説明

ゾニサミドの徐放性製剤

製剤は徐放性ゾニサミドを含む。このような製剤を調製する方法は、ゾニサミドを、ゾニサミドの溶解プロフィールを制御するように構成された好適な賦形剤と混合することを含む。治療方法は、該製剤を投与する治療を必要とする患者に、該製剤を投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年11月28日出願の米国仮特許出願第60/740034号;2006年7月19日出願の米国仮特許出願第60/832110号;及び2006年8月4日出願の米国仮特許出願第60/835564号に対する優先権を主張する。これらの各々は、参照としてその全体が組み込まれている。
【0002】
本実施形態は、徐放性製剤などのゾニサミドの新規製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ゾニサミドは、癲癇の治療において有用なナトリウムチャネルブロッカーであり、抗痙攣剤として市販されている。これは、化学的に、1,2-ベンズイソキサゾール-3-メタンスルホンアミドとして知られている。エーザイ社から市販されているZONEGRAN(登録商標)ゾニサミドカプセルは、100mg〜400mgの1日用量を提供するために、1日1回1〜4カプセルの経口投与用に設計された速放性カプセルである。ゾニサミドの最高血漿中濃度(Cmax)は一般に、速放性形態の投与後、2〜6時間の間に達成される。ゾニサミドは、約63時間から69時間の血漿中半減期(t1/2)を有し、このことから、1日2回、またはさらに1日1回の投与が可能である。Leppik IE.、「Zonisamide:chemistry,mechanism of action,and pharmacokinetics」、Seizure、2004年12月;13 増補1:S5〜9頁;考察S10を参照されたい。従って、当業者は今まで、速放性形態を用いてCmaxを達成する比較的長い時間及び血漿中ゾニサミドの比較的長い半減期のために、制御放出ゾニサミド製剤を調製することを特に動機づけられていなかった。
【特許文献1】米国仮特許出願第60/740034号
【特許文献2】米国仮特許出願第60/832110号
【特許文献3】米国仮特許出願第60/835564号
【特許文献4】米国特許第6,905,708号
【特許文献5】米国仮特許出願第60/811,251号
【非特許文献1】Leppik IE.、「Zonisamide:chemistry,mechanism of action,and pharmacokinetics」、Seizure、2004年12月;13 増補1:S5〜9頁;考察S10
【非特許文献2】米国薬局方第24版(2000)(USP 24)、1941〜1943頁
【非特許文献3】Colosimo & De Michele、European Journal of Neurology 6(1)、1〜21頁(1999)
【非特許文献4】Glass,M.J.;Billington,C.J.;Levine,A.S.、Neuropeptides、1999年、33、350頁
【非特許文献5】Reneric,J.P.;Bouvard,M.P.、CNS Drugs、1998年、10、365頁
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態において、製剤は制御放出ゾニサミドを含む。いくつかの実施形態において、該制御放出ゾニサミドは、徐放性ゾニサミドを含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、1種以上の遅延賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、該遅延賦形剤は、該徐放性ゾニサミドの溶解プロフィールを改変するように構成される。
【0005】
これら及び他の実施形態は、下記により詳細に記載されている。
【0006】
本開示の他の態様は、本明細書の説明及び添付の図面から容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
種々の実施形態が制御放出ゾニサミドを含む製剤を提供する。このような製剤は、ゾニサミドの放出を改変するために、種々の方法並びに錠剤及びビーズなどの種々の投与形態で構成できる。例えば、制御放出ゾニサミド製剤の1つのタイプは、徐放性ゾニサミド製剤である。徐放性ゾニサミド製剤は、別の同等の速放性製剤に比較して、インビボ条件下、該製剤の溶解速度を緩徐化(それによって、ゾニサミドの溶解及び/または放出を緩徐化)するように、選択され、該製剤内に組み込まれる遅延賦形剤(放出改変剤とも称される)などの種々の賦形剤及び/または充填剤を含有し得る。従って、「同等の」速放性製剤とは、実質的に同一な条件下、制御放出の代わりに即時放出を提供するように構成されていることを除いては、制御放出製剤と実質的に同一なものである。
【0008】
用語「速放性」は、本明細書において、活性成分(例えば、ゾニサミド)の溶解プロフィールを変化するようには構成されていない製剤を特定するために用いられる。例えば、速放性製剤は、溶解プロフィールを変化させる目的で含まれた成分を含有しない製剤であり得る。従って、速放性製剤は、標準的溶解試験において薬物の実質的に完全な溶解のためにかかる時間が30分未満である薬物製剤を含む。本明細書に用いられる用語「標準的溶解試験」は、37℃、100rpmのスピンドル回転速度及び溶解媒体を水として、米国薬局方第24版(2000)(USP 24)、1941〜1943頁に従い、そこに記載された装置2を用いて、またはそれに実質的に等価な他の試験条件で行われる試験である。用語「制御放出」は、本明細書において通常の意味で用いられ、従って、製剤の溶解プロフィールを変化させる成分と組み合わされた製剤を含む。「徐放性」製剤は、活性成分の溶解プロフィールが、別の同等の速放性製剤の溶解プロフィールよりも長時間にわたって延長されるように、製剤に成分が添加された制御放出製剤のタイプである。従って、制御放出製剤は、インビボ放出プロフィールに代表的な条件下での標準的溶解試験において、薬物の実質的に完全な溶解のためにかかる時間が30分以上である薬物製剤を含む。
【0009】
用語「経口送達可能」は、本明細書において通常の意味で用いられ、従って、経口及び口腔内(例えば、舌下または頬側)を含む経口投与に好適な薬物製剤を含む。好ましい組成物は、主に、経口投与用、例えば、嚥下用に適合化される。好ましい経口送達可能な組成物の例としては、水または他の飲み込み可能な液体の補助により全体または砕いたものが典型的に嚥下される錠剤及びカプセル剤などの個別の固体物が挙げられる。
【0010】
用語「治療有効量」は、本明細書において通常の意味で用いられ、従って、療法の一部として投与された場合、薬物または薬物の組合せが適用された病態または疾患の治療において治療的利益を提供する、該薬物または薬物の組合せの1日の投与量を含む。例えば、いくつかの好ましい実施形態において、ゾニサミドの1投与当たりの量は、恐らく、約10mg〜約400mgの範囲、より好ましい実施形態において、1投与当たりの量は、約50mg〜約100mgの範囲になると思われる。
【0011】
用語「製薬的に許容できる塩」は、本明細書において通常の意味で用いられ、従って、投与される生物に顕著な刺激を生じさせず、化合物の生物活性及び性質を消失させない化合物の製剤を含む。製薬的塩は、本開示の化合物と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸とを反応させることによって得ることができる。また、製薬的塩は、本開示の化合物と、塩基を反応させて、アンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩またはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基の塩、及びアルギニン、リシンなどのアミノ酸とのそれらの塩を形成することによっても得ることができる。文脈によって別に指示されない限り、本明細書における特定の化合物の記述がこのような塩形態を含むことは理解されよう。
【0012】
用語のインビボ「吸収」は、本明細書において通常の意味で用いられ、従って、単回用量のゾニサミドの経口投与を含む標準的薬物動態(PK)試験のデータから慣例的に算出された際の、血流に入るゾニサミドのパーセンテージの記述を含む。PKデータは生物学的データに見られる通常の変動を受けるため、本明細書に特定された吸収パーセンテージは、標準的な統計実施に従って、典型的には、少なくとも約20人の個々の健康な成人の集団からの平均であることは理解されよう。
【0013】
本明細書における「対象」は、任意の種の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトである。本明細書において、特定の薬物または化合物(ゾニサミドなど)が「適用される」と言われる対象における病態及び疾患は、それらのために該薬物または化合物が、管理当局によって特に承認されたものに限定されず、その薬物または化合物を用いて治療に受け入れられることが知られているか、医師により妥当と考えられている他の病態及び疾患も含む。本明細書における「治療」は、文脈によって別様に考えることが必要でない限り予防的治療を包含する。
【0014】
本開示の文脈において、一定量の「約」は、その量が記述された量の±20%以内であること、または好ましくは、記述された量の±10%以内であること、またはより好ましくは、記述された量の±5%以内であることを意味する。従って、例えば、「約70重量%のゾニサミド」を含む製剤という記述は、該製剤において、70重量%±14重量%(すなわち、56重量%と84重量%の間)、または好ましくは、70%±7%(すなわち、63重量%〜77重量%)、またはより好ましくは、70%±4%(すなわち、66重量%〜74重量%)の量のゾニサミドという記述として理解されよう。
【0015】
いくつかの実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤は、1種以上の遅延賦形剤を含む。この文脈において、用語「遅延」賦形剤は、本明細書において通常の意味で用いられ、従って、遅延賦形剤を含有しない別の同等の製剤に比較して、標準的溶解試験において薬物の溶解プロフィール制御するように、例えば、ゾニサミドの溶解を緩徐化させるように構成されている(例えば、該製剤に組み込まれている)賦形剤を含む。製薬的に許容できる遅延賦形剤の例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶性セルロース、トウモロコシ澱粉、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコール、ゼイン、ポリ-DL-ラクチド-co-グリコリド、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、遅延賦形剤は、徐放性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶性セルロース、トウモロコシ澱粉、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコール、ゼイン、ポリ-DL-ラクチド-co-グリコリド、及びそれらの混合物の少なくとも1種を含む。遅延賦形剤は、本明細書において、放出改変剤と称することができる。
【0016】
徐放性製剤の溶解プロフィールを制御するために賦形剤を構成できる種々の方法がある。例えば、賦形剤を、該製剤からの薬物の放出を制御するために有効な量で、該薬物(例えば、ゾニサミド)と密に混合できる。このような混合物は、種々の形態、例えば、乾燥混合物、湿潤混合物、ビーズなどであり得、種々の方法で形成できる。次いで、得られた混合物を、所望の投与形態、例えば、錠剤またはカプセル剤へと形成できる。放出制御のための遅延賦形剤(1種以上)の有効量は、本明細書に提供された指針によって教示されるルーティン実験により決定できる。例えば、いくつかの実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤は、少なくとも約5重量%、好ましくは、少なくとも約10重量%の遅延賦形剤を含む。
【0017】
徐放性ゾニサミド製剤の溶解プロフィールの種々の溶解特性は、そこに組み込まれる遅延賦形剤の適切な構成によって制御できる。該溶解プロフィールは、同等の速放性ゾニサミド製剤の溶解速度より緩徐な溶解速度を含むことが好ましい。例えば、いくつかの実施形態において、該製剤は、ゾニサミド及び以下の範囲内にインビトロ放出プロフィールを制御するように構成された少なくとも1種の遅延賦形剤を含む:
【0018】
【表1】

【0019】
インビトロ放出プロフィールは、37℃、水中での溶解測定によって予測できる。例えば、好ましい溶解プロフィールは、以下から選択される少なくとも1つの溶解特性を含む:
(a)徐放性ゾニサミド中の約70%未満のゾニサミドが、標準的溶解試験において、第一の時間以内(within a first hour)に溶解される、
(b)徐放性ゾニサミド中の約40%未満のゾニサミドが、標準的溶解試験において、第一の時間以内に溶解される、
(c)徐放性ゾニサミド中の約30%未満のゾニサミドが、標準的溶解試験において、第一の時間以内に溶解される、
(d)徐放性ゾニサミド中の約75%未満のゾニサミドが、標準的溶解試験において、第二の時間以内(within a second hour)に溶解される、
(e)徐放性ゾニサミド中の約55%未満のゾニサミドが、標準的溶解試験において、第二の時間以内に溶解される、
(f)徐放性ゾニサミド中の約35%未満のゾニサミドが、標準的溶解試験において、第二の時間以内に溶解される。
【0020】
一実施形態において、徐放性製剤は、ゾニサミド及び、患者に投与した際、同等の条件下、同等の速放性ゾニサミドの平均遊離血清中ゾニサミドCmax値より小さい(例えば、少なくとも約5%未満の)平均遊離血清中ゾニサミドCmax値を提供するように構成された少なくとも1種の遅延賦形剤を含む。例えば、同一用量で、従来の速放性ゾニサミド製剤と実質的に等しいか、それより大きな、定常状態の血清中濃度曲線下面積、並びに同一用量で、従来の速放性ゾニサミド製剤よりも低い、定常状態のCmaxによって示されたより高いゾニサミド生体利用性のあるインビボ遊離ゾニサミド血清プロフィールを制御するように、遅延賦形剤を構成することができる。
【0021】
ゾニサミドの投与が適用される病態または疾患に罹っている対象に対して、1日1回または2回から、2〜7日おきに1回の範囲の投与スケジュール下での経口投与に有用であるように、本明細書に記載された徐放性ゾニサミド製剤を製剤化できる。従って、いくつかの実施形態において、製剤は、ゾニサミドの毎日または毎週の投与に好適な制御投与形態を含む。
【0022】
ある種の徐放性ゾニサミド製剤は、1つ以上の驚くべき予想外の特徴及び利益を示す。例えば、徐放性投与形態は、例えば、迅速な代謝、排泄または他の減損経路によって血漿中半減期の短い薬物の投与間の間隔をより長くすることを可能にすることが、典型的に求められる。パーキンソン病の治療に用いられる薬物の中でもとりわけ、約1.5時間の短い排泄半減期(T1/2)を有するレボドパがよく知られている。Colosimo & De Michele、European Journal of Neurology 6(1)、1〜21頁(1999)を参照されたい。対照的に、ゾニサミドは、特定の試験に依存して、血漿中約63時間から赤血球中約105時間のt1/2を有し、これに基づくと、1日1回の投与を可能にする製剤化に特に注意する必要はないと考えられよう。
【0023】
ゾニサミドは、水性酸中で高い溶解性を有する(20〜25℃で約200mg/ml)。高水溶性の薬物は、胃腸液などの水性媒体への曝露の際に、投与形態から急速に溶解する該薬物の傾向性のため、徐放性形態に製剤化することが典型的には困難である。
【0024】
1、4、8及び12時間内に放出されるパーセンテージなどの標準的パラメーターによって特性化されるインビトロ放出プロフィールがきわめて異なる徐放性ゾニサミド投与形態は、本明細書に示されるとおり、速放性投与形態と同様なインビボPKプロフィールを有し得るが、定常状態ではきわめて意味のある様式で異なるインビボPKプロフィールを有し得る。これは、徐放剤が速放剤よりも低い生体利用性を有するという通常考えられるのとは特に予想外のことである。驚くべきことに、本明細書に記載されたゾニサミドの好ましい徐放性投与形態は、定常状態における速放性投与形態に比較して、少なくとも同じ生体利用性、いくつかの場合には、増大した生体利用性を有するということが判明している。また、驚くべきことに、ゾニサミドの好ましい徐放性投与形態は、速放性投与形態に比較して、より低いCmax及びより低い血清中遊離ゾニサミド画分濃度を有する一方、曲線下面積(AUC)は、速放性投与形態と同等であることも判明している。
【0025】
一定の実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤は、1日1回または2回投与された場合、同じ1日用量の速放性二塩酸ゾニサミド参照製剤と実質的に等しい、AUC0〜24またはAUC0〜∞によって慣例的に表された生体利用性を示す。本文脈において、「実質的に等しい」とは、このような好ましい組成物の生体利用性が、参照製剤の生体利用性の約0.8倍〜約1.25倍であることを意味する。
【0026】
一実施形態において、治療の方法は、本明細書に記載された徐放性ゾニサミド製剤を、それを必要としている患者に投与することを含む。好ましい一実施形態において、該患者は、同等の投与量の速放性ゾニサミドの投与にともなう有害事象の危険性の減少を経験する。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたインビトロ放出及び/またはインビボPKパラメーターを有する徐放性ゾニサミド製剤は、他の1日1回の投与形態(速放性形態など)と比較して、高Cmax及び短Tmaxの組合せに関連し得る望ましくない有害事象を引き起こす可能性が減少することで有益である。いくつかの実施形態において、有害事象の発生率は、速放性投与形態によるもの以下である。有害事象の発生率は、そのような速放性療法によるものより有意に低いことがより好ましい。ゾニサミド療法の初期及び/または過程の間、1日用量の増加でこれらの利点がより顕著になることが好ましい。
【0027】
いくつかの実施形態において、該徐放性ゾニサミド製剤は、経口投与に好適なカプセル剤、錠剤または他の固体投与形態へと形成される。好ましい実施形態において、該徐放性ゾニサミド製剤は、ゾニサミドまたはその塩が粒子として存在し、1種以上の製薬的に許容できる賦形剤と共に製剤化されている錠剤またはカプセル剤などの個別の固体用量単位として製剤化される。いくつかの実施形態において、該賦形剤は、少なくとも部分的に、本明細書に記載された所望のプロフィールに合う放出プロフィール及び/またはPKプロフィールを提供するように選択された遅延賦形剤である。
【0028】
いくつかの実施形態において、それが、具体的な徐放性製剤に関して本明細書で定義された放出プロフィール及び/またはPKプロフィールを達成する限り、選択される具体的な固体投与形態は決定的ではない。いくつかの実施形態において、該プロフィールは、1種以上の遅延賦形剤または放出改変剤を用いることによって達成される。いくつかの実施形態において、使用に好適な放出改変剤は、ゾニサミドがそれと共に、及び/またはその中に分散されるポリマーマトリックス;全用量単位またはゾニサミド含有粒子、顆粒、ビーズまたは用量単位内の領域を包囲する放出制御層またはコーティング;及び浸透圧ポンプを含む。
【0029】
徐放性ゾニサミド製剤は、錠剤及びビーズなどの種々の投与形態に構成でき;種々の充填剤及び遅延賦形剤(放出改変剤とも称される)などの賦形剤を含有でき;種々の方法で作製できる。当業者は、本明細書に提供された説明によって教示されたルーティン実験により、適切な構成を決定できる。
【0030】
徐放性ゾニサミド製剤は、充填剤を含有できる。好適な充填剤の例としては、限定はしないが、METHOCEL(登録商標) メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、トウモロコシ澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVPなどが挙げられる。
【0031】
徐放性ゾニサミド製剤は、賦形剤を含有できる。好適な賦形剤の例としては、限定はしないが、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル(ATBC)、アスパルテーム、ラクトース、アルギン酸塩、炭酸カルシウム、カルボポール、カラゲナン、セルロース、セルロースアセテートフタレート、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デキストロース、セバシン酸ジブチル、エチルセルロース、フルクトース、ゲランガム、ベヘン酸グリセリル、グアーガム、ラクトース、乳酸ラウリル、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、メチルセルロース、微結晶性セルロース、メタクリレート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポビドン、シェラック、澱粉グリコレートナトリウム、ソルビトール、澱粉、スクロース、トリアセチン、クエン酸トリエチル、植物ベース脂肪酸、キサンタンガム、及びキシリトールなどが挙げられる。
【0032】
好ましい実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤は、ゾニサミド、メチルセルロース及び微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、例えば、約30重量%、40重量%、または50重量%から約80重量%または90重量%のゾニサミドを含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、約0.1重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、5重量%、10重量%または20重量%のゾニサミドを含む。ゾニサミドは、約55重量%、60重量%、65重量%、または70重量%で存在することが好ましい。他の好ましい実施形態において、該製剤は、約95%のゾニサミドを含む。
【0033】
徐放性ゾニサミド製剤における成分の残りは、例えば、メチルセルロース(MC)及び微結晶セルロース(MCC)などの修飾多糖類から、例えば選択できる。いくつかの実施形態において、該製剤は、約3重量%〜約99.9重量%の間の微結晶セルロースを含む。一定の実施形態において、該製剤は、約3%のMCCを含む。他の実施形態において、該製剤は、約5%のMCCを含む。さらなる実施形態において、該製剤は、約10%のMCCを含む。さらに他の実施形態において、該製剤は、約30%のMCCを含む。さらなる実施形態において、該製剤は約50%のMCCを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤は、約0%〜約40%のMCを含む。一定の実施形態において、該製剤は約3%のMCを含む。他の実施形態において、該製剤は約5%のMCを含む。さらなる実施形態において、該製剤は約10%のMCを含む。さらに他の実施形態において、該製剤は約30%のMCを含む。さらなる実施形態において、該製剤は約40%のMCを含む。いくつかの実施形態において、該製剤は、約95%のゾニサミドを含み、残りの5%は、MCとMCCとの間で分割される。
【0035】
徐放性ゾニサミド製剤の溶解率によって、ゾニサミドがどれくらい速やかに血流内への吸収に利用できるようになるか、従って、ゾニサミドの生体利用性が制御されるかが決定される。溶解率は、投与形態のサイズ及び組成に依存する。いくつかの実施形態において、ゾニサミド製剤の溶解率は、該製剤の追加成分を変更することによって変化させることができる。所望の場合、溶解度を高めるために、澱粉またはトウモロコシ澱粉、または架橋PVP類などの崩壊剤を使用することができる。ゾニサミド製剤の溶解度を高めるために、溶解剤を使用することもできる。いくつかの実施形態において、溶解率を高めるために、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、PVP、ゴム類、キサンチンなどを使用できる。
【0036】
いくつかの実施形態において、該製剤をより疎水性にする成分を添加することによって該製剤の溶解率を低下させることができる。例えば、エチルセルロース、ワックス、ステアリン酸マグネシウムなどのポリマーの添加により、溶解率が低下する。
【0037】
いくつかの実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤の溶解速度は、投与形態内の約25%のゾニサミドが最初の1時間以内(within the first hour)に溶解し、約60%のゾニサミドが最初の6時間以内に溶解し、約80%のゾニサミドが最初の9時間以内に溶解し、実質的に全てのゾニサミドが最初の12時間以内に溶解するような速度である。他の実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤の溶解速度は、投与形態内の約35%のゾニサミドが最初の1時間以内に溶解し、約85%のゾニサミドが最初の6時間以内に溶解し、実質的に全てのゾニサミドが最初の9時間以内に溶解するような速度である。さらに他の実施形態において、投与形態における徐放性ゾニサミド製剤の溶解速度は、ビーズ内の約45%のゾニサミドが最初の1時間以内に溶解し、実質的に全てのゾニサミドが最初の6時間以内に溶解するような速度である。
【0038】
該製剤の溶解速度はまた、投与形態のコーティングによって遅くすることができる。コーティングの例としては、腸溶コーティング、徐放性ポリマーなどが挙げられる。
【0039】
該徐放性ゾニサミド製剤は、溶解に、例えば、2、4、6、または8時間から約15、20、または25時間かかり得る。該製剤は、約3、4、5、または6時間から約8、9、または10時間の溶解速度を有することが好ましい。
【0040】
他の実施形態は、徐放性ゾニサミド製剤を調製する方法を提供する。該方法は、ゾニサミドと賦形剤及び/または充填剤を混合して混合物を形成し、この混合物から好適な投与形態(例えば、錠剤、ビーズなど)を形成することを含む。いくつかの実施形態において、該製剤を調製する方法はさらに、投与形態を形成する前に、該混合物に他の賦形剤及び/または充填剤を添加することを含む。該充填剤及び賦形剤は、本明細書に記載されたものである。一実施形態において、湿潤混合物を形成するために、ゾニサミドを充填剤及び/または賦形剤と混合する。次いで、該湿潤混合物を粒子またはビーズへと形成でき、次いでそれらを乾燥できる。次いで、乾燥産物を経口送達用に、錠剤化するか、またはゼラチンカプセル内に入れることができる。
【0041】
一実施形態において、徐放性ゾニサミド製剤は、ビーズの形態である。いくつかの実施形態において、該ビーズは、ゾニサミド及び充填剤を含む。他の実施形態において、該ビーズはさらに賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、該充填剤及び/または賦形剤はポリマー形態である。
【0042】
本明細書に用いられる「ビーズ」は、例えば、球体、ペレット、ミクロスフェア、粒子、微粒子、顆粒などであり得る。該ビーズは所望の任意の形状を有し得る。該形状は、例えば、球、実質的に球、棒様、円筒、広楕円、楕円、顆粒などであり得る。該ビーズのサイズ及び形状は、所望の場合、溶解速度を変更するために改変できる。該ビーズは、コーティングしてもよいし、しなくてもよい。該ビーズは、他の成分と共に、または他の成分無しで、経口送達用のカプセル剤、錠剤、または任意の所望の他の固体経口投与形態へと形成できる。
【0043】
一実施形態において、製剤は、徐放性ゾニサミド及び充填剤を含むビーズを含む。いくつかの実施形態において、該ビーズはさらに、賦形剤を含む。いくつかの実施形態において、充填剤はポリマーである。いくつかの実施形態において、賦形剤はポリマーである。いくつかの実施形態において、充填剤は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、トウモロコシ澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、及び架橋PVPからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、賦形剤は、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル(ATBC)、アスパルテーム、ラクトース、アルギン酸塩、炭酸カルシウム、カルボポール、カラゲナン、セルロース、セルロースアセテートフタレート、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デキストロース、セバシン酸ジブチル、エチルセルロース、フルクトース、ゲランガム、ベヘン酸グリセリル、グアーガム、ラクトース、乳酸ラウリル、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、メチルセルロース、微結晶性セルロース、メタクリレート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポビドン、シェラック、澱粉グリコレートナトリウム、ソルビトール、澱粉、スクロース、トリアセチン、クエン酸トリエチル、植物ベース脂肪酸、キサンタンガム、及びキシリトールからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、該ビーズは、ゾニサミド、メチルセルロース及び微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態において、該ビーズは、約0.1重量%〜約95重量%のゾニサミドを含む。いくつかの実施形態において、該ビーズは、約3重量%から約99.9重量%の間の微結晶セルロースを含む。いくつかの実施形態において、該ビーズは、約0重量%〜約40重量%のメチルセルロースを含む。
【0044】
いくつかの実施形態において、該ビーズは、任意の好適な装置を用いて、湿潤混合物から有利に形成できる。押出デバイスを用いることが好ましい。該湿潤混合物を押出して、「スパゲッティ様」ストランドを形成できる。これらは、好ましくはそれらが押出される際に切断されて、所望のサイズのペレットを形成できる。該湿潤円筒状ペレットは、次に、それらを一般に球状に形成する「スフェロナイザー」内に入れることができる。スフェロナイザーは、回転プレートまたは他の回転機構を含み、その上に、またはその中にペレットが導入され、所望の球状のビーズを作出するために十分な時間維持される。次いで、これらの球を回収して、任意の好適な手段により乾燥できる。該ビーズは、流動床乾燥法を用いて乾燥することが好ましい。該ビーズを乾燥するための当業者に知られている他の好適な手段も用いることができる。
【0045】
スフェロナイザーは、16メッシュ、18メッシュ、20メッシュ、25メッシュ、または他のサイズなどの規定サイズの孔を有する篩が取り付けられていることが好ましい。該篩は、一定の直径のビーズをスフェロナイザーに残しておき、それによって、比較的均一な直径のビーズを作出する。いくつかの実施形態において、ゾニサミドビーズのサイズは、例えば、約10μm、50μm、または100μmから約700μm、900μm、または1,000μmの範囲であり得る。他の実施形態において、ビーズのサイズは、約150μm、200μm、250μmから約300μm、400μm、または500μmである。さらに他の実施形態において、ビーズのサイズは約200μmである。いくつかの実施形態において、好ましいビーズ直径は、0.71mm〜1.17mmである。
【0046】
スフェロナイザーの速度もビーズのサイズに影響を及ぼす。より速いスフェロナイザー回転速度により、より小さなビーズがもたらされる。いくつかの実施形態において、スフェロナイザーの速度は、約1rpm〜約900rpmである。さらなる実施形態において、スフェロナイザーの速度は、約10rpm〜約800rpmである。
【0047】
他の実施形態において、徐放性製剤中にゾニサミドを含むビーズを調製する方法は、ゾニサミドを充填剤と混合して混合物を形成すること、及び該混合物からビーズを形成することを含む。いくつかの実施形態において、該方法はさらに、該ビーズを形成する前に賦形剤を該混合物に添加することを含む。いくつかの実施形態において、該方法はさらに、該混合物からストランドを形成すること、該ストランドを切断してペレットを形成すること、及びスフェロナイザーを用いて、該ペレットから一般的に球状のビーズを形成することを含む。いくつかの実施形態において、該ビーズの直径は、0.71mm〜1.17mmである。
【0048】
徐放性ゾニサミド製剤は、現在市販されているZONEGRAN(登録商標)ゾニサミドに代表される速放性製剤よりも溶解が緩徐であり、従って、約10時間まで溶解を緩徐化できるゾニサミドの新規な徐放性形態を提供することを、本発明者は見出した。この発見は驚くべきものであった。というのは、製剤中に親水性のセルロース化合物が存在することにより、該組成物が水に砕けて、溶解速度が増加する可能性が高いだろうと考えられたからである。いくつかの実施形態において、ビーズ中のゾニサミドのより高い薬物充填などの他の要素も、本明細書中に開示された実施形態の製剤がより遅い溶解速度をもたらすという予想外の発見に関与している。
【0049】
ゾニサミドの最高血漿中濃度は、速放性形態の投与後2〜6時間の間に典型的に達成される。しかし、該薬物の薬物動態は、血中の大部分のゾニサミドが赤血球に結合しているという事実によって複雑になる。投与用量にともなう頭痛、吐気及び嘔吐、並びに眠気/鎮静などのゾニサミドの有害事象が報告されている。患者は有害事象について苦情を述べ、該製品の使用をしばしば中止することがあり得る。
【0050】
速放性ゾニサミドカプセルと実質的に等しい定常状態濃度に、より低い有効用量(Cmaxがより低くなる)での到達をもたらす徐放性製剤の投与により、ゾニサミド治療による患者の順守性(compliance)ははるかに改善する。好ましい徐放性ゾニサミド製剤の重要な特徴は、血清中の遊離ゾニサミド画分のより効果的な制御である。血漿中または血清中の遊離薬物の大きな周遊(excursion)による抗痙攣剤の副作用が知られている(Levyら、1985年)。いくつかの抗痙攣剤はタンパク質に高度に結合し、一定の状況において(例えば、低アルブミン血)、遊離画分濃度が増加し、副作用の増大をもたらす。ゾニサミドはタンパク質に高結合ではないが(40%)、赤血球には高結合である(RBC中では血漿の8×の高さ)。さらに、DeSimoneらは、ゾニサミドが炭酸脱水素酵素に強い親和力で、しかしながら、きわめて遅い結合速度で結合することを示した(2005)。
【0051】
本発明は操作の理論に拘束されないが、十分な赤血球結合の前の時間の血清遊離ゾニサミド濃度は、ゾニサミドの副作用の増大に関連していると考えられる。この現象は、かく乱された血清中アルブミン濃度がdivalproexの遊離画分をもたらし、それが有害事象の増大に至る状況と同様であると考えることができよう。従って、より少ない有害事象で、1日2回から週1回の徐放性療法によって、順守性が増大し、治療の中止を防ぐことができると考えられる。このように、好ましい実施形態は、ゾニサミドの徐放性製剤に関する現在存在し、長い間感じられてきた必要性を満たし、血清遊離ゾニサミド濃度Cmaxのより良好な制御及び薬物の生体利用性を満たして、患者における有害事象例を減少させると考えられる。
【実施例】
【0052】
下記の実施例は非限定的であり、本開示の種々の実施形態を単に代表するものである。
【0053】
<実施例1:SR(徐放性)ゾニサミドの製剤>
以下の製剤化法は、徐放性ゾニサミド製剤の調製の一例である。徐放性製剤は、例えば、以下の実施例3に示されるとおり、速放性製剤よりもゆっくり溶解する。徐放性ゾニサミドペレットを作製するために、湿潤顆粒化、押出し、球状化及び流動床乾燥法が利用された。
【0054】
湿潤顆粒を調製するために、下表1に記載された種々のパーセンテージにおけるゾニサミドHCl、微結晶セルロース(Avicel PH102)及びメチルセルロース(Methocel A15 LV)を高せん断顆粒製造機に入れ、15分間混合した。脱イオン(DI)水(およそ40〜100g/分)をゆっくり加え、湿潤顆粒をさらに5〜10分間混合した。
【0055】
次いで、Niro-Fielder E-140 Extruder及びNiro-Fielder S-450 Spheronizerを用いて、該湿潤顆粒を以下のとおり球状化粒子に変換した。3キログラム〜4キログラムの湿潤顆粒を、Niro-Fielder E-140 Extruder装置に入れた。フィーダー及びインペラーの速度は45rpmに設定した。押出し機から得られた押出し「スパゲッティ」を、800rpmの回転設定を有するスフェロナイザー内に入れた。球状化5〜10分後、ビーズ様ペレットをスフェロナイザーから排出させた。
【0056】
次いで、Glatt Fluid-Bed GPCG-3乾燥機を用いて、球状化ペレットを乾燥した。製品温度が5分間45℃に達するまで、流動床乾燥機を温めた。乾燥機入口温度を45℃〜50℃間に設定し、湿潤ペレットを乾燥機に入れた。LODが1.5%未満に達するまで乾燥を続けた。次いで、乾燥したペレットを流動床乾燥機から排出させ、種々の篩を通すことによってサイズ分けした。
【0057】
次いで、乾燥ペレットを硬ゼラチンカプセル内に封入した。
【0058】
【表2】

【0059】
<実施例2:種々の徐放性ゾニサミド製剤の溶解率の測定>
種々の時点で、ゾニサミドの種々の製剤の溶解パーセンテージを測定した。混合速度を75rpmに設定して、組成物を、下記に挙げた種々の溶液中に溶解させた。用語「イノベーター」は、商標ZONEGRANで市販されているゾニサミドを称する。
【0060】
OSF-006Aペレットは、MCCとMCのみによって調製された。溶解媒体は、溶解率を高めるためにTween 20及びSDSを含有した。何らのSRコーティングもしていなければ、該ペレットは緩徐に溶解する。この緩徐な溶解特性は、マトリックス系中のゾニサミド(濃度75%)の低い内因性の溶解度によるものと推定された。
【0061】
OSF-078ペレットを、MCC及びMCを用い、ただし、より少ないゾニサミドを用いて調製した。溶解試験には水を使用した。溶解に及ぼす表面積及び粒子サイズの効果を調べるために、OSF-078の試験バッチを、異なるサイズ、OSF-078LA、およそ#18〜25メッシュ及びOSF-078SM、およそ#25〜30メッシュに分けた。より小型サイズのOSF-078SMペレットは、より大型のOSF-078LAペレットよりも速やかに溶解した。これは、より小型サイズのペレットの相対的により大きな表面積によるものと考えられる。
【0062】
OSF-006A製剤は、Tween 20またはSDSと共に水に溶解させたが、OSF-078製剤(水のみに溶解させた)の溶解率は、OSF-006A製剤の溶解率よりも高かった。これは、OSF-078製剤の薬物濃度がより低いためと考えられる。
【0063】
【表3】

【0064】
<実施例3:ゾニサミドの複数製剤及びそれらの溶解率>
ゾニサミドペレットの溶解率に影響を及ぼす因子をさらに調べるため、実施例1に記載された一般的な湿潤顆粒化、押出し、球状化、及び乾燥法の後に、ゾニサミドの17種の製剤を継続試験のために調製した。該製剤は、下表3に示すとおり、3つの独立した因子:ゾニサミド濃度、スフェロナイザー速度、及びメチルセルロース濃度を変化させ、特定のサイズ切断ペレットを手動でカプセル化し溶解率試験に供した。
【0065】
【表4】

【0066】
<実施例4:表3の種々のゾニサミド製剤の溶解率測定>
上記の表3に従って調製された製剤を、実施例1に簡潔に記載された一般的な湿潤顆粒化、押出し、球状化、及び乾燥法で処理した。次いで、得られたゾニサミドペレットを手動でカプセル化した。次いで、溶解率を、2時間目、4時間目、及び6時間目に測定した。各製剤に関して3つの溶解サンプルを測定して、平均溶解度を判定した。結果を下表4に示す。
【0067】
【表5】




【0068】
<実施例5:溶解率に及ぼす製剤粒子サイズの影響>
溶解率に及ぼす製剤粒子サイズの影響を判定するために、粒子サイズ分布分析を実施した。実施例1に記載されたとおり、ゾニサミドペレットを調製した。異なるサイズの篩(「18メッシュ」、「20メッシュ」、及び「25メッシュ」)を通すことによって該ペレットをサイズ分けし、異なるサイズのペレットバッチを得た。次いで、実施例2の方法を用いて、2時間目、4時間目、及び6時間目の溶解率を測定した。結果を下表5に示す。試験した製剤の各々に関して、より小型の粒子(25メッシュ)は、より大型の粒子(18メッシュ)またはサイズ分けしていない粒子よりも速やかに溶解することを、結果は示している。
【0069】
【表6】



【0070】
<実施例6>
【表7】

【0071】
表6に示された成分を用いて、3種のゾニサミド120mg徐放性製剤を、通常の様式で錠剤へと形成した。溶解結果(37℃で水中撹拌)を下表7に示す。
【0072】
【表8】

【0073】
錠剤形態の徐放性ゾニサミド製剤を調製でき、該錠剤の溶解プロフィールは、遅延賦形剤(ヒドロキシプロピルセルロース)の量を制御することによって制御できることを、表7のデータは示している。
【0074】
<実施例7>
36人の健康で正常な志願者に対し、速放性(IR)ゾニサミド並びに3種の徐放性(SR)製剤の単一中心(single-center)、二重盲検、二重ダミー、プラセボ対照、2期間、2系列交差試験を実施した。対象はランダム化され、3種のゾニサミドSR製剤(上記の表6に記載)のうちの1種及びIR製剤を1:1:1の比率で服用した。合計36人の対象に関して、各群に合計12人の対象がランダム化された。各製剤内で、対象はランダム化され、2つの系列のうちの1つにおいてSR製剤及びIR製剤を服用し:対象の半数(n=6)が期間1にSR製剤、引き続いて、期間2にIR製剤を服用し;残りの対象(n=6)が逆の順序で処置を受けた。投与前並びに投与後の複数時点で連続血液サンプルが採取された。サンプルは、有効なLC-MS/MS法によって分析された。各期間における試験薬の投与を、21日間のウォッシュアウト期間で分離した。PKパラメーターを決定し、表8にまとめた。
【0075】
【表9】

【0076】
速放性ゾニサミドの100mg経口用量を服用している対象は、およそ62376時間*ng/mLの血清中濃度時間曲線下面積を、一方、徐放性ゾニサミドの120mg経口用量を服用している対象は、およそ71756時間*ng/mLの血清中濃度時間曲線下面積を生じた。観察された最高血清中濃度は、速放性投与形態及び徐放性投与形態に関して、それぞれ840ng/mLと929ng/mLであった。定常状態における速放性投与形態及び徐放性投与形態の薬物動態的挙動をモデル化するためにこのデータを利用すると、90mgの徐放性投与形態に関して予測される血清中濃度時間曲線下面積は、速放性投与形態に関する同様な曲線の90%である。同様な様式で、90mgの徐放性投与形態に関して予測される最高血清中濃度は、速放性形態の84%である。
【0077】
1、4、8及び12時間に放出されるパーセンテージなどの標準的パラメーターによって特徴づけられるインビトロ放出プロフィールがきわめて異なっている徐放性ゾニサミド投与形態は、速放性投与形態と同様なインビボPKプロフィールを有し得るが、定常状態できわめて意味のある様式で異なるインビボPKプロフィールを有し得る。具体的には、同一用量での従来の速放性製剤よりも、定常状態における血清中濃度曲線下面積によって規定される生体利用性がより高く、定常状態におけるCmaxがより低い。
【0078】
図1は、時間の関数としての単回経口用量による、ゾニサミド速放性(IR)及びゾニサミド徐放性低速型(SR-S)製剤に関する用量正規化総血清中濃度時間プロフィールを例示している。平均総血清中濃度を経時的にプロットしてある。例示されたデータは、上記対象の中で、各処置群に関する平均総血清中濃度値を表す。
【0079】
表9〜12に、IR製剤に比較してSR製剤に関する定常状態PKパラメーターの種々の測定値を示す。例えば、表9は、速放性製剤に比較して、いくつかの徐放性製剤に関して得られたCmaxのパーセンテージを示す。
【0080】
【表10】

【0081】
【表11】

【0082】
【表12】

【0083】
【表13】

【0084】
該試験において、有害事象は、速放対象の44%に対し、SR-S群はわずか8%の報告であった。処置群の関数として報告される有害事象における最も顕著な違いは、観察された頭痛の頻度のかなりの減少であり:速放性ゾニサミドを服用している対象では7件の頭痛が報告されたが、SR-S群では頭痛が報告されなかった。
【0085】
全ての対象に関して、最もよく見られた有害事象としては:頭痛(22%)、不眠(17%)、疲労/倦怠感(11%)、及び頻尿(6%)が挙げられる。以下の事象の単回エピソードもまた報告されている:嘔吐、脚部痙攣、夢活性増加、下痢、口渇、吐気、筋肉緊張、左臀部/脚部痛、多尿、左眼の上の頭痛、及びめまい。同じ対象において、勃起達成困難及び早漏の2つのエピソードが報告されている。SR-S群で報告されている有害事象は3つのエピソードのみで;これらは、夢活性(dream activity)増加、下痢及び不眠の単回エピソードであった。重篤な有害事象は報告されておらず;1人の対象が、家族の状況を理由に、最初の処置期間後に同意を撤回した。
【0086】
自発的に報告された頭痛の頻度が速放性製剤を服用している患者(44%)と徐放性低速製剤を服用している患者(8%)との間で劇的に減少したため、これらの対象に関するゾニサミドの薬物動態をより詳細に調べた。具体的には、速放性処置群において頭痛を報告する対象と頭痛の発生を報告しなかった徐放低速対象とを比較した。
【0087】
速放性製剤と徐放性低速製剤との間での用量の違いに関して、総血清中濃度のデータを補正すると、いくつかの傾向が見られた。第一に、速放性(768ng/mL)を服用していて頭痛を報告しなかった対象に比較して、速放性(933ng/mL)を服用していて頭痛を報告した対象には、より高曝露の傾向がある。血清中濃度時間曲線下面積に関してもこの傾向が続く(それぞれ、68629ng*時間/mL対61237ng*時間/mL)。第二に、徐放性製剤を服用している対象は、頭痛を報告した対象に比較して、Cmax及びAUCに関して曝露が低く(800ng/mL対933ng/mL);この曝露は、速放性製剤を服用していて頭痛を報告しなかった対象と同様であった(800ng/mL対768ng/mL)。
【0088】
速放性製剤と徐放性低速製剤との間での用量の違いに関して、総血中ゾニサミド濃度のデータを補正すると、いくつかの傾向が見られた。総血清とは異なり、速放性を服用していて頭痛を報告しなかった対象(Cmax6915ng/mL;AUCall 588577ng*時間/mL)に比較して、速放性を服用していて頭痛を報告した対象(Cmax7167ng/mL;AUCall 636853ng*時間/mL)に、より高曝露の傾向はない。しかし、速放性製剤を服用している対象(Cmax6381ng/mL;AUCall 571326ng*時間/mL)に比較して、徐放性低速製剤を服用している対象には曝露の低下がある。
【0089】
曝露の違いは、遊離血清ゾニサミド画分を評価した際に特に顕著である(Cmax718ng/mL;AUCall 55467ng*時間/mL)。遊離血清画分におけるこの減少は、ゾニサミドSR-低速製剤で見られる副作用の減少に関連していると考えられる。下表13を参照されたい。
【0090】
【表14】

【0091】
図2は、表13に報告された対象群に関する時間の関数としての総血清中ゾニサミドのCmaxを示している。「IR、No」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告しなかった対象に関する総血清中ゾニサミドを表す。「IR、Yes」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告した対象に関する総血清中ゾニサミドを表す。「Slow、No」は、徐放性ゾニサミドを服用していて、自発的に頭痛を報告した対象に関する総血清中ゾニサミドを表す。
【0092】
図3は、表13に報告された対象群に関する時間の関数としての全血ゾニサミドのCmaxを示している。「IR、No」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告しなかった対象に関する全血中ゾニサミドを表す。「IR、Yes」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告した対象に関する全血中ゾニサミドを表す。「Slow、No」は、徐放性ゾニサミドを服用していて、自発的に頭痛を報告した対象に関する全血中ゾニサミドを表す。
【0093】
本明細書に提供された指針によって知見を得た当業者は、広範囲の溶解パラメーター及び薬物動態パラメーターを有する徐放性ゾニサミド製剤を調製することができる。
【0094】
徐放性ゾニサミド製剤は種々の病態の治療に使用できる。例えば、個体における体重減少、エネルギー消費の増加、満腹感の増加に影響を及ぼし、及び/または個体の食欲を抑制する方法を必要としている個体を特定すること、並びに、例えば、本明細書に記載された種々の投与経路のいずれか1つ以上によって、本明細書に記載された徐放性ゾニサミド製剤のいずれかを投与することにより、有効量の徐放性ゾニサミドを投与することを含む、個体における体重減少、エネルギー消費の増加、満腹感の増加に影響を及ぼし、及び/または個体の食欲を抑制する方法が、一実施形態により提供される。
【0095】
徐放性ゾニサミドとブプロピオンを含む組合せ
徐放性ゾニサミドとブプロピオン、例えば、徐放性ブプロピオンを含む製剤が、一実施形態により提供される。化学名が、(±)-1-(3-クロロフェニル)-2-[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]-1-プロパノンであるブプロピオンは、ZYBAN(登録商標)及びWELLBUTRIN(登録商標)として市販されている薬物中の活性成分であり、通常、塩酸塩として投与される。当然のことながら、本開示を通して、用語「ブプロピオン」が用いられる場合は常に、該用語が、遊離塩基として、またはその生理学的に許容できる塩として、またはブプロピオンの代謝物もしくはその塩としてのブプロピオンを包含する。
【0096】
本明細書に記載される方法及び組成物に含めるのに好適なブプロピオンの代謝物としては、ブプロピオンのエリトロアルコール類及びトレオアミノアルコール類、ブプロピオンのエリトロ-アミノジオール、及びブプロピオンのモルホリノール代謝物が挙げられる。いくつかの実施形態において、ブプロピオンの代謝物は、(±)-(2R*,3R*) -2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。いくつかの実施形態において、該代謝物は、(-)-(2R*,3R*)-2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールであり、他の実施形態において、該代謝物は、(+)-(2S,3S) -2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。好ましくは、ブプロピオンの代謝物は、その一般名、ラダファキシンで知られている、(+)-(2S,3S) -2-(3-クロロフェニル)-3,5,5-トリメチル-2-モルホリノールである。本開示の範囲には、遊離塩基としての、またはその生理学的に許容できる塩としての上記ブプロピオン代謝物が含まれる。ブプロピオンの徐放性ブプロピオン製剤は当業界に知られている。例えば、6〜12時間にわたって、インビボでブプロピオンを送達するために構成された1日1回用量を開示している米国特許第6,905,708号を参照されたい。
【0097】
徐放性ゾニサミドとブプロピオンを含む製剤は、種々の方法、例えば、徐放性ゾニサミドの顆粒またはビーズをブプロピオンまたは徐放性ブプロピオンと混合し、次いで、通常の様式で、該混合物から錠剤を形成することによって作製することができる。
【0098】
種々の病態を治療するために、徐放性ゾニサミド製剤を、ブプロピオンと組み合わせて使用することができる。例えば、個体における体重減少、エネルギー消費の増加、満腹感の増加に影響を及ぼし、及び/または個体の食欲を抑制する方法を必要としている個体を特定すること、並びに、有効量の徐放性ゾニサミド及びブプロピオンを投与することを含む、個体における体重減少、エネルギー消費の増加、満腹感の増加に影響を及ぼし、及び/または個体の食欲を抑制する方法が、一実施形態により提供される。いくつかの実施形態において、徐放性ゾニサミドとブプロピオンは、ほぼ同時に投与される。他の実施形態において、徐放性ゾニサミドはブプロピオンの前に投与される。さらに他の実施形態において、徐放性ゾニサミドはブプロピオンに引き続いて投与される。他の実施形態において、化合物の1つは、他の化合物が投与されている間に投与される。
【0099】
徐放性ゾニサミドとナルトレキソンを含む組合せ
徐放性ゾニサミドとナルトレキソン、例えば、徐放性ナルトレキソンを含む製剤が、一実施形態により提供される。ナルトレキソン(17-(シクロプロピルメチル)-4,5α-エポキシ-3,14-ジヒドロキシモルフィナン-6-オン)は、主に、アルコール依存症及びオピオイド依存症の管理に用いられるオピオイド受容体アンタゴニストである。ナルトレキソンなどのMu-サブタイプ選択的オピオイドアンタゴニストは、肥満(Glass,M.J.;Billington,C.J.;Levine,A.S.、Neuropeptides、1999年、33、350頁)及びCNS疾患(Reneric,J.P.;Bouvard,M.P.、CNS Drugs、1998年、10、365頁)の治療用薬剤としても現在相当な関心が寄せられている。
【0100】
ナルトレキソンは、塩酸塩である塩酸ナルトレキソンとして、商標名REVIA(商標)で市販されている。REVIA(商標)は、ナルトレキソンの50mg力価の速放性製剤である。速放性ナルトレキソンの最高血清中濃度はきわめて迅速に達成され、典型的には、Tmaxがおよそ1時間である。速放性ナルトレキソンは、最高血漿中濃度(Cmax)に起因する吐気などの副作用を誘導し得る。
【0101】
徐放性ナルトレキソン製剤は、2006年6月5日出願の米国仮特許出願第60/811,251号に開示されており、これは参照としてその全体が本明細書に組み込まれている。いくつかの実施形態において、50mg速放性ナルトレキソン錠の約75%〜125%の間のAUCを提供するために、ナルトレキソンの経口投与形態が有効である。いくつかの実施形態において、ナルトレキソンの経口投与形態は、50mg速放性ナルトレキソン錠のCmaxの約80%以下であるCmaxを提供するために有効な遅延賦形剤の量を提供する。
【0102】
本明細書に提供された指針により知見を与えられた当業者は、本明細書に記載された経口投与形態を製剤化することができる。例えば、50mg速放性ナルトレキソン錠の約75%〜125%の間のAUCを提供するために有効なナルトレキソンの量及び50mg速放性ナルトレキソン錠のCmaxの約80%以下であるCmaxを提供するために有効な適切な遅延賦形剤の量を含む経口投与形態を、当業者は製剤化できよう。さらに、本明細書に提供された指針により、当業者は、陽電子放射断層撮影(PET)により測定した際に、脳内オピオイド受容体の80%以上の占有を特徴とする薬物動態プロフィールを有する経口投与形態を製剤化できよう。
【0103】
徐放性ゾニサミドとナルトレキソンを含む製剤は、種々の方法、例えば、徐放性ゾニサミドの顆粒またはビーズとナルトレキソンまたは徐放性ナルトレキソンとを混合し、次いで、この混合物から通常の様式で錠剤を形成することによって作製できる。
【0104】
種々の病態を治療するために、徐放性ゾニサミド製剤をナルトレキソンと組み合わせて使用できる。例えば、個体における体重減少、エネルギー消費の増加、満腹感の増加に影響を及ぼし、及び/または個体の食欲を抑制する方法を必要としている個体を特定すること、及び、有効量の徐放性ゾニサミド及びナルトレキソンを投与することを含む、個体における体重減少、エネルギー消費の増加、満腹感の増加に影響を及ぼし、及び/または個体の食欲を抑制する方法が、一実施形態により提供される。いくつかの実施形態において、徐放性ゾニサミドとナルトレキソンは、ほぼ同時に投与される。他の実施形態において、徐放性ゾニサミドはナルトレキソンの前に投与される。さらに他の実施形態において、徐放性ゾニサミドはナルトレキソンに引き続いて投与される。他の実施形態において、化合物の1つは、他の化合物が投与されている間に投与される。
【0105】
本明細書に開示された実施形態の範囲から逸脱することなく、種々の改変及び変更をなし得ることは、当業者により理解されよう。このような改変及び変更は、添付の請求項によって規定された、本明細書に開示された実施形態の範囲内に入ることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】単回経口投与後の時間関数としてのゾニサミド速放性(IR)製剤及びゾニサミド徐放性低速型(SR-S)製剤に関する用量正規化総血清中濃度時間プロフィールを示す図である。平均総血清中濃度を経時的にプロットしてある。
【図2】時間の関数としての総血清中ゾニサミドのCmaxのプロットを示す図である。「IR、No」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告しなかった対象に関する総血清中ゾニサミドを表す。「IR、Yes」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告した対象に関する総血清中ゾニサミドを表す。「Slow、No」は、徐放性ゾニサミドを服用していて、自発的に頭痛を報告した対象に関する総血清中ゾニサミドを表す。
【図3】時間の関数としての全血中ゾニサミドのCmaxのプロットを示す図である。「IR、No」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告しなかった対象に関する全血中ゾニサミドを表す。「IR、Yes」は、速放性ゾニサミドを服用していて、頭痛を報告した対象に関する全血中ゾニサミドを表す。「Slow、No」は、徐放性ゾニサミドを服用していて、自発的に頭痛を報告した対象に関する全血中ゾニサミドを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御放出ゾニサミドを含む製剤。
【請求項2】
前記制御放出ゾニサミドが徐放性ゾニサミドを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記徐放性ゾニサミドの溶解プロフィールを改変するために構成された遅延賦形剤をさらに含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記遅延賦形剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶性セルロース、トウモロコシ澱粉、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋PVP、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコール、ゼイン、ポリ-DL-ラクチド-co-グリコリド、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種を含む、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記溶解プロフィールが、同等の条件下で同等の速放性ゾニサミド製剤の溶解速度よりも遅い溶解速度を含む、請求項3または4に記載の製剤。
【請求項6】
前記溶解プロフィールが、
(a)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミド中の約70%未満のゾニサミドが第一の時間以内に溶解されること、
(b)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミド中の約40%未満のゾニサミドが第一の時間以内に溶解されること、
(c)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミド中の約30%未満のゾニサミドが第一の時間以内に溶解されること、
(d)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミド中の約75%未満のゾニサミドが第二の時間以内に溶解されること、
(e)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミド中の約55%未満のゾニサミドが第二の時間以内に溶解されること、
(f)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミド中の約35%未満のゾニサミドが第二の時間以内に溶解されること
から選択される少なくとも1つの溶解特性を含む、請求項3から5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
少なくとも約5重量%の前記遅延賦形剤を含む、請求項3から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
少なくとも約10重量%の前記遅延賦形剤を含む、請求項3から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記遅延賦形剤が、患者への投与の際、同等の条件下で同等の速放性ゾニサミドの平均遊離血清中ゾニサミドCmax値より小さい平均遊離血清ゾニサミドCmax値を提供するように構成されている、請求項3から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
患者への投与の際、平均遊離血清中ゾニサミドCmax値が、同等の条件下で同等の速放性ゾニサミドの平均遊離血清中ゾニサミドCmax値の少なくとも約5%未満である、請求項3から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
ブプロピオンをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記ブプロピオンが徐放性ブプロピオンを含む、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
前記徐放性ゾニサミドの溶解プロフィールを制御するように構成されている徐放性ゾニサミドビーズを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項14】
前記徐放性ゾニサミドビーズが、充填剤及び賦形剤の少なくとも1種を含む、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記賦形剤が、セルロースエーテル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、トウモロコシ澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び架橋PVPから選択される少なくとも1種を含む、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
前記充填剤が、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、クエン酸アセチルトリ-n-ブチル(ATBC)、アスパルテーム、ラクトース、アルギン酸塩、炭酸カルシウム、カルボポール、カラゲナン、セルロース、セルロースアセテートフタレート、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デキストロース、セバシン酸ジブチル、エチルセルロース、フルクトース、ゲランガム、ベヘン酸グリセリル、グアーガム、乳酸ラウリル、低置換ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、メチルセルロース、微結晶性セルロース、メタクリレート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ポビドン、シェラック、澱粉グリコレートナトリウム、ソルビトール、澱粉、スクロース、トリアセチン、クエン酸トリエチル、植物ベース脂肪酸、キサンタンガム、及びキシリトールから選択される少なくとも1種を含む、請求項14または15に記載の製剤。
【請求項17】
前記溶解プロフィールが、
(a)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミドビーズ中の約65%未満のゾニサミドが第一の時間以内に溶解されること、
(b)標準的な溶解試験において、徐放性ゾニサミドビーズ中の約50%未満のゾニサミドが第一の時間以内に溶解されること
から選択される少なくとも1つの溶解特性を含む、請求項13から16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
1日2回、1日1回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、6日ごとに1回、及び週に1回から選択される投薬形態で構成されている、請求項1から17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む治療方法。
【請求項20】
体重の減少、エネルギー消費の増大、満腹感の増大に影響を与え、及び/または食欲を抑制するための方法を必要とする個体を確認し、有効量の請求項1から18までのいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む、体重の減少、エネルギー消費の増大、満腹感の増大に影響を与え、及び/または食欲を抑制するための方法。
【請求項21】
請求項1から18のいずれか一項に記載の製剤の投与を必要とする患者に、請求項1から18のいずれか一項に記載の製剤を投与することを含む治療方法であって、前記患者が、速放性ゾニサミドの同等用量の投与にともなう有害事象の危険性の軽減を経験する方法。
【請求項22】
ゾニサミドと有効量の賦形剤とを混合して混合物を形成すること、及び前記混合物を単位投与形態中に構成することを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の製剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−517394(P2009−517394A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542471(P2008−542471)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/045445
【国際公開番号】WO2007/062228
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(505401698)オレキシジェン・セラピューティクス・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】