説明

セパレータ取付金具、セパレータ取付金具締結具及びセパレータ取付構造

【課題】 現場打ちコンクリート構造物の型枠と鉄筋とを所定位置に保持するセパレータを容易に且つ短時間で強固に取り付けることができるセパレータ取付金具を提供する。
【解決手段】 上板部12と、上板部12の左右側辺が折曲されて左右側辺から下方に垂設される左右側板部13,14とから成るセパレータ取付金具11であって、前記上板部12の両端近傍に第1、第2貫通孔15,16が夫々開穿され、前記左右側板部13,14の中央部及びその両側方に横孔17,17…が夫々左右対向して開穿され、左右側板部13,14の下端中央部に略半円状に切欠された切欠部18,18が夫々形成されているセパレータ取付金具を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現場打ち鉄筋コンクリート構造物の型枠と鉄筋とを所定位置に保持するセパレータを取り付けるためのセパレータ取付金具、セパレータ取付金具締結具及びセパレータ取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
此種従来のセパレータ取付方法として、例えば、特に、断面の大きな構造物の施工では、セパレータを構造物の鉄筋に直接溶接する方法がとられていた。
【0003】
又、図11に示すように、現場打ち鉄筋コンクリート構造物の型枠1と鉄筋2とを所定位置に保持するセパレータ3を取り付けるセパレータ取付構造4に於いて、上板部5と、上板部5の左右側辺が折曲されて左右側辺から下方に垂設される左右側板部6,7とから成り、左右側板部6,7の下端中央部に略半円状に切欠された切欠部8,8が夫々形成され、上板部5の両端近傍に貫通孔(図示せず)が夫々開穿されたセパレータ取付金具9を、Uボルト10によって鉄筋2に固着し、一端を型枠1に止着されて鉄筋2側に延びるセパレータ3の他端部をセパレータ取付金具9の上板部5に溶接して、セパレータ3をセパレータ取付金具9に固着し、セパレータ3に止着された型枠1と、セパレータ取付金具9に固着された鉄筋2とを所定位置に保持して連結するセパレータ取付構造は既に知られている。
【0004】
又、特許文献1にも鉄筋取付型セパレータボルト及びその取付構造が記載されており、その中に、山形に屈曲してその両裾辺中央部に鉄筋の条溝と係合する受部を設けた山形鉄板を締結ボルトによって鉄筋に締結し、この山形鉄板にはその頂稜と略直交する方向にねじ杆が溶接により固定され、一端がコンパネに止着されるセパレータボルトがねじ杆に螺着されるように構成されたセパレータボルト取付構造が記載されている。
【0005】
更に、特許文献2には、鉄筋とセパレータとの連結金具が記載されており、その中に、本体、ボルト、及び回転軸から成り、本体は貫通ネジ孔を有する上部、上部の一端から略直角に連接された側部、及び側部の遊端から上部のある側に連接され且つ上部に対向する側が凹入したV字形鉄筋受け部とを備えた連結金具が記載されている。
【特許文献1】特開2003−147960号公報
【特許文献2】特開2003−172027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したセパレータを構造物の鉄筋に直接溶接する方法、或いは、図1に示したセパレータ取付構造は、セパレータを鉄筋或いはセパレータ取付金具に溶接するものである。
【0007】
然しながら、溶接は1000℃以上の高温で加熱するため、溶接箇所の鉄筋、セパレータ或いは前記セパレータ取付金具の成分が変化して強度が低下する虞がある。
【0008】
又、型枠を取外したのち、セパレータ或いはセパレータ取付金具は打設されたコンクリート内に残るが、近年頻発している地震等により、セパレータ或いはセパレータ取付金具の溶接による連結箇所が破損し、それによって構造物が損傷或いは破壊する虞がある。
【0009】
更に又、多数のセパレータを溶接することは作業上の多大な労力と時間がかかるという問題がある。
【0010】
そして、特許文献2に於いても、溶接する箇所があり前述と同様な問題が発生する。
【0011】
又、特許文献1も、ねじ杆を山形鉄板に溶接するものであり、前述と同様な問題が発生する。
【0012】
但し、特許文献1には、セパレータボルトを山形鉄板に螺刻した雌ネジ孔に直接ねじ込んで連結する方法も記載されている。この場合には、セパレータボルトを回転自在に構成するためその構成が複雑になるという問題があり、又、セパレータボルトを山形鉄板に螺着するため、或いは、セパレータボルトの長さ調節のためセパレータボルトを回転させる作業が発生し、その作業時間がかかるという問題がある。
【0013】
以上の現状に鑑み、本発明は、現場打ちコンクリート構造物の型枠と鉄筋とを所定位置に保持するセパレータを容易に且つ短時間で強固に取り付けることができるセパレータ取付金具、セパレータ取付金具締結具及びセパレータ取付構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、上板部と、該上板部の左右側辺が折曲されて該左右側辺から下方に垂設される左右側板部とから成るセパレータ取付金具であって、前記上板部の両端近傍に第1、第2貫通孔が夫々開穿され、前記左右側板部の中央部及びその両側方に横孔が夫々左右対向して開穿され、該左右側板部の下端中央部に略半円状に切欠された切欠部が夫々形成されていることを特徴とするセパレータ取付金具を提供するものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、上記上板部に開穿される第1貫通孔は、長孔状に形成され、第2貫通孔は、丸孔と、該丸孔から該上板部の長手方向に延び、該丸孔の直径よりも小幅の溝孔とから形成され、該上板部の該第1、第2貫通孔の外端部近傍は、上方に突設して、該上板部に取り付けられるセパレータ取付金具締結具のずれを規制するずれ止め突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載のセパレータ取付金具を提供するものである。
【0016】
請求項3に係る発明は、先端部に直方体状部材が横設されフック形状に形成された一端側のフック部と、ナット装着自在の他端側の雄ネジ部と、中央部の可撓性の連結体とから成り、該フック部及び雄ネジ部が該連結体の両端に固着されるセパレータ取付金具締結具であって、前記フック部は、直方体状部材の長手方向の向きを請求項2記載のセパレータ取付金具の第1貫通孔の長手方向に揃えると該第1貫通孔を通過可能であり、その向きを90度回転すると通過を規制されるように形成され、前記ナットは請求項2記載のセパレータ取付金具の丸孔を通過可能であり、溝孔の通過を規制されるように形成されていることを特徴とするセパレータ取付金具締結具を提供するものである。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項2記載のセパレータ取付金具の上記切欠部を鉄筋の上に載置し、請求項3記載のセパレータ取付金具締結具のフック部を該セパレータ取付金具の第1貫通孔を下方から貫通させた後、該セパレータ取付金具締結具を略90度回転させ、上記連結体を湾曲させて前記鉄筋を巻回し、ナットを装着した上記雄ネジ部を上記第2貫通孔の丸孔内を該ナットと共に貫通させ、該ナットと共に該雄ネジ部を上記溝孔側に移動させ、該ナットを締め付けて該セパレータ取付金具を前記鉄筋に固定し、該セパレータ取付金具の左右側板部の横孔に、一端を型枠に止着されて延びるセパレータの他端を貫通させ、該セパレータに刻設された雄ネジ部に螺着されたナットによる締付により該セパレータを該セパレータ取付金具に固設することを特徴とするセパレータ取付金具取付構造を提供するものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項2記載のセパレータ取付金具の上記切欠部を鉄筋の上に載置し、Uボルトに該鉄筋を挟持させ、該Uボルトの両端を上記第1、第2貫通孔を夫々貫通させ、該Uボルトの両端をナットで締付けて、該セパレータ取付金具を前記鉄筋に固定し、該セパレータ取付金具の左右側板部の横孔に、一端を型枠に止着されて延びるセパレータの他端を貫通させ、該セパレータに刻設された雄ネジ部に螺着されたナットによる締付により該セパレータを該セパレータ取付金具に固設することを特徴とするセパレータ取付金具取付構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1記載の発明によれば、上板部と、該上板部の左右側辺が折曲されて該左右側辺から下方に垂設される左右側板部とから成るセパレータ取付金具であって、前記上板部の両端近傍に第1、第2貫通孔が夫々開穿され、前記左右側板部の中央部及びその両側方に横孔が夫々左右対向して開穿され、該左右側板部の下端中央部に略半円状に切欠された切欠部が夫々形成されているセパレータ取付金具を提供するので、現場打ちコンクリート構造物の型枠と鉄筋とを所定位置に保持するセパレータを容易に且つ短時間で強固に取り付けることができるセパレータ取付金具を提供できる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、上記上板部に開穿される第1貫通孔は、長孔状に形成され、第2貫通孔は、丸孔と、該丸孔から該上板部の長手方向に延び、該丸孔の直径よりも小幅の溝孔とから形成され、該上板部の該第1、第2貫通孔の外端部近傍は、上方に突設して、該上板部に取り付けられるセパレータ取付金具締結具のずれを規制するずれ止め突起が形成されているので請求項1記載の発明の効果に加え、セパレータ取付金具締結具の取付が容易になると共に、セパレータ取付金具締結具による締付が容易となり、且つ、取り付けたセパレータ取付金具締結具のずれによる離脱も防止できる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、先端部に直方体状部材が横設されフック形状に形成された一端側のフック部と、ナット装着自在の他端側の雄ネジ部と、中央部の可撓性の連結体とから成り、該フック部及び雄ネジ部が該連結体の両端に固着されるセパレータ取付金具締結具であって、前記フック部は、直方体状部材の長手方向の向きを請求項2記載のセパレータ取付金具の第1貫通孔の長手方向に揃えると該第1貫通孔を通過可能であり、その向きを90度回転すると通過を規制されるように形成され、前記ナットは請求項2記載のセパレータ取付金具の丸孔を通過可能であり、溝孔の通過を規制されるように形成されているセパレータ取付金具締結具を提供するので、セパレータ取付金具締結具の取り付けが容易であると共に、セパレータ取付金具の締結が容易である。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、請求項2記載のセパレータ取付金具の上記切欠部を鉄筋の上に載置し、請求項3記載のセパレータ取付金具締結具のフック部を該セパレータ取付金具の第1貫通孔を下方から貫通させた後、該セパレータ取付金具締結具を略90度回転させ、上記連結体を湾曲させて前記鉄筋を巻回し、ナットを装着した上記雄ネジ部を上記第2貫通孔の丸孔内を該ナットと共に貫通させ、該ナットと共に該雄ネジ部を上記溝孔側に移動させ、該ナットを締め付けて該セパレータ取付金具を前記鉄筋に固定し、該セパレータ取付金具の左右側板部の横孔に、一端を型枠に止着されて延びるセパレータの他端を貫通させ、該セパレータに刻設された雄ネジ部に螺着されたナットによる締付により該セパレータを該セパレータ取付金具に固設するセパレータ取付金具取付構造を提供するので、セパレータ取付金具及びセパレータ取付金具締結具を用いて、現場打ちコンクリート構造物の型枠と鉄筋とを所定位置に保持するセパレータを容易に且つ短時間で強固に取り付けることができるセパレータ取付金具取付構造を提供できる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、請求項2記載のセパレータ取付金具の上記切欠部を鉄筋の上に載置し、Uボルトに該鉄筋を挟持させ、該Uボルトの両端を上記第1、第2貫通孔を夫々貫通させ、該Uボルトの両端をナットで締付けて、該セパレータ取付金具を前記鉄筋に固定し、該セパレータ取付金具の左右側板部の横孔に、一端を型枠に止着されて延びるセパレータの他端を貫通させ、該セパレータに刻設された雄ネジ部に螺着されたナットによる締付により該セパレータを該セパレータ取付金具に固設するセパレータ取付金具取付構造を提供するので、セパレータ取付金具及びUボルトを用いて、現場打ちコンクリート構造物の型枠と鉄筋とを所定位置に保持するセパレータを容易に且つ短時間で強固に取り付けることができるセパレータ取付金具取付構造を提供でき、比較的安価なUボルトを用いるので、コスト削減に寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2に於いて、11は、本発明によるセパレータ取付金具であり、セパレータ取付金具11は、上板部12と、上板部12の左右側辺が折曲されて左右側辺から下方に垂設される左右側板部13,14とから成り、上板部12の両端近傍に第1、第2貫通孔15,16が夫々開穿され、左右側板部13,14の前後方向中央部及びその両前後側方に横孔17,17…が夫々左右対向して開穿され、左右側板部13,14の下端中央部に略半円状に切欠された切欠部18,18が夫々形成されている。
【0025】
そして、前記上板部12に開穿される第1貫通孔15は、長孔状に形成され、第2貫通孔16は、丸孔19と、丸孔19から上板部12の長手方向に延び、丸孔19の直径よりも小幅の溝孔20とから形成され、上板部12の第1、第2貫通孔15,16の外端部近傍は、上方に突設して、上板部12に取り付けられる後述するセパレータ取付金具締結具(図示せず)のずれを規制するずれ止め突起21,22が形成されている。
【0026】
図3に於いて、31は、本発明によるセパレータ取付金具締結具であり、セパレータ取付金具締結具31は、先端部に直方体状部材32が横設されフック形状に形成された一端側のフック部33と、ナット34装着自在の他端側の雄ネジ部35と、可撓性のワイヤ又は硬質塩化ビニール等で形成され、中央部に配置される連結体36とから成り、フック部33及び雄ネジ部35が連結体36の両端に固着されており、前記フック部33は、直方体状部材32の長手方向の向きを前記セパレータ取付金具(図1に於いて11)の第1貫通孔(図1に於いて15)の長手方向に揃えると第1貫通孔を通過可能であり、その向きを90度回転すると通過を規制されるように形成され、前記ナット34は前記セパレータ取付金具(図1に於いて11)の丸孔(図1に於いて19)を通過可能であり、溝孔(図1に於いて20)の通過を規制されるように形成されている
【0027】
而して、図4に示す如く、前記セパレータ取付金具11と、鉄筋41とを前記セパレータ取付金具締結具31を用いて締結する場合は、先ず、セパレータ取付金具11の切欠部18,18を鉄筋41の上に載置し、セパレータ取付金具締結具31のフック部33を、フック部33の直方体状部材32の長手方向をセパレータ取付金具11の第1貫通孔15の長手方向に揃えて、フック部33を第1貫通孔15の下方から貫通させた後、セパレータ取付金具締結具31を略90度回転させ、前記連結体36を湾曲させて鉄筋41を巻回し、図中矢印の如く、ナット34を装着した前記雄ネジ部35を前記第2貫通孔16の丸孔19内をナット34と共に貫通させ、更に、ナット34と共に雄ネジ部35を前記溝孔20側に移動させ、ナット34を締め付けて、図5及び図6に示す如く、セパレータ取付金具11を前記鉄筋41に固定する。
【0028】
図7は、前述した前記セパレータ取付金具11と、鉄筋41とを前記セパレータ取付金具締結具31を用いて締結する方法と、セパレータ42をセパレータ取付金具11に固設する方法を示している。
【0029】
セパレータ取付金具11と、鉄筋41とをセパレータ取付金具締結具31を用いて締結する方法は前述したとおりであり、セパレータ42をセパレータ取付金具11に固設する場合は、セパレータ取付金具11の左右側板部13,14の何れかの左右横孔17,17に、一端を型枠(図示せず)に止着されて延びるセパレータ42の他端を貫通させ、図8に示す如くセパレータ42の先端部に刻設された雄ネジ部43に螺着したナット44,44によりセパレータ取付金具11の左右側板部13,14を挟持状態に締付け、セパレータ42をセパレータ取付金具11に固設する。
【0030】
図9に於いて、46は、完成したセパレータ取付金具取付構造46を示しており、セパレータ取付金具取付構造46は、セパレータ取付金具11の切欠部18が鉄筋41の上に載置され、セパレータ取付金具締結具31を用いて、前述した方法によりセパレータ取付金具11を鉄筋41に固定し、セパレータ取付金具11の左右側板部13,14に、前述した方法によりセパレータ42の他端を貫通させ、ナット44を螺着してセパレータ42をセパレータ取付金具11に固設した構造である。
【0031】
尚、通常の現場打ちコンクリート構造物の型枠45と鉄筋41は、図9に示すように鉄筋41,41…の両側方に型枠45,45が配置される場合が多く、この場合に於いては、両側方の型枠45,45から延びるセパレータ42,42…を前記セパレータ取付金具11,11…の左右側板部13,14の横孔17,17…を貫通させてナット44,44…で固定する。前記セパレータ取付金具11は1〜3本のセパレータ42を固定することが可能である。
【0032】
そして、鉄筋41と型枠45,45の施工規模に応じて、適宜個数の前記セパレータ取付金具11,11…を用いたセパレータ取付金具取付構造46,46……によって鉄筋41と型枠45,45とを所定位置に保持する。
【0033】
斯くして、前記セパレータ取付金具11は、現場打ち鉄筋コンクリート構造物の型枠45と鉄筋41とを所定位置に保持するセパレータ42を容易に且つ短時間で強固に取り付けることができる。
【0034】
又、前記セパレータ取付金具11は、第1貫通孔15が、長孔状に形成され、第2貫通孔16が、丸孔19と、小幅の溝孔20とから形成され、第1、第2貫通孔15,16の外端部近傍にずれ止め突起21,22が形成されているので、セパレータ取付金具締結具31の取り付け及びセパレータ取付金具締結具31による締結が容易となり、且つ、取り付けたセパレータ取付金具締結具31のずれによる離脱も防止できる。
【0035】
更に、前記セパレータ取付金具締結具31は、フック部33が、第1貫通孔15を通過可能であり、その向きを90度回転すると通過を規制されるように形成され、ナット34は丸孔19を通過可能であり、溝孔20の通過を規制されるように形成されているので、セパレータ取付金具11への取り付け及びセパレータ取付金具11の締結が容易である。
【0036】
更に又、前記セパレータ42は、セパレータ42の先端部に螺着されたナット44,44によってセパレータ42をセパレータ取付金具11に固設するように構成されているので、ナット44,44の調節により、型枠45と鉄筋41との間隔及び型枠45の傾き等について型枠45を最適な状態で保持できる。又、前記セパレータ取付金具11は1〜3本のセパレータを固設できる。
【0037】
そして、前記セパレータ取付金具取付構造46は、セパレータ取付金具11及びセパレータ取付金具締結具31を用いて、現場打ちコンクリート構造物の型枠45と鉄筋41とを所定位置に保持するセパレータ42を容易に且つ短時間で強固に取り付けることができる構造を提供できる。
【0038】
即ち、前記セパレータ取付金具取付構造46は、溶接箇所がなく、従って、溶接による材料の劣化を招くことがなく、強固なものとなり、セパレータ取付金具取付構造46を構成するセパレータ取付金具11、セパレータ取付金具締結具31及びセパレータ42が残留する施工後の型枠を取外した鉄筋コンクリート構造物は、前述した強固なセパレータ取付金具取付構造46によって大地震等にも耐えられる強度を備えている。
【0039】
図10は、前記セパレータ取付金具締結具(図5に於いて31)に代えて、Uボルト51を用いる場合のセパレータ取付金具取付構造52を示しており、前記セパレータ取付金具11に適用することができる。
【0040】
そして、セパレータ取付金具取付構造52にUボルト51を用いる場合は、Uボルト51に鉄筋41を挟持させ、Uボルト51の両端を第1、第2貫通孔15,16を夫々貫通させ、Uボルト51の両端をナット53,53で締付けて、セパレータ取付金具11を鉄筋41に固定する。
【0041】
而して、前記セパレータ取付金具取付構造52に於いても、セパレータ取付金具11及びUボルト51を用いて、現場打ちコンクリート構造物の型枠(図9に於いて45)と鉄筋41とを所定位置に保持するセパレータ(図9に於いて42)を容易に且つ短時間で強固に取り付けることができ、更に、この場合、比較的安価なUボルト51を用いるので、コスト削減に寄与できる。但し、Uボルト51を用いるため、ナット53の締付時間等が増大し、前記セパレータ取付金具締結具(図5に於いて31)を用いる場合よりは、作業時間がかかるという問題がある。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のセパレータ取付金具の斜視図である。
【図2】本発明のセパレータ取付金具の側面縦断面図である。
【図3】本発明のセパレータ取付金具締結具の一部切欠正面図である。
【図4】本発明のセパレータ取付金具をセパレータ取付金具締結具を介して鉄筋に取り付ける状態を説明する斜視図である。
【図5】本発明のセパレータ取付金具をセパレータ取付金具締結具を介して鉄筋に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明のセパレータ取付金具をセパレータ取付金具締結具を介して鉄筋に取り付けた状態を示す側面縦断面図である。
【図7】本発明のセパレータ取付金具をセパレータ取付金具締結具を介して鉄筋に取り付ける状態、及び、セパレータをセパレータ取付金具に取り付ける状態を説明する斜視図である。
【図8】本発明のセパレータをセパレータ取付金具に取り付けた状態を示す背面図である。
【図9】本発明のセパレータ取付金具取付機構による施工を示す斜視図である。
【図10】本発明のセパレータ取付金具をUボルトを介して鉄筋に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】従来例のセパレータ取付金具取付機構による施工を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
11 セパレータ取付金具
12 上板部
13 左側板部
14 右側板部
15 第1貫通孔
16 第2貫通孔
17 横孔
18 切欠部
19 丸孔
20 溝孔
21,22 ずれ止め突起
31 セパレータ取付金具締結具
32 直方体状部材
33 フック部
34,44,53 ナット
35,43 雄ネジ部
36 連結体
41 鉄筋
42 セパレータ
45 型枠
46,52 セパレータ取付金具取付構造
51 Uボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上板部と、該上板部の左右側辺が折曲されて該左右側辺から下方に垂設される左右側板部とから成るセパレータ取付金具であって、前記上板部の両端近傍に第1、第2貫通孔が夫々開穿され、前記左右側板部の中央部及びその両側方に横孔が夫々左右対向して開穿され、該左右側板部の下端中央部に略半円状に切欠された切欠部が夫々形成されていることを特徴とするセパレータ取付金具。
【請求項2】
上記上板部に開穿される第1貫通孔は、長孔状に形成され、第2貫通孔は、丸孔と、該丸孔から該上板部の長手方向に延び、該丸孔の直径よりも小幅の溝孔とから形成され、該上板部の該第1、第2貫通孔の外端部近傍は、上方に突設して、該上板部に取り付けられるセパレータ取付金具締結具のずれを規制するずれ止め突起が形成されていることを特徴とする請求項1記載のセパレータ取付金具。
【請求項3】
先端部に直方体状部材が横設されフック形状に形成された一端側のフック部と、ナット装着自在の他端側の雄ネジ部と、中央部の可撓性の連結体とから成り、該フック部及び雄ネジ部が該連結体の両端に固着されるセパレータ取付金具締結具であって、前記フック部は、直方体状部材の長手方向の向きを請求項2記載のセパレータ取付金具の第1貫通孔の長手方向に揃えると該第1貫通孔を通過可能であり、その向きを90度回転すると通過を規制されるように形成され、前記ナットは請求項2記載のセパレータ取付金具の丸孔を通過可能であり、溝孔の通過を規制されるように形成されていることを特徴とするセパレータ取付金具締結具。
【請求項4】
請求項2記載のセパレータ取付金具の上記切欠部を鉄筋の上に載置し、請求項3記載のセパレータ取付金具締結具のフック部を該セパレータ取付金具の第1貫通孔を下方から貫通させた後、該セパレータ取付金具締結具を略90度回転させ、上記連結体を湾曲させて前記鉄筋を巻回し、ナットを装着した上記雄ネジ部を上記第2貫通孔の丸孔内を該ナットと共に貫通させ、該ナットと共に該雄ネジ部を上記溝孔側に移動させ、該ナットを締め付けて該セパレータ取付金具を前記鉄筋に固定し、該セパレータ取付金具の左右側板部の横孔に、一端を型枠に止着されて延びるセパレータの他端を貫通させ、該セパレータに刻設された雄ネジ部に螺着されたナットによる締付により該セパレータを該セパレータ取付金具に固設することを特徴とするセパレータ取付金具取付構造。
【請求項5】
請求項2記載のセパレータ取付金具の上記切欠部を鉄筋の上に載置し、Uボルトに該鉄筋を挟持させ、該Uボルトの両端を上記第1、第2貫通孔を夫々貫通させ、該Uボルトの両端をナットで締付けて、該セパレータ取付金具を前記鉄筋に固定し、該セパレータ取付金具の左右側板部の横孔に、一端を型枠に止着されて延びるセパレータの他端を貫通させ、該セパレータに刻設された雄ネジ部に螺着されたナットによる締付により該セパレータを該セパレータ取付金具に固設することを特徴とするセパレータ取付金具取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−299715(P2006−299715A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125540(P2005−125540)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(596060479)銭丸商事株式会社 (2)
【Fターム(参考)】