説明

スペアタイヤ設置構造

【課題】重量の増大を抑制して、簡便な構造で、所望の潰れ代を確保出来るスペアタイヤ設置構造を提供する。
【解決手段】スペアタイヤホイール11のうち、内,外側リムリング部17a,18a間のリム幅寸法w1は、横臥状態のタイヤ本体12の高さ方向の略全高の寸法h1と、略等しい。
この内,外リムリング部17a,18aは、接合部19を介して、一体に連設された裏側ドラム部17と、この裏側ドラム部17に各々設けられている。
この接合部19は、リヤクロスメンバ6の上面部6aの車両上下方向位置に対向するように配置されていると共に、後側面部6aからスペアタイヤ設置部9内に向けて、ホイール破断促進部材20が、鋭角の先端20aを裏側ドラム部17に向けて突設されている。
そして、リヤクロスメンバ部材6により、スペアタイヤホイール11が、接合部19から破断される際、ホイール破断促進部材20により、裏側ドラム部17の圧壊が容易に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突後の衝撃吸収特性に優れ、簡便で、車体の軽量化を図ることが出来るスペアタイヤ設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スペアタイヤには、構造上、走行用車輪として路面から、タイヤ径方向内,外に向けて加わる力や、使用環境を考慮した一定以上の強度が、設定されている。
【0003】
一般的なスペアタイヤは、金属製のスペアタイヤホイールに、ゴム製のスペアタイヤ本体を予め外嵌させて装着されている。
【0004】
このうち、前記スペアタイヤホイールは、前記スペアタイヤ本体が装着される略円筒状のドラム部と、車両への使用装着状態で、このドラム部のうち、車両外側方に位置する略円盤状のスポーク面とが一体となるように構成されている。
【0005】
このようなスペアタイヤを、車両の後部に設けられるトランクルーム等に設置する場合、車両後部の床パネル面部近傍に設けられたスペアタイヤ設置部内に、このスペアタイヤホイールのスポーク面が、略水平となるように横臥された状態で、格納される。
【0006】
しかしながら、車両後部の床パネル面部近傍に、前記スポーク面が、略水平状態となるように横臥されて設置されると、前記スペアタイヤの比較的高い剛性を有するタイヤ径方向が、車両前後方向の潰れ代となる方向と一致してしまう。
【0007】
このため、スペアタイヤが、破断や圧壊しにくく、所望の潰れ代を車体の後部構造に与えることが困難で、後突時の衝撃吸収特性を悪化させてしまう虞があった。
【0008】
そこで、例えば、後突時の車体後部の変形の進行に伴い、スペアタイヤを前傾、後傾方向に回転させる構造(例えば、特許文献1等参照)や、あるいは車両部品に挟まないように、車両下方へ向けて、落下させる事で潰れ代を確保する構造(例えば、特許文献2等参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−137329号公報
【特許文献2】特開2006−290272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のスペアタイヤを前傾、後傾方向に回転させる構造や、あるいは車両部品に挟まないように、車両下方へ向けて落下させる事で、潰れ代を確保する構造では、車体構造が複雑なものとなり、重量及び製造コストが増大してしまう虞があった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、車体側の重量及びコストの増大を抑制して、簡便な構造で、所望の潰れ代を確保出来るスペアタイヤ設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、スペアタイヤ本体が外嵌されて保持されるドラム部と、該ドラム部に内接して、車両の車軸に装着される車両への適用状態では、車軸延設方向の内外何れか一方側に位置するスポーク面とを有するスペアタイヤホイールが、車両の後部に設定されたスペアタイヤ設置部に設置されるスペアタイヤ設置構造である。
【0013】
そして、前記ドラム部には、前記スペアタイヤホイールの車軸延設方向で、剛性が異なる剛性変化部を設定して、前記スペアタイヤ前方には、該剛性変化部を境として、前記車軸延設方向のうち、前記スポーク面が配置される側と反対側に対向配置される第1の剛体部品を設置し、前記スペアタイヤ後方には、前記スペアタイヤホイールのドラム部のリム幅より大きく且つ、該ドラム部の車軸延設方向でリム端を越える寸法に亘り、対向配置される第2の剛体部品を設置したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、後突により、前記スペアタイヤが車両前方に向けて、該第2の剛体部品によって押し出される際に、該ドラム部のリム幅より大きく且つ、前記ドラム部の軸方向でリム端を越える寸法で、略全幅に亘り、この第2の剛体部品が、前記スペアタイヤを押圧する。
このため、該スペアタイヤの回転が抑制されつつ確実に前方へ移動され、スポーク面が配置される側と反対側に対向配置された第1の剛体部品との間で挟圧され、該剛性変化部を境として、車両前後方向に向けて前記ドラム部の両側に、剪断力が与えられる。
【0015】
従って、前記ドラム部では、前記剛性変化部からスペアタイヤホイールの破断が進行し、車体潰れの阻害を抑制するため、所望の潰れ代が、車体構造として確保される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のスペアタイヤ設置構造で、全体の構成を説明する車両後方から見た斜視図及び要部の拡大一部断面斜視図である。
【図2】実施の形態のスペアタイヤ設置構造で、車両後部のスペアタイヤ設置部周辺の模式的な平面図である。
【図3】実施の形態のスペアタイヤ設置構造で、車両後部のスペアタイヤ設置構造を説明する模式的な側面図である。
【図4】実施の形態のスペアタイヤ設置構造で、後突前の車両後部の構造を説明する模式的な側面図である。
【図5】実施の形態のスペアタイヤ設置構造で、後突後の車両後部の構造を説明する模式的な側面図である。
【図6】実施の形態の実施例1のスペアタイヤ設置構造で、(a)は、要部の模式的な斜視図、(b)は、(a)中、A−A線に沿った位置での断面図である。
【図7】実施の形態の実施例2のスペアタイヤ設置構造で、(a)は、要部の模式的な斜視図、(b)は、(a)中、B−B線に沿った位置での断面図である。
【図8】実施の形態の実施例3のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明する要部の模式的な側面図である。
【図9】実施の形態のスペアタイヤ設置構造で、衝突後のスペアタイヤの様子の一例を示す模式的な拡大側面図である。
【図10】実施の形態の実施例4のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明する要部の一部断面拡大斜視図である。
【図11】実施の形態の実施例4のスペアタイヤ設置構造で、要部の拡大断面図である。
【図12】実施の形態の実施例4のスペアタイヤ設置構造で、衝突後のスペアタイヤの様子の一例を示す模式的な拡大断面図である。
【図13】実施の形態の変形例である実施例5のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明し、図10中C−C線に沿った位置に相当する位置での要部の模式的な断面図である。
【図14】実施の形態の実施例6のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明する要部の一部断面拡大斜視図である。
【図15】実施の形態の実施例6のスペアタイヤ設置構造で、衝突後のスペアタイヤの様子の一例を示し、図14中D−D線に沿った位置での模式的な拡大断面図である。
【図16】実施の形態の実施例7のスペアタイヤ設置構造で、衝突前の車両後部の構造を説明する模式的な側面図である。
【図17】実施の形態の実施例7のスペアタイヤ設置構造で、衝突後の車両後部の構造を説明する模式的な側面図である。
【図18】実施の形態の実施例8のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明する模式的な一部断面側面図である。
【図19】実施の形態の実施例9のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明する模式的な一部断面側面図である。
【図20】実施の形態の実施例9のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構成を説明する模式的な一部断面斜視図である。
【図21】実施の形態の実施例10のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構造を説明する模式的な一部断面側面図である。
【図22】実施の形態の実施例10のスペアタイヤ設置構造で、車両後部の構成を説明する模式的な一部断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態のスペアタイヤ設置構造を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1乃至図5は、この発明の実施の形態のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0019】
まず、全体の構成から説明すると、この実施の形態のスペアタイヤ設置構造では、車両1の車体後部2には、トランクルーム3が設けられている。
【0020】
このトランクルーム3の床部4には、車幅方向左,右両側に、一対設けられたリヤサイドメンバ部材5,5間に、第1の剛体部品としてのリヤクロスメンバ6が、掛け渡されていると共に、後端部に長手方向を沿わせて、第2の剛体部品としてのリヤバンパレインフォース7が延設されている。
【0021】
そして、このリヤバンパレインフォース7と、前記リヤクロスメンバ6との間に敷設されるリヤフロアパネル部材8には、スペアタイヤ10を、横臥状態で設置するスペアタイヤ設置部9が、設けられている。
【0022】
この実施の形態のスペアタイヤ10は、主に、金属製のスペアタイヤホイール11と、ゴム製のスペアタイヤ本体12とを有して、主に構成されている。
【0023】
このうち、前記スペアタイヤホイール11は、前記スペアタイヤ本体12が外嵌されて保持される幅広円環状のドラム部16に内接して、車両1に装着された使用状態では車軸として、回転中心となる回転中心軸14延設方向の外側に位置するスポーク面15とを有して主に構成されている。
【0024】
そして、このスペアタイヤホイール11が、前記車体後部2に設定されたスペアタイヤ設置部9内に、横臥状態で設置される際、図示省略のボルト部材及びナット部材等が用いられて、前記リヤフロアパネル部材8に固定されるように構成されている。
【0025】
また、前記ドラム部16は、前記スペアタイヤ本体12の内側に位置して、このスペアタイヤ本体12が外嵌されて、設置されている。
【0026】
このドラム部16は、前記スポーク面15と反対側側面に向けて延設された環状の裏側ドラム部17と、この裏側ドラム部17と、接合部19を介して、一体に連設されて、回転中心軸14方向の外側に向けて、前記スポーク面15の周囲に位置するように延設されてなる表側ドラム部18とから主に構成されている。
【0027】
また、前記表側ドラム部18の最外側端縁には、環状を呈して、外嵌された前記スペアタイヤ本体12の脱落を防止する外側リムリング部18aが、一体に形成されている。
【0028】
更に、前記裏側ドラム部17の最内側端縁には、環状を呈して、外嵌された前記スペアタイヤ本体12の脱落を防止する内側リムリング部17aが、一体に形成されている。
そして、図1に示すように、これらの内,外側リムリング部17a,18a間のリム幅寸法w1は、横臥状態のタイヤ本体12の外周面のうち、車両後側12aの高さ方向の略全高の寸法h1と、略等しいか或いは、少し小さく設定されている。
また、このスペアタイヤ10の後方に、対向配置される前記リヤバンパレインフォース7は、その前側面部7aの車両1の高さ方向の寸法hbが、前記スペアタイヤホイール11のドラム部16のリム幅寸法w1より大きく且つ、リム端である前記内側リムリング部17a又は、外側リムリング部18aを、このドラム部16の車軸方向である回転中心軸14方向で、越える寸法に亘るように形成されている。
【0029】
そして、この実施の形態では、前記ドラム部16のうち、前記裏側ドラム部17と、表側ドラム部18とが、連設される前記接合部19が、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部として設定されている。
【0030】
この接合部19は、前記回転中心軸14に沿う方向では、剛性が異なるように、肉厚及び屈曲角度が、他のドラム部16と異なる形状に設定されている。
【0031】
更に、この実施の形態の前記スペアタイヤホイール11の接合部19近傍の前記ドラム部16には、図3に示すように、前記スポーク面15の外周縁15aが、内接されて、全周に渡り、一体に固定されるスポーク面固着部16aが、設定されている。
【0032】
また、前記車両1側には、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6aから、前記スペアタイヤ設置部9内に向けて、突設されて、第1の剛体部品の一部として、ホイール破断促進部材20が、設けられている。
【0033】
このホイール破断促進部材20は、前記接合部19を境として、前記裏側ドラム部17側に、対向配置されている。
【0034】
しかも、この実施の形態のホイール破断促進部材20は、先端20aを鋭角とする鋭角二等辺三角形形状を呈する平面視を有して、前記スペアタイヤ10の外周面の車両前側に、この先端20aを当接させている。
このため、後突状態では、前記スペアタイヤ10に外嵌装着されている前記スペアタイヤ本体12の前記裏側ドラム部17側外周面前側から、楔状にこの先端20aが切入されて、環状の裏側ドラム部17に対して、容易に当接するように構成されている。
【0035】
また、図4に示すように、この実施の形態のリヤバンパレインフォース7の前側面部7aは、前記スペアタイヤ本体12の外周面のうち、車両後側12aの高さ方向の略全高に亘る寸法h1では、略全域に、後突状態で当接することにより、図5に示すように、このスペアタイヤ10を、車両前方に押し出すように構成されている。
【0036】
次に、この実施の形態のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0037】
この実施の形態の車両1では、図1乃至図3に示すように、トランクルーム3のスペアタイヤ設置部9内に、前記スペアタイヤ10が、設置されている。
図4に示すように、車両1の後方から近接した別の車両21が、図5に示すように、この車両1に後突すると、リヤバンパ及び、このスペアタイヤ10のスペアタイヤホイール11のドラム部16の内,外側リムリング部17a,18a間の全リム幅寸法w1に亘り、対向配置されるリヤバンパレインフォース7が、車体後部2の変形に伴って、変形する。
そして、このリヤバンパレインフォース7の前側面部7aが、前記スペアタイヤ本体12の外周面のうち、車両後側12aの高さ方向では、前記リム幅寸法w1と略等しい高さ方向寸法h1の領域内で、略全域に当接する。
【0038】
このため、図5に示すように、この後突状態では、前記スペアタイヤ10は、車両上下方向では、略均等に、車両前方へ向けて押圧されて、スペアタイヤ10の回転が抑制されつつ、確実に車両前方に移動されて、前記スポーク面15が配置される側と反対側に対向配置された前記リヤクロスメンバ6の方向に、押し出される。
【0039】
そして、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6aに設けられてなるホイール破断促進部材20の鋭角状の先端20aに、このスペアタイヤ10のスペアタイヤ本体12のうち、外周面の前端が、当接する状態まで移動すると、前記リヤバンパレインフォース7の前側面部7aと、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6aとの間に、このスペアタイヤ10が挟まれて、車両前後方向で挟圧される。
【0040】
この後突状態では、前記スペアタイヤ10のうち、まず、このスペアタイヤ10に外嵌装着されている前記スペアタイヤ本体12の外周面前端から、前記裏側ドラム部17側の外周面前端12bに向けて、前記ホイール破断促進部材20の先端20aが、楔状に切入されて、環状の裏側ドラム部17の内側リムリング部17aまで到達する。
【0041】
そして、前記ドラム部16のうち、前記裏側ドラム部17の最内側端縁に一体形成された環状の内側リムリング部17aから、この先端20aが切入されて、車幅方向左,右に、前記裏側ドラム部17を破断させる。
【0042】
また、このドラム部16のうち、前記ホイール破断促進部材20に対向して位置する裏側ドラム部17には、前記接合部19を境として、後突により車両前方へ進行する表側ドラム部18側との間に、車両前後方向に向けて、作用する剪断力が与えられる。
更に、この実施の形態の接合部19は、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6aと上面部6bとの上端縁角部の高さ方向位置h3と略一致するように構成されている。
【0043】
このため、前記ドラム部16では、剛性変化が顕著なこの接合部19から、スペアタイヤホイール11の破断が、更に容易に進行する。
このスペアタイヤ10のうち、図5中二点鎖線で示す様に、前記剛性の比較的高いスポーク面15と共に、上側に位置する前記表側ドラム部18が、斜め上方へ離反しながら、車両前方へ妨げられること無く移動する。
このため、潰れ代が確保されて、車体潰れの阻害が抑制される為、所望の潰れ代を、車体構造として確保して、衝撃吸収特性を良好なものとすることが出来る。
【0044】
また、前記裏側ドラム部17は、前記先端20aを鋭角とする鋭角二等辺三角形形状を呈する平面視を有してなるホイール破断促進部材20によって、車幅方向左,右に、破断されて、個別に屈曲若しくは圧縮変形可能な状態となる。
【0045】
左,右個別に切断された各裏側ドラム部17,17は、円環状のスペアタイヤホイール11に比して、極端に剛性が低下する。
【0046】
このため、車両1の車体後部2では、後突時に、変形の促進を妨げるような干渉物が無くなり、車体潰れの阻害が抑制されるため、所望の潰れ代を、容易に確保して、衝撃吸収特性を良好なものとすることが出来る。
【0047】
しかも、従来から存在するリヤクロスメンバ6の後側面部6aから突設されるように、前記ホイール破断促進部材20を、裏側ドラム部17側の一方側に対向させて、固着するだけで良く、部品点数の増大を最小限に留めることが出来る。
このため、このホイール破断促進部材20の配置及び装着も容易で、簡便で軽量な構造で、後突時の衝撃吸収特性を、更に向上させることができる。
【0048】
また、この実施の形態のスペアタイヤ設置構造では、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部である接合部19は、前記ドラム部16へ、前記スポーク面15の外周縁15aが、取り付けられるスポーク面固着部16aの近傍に設定されている。
【0049】
このため、前記スポーク面15の剛性は、前記ドラム部16に比して高い為、外周縁15aが取り付けられるスポーク面固着部16aの近傍における剛性変化が、より顕著なものとなる。
【0050】
しかも、この実施の形態のスペアタイヤ設置構造では、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部は、前記ドラム部16のうち、前記裏側ドラム部17と、表側ドラム部18との接合部19に設定されている。
【0051】
このため、容易に、剛性変化部の位置を、車両上下方向で変更可能に設定できる。
【0052】
更に、この実施の形態のスペアタイヤ設置構造では、前記裏側ドラム部17と表側ドラム部18との接合部19に、前記ドラム部16へ、前記スポーク面15の外周縁15aが、固着されて取り付けられるスポーク面固着部16aが設定されている。
【0053】
従って、更に、前記スペアタイヤホイール11の接合部19における剛性変化を、顕著なものとすることができる。
【実施例1】
【0054】
図6は、この発明の実施の形態の変形例である実施例1のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0055】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0056】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例1のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態のホイール破断促進部材20に代えて、第1の剛体部品としてのリヤクロスメンバ6の後側面部6aに、第1の剛体部品の一部としての楔形ホイール破断促進部材22が、固着されて、先端22aを、前記スペアタイヤ設置部9内方向である車両後方方向へ向けて、突設されている。
【0057】
この実施例1の前記楔形ホイール破断促進部材22は、側面視略直角三角形形状を呈していて、前記先端22aの車両上下方向の高さ位置が、前記スペアタイヤ10のスペアタイヤホイール11のうち、前記接合部19に近接するように、前記ドラム部16の裏側ドラム部17に対向する位置に設けられている。
【0058】
次に、この実施例1のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0059】
この実施例1では、前記実施の形態のスペアタイヤ設置構造の作用効果に加えて、更に、前記楔形ホイール破断促進部材22は、側面視略直角三角形形状を呈していて、前記先端22aの車両上下方向の高さ位置h2が、前記スペアタイヤ10のスペアタイヤホイール11のうち、前記接合部19に近接するように構成されている。
【0060】
このため、後突により、前記スペアタイヤ10が、車両前方方向へ向けて移動すると、前記楔形ホイール破断促進部材22の先端22aが、このスペアタイヤ10のスペアタイヤ本体12の外周面前端12bに当接して、曲部荷重を発生させながら、切入される。
【0061】
そして、前記接合部19近傍に、略水平方向に、切り込み形状の長手方向を有して、切入されて、更に、前記裏側ドラム部17と、表側ドラム部18との間の破断を容易に行わせることが出来る。
【0062】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例2】
【0063】
図7は、この発明の実施の形態の変形例である実施例2のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0064】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0065】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例2のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態のホイール破断促進部材20に代えて、第1の剛体部品としてのリヤクロスメンバ6の後側面部6aに、第1の剛体部品の一部としての方形ホイール破断促進部材23が、固着されている。
【0066】
この方形ホイール破断促進部材23は、後端縁に位置する略長方形形状の接触端面部23aが、前記スペアタイヤ設置部9内方向である車両後方方向へ向けて、突設されていて、前記スペアタイヤホイール11の裏側ドラム部17に対向する位置に設けられている。
【0067】
次に、この実施例2のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0068】
この実施例2では、前記実施の形態のスペアタイヤ設置構造の作用効果に加えて、更に、前記方形ホイール破断促進部材23は、略長方形形状の接触端面部23aが、前記スペアタイヤ10に面接触して、広い面積で、スペアタイヤホイール11の裏側ドラム部17に位置する前記スペアタイヤ本体12の外周面前端12bに当接する。
【0069】
このため、後突時に、スペアタイヤ10が、所望の移動方向から逃げてしまう虞を減少させることができる。
【0070】
従って、安定させて、前記スペアタイヤ10を破断させることができる。
【0071】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0072】
図8及び図9は、この発明の実施の形態の変形例である実施例3のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0073】
なお、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0074】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例3のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態のホイール破断促進部材20に代えて、車体後部2を構成するリヤクロスメンバ6を第1の剛体部品として、兼用させたものである。
【0075】
すなわち、この実施例3では、前記スペアタイヤ10の外周面前端12bのうち、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部としての接合部19を境として、裏側ドラム部17側に、リヤクロスメンバ6が、対向配置されている。
【0076】
この実施例3では、前記リヤクロスメンバ6は、図9中二点鎖線で示すように、断面形状の長手方向を、車両上下方向に沿わせて設けられていて、車両上下方向で前記リヤクロスメンバ6の上面部6bが、前記接合部19の車両上下方向位置と一致するように構成されている。
【0077】
次に、この実施例3のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0078】
この実施例3では、前記実施の形態及び実施例1,2の作用効果に加えて、更に、後突により、図9に示すように、前記スペアタイヤ10が、車両前方に向けて押し出されると、図8に示すように、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6aに対向する前記スペアタイヤ本体12のうち、裏側ドラム部17側に位置する外周面前端12bが、当接される。
【0079】
このため、前記スペアタイヤ本体12の外周面前端12bを介して、前記内側リムリング部17aを有する裏側ドラム部17側が、押圧されて、前記接合部19を境として、前記スペアタイヤホイール11のドラム部16に、挟持力が作用する。
従って、この車両前後方向に加わる挟圧が剪断力として作用して、図9中二点鎖線で示す様に、裏側ドラム部17側から、前記表側ドラム部18及びスポーク面15が分離される。
更に、この実施例3の接合部19は、図8に示すように、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6a上端に位置する上面部6bとの連設上端縁角部の高さ方向位置h4とが、略一致するように構成されている。
このため、前記ドラム部16では、剛性変化が顕著なこの接合部19から、スペアタイヤホイール11の破断を、更に容易に進行させることが出来る。
【0080】
従って、車両1の車体後部2では、後突時に、変形の促進を妨げるような干渉物が無くなり、車体潰れの阻害が抑制されるため、所望の潰れ代を、容易に確保して、衝撃吸収特性を良好なものとすることが出来る。
【0081】
また、前記リヤクロスメンバ6を、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部としての接合部19を境として、裏側ドラム部17側に、対向配置させるだけでよいので、簡便で軽量な構造で、後突時の衝撃吸収特性を向上させることができる。
【0082】
しかも、この実施例3のスペアタイヤ設置構造では、車体後部2を構成するリヤクロスメンバ6が、第1の剛体部品として兼用されているので、更に、部品点数を減少させて、車体側の重量及びコストの増大が抑制出来る。
【0083】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1,2と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例4】
【0084】
図10乃至図12は、この発明の実施の形態の変形例である実施例4のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0085】
なお、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0086】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例4のスペアタイヤ設置構造では、スペアタイヤ10が、前記実施例3のスペアタイヤ10の表側ドラム部18及び裏側ドラム部17とは、上下方向向きを逆さと、このスペアタイヤホイール11がなるように設置されている。
また、前記ホイール破断促進部材20に代えて設けられるリヤクロスメンバ6に対して、前記スペアタイヤ10の外周面前端12bのうち、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部としての接合部19に対応する部分を境として、裏側ドラム部17側が、対向するように配置されている。
【0087】
この実施例4では、前記リヤクロスメンバ6は、図11中に示すように、長手方向を、車両前後方向に沿うように形成された断面形状を有して、車両上下方向で、このリヤクロスメンバ6の下面部6cが、前記接合部19の車両上下方向位置と略一致させることにより、前記裏側ドラム部17側に、後側面部6aが対向配置されている。
【0088】
次に、この実施例4のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0089】
この実施例4では、前記実施の形態及び実施例1乃至3の作用効果に加えて、更に、後突により、図11及び図12に示すように、前記スペアタイヤ10が、車両前方に向けて押し出されると、前記リヤクロスメンバ6の後側面部6aに、前記スペアタイヤ10の裏側ドラム部17側に対応する外周面前端12bが、当接される。
【0090】
このため、前記接合部19を境として、前記スペアタイヤホイール11のドラム部16には、車両前後方向に剪断力が作用して、図12中に示される様に、裏側ドラム部17側から、前記表側ドラム部18及びスポーク面15が、分離する。
【0091】
従って、この車体後部2では、後突時に、変形の促進を妨げるような干渉物が無くなり、車体潰れの阻害が抑制されるため、所望の潰れ代が、容易に確保されて、衝撃吸収特性を良好なものとすることが出来る。
【0092】
また、前記リヤクロスメンバ6を、前記スペアタイヤホイール11の剛性変化部としての接合部19を境として、裏側ドラム部17側に、対向配置させるだけでよいので、別部品を設ける必要が無く、簡便で軽量な構造で、後突時の衝撃吸収特性を向上させることができる。
【0093】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至3と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0094】
図13は、この発明の実施例4の変形例である実施例5のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0095】
なお、前記実施例4と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0096】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例5のスペアタイヤ設置構造では、前記実施例4のスペアタイヤ設置部9の前方に設けられたリヤクロスメンバ6が、図13に示すように、車両前後方向に沿う断面形状の長手方向を、車両上下方向に沿わせるように設けられている。
そして、この車両上下方向で前記リヤクロスメンバ6の下面部6cが、前記接合部19の車両上下方向位置と一致するように構成されている。
【0097】
次に、この実施例5のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
このように構成された実施例5記載のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態及び実施例4記載の作用効果に加えて、更に、図13に示すように、車両上下方向に沿って、前記リヤクロスメンバ6の車両前後方向に沿う断面形状の長手方向が、設けられている。
このため、このリヤクロスメンバ6の断面積の増大に伴う重量の増大を抑制しつつ、充分な前記スペアタイヤ10に対向する後側面部6aの受圧面積を確保出来る。
【0098】
他の構成、及び作用効果については、前記実施例4と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例6】
【0099】
図14及び図15は、この発明の前記実施例3の変形例である実施例6のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0100】
なお、前記実施例3と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0101】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例6のスペアタイヤ設置構造では、車両1の車幅方向に沿って延設される第1の剛体部品としてのリヤクロスメンバ26が、断面形状の長手方向を、車両前後方向に沿わせた略長方形形状を呈するように形成されている。
【0102】
そして、このリヤクロスメンバ26は、後側面部26aを、前記スペアタイヤ10に対向させて、車両上下方向で、このリヤクロスメンバ26の上面部26bが、前記接合部19の車両上下方向位置と略一致するように構成されている。
また、図14に示すように、これらの内,外側リムリング部17a,18a間のリム幅寸法w1は、図示略の横臥状態のタイヤ本体の車両後側の高さ方向の略全高の寸法h1と、略等しいか或いは、少し小さくなるように設定されている。
更に、このスペアタイヤ10の後方に、対向配置される前記リヤバンパレインフォース7は、その前側面部7aの車両1の高さ方向の寸法hcが、前記スペアタイヤホイール11のドラム部16のリム幅寸法w1より大きく且つ、両リム端である前記両内側リムリング部17a及び、外側リムリング部18aを、このドラム部16の車軸方向である回転中心軸14方向で、越える寸法hcとなるように形成されている。
また、前記スペアタイヤ本体12を装着したスペアタイヤ10が、横臥状態で設置されると、車両上下方向に亘り、このスペアタイヤ本体12の外周面の車両後側12aに対向するように、前記リヤバンパレインフォース7が位置する。
そして、前記両内側リムリング部17a及び、外側リムリング部18a間のリム幅寸法w1を越える範囲で、前記スペアタイヤ本体12の外周面の車両後側12aが、上下方向の略全域で、このリヤバンパレインフォース7の前側面部7aに当接されるように構成されている。
【0103】
次に、この実施例6のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0104】
この実施例6では、前記実施の形態及び実施例3の作用効果に加えて、更に、図15に示すように、後突により、変形した前記リヤバンパレインフォース7の前側面部7aによって、前記スペアタイヤ10が、車両前方に押し出される際と、前記リヤクロスメンバ26の後側面部26aに、前記スペアタイヤ10の裏側ドラム部17側に対応する外周面前端12bが、当接される。
また、図示省略の前記スペアタイヤ本体12が装着されてなるスペアタイヤ10のドラム部16には、車両上下方向に亘り、リム幅寸法w1を越えて、このスペアタイヤ本体12の外周面の車両後側12aの略全域で、前記前側面部7aが当接されて、車両前方に、更に確実に押圧されている。
【0105】
このため、図15中二点鎖線で示す様に、前記両内,外側リムリング部17a,18aの後端縁は、このスペアタイヤ本体12を介して、スペアタイヤ10の回転が抑制されつつ、確実に車両前方に移動されて、前記スポーク面15が配置されている側と反対側に対向配置された前記リヤクロスメンバ26の後側面部26aとの間で挟圧され、前記接合部19を境として、前記スペアタイヤホイール11のドラム部16の裏側ドラム部17に、車両前後方向の剪断力が作用する。
そして、図15中二点鎖線で示す様に、裏側ドラム部17側から、前記表側ドラム部18及びスポーク面15が、車両前方の斜め上方へ向けて、分離される。
【0106】
この実施例6では、前記スペアタイヤ10が、車両前方に向けて押し出される際に、前記リヤバンパレインフォース7の前側面部7aによって、図示省略のスペアタイヤ本体12の外周面の車両後側12aが、車両上下方向略全域で当接される。
このため、前記両内,外側リムリング部17a,18aが、同時に車両前方に向けて押圧されて、安定して確実に車両前方に移動する。
【0107】
しかも、前記リヤクロスメンバ26の後側面部26aに、前記スペアタイヤ10の裏側ドラム部17側に対応する外周面前端12bが、当接されると、このリヤクロスメンバ26は、車両前後方向に沿う長手方向を有する断面形状を呈しているので、充分に車両前後方向に加わる入力を受圧可能な剛性を、重量を増大させること無く与えることができる。
【0108】
他の構成、及び作用効果については、前記実施例3と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例7】
【0109】
図16及び図17は、この発明の実施の形態の実施例7のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
なお、前記実施の形態及び各実施例1乃至6と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0110】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例7のスペアタイヤ設置構造では、実施例4のスペアタイヤ設置構造のリヤクロスメンバ6に代えて、第1の剛体部品としてのリヤサスペンションメンバ46が設けられている。
【0111】
この実施例7のリヤサスペンションメンバ46は、前記スペアタイヤ設置部9の車両前方位置に、車幅方向に長手方向を沿わせて設けられている。
【0112】
また、このリヤサスペンションメンバ46の下面側46b位置が、車両上下方向で、前記接合部19の車両上下方向位置と略一致するように構成されている。
【0113】
このため、このリヤサスペンションメンバ46の車両後側面部46aが、前記スペアタイヤ10のスペアタイヤ本体12のうち、外周面前端12bが、裏側ドラム部17に対向する位置に設けられている。
この裏側ドラム部17は、前記スペアタイヤホイール11のドラム部16のうち、前記接合部19を境として、スポーク面15が、下向きとなるように設置されている表側ドラム部18とは、反対側の上向きに設置されるように構成されている。
【0114】
次に、この実施例7のスペアタイヤ設置構造の作用効果について説明する。
【0115】
この実施例7のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態及び実施例1乃至6の作用効果に加えて、更に、図17に示すように、車両1の車体後部2に、他の車両21が後突すると、前記スペアタイヤ設置部9の車両前方位置へ向けて、前記スペアタイヤ10が、前記リヤバンパレインフォース7の前側面部7aによって、車両上下方向では、略均等に、押圧される。
このため、前記スペアタイヤ10は、回転が抑制されつつ、押し出されて確実に車両前方に移動されて、前記スポーク面15が配置される側と反対側に対向配置された前記リヤサスペンションメンバ46の車両後側面部46aに、スペアタイヤ本体12の外周面前端12bを当接させる。
従って、前記リヤバンパレインフォース7の前側面部7aと、この車両後側面部46aとの間に、前記スペアタイヤ10が挟まれて、車両前後方向で挟圧される為、このスペアタイヤ本体11を介して、前記接合部19の近傍に剪断力が作用する。
よって、スペアタイヤホイール11の上向きに位置する裏側ドラム部17が、車両前後方向で、圧縮変形されると共に、この裏側ドラム部17側から、前記表側ドラム部18及びスポーク面15が、車両下方へ向けて分離される。
【0116】
このように、別途、前記実施の形態のようなホイール破断促進部材20等を設けなくても、既存のリヤサスペンションメンバ46を剛体部品として用いることができる。
【0117】
また、前記実施の形態及び実施例1乃至6のように、前記リヤクロスメンバ6を剛体部品として用いなくてもよいので、車体形状及びスペアタイヤ設置部9の形成位置等のレイアウトの自由度が増大する。
【0118】
しかも、更に、構造を簡略化出来、重量が増大する虞を減少させることが出来る。
【0119】
他の構成、及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至6と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例8】
【0120】
図18は、実施例8のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0121】
なお、前記実施の形態及び各実施例1乃至7と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0122】
まず、構成上の相違点について説明すると、この実施例8のスペアタイヤ設置構造では、前記実施例3のスペアタイヤ設置構造の構成に加えて、乗員室33内と、前記トランクルーム3との間に、長手方向を車幅方向に沿わせて、クロスメンバ103が、配設されている。
【0123】
このクロスメンバ103は、前記リヤサイドメンバ部材5,5の上方に向けて、所定高さh9を有して、突設されることにより、破断若しくは分離された前記スペアタイヤ10の部品が、乗員室33内への侵入することを抑止するように構成されている。
【0124】
次に、この実施例8のスペアタイヤ設置構造の作用効果について、説明する。
【0125】
この実施例8のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態及び実施例1乃至7のスペアタイヤ設置構造の作用効果に加えて、更に、図18に示すように、前記リヤサイドメンバ部材5,5の上方位置で、前記リヤクロスメンバ6よりも車両前方位置に設けられた所定高さh9を有するクロスメンバ103が、配設されている。
【0126】
次に、この実施例8のスペアタイヤ設置構造の作用効果について、説明する。
この実施例8では、前記リヤクロスメンバ6よりも車両前方位置に、所定高さh9を有するクロスメンバ103が、配設されている。
このため、後突により、破断若しくは分離された前記スペアタイヤ10の部品が、このクロスメンバ103によって、車両前方への移動を阻害されて、前記乗員室33内への侵入が抑止される。
【0127】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至7と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例9】
【0128】
図19及び図20は、この発明の実施例9のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0129】
なお、前記実施の形態及び各実施例1乃至8と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0130】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例9のスペアタイヤ設置構造では、前記実施例3のスペアタイヤ設置構造の構成に加えて、車体後部2に形成された前記トランクルーム3の床部4には、前記スペアタイヤ設置部9の車両前側縁部9aに、このスペアタイヤ設置部9の前側上面部を、一部覆うガイドストッパ部材104が、固着されている。
【0131】
このガイドストッパ部材104には、前記車両前側縁部9aに固着される固着片部104aと、この固着片部104aに対して、図19中、実線で示す様に、車両後方へ向けて側面視略クランク状を呈するように、一体に延設されると共に、二点鎖線で示す様に、車両上方へ向けて屈曲可能に構成されるエネルギ吸収片部104bとを主に有して構成されている。
【0132】
次に、この実施例9のスペアタイヤ設置構造の作用効果について、説明する。
【0133】
このように構成された実施例9のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態及び実施例1乃至8の作用効果に加えて、更に、後突により、前記スペアタイヤ10のスペアタイヤ本体12又は、表側ドラム部18及びスポーク面15等が、図19中二点鎖線で示すように、車両前部上方へ向けて移動しても、前記ガイドストッパ部材104のエネルギ吸収片部104bが、屈曲変形しながら、前記スペアタイヤ10の移動に伴う運動エネルギを吸収して、更に、車両前方方向への移動を阻止する。
【0134】
この際、前記スペアタイヤ10は、スペアタイヤ10全体が移動するのではなく、前記スペアタイヤ設置部9内に残留する前記裏側ドラム部17から、前記接合部19を境として、分離された表側ドラム部18側の一部が、移動している。
【0135】
このため、前記ガイドストッパ部材104のエネルギ吸収量の目標値を、スペアタイヤ10全体の移動を受け止める場合に比して、小さく設定することができる。
【0136】
従って、前記ガイドストッパ部材104として、小型、軽量なものを用いることが出来、車体後部2の重量の増大を抑制できる。
【0137】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1乃至8と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【実施例10】
【0138】
図21及び図22は、この発明の実施例7の変形例である実施例10のスペアタイヤ設置構造を示すものである。
【0139】
なお、前記実施の形態及び各実施例1乃至9と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0140】
まず、構成上の相違点を中心に説明すると、この実施例10のスペアタイヤ設置構造では、前記実施例3のスペアタイヤ設置構造の構成に加えて、車体後部2に形成された前記トランクルーム3の床部4には、前記スペアタイヤ設置部9の車両前側縁部9aに、このスペアタイヤ設置部9の前側上面部を、車幅方向略全域に渡って覆う上側床パネル部材105が、固着されている。
【0141】
この上側床パネル部材105には、前記車両前側縁部9aに固着される固着面部105aと、この固着面部105aに対して、図21中、実線で示す様に、車両後方へ向けて、略平板状に延設されて、前記スペアタイヤ設置部9の上部空間前側を覆う上側隔壁部105bとを主に有して構成されている。
【0142】
そして、前記床部4の車両前側縁部9aと、前記上側隔壁部105bとの間には、車両上下方向で、所定の間隔h10が設けられて、捕獲空間部106が形成されている。
【0143】
次に、この実施例10のスペアタイヤ設置構造の作用効果について、説明する。
【0144】
このように構成された実施例10のスペアタイヤ設置構造では、前記実施の形態及び実施例1乃至9の作用効果に加えて、更に、後突により、前記スペアタイヤ10のスペアタイヤ本体12又は、表側ドラム部18及びスポーク面15等が、前記スペアタイヤ設置部9内から、車両前部上方へ向けて移動しても、前記上側床パネル部材105の上側隔壁部105bと、前記床部4の車両前側縁部9aとの間に形成された捕獲空間部106内に受け止められて、前記スペアタイヤ10の移動に伴う運動エネルギが吸収される。
【0145】
この際、前記スペアタイヤ10は、前記スペアタイヤ設置部9内に残留する前記裏側ドラム部17から、前記接合部19を境として、分離された表側ドラム部18側の一部が、移動されている。
【0146】
このため、前記捕獲空間部106によって、スペアタイヤ10を捕獲する際に必要とされる上側床パネル部材105のエネルギ吸収量の目標値を、スペアタイヤ10全体が、移動して、受け止めなければならない場合に比して、小さく設定することができる。
【0147】
従って、前記上側床パネル部材105として、小型、軽量なものを用いることが出来、車体後部2の重量の増大を抑制できる。
【0148】
以上、図面を用いて、本発明の実施の形態及び実施例1乃至10のスペアタイヤ設置構造を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0149】
即ち、前記実施の形態では、スペアタイヤ10として、スペアタイヤホイール11のドラム部16に、スペアタイヤ本体12が、外嵌されているものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、テンパータイヤ、ランフラットタイヤ、ロードタイヤ等、どのような種類で、構造を呈するタイヤでも、車両1のスペアタイヤ設置部9に格納されるものであれば、形状、数量及び材質が特に、限定されるものではない。
【0150】
更に、スペアタイヤ10のうち、表側ドラム部18に内接して、前記スポーク面15が設けられたものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、使用状態で、車軸延設方向の内外何れか一方側に位置するスポーク面15であれば、例えば、裏側ドラム部17に、前記スポーク面15が、内接するものであってもよい。
【0151】
また、前記実施の形態では、ホイール破断促進部材20は、前記接合部19を境として、前記裏側ドラム部17に対向配置されているが、表側ドラム部18側であっても、良く、表側ドラム部18側若しくは裏側ドラム部17側のうち、少なくとも、何れか一方側に対向配置されればよい。
【0152】
そして、前記実施の形態では、剛体部品として、ホイール破断促進部材20の鋭角状の先端20aに、前記スペアタイヤ10が、当接されるものを示し、また、実施例1では、前記楔形ホイール破断促進部材22は、側面視略直角三角形形状を呈していて、前記先端22aの車両上下方向の高さ位置h2が、前記スペアタイヤ10のスペアタイヤホイール11のうち、前記接合部19に近接するように構成されたものを示して説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、剛体部品の形状は、楔形、三角形形状又は偏球体等、スペアタイヤ10の逃げを抑制出来、更に安定的にスペアタイヤ10の破断を発生させることが出来るものであれば、どのような形状であっても良い。
【0153】
また、実施例3等のように、リヤクロスメンバ6及びリヤバンパレインフォース7のみで、前記第1の剛体部品及び第2の剛体部品を構成したり、或いは、前,後一対のクロスメンバ部材で、前記第1,第2の剛体部品を構成する等、これらの第1,第2の剛体部品のどの部分が、どのような形で、前記スペアタイヤ10に当接しても良く、前記スペアタイヤ10の逃げを防止して、スペアタイヤホイール11への局部荷重を発生させることにより、破断させることが出来るものであれば、第1,第2の剛体部品の形状、数量、設置箇所、及び材質が、特に限定されるものではない。
【0154】
更に、この実施の形態では、前記リヤバンパレインフォース7の前側面部7aが、前記スペアタイヤ本体12の外周面のうち、車両後側12aの高さ方向の寸法h1の略全域に、当接するように構成されているが、特にこれに限らず、例えば、このリヤバンパレインフォース7に代えて、リアサスペンションメンバ部材、マフラー部材、トレーラーヒッチ部材等を用いても良く、前記スペアタイヤ設置部9内のスペアタイヤ10を、前記第2の剛体部品方向へ押圧するものであれば、形状、数量及び材質が特に限定されるものではない。
【0155】
また、前記実施例4では、前記リヤクロスメンバ6の断面形状が、図9中二点鎖線で示すように、長手方向を、車両上下方向に沿わせて設けられているが、特にこれに限らず、例えば、図9中、実線で断面形状を示すように、車両前後方向に沿わせて、長手方向を一致させた前記リヤクロスメンバ6の上面部6bが、前記接合部19の車両上下方向位置と一致する等、ドラム部16のうち、接合部19等の剛性変化部を境として、スポーク面15が設けられていない裏側ドラム部17若しくは、表側ドラム部18のうち、少なくとも何れか一方側に対向する位置に設けられるものであれば、リヤクロスメンバ6の形状、数量及び材質が特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0156】
1 車両
2 車体後部
6,26 リヤクロスメンバ(第1の剛体部品)
7 リヤバンパレインフォース(第2の剛体部品)
9 スペアタイヤ設置部
10 スペアタイヤ
11 スペアタイヤホイール
12 スペアタイヤ本体
14 回転中心軸
15 スポーク面
16 ドラム部
16a スポーク面固着部
17 裏側ドラム部
17a 内側リムリング部(リム端)
18 表側ドラム部
18a 外側リムリング部(リム端)
19 接合部(剛性変化部)
20 ホイール破断促進部材(第1の剛体部品の一部)
22 楔形ホイール破断促進部材(第1の剛体部品の一部)
23 方形ホイール破断促進部材(第1の剛体部品の一部)
46 リヤサスペンションメンバ(第1の剛体部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペアタイヤ本体が外嵌されて保持されるドラム部と、該ドラム部に内接して、車両の車軸に装着された使用状態で、車軸延設方向の内外何れか一方側に位置するスポーク面とを有するスペアタイヤホイールが、車両の後部に設定されたスペアタイヤ設置部に設置されるスペアタイヤ設置構造であって、
前記ドラム部には、前記スペアタイヤホイールの前記車軸延設方向で、剛性が異なる剛性変化部を設定し、
前記スペアタイヤ前方には、該剛性変化部を境として、前記車軸延設方向のうち、前記スポーク面が配置される側と反対側に対向配置される第1の剛体部品を設置し、
前記スペアタイヤ後方には、前記スペアタイヤホイールのドラム部のリム幅より大きく且つ、該ドラム部の車軸延設方向でリム端を越える寸法に亘り、対向配置される第2の剛体部品を設置したことを特徴とするスペアタイヤ設置構造。
【請求項2】
前記ドラム部の剛性変化部は、前記スポーク面が取り付けられるスポーク面固着部の近傍に設定されていることを特徴とする請求項1記載のスペアタイヤ設置構造。
【請求項3】
前記ドラム部は、前記車軸延設方向において車両内側に設けられた裏側ドラム部と、前記車軸延設方向において車両外側に設けられた表側ドラム部とからなり、前記スペアタイヤホイールの剛性変化部は、前記裏側ドラム部と表側ドラム部との接合部に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載のスペアタイヤ設置構造。
【請求項4】
前記裏側ドラム部と表側ドラム部との接合部に、前記ドラム部への前記スポーク面を取り付けるスポーク面固着部が設定されていることを特徴とする請求項3記載のスペアタイヤ設置構造。
【請求項5】
前記第1の剛体部品は、リヤクロスメンバであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスペアタイヤ設置構造。
【請求項6】
前記第1の剛体部品は、リヤサスペンションメンバであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のスペアタイヤ設置構造。
【請求項7】
前記第2の剛体部品は、リヤバンパレインフォースであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のスペアタイヤ設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−31874(P2011−31874A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54609(P2010−54609)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】