説明

ソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ

本発明は、ソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブに関し、燃料噴射時点をバルブ自体で調整し、低圧及び高圧に応じて燃料を段階的に供給してエンジンシリンダーの燃焼性能を向上させることを課題とする。
本発明によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、燃料が供給される流路(1701)が内部に形成された燃料バルブブロック(110)と燃料を噴射するための低圧ノズルホール(160)及び高圧ノズルホール(161)が形成されたノズル(140)と、前記ノズル(140)の内部に設けられ、相対圧力差に応じて前記低圧ノズルホール及び前記高圧ノズルホールを順次に、かつ、段階的に開放するニードルバルブ(130)と、前記ニードルバルブを加圧して低圧の燃料を高圧に昇圧させるために、多段形成された圧力ブースタスピンドルと、前記圧力ブースタスピンドルに弾性力を加えるニードルバネと、前記ニードルバルブに供給された燃料の主圧力に対応する相対圧を前記圧力ブースタスピンドルに加えて燃料の圧力を高めるシャトルバルブ(150)と、上部に配置されたソレノイドバルブ(201)が上昇する際、下部ノズルとの隙間を通じて燃料を燃料排出口に排出するリフティングブッシュバルブ(180)と、ソレノイドバルブバネ(131)によって前記リフティングブッシュバルブの上部に加えられる圧力を調節し、燃料噴射時点を制御するソレノイドバルブ(201)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブに関する。より詳細には、大型エンジンや中型エンジンに燃料ポンプから排出された燃料の圧力に応じて、シリンダーに燃料を噴射する燃料噴射バルブのノズルホールの個数を変化させることで低圧及び高圧に柔軟に対処し、噴射後噴射流路に残っている残存燃料量を減らしてより優れた燃焼性能及びより高い燃費を出すことのできるディーゼル機関用燃料噴射バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、従来のディーゼルエンジンは、開放圧力(opening pressure)より高い圧力の燃料が流入すると開かれ、開放圧力より低い圧力の燃料が流入すると閉じる、一つのニードルバルブとバネとを備えている。燃料ポンプで形成された高圧の燃料が燃料バルブに流入する場合において、燃料バルブ中で開放圧力より高い圧力が形成されると、燃料の圧力はバネのニードルバルブへの付勢力を超え、ニードルバルブが持ち上げられる。この際、燃料は、ノズルの端部に形成された複数のノズルホールを通じてシリンダー内に噴射される。
【0003】
このような従来の方法は、予め定められた一つの開放圧力にしたがってすべてのノズルホールが開放される、一つのメカニズムを有している。よって、開放圧力に達した後は、開放圧力より更に高い圧力が燃料バルブに流入しても、所定数のノズルホールを通じて持続的に噴射するしかない。
【0004】
よって、エンジンの低速運転又は低負荷運転が続く場合には、噴射が行われない一方、圧力が開放圧力より高い場合には、圧力の大きさに関係なく、すべてのノズルホールを通じて噴射が行われるため、圧力に応じる噴射形態が均一でなく、圧力に応じて柔軟に噴射量を調節することができなかった。
【0005】
また、加工された複数のノズルホールが同時に開閉するため、噴射終了後、閉じられているニードルバルブとノズルとの間における残存燃料がノズルホールを通じてシリンダーに流れ込み、媒煙を発生するとともに燃費面でも問題があった。
【0006】
図8は、従来の燃料バルブの代表的な形態である、Wartsila-Sulzer方式、MAN-B&W方式、及び中型エンジン方式の燃料バルブを示している。
【0007】
まず、Wartsila-Sulzer方式の燃料バルブにおいては、燃料の圧力が開放圧力を越えるものの、更に高圧でない場合は、燃料がノズルに加工されたノズルホール(矢印で示された部分)を通じてシリンダー内に噴射されず、シリンダーに流れ込むような形態になっている。しかしながら、燃料噴射が終了しても、閉じられているニードルバルブとノズルホールとの空間(SAC volume)が大きいことから、この空間に残っている残存燃料がシリンダーに流れ込んでしまい、上述した問題が生じる。
【0008】
また、MAN-B&W方式の燃料バルブは、ニードルバルブとノズルホールとの空間を小さくするために、スライド方式のニードルバルブを採択しているが、開放圧力を越える圧力に応じて柔軟に対処することはできない。すなわち、ニードルバルブとノズルホールとの空間が固定されている。
【0009】
一方、中型エンジン方式の燃料バルブは、MAN-B&W方式の燃料バルブ及びWartsila-Sulzer方式の燃料バルブの問題点を解決するためのものであるが、ニードルバルブとノズルホールとの空間を小さくするために、ニードルが最大限燃焼室の近くに位置するように噴射ホールを形成したため、ニードルの開閉によりノズル部分の耐久性が劣る問題点がある。
【0010】
つまり、図8に示された従来の方式の燃料バルブは、一定の圧力で開放するために、バネの付勢力を高めており、燃料バルブ以外の装置(燃料バルブ自体で圧力を高めるのでなく、燃料バルブの入口の前に追加ポンプを設けて圧力を高めている。)によって燃料圧力を高めることで、開放圧力を調整する構成となっている。
【0011】
さらに、図8に示された従来の方式の燃料バルブは、燃料バルブ自体では噴射時間(timing)を決定することができず、既に流入した燃料の一定の圧力により噴射することになっている。すなわち、燃料の噴射時間と最大圧力を、燃料が流入する前に、燃料ポンプや他の手段によって調整することになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するために工夫したものであり、燃料バルブの開放圧力より大きい圧力で噴射するとともに、燃料の噴射時点をバルブ自体で調整するために、燃料バルブに流入する圧力と内部バネの開放圧力より大きい圧力とで段階的にノズルのノズルホールを開放することで、低速運転や低負荷運転においては高圧で燃料を噴射して容易に気化させる一方、高速運転や高負荷運転においては低圧用ニードルバルブと高圧用ニードルバルブを同時に開放して複数のノズルホールから多量の燃料を早く噴射してエンジンの燃焼性能を向上させる、ディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブを提供することを課題とする。
【0013】
本発明は、段階的で、かつ、順次にノズルホールを開放し、噴射後に閉じられているニードルバルブとノズルホールとの空間を最小化することで、燃料の無駄使いを防ぐとともに、有害ガス(例えば、smoke,NOx)を減らす、ディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブを提供することを他の課題をする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、ディーゼル機関のシリンダーに燃料を噴射する燃料バルブにおいて、燃料供給口を通じて所定圧力の燃料が供給される流路が内部に形成された燃料バルブブロックと、前記流路を通じて供給された燃料を噴射するための低圧ノズルホール及び高圧ノズルホールが形成されたノズルと、前記ノズルの内部に設けられ、相対圧力差に応じて前記低圧ノズルホール及び前記高圧ノズルホールを順次に、かつ、段階的に開放するニードルバルブと、前記ニードルバルブを加圧して低圧の燃料を高圧に昇圧させるために、多段形成された圧力ブースタスピンドルと、前記圧力ブースタスピンドルに弾性力を加えるニードルバネと、前記ニードルバルブに供給された燃料の主圧力に対応する相対圧を前記圧力ブースタスピンドルに加えて燃料の圧力を高めるシャトルバルブと、上部に配置されたソレノイドバルブが上昇する際、下部ノズルとの隙間を通じて燃料を燃料排出口に排出するリフティングブッシュバルブと、ソレノイドバルブバネによって前記リフティングブッシュバルブの上部に加えられる圧力を調節し、燃料噴射時点を制御するソレノイドバルブと、を含む。
【0015】
本発明の他の特徴によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、前記リフティングブッシュバルブは、前記バルブブロック及び前記ノズルの周りを囲むノズルホルダーの上部に配置され、下部の中央に挿入される燃料通路ブッシュに形成された流路と連通する流路を備える。
【0016】
本発明の更に他の特徴によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、前記ニードルバルブは、燃料の供給による相対圧力差を持たせるためのホールが内部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブとシャトルバルブを備える。
【0017】
本発明の更に他の特徴によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、前記シャトルバルブは、燃料が前記燃料供給口から圧力ブースタスピンドルに到達する前に、前記燃料供給口に燃料圧力及び燃料待機圧力を加えて圧力ブースタスピンドルに圧力を加え、前記燃料排出口に圧力が排出すると前記圧力差が解消し、燃料を遮断しまたは流すように構成される。
【0018】
本発明の更に他の特徴によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、前記ニードルバルブには、前記圧力ブースタスピンドル及び前記ニードルバネによって待機圧力より開放圧力を高め、前記開放圧力より大きい弾性力を有する前記ソレノイドバルブバネがリフティングブッシュバルブを支持し、開放タイミングを前記ソレノイドバルブによって調節して噴射することを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備える。
【0019】
本発明の更に他の特徴によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、前記ニードルバルブは、圧力を上昇させる前記圧力ブースタスピンドルの相対圧により、その内部に形成されたホールを通じて燃料がノズルの下段部まで待機し、低圧では開放せず圧力を形成してソレノイドバルブにより噴射タイミングが調整され、初期の1次の噴射時点では低負荷運転においても高圧で下部に配置された前記低圧ノズルホールを通じて噴射されるようにし、圧力が上昇する時点ではニードルバルブが上方へ移動して前記高圧ノズルホールが開放される。
【0020】
本発明の更に他の特徴によるソレノイドバルブとシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブは、前記多段形成された圧力ブースタスピンドルのうち、下部の圧力ブースタスピンドルは、前記燃料バルブブロックの下段部に設けられ、圧力ブースタスピンドルの下部に形成されたホールに挿入されたニードルバネによりニードルバルブを加圧するように構成され、中間に形成された圧力ブースタスピンドルは、燃料バルブブロックの中間部に設けられ、上部に形成された前記圧力ブースタスピンドルによって加圧され、上部に形成された圧力ブースタスピンドルは、その周りに形成された円形突出部によって上部と下部に分離され、下部に設けられた前記ニードルバネ及び上部に設けられた前記ニードルバネによって、上方又は下方に弾性力を持たせるように形成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明による燃料噴射装置は、内部装置によって、流入する燃料の圧力より上圧させて燃料の噴射圧力を高める。つまり、低負荷においても高圧で噴射することができ、ソレノイドバルブにより、圧力に応じて、噴射タイミングを遅らせたり早めたりすることができる。
【0022】
また、本発明による燃料噴射装置は、低圧用及び高圧用の二段のノズルホールを用いて段階的に燃料を噴射する。つまり、圧力差に応じて、燃料の排出断面積を減らして噴射状態を調整し、最高圧では多量の燃料を一気に速やかに噴射する。これによって、低圧のみならず、高圧においても優れた燃焼性能を有することができる。
【0023】
さらに、本発明による燃料噴射装置は、ノズル内の流路が全体的に狭くなり、圧力に応じて、段階的で、かつ、順次にノズルホールが開放される。これによって、噴射後に閉じられているニードルバルブとノズルホールとの空間を最小化し、噴射終了後、流路に残って燃焼シリンダーに流れる残存燃料を減少させるため、有害ガス(例えば、smoke,NOx)を減らすとともに、燃費を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明による燃料噴射バルブを示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、燃料によってバルブが開放される前、つまり、燃料の圧力がソレノイドバルブを作動する前の状態を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、開放タイミングにおけるバルブの状態、つまり、燃料の圧力がソレノイドバルブを作動した後の状態を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、ソレノイドバルブの作動により燃料が1次圧力で噴射される状態を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、高速運転及び高負荷運転の際、燃料が1次圧力と2次圧力とで同時に噴射される状態を示す断面図である。
【図6】図6は、従来の燃料バルブにおいて、低負荷運転時の圧力変化を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明による燃料バルブにおいて、低負荷運転時の圧力変化を示すグラフである。
【図8】従来の燃料噴射バルブを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。また、本発明を説明するにおいて、関連する公知機能又は公知構成に関する具体的な説明が本発明の要旨の理解の妨げになると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0026】
図1は、本発明による燃料噴射バルブを示す断面図である。図2は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、低負荷運転時の圧力によっては噴射されないように、ソレノイドが作動する前に、圧力ブースタに圧力を排出している状態を示す図面である。図3は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、ソレノイドが作動し、圧力ブースタに待機中の相対圧を排出している状態を示す断面図である。図4は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、燃料が1次圧力で噴射される状態を示す断面図である。図5は、本発明による燃料噴射バルブにおいて、高速運転及び高負荷運転の際、燃料が1次圧力と2次圧力とで同時に噴射される状態を示す断面図である。図6は、従来の燃料バルブにおいて、低負荷運転時の圧力変化を示すグラフである。図7は、本発明による燃料バルブにおいて、低負荷運転時に、高圧で1次噴射した後、2次噴射することを示すグラフである。
【0027】
本願発明において、「低圧」とは、燃料噴射が開始する時の開放圧力をいい、「高圧」とは、燃料バルブ内の圧力が上記開放圧力を超える圧力になった時、再度ノズルホールを開放するよう、バネによって設定された圧力をいう。すなわち、「低圧」及び「高圧」は、開放圧力を低圧に設定した場合における相対的な圧力を意味する。
【0028】
まず、図1を参照し、ディーゼル機関でシリンダーに燃料を噴射する、本発明によるソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブの望ましい実施例について説明する。
【0029】
本発明の一実施例による二段燃料噴射バルブは、燃料バルブ中に流入する燃料の圧力をブースタスピンドルによって相対圧を形成し、低負荷においても高圧で噴射するようにし、燃料噴射のためのノズルホールが圧力に応じて段階的に開放するようにしたものである。
【0030】
このような構成のために、外部燃料ポンプ(図示せず)から燃料を移送する高圧パイプ(図示せず)と連結されている燃料供給口170を通じて所定圧力の燃料が供給される流路1701が内部に形成された燃料バルブブロック(fuel valve block、110)と、燃料バルブブロックの下段部に連結され、低速運転及び低負荷運転時の圧力で燃料をシリンダー(図示せず)に噴射する低圧ノズルホール(low pressure nozzle hole,160)及び高速運転、高負荷運転時の圧力で燃料をシリンダーに噴射する高圧ノズルホール(high pressure nozzle hole,161)が加工されたノズル(nozzle,140)と、燃料バルブブロック及びノズルの周りを囲むノズルホルダー(nozzle holder,100)と、ノズルの内部に設けられ、燃料の供給により相互圧力差を持たせるホール1301が内部に形成され、燃料の圧力により低圧ノズルホールと高圧ノズルホールを順次に開放するニードルバルブ(needle valve,130)と、ニードルバルブを上部から加圧して低圧の燃料を高圧に昇圧させるように段階的に形成された圧力ブースタスピンドル141、142、143と、所定の間隔を有するようにブースタスピンドル141、142、143に弾性力を加えるニードルバネ132、133、134、135と、供給された燃料の主圧力に対応する相対圧を圧力ブースタスピンドルに連結された流路1501を通じて供給し、燃料の圧力を高めるように燃料供給口の入口に設けられたシャトルバルブ150と、
ノズルホルダーの上部に配置され、下部に形成された中空部にはノズルホルダーの中空部に挿入された燃料通路ブッシュ181の一部が挿入され燃料通路ブッシュ181に形成された流路1801と連通し、上部に配置されたソレノイドバルブ201が上昇する時に形成される下部ノズルホルダーとの間隔を通じて燃料が流入して燃料排出口へ排出するように構成されたリフティングブッシュバルブ180と、ソレノイドバルブバネ131によりリフティングブッシュバルブの上部に加えられる圧力を調節し、エンジンコントロールによる燃料噴射時点を制御するソレノイドバルブ201を含む。
【0031】
ホール1301は、ノズルの内部に設けられ、燃料の供給に伴って相互圧力差を持たせる。その理由は、ニードルバルブ130に加えられる圧力は、相対圧(押圧力)と各ニードルバネによって押されている圧力であり、流路1701に流入した燃料の圧力が、ホール1301の内部面積とニードルバルブ段差で発生する圧力より大きいと、ニードルバルブ130が開かれるためである。これを相対圧力差という。
【0032】
ニードルバルブを上部から加圧するように段階的に形成された圧力ブースタスピンドル141、142、143のうち、下部に位置する圧力ブースタスピンドル143は、燃料バルブブロック110の下段部に設けられ、圧力ブースタスピンドル142の下部に形成されたホールに挿入されたニードルバネ134によりニードルバルブ130を加圧する。
【0033】
また、中間に形成された圧力ブースタスピンドル142は、燃料バルブブロック110の中間部に設けられ、上部に形成された圧力ブースタスピンドル141により加圧される。
【0034】
また、上部に形成された圧力ブースタスピンドル141は、その周りに形成された円形突出部1411によって上部及び下部に分離され、下部に設けられたニードルバネ133及び上部に設けられたニードルバネ132によって上部又は下部への弾性力を有する。
【0035】
また、シャトルバルブを通じて供給された燃料は、流路1501から持続的に供給され、下部の圧力ブースタスピンドル143の上部を加圧し、圧力ブースタスピンドル143を下部へ移動させ、ニードルバルブ130を更に加圧する。これによって、流路1701から供給された燃料の主圧力に相対圧を加えているニードルバネ135に、更に相対圧を提供し、ニードルバルブを開放するための燃料の圧力を高める。
【0036】
すなわち、シャトルバルブ150を設けることで、燃料が燃料供給口170を通じて圧力ブースタスピンドル141、142、143に到達する前に、シャトルバルブ150を通じて燃料供給口170に燃料圧力及び燃料待機圧力を加え、圧力ブースタスピンドルに圧力を加える。一方、燃料排出口171に圧力が排出されると、待機圧力の圧力差が解消し、供給される燃料及び排出された燃料を遮断しまたは流すことができる。
【0037】
以下、本発明の一実施例によるシャトルバルブの作動について詳しく説明する。
【0038】
シャトルバルブにおいては、下段部はノンリターンバルブ(nonreturn valve)のように自然に開かれ、上段部のスピンドルは面積差によって完全には開かれず、燃料供給口170に流入する燃料の圧力が中央ホールとコンタクトホールを通じて供給される。シャトルバルブを通った燃料の圧力が高い場合は、内部シャトルバルブのバネの弾性力によって開かれる前に、中央ホールとコンタクトホールによってまず圧力が減らされる。その後も圧力が所定の圧力以上である場合は、スピンドルが開かれる。この際、逆圧が加えられるスピンドルは、開放できない構造であるノンリターンバルブである。しかしながら、これは、中央ホールによって微細に圧力を減らすオリフィスとしての役割を果たしており、全体の脈動を減らすためのバルブである。
【0039】
ニードルバルブ130は、待機圧力に比べ、圧力ブースタスピンドル141、142、143、ニードルバネ132、133、134、135を利用して開放圧力を高める。この際、開放圧力より大きい弾性力を有するソレノイドバルブバネ131がリフティングブッシュバルブ180を支持するため、開放タイミングをソレノイドバルブ201により調節して噴射することができる。
【0040】
また、ノズル140の内部に設けられたニードルバルブ130においては、供給された燃料がニードルバルブ130内部の燃料孔を通じてノズル140下段部まで待機しており、低圧では開放せず、圧力を維持している。これは、圧力を上昇させるブースタスピンドル141、142、143の相対圧のためである。この相対圧によって、供給された燃料を所望の高圧まで上昇させることができる。
【0041】
また、初期噴射時点は、低負荷運転においても高圧で噴射するように設定し、この際、噴射タイミングをソレノイドバルブ201によって調整する。
【0042】
1次噴射時点においては、低圧ノズルホール160、つまり、相対的に小さいホールを通じて噴射される。また、圧力が上昇している時点においては、ニードルバルブ130が上段に移動し、高圧ノズルホール161が開放される。
【0043】
一方、参照番号200は、ガバナーケーブル(governor cable)である。
【0044】
以下、上記のように構成された本発明による二段燃料噴射バルブの作動について説明する。
【0045】
燃料圧力は、燃料供給口170からニードルバルブ130まで待機する。これと同時に、シャトルバルブ150を通過した燃料は、圧力ブースタスピンドル141、143に影響を与える待機圧として作用し、供給口から供給された燃料圧力以上までニードルバルブ130が待機する(図2参照)。
【0046】
圧力が所定の圧力以上になったとき、ソレノイドバルブ201を作動する。これによって、圧力ブースタスピンドル141、142、143に加えられた相対圧は、リフティングブッシュバルブ180の持ち上げによって発生する隙間流路を通じて排出口171に排出されながら、ニードルバルブ130と連動してまず低圧ノズルホール160が開放される。さらに、エンジンの高負荷運転時の高圧力に到達した時は、高圧ノズルホール161が開放され、燃料が噴射される(図3乃至5参照)。
【0047】
一方、図8において、シャトルバルブの方に燃料が供給されないのは、リフティングブッシュバルブ180が開放されると、燃料排出口171付近の圧力が待機圧(通常、5bar)以下であり、シャトルバルブ15は、待機圧が約100〜1000barであるためである。
【0048】
図1及び図2に示されたように、燃料噴射が始まる前は、燃料が燃料ポンプ(図示せず)から高圧パイプを通じて燃料供給口170に供給され、燃料が燃料バルブの内部に満たされている。この際、燃料の圧力は、ニードルバネ131、132、133、134、135の弾性力及び圧力ブースタスピンドル141、142、143の弾性力を超えず、ニードルバルブは持ち上げられない。よって、燃料は、高圧ノズルホール又は低圧ノズルホールを通じてシリンダー(図示せず)に排出されず、燃料の圧力が上昇しながら待機することになる。
【0049】
これに対し、図3乃至図5のように、燃料噴射時点になると、ソレノイドバルブ201に設定された開放圧力と噴射タイミングに合わせ、ソレノイドバルブバネ131によって加圧されたリフティングブッシュバルブ18が持ち上げられる。この際、連続的にシャトルバルブによって供給された燃料において、相対圧を提供していた下部の圧力ブースタスピンドル143の加圧力が解約され、主圧力による燃料がニードルバネ135の弾性力より大きくなり、ニードルバルブが持ち上げられる。よって、ニードルバルブのホール1301を通じて供給された燃料は、低圧ノズルホール160を通じて噴射されると同時に、高圧ノズルホール161を通じて燃料の圧力で噴射される。
【0050】
一方、燃料噴射が終了する時点においては、燃料バルブ内の圧力が低下する。ニードルバネ131、132、133、134、135に対し順次に又は同時に、弾性力以下の圧力に低下すると、ニードルバネ131、132、133、134、135によりニードルバルブ130が下方へ押され、低圧ノズルホール160及び高圧ノズルホール161が閉じられる。これによって、燃料噴射の1サイクルが完了する。
【0051】
図6は、従来の燃料バルブにおける燃料噴射圧力を示す。これに対し、図7は、本発明による燃料バルブにおける燃料噴射圧力を示す。図示されたように、本発明による燃料バルブによると、初期の低負荷運転において高圧で噴射した後、再度高圧で噴射する、二段階の高圧の噴射を行っていることが分かる。図6及び7において、X軸はクランクアングルを示し、Y軸は燃料噴射圧力を示す。
【0052】
以上、本発明に従った望ましい実施形態について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されず、本発明の技術分野に属する通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲及び要旨を外れずに種々の変形及び変更が可能であることは自明である。
【符号の説明】
【0053】
100 ノズルホルダー
110 燃料バルブブロック
130 ニードルバルブ
131 ソレノイドバルブバネ
132、133、134、135 ニードルバネ
140 ノズル
141、142、143 圧力ブースタスピンドル
150 シャトルバルブ
160 低圧ノズルホール
161 高圧ノズルホール
170 燃料供給口
171 燃料排出口
180 リフティングブッシュバルブ
181 燃料通路ブッシュ
200 ガバナーケーブル
201 ソレノイドバルブ
1301 ホール
1501、1701、1801 ユーロ
1411 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼル機関のシリンダーに燃料を噴射する燃料バルブにおいて、
燃料供給口を通じて所定圧力の燃料が供給される流路が内部に形成された燃料バルブブロックと、
前記流路を通じて供給された燃料を噴射するための低圧ノズルホール及び高圧ノズルホールが形成されたノズルと、
前記ノズルの内部に設けられ、相対圧力差に応じて前記低圧ノズルホール及び前記高圧ノズルホールを順次に、かつ、段階的に開放するニードルバルブと、
前記ニードルバルブを加圧して低圧の燃料を高圧に昇圧させるために、多段形成された圧力ブースタスピンドルと、
前記圧力ブースタスピンドルに弾性力を加えるニードルバネと、
前記ニードルバルブに供給された燃料の主圧力に対応する相対圧を前記圧力ブースタスピンドルに加えて燃料の圧力を高めるシャトルバルブと、
上部に配置されたソレノイドバルブが上昇する際、下部ノズルとの隙間を通じて燃料を燃料排出口に排出するリフティングブッシュバルブと、
ソレノイドバルブバネによって前記リフティングブッシュバルブの上部に加えられる圧力を調節し、燃料噴射時点を制御するソレノイドバルブと、
を含むことを特徴とするソレノイドバルブとシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。
【請求項2】
前記リフティングブッシュバルブは、前記バルブブロック及び前記ノズルの周りを囲むノズルホルダーの上部に配置され、下部の中央に挿入される燃料通路ブッシュに形成された流路と連通する流路を備えることを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブとシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。
【請求項3】
前記ニードルバルブは、燃料の供給による相対圧力差を持たせるためのホールが内部に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブとシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。
【請求項4】
前記シャトルバルブは、燃料が前記燃料供給口から圧力ブースタスピンドルに到達する前に、前記燃料供給口に燃料圧力及び燃料待機圧力を加えて圧力ブースタスピンドルに圧力を加え、前記燃料排出口に圧力が排出すると前記圧力差が解消し、燃料を遮断しまたは流すように構成されたことを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。
【請求項5】
前記ニードルバルブには、前記圧力ブースタスピンドル及び前記ニードルバネによって待機圧力より開放圧力を高め、前記開放圧力より大きい弾性力を有する前記ソレノイドバルブバネがリフティングブッシュバルブを支持し、開放タイミングを前記ソレノイドバルブによって調節して噴射することを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。
【請求項6】
前記ニードルバルブは、圧力を上昇させる前記圧力ブースタスピンドルの相対圧により、その内部に形成されたホールを通じて燃料がノズルの下段部まで待機し、低圧では開放せず圧力を形成してソレノイドバルブにより噴射タイミングが調整され、初期の1次の噴射時点では低負荷運転においても高圧で下部に配置された前記低圧ノズルホールを通じて噴射されるようにし、圧力が上昇する時点ではニードルバルブが上方へ移動して前記高圧ノズルホールが開放されることを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブ及びシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。
【請求項7】
前記多段形成された圧力ブースタスピンドルのうち、下部の圧力ブースタスピンドルは、前記燃料バルブブロックの下段部に設けられ、圧力ブースタスピンドルの下部に形成されたホールに挿入されたニードルバネによりニードルバルブを加圧するように構成され、
中間に形成された圧力ブースタスピンドルは、燃料バルブブロックの中間部に設けられ、上部に形成された前記圧力ブースタスピンドルによって加圧され、
上部に形成された圧力ブースタスピンドルは、その周りに形成された円形突出部によって上部と下部に分離され、下部に設けられた前記ニードルバネ及び上部に設けられた前記ニードルバネによって、上方又は下方への弾性力を有することを特徴とする請求項1に記載のソレノイドバルブとシャトルバルブを備えるディーゼルエンジン用二段燃料噴射バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521432(P2013−521432A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556022(P2012−556022)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001489
【国際公開番号】WO2011/111953
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(594006932)ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド (31)
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI HEAVY INDUSTRIES CO., LTD.
【Fターム(参考)】