説明

セベラマー塩酸塩およびその処方物の調製のためのプロセス

4.7mmol/gから6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩の調製のための改良プロセスが本明細書に開示される。さらに、本発明は、セベラマー塩酸塩組成物、および高せん断非水造粒法を含む前記組成物の調製のための新規プロセスを開示する。本発明の主目的は、約4.7mmol/gから約6.4mmol/gの範囲のPAおよび約3.74から約5.60meq/gの範囲の塩化物含有量を有するセベラマー塩酸塩の調製のための工業プロセスを提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2006年9月1日に出願されたインド国仮出願第1402/MUM/2006の利益を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、セベラマー(Sevelamer)塩酸塩の調製のための工業プロセスに関する。より詳しくは、本発明は、4.7mmol/gから6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を得る、有機媒質中に分散したポリアリルアミン塩酸塩のエピクロロヒドリンによる架橋のための改良プロセスに関する。
【0003】
本発明は、さらに、セベラマー塩酸塩の医薬品組成物と、高せん断非水造粒法を含む前記組成物の調製のための新規プロセスに関する。
【背景技術】
【0004】
(背景および先行技術)
塩酸セベラマーは、エピクロロヒドリンで架橋したポリ(アリルアミン塩酸塩)であり、アミンの40%がプロトン化されている。セベラマーは、化学的にはポリ(アリルアミン−co−N,N’−ジアリル−1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン)塩酸塩として知られる。塩酸セベラマーは親水性であり膨潤するが、水に溶けない。構造は、下の式で表される。
【0005】
【化1】

a,b=第一アミン基の数 a+b=9
c=架橋基の数 c=1
n=プロトン化アミンの比率 n=0.4
m=拡張重合体ネットワークを示す大きな数。
【0006】
セベラマー塩酸塩は、消化管中のリン酸塩と結合して糞便中のリン排泄を促進し、それによって腸からのリン吸収を阻害し、プラズマリン濃度を低下させる。末期腎不全(ESRD)の患者は高リン血症の発症に至るリン酸塩を保持する。リン制御はESRDの患者の看護の主目標である。無カルシウム、無アルミニウムのリン酸塩結合剤であるセベラマー塩酸塩によって、医師は、血中カルシウムレベルを増加させることも過剰なカルシウム負荷をかけることもなく、血液透析中のESRDの患者の血中リンを調節することができる。臨床研究は、セベラマーが血中カルシウムおよびリンの濃度ならびに副甲状腺ホルモンなどの軟組織および心臓石灰化の指標の持続性の低下をもたらし、血中脂質プロファイルも改善することを示した。従って、セベラマー塩酸塩は心臓石灰化に有利に影響し、それによって患者罹患率および致死率を低下させる見込みを提供する。食事とともに摂取されたセベラマー塩酸塩は、血液透析中のESRDの患者の血中リン濃度を低下させることが示された。高リン血症の治療は、リン酸塩の食事摂取量の減少、リン酸塩結合剤による腸リン酸塩吸収の阻害、および透析によるリン酸塩の除去を含む。セベラマー塩酸塩処置の結果、低密度リポ蛋白質(LDL)および全血中コレステロールレベルが低下する。セベラマー塩酸塩は、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御用に指示され、低リン血症または腸閉塞症の患者では禁忌指示されている(www.fda.gov/cder/foi/label/2000/21179lbl.pdf)。血液透析患者において、セベラマー塩酸塩はカルシウム処置中の患者に対して高カルシウム血症の発生を低下させる。
【0007】
セベラマー塩酸塩は、Genzyme CorporationによってRenagel(登録商標)400mgおよびRenagel(登録商標)800mg錠剤として上市されている。Renagel(登録商標)は、ハイプロメロース、ジアセチル化モノグリセリド、コロイド二酸化ケイ素およびステアリン酸を非活性成分として含む。
【0008】
米国特許第5496545号はイオン交換によって患者からリン酸塩を除去する方法を開示している。この方法は、非毒性であり、摂取されると安定である少なくとも1つのリン酸塩結合重合体の治療効果のある量を含む組成物の経口投与を含む。重合体は経口投与され、高リン血症の治療に有用である。同特許は架橋ポリアリルアミン重合体のリン酸塩結合容量(PBC)を測定する分光光度リン酸塩アッセイ(PA)法も開示している。得られたセベラマー塩酸塩のPA値は3.1meq/gである。高いPAを有するほど良好な活性に望ましいことも開示されている。
【0009】
J. R. MazzeoらはJ. Pharm. Biomed. Anal. 19 (1999) 911−915においてセベラマー塩酸塩のPBC(リン酸塩結合容量)の測定のためのHPLCイオンクロマトグラフィーPA法を教示している。報告された3つのセベラマー塩酸塩バッチの平均PAは5.8mmol/gである。
【0010】
市販のRenagel試料は、HPLC IC法によって試験すると約5.3mmol/gのPA、約4.8meq/gの塩化物含有量および10%から19%の範囲の架橋度を有することが見いだされた。上市製品は、PBCがめざましく安定であったが、架橋度は安定性に欠けていた。
【0011】
米国特許第4605701号は、架橋モノアリルアミン重合体を調製するためのプロセスを開示している。この方法は、ポリアリルアミン塩酸塩を部分的に中和し、続いてエピクロロヒドリンを加え、ホモジナイズすることを含む。さらに、得られた懸濁液をSilvan S−83の存在下、水性溶媒と相溶しない液体媒質中に分散させた。しかし、前記特許は、前記重合体のリン酸塩結合における特性および利用には触れていない。
【0012】
国際公開第2006/097942号は、分散剤の存在下炭化水素溶媒中の架橋剤を用いて部分的に中和した水性ポリアリルアミン塩酸塩を架橋させて所望の粒子サイズ範囲(60〜100メッシュ)を有する架橋重合体を得るための二相プロセスを開示している。このプロセスは、水溶液をアルカリで部分的に中和し、架橋剤と混合し、分散剤を含む有機相に注入するように実施される。架橋は、高温で800から1200rpmの高速で実施する。次に、架橋された重合体をろ過によって単離し、続いて水洗して塩を除去し、続いてイソプロピルアルコール(IPA)洗浄して架橋された重合体から水を除去し、最後に固定棚段乾燥装置中で乾燥する。
【0013】
米国特許第6525113号は、ポリアリルアミン、水、水酸化物またはアルコキシド、およびアセトニトリルなど、水と相溶性の有機溶媒または補助溶媒を混合し、続いて架橋剤を加えて架橋ポリアリルアミンを調製するためのプロセスを記載している。
【0014】
上記従来技術に開示されているこれらのプロセスには以下のような欠点がある。
【0015】
(a)エピクロロヒドリンと、部分中和ポリアリルアミン塩酸塩の水溶液との混合は、混合すると直ちに架橋が始まり、最終的にゲル化に至り、従って増粘したゲルを大規模に有機相に加える際に問題となるので、大規模では潜在的に危険な操作である。
【0016】
(b)このプロセスは、800から1200rpmの高速で実施する。
【0017】
(c)アセトニトリルのような水と相溶性の溶媒の回収は難しく、従ってこのプロセスは工業規模では不経済および不適切になる。
【0018】
(d)メタノールまたはイソプロピルアルコール(IPA)による洗浄は過剰な有機排出液を発生し、商品および諸経費のコストを増加させる。
【0019】
(e)メタノールまたはIPAは架橋重合体から除去するのが極めて難しい。セベラマー塩酸塩は活性薬剤成分(API)であるから有機揮発性不純物(OVI)のための厳格なICH指針に適合しなければならない。メタノールはICH指針によると種別II溶媒であり、API中2000ppm(0.2%)までの限度しか許されない。IPAはICH指針によると第III種溶媒であり、API中大5000ppm(0.5%)までの限度しか許されない。所望の架橋重合体中でIPA含有量は5000ppmよりはるかに高いことが見いだされている。規定されたICH限界は非常に厳格で実現が難しい。
【0020】
(f)固定棚段乾燥装置中で乾燥すると重合体が暗黄色に着色し、水で膨潤させた後でもそのまま残る。
【0021】
(g)従来技術プロセスは大規模製造に向かず、所望の品質を実現することができず、経済性が劣る。従って、スケールアップに適し、優れた品質のセベラマー塩酸塩を提供する、経済的に実現可能な製造プロセスを開発する必要が存在する。
【0022】
従って、製造法を単純化し、専用装置の必要性を最小限とし、洗浄用の溶媒の必要量を引き下げ、それによって製造コストを引き下げる、所望のリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を調製するためのプロセスを開発する必要がある。本発明は、工業的な規模拡大に適するセベラマー塩酸塩の調製のための経済的に実現可能なプロセスを提供する。
【0023】
Chugai Pharmaceuticalsによる特許文献1は、400ミクロン以下の平均粒子サイズを有し、粒子の90%が500ミクロン未満であり、結晶性セルロースおよび/または置換度の低いヒドロキシプロピルセルロースを含むリン酸塩結合重合体を含む錠剤を開示している。錠剤は、1から14%の水分含有率を示す。
【0024】
特許文献2は、少なくとも約95重量%の脂肪族アミン重合体を含む錠剤コアと、脂肪族アミン重合体を所望の水分レベルに水和させる工程、脂肪族アミン重合体を重合体が結果としてのブレンドの少なくとも約95重量%を含むような量で賦形剤と混合する工程、およびブレンドを圧縮して錠剤コアを形成させる工程によって錠剤を製造するプロセスとを開示している。錠剤は、水系被覆物によって被覆される。
【0025】
特許文献3は、重合体の約4重量%から約12重量%が塩化物アニオンである安定なポリアリルアミン塩酸塩重合体を含む組成を開示している。
【0026】
特許文献4は、1.18〜1.24の真比重を有するリン酸塩結合重合体と、リン酸塩結合重合体錠剤を製造するためのプロセスとを開示している。
【0027】
従来技術は、直接圧縮または乾燥造粒を含む諸方法によるセベラマーのさまざまな製剤を開示している。しかし、従来技術は、さらに、湿式造粒法によるリン酸塩結合重合体セベラマーの錠剤化は不可能であり、実現するのが難しいと述べている。
【0028】
本発明の発明者らは、セベラマー塩酸塩を製剤化するためのいくつかの方法を試み、改善された粒子凝集性、優れた流れ性および圧縮特性を提供する高せん断非水造粒法によって製剤を開発することに成功した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】欧州特許第0997148号明細書
【特許文献2】国際公開第01/28527号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/085378号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第1153940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
(発明の目的)
本発明の主目的は、約4.7mmol/gから約6.4mmol/gの範囲のPAおよび約3.74から約5.60meq/gの範囲の塩化物含有量を有するセベラマー塩酸塩の調製のための工業プロセスを提供することである。
【0031】
本発明の別の目的は、セベラマー塩酸塩の治療効果のある量を適当な薬学的に許容される賦形剤とともに含む医薬品組成物を提供することである。
【0032】
本発明の別の目的は、高せん断非水造粒法を含む、セベラマー塩酸塩組成物の調製のための新規なプロセスを提供することである。
【0033】
本発明の別の目的は、アセトニトリルの使用およびゲル化の危険性をなくし、水を除去するためのIPAの使用も回避する、改良され、単純化されたセベラマー塩酸塩の調製のためのプロセスを提供することである。
【0034】
本発明の別の目的は、厳格なICH(International Committee of Harmonisation)要件を満たすセベラマー塩酸塩を提供することである。
【0035】
本発明のさらに別の目的は、架橋度が安定しているセベラマー塩酸塩を生み出し、前記生成物の製造のための専用装置の必要を避け、それによって製造コストを低下させるプロセスを提供することである。
【0036】
本発明のさらに別の目的は、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御のための組成物を提供することである。
【0037】
本発明の別の目的は、セベラマー塩酸塩の治療効果のある量を適当な薬学的に許容される賦形剤とともに投与することを含む、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンを減少させるための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
(発明の要旨)
本発明は、4.7から6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩の調製のための工業プロセスを開示する。プロセスは、
(a)ポリアリルアミン塩酸塩を水に溶解させて水溶液を得る工程、
(b)ポリアリルアミン塩酸塩の水溶液をポリアリルアミン塩酸塩に対して65モル%から70モル%のアルカリで部分中和する工程、
(c)分散剤を炭化水素溶媒に注入して溶液を得る工程、
(d)部分中和ポリアリルアミン塩酸塩水溶液を工程(c)で得た溶液と混合する工程、
(e)得られた反応混合物を毎分約40回転から毎分約250回転の速度で撹拌して有機相中の水相の微細な分散を得る工程、
(f)工程(e)で得た懸濁液を高温で加熱する工程、
(g)ポリアリルアミン塩酸塩に対して5重量%から12重量%のエピクロロヒドリンを工程(f)の懸濁液に注入し、架橋が完了するまで高温を維持する工程、
(h)反応混合物を25℃から35℃の温度に冷却し、得られたケーキを水で洗浄して化合物を単離する工程、
(i)含液ケーキを流動床乾燥装置中約25℃から90℃の温度で乾燥して4.7mmol/gmから6.4mmol/gmのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を得る工程
を含む。
【0039】
本発明の別の態様では、アリルアミンを塩酸と反応させてアリルアミン塩酸塩を得る工程、および得られたアリルアミン塩酸塩をフリーラジカル開始剤2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド(VA−086)の存在下で重合させてポリアリルアミン塩酸塩を得る工程によって、ポリアリルアミン塩酸塩を調製する。ポリアリルアミン塩酸塩は0.14から0.22デシリットル/gmの固有粘度を有する。
【0040】
本発明は、さらに、セベラマー塩酸塩の治療効果のある量を適当な薬学的に許容される賦形剤とともに含む医薬品組成物を開示する。前記組成物は、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御に用いられる。さらに、本発明は、高せん断非水溶造法を含む、セベラマー塩酸塩組成物の調製のための新規なプロセスを開示する。
【0041】
本発明によれば、高せん断非水造粒法を含むセベラマー塩酸塩組成の調製のためのプロセスは、
(a)セベラマー塩酸塩と1つ以上の希釈剤との混合物を調製する工程、
(b)必要に応じて、混合物を濡らす工程、
(c)バインダーを有機溶媒中に溶解させて非水バインダー溶液を調製する工程、
(d)非水バインダー溶液を用いて工程(a)または工程(b)の混合物を高せん断非水造粒法により造粒して造粒された集まりを形成させる工程、
(e)造粒された集まりを乾燥する工程、
(f)ボールミルまたは流体エネルギーミルを用いて乾燥された集まりを磨砕して適当なサイズの顆粒を形成させる工程、
(g)磨砕された顆粒を潤滑化する工程、
(h)潤滑化された顆粒を圧縮して錠剤化させるかまたは潤滑化された顆粒をカプセルの中に充填する工程、
(i)圧縮された錠剤を被覆する工程
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】Renagel錠剤の粉末13C NMRを示す。
【図2】Renagel錠剤の粉末13C NMRを示す。
【図3】Renagel錠剤の粉末13C NMRを示す。
【図4】Renagel錠剤の粉末13C NMRを示す。
【図5】IPA洗浄−棚段乾燥法によって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図6】IPA洗浄−棚段乾燥法によって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図7】IPA洗浄−棚段乾燥法によって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図8】水洗浄−FBD乾燥法によって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図9】水洗浄−FBD乾燥法によって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図10】水洗浄−FBD乾燥法によって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図11】本プロセスによって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図12】本プロセスによって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図13】本プロセスによって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図14】本プロセスによって得られるセベラマー塩酸塩(API)の粉末13C NMRを示す。
【図15】顕微鏡によって40×の倍率で見たセベラマー塩酸塩(API)の粒子の形状を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
本発明は、セベラマー塩酸塩の調製のための工業プロセスを記載する。本発明は、さらに、有機媒質中に分散したポリアリルアミン塩酸塩をエピクロロヒドリンで架橋して4.7mmol/gから6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を得るための改良プロセスを含む。
【0044】
本発明は、さらに、セベラマー塩酸塩の治療効果のある量を適当な薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む医薬品組成物を記載する。高せん断非水造粒法を含む前記セベラマー塩酸塩組成の調製のための新規なプロセスも記載される。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、本発明によるセベラマー塩酸塩の調製のためのプロセスは、
(a)ポリアリルアミン塩酸塩を水に溶解させて水溶液を得る工程、
(b)ポリアリルアミン塩酸塩の水溶液をポリアリルアミン塩酸塩に対して65モル%から70モル%のアルカリで部分中和する工程、
(c)分散剤を炭化水素溶媒に注入して溶液を得る工程、
(d)部分中和ポリアリルアミン塩酸塩水溶液を工程(c)で得た溶液と混合する工程、
(e)得られた反応混合物を毎分約40回転から毎分約250回転の速度で撹拌して有機相中の水相の微細な分散を得る工程、
(f)工程(e)で得た懸濁液を高温で加熱する工程、
(g)ポリアリルアミン塩酸塩に対して5重量%から12重量%のエピクロロヒドリンを工程(f)の懸濁液に注入し、架橋が完了するまで高温を維持する工程、
(h)反応混合物を25℃から35℃の温度に冷却し、得られたケーキを水で洗浄し、ろ過して化合物を単離する工程、
(i)含液ケーキを流動床乾燥装置中約25℃から90℃の温度で乾燥して4.7mmol/gmから6.4mmol/gmのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を得る工程
を含む。
【0046】
本発明の別の実施態様では、アリルアミンを塩酸と反応させてアリルアミン塩酸塩を得る工程、および得られたアリルアミン塩酸塩をフリーラジカル開始剤(VA−086)の存在下で重合させてポリアリルアミン塩酸塩を得る工程によってポリアリルアミン塩酸塩を調製する。ポリアリルアミン塩酸塩は、0.14デシリットル/gから0.22デシリットル/gの固有粘度を有する。
【0047】
本発明によれば、ポリアリルアミン塩酸塩を水に溶解させてポリアリルアミン塩酸塩の水溶液を得る。
【0048】
本発明の別の実施態様によれば、水溶液ポリアリルアミン塩酸塩をアルカリで部分中和する。
【0049】
本発明の別の実施態様によれば、用いられるアルカリはアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0050】
本発明の別の実施態様では、ポリアリルアミン塩酸塩に対して65モル%から70モル%のアルカリを固体または溶液のどちらかとして加えることによって部分中和を実施する。反応に使われるポリアリルアミン塩酸塩の重量をアリルアミン塩酸塩の分子量で除することによってポリアリルアミン塩酸塩のモル数を計算する。この範囲のアルカリを用いると、約4.3meq/gから約5.3meq/gの所望の範囲の塩化物含有量が得られる。
【0051】
本発明の別の実施態様によれば、分散剤を炭化水素溶媒の中に注入する。
【0052】
さらに別の実施態様によれば、分散剤は、トリオレエート界面活性剤、好ましくはトリソルビタントリオレエート(スパン−85)から選ばれる。
【0053】
本発明の別の実施態様では、脂肪族または芳香族炭化水素、好ましくは芳香族炭化水素から炭化水素溶媒が選ばれる。
【0054】
本発明の別の実施態様によれば、ベンゼン、トルエン、キシレン類、クロロベンゼン類、ニトロベンゼン類またはそれらの混合物から芳香族炭化水素が選ばれる。
【0055】
本発明のさらに別の実施態様では、部分中和された水性ポリアリルアミン塩酸塩を通常の反応器中で分散剤を含む炭化水素溶媒と混合し、毎分約40回転から毎分約250回転(RPM)の速度で撹拌して有機相中の水相の微細な分散とし、得られた懸濁液を続いて高温で加熱する。
【0056】
本発明の別の実施態様によれば、反応混合物を撹拌するための速度は、毎分約40回転から毎分約250回転、好ましくは毎分40回転から毎分60回転の範囲である。
【0057】
本発明の別の実施態様では、高温は約40℃から約150℃、好ましくは55℃から60℃の範囲である。
【0058】
本発明の別の実施態様では、エピクロロヒドリンを高温で注入し、架橋が完了するまで同じ温度を維持し、続いて冷却し、架橋重合体のケーキを単離する。
【0059】
本発明の別の実施態様によれば、ポリアリルアミン塩酸塩の重量と比較して5重量%から12重量%、好ましくは6重量から9重量%の範囲でエピクロロヒドリンを用いる。この範囲のエピクロロヒドリンを用いると約4.7mmol/gから6.4mmol/gの所望の範囲のPBCが得られる。5%未満の量のエピクロロヒドリンを用いると水溶性が原因となって粘着性の架橋重合体が得られ、収率が悪化する結果となるが、12%を超える量のエピクロロヒドリンを用いるとPBCが5.3mmol/g未満に低下する。
【0060】
本発明のさらに別の実施態様では、温度を外界温度、好ましくは25℃から35℃に低下させることによって冷却を実施し、吸引下のヌッチェろ過を用いるかまたは遠心分離、好ましくは遠心分離によって単離を実施する。
【0061】
別の実施態様では、得られた架橋重合体のケーキを水で洗浄して塩化ナトリウム塩を除去し、流動床乾燥装置(FBD)中約25℃から90℃の温度、好ましくは40℃から60℃の温度範囲で乾燥して4.7mmol/gから6.4mmol/gの範囲のリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を得る。
【0062】
4.7mmol/gから6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩の調製は、本発明の重要な特徴の1つである。
【0063】
本発明による水を除去するための最終単離段階からのIPAの除去には、架橋ポリアリルアミンの外観、膨潤性等のような物理的性質に対して驚くべき効果がある。本発明によるプロセスの別の驚くべき効果は、得られたセベラマー塩酸塩が、水除去のためにIPAを用いて実施された同一の実験に従って得られたものより高いPBCを有することである。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、ポリアリルアミン塩酸塩と水とを25℃から35℃で混合して透明な溶液を得る。溶液をさらに5℃から15℃に冷却し、アルカリの水溶液(重量でポリアリルアミン塩酸塩の65〜70モル%)を5℃から15℃で反応混合物に加え、30分間撹拌する。得られた反応混合物に炭化水素溶媒中の分散剤を5℃から15℃で加える。次に、反応混合物の温度を20℃から25℃に上げ、15分間維持する。反応混合物を25℃から35℃でろ過して異物をすべて除去し、得られた溶液の温度をさらに55℃から60℃に上げ、15分間維持する。55℃から60℃の一定温度でエピクロロヒドリン(ポリアリルアミン塩酸塩の5重量%〜12重量%)を反応混合物に加える。次に、反応混合物を25℃から35℃に冷却し、遠心分離によって生成物を単離する。含液ケーキをさらに25℃から50℃で、45分間水でほぐし、ろ過し、次にFBD中25℃から90℃で乾燥する。
【0065】
本発明によるプロセスによって得られた架橋重合体セベラマー塩酸塩は、約3.74meq/gから約5.6meq/gの塩化物含有量、約4.7mmol/gから約6.4mmol/gのリン酸塩結合容量、および約12%から約18%の架橋度を有する。
【0066】
好ましくは、塩化物含有量は約4.3meq/gから約5.3meq/g、リン酸塩結合容量は約5.3mmol/gmから約6.0mmol/gm、架橋度は約12%から約16%の範囲である。
【0067】
本プロセスによって調製され、PBCを試験されたセベラマー塩酸塩は、以下の下記の特性を示す。
【0068】
カールフィッシャー < 5% 乾燥減量(LOD) < 5%
本プロセスによって得られたセベラマー塩酸塩は、色はオフホワイトであり、水中で懸濁すると、国際公開第2006/097942号に開示されているプロセスに従って得られるセベラマー塩酸塩より多く膨潤する。膨潤しやすい能力は、下の表Iに示されるHPLC IC方法による高くなったPAに表れている。
【0069】
表I IC法によるセベラマー塩酸塩リン酸塩結合容量
【0070】
【表1】

本明細書によって開示されるプロセスは、ICH要件に適合する目的も満たす。IPA洗浄し、棚段乾燥装置中で乾燥したバッチ[図5(バッチ番号86)、図6(バッチ番号87)および図7(バッチ番号89)]ではIPA汚染物質(ピーク2)を見ることができるが、図8(バッチ番号130)、図9(バッチ番号131)および図10(バッチ番号121)に示される本発明によって水洗し、FBD中で乾燥したバッチではIPA汚染物質は観測されなかった。
【0071】
Renagel錠剤は固相13C NMR技法によって分析した。粉末13C NMR技法によって、図1(バッチ番号644871)、図2(バッチ番号45273B)、図3(バッチ番号63455)および図4(バッチ番号33685A)に示されるピーク1および2の曲線下面積(AUC)を求めた。ピーク1とピーク2とのAUCの合計を百分率で表した架橋度と称する。
【0072】
Renagel製剤の架橋度は、10%から19%の範囲であった(表II)。従って、架橋度が安定しているセベラマー塩酸塩を製造することが望ましかった。本発明の目的は、12%から18%の範囲の架橋度を有する架橋重合体を製造することである。
【0073】
表II
【0074】
【表2】

−架橋度はプーナ(Pune)の国立化学研究所(National Chemical Laboratory)で記録した13C NMRによる。
【0075】
従って、本明細書によって開示されるプロセスは、図11(バッチ番号99)、図12(バッチ番号132)、図13(バッチ番号133)および図14(バッチ番号134)に示される約3.74meq/gから約5.60meq/gの塩化物含有量、約5.3mmol/gから約6.0mmol/gのリン酸塩結合容量、および約12%から約16%の安定な架橋度を有するセベラマー塩酸塩(表III)を作る主目的を満たす。
【0076】
表III
【0077】
【表3】

−架橋度はプーナの国立化学研究所で記録した13C NMRによる。
【0078】
本発明に記載のプロセスによって調製されたセベラマー塩酸塩は、セベラマー塩酸塩組成物を製剤化する際に用いられる。
【0079】
リン酸塩結合重合体セベラマーは水に不溶であるが、水と接触すると膨潤する。この膨潤する傾向によって、水性造粒法によってセベラマーを製剤化することが難しくなる。湿式造粒法によってセベラマーを製剤化する試みが行われたが、高せん断高速ミキサー造粒機または遊星ミキサーなどの装置の中で実施される高せん断非水造粒法については、従来技術はどれも成功するプロセスを開示していない。
【0080】
本発明の発明者らは、スプレイ造粒技法を用いるセベラマー塩酸塩の造粒を試みた。しかし、イソプロピルアルコールに溶解したエチルセルロースを含むバインダー溶液が非常に粘稠であり、造粒流体の活性成分への均一なスプレイ操作への障害となり、乾燥された集まりも粘着性となり粘着性のダマを形成するので、結果は満足すべきものでなかった。
【0081】
ホットメルト造粒およびホットメルト押し出し技法によるセベラマー塩酸塩組成物の調製のための試みも行われたが、非常に多量のバインダーが必要であり、製造された顆粒は適切な流れ特性を欠いていたので、結果は満足すべきものでなかった。
【0082】
従来技術は、セベラマー塩酸塩などのリン酸塩結合重合体の錠剤は湿式造粒法によっては不可能であると述べているが、本発明の発明者らは、高せん断非水造粒法によるセベラマー塩酸塩の造粒のための新規なプロセスを開発することに成功した。
【0083】
本発明によれば、高せん断非水溶造粒法を含むセベラマー塩酸塩組成物の調製のためのプロセスは、
(a)セベラマー塩酸塩と1つ以上の希釈剤との混合物を調製する工程、
(b)必要に応じて、調製された混合物を濡らす工程、
(c)バインダーを有機溶媒に溶解させることによって非水バインダー溶液を調製する工程、
(d)非水バインダー溶液を用いて高せん断非水造粒法により工程(a)または工程(b)の混合物を造粒して造粒された集まりを形成させる工程、
(e)造粒された集まりを乾燥する工程、
(f)ボールミルまたは流体エネルギーミルを用いて乾燥された集まりを磨砕して適当なサイズの顆粒を形成させる工程、
(g)磨砕された顆粒を潤滑化する工程、
(h)潤滑化された顆粒を圧縮して錠剤化するかまたは潤滑化された顆粒をカプセルの中に充填する工程、
(i)圧縮された錠剤を被覆する工程
を含む。
【0084】
本発明によれば、セベラマー塩酸塩の粒子は形状が丸く、特に球形またはタマゴ形である(図15参照)。球形またはタマゴ形のセベラマー塩酸塩の粒子は、バルク密度が低く、流動性が悪く、さらにサイズ低下しにくい。粒子は変形しにくく、破断も破壊もしない。セベラマー塩酸塩のこれらの特性が原因となり、直接圧縮法によってセベラマー塩酸塩を製剤化することは極めて難しくなる。本発明の実施において、活性成分セベラマー塩酸塩の球状の形態および親水性が製剤業者にとって特別な難問となるが、本発明の発明者らは、高せん断非水造粒法により、高速ミキサー造粒機または遊星型ミキサーを用いて、セベラマー塩酸塩組成物を調製することに成功した。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、高せん断非水造粒法によるセベラマー塩酸塩の調製のプロセスは、活性成分セベラマー塩酸塩と1つ以上の希釈剤との混合物を準備する工程、純水を用いて前記混合物を濡らす工程、非水溶媒を用いる非水造粒法によって、好ましくはバインダーを有機溶媒に溶解させることによって調製した非水バインダー溶液を用いて、さらに造粒する工程を含み、造粒プロセスは高速ミキサー造粒機中で実施される。造粒された集まりを乾燥する。乾燥された集まりは、最初に多重ミルを用い、次に流体エネルギーミルまたはボールミル、好ましくはボールミルを用いてさらに磨砕するかまたは粉砕して425ミクロン未満(40#)、好ましくは250ミクロン未満(60#)の顆粒サイズを得る。磨砕されるかまたは粉砕された顆粒を当分野で既知の滑沢剤を用いて潤滑化し、さらに圧縮して必要なサイズの錠剤を提供する。圧縮された錠剤をさらに非水被覆物または水性被覆物によって、または水性アルコール被覆物によって膜被覆する。
【0086】
好ましい実施態様によれば、セベラマー塩酸塩組成物の調製のプロセスは、セベラマー塩酸塩を1つ以上の希釈剤と混合する工程、純水に溶解したポリエチレングリコール6000(マクロゴール(Macrogol))の溶液を用いて混合物を濡らす工程、ポリビニルピロリドン(ポビドン(Povidone)K−30)をイソプロピルアルコールなどの有機溶媒に溶解させることによって非水バインダー溶液を調製する工程、さらに前記非水バインダー溶液を用いて造粒する工程、および顆粒を乾燥する工程を含む。多重ミルおよびボールミルによって摩砕した後、振動式篩分装置上で60#を通して乾燥された顆粒のサイズを揃え、普通に用いられる滑沢剤とブレンドする工程、および顆粒を圧縮する工程。コア錠剤をさらに水性プロセスによって4.0%から6.0%の重量増加を実現するまで膜被覆する。
【0087】
セベラマー塩酸塩は自由流動性の粉体ではなく、かさ高い。純水で濡らすと、粒子間距離が低下し、粒子間の接触面積が増加し、従ってセベラマー塩酸塩を非水造粒法にとって受け入れやすいものとする助けとなる。濡らす工程は、高速ミキサー造粒機または遊星型ミキサー中で実施する。本発明の実施において、活性成分と希釈剤との混合物を濡らす工程は、約2重量%から9重量%の純水を用いて実施する。あるいは、純水に溶解したポリエチレングリコールの溶液を用いて活性成分と希釈剤との混合物を濡らしてよい。代替法では、ポリエチレングリコール6000を混合工程の間に微粉として乾燥混合物中に加えてよい。ポリエチレングリコール6000または類似物などのさまざまな等級のポリエチレングリコールを用いてよい。
【0088】
本発明の実施において、非水造粒法はインペラを『オン』、チョッパーを『オフ』にした高速混合下で、臑動ポンプを用いて細い流れで連続的にゆっくりバインダーを加えることによって実施する。バインダー添加が完了した後、凝集性の粒状の集まりが得られるまで高インペラ速度で混合を続ける。集まりがダマ状であれば、インペラも高速としてチョッパーを高速で用いて一様な湿った集まりを得てよい。
【0089】
本発明によって実施される高せん断非水造粒法は、粒子の凝集性を改善し、錠剤に優れた流動性および圧縮特性を提供する。顆粒が良好な流れ特性を示すので、製造された錠剤は均一な重量を有する。
【0090】
造粒された集まりの乾燥は、流動床乾燥装置または棚段乾燥装置を用いて実施してよい。初期乾燥は、温度をかけないで実施し、さらに、造粒された集まりを、約9.0%の水が用いられるとき約8.0%から約10.0%の範囲の乾燥減量値か、濡らすために用いた水の量を考慮してもっと低い乾燥減量値が実現されるまで、約45℃から50℃で十分な時間乾燥する。遊星型ミキサーを造粒に用いる場合、湿った集まりを8.0mmスクリーンを用いて多重ミル上で磨砕し、次に乾燥のために充填する。
【0091】
好ましい実施態様によれば、プロセスは、セベラマー塩酸塩を1つ以上の希釈剤と混合する工程、必要に応じて高速ミキサー造粒機中で純水を用いて混合物を濡らす工程、エチルセルロースをイソプロピルアルコールなどの有機溶媒中に溶解させることによって非水バインダー溶液を調製する工程、前記非水バインダー溶液を用いてセベラマー塩酸塩と希釈剤との混合物を造粒し、顆粒を乾燥する工程を含む。最初に多重ミル、さらにボールミルで摩砕した後、振動篩分装置上で60#を通して乾燥顆粒のサイズを調整し、普通に用いられている滑沢剤とブレンドする工程、および顆粒を圧縮する工程。コア錠剤は、さらに膜被覆される。
【0092】
より好ましい実施態様によれば、セベラマー塩酸塩をマンニトールと混合し、純水を用いて濡らし、エチルセルロースをイソプロピルアルコール中に溶解させて調製した非水バインダー溶液を用いて造粒する。造粒は高速ミキサー造粒機中で実施し、造粒された集まりは約9.0%の乾燥減量が実現されるまで乾燥する。乾燥された集まりは、ボールミルを用いて必要なサイズの顆粒を実現し、滑沢剤を用いて潤滑化し、圧縮して錠剤化するかまたはカプセルの中に充填する。
【0093】
本発明の別の実施態様によれば、セベラマー塩酸塩組成物の調製のプロセスは、活性成分セベラマー塩酸塩と1つ以上の賦形剤との混合物を準備する工程、非水溶媒を用いて、好ましくはバインダーを非水溶媒に溶解させて調製した非水バインダー溶液を用いて高せん断非水造粒法により混合物を造粒する工程を含み、造粒プロセスは高速ミキサー造粒機中で実施される。造粒された集まりをさらに乾燥し、約3.0%から5.0%の範囲の乾燥減量値(活性セベラマー塩酸塩の乾燥減量と同様である)を実現する。乾燥された顆粒は、さらに流体エネルギーミルまたはボールミルを用いて、好ましくはボールミルを用いて磨砕するかまたは粉砕して425ミクロン未満(40#)、好ましくは250ミクロン未満(60#)の顆粒サイズを得る。磨砕されるかまたは粉砕された顆粒は、当分野で既知の滑沢剤を用いて潤滑化し、さらに圧縮して必要なサイズの錠剤を提供するかまたはカプセルの中に充填する。圧縮錠剤をさらに被覆してよい。
【0094】
一実施態様によれば、本明細書に記載の高せん断非水造粒プロセスによって提供される顆粒は、425ミクロン未満、好ましくは250ミクロン未満のサイズの球状顆粒である。乾燥された集まりは、多重ミル、同時ミル、キャドミルまたはフィッツミルなどの当分野で既知の通常の装置を用いて磨砕するかまたは粉砕してよいが、それらはセベラマー塩酸塩顆粒のサイズ減少のために用いるとき限界がある。425ミクロン未満(40#を通り抜ける)の顆粒サイズは通常のミルを用いて得ることが難しい。大きな顆粒は、顆粒の圧縮性を低下させて圧縮時に障害となり、低い硬度を有する多孔質の錠剤を作り出す。これらは、従って脆く、水性膜被覆時に吸湿の危険性がある。通常のミル上の0.5mmのスクリーンを通る摩砕、および60#を通る振動篩分装置上の篩分の後に保持される過大なサイズの顆粒を、ボールミルまたは流動化エネルギーミルの中で磨砕して425ミクロン未満、好ましくは250ミクロン未満の顆粒サイズを得る。
【0095】
本発明によれば、流体エネルギーミルまたはボールミルを用いるサイズ減少または粉砕によって、圧縮しやすい250ミクロン未満のサイズの球状顆粒を提供する。ボールミル法は顆粒のサイズ減少のための好ましいモードである。ボールミル法において、サイズ減少のプロセスは、衝撃および摩擦の組み合わせ効果によって生ずる。流体エネルギーミル中では、材料を空気に懸濁させ、高速で運び、平方インチあたり100から150ポンドでノズルを通過させる。激烈な空気の乱気流が粒子間摩擦によって粒子サイズを減少させる。大規模バッチの場合、出力および生産性の観点からボールミルが好ましい。
【0096】
磨砕された集まりを振動篩分装置によってさらに篩分し、過大なサイズの顆粒をミル、好ましくはステンレス鋼ボールを有するボールミルによって磨砕し、さらに振動篩分装置によって篩分する。集まりをボールミルで磨砕し、結果として得られる顆粒を、60#を通り抜けるまで振動篩分装置によって篩分する。好ましい態様によれば、本発明の顆粒は、好ましくは100%が60#または40#を通り抜ける顆粒サイズを有する。250ミクロン以下の顆粒サイズが満足すべき顆粒の圧縮を提供し、さらに、厳格な水性膜塗布に耐えることができる滑らかな不浸透性表面を有する優れた非多孔質、非破壊性錠剤を提供する。
【0097】
本発明の実施において、100%の顆粒が60#を通り抜けるように、100Nより大きな硬度、0.8%未満、好ましくは0から0.1%の範囲の脆さ、および約5分間の崩壊時間を有する滑らかな不浸透性表面と、滑らかな水性膜塗布操作とを示す錠剤を提供するように、顆粒サイズを制御する。顆粒サイズを425ミクロン未満(40#を通り抜ける)、好ましくは250ミクロン未満(60#を通り抜ける)に制御することによって、優れた錠剤を製造する。
【0098】
好ましい実施態様では、水性被覆法を用いて錠剤の被覆を実施する。セベラマー塩酸塩は水の存在下で膨潤する傾向があるので、親水性活性成分の水性被覆は別の難しいプロセスであり、本発明の発明者らにとって実に難しい問題であった。コアの硬度を微調整して良好な被覆を保証する硬いコアの必要性に合わせると同時に被覆錠剤の崩壊のための要件も満たすことによって、水性被覆を実現した。錠剤コアは硬く不浸透性の滑らかな表面を有するので水性膜被覆に耐え、重合体セベラマー塩酸塩は被覆時に膨潤しない。
【0099】
膜被覆は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸共重合体などの重合体を用いて実施してよい。促成混合被覆材料は、プロピレングリコール、トリアセチンまたはポリエチレングリコールから選ばれた可塑剤を含んでよい。組成物全体の約3.0重量%から約8.0重量%の範囲の被覆剤を用いてよい。
【0100】
錠剤は、適当なパンチおよび金型を用いて圧縮してよい。錠剤は、タマゴ形、楕円形、球形またはカプレット形であってよい。圧縮は、回転錠剤プレスなどの当分野で既知の装置を用いて実施してよい。本発明によるプロセスによって調製される錠剤は、崩壊の規格(限界は30分を超えない)を満たす。硬度、脆さおよび厚さなどの錠剤の他のパラメータが測定され、結果は確立された合格基準の要件を満たした。
【0101】
セベラマー塩酸塩の組成物、特に錠剤はアルミニウムストリップに充填するかまたはブリスター包装の低温プロセスである低温成形ブリスターパックによって充填してよい。ブリスターパックは無視できる水蒸気透過性および適切な貯蔵時環境保全性の優れた水分バリアとして働く。錠剤またはカプセル組成物も、必要に応じて脱湿剤とともにバルク充填してよい。
【0102】
別の実施態様によれば、高せん断非水造粒プロセスによって製造された球状顆粒は適当な賦形剤とともに適当なサイズの硬質ゼラチンカプセルの中に充填してよい。カプセル充填は、適当なカプセル充填機械を用いて実施してよい。
【0103】
本発明は、セベラマー塩酸塩の治療効果のある量を適当な薬学的に許容される賦形剤とともに含む医薬品組成物をさらに提供する。前記組成物は、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御に用いられる。
【0104】
一実施態様によれば、本発明の組成物は、組成物全体の約66.0重量%から約80.0重量%の範囲の活性成分セベラマー塩酸塩を含む。より詳しくは、本発明のセベラマー塩酸塩組成物は、大量/少量製剤である400mgおよび800mgの用量強度で提供してよい。
【0105】
好ましい実施態様によれば、組成物は約66.0重量%から約80.0重量%のセベラマー塩酸塩、約5.0重量%から約21.0重量%の希釈剤、約3.0重量%から約15.0重量%のバインダー、約0.10重量%から約3.0重量%の滑剤、約0.10重量%から約3.0重量%の滑沢剤および約3.0重量%から約8.0重量%の被覆剤から構成される。
【0106】
別の好ましい実施態様によれば、組成物は70.0重量%から72.0重量%のセベラマー塩酸塩、7.0重量%から10.0重量%のマンニトール、7.35重量%から7.5重量%のエチルセルロース、0.25重量%から0.3重量%のコロイド二酸化ケイ素、0.25重量%から0.3重量%の滑沢剤および5.0重量%から6.0重量%の被覆剤から構成される。
【0107】
さらに別の好ましい実施態様によれば、組成物は75.0重量%から78.0重量%のセベラマー塩酸塩、7.0重量%から10.0重量%のマンニトール、7.35重量%から8.0重量%のエチルセルロース、0.6重量%から0.9重量%のコロイド二酸化ケイ素、0.6重量%から0.9重量%の滑沢剤および5.0重量%から6.0重量%の被覆剤から構成される。
【0108】
本発明の組成物は、希釈剤、バインダー、滑沢剤、滑剤、着色剤、被覆剤、可塑剤および類似物から選ばれる1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含んでよい。
【0109】
希釈剤は、通常、組成物にバルクを提供する物質である。本発明によるセベラマー塩酸塩組成物の調製のために用いてよい希釈剤は、トウモロコシ澱粉、アビセル(Avicel)PH101、112、102のようなさまざまな等級の微結晶セルロース、予備ゼラチン化澱粉、マンニトール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムおよび類似物を含むがそれらに限定されない。マンニトールが好ましい希釈剤である。希釈剤は、組成物全体の約5重量%から約21重量%の範囲で用いてよい。
【0110】
ラクトースおよびデキストロースを希釈剤として用いる錠剤組成物は、錠剤がメイラード反応によって黄褐色に変化するにつれて退色を示す。多くの場合、糖尿病が末期腎不全(ESRD)の主原因なので、希釈剤としての糖の使用は避ける。同様に、セベラマーはリン酸塩結合重合体であり、任意のリン酸塩含有希釈剤はセベラマーのリン酸塩結合活性と競合し得るので、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウムも避ける。
【0111】
製剤の最終用途を考慮するとマンニトールが好ましい希釈剤である。経口投与すると、マンニトールは消化管からあまり吸収されない。マンニトールは、直接圧縮錠剤用途において、または湿式造粒法において用いられる。マンニトールを含む造粒には容易に乾燥する利点がある。セベラマー塩酸塩は湿度に敏感なので、マンニトールは吸湿性でなく好ましい希釈剤である。マンニトールのさまざまな等級が市販されている。好ましいマンニトールの等級は、フランスのRoquetteのPearlitol SD200を含む。
【0112】
バインダーは、錠剤製剤に凝集性を付与し、錠剤が圧縮後に変化しないでいることを保証する。本発明によるセベラマー塩酸塩組成物の調製に用いてよいバインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、他のセルロース誘導体、トウモロコシ澱粉、単独またはポリエチレングリコールと組み合わせたポリビニルピロリドンおよび類似物とを含むがそれらに限定されない。バインダーは、組成物全体の約3.0重量%から約15.0重量%の範囲で用いてよい。本発明の実施において好ましいバインダーは、エチルセルロースおよびポリビニルピロリドンとポリエチレングリコール6000とである。
【0113】
さまざまな粘度を有するさまざまな等級のエチルセルロースが市販されている。特定の等級または種々の等級のブレンドのエチルセルロースを用いて所望の粘度の溶液を得てよい。4cpsから22cpsの範囲の粘度を有するエチルセルロースが用いられ、約5cpsから15cpの粘度を有するエチルセルロースが好ましい。セベラマー塩酸塩錠剤のために用いられるエチルセルロースの好ましい等級は、Dow Chemical Companyによって製造されるエトセルEC−N7ファーム(Pharm)である。エチルセルロースは、経口摂取後代謝されず、従って非カロリー物質である。
【0114】
本発明によるセベラマー塩酸塩組成物の調製のために用いてよい滑沢剤は、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリルフマル酸カルシウム、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウムおよび類似物を含むがそれらに限定されない。用いてよい滑剤は、コロイド二酸化ケイ素、タルクおよび類似物を含む。滑沢剤および滑剤は、組成物全体の約0.1重量%から約3.0重量%の範囲で用いてよい。
【0115】
本発明の別の実施態様によれば、組成物中に用いられる活性成分セベラマー塩酸塩は、約4.7mmol/gmから約6.4mmol/gmのリン酸塩結合容量を有する。
【0116】
本明細書に記載のプロセスによって調製される組成物は、約3%から約12%、特に約7%から約9%の乾燥減量値を有する。
【0117】
本発明は非水造粒のためにイソプロピルアルコールなどの有機溶媒を利用するが、最終生成物中の有機揮発性不純物のレベルは非常に低く、許容限度内である。(ICH指針による限度5000ppm)
本明細書に記載の新規プロセスによって調製された組成物は、温度および相対湿度の加速安定性条件に耐え、安定性の加速条件において物理的および化学的一体性を維持する。
【0118】
本発明は、さらに、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御におけるセベラマー塩酸塩の組成物の使用を提供する。
【0119】
一実施態様によれば、本発明は、セベラマー塩酸塩組成物の治療効果のある量を投与することを含む、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者を治療するための方法を提供する。
【0120】
本明細書中で用いられる用語「治療効果のある量」は、臨床的に明らかな条件で患者の改善をもたらすかまたは患者の疾病、疾患または状態を予防さえするのに十分な量を指す。
【0121】
本明細書中で用いられる用語「賦形剤」は、顆粒および/または固体経口投与製剤を調製するために製剤加工において普通に用いられる薬学的に許容される成分を指す。
【0122】
本明細書中で用いられる用語「錠剤」は、被覆されていようと被覆されていまいと、すべての形状およびサイズの圧縮された医薬品用量製剤を包含するものとする。
【0123】
以下の実施例を参照してさらに本発明を例示する。実施例は、本発明の範囲をまったく限定しない。本開示の目的および範囲から逸脱することなく材料および方法の両方について多くの変化形を実施することができることは、当業者に自明である。
【実施例】
【0124】
実施例1
ポリアリルアミン塩酸塩の調製
5℃から15℃の温度を維持してアリルアミン(75g)を塩酸(134,2g)に加えた。pHを1から2に調節し、この溶液を30分間撹拌した。真空下90℃未満の温度で酸性水の回収を実施してアリルアミン塩酸塩を得、粘稠な集まりが得られるまで、加えたアリルアミン基準で大体約1体積の水を蒸留させて除く。反応混合物を25℃から35℃に冷却し、水を加えて一様なスラリーを得、反応混合物を80℃から85℃に加熱した。開始剤VA−086(9.82g)を何回かに分けて加えた。VA−086の最初のロットは約4時間後80℃から85℃で加えた。反応混合物を80℃から85℃でさらに8時間維持した。VA−086の2番目のロットを約2時間後に80℃から85℃で加え、反応混合物を80℃から85℃にさらに10時間維持した。集まりを40℃から50℃に冷却し、溶液をメタノール(1843ml)に少しずつ投入した(反応停止)。ポリアリルアミン塩酸塩の含液ケーキを25℃から35℃で45分間撹拌してメタノール(921ml)で2回連続して洗浄した。結果として得られた集まりを真空下65℃から70℃で乾燥した。
【0125】
実施例2
セベラマー塩酸塩の調製
50gのポリ(アリルアミン塩酸塩)と75mlの水とを25℃から35℃で混合して透明な溶液を得た。溶液をさらに5℃から15℃に冷却し、13.68gの水酸化ナトリウムの水溶液を5℃から15℃で反応混合物に加え、30分間撹拌し、400mlのトルエンと2gのスパン−85とを5℃から15℃で加えた。次に、反応混合物の温度を20℃から25℃に上げ、15分間維持した。反応混合物を25℃から35℃でろ過して異物をすべて除去した。ろ液の温度をさらに55℃から60℃に上げ、15分間維持した。55℃から60℃の一定の温度で反応混合物に4.5gのエピクロロヒドリンを加え、55℃から60℃で3時間維持した。反応混合物を25℃から35℃に冷却し、生成物を遠心分離によって単離した。含液ケーキをさらに水(3×750ml)で25℃から50℃でほぐして45分間洗浄し、ろ過し、FBD中25℃から90℃で乾燥させた。
【0126】
塩化物含有量 − 4.45meq/g
IC法によるリン酸塩結合容量 − 5.97mmol/g
架橋度 − 16.4%
収率 − 77.0重量/重量%。
【0127】
実施例3
ポリ(アリルアミン塩酸塩)(50g)と水(75ml)とを25℃から35℃で混合して透明な溶液を得た。溶液をさらに5℃から15℃に冷却し、14.41gの水酸化ナトリウムの水溶液を反応混合物に5℃から15℃で加え、30分間撹拌した。5℃から15℃でトルエン(400ml)およびスパン−85(2g)を加えた。次に、温度を20℃から25℃に上げ、15分間維持した。反応混合物を25℃から35℃でろ過して異物をすべて除去した。ろ液の温度をさらに55℃から60℃に上げ、15分間維持した。55℃から60℃の一定の温度でエピクロロヒドリン(3.395g)を反応混合物に加え、55℃から60℃で3時間維持した。反応混合物を25℃から35℃に冷却し、生成物を遠心分離によって単離した。含液ケーキをさらに25℃から50℃で、水(3×750ml)で45分間3回、最後にイソプロパノール(750ml)でほぐし、続いてろ過し、棚段乾燥装置中25℃から90℃で乾燥した。
【0128】
塩化物含有量 − 4.8meq/g
IC法によるリン酸塩結合容量 − 5.39mmol/g
架橋度 − 13.8%
収率 − 70.4%重量/重量。
【0129】
実施例4
ポリ(アリルアミン塩酸塩)(50g)と水(75ml)とを25℃から35℃で混合して透明な溶液を得た。溶液をさらに5℃から15℃に冷却し、14.41gの水酸化ナトリウムの水溶液を反応混合物に5℃から15℃で加え、30分間撹拌した。5℃から15℃でトルエン(400ml)およびスパン−85(2g)を加えた。次に、反応混合物の温度を20℃から25℃に上げ、15分間維持した。反応混合物を25℃から35℃でろ過して異物をすべて除去した。温度をさらに55℃から60℃に上げ、15分間維持した。エピクロロヒドリン(4.5g)を一定の温度(55℃から60℃)で反応混合物に加え、55℃から60℃で3時間維持した。反応混合物を25℃から35℃に冷却し、生成物を遠心分離によって単離した。含液ケーキをさらに25℃から50℃で、水(3×750ml)で45分間3回ほぐし、FBD中25℃から90℃で乾燥した。
【0130】
塩化物含有量 − 4.68meq/g
IC法によるリン酸塩結合容量 − 5.51mmol/g
架橋度 − 15.38%
収率 − 76.0%重量/重量。
【0131】
実施例5
ポリ(アリルアミン塩酸塩)(50g)と水(75ml)とを25℃から35℃で混合して透明な溶液を得た。溶液を5℃から15℃にさらに冷却し、14.41gの水酸化ナトリウムの水溶液を5℃から15℃で反応混合物に加え、30分間撹拌した。トルエン(400ml)およびスパン−5(2g)を5℃から15℃で加えた。次に、温度を20℃から25℃に上げ、15分間維持した。反応混合物を25℃から35℃でろ過して異物をすべて除去した。ろ液の温度をさらに55℃から60℃に上げ、15分間維持した。エピクロロヒドリン(4.5g)を55℃から60℃の一定の温度で反応混合物に加え、55℃から60℃で3時間維持した。反応混合物を25℃から35℃に冷却し、遠心分離によって生成物を単離した。含液ケーキをさらに25℃から50℃で、水(3×750ml)で45分間、最後にイソプロパノール(750ml)でほぐし、続いてろ過した。次に、含液ケーキを棚段乾燥装置中25℃から90℃で乾燥する。
【0132】
塩化物含有量 − 5.02meq/g
IC法によるリン酸塩結合容量 − 5.26mmol/g
架橋度 − 15.17%
収率 − 75.0%重量/重量。
【0133】
実施例6
セベラマー塩酸塩(1.2kg)と微結晶(アビセルPH101)(0.28kg)とを同時篩分し、高速ミキサー造粒機(RMG)中で混合した。ポリエチレングリコール6000(0.135kg)の純水溶液を調製し、RMG中の混合物に加えた。ポビドンK30(0.153kg)のイソプロピルアルコール溶液を調製し、RMGに加えた。造粒された集まりを乾燥させた。多重ミル/篩分装置を用いて、さらにボールミルを用いて乾燥された集まりを磨砕して60#の篩いを通り抜ける顆粒を得た。コロイド二酸化ケイ素(0.009kg)およびステアリン酸(0.009kg)を用いてコンタ(conta)ブレンダー中で顆粒を潤滑化した。潤滑化顆粒を通常の錠剤成形機上で圧縮してセベラマー塩酸塩の400mg錠剤を製造した。400mg錠剤に用いた重量の2倍の重量のブレンドを用いてセベラマー塩酸塩錠剤800mgを調製した。さらに水系プロセスによって約4.0%から約6.0%の範囲の重量増加が実現されるまでコア錠剤を膜被覆した。
【0134】
実施例7
マンニトール(0.164kg)と予備篩分したセベラマー塩酸塩(1.2kg)とを高速ミキサー造粒機中で混合した。純水を加えて混合物を濡らした。エチルセルロース(0.128kg)をイソプロピルアルコールに溶解させてバインダー溶液を調製した。臑動ポンプを用いてバインダー溶液を高速混合中のRMG中の混合物に加えて凝集性の集まりを得た。多重ミル/篩分装置を用いて、さらにボールミルを用いて乾燥された集まりを磨砕して60#の篩いを通り抜ける顆粒を得た。コロイド二酸化ケイ素(0.009kg)およびステアリン酸(0.009kg)を用いてコンタブレンダー中で顆粒を潤滑化した。潤滑化顆粒を通常の錠剤成形機上で圧縮してセベラマー塩酸塩の400mg錠剤を製造した。400mg錠剤に用いた重量の2倍の重量のブレンドを用いてセベラマー塩酸塩錠剤800mgを調製した。さらに水系プロセスによって約4.0%から約6.0%の範囲の重量増加が実現されるまでコア錠剤を膜被覆した。
【0135】
実施例8
セベラマー塩酸塩1.2kgをパーリトールSD200(約0.160kg)とともに振動篩分装置上の20メッシュSS篩いによって同時篩分し、高速ミキサー造粒機中に充填し、約5分間混合した。約127.5gmのエトセルN7ファームを400gmのイソプロピルアルコール中に溶解させて調製したバインダー溶液を高速下の高速ミキサー造粒機中の乾燥混合物に加えた。添加は、連続な流れの中で少しずつ実施した。バインダーの添加の後、高速でさらに混合を行って凝集性の造粒された集まりを得た。次に、造粒された集まりをグラット(Glatt)乾燥装置またはレッチ(Restch)乾燥装置中で熱を加えずに空気乾燥させ、さらに5.0%重量/重量を超えない乾燥減量値が実現されるまで約40℃から45℃で乾燥させた。乾燥した集まりを実施例6に記載の手順によって磨砕し、潤滑化し、圧縮した。代替法では、造粒のために遊星型ミキサーを用いた。
【0136】
上記明細書は本発明の原理を教示するが、例示目的で提供した実施例によって、本発明の実施は、通常の変化形、適応形および/または変更形をすべて以下の請求項および請求項の均等物の範囲内に属するとして包含すると理解される。
















【特許請求の範囲】
【請求項1】
4.7mmol/gから6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩の調製のための改良プロセスであって、
(a)ポリアリルアミン塩酸塩を水に溶解させて水溶液を得る工程、
(b)前記ポリアリルアミン塩酸塩水溶液をポリアリルアミン塩酸塩に対して65モル%から70モル%のアルカリで部分中和する工程、
(c)分散剤を炭化水素溶媒に注入して溶液を得る工程、
(d)部分中和ポリアリルアミン塩酸塩水溶液を工程(c)で得た溶液と混合する工程、
(e)前記得られた反応混合物を毎分約40回転から毎分約250回転の速度で撹拌して有機相中の水相の微細な分散を得る工程、
(f)工程(e)で得た前記懸濁液を高温で加熱する工程、
(g)ポリアリルアミン塩酸塩に対して5重量%から12重量%のエピクロロヒドリンを工程(f)の前記懸濁液に注入し、架橋が完了するまで高温を維持する工程、
(h)前記反応混合物を25℃から35℃の温度で冷却し、前記得られたケーキを水で洗浄して前記化合物を単離する工程、および
(i)前記含液ケーキを流動床乾燥装置中約25℃から約90℃の温度で乾燥して4.7mmol/gから6.4mmol/gのリン酸塩結合容量を有するセベラマー塩酸塩を得る工程
を含むプロセス。
【請求項2】
ポリアリルアミン塩酸塩は、アリルアミンを塩酸と反応させてアリルアミン塩酸塩を得る工程、および前記得られたアリルアミン塩酸塩をフリーラジカル開始剤VA−086の存在下で重合させてポリアリルアミン塩酸塩を得る工程によって調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ポリアリルアミン塩酸塩は、0.14デシリットル/gから0.22デシリットル/gの固有粘度を有する、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アルカリは水酸化ナトリウムである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記分散剤は、ソルビタントリオレエートなどのトリオレエート界面活性剤から選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記炭化水素溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン類、クロロベンゼン類、ニトロベンゼン類またはそれらの混合物などの脂肪族または芳香族炭化水素から選ばれる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記高温は40℃から150℃である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
単離は、吸引下のヌッチェろ過または遠心分離によって実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
約3.74meq/gから約5.6meq/gの塩化物含有量、約4.7mmol/gmから約6.4mmol/gmのリン酸塩結合容量、および約12%から約18%の架橋度を有する架橋された重合体セベラマー塩酸塩。
【請求項10】
治療効果のある量の高せん断非水造粒化活性成分セベラマー塩酸塩を適当な薬学的に許容される賦形剤とともに含む医薬品組成物。
【請求項11】
活性成分セベラマー塩酸塩は、請求項1に記載のプロセスによって調製される、請求項10に記載の医薬品組成物。
【請求項12】
前記セベラマー塩酸塩は、前記組成物全体の約66重量%から約80重量%存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
前記賦形剤は、希釈剤、バインダー、滑沢剤、滑剤、着色剤、可塑剤および膜被覆剤からなる群から選ばれる、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記希釈剤は、トウモロコシ澱粉、予備ゼラチン化澱粉、マンニトール、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選ばれる、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記希釈剤はマンニトールである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとポリエチレングリコールとの混合物、およびトウモロコシ澱粉からなる群から選ばれる、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記バインダーはエチルセルロースである、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物は錠剤またはカプセルの形である、請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
前記用量強度は、400mgまたは800mgである、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物の前記リン酸塩結合容量は、約4.7mmol/gから約6.4mmol/gである、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物は、約66.0重量%から約80.0重量%のセベラマー塩酸塩、約5.0重量%から約21.0重量%の希釈剤、約3.0重量%から約15.0重量%のバインダー、約0.1重量%から約3.0重量%の滑剤、約0.1重量%から約3.0重量%の滑沢剤および約3.0重量%から約8.0重量%の被覆剤から構成される、請求項10に記載の組成物。
【請求項22】
高せん断非水造粒法を含むセベラマー塩酸塩組成物の調製のためのプロセスであって、
(a)セベラマー塩酸塩と1つ以上の希釈剤との混合物を調製する工程、
(b)必要に応じて、前記調製された混合物を濡らす工程、
(c)バインダーを有機溶媒に溶解させることによって非水バインダー溶液を調製する工程、
(d)バインダー溶液を用いて高せん断非水造粒法により工程(a)または工程(b)の前記混合物を造粒して、造粒された集まりを形成させる工程、
(e)前記造粒された集まりを乾燥する工程、
(f)ボールミルを用いて前記乾燥された集まりを磨砕して必要なサイズの顆粒を形成させる工程、および
(g)前記磨砕された顆粒を潤滑化する工程
を含むプロセス。
【請求項23】
前記高せん断非水造粒法は、高速ミキサー造粒機または遊星型ミキサーの中で実施される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記希釈剤は、トウモロコシ澱粉、予備ゼラチン化澱粉、マンニトール、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムからなる群から選ばれる、請求項22に記載のプロセス。
【請求項25】
前記希釈剤はマンニトールである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項26】
前記混合物の濡らし工程は、水またはポリエチレングリコール水溶液を用いて実施される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項27】
前記バインダーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンとポリエチレングリコールとの混合物、およびトウモロコシ澱粉からなる群から選ばれる、請求項22に記載のプロセス。
【請求項28】
前記バインダーはエチルセルロースである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項29】
前記有機溶媒はイソプロピルアルコールである、請求項22に記載のプロセス。
【請求項30】
前記必要な顆粒サイズは425ミクロン未満である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項31】
前記必要な顆粒サイズは250ミクロン未満である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項32】
前記潤滑化された顆粒は、さらに錠剤に圧縮される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項33】
前記錠剤は、さらに膜被覆される、請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記潤滑化された顆粒は、さらにカプセルの中に充填される、請求項22に記載のプロセス。
【請求項35】
請求項22に記載のプロセスによって調製された請求項10から請求項21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物は、血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御に用いられる、請求項10から請求項21および請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者の血中リンの制御における請求項10から請求項21と請求項35および請求項36とのいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項38】
血液透析中の慢性腎疾患(CKD)の患者を処置する方法であって、請求項10に記載の組成物を前記患者に投与することを含む方法。
【請求項39】
実質的に実施例1から実施例8を参照して本明細書に記載されている、請求項1から請求項36のいずれか1項に記載のセベラマー塩酸塩およびセベラマー塩酸塩組成物の調製プロセス。

【公表番号】特表2010−502590(P2010−502590A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526262(P2009−526262)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000387
【国際公開番号】WO2008/062437
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(506078563)ユーエスヴィー リミテッド (7)
【Fターム(参考)】