説明

タイヤバルブおよび車輪および自転車

【課題】容易に空気を充填することが可能で、製作も容易であり、弁体を確実に作動させることができるタイヤバルブを提供する。
【解決手段】プランジャー8に、空気注入口11と、注入された空気をタイヤチューブ5内に排出する排気口12とが形成され、プランジャー8内に、空気注入口11と排気口12とに連通する流路13が形成され、プランジャー8に、流路13を開閉する逆止弁18が設けられ、逆止弁18の弁体19は、空気注入口11から注入される空気の圧力によって流路13を開き、且つ、タイヤチューブ5内の空気圧によって流路13を閉じる閉方向に付勢されており、空気注入口11から逆止弁18に至る流路13に、フィルター26が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気をタイヤ内に導入し且つ保持するためのタイヤバルブ、および、タイヤバルブを有する車輪、および、車輪を有する自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図12に示すように、タイヤバルブ51は、一端がタイヤチューブ52に取付けられた円筒状のボデー53と、ボデー53の他端開口部からボデー53内に挿入されたプランジャー54とを有している。プランジャー54は袋ナット55によってボデー53に固定されている。プランジャー54の先端部には空気注入口56が形成されている。また、プランジャー54の外周面には、空気注入口56から注入された空気をタイヤチューブ52内に排出する排気口57が形成されている。プランジャー54の内部には、空気注入口56と排気口57とに連通する流路58が形成されている。
【0003】
プランジャー54の外周面には円筒状の虫ゴム59が被せられており、排気口57は虫ゴム59によって閉じられるとともに、プランジャー54の外周面とボデー53の内周面との間隙が虫ゴム59によってシールされている。また、プランジャー54の先端部には、空気注入口56からの異物の侵入を防止するためのねじ込み式のキャップ60が設けられている。
【0004】
これによると、手動の空気充填用ポンプを用いてタイヤチューブ52に空気を充填する場合、キャップ60を外して空気充填用ポンプを空気注入口56に接続し、ポンピングする。この際、空気充填用ポンプから注入される空気の圧力によって虫ゴム59が伸長し、プランジャー54の外周面と虫ゴム59の内周面と間に間隙が発生する。したがって、空気充填用ポンプから注入された空気は、空気注入口56から流路58を流れて排気口57から排出され、前記プランジャー54の外周面と虫ゴム59の内周面との間隙を通ってタイヤチューブ52の内部に充填される。
【0005】
また、従来における別の形式のタイヤバルブとして、下記特許文献1に示したものがある。これによると、タイヤバルブは枠体内に弁部材が内蔵されており、弁部材の弁体に空気取入孔と空気吐出孔とが形成され、前記弁体の内部に、空気取入孔と空気吐出孔とに連通する空気流路が形成されている。
【0006】
空気を充填する場合、弁体を枠体に押し込むことにより、空気吐出孔が開き、空気が、空気取入孔から弁体内の空気流路を通って空気吐出孔から吐出し、タイヤチューブ内に注入される。
【特許文献1】特開2001−221354
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記図12に示した虫ゴム59を用いたタイヤバルブ51では、空気を充填する場合、虫ゴム59の弾性力に打ち勝つ空気圧が必要となるため、空気の流入抵抗が大きくなり、空気充填用ポンプをポンピングするのにかなりの力と時間を要するといった課題がある。
【0008】
また、前記特許文献1に記載された弁部材を用いたタイヤバルブでは、非常に小さな弁部材の弁体の内部に空気流路を形成するため、非常に微細な加工を要し、製作に手間がかかるといった課題がある。また、空気を充填する際、空気と共に混入した塵埃等の異物が枠体と弁体との間に噛み込んで、弁体の開閉動作に支障を来すといった課題がある。
【0009】
本発明は、容易に空気を充填することが可能で、製作も容易であり、さらに、弁体を確実に作動させることができるタイヤバルブ、およびタイヤバルブを有する車輪、および車輪を有する自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために本発明のタイヤバルブは、一端がタイヤチューブ又はタイヤ本体に設けられた筒状のボデーと、ボデーの他端開口部からボデー内に挿入されたプランジャーとを有するタイヤバルブであって、プランジャーに、流路を開閉する逆止弁が設けられ、逆止弁の弁体は、空気注入口から注入される空気の圧力によって流路を開き、且つ、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気圧によって流路を閉じる閉方向に付勢されており、空気注入口から逆止弁に至る流路に、フィルターが設けられているものである。
【0011】
本構成によって、空気充填用ポンプをポンピングするときの労力が軽減され、容易に空気を充填することが可能となる。また、空気充填時に空気と共に混入した異物は空気注入口から逆止弁へ達するまでにフィルターで捕捉されるため、弁体が支障なく確実に作動する。また、弁体の内部に空気の流路を形成する必要はないため、弁体の加工の手間が低減され、容易に製作できる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によると、空気の流入抵抗は従来の虫ゴムを用いたタイヤバルブに比べて低減するため、空気充填用ポンプをポンピングするときの労力が軽減され、容易に空気を充填することが可能となる。また、異物が弁体と弁座との間に噛み込むことを防止することができるため、弁体が支障なく確実に作動する。さらに、弁体の加工の手間が低減され、容易に製作できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本第1発明におけるタイヤバルブは、一端がタイヤチューブ又はタイヤ本体に設けられた筒状のボデーと、ボデーの他端開口部からボデー内に挿入されたプランジャーとを有するタイヤバルブであって、プランジャーに、ボデーの外部へ突出した空気注入口と、空気注入口から注入された空気をタイヤチューブ内又はタイヤ本体内に排出する排気口とが形成され、プランジャー内に、空気注入口と排気口とに連通する流路が形成され、プランジャーに、流路を開閉する逆止弁が設けられ、逆止弁は、プランジャーに内蔵された弁体と、プランジャー内に形成された弁座とで構成され、弁体は、空気注入口から注入される空気の圧力によって流路を開き、且つ、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気圧によって流路を閉じる閉方向に付勢されており、空気注入口から逆止弁に至る流路に、フィルターが設けられているものである。
【0014】
これによると、空気を充填する場合、空気充填用ポンプを空気注入口に接続し、空気充填用ポンプを操作して空気注入口から空気を注入する。この際、弁体が空気注入口から注入される空気の圧力を受けて開方向へ移動して弁座から離間するため、流路が開かれ、空気注入口から注入された空気がプランジャー内の流路を通って排気口からタイヤチューブ内又はタイヤ本体内に排出する。これにより、空気がタイヤチューブ内又はタイヤ本体内に充填され、この時の空気の流入抵抗は、主にタイヤチューブ又はタイヤ本体の内圧と排気口の通気抵抗とフィルターの通気抵抗とからなり、従来の虫ゴムを用いたタイヤバルブに比べて低減する。したがって、空気充填用ポンプをポンピングするときの労力が軽減され、容易に空気を充填することが可能となる。
【0015】
また、空気充填時、空気と共に混入した塵埃等の異物は、空気注入口から逆止弁に達するまでに、フィルターで捕捉される。
空気充填完了後、空気充填用ポンプを空気注入口から取り外す。これにより、空気注入口が大気開放され、弁体がタイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気圧を受けて閉方向へ移動して弁座に密接するため、流路が閉じられる。したがって、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気が排気口から流路を通って空気注入口へ逆流することを阻止することができ、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気が外部へ抜け出すことを防止することができる。
【0016】
尚、前記空気充填時において、空気と共に混入した異物は空気注入口から逆止弁に達するまでにフィルターで捕捉されているため、前記空気充填完了後において、異物が弁体と弁座との間に噛み込むことを防止することができる。これにより、弁体が支障なく確実に作動する。
【0017】
また、弁体の内部に空気の流路を形成する必要はないため、弁体の加工の手間が低減され、容易に製作できる。
本第2発明におけるタイヤバルブは、弁座は閉方向ほど流路の径が縮小するテーパー面からなり、弁座の最大内径が弁体の外径より大きく且つ弁座の最小内径が弁体の外径より小さいものである。
【0018】
これによると、弁体は流路を閉じた際に確実に弁座のテーパー面に密接するため、弁体と弁座とのシール性が向上する。
本第3発明におけるタイヤバルブは、フィルターをプランジャー内に取り出し可能に固定する固定手段が備えられているものである。
【0019】
これによると、フィルターがプランジャー内から不用意に脱落することを防止することができる。
本第4発明におけるタイヤバルブは、フィルターをプランジャー内から取り出す取り出し手段が備えられているものである。
【0020】
これによると、フィルターが目詰まりした場合等において、フィルターをプランジャー内から容易に取り出すことができるため、フィルターの交換作業が容易に行える。
本第5発明におけるタイヤバルブは、取り出し手段は弁体を強制的に開方向へ移動させてタイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気を外部へ排出させる強制排気機能を有するものである。
【0021】
これによると、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気圧が高くなり過ぎた場合、取り出し手段を用いて、弁体を強制的に開方向へ移動させることができる。これにより、弁体が弁座から離間し、流路が開かれるため、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気が、排気口から流路を通って空気注入口へ逆流し、空気注入口から外部へ排出される。したがって、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気圧が低下し、最適な空気圧に調節できる。
【0022】
本第6発明は、前記第1発明から第5発明のいずれかに記載のタイヤバルブを有することを特徴とする車輪である。
本第7発明は、前記第6発明に記載の車輪を有することを特徴とする自転車である。
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、1は自転車であり、前後にそれぞれ車輪2を備えている。各車輪2は、ゴム製のタイヤ本体3と、タイヤ本体3の内周部に嵌合された金属製のリム4と、タイヤ本体3の内部に設けられたゴム製のタイヤチューブ5(図2参照)と、タイヤバルブ6とを有している。
【0024】
タイヤバルブ6の構成を以下に説明する。
図3,図4に示すように、タイヤバルブ6は、円筒状のボデー7と、底部8aを有する円筒状のプランジャー8とを備えている。ボデー7の一端部はタイヤチューブ5に接合されている。ボデー7は、リム4に形成された貫通孔に挿入されており、ロックナット9によりリム4に固定されている。
【0025】
プランジャー8は、ボデー7の他端開口部からボデー7の内部に挿入されており、袋ナット10によりボデー7に係止されている。プランジャー8の外周には、ボデー7の内周面とプランジャー8の外周面との間をシールするパッキン25が嵌められている。プランジャー8の先端部はボデー7の他端開口部から外部へ突出しており、プランジャー8の先端部に空気注入口11が形成されている。また、前記プランジャー8の底部8aは、空気注入口11とは反対側の奥端部に、絞り加工によって形成されている。
【0026】
プランジャー8の外周面には、空気注入口11から注入された空気をタイヤチューブ5の内部に排出する排気口12が形成されている。尚、排気口12は、前記パッキン25よりも奥側(下流側)に位置しており、プランジャー8の外周面とボデー7の内周面との間に形成された隙間15を介して、タイヤチューブ5の内部に連通している。
【0027】
プランジャー8の内部には、空気注入口11と排気口12とに連通する流路13が形成されている。プランジャー8の奥端部内には、流路13に連通している中空部8bが形成されている。また、プランジャー8の底部8aには、中空部8bとタイヤチューブ5の内部とに連通する連通孔14が形成されている。
【0028】
プランジャー8には、流路13を開閉する逆止弁18が設けられている。逆止弁18は、プランジャー8の中空部8bに内蔵された弁体19と、プランジャー8の内部に形成された弁座20とで構成されている。弁体19は、円柱状に形成されており、空気注入口11から注入される空気の圧力によって流路13を開き、且つ、タイヤチューブ5内の空気圧によって流路13を閉じる閉方向(図5中の方向S参照)に付勢されている。尚、弁体19は、硬度Hs55〜70のシリコンゴムやEPDM等の合成ゴム等の弾性材を材質としている。
【0029】
図5に示すように、弁座20は、閉方向Sほど流路13の径が縮小するテーパー面20aからなり、弁座20の最大内径D1が弁体19の外径dより僅かに大きく且つ弁座20の最小内径D2が弁体19の外径dより小さいものである。
【0030】
図3,図4に示すように、前記空気注入口11と排気口12とに連通する流路13のうち、空気注入口11から逆止弁18の弁座20に至る部分は、第1の流路部13aと、この第1の流路部13aよりも小径の第2の流路部13bとで構成されている。第1の流路部13aと第2の流路部13bとの境界には、段差部13cが形成されている。尚、第2の流路部13bの内径は前記テーパー面20aの最小内径D2と同一である。
【0031】
第1の流路部13aには、円柱状のフィルター26が挿入されている。フィルター26は、焼結金属又はセラミック製であり、10〜50μmのろ過精度を有するものである。
尚、図2に示すように、プランジャー8の先端部には、空気注入口11を覆うねじ込み式のキャップ30が着脱自在に取付けられている。
【0032】
以下、前記構成における作用を説明する。
空気を充填する場合、キャップ30をプランジャー8から取り外し、手動式の空気充填用ポンプを空気注入口11に接続し、空気充填用ポンプをポンピングして空気注入口11から空気を注入する。この際、図4,図5に示すように、弁体19が、空気注入口11から注入される空気の圧力を受けて開方向Oへ押されて移動し、弁座20から離間するため、流路13が開かれる。空気注入口11から注入された空気は、フィルター26を通過し、流路13を通って排気口12から隙間15へ排出され、隙間15を通ってタイヤチューブ5の内部に充填される。
【0033】
この時の空気の流入抵抗は、主にタイヤチューブ5の内圧と排気口12の通気抵抗とフィルター26の通気抵抗とからなり、従来の虫ゴムを用いたタイヤバルブに比べて低減する。したがって、空気充填用ポンプをポンピングするときの労力が軽減され、容易に空気を充填することが可能となる。
【0034】
また、空気充填時、空気と共に混入した塵埃等の異物はフィルター26で捕捉される。
空気充填完了後、空気充填用ポンプを空気注入口11から取り外すことにより、図3に示すように、空気注入口11が大気開放され、タイヤチューブ5内の空気圧が連通孔14から中空部8bに伝わり、弁体19が、タイヤチューブ5内の空気圧を受けて閉方向Sへ押されて移動し、弁座20のテーパー面20aに密接するため、流路13が閉じられる。したがって、タイヤチューブ5内の空気が排気口12から流路13を通って空気注入口11へ逆流することを阻止することができ、タイヤチューブ5内の空気が外部へ抜け出すことを防止することができる。
【0035】
尚、前記空気充填時において、空気と共に混入した異物はフィルター26で捕捉されているため、前記空気充填完了後において、異物が弁体19と弁座20との間に噛み込むことを防止することができる。これにより、弁体19が支障なく確実に作動する。
【0036】
また、弁体19の内部に空気の流路を形成する必要はないため、弁体19の加工の手間が低減され、容易に製作できる。
また、図3に示すように、弁体19が流路13を閉じた際、弁体19の先端周縁部が確実に弁座20のテーパー面20aに密接するため、弁体19と弁座20とのシール性が向上する。
【0037】
(実施の形態2)
次に、本発明における実施の形態2を図6に基いて説明する。
フィルター26の外周面には雄ねじ27(固定手段の一例)が形成され、フィルター26の先端部には、ねじ回し(ドライバー)用の係合溝28が形成されている。また、第1の流路部13aの内周面には雌ねじ29(固定手段の一例)が形成されており、前記雄ねじ27が雌ねじ29に螺合して、フィルター26が第1の流路部13aにねじ込まれて取り出し可能に固定されている。
【0038】
これによると、フィルター26は第1の流路部13a内にねじ込まれているため、フィルター26がプランジャー8内から不用意に脱落することは防止される。
また、キャップ30をプランジャー8から取り外し、ねじ回し(ドライバー)を空気注入口11から第1の流路部13a内に挿入してフィルター26の係合溝28に係合し一方向へ回転することによって、フィルター26を空気注入口11からプランジャー8の外部に取り出すことができる。また、ねじ回し(ドライバー)を逆方向へ回転することによって、フィルター26を空気注入口11からプランジャー8の内部にねじ込んで装填することができる。これにより、フィルター26の清掃や交換が容易に行える。
【0039】
(実施の形態3)
次に、本発明における実施の形態3を図7に基いて説明する。
流路13の第1の流路部13a内には、コイルスプリング33(固定手段の一例)が挿入されている。コイルスプリング33は外周部が第1の流路部13aの内周面に圧接するように径方向へ拡がっており、フィルター26はコイルスプリング33と段差部13cとの間に挟まれて固定されている。
【0040】
これによると、コイルスプリング33は、径方向へ拡がって第1の流路部13aの内周面に圧接しているため、摩擦によって第1の流路部13a内に固定される。フィルター26は、コイルスプリング33と段差部13cとの間に挟まれて固定されるため、プランジャー8内から不用意に脱落することが防止される。
【0041】
また、キャップ30をプランジャー8から取り外し、細いピン等をコイルスプリング33に引っ掛けて引き抜き、コイルスプリング33を空気注入口11からプランジャー8の外部に取り出すことにより、コイルスプリング33によるフィルター26の固定が解除され、フィルター26を空気注入口11からプランジャー8の外部に取り出すことができる。
(実施の形態4)
次に、本発明における実施の形態4を図8に基いて説明する。
【0042】
キャップ30は内側に突起部30a(固定手段の一例)を有している。キャップ30がプランジャー8の先端部にねじ込まれた状態で、突起部30aが空気注入口11から第1の流路部13a内に突入し、フィルター26が突起部30aと段差部13cとの間に挟まれて固定されている。これにより、フィルター26がプランジャー8内から不用意に脱落することを防止できる。
【0043】
また、キャップ30をプランジャー8の先端部から取り外すことにより、キャップ30と共に突起部30aが第1の流路部13a内からプランジャー8の外部に脱抜される。これにより、突起部30aによるフィルター26の固定が解除され、フィルター26を空気注入口11からプランジャー8の外部に取り出すことができる。
(実施の形態5)
次に、本発明における実施の形態5を図9に基いて説明する。
【0044】
第1の流路部13a内にはコイルスプリング34(固定手段の一例)が挿入されており、キャップ30がプランジャー8の先端部にねじ込まれた状態で、コイルスプリング34がキャップ30とフィルター26とに挟まれて僅かに圧縮されている。これにより、フィルター26は、コイルスプリング34と段差部13cとの間に挟まれて固定され、プランジャー8内から不用意に脱落することを防止できる。
【0045】
また、キャップ30をプランジャー8の先端部から取り外し、細いピン等をコイルスプリング34に引っ掛けて引き抜き、コイルスプリング34を空気注入口11からプランジャー8の外部に取り出すことにより、コイルスプリング34によるフィルター26の固定が解除され、フィルター26を空気注入口11からプランジャー8の外部に取り出すことができる。
(実施の形態6)
次に、本発明における実施の形態6を図10,図11に基いて説明する。
【0046】
フィルター26の中心部には、両端面に開口する貫通孔37が形成されている。この貫通孔37には、ピン38(取り出し手段の一例)が長さ方向に移動自在に挿通されている。ピン38は、空気注入口11側の先端部にリング状の係止体38aを有し、反対側の排気口12側の奥端部に係合部材38bを有している。係合部材38bは、ピン38に直交する短尺の横棒であり、フィルター26の脱抜方向Aにおいてフィルター26の奥端部に係合する。
【0047】
これによると、図11(a)に示すように、キャップ30をプランジャー8の先端部から取り外し、棒状の引掛け部材39を外部からピン38の係止体38aに引っ掛けて、ピン38を脱抜方向Aへ引き出す。これにより、係合部材38bがフィルター26の奥端部に係合し、ピン38と共にフィルター26を簡単に第1の流路部13a内からプランジャー8の外部へ脱抜することができ、フィルター26の交換作業が容易に行える。
【0048】
また、空気をタイヤチューブ5に充填し過ぎて、タイヤチューブ5内の空気圧が高くなり過ぎた場合、図11(b)に示すように、棒(図示省略)等を用いてピン38を押し込むことにより、ピン38の奥端部(すなわち係合部材38b)が、弁体19に当接し、弁体19を強制的に開方向Oへ押す。これにより、弁体19が開方向Oへ移動して弁座20から離間し、流路13が開かれ、タイヤチューブ5内の空気が、排気口12から流路13を通って空気注入口11へ逆流し、空気注入口11から外部へ強制的に排出される。したがって、タイヤチューブ5内の空気圧が低下する。その後、ピン38の押し込みを止めることによって、図10に示すように、弁体19が、タイヤチューブ5内の空気圧を受けて閉方向Sへ移動し、流路13を閉じる。これにより、タイヤチューブ5内の空気圧を最適な空気圧に調節できる。
【0049】
前記各実施の形態6では、引掛け部材39を係止体38aに引っ掛けて引き出しているが、ピンセット等で係止体38aをつまんで引き出してもよい。
前記各実施の形態では、フィルター26を、焼結金属又はセラミックで製作しているが、金属ワイヤーや樹脂ネット等で製作してもよい。
【0050】
前記各実施の形態では、車輪2のタイヤチューブ5にタイヤバルブ6のボデー7を設けているが、チューブレスの車輪2であってもよい。この場合、ボデー7はタイヤ本体3に直接設けられ、同様な作用および効果を奏する。
【0051】
前記各実施の形態では、タイヤバルブ6を自転車1の車輪2に設けているが、自転車1は一般の自転車や電動自転車,三輪車等であってもよく、型式を問わない。また、自転車1以外のもの、例えば自動車、オートバイ、車椅子等の車輪に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、自転車の車輪のタイヤバルブに最適であるが、その他、自動車、オートバイ、車椅子等の空気を内部に充填する車輪に対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態1におけるタイヤバルブを備えた自転車の図
【図2】同、タイヤバルブの拡大図
【図3】同、閉状態のタイヤバルブの断面図
【図4】同、開状態のタイヤバルブの断面図
【図5】同、タイヤバルブの逆止弁の拡大図
【図6】本発明の実施の形態2におけるタイヤバルブの断面図
【図7】本発明の実施の形態3におけるタイヤバルブの断面図
【図8】本発明の実施の形態4におけるタイヤバルブの断面図
【図9】本発明の実施の形態5におけるタイヤバルブの断面図
【図10】本発明の実施の形態6におけるタイヤバルブの断面図
【図11】同、(a)はフィルターを取り出した図、(b)は逆止弁を強制的に開いた図
【図12】従来のタイヤバルブの図
【符号の説明】
【0054】
1 自転車
2 車輪
3 タイヤ本体
5 タイヤチューブ
6 タイヤバルブ
7 ボデー
8 プランジャー
11 空気注入口
12 排気口
13 流路
18 逆止弁
19 弁体
20 弁座
20a テーパー面
26 フィルター
27 雄ねじ(固定手段)
29 雌ねじ(固定手段)
30a 突起部(固定手段)
33,34 コイルスプリング(固定手段)
38 ピン(取り出し手段)
D1 弁座の最大内径
D2 弁座の最小内径
d 弁体の外径
O 開方向
S 閉方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端がタイヤチューブ又はタイヤ本体に設けられた筒状のボデーと、ボデーの他端開口部からボデー内に挿入されたプランジャーとを有するタイヤバルブであって、
プランジャーに、ボデーの外部へ突出した空気注入口と、空気注入口から注入された空気をタイヤチューブ内又はタイヤ本体内に排出する排気口とが形成され、
プランジャー内に、空気注入口と排気口とに連通する流路が形成され、
プランジャーに、流路を開閉する逆止弁が設けられ、
逆止弁は、プランジャーに内蔵された弁体と、プランジャー内に形成された弁座とで構成され、
弁体は、空気注入口から注入される空気の圧力によって流路を開き、且つ、タイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気圧によって流路を閉じる閉方向に付勢されており、
空気注入口から逆止弁に至る流路に、フィルターが設けられていることを特徴とするタイヤバルブ。
【請求項2】
弁座は閉方向ほど流路の径が縮小するテーパー面からなり、弁座の最大内径が弁体の外径より大きく且つ弁座の最小内径が弁体の外径より小さいことを特徴とする請求項1に記載のタイヤバルブ。
【請求項3】
フィルターをプランジャー内に取り出し可能に固定する固定手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤバルブ。
【請求項4】
フィルターをプランジャー内から取り出す取り出し手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤバルブ。
【請求項5】
取り出し手段は弁体を強制的に開方向へ移動させてタイヤチューブ内又はタイヤ本体内の空気を外部へ排出させる強制排気機能を有することを特徴とする請求項4に記載のタイヤバルブ。
【請求項6】
上記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のタイヤバルブを有することを特徴とする車輪。
【請求項7】
上記請求項6に記載の車輪を有することを特徴とする自転車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−239893(P2007−239893A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63424(P2006−63424)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】