説明

スプレーノズルチップおよびそれを用いた熱硬化性樹脂の製造方法

渦流発生の効率が良く、噴霧される熱硬化性樹脂の噴霧パターンの広がりが大きく、しかも、霧化された液滴が小さく、気泡の巻き込みも少なく、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することができ、薄く、均一で、機械的強度に優れた熱硬化性樹脂成形品を得る。 熱硬化性樹脂の流路が形成されたケーシング本体と、ケーシング本体の噴霧開口部に設けられたオリフィス部と、オリフィス部の噴霧開口部側と反対側に設けられたコア部と、オリフィス部とコア部との間に形成され、前記オリフィス部のオリフィス出口と連通する渦流形成室とを備え、オリフィス部には、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ前記渦流形成室の内周壁に接線方向に連通する旋回溝が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、エアレススプレー成形方法による熱硬化性樹脂製造用のスプレーノズルチップ、およびそのノズルチップを用いた熱硬化性樹脂の製造方法、ならびにそれにより得られた成形品に関する。
【背景技術】
例えば、自動車のダッシュボード、すなわちインストルメントパネルなどの自動車内装装飾品は、長期間の耐熱性、耐光性が必要である。このような長期間の耐熱性、耐光性が必要な内装装飾品の分野において、熱硬化ポリウレタン樹脂が用いられている。
このような熱硬化ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂を成形する方法として、いわゆる「エアレススプレー成形法」の技術が従来より提案されている。
この方法は、スプレーノズルを介して、予め加熱された金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形する方法である。
しかしながら、このようなエアレススプレー成形方法においては、反応混合物の粘度が比較的高いため、ノズルチップの形状によって反応混合液の霧化状態が大きく変化することになる。
このため、特許第2914522号公報(特に、図1〜図3参照))においては、その第2図に示したような渦巻室23と渦巻流入口25を設けたオリフィスにより高粘度流体でも大きな噴霧角で噴霧でき、得られる粒子の微細化が容易な圧力噴霧ノズルおよび噴霧方法を提案している。
また、特開平9−75786号公報(特に図1〜図4参照)においては、特許第2914522号公報の噴霧口27近傍が鉱物等の微粒子を含んだ流体の内部旋回運動によるノズルの摩耗を防ぐ目的で、図4に示す噴霧口近傍に20〜70°のテーパー部6を設けた圧力噴霧ノズルおよび噴霧方法を提案している。
さらに、特許第2610308号公報(特に、第3頁第5欄〜第4頁第7欄、図2〜図6参照)および特公平7−83847号公報(特に、第3頁第6欄、図2〜図7参照)においては、ポリオールとイソシアネートとの液体反応混合物を、エアレススプレー成形方法を用いて、ポリウレタン樹脂を均一に成形する方法が提案されている。
すなわち、これらの特許第2610308号公報および特公平7−83847号公報においては、図6に示したようなノズルチップ101を用いている。
このノズルチップ101は、図6(A)に示したように、熱硬化性樹脂の流路が形成されたケーシング本体102の噴霧開口部103にオリフィス部104が設けられている。そして、このオリフィス部104の噴霧開口部側と反対側に、コア部105が設けられている。
オリフィス部104の基端部は、略円錐形状面106が形成され、この円錐形状面106に、コア部105の先端の截頭円錐形部107が嵌合されている。これにより、オリフィス部104とコア部105との間に、オリフィス部104のオリフィス出口108と連通する渦流形成室110が形成されている。
そして、図6(B)に示したように、コア部105には、截頭円錐形部107の外周に沿って、螺旋状に渦流形成室110に連通するように旋回溝112が形成されている。
これにより、熱硬化性樹脂が、ケーシング本体102の流路から、コア部105の旋回溝112を介して、渦流形成室110に流入することによって、渦流形成室110内で渦流が発生して、オリフィス部104のオリフィス出口108から予め加熱された金型表面に熱硬化性樹脂が略釣鐘状に均一に噴霧され、熱硬化性樹脂成形品が得られるようになっている。
しかしながら、特許第2914522号公報および特開平9−75786号公報は、噴霧造粒法などに使用されるノズルの改良に過ぎず、本発明の如く金型上に熱硬化性樹脂を成形するためのスプレーノズルチップ、およびそのノズルチップを用いて成形した熱硬化性樹脂の製造方法とは全く内容を異にするものである。
すなわち、特許第2914522号公報の方法では、渦巻室流入口25から円筒状の渦巻室23に導かれ噴霧口27に至る流体の旋回力が減衰するのに伴って噴霧角(本発明で言う「噴霧パターン」)を狭くする結果をもたらす。
また、特開平9−75786号公報は、特許第2914522号公報の噴霧口27近傍が鉱物等の微粒子を含んだ流体の内部旋回運動によるノズルの摩耗を防ぐ目的で、その図4に示す噴霧口近傍に20〜70°のテーパー部6を設けたに過ぎず、実質的には特許第2914522号公報と同様に噴霧角を狭くすることの防止には何ら効果がない。
さらに、特許第2610308号公報および特公平7−83847号公報の方法では、渦流形成室110に連通する旋回溝112が、コア部105の截頭円錐形部107の外周に沿って、螺旋状に形成されているために、注入樹脂ベクトルは、旋回方向のベクトルとオリフィス出口方向へのベクトルに力が分散されることになり、渦流発生の旋回力が低下することになる。
このため、オリフィス出口108から噴霧される熱硬化性樹脂の噴霧パターンの広がりが狭くなるとともに、霧化された液滴が比較的大きくなり、しかも、気泡の巻き込みが大きくなってしまう。
そのため、金型上に吹き付けられた熱硬化性樹脂の厚さが厚くなるとともに、不均一になり、その結果、機械的物性が不均一となってしまうことになる。
また、旋回方向のベクトルとオリフィス出口方向へのベクトルに力が分散されるために、十分な旋回力を得るためには、噴霧のためにノズルに連結される送液ポンプにも負担がかかることになり、装置の寿命などにも影響を及ぼすことになる。
このような問題は、自動車のダッシュボード、すなわちインストルメントパネルなどの自動車内装装飾品の分野においては、薄く、機械的強度が求められ、大量生産が求められていることから特に影響が大きいものである。
本発明は、このような現状に鑑み、渦流発生の効率が良く、噴霧される熱硬化性樹脂の噴霧パターンの広がりが大きく、しかも、霧化された液滴が小さく、気泡の巻き込みも少なく、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することができ、その結果、薄く、均一で、機械的強度に優れた熱硬化性樹脂成形品を得ることができるスプレーノズルチップ、およびそのノズルチップを用いた熱硬化性樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明なされたものであって、本発明のスプレーノズルチップは、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形するエアレススプレー成形方法に用いるスプレーノズルチップであって、
前記スプレーノズルチップが、前記熱硬化性樹脂の流路が形成されたケーシング本体と、
前記ケーシング本体の噴霧開口部に設けられたオリフィス部と、
前記オリフィス部の噴霧開口部側と反対側に設けられたコア部と、
前記オリフィス部とコア部との間に形成され、前記オリフィス部のオリフィス出口と連通する渦流形成室とを備え、
前記オリフィス部には、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ前記渦流形成室の内周壁に接線方向に連通する旋回溝が形成され、
前記渦流形成室が、オリフィス出口に向かって、漸次その径が減少する円錐形状であることを特徴とする。
また、本発明の熱硬化性樹脂の製造方法は、スプレーノズルチップを用いて、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形するエアレススプレー成形方法を用いた熱硬化性樹脂の製造方法であって、
前記スプレーノズルチップが、前記熱硬化性樹脂の流路が形成されたケーシング本体と、
前記ケーシング本体の噴霧開口部に設けられたオリフィス部と、
前記オリフィス部の噴霧開口部側と反対側に設けられたコア部と、
前記オリフィス部とコア部との間に形成され、前記オリフィス部のオリフィス出口と連通する渦流形成室とを備え、
前記オリフィス部には、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ前記渦流形成室の内周壁に接線方向に連通する旋回溝が形成され、
前記渦流形成室が、オリフィス出口に向かって、漸次その径が減少する円錐形状であることを特徴とする。
このように構成することによって、熱硬化性樹脂が、ケーシング本体の流路からオリフィス部に形成された旋回溝を介して、渦流形成室に流入することによって、渦流形成室内で渦流が発生して、オリフィス部のオリフィス出口から予め加熱された金型表面に熱硬化性樹脂が略釣鐘状に均一に噴霧され、熱硬化性樹脂成形品が得られる。
この際に、旋回溝が、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ渦流形成室の内周壁に接線方向に連通するように形成されているので、同一平面内で熱硬化性樹脂が旋回するように旋回力が発生することになる。
従って、旋回力が減衰することがないので、渦流発生の効率が良く、噴霧される熱硬化性樹脂の噴霧パターンの広がりが大きくなり、しかも、霧化された液滴が小さく、気泡の巻き込みも少なく、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することができる。
これにより、薄く、均一で、機械的強度に優れた熱硬化性樹脂成形品を得ることができるとともに、低吐出量で渦流を発生し噴霧することができるので、送液ポンプなどの装置に負担がかかることなく、装置の寿命も大幅に向上する。
また、本発明では、前記旋回溝の断面積Aが、0.05〜0.5mmの範囲にあることを特徴とする。
このような範囲に旋回溝の断面積Aがあれば、旋回溝部分における圧力が上昇して、送液ポンプに過大な負荷がかかることがなく、しかも、渦流形成室内の旋回力が低下することもなく、スプレーパターンが均一に広がることになる。
また、本発明では、前記オリフィス出口の長さL1が、0.01〜0.5mmの範囲にあることを特徴とする。
このような範囲にオリフィス出口の長さLがあれば、噴霧パターンが広がりすぎて、液滴が飛散することがなく、しかも、渦流形成室内で生じた旋回力が減衰してしまうことがない。
また、本発明では、前記オリフィス出口の直径ψが、0.1〜2.0mm、さらに好ましくは、0.2〜1.5mmの範囲にあることを特徴とする。
このような範囲にオリフィス出口の直径ψがあれば、オリフィス出口における圧力が増大し、送液ポンプに過大な負荷がかかることがなく、しかも、均一な噴霧パターンが得られる。
また、本発明では、前記渦流形成室が、オリフィス出口に連通する円錐形状部を備え、円錐形状部の円錐角度θが、30〜120°の範囲にあることを特徴とする。
このような範囲に円錐形状部の円錐角度θがあれば、旋回溝で生じた旋回力が渦流形成室内で比較的減衰されることなく、良好な噴霧パターンが得られる。
また、本発明では、前記渦流形成室の高さhが、0.5〜3.0mmの範囲にあることを特徴とする。
このような範囲に渦流形成室の高さhがあれば、渦流形成室が小さくなって渦流形成室内での液の整流効果が低減することがないので、均一な噴霧パターンが得られることになるとともに、渦流形成室が必要以上に大きくなって旋回溝で得られた旋回力が減衰し、噴霧パターンの広がりが小さくなることもない。
また、本発明では、前記旋回溝のコア部と重なる長さLが、0.5mm以上、より好ましくは、0.5〜3.0mmの範囲にあることを特徴とする。
このような範囲に旋回溝のコア部と重なる長さLがあれば、旋回溝内で混合液の流れが整い、充分な旋回強度が得られるとともに、旋回溝部分における圧力が上昇し、送液ポンプに過大な負荷がかかることがない。
また、本発明では、1〜6本の旋回溝が形成されていることを特徴とする。
このような範囲に旋回溝があれば、各溝からの流れが互いに干渉することがなく、渦流形成室内の液の流れが整い、均一な噴霧パターンが得られる。
また、本発明では、前記オリフィス部と、コア部と、ケーシング本体とが、着脱自在に構成されていることを特徴とする。
このように、オリフィス部と、コア部と、ケーシング本体とが、着脱自在に構成されているので、これらをノズル本体から取り外すことによって、ノズルチップ内の洗浄が容易になる。
また、本発明では、前記オリフィス出口から噴霧される液滴の平均粒子径(ASTM−E799−92)が、95μm以下の範囲にあることを特徴とする。
このような範囲にオリフィス出口から噴霧される液滴の平均粒子径があれば、金型上で気泡を巻き込むことが少なく、機械物性が低下することもない。また、金型上に塗布された熱硬化性樹脂の厚み分布も小さくなり、同一成形物内における機械物性が均一になる。さらに、液滴が飛散しないので、生産性が向上するとともに、作業環境の悪化を招くこともない。
また、本発明の熱硬化性樹脂の製造方法は、前記熱硬化性樹脂が、3〜20cc/secの吐出量で金型上に噴霧されることを特徴とする。
このような範囲に熱硬化性樹脂の吐出量があれば、生産性が低下することもなく、金型に樹脂が均一に塗布できることになる。
また、本発明の熱硬化性樹脂の製造方法は、前記熱硬化性樹脂が、少なくともポリイソシアネート化合物と、活性水素化合物からなる熱硬化ポリウレタン樹脂であることを特徴とする。
これにより、例えば、自動車のダッシュボード、すなわちインストルメントパネルなどの自動車内装装飾品の皮膜製品や椅子の座面を形成する人工皮革などの一般および事務用品の材料として、均一で薄く、機械的強度に優れたポリウレタン成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のノズルチップの実施例の縦断面図である。
図2は、図1のノズルチップのA方向(塗布方向)から見た端面図である。
図3は、図1のノズルチップのB方向(塗布方向と反対側の方向)から見た端面図である。
図4は、図1のノズルチップのオリフィス部の詳細を示す部分拡大図である。
図5は、図1のノズルチップのC−C線でのオリフィス部の部分拡大図である。
図6(A)は、従来のスプレーノズルの縦断面図、図6(B)は、図6(A)のD−D方向の部分拡大図である。
図7は、本発明の実施例での噴霧角度を模式的に示す図である。
図8は、比較例のノズルチップ全体の縦断面図である。
図9は、比較例のノズルチップのケーシング本体の縦断面図である。
図10は、比較例のノズルチップのコア部の縦断面図である。
図11は、比較例のノズルチップの図5と同様な部分拡大図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本発明のノズルチップの実施例の縦断面図、図2は、図1のノズルチップのA方向(塗布方向)から見た端面図、図3は、図1のノズルチップのB方向(塗布方向と反対側の方向)から見た端面図、図4は、図1のノズルチップのオリフィス部の詳細を示す部分拡大図、図5は、図1のノズルチップのC−C線でのオリフィス部の部分拡大図である。
図1〜図3において、10は、全体で本発明のノズルチップを示している。
ノズルチップ10は、図1に示したように、ケーシング本体12を備えており、このケーシング本体12には、その内部に熱硬化性樹脂の流路14が形成されている。この流路14は、図示しないが、別途熱硬化性樹脂を送液する送液ポンプに接続されている。また、ケーシング本体12の基端部11は、細径になっており、雄螺子が形成されており、これにより、図示しないノズル本体に着脱自在に装着できるように構成されている。
ケーシング本体12の先端部16には、上下に開口部18が設けられており、図1において、下方側(塗布側)が、噴霧開口部20となっている。噴霧開口部20には、フランジ22が内方に突設されており、これにより、段部24が形成されている。この段部24内に、オリフィス部26が着脱自在に嵌着されている。
一方、開口部18の塗布側と反対側、すなわち、オリフィス部26の噴霧開口部側と反対側には、コア部28が配置されている。
コア部28は、図1に示したように、コア部本体30と、このコア部本体よりも大径の嵌合部32とから構成されている。
嵌合部32の外周には、雄螺子32aが螺設されており、開口部18の塗布側と反対側の内壁34に形成された雌螺子34aと螺合することにより、コア部28が、ケーシング本体12の開口部18に着脱自在に装着できるようになっている。
なお、図3に示したように、コア部本体30には、六角形状の工具係合用凹部36が形成されており、この工具係合用凹部36に工具を係止することにより、コア部28を取り外せるようになっている。
なお、このように、オリフィス部26と、コア部28と、ケーシング本体12とが、着脱自在に構成されていることによって、ノズルチップ内の洗浄が容易になる。特に、熱硬化性樹脂が、少なくともポリイソシアネート化合物と、活性水素化合物からなる熱硬化ポリウレタン樹脂である場合に、反応が速く、ノズル内で硬化したポリウレタン樹脂が詰まりやすいので、ノズルチップを洗浄するのに好適である。
この場合、オリフィス部26と、コア部28とは、別々の部材で作製することもできるが、一体的に形成することも可能である。
また、このコア部28のコア部本体30は、ケーシング本体12の開口部18の内径よりも小さい外径を有しており、これにより、図1に示したように、開口部18内に、環状の供給室38が形成されている。
オリフィス部26は、オリフィス部26とコア部本体30との間に、図1、図2、および図4に示したように、オリフィス部26の塗布側に形成されたオリフィス出口44と連通する渦流形成室40が形成されている。
この渦流形成室40の内径は、コア部本体30の外径よりも小さくなっている。また、渦流形成室40は、コア部本体30側の基端部42と、オリフィス出口44に向かって漸次その直径が減少するように形成された円錐形状部46とを備えている。
また、図1、図4および図5に示したように、オリフィス部26のコア部28側の端面48には、オリフィス出口44の軸線50に対して垂直な方向に、かつ渦流形成室40の基端部42の内周壁52の円周に対して、接線方向に連通する旋回溝54が形成されている。なお、この実施例では、それぞれ90°ずつ離間して4個の旋回溝54が形成されている。
この場合、旋回溝54の断面形状としては、本発明の効果を損なわなければ、どのような形状を有していてもよいが、例えば、半円形、四角形等があげられる。
また、旋回溝54の数、配置としては、特に限定されるものではないが、渦流形成室40内で乱流が生じないようにするのが望ましく、好ましくは、1〜6本、さらに好ましくは、2〜5本の範囲にあることが好ましい。
すなわち、6本より多くなると各旋回溝54からの流れが互いに干渉し、渦流形成室40内の液の流れが整わず、均一な噴霧パターンが得られないからである。なお、複数の旋回溝54を形成する場合には、均等に配置するのが乱流が生じないためには好ましい。
また、図4に示したように、各旋回溝54の断面積Aが、好ましくは、0.05〜0.5mm、さらに好ましくは、0.05〜0.3mmの範囲にあるのが好ましい。
すなわち、旋回溝54の断面積Aが、0.05mmより小さいと、旋回溝54の部分における圧力が上昇し、送液ポンプに過大な負荷がかかるからである。一方、旋回溝54の断面積Aが、0.5mmより大きいと、渦流形成室40内の旋回力が低下し、スプレーパターンが広がらないからである。
さらに、図5に示したように、旋回溝54がコア部28のコア部本体30と重なる長さLが、0.5mm以上であることが好ましい。
すなわち、Lが0.5mmより小さいと、旋回溝54内で混合液の流れが整わず、充分な旋回強度が得られないからである。
さらに、旋回溝54がコア部28のコア部本体30と重なる長さLが、0.5〜3.0mmの範囲にあることが好ましい。
すなわち、Lが3.0mmよりも大きいと、旋回溝54部分における圧力が上昇し、送液ポンプに過大な負荷がかかるからである。
さらに、図4に示したように、オリフィス出口44の長さL1が、0.01〜0.5mm、さらに好ましくは、0.07〜0.3mmの範囲にあることが好ましい。
すなわち、オリフィス出口44の長さLが、0.01mmより小さいと、噴霧パターンが広がりすぎて、液滴が飛散するからである。一方、オリフィス出口44の長さLが、0.5mmより大きいと、渦流形成室40内で生じた旋回力が減衰してしまうからである。
さらに、図4に示したように、渦流形成室40の高さhが、0.5〜3.0mm、さらに好ましくは、0.5〜2.0mmの範囲にあることが好ましい。
すなわち、渦流形成室40の高さhが、0.5mmよりも短いと、渦流形成室40が小さくなり、渦流形成室40内での液の整流効果が低減し、均一な噴霧パターンが得られないからである。一方、渦流形成室40の高さhが、3.0mmよりも大きいと、渦流形成室40が必要以上に大きくなり、旋回溝54で得られた旋回力が減衰し、噴霧パターンの広がりが小さくなるからである。
また、図4に示したように、渦流形成室40の円錐形状部46の円錐角度θが、好ましくは、30〜120°、さらに好ましくは、60〜110°の範囲にあることが好ましい。
すなわち、円錐形状部46の円錐角度θが、30〜120°の範囲にあることにより、旋回溝54で生じた旋回力が渦流形成室40内で比較的減衰されることがなく、良好な噴霧パターンが得られるからである。
また、図4および図5に示したように、オリフィス出口44の直径ψが、0.1〜2.0mm、さらに好ましくは、0.2〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。
すなわち、オリフィス出口44の直径ψが、0.1mmより小さくなると、オリフィス出口44における圧力が増大し、送液ポンプに過大な負荷がかかるからである。一方、オリフィス出口44の直径ψが、2.0mmより大きくになると均一な噴霧パターンが得られないからである。
さらに、この場合、オリフィス出口44から噴霧される液滴の平均粒子径(ASTM−E799−92)が95μm以下、さらに好ましくは、20〜95μmの範囲にあることが好ましい。
すなわち、オリフィス出口44から噴霧される液滴の平均粒子径が、95μmより大きくなると、金型上で気泡を巻き込みやすくなり、機械物性が低下するからである。また、金型上に塗布されたポリウレタン樹脂の厚み分布も大きくなり、同一成形物内における機械物性が不均一になるからである。
さらに、オリフィス出口44から噴霧される液滴の平均粒子径が20μm未満になると、液滴が飛散し、生産性が低下するのと同時に作業環境の悪化を招くからである。
なお、この場合、本明細書において、液滴の平均粒子径としては、オリフィス出口44から10cmの箇所において、レーザー光散乱方式粒度分布測定装置を用いて、ASTM−E799−92に準拠して行った測定方法で測定した値を示している。
さらに、熱硬化性樹脂を、好ましくは、3〜20cc/sec、さらに好ましくは、5〜15cc/secの吐出量で金型上に噴霧されるのが望ましい。
すなわち、3cc/secより小さくなると、生産性が低下し、逆に、20cc/secより大きくなると金型に樹脂が均一に塗布できなくなるからである。
また、本発明において用いられる熱硬化性樹脂(混合液)としては、少なくともポリイソシアネート化合物(A)、活性水素化合物(B)からなる熱硬化ポリウレタン樹脂組成物であることが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(A)、活性水素化合物(B)としては、通常熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものであればいずれも使用できる。
しかしながら、この場合、
・少なくともポリイソシアネート化合物(A)を含む、NCO基を含有したイソシアネート成分(A液)と、
・少なくとも活性水素化合物(B)を含む、活性水素を含有したポリオール成分(B液)と、
を混合させた熱硬化性樹脂組成物を用いるのが望ましい。
この場合には、この熱硬化性樹脂組成物の粘度が、好ましくは、10〜5000mPa・s、さらに好ましくは、15〜2000mPa・sの範囲にあるものが好ましい。
すなわち、熱硬化性樹脂組成物の粘度が10mPa・sより小さくなると液滴の飛散量が多くなり、作業環境の低下とともに生産性が低下するからである。一方、熱硬化性樹脂組成物の粘度が5000mPa・sより大きくなると圧力が増大し、送液ポンプに過大な負荷がかかるからである。
また、イソシアネート成分(A液)としては、通常の通常熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものであればいずれも使用できる。
この場合、イソシアネート成分(A液)としては、例示すれば、
・トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメリックMDI(PMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)等の芳香族ポリイソシアネート、
・ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、
・イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI(H6XDI)、水添トリレンジイソシアネート、水添MDI(H12MDI)、等の脂環族ポリイソシアネート、
・上記イソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、イソシアヌレート変性体
等があげられる。
これらは単独で用いても複数併用してもよい。また、必要に応じて、活性水素化合物により一部ウレタン変性したアダクト体、プレポリマーとして用いることもできる。
一方、ポリオール成分(B液)としては、通常の通常熱硬化性ポリウレタン樹脂の製造に用いられるものであればいずれも使用できる。
このようなポリオール成分(B液)としては、例えば、少なくともポリウレタン樹脂のソフトセグメントを形成する長鎖ポリオールからなり、必要に応じて、ハードセグメントを形成する鎖延長剤、架橋点を形成する架橋剤等を用いることができる。これらは単独で用いても複数併用してもよい。
さらに、本発明で用いるポリウレタン樹脂組成物には、さらに必要に応じて、安定剤、ウレタン化触媒、顔料、チクソトロープ増粘剤、消泡剤、難燃剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤は本発明の効果を損なわなければ、イソシアネート成分(A液)、ポリオール成分(B液)のいずれに含有しても良い。
このように構成される本発明のノズルチップ10では、予めミキサーなどで混合された熱硬化性樹脂の混合液が、ケーシング本体12の流路14からオリフィス部26に形成された旋回溝54を介して、渦流形成室40に流入する。
これによって、渦流形成室40内で渦流が発生して、オリフィス部26のオリフィス出口44から、予め加熱された金型表面に熱硬化性樹脂が略釣鐘状に均一に噴霧され、熱硬化性樹脂成形品が得られる。
この際に、旋回溝54が、オリフィス出口44の軸線50に対して垂直な方向に、かつ渦流形成室40の内周壁52の円周に対して接線方向に連通するように形成されているので、同一平面内で熱硬化性樹脂が旋回するように旋回力が発生することになる。
従って、旋回力が減衰することがないので、渦流発生の効率が良く、噴霧される熱硬化性樹脂の噴霧パターンの広がりが大きくなり、しかも、霧化された液滴が小さく、気泡の巻き込みもなく、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することができる。
これにより、薄く、均一で、機械的強度に優れた熱硬化性樹脂成形品を得ることができるとともに、低吐出量で渦流を発生し噴霧することができるので、送液ポンプなどの装置に負担がかかることなく、装置の寿命も大幅に向上することになる。
また、本願において「成形品」とは、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形するエアレススプレー成形方法により得られる熱硬化性樹脂であり、用途により特定の形状と厚みを有するものである。
例えば、車両、船舶、航空機等の輸送体の内装装飾部品、店舗、オフィス、その他の建築内装部品、一般および事務用家具などが挙げられる。
これらの成形品の用途、形状および厚みは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、例えば車両用の内装装飾部品である自動車計器盤(インストルメントパネル)等のスキン層は、0.3〜2.0mm程度の厚みを有し、かつ均一な機械物性を有する樹脂が要求されるため、本発明のスプレーノズルをもちいた成形方法によって得られる成形品が好適に用いられる。
また、一般および事務用家具である椅子の座面を形成する人口皮革等もまた、0.5〜5.0mm程度厚みを有し、かつ均一な機械物性を有する樹脂が要求されるため、本発明のスプレーノズルをもちいた成形方法によって得られる成形品が好適に用いられる。
【実施例】
【実施例1〜7】
本発明に係るスプレーノズルチップを用い、下記の条件で熱硬化性ポリウレタン組成物を吹付け成形を行なった。
(1)測定方法
(1−1)粘度測定方法
イソシアネート(A液)とウレタン化触媒を添加していない活性水素化合物(B液)を混合し、反応温度に3時間保温した後、B型粘度計を用いて測定した。
(1−2)平均粒子径
ASTM−E799−92に準じて、オリフィス出口44から10cmの距離にある液滴の体積平均粒子径を測定した。
(1−3)厚み測定方法
JIS K7130に準じて成形品の厚みを、ノギスを用いて測定した。
(1−4)比重測定方法
ミラージュ貿易社製「水中置換密度測定器ED−120T」を用いて成形品の密度を測定した。
(2)スプレーノズルチップ
ノズルチップの仕様を表1に示す。
(3)原料の詳細
(3−1)イソシアネート(A液)
多環式脂肪族ポリイソシアネートをポリエーテルポリオールで一部ウレタン変性したプレポリマー:NCO=26.0%、粘度=340Pa・s(25℃)、比重=1.14(25℃)
(3−2)活性水素化合物(B液)
ポリエーテルポリオール、鎖延長剤、顔料、ウレタン化触媒をあらかじめ混合し、100℃、10mmHgの減圧条件で1時間脱水したレジンプレミックス:平均水酸基価=287mg−KOH/g、粘度=2000Pa・s(25℃)、比重=1.06(25℃)
(3−3)A液/B液混合粘度
A液とウレタン化触媒を含有しないB液をNCO/OH(当量比)=1.10の条件で混合した粘度=1243mPa・s(25℃)、208mPa・s(70℃)
(4)ポリウレタン樹脂の成形
イソシアネート成分(A液)と活性水素化合物(B液)は、それぞれ70℃に保温された攪拌槽から送液ポンプによって70℃に保温された送液ラインを通り、ミキシングヘッドに送液され衝突によって混合される。
その後ラインミキサーでさらに混合された後、ノズルチップで霧化され、金型へ吹き付けられる。
吹付け完了から3分後、金型に吹き付けられたポリウレタン組成物が十分に硬化されていることを確認し、脱型する。
A液とB液の流量比は、A液中のNCOとB液中のOH量がNCO/OH(当量比)=1.0となるようにした。
成形条件を表1に示す。
注記:なお表1中、「噴霧パターン角度」は、図7に示したように、ノズルの鉛直方向と、噴霧の最も外側の噴霧ラインのなす角度αを示している。
比較例1〜2
上記実施例1〜7と同様にして、熱硬化性ポリウレタン組成物を吹付け成形を行なった。但し、表1に示したように、その条件は、本発明の範囲を外れる条件で行った。その結果を表1に示した。
比較例3
図8〜11および表1に記載の螺旋状旋回溝を有するノズルチップを用い、下記の条件で熱硬化性ポリウレタン組成物を吹付け成形を行なった。結果を表1に示す。比較例の成形品の比重は実施例の比重に比べて小さいことが分かる。比重の違いの程度は見かけ上小さな違いであるが、これらの成形品を引っ掻いた際に、気泡が存在する部分の強度は極端に低下するため、見かけよりも成形品の性能に対する影響が大きいものとなる。

なお、上述した実施例では、熱硬化性樹脂としてポリウレタン樹脂に適用した実施例について説明したが、ポリウレア樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などのその他の熱硬化性樹脂に適用することも可能である。
また、上記実施例では、オリフィス部26のコア部28側の端面48に旋回溝54を形成したが、コア部28側に旋回溝54を設けることも可能である。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【発明の効果】
本発明によれば、熱硬化性樹脂が、ケーシング本体の流路からオリフィス部に形成された旋回溝を介して、渦流形成室に流入することによって、渦流形成室内で渦流が発生して、オリフィス部のオリフィス出口から予め加熱された金型表面に熱硬化性樹脂が略釣鐘状に均一に噴霧され、熱硬化性樹脂成形品が得られる。
この際に、旋回溝が、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ渦流形成室の内周壁に接線方向に連通するように形成されているので、同一平面内で熱硬化性樹脂が旋回するように旋回力が発生することになる。
従って、旋回力が減衰することがないので、渦流発生の効率が良く、噴霧される熱硬化性樹脂の噴霧パターンの広がりが大きくなり、しかも、霧化された液滴が小さく、気泡の巻き込みも少なく、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することができる。
これにより、薄く、均一で、機械的強度に優れた熱硬化性樹脂成形品を得ることができるとともに、低吐出量で渦流を発生し噴霧することができるので、送液ポンプなどの装置に負担がかかることなく、装置の寿命も大幅に向上するなどの幾多の顕著で特有な作用効果を奏する極めて優れた発明である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形するエアレススプレー成形方法に用いるスプレーノズルチップであって、
前記スプレーノズルチップが、前記熱硬化性樹脂の流路が形成されたケーシング本体と、
前記ケーシング本体の噴霧開口部に設けられたオリフィス部と、
前記オリフィス部の噴霧開口部側と反対側に設けられたコア部と、
前記オリフィス部とコア部との間に形成され、前記オリフィス部のオリフィス出口と連通する渦流形成室とを備え、
前記オリフィス部には、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ前記渦流形成室の内周壁に接線方向に連通する旋回溝が形成され、
前記渦流形成室が、オリフィス出口に向かって、漸次その径が減少する円錐形状であることを特徴とするスプレーノズルチップ。
【請求項2】
前記旋回溝の断面積Aが、0.05〜0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のスプレーノズルチップ。
【請求項3】
前記オリフィス出口の長さLが、0.01〜0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のスプレーノズルチップ。
【請求項4】
前記オリフィス出口の直径ψが、0.1〜2.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスプレーノズルチップ。
【請求項5】
前記渦流形成室が、オリフィス出口に連通する円錐形状部を備え、円錐形状部の円錐角度θが、30〜120°の範囲にあり、前記渦流形成室の高さhが、0.5〜3.0mmの範囲にあり、前記旋回溝のコア部と重なる長さLが、0.5mm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスプレーノズルチップ。
【請求項6】
1〜6本の旋回溝が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のスプレーノズルチップ。
【請求項7】
前記オリフィス出口から噴霧される液滴の平均粒子径(ASTM−E799−92)が、95μm以下の範囲にあることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスプレーノズルチップ。
【請求項8】
スプレーノズルチップを用いて、金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形するエアレススプレー成形方法を用いた熱硬化性樹脂の製造方法であって、
前記スプレーノズルチップが、前記熱硬化性樹脂の流路が形成されたケーシング本体と、
前記ケーシング本体の噴霧開口部に設けられたオリフィス部と、
前記オリフィス部の噴霧開口部側と反対側に設けられたコア部と、
前記オリフィス部とコア部との間に形成され、前記オリフィス部のオリフィス出口と連通する渦流形成室とを備え、
前記オリフィス部には、オリフィス出口の軸線に対して垂直な方向に、かつ前記渦流形成室の内周壁に接線方向に連通する旋回溝が形成され、
前記渦流形成室が、オリフィス出口に向かって、漸次その径が減少する円錐形状であり、
前記オリフィス出口から噴霧される液滴の平均粒子径(ASTM−E799−92)が、95μm以下の範囲にあるように金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することを特徴とする熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記熱硬化性樹脂が、3〜20cc/secの吐出量で金型上に噴霧されることを特徴とする請求項8に記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記熱硬化性樹脂が、少なくともポリイソシアネート化合物と、活性水素化合物からなる熱硬化ポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項8から9のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記旋回溝の断面積Aが、0.05〜0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記オリフィス出口の長さLが、0.01〜0.5mmの範囲にあることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記オリフィス出口の直径ψが、0.1〜2.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項14】
前記渦流形成室が、オリフィス出口に連通する円錐形状部を備え、円錐形状部の円錐角度θが、30〜120°の範囲にあり、前記渦流形成室の高さhが、0.5〜3.0mmの範囲にあり、前記旋回溝のコア部と重なる長さLが、0.5mm以上にあることを特徴とする請求項8から13のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項15】
1〜6本の旋回溝が形成されていることを特徴とする請求項8から14のいずれかに記載の熱硬化性樹脂の製造方法。
【請求項16】
金型上に熱硬化性樹脂を噴霧することによって、金型上に熱硬化性樹脂を成形するエアレススプレー成形方法により得られる成形品であって、
前記熱硬化性樹脂が少なくともポリイソシアネート化合物と活性水素化合物からなる熱硬化性ポリウレタン樹脂からなり、
請求項1に記載のスプレーノズルチップを用いてスプレー成形されることにより得られた成形品であることを特徴とする熱硬化性ポリウレタン成形品。

【国際公開番号】WO2004/076072
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502878(P2005−502878)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002108
【国際出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【出願人】(501140544)三井武田ケミカル株式会社 (115)
【Fターム(参考)】