説明

スプレーヘッド、スプレー装置及び消火方法

フレーム部分と、消火用媒体の入口部と、少なくとも2つのノズルとを有するスプレーヘッド、特に、消火用のスプレーヘッド。少なくとも1つの第1のノズル9がスプレーヘッド部分2に配置され、この第1のノズル9への、スプレーヘッドの入口部からの媒体通路は常に開いており、且つ、少なくとも1つの第2のノズル4が、トリガ手段5を備えるスプリンクラー部分1に配置され、それによって、入口部から少なくとも1つの第2のノズル4への媒体通路はトリガ手段5が作動していないときには閉じており、少なくとも1つの第2のノズル4への媒体通路はトリガ手段5が作動すると開く。本発明はまた、方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のスプレーヘッドに関し、特に、フレーム部分と、消火用媒体の入口部と、少なくとも2つのノズルとを有する消火用のスプレーヘッドに関する。
【0002】
本発明はまた、請求項10のプリアンブルに記載の消火方法に関する。
【0003】
本発明はまた、請求項19に記載のスプレー装置に関する。
【背景技術】
【0004】
消火技法において、消火すべき火災を適時に感知することが有利である。この場合、火災を消火するのに必要とされる消火用媒体の量は、火災が大きくなる可能性がある状況と比べて少量である。さらに、最大量の消火用媒体を火災現場自体に又はそのごく近傍の場所に向けることができると有利である。
【0005】
スプリンクラーは、消火技法において消火システムと関連して既知であり、例えば熱の作用による作動(トリガ)後に、消火用媒体の通路がスプリンクラーノズルに向かって開くトリガ手段を備える。スプリンクラーが作動していない場合、トリガ要素はトリガされておらず、ノズルへの通路は閉じたままであり、スプリンクラーは消火用媒体を噴霧しない。他方で、トリガ手段を備えていない消火システムと関連する開放型スプレーヘッドも既知であるが、これらは、ノズルヘッドの入口部への消火用媒体の通路が開いた直後に消火用媒体を噴霧する。
【0006】
開放型ノズルシステム(いわゆる「一斉開放(Deluge)」システム)では、火災感知器から火災信号を受信すると、消火用媒体がスプレーヘッドの給送管に搬送される。かかるシステムのスプレーヘッドは、消火用媒体が媒体管に沿って搬送されて来るとすぐに消火用媒体を噴霧し始める開放型スプレーヘッドである。このシステムでは、開放型スプレーヘッドはシステムの全領域に消火用媒体を噴霧するか、又は複数の保護領域を有するシステムでは特定の領域に噴霧する。開放型ノズルシステムは、典型的には、相当な大きさの火災を隔離するか又は消火するような寸法になっており、それによって、噴霧される消火用媒体の量もかなり多くなる可能性があり、多くの場合、消火用媒体は、防護の観点から不適切な領域に搬送される。大量の消火用媒体を使用する従来の消火システムの場合、この不都合な点が強調されているが、かなり少量の水しか使用しない水ミストベースの消火システムの場合も同様に、電子デバイスがある場所又は衛生要求が高い場所では特に、消火用媒体の過度の噴霧が悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
非作動時に閉じているプリンクラーのみを使用する消火設備においては、消火用媒体は専ら、作動されているスプリンクラーによって噴霧される。この場合、消火出力を、火災現場に正確により良好に向けることができる。しかしながら、火災がかなり大きくなるまでスプリンクラーは作動されず、それによって、必要な水の局所的な量も多い。
【0008】
別個の開放型スプレーヘッド、及び作動されていないときに閉じている別個のスプリンクラーヘッドが、例えば消火用媒体管と関連して交互に、特定の領域に配置されている、いわゆる混合システムも既知である。この場合、開放型ノズルは、比較的小規模な火災の拡大を食い止めるために適当な量の水を生成するが、システムが作動する前に火災が拡がっている場合、又は火災が急速に伸展してる場合、スプリンクラーノズルは、火災現場における熱の作用からトリガし始める。かかる構成は、スプレーヘッドが互いに異なるため、設置の観点から不便である可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は全く新しい構成を得ることであり、この構成によって、使用される水量が最小量のままである初期段階で早くも消火を行なうことができる上、この構成は、必要であればより大規模な火災の拡大を食い止める能力も有する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、トリガ手段が設けられているスプリンクラーヘッド及び開放型スプレーヘッドが1つのスプレーヘッドに組み合わせられているという概念に基づく。本発明のこの概念によると、システムが作動された後に、初期段階では、システムの各スプレーヘッドの開放型スプレーノズルを通してごく少量の消火用媒体が迅速に広範囲に噴霧され、第2の段階では、スプリンクラーヘッドのトリガ手段が作動し、スプレーノズルへの通路が開いた後で、スプレーノズルのみを通してより多くの消火用媒体が噴霧される。
【0011】
本発明によるスプレーヘッドは、少なくとも1つの第1のノズルがスプレーヘッド部分に配置され、この第1のノズルへの、スプレーヘッドの入口部からの媒体通路は常に開いており、また少なくとも1つの第2のノズルが、トリガ手段を備えるスプリンクラー部分に配置され、それによって、入口部から少なくとも1つの第2のノズルへの媒体通路はトリガ手段が作動していないときに閉じており、そして、少なくとも1つの第2のノズルへの媒体通路はトリガ手段が作動すると開くことを主に特徴とする。
【0012】
本発明によるスプレーヘッドは、請求項2乃至9に記載されていることをさらに特徴とする。
【0013】
本発明による方法は、この方法において第1の段階では、作動領域における少なくとも1つのノズルヘッドの少なくとも1つの第1のノズルによって消火用媒体を噴霧すること、及び、第2の段階では、トリガ手段のトリガに起因して開く、ノズルヘッド固有に作動される少なくとも1つの第2のノズルによって付加的に消火用媒体を噴霧することを主に特徴とする。
【0014】
さらに、本発明による方法は、請求項11乃至18に記載されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によるスプレー装置は、請求項19及び20に記載されていることを主に特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明による構成は、多くの重要な利点を有する。この構成は、開放型スプレーヘッドとスプリンクラーとの利点を組み合わせることを可能にする。スプレーヘッドとスプリンクラーヘッドとを1つのユニットに組み合わせることによって、一方では、小型で容易に改変可能なスプレーヘッドが提供され、その特徴は、様々な用途の要件に合わせて容易に変更可能である。他方では、特徴が異なるスプリンクラー部分を使用し、且つ特徴が異なる開放型スプレーヘッド部分を使用することによって、スプレーヘッド及びスプリンクラーの様々な組み合わせのグループを得ることができる。同時に、システムを作動した後で、第1の段階では開放型ノズルから消火用媒体を噴霧し始め、第2の段階では、スプレーヘッドのスプリンクラー部分のトリガ手段の近傍における熱が所定値を上回ると、同様にスプリンクラー部分のノズルを用いて噴霧し始める、スプレーヘッドが提供される。このように、本発明によるスプレーヘッドによって、第1の段階において媒体を迅速に噴霧することができる。特に消火用媒体ミストを噴霧する場合にスプレーヘッド及び媒体給送の特定の特徴を用いて、初期火災を消火するのに十分である極めて良好な負荷を提供することが可能である。システムを作動するのが遅すぎた場合や、火災が急速に伸展した場合には、第2の段階においてスプリンクラーを作動した後に、より大量の噴霧される消火用媒体が火災場所に直接向けられるため、極めて良好な消火出力が得られる。本発明による構成は、第1の段階の噴霧が例えば外気の冷却及び/又は湿潤に使用され、第2の段階の噴霧のみが起こりえる火災の消火に使用される構成においても用いることができる。したがって、この構成は、湿潤装置と消火装置とを全く新しい方法で組み合わせる可能性を提供する。この構成はまた、例えば爆発が起こる可能性のある場所において、第1の段階の噴霧は場合によって、爆発を防止する防止措置として使用することができる等、他の用途を組み合わせることを可能にする。
【0017】
スプレーヘッドは、電子機器を含む場所、又は衛生要求が高い場所の火災の防護等において、大量の水の使用を回避したい構成に良好に適用可能である。
【0018】
スプレーヘッドの少なくとも1つのノズルの前方の防護位置に、スプレーヘッドが非作動位置にあるときにノズル及び可能性としてはまたトリガ要素も機械的に防護する防護手段をスプレーヘッドと関連して配置することによって、清潔に保つことが容易であるスプレーヘッドが得られる。このような防護要素が設けられているスプレーヘッドは、例えば周囲の状況によってスプレーヘッドを防護することが必要である場所において用いることができる。他方では、このスプレーヘッドは、衛生要求が高い場所に好適である。
【0019】
本明細書において、スプリンクラーは、トリガ手段が設けられており、それによって、非作動時には入口部とノズルの間の媒体通路が閉じており、作動時には入口部とノズルの間の媒体通路が開く、スプレーヘッド部分を意味する。
【0020】
次に、添付の図面を参照して本発明を例によって詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の有利な実施形態によるスプレーヘッドを示す図である。
【図2】本発明の有利な実施形態によるスプレーヘッドの主な部分を別々に示す図である。
【図3】本発明の有利な実施形態によるスプレーヘッドを部分的に切断した図である。
【図4】本発明の有利な実施形態によるスプレーヘッドを部分的に切断した別の図である。
【図5】防護要素が第2の位置にある、本発明の実施形態による別のスプレーヘッドを示す図である。
【図6】本発明を適用する消火システムの簡略化した概略図である。
【図6a】図6の細部Aを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の有利な実施形態による組み立てられたスプレーヘッドを示す。一方で図2は、本発明の有利な実施形態によるスプレーヘッドの互いに分離されている主要部分を示す。図の実施形態では、スプレーヘッドは、スプリンクラー部分1と、スプレーヘッド部分2と、スプレーヘッドホルダ14とを備える。
【0023】
スプリンクラー部分1は、スプリンクラーフレーム3と、ホルダ17によってスプリンクラーフレームと接続して配置されているトリガ手段5とを備える。いくつかのノズル4がスプリンクラーフレームに配置されている。トリガ手段5がその定位置にあるとき、スプリンクラーの入口部6からスプリンクラーの少なくとも1つのノズル4への媒体通路は閉じている。図の実施形態では、スプリンクラーは複数のノズル4を備える。スプリンクラー部分1の形式は、例えば国際公開第01/45799号明細書、特に図7乃至図9及びその説明に記載されているものと同様であり得るが、他の形式のスプリンクラー部分も本発明に適用することができる。
【0024】
スプレーヘッド部分2はスプレーヘッドフレーム8を備える。スプレーヘッドフレーム8は、入口部10と、入口部10から少なくとも1つのノズル9への液体通路11、12とを有する。ノズル9は、図による実施形態では、ねじ接続によって中ぐり内に配置されている別個のノズルである。スプレーヘッドフレーム8には、中ぐり即ち孔部11が存在しており、該中ぐり11においては、スプリンクラーフレーム3への締結箇所が存在している。この締結箇所は、スプレーヘッドフレーム8の反対端にある入口部10と関連する。中ぐり11内にはねじ山16が配設され、スプリンクラーフレーム3内には対応するねじ山7が配設されている。図による実施形態では、それぞれ、ねじ山16は雌ねじであり、スプリンクラーヘッドの対応するねじ山7は雄ねじである。
【0025】
本発明によるスプレーヘッドは、典型的には、以下のように機能する。スプレーヘッドは、ホルダ14によって消火用媒体ネットワークに接続されていて、消火用媒体ネットワークは、少なくともスプレーヘッドのところにおいて非作動モードである、いわゆるドライパイプ、有利にはいわゆる一斉開放システムである。次いで、システム内の火災感知器、熱感知器又は煙感知器等の感知器からの信号によって制御されるそれ自体既知の弁により、消火用媒体が導管に、したがって同様にスプレーヘッドの入口部15から媒体通路11、12を介してスプレーヘッドフレーム8のノズル9へ流れ込むのを可能にする。ノズル9は消火用媒体を噴霧し始める。
【0026】
スプリンクラーヘッド1のトリガ手段5が定位置にある場合、消火用媒体は、スプリンクラーヘッドのノズル4に到達することができない。スプリンクラーの近傍において、トリガ手段5に設定された温度に達して、アンプル又はトリガ手段5として機能する同等のものが破断されてから、スプリンクラーの入口部6からノズル4までの媒体通路が開く。次いで、ノズル9に加えてノズル4も用いて、組み合わされたスプレーヘッドが噴霧を行なう。この場合、スプレーヘッドを用いて最大消火出力を得ることが可能であるが、但し出力は、特にスプレーヘッドの入口部15内の消火用媒体の圧力によって変わる。
【0027】
図4及び図5は、非作動モードにおいてスプレーヘッドに防護要素20が設けられている、本発明によるスプレーヘッドの別の有利な実施形態を示す。防護要素20は、ノズル4、9の前方の防護位置にあり、スプリンクラーが非作動モードであるときにトリガ要素5を機械的に防護し、且つ、ノズル4、9及びトリガ手段5が防護されない第2の位置へ移動可能である。図による実施形態では、力の作用が圧力媒体によって防護要素20に向けられ、この力の作用によって、防護要素20が第1の位置から第2の位置へ移動する。力の作用は、ノズル9から噴霧される圧力媒体を用いて提供され、この圧力媒体は一実施形態では消火用媒体であるのが有利である。
【0028】
したがって、スプレーヘッドは、トリガ手段5及びノズル4、9を防護するカップ形状の防護要素20を備える。防護要素20は、図4による構成では、シール要素22、最も好適には環状シールによって防護位置に締結される。防護部分20には、環状シール22用の溝21が形成される。防護部分の溝21及び環状シール22は、防護部分を防護位置においてその定位置に保つ係止を形成する。リングシール22によって、防護要素が防護位置においてその定位置を良好に保つため、スプリンクラーの重要な部分は、スプリンクラーの周囲の影響から良好に防護される。防護が意図されるそのような部分は、とりわけ、トリガ手段5であり典型的にはアンプルであり、また、ノズル4、9である。スプレーヘッドは、特に防護要素20が無い場合にスプリンクラーの故障を引き起こしてしまうようなスプリンクラーの機能を妨げる可能性がある不純物及び汚れに曝される非常に様々な環境に配置することができる。他方で、防護要素が設けられているスプレーヘッドは、衛生要求が高い場所に設置することができる。
【0029】
さらに、防護要素20は、例えばスプリンクラーに向けられる短時間の高温ガス流の結果としてのトリガ手段5の望ましくないトリガを防ぐ。
【0030】
図6は、本発明を適用する簡略化された消火システムを示す。図6aは図6の細部を示す。消火用媒体源30が、囲み線の図(box chart)として示され、この場合、保護される対象となる場所35に配置されるスプレーヘッド32につながる導管31へ消火用媒体を搬送するための、圧力手段、ポンプ装置又はそれらの組み合わせ等、必要となる圧力機構も備えるものと考えられる。図による実施形態において、対象となる場所には、煙、熱又は他の目に見える指標となる現象に反応する感知器等の感知装置33が配置される。感知器33は弁要素34に直接又は制御システム36を介して接続され、弁要素34は、感知器33からの信号に基づいて、消火用媒体のスプレーヘッド32への通路を開く。この第1の段階で、スプレーヘッド32の常に開いているスプレーヘッド部分2の第1のノズルのみが消火用媒体を噴霧し始める。スプレーヘッドの特有のトリガ手段5がトリガされ、媒体通路を閉じる弁要素又は同等のものが、他のノズルのために媒体通路が開放される位置へ移動するまで、各スプレーヘッド32の、第1の段階では閉じているスプリンクラーヘッド1の第2のノズルの通路は開かれない。
【0031】
したがって、本発明はまた、スプレー装置、特に、媒体源30と、噴霧する媒体を媒体源から少なくとも1つのスプレーヘッドへ搬送する手段31と、感知装置33とを備える消火装置であって、感知装置33の信号に基づいて、媒体源からスプレーヘッドへの媒体の搬送を調整する弁要素34が制御される、消火装置に関する。スプレーヘッド32は上記においてかなり詳細に述べられており、当該装置は、複数のスプレーヘッド32を備えるのが有利である。
【0032】
各スプレーヘッドの第1の段階においては、開放されているノズルを通る流れは、第2のノズルも消火用媒体を噴霧し始める第2の段階における流れと比べて著しく少ない。スプレーヘッドの流量は、式Q=k√pを用いて計算することができ、式中、Qは流量、pはノズルを通して媒体を圧送する圧力、kはノズルによって生じる抵抗である。第1の段階におけるノズルのk値の和は、全てのノズルヘッドのk値の和の例えば50%未満、有利には35%未満、最も有利には10%未満である。第1の段階において、ノズルヘッドの地点での給送管内の圧力は高く、例えば100bar乃至200bar、有利には120bar乃至160barである。この場合、第1の段階で提供される噴霧される媒体ミストは極めて細かい。これによって、さらに小規模な火災を覆うようにして消火することが可能となると考えられている。
【0033】
第1の段階において噴霧される細かいミストは、例えば純粋に冷却のために又は純粋に湿潤のため等の消火以外の他の用途に使用することができる。この場合、対象となる場所35にある感知器33は、例えば温度、外気の湿度又は他の好適な指標となる現象に反応することができる。したがって、冷却システムと消火システムとを組み合わせたシステムとしても使用することができる。この場合、第1の段階は主に冷却目的及び/又は湿潤目的で機能し、第2の段階は主に消火目的でスプレーヘッド固有に機能する。
【0034】
本発明の一実施の形態によると、スプレーヘッドは、スプリンクラーヘッド1とスプレーヘッド2とが組み合わされている。本発明の有利な実施形態によると、スプリンクラーヘッド1及びスプレーヘッド2は結合することができるモジュールとされており、故に、スプリンクラーヘッド1及びスプレーヘッド2は、本発明による組み合わせられたスプレーヘッドを形成する。スプレーヘッドフレーム8及びスプリンクラーフレーム3が1つの部材から成ることも考えられ得る。
【0035】
本発明の一実施形態によると、本発明は、スプレーヘッド、特に、フレーム部分と、消火用媒体の入口部と、少なくとも2つのノズルとを有する消火用のスプレーヘッドに関する。少なくとも1つの第1のノズル9がスプレーヘッド部分2に配置され、この第1のノズル9への、スプレーヘッドの入口部からの媒体通路は常に開いており、また、少なくとも1つの第2のノズル4が、トリガ手段5を備えるスプリンクラー部分1に配置され、それによって、入口部から少なくとも1つの第2のノズル4への媒体通路はトリガ手段5が作動していないときには閉じており、少なくとも1つの第2のノズル4への媒体通路はトリガ手段5が作動すると開く。アンプル又は同等のもの等のトリガ手段5は、一実施形態に従ってその定位置において一体の部品(one piece)であるときは作動しない。
【0036】
図の実施形態では、スプレーヘッド部分2及びスプリンクラー部分1は別々の部材から成る。しかしながら、代替的には、スプレーヘッド部分2及びスプリンクラー部分1は一体の部品から成ると考えることができる。
【0037】
別の実施形態によると、スプレーヘッドは防護要素20を備え、該防護要素20は、ノズル4、9の前方の防護位置にあり、スプレーヘッドが非作動モードであるときにトリガ手段5を機械的に防護し、且つ、少なくとも1つのノズル4、9及びトリガ手段5が防護されない第2の位置へ移動可能である。
【0038】
図の実施形態では、スプリンクラー部分1はスプレーヘッド部分2に取り外し可能に締結される。この場合、必要であればスプリンクラー部分のみを交換することが可能である。スプレーヘッド部分2及びスプリンクラー部分1はスプレーヘッドの組み合わせ体を形成する。したがって、異なる特徴をそれぞれが有するスプレーヘッド2及びスプリンクラーヘッド1を含む組み合わせを使用することが可能である。
【0039】
スプレーヘッド部分2は、第1のノズル9が配置される円錐状表面を有するスプレーヘッドフレーム8を備える。
【0040】
スプレーヘッドの開放しているスプレーヘッド部分2は、作動すると、消火用水性媒体、又は消火用水性媒体及びガスの混合物を噴霧するように構成される。スプレーヘッドのスプリンクラー部分1は、作動すると、消火用水性媒体ミスト、又は消火用水性媒体ミスト及びガスの混合物を噴霧するように構成される。
【0041】
本発明による消火方法において、感知器33からの信号に基づいて、消火用媒体源30から、保護される場所35に設置されている少なくとも1つのスプレーヘッド32への消火用媒体の通路が開き、消火用媒体を、消火用媒体源から管路31に沿って保護される場所に設置されている少なくとも1つのスプレーヘッドへ搬送する。図6及び図6aの図は、本発明による方法を適用する簡略化されたシステムを示す。有利な実施形態によると、通路は弁要素34を用いて開く。当該方法の第1の段階においては、作動する場所35の少なくとも1つのノズルヘッド32の少なくとも1つの第1のノズル9(図2)によって消火用媒体を噴霧し、第2の段階においては、トリガ手段5のトリガに起因して開く、ノズルヘッド固有に作動される少なくとも1つの第2のノズル4によって消火用媒体を付加的に噴霧する。
【0042】
第1の段階において、ノズルヘッドの少なくとも1つのノズル9を通って流れる消火用媒体の量は、典型的には、第2の段階においてノズルヘッドのノズル4、9を通って流れる消火用媒体の量と比べて少ない。
【0043】
本発明の実施形態では、第1の段階では媒体ミストが噴霧される。典型的には、第2の段階においても媒体ミストが噴霧される。
【0044】
第1の段階において噴霧される媒体ミストは、対象となる場所を冷却及び/又は湿潤するのに使用することができる。
【0045】
典型的には、第1の段階において噴霧される媒体ミストは対象となる場所を火災から保護するのに使用される。この場合、媒体ミストは例えば小規模な火災を覆うようにして消火するのに使用することができる。
【0046】
第2の段階において噴霧される媒体ミストは消火用に使用される。スプレーヘッドが作動する場合、噴霧される消火用媒体の流量は第1の段階の流量と比べてかなり多いため、火災場所の近傍において、極めて効率的な消火作用が得られる。
【0047】
本発明の実施形態(図4及び図5)によると、スプレーヘッドは防護要素20を備え、該防護要素20は、ノズル4、9の前方の防護位置にあり、スプレーヘッドが非作動モードであるときにトリガ手段5を機械的に防護し、且つ、少なくとも1つのノズル4、9及びトリガ手段5が防護されない第2の位置へ移動する。
【0048】
防護要素20は、第1の段階において少なくとも1つの第1のノズル9によって消火用媒体を噴霧することによって第2の位置へ移動する。
【0049】
水性液体、及び/又は水性液体及びガスの混合物が媒体として典型的に使用される。スプレーヘッドを用いて、消火用媒体ミスト、特に水ミストが噴霧される。典型的には、消火用媒体ミストの粒径(Dv90)は200マイクロメートルよりも小さい。消火用媒体は、高圧、有利には10bar乃至300barで噴霧される。
【0050】
本発明は上述の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更可能であることが当業者には明らかである。必要に応じて、本明細書に記載されうる特徴は他の特徴と共に、互いに別個に用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム部分と、消火用媒体の入口部と、少なくとも2つのノズルとを有する消火用のスプレーヘッドであって、少なくとも1つの第1のノズル(9)がスプレーヘッド部分(2)に配置され、該第1のノズル(9)への、前記スプレーヘッドの前記入口部からの媒体通路は常に開いており、少なくとも1つの第2のノズル(4)がトリガ手段(5)を備えるスプリンクラー部分(1)に配置され、前記入口部から前記少なくとも1つの第2のノズル(4)への媒体通路は、前記トリガ手段(5)が作動していないときは閉じており、前記少なくとも1つの第2のノズル(4)への前記媒体通路は、前記トリガ手段(5)が作動すると開くことを特徴とする、スプレーヘッド。
【請求項2】
前記スプレーヘッド部分(2)及び前記スプリンクラー部分(1)は別々の部材から成ることを特徴とする、請求項1に記載のスプレーヘッド。
【請求項3】
前記スプレーヘッド部分(2)及び前記スプリンクラー部分(1)は一体の部材から成ることを特徴とする、請求項1に記載のスプレーヘッド。
【請求項4】
前記ノズル(4、9)の前方の防護位置にあり、前記スプレーヘッドが非作動モードであるときに前記トリガ手段(5)を機械的に防護し、且つ、少なくとも1つのノズル(4、9)及び前記トリガ手段(5)が防護されない第2の位置へ移動可能である防護要素(20)を備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項5】
前記スプリンクラー部分(1)は、前記スプレーヘッド部分(2)に取り外し可能に締結されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスプレーヘッド。
【請求項6】
前記スプレーヘッド部分(2)及び前記スプリンクラー部分(1)はスプレーヘッドの組み合わせ体を形成することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項7】
前記スプレーヘッド部分(2)は、前記第1のノズル(9)が配置される円錐状表面を有するスプレーヘッドフレーム(8)を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項8】
前記開放しているスプレーヘッド部分(2)は、作動すると、消火用水性媒体、又は消火用水性媒体及びガスの混合物を噴霧するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項9】
前記スプレーヘッドの前記スプリンクラー部分(1)は、作動すると、消火用水性媒体ミスト、又は消火用水性媒体ミスト及びガスの混合物を噴霧するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。
【請求項10】
感知器(33)からの信号に基づいて、消火用媒体源(30)から、保護される場所(35)に設置されている少なくとも1つのスプレーヘッド(32)への消火用媒体の通路が開き、前記消火用媒体源から管路(31)に沿って前記保護される場所に設置されている少なくとも1つのスプレーヘッドへ消火用媒体を搬送する、消火方法であって、該方法において、第1の段階では、作動される場所における少なくとも1つのノズルヘッドの少なくとも1つの第1のノズル(9)によって消火用媒体を噴霧し、第2の段階では、トリガ手段(5)のトリガに起因してノズルヘッド固有に作動される少なくとも1つの第2のノズル(4)によって付加的に噴霧することを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記第1の段階において、前記ノズルヘッドの前記少なくとも1つのノズル(9)を通って流れる消火用媒体の量は、典型的には、前記第2の段階において前記ノズルヘッドの前記ノズル(4、9)を通って流れる消火用媒体の量と比べて少ないことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の段階において媒体ミストが噴霧されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の段階において媒体ミストが噴霧されることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の段階において噴霧される前記媒体ミストは、対象となる場所を冷却及び/又は湿潤するのに使用されることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の段階において噴霧される前記媒体ミストは対象となる場所を火災から保護するのに使用されることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の段階において噴霧される前記媒体ミストは消火用に使用されることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記スプレーヘッドが防護要素(20)を備え、該防護要素は、前記ノズル(4、9)の前方の防護位置にあり、前記スプレーヘッドが非作動モードであるときに前記トリガ手段(5)を機械的に防護し、且つ、該防護要素は、前記少なくとも1つのノズル(4、9)及び前記トリガ手段(5)が防護されない第2の位置へ移動することを特徴とする、請求項10乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記防護要素(20)は、前記第1の段階において前記少なくとも1つの第1のノズル(9)によって消火用媒体を噴霧することによって前記第2の位置へ移動することを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
媒体源(30)と、噴霧する媒体を該媒体源から少なくとも1つのスプレーヘッドへ搬送する手段(31)と、感知装置(33)とを備えるスプレー装置、特に、消火装置であって、該感知装置(33)の信号に基づいて、前記媒体源から前記スプレーヘッドへの媒体の搬送を調節する弁要素(34)が制御され、前記スプレーヘッド(32)は請求項1に記載のスプレーヘッドであることを特徴とする、スプレー装置。
【請求項20】
複数のスプレーヘッド(32)を備えることを特徴とする、請求項19に記載のスプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6a】
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【公表番号】特表2010−504184(P2010−504184A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529727(P2009−529727)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050509
【国際公開番号】WO2008/037846
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(504255995)マリオフ コーポレーション オーワイ (14)
【Fターム(参考)】