説明

セラミックマトリックス積層体

【課題】接合面の接着力が改善され、それにより、機械強度が改善されたセラミックマトリックス積層体を提供する。
【解決手段】本発明は、機械用途に要求される剛性を維持しながら高い密度に対する強度比を有するセラミックマトリックス積層体を形成するために、セラミックマトリックス複合体にサンドイッチされる低密度セラミックフェルト材料コアを形成するシステムと方法を提供する。コアと面板は化学蒸着法を用いて互いに接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年1月20日出願の米国特許仮出願第60/760,990号明細書の利点をクレームするものであり、該明細書の全体を参照としてここに組み入れるものである。
【0002】
本発明は、概して、セラミックマトリックス積層体に関する。より詳細には、本発明の実施態様は、2つのセラミックマトリック複合体(CMC)の間にサンドイッチされて挟まれた低密度セラミックフェルトコア材料を作製するためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0003】
サンドイッチ構造体は、肉厚だがより密度の低いコア材料に接合された2つの薄い耐荷重性の面板からなる材料である。荷重は、荷重伝達媒体として作用するコアを有する面板に担持される。用途に応じて、面板は金属、合板や繊維強化複合体から製造され得る。コアは、硬質なフォームやハニカム材料、あるいは剛性の軽量材料から製造することができる。
【0004】
サンドイッチ構造体は、密度に対する高い強度が要求される建築材料として一般に採用されており、また、航空機製造に使用される場合も多々ある。密度に対する高強度の比に加えて、サンドイッチ構造はまた、高い荷重担持能とねじれ耐性を有してなくてはならない。航空機エンジンの高温セクションにおける構造材料として機能するサンドイッチ構造として、材料はまた、高温において高強度と靭性とともに良好耐酸化性を有するものでなくてはならない。
【0005】
サンドイッチ型の構造を製造する際の問題の一つとは、面板とコア材料との間の高品質な接合を形成することである。面板間の接合が弱い場合、材料がせん断したり、面板からの荷重を完全に支持しなかったりする。多くの構造では、面板は接着剤を用いてコアに接合される。高温用途に採用されるサンドイッチ構造体の場合、接着剤を用いて面板をコア材料に接合すると、材料間の熱膨張率の係数が異なるために、コアが面板からはがれる場合がある。さらには、用途温度に加熱したときに多くの高温糊は収縮、脱ガスあるいは亀裂を生じる。このため、最終的には接合が弱くなったり破損したりする結果となる。
【0006】
セラミックマトリックス積層体を構築するためのシステムならびに方法が種々あるが、そのようなシステムや方法は、完全に満足できるものではない。したがって、セラミックマトリックス積層体を構築する改善されたシステムならびに方法が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、接合面の接着力が改善され、それにより、機械強度が改善されたセラミックマトリックス積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、2つのセラミックマトリックス複合体(CMC)面板間にセラミックフェルトコアを用いて、化学蒸着法を用いて相互に接合したセラミックマトリックス積層体(CML)を製造するシステムおよび方法を発見した。方法の変形は、現場で行うことができるものであり、現場ではコアを製造し、CMC面板の密度を同時に増大するか、あるいは、CMC面板を予め製造したコアで浸透させる。
【0009】
本発明の第一の態様は、セラミックマトリックス積層体の組み立てる方法を提供する。本発明の該態様による方法は、予成形品を形成するステップから開始し、コア基体を提供するステップと、第1と第2の面板前駆体を提供するステップと、該コア基体を第1と第2の面板前駆体の間に配置させるステップと、コア基体を第1と第2の面板前駆体に接着させるステップと、予成形品を浸透させるステップとからなることが好ましい。
【0010】
本発明の第2の態様における方法は、予成形品を浸透させるステップの前に、圧縮アッセンブリを上記予成形品に対して適用するステップである。
【0011】
さらに本発明の第3の態様は、セラミックマトリックス積層体である。本発明のこの態様によるセラミックマトリックス積層体は、第1と第2の面板と、コア材料とを含み、該第1の面板はある密度を有し、かつ、第2の面板はある密度を有し、コア材料はある密度を有し、このコア材料は第1と第2の面板の間に配置され、かつ、コア材料は、化学蒸着法を用いて第1と第2の面板とに接合される。
【0012】
本発明の第4の態様は、中空のコア材料を作製する方法を提供するものである。本発明のこの態様による方法は、コア基体を提供するステップから開始し、コア基体に対して圧縮アッセンブリを適用するステップと、コア基体と共に圧縮アッセンブリを浸透させるステップと、上記浸透させるステップ後に、かつその後のコア基体を酸化するステップ後に、コア基体から圧縮アッセンブリを除去するステップとからなることが好ましい。
【0013】
本発明の方法およびシステムのその他の実施態様ならびに利点は、当業者等であれば、好ましい実施態様の詳細な説明を読解することによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施態様を、関連する図面を参照しながら説明する。図中、全体にわたって同様の符号は同様の要素を示している。さらに、本明細書中で使用される表現ならびに用語は、説明を目的とするものであり、制限するものとみなすべきではないことは理解すべきである。本明細書における「含む(“including”)」、「からなる(“comprising”)」あるいは「有する(“having”)」およびそれらのバリエーションの使用は、それらの語の後にあげられる事項(品目)およびそれらの同等物、ならびに補足的な事項(品目)を包含することを意味する。「取り付けられる(“mounted”)」、「接続される(“connected”)」および「接合される(“coupled”)」という用語は、広範囲で使用され、直接的および間接的の両方で取り付けること、接続すること、および接合することを包含する。さらに「接続された(“connected”)」と「接合された(“coupled”)」は、物理的なあるいは機械的な接続や接合に限定されるものではない。
【0015】
本発明の実施態様は、機械的用途に要求される剛性を維持しながら、密度に対する強度の比が高いCMLを形成するために、2つのCMCにサンドイッチされた低密度のセラミックフェルト材料コアを形成するシステムと方法とを提供する。CMLは、ハニカムコアポリマー複合体や金属材料に似た構造的利点を有するが、高温環境における耐性を有するため、それら材料よりも優れている。
【0016】
繊維強化CMCは、CMLに高強度と靭性を与え、セラミック繊維フェルトコアは低密度にする。得られるCMLは、熱交換器、熱シールド、エンジン部品、音響ライナー、炉絶縁材、防火壁などの様々な用途を有する。表1はそれら材料としての使用のいくつかを示す。
【0017】
【表1】

【0018】
本発明はまた、剛性化された中空の繊維コアの製造方法を提供する。中空の繊維コアは、得られるCMLの密度を低減する。
【0019】
剛性化された中空の繊維コアは、現在、ポリマーマトリックス複合体(PMC)に使用されているアルミニウムやチタンのハニカムコアの代わりに使用することができる。それらは軽量で、耐高温性で、かつ、特定の目的に適合させることのできる圧縮強度を有することにより、PMC構造体における用途の優良な候補となる。
【0020】
本発明は、低コストの炭素繊維フェルト材料、たとえば、ファイバーマテリアルズ社(Fiber Materials,Inc.)から入手可能なCHグレードや、ナショナルスペシャルティプロダクツ社(National Specialty Products)から入手可能なグラファイトWDFフェルト(Graphite WDF felt)などを、コアを作製する基体として用いるのに採用する。材料は、コア長(x)と幅(y)に対して垂直な“z”方向に配向された繊維を有する。“z”繊維は、ピラーとして作用し、コアの圧縮強度を増大する。
【0021】
中空の繊維を作製し、コアとCMCの孔径を制御する能力は、高温環境や高腐食環境で使用するセパレータやフィルターにおいては重要である。
【0022】
孔径と、コア材料ならびにCMCにおける孔の分布を制御するために、本発明は化学浸透気相法(CVI)または化学蒸着法(CVD)を採用することができる。CVD法とCVI法は、類似しており、相互に交換して使用される場合が多い。CVDは、気相から固体を堆積させる方法である。CVIは、孔を充填する固体を気相から堆積させる方法である。CVIは、通常、低流速で長時間行われ、しかも低圧で行われる場合が多い。CVIは、浸透時間と圧力を変えることによってCMLの微小構造とマクロ構造とを、特定の用途に合わせることができる。CVIを用いることにより、炭素、ホウ化物、カーバイド、窒化物、酸化物、ケイ化物、硫化物、ベリリド、セレン化物、テルル化物、金属間化合物、あるいは合金からなるセラミックを作製することが可能である。CVIは、非直視(non−line−of−sight)コーティング法であり、コア材料を被覆するのに理想的である。また、CVIにより、同時にコアの作製とコアをCMCに接合してCMLを形成することが可能となる。
【0023】
コアを作製するのにCVIを使用し、続いて、CMC面板を被覆して予め作製したコアに結合することにより、CMC面板をコアに結合する前にコア構造を変更することが可能となる。例えば、コアを最初に作製し、次いで、コアをレーザーで穿孔して、冷却通路を設けることにより、空気の通路をコア内に組み込むことができる。その後面板をコアに結合して、タービンブレードなどのCML用途とすることができる。CMLの面板はまた、冷却および吸音用途のために同様に穿孔してもよい。
【0024】
実施態様において、コアは、CMCマトリックスと同じ材料で作製してもよい。材料の組成を一致させることによって、隣接する材料間(すなわち、コア103とCMC面板105との間)の熱膨張率の違いは最小限となる。
【0025】
図1は、本発明によるCML予成形品101を示している。予成形品101は、炭素繊維フェルトコア103と2つのCMC面板105とから構成される。
【0026】
CMC面板105の前駆体は、ニカロン(Nicalon;登録商標)などの繊維状材料であってよい。面板材料は1層より多くの層を有するものであってよい。通常、セラミック布は、まず、CVI法において窒化ホウ素(BN)で被覆し、マトリックスと繊維との間に界面を与える。この界面は、適切なCMC機械特性に必要とされる場合が多々ある。2つの面板は、0度/90度レイアップ法などの適当な方法のいずれかで組み立てることができる。
【0027】
CMLを現場で作製する方法を図2に示す。コア103を、特定の部品、寸法、用途あるいはその他の目的に適した寸法または形状にする(ステップ205)。最上面と底面105は、CMLの最上面と底面に対して同様に設けられる(ステップ210)。CMC面板105を、コア基体103の最上面と底面に、縫製(好ましくはNicalon糸を用いて)、ステープル止め、糊付け、圧縮あるいはその他の接着方法で接着して、予成形品を形成する(ステップ215)。予成形品101は、次いで、反応器内に配置され、浸透される(ステップ220)。
【0028】
浸透(ステップ220)は、コアをCMCに接合するために、流れ強制等温(force−flow isothermal)CVI法か、等圧−等温(isobaric−isothermal)CVI法のいずれかを用いてコア材料をSiCで浸透するステップを含む。いずれのCVI法も、SiCを生成するのに水素と、メチルトリクロロシラン(MTS)を用い、いずれのCVI法によっても同様の浸透結果が得られるが、浸透時間と設定の複雑さがそれぞれ異なる。流れ強制等温CVI法では、前駆体を、圧力勾配を利用して予成形品に強制的に通過させる。被覆する対象周辺を試薬が通るのを防ぐためにシールかガスケットが必要なため、複雑な形状を浸透させるのが困難となる。等圧−等温CVI法(従来のCVD)では、前駆体は、予成形品の周囲を流れることができる。被膜を堆積させるためにガスを予成形品中に拡散させなければならず、長時間を要する。この等圧−等温CVI法は、設定がより簡単で、産業によっては好ましい方法である。流れ強制等温法は、等圧−等温法よりも速く、実施態様ではより望ましいであろう。
【0029】
CVI工程中、例えば、約200SCFMの流速でSiCを形成するよう、メチルトリクロロシラン(MTS)によって超高純度水素ガスを発泡させることにより、試薬ガスが形成される。ガスは、室温で反応室(反応器)に入り、堆積面に到達するときに約1100℃まで加熱される。浸透は、通常、おおよそ24〜48時間実施される。
【0030】
浸透期間中、SiC原子は、反応器全体に分布し、コア材料に浸透する。SiC原子は、コア基体内の個々のグラファイト繊維を被覆し、外側に向かって成長し、繊維同士が接触する箇所で一体的なSiC構造を形成する。SiCの被膜厚と、それによる密度は、浸透時間と圧力に依存する。より長時間浸透させることにより、被膜厚は増大し、密度も高まる。密度が高まると、内部空隙や通路を制限するSiC被膜によって、孔径は分布に伴って減少する。
【0031】
浸透後、CMLを反応器から取り除く(ステップ235)。面板105とコア103との間の最適な結合は、浸透の前に層同士が互いに緊密に固定されていた箇所に最も近接した場所にある。実施態様において得られたCMLは使用することができるが、さらに高密度化するために後処理浸透のために反応器に戻してもよい(任意ステップ240,245)。その結果CMLが得られる。
【0032】
最大接着力を得るため、浸透中に予成形品を一緒に圧縮することにより、接合面全体にわたって均一な結合を呈するCMLが生成される。図3に圧縮アッセンブリ301を示す。圧縮アッセンブリ301は、2つの穿孔グラファイト板303と、2つのグラファイト板を互いに結合するための少なくとも2つのグラファイトファスナー305(ボルト、クランプ、クリップやその他のファスナー)とからなる。アッセンブリ301は、予成形品101の最上面と底面にわたって、均一な圧力を与える。
【0033】
圧縮アッセンブリ301の使用方法を図4に示す。予成形品(ステップ405,410,415)を、2つの穿孔グラファイト板303間に配置する。グラフォイル(Grafoil)を、グラファイト板と予成形品の間に配置して、それらの間におけるSiCの成長を最小限にすることができる。予成形品101は、圧縮アセンブリ301を用いて均一に圧縮される(ステップ420)。
【0034】
(予成形品101と共に)圧縮アッセンブリを、反応器中に配置し、SiCを浸透させる(ステップ425)。可能な浸透時間に応じて流れ強制等温CVI法か、等圧−等温CVI法を用いて、SiCをCMCとコア内へ浸透させることができる。
【0035】
部分的な浸透後、圧縮アッセンブリ301とともに予成形品101を反応器から取り出し(ステップ430)、次いで、圧縮アッセンブリ301を取り外す(ステップ440)。得られたCMLは使用するか、または、さらに高密度化するために後処理浸透のために反応器に戻してもよい(任意ステップ445,450)。その結果CMLが得られる。
【0036】
図5は、本発明によって作製されたCMLの顕微鏡写真を示す。CMCは、C/SiCコア505の暗い領域にわたって、2つの(0℃/90℃のレイアップを有する)明るい領域501,503に現れている。このCMLに関して、かさ密度はおおよそ1.8g/cm3(0.065lb/in3)であった。CMC中に用いられたニカロン(Nicalon)マットの密度はおおよそ2.55g/cm3であった。
【0037】
図6に示す方法に関して、コア材料は、コアをCML予成形品に組み立てる前にコア繊維をSiCで被覆することによって予め作製される。例として、0.080g/cm3の密度を有する3”(インチ)×0.25”(インチ)の円形片のコア基体を、2つの0.25”(インチ)厚の穿孔グラファイト板303の間に配置した(ステップ605)。グラファイト板303を相互に結合することにより、浸透を開始する前にコア材を圧縮することができる(ステップ610)。(グラファイト板と共に)コア材料を、次いで、CVDを用いてSiCで被覆する(ステップ615)。約1000cm3/分の速度で約1.5時間、約1013℃で水素をMTSに通過させることによって、SiCをコア基体繊維上に被覆させた。
【0038】
グラファイト板303と共にコア材料を、その後、反応器から取り出し(ステップ620)、反転させた(ステップ625)。次に、約45分間浸透を再開した(ステップ630)。その後、浸透された、反転したコアを除去した(ステップ635)。このSiC被覆グラファイトコアのかさ密度は、約0.266g/cm3(16.605lb/ft3)であった。コアを作製するのにこの方法を用いると、コアは、約14lb/ft3〜約150lb/ft3の範囲のかさ密度を有することができる。その後、CMLを作製するために、浸透されたコアを、いずれかの適当な方法で2つのCMC間に接合してよい。CMC面板は、CVDを用いて、あるいは、プレセラミック(preceramic)無機ポリマーを用いて作製されたコアに結合させることができる。CVDを用いて面板をコアに結合した場合、コアは、工程中に別のSiCの浸透を受容することにより、コアの密度を高めることができるであろう。プレセラミック無機ポリマーを用いてコアをCMC面板に接着した場合、コアとCMC面板間の接合は弱く、CMLの剪断力が不足する可能性がある。コアをCMC面板に結合するのに使用可能な代表的なプレセラミック無機ポリマーには、スターファイア・システムズ社(Starfire Systems, Incorporated、米国ニューヨーク)のSiCセラミック前駆体樹脂や、キオン社(KiON Corporation、米国ペンシルバニア州)の商品名CERACET(登録商標)ポリシラザン(polysilazane)である窒化ケイ素(Si34)セラミック前駆体樹脂が包含される。
【0039】
代替的な実施態様では、浸透されたコアを2つのCMC間に接合してCMLを形成する前に、コア中に中空のSiC繊維を生成するために、コア外の炭素繊維を酸化することが望ましいであろう(ステップ640)。炭素は、(グラファイト板あるなしいずれかの)コアを約1149℃(2100F°)の空気炉セット内に約20時間配置することによって、SiC被覆コアの外部を酸化することができる。炭素は、800℃においてかなり急速に空気中で燃焼するであろう。炉の温度は、必要以上にずっと高い温度である。SiC被覆コアの重量減少が停止すると、酸化除去工程は完了する。
【0040】
図7は、断裂した酸化された繊維の電子走査顕微鏡(SEM)画像を示している。熱処理したコアの分析は、炭素基体が完全に酸化され、中空のSiC繊維が後に残されていることを示している。残存する泡は、平均内径が約10μmで壁厚が約2μmの中空のSiC繊維からなる。それぞれの繊維の内部コアの損失は、コアの密度をさらに低下させ、それにより、作製されたCMLの全体密度が低下する。
【0041】
2.56インチ×0.25インチ×0.28インチの試験片を、図4の方法で作製した3インチの円形CMLから切り出した。この試験片を、3点式短ビーム剪断試験に供した。CMLのかさ密度は、約1.8g/cm3(0.065lb/in3)であった。曲げ試験の結果は、張力にさらされている間に積層体の最上面に欠陥が生じたことを示している。面板の強度は、約18.3Ksiであった。この欠陥モードは、積層構造に望ましい。
【0042】
図6の方法によって作製されたコア材料は、現存する材料が約100psiの剪断応力で破損したことを示したにもかかわらず、破損することなく約800psiの剪断強度を達成した。これらの結果は、本発明の材料が現存する材料の8倍を超える剪断応力を有することを示している。
【0043】
表2は、酸化されたSiCコア材料と酸化されていないSiCコア材料における圧縮試験の結果を示す。
【0044】
【表2】

【0045】
表は、密度と粉砕強さとの間に一次的な関係が存在することを示している。測定された、密度に対する脆性粉砕強さの比は、酸化されたコアよりも酸化されていないコアの方が若干高かった。
【0046】
図4の方法は、必要に応じて、(ステップ405で)図6で説明した(ステップ640後の)予め作製されたSiC被覆中空コアを提供することによって変更してよい。この方法では、コアの密度と孔隙率とは、CMLを作製する前に、コアの作製中に特定の用途要求に適合させることができる。
【0047】
表3は、別の軽量コアサンドイッチ構造体と、本発明の構造体との間の比較を示している。
【0048】
【表3】

【0049】
約0.268〜1.007g/cm3の範囲のかさ密度を有するコアを、本発明の種々の方法で作製し、それらは、堅牢な機械特性を有することがわかった。試験を行ったコアは、すべて従来のCVI法(等温−等圧法)で作製した。積層構造体は、図6の方法に従って作製し、たわみにおける高い断面係数と、重量に対する高い剛性比を有することがわかった。
【0050】
本発明を特定の実施態様を参照して説明してきたが、これらの実施態様は本発明の原理と用途を例示するものにすぎないことは理解すべきである。従って、特許請求の範囲に定義する本発明の趣旨並びに範囲から逸脱することなく、一方の面板を積層に用いて他の配置を用いるなどにより、例示の実施態様に対して、様々な修正を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コア予成形品の代表的な分解組立透視図。
【図2】本発明による代表的な積層方法のブロック図。
【図3】積層体圧縮アッセンブリの代表的な分解組立透視図。
【図4】本発明による代表的な圧縮積層法のブロック図。
【図5】本発明によって作製されたCMLの顕微鏡写真であり、最上面と底面とがセラミックマトリックス複合体であり、中間領域がコアであることを示している(倍率50倍)。
【図6】本発明による代表的なコアを予め作製する方法のブロック図。
【図7】本発明による、酸化後のSiC被覆炭素繊維の断裂端の顕微鏡写真。
【符号の説明】
【0052】
101…予成形品
103…フェルトコア(コア基体)
105…CMC面板
301…圧縮アッセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の面板であって、第1の面板はある密度を有し、第2の面板はある密度を有する、第1と第2の面板と、
上記第1と第2の面板間に配置される、ある密度を有するコア材料と、
からなり、該コア材料が化学蒸着法を用いて第1と第2の面板に接合されることを特徴とする、セラミックマトリックス積層体。
【請求項2】
前記コア材料の密度が、第1の面板の密度ならびに第2の面板の密度よりも小さく、かつ、前記コア材料の密度は、約0.2g/cm3から約2.0g/cm3であり、前記第1の面板の密度は約1.9g/cm3から約2.5g/cm3であり、前記第2の面板の密度は約1.9g/cm3から約2.5g/cm3であることを特徴とする、請求項1記載の積層体。
【請求項3】
前記コア材料が連続気泡発泡体からなることを特徴とする、請求項2記載の積層体。
【請求項4】
第1と第2の面板であって、第1の面板はある密度を有し、第2の面板はある密度を有する、第1と第2の面板と、
予め作製された、上記第1と第2の面板間に配置されるコア材料と、
からなり、該コア材料が化学蒸着法を用いて第1と第2の面板に接合されることを特徴とする、セラミックマトリックス積層体。
【請求項5】
前記予め作製されたコア材料の密度は、約0.2g/cm3から約1.0g/cm3であり、かつ、前記予め作製されたコア材料の密度は第1の面板の密度ならびに第2の面板の密度よりも小さいことを特徴とする、請求項4記載の積層体。
【請求項6】
前記予め作製されたコア材料がSiCで被覆されたグラファイト繊維からなることを特徴とする、請求項5記載の積層体。
【請求項7】
前記予め作製されたコア材料が、中空のSiC繊維からなることを特徴とする、請求項5記載の積層体。
【請求項8】
予成形品を形成するステップであって、
コア基体を提供するステップと、
面板前駆体を提供するステップと、
上記コア基体を上記面板前駆体の一方の面に配置するステップと、
上記コア基体をその面板前駆体に接合するステップと、
からなる、予成形品を形成するステップと、
その予成形品を浸透するステップと、
からなる、セラミックマトリックス積層体の製造方法。
【請求項9】
予成形品を形成するステップであって、
コア基体を提供するステップと、
第1と第2の面板前駆体を提供するステップと、
上記コア基体を上記第1と第2の面板前駆体の間に配置するステップと、
上記コア基体をそれら第1と第2の面板前駆体に接合するステップと、
からなる、予成形品を形成するステップと、
その予成形品を浸透するステップと、
からなる、セラミックマトリックス積層体の製造方法。
【請求項10】
前記浸透するステップが、前記予成形品中にSiCを浸透させることを含むことを特徴とする、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記予成形品を浸透するステップの前に、前記予成形品に対して圧縮アッセンブリを適用するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
コア基体を提供するステップと、
そのコア基体に圧縮アッセンブリを適用するステップと、
その圧縮アッセンブリを上記コア基体と共に浸透するステップと、
浸透するステップ後に上記コア基体から圧縮アッセンブリを取り除くステップと、
からなることを特徴とする、コア材料の製造方法。
【請求項13】
前記浸透するステップが、前記コア基体と一緒に前記圧縮アッセンブリ中にSiCを浸透させることを含むことを特徴とする、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記コア基体を、浸透後に酸化するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
予成形品を形成するステップであって、
コア基体を形成するステップであって、
コア基体を提供するステップと、
上記コア基体に対して圧縮アッセンブリを適用するステップと、
その圧縮アッセンブリを上記コア基体と共に浸透するステップと、
その浸透するステップ後に上記コア基体から圧縮アッセンブリを取り除くステップと、
からなるコア基体を形成するステップと、
第1と第2の面板前駆体を提供するステップと、
前記形成されたコア基体を第1と第2の面板前駆体の間に配置するステップと、
前記形成されたコア基体を第1と第2の面板前駆体に接合するステップと、
からなる、予成形品を形成するステップと、
その予成形品を浸透するステップと、
からなる、セラミックマトリックス積層体の製法方法。
【請求項16】
前記圧縮アッセンブリを浸透するステップが、前記コア基体と共に該圧縮アッセンブリ中にSiCを浸透させることを含むことを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記圧縮アッセンブリを浸透するステップ後に、前記コア基体を酸化するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記予成形品を浸透するステップが、該予成形品中にSiCを浸透させることを含むことを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記予成形品にSiCを浸透させるステップの前に、該予成形品に対して圧縮アッセンブリを適用することをさらに含むことを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
2つの耐荷重性面板と、
上記2つの耐荷重性面板間でサンドイッチされるコア材料と、を含んでなり、前記コア材料は、前記2つの耐荷重性面板よりも低密度であり、かつ、前記コア材料は、化学気相浸透法と、化学蒸着法の少なくとも一方によって、前記耐荷重性面板に接合されることを特徴とする、セラミックマトリックス積層体。
【請求項21】
前記コア材料が、炭素フェルト、SiCフェルト、浸透材料のうちの少なくとも1つからなることを特徴とする、請求項20記載のセラミックマトリックス積層体。
【請求項22】
前記耐荷重性面板のそれぞれが、SiCセラミックマトリックス複合体、Nicalon繊維マット、SiC繊維マットのうちの少なくとも1つからなることを特徴とする、請求項20記載のセラミックマトリックス積層体。
【請求項23】
前記コア材料と前記耐荷重性面板とが、化学気相浸透法によって接合される前に、相互に接合されることを特徴とする、請求項20記載のセラミックマトリックス積層体。
【請求項24】
前記コア材料と前記耐荷重性面板とが、縫製、ステープル止め、糊付け、圧縮のうちの少なくともいずれか1つによって相互に接合されることを特徴とする、請求項23記載のセラミックマトリックス積層体。
【請求項25】
前記コア材料が中空繊維からなることを特徴とする、請求項20記載のセラミックマトリックス積層体。
【請求項26】
前記コア材料が、少なくとも約800psiの剪断応力を有することを特徴とする、請求項20記載のセラミックマトリックス積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−204362(P2007−204362A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−9878(P2007−9878)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】