説明

スライド式自動ドア

【課題】固定壁の方立とドアとの間に隙間があっても、安全性を確保する。
【解決手段】ドア14が閉じ位置から開き位置へスライドする際に固定壁12の中方立24とドア14との間の隙間に挟み込まれる手前で物体を検知可能なセンサ部54と、センサ部54による物体の検知に基づいて、ドア14の停止又は閉じ位置方向への駆動を行うコントローラと、を有する。センサ部54は、軟質材からなり上下方向に長い管状のカバー55と、このカバー55内で投受光する光電センサ56と、を有する。中方立24におけるドア側の部位には、カバー55を保持するセンサ保持部50が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド式自動ドアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1及び2に開示されているように、框体によってガラス板が保持された構成のドアを有するスライド式自動ドアが知られている。特許文献1に開示されたスライド式自動ドアでは、全開時の引き残し部分をなくしても、固定壁の方立とドアの框体との間に指が挟まれないようにすべく、ドアのガラス板を固定壁側へ寄せた状態で框体に固定し、ガラス板と框体との段差をなるべく少なく、あるいは無くすようにしている。また、特許文献2に開示されたスライド式自動ドアでは、框体に固定されたガラス板に更に板ガラスを接着することで、框体とガラス板との段差を無くすようにしている。
【特許文献1】特開2004−278286号公報
【特許文献2】特開2006−274647号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記特許文献1及び2に開示されているように框体とガラス板との段差を無くすようにしたとしても、固定壁の方立とドアとの間に指が挟まれる虞があるという問題が残されている。すなわち、風圧や屋内外の気圧差によりドアが固定壁側に押圧されるような場合であっても、開閉時にドアと固定壁の方立等が干渉しないようにするため、固定壁の方立とドアとの間には、5mm程度の隙間が設けられており、この隙間は、指を挟み込む虞が最も高い子どもの指の大きさに相当する。このため、安全対策としては従来のスライド式ドアでは不十分である。
【0004】
しかも、ドアが開閉する開口高さが高くなればなるほどドアの高さも高くなるため、背の高いドアほど風圧や気圧差によって撓み易くなる。この結果、開口高さが高いと、固定壁の方立とドアの隙間が大きくなり、指を挟み込んでしまう隙間ができてしまうことを回避することは困難である。
【0005】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固定壁の方立とドアとの間に隙間があっても、安全性を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、ドアが固定壁に沿う開き位置とこの開き位置から開口部へ進出した閉じ位置との間で前記固定壁に沿ってスライド可能な自動ドアであって、前記ドアが前記閉じ位置から前記開き位置へスライドする際に前記固定壁の方立と前記ドアとの間の隙間に挟み込まれる手前で物体を検知可能なセンサ部と、前記センサ部による物体の検知に基づいて、前記ドアの停止又は閉じ位置方向への駆動を行う制御部と、を有するスライド式自動ドアである。
【0007】
本発明では、固定壁の方立とドアとの間の隙間に指等の物体が挟み込まれる手前で当該物体を検知可能なセンサ部を有し、このセンサ部による検知に基づいてドアを駆動制御するので、前記隙間に例えば指が挟み込まれることを未然に防止することができる。したがって、固定壁の方立とドアとの間に隙間があっても、安全性を確保することができる。
【0008】
ここで、前記センサ部は、前記ドアのスライド方向に直交する方向に見て前記方立の投影面内に収まるように、前記方立と前記ドアとの間に配設されているのが好ましい。この態様では、センサ部が方立の投影面内に収まった状態で方立とドアの間に配設されているので、センサ部が配設されることによる外観への悪影響を抑制することができる。
【0009】
この態様において、前記センサ部は、軟質材からなり上下方向に長い管状のカバーと、このカバー内で投受光する光電センサと、を有するのが好ましい。この態様では、光電センサがカバー内で投光及び受光を行うので、太陽光、ごみ等の外乱の影響を受け難くすることができる。しかもそのカバーが軟質材で構成されているので、センサ部が何らかの原因で作動せずに方立とドアとの間に指等が挟み込まれた場合には、カバーが容易に変形することにより被害を抑制することができる。
【0010】
そして、前記センサ部のカバーは、前記方立における上下方向の一部に設けられ、その残りの部分に前記カバーと同じ外観形状のダミー部材が設けられていてもよい。この態様では、カバーの設けられていない高さ位置にダミー部材が設けられるので、開口高さの異なる開口部に適用されるスライド式自動ドアに対して、同じ寸法のカバーを適用することが可能となる。この結果、センサ部の共通化が可能となり、コストの増加を抑えることができる。なお、通行者の手の届く範囲にセンサ部を配置すればいいので、センサ部を共通化しても安全性が阻害されることはない。
【0011】
また、前記カバーは、カバー本体と、このカバー本体内に設けられ、前記カバー本体の変形により前記光電センサの光路を遮るシャッター部と、を有する構成であってもよい。この態様では、カバー本体が少し変形するだけでシャッター部によって光路を遮ることができる。このため、経年変化等によってカバー本体が変形し難い状態になっている場合であっても、センサ部による検出感度の劣化を抑制することができる。
【0012】
また、前記方立におけるドア側の部位には、前記センサ部を保持するセンサ保持部が設けられている構成であってもよい。この態様では、ドアスライド方向に直交する方向に見た場合の外観に悪影響を及ぼすことを防止しつつ、センサ部を保持することができる。
【0013】
この態様において、前記センサ保持部は、前記開口部側から前記カバーを組み付けることで当該カバーを係合させる係合部を有する構成としてもよい。この態様では、センサ保持部に対して開口部側からカバーを組み付けることができるので、施工作業を容易化することができる。
【0014】
そして、前記カバーは、前記係合部に係合可能な被係合部を有し、この被係合部は前記係合部を両側から挟み込んで前記係合部と係合する構成であってもよい。この態様では、カバーをセンサ保持部に組み付ける際に、軟質材からなる被係合部を変形させて、被係合部が係合部を両側から挟み込むようにして係合部に係合させることができるので、センサ部の組み付け作業をより容易にすることができる。
【0015】
また、前記センサ保持部は、ドア側から前記カバーを組み付けることで当該カバーを係合させる係合部を有する構成であってもよい。この態様では、センサ保持部に対してカバーがドア側から組み付けられることとなり、カバーのドアスライド方向にはセンサ保持部が存在しない。このため、前記光電センサなどが故障した場合において、ドアが停止又は閉じ位置方向へ駆動されないため指等が挟み込まれてカバーがドアのスライド方向に力を受けたときでも、センサ保持部がこの力を直接受け止めないようにすることができる。この結果、前記光電センサなどが故障した場合であって、ドアが停止又は閉じ位置方向へ駆動されないため指等が方立とドアの間に挟み込まれた場合でも、挟まれた指等に大きな影響を与えないようにすることができ、フェイルセーフ性を機械的に向上できる。
【0016】
また、前記固定壁は、平板部を有し、この平板部は、前記ドアと反対側に寄せられた状態で前記方立に固定されているのが好ましい。この態様では、平板部がドアとは反対側に寄せられた状態で配設されているので、平板部が方立の中央部に配設された構成に比べ、固定壁の方立の奥行き方向(ドアスライド方向に垂直な方向)の厚みが大きくなることを抑制することができる。
【0017】
また、前記方立は、前記開口部を横断する光の投受光が可能な補助センサを保持する補助センサ保持部を有し、前記補助センサは、前記カバーに対して前記開口部と反対側に配置され、前記カバーは、前記補助センサの光を透過可能な開口または透明な部位を有する構成であってもよい。この態様では、固定壁の方立の奥行き方向の厚みが大きくなることを抑制しつつ、補助センサ及びセンサ部を配設することができる。
【0018】
また、前記ドアは、平板部と、この平板部を保持する枠体とを有し、前記平板部は、前記固定壁の方立に対向する面に寄せられた状態で前記枠体に保持されている構成であってもよい。この態様では、ドアの平板部と方立との間の隙間を最小限に抑えることができ、安全性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、固定壁の方立とドアとの間に隙間があっても安全性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施形態1)
図1及び図2は、第1実施形態によるスライド式自動ドア(以下、単に自動ドアという)10を示す断面図であり、図1は上から見たもので、図2は側方から見たものである。同図に示すように、この自動ドア10は、固定壁12に沿ってスライド可能なドア14を有する片引き式の自動ドア10である。
【0022】
固定壁12は、建物に固定された三方枠18に固定されている。三方枠18は、互いに間隔をおいて配置された一対の縦枠18a,18bと、この縦枠18a,18bの上端部間に架設された無目18cとを備えている。無目18cには、ドア14を開閉駆動するための駆動機構(図示省略)、この駆動機構を制御可能なコントローラ(図示省略)等が収納されている。
【0023】
無目18cの屋内側の面には、開閉可能な点検口(図示省略)が設けられている。なお、本実施形態では、1つの自動ドア10が設けられる場合について説明しているので、点検口が屋内側に配置されることになるが、一対の自動ドア10を有する風除室が建物に設けられる場合には、互いに対向する側に点検口が配置されるように自動ドア10を配設する構成としてもよい。つまり、この場合には、屋外側の自動ドア10では、屋内側の面に点検口が配設されるとともに、屋内側の自動ドア10では、屋外側の面に点検口が配設されることになる。
【0024】
固定壁12は、三方枠18によって画定される開口の略半分を塞いでおり、三方枠18と固定壁12とによって画定される開口部20は建物の出入口となり、ドア14はこの開口部20を開閉する。
【0025】
固定壁12は、互いに間隔をおいて配置される一対の方立23,24と、この方立23,24に固定された透明板(例えばガラス板)からなる平板部25とを備えている。縦枠18b側の方立(端部方立)23は三方枠18の縦枠18bに接合され、開口部20側の方立(中方立)24は、縦枠18a,18b間の略中央位置、具体的には閉じ位置にあるドア14の戸尻が隣接する位置に配置されて、床面27と無目18cとに支持されている。
【0026】
端部方立23及び中方立24は、何れも平板部25に平行な方向に長い横断面を有する平行部29と、この平行部29の端部から屋外側に向かって突出する垂直部30とを有し、平面視でL字形をなしている。ただし、端部方立23と中方立24とは、互いに対称な形状となっている。そして、平板部25は、平行部29における屋外側の面にコーキング31を介して固定されている。平行部29からの垂直部30の突出幅は、平板部25の厚みにコーキング31の厚みを加えた厚みにほぼ等しくなっている。
【0027】
ドア14は、透明板(例えばガラス板)からなる平板部33が枠体に固定された構成のドア14である。枠体を構成する戸先側の縦框34及び戸尻側の縦框35は、それぞれドア14の移動方向に延びる平行部37と、この平行部37の端部に接合されるとともに平行部37から屋外側に突出した垂直部38とを有し、断面L字状に構成されている。
【0028】
平板部33は、平行部37の屋外側に配置されるとともにコーキング39を介して平行部37に固定されている。そして平板部33は、縦框34,35のうち固定壁12(屋外側)に対向する面に寄せられた状態で縦框34,35に保持されている。この状態で平板部33は、その屋外側面が縦框34,35の垂直部38における屋外側面とほぼ一致している。
【0029】
ドア14は、固定壁12に沿う位置である開き位置と、この開き位置から開口部20内に進出した閉じ位置との間で往復移動可能となっている。図1はドア14が閉じ位置にある状態を示している。ドア14が閉じ位置にあるときには、ドアスライド方向に垂直な方向に見て、ドア14の戸尻側縦框35と中方立24とは重なり合う位置関係となっている。一方、ドア14が開き位置にあるときには、ドア14の戸先側縦框34と中方立24とが重なり合う位置関係となる。なお、ドア14の下端部には振れ止め43が設けられており、この振れ止め43は、床面27に設けられたガイドレール44の溝内に挿入されている。
【0030】
戸先側の縦框34及び戸尻側の縦框35には、それぞれゴムからなるパッキン41,42が設けられている。戸先側の縦框34に設けられたパッキン41には、ドア14の移動方向に突出した形状の突起部41aが設けられている。ドア14が閉じ位置にあるときには、戸先側のパッキン41は突起部41aが三方枠18の縦枠18aと接触することになるので、パッキン41の取り付け具合によってパッキン41と縦枠18aとの当たりが不均一になることを防止することができ、長期間の使用によりパッキン41が次第にずれてくることを防止することができる。
【0031】
一方、戸尻側の縦框35に設けられたパッキン42には、中方立24に向かって突出する突起部42aが設けられている。この突起部42aはドア14が閉じ位置にあるときには中方立24に接触しており、縦框35と中方立24との間の隙間を塞いで気密性を高めるのに寄与している。
【0032】
中方立24は、アルミニウムの押し出し材からなる芯材45にステンレス製の化粧板46を巻装した構成のものであり、垂直部30は化粧板46を折り曲げ加工することによって形成されている。
【0033】
中方立24には、センサ保持部50と補助センサ保持部52とが設けられている。センサ保持部50は、ドア14が閉じ位置から開き位置へスライドする際に中方立24とドア14との間の隙間に挟み込まれる手前の物体を検知可能なセンサ部54を保持するための部位であり、中方立24におけるドア14側の部位に設けられている。本実施形態1では、ドア14側の部位の中でも開口部20から離れたところにセンサ保持部50が設けられている。
【0034】
センサ部54は、カバー55と、このカバー55内で投受光する光電センサ56とを有する。カバー55は、ゴム等の軟質材からなり、上下方向に長い管状に構成されたカバー本体55aと、このカバー本体55aと一体的に形成された被係合部55bと、を有する。
【0035】
カバー本体55aは、平面視で長方形状の角筒状に形成されており、その一辺に前記被係合部55bが形成されている。被係合部55bは、センサ保持部50の係合部50aに係合される部位であり、互いに離れる方向に突出する一対の爪部55cを有する。センサ保持部50の係合部50aは、中方立24の芯材45によって構成されており、被係合部55bを挿通できるように開口する挿通部を有するとともに、その縁部で爪部55cを係合可能となっている。そして、この挿通部は、中方立24と縦枠18aとの間の開口部20に向かって開口している。このため、カバー55をセンサ保持部50に組み付ける際には、開口部20側からカバー55を組み付けることになる。このとき、カバー55の爪部55cを変形させながら挿通部内に押し込むことにより、カバー55をセンサ保持部50に組み付けることができる。
【0036】
光電センサ56は、光を出射可能な投光部56aと、投光部56aから出射された光を受光可能な受光部56bとを有し、カバー55内がその光路として利用される。光路は上下方向に延びており、カバー本体55aが外力を受けて変形することにより光路が狭くなると、受光部56bでの受光量が変化するので、この受光量の変化により、中方立24とドア14との間の隙間への物体の挟み込みが検知される。
【0037】
センサ部54は、図2に示すように、中方立24の上下方向の一部を占めている。センサ部54は、人の指等の挟み込みを検知するためのものであるため、必要な高さのところにセンサ部54が配設されれば十分である。そして、残りの部位にはダミー部材59が配設されている。ダミー部材59は、外観上はセンサ部54のカバー55と同じものであり、カバー55と同じ断面積を有する。つまり、センサ部54は、中方立24とセンサ保持部50とドア14とで形成される空間に配設されているが、その空間の高さ方向の一部のみに配設されているので、その残された空間を埋めるようにダミー部材59が配設されている。ダミー部材59にもセンサ部54のカバー55と同様に係合部が設けられており、カバー55と同様にセンサ保持部50に組み付けられている。
【0038】
なお、センサ部54として、カバー55とこのカバー55内で投受光する光電センサ56とからなるもの以外に、例えば、静電容量式や圧電方式のセンサとそれを組み込んだカバーとからなるものであってもよく、カバーはゴムのような弾性体のほか、変形が容易な樹脂やプラスチックであってもよい。
【0039】
中方立24は、押し出し材からなる芯材45を有するので、高さ方向の全体に亘って同じ断面を有する形状に形成される。このため、センサ部54が配設される高さのみに中方立24に凹部を設けて、その凹部にセンサ部54を埋め込むとする構成を採用するのは困難である。このため、中方立24の高さ方向の全体に亘ってセンサ保持部50を設けるとともに、必要な範囲にセンサ部54を取り付け、残りの範囲にダミー部材59を取り付けている。
【0040】
本実施形態1では、センサ部54は、前記空間の内の下側部のみを占め、この上側にダミー部材59が配設されている。なお、この態様に限られるものではなく、センサ部54が前記空間の中間部に配設されて、その上側及び下側の双方にダミー部材59が配設される構成としてもよい。また、センサ部54が前記空間の全体に亘って配設され、ダミー部材59が設けられない構成としてもよい。
【0041】
補助センサ保持部52は、開口部20を横断する光の投受光が可能な補助センサ61を保持するための部位であり、中方立24の平行部における高さ方向の1箇所に設けられている。この補助センサ61に対向する縦枠18aにも相手側の補助センサ62が設けられている。補助センサ61,62は光電管からなる。
【0042】
中方立24に補助センサ61が埋め込まれているので、平板部25は補助センサ61を回避するように屋外側に寄せられた配置となっている。これにより、中方立24の奥行き方向の厚みが大型化することを抑制している。なお、補助センサ61,62は複数設けられていてもよく、この場合は、補助センサ保持部52は、中方立24の平行部における高さ方向に複数設けられる。
【0043】
光電センサ56からの出力信号及び補助センサ61,62からの出力信号は制御部としてのコントローラに入力される。コントローラは、ドア14の開き動作中に光電センサ56での受光量が所定値以下に低下したことによってセンサ部54による物体の検知がなされたと判定すると、ドア14を停止する制御を行う。すなわち、ドア14の開き動作中に指等によってカバー55が押しつぶされて光電センサ56の受光量が所定値以下となると、ドア14を停止する。これにより、中方立24とドア14との間の隙間に指等が挟み込まれることを未然に防止することができる。なお、これに代え、ドア14の移動方向を反転させて閉じ位置方向への駆動を行うようにしてもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施形態1では、固定壁12の中方立24とドア14との間の隙間に指等が挟み込まれる手前で検知可能なセンサ部54を有し、このセンサ部54による検知に基づいてドア14を駆動制御するので、前記隙間に指等が挟み込まれることを未然に防止することができる。したがって、固定壁12の方立とドア14との間に隙間があったとしても、安全性を確保することができる。
【0045】
しかも本実施形態1では、センサ部54が中方立24の投影面内に収まった状態で中方立24とドア14の間に配設されているので、センサ部54が配設されることによる外観への悪影響を抑制することができる。すなわち、化粧板46のステンレスと質感の異なるゴムなどの軟質材からなるカバー55が、開口部20の正面から見えなくなるので、外観の高級感を損なうことが無い。
【0046】
また本実施形態1では、センサ部54がカバー55と光電センサ56とを有する構成としているので、光電センサ56がカバー55内で投光及び受光を行うことができ、これにより太陽光、ごみ等の外乱の影響を受け難くすることができる。しかもそのカバー55が軟質材で構成されているので、センサ部54が何らかの原因で動作せずに中方立24とドア14との間に指等が挟み込まれた場合には、カバー55が容易に変形することにより被害を抑制することができる。
【0047】
さらに本実施形態1では、カバー55が配設されない高さ位置にダミー部材59が設けられているので、開口高さの異なる開口部20に適用されるスライド式自動ドア10に対して、同じ寸法のカバー55を適用することが可能となる。この結果、センサ部54の共通化が可能となり、コストの増加を抑えることができる。なお、通行者の手の届く範囲にセンサ部54を配置すればいいので、センサ部54を共通化しても安全性が阻害されることはない。
【0048】
また本実施形態1では、中方立24におけるドア14側の部位にセンサ保持部50が設けられているので、ドアスライド方向に直交する方向に見た場合の外観に悪影響を及ぼすことを防止しつつ、センサ部54を保持することができる。
【0049】
また本実施形態1では、開口部20側からカバー55を組み付けることでセンサ保持部50の係合部50aに当該カバー55を係合させるようにしているので、施工作業を容易化することができる。
【0050】
また本実施形態1では、平板部がドア14とは反対側に寄せられた状態で端部方立23及び中方立24に配設されているので、平板部が方立の中央部に配設された構成に比べ、固定壁12の方立の奥行き方向(ドアスライド方向に垂直な方向)の厚みが大きくなることを抑制することができる。
【0051】
また本実施形態1では、ドア14の平板部が固定壁12の中方立24に対向する面に寄せられた状態で三方枠18の縦枠18a,18bに保持されているので、ドア14の平板部と中方立24との間の隙間を最小限に抑えることができ、それによって安全性の向上を図ることができる。
【0052】
なお、本実施形態1では、カバー55の横断面が長方形状に形成されていて光電センサ56の幅よりも広い構成としたが、これに代え、図3に示すようにカバー55の横断面が正方形状に形成される構成としてもよい。この態様では、ドアスライド方向におけるカバー55の幅が光電センサ56の幅にまで小さくなっていて、その分、センサ保持部50における係合部50aの位置が開口部20に近い位置に設定されている。これにより、本実施形態1の構成に比べて、組み付け作業の負担を軽減することができる。
【0053】
(実施形態2)
図4は本発明の第2実施形態を示している。第1実施形態では、カバー55の被係合部55bが互いに離れる方向に突出する一対の爪部55cを有する構成について説明したが、第2実施形態では、被係合部55bが、互いに近づく方向に突出する一対の爪部55cを有している。以下具体的に説明するが、ここでは実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
センサ保持部50の係合部50aは、ドアスライド方向に垂直な方向において互いに離れる方向に突出する一対の突起状に形成されている。一方、カバー55の被係合部55bは、カバー55においてドアスライド方向に垂直な方向に長い一辺の両端から互いに近づく方向に突出する一対の爪部55cを有する。そして、センサ保持部50にカバー55を組み付ける際には、開口部20側からカバー55を組み付けることになるが、このとき、中方立24側の爪部55cを変形させながら爪部55cを係合部50aと中方立24との間の隙間に押し込むとともに、ドア14側の爪部55cを変形させて係合部50aとドア14との間の隙間に挿通させる。これにより、両爪部55cがセンサ保持部50の係合部50aを両側から挟み込んでカバー55がセンサ保持部50に装着される。なお、図5に示すように、爪部55cは外面が傾斜状に形成されていて、先端側ほど厚みが薄くなる形状としてもよい。この構成の場合には、爪部55cを係合部50aと中方立24(又はドア14)との間の隙間に挿通させ易くすることができるので、カバー55をセンサ保持部50に更に組み付け易くなる。
【0055】
図4に示すように、センサ部54は、僅かな変形で光電センサ56の光路を遮ることができるシャッター部65を有している。すなわち、センサ部54は、角筒状のカバー本体55aと、このカバー本体55a内に設けられたシャッター部65とを有している。シャッター部65は、カバー本体55aと一体的に形成されるものであり、カバー本体55aにおけるドア14側で且つ開口部20側の角部の近傍から内側に向かって延びる延出部65aと、この延出部65aの内端部に接合された可動部65bとを有する。可動部65bは、その一端部がカバー本体55aにおける開口部20側の一辺に接続されている。なお可動部65bの一端部は開口部20側の一辺に接するように設けてもよい。可動部65bは、カバー本体55aにおける延出部65aの外端部近傍の角部の凹み挙動に応じて動くので、この可動部65bの動作によって光電センサ56の光路を遮ることになる。
【0056】
したがって、本実施形態2によれば、カバー本体55aが少し変形するだけでシャッター部65によって光路を遮ることができる。このため、経年変化等によってカバー本体55aが変形し難い状態になっている場合であっても、センサ部54による検出感度の劣化を抑制することができる。
【0057】
また本実施形態2では、カバー55をセンサ保持部50に組み付ける際に、軟質材からなる被係合部55bを変形させて、被係合部55bが係合部50aを両側から挟み込むようにして係合部50aに係合させることができるので、センサ部54の組み付け作業をより容易にすることができる。
【0058】
なお、本実施形態2において、シャッター部65を省略してもよい。また、カバー55の被係合部55bを実施形態1と同様の構成としてもよい。その他の構成、作用及び効果については、その説明を省略するが前記実施形態1と同様である。
【0059】
(実施形態3)
図6は本発明の第3実施形態を示している。以下具体的に説明するが、ここでは実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0060】
第1及び第2実施形態では、センサ部54が開口部20側から中方立24に組み付けられる構成としたが、本第3実施形態では、センサ部54がドア14側から中方立24に組み付けられる構成となっている。すなわち、センサ保持部50は、ドア14の移動方向(開口部20と平行な方向)に沿って互いに離間した状態で中方立24におけるドア14側の部位から延出される一対の係合部50aを有する。係合部50aは、その先端部が互いに近づく方向に突出するように折れ曲がっており、両係合部50a間は被係合部55bを挿通可能な挿通部となっている。本実施形態では、センサ保持部50は、化粧板46によって形成されている。一方、カバー55の被係合部55bは、カバー本体55aの一辺に形成されており、この一辺が中方立24側の一辺となるように中方立24に取り付けられる。この状態で、ドア14の移動方向におけるカバー本体55aの幅は、中方立24の幅と一致している。このため、中方立24とドア14との間には余分な空間が形成されていない。そして、光電センサ56は、カバー本体55a内における開口部20側に配置されている。
【0061】
被係合部55bは、カバー本体55aの幅方向に互いに離れる方向に突出する一対の爪部55cを有している。そして、センサ保持部50の係合部50a間の挿通部に爪部55cを挿通し、この爪部55cを係合部50aに係合させることにより、カバー55がセンサ保持部50に組み付けられる。この状態においてセンサ保持部50がセンサ部54に対して開口部20と反対側には存在しない。このため、ドア14が閉じ位置から開き位置へ動作する最中にセンサ部54が何らかの原因で検知せずに指等が挟み込まれた場合でも、ドア14の移動に伴って生ずる力をカバー55が受けたとしても、その力をセンサ保持部50が直接受け止めることはない。
【0062】
すなわち、本第3実施形態では、カバー55がセンサ保持部50に対してドア14側から組み付けられることとなり、カバー55のドアスライド方向にはセンサ保持部50が存在しない。このため、指等が挟み込まれてカバー55がドア14のスライド方向に力を受けたときでも、センサ保持部50がこの力を直接受け止めないようにすることができる。この結果、指等が中方立24とドア14の間に挟み込まれた場合でも、挟まれた指等に大きな影響を与えないようにすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、カバー本体55aの幅が中方立24の幅と同等になる構成について示したが、これに限られるものではない。すなわち、カバー本体55aは、光電センサ56が配設できる幅を有すればいいので、カバー本体55aの幅を例えば中方立24の幅よりも小さくすることができる。この場合において、図7に示すようにカバー55を開口部20側に寄せて配設してもよく、あるいは図8に示すように開口部20とは反対側に寄せて配設してもよい。
【0064】
また、カバー55がシャッター部65を有する構成としてもよい。
【0065】
その他の構成、作用及び効果については、その説明を省略するが前記実施形態1と同様である。
【0066】
(実施形態4)
図9は本発明の第4実施形態を示している。以下具体的に説明するが、ここでは実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0067】
第1から第3実施形態では、補助センサ保持部52が中方立24の平行部29に設けられた構成について説明したが、第4実施形態では、補助センサ保持部52が中方立24の垂直部30に設けられている。そのため、垂直部30の幅を補助センサ61を収容可能な幅に構成する必要があるため、第4実施形態では、固定壁12の幅方向の垂直部30の幅が第1〜第3実施形態よりも大きくなっている。その代わり、固定壁12の厚み方向の平行部29の厚みが第1〜第3実施形態よりも小さくなっている。したがって、第4実施形態では、固定壁12の幅方向の中方立24の幅が第1〜第3実施形態に比べて大きくなる一方で、固定壁12の厚み方向の中方立24の厚みを小さくすることができる。
【0068】
なお、センサ部54の位置は、図10に示すように、開口部20側に寄せて配置される構成としてもよいし、図11に示すように、開口部20側とは反対側に寄せて配設される構成としてもよい。また、カバー55がシャッター部65を有する構成としてもよい。
【0069】
その他の構成、作用及び効果については、その説明を省略するが前記実施形態3と同様である。
【0070】
(実施形態5)
図12は本発明の第5実施形態を示している。以下、具体的に説明するが、ここでは実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0071】
第1〜第4実施形態では、センサ部54と補助センサ61とが固定壁12の厚み方向にずれる構成について説明してきたが、本第5実施形態では、補助センサ61とセンサ部54とが固定壁12の厚み方向に一致する構成、言い換えると、補助センサ61とセンサ部54とがドア14のスライド方向に並んで配設される構成となっていて、センサ部54が、中方立24に固定される補助センサ61と三方枠18の縦枠18aに固定される補助センサ62との間に位置している。
【0072】
この構成では、補助センサ61の光路を遮らないようにセンサ部54のカバー55に貫通孔55dが形成されている。なお、カバー55に貫通孔55dを形成する構成に代え、カバー55の該当箇所を透明な部材で形成したり、カバー55を上下に分割することで該当箇所のカバー55を除去するようにしたりしてもよい。
【0073】
補助センサ保持部52は、中方立24の芯材45をドア14側に延設したところ(延設部)に形成されている。そして、センサ保持部50は、芯材45の延設部を覆うように中方立24の化粧板46をドア14側に延設したところに設けられている。
【0074】
第5実施形態では、中方立24の奥行き方向の厚みが大きくなることを抑制しつつ、補助センサ61及びセンサ部54を配設することができる。
【0075】
なお、補助センサ保持部52は、図13に示すように、中方立24の化粧板46の外側に配設された状態で化粧板46に締結されたブラケット67によって構成するようにしてもよい。この構成では、センサ保持部50は、化粧板46をドア14側に延設することなく、ドア14側の部位に設けることができる。
【0076】
また、カバー55がシャッター部65を有する構成としてもよい。
【0077】
その他の構成、作用及び効果については、その説明を省略するが前記実施形態3と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動ドアの水平断面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】第1実施形態の変形例に係る自動ドアの水平断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る自動ドアの水平断面図である。
【図5】第2実施形態の変形例におけるカバーの部分断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る自動ドアを部分的に示す水平断面図である。
【図7】第3実施形態の変形例に係る自動ドアの水平断面図である。
【図8】第3実施形態の変形例に係る自動ドアの水平断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る自動ドアの水平断面図である。
【図10】第4実施形態の変形例に係る自動ドアの水平断面図である。
【図11】第4実施形態の変形例に係る自動ドアの水平断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る自動ドアの水平断面図である。
【図13】第5実施形態の変形例に係る自動ドアの水平断面図である。
【符号の説明】
【0079】
12 固定壁
14 ドア
20 開口部
23 端部方立
24 中方立
25 平板部
33 平板部
34 戸先側縦框
35 戸尻側縦框
50 センサ保持部
50a 係合部
52 補助センサ保持部
54 センサ部
55 カバー
55a カバー本体
55b 被係合部
55d 貫通孔
56 光電センサ
59 ダミー部材
61 補助センサ
62 補助センサ
65 シャッター部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアが固定壁に沿う開き位置とこの開き位置から開口部へ進出した閉じ位置との間で前記固定壁に沿ってスライド可能な自動ドアであって、
前記ドアが前記閉じ位置から前記開き位置へスライドする際に前記固定壁の方立と前記ドアとの間の隙間に挟み込まれる手前で物体を検知可能なセンサ部と、
前記センサ部による物体の検知に基づいて、前記ドアの停止又は閉じ位置方向への駆動を行う制御部と、を有するスライド式自動ドア。
【請求項2】
前記センサ部は、前記ドアのスライド方向に直交する方向に見て前記方立の投影面内に収まるように、前記方立と前記ドアとの間に配設されている請求項1に記載のスライド式自動ドア。
【請求項3】
前記センサ部は、軟質材からなり上下方向に長い管状のカバーと、このカバー内で投受光する光電センサと、を有する請求項2に記載のスライド式自動ドア。
【請求項4】
前記センサ部のカバーは、前記方立における上下方向の一部に設けられ、その残りの部分に前記カバーと同じ外観形状のダミー部材が設けられている請求項3に記載のスライド式自動ドア。
【請求項5】
前記カバーは、カバー本体と、このカバー本体内に設けられ、前記カバー本体の変形により前記光電センサの光路を遮るシャッター部と、を有する請求項3に記載のスライド式自動ドア。
【請求項6】
前記方立におけるドア側の部位には、前記センサ部を保持するセンサ保持部が設けられている請求項3に記載のスライド式自動ドア。
【請求項7】
前記センサ保持部は、前記開口部側から前記カバーを組み付けることで当該カバーを係合させる係合部を有する請求項6に記載のスライド式自動ドア。
【請求項8】
前記カバーは、前記係合部に係合可能な被係合部を有し、この被係合部は前記係合部を両側から挟み込んで前記係合部と係合する請求項7に記載のスライド式自動ドア。
【請求項9】
前記センサ保持部は、ドア側から前記カバーを組み付けることで当該カバーを係合させる係合部を有する請求項6に記載のスライド式自動ドア。
【請求項10】
前記固定壁は、平板部を有し、この平板部は、前記ドアと反対側に寄せられた状態で前記方立に固定されている請求項1に記載のスライド式自動ドア。
【請求項11】
前記方立は、前記開口部を横断する光の投受光が可能な補助センサを保持する補助センサ保持部を有し、
前記補助センサは、前記カバーに対して前記開口部と反対側に配置され、
前記カバーは、前記補助センサの光を透過可能な開口または透明な部位を有する請求項3に記載のスライド式自動ドア。
【請求項12】
前記ドアは、平板部と、この平板部を保持する枠体とを有し、
前記平板部は、前記固定壁の方立に対向する面に寄せられた状態で前記枠体に保持されている請求項1に記載のスライド式自動ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−221765(P2009−221765A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−68489(P2008−68489)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)
【出願人】(000110653)ナブコシステム株式会社 (5)
【出願人】(592251466)ナブコドア株式会社 (4)
【出願人】(507360966)オリエント産業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】