説明

スマート・カードおよびスマート・カードを使用するための方法

【課題】スマート・カード、スマート・カードを有する保護されたクライアント、およびスマート・カードにおいて使用する方法を提供する。
【解決手段】スマート・カードは、コンテンツ・ストリームの特定の部分に関連したECMをカウントし、スマート・カードにロイヤルティ・ポイントを記憶するように構成される。これにより、例えば、広告に関係するECMをカウントすることが可能となる。広告を見ることにより、テレビジョン・プログラムを無料で見るために使用することが可能なロイヤルティ・ポイントが獲得される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護されたクライアントにおいて使用するスマート・カード、暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するための保護されたクライアント、スマート・カードにおいて使用する方法、およびスマート・カードにおいて使用する方法を実行するようになされたコンピュータ・プログラム・エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル映像放送は、ストリーミング映像および/または音声がパケット化され、コード化され、恐らくは暗号化され、放送側サーバから受信機デバイスへとネットワークを介して放送される技術である。例えば、電子サービス・ガイドなどのような追加サービスを放送ストリームに含ませることが可能である。放送サービスは、無料放送(free-to-air)サービスまたは有料放送(non-free-to-air)サービスとして提供することが可能である。有料放送サービス、および恐らくは他のサービスは、放送側サーバにより暗号化され、保護されたクライアント(secured client、保護クライアント)、即ち、暗号化されたサービスに対しての受信側デバイスにより暗号解除される。このコンテンツ保護システムは、「条件付きアクセス(conditional access、コンディショナル・アクセス)」または「デジタル権利管理(digital rights management)」として知られている。サービスを暗号解除するために必要な暗号解除キーは、放送側サーバから保護クライアントへ、暗号化された資格制御メッセージ(ECM:entitlement control message、エンタイトルメント・コントロール・メッセージ)のパケット・ストリームにおいて送信される。暗号化されたECMは、暗号化されたサービスのための暗号解除キーとして使用される制御ワードを含む。暗号化されたECMの暗号解除のために、暗号化されたECMを暗号解除するための暗号解除キーを含むスマート・カードが提供される。スマート・カードによるECMの暗号解除は、後にサービスを暗号解除するために保護クライアントのプロセッサへ含まれる制御ワードを通信するために、必要とされる。制御ワードは、典型的には10秒ごとに変化するため、スマート・カードは、同じ頻度で暗号解除プロセスを反復しなければならない。動作させるために、スマート・カードは、保護クライアントへ挿入されることになる。多くの場合、PCMCIAスマート・カードが挿入されることになるPCMCIAスロットを備える条件付きアクセス・モジュールが、保護クライアントの一部である。
【0003】
資格を与えられた個々の顧客、例えば、加入契約している顧客は、継続的なサービスを単位として、またはより特定的なイベントを単位として、放送されるサービスの暗号解除が可能となるようにスマート・カードを受け取る。放送されるサービスの一例は、多様な選択可能なプログラムを含むテレビジョン・サービスである。典型的には、やはり暗号化される広告データが、プログラム間に放送される。顧客は、これをテレビジョン・プログラム間に表示されるコマーシャルとして視聴する。暗号化されたECMの専用のパケット・ストリームが、広告データと関連する。
【0004】
顧客がサービスを使用したかや、プログラムを視聴したかを監視するための既知の機構は、関連したECMを暗号解除したスマート・カード・レジスタを有することである。
【0005】
受信機デバイスが、二次カードのための第2のスマート・カード・スロットを備えることが可能であることが知られている。この第2のスロットは、オンライン購入をするためのクレジット・カードを挿入するために使用することが可能である。このような購入により獲得されたロイヤルティ・ポイント(loyalty point)により、例えば、ペイ・パー・ビュー・イベント(pay-per-view event)の無料視聴や、加入契約料金の値引きを受けることなどが可能である。また、特定のコンテンツの視聴により、二次カードへ記憶されるボーナス・ポイントを受けることが可能であり、これは、後に、そのようなコンテンツに関連する購入に使用することが可能である。
【0006】
時間単位でサービスまたはプログラムをマーケティングすることに基づくビジネス・モデルが知られている。これに関しては、スマート・カードにより処理されたECMの総数がカウントされ、コスト・時間変換の適用後に、組込み型のトークン・パース(built-in token purse、トークン財布)から引かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、ロイヤルティ・ポイントを記憶する改良されたスマート・カードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、保護クライアントにおいて使用するスマート・カードが提供される。スマート・カードは、1または複数の暗号化された資格制御メッセージを受信するように構成される受信機を備える。更に、スマート・カードは、暗号化された資格制御メッセージから制御ワードを取得するように構成されるデクリプタ(暗号解除手段)を備える。更に、スマート・カードは、暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するために保護クライアントへ制御ワードを送信するように構成される送信機を備える。暗号化された資格制御メッセージの第1のセットが、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分と関連付けられ、暗号化された資格制御メッセージの第2のセットが、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分と関連付けられる。更に、スマート・カードは、カウンタ値を増加させるように構成されるカウンタを備える。カウンタは、暗号化された資格制御メッセージの第1のセット中の処理された暗号化された資格制御メッセージのそれぞれに対してカウンタ値を増加させ、暗号化された資格制御メッセージの第2のセット中の暗号化された資格制御メッセージのそれぞれは無視するように、構成される。更に、スマート・カードは、トークン値を記憶するように構成されるメモリを備える。更に、スマート・カードは電子パース・モジュールを備え、電子パース・モジュールは、トークン値および/またはカウンタ値を使用して更新トークン値を算出するように構成され、また、更新トークン値でトークン値を更新するように構成される。
【0009】
本発明の一態様によれば、スマート・カードにおいて使用する方法が提供される。この方法は、1または複数の暗号化された資格制御メッセージを受信するステップを含む。更に、この方法は、暗号化された資格制御メッセージから制御ワードを取得するステップを含む。更に、この方法は、暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するために保護クライアントへ制御ワードを送信するステップを含む。暗号化された資格制御メッセージの第1のセットが、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分と関連付けられ、暗号化された資格制御メッセージの第2のセットが、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分と関連付けられる。更に、この方法は、カウンタ値を増加させるステップを含み、暗号化された資格制御メッセージの第1のセット中の処理された暗号化された資格制御メッセージのそれぞれに対してカウンタ値を増加させ、暗号化された資格制御メッセージの第2のセット中の暗号化された資格制御メッセージのそれぞれは無視する。更に、この方法は、スマート・カードのメモリにトークン値を記憶するステップを含む。更に、この方法は、トークン値および/またはカウンタ値を使用して、更新トークン値を算出するステップを含む。更に、この方法は、更新トークン値でトークン値を更新するステップを含む。
【0010】
従って、有利に、このスマート・カードは、スマート・カードにより処理された暗号化された資格制御メッセージの数を選択的にカウントすることが可能であり、例えば、広告データを含む暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分に関連付けられた暗号化された資格制御メッセージのみをカウントすることが可能である。メモリに記憶されたトークン値は、カウンタ値、即ち、出現回数と同じ単位とすることが可能であるが、例えば、秒で表す時間や金額などのような別の単位も有利に用いることが可能である。別の単位を使用する場合には、カウンタ値からトークン値を算出する際に、変換アルゴリズムが適用される。変換アルゴリズムに応じて、トークン値およびカウンタ値の両方、またはカウンタ値のみが、更新トークン値を算出する際に使用される。有利に、更新トークン値は、メモリに記憶され、実トークン値の使用を可能にする。有利に、トークン値は、ロイヤルティ・ポイントとして使用することが可能である。
【0011】
有利には、請求項2の実施形態は、処理された広告データについて、スマート・カードに、例えばロイヤルティ・ポイントとして、トークン値を記憶することを可能にする。
【0012】
有利には、請求項3および9の実施形態は、スマート・カードが、第2の資格データ・ストリームと共に受信された暗号化された資格制御メッセージの暗号解除を制御して、保護クライアントにおける暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分の暗号解除を効果的に制御することを可能にする。これにより、例えば、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分に含まれるコマーシャルを予め規定された時間間隔だけ視聴した後にのみ、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分に含まれるテレビジョン・プログラムの視聴を、条件付きで許可することが可能となる。
【0013】
有利には、請求項4および10の実施形態は、スマート・カードは、予め規定された時間間隔内に過多の暗号化された資格制御メッセージの受信がなされる場合、例えば、コマーシャルの早送りによりそのような受信が引き起こされた場合に、カウントを停止することを可能にする。
【0014】
有利には、請求項5および11の実施形態は、スマート・カードは、ある暗号化された資格制御メッセージが初めて受信された場合にのみ、この暗号化された資格制御メッセージをカウントすることを可能にする。有利には、これにより、例えば、コマーシャルのリプレイ(繰り返しての再生)などの場合に起きる二重カウントが回避される。
【0015】
本発明の一態様によれば、暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するための保護クライアントが提供される。保護クライアントは、暗号化されたコンテンツ・ストリーム、暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分と関連付けられた暗号化された資格制御メッセージの第1のセット、および暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分と関連付けられる暗号化された資格制御メッセージの第2のセットを受信するための受信機を備える。更に、保護クライアントは、1または複数の上述の特徴を有するスマート・カードを備える。更に、保護クライアントは、暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するためのデクリプタを備える。
【0016】
有利には、請求項7の実施形態は、保護クライアントからスマート・カードに送信されるECMの数を低減させ、その結果として、スマート・カードが処理すべきECMを低減させる。
【0017】
本発明の一態様によれば、プロセッサにより実行される場合において、1または複数の上述の特徴を有するスマート・カードにおいて使用する方法を実施するようになされるコンピュータ・プログラム・エレメントが提供される。有利には、これは、スマート・カードが、ソフトウェアとして部分的にまたは全体的に実装されることを可能にする。
【0018】
本発明の態様を、図面に示される例示の実施形態を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、デジタル放送のための簡略化したアーキテクチャを示す。
【図2】図2は、本発明の例示の実施形態の保護クライアントを示す。
【図3】図3は、本発明の例示の実施形態のスマート・カードを示す。
【図4】図4は、本発明の例示の実施形態の方法のステップを示す。
【図5】図5は、本発明の例示の実施形態の方法のステップを示す。
【図6】図6は、本発明の例示の実施形態の方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1においては、典型的なデジタル映像放送環境の簡略化されたアーキテクチャが示される。放送側サーバ3は、放送ネットワーク4に接続され、このネットワークを介して、暗号化されたコンテンツ・ストリームおよび暗号化された資格制御メッセージ(ECM)のストリームを搬送するデジタル放送信号が、保護クライアント2へ送信される。スマート・カード1は、ECMを暗号解除して1または複数の制御ワード(CW)を取得するために使用され、この制御ワード(CW)は、暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するために保護クライアント2により使用される。暗号解除されたコンテンツ・ストリームは、エンドユーザ・デバイス5にてエンドユーザにより消費されるが、このエンドユーザ・デバイス5は、例えば、テレビジョンやビデオ・レコーダであり得る。
【0021】
典型的には、デジタル放送信号は、例えば手持ち用のデジタル地上波テレビジョン用のDVB−HやT−DMB規格、あるいは地上波デジタルテレビジョン用のDVB−T規格などの規格に準拠する。デジタル放送規格の他の例は、DVB−C、DVB−S、DVB−T2、DVB−C2、DVB−S2、DVB−SH、Media Flo、S−DMBおよびMBMSである。DVB−Tにおいては、コンテンツ・ストリームは、典型的にはMPEG−2トランスポート・ストリームである。他の規格は、他のトランスポート・ストリーム・プロトコルを使用し得る。
【0022】
MPEG−2トランスポート・ストリームにおいては、映像、ビデオ・オン・デマンド、ネットワーク・パーソナル・ビデオ・レコーダ(PVR)からの映像、音声、テレビジョン・チャンネル、広告データおよび、電子サービス・ガイド(ESG)などの他のデータなどのような、複数のパケット化されたサービスが多重化される。また、暗号化されたECMのストリームは、典型的には、MPEG−2トランスポート・ストリームにおいて多重化される。MPEG−2においては、標準的なサービスは、プログラムと呼ばれる。単一のテレビジョン・チャンネルが、複数の音声、映像、および恐らくはサブタイトル・データなどデータのストリームを含み得る。特定のプログラムに関連付けられたデータ・パケットは、MPEG−2トランスポート・ストリームにおけるパケット識別子(PID)により識別され、コンテンツ・ストリームの一部を形成する。
【0023】
図2においては、保護クライアント2が示される。保護クライアント2は、受信機20においてMPEG−2トランスポート・ストリームを受信する。MPEG−2トランスポート・ストリームから、暗号化されたECMがデマルチプレクスされ、スマート・カード1へ送信される。スマート・カード1は、ECMを暗号解除し、暗号解除されたECMから取得されたCWは、スマート・カード1から保護クライアント2のデコーダ21へ送信される。CWは、CWに関連付けられるコンテンツ・ストリームの一部を暗号解除するために、デコーダ21により使用される。
【0024】
図2において、スマート・カード1は、保護クライアント2に組み込まれる。スマート・カードはハードウェアとして実装することが可能であるが、ソフトウェアとして、またはハードウェアおよびソフトウェアの混合体として実装することも可能である。代替例としては、スマート・カード1は、保護クライアント2の外部にある。この場合、保護クライアント2はスマート・カード・リーダを備え、それは、例えば、ECMを暗号解除するためにPCMCIAスマート・カードが挿入されることになるPCMCIAスロットの形態のものとすることができる。
【0025】
図3に示されるスマート・カード1は、保護クライアント2から、受信機10において暗号化されたECMを受信する。デクリプタ11が、ECMを暗号解除し、コンテンツ・ストリームを暗号解除するために保護クライアント2により必要とされるCWを取得する。CWは、送信機12により保護クライアント2へ送信される。
【0026】
コンテンツ・ストリームの一部が、暗号化されたECMのセットと関連する。暗号化されたECMのセットから取得されたCWは、コンテンツ・ストリームのこの部分を暗号解除するために保護クライアントにより使用される。コンテンツ・ストリームの複数の部分が、暗号化されたECMの同じセッとに関連付けられることも可能である。ECMパケットは、ECMのセットを識別するECM_idフィールドを有するヘッダを有する。また、オプションとして、ECMヘッダは、ECMのペイロードが変化した場合に放送側サーバにおいて変更される新コンテンツ・フラグ(例えば、バイナリ0とバイナリ1との間での転換)を有する。また、オプションとして、ECMヘッダは、ECMのペイロードが変化する度に放送側サーバにより最大値まで増加される巡回型カウンタを含むECMカウンタ・フィールドを有する。最大値に達した場合には、カウンタはゼロに設定され、カウントがゼロから続行する。また、オプションとして、ECMヘッダは、タイムスタンプにより放送側サーバにより設定されるタイムスタンプ・フィールドを有する。
【0027】
例えばスマート・カード1において暗号解除されるECMや、スマート・カード1から保護クライアント2へ送信されるECMなどのような、スマート・カード1により処理されるECMは、カウンタ13によりカウントされる。カウンタは、コンテンツ・ストリームの一部に関連付けられたECMの或る特定のセットに属する或る特定のECM_idを有するECMについて、カウンタ値を増加する。カウントに際して何れのECM_idを考慮すべきかについては、例えば、受信機10により受信された管理メッセージを介してなどのように、多様な様式で構成することが可能である。予め規定されたECM_idを有するECMが、その予め規定されたECM_idを有する各ECMについてのカウンタ値を増加させることにより、カウンタ13においてカウントされる。オプションとして、カウンタは、新コンテンツ・フラグが変化した場合にのみ、カウンタ値を増加させるように構成される。オプションとして、カウンタは、ECMカウンタ・フィールドが変化した場合にのみ、カウンタ値を増加させるように構成される。オプションとして、カウンタは、タイムスタンプ・フィールドが変化した場合にのみ、カウンタ値を増加させるように構成される。
【0028】
図2に示されるようにスマート・カード1が保護モジュール2に組み込まれる場合には、暗号化されたECMは、スマート・カード1へECMを送信する前に、保護モジュール2によりフィルタされ得る。この場合、予め規定されたECM_idを有するECMのみが、スマート・カード1へ送信され、スマート・カード1は、恐らくは新コンテンツ・フラグ、ECMカウンタ・フィールド、および/またはタイムスタンプ・フィールドを考慮しての、スマート・カードが受信した全てのECMを単にカウントすることが可能である。何れのECM_idをフィルタすべきかは、例えば、受信機20を介して受信された管理メッセージを通じてなどのような、様々な様式で構成することが可能である。
【0029】
図3に示されるスマート・カードは、メモリ14にトークン値を記憶する電子パース・モジュール15を有する。トークン値は、カウンタ値を表すものであり、カウンタ値と等しくすることが可能である。電子パース・モジュール15により、メモリ14に現時点で記憶されているトークン値および/またはカウンタ値を使用して、更新トークン値が算出される。メモリに記憶されたトークン値は、カウンタ値と同じまたは同じ単位、例えば出現回数、とすることが可能であるが、例えば、秒で表した時間や金額などのような別の単位のものとすることもできる。変換アルゴリズムに応じて、トークン値およびカウンタ値の両方、またはカウンタ値のみが、更新トークン値を算出する際に使用される。一例として、メモリに記憶されたトークン値が25である場合、これはEUR25の金額に相当する。1というカウンタ値は、EUR0.10の価値となるように規定される。カウンタ値が260に増加されると、新しいトークン値は、260×0.10=26として算出される。その後、メモリ14に記憶されたトークン値は、26という値により更新される。
【0030】
有利には、本発明を、コンテンツ・ストリームの広告データ部分に関連付けられたECMをカウントするために使用することが可能である。広告データについてカウントされたECM数は、エンドユーザがテレビジョン5で見た広告の量を示す。エンドユーザが広告をより長く見るほど、より多くのECMがカウントされ、これは、電子パース15によりメモリ14に記憶されるトークン値に反映される。トークン値は、広告を見ることにより獲得されるロイヤルティ・ポイントとして使用することが可能である。
【0031】
オプションとして、電子支払モジュール15はデクリプタ11を制御するように構成され、この制御は、メモリ14に記憶されたトークン値の値を分析し、トークン値が予め規定されたしきい値より下または上の場合にデクリプタへ信号を送信することにより、行われる。「予め規定されたしきい値より上」ということを基にするルールと、「予め規定されたしきい値より下」ということを基にするルールとの何れを適用するかは、トークン値を算出するために使用される変換アルゴリズムにより異なる。即ち、使用される変換アルゴリズムに応じて、低いトークン値が、ECMの高いカウント数または低いカウント数に対応し得る。受信機10が、例えば、広告データに関連付けられたECMのセットとテレビジョン・プログラムに関連付けられたECMのセットとを受信する場合において、デクリプタ11は、電子パース15により許可された場合にのみ、即ち、エンドユーザが広告を見た場合にのみ、テレビジョン・プログラムに関連付けられたECMのセットからECMを暗号解除する。エンドユーザが広告を十分に見なかった場合には、保護デバイスは、コンテンツ・ストリームのテレビジョン部分を暗号解除するためのCWを暗号解除することができず、その結果として、エンドユーザはテレビジョン・プログラムを見ることができない。
【0032】
オプションとして、カウンタ13は、予め規定された時間間隔内に処理されたECMの数をカウントするように構成される。カウンタ値は、この時間間隔内でのECMの数が予め規定されたしきい値より下の場合にのみ、増加される。典型的なECMレートは、10秒あたりに1つのECMから、250ミリ秒あたりに1つのECMまでの間である。ECMレートがこれより高いということは、広告を早送りしたことを示唆する。この時間間隔におけるECMの数を考慮することにより、早送り中にカウンタ値が増加されてロイヤルティ・ポイントが獲得される、ということが回避される。
【0033】
オプションとして、カウンタ13は、それぞれのECMが処理されると1度のみカウンタ値を増加させるように構成される。これに関して、ECMパケットのヘッダ中のタイムスタンプ・フィールドがチェックされ、このタイムスタンプを有するECMが以前に処理されていない場合にのみ、カウンタ値が増加される。何れのECMが処理されたかについての追跡を行うために、スマート・カード1は、図3には示されていないメモリに、受信されたタイムスタンプおよびECM_idを記憶する。メモリの制約により、制限された数のタイムスタンプのみを記憶することが可能である。メモリが満杯になった場合には、最も古いタイムスタンプが、最新のタイムスタンプにより上書きされる。
【0034】
図4においては、本発明のスマート・カード1において使用する方法の一実施形態が示される。ステップ100において、スマート・カード1はECMを受信する。ステップ101において、ECMを暗号解除することによりCWが取得される。ステップ102において、CWは、保護クライアント2へ送信される。ステップ103において、例えば広告を含むコンテンツ・ストリームの第1の部分と関連した暗号化されたECMの第1のセットからの処理されたECMが、カウントされる。ECMは、ステップ101において暗号解除されるときに、処理されたと定義される。代替例として、図5に示されるように、ECMは、ステップ102において保護デバイスへ送信されるときに、処理されたと定義される。コンテンツ・ストリームの他の部分に関連した他のセットにおけるECMは、無視される。ステップ108において、ECMが第1のセットの中にあるか否かが確定される。ある場合、ステップ103において、カウンタ値が増加される。ない場合、ECMは無視され、カウントされない。ステップ105において、メモリ14に記憶されたカウンタ値および/またはトークン値から、更新トークン値が算出される。ステップ106において、トークン値は、更新トークン値により更新される。
【0035】
図6においては、図4および図5に示される方法が、ステップ109およびステップ110で拡張される。ステップ109において、トークン値がメモリ14から読み出される。ステップ101において暗号化された資格制御メッセージの第2のセットからのCWが取得され、ステップ102において保護クライアントへ送信されることが、ステップ110において条件付きで許可される。許可されない場合、CWは取得されず、例えばテレビジョン・プログラムなどであるコンテンツ・ストリームの第2の部分は、保護クライアントにおいて暗号解除することができない。
【0036】
本発明を、図面および前述の説明において詳細に図示し説明してきたが、これらの図示および説明は、例証または例示のもの、および非限定的なものとして見なすべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。例えば、暗号化されたコンテンツ・ストリームの複数の部分について処理されたECMをカウントすることが可能である。当業者は、図面、開示および特許請求の範囲を適切に考慮することにより、特許請求される本発明を実施する際に、開示された実施形態とは異なる変更形態を理解し、実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護されたクライアント(2)において使用するスマート・カード(1)であって、
1または複数の暗号化された資格制御メッセージを受信するように構成される受信機(10)と、
前記暗号化された資格制御メッセージから制御ワードを取得するように構成される暗号解除手段(11)と、
暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するために、前記クライアント(2)へ前記制御ワードを送信するように構成される送信機(12)と、
カウンタ値を増加させるように構成されるカウンタ(13)と、
トークン値を記憶するように構成されるメモリ(14)と、
前記トークン値および/または前記カウンタ値を使用して更新トークン値を算出するように構成され、かつ、前記更新トークン値により前記トークン値を更新するように構成される電子パース・モジュール(15)と
を備え、
暗号化された資格制御メッセージの第1のセットが、前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分と関連し、暗号化された資格制御メッセージの第2のセットが、前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分と関連し、
前記カウンタ(13)は、暗号化された資格制御メッセージの前記第1のセット中の、処理された暗号化された資格制御メッセージのそれぞれに関して前記カウンタ値を増加させ、暗号化された資格制御メッセージの前記第2のセット中の、暗号化された資格制御メッセージのそれぞれを無視するように構成される、
スマート・カード。
【請求項2】
請求項1に記載のスマート・カード(1)であって、前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの前記第1の部分が広告データを含む、スマート・カード。
【請求項3】
請求項1または2の何れかに記載のスマート・カード(1)であって、前記電子パース・モジュール(15)は、前記メモリ(14)から前記トークン値を読み出すように、かつ、資格制御メッセージの前記第2のセット中の前記暗号化された資格制御メッセージから前記制御ワードを前記暗号解除手段(11)が取得することを、前記トークン値に応じて条件付きで許可するように、更に構成される、スマート・カード。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかに記載のスマート・カード(1)であって、前記カウンタ(13)は、予め規定された時間間隔内において処理された暗号化された資格制御メッセージの数をカウントするように更に構成され、前記カウンタ(13)は、前記予め規定された時間間隔において処理された暗号化された資格制御メッセージの数が予め規定されたしきい値より下の場合に、前記カウンタ値を増加させるように、構成される、スマート・カード。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れかに記載のスマート・カード(1)であって、前記暗号化された資格制御メッセージはタイムスタンプを含み、前記カウンタは、前記タイムスタンプをチェックし、前記暗号化された制御メッセージが初めて処理された場合にのみ、前記カウンタ値を増加させるように更に構成される、スマート・カード。
【請求項6】
暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するための保護されたクライアント(2)であって、
前記暗号化されたコンテンツ・ストリーム、前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分に関連した暗号化された資格制御メッセージの第1のセット、および前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分に関連した暗号化された資格制御メッセージの第2のセットを受信するための受信機(20)と、
前記暗号化されたコンテンツ・ストリームを暗号解除するための暗号解除手段(21)と、
請求項1ないし5の何れかに記載のスマート・カード(1)と
を備えるクライアント。
【請求項7】
請求項6に記載の保護されたクライアント(2)であって、暗号化された資格制御メッセージの前記第1のセットをフィルタリングするためのフィルタを更に備え、前記スマート・カード(1)は、暗号化された資格制御メッセージの前記第1のセットのみを受信する、クライアント。
【請求項8】
スマート・カードにおいて使用する方法であって、
1または複数の暗号化された資格制御メッセージを受信するステップ(100)と、
前記暗号化された資格制御メッセージから制御ワードを取得するステップ(101)と、
暗号化されたコンテンツ・ストリームの暗号解除を行うために、前記制御ワードを、保護されたクライアントへ送信するステップ(102)と、
カウンタ値を増加させるステップ(103)と、
前記スマート・カードのメモリにトークン値を記憶するステップ(104)と、
前記トークン値および/または前記カウンタ値を使用して、更新トークン値を算出するステップ(105)と、
前記更新トークン値で前記トークン値を更新するステップ(106)と
を備え、
暗号化された資格制御メッセージの第1のセットが、前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの第1の部分と関連し、暗号化された資格制御メッセージの第2のセットが、前記暗号化されたコンテンツ・ストリームの第2の部分と関連するものであり、
暗号化された資格制御メッセージの前記第1のセット中の処理された暗号化された資格制御メッセージのそれぞれに関して前記カウンタ値を増加させるステップ(103)と、暗号化された資格制御メッセージの前記第2のセット中の暗号化された資格制御メッセージのそれぞれは無視するステップ(107)とを備える、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記メモリから前記トークン値を読み出すステップと、前記トークン値に応じて、資格制御メッセージの前記第2のセット中の前記暗号化された資格制御メッセージからの前記制御ワードの取得を条件付きで許可するステップとを更に備える方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法であって、予め規定された時間間隔内において受信された暗号化された資格制御メッセージの数をカウントするステップと、前記予め規定された時間間隔において処理された暗号化された資格制御メッセージの前記数が予め規定されたしきい値より下の場合に、前記カウンタ値を増加させるステップとを更に備える方法。
【請求項11】
請求項8ないし10の何れかに記載の方法であって、前記暗号化された資格制御メッセージがタイムスタンプを含むものであり、前記タイムスタンプをチェックするステップと、前記暗号化された制御メッセージが初めて受信されたときにのみ前記カウンタ値を増加させるステップとを更に備える方法。
【請求項12】
コンピュータ・プログラム・エレメントであって、プロセッサにより実行されるとき、請求項8ないし11の何れかに記載のスマート・カードにおいて使用する方法を実施させるように構成される、コンピュータ・プログラム・エレメント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−189001(P2009−189001A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−16401(P2009−16401)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(502139057)イルデト・アクセス・ベスローテン・フェンノートシャップ (4)
【Fターム(参考)】