説明

ソースドライバ回路

【課題】チップ面積を削減する。
【解決手段】複数のソースアンプDoは、複数のデータ線ごとに設けられ、画素の輝度を示す輝度データに応じた駆動電圧を生成し、対応するデータ線に供給する。各ソースアンプの出力端子20は、対応するデータ線と接続される。ハイサイドトランジスタは、電源ライン22と出力端子20との間に設けられ、ローサイドトランジスタは、接地ライン24と出力端子20との間に設けられる。第1キャパシタC1は、出力端子20とハイサイドトランジスタのゲートの間に設けられ、第2キャパシタC2は、出力端子20とローサイドトランジスタのゲートの間に設けられる。各ソースアンプDoの出力端子20として機能する各パッドPADを、ソースドライバが集積化される半導体基板30の一辺32に沿って配置する。第1キャパシタC1および第2キャパシタC2を、一辺32に沿って、パッドPADと隣接する位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの駆動技術に関し、特にデータ線を駆動するソースドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、複数のデータ線と、データ線と直交するように配置される複数の走査線と、データ線および走査線の交点にマトリクス状に配置された複数のTFT(Thin Film Transistor)を備える。液晶パネルを駆動するために、複数の走査線を順に選択するゲートドライバ回路と、各データ線に輝度に応じた電圧を印加するソースドライバ回路が設けられる。
【0003】
ソースドライバ回路は、液晶パネルの一辺に沿って、データ線ごとに設けられた複数のソースアンプを備え、一つの半導体基板上に集積化される。各ソースアンプは、タイミングコントローラから出力されるRSDS(Reduced Swing Differential Signaling)規格等に準拠した差動信号の輝度データを受け、データ線を駆動する。
【特許文献1】特開2002−176350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各ソースアンプの出力端子には、データ線と接続するためのパッドが設けられる。液晶パネルの大型化、高画素化にともないパッドの個数が増加するため、ソースアンプを構成する回路素子およびパッドのレイアウトが、IC全体のチップ面積に大きな影響を及ぼす。回路面積はコストに直結するため、効率的なレイアウトによってチップシュリンクすることが望まれる
【0005】
本発明はかかる状況においてなされたものであり、効率的なレイアウトを有するソースドライバの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、液晶パネルの複数のデータ線を駆動するソースドライバに関する。このソースドライバは、複数のデータ線ごとに設けられ、画素の輝度を示す輝度データに応じた駆動電圧を生成し、対応するデータ線に供給する複数のソースアンプを備える。各ソースアンプは、対応するデータ線が接続される出力端子と、第1電源ラインと出力端子との間に設けられたハイサイドトランジスタと、第2電源ラインと出力端子との間に設けられたローサイドトランジスタと、出力端子とハイサイドトランジスタの制御端子の間に設けられた第1キャパシタと、出力端子とローサイドトランジスタの制御端子の間に設けられた第2キャパシタと、を含む。複数のソースアンプの出力端子として機能する複数のパッドは、本ソースドライバが集積化される半導体基板の少なくとも一辺に沿って配置される。第1キャパシタおよび第2キャパシタは、前記一辺に沿って、前記パッドと隣接する位置に配置される。
【0007】
この態様によると、パッドが配置される外周の領域にキャパシタを配置することにより、スペースを有効利用することができる。
【0008】
各ソースアンプの第1キャパシタ、第2キャパシタを、そのソースアンプの出力端子として機能するパッドの両側に配置してもよい。この場合、第1、第2キャパシタと出力端子のパッド間の結線を効率化できる。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶パネルのソースドライバ回路のレイアウトを効率化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0012】
本明細書において、「部材Aが部材Bに接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0013】
図1は、実施の形態に係るソースドライバ100を備えた液晶ディスプレイ200の構成を示す回路図である。液晶ディスプレイ200は、ソースドライバ100、ゲートドライバ110、液晶パネル120、タイミングコントローラ130を備える。
【0014】
液晶パネル120は、複数のデータ線と、複数の走査線を備え、データ線と走査線の交点にはマトリクス状に配置された画素回路が設けられる。ゲートドライバ110は、タイミングコントローラ130からのデータを受け、複数の走査線に順に電圧を与え、選択していく。ソースドライバ100は、タイミングコントローラ130から出力される各画素の輝度を示す輝度データDLを、輝度データDLと同期したクロックCKとともに受信し、液晶パネル120の複数のデータ線を駆動する。
【0015】
ソースドライバ100_1〜100_mは、液晶パネル120の一辺に沿って配置される。ソースドライバ100の個数mは液晶パネル120の解像度に応じて決定される。ソースドライバ100は、一つの半導体基板上に一体集積化された機能ICである。ソースドライバ100の複数の出力端子はそれぞれ、データ線と接続される。また、ソースドライバ100のデータ入力端子には、タイミングコントローラ130から画素ごとの輝度データが入力される。
【0016】
図2(a)、(b)は、実施の形態に係るソースドライバ100の構成を示す回路図である。図2(b)は、ソースドライバ100の全体構成を示す。
【0017】
ソースドライバ100は、タイミングコントローラ130からRGBごとの輝度データDL(DR1〜DR3、DG1〜DG3、DB1〜DB3)と、クロックCKとを受ける。各輝度データDLおよびクロックCKはRSDS規格に準拠した差動信号として入力される。各輝度データDLは、クロックCKのポジティブエッジとネガティブエッジの両方のタイミングでラッチされる。したがって、図1のソースドライバ100において、RGBはそれぞれが6ビットのデータ量を有している。なお、本発明はこれに限定されず、任意のビット数に拡張可能である。また、データ転送方式も、RSDS規格には限定されない。
【0018】
ソースドライバ100は、入力ドライバ10、制御部12、駆動部40を備える。図2(b)では、輝度データDRに対する回路ブロックのみを示し、輝度データDG、DBに対する回路ブロックを省略している。
【0019】
入力ドライバ10は、差動信号の輝度データをシングルエンドに変換する複数のデータ用入力ドライバDiと、差動信号のクロックをシングルエンドに変換するクロック用ドライバDckを含む。各ドライバの出力信号は、制御部12に入力される。
【0020】
制御部12は、入力ドライバ10からの出力信号を受ける。制御部12は、輝度データの各ビットDR1〜DR3、DG1〜DG3、DB1〜DB3を受け、データ線ごとの駆動信号をデジタル信号として生成する。
【0021】
駆動部40は、複数のデータ線LDごとに設けられた、デジタルアナログ変換器DACおよび出力ドライバ(ソースアンプ)Doを備える。データ線ごとのデジタルの輝度データは、ラッチされて各デジタルアナログ変換器DACへと入力される。デジタルアナログ変換器DACは、対応する輝度データをデジタル/アナログ変換する。出力ドライバDoは、デジタルアナログ変換器DACの出力電圧をデータ線LDへと供給する。画素ごとの輝度データにもとづくデータ線LDの駆動回路は、公知の技術を利用すればよい。
【0022】
図2(a)は、ソースアンプDoの構成を示す回路図である。図2(a)はソースアンプDoの出力段のみを示しており、初段に設けられる差動アンプ、中段に設けられる増幅段およびそれらのバイアス回路は省略されている。省略された回路の構成およびレイアウトは任意である。
【0023】
ソースアンプDoは、出力端子20、第1電源ライン(以下、電源ラインという)22、第2電源ライン(以下、接地ラインという)24、ハイサイドトランジスタMH、ローサイドトランジスタML、第1キャパシタC1、第1抵抗R1、第2キャパシタC2、第2抵抗R2を備える。
【0024】
各ソースアンプDoの出力端子20は、対応するデータ線DLと接続される。ハイサイドトランジスタMHはPチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、電源ライン22と出力端子20との間に設けられる。ローサイドトランジスタMLはNチャンネルMOSFETであり、接地ライン24と出力端子20との間に設けられる。ハイサイドトランジスタMH、ローサイドトランジスタMLはいわゆるプッシュプル形式の出力段を形成する。
【0025】
第1キャパシタC1は、出力端子20とハイサイドトランジスタMHの制御端子(ゲート)の間に設けられる。第1抵抗R1は第1キャパシタC1と直列に設けられる。同様に、第2キャパシタC2は出力端子20とローサイドトランジスタMLのゲートの間に設けられる。第2抵抗R2は第2キャパシタC2と直列に設けられる。第1キャパシタC1、第2キャパシタC2、第1抵抗R1、第2抵抗R2は位相補償を目的として設けられている。
【0026】
図3は、図2のソースアンプDoを備えるソースドライバ100のレイアウト図である。複数のソースアンプDoは、半導体基板30の一辺32に沿って配置される。
【0027】
複数のパッドPADは、複数のソースアンプDoの出力端子20として機能する。複数のパッドPADは、ソースドライバ100が集積化される半導体基板30の外周部34に、半導体基板30の一辺32に沿って配置される。
パッドPADが形成される領域の内側には、電源ライン22および接地ライン24が隣接して形成される。
【0028】
第1キャパシタC1および第2キャパシタC2は、MIM(Metal Insulator Metal)容量であって、半導体基板30の外周部に、一辺32に沿って、パッドPADと隣接する位置に配置される。図3には、MIM容量の上面電極が示される。
【0029】
本実施の形態に係るレイアウトの効率を検討する。比較のために、第1キャパシタC1および第2キャパシタC2を、パッドPADと電源ライン22の間の領域に形成した場合を考察すると、この場合、複数の隣接するパッドの間には、無駄なスペースが発生することになる。
【0030】
これに対して図3のレイアウトによれば、隣接するパッドPAD間のスペースに、2つのキャパシタを配置するため、無駄なスペースを削減することができる。無駄なスペースの削減によってチップシュリンクが実現でき、ひいてはチップのコストを低減できる。
【0031】
好ましくは、各ソースアンプDoの第1キャパシタC1、第2キャパシタC2を、そのソースアンプDoの出力端子20として機能するパッドPADの両側に配置する。第1キャパシタC1、第2キャパシタC2は、それぞれ出力端子20に配線を介して電気的に接続する必要がある。したがって、出力端子20の両端に配置することにより、第1キャパシタC1、第2キャパシタC2ごとの配線を最短かつ等距離に敷設することができる。
【0032】
以上、実施の形態にもとづき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎないことはいうまでもなく、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を離脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態に係るソースドライバを備えた液晶ディスプレイの構成を示す回路図である。
【図2】図2(a)、(b)は、実施の形態に係るソースドライバの構成を示す回路図である。
【図3】図2のソースアンプを備えるソースドライバのレイアウト図である。
【符号の説明】
【0034】
10…入力ドライバ、12…制御部、Do…ソースアンプ、20…出力端子、22…電源ライン、24…接地ライン、MH…ハイサイドトランジスタ、ML…ローサイドトランジスタ、C1…第1キャパシタ、R1…第1抵抗、C2…第2キャパシタ、R2…第2抵抗、40…駆動部、100…ソースドライバ、110…ゲートドライバ、120…液晶パネル、130…タイミングコントローラ、200…液晶ディスプレイ、30…半導体基板、32…一辺、34…外周部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルの複数のデータ線を駆動するソースドライバ回路であって、
前記複数のデータ線ごとに設けられ、画素の輝度を示す輝度データに応じた駆動電圧を生成し、対応するデータ線に供給する複数のソースアンプを備え、
各ソースアンプは、
対応するデータ線が接続される出力端子と、
第1電源ラインと前記出力端子との間に設けられたハイサイドトランジスタと、
第2電源ラインと前記出力端子との間に設けられたローサイドトランジスタと、
前記出力端子と前記ハイサイドトランジスタの制御端子の間に設けられた第1キャパシタと、
前記出力端子と前記ローサイドトランジスタの制御端子の間に設けられた第2キャパシタと、
を含み、
前記複数のソースアンプの出力端子として機能する複数のパッドを、本ソースドライバが集積化される半導体基板の少なくとも一辺に沿って配置するとともに、前記第1キャパシタおよび前記第2キャパシタを、前記一辺に沿って、前記パッドと隣接する位置に配置したことを特徴とするソースドライバ回路。
【請求項2】
各ソースアンプの前記第1キャパシタ、前記第2キャパシタを、そのソースアンプの出力端子として機能するパッドの両側に配置したことを特徴とする請求項1に記載のソースドライバ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−162936(P2009−162936A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341085(P2007−341085)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】