0065】
図6および図7に示す例では、小さいほうの穴622Aが両方とも、弾性の接続アーム614(および任意のシムおよび固定板)同士を、スタック内で位置合わせするのに有効であり、2つの小さいほうの穴622Aのいずれか1つのみが、弾性の接続アーム614を、内部ハブおよび外部ハブ616/618と位置合わせする際に必要となる。これは、固定領域621が、ハブ位置合わせに利用される2つの小さいほうの穴622Aの1つと協働するために、小さいほうの穴622Bを1つしか含まないからである。シリンダー状の位置合わせ部は、接続アーム614の各端部の小さいほうの穴622A両方に挿入して、2つのシリンダー状の配置部の1つだけを、内部ハブまたは外部ハブ616/618の穴622Bに挿入する。
【0066】
この構成は図9および図10に詳しく示されている。
【0067】
図9は、弾性の接続アーム614、固定板924、およびシム926を積み重ねて、弾性の接続アームスタックまたはサブアセンブリ928を形成する様子を示す側面図である。この例では、スタック928が2つの弾性の接続アーム614を含んでいるが、必要であればこれより多くを含んでもよい。の弾性の接続アーム614の各端部の2つのシリンダー状の位置合わせ部930A/Bを利用して、スタックを位置合わせすることができる。
【0068】
長手方向の対称軸に垂直な(図9の紙面の右側に向いている)内部平面接続領域および外部平面接続領域825/827が明示されている。
【0069】
図10は、各弾性の接続アームスタック928の端部を、内部平面接続領域および外部平面接続領域825/827を介して、内部ハブおよび外部ハブ616/618に接続する様子の一例を示す。この例では、ハブ616/618の位置が、ハブ616/618の対応する穴622Bに貫入するシリンダー状の位置合わせ部930Aのいずれかにより定められている。シリンダー状の位置合わせ部930A、および、弾性の接続アーム614、シム926、および固定板924内の対応する穴622Aが、両方とも、ハブの位置合わせよびスタックの位置合わせに寄与する。
【0070】
弾性の接続アーム614が、適切な固定具によりハブ616/618に固定されると、ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャのいずれかまたは両方を解放することができるようになる。例えば、シリンダー状の位置合わせ部930が利用されている場所では、これらを省くことができる。または、ハブ配置フィーチャおよびスタック配置フィーチャの配置を部分的または完全に維持して(例えば、シリンダー状の位置合わせ部930A/Bのサブセットまたは全てを挿入されたままにすることができる)、これにより、利用中の位置合わせが失われないようにすることもできる。シリンダー状の位置合わせ部930A/B等の部材は、接着剤等によってある位置に固定することができる。
【0071】
弾性の接続アーム614の各端部を固定/接続するために、単一の固定具を利用することもできるが、2つの固定具を利用すると、より良好な接続が行われることが分かった。これは、2つの穴623A/Bが図6の例に示すような接続アーム614の各端部および各固定領域621に設けられるからである。スプリング600の動作においては(つまり、外部ハブ618に対する内部ハブ616の軸方向の変位において)、弾性の接続アーム614の撓みに関連して、外部ハブ618に対して内部ハブ616が少し回転する。この回転により、各弾性の接続アーム614を、その固定領域に対して捻らせる傾向のある、スプリングの軸に平行な曲げモーメントが生じる。一体型のスパイラルスプリングでは、曲げモーメントは、内部固定領域の間の固定接続により適切な抵抗を受ける。ここで記載する別個の弾性の接続アーム設計では、この強固な接続は存在しないので、モーメントに対して固定機構で対抗する必要がある。このトルクに対して、単一の固定具のみを利用して十分な抵抗を与えることは難しい。2つ(またはこれ以上の数)の固定具は、適切な抵抗を与える機能に優れ、接続が解ける危険性を容易に低減させることができる。
【0072】
さらなる変形例としては、同じ穴を位置あわせ用(例えばだぼの挿入用)と、固定用(例えばねじのクリアランス穴用)に利用することもできる。図11は、このようなスプリング1100の平面図である。図12は、位置合わせおよび固定具の穴1132が組み合わせられた内部ハブおよび外部ハブ1116および1118をそれぞれ示している。ハブ1116/1118内の可能性のある位置が全て示されているが、実際には、配置および固定具の穴1132が組み合わせられた各対のうち1つのみを利用して、弾性の接続アームアセンブリをハブ1116/1118に配置する。限られた広さの固定領域において必要とされる穴の数を減らすことの利点は、これにより、利用される固定具を大きくすることができることである。これは、非常に小さい固定具(例えばM1.6)を利用しないほうが好ましい小さなマシンにおいて特に有用である。
【0073】
位置合わせおよび固定穴を組み合わせるための2つの可能性のある方法を図13および図14に示す。図13は、肩付きねじ1334/1336を利用する例を示す。これらは、ねじヘッド1334B/1336Bの下、且つ、ねじ頭1334C/1336Cが始まる前に、正確なサイズに作られた平面シリンダー状表面1334Aおよび1336Aを有するねじである。プレーンなシリンダー状のセクション1334A/1336Aは、組み合わせられた配置および固定具の穴1132に係合されるサイズに形成され、必要な位置合わせを行うためのだぼとして機能する。組み合わせられた位置合わせおよび固定具の穴1132は、固定するためのねじ山部と、肩付きねじ1334A/1336Aのプレーンなシリンダー状のセクション1334A/1336Aと係合して位置合わせを行うための、ねじを切られていない部分とを有する。この方法では、肩付きねじ1334/1336を十分な精度を持って構築することであることが難しい。プレーンなシリンダー状の表面1334A/1336Aの外径が正確に画定される必要があるのみならず、その、ねじ山1334C/1336Cの軸に対する関係も正確に画定される必要がある(正確な同軸性が維持される必要がある)。しかしこれは、プレーンなシリンダー状の表面1334A/1336Aの材料の選択が、材料がねじ山の形成にも適したものではなくてはならないという要件による制約も受けることから、より難しくなることが想定される。加えて、締め付ける間のねじの変形によって、位置合わせが狂わないように注意をする必要もある。全体としては、これらの難しさは、必要な精度の肩付きねじが、標準的な固定具よりもかなり高価なものになることを意味する。
【0074】
標準的な固定具を利用することができる別の実施形態を図14に示す。位置合わせは、組み合わせられた位置合わせおよび固定具の穴1132の穴に正確に係合するようなサイズに形成されるシリンダー状のチューブ1438の短いほうの長さを利用して行われる。固定具1440は、位置合わせチューブ1438内にすきま嵌めされ、位置合わせに影響しないように構成されている。
【0075】
別の実施形態では、スプリングは、穴およびだぼ、またはシリンダー状のチューブ以外のフィーチャにより位置合わせされる。これらフィーチャの例は、弾性の接続アーム614の端部に形成されるストレートエッジ(straight edge)またはノッチであり、内部ハブおよび外部ハブ616/618の固定領域621に形成される対応するフィーチャと協働するように配置される。
【0076】
上述したように、弾性の接続アームスタック928のハブ616/618に対する位置合わせは、弾性の接続アーム614の互いに対する、および、シム926および固定板924に対する位置合わせにも利用される配置フィーチャを利用して行うことができる。このような構成では、スプリングの内部ハブおよび外部ハブ616/618が、3つの弾性の接続アームスタック(またはスタックにはない3つの弾性の接続アーム)によって、各端部に1つの位置がくるように接続されると、スプリングの配置も完全に画定される。これにより、2つの弾性の接続アームスタックしかない場合には、スプリングの配置を画定するために、追加の位置合わせフィーチャが必要となる。1を超える数の位置合わせ穴が、弾性の接続アームスタックの各端部で利用可能な場合には、未使用の穴のいずれか1つを利用して追加の配置を実装することができる。
【0077】
さらには、スプリングが3つを超える数の弾性の接続アームスタックを有する場合には(または、スタック内に接続アームがない場合もある)、全ての位置合わせ穴がシステムに与える負荷が高すぎる場合もあり(各位置合わせ穴が、スプリングの平面内の全方向の動きを妨げるように構成されている場合)、これにより、スプリングには望ましくない応力がかかり、その性能および/または寿命に悪影響が出る。スプリングの平面の全方向の動きを妨げる位置合わせフィーチャ(例えば対応するだぼ用の位置合わせ穴)のことを、「完全な負荷をかける配置フィーチャ」と称することもある。
【0078】
図15は、それぞれ6つの弾性の接続アームスタック1528を有するスプリング1500用の内部ハブおよび外部ハブ1516および1518を示す。弾性の接続アームは示されていないが、図11に示すものと似た構成で接続されてよい。構成に対する過度の負荷は、位置合わせスロット1540を有する固定領域1542/1544に位置合わせ穴の3つを配置することで回避することができる。スロット1540も、位置合わせだぼ/チューブと係合する際、さらなる自由度を提供する。位置の自由度(degree of location)を許容するが、スプリングの平面内の少なくとも1つの方向の相対運動しか許容しないような位置合わせフィーチャ(例えば、対応するだぼとともに利用される位置合わせスロット)のことは、「部分的な負荷をかける配置フィーチャ」と称される場合もある。好適な実施形態では、スロット1540は、弾性の接続アームの内部接続点および外部接続点を繋ぐ方向沿いに(例えば、固定具のクリアランス穴1548Aおよび1548Bを繋ぐ破線1546沿いに)、位置合わせされる。こうすることで、角度位置合わせが正確なものとなり、弾性の接続アームそれぞれの間に不均一な間隙ができないようになるとともに、システムに過度な負荷もかからない。
【0079】
スロット1540は、そこに弾性の接続アーム1つについて1つのスロットのみがあるという前提で、内部ハブおよび外部ハブの固定領域1542の上に設けることができる。図15に示す例では、3つの位置合わせスロット1540が、外部ハブの周りに均等に配置されている。この方法は、異なるアーム数の他の設計にも利用可能である。位置決めスロットは均等に配置することができない場合もあるだろうが、それはそれで構わない。例えば、8つの弾性の接続アームを有するスプリングが5つの配置スロットを必要とする場合もある。
【0080】
一般的には、線形運動に必要な、均衡の取れた軸方向の撓みを可能とするには、最小で2つの接続アームが必要である。好適な実施形態では、弾性の接続アームが等置されるアセンブリを有する場合が多い(つまり、6つのアームがある場合には、6対称度が存在する)。しかし、少なくとも2度の回転対称度が存在する場合には、等置されない弾性の接続アームアセンブリがあってもよい。
【0081】
図16は、6つのアームの構成のうち、4つの弾性の接続アーム614のみを有するスプリング1600の一例を示す(例えば図6に示すようなもの)。この構成は、全ての6つの弾性の接続アームが利用される場合である6度ではなくて2度の回転対称度を有する。内部ハブ616は、6つのアームの構成の内部ハブに類似した構成を有してよい。他方で、外部ハブ1618A/1618Bは、完全な環形ではなくて、分割されており、弾性の接続アームが存在しない方向において不要となる。より具体的には、外部ハブ1618A/1618Bは、互いに直近である外部固定領域の間(例えば外部ハブセグメント1618Aの固定領域1644Aと1644Bとの間、および、外部ハブセグメント1618Bの固定領域1644Cと1644Dとの間)にのみ延びる(つまり、直接接続される)、という制約を有してよい。この結果生じる構成は、2度の回転対称度を有し、正確な線形運動を定義することができる。この構成の1つの利点は、線寸法が低減されるので、よりコンパクトなエンベロープが可能となる点である。
【0082】
他の実施形態では、アセンブリを固定するために、ねじを切られた固定具以外の手段を利用することもできる。例えば、弾性の接続アームスタック(例えば図9に示すようなもの)では、弾性の接続アーム、シム、および/または、固定板は、互いに接着剤で、今まで言及したもの以外の機械的な手段で(例えば、リベット留め、および/または、はんだ、ろう接、または溶接等の冶金術による接着手段により)固定されてよい。同様に、弾性の接続アームスタックも、接着剤で、今まで言及したもの以外の機械的な手段で(例えば、リベット留め、および/または、はんだ、ろう接、または溶接等の冶金術による接着手段により)、外部および/または内部ハブに、固定されてよい。
【0083】
本発明の実施形態は、多数の個々の部材の組み立てを利用することを理解されたい。例えば3つのスプリング程度のものになると、およそ138個の部材が存在する場合がある。この多数の部材は、一見不利な点に見えるかもしれない。しかし、6つの種類の部材しか製造しないので、本発明は自動化された組み立てに好適である。例えば図9のサブアセンブリ928は、主要な組み立てとは別のプロセスとしてロボットにより簡単に組み立てることができる。サブアセンブリ928の組み立てを容易に行うために、様々な手段を利用することができる。例えば、位置合わせチューブは、上面および下面に接着することができる。または、スタックを組み立てるに足る摩擦を位置合わせチューブに起こさせることができるような部材を利用することもできる。例えば、チューブおよびプレートまたはシムの間に設けられた、サークリップとして機能するポリマー「オリーブ」であってよい。
【0084】
さらには、内部ハブおよび外部ハブが、自立したスプリングを組み立てることができる個々の部材であってもよい点に留意されたい。または、ハブのいずれかまたは両方が、他の部材に統合されてもよい。後者の場合には、スプリングアセンブリは、完全なマシンのアセンブリから分離することはできず、自立したスプリングは別個の実体としては存在できない。
【0085】
図17は、本発明の実施形態における、スプリングを利用するピストン/シリンダーアセンブリの断面図である。2以上のセットのスプリングが軸方向に位置合わせされており、互いに離れつつ接続されており、軸から離れた歪みに対して必要な剛性をもって、正確な線形運動を保証している。スプリング同士は一般的には接続されて、応力が平行に働くようにされる。内部ハブ616A/Bは、内部コネクタ1760を介して互いに接続されており、外部ハブ618A/Bは、外部コネクタ1762を介して互いに接続されている。内部コネクタ1760および内部ハブ616A/Bは、ピストン1750に固定接続されており、外部コネクタ1762および外部ハブ618A/Bは、シリンダー1752に固定接続されている。手段1754は、内部コネクタよび外部コネクタ1760/1762間に軸方向の応力を与えるために設けられ(例えば、電磁リニアトランスデューサを用いて)、シリンダー1752内のピストン1750に、対応する軸方向の運動を行わせるが、これがスプリングにより導かれて、一定の隙間がシリンダー1752とピストン1750との間に維持される。この配置は、潤滑剤が不要な長寿命のポンプ、コンプレッサ、スターリングサイクルの冷凍庫(Stirling cycle cryo-cooler)、スターリングエンジン等の様々なマシンの基礎として利用することができる。
【0086】
内部ハブおよび外部ハブ616/618の間の正確な線形軸方向の運動を助けるために、弾性の接続アーム614は、上述したハブの位置合わせおよびスタックの位置合わせに加えて、線形運動の軸に垂直な方向の平面に対して位置合わせされる必要がある。この位置合わせの一例によって、1)内部ハブ616の表面が平坦であること(別個のエレメントから形成されている場合、これらエレメントの表面が平坦であり、互いにコプレーナである必要がある)、2)外部ハブ618の表面も平坦であること(別個のエレメントから形成されている場合、これらのエレメントの表面が平坦であり、互いにコプレーナである必要がある)、および、3)内部ハブ616が外部ハブ618とコプレーナである(または、内部ハブおよび外部ハブ616/618の各部材の表面間がコプレーナである必要がある)、という制約が生じることが考えられる。
【0087】
この性質の位置合わせは、例えば、一面を平坦にマシニングされたプレートからなる位置合わせ固定具によって達成することができる。この固定具の平坦な面を、内部ハブおよび外部ハブ616/618両方の面に固定することで、全ての表面をコプレーナとすることができる。固定具がこのように取り付けられる場合、弾性の接続アーム614を、内部ハブおよび外部ハブ616/618に搭載して、一定の位置に固定することができる。固定具はその後取り除かれてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングであって、
内部ハブが外部ハブの半径方向の内側に存在する前記内部ハブおよび前記外部ハブと、
それぞれの内端部が内部平面接続領域を介して前記内部ハブに接続され、外端部が外部平面接続領域を介して前記外部ハブに接続された複数の弾性の接続アームと
を備え、
前記内部平面接続領域および前記外部平面接続領域の平面は、前記対称軸に垂直であり、前記複数の弾性の接続アームは、前記内部ハブと前記外部ハブとが前記対称軸に沿って相対的に変位した場合には、前記対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されており、
前記内部ハブ、前記外部ハブ、および、前記複数の弾性の接続アームそれぞれは、物理的に別個の部材として形成されており、前記スプリングを形成するための組み立て中に互いに接続されるスプリング。
【請求項2】
前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに対して位置合わせするためのハブ配置フィーチャをさらに備える請求項1に記載のスプリング。
【請求項3】
前記ハブ配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アームおよび前記内部ハブおよび前記外部ハブにシリンダー状の穴を含み、前記シリンダー状の穴の中に挿入可能なシリンダー状の位置合わせ部材と協働させる請求項2に記載のスプリング。
【請求項4】
前記複数の弾性の接続アームは、複数のスタック内に配置され、あるスタック内の各弾性の接続アームは、同じスタック内の他の弾性の接続アームの全てと、前記対称軸に平行な方向に位置合わせされる請求項1、2、および3のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項5】
各スタック内の前記複数の弾性の接続アーム同士を位置合わせするためのスタック配置フィーチャをさらに備える請求項4に記載のスプリング。
【請求項6】
前記スタック配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アーム内にシリンダー状の穴を含んで、前記シリンダー状の穴内に挿入可能なシリンダー配置部材と協働させる請求項5に記載のスプリング。
【請求項7】
スタック配置のための前記シリンダー状の穴は、さらにハブの配置も行うよう構成されている、請求項2に従属しているとき、請求項6に記載されているスプリング。
【請求項8】
スタック配置のための前記シリンダー状の穴は、ハブの配置のための前記シリンダー状の穴とは別個である、請求項2に従属しているとき、請求項6に記載されているスプリング。
【請求項9】
前記ハブ配置フィーチャは、完全な負荷をかける配置フィーチャおよび部分的に負荷をかける配置フィーチャを有し、
前記完全な負荷をかける配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アームの前記内端部および前記外端部のうちの1つの端部の前記平面内の、前記1つの端部を接続する前記ハブの部分に対する横方向の運動を妨げ、
前記部分的に負荷をかける配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アームの前記内端部および前記外端部のうちの1つの端部の前記平面内の、前記1つの端部を接続する前記ハブの部分に対する第1の方向の運動を妨げるが、前記平面内の第2の方向の運動は許可し、前記第2の方向は前記第1の方向に垂直である、請求項1から8のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項10】
前記ハブ配置フィーチャは、複数の前記完全な負荷をかける配置フィーチャおよび複数の前記部分的に負荷をかける配置フィーチャを有し、それぞれの数および方向は、前記スプリングに過度に負荷がかからないよう選択されている請求項9に記載のスプリング。
【請求項11】
前記第2の方向は、1つの弾性の接続アームの外端部が接続されている前記外部ハブの部分と、前記1つの弾性の接続アームの内端部が接続されている前記内部ハブの部分とをつなぐ線沿いの方向である請求項9または請求項10に記載のスプリング。
【請求項12】
前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに固定する固定手段をさらに備え、
前記固定手段は、前記内部平面接続領域および前記外部平面接続領域を、前記内部ハブおよび前記外部ハブに、前記対称軸に平行な方向に押圧する固定力を加える請求項1から11のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項13】
前記固定手段は、前記内部ハブおよび前記外部ハブのねじ穴に、前記複数の弾性の接続アームの対応する穴を介して係合されるねじを有する請求項12に記載のスプリング。
【請求項14】
前記固定手段は、1)前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに固定することと、2)前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに位置合わせすること、および前記複数の弾性の接続アーム同士を、任意のスタック内で位置合わせすることの少なくとも一方とを両方実行するよう構成されている請求項12または13に記載のスプリング。
【請求項15】
前記ねじは、プレーンなシリンダー状の外表面を有する長尺状の肩部を有して、前記複数の弾性の接続アーム内の穴の前記シリンダー状の内表面に対して係合して、前記複数の弾性の接続アーム同士を各スタック内で位置合わせする、請求項13に従属しているとき、請求項14に記載されているスプリング。
【請求項16】
前記ねじ穴は、シリンダー状の内表面を有するねじを切られていない部分と、ねじの切られた部分とを有し、前記長尺状の肩部は、前記ねじ穴の前記ねじを切られていない部分の前記シリンダー状の内表面に係合して、前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに対して位置合わせする請求項15に記載のスプリング。
【請求項17】
前記ねじの前記ねじを切られた部分の外部の周りにシリンダー状のチューブをさらに備え、
前記シリンダー状のチューブの外表面は、前記複数の弾性の接続アームの穴の前記シリンダー状の内表面に係合して、各スタック内で弾性の接続アーム同士を位置合わせする、請求項13に従属しているとき、請求項14に記載されているスプリング。
【請求項18】
前記ねじ穴は、シリンダー状の内表面を有するねじを切られていない部分と、ねじの切られた部分とを有し、前記シリンダー状のチューブは、前記ねじ穴の前記ねじを切られていない部分の前記シリンダー状の内表面に係合して、前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに対して位置合わせする請求項17に記載のスプリング。
【請求項19】
前記固定手段は、前記複数の弾性の接続アームの各端部を、少なくとも2つの固定点を介して前記内部ハブおよび前記外部ハブに固定する請求項12から18のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項20】
前記複数の弾性の接続アームのそれぞれは、前記アームの前記内端部および前記外端部付近の領域と比べて、前記アームの中間部に近い部分が薄くなるようなテーパ形状である請求項1から19のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項21】
前記内部ハブおよび前記外部ハブは、軸方向に撓ませられると、前記対称軸に対して回転可能であることで、前記複数の弾性の接続アームへの応力を軽減する請求項1から20のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項22】
各スタック内の前記複数の弾性の接続アームのそれぞれは、同じスタック内の他の弾性の接続アームから、シムによって分離されている、請求項4に従属しているとき、請求項4から21のいずれか一項に記載されているスプリング。
【請求項23】
前記複数の弾性の接続アームのスタック数、または、スタックがない場合は前記複数の弾性の接続アームの数は、前記回転対称度より大きい請求項1から22のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項24】
前記外部ハブは複数の不連続なセグメントを有し、各セグメントは、互いに最も近い弾性の接続部材の外端部のみに接続されている請求項23に記載のスプリング。
【請求項25】
前記スプリングが搭載されていない状態において、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記内部ハブの表面は、実質的に平坦であり、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記外部ハブの表面とコプレーナである請求項1から24のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項26】
前記複数の弾性の接続アームは、前記内部ハブおよび前記外部ハブに取り外し可能な形で接続されている請求項1から25のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項27】
軸方向に位置合わせされ、異なる群に配置され、互いに接続された、請求項1から26のいずれか一項に記載の複数のスプリングを備えるスプリングアセンブリ。
【請求項28】
互いに物理的に分離された内部ハブおよび外部ハブと、
互いに、および、前記内部ハブおよび前記外部ハブから物理的に分離されており、内端部が前記内部ハブに接続可能であり、外端部が前記外部ハブに接続可能である複数の弾性の接続アームと
を備え、
前記複数の弾性の接続アームは、前記内部ハブと前記外部ハブとが前記対称軸に対して相対的に変位すると、接続されたときに前記対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されている請求項1から26のいずれか一項に記載のスプリングを構成するためのキット。
【請求項29】
前記スプリングの組み立て中に前記内部ハブおよび前記外部ハブを接続可能な実質的に平面の表面を有して、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記内部ハブの表面を、実質的に平坦として、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記外部ハブの表面とコプレーナとするアライメント固定具をさらに備える請求項28に記載のキット。
【請求項30】
請求項1から26のいずれか一項に記載のスプリングと、
前記スプリングの前記内部ハブおよび前記外部ハブの一方に接続されるシリンダーと、
前記スプリングの前記内部ハブおよび前記外部ハブの他方に接続され、前記シリンダー内で縦方向に移動するピストンと
を備え、
前記スプリングは、前記ピストンと前記シリンダーとの間に一定のすきまが維持されるよう、前記シリンダー内の前記ピストンの相対運動を誘導するピストン/シリンダーアセンブリ。
【請求項31】
搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングを製造する方法であって、
物理的に別個の部材として、内部ハブ、外部ハブ、および複数の弾性の接続アームを提供する工程と、
前記内部ハブを、前記外部ハブの半径方向の内側に配置する工程と、
前記複数の弾性の接続アームのそれぞれの内端部を、内部平面接続領域を介して前記内部ハブに接続し、外端部を、外部平面接続領域を介して前記外部ハブに接続する工程を備え、
前記内部平面接続領域および前記外部平面接続領域の平面は、前記対称軸に垂直であり、前記内部ハブと前記外部ハブとが前記対称軸に沿って相対的に変位した場合には、前記複数の弾性の接続アームは、前記対称軸に平行な復元力を与える方法。
【請求項1】
搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングであって、
内部ハブが外部ハブの半径方向の内側に存在する前記内部ハブおよび前記外部ハブと、
それぞれの内端部が内部平面接続領域を介して前記内部ハブに接続され、外端部が外部平面接続領域を介して前記外部ハブに接続された複数の弾性の接続アームと
を備え、
前記内部平面接続領域および前記外部平面接続領域の平面は、前記対称軸に垂直であり、前記複数の弾性の接続アームは、前記内部ハブと前記外部ハブとが前記対称軸に沿って相対的に変位した場合には、前記対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されており、
前記内部ハブ、前記外部ハブ、および、前記複数の弾性の接続アームそれぞれは、物理的に別個の部材として形成されており、前記スプリングを形成するための組み立て中に互いに接続されるスプリング。
【請求項2】
前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに対して位置合わせするためのハブ配置フィーチャをさらに備える請求項1に記載のスプリング。
【請求項3】
前記ハブ配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アームおよび前記内部ハブおよび前記外部ハブにシリンダー状の穴を含み、前記シリンダー状の穴の中に挿入可能なシリンダー状の位置合わせ部材と協働させる請求項2に記載のスプリング。
【請求項4】
前記複数の弾性の接続アームは、複数のスタック内に配置され、あるスタック内の各弾性の接続アームは、同じスタック内の他の弾性の接続アームの全てと、前記対称軸に平行な方向に位置合わせされる請求項1、2、および3のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項5】
各スタック内の前記複数の弾性の接続アーム同士を位置合わせするためのスタック配置フィーチャをさらに備える請求項4に記載のスプリング。
【請求項6】
前記スタック配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アーム内にシリンダー状の穴を含んで、前記シリンダー状の穴内に挿入可能なシリンダー配置部材と協働させる請求項5に記載のスプリング。
【請求項7】
スタック配置のための前記シリンダー状の穴は、さらにハブの配置も行うよう構成されている、請求項2に従属しているとき、請求項6に記載されているスプリング。
【請求項8】
スタック配置のための前記シリンダー状の穴は、ハブの配置のための前記シリンダー状の穴とは別個である、請求項2に従属しているとき、請求項6に記載されているスプリング。
【請求項9】
前記ハブ配置フィーチャは、完全な負荷をかける配置フィーチャおよび部分的に負荷をかける配置フィーチャを有し、
前記完全な負荷をかける配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アームの前記内端部および前記外端部のうちの1つの端部の前記平面内の、前記1つの端部を接続する前記ハブの部分に対する横方向の運動を妨げ、
前記部分的に負荷をかける配置フィーチャは、前記複数の弾性の接続アームの前記内端部および前記外端部のうちの1つの端部の前記平面内の、前記1つの端部を接続する前記ハブの部分に対する第1の方向の運動を妨げるが、前記平面内の第2の方向の運動は許可し、前記第2の方向は前記第1の方向に垂直である、請求項1から8のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項10】
前記ハブ配置フィーチャは、複数の前記完全な負荷をかける配置フィーチャおよび複数の前記部分的に負荷をかける配置フィーチャを有し、それぞれの数および方向は、前記スプリングに過度に負荷がかからないよう選択されている請求項9に記載のスプリング。
【請求項11】
前記第2の方向は、1つの弾性の接続アームの外端部が接続されている前記外部ハブの部分と、前記1つの弾性の接続アームの内端部が接続されている前記内部ハブの部分とをつなぐ線沿いの方向である請求項9または請求項10に記載のスプリング。
【請求項12】
前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに固定する固定手段をさらに備え、
前記固定手段は、前記内部平面接続領域および前記外部平面接続領域を、前記内部ハブおよび前記外部ハブに、前記対称軸に平行な方向に押圧する固定力を加える請求項1から11のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項13】
前記固定手段は、前記内部ハブおよび前記外部ハブのねじ穴に、前記複数の弾性の接続アームの対応する穴を介して係合されるねじを有する請求項12に記載のスプリング。
【請求項14】
前記固定手段は、1)前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに固定することと、2)前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに位置合わせすること、および前記複数の弾性の接続アーム同士を、任意のスタック内で位置合わせすることの少なくとも一方とを両方実行するよう構成されている請求項12または13に記載のスプリング。
【請求項15】
前記ねじは、プレーンなシリンダー状の外表面を有する長尺状の肩部を有して、前記複数の弾性の接続アーム内の穴の前記シリンダー状の内表面に対して係合して、前記複数の弾性の接続アーム同士を各スタック内で位置合わせする、請求項13に従属しているとき、請求項14に記載されているスプリング。
【請求項16】
前記ねじ穴は、シリンダー状の内表面を有するねじを切られていない部分と、ねじの切られた部分とを有し、前記長尺状の肩部は、前記ねじ穴の前記ねじを切られていない部分の前記シリンダー状の内表面に係合して、前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに対して位置合わせする請求項15に記載のスプリング。
【請求項17】
前記ねじの前記ねじを切られた部分の外部の周りにシリンダー状のチューブをさらに備え、
前記シリンダー状のチューブの外表面は、前記複数の弾性の接続アームの穴の前記シリンダー状の内表面に係合して、各スタック内で弾性の接続アーム同士を位置合わせする、請求項13に従属しているとき、請求項14に記載されているスプリング。
【請求項18】
前記ねじ穴は、シリンダー状の内表面を有するねじを切られていない部分と、ねじの切られた部分とを有し、前記シリンダー状のチューブは、前記ねじ穴の前記ねじを切られていない部分の前記シリンダー状の内表面に係合して、前記複数の弾性の接続アームを、前記内部ハブおよび前記外部ハブに対して位置合わせする請求項17に記載のスプリング。
【請求項19】
前記固定手段は、前記複数の弾性の接続アームの各端部を、少なくとも2つの固定点を介して前記内部ハブおよび前記外部ハブに固定する請求項12から18のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項20】
前記複数の弾性の接続アームのそれぞれは、前記アームの前記内端部および前記外端部付近の領域と比べて、前記アームの中間部に近い部分が薄くなるようなテーパ形状である請求項1から19のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項21】
前記内部ハブおよび前記外部ハブは、軸方向に撓ませられると、前記対称軸に対して回転可能であることで、前記複数の弾性の接続アームへの応力を軽減する請求項1から20のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項22】
各スタック内の前記複数の弾性の接続アームのそれぞれは、同じスタック内の他の弾性の接続アームから、シムによって分離されている、請求項4に従属しているとき、請求項4から21のいずれか一項に記載されているスプリング。
【請求項23】
前記複数の弾性の接続アームのスタック数、または、スタックがない場合は前記複数の弾性の接続アームの数は、前記回転対称度より大きい請求項1から22のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項24】
前記外部ハブは複数の不連続なセグメントを有し、各セグメントは、互いに最も近い弾性の接続部材の外端部のみに接続されている請求項23に記載のスプリング。
【請求項25】
前記スプリングが搭載されていない状態において、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記内部ハブの表面は、実質的に平坦であり、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記外部ハブの表面とコプレーナである請求項1から24のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項26】
前記複数の弾性の接続アームは、前記内部ハブおよび前記外部ハブに取り外し可能な形で接続されている請求項1から25のいずれか一項に記載のスプリング。
【請求項27】
軸方向に位置合わせされ、異なる群に配置され、互いに接続された、請求項1から26のいずれか一項に記載の複数のスプリングを備えるスプリングアセンブリ。
【請求項28】
互いに物理的に分離された内部ハブおよび外部ハブと、
互いに、および、前記内部ハブおよび前記外部ハブから物理的に分離されており、内端部が前記内部ハブに接続可能であり、外端部が前記外部ハブに接続可能である複数の弾性の接続アームと
を備え、
前記複数の弾性の接続アームは、前記内部ハブと前記外部ハブとが前記対称軸に対して相対的に変位すると、接続されたときに前記対称軸に平行な復元力を与えるよう構成されている請求項1から26のいずれか一項に記載のスプリングを構成するためのキット。
【請求項29】
前記スプリングの組み立て中に前記内部ハブおよび前記外部ハブを接続可能な実質的に平面の表面を有して、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記内部ハブの表面を、実質的に平坦として、前記複数の弾性の接続アームが接続される前記外部ハブの表面とコプレーナとするアライメント固定具をさらに備える請求項28に記載のキット。
【請求項30】
請求項1から26のいずれか一項に記載のスプリングと、
前記スプリングの前記内部ハブおよび前記外部ハブの一方に接続されるシリンダーと、
前記スプリングの前記内部ハブおよび前記外部ハブの他方に接続され、前記シリンダー内で縦方向に移動するピストンと
を備え、
前記スプリングは、前記ピストンと前記シリンダーとの間に一定のすきまが維持されるよう、前記シリンダー内の前記ピストンの相対運動を誘導するピストン/シリンダーアセンブリ。
【請求項31】
搭載されていない状態では、実質的に平面形状を有し、スプリングの平面に垂直な対称軸周りに少なくとも2度の回転対称度を有するスプリングを製造する方法であって、
物理的に別個の部材として、内部ハブ、外部ハブ、および複数の弾性の接続アームを提供する工程と、
前記内部ハブを、前記外部ハブの半径方向の内側に配置する工程と、
前記複数の弾性の接続アームのそれぞれの内端部を、内部平面接続領域を介して前記内部ハブに接続し、外端部を、外部平面接続領域を介して前記外部ハブに接続する工程を備え、
前記内部平面接続領域および前記外部平面接続領域の平面は、前記対称軸に垂直であり、前記内部ハブと前記外部ハブとが前記対称軸に沿って相対的に変位した場合には、前記複数の弾性の接続アームは、前記対称軸に平行な復元力を与える方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図16】
【図17】
【公表番号】特表2012−531564(P2012−531564A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516838(P2012−516838)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001100
【国際公開番号】WO2011/001132
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(500205220)アイシス イノヴェイション リミテッド (10)
【住所又は居所原語表記】Ewert House, Ewert Place, Summertown, Oxford, OX2 7SG, United Kingdom
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001100
【国際公開番号】WO2011/001132
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(500205220)アイシス イノヴェイション リミテッド (10)
【住所又は居所原語表記】Ewert House, Ewert Place, Summertown, Oxford, OX2 7SG, United Kingdom
【Fターム(参考)】
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