説明

センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システム

【課題】崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況を面で捉えて常時観測すると共に、微小変動を捉えて災害発生の起きる直前の前兆を予知することにより、地域内の住民に逸早い避難勧告を同報無線にて行うことができる、センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムを得る。
【解決手段】崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況をバッテリーレスにて常時観測するための変動検知センサと、前記変動検知センサより設置箇所の変動データを無線通信にて取得するための検知中継装置と、前記変動データを収集して解析処理を行うと共に、災害発生の予知と発生直前における避難勧告を行うための同報無線システムにて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況を常時観測することにより、災害発生の予知と発生直前における避難勧告を同報無線にて行うことができる、センサ入力機能付きバッテリーレス型RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いた崩落予知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の災害発生を検知する場合、前記災害の起きる可能性の高い崖や山の斜面にワイヤセンサや伸縮計等の災害検知センサを設置し、該災害検知センサより出力されたセンサ信号により災害発生の検知を行っていた。該災害検知センサ及び周辺装置には電子装置が組み込まれているため、電源ケーブルや信号ケーブルの敷設が必要である。そこで、前記崖や山の斜面に災害検知センサを設置して電源ケーブルや信号ケーブルの敷設工事を行う場合、設置環境が劣悪なために非常な困難を伴っていた。また、前記ケーブルの断線が起こる可能性もあり、信頼性に欠けていた。
【0003】
上記課題を解決すべく、例えば特開2001−34874号公報の『災害検知センサ伝送装置』においては、災害発生の起きる可能性の高い場所にワイヤセンサや伸縮計等の災害検知センサを複数箇所に配置し、前記災害検知センサの近傍に配置したセンサ送信機にてセンサ情報を遠方のセンサ受信機に送信する、無線通信によるセンサ情報の伝送システムが記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−34874
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記公報等においては、災害発生の起きる可能性の高い場所に配置する災害検知センサとして一般的にワイヤセンサや伸縮計等を使用し、岩盤や地盤の直線的な距離の伸縮により災害発生を検知するものであった。従って、前記ワイヤセンサや伸縮計等の配置から外れた場所は検知することができず、面で捉えた精細な発生状況を検知することができないという問題点があった。更には、災害発生が起きた結果しか検知できず、災害発生の起きる直前の前兆を捉えて予知を行うことができないという問題点があった。
【0006】
また、少なくとも災害検知センサとセンサ送信機との間には電源ケーブルや信号ケーブルの敷設があり、センサ送信機には電源ケーブルの敷設があるため、災害状況によってはケーブルの断線が起こる可能性があり、信頼性に欠けるという問題点もあった。
【0007】
本発明は、以上述べたような問題点を解決するために成されたものであり、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況を面で捉えて常時観測すると共に、微小変動を捉えて災害発生の起きる直前の前兆を予知することにより、地域内の住民に逸早い避難勧告を同報無線にて行うことができる、センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムにおいては、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況をバッテリーレスにて常時観測するための変動検知センサと、前記変動検知センサより設置箇所の変動データを無線通信にて取得するための検知中継装置と、前記変動データを収集して解析処理を行うと共に、災害発生の予知と発生直前における避難勧告を行うための同報無線システムにて構成し、
前記崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況をバッテリーレスにて常時観測するための変動検知センサにあっては、バイアス電源が無くとも変動に応じたセンサ信号が出力される磁気平衡型3軸加速度センサと、該磁気平衡型3軸加速度センサから出力されるセンサ信号を処理して変動データを検知することができるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグとを密閉された直線状の筒体の上下両端部に内蔵し若しくは十字状の筒体の上下両端部及び左右両端部に内蔵して構成し、
前記変動検知センサより設置箇所の変動データを取得ための検知中継装置にあっては、前記磁気平衡型3軸加速度センサを接続したセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグと無線通信を行うことにより変動データを取得することができるリーダーと、該変動データを同報無線を中継して防災センターに伝送すべく前記同報無線と無線通信を行うためのRF通信装置と、当該検知中継装置設置部の変動データを検知するための変動検知センサと、前記リーダーとRF通信装置に電源供給を行うための太陽電池とバッテリー及び電源回路にて構成する。
【0009】
また、上記変動検知センサ及び検知中継装置の設置方法にあっては、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生の可能性の高い崖等の斜面において、変動検知センサを検知中継装置を中心として放射状に複数箇所及び当該検知中継装置自体に設置し、更に前記組み合せを互いに影響しないような距離を持たせて検知すべき領域の広さに応じて複数箇所に設置する。
【0010】
また、変動データより災害発生の予知と発生直前における避難勧告を行う方法にあっては、上記変動検知センサ及び検知中継装置にて取得した変動データを同報無線を中継して防災センターに伝送すると共に、該防災センター内のサーバーにてデータ解析処理を行い、災害発生が起きる可能性が高いと判断された場合に避難勧告を前記同報無線にて行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムによれば、変動検知センサを検知中継装置を中心として放射状に複数箇所及び当該検知中継装置自体に設置し、更に前記組み合せを検知すべき領域の広さに応じて複数箇所に設置するため、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の精細な発生状況を面で捉えて常時観測することができ、微小変動を捉えて災害発生の起きる直前の前兆を予知することにより、地域内の住民に逸早い避難勧告を同報無線にて行うことができるという絶大なる効果を奏する。また、変動検知センサはバッテリーレスで作動し、検知中継装置も太陽電池にて作動できるため、ケーブルの敷設が不要となり、信頼性が向上するという効果も奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を図を用いて説明する。
【0013】
図3は本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる第一実施例の変動検知センサの構造図である。該図に示すように、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況をバッテリーレスにて常時観測するための変動検知センサ1は、バイアス電源が無くともセンサ信号が出力される磁気平衡型3軸加速度センサ15と、該磁気平衡型3軸加速度センサ15から出力されるセンサ信号を入力して変動データを得ることができるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを、密閉された直線状の筒体14の上下両端部に内蔵して構成する。前記センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグはRFIDタグチップ21及びアンテナ22にて構成し、下部にあるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグのアンテナ22を筒体14の上部側に配置する。また、前記筒体14の全長の半分程度を崖4等の斜面に挿入することにより、下部にある磁気平衡型3軸加速度センサ15と上部にある磁気平衡型3軸加速度センサ15にて異なった変動の変化を捉えることができる。
【0014】
また、図4は本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる第二実施例の変動検知センサの構造図である。該実施例においては、上記図3の図中A部に崖4等の斜面と平行な筒体14を設けた十字状とし、上記と同様に磁気平衡型3軸加速度センサ15と、該磁気平衡型3軸加速度センサ15から出力されるセンサ信号を入力して変動データを得ることができるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを、密閉された十字状の筒体14の上下両端部及び左右両端部に内蔵して構成する。前記センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグはRFIDタグチップ21及びアンテナ22にて構成し、下部及び横方向にあるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグのアンテナ22を縦方向の筒体14の上部側に配置する。また、前記横方向の筒体14を図中B−B線で示す崖4等の内部に埋設することにより、検知範囲を拡大させることができ、より精細な変動データを取得することができる。
【0015】
上記第一実施例及び第二実施例の変動検知センサ1において、下部又は横方向にあるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグのアンテナ22を縦方向の筒体14の上部側に配置するのは、後述の検知中継装置2との無線通信を確実に行わせるためである。なお、上記第一実施例及び第二実施例の変動検知センサ1における筒体14の長さは1〜1.5m程度とし、材質は合成樹脂とするのが好適であるが、特に限定するものではない。また、前記第一実施例及び第二実施例で示した変動検知センサ1に、外形構造又は回路構成に多少の変形を成したものであっても同等の機能を有するものであれば、本願の変動検知センサ1に包含されるものである。
【0016】
図5は本発明の変動検知センサを構成する磁気平衡型3軸加速度センサの構成図であり、該磁気平衡型3軸加速度センサ15は磁気平衡型加速度センサエレメント15a,15b,15cをX軸,Y軸及びZ軸方向に互いに直交するように配設して構成する。各磁気平衡型加速度センサエレメント15a,15b,15cには、それぞれコイル16a,16b,16cが巻かれている。該図は磁気平衡型3軸加速度センサ15の基本構成を示したものであり、実際には5mm角程度のハウジングケースに収容して成形し、センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグに接続するものである。
【0017】
図6は本発明の変動検知センサを構成する磁気平衡型3軸加速度センサの構造図及び出力電圧波形図であり、磁気平衡型3軸加速度センサ15を構成する各磁気平衡型加速度センサエレメント15a,15b,15cは、シリンダ17の内部に可動マグネット18を収容すると共に、当該シリンダ17の両端部に可動マグネット18の極性と同一極性が対向するように固定マグネット20,20を固設し、シリンダ17内部の軸方向に振動可能に可動マグネット18を平衡配置する。更に、可動マグネット18の両端部に硬球19,19を配設すると共に当該可動マグネット18の一先端部分のシリンダ17外面に誘導起電力を発生させるためのコイル16を巻く。なお、硬球19,19はシリンダ17の内部を可動マグネット18が振動する際にシリンダ17の内面と硬球19,19が点接触することにより滑り摩擦による影響を減少させるためのものであるが、影響が無視できるものであればなくても構わない。
【0018】
ここで、磁気平衡型加速度センサエレメント15a,15b,15cが図中矢印方向に1周期だけ振動した場合、コイル16からはV1で示す1サイクルの交流電圧が発生する。該振動の強さ即ち変動検知センサ1の変動の強さにより誘導起電力の電圧値が変化するため、電圧値の大きさ及び変動時間を計測することにより変動検知センサ1の変動量が検知可能になる。従って、バイアス電源が無くとも変動に応じたセンサ信号を出力することができる。また、交流電圧の極性を判断することにより変動方向の判別が可能になる。
【0019】
また、図7は本発明の変動検知センサを構成するセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグのブロック図である。該図において、アンテナ22は後述の検知中継装置2内のリーダー32と電磁波による無線通信を行うため、RFIDチップ21内又は一部RFIDチップ21外の同調キャパシタ(図示せず)から成る同調回路23に接続し、本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで使用するキャリア周波数として例えば950MHz帯に同調させて共振回路を構成する。
【0020】
上記同調回路23の後段には、リーダー32のアンテナ33から送信された電磁波が当該センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグのアンテナ22を通過した時に発生する誘導起電力の電圧波形を検波したり、該誘導起電力を半波又は全波整流して直流電圧を取り出すための整流回路24を接続する。
【0021】
次に、上記整流回路24の後段には、検波したキャリアを分周してシステム用のクロックを生成するためのクロック生成回路25と、信号受信時においてキャリアから信号を取り出す復調動作を行ったり信号送信時においてスイッチング素子(図示せず)により変調動作を行うための変復調回路26と、上記直流電圧を安定化して回路電源を供給したり、充電用コンデンサ28に充電電圧を供給するための電源回路27を接続する。該充電用コンデンサ28は一般的にはセラミックコンデンサであり、電力を必要とする場合には大容量型の電気二重層コンデンサ等が好適であるが、特に限定するものではない。
【0022】
次に、上記変復調回路26の後段には、該変復調回路26の制御や不揮発性メモリであるFRAM(Ferroelectric RAM:米国Ramtron社の登録商標)30に対する当該RFIDチップ21の固有ID情報や変動データ等のデータの書込み又は読出し制御を行うためのロジック回路29を接続する。また、磁気平衡型加速度センサ15の各磁気平衡型加速度センサエレメント15a,15b,15cより出力されるセンサ信号を変動データに変換するためのA/D変換回路31を前記ロジック回路29とFRAM30に接続する。また、後述の検知中継装置2において、当該検知中継装置2に内蔵されたRFIDチップ21とリーダー32間において直接通信を行うための通信信号線を、変復調回路26及びロジック回路29の信号線より引き出して外部通信ポートとしておく。
【0023】
なお、上記FRAM30は強誘電体型の不揮発性メモリであり、回路電源がOFFになっても当該RFIDチップ21の固有ID情報や変動データ等のデータは消失することはない。また、データの書込み電圧は、EEPROMやフラッシュメモリのように高圧に昇圧する必要がないため、昇圧回路が簡略化される。また、書込み又は読出し速度はDRAMと同等であり、EEPROMやフラッシュメモリよりはるかに高速であるという特徴を持つものである。このように、不揮発性メモリとしてはFRAM30が好適であるが他のメモリを使用しても構わない。
【0024】
また、図8は本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる検知中継装置のブロック図である。該図に示すように、上記変動検知センサ1より設置箇所の変動データを取得ための検知中継装置2は、磁気平衡型3軸加速度センサ15を接続したセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグと無線通信を行うことにより変動データを取得することができるリーダー32と、該変動データを同報無線5を中継して防災センター7に伝送すべく前記同報無線5と無線通信を行うためのRF通信装置34と、当該検知中継装置2設置部の変動データを検知するための変動検知センサ1と、前記リーダー32とRF通信装置34に電源供給を行うための太陽電池3とバッテリー36及び電源回路37にて構成する。前記変動検知センサ1を構成するRFIDチップ21においては、内部の変復調回路26及びロジック回路29に接続されている通信信号線を外部通信ポートとして端子を中継して直接リーダー32に接続し、変動データを入力するのが好ましい。
【0025】
なお、上記リーダー32にはアンテナ33を接続し、変動検知センサ1内にあるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを構成するRFIDチップ21に接続されたアンテナ22と無線通信を行う。また、上記RF通信装置34にはアンテナ35を接続し、同報無線5に接続されたアンテナ6と無線通信を行う。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例を図を用いて説明する。
【0027】
図1は本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムの一実施例によるシステム構成図であり、図2は本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる変動検知センサ及び検知中継装置の崖等への設置状態を示す図である。該図に示すように、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生の可能性の高い崖4等の斜面において、変動検知センサ1を検知中継装置2を中心として放射状に複数箇所及び当該検知中継装置2自体に設置し、更に前記組み合せを互いに影響しないような距離を持たせて検知すべき領域の広さに応じて複数箇所に設置する。なお、太陽電池3は検知中継装置2に一体化して設置するのが好ましい。
【0028】
上記変動検知センサ1と検知中継装置2との距離は、本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで使用するRFID通信のキャリア周波数が例えば950MHz帯であれば、最大5〜9m程度となる。なお、図示するように、縦方向において複数の変動検知センサ1が重なり合わないように配置することにより、岩や土砂の落下や崩落を確率高く検知することができる。
【0029】
また、上記図3の説明で述べたように、変動検知センサ1の全長の半分程度を崖4等の斜面に挿入することにより、下部にある磁気平衡型3軸加速度センサ15と上部にある磁気平衡型3軸加速度センサ15にて異なった変動の変化を捉えることができる。また、上記図4の説明で述べたように、第二実施例の変動検知センサ1は第一実施例の変動検知センサ1より検知範囲を拡大させることができるため、より精細な変動データを取得する場合において使用するのが好ましい。
【0030】
ここで、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況は、昼間は太陽電池3の発電にて検知中継装置2を作動させて観測を行うことにより変動検知センサ1より変動データを取得し、夜間や雨天には前記太陽電池3で充電されたバッテリー36にて検知中継装置2を作動させて観測を行うことにより変動検知センサ1より変動データを取得し、昼夜を問わず常時観測が行えることになる。
【0031】
上記変動検知センサ1内の磁気平衡型3軸加速度センサ15を接続したセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグ21には固有ID情報が付与されているため、変動検知センサ1のシリアルナンバーと設置位置及び変動データをデータベース化して管理することにより、設置位置における変動データが明確化される。
【0032】
次に、上記検知中継装置2にて取得された変動データは、当該検知中継装置2内のRF通信装置34とブロック毎にある同報無線5と無線通信を行うことにより当該同報無線5を中継して防災センター7に収集される。そして、収集された変動データを当該防災センター7内のサーバー9にてデータ解析処理を行うことにより、災害発生の予知を行うことができる。更には、災害発生が起きる可能性が高いと判断された場合には避難勧告を前記同報無線5にて行うことができる。
【0033】
従って、災害発生の起きる直前において、崖4等を背後や側面に控えた平地11を走行する列車12の通過停止や住宅13に住む住民への逸早い避難勧告を行って安全を図ることができることになる。
【0034】
また、防災センター7のサーバー9をインターネット10に接続することにより、同報無線5以外にパソコンや携帯電話(図示せず)のメールにて上記避難勧告を受けることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムの一実施例によるシステム構成図である。
【図2】本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる変動検知センサ及び検知中継装置の崖等への設置状態を示す図である。
【図3】本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる第一実施例の変動検知センサの構造図である。
【図4】本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる第二実施例の変動検知センサの構造図である。
【図5】本発明の変動検知センサを構成する磁気平衡型3軸加速度センサの構成図である。
【図6】本発明の変動検知センサを構成する磁気平衡型3軸加速度センサの構造図及び出力電圧波形図である。
【図7】本発明の変動検知センサを構成するセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグのブロック図である。
【図8】本発明のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システムで用いる検知中継装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
1 変動検知センサ
2 検知中継装置
3 太陽電池
4 崖
5 同報無線
6 アンテナ
7 防災センター
8 アンテナ
9 サーバー
10 インターネット
11 平地
12 列車
13 住宅
14 筒体
15 磁気平衡型3軸加速度センサ
16 コイル
17 シリンダ
18 永久磁石
19 硬球
20 永久磁石
21 RFIDチップ
22 アンテナ
23 同調回路
24 整流回路
25 クロック生成回路
26 変復調回路
27 電源回路
28 充電用コンデンサ
29 ロジック回路
30 FRAM
31 A/D変換回路
32 リーダー
33 アンテナ
34 RF通信装置
35 アンテナ
36 バッテリー
37 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況をバッテリーレスにて常時観測するための変動検知センサと、前記変動検知センサより設置箇所の変動データを無線通信にて取得するための検知中継装置と、前記変動データを収集して解析処理を行うと共に、災害発生の予知と発生直前における避難勧告を行うための同報無線システムにて構成し、
前記崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生状況をバッテリーレスにて常時観測するための変動検知センサにあっては、バイアス電源が無くとも変動に応じたセンサ信号が出力される磁気平衡型3軸加速度センサと、該磁気平衡型3軸加速度センサから出力されるセンサ信号を処理して変動データを検知することができるセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグとを密閉された直線状の筒体の上下両端部に内蔵し若しくは十字状の筒体の上下両端部及び左右両端部に内蔵して構成し、
前記変動検知センサより設置箇所の変動データを取得ための検知中継装置にあっては、前記磁気平衡型3軸加速度センサを接続したセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグと無線通信を行うことにより変動データを取得することができるリーダーと、該変動データを同報無線を中継して防災センターに伝送すべく前記同報無線と無線通信を行うためのRF通信装置と、当該検知中継装置設置部の変動データを検知するための変動検知センサと、前記リーダーとRF通信装置に電源供給を行うための太陽電池とバッテリー及び電源回路にて構成することを特徴とした、センサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システム。
【請求項2】
変動検知センサ及び検知中継装置の設置方法にあっては、崖崩れ,土砂崩れ,地滑り等の発生の可能性の高い崖等の斜面において、変動検知センサを検知中継装置を中心として放射状に複数箇所及び当該検知中継装置自体に設置し、更に前記組み合せを互いに影響しないような距離を持たせて検知すべき領域の広さに応じて複数箇所に設置することを特徴とした、請求項1に記載のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システム。
【請求項3】
変動データより災害発生の予知と発生直前における避難勧告を行う方法にあっては、上記変動検知センサ及び検知中継装置にて取得した変動データを同報無線を中継して防災センターに伝送すると共に、該防災センター内のサーバーにてデータ解析処理を行い、災害発生が起きる可能性が高いと判断された場合に避難勧告を前記同報無線にて行うことを特徴とした、請求項1に記載のセンサ入力機能付きバッテリーレス型RFIDタグを用いた崩落予知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−128187(P2007−128187A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318842(P2005−318842)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(394007610)株式会社テルヤ (30)
【出願人】(301046617)ペガサスネット株式会社 (34)
【出願人】(501360979)
【Fターム(参考)】