スペクトル干渉法及びスペクトル干渉装置
反射率対光路差の明確なプロファイル(ミラー項の無いAスキャン)を供給し、正の光路差と負の光路差との間に差を付けるか、又は光路差の選択された間隔で出力を与えるためのスペクトル干渉装置及びスペクトル干渉法が提供される。その装置は、光源からのビームを目標物体(55)に送出し、物体ビームを生成する物体光学系と、参照ビームを生成する参照光学系とを備える。物体ビーム(41’)及び参照ビーム(42’)との間に間隙(g)を生成するための変位手段(57)が設けられる。回折格子及びプリズムのような光スペクトル分散手段(7)が、2つの相対的に変位したビームを受光し、それらのスペクトル成分をCCDのような読取り素子上に分散させる。変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、物体ビーム及び参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成し、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル干渉装置及びスペクトル干渉法に関し、それらの装置及び方法は、反射率対光路差の明確なプロファイルを与え、正の値の光路差と負の値の光路差とを識別するために用いることができる。
【背景技術】
【0002】
センシングに関する分野全般において、低コヒーレンス干渉法の応用形態への関心が高まっている。低コヒーレンス干渉法は絶対距離測定値を提供し、粗い反射表面をイメージングするのに、又は拡散媒体及び散乱媒体の体積内のスライスを生成するのに非常に適している。低コヒーレンス光源を用いて、深さ方向に分解された情報を入手する種々の方法があり、そのような1つの方法はスペクトルの分散を利用する。チャネルドスペクトルの周期性は干渉計内の光路差(OPD)に比例し、それは1837年というかなり昔に、「不思議なタルボットバンド(The Curious Bands of Talbot)」として説明されている。そのような昔から知られている現象に関する最近の説明が、A. L. King及びR. DavisによってAmerican Journal of Physics, vol. 39, (1971), p. 1195-1198に発表された「The Curious Bands of Talbot」において、及びM. Parker GivensによってAmerican Journal of Physics, 61, (7), (1993), p. 601-605に発表された「Talbot's bands」において報告されている。
【0003】
チャネルドスペクトル法は、センシング及び光ファイバセンシングの分野において用いられてきた。最近の実施態様は、A. Gh. Podoleanu, S. Taplin, D. J. Webb及びD. A. JacksonによってEuropean J. Phys., 15, (1994), p. 266-271に発表された「Channeled Spectrum Display using a CCD Array for Student Laboratory Demonstrations」に開示されるように、光検出器又はCCDアレイを用いて、チャネルドスペクトルを表示している。チャネルドスペクトルは、G. Hausler及びM. W. LindnerによってJ. Biomed Optics, Jan. 1998D, Vol. 3 No. 1, pp. 21-31に発表された「Coherence Radar and Spectral Radar-New Tools for Dermatological Diagnosis」において、さらにはP. Graindorgeによる米国特許第4,932,782号「Channelled light Spectrum measurement method and device」及びHochberg等による米国特許第5,317,389号「Method and apparatus for white-light dispersed-fringe interferometric measurement of corneal topography」に開示されるような「スペクトル光コヒーレンストモグラフィ」(SOCT)と呼ばれる方法においても用いられている。さらに、そのような方法は、J. P. Rolland及びP. J. Delfyettによる米国特許第6,072,765号「Optical Disk Readout Method using Optical Coherence tomography and Spectral Interferometry」にも開示されている。スペクトル法の利点は、OPD情報がチャネルドスペクトル内のピーク及びトラフの周期性に変換されることであり、たとえば、組織の光コヒーレンストモグラフィ(OCT)において、物体を深さ方向に走査するために機械的な手段は不要である、ということである。さらに、そのような方法では、多重化されたセンサアレイ内のOPDを調べるのに機械的な手段は不要である。組織のような多層化された物体がイメージングされる場合には、各層は、その深さに応じて、その層自体のチャネルドスペクトル周期性を残すことになり、そのスペクトル変調の振幅はその層の反射率の平方根に比例する。電荷結合素子(CCD)信号のスペクトルの高速フーリエ変換(FFT)は、チャネルドスペクトルの周期性を、種々の周波数のピークに変換し、その周波数が経路不平衡に直に関連する。そのようなプロファイルはOCTにおけるAスキャンと呼ばれており、それは、すなわち深さ方向の反射率のプロファイルである。
【0004】
従来技術のSOCT装置の実現可能なバルク型の実施態様が図1に示される。この構成では、光源1からの光ビームが、簡単なレンズ又はアクロマート、又はミラー、或いはレンズ又はミラーの組み合わせで構成することができるコリメータ素子2によってコリメートされ、ビーム3が形成される。その後、ビーム3はビームスプリッタ4に向かって誘導される。光源1は広帯域であり、たとえば、当該技術分野において知られている技法によって、最も広い実現可能な帯域幅及び最小のスペクトルリップルを生成するように組み合わせられる、1つ又は複数の発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、電球又は短パルスレーザを用いることができる。光源1は、調査されるべき特定の物体のために適した中心波長を有する。OCTを用いて患者の目を調査する場合、800〜900nmのような近赤外線の波長が用いられる。皮膚を調査する場合には、1300nmの波長を用いることができる。センシングの応用形態の場合、1500nmの電気通信の帯域内の波長が用いられることが好ましい。
【0005】
ビームスプリッタ4に照射された光は、ミラー物体5に導く第1の光路41、及び参照ミラー6に導く第2の光路42に分割される。2つのミラー5及び6上で反射し、ビームスプリッタ4を横切った後に、結果として生成される2つのビームは、スペクトル解析するための光スペクトル分散手段7上で重ね合わせられる。光スペクトル分散手段7として、1つ又は複数の回折格子、1つ又は複数のプリズム、或いはプリズム又は回折格子の組み合わせを用いることができる。光スペクトル分散手段7において、スペクトルは分散(1つ又は複数のプリズムを用いるとき)又は回折し(1つ又は複数の回折格子を用いるとき)、種々の波長を有する扇形の光線が出力される。この光線は、その後、合焦素子8によって、読取り素子、直線光検出器アレイ又はCCD直線アレイ9上に合焦する。電気スペクトルアナライザ91が、読取り素子9によって送出される信号のFFTを実行する。
【0006】
ビームスプリッタ4からミラー5までの距離はZによって表される。しかしながら、他の従来技術の構成では、ミラーの代わりに、厚みのある散乱性の多層物体が用いられており、Zは、ビームスプリッタ4から、その物体内の散乱点又は層までの距離である。これは、その物体経路が2Zであることを意味する。ビームスプリッタ4とミラー6との間の距離はXであり、それは、参照経路の長さが2Xであることを意味する。チャネルドスペクトル周期性はOPDに依存し、OPDは以下のように定義される。
OPD=2(Z−X)
【0007】
ミラー5の代わりに、厚みのある散乱性の多層物体が用いられる構成について考える。この場合、周期性はOPDの係数に依存するので、OPDが0である位置を中心にして対称に配置される散乱体又は層は、チャネルドスペクトルにおいて同じ周期性を与える。フーリエ変換されるとき、OPDの有用な範囲に対応する項の他に、対称に配置される項が得られ、それはミラー項(mirror terms)と呼ばれる場合もあり、フーリエ領域OCTに関連する問題は、ミラー項の問題と言うことができる。これは、イメージングのために用いられるOCTシステムの深さプロファイルに誤差を導入する。同じく、チャネルドスペクトルがセンシングのために用いられるとき、ゼロ点のいずれかの側にある同じ値のOPDに配置されるセンサからの信号のクロストークが存在する。それゆえ、上記の全ての従来技術のスペクトル(フーリエ領域)OCT法は、物体の深さ方向にある散乱体がOPDのただ1つの符号範囲内、すなわち正又は負のいずれかの範囲内に限られるように、物体の位置を調整することに頼っている。そのような調整は、測定手順を複雑にし、全ての状況において適用できない場合もある。
【0008】
ここで説明するために、干渉計内のOPDは、物体経路長から参照経路長を引いたものと定義されるであろう。たとえば、調査されるべき物体が網膜である場合には、OPDの原点は、網膜の神経線維膜の前にある硝子体内のいずれかの場所に設定することができる。これは、網膜散乱体が全て、OPDが0より大きいような位置にあることを意味するであろう。しかしながら、硝子体が同じ経路範囲内に欠陥を有する場合には、これらの欠陥が、網膜の最終的な深さプロファイル内に現われるであろう。したがって、対象とする範囲外にあるピークを除去するための手順、又はシステムがOPD符号に対して応答できるようにするための手順が必要とされている。
【0009】
ミラー項の問題に対処するために、最近、OPD範囲の一方の符号のための項を除去するための「位相シフトスペクトル干渉法」と呼ばれる方法が導入されている。連続したCCDフレームの2つの光干渉計経路間に正確な位相シフトを導入し、収集されたスペクトルを合成することによって、CCD信号の電気的なフーリエ変換スペクトル内の雑音を低減し、且つ自己相関項の一方(正又は負のOPD)を除去することができる。その方法によれば、深さ方向において層を正確に再構成できるようになる。しかしながら、位相シフトスペクトル干渉法には、以下の不都合がある。位相シフトは数度内まで正確でなければならないので、参照ミラーの動きを正確に制御する必要がある。また、少なくともM個のスペクトルが収集された後にのみ最終的なスペクトルが送出されるので、その過程は、従来の方法よりもM倍だけ遅くなる。5つのステップを用いる位相シフトスペクトル干渉法の1つの方法が、M. Wojtkowski, A. Kowalczyk, P. Targowski, I. GorczynskaによってOptica Applicata, Vol. XXXII, No. 4, (2002), p. 569-580に発表された、「Fourier-domain optical coherence tomography: next step in optical imaging」に開示される。この方法を用いるとき、1つのOCT画像を供給するまでに、5つのフレームが必要とされる。しかしながら、位相シフトスペクトル干渉法に関連する最も大きな不都合は、検査される物体、たとえば組織の動きである。検査される組織の動きは位相シフトの値を変更し、位相シフト法によれば相殺されているはずの、OPD符号(すなわち正又は負)のための項を元に戻すという効果がある。
【0010】
A. Gh. Podoleanu, S. Taplin, D. J. Webb及びD. A. JacksonによってJ. Pure and Applied Optics, Vol.7, (1998), pp. 517-536に発表された、「Theoretical Study of Talbot-like Bands Observed Using a Laser Diode Below Threshold」というタイトルの論文、並びにA. Gh. Podoleanu, S. Taplin, D. J. Webb及びD. A. JacksonによってJ. Pure and Applied Optics, Vol. 6, issue 3, (1997), pp. 413-424に発表された、「Talbot-like Bands for Laser Diode Below Threshold」というタイトルの論文はいずれも、閾値レベル未満のレーザダイオードを用いるトールボットバンドについて報告する。後者の論文は、改良型マイケルソン干渉計も導入しており、ここで図2を参照しながら、そのような装置を説明する。
【0011】
図2は図1と類似の構成を示すが、2つの遮蔽板20が追加され、光路41及び42内に配置されている。2つの遮蔽板は、光ビーム41及び42の直径の半分を遮断するように配置される。拡散手段7が回折格子である場合の、図2の構成の動作に関する説明を行う。
【0012】
回折格子7に達するビームがN本の格子線を含む状況について考える。2つの遮蔽板20を、2つの光路の中の途中まで導入することによって、2つのビーム41’及び42’の空間分離が生じる。ビーム41’及び42’は、ビームスプリッタ4を通過した後の、ビーム41及び42からの残りのビームである。
【0013】
通常、干渉結果の最大の鮮明度を得るには、物体ビーム41の高さが参照ビーム42と同じ高さになるように調整されなければならないことは、干渉計分野の熟練者には理解されよう。これは、ビームスプリッタ4、ミラー5及び6を都合よく傾けて、ミラー5及び6において反射した後のビーム41及び42が、到来ビーム3と同じ高さになるようにすることによって達成することができる。ビーム3、41、42は図面の平面内にある。2つの光路内に2つの遮蔽板20を導入した後に、結果として生成されるビーム41’及び42’は平行であり、変位平面内で相対的に変位される。この特定の事例では、変位平面は、図面の平面と同じである。2つのビームに対して垂直な方向に描かれる、2つの変位したビーム41’及び42’の中心を結ぶ線は格子線に対して垂直である。
【0014】
OPDの選択は、干渉計の2つのビーム出力を、励起される格子線の数に等しい数の小波を含むものと見なすことにより説明することができる。図2に示される構成では、遮蔽板20がビームの直径の途中まで導入され、ビーム直径全体に対応するN本の線ではなく、N/2本の線が励起される。それゆえ、各波列はN/2個の小波を含む。一次回折の最大値ためにブラッグ回折格子の式が適用される結果として、波列内の各小波と隣接する小波との間にλの遅延が存在する。これは、各波列がNλ/2長であることを意味する。2つの遮蔽板20の作用に起因して、2つのビーム41’及び42’は初期ビームの直径の半分だけ横方向に変位する。ブラッグの式に起因して、或る格子線から次の格子線までλの遅延が存在するのと同じように、直径の半分がN/2本の格子線を含むので、回折される2つの波列間にNλ/2の固有の初期遅延が存在する。それゆえ、干渉計内のOPDが0であるという条件の場合、回折後の長さNλ/2の2つの波列は、Nλ/2の固有の遅延を受ける。これは、それらの重なりが0であり、結果としてチャネルドスペクトル鮮明度は0になることを意味する。干渉計内のOPDを大きくすることにより、波列が重なることになり、結果として、チャネルドスペクトルが生じる。測定可能な最小OPDは、チャネルドスペクトル内に少なくとも2つのピークが生成されるときの、光源のコヒーレンス長Lcである。2つの波列の重なりは、干渉計内のOPDがNλ/2に等しいとき、すなわち波列がNλ/2だけ遅延されるときに最大である。言い換えると、干渉計内のOPDは固有遅延を完全に補償している。波列の重なりは、干渉計内のOPDがさらに大きくなるときに再び減少し、その重なりは、波列が固有遅延に加えて、その長さだけ遅延するとき、すなわち最大のOPD範囲を与えるNλの全遅延の場合に、0まで減少することは当業者には容易に明らかになるであろう。
【0015】
図2の装置の挙動を説明するためには、干渉計において生成されるOPDは十分ではない。干渉計において生成されるOPDは、2つの横方向に変位したビーム間の固有遅延、Nλ/2に結びつけられるが、チャネルドスペクトル周期性は、干渉計内のOPDだけに対応する。
【0016】
上記のPodoleanuの論文において説明されるように、干渉計内のOPDが或る特定の符号だけを有するときに、回折格子まで伝搬するビームの両側を遅延させる結果として、チャネルドスペクトルが生じる。これらの論文は、L及びRとして指定される、2つの場合を区別する。
【0017】
Lの場合には、回折格子7が用いられる角度、及び遮蔽板20の位置は、回折後の参照ビーム42’の成分が、回折後の物体ビーム41’からNλ/2だけ遅れるような角度及び位置である。これは、マイケルソン干渉計内のOPDがチャネルドスペクトルを生成し、そのOPDが0とNλとの間にある限り、CCD光検出器信号変調することを意味する。
【0018】
Rの場合には、回折格子が用いられる角度、及び遮蔽板の位置は、回折後のビーム41’の波列が、回折後のビーム42’の波列から固有遅延Nλ/2だけ遅れるような角度及び位置である。これは、マイケルソン干渉計内のOPDが、0と−Nλとの間にある限り、CCD光検出器スペクトルを変調することを意味する。
【0019】
他の側からビーム41及び42の中に遮蔽板20が導入される場合には、ビーム41’及び42’は、ビームスプリッタ4の通過後にその位置を変更し、システムの挙動がRからLの場合に、及びその逆に変化する。
【0020】
他の次数の回折の場合にも、又はプリズムを基にするスペクトル解析素子の場合にも類似の説明を行うことができる。実際には、トールボットバンドは、プリズムを用いて観測されてきた。プリズムを用いるとき、2つの入射ビームは平行であり、入射表面に対する垂線とプリズムの二等分線によって画定される平面内にある。両方のビームからの扇形の分散した光線は、出射表面に対する垂線とプリズムの二等分線によって画定される、同じ平面内に含まれる。
【0021】
これは、干渉計内のOPDの原点が組織内にある場合であっても、正確なAスキャンを生成することができるスペクトルOCTを実現する際の重要な要素である。これは、各センサに対応するOPDに応じて、スペクトル低コヒーレンス干渉法によって、多重化されたアレイ内のセンサを選択する際にも重要な要素である。しかしながら、上記のPodoleanuの論文に記述される実施態様は、遮蔽板が存在することに起因して、各ビーム内の信号のパワーを2分の1に削減する。第二に、低コヒーレンス光源は光学的なフィードバックに対して非常に感度が高く、マイケルソン干渉計は光源に光を戻す。第三に、遮蔽板を用いて2つのビーム内の波列の長さを変更する方法は非効率的であり、パワーが遮蔽板の位置に依存する。さらに、2つのPodoleanuの論文の開示は、空洞共振器低コヒーレンス光源が用いられるとき、チャネルドスペクトルのフーリエ変換において直面するスペクトル項を単純化したものに限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、従来の手段に関連する上記の問題を回避又は改善するスペクトル干渉法及びスペクトル干渉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
概括的には、第1の態様では、光源を含むか、又は光源によって励起されるスペクトル干渉装置が提供される。実用的な程度までの干渉効果を引き出すために、光源は、2つのビーム、すなわち、物体と相互作用する物体ビームと、概ね物体ビーム経路程度の経路長を有するように構成される参照ビームとを与えるように配置される。特に、種々の深さにおいて散乱点を有する多層物体において、経路長の差(光路差)がいくらか生じる場合がある。また光路差は、種々の応用形態の目的に合わせて調整することもできる。物体ビーム及び参照ビームは、スペクトル成分を分離するように構成される回折格子又はプリズム或いは他のデバイスのような、光スペクトル分散手段に入射する。スペクトルを分散できるようにするために、物体ビーム及び参照ビームが、それぞれの経路に対して或る角度で配置される分散手段の表面の異なる部分に入射するように、物体ビーム及び参照ビームを、それぞれ経路に対して横方向に変位させる。こうして、分散手段の働きによって、任意の光路差が、角度のある分散表面によって導入される「固有の」経路差とともに、チャネルドスペクトルを生成するであろう。
【0024】
その装置は、光源の概ね最大のパワーが物体ビーム経路及び参照ビーム経路に沿って誘導されるように構成される。これは、たとえば、それらのビームを部分的に遮断するために挿入される遮蔽板を使用するのを避けることによって達成することができ、これらの遮蔽板の代わりに、たとえば、反射ミラー、合焦レンズ、音響偏向器のような偏向器、屈折デバイス、光ファイバケーブル誘導装置、又はこれらの組み合わせが用いられる。ビームを部分的に遮断するのを避けることにより、効率を改善することができる。
【0025】
詳細には、第1の態様では、本発明は、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置を提供し、当該装置は、光源から光スペクトル分散手段に物体ビームを誘導するように構成される光学構成を備え、物体ビームは、使用時に、分散手段に入射する前に目標物体と相互作用するように構成され、光学構成は、光源から分散手段に参照ビームを誘導するようにさらに構成され、それらのビームは名目的には等しい経路長を有するが、その構成は、物体ビームと参照ビームとの間に相対的に小さな光路差を導入するように動作することができ、光スペクトル分散手段は、その上に入射するそれぞれのビームのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成され、光学構成は、物体ビーム及び参照ビームが分散手段上で重なり合わないように、物体ビーム及び参照ビームを誘導するように構成される分離手段を備え、当該分離手段は、物体ビーム及び/又は参照ビームを部分的に遮断するための遮蔽板を備えず、使用時に、分離手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、物体ビーム及び参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、使用時に、光路差は、固有の光学的遅延とともに、読取り素子においてチャネルドスペクトルを生成する。
【0026】
分離手段は、物体ビーム及び参照ビームを分離するために、物体ビーム及び/又は参照ビームにおいて、反射、偏向、回折、光ファイバケーブルによる個別の誘導のうちの1つの光学的な動作を実行するように構成されることが好ましい。
【0027】
スペクトル光コヒーレンストモグラフィのために用いられるとき、本発明による方法及び装置は、1つの測定ステップにおいて、ミラー項の無い断面画像を提供する。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置が提供され、当該干渉計は、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を、干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、変位手段は、物体ビーム及び参照ビームの少なくとも一方の反射、偏向又は屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、物体ビーム及び参照ビームを相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するようになっている。
【0029】
そのような干渉装置は、物体ビーム及び参照ビームを変位させるための効率的な手段を提供する。本発明の実施形態では、変位は、反射、偏向及び屈折の任意の組み合わせによって実現することができる。それゆえ、変位は、物体ビーム及び参照ビームのパワーを低減しない。
【0030】
変位手段は、物体ビーム又は参照ビームのいずれか、或いはその両方を変位させることによって、相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に相対的な変位を導入することができる。物体ビームだけが変位する場合には、相対的に変位した参照ビームは、変更されていない参照ビームと同じにすることができる。同様に、参照ビームだけが変位する場合には、相対的に変位した物体ビームは、物体ビームと同じビームにすることができる。
【0031】
それゆえ、用語「相対的に変位した物体ビーム」及び「相対的に変位した参照ビーム」を用いることは、物体ビーム又は参照ビームのうちの一方だけが変位する装置を除外しないことが理解されよう。
【0032】
変位手段は少なくとも2つの反射素子を備えることができ、当該少なくとも2つの反射素子のうちの一方は物体ビームを反射するように構成され、当該少なくとも2つの反射素子のうちの別の反射素子は参照ビームを反射するように構成される。
【0033】
変位手段は、ビームを偏向することができる少なくとも1つの音響−光学変調器を備えることができる。
【0034】
本発明の第3の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置が提供され、当該干渉計は、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、物体ビーム及び参照ビームの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を、干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系は、物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、参照光学系は、参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、物体ファイバ端及び参照ファイバ端の相対的な位置を動かすように構成される。
【0035】
変位手段は、物体ファイバ端及び参照ファイバ端の相対的な位置を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するようにさらに構成することができる。
【0036】
本発明の第4の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置が提供され、当該干渉計は、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、物体ビーム及び参照ビームの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、読取り素子上にスペクトル成分を分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を、干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系又は参照光学系のうちの一方は、それぞれ物体ビーム又は参照ビームのうちの一方を送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、変位手段は、ファイバ端を動かすことによって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される。
【0037】
変位手段は、ファイバ端を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するようにさらに構成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、変位手段は、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を変更するようになっている。
【0039】
いくつかの実施形態では、干渉計内の光路差を制御するように構成される手段を設けることができる。相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間の固有の光学的遅延を制御するように構成される手段を設けることもできる。光路差を制御するように構成される手段及び固有の光学的遅延を制御するように構成される手段は、処理手段を含むことができる。
【0040】
読取り素子は、信号アナライザに信号を与えるように構成することができ、信号アナライザは、目標物体内の深さ範囲の反射又は散乱点の分布を決定するように構成される。その装置は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を調整することにより、深さ範囲を調整するように構成することができる。
【0041】
相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの偏光と、光スペクトル分散手段の偏光とを一致させるための手段を設けることもできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、干渉計内の分散を補償するための手段を設けることもできる。
【0043】
変位手段は、変位平面内で相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整するようにされることができる。変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームが変位平面内で平行になるまで、それらのビームを調整できるようにされることができる。
【0044】
変位手段は、光路差の値が小さい場合の信号の強度を高めるために、変位平面内にある2つの相対的に変位したビームを、光スペクトル分散手段上で、調整可能に横方向に重ね合わせることができるように構成することができ、横方向に重ね合わせることは、部分的に重ね合わせることから、完全に重ね合わせることまでに及ぶ。
【0045】
変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームが光スペクトル分散手段の異なる部分に突き当たるように、それらのビームの相対的な向きを調整するようにされることができる。
【0046】
光スペクトル分散手段は、回折格子、プリズム、一群のプリズム、一群の回折格子のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0047】
光スペクトル分散手段は回折格子を含むことができ、回折格子の格子線は、相対的に変位した参照ビームの中心及び相対的に変位した物体ビームの中心を結ぶ線に対して垂直である。
【0048】
光スペクトル分散手段は、入射表面を含むプリズムを含むことができ、相対的に変位した参照ビームの中心及び変位した物体ビームの中心を結ぶ線は、このプリズムの入射表面に対する垂線とプリズムの二等分線によって画定される平面内にある。
【0049】
参照光学系は、光源のビームを反射することによって参照光源を与えるように構成される少なくとも1つの反射板を備えることができ、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの光路差を制御するために、その反射板の位置又は傾きを調整することができる。
【0050】
参照光学系は、光源からの光ビームを、ファイバ光学系に沿って、又は光が光源に戻されるのを防ぐように構成される反射板を介して、変位手段に送出するように構成することができる。
【0051】
物体光学系は、物体ビームの直径を変更するように構成される第1のズーム素子を備える。相対的に変位した物体ビームの直径を変更するために、第3のズーム素子を設けることもできる。
【0052】
参照光学系は、参照ビームの直径を変更するように構成される第2のズーム素子を備えることができる。相対的に変位した参照ビームの直径を変更するために、第4のズーム素子を設けることもできる。
【0053】
変位手段は、その光スペクトルの変調を読取り素子において検出することができる最小光路差値を調整するために、2つの相対的に変位したビーム間に調整可能な間隙を生成するように構成することができる。
【0054】
2つの横方向に変位したビームがいくらか重なることができるようにすることによって、OPD値が小さい場合の信号が高められる。これは、OPD=0の位置を多層物体内に配置することができ、OPD=0の深さの一方の側において散乱点がない場合に望ましい。
【0055】
干渉計内の2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、上記読取り素子上で完全に生じることができる。
【0056】
2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、一部が上記読取り素子上で、一部が上記光スペクトル分散手段上で生じるように構成される。
【0057】
変位手段は、光路差の値が小さい場合の信号の強度を高めるために、上記変位したビームの横方向の重ね合わせの量を調整するように構成することができる。
【0058】
処理手段は、相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間の間隙を調整して、その光スペクトルの変調を読取り素子において検出することができる最小光路差値を変更するために、変位手段を制御するように構成することができる。
【0059】
物体光学系は走査素子を備えることができ、走査素子は目標物体を走査するように構成される。走査素子は、直線走査、ラスタ走査、螺旋走査、円形走査又は任意の他のランダムな形状の走査のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを実行するように構成することができる。
【0060】
走査素子を用いて、物体の内部から、ミラー項の無い断面画像を得ることができる。種々の横断位置において断面の取得を繰り返すことにより、物体内部からのいくつかの断面を取得することができ、その後、ソフトウエア手段によって、その断面を用いて、ミラー項の無い物体の3Dボリュームが再構成される。
【0061】
物体光学系内に、物体内の特定の深さからの信号強度を高めるための合焦素子を設けることができる。
【0062】
干渉計は、ファイバ内干渉計、又はバルク干渉計、或いはファイバ内構成要素及びバルク構成要素から成るハイブリッド干渉計を含むことができる。
【0063】
上記光源は、低コヒーレンス光源であってもよい。
【0064】
読取り素子は、光検出器アレイ、CCD直線アレイ、光検出器の2次元アレイ、2次元CCDアレイ、又は分散したスペクトルがその上で走査される点光検出器を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、その装置は、物体ビーム及び参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成するように構成されるビームスプリッティング手段と、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される第2の変位手段と、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第2の光スペクトル分散手段とをさらに備え、使用時に、第2の変位手段及び第2の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームの波列間に第2の固有の光学的遅延を生成するように構成され、この第2の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第2の読取り素子上に生成することができる。
【0066】
第2の変位手段は、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するようにされることができる。
【0067】
光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段は、それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように、向きを調整することができる。
【0068】
第2の読取り素子は、第2の信号アナライザに信号を与えるように構成することができ、その装置は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて、両方の符号の光路差値を含む、目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供することができる。
【0069】
第2の光スペクトル分散手段は、1つ又は複数の回折格子を含むことができ、1つ又は複数の回折格子は、反対の符号の次数を上記読取り素子及び上記第2の読取り素子に向けて回折させるように構成される。
【0070】
光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段はそれぞれ、1つ又は複数のプリズムを含むことができ、1つ又は複数のプリズムは、相対的に変位した物体ビーム又は相対的に変位した参照ビームが光スペクトル分散手段内のプリズム頂点に最も近くなり、且つ第2の相対的に変位した参照ビーム又は第2の相対的に変位した物体ビームがそれぞれ、第2の光スペクトル分散手段内のプリズム頂点に最も近くなるように配置される。
【0071】
いくつかの実施形態では、読取り素子及び第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信され、その装置は、OPD符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される。
【0072】
いくつかの実施形態では、その装置は、変位手段と光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段であって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、第3のビームスプリッティング手段と、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するように構成される第3の変位手段と、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第3の光スペクトル分散手段とをさらに備え、使用時に、第3の変位手段及び第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成するように構成され、この第3の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第3の読取り素子上に生成することができる。
【0073】
第3の変位手段は、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するように構成することができる。
【0074】
2つの変位したビーム間の間隙が十分に大きい場合に、物体内の深さ値dMに対応する深さ間隔範囲内で、干渉計内の特定の光路差のための感度の最大値が記録される。i)感度対干渉計内の光路差及び物体内の深さの狭いプロファイルを作成するために、dMと一致する焦点、ii)感度対干渉計内の光路差及び物体内の深さのプロファイルを平坦にするために、dMとは異なる焦点を生成するように、合焦素子を調整することができる。
【0075】
光源は低コヒーレンス光源であってもよく、その出力は、光複製素子を用いて遅延したレプリカとともに送出される。
【0076】
調査されるべき物体が、その装置の深さ範囲の半分未満の厚みを有する場合、その装置が応答することができる最大光路範囲よりも小さいか、又は好ましくはこの範囲の中央付近の遅延差を生成する光複製素子を介して遅延したレプリカとともに、低コヒーレンス光源の出力をスペクトル干渉装置に送出ことができる。遅延差を導入する前は装置が応答しなかったOPD符号の深さ範囲に対して装置が応答できるようにするために、2つの変位したビーム間の間隙は、それらのビームの半径の和よりも大きくなるように調整することができ、遅延差を用いることなく破棄されたOPD値は、範囲間隔内に現われる(装置の最大深さ範囲−遅延差=装置の最大深さ範囲)。
【0077】
光複製素子は、第1の単一モード結合器を備えることができ、その出力は、光源の遅延したレプリカを生成するために、第2の単一モード結合器の2つの入力に接続される。これにより、第1の単一モード結合器及び第2の単一モード結合器を接続する2つのリード間に、遅延差だけ遅れた、光源の遅延したレプリカを生成することができる。
【0078】
光複製素子は、平行な表面を有するプレートの形をとる透明な光学材料を含むことができ、プレートは、その縁部が変位平面に対して平行になるように、光源のビームの中に途中まで導入される。
【0079】
光源は、閾値未満で駆動されるレーザを含む低コヒーレンス光源であってもよい。
【0080】
共振器長は、装置が応答することができる最大光路範囲よりも小さくすることができるか、又は好ましくはこの範囲の中央付近にすることができる。2つの変位したビーム間の間隙が、それらのビームの半径の和よりも大きくなるように調整されるとき、装置は、空洞共振器以外の低コヒーレンス光源が用いられていたなら装置が応答していなかったOPD符号の深さ範囲に対して応答できるようになる。空洞共振器以外の低コヒーレンス光源を用いるときに破棄されるOPD値は、範囲間隔内に現われる(装置の最大深さ範囲−光レーザ共振器長=装置の最大深さ範囲)。
【0081】
光源は、自己相関関数においてサテライトピークを示す、空洞共振器以外の光源であってもよく、それにより、遅延差値は、第1のサテライトピークのOPDの値に一致することができる。
【0082】
物体ビーム及び参照ビーム、又は上記変位した物体ビーム及び上記変位した参照ビームにおいて、偏光変調器及び波長板を用いて、ミラー項の無い、偏光に対して感度のある断層X線写真を提供することができる。
【0083】
本発明の第5の態様によれば、スペクトル干渉法が提供され、その方法は、干渉計を用いて、物体ビーム及び参照ビームを出力すること、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、上記物体ビーム及び上記参照ビームのうちの少なくとも一方を反射、偏向又は屈折させて、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、光スペクトル分散手段を用いて、2つの相対的に変位したビームを、それらの光スペクトル成分に応じて読取り素子上に分散させることを含み、上記物体ビーム及び上記参照ビームを反射、偏向又は屈折させて相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成すること、並びに光スペクトル分散手段を用いて2つの相対的に変位したビームを分散させることの組み合わせによって、2つの相対的に変位したビーム内の波列間に固有の光学的遅延が生成されるようになり、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを生成することができる。
【0084】
本発明の第6の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を含む、スペクトル干渉法が提供され、当該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、その方法は、物体光学系を用いて、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、変位手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成し、なお、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、光スペクトル分散手段を用いて、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させることを含み、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、変位手段は、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向又は屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、物体ビーム及び参照ビームを相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成する。
【0085】
本発明の第7の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含む、スペクトル干渉法が提供され、当該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、その方法は、物体光学系を用いて、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、変位手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成し、なお、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段を含み、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系は、物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、参照光学系は、参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、物体ファイバ端及び参照ファイバ端の相対的な位置を動かす。
【0086】
本発明の第8の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含む、スペクトル干渉法が提供され、当該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、その方法は、物体光学系を用いて、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、変位手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成し、なお、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、光スペクトル分散手段を用いて、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させることを含み、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系又は参照光学系のうちの一方は、それぞれ物体ビーム又は参照ビームうちの一方を送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、変位手段は、ファイバ端を動かすことによって、上記光スペクトル分散手段上に部分的に、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成する。
【0087】
その方法は、ビームスプリッティング手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成すること、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される第2の変位手段を用いること、並びに、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第2の光スペクトル分散手段を用いることを含むことができ、使用時に、第2の変位手段及び第2の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビーム内の波列間に第2の固有の光学的遅延を生成し、この第2の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第2の読取り素子上に生成することができる。
【0088】
第2の変位手段は、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成することができる。
【0089】
その方法は、それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように、光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段の向きを調整することを含むことができる。
【0090】
第2の読取り素子は、第2の信号アナライザに信号を与えることができ、その方法は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて、両方の符号の光路差値を含む、目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供することをさらに含む。
【0091】
読取り素子及び第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信されることができ、装置は、OPD符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される。
【0092】
その方法は、変位手段と光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段を用いて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成すること、第3の変位手段を用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整すること、並びに、第3の光スペクトル分散手段を用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させることを含むことができ、使用時に、第3の変位手段及び第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成し、この第3の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第3の読取り素子上に生成することができる。
【0093】
第3の変位手段は、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整することができる。
【0094】
その方法は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)を構成すること、並びに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の一方の出力において信号が閾値を超えないときに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の他方の出力において生じる2つのピークの最大周波数と最小周波数との間の差に基づいて、物体の厚みを判定することをさらに含むことができる。
【0095】
その方法は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)を構成すること、並びに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)それぞれの出力において信号が一度だけ閾値を超えるときに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の極限周波数の和に基づいて、物体の厚みを判定することをさらに含むことができる。
【0096】
信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、より小さな振幅の目標物体からの雑音及びピークを表す不可欠でないピークを破棄するために、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)それぞれの出力に、閾値処理回路を実装することができる。
【0097】
本発明のさらに別の目的及び利点とともに、その構造、構成、使用法、及び動作方法に関して、本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、本発明の現時点で好ましい実施形態が例示されることになる添付の図面から、さらに理解されるであろう。
【0098】
しかしながら、それらの図面は例示し、説明することだけを目的としており、本発明を制限することを意図していないことを明確に理解されたい。ここで、本発明の実施形態が、添付の図面に関連して例として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
理解するのを容易にするために、種々の図面において同じである構成要素は、同じ符号によって示されている。
【0100】
光ファイバが用いられる場合に、これは一例にすぎず、バルク型の実施態様が同じく実現可能であり、その場合には、ファイバ内構成要素を用いる個々の素子が、光路によって置き換えられ、方向性ファイバ結合器がプレートビームスプリッタによって置き換えられることになる点に留意されたい。同様に、バルク型の構成要素が用いられる場合に、それらの構成要素は光ファイバ構成要素によって同等に置き換えることができる。
【0101】
本発明のさらに別の目的及び利点とともに、その構造、構成、使用法、動作方法に関して、本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、以下に記載される説明から、さらに理解されるであろう。
【0102】
図3は、本発明の第1の実施形態によるスペクトル干渉装置100を示す。装置100は、OPDを選択することができ、白色光干渉計に基づいて明確なAスキャンを生成することができる。2つのビーム、すなわち目標物体に向かって誘導される物体ビーム及び参照ビームを生成するために、異なる干渉計構成も考えられる。光が光源に戻されるのを避けるために、図3には、再循環参照ビーム構成が示される。
【0103】
物体経路及び参照経路からの2つのビームがスペクトル解析素子上で空間的に重ね合わせられる、スペクトル(又はフーリエ領域)OCTの従来技術の実施態様とは対照的に、本発明の実施形態では、2つのビームは、スペクトル解析素子上で、互いから相対的に変位する。従来技術の構成、たとえば先に引用されたHauslerによる論文、及び米国特許第4,932,782号又は米国特許第5,317,389号に記述される構成では、干渉結果は分散素子に送信され、すなわち、干渉は分散(回折)前に生じていた。本発明の実施形態では、干渉は基本的には分散(回折)後に生じる。
【0104】
図3に示される装置は、光源1と、コリメータ素子2と、ビームスプリッタ4とを備える。ビームスプリッタ4から目標物体55に導く第1の光路41が装置内で画定される。ビームスプリッタ4から、平行移動ステージ63上に配置される2つの再循環ミラー61及び62を介して、ミラー52に導く第2の光路42が装置内で画定される。ビームスプリッタ4からミラー51に導く第3の光路が装置内で画定される。ズーム素子32が第2の光路内に配置され、ズーム素子31が第3の光路内に配置される。スペクトル解析のための光スペクトル分散手段7が、ミラー51及び52によって第2の光路及び第3の光路から反射された光ビームを受光するように構成される。光スペクトル分散手段7は、光ビームの異なる波長成分を、その波長に応じた種々の角度で、合焦素子8を介して読取り素子9上に分散させる。読取り素子9は、スペクトルアナライザ91に電気的出力を与える。プロセッサ46が、収集速度及び帯域幅に関してスペクトルアナライザ91のパラメータを制御し、その出力信号を処理すると同時に、それに同期して平行移動ステージ63並びにミラー51及び52の位置を制御する。
【0105】
図3の装置において、光源1からの光ビームがコリメータ素子2によってコリメートされ、光ビーム3が形成される。この実施形態では、コリメータ素子2は簡単なレンズであるが、他の実施形態では、アクロマート、又はミラー、或いはレンズ又はミラーの組み合わせにすることができる。
【0106】
ビーム3からの光はビームスプリッタ4によって2つのビームに分割され、物体光学系によって第1の光路に沿って物体ビーム41が形成され、参照光学系によって第2の光路に沿って参照ビーム42が形成される。目標物体55からの戻りでは、物体ビーム41は、物体光学系内の第3の光路に沿って、ビームスプリッタ4によって反射される。第3の光路からの物体ビームはミラー51によって反射されて、相対的に変位したビーム41’が生成される。参照ビーム42は2つのミラー61及び62によって反射され、その後、反射素子52によって反射されて、相対的に変位したビーム42’が生成される。この実施形態では、再循環ミラー61並びに反射素子51及び52の組み合わせは、図3に破線のブロックによって示される、変位手段57としての役割を果たす。
【0107】
2つのビーム41’及び42’は、ビーム41’及び42’の平行関係が保たれるようにして、図面の平面と同一にすることができる変位平面内で互いから相対的に変位し、そのような変位は、それらのビームの直径、及びそれらのビーム間に生成される横方向の間隙gよりも大きくすることができる。2つのミラー61及び62は平行移動ステージ63上に配置され、そのステージは、第1の経路41に沿って、さらには変位した物体ビーム41’の第3の経路に沿って分散素子7まで、又は変位したビームが重ならない場合には読取り素子9までのラウンドトリップ経路長によって形成される物体ビーム経路と、第2の経路42の長さと、変位した参照ビーム42’の経路に沿って分散素子7まで、又は変位したビームが重ならない場合には読取り素子9までの長さとによって形成される参照ビーム経路との間の、干渉計内のOPDを調整するために用いられる。2つのビーム41’と42’との間の横方向の間隙gは、ミラー51又は62、或いはミラー52を矢印によって示される方向に動かすことによって変更することができる。他の実施形態では、反射素子52は、ビームスプリッタ、又は複数のミラーの組み合わせにすることができる。0値近くの小さな値の間隙が必要とされる場合、又はビームの横方向の重ね合わせが必要とされる場合には、反射素子52はビームスプリッタを含む。横方向の間隙gの横方向の重ね合わせの量を調整することによって、2つの相対的に変位したビーム内の波列間の固有遅延を調整することができる。ミラー61及び62を経由する第2の経路が、図面の右側に進み(61を90°だけ回転させることによる)、図3に示されるように左側には進まない場合には、ミラー51はビームスプリッタにする必要がある。ズーム素子31及び32を用いて、光スペクトル分散手段7上に入るビームの直径が調整され、この実施形態では、ズーム素子31及び32はそれぞれ、2つ1組のレンズ311及び312、並びに321及び322を含む。レンズ311及び321の焦点距離に対して、レンズ312及び322の焦点距離を調整することにより、素子7に入るビーム直径を縮小又は拡大することができる。
【0108】
この説明のために、互いに対して変位している物体ビーム及び参照ビームのそれぞれの方向を指示するために、用語「相対的に変位した物体ビーム」及び「相対的に変位した参照ビーム」が用いられることに留意されたい。しかしながら、相対的な変位が、物体ビーム又は参照ビームのいずれか、或いは両方を変位させることによって導入できることは当業者には容易に理解されよう。それゆえ、用語「相対的に変位した物体ビーム」及び「相対的に変位した参照ビーム」を用いることは、物体方向又は参照方向のうちの一方だけが変位する装置を除外しないことが理解されよう。
【0109】
さらに、あらゆる実施形態において、物体ビーム及び参照ビームは、物体ビーム及び参照ビームの一方又は両方に導入される、適当に向きを調整された偏向器、光学−光学変調器、又は屈折素子によって変位させることができる。
【0110】
ここで一例として、説明を容易にするために、2つのビームは、回折格子のような簡単な分散素子に対して平行に保持されながら、分散素子7の異なる部分に入るように空間的に変位する。しかしながら、これは、互いに対する2つのビームの変位の大部分を制限すべきではなく、さらに複雑なスペクトル解析素子では、分散手段の同じ部分を用いるが、異なる角度で入射する2つのビームを含むことができ、ビームを相対的に変位させる効果は、分散手段の出力において、2つの分散したビーム間に固有の遅延差を生成することである。
【0111】
この実施形態では、光スペクトル分散手段7は回折格子である。それゆえ、2つのビーム41’及び42’の直径を変更することによって、物体ビーム41’によってNO本の格子線が励起され、参照ビーム42’によってNR本の格子線が励起される。ビーム直径を変更することは、異なるようにすることもできる。ビーム直径を拡大して、2つの最初に変位していたビーム間の間隙を完全になくすことができ、さらにはビームを重ねることもできる。
【0112】
干渉、それゆえ鮮明度を最大にするために、参照光学系内に偏光コントローラ80が示されており、それは物体光学系及び参照光学系内の偏光を一致させるために用いられる。図3には1つの素子80だけが示されており、それは実用的な状況の大部分の場合には十分であろう。しかしながら、同様に、物体光学系において、1つ又は複数の偏光コントローラを用いることもできる。この実施形態において用いられる偏光コントローラはバルク内にある偏光子である。しかしながら、ファイバ内偏光子、バルク内又はファイバ内波長板、及びそれらの任意の組み合わせを用いることもできる。
【0113】
回折格子7によって回折される光は、収束レンズ8によって読取り素子上に合焦する。この実施形態では、読取り素子はCCDアレイ9である。最適に動作させるために、レンズ8は、回折格子7から距離Fに、且つCCDアレイ9から同じ距離Fに配置されることが当該技術分野において知られている。ただし、Fはレンズ8の焦点距離である。本発明の範囲から逸脱することなく、他のスペクトル解析構成を用いることができる。たとえば、他の実施形態では、光スペクトル分散素子7は、プリズム、或いは一群のプリズム又は一群の回折格子のような他の分散手段を含むことができる。さらに、他の実施形態では、CCDアレイ9の代わりに、光検出器アレイを、又は1つの簡単な光検出器を用いることができ、その場合には、光スペクトル分散素子7からの回折した、又は分散したビームを、ガルバノメータスキャナ、共鳴スキャナ、ポリゴンミラー又は回転するプリズムのような角度のあるスキャナを用いて、点光検出器にわたって走査することができる。相対的に変位したビーム41’及び42’に起因して、分散した扇形の光線の重ね合わせから生じる合成スペクトルの形状に従って時間とともに変化する電気信号を生成するように動作することができる、任意の実施態様を用いることができる。
【0114】
読取り素子の信号出力は電子プロセッサにおいて処理され、読取り素子9によって読み取られるような光スペクトルの変調の周期性からAスキャンプロファイルが抽出される。Aスキャンは、深さ方向の反射率のプロファイルである。これは通常、フーリエ変換によって達成されるが、スペクトル解析の技術分野において知られているように、ラプラス変換、ウエーブレット変換、ヒルベルト変換等の他の手順が、種々の成形されたカーネル、ゼロパッディング、補間を用いるスペクトル平滑化と合わせて、同じ目的を果たし、光周波数の線形スケール、反復法等を提供することができる。
【0115】
この実施形態では、変位手段はプロセッサ46によって制御され、プロセッサは、再循環ミラー61、反射素子51及び52、並びにズーム素子31及び32の位置の調整を制御する。しかしながら、他の実施形態では、変位手段は手動で、又は任意の他の適当な手段によって調整することができる。
【0116】
図3の実施形態の動作を理解するために、図4を参照しながら一例が説明されるであろう。この例では、図3に示される構成内の目標物体55は多層化されており、4つの層L1、L2、L3及びL4を含む。
【0117】
図4は、図1及び本発明の実施形態による方法に関連して先に説明された従来技術の方法によって実現される深さプロファイルを比較して示す。出力ピークによって示されるように、電気スペクトルアナライザ91によって測定されるようなチャネルドスペクトルの変調に対応する周波数F1、F2、F3及びF4において、異なる事例が例示されており、各周波数は干渉計内のOPDに比例し、OPDは目標物体の層L1〜L4の深さに対応する。以下の説明では、それらの出力ピークは、その周波数として表される。ピークF1〜F4は、スペクトルアナライザ91を用いて、光スペクトルのフーリエ変換を実行することによって生成される。OPDが大きくなると、チャネルドスペクトルの密度が高くなり、そのOPDに対応する信号の周波数Fが高くなる。ピークF1〜F4は、電気的な周波数軸fに沿って表される。
【0118】
事例(a)では、OPD=0表面は多層物体の前にある。事例(b)、(c)及び(d)では、OPD=0表面は多層物体の中にある。OPD=0である位置は破線によって示される。そのような位置は、図3の平行移動ステージ63の位置によって決定される。事例(b)、(c)及び(d)では、OPDが0である位置は、第2の層L2の深さに一致するOPD位置と、第2の層がある深さよりもわずかに近い、第3の層L3に一致するOPD位置との間で調整される。事例(c)及び(d)は、OPDが特定の符号だけを有する状況に相当し、図2に関連して先に説明されたL及びRの場合に相当する。
【0119】
事例(a)では、従来技術は、そのフーリエ変換が周波数F1〜F4においてピークを有するチャネルドスペクトルを出力し、それらの周波数の位置は、深さ方向における層L1〜L4の位置に類似である。これは、深さ方向の層の正確な検出に、及び正確な断層X線写真(Aスキャン)に対応する。
【0120】
しかしながら、OPD=0表面が多層物体の内部にあるとき、従来技術の方法は、図4(b)に示されるような誤った結果を提供する。この事例では、ピークF1及びF2は層L1及びL2の深さに対応しない。さらに、ピークF2はピークF3上に概ね重ね合わせられ、F2に対して原点方向にわずかにシフトされるだけである。このわずかなシフトは、初期のOPD=0が、層L3よりも、層L2の近くにあったことによる。ピークF3及びF4だけが正確な位置を有する。
【0121】
図4bは、層の深さがOPD>0の場合、すなわち、物体経路が参照経路よりも長いときに、ピークの正確な検出が行われることを示す。しかしながら、OPD<0であるとき、層の深さのための誤った検出が行われることになる。
【0122】
図3に関連して説明された本発明の実施形態が用いられる場合には、結果として、図4(c)に示されるような信号が生じる。この場合、ピークF3及びF4だけが得られ、ピークF1及びF2は除去される。言い換えると、OPD<0に位置する全ての層がスペクトルから除去され、OPD>0の場合の深さ方向の多層構造と極めてよく似たきれいな出力が残される。回折格子に向かって誘導される2つの相対的に変位したビーム41’及び42’が除去される(swooped)場合、又はその図が先に引用されたPodoleanuの2つの論文に記載されるような事例Rに対応するように格子を回転する場合には、パルスF1及びF2がそれぞれ、層L1及び層L2の深さ位置を正確に示すことになり、一方、図4(d)に示されるように、パルスF3及びF4は除去されるであろう。干渉計内のOPDが参照経路から物体経路を引くことによって規定され、回折格子に入射する2つのビーム間の初期のOPDが適切に規定される場合には、同じ説明が当てはまるであろう。
【0123】
ズーム素子31及び32の役割は、図2の従来技術の装置の遮蔽板20によって与えられる調整よりも、OPD範囲の調整に大きな自由度を与えることである。上記の説明に基づいて、相対的に変位した物体ビーム41’が、NO本の格子線が励起されるような直径を有する場合には、物体波列は、格子を通過した後にλNOの長さである。同様に、参照ビーム42’が、NR本の格子線が励起されるような直径を有する場合には、格子を通過した後の参照波列はλNRの長さである。事例Lでは、格子通過後の物体波列及び参照波列の先端間には固有遅延Pλ+λNOがあり、格子通過後の物体波列及び参照波列の後端間には固有遅延Pλ+λNRがある。事例Rでは、格子通過後の物体波列及び参照波列の先端間には固有遅延Pλ+λNRがあり、格子通過後の物体波列及び参照波列の後端間には固有遅延Pλ+λNOがある。
【0124】
相対的に変位した2つのビーム41’と42’との間の間隙gが、P本の格子線が励起されないような間隙である場合には、事例Lの場合の2つの波列が干渉するために必要とされる最小OPDは以下の式によって与えられ、
OPDmin=Pλ+Lc
波列の重なりがないときの最大OPDは以下の式によって与えられる。
OPDmax=Pλ+λNO+λNR
【0125】
事例Rでは、上記の2つの式内のOPDmin及びOPDmaxの符号が変わるであろう。したがって、2つの相対的に変位したビーム間の間隙及びそれらのビーム直径を調整することによって、測定されるOPDの範囲を都合よく調整することができる。
【0126】
上記のPodoleanuの論文において説明されるように、チャネルドスペクトルの鮮明度は、2つの波列の重なりの量に依存する。それゆえ、上記の事例Lでは、相対的に変位した各ビームがNλ/2本の格子線を含む場合に、その鮮明度は、OPD=Lcの場合の0から、OPD=Nλ/2のときの最大値まで増加する。小さなOPDの場合の信号の強度を高めるために、2つの変位したビームを部分的に横方向に重ね合わせることが望ましい場合もある。これは、2つの相対的に変位したビーム内の波列間の固有遅延をNλ/2未満に減少させる。S本の格子線が、横方向に変位した両方のビームによって含まれる場合について考える。これは、範囲OPD<0内の散乱点によって0以外の鮮明度が生成されるという不都合を有するであろう。より正確に言うと、OPD>OPDmin=−Sλの場合に、アナライザ91に送出される信号のフーリエスペクトル内にピークが生成されるであろう。
【0127】
範囲−Sλ〜Lc内のピークが、範囲Lc〜Sλに対応するピークに重ね合わせられて、再び、結果として不正確なAスキャンプロファイルが生じるであろう。しかしながら、組織の前にあるOPDの領域がOPD=−Sλまで鮮明である場合には、フーリエスペクトル内にピークは現われないことになり、そのように調整することによって、小さなOPD値の場合のAプロファイルの強度を高めるという利点を達成できる。
【0128】
図5は、本発明による、OPDを選択することができるスペクトル干渉装置の第2の実施形態を示す図である。図5に示される実施形態は、図3に関連して説明されたものと構成に関して類似であるが、さらに、プロセッサ46に接続される発生器34と、XYスキャナヘッド10と、走査光学系12と、合焦素子15とを備える。その装置は、多層物体55からのAスキャンだけでなく、3D断層X線写真体積測定データも送出するように構成される。
【0129】
XYスキャナヘッド10が駆動されていないときに、そこから現われる物体ビーム41の方向が光学軸を規定するものとする。X及びYがその光学軸に対して垂直な平面内にある座標軸であり、Zがその光学軸に対して平行な座標軸である座標系を考える。
【0130】
走査用光学系12を介して、横断するように目標物体55にわたって物体ビーム41を走査するためにXYスキャナヘッド10が設けられる。合焦素子15が、検査されるべき目標物体55、たとえば組織上に光を合焦する。一般性を損なうことなく、物体55の目標エリアとして、図5には目の網膜が示されており、合焦素子15は眼レンズである。組織55が皮膚である場合には、合焦素子15を通過した後の光線が標準的には、深さ方向の軸と平行に現われるように、走査用光学系12が変更される。また合焦は、走査用光学系12内の光学素子を変更することによって、又はコリメータ素子2を動かすことによって、又はビームスプリッタ4とスキャナヘッド10との間に適当な光学素子を追加することによっても果たすことができることも理解されよう。別個に、又は一緒に用いられるそのような素子は、目の網膜又は皮膚のような多層物体55に適用することができる合焦手段の役割を果たす。その走査は、発生器34の制御下にある。横断面内の点(X,Y)毎に、図3の実施形態と同じ構成要素を用いて、その装置によってAスキャンが生成される。1つのスキャナが固定される場合、平面(X,Z)又は(Y,Z)内の組織の断面を得ることができる。ただし、Zの向きは深さ方向に沿っている。これは、超音波の用語に従って、OCT Bスキャン画像と呼ばれる。Bスキャンが他の座標軸、それぞれY又はXに沿って繰り返されるとき、組織の全体積を調査することができる。別法では、2つの座標は、光学軸に対して直交する横断面内の極にすることができる。さらに、スキャナは、横断面内で円形を描くようにして駆動することができ、その場合に、Bスキャン画像は、深さ方向の軸に沿って向けられる円柱の横方向のサイズに沿っている。
【0131】
図5のプロセッサ46はさらに、AスキャンプロファイルからBスキャン画像を生成し、アナライザ91のAスキャン生成を、一方又は両方の横断スキャナの動きと同期させるという意味で、図3に関連して説明されるプロセッサよりも進んだ機能を有する。XYスキャナの両方のスキャナを制御すること同期して、数多くのBスキャン画像が生成されるとき、3D体積測定データの生成において、さらに多くの機能が必要とされる。
【0132】
図6は、本発明による、OPDを選択することができるスペクトル干渉装置の第3の実施形態を示す。この実施形態を用いて、多層物体55のOCT Bスキャンを送出し、3D調査を実行することができる。この実施形態では、光ファイバ及びバルク光学系のハイブリッド構成が用いられる。
【0133】
図6に示される実施形態は、単一モードの方向性結合器40を用いて、光源1からの光を、ファイバリード36の出力の物体ビームと、ファイバリード38の出力の参照ビームとに分割する。ファイバリード36は、光をコリメータ素子2に供給するように構成される。図6の物体経路光学系の残りの部分は、図5に関連して説明されたものに類似である。合焦素子2によってコリメートされた光はビーム3を形成し、そのビームは、ビームスプリッタ4を経由して、第1の光路41に沿って走査用素子10に送出され、その後、走査用光学系12及びレンズ15を経由して、物体55に向かう。物体55から後方散乱された光は、第1の光路41に沿って戻り、ビームスプリッタ4によって第3の光路に沿って偏向され、ズーム素子31を介して、ミラー51に誘導される。
【0134】
ファイバリード38の出力の前にファイバループ49が設けられ、ファイバリード38は、参照ビーム42を形成するために、コリメータ33に光を供給するように構成される。これは、第2の光路42に沿って、ズーム素子32を介して、ミラー52に送られる。この実施形態では、ファイバリード38は平行移動ステージ81上に配置され、そのステージそのものは平行移動ステージ63上に配置される。平行移動ステージ63の役割は、先行する実施形態に関連して先に説明されたものと同じである。平行移動ステージ81を用いて、ファイバリード38の位置が動かされる。他の実施形態では、平行移動ステージ81は、存在する必要はない。
【0135】
偏光を一致させるために、参照光学系内の自由空間ビームのために設けられる偏光コントローラ80のほかに、物体光学系のファイバリード36内に補助偏光コントローラ85が設けられる。先行する実施形態の場合と同様に、偏光コントローラは不可欠ではなく、なくすこともできる。
【0136】
図5の実施形態と同様に、スペクトル解析素子7に突き当たる前に、ミラー51及びミラー52を用いて、物体ビーム及び参照ビームを互いに横方向に変位させて、相対的に変位した物体ビーム41’及び相対的に変位した参照ビーム42’が生成される。先に説明された実施形態の場合と同様に、ミラー51又は52の代わりに、ビームスプリッタを用いることもできる。
【0137】
OPD=0である位置を調整するために、当業者が考えることができるような種々の実施態様が実現可能である。1つのそのような実現可能な実施形態が図6に示されており、ファイバリード38の端部及び参照経路内のコリメータ33が軸方向スキャナ63上に配置され、ファイバリード38がファイバループ49を備えており、動かすことができるようにする。
【0138】
相対的に変位した参照ビーム42’のビーム直径が異なる焦点距離のコリメータ素子33を用いて調整できること、及びズーム素子32をなくすことができることも当業者には容易に明らかになるであろう。同様に、相対的に変位した物体ビーム41’のビーム直径は、異なる焦点距離のコリメータ素子2、及び第1の経路に沿った合焦素子を用いて調整でき、その場合に、ズーム素子31をなくすことができる。
【0139】
この実施形態では、ミラー51及び52の位置及び傾きは手動で調整される。しかしながら、検出されるべき最小経路差を調整するために、変位手段をプロセッサ46によって制御して、変位平面内の2つのビーム間の間隙を調整することもできることも、当業者には容易に明らかになるであろう。たとえば、これは、図5において、平行移動ステージ63の上に別の平行移動ステージを用いて、ミラー62を矢印の方向に、又はミラー61及び62の両方を動かすことによって実施することができる。
【0140】
さらに、平行移動ステージ81を用いて、図6に示される構成においてビームの相対的な変位を調整できることも理解されよう。平行移動ステージ81は、平行移動ステージ63を動かす矢印に対して垂直な方向にファイバ端38及び合焦素子33を動かすことができ、それゆえ、図面の平面において、ビームの変位に影響を及ぼし、変位手段としての役割を果たすことができる。
【0141】
図6において、ビーム42及び41は互いに異なる平面内に存在する場合があり、図面の平面の外側に存在する場合もあることが理解されよう。これらの状況では、反射板51及び52を用いて、分散素子7に突き当たる前に、そのような位置合わせ不良が補償され、ビーム41’及び42’が変位平面内に入れられる。2つのビーム41’及び42’の変位平面が図面の平面から外れている場合もある。そのような場合には、素子7内のプリズム(又は第1のプリズム)或いは回折格子(又は第1の回折格子)の表面に対する垂線が、2つのビームに対して垂直な方向に描かれる2つの変位したビームの中心を結ぶ線に対して垂直になるように、分散素子7を傾けることが不可欠である。素子7を通過した後のスペクトル分散された光線の方向は図面の平面から逸脱し、それゆえ、チャネルドスペクトルのコントラストを最大にするように、すなわち、合焦素子8の中心への垂線及び読取り素子9の中心への垂線が扇形の分散した光線によって画定される新たな平面内に入るように、合焦素子8及び読取り素子9を位置合わせし直さなければならないことが理解されよう。
【0142】
本発明の第4の実施形態が図7に示される。この実施形態は図6に関連して説明される実施形態に類似であり、相対的に変位したビームを生成するために、物体ビーム及び参照ビームを変位させるための別の実現可能な実施形態を示す。
【0143】
この実施形態では、単一モードの方向性結合器40が、光源1からの光を、物体経路光学系内のファイバリード36の出力における物体ビーム、及び参照経路光学系内のファイバリード38の出力における参照ビームに分割する。
【0144】
物体経路光学系は図6に関連して説明される光学系に類似である。図6の構成と同様に、参照経路光学系は、ファイバリード38の出力の前に設けられるファイバループ49を備えており、ファイバリード38は、光をコリメータ33に供給し、参照ビーム42を形成するように構成される。ファイバリード38は平行移動ステージ81上に配置され、そのステージそのものは平行移動ステージ63上に配置される。平行移動ステージ63の役割は、先行する実施形態に関連して先に説明されたものと同じである。
【0145】
図6の構成とは対照的に、この実施形態のビームスプリッタ4は、物体ビーム41及び参照ビーム42の両方によって用いられ、2つの変位したビーム間の間隙は、ファイバ端38及びコリメータ33を保持するステージ81を横方向に動かすことによって調整される。
【0146】
それゆえ、この構成では、ビームスプリッタ4は、物体経路光学系内のメインスプリッタとして機能するだけでなく、参照ビーム42を横方向に変位させるためのミラーとしての役割も果たす。それゆえ、この実施形態の変位手段は、ファイバ端38及びビームスプリッタ4を動かすための手段を含む。
【0147】
図7に示される構成では、ビームスプリッタ4の比は、目標物体55から戻される物体ビームがほとんど減衰を受けないような比であり、それは、反射係数よりも大きな透過係数を有するビームスプリッタ4によって達成される。図6の構成は、透過係数よりも大きな反射係数を有することが理解されよう。
【0148】
この実施形態では、さらに別のミラー構成58が、相対的に変位した参照ビーム41’と、目標物体55から反射されて、ビームスプリッタ4を通過する物体ビームの部分とを受光するように配置される。相対的な変位をさらに調整するために、このミラー構成58を用いて、ビームスプリッタ4からのビームが傾けられる。しかしながら、他の実施形態では、ミラー構成は存在する必要はなく、変位手段は、ビームスプリッタ4及び平行移動ステージ81の組み合わせだけを備えることができる。
【0149】
ミラー構成58と分散手段7との間の経路内にズーム素子31及び32が設けられる。これらのズーム素子は、先に説明されたのと同じようにして、相対的に変位したビームの直径を変更することができる。上記の実施形態の場合と同様に、ズーム素子31及び32はオプションであることが理解されよう。ズーム素子は、変位手段の前に配置することもできる。
【0150】
物体55から後方に反射される信号の収集を改善するために、図6及び図7を参照して説明された両方の構成において、ビームスプリッタ4の代わりに3つの入力ポートを有するサーキュレータを用いることができ、その場合、サーキュレータ入力(第1のポート)はファイバ36に直に接続され、第2のポートはスキャナヘッド10に向かって誘導され、第3のポートは、コリメータを介して、ミラー51に向かって光を送るために用いることができる。さらに、図8に示されるように、2つのそのようなサーキュレータを用いることもできる。本発明の第5の実施形態が図8に示される。この実施形態では、物体光学系及び参照光学系はいずれもファイバ内サーキュレータを用いる。
【0151】
この実施形態では、単一モードの方向性結合器40が、光源1からの光を、物体経路及び参照経路に分割する。光は、物体経路に沿って物体サーキュレータ71まで進む。物体サーキュレータ71から出力される光は、合焦素子2を介して、光学系内の目標物体55に向かって送られ、目標物体55から戻される光は,サーキュレータ71に戻されて、ファイバ端36に向かって送られる。
【0152】
光は、参照経路に沿って、単一モードの方向性結合器40から参照サーキュレータ72まで進む。サーキュレータ72から出力される光は、合焦素子75、この実施形態ではレンズを介して、平行移動ステージ63上にあるミラー74に向かって送られる。参照光学系内のミラー74から戻される光は、サーキュレータ72を介して、ファイバ端38に向かって送られる。
【0153】
物体光学系からの光はファイバ端36から出力され、ズーム素子31、この実施形態では屈折率分布レンズ(GRIN)レンズを通過する。参照光学系からの光はファイバ端38から出力され、ズーム素子32、この実施形態では同じくGRINレンズを通過する。この実施形態では、ファイバ端及びそれぞれのズーム素子はいずれも、ファイバ端の相対的な位置を調整することができるステージ(図示せず)に載置される。
【0154】
その後、ズーム素子31及び32からの光は、ミラー構成58を通過する。ミラー構成58から出力される2つのビーム41’及び42’は互いに対して相対的に変位し、分散素子7の異なる部分に入る。
【0155】
この実施形態では、ビーム41’及び42’の相対的な変位(たとえば、2つのビーム41’及び42’間の間隙)は、ビームを適当に反射するミラー構成58、ファイバ端36及び38の相対的な位置を動かすステージ(図示せず)、並びにビームの直径(それゆえ、ビーム間の間隙)を変更するGRINレンズの組み合わせによって調整される。
【0156】
しかしながら、他の実施形態では、分散手段に入るビームの変位はミラー構成58だけによって調整することができ、ファイバ端及びズーム素子のためのステージはオプションである。さらに、その変位は、ファイバ端を動かすことだけによって調整することができ、ミラー構成58及びズーム素子はオプションである。さらに、その変位は、ビームの直径を変更するズーム素子だけによって調整することができ、ファイバ端のためのステージ及びミラー構成58はオプションである。別法では、その変位は、上記の3つの要因のうちの任意の2つの組み合わせによって達成することができる。
【0157】
ビームスプリッタ及び少なくとも1つのミラーを含むミラー構成58を用いて、図8の構成では、ビーム41’とビーム42’との間の間隙を0にすることができることが理解されよう。1つのミラーを用いて、ビームを45°だけ回転させて、その後、第2のミラーを介して、反対方向に45°だけ回転させて、他方のビームの近くに送出される。この場合には、間隙は小さいが、その間隙を0にしたり、ビームを重ね合わせたりすることはできない。第2のミラーがビームスプリッタである場合には、2つのビームは、図5に示されるように、完全に重ね合わせることができる。
【0158】
ミラー構成の前後に他のズーム素子を載置して、分散素子7に向かって送出されるビームの直径を変更することもできる。
【0159】
さらに、コリメータ素子2の後の物体光学系内に横断スキャナを用いることができるか、又は多重化されたセンサアレイに繋がるファイバ内に保持することができる。これらのスキャナを用いて、図5及び図6に関連して先に説明されたようにして、目標物体55を走査することができる。
【0160】
この実施形態では、干渉計内の光路差は、この実施形態の移動ステージ63を動かすことによって調整される。別法では、干渉計内のOPDは、A. M. Rollinsによる「Aspects of basic OCT engine technologies for high speed optical coherence tomography and light source and other improvements in optical coherence tomography」というタイトルの米国特許公開第20030137669A1号に記述されるような、スペクトル走査遅延線と呼ばれるものを用いて調整することができ、その場合、回折格子又はプリズムの後にあるガルバノメータミラーを用いて光が角度偏移され、ガルバノメータミラーは、フェムト秒レーザパルスを処理するために最初に開発された原理に基づいて、光周波数の線形位相を時間遅延に変換することに基づいて動作する。そのような方法は、分散を補償するという利点も提供する。伝送時のスペクトル走査遅延線は、図3、図5、図6及び図7の実施形態においても用いることができ、そのようなデバイスが、J. A. Izattによる「Optical Imaging Device」というタイトルの米国特許第6,564,089B2号に開示される。
【0161】
図9に関連して本発明の第6の実施形態が説明される。この構成では、相対的に変位した物体ビーム41’及び相対的に変位した参照ビーム42’がビームスプリッタ99に与えられる。相対的に変位したビームは、たとえば、反射、偏向、屈折、ビーム直径を変更すること、ファイバ端を動かすこと、又はこれらの任意の組み合わせによって、先に説明された方法の任意の方法において生成することができる。
【0162】
それゆえ、ビームスプリッタ99は、2組の相対的に変位したビームを生成する。1組の相対的に変位したビーム41’及び42’は、ビームの相対的な変位をさらに調整することができるミラー構成59に与えられる。図9に示されるように、ミラー構成59は、ビームスプリッタの前のgの値から、ミラー構成59の後のg’まで、ビーム間の横方向の間隙を調整することができる。その後、相対的に変位したビーム41’及び42’は分散手段7に対して出力され、分散手段7は、先に説明されたようにして、そのスペクトル成分を読取り素子9上に分散させる。読取り素子9は、スペクトルアナライザ91に電気的出力を与える。
【0163】
他方の組の相対的に変位したビーム41は、同じくビームの相対的な変位をさらに調整することができる第2のミラー構成59’に与えられる。図9に示されるように、ミラー構成59’は、ビームスプリッタの前のgの値から、ミラー構成59’の後のg’’まで、ビームの前からのビーム間の横方向の間隙gを調整することができる。ミラー構成59’から出力されるビームは、第2の相対的に変位したビーム41’’及び42’’と見なすことができる。その後、第2の相対的に変位したビーム41’及び42’は第2の分散手段7’に対して出力され、第2の分散手段は、先に説明されたようにして、第2の読取り手段9’上に、そのスペクトル成分を分散させる。第2の読取り手段9’は、第2のスペクトルアナライザ91’に電気的出力を与える。
【0164】
先に説明された実施形態と同様に、分散した光は素子8及び8’によって読取り素子9及び9’上に合焦する。上記のことから、2つのビーム間の間隙(すなわちg’及びg’’)が、分散手段、合焦素子8及び読取り素子9の組み合わせにおいて固有遅延を生成し、第2の分散手段7’、第2の合焦素子8及び第2の読取り手段9の組み合わせにおいて第2の固有遅延を生成することが理解されよう。到来する変位した各ビームの方向に対する2つの分散手段7及び7’の向き及び空間的な位置によって、固有遅延及び第2の固有遅延が反対の符号を有するようになる。
【0165】
この実施形態では、回折格子が分散手段7及び第2の分散手段7として用いられ、反対の符号を有する固有遅延及び第2の固有遅延は、分散手段7内の回折格子が、第2の分散手段7内の回折格子とは反対の符号の次数を回折するように構成されることによって達成される。
【0166】
分散手段7及び第2の光分散手段7がそれぞれ、1つ又は複数のプリズムを含む場合には、1つ又は複数のプリズムは、相対的に変位した物体ビーム41’又は相対的に変位した参照ビーム42’のうちの一方が、分散手段7内のプリズム頂点に最も近くなり、第2の相対的に変位した参照ビーム42’’又は第2の相対的に変位した物体ビーム41’がそれぞれ、第2の光分散手段内のプリズム頂点に最も近くなるように配置することができる。
【0167】
上記の結果として、一方のスペクトルアナライザ91が、一方の符号のOPD、たとえば正のOPD値(「チャネルP」)のための信号を出力し、他方のスペクトルアナライザが反対のOPD符号、すなわち負のOPD値(「チャネルN」)のための信号を出力することが理解されよう。
【0168】
各チャネル内の2つの相対的に変位したビーム間の間隙g’及びg’’は、ミラー構成59及び59’によって別個に調整することができる。この実施形態では、ミラー構成59及び59’は、2つのビームを横方向に変位させるために、図3、図5、図6、図7及び図8に関連して先に説明されたものに類似のミラー及びステージを含む。しかしながら、先に説明された変位手段を形成することができる任意の他の素子を、ミラー構成59及び59’の代わりに用いることができることが理解されよう。さらに、そのような変位手段を1つ追加するだけで十分に機能できることが理解されよう。
【0169】
これらは、2つのビームを横方向に変位させるために、図3、図5、図6、図7及び図8において用いられた手順に類似のミラー及びステージを用いる。原理的には、初期の間隙gが0でなかった場合であっても、変位素子を用いることによって、2つのビームを重ね合わせることもできる。2つの変位手段を用いることにより、検出することができる最小OPDの絶対値、及び、各チャネルにおいて最大感度が達成される深さ方向の位置に関して、2つのチャネルを別個に調整できるようになる。
【0170】
これまでに説明された実施形態の任意のものと組み合わせて用いられる場合には、電気スペクトルアナライザ91を用いて、正(又は負)の符号のOPDのためのAスキャンを提供することができ、第2の電気的スペクトルアナライザ91’が、負(又は正)の符号のOPDのためのAスキャンを提供することができる。
【0171】
この実施形態では、スペクトルアナライザ91及び第2のスペクトルアナライザ91’の出力を受信するために、合成素子92が設けられる。合成素子92は、2つのAスキャンを一緒にして、個々のスペクトルアナライザ91及び91’によって与えられる2倍の深さの範囲のAスキャンを与える。
【0172】
各チャネルが一方の符号のOPDの場合に0以外の鮮明度を有するのを確実にするために、そのようなデュアルチャネルの実施形態だけは、2組の相対的に変位したビームが重ならないようにする必要がある。このようにして、2つのチャネルPとNとの間のクロストークがなくなり、すなわち、任意の符号の所与のOPDの場合に、スペクトルアナライザ91又は91’のいずれかの出力に信号が現われ、両方の出力には現われない。
【0173】
各チャネルが範囲|OPD|max=Dを有する場合には、合成素子92は範囲−D〜D、すなわち各チャネルの2倍の範囲の信号を与えることになるが、中心にある間隙はOPD=0を中心にして−Lc〜Lcである。その間隙がビーム直径よりも大きい場合には、各チャネル内の最小|OPD|はコヒーレンス長LCよりも長くなり、ゼロ経路不均衡の周囲の間隙は広くなる。
【0174】
図9の構成を用いて、範囲−D〜DのいくつかのAスキャンからBスキャンOCT画像を構成する場合には、その画像は、ゼロ経路不均衡の周囲において、画像の中央に消失コントラスト(低コントラスト、0になる傾向がある)を有するであろう。これはイメージングのための不都合であると考えることもできるが、物体の動きにかかわらず、ミラー項によって画像が歪むことがないという利点を有する。画像内の各ピクセルは、所与の符号のOPDだけに対応することになり、同じ係数であるが、符号が反対であるOPDに起因するクロストークは生じない。
【0175】
図9のAスキャン出力特性が図10a〜図10cに関連して説明されるであろう。
【0176】
図10aは、深さ方向における反射率の仮定的な減衰を示しており、簡単にするために、それは深さとともに直線的に減衰するものと見なされる。図10bは、図9の構成の2チャネルの2つの鮮明度プロファイルを示しており、動作方式Lの一方のチャネルは正のOPDを選択し、動作方式Rの他方のチャネルは負のOPDを選択し、それらの結果が合成素子92において加算される。
【0177】
図9の実施形態の鮮明度プロファイル全体の結果を、図10aに示される減衰と組み合わせると、図10cに示されるように、最終的に、負及び正のOPDの範囲において減衰が生じる。
【0178】
比較のために、ミラー項を除去するための位相シフト干渉法を用いる既知の方法の出力が図11a〜図11cに関連して説明されるであろう。
【0179】
図11aは、深さ方向における反射率の仮定的な減衰を示しており、簡単にするために、それは深さとともに直線的に減衰するものと見なされ、図10aに示されるのと同じである。
【0180】
位相シフト法を用いてミラー項を避ける既知の方法の場合の鮮明度プロファイルが図11bに示されており、OPD=0付近で最大になる。
【0181】
図11aに示される減衰と、図11bの鮮明度プロファイル全体とを組み合わせる結果として、図11cに示されるプロファイルが生じる。
【0182】
本発明による方法、並びに位相シフト干渉計及び少なくとも3つの測定に基づいてミラー項を避けるために従来技術において用いられる方法のいずれの方法によっても、歪みのあるAスキャンプロファイルが生成される。いずれの方法も、コヒーレンス長未満の|OPD|の場合のチャネルドスペクトルが存在しないので、フーリエ変換信号を出力しないが、本発明の方法は、コヒーレンス長よりもわずかに大きな|OPD|の場合の消失値を生成するのに対して、位相シフト法は、最大強度信号を生成する。本発明による方法は、物体内の2つの深さにおける画像のコントラストを高めるのに対して、従来技術の既知の方法は概ねOPD=0である。いずれの場合でも、図10c及び図11cに示される出力結果を、それぞれ図10b又は図11bの鮮明度プロファイルと逆畳み込み演算することによって、原理的には、正確なAスキャンプロファイルを推定することができることが理解されよう。しかしながら、本発明による方法及び装置は物体の動きを許容するのに対して、最新技術の方法は、図11cの結果を生成するために、少なくとも3つの測定を必要とする。
【0183】
図10c及び図11cに示されるAスキャンの近似プロファイルは、大きな焦点深度を考慮する。しかしながら、実際には、合焦光学系の共焦点プロファイルは深さ範囲Dよりも狭くなる場合があり、その場合には、Aスキャンの正確なプロファイルを推定するために、鮮明度は、合焦による共焦点プロファイルと乗算されなければならない。図10bに示される鮮明度プロファイルと、図11bに示される最新技術の鮮明度プロファイルとの間の差は、目標物体、たとえば組織内の焦点位置の異なる調整を必要とする。最新技術の場合、鮮明度対OPDの減衰を補償するために、焦点はいつでも組織内の深くに調整されるのに対して、本開示では、焦点は、装置の全感度を平坦にするために、OPD=0の近く又はOPD=D=Nλの近くのいずれかに調整することができる。
【0184】
さらに、本発明のそのような実施形態は、OPD値を選択する特有の可能性を提供し、焦点を調整して、Nλ/2の近くにある鮮明度最大位置と一致させることができ、その場合に、結果として、概ねNλ/2の狭いプロファイルが生成され、それは、図11bに示されるように、OPD=LCにおいて達成される最大値から、鮮明度がOPDとともに連続して減少する最新技術の場合には実現できない。
【0185】
図9に関連して説明される実施形態は、S個のセンサを読み取ること、又は目標物体55からOCT画像を生成することに一般化することができ、その場合には、異なるS個のチャネルがその自らのOPD範囲を選択し、そのOPD範囲は、異なる最小OPDと、感度が最大値を達成する異なるOPD値とを有する。これを果たすために、ビームスプリッタ99の代わりに、いくつかの光スプリッタを用いて、それぞれ自らの読取り素子9、9’、9’’、9’’’、...及び自らの変位手段57、57’、57’’、57’’’、...を備えるS個の光分散手段7、7’、7’’、7’’’、...に物体ビーム及び参照ビームの対を与えることができる。図9には、それぞれ1つの符号のOPDに対して感度を有し、それゆえP及びNと呼ばれる2つのチャネルだけが示された。いくつかのS個のチャネルが用いられる場合、いくつかのチャネルは正のOPDに対して感度を有し、すなわちチャネルPにすることができ、いくつかのチャネルは負のOPDに対して感度を有し、すなわちチャネルNにすることができる。
【0186】
さらに、図9に示される構成は、ビームスプリッタ99に2つの相対的に変位したビーム(間隙gを有する)を与えるが、他の実施形態は、ビームスプリッタ99に、変位していない物体ビーム及び参照ビームを与えることができる。その際、そのような実施形態では、各チャネルにおいて変位手段を用いて、各チャネル内のビームの変位が調整されるであろう。
【0187】
物体が単層の表面である場合には、図9に関連して説明されたような異なるチャネルを有する実施形態を用いて、イメージングとは異なる機能を達成することができる。
【0188】
図9は、2つの周波数/振幅変換器93及び93’を示しており、それらは読取り素子9及び9’からの出力を受信する。周波数/振幅変換器93及び93’は、読取り素子9及び9’によってそれぞれ送出される信号の周波数を、信号入力振幅に関係なく、大きさに変換し、すなわち、|OPD|が大きくなると、出力信号の強度が高くなる。しかしながら、周波数/振幅変換器のからの信号の1つがインバータ94によって反転され、その結果が、加算器ブロック95において、他方の変換器の信号と加算される場合には、−D〜+Dの範囲内のOPDの正及び負の値のための正の値及び負の値を含む、OPDに比例するDC信号950が得られる。
【0189】
同様に、ミラーの軸方向の位置を追跡する際には、一部を使用して、それぞれ1つの符号のOPDの場合だけの出力信号930又は930’を得ることができる。同じことが、図3、図5、図6、図7及び図8に提示されるような実施形態の場合も当てはまり、1つの符号のOPDだけに対して感度を有するように調整することができることは明らかであろう。図9の実施形態、又は1つの周波数/振幅変換器を備える図3、図5〜図8の実施形態のような実施形態は、生体の目の角膜の軸方向の位置を高速に追跡するという当面の応用形態を有することができる。
【0190】
本発明による方法はOPD符号に対して感度を有することができるので、顕微鏡スライドのような、プレートの厚みを測定するための新規の方法を考案することができる。光学的なプレート厚がD/2未満である場合を考える。ただし、Dは、図9に示されるような構成内の各チャネルのOPD範囲である。プレート位置が、深さ方向の軸に沿ってランダムに振動する場合には、
(a)両方の界面が正のOPD範囲内にある、
(b)一方の界面が正のOPD範囲内になり、他方の界面が負のOPD範囲内にある、
(c)両方の界面が負のOPD範囲内にある、ということが起こり得る。
【0191】
事例a及びcの場合、すなわち、両方の界面が同じOPD範囲内にある場合、各チャネルのAスキャン内に2つのピークが存在し、一方、他方のチャネルのAスキャンにはピークは存在しない。この場合、Aスキャン内の2つのピークの位置に対応する2つのOPD値を差し引くことによって、厚みを推定することができる。
【0192】
事例bの場合、2つのチャネルのAスキャンには、それぞれ1つのピークだけが存在する。この場合、2つのピークの周波数を、各チャネルだけによって送出される1つの周波数と加算することによって、厚みを推定することができる。別法では、信号930及び930’の和が厚みを与えることができる。
【0193】
上記の事例a、b、c又は用いられる処理方法がいずれであっても、電気信号アナライザ91、91’又は合成器92によって、或いは周波数変換器93及び93’によって送出されるAスキャンでは、得られた厚み値が、顕微鏡スライドの軸方向への動きを許容できる。
【0194】
この方法は、軸方向への目の動きを許容できる、トポグラフィのための網膜厚又は角膜厚の迅速な測定に拡張することができる。雑音に起因する誤った結果を避けるために、各電気アナライザ91及び91’の後に閾値処理回路を用いることができる。
【0195】
図9は、振幅変換器93及び93’並びに信号アナライザ95を有するものとして示されるが、イメージングだけが要求される場合には、これらは不可欠ではない。
【0196】
2つの変位したビームの半径の和よりも大きな、2つのビーム間の間隙を有する、図3、図5、図6、図7及び図8に関連して先に説明される実施形態では、深さに関して特有の選択を実現する。所与のOPD値が、容認された符号(すなわち、構成に応じて正又は負)を有する場合には、その値は周波数値fに、すなわちチャネルドスペクトル内のピーク及びトラフの繰返しに変換される。同時に、反対の符号を有する同じOPDは、いかなるチャネルドスペクトルも生成しない。したがって、2つの事例の場合、読取り素子9の信号出力において、周波数fが生成されるか、又は周波数が生成されないことになり、その装置は1つの符号のOPDに対してだけ大きな感度を有する。その装置は、他の符号のOPDに対して感度を有することもでき、それでも、物体内の深さ方向の散乱体の分布を、又は先に説明されたように、光源を変更することによって分布センサ内のOPDの分布を固有に再現することができる。
【0197】
低コヒーレンスの光源ビームが、遅延差Δを介して、干渉計に送出される場合には、OPD=0の場合、遅延差に対応する成分が周波数faのチャネルドスペクトル内に存在する。この場合、所与のOPD値の場合に読取り素子9によって送出される信号の周波数は同じくfであるが、周波数f+faのチャネルドスペクトル内に別のピークが現われる。干渉計内のOPDが反対の値を有する場合には、変調周波数はfa−fである。これにより、その符号に応じて、OPDの選択が異なり、周波数値を有するか否かの代わりに、OPD符号に応じて、0とは異なる2つの周波数が生成される。
【0198】
その原理を示すために、物体が光学的な厚みT<Dを有する場合を考える。ただし、Dは、その装置の最大深さ範囲である。スペクトル分散手段が回折格子である場合を考える。この場合、最大深さ範囲は、D=(NO+NR)λとして近似することができる。ただし、NO及びNRはそれぞれ、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームによって含まれる格子線の数である。変位したビーム間の間隙が、それらの半径の和よりも大きく、装置が一方の符号のOPDに対してだけ感度を有する場合を考える。回折格子の向きは、装置が正の符号のOPDだけを選択するような向きであるとする。物体内の全ての層が正の範囲の深さ内にあるとき、読取り素子の信号出力のスペクトル内の全ての周波数はkDまでの範囲にある。ただし、kはOPD値と電気的な周波数との間の装置変換係数である。
【0199】
全ての層が、図3の実施形態によって生成されるAスキャン、又は図5〜図8の実施形態によって生成されるBスキャン画像内に存在する。物体が偶然に装置の近くに動く場合には、正のOPD範囲内の層のための周波数が生成され、負の範囲内の物体の層のための周波数は生成されない。物体が装置の極めて近くにあり、その中央の厚みがOPD=0に対応するという極端な事例を考える。この場合、T/2からTまでの層はAスキャン又はBスキャン画像内に表示され、0〜T/2の層は除去される。しかしながら、これらの層は、光源から到来する低コヒーレンスビームが複製され、遅延差Δだけ遅延される場合には、再現することができる。ただし、T<Δ<Dである。この場合、物体の上部付近の散乱体はkΔに近い周波数を生成し、一方、物体の中央付近の散乱体は周波数k(Δ−T/2)を生成する。T/2〜Tの層は、kT/2まで昇順に周波数を決定し、一方、負のOPD範囲内の層は、k(Δ−T/2)〜kΔの周波数範囲において降順に送出される。Aスキャン又はBスキャンの2つの部分を合成して、ソフトウエア手段によって画像を再構成し、正確な画像を与えることができる。全ての層が負のOPD範囲の中に入る場合には、厚みTのための連続した完全なAスキャン又は連続した完全なBスキャンが得られるが、高い周波数から低い周波数まで、すなわちk(Δ−T)からkΔまで反対に向けられ、しかしながら正確であり、層の重なりはない(ミラー項は無い)。
【0200】
Δだけ遅延した光源のレプリカを生成するために種々の方法がある。たとえば、直列に接続される2つの単一モード結合器を用いることができ、第1の結合器の2つの出力が第2の結合器の2つの入力に接続され、マッハ−ツェンダー構成が形成される。この構成では、2つの結合器間に接続されるファイバの2つのリード間の遅延差によって、遅延が導入される。第2の結合器の出力では、その間に2つの結合器を接続する経路毎に1つの、光源の2つのレプリカが生成される。
【0201】
別法では、図3及び図5の光源からのビーム3の中に途中までガラス板を導入することによって、同じことを達成することができる。その板は、Podoleanuの論文の用語に従って、構成A、Bにおいてビームの中に導入されなければならない。これは、送出されるビーム3の左側及び右側の部分が同じであることを意味しており、それには、その板が、その縁部が設定平面と平行になるように導入されることが要求される。分散素子として回折格子を用いるとき、板の縁は回折格子線に対して垂直である。
【0202】
別の代替形態では、空洞共振器低コヒーレンス光源を用いることができる。空洞共振器低コヒーレンス光源は、閾値未満で駆動されるレーザ、たとえばレーザダイオードである。この場合、空洞共振器レーザ壁上での多数の反射が、結合器又はプレートを用いる上記の遅延したレプリカの導入と同じ効果を有する。空洞共振器内のラウンドトリップの結果として、空洞共振器長の倍数だけ遅延した繰り返しのレプリカが生成される。2.2mmの倍数において、市販のレーザダイオードを用いる、Podoleanuの論文に記述される実験によって示されるように、電気アナライザ91によって送出される電気信号内に、空洞共振器長の倍数値に等しいOPD値に対応する多数のピークが現われる。
【0203】
この原理は、たとえば、スーパールミネッセントダイオード(SLD)のスペクトル内の連想性のリップルを効率的に用いる際にも用いることができる。SLDは非空洞共振器光源である。SLDでは、導波路面のうちの1つが角度を付けられて、反射防止(AR)コーティングされて、空洞の形成を避け、光線が一度だけ活性媒質を横断する場合の利得が得られる。しかしながら、導波路を傾けて、ARコーティングしても、活性媒質内の或る量の光線のラウンドトリップはなくならず、SLDが、OPD値2〜5mmのその自己相関関数においてサテライトピークを示す。これらのサテライトピークは実際には、OCT深さの最大範囲を、それらのOPD値までに制限する。この場合に、サテライトピークOPDと一致する遅延差Δを生成する2つの結合器又は1つの顕微鏡スライド板を用いて遅延差を導入することが好都合である。
【0204】
光源と装置との間に遅延差を導入すること、又は閾値未満の多モードレーザを利用することは、対象の範囲の深さをシフトするという効果をもたらす。これは、電気信号アナライザの出力の周波数が、対象の所与のOPDの場合に0に近い状況において適用することができる。周波数成分fを用いる代わりに、周波数f+fΔが用いられる。これは、最大深さ範囲Dの半分よりも小さい遅延差を用いるときに実現可能である。これは、T<D/2の薄い物体に限定されるが、その方法は、散乱体の鮮明度がその中で両方に変化するような、2つのAスキャン又は2つのBスキャン画像を生成するので好都合である。範囲0〜Tの第1の断層X線写真(Aスキャン又はBスキャン)の場合、鮮明度は、fΔ/2までの周波数に対応する第1の画像において向上し、fΔ/2からfΔまでの周波数の第2の画像において低下する。
【0205】
遅延したレプリカを有する光源を用いるそのような方法は、図9に関連して先に説明された実施形態のような、2つ以上のチャネルを有する実施形態においても用いることができる。図9に関連して先に説明された実施形態は、2つの変位したビームの半径の和よりも大きな、2つのビーム間の間隙を有し、深さに関して特有の選択を実現する。所与のOPD値が周波数値f、すなわちチャネルドスペクトルのピーク及びトラフの繰返しに変換され、OPD符号に応じて、Pチャネル又はNチャネルによって送出されるであろう。したがって、生成される2つの周波数はfであるが、それらは、OPD符号に応じて、異なる出力において現われる。
【0206】
低コヒーレンス光源ビームが、遅延差Δを介して、干渉計内に送出される場合には、OPD=0の場合に、その遅延差に対応する成分が、両方のチャネルP及びNの中の周波数fΔのチャネルドスペクトル内に存在する。この場合、OPDのための周波数は、チャネルPでは同じくfであるが、他方のチャネルNでは、周波数f+fΔ及びfΔ−fの、チャネルPのチャネルド周波数とは別のピークが送出される。干渉計内のOPDが反対の値を有する場合には、チャネルN内の変調周波数はfであり、チャネルPではfΔ−fである。この結果、それらの符号に応じて異なるOPDが選択されることになり、2つの異なる出力において異なる周波数が生成される。
【0207】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、これまでに説明されてきたスペクトル干渉装置に対する他の実施形態及び代替の構成を思い付くことができる。たとえば、図5、図6、図7、図8、図9を参照して説明された実施形態では、光検出器アレイとして、2次元(2D)CCDカメラを用いることができる。そのような状況では、各行(列)を、目標物体55内の横断線に沿ってピクセルから後方散乱される信号のスペクトルを評価するために用いることができ、2D横断スキャナの代わりに1次元(1D)スキャナを用いて、CCDアレイによって収集される方向に対して垂直な方向において走査することができる。このようにして、一方の横断方向をCCDアレイによって網羅し、他方の直交する横断方向を横断スキャナによって網羅することにより、3次元(3D)体積測定データを収集することができる。
【0208】
別法では、物体経路内のスキャナはなくすことができ、その場合、2D CCDアレイを用いる場合に、それだけを用いて、OCT Bスキャン画像を生成することができる。
【0209】
上記の例において2D CCDアレイを用いる場合、ビーム3は、素子2を用いて、図面の平面に対して垂直であり、且つCCDアレイの高さに等しい長さの線に沿ってコリメートされ、素子4、61、62、51及び52は十分に大きい。Bスキャン画像の場合にはスキャナヘッド10は不要であり、体積測定データが要求される場合には、当業者に既知の手段を利用して、組織にわたって1本の線を操作し、投影するだけの十分なサイズを有する1Dスキャナヘッドが用いられる。同様に、図5、図6、図7、図8の実施形態が用いられる場合には、素子2及び33が、図面の平面に対して垂直な線に沿って、コリメートされた直線的なビームを準備する。再び、Bスキャン画像の場合にはスキャナヘッド10は不要であり、体積測定データが要求される場合には、当業者に既知の手段を利用して、組織にわたって1本の線を操作し、投影するだけの十分なサイズを有する1Dスキャナヘッドが用いられる。
【0210】
本発明による方法及び装置は、正確に制御された異なるOPD位置において収集されるスペクトルを平均化する方法又はスペクトルを評価する方法、位相シフトスペクトル干渉法の技術分野において知られている方法と互換性があることは明らかである。小さなOPDステップで収集される、そのようなスペクトルを、1つの波長の細分したものとして操作することにより、先に説明されたように、当業者に既知の方法に従って、雑音をさらに低減することができる。参照ビーム内の光線間でビートが生じることに起因して、雑音のあるチャネルドスペクトルが生じる。これは、M. Wojtkowski、R. Leitgeb、A. Kowalczyk、T. Bajraszewski、A. F. FercherによってJ. Biomed. Optics 7(3), (2002), p. 457-463に発表された論文「In vivo human retinal imaging by Fourier domain optical coherence tomograpgy」に記述されるように、πの位相差において収集される2つのスペクトルを重ね合わせることによって減衰させることができる。別法では、これは、上記のOptica ApplicataのM. Wojtkowskiによる論文において記述されるような、いくつかのOPDステップでいくつかのスペクトルを重ね合わせることによって減衰させることができる。そのようなスペクトルを重ね合わせることによって、雑音が相殺され、干渉計内の2つのビーム間のOPDに起因するチャネルドスペクトルが高められる。そのような方法は、読取り素子9、アナライザ91及びスキャナ10と同期して、プロセッサ46の制御下で平行移動ステージ63を変位させることによって、本発明の実施形態にも同じく適用することができ、横断面内のピクセル毎に、Bスキャン画像の場合には座標X、又は体積測定データの場合には(X,Y)が収集される。また、M個のステップの平行移動ステージの場合に、M個のチャネルドスペクトルが収集される。M個のスペクトルからのAスキャンが評価された後に、同じプロセッサ46、横断スキャナによって果たすことができる機能が、次の横断ピクセルに進められる。
【0211】
本発明による方法及び装置は偏光変調器と互換性がある。干渉計の2本のアーム(すなわち物体光学系及び参照光学系)内の選択された偏光状態を組み合わせるとき、J. F. de Boer、T. E. Milner、J. S. Nelsonによって、Opt. Lett., 24, No. 5, pp. 300-302, 1999に発表された論文「Determination of depth-resolved Stokes parameter of light backscattered from turbid media by use of polarization-sensitive optical coherence tomography」において提示されるようなストークスベクトル、又はS. Jiao、W. Yu、G. Stoica、L. WangによってOpt. Lett., 28, No. 14, pp. 1206-1208, 2003に発表された論文「Optical-fiber based Mueller optical coherence tomography」に記述されるような完全ミュラー行列情報のような、目標物体の深さ方向に分解された偏光に関する情報を推定することができる。本発明による方法及び装置を用いて、これらの機能が実施されるとき、偏光に応答するAスキャンの固有の再現が得られ、固有の偏光応答Bスキャンマップが生成される。
【0212】
位相分解されるOCTの場合、干渉計アームのうちの1つにおいて、位相変調とともにストロボ照明が用いられており、それはA. Dubois、L. Vabre、A. C. Boccara他著「High-resolution full-field optical coherence tomography with a Linnik Microscope」(Appl. Optics 41 (4), 805-812 (2002))、H. Saint-James、M. Lebec、E. Beaurepaire、A. Dubois、A. C. Boccara著「Full field optical coherence Microscopy」(Handbook of optical coherence tomography, B. E. Bouma, G. J. Tearney eds., (Marcel Dekker Inc, New York-Base1, 2002) 299-333)において提供されるような、4バケットの方法として知られている。本発明による方法及び装置は、照明光の位相変調及び同期切替と互換性がある。このようにして、異なる位相シフトの場合に収集される4つのスペクトルを合成することにより、振幅及び位相情報Aスキャンが取り出される。その方法は、小偏移の検出及びドップラOCTにも適用することができる。
【0213】
バルク内又はファイバ内の偏光変調器及び/又は位相変調器は、物体光学系内又は参照光学系内、或いは変位手段と分散手段との間のどの場所にも導入することができる。
【0214】
本開示全体を通して、OCTの応用形態の大部分は反射によって組織をイメージングすることにあるので、用語「反射率」が用いられた。しかしながら、生物組織の顕微鏡検査において、透過によるイメージングも用いられる。図5〜図9に示されるような本開示の実施形態が、透過によって物体を調査し、イメージングするように容易に変更することができ、その場合には、光がメイン光スプリッタ4に戻されず、第3の経路が物体からの光を収集する経路であることは、当業者には明らかであろう。同様に、一連のセンサを透過によって調査することができる。それゆえ、反射率が用いられるが、物体が透過によって調査される場合には、深さ方向への透過が抽出されるものとも理解されるべきである。
【0215】
これまでの記述は、例示し、説明するためだけに提供されてきた。したがって、本発明を包括的に述べることや、本発明を開示されるのと全く同じ形態に限定することは意図していない。たとえば、上記の教示に照らして、本発明の範囲内にあると考えられる変更及び変形が実現可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に入る全てのそのような変更及び変形を網羅することを意図しているものと理解されたい。添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の装置の設計及び製造において、他の変更及び改変が用いられる場合もある。
【0216】
本発明の適用範囲において、多層物体として組織を用いることができるが、それは同じく、異なる長さの多数の光路を多重化されたセンサの構造内にある多数のセンサに導く光路を意味することができ、本明細書に開示される方法を用いて、反射又は透過のいずれかによって、そのOPDに従ってセンサ又は一群のセンサに選択的にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】従来技術のスペクトルOCTを示す図である。
【図2】トールボットバンドを生成するために、マイケルソン干渉計内のビームの両側が分割される、従来技術の装置を示す図である。
【図3】多層物体内の明確なAスキャンを提供するために、OPDを選択することができるスペクトル干渉装置において用いられることになる効率的な光学構成の第1の実施形態を示す図である。
【図4】図1に示される従来技術の装置及び図3に示される本発明の実施形態によって提供される深さプロファイルの比較を示す図である。
【図5】散乱体又は多層物体のOCT Bスキャン画像又は3D体積測定データを提供することができる、OPDを選択することができる本発明によるスペクトル干渉装置の第2の実施形態を示す図である。
【図6】散乱体又は多層物体のOCT Bスキャン画像又は3D体積測定データを提供することができる、OPDを選択することができる本発明によるスペクトル干渉装置の第3の実施形態を示す図である。
【図7】本発明のスペクトル干渉装置の第4の実施形態を示す図である。
【図8】本発明のスペクトル干渉装置の第4の実施形態を示す図である。
【図9】OPD符号に関係なく信号を与えるために、本発明によるスペクトル干渉装置の全ての先行する実施形態に適用することができる変更を示す図である。
【図10a】図9の実施形態のAスキャン出力を示す図である。
【図10b】図9の実施形態のAスキャン出力を示す図である。
【図10c】図9の実施形態のAスキャン出力を示す図である。
【図11a】ミラー項の無い明確なAスキャンを提供するために位相シフト干渉計を備えた従来技術の装置の出力信号を示す図である。
【図11b】ミラー項の無い明確なAスキャンを提供するために位相シフト干渉計を備えた従来技術の装置の出力信号を示す図である。
【図11c】ミラー項の無い明確なAスキャンを提供するために位相シフト干渉計を備えた従来技術の装置の出力信号を示す図である。
【図12】本発明の実施形態によって提供することができる単層物体の軸方向の位置の位置追跡信号を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル干渉装置及びスペクトル干渉法に関し、それらの装置及び方法は、反射率対光路差の明確なプロファイルを与え、正の値の光路差と負の値の光路差とを識別するために用いることができる。
【背景技術】
【0002】
センシングに関する分野全般において、低コヒーレンス干渉法の応用形態への関心が高まっている。低コヒーレンス干渉法は絶対距離測定値を提供し、粗い反射表面をイメージングするのに、又は拡散媒体及び散乱媒体の体積内のスライスを生成するのに非常に適している。低コヒーレンス光源を用いて、深さ方向に分解された情報を入手する種々の方法があり、そのような1つの方法はスペクトルの分散を利用する。チャネルドスペクトルの周期性は干渉計内の光路差(OPD)に比例し、それは1837年というかなり昔に、「不思議なタルボットバンド(The Curious Bands of Talbot)」として説明されている。そのような昔から知られている現象に関する最近の説明が、A. L. King及びR. DavisによってAmerican Journal of Physics, vol. 39, (1971), p. 1195-1198に発表された「The Curious Bands of Talbot」において、及びM. Parker GivensによってAmerican Journal of Physics, 61, (7), (1993), p. 601-605に発表された「Talbot's bands」において報告されている。
【0003】
チャネルドスペクトル法は、センシング及び光ファイバセンシングの分野において用いられてきた。最近の実施態様は、A. Gh. Podoleanu, S. Taplin, D. J. Webb及びD. A. JacksonによってEuropean J. Phys., 15, (1994), p. 266-271に発表された「Channeled Spectrum Display using a CCD Array for Student Laboratory Demonstrations」に開示されるように、光検出器又はCCDアレイを用いて、チャネルドスペクトルを表示している。チャネルドスペクトルは、G. Hausler及びM. W. LindnerによってJ. Biomed Optics, Jan. 1998D, Vol. 3 No. 1, pp. 21-31に発表された「Coherence Radar and Spectral Radar-New Tools for Dermatological Diagnosis」において、さらにはP. Graindorgeによる米国特許第4,932,782号「Channelled light Spectrum measurement method and device」及びHochberg等による米国特許第5,317,389号「Method and apparatus for white-light dispersed-fringe interferometric measurement of corneal topography」に開示されるような「スペクトル光コヒーレンストモグラフィ」(SOCT)と呼ばれる方法においても用いられている。さらに、そのような方法は、J. P. Rolland及びP. J. Delfyettによる米国特許第6,072,765号「Optical Disk Readout Method using Optical Coherence tomography and Spectral Interferometry」にも開示されている。スペクトル法の利点は、OPD情報がチャネルドスペクトル内のピーク及びトラフの周期性に変換されることであり、たとえば、組織の光コヒーレンストモグラフィ(OCT)において、物体を深さ方向に走査するために機械的な手段は不要である、ということである。さらに、そのような方法では、多重化されたセンサアレイ内のOPDを調べるのに機械的な手段は不要である。組織のような多層化された物体がイメージングされる場合には、各層は、その深さに応じて、その層自体のチャネルドスペクトル周期性を残すことになり、そのスペクトル変調の振幅はその層の反射率の平方根に比例する。電荷結合素子(CCD)信号のスペクトルの高速フーリエ変換(FFT)は、チャネルドスペクトルの周期性を、種々の周波数のピークに変換し、その周波数が経路不平衡に直に関連する。そのようなプロファイルはOCTにおけるAスキャンと呼ばれており、それは、すなわち深さ方向の反射率のプロファイルである。
【0004】
従来技術のSOCT装置の実現可能なバルク型の実施態様が図1に示される。この構成では、光源1からの光ビームが、簡単なレンズ又はアクロマート、又はミラー、或いはレンズ又はミラーの組み合わせで構成することができるコリメータ素子2によってコリメートされ、ビーム3が形成される。その後、ビーム3はビームスプリッタ4に向かって誘導される。光源1は広帯域であり、たとえば、当該技術分野において知られている技法によって、最も広い実現可能な帯域幅及び最小のスペクトルリップルを生成するように組み合わせられる、1つ又は複数の発光ダイオード、スーパールミネッセントダイオード、電球又は短パルスレーザを用いることができる。光源1は、調査されるべき特定の物体のために適した中心波長を有する。OCTを用いて患者の目を調査する場合、800〜900nmのような近赤外線の波長が用いられる。皮膚を調査する場合には、1300nmの波長を用いることができる。センシングの応用形態の場合、1500nmの電気通信の帯域内の波長が用いられることが好ましい。
【0005】
ビームスプリッタ4に照射された光は、ミラー物体5に導く第1の光路41、及び参照ミラー6に導く第2の光路42に分割される。2つのミラー5及び6上で反射し、ビームスプリッタ4を横切った後に、結果として生成される2つのビームは、スペクトル解析するための光スペクトル分散手段7上で重ね合わせられる。光スペクトル分散手段7として、1つ又は複数の回折格子、1つ又は複数のプリズム、或いはプリズム又は回折格子の組み合わせを用いることができる。光スペクトル分散手段7において、スペクトルは分散(1つ又は複数のプリズムを用いるとき)又は回折し(1つ又は複数の回折格子を用いるとき)、種々の波長を有する扇形の光線が出力される。この光線は、その後、合焦素子8によって、読取り素子、直線光検出器アレイ又はCCD直線アレイ9上に合焦する。電気スペクトルアナライザ91が、読取り素子9によって送出される信号のFFTを実行する。
【0006】
ビームスプリッタ4からミラー5までの距離はZによって表される。しかしながら、他の従来技術の構成では、ミラーの代わりに、厚みのある散乱性の多層物体が用いられており、Zは、ビームスプリッタ4から、その物体内の散乱点又は層までの距離である。これは、その物体経路が2Zであることを意味する。ビームスプリッタ4とミラー6との間の距離はXであり、それは、参照経路の長さが2Xであることを意味する。チャネルドスペクトル周期性はOPDに依存し、OPDは以下のように定義される。
OPD=2(Z−X)
【0007】
ミラー5の代わりに、厚みのある散乱性の多層物体が用いられる構成について考える。この場合、周期性はOPDの係数に依存するので、OPDが0である位置を中心にして対称に配置される散乱体又は層は、チャネルドスペクトルにおいて同じ周期性を与える。フーリエ変換されるとき、OPDの有用な範囲に対応する項の他に、対称に配置される項が得られ、それはミラー項(mirror terms)と呼ばれる場合もあり、フーリエ領域OCTに関連する問題は、ミラー項の問題と言うことができる。これは、イメージングのために用いられるOCTシステムの深さプロファイルに誤差を導入する。同じく、チャネルドスペクトルがセンシングのために用いられるとき、ゼロ点のいずれかの側にある同じ値のOPDに配置されるセンサからの信号のクロストークが存在する。それゆえ、上記の全ての従来技術のスペクトル(フーリエ領域)OCT法は、物体の深さ方向にある散乱体がOPDのただ1つの符号範囲内、すなわち正又は負のいずれかの範囲内に限られるように、物体の位置を調整することに頼っている。そのような調整は、測定手順を複雑にし、全ての状況において適用できない場合もある。
【0008】
ここで説明するために、干渉計内のOPDは、物体経路長から参照経路長を引いたものと定義されるであろう。たとえば、調査されるべき物体が網膜である場合には、OPDの原点は、網膜の神経線維膜の前にある硝子体内のいずれかの場所に設定することができる。これは、網膜散乱体が全て、OPDが0より大きいような位置にあることを意味するであろう。しかしながら、硝子体が同じ経路範囲内に欠陥を有する場合には、これらの欠陥が、網膜の最終的な深さプロファイル内に現われるであろう。したがって、対象とする範囲外にあるピークを除去するための手順、又はシステムがOPD符号に対して応答できるようにするための手順が必要とされている。
【0009】
ミラー項の問題に対処するために、最近、OPD範囲の一方の符号のための項を除去するための「位相シフトスペクトル干渉法」と呼ばれる方法が導入されている。連続したCCDフレームの2つの光干渉計経路間に正確な位相シフトを導入し、収集されたスペクトルを合成することによって、CCD信号の電気的なフーリエ変換スペクトル内の雑音を低減し、且つ自己相関項の一方(正又は負のOPD)を除去することができる。その方法によれば、深さ方向において層を正確に再構成できるようになる。しかしながら、位相シフトスペクトル干渉法には、以下の不都合がある。位相シフトは数度内まで正確でなければならないので、参照ミラーの動きを正確に制御する必要がある。また、少なくともM個のスペクトルが収集された後にのみ最終的なスペクトルが送出されるので、その過程は、従来の方法よりもM倍だけ遅くなる。5つのステップを用いる位相シフトスペクトル干渉法の1つの方法が、M. Wojtkowski, A. Kowalczyk, P. Targowski, I. GorczynskaによってOptica Applicata, Vol. XXXII, No. 4, (2002), p. 569-580に発表された、「Fourier-domain optical coherence tomography: next step in optical imaging」に開示される。この方法を用いるとき、1つのOCT画像を供給するまでに、5つのフレームが必要とされる。しかしながら、位相シフトスペクトル干渉法に関連する最も大きな不都合は、検査される物体、たとえば組織の動きである。検査される組織の動きは位相シフトの値を変更し、位相シフト法によれば相殺されているはずの、OPD符号(すなわち正又は負)のための項を元に戻すという効果がある。
【0010】
A. Gh. Podoleanu, S. Taplin, D. J. Webb及びD. A. JacksonによってJ. Pure and Applied Optics, Vol.7, (1998), pp. 517-536に発表された、「Theoretical Study of Talbot-like Bands Observed Using a Laser Diode Below Threshold」というタイトルの論文、並びにA. Gh. Podoleanu, S. Taplin, D. J. Webb及びD. A. JacksonによってJ. Pure and Applied Optics, Vol. 6, issue 3, (1997), pp. 413-424に発表された、「Talbot-like Bands for Laser Diode Below Threshold」というタイトルの論文はいずれも、閾値レベル未満のレーザダイオードを用いるトールボットバンドについて報告する。後者の論文は、改良型マイケルソン干渉計も導入しており、ここで図2を参照しながら、そのような装置を説明する。
【0011】
図2は図1と類似の構成を示すが、2つの遮蔽板20が追加され、光路41及び42内に配置されている。2つの遮蔽板は、光ビーム41及び42の直径の半分を遮断するように配置される。拡散手段7が回折格子である場合の、図2の構成の動作に関する説明を行う。
【0012】
回折格子7に達するビームがN本の格子線を含む状況について考える。2つの遮蔽板20を、2つの光路の中の途中まで導入することによって、2つのビーム41’及び42’の空間分離が生じる。ビーム41’及び42’は、ビームスプリッタ4を通過した後の、ビーム41及び42からの残りのビームである。
【0013】
通常、干渉結果の最大の鮮明度を得るには、物体ビーム41の高さが参照ビーム42と同じ高さになるように調整されなければならないことは、干渉計分野の熟練者には理解されよう。これは、ビームスプリッタ4、ミラー5及び6を都合よく傾けて、ミラー5及び6において反射した後のビーム41及び42が、到来ビーム3と同じ高さになるようにすることによって達成することができる。ビーム3、41、42は図面の平面内にある。2つの光路内に2つの遮蔽板20を導入した後に、結果として生成されるビーム41’及び42’は平行であり、変位平面内で相対的に変位される。この特定の事例では、変位平面は、図面の平面と同じである。2つのビームに対して垂直な方向に描かれる、2つの変位したビーム41’及び42’の中心を結ぶ線は格子線に対して垂直である。
【0014】
OPDの選択は、干渉計の2つのビーム出力を、励起される格子線の数に等しい数の小波を含むものと見なすことにより説明することができる。図2に示される構成では、遮蔽板20がビームの直径の途中まで導入され、ビーム直径全体に対応するN本の線ではなく、N/2本の線が励起される。それゆえ、各波列はN/2個の小波を含む。一次回折の最大値ためにブラッグ回折格子の式が適用される結果として、波列内の各小波と隣接する小波との間にλの遅延が存在する。これは、各波列がNλ/2長であることを意味する。2つの遮蔽板20の作用に起因して、2つのビーム41’及び42’は初期ビームの直径の半分だけ横方向に変位する。ブラッグの式に起因して、或る格子線から次の格子線までλの遅延が存在するのと同じように、直径の半分がN/2本の格子線を含むので、回折される2つの波列間にNλ/2の固有の初期遅延が存在する。それゆえ、干渉計内のOPDが0であるという条件の場合、回折後の長さNλ/2の2つの波列は、Nλ/2の固有の遅延を受ける。これは、それらの重なりが0であり、結果としてチャネルドスペクトル鮮明度は0になることを意味する。干渉計内のOPDを大きくすることにより、波列が重なることになり、結果として、チャネルドスペクトルが生じる。測定可能な最小OPDは、チャネルドスペクトル内に少なくとも2つのピークが生成されるときの、光源のコヒーレンス長Lcである。2つの波列の重なりは、干渉計内のOPDがNλ/2に等しいとき、すなわち波列がNλ/2だけ遅延されるときに最大である。言い換えると、干渉計内のOPDは固有遅延を完全に補償している。波列の重なりは、干渉計内のOPDがさらに大きくなるときに再び減少し、その重なりは、波列が固有遅延に加えて、その長さだけ遅延するとき、すなわち最大のOPD範囲を与えるNλの全遅延の場合に、0まで減少することは当業者には容易に明らかになるであろう。
【0015】
図2の装置の挙動を説明するためには、干渉計において生成されるOPDは十分ではない。干渉計において生成されるOPDは、2つの横方向に変位したビーム間の固有遅延、Nλ/2に結びつけられるが、チャネルドスペクトル周期性は、干渉計内のOPDだけに対応する。
【0016】
上記のPodoleanuの論文において説明されるように、干渉計内のOPDが或る特定の符号だけを有するときに、回折格子まで伝搬するビームの両側を遅延させる結果として、チャネルドスペクトルが生じる。これらの論文は、L及びRとして指定される、2つの場合を区別する。
【0017】
Lの場合には、回折格子7が用いられる角度、及び遮蔽板20の位置は、回折後の参照ビーム42’の成分が、回折後の物体ビーム41’からNλ/2だけ遅れるような角度及び位置である。これは、マイケルソン干渉計内のOPDがチャネルドスペクトルを生成し、そのOPDが0とNλとの間にある限り、CCD光検出器信号変調することを意味する。
【0018】
Rの場合には、回折格子が用いられる角度、及び遮蔽板の位置は、回折後のビーム41’の波列が、回折後のビーム42’の波列から固有遅延Nλ/2だけ遅れるような角度及び位置である。これは、マイケルソン干渉計内のOPDが、0と−Nλとの間にある限り、CCD光検出器スペクトルを変調することを意味する。
【0019】
他の側からビーム41及び42の中に遮蔽板20が導入される場合には、ビーム41’及び42’は、ビームスプリッタ4の通過後にその位置を変更し、システムの挙動がRからLの場合に、及びその逆に変化する。
【0020】
他の次数の回折の場合にも、又はプリズムを基にするスペクトル解析素子の場合にも類似の説明を行うことができる。実際には、トールボットバンドは、プリズムを用いて観測されてきた。プリズムを用いるとき、2つの入射ビームは平行であり、入射表面に対する垂線とプリズムの二等分線によって画定される平面内にある。両方のビームからの扇形の分散した光線は、出射表面に対する垂線とプリズムの二等分線によって画定される、同じ平面内に含まれる。
【0021】
これは、干渉計内のOPDの原点が組織内にある場合であっても、正確なAスキャンを生成することができるスペクトルOCTを実現する際の重要な要素である。これは、各センサに対応するOPDに応じて、スペクトル低コヒーレンス干渉法によって、多重化されたアレイ内のセンサを選択する際にも重要な要素である。しかしながら、上記のPodoleanuの論文に記述される実施態様は、遮蔽板が存在することに起因して、各ビーム内の信号のパワーを2分の1に削減する。第二に、低コヒーレンス光源は光学的なフィードバックに対して非常に感度が高く、マイケルソン干渉計は光源に光を戻す。第三に、遮蔽板を用いて2つのビーム内の波列の長さを変更する方法は非効率的であり、パワーが遮蔽板の位置に依存する。さらに、2つのPodoleanuの論文の開示は、空洞共振器低コヒーレンス光源が用いられるとき、チャネルドスペクトルのフーリエ変換において直面するスペクトル項を単純化したものに限定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、従来の手段に関連する上記の問題を回避又は改善するスペクトル干渉法及びスペクトル干渉装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
概括的には、第1の態様では、光源を含むか、又は光源によって励起されるスペクトル干渉装置が提供される。実用的な程度までの干渉効果を引き出すために、光源は、2つのビーム、すなわち、物体と相互作用する物体ビームと、概ね物体ビーム経路程度の経路長を有するように構成される参照ビームとを与えるように配置される。特に、種々の深さにおいて散乱点を有する多層物体において、経路長の差(光路差)がいくらか生じる場合がある。また光路差は、種々の応用形態の目的に合わせて調整することもできる。物体ビーム及び参照ビームは、スペクトル成分を分離するように構成される回折格子又はプリズム或いは他のデバイスのような、光スペクトル分散手段に入射する。スペクトルを分散できるようにするために、物体ビーム及び参照ビームが、それぞれの経路に対して或る角度で配置される分散手段の表面の異なる部分に入射するように、物体ビーム及び参照ビームを、それぞれ経路に対して横方向に変位させる。こうして、分散手段の働きによって、任意の光路差が、角度のある分散表面によって導入される「固有の」経路差とともに、チャネルドスペクトルを生成するであろう。
【0024】
その装置は、光源の概ね最大のパワーが物体ビーム経路及び参照ビーム経路に沿って誘導されるように構成される。これは、たとえば、それらのビームを部分的に遮断するために挿入される遮蔽板を使用するのを避けることによって達成することができ、これらの遮蔽板の代わりに、たとえば、反射ミラー、合焦レンズ、音響偏向器のような偏向器、屈折デバイス、光ファイバケーブル誘導装置、又はこれらの組み合わせが用いられる。ビームを部分的に遮断するのを避けることにより、効率を改善することができる。
【0025】
詳細には、第1の態様では、本発明は、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置を提供し、当該装置は、光源から光スペクトル分散手段に物体ビームを誘導するように構成される光学構成を備え、物体ビームは、使用時に、分散手段に入射する前に目標物体と相互作用するように構成され、光学構成は、光源から分散手段に参照ビームを誘導するようにさらに構成され、それらのビームは名目的には等しい経路長を有するが、その構成は、物体ビームと参照ビームとの間に相対的に小さな光路差を導入するように動作することができ、光スペクトル分散手段は、その上に入射するそれぞれのビームのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成され、光学構成は、物体ビーム及び参照ビームが分散手段上で重なり合わないように、物体ビーム及び参照ビームを誘導するように構成される分離手段を備え、当該分離手段は、物体ビーム及び/又は参照ビームを部分的に遮断するための遮蔽板を備えず、使用時に、分離手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、物体ビーム及び参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、使用時に、光路差は、固有の光学的遅延とともに、読取り素子においてチャネルドスペクトルを生成する。
【0026】
分離手段は、物体ビーム及び参照ビームを分離するために、物体ビーム及び/又は参照ビームにおいて、反射、偏向、回折、光ファイバケーブルによる個別の誘導のうちの1つの光学的な動作を実行するように構成されることが好ましい。
【0027】
スペクトル光コヒーレンストモグラフィのために用いられるとき、本発明による方法及び装置は、1つの測定ステップにおいて、ミラー項の無い断面画像を提供する。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置が提供され、当該干渉計は、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を、干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、変位手段は、物体ビーム及び参照ビームの少なくとも一方の反射、偏向又は屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、物体ビーム及び参照ビームを相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するようになっている。
【0029】
そのような干渉装置は、物体ビーム及び参照ビームを変位させるための効率的な手段を提供する。本発明の実施形態では、変位は、反射、偏向及び屈折の任意の組み合わせによって実現することができる。それゆえ、変位は、物体ビーム及び参照ビームのパワーを低減しない。
【0030】
変位手段は、物体ビーム又は参照ビームのいずれか、或いはその両方を変位させることによって、相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に相対的な変位を導入することができる。物体ビームだけが変位する場合には、相対的に変位した参照ビームは、変更されていない参照ビームと同じにすることができる。同様に、参照ビームだけが変位する場合には、相対的に変位した物体ビームは、物体ビームと同じビームにすることができる。
【0031】
それゆえ、用語「相対的に変位した物体ビーム」及び「相対的に変位した参照ビーム」を用いることは、物体ビーム又は参照ビームのうちの一方だけが変位する装置を除外しないことが理解されよう。
【0032】
変位手段は少なくとも2つの反射素子を備えることができ、当該少なくとも2つの反射素子のうちの一方は物体ビームを反射するように構成され、当該少なくとも2つの反射素子のうちの別の反射素子は参照ビームを反射するように構成される。
【0033】
変位手段は、ビームを偏向することができる少なくとも1つの音響−光学変調器を備えることができる。
【0034】
本発明の第3の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置が提供され、当該干渉計は、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、物体ビーム及び参照ビームの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を、干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系は、物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、参照光学系は、参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、物体ファイバ端及び参照ファイバ端の相対的な位置を動かすように構成される。
【0035】
変位手段は、物体ファイバ端及び参照ファイバ端の相対的な位置を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するようにさらに構成することができる。
【0036】
本発明の第4の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置が提供され、当該干渉計は、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、物体ビーム及び参照ビームの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、読取り素子上にスペクトル成分を分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を、干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系又は参照光学系のうちの一方は、それぞれ物体ビーム又は参照ビームのうちの一方を送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、変位手段は、ファイバ端を動かすことによって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される。
【0037】
変位手段は、ファイバ端を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するようにさらに構成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、変位手段は、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を変更するようになっている。
【0039】
いくつかの実施形態では、干渉計内の光路差を制御するように構成される手段を設けることができる。相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間の固有の光学的遅延を制御するように構成される手段を設けることもできる。光路差を制御するように構成される手段及び固有の光学的遅延を制御するように構成される手段は、処理手段を含むことができる。
【0040】
読取り素子は、信号アナライザに信号を与えるように構成することができ、信号アナライザは、目標物体内の深さ範囲の反射又は散乱点の分布を決定するように構成される。その装置は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を調整することにより、深さ範囲を調整するように構成することができる。
【0041】
相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの偏光と、光スペクトル分散手段の偏光とを一致させるための手段を設けることもできる。
【0042】
いくつかの実施形態では、干渉計内の分散を補償するための手段を設けることもできる。
【0043】
変位手段は、変位平面内で相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整するようにされることができる。変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームが変位平面内で平行になるまで、それらのビームを調整できるようにされることができる。
【0044】
変位手段は、光路差の値が小さい場合の信号の強度を高めるために、変位平面内にある2つの相対的に変位したビームを、光スペクトル分散手段上で、調整可能に横方向に重ね合わせることができるように構成することができ、横方向に重ね合わせることは、部分的に重ね合わせることから、完全に重ね合わせることまでに及ぶ。
【0045】
変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームが光スペクトル分散手段の異なる部分に突き当たるように、それらのビームの相対的な向きを調整するようにされることができる。
【0046】
光スペクトル分散手段は、回折格子、プリズム、一群のプリズム、一群の回折格子のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0047】
光スペクトル分散手段は回折格子を含むことができ、回折格子の格子線は、相対的に変位した参照ビームの中心及び相対的に変位した物体ビームの中心を結ぶ線に対して垂直である。
【0048】
光スペクトル分散手段は、入射表面を含むプリズムを含むことができ、相対的に変位した参照ビームの中心及び変位した物体ビームの中心を結ぶ線は、このプリズムの入射表面に対する垂線とプリズムの二等分線によって画定される平面内にある。
【0049】
参照光学系は、光源のビームを反射することによって参照光源を与えるように構成される少なくとも1つの反射板を備えることができ、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの光路差を制御するために、その反射板の位置又は傾きを調整することができる。
【0050】
参照光学系は、光源からの光ビームを、ファイバ光学系に沿って、又は光が光源に戻されるのを防ぐように構成される反射板を介して、変位手段に送出するように構成することができる。
【0051】
物体光学系は、物体ビームの直径を変更するように構成される第1のズーム素子を備える。相対的に変位した物体ビームの直径を変更するために、第3のズーム素子を設けることもできる。
【0052】
参照光学系は、参照ビームの直径を変更するように構成される第2のズーム素子を備えることができる。相対的に変位した参照ビームの直径を変更するために、第4のズーム素子を設けることもできる。
【0053】
変位手段は、その光スペクトルの変調を読取り素子において検出することができる最小光路差値を調整するために、2つの相対的に変位したビーム間に調整可能な間隙を生成するように構成することができる。
【0054】
2つの横方向に変位したビームがいくらか重なることができるようにすることによって、OPD値が小さい場合の信号が高められる。これは、OPD=0の位置を多層物体内に配置することができ、OPD=0の深さの一方の側において散乱点がない場合に望ましい。
【0055】
干渉計内の2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、上記読取り素子上で完全に生じることができる。
【0056】
2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、一部が上記読取り素子上で、一部が上記光スペクトル分散手段上で生じるように構成される。
【0057】
変位手段は、光路差の値が小さい場合の信号の強度を高めるために、上記変位したビームの横方向の重ね合わせの量を調整するように構成することができる。
【0058】
処理手段は、相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間の間隙を調整して、その光スペクトルの変調を読取り素子において検出することができる最小光路差値を変更するために、変位手段を制御するように構成することができる。
【0059】
物体光学系は走査素子を備えることができ、走査素子は目標物体を走査するように構成される。走査素子は、直線走査、ラスタ走査、螺旋走査、円形走査又は任意の他のランダムな形状の走査のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを実行するように構成することができる。
【0060】
走査素子を用いて、物体の内部から、ミラー項の無い断面画像を得ることができる。種々の横断位置において断面の取得を繰り返すことにより、物体内部からのいくつかの断面を取得することができ、その後、ソフトウエア手段によって、その断面を用いて、ミラー項の無い物体の3Dボリュームが再構成される。
【0061】
物体光学系内に、物体内の特定の深さからの信号強度を高めるための合焦素子を設けることができる。
【0062】
干渉計は、ファイバ内干渉計、又はバルク干渉計、或いはファイバ内構成要素及びバルク構成要素から成るハイブリッド干渉計を含むことができる。
【0063】
上記光源は、低コヒーレンス光源であってもよい。
【0064】
読取り素子は、光検出器アレイ、CCD直線アレイ、光検出器の2次元アレイ、2次元CCDアレイ、又は分散したスペクトルがその上で走査される点光検出器を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、その装置は、物体ビーム及び参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成するように構成されるビームスプリッティング手段と、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される第2の変位手段と、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第2の光スペクトル分散手段とをさらに備え、使用時に、第2の変位手段及び第2の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームの波列間に第2の固有の光学的遅延を生成するように構成され、この第2の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第2の読取り素子上に生成することができる。
【0066】
第2の変位手段は、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するようにされることができる。
【0067】
光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段は、それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように、向きを調整することができる。
【0068】
第2の読取り素子は、第2の信号アナライザに信号を与えるように構成することができ、その装置は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて、両方の符号の光路差値を含む、目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供することができる。
【0069】
第2の光スペクトル分散手段は、1つ又は複数の回折格子を含むことができ、1つ又は複数の回折格子は、反対の符号の次数を上記読取り素子及び上記第2の読取り素子に向けて回折させるように構成される。
【0070】
光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段はそれぞれ、1つ又は複数のプリズムを含むことができ、1つ又は複数のプリズムは、相対的に変位した物体ビーム又は相対的に変位した参照ビームが光スペクトル分散手段内のプリズム頂点に最も近くなり、且つ第2の相対的に変位した参照ビーム又は第2の相対的に変位した物体ビームがそれぞれ、第2の光スペクトル分散手段内のプリズム頂点に最も近くなるように配置される。
【0071】
いくつかの実施形態では、読取り素子及び第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信され、その装置は、OPD符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される。
【0072】
いくつかの実施形態では、その装置は、変位手段と光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段であって、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、第3のビームスプリッティング手段と、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するように構成される第3の変位手段と、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第3の光スペクトル分散手段とをさらに備え、使用時に、第3の変位手段及び第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成するように構成され、この第3の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第3の読取り素子上に生成することができる。
【0073】
第3の変位手段は、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するように構成することができる。
【0074】
2つの変位したビーム間の間隙が十分に大きい場合に、物体内の深さ値dMに対応する深さ間隔範囲内で、干渉計内の特定の光路差のための感度の最大値が記録される。i)感度対干渉計内の光路差及び物体内の深さの狭いプロファイルを作成するために、dMと一致する焦点、ii)感度対干渉計内の光路差及び物体内の深さのプロファイルを平坦にするために、dMとは異なる焦点を生成するように、合焦素子を調整することができる。
【0075】
光源は低コヒーレンス光源であってもよく、その出力は、光複製素子を用いて遅延したレプリカとともに送出される。
【0076】
調査されるべき物体が、その装置の深さ範囲の半分未満の厚みを有する場合、その装置が応答することができる最大光路範囲よりも小さいか、又は好ましくはこの範囲の中央付近の遅延差を生成する光複製素子を介して遅延したレプリカとともに、低コヒーレンス光源の出力をスペクトル干渉装置に送出ことができる。遅延差を導入する前は装置が応答しなかったOPD符号の深さ範囲に対して装置が応答できるようにするために、2つの変位したビーム間の間隙は、それらのビームの半径の和よりも大きくなるように調整することができ、遅延差を用いることなく破棄されたOPD値は、範囲間隔内に現われる(装置の最大深さ範囲−遅延差=装置の最大深さ範囲)。
【0077】
光複製素子は、第1の単一モード結合器を備えることができ、その出力は、光源の遅延したレプリカを生成するために、第2の単一モード結合器の2つの入力に接続される。これにより、第1の単一モード結合器及び第2の単一モード結合器を接続する2つのリード間に、遅延差だけ遅れた、光源の遅延したレプリカを生成することができる。
【0078】
光複製素子は、平行な表面を有するプレートの形をとる透明な光学材料を含むことができ、プレートは、その縁部が変位平面に対して平行になるように、光源のビームの中に途中まで導入される。
【0079】
光源は、閾値未満で駆動されるレーザを含む低コヒーレンス光源であってもよい。
【0080】
共振器長は、装置が応答することができる最大光路範囲よりも小さくすることができるか、又は好ましくはこの範囲の中央付近にすることができる。2つの変位したビーム間の間隙が、それらのビームの半径の和よりも大きくなるように調整されるとき、装置は、空洞共振器以外の低コヒーレンス光源が用いられていたなら装置が応答していなかったOPD符号の深さ範囲に対して応答できるようになる。空洞共振器以外の低コヒーレンス光源を用いるときに破棄されるOPD値は、範囲間隔内に現われる(装置の最大深さ範囲−光レーザ共振器長=装置の最大深さ範囲)。
【0081】
光源は、自己相関関数においてサテライトピークを示す、空洞共振器以外の光源であってもよく、それにより、遅延差値は、第1のサテライトピークのOPDの値に一致することができる。
【0082】
物体ビーム及び参照ビーム、又は上記変位した物体ビーム及び上記変位した参照ビームにおいて、偏光変調器及び波長板を用いて、ミラー項の無い、偏光に対して感度のある断層X線写真を提供することができる。
【0083】
本発明の第5の態様によれば、スペクトル干渉法が提供され、その方法は、干渉計を用いて、物体ビーム及び参照ビームを出力すること、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、上記物体ビーム及び上記参照ビームのうちの少なくとも一方を反射、偏向又は屈折させて、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、光スペクトル分散手段を用いて、2つの相対的に変位したビームを、それらの光スペクトル成分に応じて読取り素子上に分散させることを含み、上記物体ビーム及び上記参照ビームを反射、偏向又は屈折させて相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成すること、並びに光スペクトル分散手段を用いて2つの相対的に変位したビームを分散させることの組み合わせによって、2つの相対的に変位したビーム内の波列間に固有の光学的遅延が生成されるようになり、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを生成することができる。
【0084】
本発明の第6の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を含む、スペクトル干渉法が提供され、当該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、その方法は、物体光学系を用いて、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、変位手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成し、なお、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、光スペクトル分散手段を用いて、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させることを含み、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、変位手段は、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向又は屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、物体ビーム及び参照ビームを相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成する。
【0085】
本発明の第7の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含む、スペクトル干渉法が提供され、当該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、その方法は、物体光学系を用いて、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、変位手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成し、なお、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段を含み、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系は、物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、参照光学系は、参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、変位手段は、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、物体ファイバ端及び参照ファイバ端の相対的な位置を動かす。
【0086】
本発明の第8の態様によれば、光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含む、スペクトル干渉法が提供され、当該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、その方法は、物体光学系を用いて、光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、変位手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成し、なお、干渉計内で生成される相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、並びに、光スペクトル分散手段を用いて、2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させることを含み、使用時に、変位手段及び光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、この固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを読取り素子上に生成することができ、物体光学系又は参照光学系のうちの一方は、それぞれ物体ビーム又は参照ビームうちの一方を送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、変位手段は、ファイバ端を動かすことによって、上記光スペクトル分散手段上に部分的に、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成する。
【0087】
その方法は、ビームスプリッティング手段を用いて、物体ビーム及び参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成すること、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される第2の変位手段を用いること、並びに、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第2の光スペクトル分散手段を用いることを含むことができ、使用時に、第2の変位手段及び第2の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビーム内の波列間に第2の固有の光学的遅延を生成し、この第2の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第2の読取り素子上に生成することができる。
【0088】
第2の変位手段は、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成することができる。
【0089】
その方法は、それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように、光スペクトル分散手段及び第2の光スペクトル分散手段の向きを調整することを含むことができる。
【0090】
第2の読取り素子は、第2の信号アナライザに信号を与えることができ、その方法は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて、両方の符号の光路差値を含む、目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供することをさらに含む。
【0091】
読取り素子及び第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信されることができ、装置は、OPD符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される。
【0092】
その方法は、変位手段と光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段を用いて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成すること、第3の変位手段を用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整すること、並びに、第3の光スペクトル分散手段を用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させることを含むことができ、使用時に、第3の変位手段及び第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成し、この第3の固有の光学的遅延を干渉計内の光路差とともに用いて、干渉計内の光路差のためのチャネルドスペクトルを第3の読取り素子上に生成することができる。
【0093】
第3の変位手段は、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整することができる。
【0094】
その方法は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)を構成すること、並びに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の一方の出力において信号が閾値を超えないときに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の他方の出力において生じる2つのピークの最大周波数と最小周波数との間の差に基づいて、物体の厚みを判定することをさらに含むことができる。
【0095】
その方法は、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)を構成すること、並びに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)それぞれの出力において信号が一度だけ閾値を超えるときに、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の極限周波数の和に基づいて、物体の厚みを判定することをさらに含むことができる。
【0096】
信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)の累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、より小さな振幅の目標物体からの雑音及びピークを表す不可欠でないピークを破棄するために、信号アナライザ及び第2の信号アナライザ(又は第3の信号アナライザ)それぞれの出力に、閾値処理回路を実装することができる。
【0097】
本発明のさらに別の目的及び利点とともに、その構造、構成、使用法、及び動作方法に関して、本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、本発明の現時点で好ましい実施形態が例示されることになる添付の図面から、さらに理解されるであろう。
【0098】
しかしながら、それらの図面は例示し、説明することだけを目的としており、本発明を制限することを意図していないことを明確に理解されたい。ここで、本発明の実施形態が、添付の図面に関連して例として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
理解するのを容易にするために、種々の図面において同じである構成要素は、同じ符号によって示されている。
【0100】
光ファイバが用いられる場合に、これは一例にすぎず、バルク型の実施態様が同じく実現可能であり、その場合には、ファイバ内構成要素を用いる個々の素子が、光路によって置き換えられ、方向性ファイバ結合器がプレートビームスプリッタによって置き換えられることになる点に留意されたい。同様に、バルク型の構成要素が用いられる場合に、それらの構成要素は光ファイバ構成要素によって同等に置き換えることができる。
【0101】
本発明のさらに別の目的及び利点とともに、その構造、構成、使用法、動作方法に関して、本発明の特徴であると考えられる新規の特徴は、以下に記載される説明から、さらに理解されるであろう。
【0102】
図3は、本発明の第1の実施形態によるスペクトル干渉装置100を示す。装置100は、OPDを選択することができ、白色光干渉計に基づいて明確なAスキャンを生成することができる。2つのビーム、すなわち目標物体に向かって誘導される物体ビーム及び参照ビームを生成するために、異なる干渉計構成も考えられる。光が光源に戻されるのを避けるために、図3には、再循環参照ビーム構成が示される。
【0103】
物体経路及び参照経路からの2つのビームがスペクトル解析素子上で空間的に重ね合わせられる、スペクトル(又はフーリエ領域)OCTの従来技術の実施態様とは対照的に、本発明の実施形態では、2つのビームは、スペクトル解析素子上で、互いから相対的に変位する。従来技術の構成、たとえば先に引用されたHauslerによる論文、及び米国特許第4,932,782号又は米国特許第5,317,389号に記述される構成では、干渉結果は分散素子に送信され、すなわち、干渉は分散(回折)前に生じていた。本発明の実施形態では、干渉は基本的には分散(回折)後に生じる。
【0104】
図3に示される装置は、光源1と、コリメータ素子2と、ビームスプリッタ4とを備える。ビームスプリッタ4から目標物体55に導く第1の光路41が装置内で画定される。ビームスプリッタ4から、平行移動ステージ63上に配置される2つの再循環ミラー61及び62を介して、ミラー52に導く第2の光路42が装置内で画定される。ビームスプリッタ4からミラー51に導く第3の光路が装置内で画定される。ズーム素子32が第2の光路内に配置され、ズーム素子31が第3の光路内に配置される。スペクトル解析のための光スペクトル分散手段7が、ミラー51及び52によって第2の光路及び第3の光路から反射された光ビームを受光するように構成される。光スペクトル分散手段7は、光ビームの異なる波長成分を、その波長に応じた種々の角度で、合焦素子8を介して読取り素子9上に分散させる。読取り素子9は、スペクトルアナライザ91に電気的出力を与える。プロセッサ46が、収集速度及び帯域幅に関してスペクトルアナライザ91のパラメータを制御し、その出力信号を処理すると同時に、それに同期して平行移動ステージ63並びにミラー51及び52の位置を制御する。
【0105】
図3の装置において、光源1からの光ビームがコリメータ素子2によってコリメートされ、光ビーム3が形成される。この実施形態では、コリメータ素子2は簡単なレンズであるが、他の実施形態では、アクロマート、又はミラー、或いはレンズ又はミラーの組み合わせにすることができる。
【0106】
ビーム3からの光はビームスプリッタ4によって2つのビームに分割され、物体光学系によって第1の光路に沿って物体ビーム41が形成され、参照光学系によって第2の光路に沿って参照ビーム42が形成される。目標物体55からの戻りでは、物体ビーム41は、物体光学系内の第3の光路に沿って、ビームスプリッタ4によって反射される。第3の光路からの物体ビームはミラー51によって反射されて、相対的に変位したビーム41’が生成される。参照ビーム42は2つのミラー61及び62によって反射され、その後、反射素子52によって反射されて、相対的に変位したビーム42’が生成される。この実施形態では、再循環ミラー61並びに反射素子51及び52の組み合わせは、図3に破線のブロックによって示される、変位手段57としての役割を果たす。
【0107】
2つのビーム41’及び42’は、ビーム41’及び42’の平行関係が保たれるようにして、図面の平面と同一にすることができる変位平面内で互いから相対的に変位し、そのような変位は、それらのビームの直径、及びそれらのビーム間に生成される横方向の間隙gよりも大きくすることができる。2つのミラー61及び62は平行移動ステージ63上に配置され、そのステージは、第1の経路41に沿って、さらには変位した物体ビーム41’の第3の経路に沿って分散素子7まで、又は変位したビームが重ならない場合には読取り素子9までのラウンドトリップ経路長によって形成される物体ビーム経路と、第2の経路42の長さと、変位した参照ビーム42’の経路に沿って分散素子7まで、又は変位したビームが重ならない場合には読取り素子9までの長さとによって形成される参照ビーム経路との間の、干渉計内のOPDを調整するために用いられる。2つのビーム41’と42’との間の横方向の間隙gは、ミラー51又は62、或いはミラー52を矢印によって示される方向に動かすことによって変更することができる。他の実施形態では、反射素子52は、ビームスプリッタ、又は複数のミラーの組み合わせにすることができる。0値近くの小さな値の間隙が必要とされる場合、又はビームの横方向の重ね合わせが必要とされる場合には、反射素子52はビームスプリッタを含む。横方向の間隙gの横方向の重ね合わせの量を調整することによって、2つの相対的に変位したビーム内の波列間の固有遅延を調整することができる。ミラー61及び62を経由する第2の経路が、図面の右側に進み(61を90°だけ回転させることによる)、図3に示されるように左側には進まない場合には、ミラー51はビームスプリッタにする必要がある。ズーム素子31及び32を用いて、光スペクトル分散手段7上に入るビームの直径が調整され、この実施形態では、ズーム素子31及び32はそれぞれ、2つ1組のレンズ311及び312、並びに321及び322を含む。レンズ311及び321の焦点距離に対して、レンズ312及び322の焦点距離を調整することにより、素子7に入るビーム直径を縮小又は拡大することができる。
【0108】
この説明のために、互いに対して変位している物体ビーム及び参照ビームのそれぞれの方向を指示するために、用語「相対的に変位した物体ビーム」及び「相対的に変位した参照ビーム」が用いられることに留意されたい。しかしながら、相対的な変位が、物体ビーム又は参照ビームのいずれか、或いは両方を変位させることによって導入できることは当業者には容易に理解されよう。それゆえ、用語「相対的に変位した物体ビーム」及び「相対的に変位した参照ビーム」を用いることは、物体方向又は参照方向のうちの一方だけが変位する装置を除外しないことが理解されよう。
【0109】
さらに、あらゆる実施形態において、物体ビーム及び参照ビームは、物体ビーム及び参照ビームの一方又は両方に導入される、適当に向きを調整された偏向器、光学−光学変調器、又は屈折素子によって変位させることができる。
【0110】
ここで一例として、説明を容易にするために、2つのビームは、回折格子のような簡単な分散素子に対して平行に保持されながら、分散素子7の異なる部分に入るように空間的に変位する。しかしながら、これは、互いに対する2つのビームの変位の大部分を制限すべきではなく、さらに複雑なスペクトル解析素子では、分散手段の同じ部分を用いるが、異なる角度で入射する2つのビームを含むことができ、ビームを相対的に変位させる効果は、分散手段の出力において、2つの分散したビーム間に固有の遅延差を生成することである。
【0111】
この実施形態では、光スペクトル分散手段7は回折格子である。それゆえ、2つのビーム41’及び42’の直径を変更することによって、物体ビーム41’によってNO本の格子線が励起され、参照ビーム42’によってNR本の格子線が励起される。ビーム直径を変更することは、異なるようにすることもできる。ビーム直径を拡大して、2つの最初に変位していたビーム間の間隙を完全になくすことができ、さらにはビームを重ねることもできる。
【0112】
干渉、それゆえ鮮明度を最大にするために、参照光学系内に偏光コントローラ80が示されており、それは物体光学系及び参照光学系内の偏光を一致させるために用いられる。図3には1つの素子80だけが示されており、それは実用的な状況の大部分の場合には十分であろう。しかしながら、同様に、物体光学系において、1つ又は複数の偏光コントローラを用いることもできる。この実施形態において用いられる偏光コントローラはバルク内にある偏光子である。しかしながら、ファイバ内偏光子、バルク内又はファイバ内波長板、及びそれらの任意の組み合わせを用いることもできる。
【0113】
回折格子7によって回折される光は、収束レンズ8によって読取り素子上に合焦する。この実施形態では、読取り素子はCCDアレイ9である。最適に動作させるために、レンズ8は、回折格子7から距離Fに、且つCCDアレイ9から同じ距離Fに配置されることが当該技術分野において知られている。ただし、Fはレンズ8の焦点距離である。本発明の範囲から逸脱することなく、他のスペクトル解析構成を用いることができる。たとえば、他の実施形態では、光スペクトル分散素子7は、プリズム、或いは一群のプリズム又は一群の回折格子のような他の分散手段を含むことができる。さらに、他の実施形態では、CCDアレイ9の代わりに、光検出器アレイを、又は1つの簡単な光検出器を用いることができ、その場合には、光スペクトル分散素子7からの回折した、又は分散したビームを、ガルバノメータスキャナ、共鳴スキャナ、ポリゴンミラー又は回転するプリズムのような角度のあるスキャナを用いて、点光検出器にわたって走査することができる。相対的に変位したビーム41’及び42’に起因して、分散した扇形の光線の重ね合わせから生じる合成スペクトルの形状に従って時間とともに変化する電気信号を生成するように動作することができる、任意の実施態様を用いることができる。
【0114】
読取り素子の信号出力は電子プロセッサにおいて処理され、読取り素子9によって読み取られるような光スペクトルの変調の周期性からAスキャンプロファイルが抽出される。Aスキャンは、深さ方向の反射率のプロファイルである。これは通常、フーリエ変換によって達成されるが、スペクトル解析の技術分野において知られているように、ラプラス変換、ウエーブレット変換、ヒルベルト変換等の他の手順が、種々の成形されたカーネル、ゼロパッディング、補間を用いるスペクトル平滑化と合わせて、同じ目的を果たし、光周波数の線形スケール、反復法等を提供することができる。
【0115】
この実施形態では、変位手段はプロセッサ46によって制御され、プロセッサは、再循環ミラー61、反射素子51及び52、並びにズーム素子31及び32の位置の調整を制御する。しかしながら、他の実施形態では、変位手段は手動で、又は任意の他の適当な手段によって調整することができる。
【0116】
図3の実施形態の動作を理解するために、図4を参照しながら一例が説明されるであろう。この例では、図3に示される構成内の目標物体55は多層化されており、4つの層L1、L2、L3及びL4を含む。
【0117】
図4は、図1及び本発明の実施形態による方法に関連して先に説明された従来技術の方法によって実現される深さプロファイルを比較して示す。出力ピークによって示されるように、電気スペクトルアナライザ91によって測定されるようなチャネルドスペクトルの変調に対応する周波数F1、F2、F3及びF4において、異なる事例が例示されており、各周波数は干渉計内のOPDに比例し、OPDは目標物体の層L1〜L4の深さに対応する。以下の説明では、それらの出力ピークは、その周波数として表される。ピークF1〜F4は、スペクトルアナライザ91を用いて、光スペクトルのフーリエ変換を実行することによって生成される。OPDが大きくなると、チャネルドスペクトルの密度が高くなり、そのOPDに対応する信号の周波数Fが高くなる。ピークF1〜F4は、電気的な周波数軸fに沿って表される。
【0118】
事例(a)では、OPD=0表面は多層物体の前にある。事例(b)、(c)及び(d)では、OPD=0表面は多層物体の中にある。OPD=0である位置は破線によって示される。そのような位置は、図3の平行移動ステージ63の位置によって決定される。事例(b)、(c)及び(d)では、OPDが0である位置は、第2の層L2の深さに一致するOPD位置と、第2の層がある深さよりもわずかに近い、第3の層L3に一致するOPD位置との間で調整される。事例(c)及び(d)は、OPDが特定の符号だけを有する状況に相当し、図2に関連して先に説明されたL及びRの場合に相当する。
【0119】
事例(a)では、従来技術は、そのフーリエ変換が周波数F1〜F4においてピークを有するチャネルドスペクトルを出力し、それらの周波数の位置は、深さ方向における層L1〜L4の位置に類似である。これは、深さ方向の層の正確な検出に、及び正確な断層X線写真(Aスキャン)に対応する。
【0120】
しかしながら、OPD=0表面が多層物体の内部にあるとき、従来技術の方法は、図4(b)に示されるような誤った結果を提供する。この事例では、ピークF1及びF2は層L1及びL2の深さに対応しない。さらに、ピークF2はピークF3上に概ね重ね合わせられ、F2に対して原点方向にわずかにシフトされるだけである。このわずかなシフトは、初期のOPD=0が、層L3よりも、層L2の近くにあったことによる。ピークF3及びF4だけが正確な位置を有する。
【0121】
図4bは、層の深さがOPD>0の場合、すなわち、物体経路が参照経路よりも長いときに、ピークの正確な検出が行われることを示す。しかしながら、OPD<0であるとき、層の深さのための誤った検出が行われることになる。
【0122】
図3に関連して説明された本発明の実施形態が用いられる場合には、結果として、図4(c)に示されるような信号が生じる。この場合、ピークF3及びF4だけが得られ、ピークF1及びF2は除去される。言い換えると、OPD<0に位置する全ての層がスペクトルから除去され、OPD>0の場合の深さ方向の多層構造と極めてよく似たきれいな出力が残される。回折格子に向かって誘導される2つの相対的に変位したビーム41’及び42’が除去される(swooped)場合、又はその図が先に引用されたPodoleanuの2つの論文に記載されるような事例Rに対応するように格子を回転する場合には、パルスF1及びF2がそれぞれ、層L1及び層L2の深さ位置を正確に示すことになり、一方、図4(d)に示されるように、パルスF3及びF4は除去されるであろう。干渉計内のOPDが参照経路から物体経路を引くことによって規定され、回折格子に入射する2つのビーム間の初期のOPDが適切に規定される場合には、同じ説明が当てはまるであろう。
【0123】
ズーム素子31及び32の役割は、図2の従来技術の装置の遮蔽板20によって与えられる調整よりも、OPD範囲の調整に大きな自由度を与えることである。上記の説明に基づいて、相対的に変位した物体ビーム41’が、NO本の格子線が励起されるような直径を有する場合には、物体波列は、格子を通過した後にλNOの長さである。同様に、参照ビーム42’が、NR本の格子線が励起されるような直径を有する場合には、格子を通過した後の参照波列はλNRの長さである。事例Lでは、格子通過後の物体波列及び参照波列の先端間には固有遅延Pλ+λNOがあり、格子通過後の物体波列及び参照波列の後端間には固有遅延Pλ+λNRがある。事例Rでは、格子通過後の物体波列及び参照波列の先端間には固有遅延Pλ+λNRがあり、格子通過後の物体波列及び参照波列の後端間には固有遅延Pλ+λNOがある。
【0124】
相対的に変位した2つのビーム41’と42’との間の間隙gが、P本の格子線が励起されないような間隙である場合には、事例Lの場合の2つの波列が干渉するために必要とされる最小OPDは以下の式によって与えられ、
OPDmin=Pλ+Lc
波列の重なりがないときの最大OPDは以下の式によって与えられる。
OPDmax=Pλ+λNO+λNR
【0125】
事例Rでは、上記の2つの式内のOPDmin及びOPDmaxの符号が変わるであろう。したがって、2つの相対的に変位したビーム間の間隙及びそれらのビーム直径を調整することによって、測定されるOPDの範囲を都合よく調整することができる。
【0126】
上記のPodoleanuの論文において説明されるように、チャネルドスペクトルの鮮明度は、2つの波列の重なりの量に依存する。それゆえ、上記の事例Lでは、相対的に変位した各ビームがNλ/2本の格子線を含む場合に、その鮮明度は、OPD=Lcの場合の0から、OPD=Nλ/2のときの最大値まで増加する。小さなOPDの場合の信号の強度を高めるために、2つの変位したビームを部分的に横方向に重ね合わせることが望ましい場合もある。これは、2つの相対的に変位したビーム内の波列間の固有遅延をNλ/2未満に減少させる。S本の格子線が、横方向に変位した両方のビームによって含まれる場合について考える。これは、範囲OPD<0内の散乱点によって0以外の鮮明度が生成されるという不都合を有するであろう。より正確に言うと、OPD>OPDmin=−Sλの場合に、アナライザ91に送出される信号のフーリエスペクトル内にピークが生成されるであろう。
【0127】
範囲−Sλ〜Lc内のピークが、範囲Lc〜Sλに対応するピークに重ね合わせられて、再び、結果として不正確なAスキャンプロファイルが生じるであろう。しかしながら、組織の前にあるOPDの領域がOPD=−Sλまで鮮明である場合には、フーリエスペクトル内にピークは現われないことになり、そのように調整することによって、小さなOPD値の場合のAプロファイルの強度を高めるという利点を達成できる。
【0128】
図5は、本発明による、OPDを選択することができるスペクトル干渉装置の第2の実施形態を示す図である。図5に示される実施形態は、図3に関連して説明されたものと構成に関して類似であるが、さらに、プロセッサ46に接続される発生器34と、XYスキャナヘッド10と、走査光学系12と、合焦素子15とを備える。その装置は、多層物体55からのAスキャンだけでなく、3D断層X線写真体積測定データも送出するように構成される。
【0129】
XYスキャナヘッド10が駆動されていないときに、そこから現われる物体ビーム41の方向が光学軸を規定するものとする。X及びYがその光学軸に対して垂直な平面内にある座標軸であり、Zがその光学軸に対して平行な座標軸である座標系を考える。
【0130】
走査用光学系12を介して、横断するように目標物体55にわたって物体ビーム41を走査するためにXYスキャナヘッド10が設けられる。合焦素子15が、検査されるべき目標物体55、たとえば組織上に光を合焦する。一般性を損なうことなく、物体55の目標エリアとして、図5には目の網膜が示されており、合焦素子15は眼レンズである。組織55が皮膚である場合には、合焦素子15を通過した後の光線が標準的には、深さ方向の軸と平行に現われるように、走査用光学系12が変更される。また合焦は、走査用光学系12内の光学素子を変更することによって、又はコリメータ素子2を動かすことによって、又はビームスプリッタ4とスキャナヘッド10との間に適当な光学素子を追加することによっても果たすことができることも理解されよう。別個に、又は一緒に用いられるそのような素子は、目の網膜又は皮膚のような多層物体55に適用することができる合焦手段の役割を果たす。その走査は、発生器34の制御下にある。横断面内の点(X,Y)毎に、図3の実施形態と同じ構成要素を用いて、その装置によってAスキャンが生成される。1つのスキャナが固定される場合、平面(X,Z)又は(Y,Z)内の組織の断面を得ることができる。ただし、Zの向きは深さ方向に沿っている。これは、超音波の用語に従って、OCT Bスキャン画像と呼ばれる。Bスキャンが他の座標軸、それぞれY又はXに沿って繰り返されるとき、組織の全体積を調査することができる。別法では、2つの座標は、光学軸に対して直交する横断面内の極にすることができる。さらに、スキャナは、横断面内で円形を描くようにして駆動することができ、その場合に、Bスキャン画像は、深さ方向の軸に沿って向けられる円柱の横方向のサイズに沿っている。
【0131】
図5のプロセッサ46はさらに、AスキャンプロファイルからBスキャン画像を生成し、アナライザ91のAスキャン生成を、一方又は両方の横断スキャナの動きと同期させるという意味で、図3に関連して説明されるプロセッサよりも進んだ機能を有する。XYスキャナの両方のスキャナを制御すること同期して、数多くのBスキャン画像が生成されるとき、3D体積測定データの生成において、さらに多くの機能が必要とされる。
【0132】
図6は、本発明による、OPDを選択することができるスペクトル干渉装置の第3の実施形態を示す。この実施形態を用いて、多層物体55のOCT Bスキャンを送出し、3D調査を実行することができる。この実施形態では、光ファイバ及びバルク光学系のハイブリッド構成が用いられる。
【0133】
図6に示される実施形態は、単一モードの方向性結合器40を用いて、光源1からの光を、ファイバリード36の出力の物体ビームと、ファイバリード38の出力の参照ビームとに分割する。ファイバリード36は、光をコリメータ素子2に供給するように構成される。図6の物体経路光学系の残りの部分は、図5に関連して説明されたものに類似である。合焦素子2によってコリメートされた光はビーム3を形成し、そのビームは、ビームスプリッタ4を経由して、第1の光路41に沿って走査用素子10に送出され、その後、走査用光学系12及びレンズ15を経由して、物体55に向かう。物体55から後方散乱された光は、第1の光路41に沿って戻り、ビームスプリッタ4によって第3の光路に沿って偏向され、ズーム素子31を介して、ミラー51に誘導される。
【0134】
ファイバリード38の出力の前にファイバループ49が設けられ、ファイバリード38は、参照ビーム42を形成するために、コリメータ33に光を供給するように構成される。これは、第2の光路42に沿って、ズーム素子32を介して、ミラー52に送られる。この実施形態では、ファイバリード38は平行移動ステージ81上に配置され、そのステージそのものは平行移動ステージ63上に配置される。平行移動ステージ63の役割は、先行する実施形態に関連して先に説明されたものと同じである。平行移動ステージ81を用いて、ファイバリード38の位置が動かされる。他の実施形態では、平行移動ステージ81は、存在する必要はない。
【0135】
偏光を一致させるために、参照光学系内の自由空間ビームのために設けられる偏光コントローラ80のほかに、物体光学系のファイバリード36内に補助偏光コントローラ85が設けられる。先行する実施形態の場合と同様に、偏光コントローラは不可欠ではなく、なくすこともできる。
【0136】
図5の実施形態と同様に、スペクトル解析素子7に突き当たる前に、ミラー51及びミラー52を用いて、物体ビーム及び参照ビームを互いに横方向に変位させて、相対的に変位した物体ビーム41’及び相対的に変位した参照ビーム42’が生成される。先に説明された実施形態の場合と同様に、ミラー51又は52の代わりに、ビームスプリッタを用いることもできる。
【0137】
OPD=0である位置を調整するために、当業者が考えることができるような種々の実施態様が実現可能である。1つのそのような実現可能な実施形態が図6に示されており、ファイバリード38の端部及び参照経路内のコリメータ33が軸方向スキャナ63上に配置され、ファイバリード38がファイバループ49を備えており、動かすことができるようにする。
【0138】
相対的に変位した参照ビーム42’のビーム直径が異なる焦点距離のコリメータ素子33を用いて調整できること、及びズーム素子32をなくすことができることも当業者には容易に明らかになるであろう。同様に、相対的に変位した物体ビーム41’のビーム直径は、異なる焦点距離のコリメータ素子2、及び第1の経路に沿った合焦素子を用いて調整でき、その場合に、ズーム素子31をなくすことができる。
【0139】
この実施形態では、ミラー51及び52の位置及び傾きは手動で調整される。しかしながら、検出されるべき最小経路差を調整するために、変位手段をプロセッサ46によって制御して、変位平面内の2つのビーム間の間隙を調整することもできることも、当業者には容易に明らかになるであろう。たとえば、これは、図5において、平行移動ステージ63の上に別の平行移動ステージを用いて、ミラー62を矢印の方向に、又はミラー61及び62の両方を動かすことによって実施することができる。
【0140】
さらに、平行移動ステージ81を用いて、図6に示される構成においてビームの相対的な変位を調整できることも理解されよう。平行移動ステージ81は、平行移動ステージ63を動かす矢印に対して垂直な方向にファイバ端38及び合焦素子33を動かすことができ、それゆえ、図面の平面において、ビームの変位に影響を及ぼし、変位手段としての役割を果たすことができる。
【0141】
図6において、ビーム42及び41は互いに異なる平面内に存在する場合があり、図面の平面の外側に存在する場合もあることが理解されよう。これらの状況では、反射板51及び52を用いて、分散素子7に突き当たる前に、そのような位置合わせ不良が補償され、ビーム41’及び42’が変位平面内に入れられる。2つのビーム41’及び42’の変位平面が図面の平面から外れている場合もある。そのような場合には、素子7内のプリズム(又は第1のプリズム)或いは回折格子(又は第1の回折格子)の表面に対する垂線が、2つのビームに対して垂直な方向に描かれる2つの変位したビームの中心を結ぶ線に対して垂直になるように、分散素子7を傾けることが不可欠である。素子7を通過した後のスペクトル分散された光線の方向は図面の平面から逸脱し、それゆえ、チャネルドスペクトルのコントラストを最大にするように、すなわち、合焦素子8の中心への垂線及び読取り素子9の中心への垂線が扇形の分散した光線によって画定される新たな平面内に入るように、合焦素子8及び読取り素子9を位置合わせし直さなければならないことが理解されよう。
【0142】
本発明の第4の実施形態が図7に示される。この実施形態は図6に関連して説明される実施形態に類似であり、相対的に変位したビームを生成するために、物体ビーム及び参照ビームを変位させるための別の実現可能な実施形態を示す。
【0143】
この実施形態では、単一モードの方向性結合器40が、光源1からの光を、物体経路光学系内のファイバリード36の出力における物体ビーム、及び参照経路光学系内のファイバリード38の出力における参照ビームに分割する。
【0144】
物体経路光学系は図6に関連して説明される光学系に類似である。図6の構成と同様に、参照経路光学系は、ファイバリード38の出力の前に設けられるファイバループ49を備えており、ファイバリード38は、光をコリメータ33に供給し、参照ビーム42を形成するように構成される。ファイバリード38は平行移動ステージ81上に配置され、そのステージそのものは平行移動ステージ63上に配置される。平行移動ステージ63の役割は、先行する実施形態に関連して先に説明されたものと同じである。
【0145】
図6の構成とは対照的に、この実施形態のビームスプリッタ4は、物体ビーム41及び参照ビーム42の両方によって用いられ、2つの変位したビーム間の間隙は、ファイバ端38及びコリメータ33を保持するステージ81を横方向に動かすことによって調整される。
【0146】
それゆえ、この構成では、ビームスプリッタ4は、物体経路光学系内のメインスプリッタとして機能するだけでなく、参照ビーム42を横方向に変位させるためのミラーとしての役割も果たす。それゆえ、この実施形態の変位手段は、ファイバ端38及びビームスプリッタ4を動かすための手段を含む。
【0147】
図7に示される構成では、ビームスプリッタ4の比は、目標物体55から戻される物体ビームがほとんど減衰を受けないような比であり、それは、反射係数よりも大きな透過係数を有するビームスプリッタ4によって達成される。図6の構成は、透過係数よりも大きな反射係数を有することが理解されよう。
【0148】
この実施形態では、さらに別のミラー構成58が、相対的に変位した参照ビーム41’と、目標物体55から反射されて、ビームスプリッタ4を通過する物体ビームの部分とを受光するように配置される。相対的な変位をさらに調整するために、このミラー構成58を用いて、ビームスプリッタ4からのビームが傾けられる。しかしながら、他の実施形態では、ミラー構成は存在する必要はなく、変位手段は、ビームスプリッタ4及び平行移動ステージ81の組み合わせだけを備えることができる。
【0149】
ミラー構成58と分散手段7との間の経路内にズーム素子31及び32が設けられる。これらのズーム素子は、先に説明されたのと同じようにして、相対的に変位したビームの直径を変更することができる。上記の実施形態の場合と同様に、ズーム素子31及び32はオプションであることが理解されよう。ズーム素子は、変位手段の前に配置することもできる。
【0150】
物体55から後方に反射される信号の収集を改善するために、図6及び図7を参照して説明された両方の構成において、ビームスプリッタ4の代わりに3つの入力ポートを有するサーキュレータを用いることができ、その場合、サーキュレータ入力(第1のポート)はファイバ36に直に接続され、第2のポートはスキャナヘッド10に向かって誘導され、第3のポートは、コリメータを介して、ミラー51に向かって光を送るために用いることができる。さらに、図8に示されるように、2つのそのようなサーキュレータを用いることもできる。本発明の第5の実施形態が図8に示される。この実施形態では、物体光学系及び参照光学系はいずれもファイバ内サーキュレータを用いる。
【0151】
この実施形態では、単一モードの方向性結合器40が、光源1からの光を、物体経路及び参照経路に分割する。光は、物体経路に沿って物体サーキュレータ71まで進む。物体サーキュレータ71から出力される光は、合焦素子2を介して、光学系内の目標物体55に向かって送られ、目標物体55から戻される光は,サーキュレータ71に戻されて、ファイバ端36に向かって送られる。
【0152】
光は、参照経路に沿って、単一モードの方向性結合器40から参照サーキュレータ72まで進む。サーキュレータ72から出力される光は、合焦素子75、この実施形態ではレンズを介して、平行移動ステージ63上にあるミラー74に向かって送られる。参照光学系内のミラー74から戻される光は、サーキュレータ72を介して、ファイバ端38に向かって送られる。
【0153】
物体光学系からの光はファイバ端36から出力され、ズーム素子31、この実施形態では屈折率分布レンズ(GRIN)レンズを通過する。参照光学系からの光はファイバ端38から出力され、ズーム素子32、この実施形態では同じくGRINレンズを通過する。この実施形態では、ファイバ端及びそれぞれのズーム素子はいずれも、ファイバ端の相対的な位置を調整することができるステージ(図示せず)に載置される。
【0154】
その後、ズーム素子31及び32からの光は、ミラー構成58を通過する。ミラー構成58から出力される2つのビーム41’及び42’は互いに対して相対的に変位し、分散素子7の異なる部分に入る。
【0155】
この実施形態では、ビーム41’及び42’の相対的な変位(たとえば、2つのビーム41’及び42’間の間隙)は、ビームを適当に反射するミラー構成58、ファイバ端36及び38の相対的な位置を動かすステージ(図示せず)、並びにビームの直径(それゆえ、ビーム間の間隙)を変更するGRINレンズの組み合わせによって調整される。
【0156】
しかしながら、他の実施形態では、分散手段に入るビームの変位はミラー構成58だけによって調整することができ、ファイバ端及びズーム素子のためのステージはオプションである。さらに、その変位は、ファイバ端を動かすことだけによって調整することができ、ミラー構成58及びズーム素子はオプションである。さらに、その変位は、ビームの直径を変更するズーム素子だけによって調整することができ、ファイバ端のためのステージ及びミラー構成58はオプションである。別法では、その変位は、上記の3つの要因のうちの任意の2つの組み合わせによって達成することができる。
【0157】
ビームスプリッタ及び少なくとも1つのミラーを含むミラー構成58を用いて、図8の構成では、ビーム41’とビーム42’との間の間隙を0にすることができることが理解されよう。1つのミラーを用いて、ビームを45°だけ回転させて、その後、第2のミラーを介して、反対方向に45°だけ回転させて、他方のビームの近くに送出される。この場合には、間隙は小さいが、その間隙を0にしたり、ビームを重ね合わせたりすることはできない。第2のミラーがビームスプリッタである場合には、2つのビームは、図5に示されるように、完全に重ね合わせることができる。
【0158】
ミラー構成の前後に他のズーム素子を載置して、分散素子7に向かって送出されるビームの直径を変更することもできる。
【0159】
さらに、コリメータ素子2の後の物体光学系内に横断スキャナを用いることができるか、又は多重化されたセンサアレイに繋がるファイバ内に保持することができる。これらのスキャナを用いて、図5及び図6に関連して先に説明されたようにして、目標物体55を走査することができる。
【0160】
この実施形態では、干渉計内の光路差は、この実施形態の移動ステージ63を動かすことによって調整される。別法では、干渉計内のOPDは、A. M. Rollinsによる「Aspects of basic OCT engine technologies for high speed optical coherence tomography and light source and other improvements in optical coherence tomography」というタイトルの米国特許公開第20030137669A1号に記述されるような、スペクトル走査遅延線と呼ばれるものを用いて調整することができ、その場合、回折格子又はプリズムの後にあるガルバノメータミラーを用いて光が角度偏移され、ガルバノメータミラーは、フェムト秒レーザパルスを処理するために最初に開発された原理に基づいて、光周波数の線形位相を時間遅延に変換することに基づいて動作する。そのような方法は、分散を補償するという利点も提供する。伝送時のスペクトル走査遅延線は、図3、図5、図6及び図7の実施形態においても用いることができ、そのようなデバイスが、J. A. Izattによる「Optical Imaging Device」というタイトルの米国特許第6,564,089B2号に開示される。
【0161】
図9に関連して本発明の第6の実施形態が説明される。この構成では、相対的に変位した物体ビーム41’及び相対的に変位した参照ビーム42’がビームスプリッタ99に与えられる。相対的に変位したビームは、たとえば、反射、偏向、屈折、ビーム直径を変更すること、ファイバ端を動かすこと、又はこれらの任意の組み合わせによって、先に説明された方法の任意の方法において生成することができる。
【0162】
それゆえ、ビームスプリッタ99は、2組の相対的に変位したビームを生成する。1組の相対的に変位したビーム41’及び42’は、ビームの相対的な変位をさらに調整することができるミラー構成59に与えられる。図9に示されるように、ミラー構成59は、ビームスプリッタの前のgの値から、ミラー構成59の後のg’まで、ビーム間の横方向の間隙を調整することができる。その後、相対的に変位したビーム41’及び42’は分散手段7に対して出力され、分散手段7は、先に説明されたようにして、そのスペクトル成分を読取り素子9上に分散させる。読取り素子9は、スペクトルアナライザ91に電気的出力を与える。
【0163】
他方の組の相対的に変位したビーム41は、同じくビームの相対的な変位をさらに調整することができる第2のミラー構成59’に与えられる。図9に示されるように、ミラー構成59’は、ビームスプリッタの前のgの値から、ミラー構成59’の後のg’’まで、ビームの前からのビーム間の横方向の間隙gを調整することができる。ミラー構成59’から出力されるビームは、第2の相対的に変位したビーム41’’及び42’’と見なすことができる。その後、第2の相対的に変位したビーム41’及び42’は第2の分散手段7’に対して出力され、第2の分散手段は、先に説明されたようにして、第2の読取り手段9’上に、そのスペクトル成分を分散させる。第2の読取り手段9’は、第2のスペクトルアナライザ91’に電気的出力を与える。
【0164】
先に説明された実施形態と同様に、分散した光は素子8及び8’によって読取り素子9及び9’上に合焦する。上記のことから、2つのビーム間の間隙(すなわちg’及びg’’)が、分散手段、合焦素子8及び読取り素子9の組み合わせにおいて固有遅延を生成し、第2の分散手段7’、第2の合焦素子8及び第2の読取り手段9の組み合わせにおいて第2の固有遅延を生成することが理解されよう。到来する変位した各ビームの方向に対する2つの分散手段7及び7’の向き及び空間的な位置によって、固有遅延及び第2の固有遅延が反対の符号を有するようになる。
【0165】
この実施形態では、回折格子が分散手段7及び第2の分散手段7として用いられ、反対の符号を有する固有遅延及び第2の固有遅延は、分散手段7内の回折格子が、第2の分散手段7内の回折格子とは反対の符号の次数を回折するように構成されることによって達成される。
【0166】
分散手段7及び第2の光分散手段7がそれぞれ、1つ又は複数のプリズムを含む場合には、1つ又は複数のプリズムは、相対的に変位した物体ビーム41’又は相対的に変位した参照ビーム42’のうちの一方が、分散手段7内のプリズム頂点に最も近くなり、第2の相対的に変位した参照ビーム42’’又は第2の相対的に変位した物体ビーム41’がそれぞれ、第2の光分散手段内のプリズム頂点に最も近くなるように配置することができる。
【0167】
上記の結果として、一方のスペクトルアナライザ91が、一方の符号のOPD、たとえば正のOPD値(「チャネルP」)のための信号を出力し、他方のスペクトルアナライザが反対のOPD符号、すなわち負のOPD値(「チャネルN」)のための信号を出力することが理解されよう。
【0168】
各チャネル内の2つの相対的に変位したビーム間の間隙g’及びg’’は、ミラー構成59及び59’によって別個に調整することができる。この実施形態では、ミラー構成59及び59’は、2つのビームを横方向に変位させるために、図3、図5、図6、図7及び図8に関連して先に説明されたものに類似のミラー及びステージを含む。しかしながら、先に説明された変位手段を形成することができる任意の他の素子を、ミラー構成59及び59’の代わりに用いることができることが理解されよう。さらに、そのような変位手段を1つ追加するだけで十分に機能できることが理解されよう。
【0169】
これらは、2つのビームを横方向に変位させるために、図3、図5、図6、図7及び図8において用いられた手順に類似のミラー及びステージを用いる。原理的には、初期の間隙gが0でなかった場合であっても、変位素子を用いることによって、2つのビームを重ね合わせることもできる。2つの変位手段を用いることにより、検出することができる最小OPDの絶対値、及び、各チャネルにおいて最大感度が達成される深さ方向の位置に関して、2つのチャネルを別個に調整できるようになる。
【0170】
これまでに説明された実施形態の任意のものと組み合わせて用いられる場合には、電気スペクトルアナライザ91を用いて、正(又は負)の符号のOPDのためのAスキャンを提供することができ、第2の電気的スペクトルアナライザ91’が、負(又は正)の符号のOPDのためのAスキャンを提供することができる。
【0171】
この実施形態では、スペクトルアナライザ91及び第2のスペクトルアナライザ91’の出力を受信するために、合成素子92が設けられる。合成素子92は、2つのAスキャンを一緒にして、個々のスペクトルアナライザ91及び91’によって与えられる2倍の深さの範囲のAスキャンを与える。
【0172】
各チャネルが一方の符号のOPDの場合に0以外の鮮明度を有するのを確実にするために、そのようなデュアルチャネルの実施形態だけは、2組の相対的に変位したビームが重ならないようにする必要がある。このようにして、2つのチャネルPとNとの間のクロストークがなくなり、すなわち、任意の符号の所与のOPDの場合に、スペクトルアナライザ91又は91’のいずれかの出力に信号が現われ、両方の出力には現われない。
【0173】
各チャネルが範囲|OPD|max=Dを有する場合には、合成素子92は範囲−D〜D、すなわち各チャネルの2倍の範囲の信号を与えることになるが、中心にある間隙はOPD=0を中心にして−Lc〜Lcである。その間隙がビーム直径よりも大きい場合には、各チャネル内の最小|OPD|はコヒーレンス長LCよりも長くなり、ゼロ経路不均衡の周囲の間隙は広くなる。
【0174】
図9の構成を用いて、範囲−D〜DのいくつかのAスキャンからBスキャンOCT画像を構成する場合には、その画像は、ゼロ経路不均衡の周囲において、画像の中央に消失コントラスト(低コントラスト、0になる傾向がある)を有するであろう。これはイメージングのための不都合であると考えることもできるが、物体の動きにかかわらず、ミラー項によって画像が歪むことがないという利点を有する。画像内の各ピクセルは、所与の符号のOPDだけに対応することになり、同じ係数であるが、符号が反対であるOPDに起因するクロストークは生じない。
【0175】
図9のAスキャン出力特性が図10a〜図10cに関連して説明されるであろう。
【0176】
図10aは、深さ方向における反射率の仮定的な減衰を示しており、簡単にするために、それは深さとともに直線的に減衰するものと見なされる。図10bは、図9の構成の2チャネルの2つの鮮明度プロファイルを示しており、動作方式Lの一方のチャネルは正のOPDを選択し、動作方式Rの他方のチャネルは負のOPDを選択し、それらの結果が合成素子92において加算される。
【0177】
図9の実施形態の鮮明度プロファイル全体の結果を、図10aに示される減衰と組み合わせると、図10cに示されるように、最終的に、負及び正のOPDの範囲において減衰が生じる。
【0178】
比較のために、ミラー項を除去するための位相シフト干渉法を用いる既知の方法の出力が図11a〜図11cに関連して説明されるであろう。
【0179】
図11aは、深さ方向における反射率の仮定的な減衰を示しており、簡単にするために、それは深さとともに直線的に減衰するものと見なされ、図10aに示されるのと同じである。
【0180】
位相シフト法を用いてミラー項を避ける既知の方法の場合の鮮明度プロファイルが図11bに示されており、OPD=0付近で最大になる。
【0181】
図11aに示される減衰と、図11bの鮮明度プロファイル全体とを組み合わせる結果として、図11cに示されるプロファイルが生じる。
【0182】
本発明による方法、並びに位相シフト干渉計及び少なくとも3つの測定に基づいてミラー項を避けるために従来技術において用いられる方法のいずれの方法によっても、歪みのあるAスキャンプロファイルが生成される。いずれの方法も、コヒーレンス長未満の|OPD|の場合のチャネルドスペクトルが存在しないので、フーリエ変換信号を出力しないが、本発明の方法は、コヒーレンス長よりもわずかに大きな|OPD|の場合の消失値を生成するのに対して、位相シフト法は、最大強度信号を生成する。本発明による方法は、物体内の2つの深さにおける画像のコントラストを高めるのに対して、従来技術の既知の方法は概ねOPD=0である。いずれの場合でも、図10c及び図11cに示される出力結果を、それぞれ図10b又は図11bの鮮明度プロファイルと逆畳み込み演算することによって、原理的には、正確なAスキャンプロファイルを推定することができることが理解されよう。しかしながら、本発明による方法及び装置は物体の動きを許容するのに対して、最新技術の方法は、図11cの結果を生成するために、少なくとも3つの測定を必要とする。
【0183】
図10c及び図11cに示されるAスキャンの近似プロファイルは、大きな焦点深度を考慮する。しかしながら、実際には、合焦光学系の共焦点プロファイルは深さ範囲Dよりも狭くなる場合があり、その場合には、Aスキャンの正確なプロファイルを推定するために、鮮明度は、合焦による共焦点プロファイルと乗算されなければならない。図10bに示される鮮明度プロファイルと、図11bに示される最新技術の鮮明度プロファイルとの間の差は、目標物体、たとえば組織内の焦点位置の異なる調整を必要とする。最新技術の場合、鮮明度対OPDの減衰を補償するために、焦点はいつでも組織内の深くに調整されるのに対して、本開示では、焦点は、装置の全感度を平坦にするために、OPD=0の近く又はOPD=D=Nλの近くのいずれかに調整することができる。
【0184】
さらに、本発明のそのような実施形態は、OPD値を選択する特有の可能性を提供し、焦点を調整して、Nλ/2の近くにある鮮明度最大位置と一致させることができ、その場合に、結果として、概ねNλ/2の狭いプロファイルが生成され、それは、図11bに示されるように、OPD=LCにおいて達成される最大値から、鮮明度がOPDとともに連続して減少する最新技術の場合には実現できない。
【0185】
図9に関連して説明される実施形態は、S個のセンサを読み取ること、又は目標物体55からOCT画像を生成することに一般化することができ、その場合には、異なるS個のチャネルがその自らのOPD範囲を選択し、そのOPD範囲は、異なる最小OPDと、感度が最大値を達成する異なるOPD値とを有する。これを果たすために、ビームスプリッタ99の代わりに、いくつかの光スプリッタを用いて、それぞれ自らの読取り素子9、9’、9’’、9’’’、...及び自らの変位手段57、57’、57’’、57’’’、...を備えるS個の光分散手段7、7’、7’’、7’’’、...に物体ビーム及び参照ビームの対を与えることができる。図9には、それぞれ1つの符号のOPDに対して感度を有し、それゆえP及びNと呼ばれる2つのチャネルだけが示された。いくつかのS個のチャネルが用いられる場合、いくつかのチャネルは正のOPDに対して感度を有し、すなわちチャネルPにすることができ、いくつかのチャネルは負のOPDに対して感度を有し、すなわちチャネルNにすることができる。
【0186】
さらに、図9に示される構成は、ビームスプリッタ99に2つの相対的に変位したビーム(間隙gを有する)を与えるが、他の実施形態は、ビームスプリッタ99に、変位していない物体ビーム及び参照ビームを与えることができる。その際、そのような実施形態では、各チャネルにおいて変位手段を用いて、各チャネル内のビームの変位が調整されるであろう。
【0187】
物体が単層の表面である場合には、図9に関連して説明されたような異なるチャネルを有する実施形態を用いて、イメージングとは異なる機能を達成することができる。
【0188】
図9は、2つの周波数/振幅変換器93及び93’を示しており、それらは読取り素子9及び9’からの出力を受信する。周波数/振幅変換器93及び93’は、読取り素子9及び9’によってそれぞれ送出される信号の周波数を、信号入力振幅に関係なく、大きさに変換し、すなわち、|OPD|が大きくなると、出力信号の強度が高くなる。しかしながら、周波数/振幅変換器のからの信号の1つがインバータ94によって反転され、その結果が、加算器ブロック95において、他方の変換器の信号と加算される場合には、−D〜+Dの範囲内のOPDの正及び負の値のための正の値及び負の値を含む、OPDに比例するDC信号950が得られる。
【0189】
同様に、ミラーの軸方向の位置を追跡する際には、一部を使用して、それぞれ1つの符号のOPDの場合だけの出力信号930又は930’を得ることができる。同じことが、図3、図5、図6、図7及び図8に提示されるような実施形態の場合も当てはまり、1つの符号のOPDだけに対して感度を有するように調整することができることは明らかであろう。図9の実施形態、又は1つの周波数/振幅変換器を備える図3、図5〜図8の実施形態のような実施形態は、生体の目の角膜の軸方向の位置を高速に追跡するという当面の応用形態を有することができる。
【0190】
本発明による方法はOPD符号に対して感度を有することができるので、顕微鏡スライドのような、プレートの厚みを測定するための新規の方法を考案することができる。光学的なプレート厚がD/2未満である場合を考える。ただし、Dは、図9に示されるような構成内の各チャネルのOPD範囲である。プレート位置が、深さ方向の軸に沿ってランダムに振動する場合には、
(a)両方の界面が正のOPD範囲内にある、
(b)一方の界面が正のOPD範囲内になり、他方の界面が負のOPD範囲内にある、
(c)両方の界面が負のOPD範囲内にある、ということが起こり得る。
【0191】
事例a及びcの場合、すなわち、両方の界面が同じOPD範囲内にある場合、各チャネルのAスキャン内に2つのピークが存在し、一方、他方のチャネルのAスキャンにはピークは存在しない。この場合、Aスキャン内の2つのピークの位置に対応する2つのOPD値を差し引くことによって、厚みを推定することができる。
【0192】
事例bの場合、2つのチャネルのAスキャンには、それぞれ1つのピークだけが存在する。この場合、2つのピークの周波数を、各チャネルだけによって送出される1つの周波数と加算することによって、厚みを推定することができる。別法では、信号930及び930’の和が厚みを与えることができる。
【0193】
上記の事例a、b、c又は用いられる処理方法がいずれであっても、電気信号アナライザ91、91’又は合成器92によって、或いは周波数変換器93及び93’によって送出されるAスキャンでは、得られた厚み値が、顕微鏡スライドの軸方向への動きを許容できる。
【0194】
この方法は、軸方向への目の動きを許容できる、トポグラフィのための網膜厚又は角膜厚の迅速な測定に拡張することができる。雑音に起因する誤った結果を避けるために、各電気アナライザ91及び91’の後に閾値処理回路を用いることができる。
【0195】
図9は、振幅変換器93及び93’並びに信号アナライザ95を有するものとして示されるが、イメージングだけが要求される場合には、これらは不可欠ではない。
【0196】
2つの変位したビームの半径の和よりも大きな、2つのビーム間の間隙を有する、図3、図5、図6、図7及び図8に関連して先に説明される実施形態では、深さに関して特有の選択を実現する。所与のOPD値が、容認された符号(すなわち、構成に応じて正又は負)を有する場合には、その値は周波数値fに、すなわちチャネルドスペクトル内のピーク及びトラフの繰返しに変換される。同時に、反対の符号を有する同じOPDは、いかなるチャネルドスペクトルも生成しない。したがって、2つの事例の場合、読取り素子9の信号出力において、周波数fが生成されるか、又は周波数が生成されないことになり、その装置は1つの符号のOPDに対してだけ大きな感度を有する。その装置は、他の符号のOPDに対して感度を有することもでき、それでも、物体内の深さ方向の散乱体の分布を、又は先に説明されたように、光源を変更することによって分布センサ内のOPDの分布を固有に再現することができる。
【0197】
低コヒーレンスの光源ビームが、遅延差Δを介して、干渉計に送出される場合には、OPD=0の場合、遅延差に対応する成分が周波数faのチャネルドスペクトル内に存在する。この場合、所与のOPD値の場合に読取り素子9によって送出される信号の周波数は同じくfであるが、周波数f+faのチャネルドスペクトル内に別のピークが現われる。干渉計内のOPDが反対の値を有する場合には、変調周波数はfa−fである。これにより、その符号に応じて、OPDの選択が異なり、周波数値を有するか否かの代わりに、OPD符号に応じて、0とは異なる2つの周波数が生成される。
【0198】
その原理を示すために、物体が光学的な厚みT<Dを有する場合を考える。ただし、Dは、その装置の最大深さ範囲である。スペクトル分散手段が回折格子である場合を考える。この場合、最大深さ範囲は、D=(NO+NR)λとして近似することができる。ただし、NO及びNRはそれぞれ、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームによって含まれる格子線の数である。変位したビーム間の間隙が、それらの半径の和よりも大きく、装置が一方の符号のOPDに対してだけ感度を有する場合を考える。回折格子の向きは、装置が正の符号のOPDだけを選択するような向きであるとする。物体内の全ての層が正の範囲の深さ内にあるとき、読取り素子の信号出力のスペクトル内の全ての周波数はkDまでの範囲にある。ただし、kはOPD値と電気的な周波数との間の装置変換係数である。
【0199】
全ての層が、図3の実施形態によって生成されるAスキャン、又は図5〜図8の実施形態によって生成されるBスキャン画像内に存在する。物体が偶然に装置の近くに動く場合には、正のOPD範囲内の層のための周波数が生成され、負の範囲内の物体の層のための周波数は生成されない。物体が装置の極めて近くにあり、その中央の厚みがOPD=0に対応するという極端な事例を考える。この場合、T/2からTまでの層はAスキャン又はBスキャン画像内に表示され、0〜T/2の層は除去される。しかしながら、これらの層は、光源から到来する低コヒーレンスビームが複製され、遅延差Δだけ遅延される場合には、再現することができる。ただし、T<Δ<Dである。この場合、物体の上部付近の散乱体はkΔに近い周波数を生成し、一方、物体の中央付近の散乱体は周波数k(Δ−T/2)を生成する。T/2〜Tの層は、kT/2まで昇順に周波数を決定し、一方、負のOPD範囲内の層は、k(Δ−T/2)〜kΔの周波数範囲において降順に送出される。Aスキャン又はBスキャンの2つの部分を合成して、ソフトウエア手段によって画像を再構成し、正確な画像を与えることができる。全ての層が負のOPD範囲の中に入る場合には、厚みTのための連続した完全なAスキャン又は連続した完全なBスキャンが得られるが、高い周波数から低い周波数まで、すなわちk(Δ−T)からkΔまで反対に向けられ、しかしながら正確であり、層の重なりはない(ミラー項は無い)。
【0200】
Δだけ遅延した光源のレプリカを生成するために種々の方法がある。たとえば、直列に接続される2つの単一モード結合器を用いることができ、第1の結合器の2つの出力が第2の結合器の2つの入力に接続され、マッハ−ツェンダー構成が形成される。この構成では、2つの結合器間に接続されるファイバの2つのリード間の遅延差によって、遅延が導入される。第2の結合器の出力では、その間に2つの結合器を接続する経路毎に1つの、光源の2つのレプリカが生成される。
【0201】
別法では、図3及び図5の光源からのビーム3の中に途中までガラス板を導入することによって、同じことを達成することができる。その板は、Podoleanuの論文の用語に従って、構成A、Bにおいてビームの中に導入されなければならない。これは、送出されるビーム3の左側及び右側の部分が同じであることを意味しており、それには、その板が、その縁部が設定平面と平行になるように導入されることが要求される。分散素子として回折格子を用いるとき、板の縁は回折格子線に対して垂直である。
【0202】
別の代替形態では、空洞共振器低コヒーレンス光源を用いることができる。空洞共振器低コヒーレンス光源は、閾値未満で駆動されるレーザ、たとえばレーザダイオードである。この場合、空洞共振器レーザ壁上での多数の反射が、結合器又はプレートを用いる上記の遅延したレプリカの導入と同じ効果を有する。空洞共振器内のラウンドトリップの結果として、空洞共振器長の倍数だけ遅延した繰り返しのレプリカが生成される。2.2mmの倍数において、市販のレーザダイオードを用いる、Podoleanuの論文に記述される実験によって示されるように、電気アナライザ91によって送出される電気信号内に、空洞共振器長の倍数値に等しいOPD値に対応する多数のピークが現われる。
【0203】
この原理は、たとえば、スーパールミネッセントダイオード(SLD)のスペクトル内の連想性のリップルを効率的に用いる際にも用いることができる。SLDは非空洞共振器光源である。SLDでは、導波路面のうちの1つが角度を付けられて、反射防止(AR)コーティングされて、空洞の形成を避け、光線が一度だけ活性媒質を横断する場合の利得が得られる。しかしながら、導波路を傾けて、ARコーティングしても、活性媒質内の或る量の光線のラウンドトリップはなくならず、SLDが、OPD値2〜5mmのその自己相関関数においてサテライトピークを示す。これらのサテライトピークは実際には、OCT深さの最大範囲を、それらのOPD値までに制限する。この場合に、サテライトピークOPDと一致する遅延差Δを生成する2つの結合器又は1つの顕微鏡スライド板を用いて遅延差を導入することが好都合である。
【0204】
光源と装置との間に遅延差を導入すること、又は閾値未満の多モードレーザを利用することは、対象の範囲の深さをシフトするという効果をもたらす。これは、電気信号アナライザの出力の周波数が、対象の所与のOPDの場合に0に近い状況において適用することができる。周波数成分fを用いる代わりに、周波数f+fΔが用いられる。これは、最大深さ範囲Dの半分よりも小さい遅延差を用いるときに実現可能である。これは、T<D/2の薄い物体に限定されるが、その方法は、散乱体の鮮明度がその中で両方に変化するような、2つのAスキャン又は2つのBスキャン画像を生成するので好都合である。範囲0〜Tの第1の断層X線写真(Aスキャン又はBスキャン)の場合、鮮明度は、fΔ/2までの周波数に対応する第1の画像において向上し、fΔ/2からfΔまでの周波数の第2の画像において低下する。
【0205】
遅延したレプリカを有する光源を用いるそのような方法は、図9に関連して先に説明された実施形態のような、2つ以上のチャネルを有する実施形態においても用いることができる。図9に関連して先に説明された実施形態は、2つの変位したビームの半径の和よりも大きな、2つのビーム間の間隙を有し、深さに関して特有の選択を実現する。所与のOPD値が周波数値f、すなわちチャネルドスペクトルのピーク及びトラフの繰返しに変換され、OPD符号に応じて、Pチャネル又はNチャネルによって送出されるであろう。したがって、生成される2つの周波数はfであるが、それらは、OPD符号に応じて、異なる出力において現われる。
【0206】
低コヒーレンス光源ビームが、遅延差Δを介して、干渉計内に送出される場合には、OPD=0の場合に、その遅延差に対応する成分が、両方のチャネルP及びNの中の周波数fΔのチャネルドスペクトル内に存在する。この場合、OPDのための周波数は、チャネルPでは同じくfであるが、他方のチャネルNでは、周波数f+fΔ及びfΔ−fの、チャネルPのチャネルド周波数とは別のピークが送出される。干渉計内のOPDが反対の値を有する場合には、チャネルN内の変調周波数はfであり、チャネルPではfΔ−fである。この結果、それらの符号に応じて異なるOPDが選択されることになり、2つの異なる出力において異なる周波数が生成される。
【0207】
当業者であれば、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、これまでに説明されてきたスペクトル干渉装置に対する他の実施形態及び代替の構成を思い付くことができる。たとえば、図5、図6、図7、図8、図9を参照して説明された実施形態では、光検出器アレイとして、2次元(2D)CCDカメラを用いることができる。そのような状況では、各行(列)を、目標物体55内の横断線に沿ってピクセルから後方散乱される信号のスペクトルを評価するために用いることができ、2D横断スキャナの代わりに1次元(1D)スキャナを用いて、CCDアレイによって収集される方向に対して垂直な方向において走査することができる。このようにして、一方の横断方向をCCDアレイによって網羅し、他方の直交する横断方向を横断スキャナによって網羅することにより、3次元(3D)体積測定データを収集することができる。
【0208】
別法では、物体経路内のスキャナはなくすことができ、その場合、2D CCDアレイを用いる場合に、それだけを用いて、OCT Bスキャン画像を生成することができる。
【0209】
上記の例において2D CCDアレイを用いる場合、ビーム3は、素子2を用いて、図面の平面に対して垂直であり、且つCCDアレイの高さに等しい長さの線に沿ってコリメートされ、素子4、61、62、51及び52は十分に大きい。Bスキャン画像の場合にはスキャナヘッド10は不要であり、体積測定データが要求される場合には、当業者に既知の手段を利用して、組織にわたって1本の線を操作し、投影するだけの十分なサイズを有する1Dスキャナヘッドが用いられる。同様に、図5、図6、図7、図8の実施形態が用いられる場合には、素子2及び33が、図面の平面に対して垂直な線に沿って、コリメートされた直線的なビームを準備する。再び、Bスキャン画像の場合にはスキャナヘッド10は不要であり、体積測定データが要求される場合には、当業者に既知の手段を利用して、組織にわたって1本の線を操作し、投影するだけの十分なサイズを有する1Dスキャナヘッドが用いられる。
【0210】
本発明による方法及び装置は、正確に制御された異なるOPD位置において収集されるスペクトルを平均化する方法又はスペクトルを評価する方法、位相シフトスペクトル干渉法の技術分野において知られている方法と互換性があることは明らかである。小さなOPDステップで収集される、そのようなスペクトルを、1つの波長の細分したものとして操作することにより、先に説明されたように、当業者に既知の方法に従って、雑音をさらに低減することができる。参照ビーム内の光線間でビートが生じることに起因して、雑音のあるチャネルドスペクトルが生じる。これは、M. Wojtkowski、R. Leitgeb、A. Kowalczyk、T. Bajraszewski、A. F. FercherによってJ. Biomed. Optics 7(3), (2002), p. 457-463に発表された論文「In vivo human retinal imaging by Fourier domain optical coherence tomograpgy」に記述されるように、πの位相差において収集される2つのスペクトルを重ね合わせることによって減衰させることができる。別法では、これは、上記のOptica ApplicataのM. Wojtkowskiによる論文において記述されるような、いくつかのOPDステップでいくつかのスペクトルを重ね合わせることによって減衰させることができる。そのようなスペクトルを重ね合わせることによって、雑音が相殺され、干渉計内の2つのビーム間のOPDに起因するチャネルドスペクトルが高められる。そのような方法は、読取り素子9、アナライザ91及びスキャナ10と同期して、プロセッサ46の制御下で平行移動ステージ63を変位させることによって、本発明の実施形態にも同じく適用することができ、横断面内のピクセル毎に、Bスキャン画像の場合には座標X、又は体積測定データの場合には(X,Y)が収集される。また、M個のステップの平行移動ステージの場合に、M個のチャネルドスペクトルが収集される。M個のスペクトルからのAスキャンが評価された後に、同じプロセッサ46、横断スキャナによって果たすことができる機能が、次の横断ピクセルに進められる。
【0211】
本発明による方法及び装置は偏光変調器と互換性がある。干渉計の2本のアーム(すなわち物体光学系及び参照光学系)内の選択された偏光状態を組み合わせるとき、J. F. de Boer、T. E. Milner、J. S. Nelsonによって、Opt. Lett., 24, No. 5, pp. 300-302, 1999に発表された論文「Determination of depth-resolved Stokes parameter of light backscattered from turbid media by use of polarization-sensitive optical coherence tomography」において提示されるようなストークスベクトル、又はS. Jiao、W. Yu、G. Stoica、L. WangによってOpt. Lett., 28, No. 14, pp. 1206-1208, 2003に発表された論文「Optical-fiber based Mueller optical coherence tomography」に記述されるような完全ミュラー行列情報のような、目標物体の深さ方向に分解された偏光に関する情報を推定することができる。本発明による方法及び装置を用いて、これらの機能が実施されるとき、偏光に応答するAスキャンの固有の再現が得られ、固有の偏光応答Bスキャンマップが生成される。
【0212】
位相分解されるOCTの場合、干渉計アームのうちの1つにおいて、位相変調とともにストロボ照明が用いられており、それはA. Dubois、L. Vabre、A. C. Boccara他著「High-resolution full-field optical coherence tomography with a Linnik Microscope」(Appl. Optics 41 (4), 805-812 (2002))、H. Saint-James、M. Lebec、E. Beaurepaire、A. Dubois、A. C. Boccara著「Full field optical coherence Microscopy」(Handbook of optical coherence tomography, B. E. Bouma, G. J. Tearney eds., (Marcel Dekker Inc, New York-Base1, 2002) 299-333)において提供されるような、4バケットの方法として知られている。本発明による方法及び装置は、照明光の位相変調及び同期切替と互換性がある。このようにして、異なる位相シフトの場合に収集される4つのスペクトルを合成することにより、振幅及び位相情報Aスキャンが取り出される。その方法は、小偏移の検出及びドップラOCTにも適用することができる。
【0213】
バルク内又はファイバ内の偏光変調器及び/又は位相変調器は、物体光学系内又は参照光学系内、或いは変位手段と分散手段との間のどの場所にも導入することができる。
【0214】
本開示全体を通して、OCTの応用形態の大部分は反射によって組織をイメージングすることにあるので、用語「反射率」が用いられた。しかしながら、生物組織の顕微鏡検査において、透過によるイメージングも用いられる。図5〜図9に示されるような本開示の実施形態が、透過によって物体を調査し、イメージングするように容易に変更することができ、その場合には、光がメイン光スプリッタ4に戻されず、第3の経路が物体からの光を収集する経路であることは、当業者には明らかであろう。同様に、一連のセンサを透過によって調査することができる。それゆえ、反射率が用いられるが、物体が透過によって調査される場合には、深さ方向への透過が抽出されるものとも理解されるべきである。
【0215】
これまでの記述は、例示し、説明するためだけに提供されてきた。したがって、本発明を包括的に述べることや、本発明を開示されるのと全く同じ形態に限定することは意図していない。たとえば、上記の教示に照らして、本発明の範囲内にあると考えられる変更及び変形が実現可能である。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に入る全てのそのような変更及び変形を網羅することを意図しているものと理解されたい。添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の装置の設計及び製造において、他の変更及び改変が用いられる場合もある。
【0216】
本発明の適用範囲において、多層物体として組織を用いることができるが、それは同じく、異なる長さの多数の光路を多重化されたセンサの構造内にある多数のセンサに導く光路を意味することができ、本明細書に開示される方法を用いて、反射又は透過のいずれかによって、そのOPDに従ってセンサ又は一群のセンサに選択的にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0217】
【図1】従来技術のスペクトルOCTを示す図である。
【図2】トールボットバンドを生成するために、マイケルソン干渉計内のビームの両側が分割される、従来技術の装置を示す図である。
【図3】多層物体内の明確なAスキャンを提供するために、OPDを選択することができるスペクトル干渉装置において用いられることになる効率的な光学構成の第1の実施形態を示す図である。
【図4】図1に示される従来技術の装置及び図3に示される本発明の実施形態によって提供される深さプロファイルの比較を示す図である。
【図5】散乱体又は多層物体のOCT Bスキャン画像又は3D体積測定データを提供することができる、OPDを選択することができる本発明によるスペクトル干渉装置の第2の実施形態を示す図である。
【図6】散乱体又は多層物体のOCT Bスキャン画像又は3D体積測定データを提供することができる、OPDを選択することができる本発明によるスペクトル干渉装置の第3の実施形態を示す図である。
【図7】本発明のスペクトル干渉装置の第4の実施形態を示す図である。
【図8】本発明のスペクトル干渉装置の第4の実施形態を示す図である。
【図9】OPD符号に関係なく信号を与えるために、本発明によるスペクトル干渉装置の全ての先行する実施形態に適用することができる変更を示す図である。
【図10a】図9の実施形態のAスキャン出力を示す図である。
【図10b】図9の実施形態のAスキャン出力を示す図である。
【図10c】図9の実施形態のAスキャン出力を示す図である。
【図11a】ミラー項の無い明確なAスキャンを提供するために位相シフト干渉計を備えた従来技術の装置の出力信号を示す図である。
【図11b】ミラー項の無い明確なAスキャンを提供するために位相シフト干渉計を備えた従来技術の装置の出力信号を示す図である。
【図11c】ミラー項の無い明確なAスキャンを提供するために位相シフト干渉計を備えた従来技術の装置の出力信号を示す図である。
【図12】本発明の実施形態によって提供することができる単層物体の軸方向の位置の位置追跡信号を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記光源からのビームを目標物体に送出して物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、
参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、前記干渉計内で生成される該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段と
を備え、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を、前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向又は屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該物体ビーム及び該参照ビームを相対的に変位させて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するようになっている、スペクトル干渉装置。
【請求項2】
前記変位手段は、少なくとも2つの反射素子を備え、該少なくとも2つの反射素子のうちの1つの反射素子は前記物体ビームを反射するように構成され、該少なくとも2つの反射素子のうちの他の反射素子は前記参照ビームを反射するように構成される、請求項1に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項3】
前記変位手段は、少なくとも1つの光学−光学変調器を備える、請求項1に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項4】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記光源からのビームを目標物体に送出して物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、
参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、前記干渉計内で生成される該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を、前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系は、前記物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、前記参照光学系は、前記参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するために、前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の相対的な位置を動かすように構成される、スペクトル干渉装置。
【請求項5】
前記変位手段は、前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の前記相対的な位置を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、請求項4に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項6】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、
参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、前記干渉計内で生成される該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を、前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系又は前記参照光学系は、それぞれ前記物体ビーム又は前記参照ビームを送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、前記変位手段は、該ファイバ端を動かすことによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、スペクトル干渉装置。
【請求項7】
前記変位手段は、前記ファイバ端を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、請求項6に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項8】
前記変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を変更するようになっている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項9】
前記干渉計内の前記光路差を制御するように構成される手段をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項10】
前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記固有の光学的遅延を制御するように構成される手段をさらに備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項11】
前記光路差を制御するように構成される手段及び前記固有の光学的遅延を制御するように構成される手段は処理手段を含む、請求項10に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項12】
前記読取り素子は、信号アナライザに信号を与えるように構成され、該信号アナライザは、前記目標物体内の深さ範囲内の反射又は散乱点の分布を決定するように構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項13】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を調整することによって前記深さ範囲を調整するように構成される、請求項12に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項14】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの偏光と、前記光スペクトル分散手段の偏光とを一致させるための手段をさらに備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項15】
前記干渉計内の分散を補償するための手段をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項16】
前記変位手段は、変位平面内で前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整するようになっている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項17】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記変位平面内で平行になるまで、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームを調整できるようになっている、請求項16に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項18】
前記変位手段は、光路差の値が小さい場合の前記信号の強度を高めるために、前記変位平面内にある前記2つの相対的に変位したビームを、前記光スペクトル分散手段上で、調整可能に横方向に重ね合わせることができるように構成され、該横方向に重ね合わせることは、部分的に重ね合わせることから、完全に重ね合わせることまでを含む、請求項16又は17に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項19】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記光スペクトル分散手段の異なる部分に突き当たるように、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整するようになっている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項20】
前記光スペクトル分散手段は、回折格子、プリズム、一群のプリズム、一群の回折格子のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項21】
前記光スペクトル分散手段は回折格子を含み、該回折格子の格子線は、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記相対的に変位した物体ビームの中心を結ぶ線に対して垂直である、請求項20に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項22】
前記光スペクトル分散手段は、入射表面を含むプリズムを含み、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記変位した物体ビームの中心を結ぶ線は、前記プリズムの前記入射表面に対する垂線と該プリズムの二等分線によって画定される平面内にある、請求項21に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項23】
前記参照光学系は、前記光源のビームを反射することによって参照光源を与えるように構成される少なくとも1つの反射板を備え、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの前記光路差を制御するために、前記反射板の位置又は傾斜を調整することができる、請求項1〜22のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項24】
前記参照光学系は、前記光源からの光ビームを、ファイバ光学系に沿って、又は光が前記光源に戻されるのを防ぐように構成される反射板を介して、前記変位手段に送出するように構成される、請求項1〜23のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項25】
前記物体光学系は、前記物体ビームの直径を変更するように構成される第1のズーム素子を備える、請求項1〜24のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項26】
前記相対的に変位した物体ビームの直径を変更するように構成される第3のズーム素子をさらに備える、請求項1〜25のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項27】
前記参照光学系は、前記参照ビームの直径を変更するように構成される第2のズーム素子を備える、請求項1〜26のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項28】
前記相対的に変位した参照ビームの直径を変更するように構成される第4のズーム素子をさらに備える、請求項1〜27のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項29】
前記変位手段は、その光スペクトルの変調を前記読取り素子において検出することができる最小光路差値を調整するために、前記2つの相対的に変位したビーム間に調整可能な間隙を生成するように構成される、請求項1〜28のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項30】
前記干渉計内の前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉が、前記読取り素子上で完全に生じる、請求項29に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項31】
前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、一部が前記読取り素子上で、一部が前記光スペクトル分散手段上で生じるように構成される、請求項1〜30のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項32】
前記変位手段は、前記光路差の値が小さい場合の前記信号の強度を高めるために、前記変位したビームの横方向の重ね合わせの量を調整するように構成される、請求項31に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項33】
前記処理手段は、前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記間隙を調整して、その光スペクトルの変調を前記読取り素子において検出することができる最小光路差値を変更するために、前記変位手段を制御するように構成される、請求項11に従属するときの請求項29又は30に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項34】
前記物体光学系は走査素子をさらに備え、該走査素子は前記目標物体を走査するように構成される、請求項1〜33のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項35】
前記走査素子は、直線走査、ラスタ走査、螺旋走査、円形走査又は任意の他のランダムな形状の走査のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを実行するように構成される、請求項34に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項36】
前記物体光学系内に、前記物体内の特定の深さからの前記信号強度を高めるための合焦素子をさらに備える、請求項1〜35のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項37】
前記干渉計は、ファイバ内干渉計、又はバルク干渉計、或いはファイバ内構成要素及びバルク構成要素から成るハイブリッド干渉計を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項38】
前記光源は低コヒーレンス光源である、請求項1〜37のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項39】
前記読取り素子は、光検出器アレイ、CCD直線アレイ、光検出器の2次元のアレイ、2次元のCCDアレイ、又は分散されたスペクトルがその上で走査される点光検出器を含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項40】
前記物体ビーム及び前記参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成するように構成されるビームスプリッティング手段と、
前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される第2の変位手段と、
前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第2の光スペクトル分散手段と
をさらに備え、
使用時に、前記第2の変位手段及び前記第2の光スペクトル分散手段の組み合わせは、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームの波列間に第2の固有の光学的遅延を生成するように構成され、該第2の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第2の読取り素子上に生成することができる、請求項1〜39のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項41】
前記第2の変位手段は、前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを生成するようになっている、請求項40に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項42】
前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段は、それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように向きを調整される、請求項40又は41に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項43】
前記第2の読取り素子は、第2の信号アナライザに信号を与えるように構成され、前記装置は、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて、両方の符号の光路差値を含む、前記目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供するように構成される、請求項12に従属するときの請求項42又は請求項12に従属する請求項のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項44】
前記第2の光スペクトル分散手段は、1つ又は複数の回折格子を含み、該1つ又は複数の回折格子は、反対の符号の次数を前記読取り素子及び前記第2の読取り素子に向けて回折させるように構成される、請求項42に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項45】
前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段はそれぞれ、1つ又は複数のプリズムを含み、該1つ又は複数のプリズムは、前記相対的に変位した物体ビーム又は前記相対的に変位した参照ビームが前記光スペクトル分散手段内のプリズム頂点に最も近くなり、且つ前記第2の相対的に変位した参照ビーム又は前記第2の相対的に変位した物体ビームがそれぞれ、前記第2の光スペクトル分散手段内の前記プリズム頂点に最も近くなるように配置される、請求項42に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項46】
前記読取り素子及び前記第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信され、前記装置は、前記光路差符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される、請求項40〜45のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項47】
前記変位手段と前記光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段であって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、該第3のビームスプリッティング手段と、
前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するように構成される第3の変位手段と、
前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第3の光スペクトル分散手段とをさらに備え、
使用時に、前記第3の変位手段及び前記第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成するように構成され、該第3の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第3の読取り素子上に生成することができる、請求項1〜46のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項48】
前記第3の変位手段は、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該第3の相対的に変位した物体ビーム及び該第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するようになっている、請求項42に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項49】
前記光源は低コヒーレンス光源であり、その出力は、光複製素子を用いて遅延したレプリカとともに送出される、請求項1〜48のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項50】
前記光複製素子は、第1の単一モード結合器を備え、その出力は、前記光源の前記遅延したレプリカを生成するために、第2の単一モード結合器の2つの入力に接続される、請求項49に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項51】
前記光複製素子は、平行な表面を有するプレートの形をとる透明な光学材料を含み、該プレートは、その縁部が前記変位平面に対して平行になるように、前記光源の前記ビームの中に途中まで導入される、請求項16に従属するときの請求項49に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項52】
前記光源は、閾値未満で駆動されるレーザを含む低コヒーレンス光源である、請求項1〜51のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項53】
干渉計を用いて物体ビーム及び参照ビームを出力すること、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともにこれら相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせるために、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を反射、偏向又は屈折させること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを、それらの光スペクトル成分に応じて読取り素子上に分散させること
を含み、
前記物体ビーム及び前記参照ビームを反射、偏向又は屈折させて相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成すること、及び光スペクトル分散手段を用いて前記2つの相対的に変位したビームを分散させることの組み合わせによって、該2つの相対的に変位したビーム内の波列間に固有の光学的遅延が生成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを生成することができる、スペクトル干渉法。
【請求項54】
光源によって励起されるようになっている干渉計を用いたスペクトル干渉法であって、該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、該方法は、
前記物体光学系を用いて、前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、
参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、
変位手段を用いることにより、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともに該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させること
を含み、
前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該物体ビーム及び該参照ビームを相対的に変位させて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成する、スペクトル干渉法。
【請求項55】
光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含むスペクトル干渉法であって、該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、該方法は、
前記物体光学系を用いて、前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、
参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、
変位手段を用いることにより、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともに該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させること
を含み、
前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系は、前記物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、前記参照光学系は、前記参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するために、前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の相対的な位置を動かす、スペクトル干渉法。
【請求項56】
前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の相対的な位置を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることにより、前記変位手段を用いて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成することをさらに含む、請求項55に記載のスペクトル干渉法。
【請求項57】
光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含む、スペクトル干渉法であって、該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、該方法は、
前記物体光学系を用いて、前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、
参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、
変位手段を用いることにより、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともに該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させること
を含み、
前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系又は前記参照光学系のうちの一方は、それぞれ前記物体ビーム又は前記参照ビームのうちの一方を送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、前記変位手段は、該ファイバ端を動かすことによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成する、スペクトル干渉法。
【請求項58】
前記ファイバ端を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることにより、前記変位手段を用いて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成することをさらに含む、請求項56に記載のスペクトル干渉法。
【請求項59】
前記変位手段を用いて、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を変更することをさらに含む、請求項54〜58のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項60】
前記干渉計内の前記光路差を制御することをさらに含む、請求項54〜59のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項61】
前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記固有の光学的遅延を制御することをさらに含む、請求項54〜60のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項62】
処理手段を用いて、前記光路差を制御することをさらに含み、前記固有の光学的遅延は制御手段を含む、請求項61に記載のスペクトル干渉法。
【請求項63】
前記読取り素子を用いて、信号アナライザに信号を与えること、及び、該信号アナライザを用いて、前記目標物体内の深さ範囲の反射又は散乱点の分布を決定することをさらに含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項64】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を調整することによって、前記深さ範囲を調整することをさらに含む、請求項63に記載のスペクトル干渉法。
【請求項65】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの偏光と、前記光スペクトル分散手段の偏光とを一致させるための手段を用いることをさらに含む、請求項54〜64のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項66】
前記干渉計内の分散を補償するための手段を用いることをさらに含む、請求項54〜65のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項67】
前記変位手段を用いて、変位平面内で、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整することをさらに含む、請求項54〜66のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項68】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記変位平面内で平行になるまで、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームを調整する、請求項67に記載のスペクトル干渉法。
【請求項69】
前記変位手段は、光路差値が小さい場合の前記信号の強度を高めるために、前記光スペクトル分散手段上で、前記変位平面内にある前記2つの相対的に変位したビームの横方向の重ね合わせを調整し、該横方向の重ね合わせは、部分的な重ね合わせから、完全な重なりまでに及ぶ、請求項66又は67に記載のスペクトル干渉法。
【請求項70】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記光スペクトル分散手段の異なる部分に突き当たるように、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整する、請求項54〜69のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項71】
前記光スペクトル分散手段は回折格子を含み、該回折格子の格子線は、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記相対的に変位した物体ビームの中心を結ぶ線に対して垂直である、請求項54〜70のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項72】
前記光スペクトル分散手段は、入射表面を含むプリズムを含み、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記変位した物体ビームの中心を結ぶ線は、前記プリズムの前記入射表面に対する垂線と該プリズムの二等分線によって画定される平面内にある、請求項54〜71のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項73】
前記参照光学系は、前記光源のビームを反射することによって参照光源を与えるように構成される少なくとも1つの反射板を備え、前記方法は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの前記光路差を制御するために、前記反射板の位置又は傾斜を調整することをさらに含む、請求項54〜72のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項74】
前記物体光学系において第1のズーム素子を用いて、前記物体ビームの直径を変更することをさらに含む、請求項54〜73のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項75】
第3のズーム素子を用いて、前記相対的に変位した物体ビームの直径を変更することをさらに含む、請求項54〜74のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項76】
前記参照光学系において第2のズーム素子を用いて、前記参照ビームの直径を変更することをさらに含む、請求項54〜74のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項77】
前記相対的に変位した参照ビームの直径を変更するように構成される第4のズーム素子を用いることをさらに含む、請求項53〜76のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項78】
前記変位手段は、その光スペクトルの変調を前記読取り素子において検出することができる最小光路差値を調整するために、前記2つの相対的に変位したビーム間に調整可能な間隙を生成する、請求項53〜77のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項79】
前記干渉計内の前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、前記読取り素子上で完全に生じる、請求項78に記載のスペクトル干渉法。
【請求項80】
前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、一部が前記読取り素子上で、一部が前記光スペクトル分散手段上で生じるように構成される、請求項53〜79のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項81】
前記物体光学系において合焦素子を用いて、前記物体内の特定の深さからの前記信号強度を高めることをさらに含む、請求項53〜80のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項82】
ビームスプリッティング手段を用いて、前記物体ビーム及び前記参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成すること、
第2の変位手段を用いて、前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させ、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成すること、
第2の光スペクトル分散手段を用いて、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させること
をさらに含み、
使用時に、前記第2の変位手段及び前記第2の光スペクトル分散手段は、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームの波列間に第2の固有の光学的遅延を生成し、該第2の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第2の読取り素子上に生成することができる、請求項53〜81のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項83】
前記第2の変位手段は、前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを生成する、請求項82に記載のスペクトル干渉法。
【請求項84】
それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように、前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段の向きを調整することをさらに含む、請求項82又は83に記載のスペクトル干渉法。
【請求項85】
前記第2の読取り素子は第2の信号アナライザに信号を与え、前記方法は、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて両方の符号の光路差値を含む、前記目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供することをさらに含む、請求項63に従属するときの請求項84、又は請求項63に従属する請求項のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項86】
前記読取り素子及び前記第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信され、前記装置は、前記OPD符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される、請求項82〜85のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項87】
前記変位手段と前記光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段を用いて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成すること、
第3の変位手段を用いて、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整すること、
第3の光スペクトル分散手段を用いて、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させること
をさらに含み、
使用時に、前記第3の変位手段及び前記第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成し、該第3の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第3の読取り素子上に生成することができる、請求項82〜86のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項88】
前記第3の変位手段は、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該第3の相対的に変位した物体ビーム及び該第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整する、請求項87に記載のスペクトル干渉法。
【請求項89】
その出力が光複製素子を用いて遅延したレプリカとともに送出される低コヒーレンス光源を用いることをさらに含む、請求項82〜88のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項90】
前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザの累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザを構成すること、並びに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザのうちの一方の出力において信号が閾値を超えないときに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザの他方の出力において生じる前記2つのピークの最大周波数と最小周波数との間の差に基づいて、前記物体の厚みを判定することをさらに含む、請求項85に記載のスペクトル干渉法。
【請求項91】
前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザの累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザを構成すること、並びに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザそれぞれの出力において信号が一度だけ閾値を超えるときに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザの極限周波数の和に基づいて、前記物体の厚みを判定することをさらに含む、請求項85に記載のスペクトル干渉法。
【請求項92】
前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザそれぞれの出力において実装される閾値処理回路を用いて、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザの前記累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、より小さな振幅の前記目標物体からの雑音及びピークを表す不可欠でないピークを破棄することをさらに含む、請求項90又は91に記載のスペクトル干渉法。
【請求項93】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記干渉計から目標物体まで誘導する第1の光路と、
参照光ビームを変位手段まで誘導する第2の光路と、
前記光源からの光ビームを前記第1の光路に沿って前記目標物体まで送出し、該目標物体からの光出力ビームを前記第1の光路に沿って前記干渉計まで戻し、該光出力ビームを第3の光路に沿って前記変位手段まで送出し、物体ビームを生成するようになっている干渉光学系と、
前記参照ビームを前記第2の光路に沿って前記変位手段まで送出するようになっている参照光学系と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるようになっている光スペクトル分散手段と、
前記干渉計内で、前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記光路差を制御し、且つ該ビーム間の前記固有の光路差を制御するようになっている処理手段と
を備え、
該変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームを相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、前記物体ビーム及び前記参照ビームを反射するようになっており、前記干渉計内で生成される前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせ、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができる、スペクトル干渉装置。
【請求項1】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記光源からのビームを目標物体に送出して物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、
参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、前記干渉計内で生成される該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段と
を備え、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を、前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向又は屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該物体ビーム及び該参照ビームを相対的に変位させて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するようになっている、スペクトル干渉装置。
【請求項2】
前記変位手段は、少なくとも2つの反射素子を備え、該少なくとも2つの反射素子のうちの1つの反射素子は前記物体ビームを反射するように構成され、該少なくとも2つの反射素子のうちの他の反射素子は前記参照ビームを反射するように構成される、請求項1に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項3】
前記変位手段は、少なくとも1つの光学−光学変調器を備える、請求項1に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項4】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記光源からのビームを目標物体に送出して物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、
参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、前記干渉計内で生成される該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を、前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系は、前記物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、前記参照光学系は、前記参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するために、前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の相対的な位置を動かすように構成される、スペクトル干渉装置。
【請求項5】
前記変位手段は、前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の前記相対的な位置を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、請求項4に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項6】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成するように構成される物体光学系と、
参照ビームを生成するように構成される参照光学系と、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される変位手段であって、前記干渉計内で生成される該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせる変位手段と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるように構成される光スペクトル分散手段とを備え、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を、前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系又は前記参照光学系は、それぞれ前記物体ビーム又は前記参照ビームを送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、前記変位手段は、該ファイバ端を動かすことによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、スペクトル干渉装置。
【請求項7】
前記変位手段は、前記ファイバ端を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、請求項6に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項8】
前記変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を変更するようになっている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項9】
前記干渉計内の前記光路差を制御するように構成される手段をさらに備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項10】
前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記固有の光学的遅延を制御するように構成される手段をさらに備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項11】
前記光路差を制御するように構成される手段及び前記固有の光学的遅延を制御するように構成される手段は処理手段を含む、請求項10に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項12】
前記読取り素子は、信号アナライザに信号を与えるように構成され、該信号アナライザは、前記目標物体内の深さ範囲内の反射又は散乱点の分布を決定するように構成される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項13】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を調整することによって前記深さ範囲を調整するように構成される、請求項12に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項14】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの偏光と、前記光スペクトル分散手段の偏光とを一致させるための手段をさらに備える、請求項1〜13のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項15】
前記干渉計内の分散を補償するための手段をさらに備える、請求項1〜14のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項16】
前記変位手段は、変位平面内で前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整するようになっている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項17】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記変位平面内で平行になるまで、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームを調整できるようになっている、請求項16に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項18】
前記変位手段は、光路差の値が小さい場合の前記信号の強度を高めるために、前記変位平面内にある前記2つの相対的に変位したビームを、前記光スペクトル分散手段上で、調整可能に横方向に重ね合わせることができるように構成され、該横方向に重ね合わせることは、部分的に重ね合わせることから、完全に重ね合わせることまでを含む、請求項16又は17に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項19】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記光スペクトル分散手段の異なる部分に突き当たるように、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整するようになっている、請求項1〜18のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項20】
前記光スペクトル分散手段は、回折格子、プリズム、一群のプリズム、一群の回折格子のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項21】
前記光スペクトル分散手段は回折格子を含み、該回折格子の格子線は、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記相対的に変位した物体ビームの中心を結ぶ線に対して垂直である、請求項20に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項22】
前記光スペクトル分散手段は、入射表面を含むプリズムを含み、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記変位した物体ビームの中心を結ぶ線は、前記プリズムの前記入射表面に対する垂線と該プリズムの二等分線によって画定される平面内にある、請求項21に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項23】
前記参照光学系は、前記光源のビームを反射することによって参照光源を与えるように構成される少なくとも1つの反射板を備え、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの前記光路差を制御するために、前記反射板の位置又は傾斜を調整することができる、請求項1〜22のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項24】
前記参照光学系は、前記光源からの光ビームを、ファイバ光学系に沿って、又は光が前記光源に戻されるのを防ぐように構成される反射板を介して、前記変位手段に送出するように構成される、請求項1〜23のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項25】
前記物体光学系は、前記物体ビームの直径を変更するように構成される第1のズーム素子を備える、請求項1〜24のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項26】
前記相対的に変位した物体ビームの直径を変更するように構成される第3のズーム素子をさらに備える、請求項1〜25のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項27】
前記参照光学系は、前記参照ビームの直径を変更するように構成される第2のズーム素子を備える、請求項1〜26のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項28】
前記相対的に変位した参照ビームの直径を変更するように構成される第4のズーム素子をさらに備える、請求項1〜27のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項29】
前記変位手段は、その光スペクトルの変調を前記読取り素子において検出することができる最小光路差値を調整するために、前記2つの相対的に変位したビーム間に調整可能な間隙を生成するように構成される、請求項1〜28のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項30】
前記干渉計内の前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉が、前記読取り素子上で完全に生じる、請求項29に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項31】
前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、一部が前記読取り素子上で、一部が前記光スペクトル分散手段上で生じるように構成される、請求項1〜30のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項32】
前記変位手段は、前記光路差の値が小さい場合の前記信号の強度を高めるために、前記変位したビームの横方向の重ね合わせの量を調整するように構成される、請求項31に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項33】
前記処理手段は、前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記間隙を調整して、その光スペクトルの変調を前記読取り素子において検出することができる最小光路差値を変更するために、前記変位手段を制御するように構成される、請求項11に従属するときの請求項29又は30に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項34】
前記物体光学系は走査素子をさらに備え、該走査素子は前記目標物体を走査するように構成される、請求項1〜33のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項35】
前記走査素子は、直線走査、ラスタ走査、螺旋走査、円形走査又は任意の他のランダムな形状の走査のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを実行するように構成される、請求項34に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項36】
前記物体光学系内に、前記物体内の特定の深さからの前記信号強度を高めるための合焦素子をさらに備える、請求項1〜35のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項37】
前記干渉計は、ファイバ内干渉計、又はバルク干渉計、或いはファイバ内構成要素及びバルク構成要素から成るハイブリッド干渉計を含む、請求項1〜36のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項38】
前記光源は低コヒーレンス光源である、請求項1〜37のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項39】
前記読取り素子は、光検出器アレイ、CCD直線アレイ、光検出器の2次元のアレイ、2次元のCCDアレイ、又は分散されたスペクトルがその上で走査される点光検出器を含む、請求項1〜38のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項40】
前記物体ビーム及び前記参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成するように構成されるビームスプリッティング手段と、
前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される第2の変位手段と、
前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第2の光スペクトル分散手段と
をさらに備え、
使用時に、前記第2の変位手段及び前記第2の光スペクトル分散手段の組み合わせは、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームの波列間に第2の固有の光学的遅延を生成するように構成され、該第2の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第2の読取り素子上に生成することができる、請求項1〜39のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項41】
前記第2の変位手段は、前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを生成するようになっている、請求項40に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項42】
前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段は、それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように向きを調整される、請求項40又は41に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項43】
前記第2の読取り素子は、第2の信号アナライザに信号を与えるように構成され、前記装置は、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて、両方の符号の光路差値を含む、前記目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供するように構成される、請求項12に従属するときの請求項42又は請求項12に従属する請求項のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項44】
前記第2の光スペクトル分散手段は、1つ又は複数の回折格子を含み、該1つ又は複数の回折格子は、反対の符号の次数を前記読取り素子及び前記第2の読取り素子に向けて回折させるように構成される、請求項42に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項45】
前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段はそれぞれ、1つ又は複数のプリズムを含み、該1つ又は複数のプリズムは、前記相対的に変位した物体ビーム又は前記相対的に変位した参照ビームが前記光スペクトル分散手段内のプリズム頂点に最も近くなり、且つ前記第2の相対的に変位した参照ビーム又は前記第2の相対的に変位した物体ビームがそれぞれ、前記第2の光スペクトル分散手段内の前記プリズム頂点に最も近くなるように配置される、請求項42に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項46】
前記読取り素子及び前記第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信され、前記装置は、前記光路差符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される、請求項40〜45のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項47】
前記変位手段と前記光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段であって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成するように構成される、該第3のビームスプリッティング手段と、
前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するように構成される第3の変位手段と、
前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させるように構成される第3の光スペクトル分散手段とをさらに備え、
使用時に、前記第3の変位手段及び前記第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成するように構成され、該第3の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第3の読取り素子上に生成することができる、請求項1〜46のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項48】
前記第3の変位手段は、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該第3の相対的に変位した物体ビーム及び該第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整するようになっている、請求項42に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項49】
前記光源は低コヒーレンス光源であり、その出力は、光複製素子を用いて遅延したレプリカとともに送出される、請求項1〜48のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項50】
前記光複製素子は、第1の単一モード結合器を備え、その出力は、前記光源の前記遅延したレプリカを生成するために、第2の単一モード結合器の2つの入力に接続される、請求項49に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項51】
前記光複製素子は、平行な表面を有するプレートの形をとる透明な光学材料を含み、該プレートは、その縁部が前記変位平面に対して平行になるように、前記光源の前記ビームの中に途中まで導入される、請求項16に従属するときの請求項49に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項52】
前記光源は、閾値未満で駆動されるレーザを含む低コヒーレンス光源である、請求項1〜51のいずれか一項に記載のスペクトル干渉装置。
【請求項53】
干渉計を用いて物体ビーム及び参照ビームを出力すること、
前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともにこれら相対的に変位した物体ビームと相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせるために、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を反射、偏向又は屈折させること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを、それらの光スペクトル成分に応じて読取り素子上に分散させること
を含み、
前記物体ビーム及び前記参照ビームを反射、偏向又は屈折させて相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成すること、及び光スペクトル分散手段を用いて前記2つの相対的に変位したビームを分散させることの組み合わせによって、該2つの相対的に変位したビーム内の波列間に固有の光学的遅延が生成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを生成することができる、スペクトル干渉法。
【請求項54】
光源によって励起されるようになっている干渉計を用いたスペクトル干渉法であって、該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、該方法は、
前記物体光学系を用いて、前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、
参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、
変位手段を用いることにより、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともに該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させること
を含み、
前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該物体ビーム及び該参照ビームを相対的に変位させて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成する、スペクトル干渉法。
【請求項55】
光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含むスペクトル干渉法であって、該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、該方法は、
前記物体光学系を用いて、前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、
参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、
変位手段を用いることにより、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともに該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させること
を含み、
前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系は、前記物体ビームを送出するように構成される物体ファイバ端を含む物体ファイバ光学系を含み、前記参照光学系は、前記参照ビームを送出するように構成される参照ファイバ端を含む参照ファイバ光学系を含み、前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成するために、前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の相対的な位置を動かす、スペクトル干渉法。
【請求項56】
前記物体ファイバ端及び前記参照ファイバ端の相対的な位置を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることにより、前記変位手段を用いて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成することをさらに含む、請求項55に記載のスペクトル干渉法。
【請求項57】
光源によって励起されるようになっている干渉計を用いることを含む、スペクトル干渉法であって、該干渉計は物体光学系及び参照光学系を備え、該方法は、
前記物体光学系を用いて、前記光源からのビームを目標物体に送出し、物体ビームを生成すること、
参照光学系を用いて、参照ビームを生成すること、
変位手段を用いることにより、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するとともに該相対的に変位した物体ビームと該相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせること、
光スペクトル分散手段を用いて、前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させること
を含み、
前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができ、
前記物体光学系又は前記参照光学系のうちの一方は、それぞれ前記物体ビーム又は前記参照ビームのうちの一方を送出するように構成されるファイバ端を含むファイバ光学系を含み、前記変位手段は、該ファイバ端を動かすことによって、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成する、スペクトル干渉法。
【請求項58】
前記ファイバ端を動かすこと、並びに、反射、偏向及び屈折のうちのいずれか1つ、又はそれらの組み合わせを組み合わせることにより、前記変位手段を用いて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを生成することをさらに含む、請求項56に記載のスペクトル干渉法。
【請求項59】
前記変位手段を用いて、前記物体ビーム及び前記参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を変更することをさらに含む、請求項54〜58のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項60】
前記干渉計内の前記光路差を制御することをさらに含む、請求項54〜59のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項61】
前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記固有の光学的遅延を制御することをさらに含む、請求項54〜60のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項62】
処理手段を用いて、前記光路差を制御することをさらに含み、前記固有の光学的遅延は制御手段を含む、請求項61に記載のスペクトル干渉法。
【請求項63】
前記読取り素子を用いて、信号アナライザに信号を与えること、及び、該信号アナライザを用いて、前記目標物体内の深さ範囲の反射又は散乱点の分布を決定することをさらに含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項64】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の直径を調整することによって、前記深さ範囲を調整することをさらに含む、請求項63に記載のスペクトル干渉法。
【請求項65】
前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの偏光と、前記光スペクトル分散手段の偏光とを一致させるための手段を用いることをさらに含む、請求項54〜64のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項66】
前記干渉計内の分散を補償するための手段を用いることをさらに含む、請求項54〜65のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項67】
前記変位手段を用いて、変位平面内で、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整することをさらに含む、請求項54〜66のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項68】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記変位平面内で平行になるまで、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームを調整する、請求項67に記載のスペクトル干渉法。
【請求項69】
前記変位手段は、光路差値が小さい場合の前記信号の強度を高めるために、前記光スペクトル分散手段上で、前記変位平面内にある前記2つの相対的に変位したビームの横方向の重ね合わせを調整し、該横方向の重ね合わせは、部分的な重ね合わせから、完全な重なりまでに及ぶ、請求項66又は67に記載のスペクトル干渉法。
【請求項70】
前記変位手段は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームが前記光スペクトル分散手段の異なる部分に突き当たるように、該相対的に変位した物体ビーム及び該相対的に変位した参照ビームの相対的な向きを調整する、請求項54〜69のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項71】
前記光スペクトル分散手段は回折格子を含み、該回折格子の格子線は、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記相対的に変位した物体ビームの中心を結ぶ線に対して垂直である、請求項54〜70のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項72】
前記光スペクトル分散手段は、入射表面を含むプリズムを含み、前記相対的に変位した参照ビームの中心及び前記変位した物体ビームの中心を結ぶ線は、前記プリズムの前記入射表面に対する垂線と該プリズムの二等分線によって画定される平面内にある、請求項54〜71のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項73】
前記参照光学系は、前記光源のビームを反射することによって参照光源を与えるように構成される少なくとも1つの反射板を備え、前記方法は、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの前記光路差を制御するために、前記反射板の位置又は傾斜を調整することをさらに含む、請求項54〜72のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項74】
前記物体光学系において第1のズーム素子を用いて、前記物体ビームの直径を変更することをさらに含む、請求項54〜73のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項75】
第3のズーム素子を用いて、前記相対的に変位した物体ビームの直径を変更することをさらに含む、請求項54〜74のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項76】
前記参照光学系において第2のズーム素子を用いて、前記参照ビームの直径を変更することをさらに含む、請求項54〜74のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項77】
前記相対的に変位した参照ビームの直径を変更するように構成される第4のズーム素子を用いることをさらに含む、請求項53〜76のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項78】
前記変位手段は、その光スペクトルの変調を前記読取り素子において検出することができる最小光路差値を調整するために、前記2つの相対的に変位したビーム間に調整可能な間隙を生成する、請求項53〜77のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項79】
前記干渉計内の前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、前記読取り素子上で完全に生じる、請求項78に記載のスペクトル干渉法。
【請求項80】
前記2つの相対的に変位したビーム間の干渉は、一部が前記読取り素子上で、一部が前記光スペクトル分散手段上で生じるように構成される、請求項53〜79のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項81】
前記物体光学系において合焦素子を用いて、前記物体内の特定の深さからの前記信号強度を高めることをさらに含む、請求項53〜80のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項82】
ビームスプリッティング手段を用いて、前記物体ビーム及び前記参照ビームを受光するとともに、第2の物体ビーム及び第2の参照ビームを生成すること、
第2の変位手段を用いて、前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方を変位させ、第2の相対的に変位した物体ビーム及び第2の相対的に変位した参照ビームを生成すること、
第2の光スペクトル分散手段を用いて、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させること
をさらに含み、
使用時に、前記第2の変位手段及び前記第2の光スペクトル分散手段は、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームの波列間に第2の固有の光学的遅延を生成し、該第2の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第2の読取り素子上に生成することができる、請求項53〜81のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項83】
前記第2の変位手段は、前記第2の物体ビーム及び前記第2の参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いることにより、前記第2の相対的に変位した物体ビーム及び前記第2の相対的に変位した参照ビームを生成する、請求項82に記載のスペクトル干渉法。
【請求項84】
それぞれの相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームと組み合わせて、前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段からのスペクトル分散されたビームが反対の符号の固有遅延を示すように、前記光スペクトル分散手段及び前記第2の光スペクトル分散手段の向きを調整することをさらに含む、請求項82又は83に記載のスペクトル干渉法。
【請求項85】
前記第2の読取り素子は第2の信号アナライザに信号を与え、前記方法は、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザから出力される信号に基づいて両方の符号の光路差値を含む、前記目標物体のための反射率対光路差のプロファイルを提供することをさらに含む、請求項63に従属するときの請求項84、又は請求項63に従属する請求項のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項86】
前記読取り素子及び前記第2の読取り素子それぞれの信号出力は、個別の周波数/振幅変換器に送信され、前記装置は、前記OPD符号に関係なく、単層物体の軸方向の位置に比例する信号強度を与えるために、一方の周波数/振幅変換器の出力が他方の周波数/振幅変換器の反転出力に加算されるように構成される、請求項82〜85のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項87】
前記変位手段と前記光スペクトル分散手段との間に配置される第3のビームスプリッティング手段を用いて、前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、第3の相対的に変位した物体ビーム及び第3の相対的に変位した参照ビームを生成すること、
第3の変位手段を用いて、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整すること、
第3の光スペクトル分散手段を用いて、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を第2の読取り素子上に分散させること
をさらに含み、
使用時に、前記第3の変位手段及び前記第3の光スペクトル分散手段の組み合わせは、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームの波列間に第3の固有の光学的遅延を生成し、該第3の固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記第3の読取り素子上に生成することができる、請求項82〜86のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項88】
前記第3の変位手段は、前記第3の相対的に変位した物体ビーム及び前記第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の反射、偏向及び屈折のうちの1つ、又はそれらの組み合わせを用いて、該第3の相対的に変位した物体ビーム及び該第3の相対的に変位した参照ビームのうちの少なくとも一方の相対的な変位を調整する、請求項87に記載のスペクトル干渉法。
【請求項89】
その出力が光複製素子を用いて遅延したレプリカとともに送出される低コヒーレンス光源を用いることをさらに含む、請求項82〜88のいずれか一項に記載のスペクトル干渉法。
【請求項90】
前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザの累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザを構成すること、並びに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザのうちの一方の出力において信号が閾値を超えないときに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザの他方の出力において生じる前記2つのピークの最大周波数と最小周波数との間の差に基づいて、前記物体の厚みを判定することをさらに含む、請求項85に記載のスペクトル干渉法。
【請求項91】
前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザの累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザを構成すること、並びに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザそれぞれの出力において信号が一度だけ閾値を超えるときに、該信号アナライザ及び該第2の信号アナライザの極限周波数の和に基づいて、前記物体の厚みを判定することをさらに含む、請求項85に記載のスペクトル干渉法。
【請求項92】
前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザそれぞれの出力において実装される閾値処理回路を用いて、前記信号アナライザ及び前記第2の信号アナライザの前記累積された信号出力内に全部で2つのメインピークだけが保持されるように、より小さな振幅の前記目標物体からの雑音及びピークを表す不可欠でないピークを破棄することをさらに含む、請求項90又は91に記載のスペクトル干渉法。
【請求項93】
光源によって励起されるようになっている干渉計を備えるスペクトル干渉装置であって、該干渉計は、
前記干渉計から目標物体まで誘導する第1の光路と、
参照光ビームを変位手段まで誘導する第2の光路と、
前記光源からの光ビームを前記第1の光路に沿って前記目標物体まで送出し、該目標物体からの光出力ビームを前記第1の光路に沿って前記干渉計まで戻し、該光出力ビームを第3の光路に沿って前記変位手段まで送出し、物体ビームを生成するようになっている干渉光学系と、
前記参照ビームを前記第2の光路に沿って前記変位手段まで送出するようになっている参照光学系と、
前記2つの相対的に変位したビームを受光するとともに、それらのスペクトル成分を読取り素子上に分散させるようになっている光スペクトル分散手段と、
前記干渉計内で、前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間の前記光路差を制御し、且つ該ビーム間の前記固有の光路差を制御するようになっている処理手段と
を備え、
該変位手段は、前記物体ビーム及び前記参照ビームを相対的に変位させて、相対的に変位した物体ビーム及び相対的に変位した参照ビームを生成するために、前記物体ビーム及び前記参照ビームを反射するようになっており、前記干渉計内で生成される前記相対的に変位した物体ビームと前記相対的に変位した参照ビームとの間に光路差を生じさせ、
使用時に、前記変位手段及び前記光スペクトル分散手段の組み合わせは、2つの前記相対的に変位した物体ビーム及び前記相対的に変位した参照ビームの波列間に固有の光学的遅延を生成するように構成され、該固有の光学的遅延を前記干渉計内の前記光路差とともに用いて、該干渉計内の該光路差のためのチャネルドスペクトルを前記読取り素子上に生成することができる、スペクトル干渉装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図12】
【公表番号】特表2007−508558(P2007−508558A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534818(P2006−534818)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004351
【国際公開番号】WO2005/040718
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506128499)ユニヴァーシティ・オブ・ケント (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF KENT
【住所又は居所原語表記】Canterbury, Kent CT2 7NZ, United Kingdom
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004351
【国際公開番号】WO2005/040718
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506128499)ユニヴァーシティ・オブ・ケント (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF KENT
【住所又は居所原語表記】Canterbury, Kent CT2 7NZ, United Kingdom
【Fターム(参考)】
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