スラリー塗布装置、及びスラリー塗布欠陥検査装置
【課題】ハニカム構造体に目封止部を形成する過程において、容器の中のセラミックスラリーの厚さを均一にする手段を提供すること。
【解決手段】底面21が平坦な皿状の容器2と、その容器2の底面21にスラリー31を吐出する定量無脈動のポンプ3と、そのポンプ3の吐出口の位置を容器2の底面21の中心22から外周23までの間で相対的に移動させる吐出口移動手段と、底面21の中心22を回転軸として容器2を回転させる塗布用容器回転手段と、を具備するスラリー塗布装置1の提供による。
【解決手段】底面21が平坦な皿状の容器2と、その容器2の底面21にスラリー31を吐出する定量無脈動のポンプ3と、そのポンプ3の吐出口の位置を容器2の底面21の中心22から外周23までの間で相対的に移動させる吐出口移動手段と、底面21の中心22を回転軸として容器2を回転させる塗布用容器回転手段と、を具備するスラリー塗布装置1の提供による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面が平坦な容器に所望の厚さで気泡を生じさせることなく、スラリーを塗布することが出来る装置と、塗布されたスラリーにおける、気泡や未塗布等の塗布欠陥の有無を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等から排出される排気ガスの中にはスート(カーボン黒煙)等からなるパティキュレートマター(微粒子状物質、PM)が多量に含まれている。このPMが大気中に放出されると環境汚染を引き起こすため、ディーゼルエンジン等の排気系統には、PMを捕集するためのフィルタが搭載される。そして、このフィルタとして、多くの場合、目封止ハニカム構造体が採用される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
目封止ハニカム構造体は、多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム構造体において、その一方の端面における一部のセルの一方の端部を封止し、他方の端面における残余のセルの一方の端部を封止したものである。排気ガス(被処理ガス)は、この目封止ハニカム構造体の、入口側の端面において封止されておらず出口側の端面において封止されたセルに流入し、多孔質の隔壁を通り、入口側の端面において封止され出口側の端面において封止されていないセルに移動し、排出される。そして、この際に、隔壁が濾過層となって排気ガスの中のPMが捕捉される。
【0004】
【特許文献1】特開2001−269585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような目封止ハニカム構造体においては、従来、目封止部(セル封止部分)にかかり以下のような問題を抱えていた。問題の1つは、目封止部が存在することによる、フィルタとしての圧損の増大である。特に目封止部がセルの長さ方向に厚いと、それだけフィルタとしての濾過面積が減るから、同じ量の被処理ガスを通じると、それだけフィルタとしての圧損が上昇してしまうのである。
【0006】
目封止部にかかる他の問題は、製造過程において、目封止部に意図しない小さな孔や亀裂が生じたり、更に小さな気泡が貫通して存在することによる、歩留まりの低下である。このような目封止ハニカム構造体は、排気ガスが多孔質の隔壁を通らずリークし、フィルタとしての濾過性能の低下を招来するため、出荷することは出来ず、出荷前に煙を充填してリーク試験を行い、リークがみられるものは製品から排除される。
【0007】
この歩留まり低下の問題は、上記1つ目の問題とも関連する。即ち、目封止ハニカム構造体の2つの端面において、目封止された(製造時に目封止材料が充填された)部分とそうでない部分とでは、焼成してハニカム構造体となる焼成前のハニカム成形体において、焼成時の収縮率が異なる結果、亀裂が生じると考えられるからである。特に目封止部がセルの長さ方向に厚いと、それだけハニカム成形体における目封止材料が充填された部分(目封止された部分)と目封止材料が充填されていない部分(目封止されていない部分)との収縮率の差が大きくなり、亀裂も生じ易くなると思われる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、圧損の小さい目封止ハニカム構造体を、歩留まりよく製造する手段を提供することを、最終的な課題とする。検討がなされた結果、ハニカム構造体に目封止部を形成する過程は、例えば、目封止しないセルにマスクを施したハニカム構造体の端面を、容器中のセラミックスラリーに浸漬し、目封止するセルのみにセラミックスラリーを充填し、乾燥・焼成することで実現することが出来るから、上記課題を解決するためには、ハニカム構造体に目封止部を形成する過程において、目封止材料として使用するセラミックスラリーの厚さの管理、気泡残の検査が重要であることわかった。そこで、本発明は、ハニカム構造体に目封止部を形成する過程において、容器の中のセラミックスラリーの厚さを均一に管理するとともに、セラミックスラリーに気泡が混在しないように検査する手段を提供することを、直接的な目的とする。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記目的が達成され、更には最終的な課題が解決されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、先ず、本発明によれば、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面にスラリーを吐出するスラリー吐出手段と、容器を回転させる塗布用容器回転手段と、スラリー吐出手段から吐出されたスラリーの厚さを測定する変位計と、を具備するスラリー塗布装置が提供される。
【0010】
スラリー吐出手段として、例えば、スラリーを、一定量ずつ脈動することなく、吐出することが可能な、定量無脈動のポンプを採用することが出来る。
【0011】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、変位計を移動させる変位計移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0012】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、変位計で測定されたスラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、スラリー吐出手段のスラリーの吐出量、及び塗布用容器回転手段の回転速度のうち何れか1以上を調節する制御手段Aを、更に具備することが好ましい。
【0013】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、スラリー吐出手段の吐出口の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる吐出口移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0014】
底面の中心とは、底面を構成する平面図形の中心を意味する。上記の吐出口移動手段は、相対的に移動させる手段であり、容器を移動させることにより、スラリー吐出手段の吐出口の位置を容器の底面の中心から外周まで移動させてもよいが、本発明に係るスラリー塗布装置においては、吐出口移動手段が、スラリー吐出手段を移動させる手段であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るスラリー塗布装置は、吐出口移動手段を具備する場合には、変位計で測定されたスラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、吐出口移動手段の移動速度を調節する制御手段Bを、更に具備することが好ましい。
【0016】
上記制御手段Aは、吐出口移動手段を具備する場合には、この制御手段Bを兼ねるものであってよい。本明細書において、単に制御手段というときは、制御手段Aと制御手段Bの両方を指す。
【0017】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、変位計が、レーザー変位計であることが好ましい。分解能や幅広い材質の対象を測定し得るからである。変位計は、非接触式のものであれば採用することが可能であり、他に、例えば渦電流式、超音波式、LED式等の変位計が使用出来る。
【0018】
次に、本発明によれば、底面が平坦な皿状の容器の底面に、スラリーを塗布する方法であって、スラリー吐出手段を用い、容器を回転させながら、容器の底面にスラリーを吐出するとともに、吐出されたスラリーの厚さを測定し、測定したスラリーの厚さに基づいて、スラリーの吐出量及び容器の回転速度の何れか1以上を調節するスラリー塗布方法が提供される。
【0019】
本発明に係るスラリー塗布方法においては、スラリー吐出手段の吐出口の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるとともに、測定したスラリーの厚さに基づいて、吐出口の移動速度を調節することが好ましい。
【0020】
次に、本発明によれば、多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して上記した何れかのスラリー塗布方法によって底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、前記容器に塗布されたスラリーの中へ前記目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第一の製造方法という)が提供される。
【0021】
次に、本発明によれば、底面にスラリーが塗布される、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを撮像するカメラと、同じく容器の底面の上方に位置して、底面に塗布されたスラリーを上方から照らす上方照明と、を具備するスラリー塗布欠陥検査装置が提供される。
【0022】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、カメラの位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるカメラ位置移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0023】
カメラ位置移動手段は、カメラを移動させることによって、又は容器を移動させることによって、カメラの位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させることが出来るが、カメラを移動させることが好ましい。
【0024】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、上方照明の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる上方照明位置移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0025】
上方照明位置移動手段は、上方照明を移動させることによって、又は容器を移動させることによって、上方照明の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させることが出来るが、上方照明を移動させることが好ましい。また、カメラと照明の替わりにレーザーラインセンサーを用いることでもよい。
【0026】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、容器の底面の側方に位置して、底面に塗布されたスラリーを側方から照らす側方照明を、更に具備することが好ましい。
【0027】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、側方照明を具備する場合には、側方照明の位置を容器の外周(側面)に沿って相対的に移動させる側方照明位置移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0028】
側方照明位置移動手段は、側方照明を移動させることによって、又は容器を移動させることによって、側方照明の位置を容器の外周(側面)に沿って相対的に移動させることが出来るが、側方照明を移動させることが好ましい。
【0029】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、底面の中心を回転軸として容器を回転させる検査用容器回転手段を、更に具備することが好ましい。また、容器に振動を加える加振装置を備えることがより好ましい。容器を加振することにより容器内に吐出されたスラリーを容器内で平準化し易くなる。
【0030】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の使用に際しては、カメラを移動させる場合又は移動させない場合、あるいは、側方照明を移動させる場合又は移動させない場合、これらの何れの場合にも、この検査用容器回転手段によって容器を回転させることが好ましい。
【0031】
次に、本発明によれば、底面が平坦な皿状の容器の底面に塗布されたスラリーの欠陥を検査する方法であって、容器の底面に塗布されたスラリーに、容器の底面の上方及び側方から照明をあてて、容器の底面の上方からカメラで撮られた写像によって、塗布欠陥を検査するスラリー塗布欠陥検査方法が提供される。
【0032】
次に、本発明によれば、多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、容器の底面に塗布されたスラリーの塗布欠陥を上記したスラリー塗布欠陥検査方法によって検査し、容器に塗布されたスラリーに塗布欠陥のない場合に、そのスラリーの中へ目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第二の製造方法という)が提供される。尚、以下、単に本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法というときは、本発明に係る第一の製造方法及び第二の製造方法の両方を指す。
【0033】
尚、本明細書において、容器は皿状と表現されるが、(容器の)底面が平坦であり、且つ、ハニカム成形体の外壁(周面)部分にシールが必要となるので、(容器の)外周部分が立っており、この態様から、お盆のような形状ということが出来る。容器の平面形状(底面を構成する平面図形の形状)は、ワークに合わせて決定することが出来、円形、楕円形等が例示される。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るスラリー塗布装置は、スラリー吐出手段、塗布用容器回転手段、及び変位計を具備しており、容器の底面の中心にスラリーを吐出し、その容器の底面の中心を回転軸として容器を回転させて、遠心力によってスラリーを層状に拡げ、変位計で層状になったスラリーの厚さを測定して、検査し確認することが出来るので、均一な厚さでうねりがなく平坦な層になるように、スラリーを塗布することが可能である。本発明に係るスラリー塗布方法によっても、同様の効果が得られる。尚、変位計は、複数台備えるか、又は、1台の変位計を移動させスラリーの厚さを走査させてもよい。本発明に係るスラリー塗布装置は、その好ましい態様により、変位計移動手段を具備するので、1台の変位計で、層状に拡がったスラリーのあらゆる位置で厚さを測定することが可能なものになっている。
【0035】
本発明に係るスラリー塗布装置は、その好ましい態様により、制御手段Aを更に具備しているので、変位計で測定されたスラリーの厚さに基づいて、ポンプ(スラリー吐出手段)のスラリーの吐出量、及び塗布用容器回転手段の回転速度のうち何れか1以上を調節しながら、スラリーを塗布することが出来る。例えば、スラリーの粘度に合わせて、スラリーを平坦にするのに最適な遠心力が生じるような速度で、容器を回転させることが可能になる。従って、本発明に係るスラリー塗布装置の、均一な厚さでうねりがなく平坦な層になるようにスラリーを塗布することが可能である、という上記効果を、より確実に、より高いレベルで発現させることが可能である。
【0036】
本発明に係るスラリー塗布装置は、その好ましい態様において、吐出口移動手段を更に具備しているので、スラリー吐出手段として例えば定量無脈動のポンプを用い、そのポンプの吐出口の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させ、例えば底面の中心を回転軸として容器を回転させながら、容器の底面にスラリーを吐出することが出来る。加えて、制御手段Bを具備する場合には、吐出口移動手段の移動速度を調節しながら、スラリーを吐出することが出来る。従って、本発明に係るスラリー塗布装置の、均一な厚さでうねりがなく平坦な層になるようにスラリーを塗布することが可能である、という上記効果を、より確実に、より高いレベルで発現させることが可能である。
【0037】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、スラリーが塗布される容器の底面の上方に位置して、スラリーを撮像するカメラと、スラリーを上方から照らす上方照明と、を具備しているので、上方照明によるスラリー(材料)と容器(材料)との色差を、画像処理によって容易に検出することが可能であり、スラリーの未塗布部の存在を漏れなく検知することが出来る。本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法によっても、同様の効果が得られる。
【0038】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、その好ましい態様により、スラリーが塗布される容器の側方に位置して、スラリーを側方から照らす側方照明を具備しているので、側方照明によるスラリー(材料)中の気泡の影を、画像処理によって容易に検出することが出来、スラリー中に存在する気泡を漏れなく検知することが可能である。
【0039】
本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法は、本発明に係るスラリー塗布方法及び/又は本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法を用いて、セラミック材料からなるスラリーでハニカム構造体のセルを目封止するので、目封止部を、セルの長さ方向に、均一な厚さで、より薄くすることが可能である。従って、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法で得られる目封止ハニカム構造体は、圧損がより小さいものとなり得る。
【0040】
本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第二の製造方法)は、目封止部に気泡が混在しないように目封止ハニカム構造体を作製することが出来るので、歩留まりが向上し、生産性が高められる。又、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法によって、欠陥のあるスラリーを使用しないで済むため、ハニカム構造体を無駄に廃棄することがなくなる。この観点から、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第二の製造方法)は、歩留まり及び生産性の向上に寄与する手段であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0042】
先ず、本発明に係るスラリー塗布装置について説明する。本発明に係るスラリー塗布装置は、平坦底の容器に、所望の厚さで、気泡を生じることなくスラリーを塗布することが可能な装置である。図1及び図2は、本発明に係るスラリー塗布装置の一の実施形態を示す図であり、図1は斜視図であり、図2は断面図である。
【0043】
図1及び図2に示されるスラリー塗布装置1は、底面21が平坦な皿状の容器2と、その容器2の底面21にスラリー31を吐出するスラリー吐出手段である定量無脈動のポンプ3と、(図示しない)吐出口移動手段と、塗布用容器回転手段と、を具備する。
【0044】
容器2は、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、アルミニウム等の金属材料で形成されたものであることが好ましい。照明をあてることによってスラリー31との区別が明確になるからである。
【0045】
スラリー吐出手段であるポンプ3としては、モーノポンプが好適に使用される。モーノポンプは、回転容積型の一軸偏心ネジポンプであり、ローターとステーターを有し、その間にシールされた連続するらせん状の空間を形成し、ローターを回転させ、ステーター内を回転しながら往復運動をさせることにより、スラリーを、脈動なく、定量に、吐出することが出来るポンプである。これは、既に吐出したスラリーの塗布状態を良好に保持しつつ、新たにスラリーを吐出することが可能である点において、スラリー塗布装置1に好適なポンプである。
【0046】
モーノポンプの仕様は、扱うスラリーの性状に応じて決定される。ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、スラリー31の粘度が50〜1000(poise)程度になり、スラリー31の比重が1.5〜2.0g/cm3程度になる。この場合、モーノポンプは、吐出速度が0.5〜60cc/sec.のものを使用することが好ましい。
【0047】
塗布用容器回転手段は、底面21の中心22を回転軸として、容器2を、例えば図1中の矢印S5の方向に、回転させる手段である。塗布用容器回転手段は、容器2を固定したステージ4に(図示しない)回転モータを取り付け、ステージ4を回転させることによって実現することが出来る。容器2に、直接、回転モータを取り付けてもよい。容器は、ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、0.1〜300rpm程度で回転させることが好ましい。また、図示はしないが、容器2に振動を加える加振装置を設けることが好ましい。容器2を加振することにより、容器2内に吐出されたスラリーを容器2内で平準化し易くなるからである。
【0048】
吐出口移動手段は、そのポンプ3の吐出口の位置を、例えば図1及び図2中の矢印S1の方向に向けて、即ち容器2の底面21の中心22から外周23まで、移動させる手段である。吐出口移動手段は、例えば、(図示しない)LMガイド(直線運動案内機器)を組み合わせたXY運動(2方向運動)案内機器に、ポンプ3を取り付けることによって、実現することが出来る。ポンプ3は固定し、ステージ4に、回転モータの他に、XY運動(2方向運動)案内機器を設けることによって、ステージ4を回転させつつ直線運動させ、ポンプ3の吐出口の位置を容器2の底面21の中心22から外周23まで移動させるようにしてもよい。吐出口移動手段の移動速度は限定されるものではないが、ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、1〜50mm/sec.程度の速度でポンプ3の吐出口の位置を移動させることが好ましい。
【0049】
スラリー塗布装置1は、容器2の底面21にポンプ3で吐出されたスラリー31の厚さを測定する変位計5を備えている。この変位計5としては、例えばレーザー変位計を採用することが出来る。変位計5の具体的な仕様としては、光源が赤色半導体レーザ(波長650nm、出力4.8mW)であり、分解能が0.2μm、測定範囲が80±15mmのものを、例示することが出来る。
【0050】
スラリー塗布装置1では、吐出口移動手段によって容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動するポンプ3の吐出口の位置に合わせて、変位計5が、例えば図1及び図2中の矢印S2の方向に向けて、(図示しない)変位計移動手段によって移動する。変位計移動手段は、例えば、(図示しない)LMガイド(直線運動案内機器)を組み合わせたXY運動(2方向運動)案内機器に、変位計5を取り付けることによって、実現することが出来る。
【0051】
スラリー塗布装置1には、(図示しない)制御手段が備わり、変位計5で測定されたスラリー31の厚さを入力し、そのスラリー31の厚さのデータに基づいて、ポンプ3のスラリー31の吐出量、塗布用容器回転手段の回転速度(ステージ4の回転速度)、及び吐出口移動手段の移動速度のうち何れか1以上を調節することが出来る。この制御手段は、入出力機能を具備したシーケンサや産業用のコンピュータで構成することが出来る。
【0052】
次に、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置について説明する。本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、塗布されたスラリーにおける、気泡や未塗布等の塗布欠陥を精度よく検査することが出来る装置である。図3及び図4は、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の一の実施形態を示す図であり、図3は上面図(平面図)であり、図4は断面図である。
【0053】
図3及び図4に示されるスラリー塗布欠陥検査装置10は、底面21にスラリー31が塗布された、底面21が平坦な皿状の容器2と、その容器2の底面21の上方に位置して、底面21に塗布されたスラリー31を撮像するカメラ6と、同じく容器2の底面21の上方に位置して、底面21に塗布されたスラリー31を上方から照らす、カメラ6を挟むように配設された(例えば)リング型の上方照明7と、容器2の底面21の側方に位置して、底面21に塗布されたスラリー31を側方から照らす(例えば)2つの側方照明8と、を具備する。カメラ6としては、φ1mm程度の気泡25、又は1mm程度の未塗布部24を検知するために、例えば、カラーCCD方式で、200万画素以上の分解能を有するものが採用される。尚、図3においてはスラリー31は、省略され、描かれていない。又、気泡25は、その大部分がスラリー31の表面に存在し、球状に膨らんでいる。
【0054】
スラリー塗布欠陥検査装置10では、容器2の底面21の中心22を回転軸として、例えば図3中の矢印S7の方向に向けて、容器2を回転させる検査用容器回転手段を備えている。又、カメラ6の位置を、例えば図3中の矢印S4の方向に向けて、容器2の底面21の中心22から外周23まで移動させるカメラ位置移動手段を備えている。更に、リング型の上方照明7の位置を、例えば図3中の矢印S6の方向に向けて、容器2の底面21の中心22から外周23まで移動させる上方照明位置移動手段を備えている。加えて、側方照明8の位置を、例えば図3中の矢印S3の方向に向けて、容器2の外周23に沿って直線的に周回するように移動させる側方照明位置移動手段を具備する。側方照明位置移動手段では、円形の容器2に合わせて、曲線的に移動するものであってもよい。
【0055】
尚、スラリー塗布欠陥検査装置10では全ての手段を具備しているが、これら検査用容器回転手段、カメラ位置移動手段、上方照明位置移動手段、及び側方照明位置移動手段は、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置における必須の発明構成要素ではなく、選択的に具備し得る手段である。例えば、検査用容器回転手段のみを付加的に備えた本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置を使用し、カメラ、上方照明、及び側方照明を固定し、容器のみを回転させることによって、スラリーの塗布欠陥を検査することが可能である。また、カメラと照明の替わりにレーザーラインセンサーを用いることでもよい。レーザーラインセンサーとしては市販ものでもよく、例えばキーエンスLJ-G030、080、200などが用いられる。具体的には、図12に示すように、レーザーラインセンサー60を容器2の底面21の上方に配設して、底面21に塗布されたスラリー31をレーザーで照射しスラリーの塗布欠陥を検出することができる。なお、レーザーラインセンサー60はポンプ3とともに移動させる。
【0056】
検査用容器回転手段は、容器2を固定したステージ4に回転モータを取り付け、ステージ4を回転させることによって実現することが出来る。容器2に、直接、回転モータを取り付けてもよい。容器2は、ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、0.1〜300rpm程度で回転させることが好ましい。
【0057】
カメラ位置移動手段、上方照明位置移動手段、及び側方照明位置移動手段は、例えばLMガイド(直線運動案内機器)を組み合わせたXY運動(2方向運動)案内機器に、カメラ6、上方照明7、及び側方照明8を、それぞれ取り付けることによって、実現することが出来る。カメラ6の位置、及び上方照明7の位置については、容器2を載せたステージ4をXY運動(2方向運動)案内機器に取り付け移動させることにより、相対的に移動させることでも実現することが出来る。但し、カメラ6及び上方照明7と、側方照明8との位置関係の調整をすることが望ましいため、カメラ6、上方照明7、及び側方照明8を、個別に移動させる手段を採用することが好ましい。
【0058】
上方照明7及び側方照明8は、使用するスラリーの性状、色状等にもよるが、最大照度が26〜60万ルックスであり、色温度が3000〜3100Kのものが採用される。又、2つ合わせた側方照明8の幅Wは、円形の容器2の直径Dの1/2以上であることが好ましい。少なくとも容器の1/4部分以上を照明するためである。例えば、ハニカム構造体の目封止の検査に使用する場合には、ハニカム構造体の直径が、多くの場合、概ね100〜400mmであるから、容器2の内径Dは110〜410mm程度になる。従って、側方照明8の幅Wは50〜200mm、又はそれ以上とすることが好ましい。
【0059】
次に、上記したスラリー塗布装置1、及びスラリー塗布欠陥検査装置10を用いた場合を例にとって、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法について説明し、これを通じて、本発明に係るスラリー塗布方法、及びスラリー塗布欠陥検査方法について説明することとする。尚、目封止にかかる工程以外については、併せて特許文献1を参照されたい。
【0060】
図8及び図9は、製造対象である目封止ハニカム構造体の一例を示す図であり、図8は斜視図であり、図9は、図8におけるAA断面を示す断面図である。図8及び図9に示される目封止ハニカム構造体81は、概ね円筒形を呈する外壁54の内側に、多孔質の隔壁52によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセル53を有するハニカム構造体において、その一方の端面における一部のセル53の一方の端部に目封止部56aを形成してセル53を封止し、他方の端面における残余のセル53の一方の端部に目封止部56bを形成してセル53を封止したものである。
【0061】
このような目封止ハニカム構造体81を得るためには、先ず、目封止部を形成していない他は目封止ハニカム構造体81と同じ形態を有するハニカム成形体(未焼成体)を作製し、乾燥させ、所定の長さになるように両端面を切断加工する。
【0062】
図5は、両端面を切断し揃えた後のハニカム成形体の一例を示す斜視図である。図5に示されるハニカム成形体51は、概ね円筒形を呈する外壁54の内側に、隔壁52によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセル53を有するものである。ハニカム成形体51を得るためには、成形原料として多孔質原料を用い、これに、水、バインダ、添加物を混練して坏土を得て、その坏土をハニカム状に成形すればよい。
【0063】
多孔質原料としては、コージェライト原料、アルミナ、ムライト、リチウム・アルミニウム・シリケート、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素等のセラミック材料を例示出来る。これらの1種又は複合物として利用することが可能である。坏土の成形方法については、例えば、押出成形法、射出成形法、プレス成形法、坏土を円柱状に成形後貫通孔を形成する方法等により行うことが出来る。押出成形を採用する場合には、真空土練機、ラム式押出成形機等を用いて実現することが可能である。乾燥手段は、限定されないが、マイクロ波乾燥と熱風乾燥、又は、誘電乾燥と熱風乾燥とを組み合わせた方法で乾燥することが好ましい。
【0064】
そして、得られたハニカム成形体51の両端面における所定のセル53を、目封止材料で封止して目封止部56a,56bを形成し、その目封止部56a,56bを構成する目封止材料を乾燥させた後に、全体を焼成すれば、目封止ハニカム構造体81(図8を参照)が得られる。
【0065】
セル53を目封止する目封止材料としては、焼成収縮率が、ハニカム成形体51の焼成収縮率に対して所定の割合となるように調製した、セラミック材料を主成分とするスラリーが用いることが好ましい。この目封止材料を構成する原料は、ハニカム成形体51の成形原料と必ずしも同一の材料である必要はないが、焼成収縮率を一致させるためには、同一の材料であることが望ましい。スラリーは、セラミック材料に、水、バインダ、分散剤等を入れて混練し、概ね200dPa・sとすることで得られる。
【0066】
ハニカム成形体51の所定のセル53の目封止は、ハニカム成形体の端面に開いた複数のセル53のうち目封止しないセル53のみを、フィルムの貼り付けによってマスクし、上記スラリー(目封止材料)を使用した本発明に係るスラリー塗布方法に基づき、底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、塗布されたスラリーの塗布欠陥を本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法によって検査し、容器に塗布されたスラリーに塗布欠陥のないことを確認した上で、そのスラリーの中へ目封止しないセル53のみをマスクしたハニカム成形体51の端面を浸漬する(図7を参照)ことにより、行うことが出来る。尚、図7は、ハニカム成形体51の端面を、容器2に塗布されたスラリー31に浸漬する様子を示す断面図である。
【0067】
フィルムの貼り付けによるマスクは、例えばポリエステルからなるフィルムを採用し、その片面に粘着剤を塗布してハニカム成形体51の端面に貼着し、例えばレーザー装置にて、フィルムを貼着したハニカム成形体51の端面の、目封止しないセル53に相当する部分を穿孔することで、行われる。図6は、マスクを施したハニカム成形体51の端面を表す平面図である。図6に示される例では、フィルムの貼り付けによるマスキング部55は、千鳥状に配設されている。
【0068】
容器の底面へのスラリーの塗布は、図1及び図2に示されるスラリー塗布装置1を使用し、吐出口移動手段によってポンプ3の吐出口の位置を容器2の底面21の中心22から外周23までの間で相対的に移動させ、且つ、塗布用容器回転手段によって底面21の中心22を回転軸として容器2を回転させながら、容器2の底面21にスラリー31を吐出することで、行われる。この際に、吐出されたスラリー31の、容器2の底面21上の複数の位置における厚さを、変位計移動手段で移動する変位計5で測定し、測定された各位置でのスラリー31の厚さに基づいて、ポンプ3のスラリー31の吐出量、容器2の回転速度、及びポンプ3の吐出口の移動速度のうち何れか1以上を調節し、容器2の底面21に、スラリー31を塗布することが好ましい。スラリー31の厚さは、好ましくは0.5〜5mm程度である。
【0069】
尚、スラリー塗布装置1は、変位計移動手段及び吐出口移動手段を備えるものであるが、本発明に係るスラリー塗布装置は、これらを必須の構成要素とするものではなく、これらを具備しないスラリー塗布装置によっても(又は、スラリー塗布装置1において変位計移動手段及び吐出口移動手段を使用しなくても)、均一な厚さになるように、スラリーを塗布することが可能である。図11(a)(b)は、変位計移動手段及び吐出口移動手段を備えないスラリー塗布装置による(又は、変位計移動手段及び吐出口移動手段を使用しない場合の)スラリーの塗布の様子を表す図であり、スラリー塗布装置の断面図である。図11(a)には、スラリーが吐出された直後の様子が表され、図11(b)には、スラリーが平坦になっていく様子が表されている。この場合には、先ず、ポンプ3の吐出口から、容器2の底面21の中心22を目標位置としてスラリー31を吐出する(図11(a)を参照)。次いで、容器2の底面21の中心22を回転軸として(図11(b)中の矢印S5で示されるように)容器2を回転させ、遠心力によってスラリー31を層状に拡げる(図11(b)を参照)。このとき、例えば2台の変位計5a,5bで、異なる二の位置におけるスラリー31の厚さを測定する。そして、必要に応じ、異なる二の位置で測定されたスラリー31の厚さに基づいて、ポンプ3のスラリー31の吐出量、及び容器2の回転速度のうち何れか1以上を調節し、容器2の底面21にスラリー31を塗布する。
【0070】
スラリー塗布欠陥の検査は、図3及び図4に示されるスラリー塗布欠陥検査装置10を使用し、容器2の底面21に塗布されたスラリー31に、容器2の底面21の上方及び側方から照明をあてて、容器2の底面21の上方からカメラ6で撮られた写像によって、未塗布部24や気泡25の存在の有無を確認することで行われる。上方照明7によれば、スラリー31と容器2とのそれぞれの材料の色差を、画像処理によって容易に検出することが出来、スラリー31の未塗布部24(図4を参照)を漏れなく検知することが可能である。一方、気泡25は、上方照明7では影が生じ難く、上方照明7では必ずしも検知することは出来ない。しかし、側方照明8によれば、スラリー31中の気泡25の影を、画像処理によって容易に検出することが可能である。ここで、留意すべきは、側方照明8は、気泡の影を表すべく、スラリー31の側方から照明する手段であるが、それが故に、側方照明8に近い気泡が、容器2の外周23が障害になって、側方照明8で照らされず、検知漏れとなるおそれがあることである。図10(a)(b)は、その様子を示す図であり、スラリー塗布欠陥検査装置の断面図である。図10(a)には、側方照明8に近い気泡25aが容器2の外周23が障害になって側方照明8で照らされない場合の様子が示されている。このような問題を解決するには、検査に際し、検査用容器回転手段によって、容器2を回転させればよい。容器2を回転させると、側方照明8の近くに存在した気泡が、側方照明8から遠くに移動し、側方照明8で照らされるようになる。図10(b)には、側方照明8から遠くに移動した気泡25aが側方照明8で照らされる場合の様子が示されている。尚、具体的な側方照明8による気泡の検査手段としては、例えば図3に示される配置で側方照明8を固定し(移動させず)、主に容器2の底面21の全面積の1/4を照らして検査し、検査を終えたら、容器2を1/4回転させて止め、次の容器2の底面21の全面積の1/4を検査し、更にこれを繰り返して、容器を一周回転させたら終了とする検査方法が挙げられる。一周する間に、気泡は、必ず何れかの場所で側方照明8で照らされて影を作り、検査漏れとなることはない。
【0071】
目封止の後の乾燥は、ハニカム成形体51の目封止を行ってスラリーが充填された側の端面に、例えば、熱風送風機、ホットプレート、遠赤外線乾燥機等を用いて、例えば120℃の熱風をあてて、例えば約5分乾燥することで行うことが出来る。
【0072】
目封止を施したハニカム成形体51の焼成は、例えば、単窯又はトンネル等の連続炉を用いて、適切に昇温速度と冷却速度を選択して、行うことが出来る。以上のようにして、図8及び図9に示されるような目封止ハニカム構造体81を、製造することが可能である。
【0073】
以下、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の具体的な実施結果を説明する。
【0074】
例えば、原料として、前述のタルク、カオリン、アルミナを主原料とするコージェライト化原料に、水とバインダーを調合し、分散混合、混練した成形原料を、土練機により円柱状に押出して、それを押出し成形機により押出し成形してハニカム成形体を得る。こうして得られた成形体を用いてハニカム構造体を製造する場合には、得られた成形体を乾燥後に所定長さに切断して乾燥体を得、この乾燥体両端面のセル群を交互に目封止した後に焼成して焼成体を得る。次に、この得られた焼成体の外周壁及び最外周から約1〜3セル分の隔壁を研削除去した後、セラミックコート材を外周に塗布して外周壁を形成することによってコージェライト質のハニカム構造体を得ることができる。このような方法によって、例えば、セルの断面形状が四角形、隔壁厚さが0.3mm、基準セル密度が300cpsi(46.5個/cm2)、外周コート後のハニカム構造体の外形が円柱状(外径:191mm、長さ:203mm)、目封止深さ10mmのハニカム構造体を製造することができた。
【0075】
従来の目封止方法では目封止深さが10±5mmの精度であったが、本方法によって、10±2mmの精度が得られた。容器を回転することでスラリーが容器外側方向へ引き延ばされるが、従来の方法では十分に引き延ばしきれないうちに回転が完了してしまうと容器の中央部でスラリー厚さが外周部よりも厚くなるために目封止深さもハニカム構造体端面中央部で深くなる。一方、容器の回転が過剰の場合には、逆に容器の中央部でスラリー厚さが外周部よりも薄くなるために目封止深さもハニカム構造体端面中央部で浅くなる。
【0076】
同様にして、セルの断面形状が四角形、隔壁厚さが0.3mm、基準セル密度が200cpsi(31個/cm2)、外周コート後ハニカム構造体の外形が円柱状(外径:229mm、長さ:305mm)のハニカム構造体、外周コート後ハニカム構造体の外形が円柱状(外径:460mm、長さ:500mm)のもので前述と同等の目封止深さ精度を得ることができた。これらのハニカム構造体の特性は、気孔率45から70%、平均細孔径が5から30μm、40〜800℃での軸方向の平均熱膨張係数が約0.1から1.0×10−6/℃であった。
【0077】
また、同じ原料を用いて、セルの断面形状が八角形と四角形の組合わせ、隔壁厚さが0.41mm、基準セル密度が300cpsi(46.5個/cm2)となる上述の外径191mmから460mmの寸法を有するハニカム構造体も製造した。更には、外周加工されていない一体成形の外形が円柱状(外径:144mm、長さ:152mm)、目封止深さ3mmのハニカム構造体を製造することができた。従来の目封止方法では目封止深さが3±2mmの精度であったが、本方法によって、3±1mmの精度が得られた。これにより、目封止深さを更に浅く1〜2mmにまですることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るスラリー塗布装置、及び本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化するフィルタや触媒等として用いられる目封止ハニカム構造体を製造する手段として好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係るスラリー塗布装置の一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るスラリー塗布装置の一の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の一の実施形態を示す上面図である。
【図4】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の一の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、ハニカム成形体の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、ハニカム成形体の端面を表す平面図である。
【図7】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、ハニカム成形体の端面を、容器に塗布されたスラリーに浸漬する様子を示す断面図である。
【図8】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、目封止ハニカム構造体の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、図8におけるAA断面を示す断面図である。
【図10】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の断面図であり、(a)は側方照明に近い気泡が側方照明で照らされない場合の様子を示す図であり、(b)は側方照明から遠くに移動した気泡が側方照明で照らされる場合の様子を示す図である。
【図11】本発明に係るスラリー塗布方法の一の実施形態を説明するためのスラリー塗布装置の断面図であり、(a)はスラリーが吐出された直後の様子を表す図であり、(b)はスラリーが平坦になっていく様子を表す図である。
【図12】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 スラリー塗布装置
2 容器
3 ポンプ
4 ステージ
5,5a,5b 変位計
6 カメラ
7 上方照明
8 側方照明
10 スラリー塗布欠陥検査装置
21 (容器の)底面
22 (容器の底面の)中心
23 (容器の)外周
24 未塗布部
25,25a 気泡
31 スラリー
51 ハニカム成形体
52 隔壁
53 セル
54 外壁
60 レーザーラインセンサー
81 目封止ハニカム構造体
【技術分野】
【0001】
本発明は、底面が平坦な容器に所望の厚さで気泡を生じさせることなく、スラリーを塗布することが出来る装置と、塗布されたスラリーにおける、気泡や未塗布等の塗布欠陥の有無を検査する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等から排出される排気ガスの中にはスート(カーボン黒煙)等からなるパティキュレートマター(微粒子状物質、PM)が多量に含まれている。このPMが大気中に放出されると環境汚染を引き起こすため、ディーゼルエンジン等の排気系統には、PMを捕集するためのフィルタが搭載される。そして、このフィルタとして、多くの場合、目封止ハニカム構造体が採用される(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
目封止ハニカム構造体は、多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム構造体において、その一方の端面における一部のセルの一方の端部を封止し、他方の端面における残余のセルの一方の端部を封止したものである。排気ガス(被処理ガス)は、この目封止ハニカム構造体の、入口側の端面において封止されておらず出口側の端面において封止されたセルに流入し、多孔質の隔壁を通り、入口側の端面において封止され出口側の端面において封止されていないセルに移動し、排出される。そして、この際に、隔壁が濾過層となって排気ガスの中のPMが捕捉される。
【0004】
【特許文献1】特開2001−269585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような目封止ハニカム構造体においては、従来、目封止部(セル封止部分)にかかり以下のような問題を抱えていた。問題の1つは、目封止部が存在することによる、フィルタとしての圧損の増大である。特に目封止部がセルの長さ方向に厚いと、それだけフィルタとしての濾過面積が減るから、同じ量の被処理ガスを通じると、それだけフィルタとしての圧損が上昇してしまうのである。
【0006】
目封止部にかかる他の問題は、製造過程において、目封止部に意図しない小さな孔や亀裂が生じたり、更に小さな気泡が貫通して存在することによる、歩留まりの低下である。このような目封止ハニカム構造体は、排気ガスが多孔質の隔壁を通らずリークし、フィルタとしての濾過性能の低下を招来するため、出荷することは出来ず、出荷前に煙を充填してリーク試験を行い、リークがみられるものは製品から排除される。
【0007】
この歩留まり低下の問題は、上記1つ目の問題とも関連する。即ち、目封止ハニカム構造体の2つの端面において、目封止された(製造時に目封止材料が充填された)部分とそうでない部分とでは、焼成してハニカム構造体となる焼成前のハニカム成形体において、焼成時の収縮率が異なる結果、亀裂が生じると考えられるからである。特に目封止部がセルの長さ方向に厚いと、それだけハニカム成形体における目封止材料が充填された部分(目封止された部分)と目封止材料が充填されていない部分(目封止されていない部分)との収縮率の差が大きくなり、亀裂も生じ易くなると思われる。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、圧損の小さい目封止ハニカム構造体を、歩留まりよく製造する手段を提供することを、最終的な課題とする。検討がなされた結果、ハニカム構造体に目封止部を形成する過程は、例えば、目封止しないセルにマスクを施したハニカム構造体の端面を、容器中のセラミックスラリーに浸漬し、目封止するセルのみにセラミックスラリーを充填し、乾燥・焼成することで実現することが出来るから、上記課題を解決するためには、ハニカム構造体に目封止部を形成する過程において、目封止材料として使用するセラミックスラリーの厚さの管理、気泡残の検査が重要であることわかった。そこで、本発明は、ハニカム構造体に目封止部を形成する過程において、容器の中のセラミックスラリーの厚さを均一に管理するとともに、セラミックスラリーに気泡が混在しないように検査する手段を提供することを、直接的な目的とする。研究が重ねられた結果、以下に示す手段によって、上記目的が達成され、更には最終的な課題が解決されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、先ず、本発明によれば、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面にスラリーを吐出するスラリー吐出手段と、容器を回転させる塗布用容器回転手段と、スラリー吐出手段から吐出されたスラリーの厚さを測定する変位計と、を具備するスラリー塗布装置が提供される。
【0010】
スラリー吐出手段として、例えば、スラリーを、一定量ずつ脈動することなく、吐出することが可能な、定量無脈動のポンプを採用することが出来る。
【0011】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、変位計を移動させる変位計移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0012】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、変位計で測定されたスラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、スラリー吐出手段のスラリーの吐出量、及び塗布用容器回転手段の回転速度のうち何れか1以上を調節する制御手段Aを、更に具備することが好ましい。
【0013】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、スラリー吐出手段の吐出口の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる吐出口移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0014】
底面の中心とは、底面を構成する平面図形の中心を意味する。上記の吐出口移動手段は、相対的に移動させる手段であり、容器を移動させることにより、スラリー吐出手段の吐出口の位置を容器の底面の中心から外周まで移動させてもよいが、本発明に係るスラリー塗布装置においては、吐出口移動手段が、スラリー吐出手段を移動させる手段であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るスラリー塗布装置は、吐出口移動手段を具備する場合には、変位計で測定されたスラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、吐出口移動手段の移動速度を調節する制御手段Bを、更に具備することが好ましい。
【0016】
上記制御手段Aは、吐出口移動手段を具備する場合には、この制御手段Bを兼ねるものであってよい。本明細書において、単に制御手段というときは、制御手段Aと制御手段Bの両方を指す。
【0017】
本発明に係るスラリー塗布装置においては、変位計が、レーザー変位計であることが好ましい。分解能や幅広い材質の対象を測定し得るからである。変位計は、非接触式のものであれば採用することが可能であり、他に、例えば渦電流式、超音波式、LED式等の変位計が使用出来る。
【0018】
次に、本発明によれば、底面が平坦な皿状の容器の底面に、スラリーを塗布する方法であって、スラリー吐出手段を用い、容器を回転させながら、容器の底面にスラリーを吐出するとともに、吐出されたスラリーの厚さを測定し、測定したスラリーの厚さに基づいて、スラリーの吐出量及び容器の回転速度の何れか1以上を調節するスラリー塗布方法が提供される。
【0019】
本発明に係るスラリー塗布方法においては、スラリー吐出手段の吐出口の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるとともに、測定したスラリーの厚さに基づいて、吐出口の移動速度を調節することが好ましい。
【0020】
次に、本発明によれば、多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して上記した何れかのスラリー塗布方法によって底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、前記容器に塗布されたスラリーの中へ前記目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第一の製造方法という)が提供される。
【0021】
次に、本発明によれば、底面にスラリーが塗布される、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを撮像するカメラと、同じく容器の底面の上方に位置して、底面に塗布されたスラリーを上方から照らす上方照明と、を具備するスラリー塗布欠陥検査装置が提供される。
【0022】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、カメラの位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるカメラ位置移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0023】
カメラ位置移動手段は、カメラを移動させることによって、又は容器を移動させることによって、カメラの位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させることが出来るが、カメラを移動させることが好ましい。
【0024】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、上方照明の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる上方照明位置移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0025】
上方照明位置移動手段は、上方照明を移動させることによって、又は容器を移動させることによって、上方照明の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させることが出来るが、上方照明を移動させることが好ましい。また、カメラと照明の替わりにレーザーラインセンサーを用いることでもよい。
【0026】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、容器の底面の側方に位置して、底面に塗布されたスラリーを側方から照らす側方照明を、更に具備することが好ましい。
【0027】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、側方照明を具備する場合には、側方照明の位置を容器の外周(側面)に沿って相対的に移動させる側方照明位置移動手段を、更に具備することが好ましい。
【0028】
側方照明位置移動手段は、側方照明を移動させることによって、又は容器を移動させることによって、側方照明の位置を容器の外周(側面)に沿って相対的に移動させることが出来るが、側方照明を移動させることが好ましい。
【0029】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置においては、底面の中心を回転軸として容器を回転させる検査用容器回転手段を、更に具備することが好ましい。また、容器に振動を加える加振装置を備えることがより好ましい。容器を加振することにより容器内に吐出されたスラリーを容器内で平準化し易くなる。
【0030】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の使用に際しては、カメラを移動させる場合又は移動させない場合、あるいは、側方照明を移動させる場合又は移動させない場合、これらの何れの場合にも、この検査用容器回転手段によって容器を回転させることが好ましい。
【0031】
次に、本発明によれば、底面が平坦な皿状の容器の底面に塗布されたスラリーの欠陥を検査する方法であって、容器の底面に塗布されたスラリーに、容器の底面の上方及び側方から照明をあてて、容器の底面の上方からカメラで撮られた写像によって、塗布欠陥を検査するスラリー塗布欠陥検査方法が提供される。
【0032】
次に、本発明によれば、多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、容器の底面に塗布されたスラリーの塗布欠陥を上記したスラリー塗布欠陥検査方法によって検査し、容器に塗布されたスラリーに塗布欠陥のない場合に、そのスラリーの中へ目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第二の製造方法という)が提供される。尚、以下、単に本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法というときは、本発明に係る第一の製造方法及び第二の製造方法の両方を指す。
【0033】
尚、本明細書において、容器は皿状と表現されるが、(容器の)底面が平坦であり、且つ、ハニカム成形体の外壁(周面)部分にシールが必要となるので、(容器の)外周部分が立っており、この態様から、お盆のような形状ということが出来る。容器の平面形状(底面を構成する平面図形の形状)は、ワークに合わせて決定することが出来、円形、楕円形等が例示される。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係るスラリー塗布装置は、スラリー吐出手段、塗布用容器回転手段、及び変位計を具備しており、容器の底面の中心にスラリーを吐出し、その容器の底面の中心を回転軸として容器を回転させて、遠心力によってスラリーを層状に拡げ、変位計で層状になったスラリーの厚さを測定して、検査し確認することが出来るので、均一な厚さでうねりがなく平坦な層になるように、スラリーを塗布することが可能である。本発明に係るスラリー塗布方法によっても、同様の効果が得られる。尚、変位計は、複数台備えるか、又は、1台の変位計を移動させスラリーの厚さを走査させてもよい。本発明に係るスラリー塗布装置は、その好ましい態様により、変位計移動手段を具備するので、1台の変位計で、層状に拡がったスラリーのあらゆる位置で厚さを測定することが可能なものになっている。
【0035】
本発明に係るスラリー塗布装置は、その好ましい態様により、制御手段Aを更に具備しているので、変位計で測定されたスラリーの厚さに基づいて、ポンプ(スラリー吐出手段)のスラリーの吐出量、及び塗布用容器回転手段の回転速度のうち何れか1以上を調節しながら、スラリーを塗布することが出来る。例えば、スラリーの粘度に合わせて、スラリーを平坦にするのに最適な遠心力が生じるような速度で、容器を回転させることが可能になる。従って、本発明に係るスラリー塗布装置の、均一な厚さでうねりがなく平坦な層になるようにスラリーを塗布することが可能である、という上記効果を、より確実に、より高いレベルで発現させることが可能である。
【0036】
本発明に係るスラリー塗布装置は、その好ましい態様において、吐出口移動手段を更に具備しているので、スラリー吐出手段として例えば定量無脈動のポンプを用い、そのポンプの吐出口の位置を容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させ、例えば底面の中心を回転軸として容器を回転させながら、容器の底面にスラリーを吐出することが出来る。加えて、制御手段Bを具備する場合には、吐出口移動手段の移動速度を調節しながら、スラリーを吐出することが出来る。従って、本発明に係るスラリー塗布装置の、均一な厚さでうねりがなく平坦な層になるようにスラリーを塗布することが可能である、という上記効果を、より確実に、より高いレベルで発現させることが可能である。
【0037】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、スラリーが塗布される容器の底面の上方に位置して、スラリーを撮像するカメラと、スラリーを上方から照らす上方照明と、を具備しているので、上方照明によるスラリー(材料)と容器(材料)との色差を、画像処理によって容易に検出することが可能であり、スラリーの未塗布部の存在を漏れなく検知することが出来る。本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法によっても、同様の効果が得られる。
【0038】
本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、その好ましい態様により、スラリーが塗布される容器の側方に位置して、スラリーを側方から照らす側方照明を具備しているので、側方照明によるスラリー(材料)中の気泡の影を、画像処理によって容易に検出することが出来、スラリー中に存在する気泡を漏れなく検知することが可能である。
【0039】
本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法は、本発明に係るスラリー塗布方法及び/又は本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法を用いて、セラミック材料からなるスラリーでハニカム構造体のセルを目封止するので、目封止部を、セルの長さ方向に、均一な厚さで、より薄くすることが可能である。従って、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法で得られる目封止ハニカム構造体は、圧損がより小さいものとなり得る。
【0040】
本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第二の製造方法)は、目封止部に気泡が混在しないように目封止ハニカム構造体を作製することが出来るので、歩留まりが向上し、生産性が高められる。又、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法によって、欠陥のあるスラリーを使用しないで済むため、ハニカム構造体を無駄に廃棄することがなくなる。この観点から、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法(本発明に係る第二の製造方法)は、歩留まり及び生産性の向上に寄与する手段であるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明について、適宜、図面を参酌しながら、実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではない。本発明の要旨を損なわない範囲で、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良、置換を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は、以下に記述される手段である。
【0042】
先ず、本発明に係るスラリー塗布装置について説明する。本発明に係るスラリー塗布装置は、平坦底の容器に、所望の厚さで、気泡を生じることなくスラリーを塗布することが可能な装置である。図1及び図2は、本発明に係るスラリー塗布装置の一の実施形態を示す図であり、図1は斜視図であり、図2は断面図である。
【0043】
図1及び図2に示されるスラリー塗布装置1は、底面21が平坦な皿状の容器2と、その容器2の底面21にスラリー31を吐出するスラリー吐出手段である定量無脈動のポンプ3と、(図示しない)吐出口移動手段と、塗布用容器回転手段と、を具備する。
【0044】
容器2は、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、アルミニウム等の金属材料で形成されたものであることが好ましい。照明をあてることによってスラリー31との区別が明確になるからである。
【0045】
スラリー吐出手段であるポンプ3としては、モーノポンプが好適に使用される。モーノポンプは、回転容積型の一軸偏心ネジポンプであり、ローターとステーターを有し、その間にシールされた連続するらせん状の空間を形成し、ローターを回転させ、ステーター内を回転しながら往復運動をさせることにより、スラリーを、脈動なく、定量に、吐出することが出来るポンプである。これは、既に吐出したスラリーの塗布状態を良好に保持しつつ、新たにスラリーを吐出することが可能である点において、スラリー塗布装置1に好適なポンプである。
【0046】
モーノポンプの仕様は、扱うスラリーの性状に応じて決定される。ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、スラリー31の粘度が50〜1000(poise)程度になり、スラリー31の比重が1.5〜2.0g/cm3程度になる。この場合、モーノポンプは、吐出速度が0.5〜60cc/sec.のものを使用することが好ましい。
【0047】
塗布用容器回転手段は、底面21の中心22を回転軸として、容器2を、例えば図1中の矢印S5の方向に、回転させる手段である。塗布用容器回転手段は、容器2を固定したステージ4に(図示しない)回転モータを取り付け、ステージ4を回転させることによって実現することが出来る。容器2に、直接、回転モータを取り付けてもよい。容器は、ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、0.1〜300rpm程度で回転させることが好ましい。また、図示はしないが、容器2に振動を加える加振装置を設けることが好ましい。容器2を加振することにより、容器2内に吐出されたスラリーを容器2内で平準化し易くなるからである。
【0048】
吐出口移動手段は、そのポンプ3の吐出口の位置を、例えば図1及び図2中の矢印S1の方向に向けて、即ち容器2の底面21の中心22から外周23まで、移動させる手段である。吐出口移動手段は、例えば、(図示しない)LMガイド(直線運動案内機器)を組み合わせたXY運動(2方向運動)案内機器に、ポンプ3を取り付けることによって、実現することが出来る。ポンプ3は固定し、ステージ4に、回転モータの他に、XY運動(2方向運動)案内機器を設けることによって、ステージ4を回転させつつ直線運動させ、ポンプ3の吐出口の位置を容器2の底面21の中心22から外周23まで移動させるようにしてもよい。吐出口移動手段の移動速度は限定されるものではないが、ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、1〜50mm/sec.程度の速度でポンプ3の吐出口の位置を移動させることが好ましい。
【0049】
スラリー塗布装置1は、容器2の底面21にポンプ3で吐出されたスラリー31の厚さを測定する変位計5を備えている。この変位計5としては、例えばレーザー変位計を採用することが出来る。変位計5の具体的な仕様としては、光源が赤色半導体レーザ(波長650nm、出力4.8mW)であり、分解能が0.2μm、測定範囲が80±15mmのものを、例示することが出来る。
【0050】
スラリー塗布装置1では、吐出口移動手段によって容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動するポンプ3の吐出口の位置に合わせて、変位計5が、例えば図1及び図2中の矢印S2の方向に向けて、(図示しない)変位計移動手段によって移動する。変位計移動手段は、例えば、(図示しない)LMガイド(直線運動案内機器)を組み合わせたXY運動(2方向運動)案内機器に、変位計5を取り付けることによって、実現することが出来る。
【0051】
スラリー塗布装置1には、(図示しない)制御手段が備わり、変位計5で測定されたスラリー31の厚さを入力し、そのスラリー31の厚さのデータに基づいて、ポンプ3のスラリー31の吐出量、塗布用容器回転手段の回転速度(ステージ4の回転速度)、及び吐出口移動手段の移動速度のうち何れか1以上を調節することが出来る。この制御手段は、入出力機能を具備したシーケンサや産業用のコンピュータで構成することが出来る。
【0052】
次に、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置について説明する。本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、塗布されたスラリーにおける、気泡や未塗布等の塗布欠陥を精度よく検査することが出来る装置である。図3及び図4は、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の一の実施形態を示す図であり、図3は上面図(平面図)であり、図4は断面図である。
【0053】
図3及び図4に示されるスラリー塗布欠陥検査装置10は、底面21にスラリー31が塗布された、底面21が平坦な皿状の容器2と、その容器2の底面21の上方に位置して、底面21に塗布されたスラリー31を撮像するカメラ6と、同じく容器2の底面21の上方に位置して、底面21に塗布されたスラリー31を上方から照らす、カメラ6を挟むように配設された(例えば)リング型の上方照明7と、容器2の底面21の側方に位置して、底面21に塗布されたスラリー31を側方から照らす(例えば)2つの側方照明8と、を具備する。カメラ6としては、φ1mm程度の気泡25、又は1mm程度の未塗布部24を検知するために、例えば、カラーCCD方式で、200万画素以上の分解能を有するものが採用される。尚、図3においてはスラリー31は、省略され、描かれていない。又、気泡25は、その大部分がスラリー31の表面に存在し、球状に膨らんでいる。
【0054】
スラリー塗布欠陥検査装置10では、容器2の底面21の中心22を回転軸として、例えば図3中の矢印S7の方向に向けて、容器2を回転させる検査用容器回転手段を備えている。又、カメラ6の位置を、例えば図3中の矢印S4の方向に向けて、容器2の底面21の中心22から外周23まで移動させるカメラ位置移動手段を備えている。更に、リング型の上方照明7の位置を、例えば図3中の矢印S6の方向に向けて、容器2の底面21の中心22から外周23まで移動させる上方照明位置移動手段を備えている。加えて、側方照明8の位置を、例えば図3中の矢印S3の方向に向けて、容器2の外周23に沿って直線的に周回するように移動させる側方照明位置移動手段を具備する。側方照明位置移動手段では、円形の容器2に合わせて、曲線的に移動するものであってもよい。
【0055】
尚、スラリー塗布欠陥検査装置10では全ての手段を具備しているが、これら検査用容器回転手段、カメラ位置移動手段、上方照明位置移動手段、及び側方照明位置移動手段は、本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置における必須の発明構成要素ではなく、選択的に具備し得る手段である。例えば、検査用容器回転手段のみを付加的に備えた本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置を使用し、カメラ、上方照明、及び側方照明を固定し、容器のみを回転させることによって、スラリーの塗布欠陥を検査することが可能である。また、カメラと照明の替わりにレーザーラインセンサーを用いることでもよい。レーザーラインセンサーとしては市販ものでもよく、例えばキーエンスLJ-G030、080、200などが用いられる。具体的には、図12に示すように、レーザーラインセンサー60を容器2の底面21の上方に配設して、底面21に塗布されたスラリー31をレーザーで照射しスラリーの塗布欠陥を検出することができる。なお、レーザーラインセンサー60はポンプ3とともに移動させる。
【0056】
検査用容器回転手段は、容器2を固定したステージ4に回転モータを取り付け、ステージ4を回転させることによって実現することが出来る。容器2に、直接、回転モータを取り付けてもよい。容器2は、ハニカム構造体の目封止を行うために、スラリー31としてセラミック材料を使用する場合には、0.1〜300rpm程度で回転させることが好ましい。
【0057】
カメラ位置移動手段、上方照明位置移動手段、及び側方照明位置移動手段は、例えばLMガイド(直線運動案内機器)を組み合わせたXY運動(2方向運動)案内機器に、カメラ6、上方照明7、及び側方照明8を、それぞれ取り付けることによって、実現することが出来る。カメラ6の位置、及び上方照明7の位置については、容器2を載せたステージ4をXY運動(2方向運動)案内機器に取り付け移動させることにより、相対的に移動させることでも実現することが出来る。但し、カメラ6及び上方照明7と、側方照明8との位置関係の調整をすることが望ましいため、カメラ6、上方照明7、及び側方照明8を、個別に移動させる手段を採用することが好ましい。
【0058】
上方照明7及び側方照明8は、使用するスラリーの性状、色状等にもよるが、最大照度が26〜60万ルックスであり、色温度が3000〜3100Kのものが採用される。又、2つ合わせた側方照明8の幅Wは、円形の容器2の直径Dの1/2以上であることが好ましい。少なくとも容器の1/4部分以上を照明するためである。例えば、ハニカム構造体の目封止の検査に使用する場合には、ハニカム構造体の直径が、多くの場合、概ね100〜400mmであるから、容器2の内径Dは110〜410mm程度になる。従って、側方照明8の幅Wは50〜200mm、又はそれ以上とすることが好ましい。
【0059】
次に、上記したスラリー塗布装置1、及びスラリー塗布欠陥検査装置10を用いた場合を例にとって、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法について説明し、これを通じて、本発明に係るスラリー塗布方法、及びスラリー塗布欠陥検査方法について説明することとする。尚、目封止にかかる工程以外については、併せて特許文献1を参照されたい。
【0060】
図8及び図9は、製造対象である目封止ハニカム構造体の一例を示す図であり、図8は斜視図であり、図9は、図8におけるAA断面を示す断面図である。図8及び図9に示される目封止ハニカム構造体81は、概ね円筒形を呈する外壁54の内側に、多孔質の隔壁52によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセル53を有するハニカム構造体において、その一方の端面における一部のセル53の一方の端部に目封止部56aを形成してセル53を封止し、他方の端面における残余のセル53の一方の端部に目封止部56bを形成してセル53を封止したものである。
【0061】
このような目封止ハニカム構造体81を得るためには、先ず、目封止部を形成していない他は目封止ハニカム構造体81と同じ形態を有するハニカム成形体(未焼成体)を作製し、乾燥させ、所定の長さになるように両端面を切断加工する。
【0062】
図5は、両端面を切断し揃えた後のハニカム成形体の一例を示す斜視図である。図5に示されるハニカム成形体51は、概ね円筒形を呈する外壁54の内側に、隔壁52によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセル53を有するものである。ハニカム成形体51を得るためには、成形原料として多孔質原料を用い、これに、水、バインダ、添加物を混練して坏土を得て、その坏土をハニカム状に成形すればよい。
【0063】
多孔質原料としては、コージェライト原料、アルミナ、ムライト、リチウム・アルミニウム・シリケート、チタン酸アルミニウム、チタニア、ジルコニア、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素等のセラミック材料を例示出来る。これらの1種又は複合物として利用することが可能である。坏土の成形方法については、例えば、押出成形法、射出成形法、プレス成形法、坏土を円柱状に成形後貫通孔を形成する方法等により行うことが出来る。押出成形を採用する場合には、真空土練機、ラム式押出成形機等を用いて実現することが可能である。乾燥手段は、限定されないが、マイクロ波乾燥と熱風乾燥、又は、誘電乾燥と熱風乾燥とを組み合わせた方法で乾燥することが好ましい。
【0064】
そして、得られたハニカム成形体51の両端面における所定のセル53を、目封止材料で封止して目封止部56a,56bを形成し、その目封止部56a,56bを構成する目封止材料を乾燥させた後に、全体を焼成すれば、目封止ハニカム構造体81(図8を参照)が得られる。
【0065】
セル53を目封止する目封止材料としては、焼成収縮率が、ハニカム成形体51の焼成収縮率に対して所定の割合となるように調製した、セラミック材料を主成分とするスラリーが用いることが好ましい。この目封止材料を構成する原料は、ハニカム成形体51の成形原料と必ずしも同一の材料である必要はないが、焼成収縮率を一致させるためには、同一の材料であることが望ましい。スラリーは、セラミック材料に、水、バインダ、分散剤等を入れて混練し、概ね200dPa・sとすることで得られる。
【0066】
ハニカム成形体51の所定のセル53の目封止は、ハニカム成形体の端面に開いた複数のセル53のうち目封止しないセル53のみを、フィルムの貼り付けによってマスクし、上記スラリー(目封止材料)を使用した本発明に係るスラリー塗布方法に基づき、底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、塗布されたスラリーの塗布欠陥を本発明に係るスラリー塗布欠陥検査方法によって検査し、容器に塗布されたスラリーに塗布欠陥のないことを確認した上で、そのスラリーの中へ目封止しないセル53のみをマスクしたハニカム成形体51の端面を浸漬する(図7を参照)ことにより、行うことが出来る。尚、図7は、ハニカム成形体51の端面を、容器2に塗布されたスラリー31に浸漬する様子を示す断面図である。
【0067】
フィルムの貼り付けによるマスクは、例えばポリエステルからなるフィルムを採用し、その片面に粘着剤を塗布してハニカム成形体51の端面に貼着し、例えばレーザー装置にて、フィルムを貼着したハニカム成形体51の端面の、目封止しないセル53に相当する部分を穿孔することで、行われる。図6は、マスクを施したハニカム成形体51の端面を表す平面図である。図6に示される例では、フィルムの貼り付けによるマスキング部55は、千鳥状に配設されている。
【0068】
容器の底面へのスラリーの塗布は、図1及び図2に示されるスラリー塗布装置1を使用し、吐出口移動手段によってポンプ3の吐出口の位置を容器2の底面21の中心22から外周23までの間で相対的に移動させ、且つ、塗布用容器回転手段によって底面21の中心22を回転軸として容器2を回転させながら、容器2の底面21にスラリー31を吐出することで、行われる。この際に、吐出されたスラリー31の、容器2の底面21上の複数の位置における厚さを、変位計移動手段で移動する変位計5で測定し、測定された各位置でのスラリー31の厚さに基づいて、ポンプ3のスラリー31の吐出量、容器2の回転速度、及びポンプ3の吐出口の移動速度のうち何れか1以上を調節し、容器2の底面21に、スラリー31を塗布することが好ましい。スラリー31の厚さは、好ましくは0.5〜5mm程度である。
【0069】
尚、スラリー塗布装置1は、変位計移動手段及び吐出口移動手段を備えるものであるが、本発明に係るスラリー塗布装置は、これらを必須の構成要素とするものではなく、これらを具備しないスラリー塗布装置によっても(又は、スラリー塗布装置1において変位計移動手段及び吐出口移動手段を使用しなくても)、均一な厚さになるように、スラリーを塗布することが可能である。図11(a)(b)は、変位計移動手段及び吐出口移動手段を備えないスラリー塗布装置による(又は、変位計移動手段及び吐出口移動手段を使用しない場合の)スラリーの塗布の様子を表す図であり、スラリー塗布装置の断面図である。図11(a)には、スラリーが吐出された直後の様子が表され、図11(b)には、スラリーが平坦になっていく様子が表されている。この場合には、先ず、ポンプ3の吐出口から、容器2の底面21の中心22を目標位置としてスラリー31を吐出する(図11(a)を参照)。次いで、容器2の底面21の中心22を回転軸として(図11(b)中の矢印S5で示されるように)容器2を回転させ、遠心力によってスラリー31を層状に拡げる(図11(b)を参照)。このとき、例えば2台の変位計5a,5bで、異なる二の位置におけるスラリー31の厚さを測定する。そして、必要に応じ、異なる二の位置で測定されたスラリー31の厚さに基づいて、ポンプ3のスラリー31の吐出量、及び容器2の回転速度のうち何れか1以上を調節し、容器2の底面21にスラリー31を塗布する。
【0070】
スラリー塗布欠陥の検査は、図3及び図4に示されるスラリー塗布欠陥検査装置10を使用し、容器2の底面21に塗布されたスラリー31に、容器2の底面21の上方及び側方から照明をあてて、容器2の底面21の上方からカメラ6で撮られた写像によって、未塗布部24や気泡25の存在の有無を確認することで行われる。上方照明7によれば、スラリー31と容器2とのそれぞれの材料の色差を、画像処理によって容易に検出することが出来、スラリー31の未塗布部24(図4を参照)を漏れなく検知することが可能である。一方、気泡25は、上方照明7では影が生じ難く、上方照明7では必ずしも検知することは出来ない。しかし、側方照明8によれば、スラリー31中の気泡25の影を、画像処理によって容易に検出することが可能である。ここで、留意すべきは、側方照明8は、気泡の影を表すべく、スラリー31の側方から照明する手段であるが、それが故に、側方照明8に近い気泡が、容器2の外周23が障害になって、側方照明8で照らされず、検知漏れとなるおそれがあることである。図10(a)(b)は、その様子を示す図であり、スラリー塗布欠陥検査装置の断面図である。図10(a)には、側方照明8に近い気泡25aが容器2の外周23が障害になって側方照明8で照らされない場合の様子が示されている。このような問題を解決するには、検査に際し、検査用容器回転手段によって、容器2を回転させればよい。容器2を回転させると、側方照明8の近くに存在した気泡が、側方照明8から遠くに移動し、側方照明8で照らされるようになる。図10(b)には、側方照明8から遠くに移動した気泡25aが側方照明8で照らされる場合の様子が示されている。尚、具体的な側方照明8による気泡の検査手段としては、例えば図3に示される配置で側方照明8を固定し(移動させず)、主に容器2の底面21の全面積の1/4を照らして検査し、検査を終えたら、容器2を1/4回転させて止め、次の容器2の底面21の全面積の1/4を検査し、更にこれを繰り返して、容器を一周回転させたら終了とする検査方法が挙げられる。一周する間に、気泡は、必ず何れかの場所で側方照明8で照らされて影を作り、検査漏れとなることはない。
【0071】
目封止の後の乾燥は、ハニカム成形体51の目封止を行ってスラリーが充填された側の端面に、例えば、熱風送風機、ホットプレート、遠赤外線乾燥機等を用いて、例えば120℃の熱風をあてて、例えば約5分乾燥することで行うことが出来る。
【0072】
目封止を施したハニカム成形体51の焼成は、例えば、単窯又はトンネル等の連続炉を用いて、適切に昇温速度と冷却速度を選択して、行うことが出来る。以上のようにして、図8及び図9に示されるような目封止ハニカム構造体81を、製造することが可能である。
【0073】
以下、本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の具体的な実施結果を説明する。
【0074】
例えば、原料として、前述のタルク、カオリン、アルミナを主原料とするコージェライト化原料に、水とバインダーを調合し、分散混合、混練した成形原料を、土練機により円柱状に押出して、それを押出し成形機により押出し成形してハニカム成形体を得る。こうして得られた成形体を用いてハニカム構造体を製造する場合には、得られた成形体を乾燥後に所定長さに切断して乾燥体を得、この乾燥体両端面のセル群を交互に目封止した後に焼成して焼成体を得る。次に、この得られた焼成体の外周壁及び最外周から約1〜3セル分の隔壁を研削除去した後、セラミックコート材を外周に塗布して外周壁を形成することによってコージェライト質のハニカム構造体を得ることができる。このような方法によって、例えば、セルの断面形状が四角形、隔壁厚さが0.3mm、基準セル密度が300cpsi(46.5個/cm2)、外周コート後のハニカム構造体の外形が円柱状(外径:191mm、長さ:203mm)、目封止深さ10mmのハニカム構造体を製造することができた。
【0075】
従来の目封止方法では目封止深さが10±5mmの精度であったが、本方法によって、10±2mmの精度が得られた。容器を回転することでスラリーが容器外側方向へ引き延ばされるが、従来の方法では十分に引き延ばしきれないうちに回転が完了してしまうと容器の中央部でスラリー厚さが外周部よりも厚くなるために目封止深さもハニカム構造体端面中央部で深くなる。一方、容器の回転が過剰の場合には、逆に容器の中央部でスラリー厚さが外周部よりも薄くなるために目封止深さもハニカム構造体端面中央部で浅くなる。
【0076】
同様にして、セルの断面形状が四角形、隔壁厚さが0.3mm、基準セル密度が200cpsi(31個/cm2)、外周コート後ハニカム構造体の外形が円柱状(外径:229mm、長さ:305mm)のハニカム構造体、外周コート後ハニカム構造体の外形が円柱状(外径:460mm、長さ:500mm)のもので前述と同等の目封止深さ精度を得ることができた。これらのハニカム構造体の特性は、気孔率45から70%、平均細孔径が5から30μm、40〜800℃での軸方向の平均熱膨張係数が約0.1から1.0×10−6/℃であった。
【0077】
また、同じ原料を用いて、セルの断面形状が八角形と四角形の組合わせ、隔壁厚さが0.41mm、基準セル密度が300cpsi(46.5個/cm2)となる上述の外径191mmから460mmの寸法を有するハニカム構造体も製造した。更には、外周加工されていない一体成形の外形が円柱状(外径:144mm、長さ:152mm)、目封止深さ3mmのハニカム構造体を製造することができた。従来の目封止方法では目封止深さが3±2mmの精度であったが、本方法によって、3±1mmの精度が得られた。これにより、目封止深さを更に浅く1〜2mmにまですることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るスラリー塗布装置、及び本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置は、ディーゼルエンジンから排出される排気ガスを浄化するフィルタや触媒等として用いられる目封止ハニカム構造体を製造する手段として好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係るスラリー塗布装置の一の実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るスラリー塗布装置の一の実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の一の実施形態を示す上面図である。
【図4】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の一の実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、ハニカム成形体の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、ハニカム成形体の端面を表す平面図である。
【図7】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、ハニカム成形体の端面を、容器に塗布されたスラリーに浸漬する様子を示す断面図である。
【図8】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、目封止ハニカム構造体の一例を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る目封止ハニカム構造体の製造方法の一の実施形態を示す図であり、図8におけるAA断面を示す断面図である。
【図10】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の断面図であり、(a)は側方照明に近い気泡が側方照明で照らされない場合の様子を示す図であり、(b)は側方照明から遠くに移動した気泡が側方照明で照らされる場合の様子を示す図である。
【図11】本発明に係るスラリー塗布方法の一の実施形態を説明するためのスラリー塗布装置の断面図であり、(a)はスラリーが吐出された直後の様子を表す図であり、(b)はスラリーが平坦になっていく様子を表す図である。
【図12】本発明に係るスラリー塗布欠陥検査装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 スラリー塗布装置
2 容器
3 ポンプ
4 ステージ
5,5a,5b 変位計
6 カメラ
7 上方照明
8 側方照明
10 スラリー塗布欠陥検査装置
21 (容器の)底面
22 (容器の底面の)中心
23 (容器の)外周
24 未塗布部
25,25a 気泡
31 スラリー
51 ハニカム成形体
52 隔壁
53 セル
54 外壁
60 レーザーラインセンサー
81 目封止ハニカム構造体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面にスラリーを吐出するスラリー吐出手段と、前記容器を回転させる塗布用容器回転手段と、前記スラリー吐出手段から吐出されたスラリーの厚さを測定する変位計と、を具備するスラリー塗布装置。
【請求項2】
前記変位計を移動させる変位計移動手段を、更に具備する請求項1に記載のスラリー塗布装置。
【請求項3】
前記変位計で測定された前記スラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、前記スラリー吐出手段のスラリーの吐出量、及び前記塗布用容器回転手段の回転速度のうち何れか1以上を調節する制御手段Aを、更に具備する請求項1又は2に記載のスラリー塗布装置。
【請求項4】
前記スラリー吐出手段の吐出口の位置を前記容器の前記底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる吐出口移動手段を、更に具備する請求項1〜3の何れか一項に記載のスラリー塗布装置。
【請求項5】
前記変位計で測定された前記スラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、前記吐出口移動手段の移動速度を調節する制御手段Bを、更に具備する請求項4に記載のスラリー塗布装置。
【請求項6】
前記変位計が、レーザー変位計である請求項1〜5の何れか一項に記載のスラリー塗布装置。
【請求項7】
底面が平坦な皿状の容器の底面に、スラリーを塗布する方法であって、
スラリー吐出手段を用い、前記容器を回転させながら、前記容器の底面にスラリーを吐出するとともに、吐出された前記スラリーの厚さを測定し、測定したスラリーの厚さに基づいて、前記スラリーの吐出量及び前記容器の回転速度の何れか1以上を調節するスラリー塗布方法。
【請求項8】
前記スラリー吐出手段の吐出口の位置を前記容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるとともに、前記測定したスラリーの厚さに基づいて、前記吐出口の移動速度を調節する請求項7に記載のスラリー塗布方法。
【請求項9】
多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して請求項7及び8に記載のスラリー塗布方法によって底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、前記容器に塗布されたスラリーの中へ前記目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
底面にスラリーが塗布される、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを撮像するカメラと、同じく前記容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを上方から照らす上方照明と、を具備するスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項11】
底面にスラリーが塗布される、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを撮像するレーザーラインセンサーと、を具備するスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項12】
前記カメラの位置を前記容器の前記底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるカメラ位置移動手段を、更に具備する請求項10に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項13】
前記上方照明の位置を前記容器の前記底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる上方照明位置移動手段を、更に具備する請求項10又は12に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項14】
前記容器の底面の側方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを側方から照らす側方照明を、更に具備する請求項10〜13の何れか一項に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項15】
前記側方照明の位置を前記容器の外周に沿って相対的に移動させる側方照明位置移動手段を、更に具備する請求項14に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項16】
前記底面の中心を回転軸として前記容器を回転させる検査用容器回転手段を、更に具備する請求項10〜15の何れか一項に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項17】
底面が平坦な皿状の容器の底面に塗布されたスラリーの欠陥を検査する方法であって、
前記容器の底面に塗布されたスラリーに、前記容器の底面の上方及び側方から照明をあてて、前記容器の底面の上方からカメラで撮られた写像によって、塗布欠陥を検査するスラリー塗布欠陥検査方法。
【請求項18】
多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、前記容器の底面に塗布されたスラリーの塗布欠陥を請求項17に記載のスラリー塗布欠陥検査方法によって検査し、前記容器に塗布されたスラリーに塗布欠陥のない場合に、そのスラリーの中へ前記目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項1】
底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面にスラリーを吐出するスラリー吐出手段と、前記容器を回転させる塗布用容器回転手段と、前記スラリー吐出手段から吐出されたスラリーの厚さを測定する変位計と、を具備するスラリー塗布装置。
【請求項2】
前記変位計を移動させる変位計移動手段を、更に具備する請求項1に記載のスラリー塗布装置。
【請求項3】
前記変位計で測定された前記スラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、前記スラリー吐出手段のスラリーの吐出量、及び前記塗布用容器回転手段の回転速度のうち何れか1以上を調節する制御手段Aを、更に具備する請求項1又は2に記載のスラリー塗布装置。
【請求項4】
前記スラリー吐出手段の吐出口の位置を前記容器の前記底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる吐出口移動手段を、更に具備する請求項1〜3の何れか一項に記載のスラリー塗布装置。
【請求項5】
前記変位計で測定された前記スラリーの厚さを入力するとともに、そのスラリーの厚さのデータに基づいて、前記吐出口移動手段の移動速度を調節する制御手段Bを、更に具備する請求項4に記載のスラリー塗布装置。
【請求項6】
前記変位計が、レーザー変位計である請求項1〜5の何れか一項に記載のスラリー塗布装置。
【請求項7】
底面が平坦な皿状の容器の底面に、スラリーを塗布する方法であって、
スラリー吐出手段を用い、前記容器を回転させながら、前記容器の底面にスラリーを吐出するとともに、吐出された前記スラリーの厚さを測定し、測定したスラリーの厚さに基づいて、前記スラリーの吐出量及び前記容器の回転速度の何れか1以上を調節するスラリー塗布方法。
【請求項8】
前記スラリー吐出手段の吐出口の位置を前記容器の底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるとともに、前記測定したスラリーの厚さに基づいて、前記吐出口の移動速度を調節する請求項7に記載のスラリー塗布方法。
【請求項9】
多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して請求項7及び8に記載のスラリー塗布方法によって底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、前記容器に塗布されたスラリーの中へ前記目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
底面にスラリーが塗布される、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを撮像するカメラと、同じく前記容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを上方から照らす上方照明と、を具備するスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項11】
底面にスラリーが塗布される、底面が平坦な皿状の容器と、その容器の底面の上方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを撮像するレーザーラインセンサーと、を具備するスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項12】
前記カメラの位置を前記容器の前記底面の中心から外周までの間で相対的に移動させるカメラ位置移動手段を、更に具備する請求項10に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項13】
前記上方照明の位置を前記容器の前記底面の中心から外周までの間で相対的に移動させる上方照明位置移動手段を、更に具備する請求項10又は12に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項14】
前記容器の底面の側方に位置して、前記底面に塗布されたスラリーを側方から照らす側方照明を、更に具備する請求項10〜13の何れか一項に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項15】
前記側方照明の位置を前記容器の外周に沿って相対的に移動させる側方照明位置移動手段を、更に具備する請求項14に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項16】
前記底面の中心を回転軸として前記容器を回転させる検査用容器回転手段を、更に具備する請求項10〜15の何れか一項に記載のスラリー塗布欠陥検査装置。
【請求項17】
底面が平坦な皿状の容器の底面に塗布されたスラリーの欠陥を検査する方法であって、
前記容器の底面に塗布されたスラリーに、前記容器の底面の上方及び側方から照明をあてて、前記容器の底面の上方からカメラで撮られた写像によって、塗布欠陥を検査するスラリー塗布欠陥検査方法。
【請求項18】
多孔質の隔壁によって仕切られた軸方向に貫通する複数のセルを有するハニカム成形体を作製し、そのハニカム成形体の端面に開いた前記複数のセルのうち目封止しないセルのみをフィルムを貼り付けてマスクし、セラミック材料からなるスラリーを使用して底面が平坦な皿状の容器の底面にスラリーを塗布し、前記容器の底面に塗布されたスラリーの塗布欠陥を請求項17に記載のスラリー塗布欠陥検査方法によって検査し、前記容器に塗布されたスラリーに塗布欠陥のない場合に、そのスラリーの中へ前記目封止しないセルのみをマスクしたハニカム成形体の端面を浸漬してセラミック材料からなるスラリーでセルを目封止した後に焼成する工程を有する目封止ハニカム構造体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−269007(P2007−269007A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−904(P2007−904)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】
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