センサケーシング内に取り付けられたチップモジュールを有する電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサ
センサケーシングの中にチップモジュールが取り付けられており、
センサケーシングは差込コンタクトを有しており、
差込コンタクトは、チップモジュールのモジュールケーシングに配置されている端子と電気接続によって接続されている形式の、センサケーシングを有する電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサにおいて、
モジュールケーシングが側方にて外側に突出する端子ピンを有しており、該端子ピンは自由端部においてそれぞれ先細部を有しており、
少なくとも1つの金属製の支持ストリップが設けられており、該支持ストリップは第1の端部領域では差込コンタクトとして形成されており、かつ第2の端部領域では少なくとも1つの端子ピンのためにそれぞれ1つのスプリング・クランプ・コンタクト箇所を有しており、該箇所は、対応する端子ピンのためのフレキシブルな圧入ゾーンを形成している。
センサケーシングは差込コンタクトを有しており、
差込コンタクトは、チップモジュールのモジュールケーシングに配置されている端子と電気接続によって接続されている形式の、センサケーシングを有する電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサにおいて、
モジュールケーシングが側方にて外側に突出する端子ピンを有しており、該端子ピンは自由端部においてそれぞれ先細部を有しており、
少なくとも1つの金属製の支持ストリップが設けられており、該支持ストリップは第1の端部領域では差込コンタクトとして形成されており、かつ第2の端部領域では少なくとも1つの端子ピンのためにそれぞれ1つのスプリング・クランプ・コンタクト箇所を有しており、該箇所は、対応する端子ピンのためのフレキシブルな圧入ゾーンを形成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサケーシングを備えた電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサに関し、前記センサケーシングの中にはチップモジュールが取り付けられている。センサケーシングは差込コンタクトを有しており、該差込コンタクトは、チップケーシングのモジュールケーシングに配置されている端子と電気接続によって接続されている。
【0002】
チップモジュールが基板ないしプリント基板なしに直接センサケーシング内に取り付けられているこのようなセンサは、既にDE102006037691A1から公知である。この場合にはモジュールケーシング自体に圧入ゾーンを形成し、かつセンサケーシングに対応する圧入ピンを形成する必要がある。
【0003】
しかしながら最も広まっている形式のセンサ製造では、−上述した上位概念に記載の従来技術とは異なり−センサチップ、ASIC(信号処理チップ)および場合によっては受動素子を含む表面実装可能なモジュールケーシング(表面実装可能なモジュールケーシングは、デザインの点で例えばSOP等の標準的なチップケーシングに沿っている)が、標準的なSMD工程によってプリント基板上に取り付けられる。その後装着されたプリント基板は、ボンディング工程またははんだ付け工程または冷間接続技術(圧入技術、圧接等)によって、金属製の挿入部分を備える既に製造済みのプラスチックケーシングの中に取り付けられる。最後にこのセンサケーシング(センサの最終ケーシング)は、蓋部によって封止(接着、レーザ溶接等)されるか、または充填材料によって充填される。基板上に固定するために設けられたこのようなチップモジュールは、例えばDE102004058815A1から公知である。したがってこのコンセプトにおいては、モジュールケーシングおよび場合によっては受動素子の支持体としてプリント基板が必須である。この技術およびこの技術と結びついた実装工程は、今日では鉛フリーはんだに関するはんだ技術の来たる発展/転換およびこれと結びついた発展コストに鑑みても、センサの価格およびブランド能力を決定付けるものである。
【0004】
モジュールケーシングの分野では、多数のケーシングおよび「脚部形状」が公知である。とりわけモジュールケーシングとしてデュアルインインラインパッケージ(DIP)が公知である。しかしながら、「差込型取り付け」のために金属被覆されたピンと基板孔部に設けられる端子ピンを有する本来の形式ではなく、今日では通常の表面実装技術(SMD)のために形成された端子を備えている。
【0005】
本発明の電子センサまたはセンサ装置は、請求項1に記載の特徴を有する。発展形態および有利な措置は、従属請求項2から6に記載されている。本発明によるこのようなセンサの製造方法は、請求項7に記載の特徴を有する。
【0006】
本発明は、電子センサに関して上位概念に記載の特徴に基づき、以下のような特徴を有している。すなわち、モジュールケーシングが側方にて外側に突出する端子ピンを有しており、該端子ピンは自由端部においてそれぞれ先細部を有しており、少なくとも1つの金属製の支持ストリップが設けられており、該支持ストリップは第1の端部領域では差込コンタクトとして形成されており、かつ第2の端部領域では少なくとも1つの端子ピンのためにそれぞれ1つのスプリング・クランプ・コンタクト箇所を有しており、該スプリング・クランプ・コンタクト箇所は、対応する端子ピンのためのフレキシブルな圧入ゾーンを形成しているという特徴を有している。さらに本発明においては、前記支持ストリップに、それぞれ対応していない端子ピンのための少なくとも1つの切欠部が設けられている。
【0007】
したがって本発明によれば、標準工程によって製造可能かつ規格化されたモジュールケーシングを、顧客の希望に合わせて製造されたプラスチックケーシングに、電気的かつ機械的に確実に組み込むことが可能となる。本発明によれば、センサにおける鉛の使用は必要ない。本発明は、完全に集積された回路技術を備える最小限に変更された標準デュアルインインラインパッケージ(DIP)に基づいた、全体的なセンサコンセプトに関する。この標準デュアルインラインパッケージは、圧入技術によってスプリングコンタクト支持体に取り付けられ、さらに処理される。このコンセプトに基づいて本発明はプリント基板または基板なしに達成することができ、これによってコストが低減される。さらには、本発明によれば公知のDIPリードフレームの変更が必要なく、ひいては標準的な機械および工具による製造が可能であるという事実は、コスト的に有利に作用する。DIPの脚部を非常に僅かしか変更しないので、標準的な測定センサによる測定技術ないし調整が可能であり、高価な特注生産は生じない。
【0008】
さらに本発明によれば、特にコンタクトが望まれる端子ピンに関して多様性が与えられるので特に有利である。これに関して、電気的機能性および機械的固定性のために必要な端子ピンだけが圧入される。その他すべての端子ピンに対しては、支持ストリップに相応の切欠部が設けられる。
【0009】
本発明の特に有利な実施形態によれば、支持ストリップは、第2の端部領域に圧入ゾーンを形成するために第1の端部領域の厚さよりも薄い厚さに型押しされており、圧入ゾーンは、支持ストリップの長手方向に対して横断するように配置された、対応する端子ピンを収容するために設けられたそれぞれ1つのスリットと、2つの横材を有する。これらの横材はそれぞれ、一方ではスリットの対向する側の1つと、他方では支持ストリップの切欠部と境を接している。つまり圧入ゾーンの所要のフレキシビリティは、簡単な打ち抜き技術手段によって実現することができる。
【0010】
有利な発展形態によれば、支持ストリップは、該支持ストリップの材料および厚さならびにスリットおよび切欠部の配置およびサイズを、端子ピンの圧入時に横材のスプリング作用が生じるように選択することによって構成することができる。
【0011】
モジュールケーシングが差込み取り付け可能な端子ピンを有する場合、ないしは、このような端子ピンが例えば表面実装可能な曲げられたピンを真っ直ぐに伸ばすことによって形成される場合には、モジュールケーシングとして有利には、コスト的に有利な標準的なチップケーシング、とりわけデュアルインインラインパッケージ(DIP)を使用することができる。
【0012】
本発明によるセンサまたはセンサ装置の製造方法においては、モジュールケーシングが、圧入技術によって金属製の支持ストリップの上に取り付けられ、その後モジュールケーシングと支持ストリップが、プラスチックによって共通に取り囲まれるように射出成形されることによってセンサケーシングの中に埋め込まれる。
【0013】
以下、本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によって変更された端子ピンを備えるDIPモジュールケーシングを種々異なる方向から見た図である。
【図2】図2は、多数のモジュールケーシングのマトリクス・リードフレーム複合体内の、図1で図示したモジュールケーシングを示す図である。
【図3】図3は、本発明の支持ストリップの平面図および断面図である。
【図4】図4は、連続したベルトの複合体における図3の支持ストリップを示す図である。
【図5】図5は、本発明によって2つの支持ストリップ上にプレスされたチップモジュールの平面図および断面図である。
【図6】図6は、支持ストリップのプレスゾーンおよびプレス工程を詳細に示す図である。
【図7】図7は、中間ケーシングによって取り囲まれるように射出成形された図5の装置の平面図および断面図である。
【図8】図8は、最終的なセンサケーシングを種々異なる方向から見た図である。
【図9】図9は、最終的なセンサケーシングの別の図である。
【図10】図10は、本発明のセンサの本発明による製造工程の種々異なる段階を示す図である。
【図11】図11は、本発明のセンサの本発明による製造工程の種々異なる段階を示す図である。
【図12】図12は、本発明のセンサの本発明による製造工程の種々異なる段階を示す図である。
【0015】
図1は、両側の長手縁部から突出したそれぞれ4つのピン4を備えるJEDEC規格のデュアルインラインパッケージ(DIP)の、端面から見た図(図1A)、平面図(図1B)、および側面から見た図(図1C)である。チップモジュール2のモジュールケーシング1は、公知のようにトランスファーモールド法で製造される(材料:エポキシ樹脂をベースにしたモールドコンパウンド)。モジュールケーシング1は、パターニングされたリードフレーム(回路支持体)の上に、マイクロパターニングされたセンサチップ、ASIC、および受動素子(全て図示せず)を含む。本発明によれば、ただ1つの変更として端子ピン4(「脚部」)の形状が若干変更される。この変更は、各脚部4の自由端における少なくとも1つの先細部3を含む。さらにストッパ面5が有利である。したがって図示した実施例において、チップモジュール2のベースは、デュアルインライン構造における−JEDEC標準規格の−モジュールケーシング1であり、このモジュールケーシング1の中に完全な回路、すなわち(パターニングされたリードフレームの)回路支持体、センサチップ、ASIC、および場合によっては受動素子が集積されている。しかしながら本発明のモジュールケーシング1の接続脚部4は、該脚部4の端部の先細部3によって幅狭になった。さらに脚部4からケーシング1への移行部は、−本来のDIPとは異なり−段階なしに形成される。むしろ端子ピン4につき1つのストッパ面5が設けられている。
【0016】
脚部4の変更は有利にも、リードフレーム複合体における接点間隔に対してX方向にもY方向にも影響を与えない。通常の切断・曲げ工具を使用することも可能である。したがって、公知のマトリクス・リードフレーム構造内で製造することが可能であり、標準機械で製造することが可能である。
【0017】
図2は、図1に図示したDIPモジュールケーシング1を多数のモジュールケーシングの複合体においてリードフレーム6の形態で図示しており、より詳細に言えばマトリクス・リードフレームの一部を図示している。ほぼ標準的なモジュールケーシング1であり、「脚部4」の最終形状が若干変更されただけなので、標準機械にて世界的に規格化された方法で製造することが可能である。これによって格段のコスト利点がもたらされる。なぜなら、既存の製造ライン、既存の射出成形工具、および既存の切断・曲げ工具を使用することができるからである。
【0018】
図3は、本発明による金属被覆された支持ストライプ7を2つの方向から見た図である。(平面図には、隣り合って2つの支持ストライプが図示されている。これらの支持ストライプはそれぞれ、DIPモジュールケーシング1の共通の1つの側に配置された端子ピン4との電気接続および機械接続の役割を担う。)支持ストリップ7の厚さは所期の顧客インターフェースによって決定され、この実施例においては差込コンタクト8の0,6mmの厚さによって決定される。原料ベルト14(図4を参照のこと。例えばCuSn6製)は、片側で(ここでは図3に図示する支持ストリップ7の左端領域)、DIPモジュールケーシング1へのコンタクトのために必要な厚さに型押しされる。型押しされたベルト14において、のちにDIPモジュールケーシング1を収容するためのクランプスプリングコンタクト9の構造が打ち抜かれ、場合によっては電気メッキされる。
【0019】
金属製の支持ストリップ7は、本発明によれば2つの機能を実現する。
【0020】
一方では、差込コンタクトインターフェースの実現である。他方では、DIPモジュールケーシング1を圧入技術(冷間接続方法)によって電気的にコンタクトし、かつ機械的に確実に固定する手段を提供することである。
【0021】
この第1の機能は、相応の打ち抜き工具によって、および、支持ストリップ7の厚さを適切に選択することによって保証される。第2の機能のためには、スプリングコンタクト・クランプ箇所9が設けられている。ここでは原則的に、標準的な圧入技術が逆転される。ピンは中実に形成され、圧入領域は弾性ないしクランプ式に形成される。ピンは、本発明によればDIPモジュールケーシング1の脚部4であり、圧入領域9は、支持ストリップ7の機能指向の構成によって製造される。このために支持ストリップ7は所要の寸法に型押しされ、打ち抜かれたスリット10によってスプリング・クランプ・コンタクト箇所9が必要数だけ実現される。ここではスリット10は、切欠部12および13によって形成された横材11によって画定されている。
【0022】
図4は、連続したベルト14における複合体としての本発明の支持ストリップ7を図示する(ベルト14は一部分のみを図示)。ベルト14の形態で、典型的には圧入コンタクトにおいて実施されるようなリール・ツー・リール式金属メッキ工程が可能である。打ち抜き工程による支持エレメント7の個別化は、最終取り付けにおいてようやく実施される。打ち抜き工程はベルト14において実施されるので、部分的に差込ピン8においても、つまり支持体7の残りの部分以外においても、表面に電気メッキを施すことが可能であり、このようにして支持ストリップ7の領域にはそれぞれの機能環境に適合した表面を設けることができる。
【0023】
図5は、本発明の構造を図示している。DIPモジュールケーシング1は、圧入技術(ないしは冷間接続技術)によって支持ストリップ7と接続される。(詳細な経過は、図6の詳細図も参照のこと)最適には、DIPモジュールケーシング1を予め固定するために、支持ストリップ7に横側のガイド部を設けることができ、このガイド部は曲げ工程によって実現される。例として8端子のモジュールケーシング1が図示されており、各支持ストリップ7には4つの端子ピン4が割り当てられている。見て分かるように、各端子列の中央の2つの端子ピン4は、圧入ゾーン9においてはコンタクトしておらず、自由に伸張している。つまり、電気コンタクトなしに例えば切欠部13を貫通して伸張している。センサの通常動作においてコンタクトすべきでない当該接続ピン4は、テスト動作においてのみ必要とされるものである。
【0024】
図6においては、構造的および材料技術的に相応に構成された支持ストリップ7において、圧入工程によって、スプリング・クランプ・コンタクト箇所9にDIPモジュールケーシングの脚部4に対するスプリングクランプ作用が生じる様子が認識できる。まずDIP脚部4が支持ストリップ7のスリット10に挿入される。DIP脚部4はさらなる圧入において横材11とコンタクトして、横側に向かう力を及ぼす。この力は横材を、該横材の構造に基づいて、ないしは切欠部12および13に基づいて、部分的に弾性にたわませることができる。最後に各端子ピン4が完全に圧入され、支持体ストリップ7との電気的および機械的な接続を形成する。
【0025】
図5および6によれば装着時には、脚部4の先細領域3が、支持ストリップ7にこのために設けられたスリット10の中に位置している。なぜなら脚部4の寸法は先細領域3において若干狭くなっており、スリット10よりも幅広だからである。力の印加によって、脚部4はスリット10の中に押圧される。先細でない領域における脚部4は支持体7のスリット10よりも幅広なので、クランプ作用が達成される。この際支持体7は、横材11の所定のスプリング作用を可能にしなければならない。このことは、使用可能なパラメータに基づいた相応の設計によって簡単に可能である。
【0026】
この電気機械的な接続を保証するために、支持ストリップ7は、中間ケーシング15によって取り囲まれるように射出成形される(図7を参照のこと)。圧入されたDIPモジュールケーシング1を支持ストリップ7上に機械的に固定するために、および、以後に実施される包囲状のセンサケーシング(最終ケーシング)の射出成形工程時におけるストレスを分離するために、図5の構造は、例えば部分的にフレキシブルな材料(シリコン)からなる包囲状の中間ケーシング15によって取り囲まれるように射出成形される。図7における選択された図面から、単なる例として挙げられた中間ケーシング15の形状が認識できる。中間ケーシング5の製造に必要な射出成形工具は、「押し出し部材」が力結合を支持する機能を担うことにより、圧入工程のための土台として使用することができる(図10の下側参照)。射出成形工具におけるこの「押し出し部材」は、同時に中間ケーシング15を生産する機能も担うことができる。さらに中間ケーシング15は、センサケーシングのプラスチックによって取り囲むように射出成形する際−非常に高い圧力(>500bar)で実施される−のストレスの分離という観点において有利である。
【0027】
最後に支持ストリップ7と中間ケーシング15は、差込インターフェース8a(図8参照)および固定手段17を含む最終ケーシング(センサケーシング)16が生じるように、プラスチックによって取り囲まれるように射出成形される。
【0028】
図8は、これまで説明した構造を含む最終的なセンサケーシング16を複数の方向から透過図で図示している。形状は一例として選択されているものであり、とりわけ自動車用加速度センサに適しているものである。さらに取り付けピン18が見て取れる。
【0029】
図9は、センサの最終ケーシング16の別の図である。中間ケーシング15を最終ケーシング16の射出成形工具に固定できるようにするために、図示した実施形態においては、中間ケーシング15の表面に「中央凹部を備えたアタッチメント」19が設けられている。これに対する相手側部材は(図示しない)射出成形工具の中に位置しており、最終ケーシング16に対する中間ケーシング15の正確な位置決めを支持している。最終ケーシング16の注入点は、(例えばブッシュの下に)注入されたプラスチックペーストがちょうどこの収容面19に対して押圧するように選択される。
【0030】
図10から12は、製造時の工程進行の種々の段階を図示している。
【0031】
図10によれば、まず打ち抜かれた支持エレメント7が、中間ケーシング15の製造用に用意された下側の射出成形キャビティ21の上に位置付けされる。キャビティ21には押し出しエレメント20が位置しており、この押し出しエレメント20は、支持ストリップ7の高さに突出している。
【0032】
ピックアンドプレイス工程によってDIPケーシング1は、真空吸引部22(図11の左図を参照のこと)を用いて支持ストリップ7に対して位置決めされ、装着(挿入)される。
【0033】
圧入工具23(図11の右図を参照のこと)は、ケーシング1ないしDIP脚部4を支持ストリップ7のスプリングエレメント9へと圧入する。圧入工程において、射出成形工具21における「押し出し器」20は、(上から)もたらされる圧入力に対する「相手側軸受」でもある。
【0034】
その後、圧入工具23および力吸収に必要な押し出し器20は元の位置に戻り(図12の左図参照のこと)、そして上側の射出成形キャビティ24が、中間ケーシング15の製造のために設けられた射出成形工具を閉成する(図12の右図参照のこと)。
【0035】
ペーストを射出して冷却した後、中間ケーシング15は完成する。押し出し器20は、ここでは同時に中間ケーシング15を下側の射出成形キャビティ21から突き出す「エジェクタ」として使用される。
【0036】
最後に包囲状の最終ケーシング16が取り囲むように射出成形され、この結果、図8および9に図示したようになる。ここでは差込インターフェース8aおよびネジ固定手段ないし取り付け手段17および18が設けられている。
【0037】
以下、再度要約して本発明の重要な利点を挙げたい:
DIPモジュールケーシング1と支持ストリップ7の間における、DIPケーシング1の脚部の長さに基づいた理想的なストレス分離が可能となる。他方では、センサ全体のセンササイズが非常に小さくなる。取り付け工程が全体として非常に低減される。熱による取り付けないし接続工程、すなわち溶接、はんだ付け等が必要ないので、接続技術によるDIPモジュールケーシングへの熱的ストレスが生じない。ケーシング形状はほとんど制限されていないので、とりわけ自動車にも適したセンサケーシングを実現することができる。
【0038】
さらに、導電性粒子のいわゆる「粒子問題」が緩和される。はんだ球、融剤の残滓、溶接時の燃焼残滓、銀導電性接着時の接着剤残滓等による汚染は、本発明の取り付けによれば懸念する必要がない。
【0039】
トランスファーモールド法を使用する場合には(すなわち最終ケーシング16がモールドコンパウンド/エポキシ樹脂から製造される場合には)、場合によっては中間ケーシング15を省略することも可能である。
【0040】
同じ1つのDIPモジュールケーシング1を用いて、支持ストライプの位置を変化させるだけで(0°、45°、90°センサ等)種々のセンサタイプにおいて簡単に全てのセンシング方向を実現することが可能である。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサケーシングを備えた電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサに関し、前記センサケーシングの中にはチップモジュールが取り付けられている。センサケーシングは差込コンタクトを有しており、該差込コンタクトは、チップケーシングのモジュールケーシングに配置されている端子と電気接続によって接続されている。
【0002】
チップモジュールが基板ないしプリント基板なしに直接センサケーシング内に取り付けられているこのようなセンサは、既にDE102006037691A1から公知である。この場合にはモジュールケーシング自体に圧入ゾーンを形成し、かつセンサケーシングに対応する圧入ピンを形成する必要がある。
【0003】
しかしながら最も広まっている形式のセンサ製造では、−上述した上位概念に記載の従来技術とは異なり−センサチップ、ASIC(信号処理チップ)および場合によっては受動素子を含む表面実装可能なモジュールケーシング(表面実装可能なモジュールケーシングは、デザインの点で例えばSOP等の標準的なチップケーシングに沿っている)が、標準的なSMD工程によってプリント基板上に取り付けられる。その後装着されたプリント基板は、ボンディング工程またははんだ付け工程または冷間接続技術(圧入技術、圧接等)によって、金属製の挿入部分を備える既に製造済みのプラスチックケーシングの中に取り付けられる。最後にこのセンサケーシング(センサの最終ケーシング)は、蓋部によって封止(接着、レーザ溶接等)されるか、または充填材料によって充填される。基板上に固定するために設けられたこのようなチップモジュールは、例えばDE102004058815A1から公知である。したがってこのコンセプトにおいては、モジュールケーシングおよび場合によっては受動素子の支持体としてプリント基板が必須である。この技術およびこの技術と結びついた実装工程は、今日では鉛フリーはんだに関するはんだ技術の来たる発展/転換およびこれと結びついた発展コストに鑑みても、センサの価格およびブランド能力を決定付けるものである。
【0004】
モジュールケーシングの分野では、多数のケーシングおよび「脚部形状」が公知である。とりわけモジュールケーシングとしてデュアルインインラインパッケージ(DIP)が公知である。しかしながら、「差込型取り付け」のために金属被覆されたピンと基板孔部に設けられる端子ピンを有する本来の形式ではなく、今日では通常の表面実装技術(SMD)のために形成された端子を備えている。
【0005】
本発明の電子センサまたはセンサ装置は、請求項1に記載の特徴を有する。発展形態および有利な措置は、従属請求項2から6に記載されている。本発明によるこのようなセンサの製造方法は、請求項7に記載の特徴を有する。
【0006】
本発明は、電子センサに関して上位概念に記載の特徴に基づき、以下のような特徴を有している。すなわち、モジュールケーシングが側方にて外側に突出する端子ピンを有しており、該端子ピンは自由端部においてそれぞれ先細部を有しており、少なくとも1つの金属製の支持ストリップが設けられており、該支持ストリップは第1の端部領域では差込コンタクトとして形成されており、かつ第2の端部領域では少なくとも1つの端子ピンのためにそれぞれ1つのスプリング・クランプ・コンタクト箇所を有しており、該スプリング・クランプ・コンタクト箇所は、対応する端子ピンのためのフレキシブルな圧入ゾーンを形成しているという特徴を有している。さらに本発明においては、前記支持ストリップに、それぞれ対応していない端子ピンのための少なくとも1つの切欠部が設けられている。
【0007】
したがって本発明によれば、標準工程によって製造可能かつ規格化されたモジュールケーシングを、顧客の希望に合わせて製造されたプラスチックケーシングに、電気的かつ機械的に確実に組み込むことが可能となる。本発明によれば、センサにおける鉛の使用は必要ない。本発明は、完全に集積された回路技術を備える最小限に変更された標準デュアルインインラインパッケージ(DIP)に基づいた、全体的なセンサコンセプトに関する。この標準デュアルインラインパッケージは、圧入技術によってスプリングコンタクト支持体に取り付けられ、さらに処理される。このコンセプトに基づいて本発明はプリント基板または基板なしに達成することができ、これによってコストが低減される。さらには、本発明によれば公知のDIPリードフレームの変更が必要なく、ひいては標準的な機械および工具による製造が可能であるという事実は、コスト的に有利に作用する。DIPの脚部を非常に僅かしか変更しないので、標準的な測定センサによる測定技術ないし調整が可能であり、高価な特注生産は生じない。
【0008】
さらに本発明によれば、特にコンタクトが望まれる端子ピンに関して多様性が与えられるので特に有利である。これに関して、電気的機能性および機械的固定性のために必要な端子ピンだけが圧入される。その他すべての端子ピンに対しては、支持ストリップに相応の切欠部が設けられる。
【0009】
本発明の特に有利な実施形態によれば、支持ストリップは、第2の端部領域に圧入ゾーンを形成するために第1の端部領域の厚さよりも薄い厚さに型押しされており、圧入ゾーンは、支持ストリップの長手方向に対して横断するように配置された、対応する端子ピンを収容するために設けられたそれぞれ1つのスリットと、2つの横材を有する。これらの横材はそれぞれ、一方ではスリットの対向する側の1つと、他方では支持ストリップの切欠部と境を接している。つまり圧入ゾーンの所要のフレキシビリティは、簡単な打ち抜き技術手段によって実現することができる。
【0010】
有利な発展形態によれば、支持ストリップは、該支持ストリップの材料および厚さならびにスリットおよび切欠部の配置およびサイズを、端子ピンの圧入時に横材のスプリング作用が生じるように選択することによって構成することができる。
【0011】
モジュールケーシングが差込み取り付け可能な端子ピンを有する場合、ないしは、このような端子ピンが例えば表面実装可能な曲げられたピンを真っ直ぐに伸ばすことによって形成される場合には、モジュールケーシングとして有利には、コスト的に有利な標準的なチップケーシング、とりわけデュアルインインラインパッケージ(DIP)を使用することができる。
【0012】
本発明によるセンサまたはセンサ装置の製造方法においては、モジュールケーシングが、圧入技術によって金属製の支持ストリップの上に取り付けられ、その後モジュールケーシングと支持ストリップが、プラスチックによって共通に取り囲まれるように射出成形されることによってセンサケーシングの中に埋め込まれる。
【0013】
以下、本発明を図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明によって変更された端子ピンを備えるDIPモジュールケーシングを種々異なる方向から見た図である。
【図2】図2は、多数のモジュールケーシングのマトリクス・リードフレーム複合体内の、図1で図示したモジュールケーシングを示す図である。
【図3】図3は、本発明の支持ストリップの平面図および断面図である。
【図4】図4は、連続したベルトの複合体における図3の支持ストリップを示す図である。
【図5】図5は、本発明によって2つの支持ストリップ上にプレスされたチップモジュールの平面図および断面図である。
【図6】図6は、支持ストリップのプレスゾーンおよびプレス工程を詳細に示す図である。
【図7】図7は、中間ケーシングによって取り囲まれるように射出成形された図5の装置の平面図および断面図である。
【図8】図8は、最終的なセンサケーシングを種々異なる方向から見た図である。
【図9】図9は、最終的なセンサケーシングの別の図である。
【図10】図10は、本発明のセンサの本発明による製造工程の種々異なる段階を示す図である。
【図11】図11は、本発明のセンサの本発明による製造工程の種々異なる段階を示す図である。
【図12】図12は、本発明のセンサの本発明による製造工程の種々異なる段階を示す図である。
【0015】
図1は、両側の長手縁部から突出したそれぞれ4つのピン4を備えるJEDEC規格のデュアルインラインパッケージ(DIP)の、端面から見た図(図1A)、平面図(図1B)、および側面から見た図(図1C)である。チップモジュール2のモジュールケーシング1は、公知のようにトランスファーモールド法で製造される(材料:エポキシ樹脂をベースにしたモールドコンパウンド)。モジュールケーシング1は、パターニングされたリードフレーム(回路支持体)の上に、マイクロパターニングされたセンサチップ、ASIC、および受動素子(全て図示せず)を含む。本発明によれば、ただ1つの変更として端子ピン4(「脚部」)の形状が若干変更される。この変更は、各脚部4の自由端における少なくとも1つの先細部3を含む。さらにストッパ面5が有利である。したがって図示した実施例において、チップモジュール2のベースは、デュアルインライン構造における−JEDEC標準規格の−モジュールケーシング1であり、このモジュールケーシング1の中に完全な回路、すなわち(パターニングされたリードフレームの)回路支持体、センサチップ、ASIC、および場合によっては受動素子が集積されている。しかしながら本発明のモジュールケーシング1の接続脚部4は、該脚部4の端部の先細部3によって幅狭になった。さらに脚部4からケーシング1への移行部は、−本来のDIPとは異なり−段階なしに形成される。むしろ端子ピン4につき1つのストッパ面5が設けられている。
【0016】
脚部4の変更は有利にも、リードフレーム複合体における接点間隔に対してX方向にもY方向にも影響を与えない。通常の切断・曲げ工具を使用することも可能である。したがって、公知のマトリクス・リードフレーム構造内で製造することが可能であり、標準機械で製造することが可能である。
【0017】
図2は、図1に図示したDIPモジュールケーシング1を多数のモジュールケーシングの複合体においてリードフレーム6の形態で図示しており、より詳細に言えばマトリクス・リードフレームの一部を図示している。ほぼ標準的なモジュールケーシング1であり、「脚部4」の最終形状が若干変更されただけなので、標準機械にて世界的に規格化された方法で製造することが可能である。これによって格段のコスト利点がもたらされる。なぜなら、既存の製造ライン、既存の射出成形工具、および既存の切断・曲げ工具を使用することができるからである。
【0018】
図3は、本発明による金属被覆された支持ストライプ7を2つの方向から見た図である。(平面図には、隣り合って2つの支持ストライプが図示されている。これらの支持ストライプはそれぞれ、DIPモジュールケーシング1の共通の1つの側に配置された端子ピン4との電気接続および機械接続の役割を担う。)支持ストリップ7の厚さは所期の顧客インターフェースによって決定され、この実施例においては差込コンタクト8の0,6mmの厚さによって決定される。原料ベルト14(図4を参照のこと。例えばCuSn6製)は、片側で(ここでは図3に図示する支持ストリップ7の左端領域)、DIPモジュールケーシング1へのコンタクトのために必要な厚さに型押しされる。型押しされたベルト14において、のちにDIPモジュールケーシング1を収容するためのクランプスプリングコンタクト9の構造が打ち抜かれ、場合によっては電気メッキされる。
【0019】
金属製の支持ストリップ7は、本発明によれば2つの機能を実現する。
【0020】
一方では、差込コンタクトインターフェースの実現である。他方では、DIPモジュールケーシング1を圧入技術(冷間接続方法)によって電気的にコンタクトし、かつ機械的に確実に固定する手段を提供することである。
【0021】
この第1の機能は、相応の打ち抜き工具によって、および、支持ストリップ7の厚さを適切に選択することによって保証される。第2の機能のためには、スプリングコンタクト・クランプ箇所9が設けられている。ここでは原則的に、標準的な圧入技術が逆転される。ピンは中実に形成され、圧入領域は弾性ないしクランプ式に形成される。ピンは、本発明によればDIPモジュールケーシング1の脚部4であり、圧入領域9は、支持ストリップ7の機能指向の構成によって製造される。このために支持ストリップ7は所要の寸法に型押しされ、打ち抜かれたスリット10によってスプリング・クランプ・コンタクト箇所9が必要数だけ実現される。ここではスリット10は、切欠部12および13によって形成された横材11によって画定されている。
【0022】
図4は、連続したベルト14における複合体としての本発明の支持ストリップ7を図示する(ベルト14は一部分のみを図示)。ベルト14の形態で、典型的には圧入コンタクトにおいて実施されるようなリール・ツー・リール式金属メッキ工程が可能である。打ち抜き工程による支持エレメント7の個別化は、最終取り付けにおいてようやく実施される。打ち抜き工程はベルト14において実施されるので、部分的に差込ピン8においても、つまり支持体7の残りの部分以外においても、表面に電気メッキを施すことが可能であり、このようにして支持ストリップ7の領域にはそれぞれの機能環境に適合した表面を設けることができる。
【0023】
図5は、本発明の構造を図示している。DIPモジュールケーシング1は、圧入技術(ないしは冷間接続技術)によって支持ストリップ7と接続される。(詳細な経過は、図6の詳細図も参照のこと)最適には、DIPモジュールケーシング1を予め固定するために、支持ストリップ7に横側のガイド部を設けることができ、このガイド部は曲げ工程によって実現される。例として8端子のモジュールケーシング1が図示されており、各支持ストリップ7には4つの端子ピン4が割り当てられている。見て分かるように、各端子列の中央の2つの端子ピン4は、圧入ゾーン9においてはコンタクトしておらず、自由に伸張している。つまり、電気コンタクトなしに例えば切欠部13を貫通して伸張している。センサの通常動作においてコンタクトすべきでない当該接続ピン4は、テスト動作においてのみ必要とされるものである。
【0024】
図6においては、構造的および材料技術的に相応に構成された支持ストリップ7において、圧入工程によって、スプリング・クランプ・コンタクト箇所9にDIPモジュールケーシングの脚部4に対するスプリングクランプ作用が生じる様子が認識できる。まずDIP脚部4が支持ストリップ7のスリット10に挿入される。DIP脚部4はさらなる圧入において横材11とコンタクトして、横側に向かう力を及ぼす。この力は横材を、該横材の構造に基づいて、ないしは切欠部12および13に基づいて、部分的に弾性にたわませることができる。最後に各端子ピン4が完全に圧入され、支持体ストリップ7との電気的および機械的な接続を形成する。
【0025】
図5および6によれば装着時には、脚部4の先細領域3が、支持ストリップ7にこのために設けられたスリット10の中に位置している。なぜなら脚部4の寸法は先細領域3において若干狭くなっており、スリット10よりも幅広だからである。力の印加によって、脚部4はスリット10の中に押圧される。先細でない領域における脚部4は支持体7のスリット10よりも幅広なので、クランプ作用が達成される。この際支持体7は、横材11の所定のスプリング作用を可能にしなければならない。このことは、使用可能なパラメータに基づいた相応の設計によって簡単に可能である。
【0026】
この電気機械的な接続を保証するために、支持ストリップ7は、中間ケーシング15によって取り囲まれるように射出成形される(図7を参照のこと)。圧入されたDIPモジュールケーシング1を支持ストリップ7上に機械的に固定するために、および、以後に実施される包囲状のセンサケーシング(最終ケーシング)の射出成形工程時におけるストレスを分離するために、図5の構造は、例えば部分的にフレキシブルな材料(シリコン)からなる包囲状の中間ケーシング15によって取り囲まれるように射出成形される。図7における選択された図面から、単なる例として挙げられた中間ケーシング15の形状が認識できる。中間ケーシング5の製造に必要な射出成形工具は、「押し出し部材」が力結合を支持する機能を担うことにより、圧入工程のための土台として使用することができる(図10の下側参照)。射出成形工具におけるこの「押し出し部材」は、同時に中間ケーシング15を生産する機能も担うことができる。さらに中間ケーシング15は、センサケーシングのプラスチックによって取り囲むように射出成形する際−非常に高い圧力(>500bar)で実施される−のストレスの分離という観点において有利である。
【0027】
最後に支持ストリップ7と中間ケーシング15は、差込インターフェース8a(図8参照)および固定手段17を含む最終ケーシング(センサケーシング)16が生じるように、プラスチックによって取り囲まれるように射出成形される。
【0028】
図8は、これまで説明した構造を含む最終的なセンサケーシング16を複数の方向から透過図で図示している。形状は一例として選択されているものであり、とりわけ自動車用加速度センサに適しているものである。さらに取り付けピン18が見て取れる。
【0029】
図9は、センサの最終ケーシング16の別の図である。中間ケーシング15を最終ケーシング16の射出成形工具に固定できるようにするために、図示した実施形態においては、中間ケーシング15の表面に「中央凹部を備えたアタッチメント」19が設けられている。これに対する相手側部材は(図示しない)射出成形工具の中に位置しており、最終ケーシング16に対する中間ケーシング15の正確な位置決めを支持している。最終ケーシング16の注入点は、(例えばブッシュの下に)注入されたプラスチックペーストがちょうどこの収容面19に対して押圧するように選択される。
【0030】
図10から12は、製造時の工程進行の種々の段階を図示している。
【0031】
図10によれば、まず打ち抜かれた支持エレメント7が、中間ケーシング15の製造用に用意された下側の射出成形キャビティ21の上に位置付けされる。キャビティ21には押し出しエレメント20が位置しており、この押し出しエレメント20は、支持ストリップ7の高さに突出している。
【0032】
ピックアンドプレイス工程によってDIPケーシング1は、真空吸引部22(図11の左図を参照のこと)を用いて支持ストリップ7に対して位置決めされ、装着(挿入)される。
【0033】
圧入工具23(図11の右図を参照のこと)は、ケーシング1ないしDIP脚部4を支持ストリップ7のスプリングエレメント9へと圧入する。圧入工程において、射出成形工具21における「押し出し器」20は、(上から)もたらされる圧入力に対する「相手側軸受」でもある。
【0034】
その後、圧入工具23および力吸収に必要な押し出し器20は元の位置に戻り(図12の左図参照のこと)、そして上側の射出成形キャビティ24が、中間ケーシング15の製造のために設けられた射出成形工具を閉成する(図12の右図参照のこと)。
【0035】
ペーストを射出して冷却した後、中間ケーシング15は完成する。押し出し器20は、ここでは同時に中間ケーシング15を下側の射出成形キャビティ21から突き出す「エジェクタ」として使用される。
【0036】
最後に包囲状の最終ケーシング16が取り囲むように射出成形され、この結果、図8および9に図示したようになる。ここでは差込インターフェース8aおよびネジ固定手段ないし取り付け手段17および18が設けられている。
【0037】
以下、再度要約して本発明の重要な利点を挙げたい:
DIPモジュールケーシング1と支持ストリップ7の間における、DIPケーシング1の脚部の長さに基づいた理想的なストレス分離が可能となる。他方では、センサ全体のセンササイズが非常に小さくなる。取り付け工程が全体として非常に低減される。熱による取り付けないし接続工程、すなわち溶接、はんだ付け等が必要ないので、接続技術によるDIPモジュールケーシングへの熱的ストレスが生じない。ケーシング形状はほとんど制限されていないので、とりわけ自動車にも適したセンサケーシングを実現することができる。
【0038】
さらに、導電性粒子のいわゆる「粒子問題」が緩和される。はんだ球、融剤の残滓、溶接時の燃焼残滓、銀導電性接着時の接着剤残滓等による汚染は、本発明の取り付けによれば懸念する必要がない。
【0039】
トランスファーモールド法を使用する場合には(すなわち最終ケーシング16がモールドコンパウンド/エポキシ樹脂から製造される場合には)、場合によっては中間ケーシング15を省略することも可能である。
【0040】
同じ1つのDIPモジュールケーシング1を用いて、支持ストライプの位置を変化させるだけで(0°、45°、90°センサ等)種々のセンサタイプにおいて簡単に全てのセンシング方向を実現することが可能である。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサケーシング(16)を有する電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサであって、
前記センサケーシング(16)の中にチップモジュール(2)が取り付けられており、
前記センサケーシング(16)は差込コンタクト(8)を有しており、
前記差込コンタクト(8)は、前記チップモジュール(2)のモジュールケーシング(1)に配置されている端子と電気接続によって接続されている、
電子センサまたはセンサ装置において、
・前記モジュールケーシング(1)が側方にて外側に突出する端子ピン(4)を有しており、該端子ピン(4)は自由端部においてそれぞれ先細部(3)を有しており、
・少なくとも1つの金属製の支持ストリップ(7)が設けられており、該支持ストリップ(7)は第1の端部領域では差込コンタクト(8)として形成されており、かつ第2の端部領域では少なくとも1つの端子ピン(4)のためにそれぞれ1つのスプリング・クランプ・コンタクト箇所(9)を有しており、該スプリング・クランプ・コンタクト箇所(9)は、対応する端子ピン(4)のためのフレキシブルな圧入ゾーンを形成しており、
・前記支持ストリップ(7)に、それぞれ対応していない端子ピン(4)のための少なくとも1つの切欠部(12,13)が設けられている、
ことを特徴とする電子センサまたはセンサ装置。
【請求項2】
前記支持ストリップ(7)は、前記第2の端部領域に圧入ゾーンを形成するために前記第1の端部領域の厚さよりも薄い厚さに型押しされており、
前記圧入ゾーンは、前記支持ストリップ(7)の長手方向に対して横断するように配置された、対応する端子ピン(4)を収容するために設けられたそれぞれ1つのスリット(10)と、2つの横材(11)を有し、
該横材(11)はそれぞれ、一方では前記スリット(10)の対向する側の1つと、他方では前記支持ストリップ(7)の切欠部(12,13)と境を接している、
ことを特徴とする請求項1記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項3】
前記支持ストリップは(7)、該支持ストリップの材料および厚さに関して、ならびに前記スリット(10)および前記切欠部(12,13)の配置およびサイズによって、前記端子ピン(4)の圧入時に前記横材(11)のスプリング作用が生じるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項4】
前記モジュールケーシング(1)は、差込み取り付け可能な端子ピンを有する標準的なチップケーシング、とりわけデュアルインインラインパッケージ(DIP)である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項5】
前記端子ピン(4)は、前記モジュールケーシング(1)への移行部と前記先細部(3)との間にそれぞれ1つのストッパ面(5)または肩部を有しており、
該ストッパ面(5)または肩部は、前記端子ピン(4)の圧入時に前記支持ストリップ(5)上に当接する、
ことを特徴とする請求項4記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項6】
前記支持ストリップ(7)の前記第2の端部領域は、圧入技術によって前記支持ストリップと接続された、中間ケーシング(15)を備えるチップモジュール(2)と共に取り囲まれるように射出成形されており、
前記中間ケーシング(15)は、前記センサケーシング(16)の中に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項記載の電子センサまたはセンサ装置の製造方法において、
前記モジュールケーシング(1)を圧入技術によって少なくとも1つの金属製の支持ストリップ(7)の上に取り付け、その後前記モジュールケーシング(1)と前記支持ストリップ(7)を、プラスチックによって取り囲むように射出成形することによってセンサケーシング(16)の中に埋め込む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
複数の支持ストリップ(7)を複合体として有する連続したベルト(14)を形成し、
その後打ち抜き工程によって支持ストリップ(7)を個別化して、そしてそれぞれ前記モジュールケーシング(1)を前記支持ストリップ(7)の上に取り付ける、
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのリール・ツー・リール式電気メッキ工程によって、前記支持ストリップ(7)または前記支持ストリップの一部分の上に、電気メッキが施された表面を形成する、
ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
・中間ケーシング(15)を製造するために設けられた射出成形工具の下側の射出成形キャビティ(21)の上に、打ち抜かれた前記支持ストリップ(7)を位置付けするステップであって、前記キャビティ(21)には押し出しエレメント(20)が設けられており、該押し出しエレメント(20)は前記支持ストリップの高さに突出している、ステップと、
・前記モジュールケーシング(1)を、圧入工具(23)によって前記支持ストリップ(7)に位置付けし、装着して、圧入するステップであって、この際、前記押し出しエレメント(20)によって力結合が支持される、ステップと、
・前記圧入工具(23)および前記押し出しエレメント(20)を元の位置に戻し、前記射出成形工具の上側の射出成形キャビティ(24)が閉成するステップと、
・プラスチックによって取り囲むように射出成形することによって中間ケーシング(15)を製造するステップと、
・前記中間ケーシング(15)および前記支持ストリップ(7)の差込コンタクト(8)を別の射出成形型を用いて取り囲むように射出成形することによって、センサケーシング(16)を製造するステップと、
を少なくとも有することを特徴とする請求項8または9記載の方法。
【請求項1】
センサケーシング(16)を有する電子センサまたはセンサ装置、とりわけ加速度センサであって、
前記センサケーシング(16)の中にチップモジュール(2)が取り付けられており、
前記センサケーシング(16)は差込コンタクト(8)を有しており、
前記差込コンタクト(8)は、前記チップモジュール(2)のモジュールケーシング(1)に配置されている端子と電気接続によって接続されている、
電子センサまたはセンサ装置において、
・前記モジュールケーシング(1)が側方にて外側に突出する端子ピン(4)を有しており、該端子ピン(4)は自由端部においてそれぞれ先細部(3)を有しており、
・少なくとも1つの金属製の支持ストリップ(7)が設けられており、該支持ストリップ(7)は第1の端部領域では差込コンタクト(8)として形成されており、かつ第2の端部領域では少なくとも1つの端子ピン(4)のためにそれぞれ1つのスプリング・クランプ・コンタクト箇所(9)を有しており、該スプリング・クランプ・コンタクト箇所(9)は、対応する端子ピン(4)のためのフレキシブルな圧入ゾーンを形成しており、
・前記支持ストリップ(7)に、それぞれ対応していない端子ピン(4)のための少なくとも1つの切欠部(12,13)が設けられている、
ことを特徴とする電子センサまたはセンサ装置。
【請求項2】
前記支持ストリップ(7)は、前記第2の端部領域に圧入ゾーンを形成するために前記第1の端部領域の厚さよりも薄い厚さに型押しされており、
前記圧入ゾーンは、前記支持ストリップ(7)の長手方向に対して横断するように配置された、対応する端子ピン(4)を収容するために設けられたそれぞれ1つのスリット(10)と、2つの横材(11)を有し、
該横材(11)はそれぞれ、一方では前記スリット(10)の対向する側の1つと、他方では前記支持ストリップ(7)の切欠部(12,13)と境を接している、
ことを特徴とする請求項1記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項3】
前記支持ストリップは(7)、該支持ストリップの材料および厚さに関して、ならびに前記スリット(10)および前記切欠部(12,13)の配置およびサイズによって、前記端子ピン(4)の圧入時に前記横材(11)のスプリング作用が生じるように構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項4】
前記モジュールケーシング(1)は、差込み取り付け可能な端子ピンを有する標準的なチップケーシング、とりわけデュアルインインラインパッケージ(DIP)である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項5】
前記端子ピン(4)は、前記モジュールケーシング(1)への移行部と前記先細部(3)との間にそれぞれ1つのストッパ面(5)または肩部を有しており、
該ストッパ面(5)または肩部は、前記端子ピン(4)の圧入時に前記支持ストリップ(5)上に当接する、
ことを特徴とする請求項4記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項6】
前記支持ストリップ(7)の前記第2の端部領域は、圧入技術によって前記支持ストリップと接続された、中間ケーシング(15)を備えるチップモジュール(2)と共に取り囲まれるように射出成形されており、
前記中間ケーシング(15)は、前記センサケーシング(16)の中に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の電子センサまたはセンサ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項記載の電子センサまたはセンサ装置の製造方法において、
前記モジュールケーシング(1)を圧入技術によって少なくとも1つの金属製の支持ストリップ(7)の上に取り付け、その後前記モジュールケーシング(1)と前記支持ストリップ(7)を、プラスチックによって取り囲むように射出成形することによってセンサケーシング(16)の中に埋め込む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
複数の支持ストリップ(7)を複合体として有する連続したベルト(14)を形成し、
その後打ち抜き工程によって支持ストリップ(7)を個別化して、そしてそれぞれ前記モジュールケーシング(1)を前記支持ストリップ(7)の上に取り付ける、
ことを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのリール・ツー・リール式電気メッキ工程によって、前記支持ストリップ(7)または前記支持ストリップの一部分の上に、電気メッキが施された表面を形成する、
ことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
・中間ケーシング(15)を製造するために設けられた射出成形工具の下側の射出成形キャビティ(21)の上に、打ち抜かれた前記支持ストリップ(7)を位置付けするステップであって、前記キャビティ(21)には押し出しエレメント(20)が設けられており、該押し出しエレメント(20)は前記支持ストリップの高さに突出している、ステップと、
・前記モジュールケーシング(1)を、圧入工具(23)によって前記支持ストリップ(7)に位置付けし、装着して、圧入するステップであって、この際、前記押し出しエレメント(20)によって力結合が支持される、ステップと、
・前記圧入工具(23)および前記押し出しエレメント(20)を元の位置に戻し、前記射出成形工具の上側の射出成形キャビティ(24)が閉成するステップと、
・プラスチックによって取り囲むように射出成形することによって中間ケーシング(15)を製造するステップと、
・前記中間ケーシング(15)および前記支持ストリップ(7)の差込コンタクト(8)を別の射出成形型を用いて取り囲むように射出成形することによって、センサケーシング(16)を製造するステップと、
を少なくとも有することを特徴とする請求項8または9記載の方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−530149(P2011−530149A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521496(P2011−521496)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057083
【国際公開番号】WO2010/015444
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057083
【国際公開番号】WO2010/015444
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
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