説明

セラミックグリーンシートの積層装置及びその方法

【課題】熱と圧力により個々のセラミックグリーンシートを接合してセラミック積層体を形成する際の積層ズレを防止する。
【解決手段】厚板状の下金型6と、下金型6の上面側に設けられる加熱プレス設備8とを有し、下金型6は、その厚み部分を貫通する貫通孔7と、下金型6の厚み部分に内設されて下金型6を加熱する第1の加熱機構15とを備え、加熱プレス設備8は、上金型9と、上金型9の下面9aでかつ貫通孔7と符合する位置に立設される少なくとも2の孔開けピン10と、上金型9の下面側9aに配設され、孔開けピン10をその厚み部分に挿通しながら孔開けピン10の軸方向にスライド可能に設けられる平板体12とを備え、上金型9は、その厚み部分に内設されて上金型9を加熱する第2の加熱機構16を具備し、貫通孔7は、セラミックグリーンシート5の載置部の対辺に少なくとも1対ずつ形成されるセラミックグリーンシートの積層装置1による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置として機能させるために半導体素子や水晶振動子等の電子部品を収納するセラミックスパッケージ等を作成する目的で用いられるセラミックグリーンシートの積層装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のセラミックグリーンシートを位置ズレさせることなく積層して接合する場合、ロール状のセラミックグリーンシートを所望の矩形状に切断し、その外周辺部にダミー部を設け、それぞれのセラミックグリーンシートのダミー部に位置合わせを行うための基準用の貫通孔を予め設ける手法が多く用いられている。
このような貫通孔は、焼成後に配線パターンとなる導電性ペースト等をセラミックグリーンシートにスクリーン印刷する際に、印刷台上の所定の位置にセラミックグリーンシートをセッティングするために利用することができる。
すなわち、スクリーン印刷用の印刷台上にガイドピンを立設しておき、セラミックグリーンシートに形成される貫通孔にこのガイドピンを挿通させることで印刷位置決めの基準とすることができる。
さらに、このようにスクリーン印刷が完了したセラミックグリーンシートを位置あわせしながら積層する際には、積層装置のラミネート治具板上に位置あわせ用のガイドピンを立設し、セラミックグリーンシートの貫通孔にこのガイドピンを挿通させることでセラミックグリーンシート同士の位置ズレを防止しながら積層していた。
【0003】
しかしながらロール状のセラミックグリーンシートを所望の大きさの矩形状に切断して用いる場合、スクリーン印刷時に加熱乾燥を繰り返したり、印刷面の平滑化を目的として加圧したりすると、セラミックグリーンシートに繰り返し作用する熱や圧力によりセラミックグリーンシートの膨張と収縮が繰り返される結果、セラミックグリーンシートの寸法バラツキが大きくなってしまっていた。
このため、セラミックグリーンシートを積層する際にセラミックグリーンシートの貫通孔に積層装置のラミネート治具板上に立設されるガイドピンを挿通することができない場合があった。
【0004】
そこで、セラミックグリーンシートにスクリーン印刷を繰り返す際の変形を抑制する目的で、矩形状に切断されたセラミックグリーンシートを、金属製の窓枠形状の枠体の内側に配置し、このセラミックグリーンシートの縁部と枠体の内側面を対向させた状態で、例えば、接着テープ等を用いてセラミックグリーンシートの外縁を枠体に固定するという手法が用いられるようになった。
そして、例えば、セラミックグリーンシートにスクリーン印刷をする際の位置決め方法としては、例えば、セラミックグリーンシートの外縁近傍に形成されるダミー部に予め貫通孔を形成しておき、この貫通孔を画像認識装置で認識させて位置決めを行っていた。
さらに、セラミックグリーンシートを積層する際の位置決め方法としては、セラミックグリーンシートを枠体に保持したまま、セラミックグリーンシートのダミー部に形成される貫通孔に治具板上に立設されるガイドピンを挿通させてセラミックグリーンシートの位置を固定しながら積層していた。
【0005】
また、特許文献1には「積層装置」という名称で、シート積層法による多層セラミック基板を製造する際にセラミックグリーンシートを積層するための積層装置に関する発明が開示されている。
特許文献1に係る「積層装置」は、セラミックグリーンシートを吸着して外形打ち抜き加工を行って枠体を分離した後に、撮像装置により基準用の貫通孔を確認して、この貫通孔に正確に治具板上に立設される位置合わせ用のガイドピンを挿通することで複数枚のセラミックグリーンシートを積層させるものである。
特許文献1に係る「積層装置」によれば、セラミックグリーンシートを積層する際の位置決め精度を高めることができるという効果を有する。
【0006】
また、特許文献2には「グリーンシートの積層方法」という名称で、セラミックグリーンシートの積層時に、ガイド孔を形成したり、ガイドピンを使用することなくセラミックグリーンシートを精度よく積層することができるグリーンシートの積層方法に関する発明が開示されている。
特許文献2に係る「グリーンシートの積層方法」は、少なくとも2ヶ所以上の基準穴を有するグリーンシートの外周部にスリット状の切欠きを入れて予め内部残留応力を除去し、この内部残留応力が除去されたグリーンシートを位置決めテーブルに載置し、該載置されたグリーンシートの前記基準穴を認識し、該認識結果に基づいて少なくともX、Y軸の水平方向の位置補正を行い、該位置補正終了後のグリーンシートの外周部の所定位置を切断し、該切断されたグリーンシートの切断端面を基準として順次積層する方法である。
特許文献2に係る「グリーンシートの積層方法」によれば、セラミックグリーンシートを積層する際の位置決め精度を高めることができると同時に、従来ガイド孔を設けていた領域にも配線パターンを印刷することが可能となり、製品であるセラミック基板の歩留まりを向上させることができるという効果を有する。
また、セラミックグリーンシートの積層体を加圧接着した後にガイド孔が形成された位置を切断する工程を設ける必要がないので、セラミック基板の生産効率を高めることができるという効果を有する。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−124947号公報
【特許文献2】特開平7−308911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような従来技術のように、セラミックグリーンシートを枠体に保持したまま治具板上に立設される位置合わせ用のガイドピンに順次挿通して重ね合わせる手法を採用した場合、セラミックグリーンシートに予め形成される貫通孔にガイドピンを確実に挿通させるためには、セラミックグリーンシートとガイドピンとの間にクリアランスを設けねばならず、この結果、積層されるセラミックグリーンシート同士の位置ズレを一定以上小さくすることができないという課題があった。
また、治具板上に立設されるガイドピンが万一治具板上に垂直に立設されていなかったり、あるいは、治具板自体に反り等の不具合がある場合には、撮像装置を用いたとしてもセラミックグリーンシートを積層した際の位置ずれを防止することは困難であった。
このため、使用の度に治具板及びガイドピンを入念にメンテナンスする必要があり、その作業が極めて煩雑であった。
【0009】
また、特許文献1に記載の発明の場合、積層されるそれぞれのグリーンシートに印刷されるパターンはそれぞれ異なっている。
このため、グリーンシートから枠体を除去した際に、個々のグリーンシートがそれぞれ異なる収縮率で収縮してしまう可能性が高く、また万一、接着下治具板上にガイドピンが垂直に立設されていなかったり、あるいは、接着下治具板自体に反りや撓み等の不具合がある場合には、撮像装置を用いたとしてもグリーンシートを積層した際の位置ずれの発生を防止することは困難であった。
このため、使用の度に治具板及びガイドピンを入念にメンテナンスする必要があり、その作業がやはり煩雑であった。
さらに、特許文献1に開示される「積層装置」は、接着下治具板上に積層されるグリーンシートを加熱および加圧するためのホットプレス設備を備えるものではない。
このため、接着下治具板ごと積層されるグリーンシートをホットプレス設備に搬送する必要があり、搬送中に振動等によりガイドピンや接着下治具板に傾き等が生じてグリーンシートに積層ズレが生じてしまう可能性もあった。
【0010】
また、特許文献2に記載の発明もセラミックグリーンシートからシート枠を除去してから積層する方法であり、特許文献1に記載の発明の場合と同様に、セラミックグリーンシートに一旦切欠きを設けて内部応力を除去したとしても、シート枠の除去に伴い、個々のセラミックグリーンシートがそれぞれ異なる収縮率で収縮してしまうので、セラミックグリーンシートの切断端を基準として順次積層した場合であっても、セラミックグリーンシートの全面にわたって高精度に位置合わせするのは難しいという課題があった。
さらに、特許文献2に開示される「グリーンシートの積層方法」に用いられるグリーンシート積層装置も、積層治具内に収容される積層済グリーンシートを加熱および加圧する設備を一体に備えたものではない。
このため、積層治具内に収容される積層済グリーンシートを加圧接着するためには、積層治具ごとホットプレス設備に搬送しなければならず、この場合、搬送中に振動等により積層されたグリーンシートに位置ずれが生じてしまう可能性があった。
また、グリーンシートを積層するために、やはり積層治具を用いる必要があり、積層治具のメンテナンスが煩雑であるという課題もあった。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、セラミックグリーンシートを複数積層する際に、枠体に保持されたまま積層されたセラミックグリーンシートに孔開けピンを挿通して拘束することで平面方向への変形を防止しながら、熱と圧力により個々のセラミックグリーンシートを接合してセラミック積層体を形成させることのできるセラミックグリーンシートの積層装置及びその積層方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるセラミックグリーンシートの積層装置は、複数のセラミックスグリーンシートを重ね合わせて温度と圧力をかけて接合してセラミック積層体を形成するための積層装置であって、このセラミック積層装置は、枠体に保持された状態で積層されたセラミックグリーンシートを支持すると同時に、積層されたセラミックグリーンシートを下面側から加熱する下金型と、下金型の上面側に設けられ、積層された前記セラミックグリーンシートの上面側から加熱及び加圧する加熱プレス設備とを有し、下金型は、その厚み部分を貫通する貫通孔と、下金型の厚み部分に内設されて下金型を加熱する第1の加熱機構とを備え、加熱プレス設備は、下金型の上面と略平行に配設される上金型と、上金型の下面でかつ貫通孔と符合する位置に立設される少なくとも2の孔開けピンと、上金型の下面側に配設され、孔開けピンをその厚み部分に挿通しながら孔開けピンの軸方向にスライド可能に設けられる平板体とを備え、上金型は、その厚み部分に内設されて上金型を加熱する第2の加熱機構を具備し、貫通孔は、セラミックグリーンシートの載置部の対辺に少なくとも1対ずつ形成されることを特徴とするものである。
上記構成の発明において、下金型は、枠体に保持された状態で重ね合わされたセラミックグリーンシートを支持すると同時に、その厚み部分に内設される第1の加熱機構により発せられる熱で最下層に配置されるセラミックグリーンシートの下面側から加熱するという作用を有する。
また、加熱プレス設備における上金型は、その厚み部分に内設される第2の加熱機構により発せられる熱で積層されたセラミックグリーンシートを上面側から加熱すると同時に、積層されたセラミックグリーンシートの最上層側から間接的に押圧するという作用を有する。
さらに、孔開けピンは、上金型を下金型に近づけた際に、積層されたセラミックグリーンシートを貫通して拘束するという作用を有する。
そして、平板体は、積層されたセラミックグリーンシートの最上層に配置されるセラミックグリーンシートの上面に接触して、積層されたセラミックグリーンシートを一時的に固定するという作用を有する。
よって、加熱プレス設備は、積層されたセラミックグリーンシートを孔開けピンにより拘束しながらその場で熱と圧力により個々のセラミックグリーンシートを接合してセラミック積層体を形成させるという作用を有する。
また、下型枠に形成される貫通孔は、下型枠と加熱プレス設備により加熱及び加圧してセラミックグリーンシートを接合する際に、積層されたセラミックグリーンシートを貫通した孔開けピンを収容するという作用を有する。
この時、特に孔開けピンの上金型に固設されない側の端部を平板体の下金型の上面に対向する側の面と同一平面上、又は、この面よりも後退した位置に配置しておくことで、積層されたセラミックグリーンシートを加熱及び加圧する際に、平板体が積層されたセラミックグリーンシートの上面に接触した後に孔開けピンをセラミックグリーンシートに接触させるという作用を有する。
さらにこの時、特に孔開けピンの先端に切刃部を設けることで、孔開けピンを積層されたセラミックグリーンシートにスムースに貫通させるという作用を有する。
【0013】
請求項2に記載の発明であるセラミックグリーンシートの積層装置は、請求項1に記載のセラミックグリーンシートの積層装置であって、下金型は、その厚み部分であって、かつ、セラミックグリーンシートの載置部と枠体の載置部との境界に断熱構造を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1に記載の発明と同様の作用に加え、下金型においてセラミックグリーンシートの載置部と枠体の載置部との境界部に設けられる断熱構造は、第1の加熱機構から発生する熱が枠体の載置部に伝わるのを妨げるという作用を有する。
この結果、枠体が第1の加熱機構から発生する熱により熱膨張するのを妨げるという作用を有する。
【0014】
請求項3に記載の発明であるセラミックグリーンシートの積層装置は、請求項1又は請求項2に記載のセラミックグリーンシートの積層装置であって、下金型は、その厚み部分であって、かつ、枠体の載置部に冷却機構を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同様の作用に加え、下金型において枠体の載置部に設けられる冷却機構は、枠体を間接的に冷却するという作用を有する。
つまり、第1の加熱機構から発生する熱が枠体の載置部に伝わるのを妨げて、枠体が熱膨張して変形するのを抑制するという作用を有する。
この結果、枠体に保持されるセラミックグリーンシートが枠体の変形に伴って撓むのを妨げるという作用を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明であるセラミックグリーンシートの積層装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの積層装置であって、セラミックグリーンシートは、枠体の内側面側に枠体と非接触に配置され、枠体の片側の面と、この面と同じ側に配置されるセラミックグリーンシートの片側の面の近接部分には接着テープが跨設され、セラミックグリーンシートは、接着テープが跨設される側の面と下金型の上面とを対向させながら積層されることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3のそれぞれの発明と同様の作用に加え、セラミックグリーンシートの外縁と枠体の内側面とを非接触に配置することで、セラミックグリーンシートの平坦性を維持したまま枠体に保持させるという作用を有する。また、接着テープは、枠体にセラミックグリーンシートを固定するという作用を有する。
さらに、通常、枠体の厚みはセラミックグリーンシートの厚みよりも大きく設定されている。このため、枠体に保持されたセラミックグリーンシートの接着テープが跨設される側の面と下金型の上面とを対向させながら積層することで、温度と圧力をかけてセラミックグリーンシート同士を接合する際に、積層されたセラミックグリーンシートの撓みや歪みを最少にするという作用を有する。
この結果、セラミックグリーンシートの撓みによる位置ズレが生じる恐れを低減するという作用を有する。
【0016】
請求項5に記載の発明であるセラミックグリーンシートの積層方法は、枠体に保持された状態で積層されたセラミックグリーンシートを支持すると同時に、積層されたセラミックグリーンシートを下面側から加熱する下金型と、下金型の上面側に設けられ、積層されたセラミックグリーンシートの上面側から加熱及び加圧する加熱プレス設備とを有するセラミックグリーンシートの積層装置を用いるセラミックグリーンシートの積層方法において、加熱プレス設備は、下金型の上面と略平行に配設される上金型と、この上金型の下面に立設される孔開けピンと、上金型の下面側に配設され、孔開けピンをその厚み部分に挿通しながら孔開けピンの軸方向にスライド可能に設けられる平板体とを備え、加熱プレス設備を降下して平板体の下面を積層されたセラミックグリーンシートの上面に接触させる第1の工程と、この第1の工程の後に、平板体により積層されたセラミックグリーンシートを固定しながら孔開けピンをセラミックグリーンシートに挿通させる第2の工程と、この第2の工程の後に、孔開けピンをセラミックグリーンシートに挿通したまま上金型及び下金型によりセラミックグリーンシートに熱及び圧力を加えてセラミック積層体を形成させる第3の工程と、この第3の工程の後に、セラミックス積層体から加熱プレス設備を離間させる第4の工程とを有することを特徴とするものである。
上記構成の請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明を方法の発明として捉えたものであり、第1の工程は、平板体により積層されたセラミックグリーンシートを一時的に固定するという作用を有する。続く第2の工程は、セラミックグリーンシートを積層された状態で拘束することで、個々のセラミックグリーンシートの平面方向の変形(収縮)を抑制するという作用を有する。
また、第3の工程は、個々のセラミックグリーンシートの平面方向の変形(収縮)を抑制したまま、熱と圧力により個々のセラミックグリーンシートを接合してセラミック積層体を作製するという作用を有する。
最後の第4の工程は、出来上がったセラミック積層体から加熱プレス設備を離間させるという作用を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1記載の発明によれば、セラミックグリーンシートを枠体に保持しておくことで、導電性ペーストを印刷する際の加熱と冷却に伴う膨張と収縮によりセラミックグリーンシートの外形寸法が大幅に変化したり、平坦性が損なわれるのを防止することができるという効果を有する。
さらに、セラミック積層体を形成する際に、積層されたセラミックグリーンシートに貫通孔を形成しながら孔開けピンを挿通して拘束することで、積層されたセラミックグリーンシートに加熱プレス設備により温度と圧力を加えた際のセラミックグリーンシートの平面方向における変形(収縮)を防止することができ、この結果、セラミック積層体に積層ズレが生じるのを抑制することができるという効果を有する。
よって、請求項1記載の発明を用いた場合、上記2つの効果が同時に発揮されることで、積層ズレの極めて少ないセラミック積層体を製造することができるという効果を有する。
従って、製品の歩留まりを向上させると同時に、高品質なセラミック積層体を安価に提供することができるという効果を有する。
また、特に孔開けピンの上金型に固設されない側の端部を、平板体の下金型の上面に対向する側の面と同一平面上、又は、この面よりも後退した位置に配置することで、平板体を積層されたセラミックグリーンシートの表面に接触させた後に孔開けピンを接触させることができるという効果を有する。つまり、積層されたセラミックグリーンシートの表面に孔開けピンが接触する時には、積層されたセラミックグリーンシートは既に平板体により一時的に固定されているので、孔開けピンの接触に伴って、セラミックグリーンシートに撓みや変形が生じる恐れを最小限度にすることができるという効果を有する。
この結果、セラミックス積層体に積層ズレが生じるのを一層抑制することができるという効果を有する。
さらに、特に孔開けピンの先端に切刃部を設けた場合には、積層されたセラミックグリーンシートに貫通孔を形成しながら孔開けピンをスムースに挿通させることができるという効果を有する。
この結果、積層されたセラミックグリーンシートの上面に孔開けピンを押し込んだ際に、セラミックグリーンシートの撓みや変形が生じるのを一層防止することができ、セラミック積層体に積層ズレが生じる恐れを一層低減することができるという効果を有する。
【0018】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明と同様の効果に加え、下金型においてセラミックグリーンシートの載置部と枠体の載置部との境界部に断熱構造を備えることで、枠体の載置部に第1の加熱機構において発生した熱が伝達するのを妨げることができるという効果を有する。
よって、セラミックグリーンシートに熱と圧力を作用させる際に、枠体が熱膨張して変形するのを防止することができるという効果を有する。
この結果、粘着テープを介して枠体に固定されるセラミックグリーンシートが枠体の変形に伴って撓んだり、変形するのを防止することができるという効果を有する。
従って、セラミック積層体に積層ズレが生じる恐れを一層低減することができるという効果を有する。
【0019】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のそれぞれの発明と同様の効果に加え、下金型における枠体の載置部に冷却機構を備えることで、枠体の載置部に第1の加熱機構において発生した熱により枠体が熱膨張して変形するのを防止することができるという効果を有する。
この結果、粘着テープを介して枠体に固定されるセラミックグリーンシートが枠体の変形に伴って撓んだり、変形するのを防止することができ、セラミックス積層体に積層ズレが生じる恐れを一層低減することができるという効果を有する。
【0020】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載のそれぞれの発明と同様の効果に加え、セラミックグリーンシートを、接着テープが跨設される側の面と下金型の上面とを対向させながら積層することで、積層されたセラミックグリーンシートに生じる撓みや歪みを最少にすることができるという効果を有する。
この結果、セラミックグリーンシートに温度と圧力をかけて接合する際に、セラミックグリーンシートに生じる撓みや歪みによって積層ズレが生じる可能性を低減することができるという効果を有する。
【0021】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1に記載の発明を方法の発明として捉えたものであり、請求項1に記載の発明と同様の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の最良の実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置について図1乃至図6を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置は、型枠に保持されたままのセラミックグリーンシートを2〜3枚積層したものを熱と圧力により接合したセラミック積層体を製造するための装置である。
従来、セラミック積層体を製造する場合、セラミックグリーンシートを積層するための積層装置と、積層された個々のセラミックグリーンシートを接合するためのホットプレス設備の2種類の装置を用いているが、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置は、セラミックグリーンシートを積層した場所でホットプレスも行うことができるよう構成されている。
図1を参照しながら本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置の構成について詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置の概要を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1は主に、被積層対象2を載置し、また、被積層対象2の下面側から熱を加えるための下金型6と、被積層対象2の上面側から熱と圧力を加えるための加熱プレス設備8により構成されるものである。
本実施の形態に係る加熱プレス設備8は、下金型6に載置される被積層対象2を上面側から加熱及び押圧するための上金型9と、この上金型9の下面9aに立設される少なくとも2の孔開けピン10を備え、さらに、上金型9と平行な平板体12が貫通孔13に孔開けピン10を内挿しながら孔開けピン10の軸方向にスライド可能に設けられている。
そして、上金型9の厚み部分には、上金型9を加熱するための発熱体16が内設されており、熱伝導性を有する平板体12を介して被積層対象2が加熱されるよう構成されている。
なお、図1においては、上金型9をその上面9b側に設けられるプレス装置14により押圧して被積層対象2を加圧する場合を例に挙げて説明しているが、上金型9とプレス装置14を一体に構成して上金型9としてもよい。
また、本実施の形態に係る下金型6の上面6aは、略平坦に構成され、その厚み部分には、上面6aに載置される被積層対象2をその下面側から加熱するための発熱体15が内設されている。
さらに、加熱プレス設備8が被積層対象2を加熱及び加圧するために下降した際に、孔開けピン10の下金型6の厚み部分への挿入を可能にする貫通孔7が、下金型6における孔開けピン10の下端と対向する位置に形成されている。
なお、発熱体15,16の加熱方法は特に限定するものではないが、例えば導電性の加熱コイルによるものがある。
【0024】
さらに、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1においては、下金型6におけるセラミックグリーンシート5の載置部と、セラミックグリーンシート5を保持する枠体3の載置部との境界に断熱構造18を形成してもよい。
通常、セラミックグリーンシート5を保持する枠体3は、例えばステンレス等の金属製であるが、このような金属製の枠体3は、温度上昇に伴って熱膨張が生じる。
そして、枠体3に熱膨張が生じると枠体3が変形してしまい、枠体3に接着シート4を介して保持されるセラミックグリーンシート5に撓みや歪みが生じてしまう。
そして、セラミックグリーンシート5に撓みや歪みが生じたまま温度と圧力を加えてセラミックグリーンシート5同士を接合すると、出来上がったセラミック積層体に積層ズレが生じて不良品化してしまう可能性が高かった。
そこで、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1において、枠体3の載置部とセラミックグリーンシート5の載置部の境界に、例えば断熱材を内設する等した断熱構造18を設けることで、発熱体15において生じる熱が枠体3の載置部に伝わるのを防止することができるという効果を有する。
この結果、下金型6の上面6aに載置される枠体3が熱膨張して変形するのを防止することができるという効果を有する。
【0025】
また、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1に、下金型6における枠体3の載置部に、枠体3を冷却するための通気孔17を設けてもよい。
この場合、通気孔17内に例えば空気や水等の流動体を流すことで、下金型6における枠体3の載置部に伝わった熱を除去することができるという効果を有する。
この結果、枠体3の加温による変形を防止することができるという効果を有する。
【0026】
従って、下金型6に断熱構造18や、冷却構造として通気孔17を設けた場合には、セラミックグリーンシート5の載置部ではセラミックグリーンシート5の十分な加熱効果が発揮される一方で、下金型6の枠体3の載置部においては、枠体3の加温による変形を防止することができるという効果を有する。
この結果、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1を用いてセラミック積層体を作製した場合に、積層ズレが生じる恐れを低減することができるという効果を有する。
なお、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1においては、図1に示すように、下金型6に断熱構造18と冷却構造である通気孔17の両方を設けてもよい。
この場合、枠体3の高い変形防止効果を有する。
【0027】
次に、図2を参照しながら本実施の形態に係る下金型6の上面6aに載置される被積層対象2について詳細に説明する。
図2は(a)は枠体に保持された状態で積層されるセラミックグリーンシートの外観を示す平面図であり、(b)は図2(a)中の符合Aで示す部分の拡大断面図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2(a)に示すように、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1において用いられる被積層対象2は、略矩形状で、例えばステンレス等の金属製から成る枠体3の内側に、枠体3の内側面24とセラミックグリーンシート5の外縁25を対向させてクリアランス(隙間)Nを形成しながらセラミックグリーンシート5を配置し、このクリアランスNを跨ぐように、枠体3の下面とセラミックグリーンシート5の下面に接着シート4を貼設して、枠体3にセラミックグリーンシート5を固定している。
【0028】
また、図2(b)に示すように、枠体3の厚みBは、セラミックグリーンシート5の厚みCよりも大きく構成されているので、例えば接着シート4が貼設される側の面を上向きにして載置面19上に被積層対象2を載置すると、セラミックグリーンシート5は自重により垂下した状態で載置面19上に接触した状態となる。そして、このとき、セラミックグリーンシート5の外縁25近傍は接着シート4に引っ張られて大きく撓んでしまう。
そこで、本実施の形態においては、被積層対象2の接着シート4が貼設される側の面を載置面19に対向させながら被積層対象2を載置面19上に載置することで、最下層に配置されるセラミックグリーンシート5aの外縁25近傍における撓みを最少にしているのである。
このように、最下層に配置されるセラミックグリーンシート5aの撓みを最少にした状態でその上に被積層対象2bを積層することで、積層された被積層対象2のセラミックグリーンシート5の外縁25近傍における撓みも最少にすることができるという効果を有する。
この結果、積層されたセラミックグリーンシート5に熱と圧力をかけて接合した場合に、積層ズレが生じるのを抑制することができるという効果を有する。
【0029】
続いて、図1及び図3乃至図5を参照しながら本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1を用いてセラミック積層体を作製する工程について詳細に説明する。
図3乃至図5はいずれも本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置を用いてセラミック積層体を製造する工程を示す概念図である。なお、図1及び図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
また、ここでは枠体3に保持されたセラミックグリーンシート5を2枚積層する場合を例に挙げて説明するが、セラミックグリーンシート5を3枚積層する場合は、下金型6の上面6aに枠体3に保持されたセラミックグリーンシート5を3枚積層した被積層対象2を準備すればよい。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1を用いてセラミック積層体を製造するには、その準備工程として、下金型6の上面6a上に被積層対象2a,2bをCCDカメラ等の撮像手段を用いながら位置ズレしないよう積層しておく。
この状態で、プレス装置14を作動して加熱プレス設備8を静かに被積層対象2に向って降下させて、図3に示すように、上金型9と平行に配置される平板体12の下面12aをセラミックグリーンシート5bの上面に接触させる。
この時、万一、平板体12の下面12aよりも先に孔開けピン10の下端に形成される切刃部11の先端がセラミックグリーンシート5bの上面に接触してしまった場合、その衝撃でセラミックグリーンシート5bが撓んだり、位置ズレを起こす可能性があり、出来上がったセラミック積層体に積層ズレが生じて製品が不良品化してしまう恐れが高い。
そこで、本実施の形態に係る加熱プレス設備8においては、孔開けピン10の下端に形成される切刃部11の先端を、平板体12の下面12aと同一平面上か、あるいは、下面12aよりも上金型9側に後退した位置に配置しておくことで、平板体12の下面12aがセラミックグリーンシート5bの上面に接触する前に切刃部11の先端がセラミックグリーンシート5bの上面に接触するのを防止しているのである。
この場合、セラミックグリーンシート5a及びセラミックグリーンシート5bを平板体12で一旦固定しておいてから孔開けピン10の切刃部11がセラミックグリーンシート5bの上面に接触させることができるので、積層されたセラミックグリーンシート5同士の間に位置ズレが生じたり、セラミックグリーンシート5が撓むのを防止することができるという効果を有する。
この結果、出来上がったセラミック積層体に積層ズレが生じる恐れを低減することができるという効果を有する。
【0031】
そして、この次の工程において、プレス装置14に図3中の符号Eで示す方向に押圧力を作用させて孔開けピン10を降下させ、図4に示すように、その下端に形成される切刃部11で積層されたセラミックグリーンシート5に貫通孔21を形成しながら、この貫通孔21に孔開けピン10を挿通する。
このように、積層されたセラミックグリーンシート5に孔開けピン10を挿通させることで、積層されたセラミックグリーンシート5の平面方向の変形やズレを抑制して拘束している。
この時、孔開けピン10の先端に切刃部11を設けておくことで、積層されたセラミックグリーンシート5に貫通孔21を容易に形成することができると同時に、貫通孔21への孔開けピン10の挿入をスムースに行うことができるという効果を有する。
しかも、積層されたセラミックグリーンシート5の拘束を、例えば、セラミックグリーンシート5a,5bに予め形成した貫通孔に、下金型6に立設した複数の固定用ピンを挿通して行う場合に比べて、積層された個々のセラミックグリーンシート5が位置ズレする恐れを大幅に低減することができるという効果を有する。
【0032】
つまり、セラミックグリーンシート5を積層する際にその位置決めを下金型6に立設した位置固定用ピンを用いて行う場合、セラミックグリーンシート5a,5bに予め形成される貫通孔に位置固定用ピンをスムースに挿通させるためには、位置固定用ピンと貫通孔の側面との間にクリアランス(隙間)を形成しておく必要がある。
このため、セラミックグリーンシート5を積層する場合に、このクリアランス(隙間)に相当する位置ズレが生じる恐れをどうしても回避することができなかった。
これに対して、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1においては、積層されたセラミックグリーンシート5を拘束するために、孔開けピン10により積層されたセラミックグリーンシート5に貫通孔21を形成しながら、この貫通孔に孔開けピン10を挿通しているので、孔開けピン10と貫通孔21の側面の間のクリアランスをほぼゼロにすることができるという効果を有する。
この結果、個々のセラミックグリーンシート5を高精度に位置決めされた状態に維持することができるのである。
従って、積層ズレの極めて少ない高品質なセラミック積層体を作製することができるという効果を有する。
【0033】
そして、この状態からプレス装置14により図4中の符号Eで示す方向に押圧力を加えると同時に、発熱体15及び発熱体16により上金型9及び下金型6を加熱してセラミックグリーンシート5に熱を加えてこれらを互いに接合すればよい。
なお、孔開けピン10を挿通させる際に生じた切屑20は、下金型6に形成される貫通孔7から外部に排出される。
この工程の後に、図5に示すように、プレス装置14及び加熱プレス設備8を図中の符号Fで示す方向に上昇させて、平板体12をセラミックグリーンシート5bの上面から離間させればよい。
このとき、次の加熱及びプレス工程のための準備として、平板体12を上金型9と平行に離間させた状態で配置すると同時に、孔開けピン10の下端を平板体12の下面12aと同一平面上、又は、この下面12aよりも上金型9側に後退した位置に配置しておくことが望ましい。
【0034】
このように、図1及び図3乃至図5に示すような工程を経て作製されたセラミック積層体22は、図6に示すように、2〜3枚のセラミックグリーンシート5が枠体3に保持されたまま積層されて、温度と圧力により接合されたものである。
このようなセラミック積層体22は、枠体3にセラミックグリーンシート5を保持したまま被積層対象2を用いることで、個々のセラミックグリーンシート5の外形寸法にバラツキが生じたり、その平坦性が損なわれるのを防止することできるという効果を有する(P)。
また、この時、被積層対象2において、接着シート4が貼設される側の面と下金型6の上面6aを対向させながら被積層対象2を積層することで、セラミックグリーンシート5の厚みと枠体3の厚みの違いによるセラミックグリーンシート5の撓みを最少限度にすることができるという効果を有する(Q)。
さらに、積層されたセラミックグリーンシート5に温度と圧力を加える際に、少なくとも2の孔開けピン10を積層されたセラミックグリーンシート5に挿通して積層されたセラミックグリーンシート5を拘束することで、加熱プレス設備8の作動に伴うセラミックグリーンシート5の位置ズレを防止することができるという効果を有する(R)。
よって、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1によれば、上記(P)〜(R)に記載する効果が同時に発揮されることで、積層ズレの極めて少ないセラミック積層体22を作製することができるという効果を有する。
また、積層された個々のセラミックグリーンシートを接合する際に、治具板や位置固定用ピンを用いないので、これらのメンテナンスにかかる手間を軽減することができるという効果を有する。
【0035】
図6は枠体に保持された状態のセラミック積層体の平面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置1を用いて作製したセラミック積層体22は、加熱・加圧処理済セラミック26の外縁25近傍に、孔開けピン10を挿通した際に形成された貫通孔21が複数形成されている。
なお、加熱・加圧処理前の積層されたセラミックグリーンシート5を孔開けピン10により拘束する場合、孔開けピン10はセラミックグリーンシート5の対辺に少なくとも1対ずつ挿通することが望ましい。
この場合、積層されたセラミックグリーンシート5に温度と圧力を加える際の変形や位置ズレの発生をより確実に防止することができるという効果を有する。
この結果、積層ズレの極めて少ないセラミック積層体を製造することができるという効果を有する。
また、枠体3に切欠き23a,23bや、貫通孔を形成しておけば、セラミックグリーンシート5をスクリーン印刷する際の固定や位置決めが容易となり便利である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、セラミックグリーンシートを複数積層する際に、枠体に保持されたまま積層されたセラミックグリーンシートに孔開けピンを挿通して拘束することで平面方向への変形を防止しながら、熱と圧力により個々のセラミックグリーンシートを接合してセラミック積層体を形成させるセラミックグリーンシートの積層装置及びその積層方法あり、電子装置として機能させるために半導体素子や水晶振動子等の電子部品を収納するセラミックスパッケージ等の製造に関する分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置の概要を示す断面図である。
【図2】(a)は枠体に保持された状態で積層されるセラミックグリーンシートの外観を示す平面図であり、(b)は図2(a)中の符合Aで示す部分の拡大断面図である。
【図3】本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置を用いてセラミック積層体を製造する工程を示す概念図である。
【図4】本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置を用いてセラミック積層体を製造する工程を示す概念図である。
【図5】本実施の形態に係るセラミックグリーンシートの積層装置を用いてセラミック積層体を製造する工程を示す概念図である。
【図6】枠体に保持された状態のセラミック積層体の平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…セラミックグリーンシートの積層装置 2,2a,2b…被積層対象 3…枠体 4…接着シート 5,5a,5b…セラミックグリーンシート 6…下金型 6a…上面 7…貫通孔 8…加熱プレス設備 9…上金型 9a…下面 9b…上面 10…孔開けピン 11…切刃部 12…平板体 12a…下面 12b…上面 13…貫通孔 14…プレス装置 15,16…発熱体(加熱機構) 17…通気孔(冷却機構) 18…断熱構造 19…載置面 20…切屑 21…貫通孔 22…セラミック積層体 23a,23b…切欠き 24…内側面 25…外縁 26…加熱・加圧処理済セラミック



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミックスグリーンシートを重ね合わせて温度と圧力をかけて接合してセラミック積層体を形成するための積層装置であって、
このセラミック積層装置は、枠体に保持された状態で積層されたセラミックグリーンシートを支持すると同時に、積層された前記セラミックグリーンシートを下面側から加熱する下金型と、前記下金型の上面側に設けられ、積層された前記セラミックグリーンシートの上面側から加熱及び加圧する加熱プレス設備とを有し、
前記下金型は、その厚み部分を貫通する貫通孔と、前記下金型の厚み部分に内設されて前記下金型を加熱する第1の加熱機構とを備え、
前記加熱プレス設備は、前記下金型の上面と略平行に配設される上金型と、前記上金型の下面でかつ前記貫通孔と符合する位置に立設される少なくとも2の孔開けピンと、前記上金型の下面側に配設され、前記孔開けピンをその厚み部分に挿通しながら前記孔開けピンの軸方向にスライド可能に設けられる平板体とを備え、
前記上金型は、その厚み部分に内設されて前記上金型を加熱する第2の加熱機構を具備し、
前記貫通孔は、前記セラミックグリーンシートの載置部の対辺に少なくとも1対ずつ形成されることを特徴とするセラミックグリーンシートの積層装置。
【請求項2】
前記下金型は、その厚み部分であって、かつ、前記セラミックグリーンシートの載置部と前記枠体の載置部との境界に断熱構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシートの積層装置。
【請求項3】
前記下金型は、その厚み部分であって、かつ、前記枠体の載置部に冷却機構を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセラミックグリーンシートの積層装置。
【請求項4】
前記セラミックグリーンシートは、前記枠体の内側面側に前記枠体と非接触に配置され、
前記枠体の片側の面と、この面と同じ側に配置される前記セラミックグリーンシートの片側の面の近接部分には接着テープが跨設され、
前記セラミックグリーンシートは、前記接着テープが跨設される側の面と前記下金型の上面とを対向させながら積層されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のセラミックグリーンシートの積層装置。
【請求項5】
枠体に保持された状態で積層されたセラミックグリーンシートを支持すると同時に、積層された前記セラミックグリーンシートを下面側から加熱する下金型と、前記下金型の上面側に設けられ、積層された前記セラミックグリーンシートの上面側から加熱及び加圧する加熱プレス設備とを有するセラミックグリーンシートの積層装置を用いるセラミックグリーンシートの積層方法において、
前記加熱プレス設備は、前記下金型の上面と略平行に配設される上金型と、前記上金型の下面に立設される孔開けピンと、前記上金型の下面側に配設され、前記孔開けピンをその厚み部分に挿通しながら前記孔開けピンの軸方向にスライド可能に設けられる平板体とを備え、
前記加熱プレス設備を降下して前記平板体の下面を積層された前記セラミックグリーンシートの上面に接触させる第1の工程と、
この第1の工程の後に、前記平板体により積層された前記セラミックグリーンシートを固定しながら前記孔開けピンを前記セラミックグリーンシートに挿通させる第2の工程と、
この第2の工程の後に、前記孔開けピンを前記セラミックグリーンシートに挿通したまま前記上金型及び前記下金型により前記セラミックグリーンシートに熱及び圧力を加えてセラミック積層体を形成させる第3の工程と、
この第3の工程の後に、セラミックス積層体から前記加熱プレス設備を離間させる第4の工程とを有することを特徴とするセラミックグリーンシートの積層方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−107231(P2009−107231A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282477(P2007−282477)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(391039896)株式会社住友金属エレクトロデバイス (276)
【Fターム(参考)】