説明

セラミック成形体の製造方法および製造装置

【課題】1回の湿式加圧成形で多数の成形体を同時に得ることができ、成形体の離型が容易なセラミック成形体の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】成形金型1のキャビティ2内に複数の貫通した成形孔7が形成された分離型6を配置し、セラミック粉末と溶媒とを含むスラリーSをキャビティ2に供給した後、キャビティ内のスラリーSをパンチ3の移動により加圧して分離型6の成形孔7に押し込む。余分の溶媒を分離型の背後の吸引脱水ステージ11から吸引除去して成形孔内に成形体を形成した後、分離型6を成形金型1から取り出し、分離型の成形孔7から成形体Pを分離状態で取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック成形体の製造方法、特に湿式加圧成形方法によりセラミック成形体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップ型インダクタなどのセラミック電子部品を製造する際、まずセラミック成形体を作成し、このセラミック成形体を焼成してセラミック焼結体を得る方法が用いられている。セラミック成形体を得る方法としては、粉末プレスや湿式加圧成形法がある。湿式加圧成形法は、セラミック粉末と溶媒とを混合したセラミックスラリーを金型に入れ、パンチで一軸加圧するとともに、パンチと対向する部分からスラリー中の余分な溶媒を吸引除去することで、成形体を得る方法であり、粉末プレスと比較して空孔を少なくでき、緻密な成形体が得られる利点がある。
【0003】
特許文献1には、セラミック成形体の湿式加圧成形方法において、金型内のすべてのスラリーから余分の溶媒が排出されて成形体となった時点からそれまでの加圧時間やパンチの移動量を調整することで、密度が高く、表面が平滑な成形体を得る方法が開示されている。
【0004】
図7は特許文献1に示された湿式加圧成形装置を示す。
筒状の成形金型21の中にパンチ22が挿入され、成形金型21とパンチ22との間に形成されるキャビティ23にスラリーSが充填される。パンチ22と対向する成形金型21の表面には紙製フィルタ24が配置され、その上に吸引脱水用金型25が配置されている。吸引脱水用金型25のフィルタ24と対面する部位には多孔質体26が配置され、その背後に複数の脱水孔27が形成されている。パンチ22で加圧すると同時に、脱水孔27からスラリーS内の溶媒を吸引脱水することにより、成形金型21のキャビティ23に成形体が形成される。
【0005】
しかしながら、この方法は、一般的な湿式加圧成形方法と同様に、パンチ22と溶媒排出用の吸引脱水用金型25とが一対一の関係(一軸方向加圧)であり、1回の成形により一個の成形体しか成形できない。そのため、処理個数が少なく、十分な生産能力を得ることができない。また、大型品を一個成形し、焼成後に切削加工により小型品に分割する方法もあるが、材料的なロスが大きく、工数も増加するため、高コスト化につながるという欠点がある。さらに、金型21から成形体を取り出す際に離型しにくく、かつ成形密度のバラツキが発生しやすいという欠点もある。
【特許文献1】特開平9−29717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、セラミック成形体を湿式加圧成形法で得るものであって、1回の成形で多数の成形体を同時に得ることができ、成形体の離型が容易なセラミック成形体の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、成形金型のキャビティ内に複数の貫通した成形孔が形成された分離型を配置する工程と、セラミック粉末と溶媒とを含むスラリーを、上記成形金型のキャビティに供給する工程と、上記キャビティ内のスラリーを、上記成形金型に設けられたパンチの移動により加圧して上記分離型の成形孔に押し込むとともに、溶媒を上記分離型の背後へ除去して上記成形孔内に成形体を形成する工程と、上記分離型を成形金型から取り出す工程と、上記分離型の成形孔から上記成形体を分離状態で取り出す工程と、を備えるセラミック成形体の製造方法を提供する。
【0008】
請求項8に係る発明は、セラミック粉末と溶媒とを含むスラリーが供給されるキャビティを有する成形金型と、上記キャビティ内に成形金型と分離可能に配置され、複数の貫通した成形孔が形成された分離型と、上記キャビティ内のスラリーを加圧して上記分離型の成形孔に押し込み、上記成形孔内に成形体を形成するパンチと、上記パンチと対向する部分に設けられ、上記成形孔を通過した上記スラリー中の余分な溶媒を除去する溶媒除去手段と、を備えたセラミック成形体の製造装置を提供する。
【0009】
本発明にかかる製造方法では、成形金型内に複数の貫通した成形孔を有する分離型を配置し、パンチを加圧することにより、スラリーを上記成形孔に押し込み、かつ分離型の背後から余分の溶媒を除去することにより、成形孔内に成形体をほぼ分離状態で形成することができる。成形後、分離型を成形金型から取り外せば、成形孔が貫通孔であるから、分離型の成形孔から成形体を簡単に取り出すことができる。
このように、各成形体が分離型の複数の成形孔にほぼ分離した状態で成形されるので、成形体の多数個取りを行うことが容易であり、かつ成形体を簡単に離型できる。
各成形体の形状を、最終的な製品形状に近くすれば、成形体の焼成後に分離カットする必要がなく、円周加工やスライス加工などの切削加工を省略できる。そのため、加工工数を削減でき、製造コストを低減できる。
また、大型品を一個成形し、これを小型品に分割する場合には、大型成形品のどの部分から切り出されたかによって、小型品の成形密度にバラツキが発生することが多いが、本発明では成形時にそれぞれ小型品に成形されるので、成形密度のバラツキを小さくでき、均質な成形品を得ることができる。
成形孔の配列は、正方配列、千鳥配列、同心円状配列など如何なる配列方式でもよい。成形孔の形状は任意であり、孔の開口面積と分離型の厚みとの関係により高アスペクト比の成形体も作製できる。
分離型は、連続板式、割型式、ブレード(仕切板)式など如何なる方式を選択してもよい。
【0010】
好ましい実施の形態によれば、成形孔内に成形体を形成する工程において、パンチが分離型に接触する手前でパンチの移動が終点となるように設定され、各成形孔内に形成された成形体が、分離型のパンチ側の側面に形成された成形体より薄肉な連結部を介して相互に連結されており、分離型の成形孔から成形体を分離状態で取り出す工程において、連結部を除去するのがよい。
もし、パンチが分離型と接触する位置まで移動可能とされている場合、加圧時に分離型に過大な圧力が作用し、成形体にかかる圧力が低くなる可能性がある。これに対し、パンチが分離型に接触する手前で終点となるように設定すれば、分離型に過大な圧力が作用せず、成形体に十分な圧力を作用させることができると同時に、分離型全体の面内圧力をほぼ均一にすることができる。なお、この場合、各成形孔内に形成された成形体が薄肉な連結部を介して相互に連結されるが、この連結部を分離型の成形孔から成形体を取り出す際に除去すれば、各成形体を分離状態で取り出すことができる。
なお、連結部の厚みは成形体の厚みより薄く、好ましくは1mm以下の薄肉部とするのがよく、この場合には簡単に除去できる。
【0011】
他の好ましい実施の形態によれば、分離型を平板状型板とし、成形孔を型板の両主面に開口するように形成するのがよい。
この場合は、各成形孔の深さが一定しているので、成形品の厚みが一定しており、かつ成形孔内の成形品を一主面側から押し出すことにより、簡単に取り出すことができる。
【0012】
別の実施の形態によれば、成形金型の溶媒の除去面側にキャビティより拡張された段差部を形成し、段差部に分離型の周辺部を位置決め載置するのがよい。
この場合は、段差部によって分離型の成形金型に対する位置が安定するので、加圧時に分離型が位置ずれせず、精度のよい成形を行うことができる。
【0013】
さらに、他の実施の態様によれば、分離型を、複数の平板状型板を両主面に平行な方向に並置して構成してもよい。
この場合は、分離型を複数のプレート形型板で構成することで、離型がさらに容易になる。
【0014】
分離型の成形孔の内側面を、分離型の厚み方向に対して勾配を持つテーパ面で構成してもよい。テーパ形状は、パンチの方向に対し正方向または逆方向のいずれの向きでもよい。
この場合も、成形品を分離型から簡単に取り出すことができる。この場合、成形孔の内側面に、親油性の離型剤を塗布しておけば、さらに離型性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明のように、本発明によれば、成形金型内に複数の成形孔を有する分離型を配置し、各成形孔に成形体を形成するようにしたので、各成形体が分離型の複数の成形孔にほぼ分離した状態で成形されるので、小型の成形体を同時に多数作製できる。そのため、生産能力が向上する。
また、完成品の形状と寸法に近い成形体を直接得ることができるので、切削加工を省略でき、材料ロスも低減できる。そのため、セラミック部品の製造コストを低減できる。
また、成形後、分離型を成形金型から取り出せるようにしたので、分離型の成形孔から成形体を簡単に離型でき、成形体の取り出しが容易になる。そのため、棒状のようなアスペクト比の大きな成形体も容易に成形できる。
さらに、本発明では成形時にそれぞれ小型品に成形されるので、成形体間の密度バラツキを小さくでき、均質な成形品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明にかかる湿式加圧成形装置の第1実施例を示す。
この実施例の成形装置は、一定位置に支持されたダイス(成形金型)1を備えており、このダイス1には上下に貫通したキャビティ2が形成され、キャビティ2の下方からパンチ3が挿入されている。パンチ3は図示しない駆動装置により上下方向に一軸駆動される。キャビティ2には、セラミック粉末と溶媒とを含むセラミックスラリーSが供給される。ダイス1の上面であってキャビティ2の上端開口部には、キャビティ2より大きな段差部4が形成されており、この段差部4にゴムパッキン5を介して分離型の一例である離型プレート6が嵌合されている。離型プレート6の外周部は段差部4の内周面で位置決めされるため、傾きや平面方向のずれが防止される。
【0018】
離型プレート6は、図2に示すように平板状の板材よりなり、表裏主面方向(厚み方向)に貫通する多数の成形孔7が形成されている。離型プレート6の外形形状および成形孔7の形状は任意であるが、この実施例では、離型プレート6が四角形に形成され、成形孔7が同一径の円形孔で構成されている。成形孔7はキャビティ2の範囲内に入るように離型プレート6の中央部に集合配置されている。離型プレート6の材質としては、析出硬化鋼やSUS等の鋼材、アルミ合金などの強度と剛性を備えた金属材料が望ましい。
上記実施例において、離型プレート6に形成された成形孔7を、離型プレート6の厚み方向に対して勾配を持つテーパ孔で構成することもできる。
【0019】
離型プレート6の上面には、濾紙8、濾布9、金網10が順次載置され、その上面から吸引脱水ステージ11が下方に向かって押圧している。押圧により、濾紙6、濾布9、金網10および離型プレート6が相互に密着し、かつ離型プレート6とゴムパッキン5とが密着する。なお、濾紙8、濾布9、金網10はセラミックスラリーS内の余分の溶媒を吸引濾過するためのものであり、溶媒を吸引濾過できるものであれば上記のような組み合わせに限らない。例えば、濾紙8の上に多孔質体を配置し、その上から吸引脱水ステージ11で吸引してもよい。吸引脱水ステージ11の押圧面、すなわち下面には多数の吸引孔12が形成されており、図示しない吸引装置と接続されている。
【0020】
ここで、上記構成よりなる成形装置の動作を、図3,図4にしたがって説明する。
図3の(A)は初期状態であり、ダイス1に対してゴムパッキン5および離型プレート6は取り外されている。ここで、ダイス1のキャビティ2内に所定量のセラミックスラリSが供給される。
【0021】
次に、図3の(B)のように、ダイス1に対してゴムパッキン5および離型プレート6を嵌合させ、その上に濾紙8、濾布9、金網10を順次載置し、その上から吸引脱水ステージ11で押圧する。この状態で、吸引孔12より吸引脱水しながら、パンチ3を押し上げることにより、湿式加圧成形を開始する。パンチ3の押し上げによりスラリーSは加圧され、離型プレート6の成形孔7に押し込まれると同時に、余分の溶媒が離型プレート6の背後に設けた濾紙8、濾布9、金網10を通って吸引脱水ステージ11より濾過除去される。
【0022】
図3の(C)は湿式加圧成形のほぼ終了状態を示している。ここで、パンチ3は成形終了点に到達するが、この終了点でパンチ3は離型プレート6に接触せず、両者の間には微小な隙間δが存在している。この隙間δは、例えば1mm以下がよい。このようにパンチ3が離型プレート6と接触する手前で終点となるので、スラリーSへの加圧力が全ての成形孔7に対して均等に作用し、各成形体間で密度のバラツキを小さくすることができる。
【0023】
図4の(A)は湿式加圧成形が終了した後、吸引脱水ステージ11を上方へ退避させるとともに、濾紙8、濾布9、金網10をダイス1から取り外した状態を示す。ここで、パンチ3を成形終了点よりさらに押し上げ、パンチ3によって離型プレート6をダイス1から持ち上げることにより、離型プレート6をダイス1から簡単に取り外すことができる。
【0024】
図4の(B)はダイス1から取り外した離型プレート6の成形孔7から、成形体Pを取り外す様子を示す。成形孔7は離型プレート6の表裏主面に開口しているので、離型プレート6の表側から成形体Pを押せば、成形体Pを成形孔7から簡単に取り出すことができる。なお、離型プレート6の下面側には余肉部(連結部)Rが付着し、余肉部Rによって各成形体Pは連結されているが、余肉部Rの厚みは非常に薄いので、簡単に破断させることができ、取り出し時に成形体Pの一部が欠ける恐れはない。取り出した成形体Pに余肉部Rが残っている場合は、適宜トリミングすればよい。
その後、成形体Pを乾燥、焼成してセラミック焼結体を得るとともに、これに外部電極などを形成することにより、セラミック電子部品を完成することができる。
【0025】
ここで、本実施例における成形方法の具体例を示す。
まず、セラミックス粉末(BaTiO3 系)、純水、分散剤をボールミルに入れ、湿式粉砕を行い、セラミック粉末を含むスラリーを作製した。なお、ダイス1と離型プレート6には、親油性の離型剤を塗布した。次に、所定量のスラリーをダイス1とパンチ3とで構成されるキャビティ2の空間に充填した。スラリーの充填後、離型プレート6をダイス1の段差部4に嵌め込み、離型プレート6の上に濾紙8、濾布9、金網10を順にセットした後、吸引脱水ステージ11をセットした。その後、パンチ3による加圧を行うことで湿式加圧成形を行った。パンチ3の面圧が6〜16MPaの場合、成形に要する時間は13〜5分であった。薄い連結部Rでつながった成形体Pを離型プレート6ごと取り出した後、押出しにより7mm径、19mmの長さの円柱状の成形体Pを得た。これを繰り返し、24ショット行った。これらの成形体Pを乾燥した後、1300℃で焼成を行うことにより、緻密な焼結体を得た。
成形体Pの成形密度を評価したところ、それらのバラツキを示す3CV(=3σ/平均×100)は0.83%であり、良好な結果が得られた。また、本実施例における焼結体は、そのまま完成品のサイズになっているため、切削加工は不要であり、材料ロスは殆どなかった。
【0026】
上記実施例と対比される比較例として次のような実験を行った。
ダイス1と同一形状のダイス(但し、離型プレート6および段差部4を有さず)を使用し、ダイス1に親油性の離型剤を塗布し、上記実施例と同一のスラリーを用い、同一条件で湿式加圧成形を行った。パンチの面圧が16MPaの場合、成形に要する時間は15分であった。この方法により、60mm角で17mm厚の大きさのブロック状成形体を得た。この成形を64ショット繰り返し、64個の成形体を得た。成形密度を測定したところ、そのバラツキは、3CV(=3σ/平均×100)=1.9%であった。
また、1300℃の焼成で得た焼結体の1つを、切削加工により5mm径に切り出し、55個(実施例1の1ショット当たりの取り個数と同じ)の切削加工品を得た。この切削加工による材料ロスは35重量%であった。
【実施例2】
【0027】
図5は本発明の第2実施例を示す。
この実施例は、分割式(割型式)の離型プレート13を用いた例である。
本実施例の離型プレート13は、複数の型部材14を分離可能に組み合わせたものであり、各型部材14は成形孔15を分断する形で分割されている。成形後に離型プレート13をダイス1から取り外した後、離型プレート13を解体することで、成形体Pの取り出しを容易に行うことができる。
【実施例3】
【0028】
図6は本発明の第3実施例を示す。
この実施例では、離型プレート16を、枠体17と、枠体17に取り付けられた1枚または複数枚のブレード(仕切板)18とで構成されたものである。枠体17の内側面には溝17aが形成されており、これら溝17aにブレード18の両端を挿入することで、複数の成形孔19に仕切られている。
本実施例では、成形後に離型プレート16をダイス1から取り外した後、離型プレート16からブレード18を取り外すことで、長い角柱形状(例えば7mm×7mm×120mmなど)の成形体Pを容易に取り出すことができる。
実施例2および3のような、解体できる離型プレート13,16を使用することにより、アスペクト比の大きな成形体を容易に得ることができる。
【0029】
なお、本発明におけるセラミックには、誘電体、圧電体、磁性体、抵抗体等に用いられるセラミックは勿論、結晶化ガラスを中心としたガラス材料やセメントなどの材料が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかる湿式加圧成形装置の第1実施例を示す断面図である。
【図2】図1の湿式加圧成形装置に用いられる離型プレートの斜視図である。
【図3】本発明における成形工程の前半の工程図である。
【図4】本発明における成形工程の後半の工程図である。
【図5】本発明にかかる離型プレートの第2実施例の斜視図である。
【図6】本発明にかかる離型プレートの第3実施例の斜視図である。
【図7】従来の湿式加圧成形装置の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
S セラミックスラリー
P 成形体
1 ダイス(成形金型)
2 キャビティ
3 パンチ
4 段差部
6 離型プレート(分離型)
7 成形孔
8 濾紙
9 濾布
10 金網
11 吸引脱水ステージ
12 吸引孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形金型のキャビティ内に複数の貫通した成形孔が形成された分離型を配置する工程と、
セラミック粉末と溶媒とを含むスラリーを、上記成形金型のキャビティに供給する工程と、
上記キャビティ内のスラリーを、上記成形金型に設けられたパンチの移動により加圧して上記分離型の成形孔に押し込むとともに、溶媒を上記分離型の背後へ除去して上記成形孔内に成形体を形成する工程と、
上記分離型を成形金型から取り出す工程と、
上記分離型の成形孔から上記成形体を分離状態で取り出す工程と、を備えるセラミック成形体の製造方法。
【請求項2】
上記成形孔内に成形体を形成する工程において、上記パンチが上記分離型に接触する手前でパンチの移動が終点となるように設定され、各成形孔内に形成された成形体が、分離型のパンチ側の面に形成された薄肉な連結部を介して相互に連結されており、
上記分離型の成形孔から上記成形体を分離状態で取り出す工程において、上記連結部を除去することを特徴とする請求項1に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項3】
上記分離型は平板状型板よりなり、上記成形孔は上記型板の両主面に開口するように形成されている請求項1または2に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項4】
上記成形金型の上記溶媒の除去面側にキャビティより拡張された段差部が形成され、
上記段差部に上記分離型の周辺部が位置決め載置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項5】
上記分離型は、複数の平板状型板を両主面に平行な方向に並置して構成されたものである請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項6】
上記分離型の上記成形孔の内側面は、分離型の厚み方向に対して勾配を持つテーパ面で構成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法により製造されたセラミック成形体を焼成してセラミック焼結体を得る工程を備える電子部品の製造方法。
【請求項8】
セラミック粉末と溶媒とを含むスラリーが供給されるキャビティを有する成形金型と、
上記キャビティ内に成形金型と分離可能に配置され、複数の貫通した成形孔が形成された分離型と、
上記キャビティ内のスラリーを加圧して上記分離型の成形孔に押し込み、上記成形孔内に成形体を形成するパンチと、
上記パンチと対向する部分に設けられ、上記成形孔を通過した上記スラリー中の余分な溶媒を除去する溶媒除去手段と、を備えたセラミック成形体の製造装置。
【請求項9】
上記パンチの加圧終点において、パンチと分離型との間に、分離型の厚みより薄い隙間が設けられ、
上記各成形孔内に形成された成形体が、上記分離型のパンチ側の面に形成された薄肉な連結部を介して相互に連結されていることを特徴とする請求項8に記載のセラミック成形体の製造装置。
【請求項10】
上記分離型は平板状型板よりなり、上記成形孔は上記型板の両主面に開口するように形成されている請求項8または9に記載のセラミック成形体の製造装置。
【請求項11】
上記成形金型の上記溶媒除去手段側に、上記分離型の周辺部が位置決め載置される段差部が形成されていることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造装置。
【請求項12】
上記分離型は、複数の平板状型板を両主面に平行な方向に並置して構成されたものである請求項8ないし11のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造装置。
【請求項13】
上記分離型の上記成形孔の内側面は、分離型の厚み方向に対して勾配を持つテーパ面で構成されている請求項8ないし12のいずれか1項に記載のセラミック成形体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−297641(P2006−297641A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119165(P2005−119165)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】